JPH11320295A - 予圧を付与された複列転がり軸受装置の製造方法 - Google Patents

予圧を付与された複列転がり軸受装置の製造方法

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JPH11320295A
JPH11320295A JP13351798A JP13351798A JPH11320295A JP H11320295 A JPH11320295 A JP H11320295A JP 13351798 A JP13351798 A JP 13351798A JP 13351798 A JP13351798 A JP 13351798A JP H11320295 A JPH11320295 A JP H11320295A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予圧を付与すべく、内輪11を軸方向に押圧
する際に生じる軸9の弾性変形に拘らず、完成後の予圧
を適正値にする。 【解決手段】 (A)〜(D)の工程で、複列に配置し
た玉5、5に予圧を付与する。複列の玉5、5のピッチ
1 、p1 はP1 >p1 であり、p1 の状態で予圧が適
正値になる。予圧付与の際には、上記ピッチをp1 より
も僅かに小さくし、軸9が弾性復元した状態で、このピ
ッチがp1 になる様にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばビデオテ
ープレコーダ(VTR)用、ハードディスクドライブ
(HDD)用、レーザビームプリンタ(LBP)用のス
ピンドルモータ、ロータリアクチュエータ、ロータリエ
ンコーダ等、各種精密回転部分に組み込んでこの回転部
分を支承する、転がり軸受装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】VTRやHDDのスピンドルを、振れ回
り運動(軸と直角な方向の運動)及び軸方向の振れを防
止しつつ回転自在に支持する為、玉軸受を使用している
が、従来一般的には、互いに独立した1対の玉軸受(深
溝型或はアンギュラ型)を使用していた。又、回転支持
部分への玉軸受の組立作業の効率化を図る為、複列の玉
軸受を使用する事も考えられている。
【0003】複列の玉軸受は、図5(A)に示す様に、
外周面に1対の深溝型の内輪軌道1、1を有する軸2
と、同図(B)に示す様に、内周面に1対の深溝型の外
輪軌道3、3を有する外輪4とを、同図(C)に示す様
に同心に組み合わせると共に、上記各内輪軌道1、1と
外輪軌道3、3との間にそれぞれ複数の玉5、5を、転
動自在に装着する事により構成する。尚、玉軸受には、
図5(C)に示す様に、上記玉5、5を円周方向等間隔
に保持しておく為の保持器6、6、並びに上記各玉5、
5装着部への塵芥等の進入防止を図る為のシール7、7
を組み込む。この図5(C)に示す様な複列深溝型玉軸
受は、従来から知られている構造であるが、上記VTR
やHDDのスピンドルを支持できる様なものの製造は難
しい。これは、次の様な理由による。
【0004】即ち、VTRやHDDのスピンドルを支持
する為の玉軸受は、振れ回り運動及び軸方向の振れを防
止する為、極めて高精度なものとしなければならない。
この為、上記スピンドル支持用の玉軸受は、アキシアル
方向の予圧を付与した状態で使用する。一方、深溝型の
玉軸受を組み立てる為、内輪軌道1と外輪軌道3との間
に玉5、5を装着する場合には、図6に示す様に、上記
内輪軌道1と外輪軌道3とを偏心させて、これら両軌道
1、3の間の円周方向に亙る隙間8を一部で大きくし、
この隙間8の大きくなった部分から上記内輪軌道1と外
輪軌道3との間に、所定数の玉5、5を挿入する。その
後、上記内輪軌道1と外輪軌道3とを同心にすると共
に、上記所定数の玉5、5を、円周方向等間隔に配置す
る。
【0005】この様に、円周方向の一部にまとめて挿入
した複数の玉5、5を、円周方向等間隔に配置し直す際
には、各玉5、5を上記内輪軌道1及び外輪軌道3に対
して滑らせなければならない。この際、上記内輪軌道1
及び外輪軌道3が各玉5、5を強く押圧する状態(予圧
を付与した状態)にあると、上記内輪軌道1、外輪軌道
3、各玉5、5の転動面に傷が付き易く、傷が付いた場
合には、回転時に振動を生じたり、或は耐久性が損なわ
れる等の問題を生じる。
【0006】この様な問題を解消する構造として、例え
ば特開平6−344233号公報には、図7〜8に示す
様な複列転がり軸受装置が記載されている。先ず、図7
