JPH11327593A - 音声認識システム - Google Patents

音声認識システム

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Publication number
JPH11327593A
JPH11327593A JP10132208A JP13220898A JPH11327593A JP H11327593 A JPH11327593 A JP H11327593A JP 10132208 A JP10132208 A JP 10132208A JP 13220898 A JP13220898 A JP 13220898A JP H11327593 A JPH11327593 A JP H11327593A
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JP
Japan
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spectrum
noise
speech recognition
input
unit
Prior art date
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Application number
JP10132208A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Tamura
震一 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
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Publication of JPH11327593A publication Critical patent/JPH11327593A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発生する雑音種類が異なるどのような環境下
で使用しても、認識対象となる音声と雑音とが混在した
入力信号に対しスペクトラムサブトラクション法を用い
て雑音抑圧を行なう際に生じる歪みを最適に補正し極力
低減させ、音声認識における認識率の向上に寄与する。 【解決手段】 雑音抑圧装置10では、パワースペクト
ラムクリッピング計算部16から出力される雑音減算パ
ワースペクトラムの歪みを、神経回路網モデルを用いて
構成された写像計算部17にて補正する。音声認識装置
20では、正しく音声認識が行われると、判定部26の
バッファ26aに予め記憶された教師パワースペクトラ
ムを雑音抑圧装置10の学習制御部18へ出力する。学
習制御部18は、写像計算部17のバッファ17aに記
憶された雑音減算スペクトラムを入力とし、判定部16
からの教師スペクトラムを教師出力として、神経回路網
のパラメータを調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声認識等の音声
信号処理の前処理として用いる雑音抑圧に関し、特に、
認識対象となる音声信号と雑音信号とが混在した入力信
号から雑音成分を極力除去するスペクトラムサブトラク
ション法を用いた雑音抑圧装置を用いた音声認識システ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えばカーナビゲーションシ
ステムにおける目的地の設定などを音声によって入力で
きるようにする場合などに有効な音声認識装置が提案さ
れ、また実現されている。このような音声認識装置にお
いては、入力音声を予め記憶されている複数の比較対象
パターン候補と比較し、一致度合の高いものを認識結果
とするのであるが、現在の認識技術ではその認識結果が
完全に正確なものとは限らない。これは、静かな環境下
にあってもそうであるため、周囲に雑音が発生するよう
な環境下ではなおさらである。特に、上述したカーナビ
ゲーションシステムなどの実際の使用環境を考慮する
と、雑音がないことは想定しにくい。したがって、認識
率の向上を実現する上では、音声認識装置への入力の前
処理として、認識に必要な音声信号と雑音信号とが混在
した入力信号から雑音成分を極力除去する雑音抑圧を行
なうことが望ましい。
【0003】この音声と雑音とが混在した入力信号から
雑音成分を除去する手法としては、スペクトラムサブト
ラクション法が非常に有効な手法として知られている、
このスペクトラムサブトラクション法については、例え
ばSTEVEN F BOLL、”Suppression of Acoustic Noise i
n Speech Using Spectral Subtruction”、IEEE Transa
ctions on Acoustics, Speech and Signal processin
g、Vol.Assp-27、No.2、April 1979、pp.113-120をはじ
めとして多くの研究成果が発表されている。スペクトラ
ムサブトラクション法は、雑音の混入した音声信号の振
幅スペクトラムから雑音の振幅スペクトラムを差し引く
か、または雑音の混入した音声信号のパワースペクトラ
ムから雑音のパワースペクトラムを差し引くことによっ
て雑音抑圧を実現するものである。なお、パワースペク
トラムは振幅スペクトラムを2乗したものである。スペ
クトラムサブトラクション法による出力は、雑音の抑圧
された振幅スペクトラムか、雑音の抑圧されたパワース
ペクトラムである。
【0004】そして、このような雑音抑圧を行なってか
ら音声認識を行なうシステム構成として、例えば図2
(a)のような音声認識システム200が考えられてい
る。つまり、マイク201からは雑音が混入した音声信
号あるいは雑音信号のみが入力される。マイク201か
らの入力信号は雑音抑圧装置203へ入力され、雑音抑
圧装置203で雑音抑圧された音声信号が音声認識装置
204へ転送される。また、この場合、利用者がPTT