に示した第1例の軸受装置の場合に於いて、第一の部材
である軸9は、図7(A)に示す様に、小径部9aと大
径部9bとを段部9cで連続させており、第一の周面で
ある大径部9bの外周面に、第一の軌道である深溝型の
第一の内輪軌道10を形成している。第三の部材である
内輪11は、自由状態に於いて上記小径部9aの外径よ
りも少し小さな内径を有する。第三の周面であるこの内
輪11の外周面には、第四の軌道である深溝型の第二の
内輪軌道12を形成している。
【0007】この様な軸9と内輪11とを含む転がり軸
受装置を造る場合、先ず、第一工程として、図7(B)
に示す様に、上記軸9の小径部9aに上記内輪11を、
十分な嵌合強度(予圧付与の反力でずれ動かない強度)
を持たせて外嵌する。そして、上記大径部9bの外周面
の第一の内輪軌道10と内輪11の外周面の第二の内輪
軌道12とのピッチP1 を、完成後の転がり軸受装置に
所定の予圧を付与する為に必要なピッチp1 {図7
(D)}よりも長く(P1 >p1 )しておく。
【0008】次いで、第二工程として、上記第一工程に
より組み合わされた軸9及び内輪11を、第二の部材で
ある円筒形の外輪13の内側に挿入する。第二の周面で
あるこの外輪13の内周面には、第二、第三の軌道であ
る、1対の深溝型の外輪軌道14、14を形成してい
る。この第二工程では、この1対の外輪軌道14、14
と上記第一、第二の内輪軌道10、12とを対向させ
る。
【0009】次に、第三工程として、上記軸9及び内輪
11と外輪13とを偏心させ、前述の図6に示す様に、
上記1対の外輪軌道14、14と第一、第二の内輪軌道
10、12との間の円周方向に亙る隙間8を一部で大き
くする。そして、この隙間8の大きくなった部分から、
上記隙間8内に、所定数の玉5、5を挿入する。次に、
第四工程として、上記1対の外輪軌道14、14と第
一、第二の内輪軌道10、12との間の隙間8内に挿入
された所定数の玉5、5を円周方向に移動させつつ、上
記軸9及び内輪11と外輪13とを同心にして、各玉
5、5を円周方向等間隔に配置する。これと共に、図7
(C)に示す様に、各玉列部分に保持器6、6を装着し
て、各玉5、5が円周方向等間隔位置に留まる様にす
る。又、必要に応じて、外輪13の両端部内周面にシー
ル7、7を装着する。この状態では、未だ各玉5、5に
予圧は付与されていない。
【0010】そして、最後に第五工程として、上記内輪
11を段部9cに向け、軸9の外周面で軸方向(図7の
左方)に変位させる事により、上記第一、第二の内輪軌
道10、12のピッチを短くして、前記所定の予圧を付
与する為に必要なピッチp1とする。この状態で、上記
複数の玉5、5に所定の予圧が付与され、予圧を付与さ
れた複列転がり軸受装置として完成する。完成時にも、
上記段部9cと内輪11の端面との間には隙間が存在す
る。
【0011】この様にして得られた予圧を付与された複
列転がり軸受装置では、内輪11の内周面と小径部9a
の外周面との間に、締まり嵌めの摩擦力に基づいて、上
記予圧に見合う軸方向荷重よりも大きな制止力が作用す
る。従って、軸9と内輪11との間に接着剤を塗布しな
くても、上記内輪11がずれ動かず、付与された予圧が
消滅する事がなく、一体の玉軸受として取り扱える。こ
の為、VTRやHDDのスピンドルの軸受部を構成する
作業が容易となる。又、アキシアル方向に亙って予圧が
付与されている為、上記スピンドルの回転支持を高精度
に行なえる。
【0012】次に、図8に示した第2例の場合には、図
8(A)に示す様に、第一の部材である主外輪15の、
第一の周面である内周面に、小径部15aと大径部15
bとこれら両部15a、15b同士を連続させる段部1
5cとを形成している。そして上記大径部15bに、第
三の部材である副外輪16を内嵌自在としている。第三
の周面であるこの副外輪16の内周面、及び上記小径部
15aの内周面には、それぞれ断面円弧状の凹溝17
a、17bを、全周に亙って形成している。又、副外輪
16は、自由状態に於いて上記大径部15bの内径より
も少し大きな外径を有する。
【0013】上記主外輪15と副外輪16とを利用し
て、予圧を付与された複列転がり軸受装置を造る場合、
先ず第一工程として、図8(B)に示す様に、上記副外
輪16を大径部15bに、十分な嵌合強度を持たせて内
嵌すると共に、同図(C)に示す様に、上記凹溝17
a、17b部分に、第一の軌道である第一の外輪軌道1
8と、第四の軌道である第二の外輪軌道19とを形成す
る。
【0014】この様に、主外輪15と副外輪16とを組
み立てた状態で、上記第一、第二の外輪軌道18、19
を形成する為、これら両外輪軌道18、19の真円度を
高精度にでき、しかも両外輪軌道18、19と主外輪1
5の外周面との偏心量を僅少に抑えられる。尚、この様
にして形成された第一、第二の外輪軌道18、19同士
のピッチP2 は、所定の予圧を付与する為に必要なピッ
チp2 {図8(E)}よりも長く(P2 >p2 )してお
く。
【0015】次に、第二工程として、第二の周面である
外周面に、第二、第三の軌道である1対の内輪軌道1、
1を有する、第二の部材である軸2{次述する図8
(D)参照。}を、上記第一工程により組み合わされた
主外輪15及び副外輪16の内側に挿入し、上記1対の
内輪軌道1、1と第一、第二の外輪軌道18、19とを
対向させる。
【0016】次いで、第三工程として、上記軸2と主外
輪15及び副外輪16とを偏心させ、前記図6に示す様
に、上記1対の内輪軌道1、1と第一、第二の外輪軌道
18、19との間の隙間8内に、所定数の玉5、5を挿
入する。
【0017】次に、第四工程として、図8(D)に示す
様に、上記軸2と主外輪15及び副外輪16とを同心に
すると共に、上記1対の内輪軌道1、1と第一、第二の
外輪軌道18、19との間に挿入された所定数の玉5、
5を、円周方向等間隔に配置する。又、この第四工程
で、等間隔に配置した上記玉5、5に、保持器6、6を
装着する。
【0018】最後に第五工程として、上記副外輪16を
主外輪15の内周面で軸方向(図8の左方向)に変位さ
せる事により、図8(E)に示す様に、上記第一、第二
の外輪軌道18、19のピッチを短くして、所定の予圧
を付与する為に必要なピッチp2 とする。この状態で、
上記複数の玉5、5に所定の予圧が付与される。そし
て、シール7、7aを装着し、予圧を付与された複列転
がり軸受装置として完成する。
【0019】尚、上述した第2例の場合、第一の外輪軌
道18を主外輪15の内周面に直接形成していたが、図
9に示した第3例の様に、それ自体は外輪軌道を有しな
い主外輪15Aに、1対の副外輪16、16aを内嵌す
る事もできる。この場合、主外輪15Aと副外輪16a
(又は16)が合わさったものが、第一の部材に対応す
る。同様に、前記第1例の場合も、第4例を示す図10
の様に、軸2に1対の内輪11、11aを外嵌する事も
できる。この場合、軸2と内輪11a(又は11)が合
わさったものが、第一の部材に対応する。この様に、副
外輪16、16a、内輪11、11aを1対設ける場合
には、予圧付与時に、一方又は双方の副外輪16、16
a、内輪11、11aを変位させる。勿論、図9〜10
の構造を組み合わせる事もできる。
【0020】適正な予圧付与を行なうべく、軸9の小径
部9a(又は主外輪15の大径部15b)に対する内輪
11(又は副外輪16)の変位量を調節する、所謂予圧
付与作業は、図11に示す様にして行なう。例えば前記
図7に示す手順で造られる予圧を付与された複列転がり
軸受装置を組み立てる場合、保持具20に軸9の端部
(図11の下端部)を保持すると共に、外輪13の一端
面(図11の下端面)に加振器21を突き当て、この外
輪13を介して上記複列転がり軸受装置に振動を加え
る。又、上記外輪13の他端面(図11の上端面)には
振動センサ22を突き当てて、上記複列転がり軸受装置
の共振周波数を測定自在としている。
【0021】上記振動センサ22が検出した、複列転が
り軸受装置の共振周波数は、増幅器23と、高速フーリ
エ変換( FFT=fast Fourier transform)を行なうFF
T変換器24とを介して、制御器25に入力している。
この制御器25は、上記軸9の小径部9aに内輪11を
押し込む為の押し込み装置26を制御する。この押し込
み装置26としては、例えば油圧シリンダ、或は送り螺
子装置を使用する。上記制御器25は、上記押し込み装
置26に送り込む圧油の量、又は圧力(送り螺子装置の
場合には回転角度)を制御する事により、この押し込み
装置26の押し込み腕27が上記内輪11を押圧する力
を調節する。
【0022】複列転がり軸受装置の製造時、上記小径部
9aに内輪11を押し込んで、各玉5、5に適正な予圧
を付与する場合には、上記振動センサ22により複列転
がり軸受装置の共振周波数を測定しつつ、上記押し込み
装置26に圧油を送り込み、押し込み腕27により内輪
11を押圧する事で、この内輪11を上記軸9の小径部
9aに圧入嵌合する。そして、上記共振周波数が予め設
定した周波数にほぼ一致した状態で、上記押し込み装置
26への圧油の送り込みを停止し、圧入作業を終了す
る。この状態で、適正な予圧を付与された複列転がり軸
受装置が完成する。
【0023】複列転がり軸受装置の共振周波数と予圧量
との間に一定の関係がある事は、例えば特公平2−61
100号公報に記載されている様に、従来から知られて
いる。従って、製造すべき転がり軸受装置と同じ構成を
有し、且つ適正な予圧量を付与された転がり軸受装置の
共振周波数を予め測定しておき、この測定値を上記制御
器25に設定しておけば、転がり軸受装置の予圧が適正
値に達した状態で、上記押し込み装置26への圧油の供
給が停止される。共振周波数設定用の複列転がり軸受装
置に適正な予圧を付与する作業は、一度だけ行なえば良
いので、適正予圧を付与する為の作業が面倒になって
も、製造作業の能率化を阻害する事はない。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】前述の図7〜10に示
す様な複列転がり軸受装置の予圧付与を、上述した図1
1に示す様な方法で行なう場合には、必ずしも所望値通
りに正確な予圧を行なえない。この理由は、軸9(図7
に示した構造の場合)或は主外輪15(図8に示した構
造の場合)の弾性変形による。例えば、図11に示す様
にして複列に配置した玉5、5に予圧を付与する際に
は、軸9及び内輪11に、軸方向に亙る押圧力を加える
必要がある。そして、この押圧力の大きさを、これら軸
9の外周面と内輪11の内周面との間に作用する摩擦力
に基づく移動抵抗力よりも大きくする必要がある。
【0025】上記予圧付与の際にこの移動抵抗力は、上
記軸9を軸方向に圧縮する方向の力として作用する。そ
して、この力によりこの軸9が弾性変形し、上記複列に
配置した玉5、5同士の距離が変化する。特に、この距
離が大きく、しかも軸9(特に小径部9a)が小径であ
る(直径が小さい)場合には、上記弾性変形に基づく距
離の変化量が無視できない程大きくなる。そして、押し
込み腕27により内輪11を押圧している力を解除した
場合に、上記軸9(特に小径部9a)の弾性復元によ
り、第一、第二の内輪軌道10、12同士の距離が大き
くなる。この結果、上記各玉5、5に付与される予圧
が、押し込み装置26への圧油の送り込みを停止し、圧
入作業を終了した時点よりも低下して、上記予圧が不足
してしまう。本発明の予圧を付与された複列転がり軸受
装置の製造方法は、この様な事情に鑑みて、予圧付与作
業を終了した後、軸9が弾性的に復元した状態で、上記
各玉5、5に付与された予圧を適正値にすべく発明した
ものである。
【0026】
【課題を解決する為の手段】本発明の予圧を付与された
複列転がり軸受装置の製造方法は何れも、前述の特開平
6−344233号公報に記載された予圧を付与された
複列転がり軸受装置の製造方法と同様に、第一の周面を
有する第一の部材と、この第一の部材と同心に配置さ
れ、上記第一の周面と対向する第二の周面を有する第二
の部材と、上記第一の周面に形成された第一の軌道と、
上記第二の周面の一部で第一の軌道と対向する部分に形
成された第二の軌道、並びにこの第二の軌道から軸方向
にずれた部分で上記第二の周面に形成された第三の軌道
と、十分な嵌合強度を持って上記第一の部材に、上記第
一、第二の部材と同心に支持され、上記第二の周面と対
向する第三の周面を有する第三の部材と、この第三の周
面の一部で、上記第三の軌道に対向する部分に形成され
た第四の軌道と、上記第一の軌道と第二の軌道との間、
並びに上記第三の軌道と第四の軌道との間に複列に、そ
れぞれ複数個ずつ設けられた玉とを備え、上記第一の部
材に対する上記第三の部材の嵌合深さを調節する事によ
り上記複数個ずつの玉に適正な予圧を付与した、予圧を
付与された複列転がり軸受装置を製造するものである。
そして、第一の部材に対し上記第三の部材を軸方向に押
し動かす事により、上記嵌合深さを適正予圧付与に必要
な長さにする。
【0027】特に、請求項1に記載した予圧を付与され
た複列転がり軸受装置の製造方法では、上記第一の部材
と上記第三の部材との嵌合に基づきこの第三の部材を軸
方向に押し動かす事に対する移動抵抗力を算出若しくは
測定すると共に、この移動抵抗力に基づく上記各部材の
弾性変形量を算出する。そして、上記第一の部材に対し
て上記第三の部材を、上記適正予圧付与に必要な長さに
見合う位置よりも上記弾性変形量に見合う長さの補正値
分だけ、上記予圧を大きくする方向に移動させた状態で
上記第三の部材の圧入作業を終了する。
【0028】又、請求項3に記載した予圧を付与された
複列転がり軸受装置の製造方法では、上記第一部材に対
する上記第三の部材の軸方向位置が上記適正な予圧付与
に必要な長さに対応する位置に達する以前に、上記第三
の部材を押圧している力を除去若しくは減少させる事に
より、上記各部材の弾性復元力に基づいて上記複列に配
置された軌道同士の間隔を大きくすると共に、この力を
除去若しくは減少させる前後での、これら各軌道同士の
間隔の変位量である予圧の変化量を測定する。そして、
この予圧の変化量の測定値と上記力の変化量とに基づい
て、上記各部材の弾性変形に基づく予圧の変化量の関係
を求めて長さの補正値を算出する。次いで、上記第一の
部材に対して上記第三の部材をこの長さの補正値分だ
け、上記適正予圧付与に必要な長さに見合う位置よりも
上記予圧を大きくする方向に移動させた状態で、上記第
三の部材の圧入作業を終了する。
【0029】更に、請求項2、4に記載した予圧を付与
された複列転がり軸受装置の製造方法では、上述した請
求項1、3に記載した予圧を付与された複列転がり軸受
装置の製造方法を実施するに就いて、予圧の変化量を複
列転がり軸受の共振周波数の変化量として求め、上記長
さの補正値に対応する共振周波数の補正値を求める。そ
して、適正予圧付与時に於ける共振周波数にこの共振周
波数の補正値を加えた値になった状態で、上記第三の部
材の圧入作業を終了する。
【0030】
【作用】上述の様に構成する、本発明の予圧を付与され
た複列転がり軸受装置の製造方法によれば、予圧付与作
業を終了した後、第一の部材が弾性的に復元した状態
で、各玉に付与された予圧を適正値にできる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1〜4を参照しつつ、本発明を
更に詳しく説明する。尚、本発明の特徴は、予圧付与作
業の際に予圧付与の為の力に基づいて弾性変形していた
構成部材が、この力の解除に伴って弾性的に復元した状
態で、各列の玉に付与されている予圧が適正値になる様
にする為の方法にある。本発明の方法により予圧を付与
する複列転がり軸受装置の具体的構造に就いては、例え
ば前述の図7〜11に示した様な、特開平6−3442
33号公報に記載されたものと同様である。又、本発明
を実施する場合に、各時点で複列転がり軸受装置に付与
されている予圧を、この複列転がり軸受装置の共振周波
数から求める。この為にこの複列転がり軸受装置を振動
させる装置は、前述の図11に示した構造を含む特開平
6−344233号公報に記載された各種装置等、従来
から知られている装置を使用できる。そこで、以下の説
明は、前述の図7、11に示した構造で本発明を実施す
る場合に関して行なう。
【0032】先ず、図1〜2は、請求項1、2に記載し
た発明を説明する為の線図である。尚、図2(並びに後
述する図3)に、実線、破線、鎖線の3本の線を記載し
ているのは、互いに異なる3個の複列転がり軸受装置、
それぞれ予圧隙間と共振周波数との関係を示した為であ
る。第一の部材である軸9の小径部9aと、第三の部材
である内輪11との嵌合に基づき、この内輪11を軸方
向に押し動かす事に対する移動抵抗力は、これら軸9及
び内輪11の諸元(寸法並びに材質)により算出できる
他、実際に内輪11を小径部9aに外嵌した状態で測定
できる。又、この移動抵抗力に基づく複列転がり軸受装
置の構成各部材、即ち上記軸9及び内輪11の他、第二
の部材である外輪13及び玉5、5の弾性変形量は、こ
れら各部材9、11、13、5の諸元に基づいて算出で
きる。即ち、上記移動抵抗力と弾性変形量とは、図1に
示す様に比例関係にある。従って、この移動抵抗力が分
れば、上記各玉5、5に予圧を付与すべく上記内輪11
を押圧する際に於ける、複列に配置した玉5、5同士の
間隔の変化量を、長さの補正値分として求める事ができ
る。
【0033】一方、複列転がり軸受装置に付与された予
圧(負の隙間)の大きさと、当該複列転がり軸受装置の
共振周波数との関係は、図2に示す様に、軸受毎に異な
るが、ほぼ比例関係にある。従って、適切な予圧を付与
しようとしている複列転がり軸受の軸受が決まっていれ
ば、予圧の変化量に見合う共振周波数の変化量を知る事
ができる。
【0034】そこで、本発明を実施する際には、適切な
予圧を付与しようとしている複列転がり軸受装置の共振
周波数を測定しつつ、上記軸9の小径部9aに対して上
記内輪11を、軸方向に移動させる。そして、上記各玉
5、5に適正な予圧を付与する為に必要な長さ{前述の
図7(D)のピッチp1 に見合う}位置よりも、上記移
動抵抗力に基づく弾性変形量に見合う、長さの補正値分
だけ上記内輪11を、予圧を大きくする方向(図7の左
方、図11の下方)に移動させた状態で、この内輪11
の圧入作業を終了する。図2に鎖線で示した例で説明す
ると、完成した時点で複列転がり軸受装置に付与すべき
適切な予圧に結び付く、上記予圧の大きさはδであり、
その状態での複列転がり軸受装置の共振周波数はfであ
る。但し、本発明の場合には、上記圧入作業の終了時点
で上記予圧に結び付く、上記予圧の大きさを、補正値△
δ分だけ大きい、δ+△δとする。この様に予圧を大き
くした事に伴い、上記圧入作業の終了時点での共振周波
数は、f+△fとなる。
【0035】この様に、圧入作業を終了し、未だ押し込
み腕27が上記内輪11から退避していない状態では、
第一、第二の内輪軌道10、12のピッチが、上記各玉
5、5に適正な予圧を付与する為に必要な長さよりも、
上記補正値△δ分だけ短くなっている。言い換えれば、
これら各玉5、5に付与されている予圧が適正値よりも
大きくなっている。この状態から上記押し込み腕27を
上記内輪11から退避させると、前記各部材9、11、
13、5が弾性的に復元する。図7、11に示した構造
の場合には、特に上記軸9の小径部9aの弾性変形量が
最も大きくなって、第一、第二の内輪軌道10、12の
ピッチが、上記補正値△δ分だけ広がり、上記予圧がこ
の補正値△δ分だけ減少する。この結果、上記複列転が
り軸受装置に付与した予圧が適正値になる。
【0036】次に、図3は、請求項3、4に記載した発
明を説明する為の線図である。本例の場合も、前述の図
7、11に示した構造に本発明を実施する場合に関して
説明する。第一部材である軸9に対する、第三の部材で
ある内輪11の軸方向位置が、適正な予圧付与に必要な
長さに対応する位置、即ち、図3の各曲線上のa点に達
する以前のb点(図示の例では、押し込み腕27により
内輪11を押圧した状態で適正予圧が付与された時点)
で、上記内輪11を押圧している力を除去若しくは減少
させる。この結果、複列転がり軸受装置の軸9が弾性的
に復元する事により、第一、第二の内輪軌道10、12
のピッチが増大し、複列に設けた各玉5、5に付与した
予圧が、一点鎖線上の点Cに対応する値に迄減少する。
【0037】そこで、上記力を除去若しくは減少させる
前後での、上記複列に設けた玉5、5同士の間隔の変位
量である予圧の変化量を、予め分っている予圧量と共振
周波数との関係から求める。そして、この予圧の変化量
の測定値と上記力の変化量とに基づいて、移動抵抗力に
基づく上記軸9の弾性変形による予圧の変化量を求め、
長さの補正値を算出し、この長さの補正値を共振周波数
の補正値に変換する。この様にして、共振周波数の補正
値を求めたならば、前述した第1例の場合と同様にし
て、上記軸9に対して上記内輪11を、上記長さの補正
値に対応する共振周波数の補正値分だけ、上記適正予圧
付与に必要な長さに見合う位置よりも上記予圧を大きく
する方向に、一点鎖線上のd点に対応する位置に迄移動
させた状態で、上記内輪11の圧入作業を終了する。こ
の結果、前述した第1例の場合と同様に、適正な予圧を
付与した複列転がり軸受装置を得られる。尚、図3の矢
印〜は、上記発明を実施する場合に於ける、予圧隙
間と共振周波数との変化の順番を示している。
【0038】次に、図4は、請求項5に対応する、本発
明の実施の形態の第3例を示している。上述した第1〜
2例は何れも、図2〜3に実線、破線、鎖線の3種類の
線で表した各軸受固有の差に拘らず、複列転がり軸受装
置に付与する予圧を同じにし、これら各複列転がり軸受
装置の軸受剛性を一定にする事を考慮していた。これに
対して本例の場合には、図4に実線、破線、鎖線の3種
類の線で表した各軸受固有の差に拘らず、これら各複列
転がり軸受装置のロストルク(回転抵抗)が一定になる
様に、あえて軸受剛性を異ならせる様にしている。
【0039】即ち、押し込み腕27が内輪11を押圧し
て変位させた量に対して、当該軸受装置の内部隙間の違
いによる剛性の変化量が大きく、従って予圧量に基づく
共振周波数の変化も大きい複列転がり軸受装置に関して
は、図4の実線部分に△f0で示した様に補正値を大き
くし、同じく弾性変形量が小さい複列転がり軸受装置に
関しては、図4の鎖線部分に△f1 で示した様に、上記
補正値を小さくする。結局、完成後の複列転がり軸受装
置に付与された予圧は、上記押し込み腕27が内輪を押
圧して変位させた量に対して予圧量の変化に基づく共振
周波数の変化も大きい複列転がり軸受装置では大きくな
り、反対に変位させた量に対して予圧量の変化に基づく
共振周波数の変化が小さい複列転がり軸受装置では小さ
くなる。この様に補正値を調節する事により、複列転が
り軸受装置のロストルクを凡そ一定にできる。
【0040】
【発明の効果】本発明の予圧を付与された複列転がり軸
受装置の製造方法は、以上に述べた通り構成する為、複
列転がり軸受装置に付与する予圧を所望値通り正確に規
制する事ができて、この複列転がり軸受装置を組み込ん
だVTR、HDD、LBP等、各種精密機械装置の性能
向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を説明する為の、
予圧を付与すべく内輪を軸方向に押圧する事に対して抵
抗となる移動抵抗力と弾性変形に基づく複列の玉のピッ
チのずれ量(弾性変形量)との関係を示す線図。
【図2】同じく、互いに異なる3種類の複列転がり軸受
装置に関して、それぞれ予圧隙間と共振周波数との関係
を示した線図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を説明する為の、
図2と同様の線図。
【図4】同第3例を説明する為の、図2と同様の線図。
【図5】従来から考えられていた転がり軸受装置の部品
と完成品とを示す断面図。
【図6】玉を挿入する為、外輪軌道と内輪軌道とを偏心
させた状態を示す図。
【図7】精密回転支持部に利用可能な複列転がり軸受装
置の具体的構造の第1例を工程順に示す断面図。
【図8】同第2例を工程順に示す断面図。
【図9】同第3例を工程順に示す半部断面図。
【図10】同第4例を工程順に示す半部断面図。
【図11】予圧を調整する方法の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1 内輪軌道 2 軸 3 外輪軌道 4 外輪 5 玉 6 保持器 7 シール 8 隙間 9 軸 9a 小径部 9b 大径部 9c 段部 10 第一の内輪軌道 11、11a 内輪 12 第二の内輪軌道 13 外輪 14 外輪軌道 15、15A 主外輪 15a 小径部 15b 大径部 15c 段部 16、16a 副外輪 17a、17b 凹溝 18 第一の外輪軌道 19 第二の外輪軌道 20 保持具 21 加振器 22 振動センサ 23 増幅器 24 FFT変換器 25 制御器 26 押し込み装置 27 押し込み腕

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の周面を有する第一の部材と、この
    第一の部材と同心に配置され、上記第一の周面と対向す
    る第二の周面を有する第二の部材と、上記第一の周面に
    形成された第一の軌道と、上記第二の周面の一部で第一
    の軌道と対向する部分に形成された第二の軌道、並びに
    この第二の軌道から軸方向にずれた部分で上記第二の周
    面に形成された第三の軌道と、十分な嵌合強度を持って
    上記第一の部材に、上記第一、第二の部材と同心に支持
    され、上記第二の周面と対向する第三の周面を有する第
    三の部材と、この第三の周面の一部で、上記第三の軌道
    に対向する部分に形成された第四の軌道と、上記第一の
    軌道と第二の軌道との間、並びに上記第三の軌道と第四
    の軌道との間に複列に、それぞれ複数個ずつ設けられた
    玉とを備え、上記第一の部材に対する上記第三の部材の
    嵌合深さを調節する事により上記複数個ずつの玉に適正
    な予圧を付与した、予圧を付与された複列転がり軸受装
    置を製造する場合に、第一の部材に対し上記第三の部材
    を軸方向に押し動かす事により、上記嵌合深さを適正予
    圧付与に必要な長さにする、予圧を付与された複列転が
    り軸受装置の製造方法であって、上記第一の部材と上記
    第三の部材との嵌合に基づきこの第三の部材を軸方向に
    押し動かす事に対する移動抵抗力を算出若しくは測定す
    ると共に、この移動抵抗力に基づく上記各部材の弾性変
    形量を算出し、上記第一の部材に対して上記第三の部材
    を、上記適正予圧付与に必要な長さに見合う位置よりも
    上記弾性変形量に見合う長さの補正値分だけ、上記予圧
    を大きくする方向に移動させた状態で上記第三の部材の
    圧入作業を終了する、予圧を付与された複列転がり軸受
    装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 複列転がり軸受装置に付与した予圧の測
    定を、この複列転がり軸受装置の構成各部品を振動させ
    て、この複列転がり軸受装置の共振周波数を測定する事
    により行なうものであり、第一部材に対する第三の部材
    の軸方向位置が適正な予圧付与に必要な長さに対応する
    位置に達する以前に、上記第三の部材を軸方向に移動さ
    せる為に要する移動抵抗力を測定すると共に、予圧の変
    化量を上記共振周波数の変化量として測定し、長さの補
    正値に相当する共振周波数の補正値を求め、上記複列転
    がり軸受装置の共振周波数が、適正予圧付与時に於ける
    共振周波数にこの共振周波数の補正値を加えた値になっ
    た状態で、上記第三の部材の圧入作業を終了する、請求
    項1に記載した予圧を付与された複列転がり軸受装置の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 第一の周面を有する第一の部材と、この
    第一の部材と同心に配置され、上記第一の周面と対向す
    る第二の周面を有する第二の部材と、上記第一の周面に
    形成された第一の軌道と、上記第二の周面の一部で第一
    の軌道と対向する部分に形成された第二の軌道、並びに
    この第二の軌道から軸方向にずれた部分で上記第二の周
    面に形成された第三の軌道と、十分な嵌合強度を持って
    上記第一の部材に、上記第一、第二の部材と同心に支持
    され、上記第二の周面と対向する第三の周面を有する第
    三の部材と、この第三の周面の一部で、上記第三の軌道
    に対向する部分に形成された第四の軌道と、上記第一の
    軌道と第二の軌道との間、並びに上記第三の軌道と第四
    の軌道との間に複列に、それぞれ複数個ずつ設けられた
    玉とを備え、上記第一の部材に対する上記第三の部材の
    嵌合深さを調節する事により上記複数個ずつの玉に適正
    な予圧を付与した、予圧を付与された複列転がり軸受装
    置を製造する場合に、第一の部材に対し上記第三の部材
    を軸方向に押し動かす事により、上記嵌合深さを適正予
    圧付与に必要な長さにする、予圧を付与された複列転が
    り軸受装置の製造方法であって、上記第一部材に対する
    上記第三の部材の軸方向位置が上記適正な予圧付与に必
    要な長さに対応する位置に達する以前に、上記第三の部
    材を押圧している力を除去若しくは減少させる事によ
    り、上記各部材の弾性復元力に基づいて上記第一、第四
    の軌道同士の間隔を大きくすると共に、この力を除去若
    しくは減少させる前後での、これら各軌道同士の間隔の
    変位量である予圧の変化量を測定し、この予圧の変化量
    の測定値と上記力の変化量とに基づいて、上記各部材の
    弾性変形に基づく予圧の変化量の関係を求めて長さの補
    正値を算出し、上記第一の部材に対して上記第三の部材
    をこの長さの補正値分だけ、上記適正予圧付与に必要な
    長さに見合う位置よりも上記予圧を大きくする方向に移
    動させた状態で、上記第三の部材の圧入作業を終了す
    る、予圧を付与された複列転がり軸受装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 複列転がり軸受装置に付与した予圧の測
    定を、この複列転がり軸受装置の構成各部品を振動させ
    て、この複列転がり軸受装置の共振周波数を測定する事
    により行なうものであり、力を除去若しくは減少させる
    前後での予圧の変化量を共振周波数の変化量として求め
    る事により、長さの補正値に対応する共振周波数の補正
    値を求め、上記複列転がり軸受装置の共振周波数が、適
    正予圧付与時に於ける共振周波数にこの共振周波数の補
    正値を加えた値になった状態で第三の部材の圧入作業を
    終了する、請求項3に記載した予圧を付与された複列転
    がり軸受装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 第三の部材を押圧して変位させた量に対
    して剛性の変化量が大きい複列転がり軸受装置に関して
    は各補正値を大きくし、同じく剛性の変化量が小さい複
    列転がり軸受装置に関しては各補正値を小さくする、請
    求項1〜4の何れかに記載した予圧を付与された複列転
    がり軸受装置の製造方法。
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