(Push-To-Talk)スイッチ205を押しながらマイク2
01を介して音声を入力するようにされている。そし
て、雑音抑圧装置203での雑音抑圧は次のように行わ
れる。
【0005】つまり、図2(b)に示すように、PTT
スイッチ205が押されるまでは雑音区間であるとし
て、雑音抑圧装置203はマイク201からの入力信号
を取り込む。そして、PTTスイッチ205が押される
と音声区間であるとして、雑音抑圧装置203はマイク
201からの入力信号を取り込む。しかし、音声区間に
て取り込んだものは「音声信号+雑音信号」となる。し
たがって、雑音区間で取り込んだ「雑音信号」を、音声
区間において取り込んだ「音声信号+雑音信号」から差
し引けば、雑音信号の抑圧された音声信号を抽出するこ
とができるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この手
法は、基本的には推定雑音に基づくものである。つまり
図2(b)に示す音声区間においては混入した雑音を直
接検知しているのではなく、音声区間の開始以前の雑音
区間にて取り込んだ雑音信号を基に音声区間における雑
音を推定し、その推定雑音のパワースペクトラムを音声
区間にて取り込んだ入力音声のパワースペクトラムから
差し引く処理を行なうのである。そして、一般的には、
推定雑音のパワースペクトラムに所定の係数(サブトラ
クト係数)を乗じた値を入力音声のパワースペクトラム
から差し引いており、このサブトラクト係数は1より大
きな値に設定されることが多い。このように、サブトラ
クト係数を1より大きな値に設定することは、推定雑音
のパワースペクトラムを差し引く際に必要以上に差し引
いてしまうことに相当する。
【0007】音声の母音部分のように音声のパワーがあ
る程度確保されている区間では、推定雑音のパワースペ
クトラムを多少引き過ぎた場合でも音声のパワースペク
トラムの形状にはほとんど影響がない。しかし、音声中
のポーズ区間や摩擦子音部分のように音声のパワーが小
さいところでは、引き過ぎてマイナスの値になってしま
う場合がある。上述したようにパワースペクトラムは振
幅スペクトラムを2乗したものなのでマイナス値になる
ことは理論的にあり得ない。そのため、引き過ぎてマイ
ナスの値になってしまう部分はクリッピングしてゼロ
(0)あるいは相対的に小さな正の定数に設定するよう
にしている。したがって、スペクトラムサブトラクショ
ン法によって得られる雑音抑圧された入力音声のパワー
スペクトラムには特有の歪みが生じてしまうのである。
【0008】なお、パワースペクトラムを用いずに振幅
スペクトラムを用いた場合でも同様である。つまり、推
定雑音の振幅スペクトラムにサブトラクト係数を乗じた
値を入力音声の振幅スペクトラムから差し引くと計算上
マイナス値になることがある。この場合も振幅スペクト
ラム自体は本来マイナス値になることはあり得ないた
め、その部分はクリッピングしてゼロ(0)あるいは相
対的に小さな正の定数に設定する。したがって、スペク
トラムサブトラクション法によって得られる雑音抑圧さ
れた入力音声の振幅スペクトラムには特有の歪みが生じ
てしまう。
【0009】図2(a)に示す雑音抑圧装置203から
音声認識装置204には、スペクトラムサブトラクショ
ン法によって雑音抑圧された入力音声のパワースペクト
ラム、あるいはそのパワースペクトラムを逆フーリエ変
換して得た自己相関係数が出力される。上述したよう
に、この音声認識装置204に入力されるパワースペク
トラムあるいは自己相関係数に歪みが発生しているた
め、音声認識装置204での認識率が低下してしまう。
【0010】このような認識率の低下を押さえるため
に、スペクトラムサブトラクション法による出力である
推定雑音の振幅スペクトラムを差し引いた振幅スペクト
ラム又は推定雑音のパワースペクトラムを差し引いたパ
ワースペクトラム、あるいは、そのパワースペクトラム
を逆フーリエ変換して得た自己相関係数を補正して、上
述したようなスペクトラムサブトラクション法による特
有の歪みを低減させることが考えられる。このとき、音
声認識システムの使用される環境が異なれば雑音の種類
が異なることを考えると、音声認識システムの使用され
る環境で発生する雑音に合わせた補正を行うことが望ま
しい。ところが、想定される使用環境で発生する雑音に
合わせた補正を行うようシステムを設計すると、想定さ
れなかった環境で使用した場合に認識率の低下を招致す
ることが懸念される。
【0011】そこで本発明は、発生する雑音種類が異な
るどのような環境下で使用しても、認識対象となる音声
と雑音とが混在した入力信号に対しスペクトラムサブト
ラクション法を用いて雑音抑圧を行なう際に生じる歪み
を最適に補正し極力低減させ、音声認識における認識率
の向上に寄与することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上述した
目的を達成するためになされた本発明の音声認識システ
ムは、マイクロフォンなどを介して入力された音声に対
して雑音抑圧を行う雑音抑圧装置と、その雑音抑圧装置
に接続され、その雑音抑圧装置から入力された音声を認
識する音声認識装置とを備えたものである。
【0013】本発明の音声認識システムの雑音抑圧装置
では、例えばマイクロフォンなどを介して入力された入
力信号を、フレーム分割手段が所定の処理時間毎にフレ
ーム信号として切り出し、スペクトラム算出手段が、そ
のフレーム信号をフーリエ変換するなどしてスペクトラ
ムを算出する。入力信号に音声が含まれている音声区間
であるか音声が含まれていない雑音区間であるかは判定
手段によって判定され、雑音スペクトラム推定手段は、
雑音区間の入力信号に基づいて算出したスペクトラムを
用いて雑音スペクトラムを推定する。そして、減算手段
が、音声区間の入力信号に基づいて算出したスペクトラ
ムから雑音スペクトラムに所定のサブトラクト係数を乗
じたものを減算し、クリッピング手段が、減算手段によ
る減算結果のマイナスとなった部分をゼロ又は相対的に
小さな正の定数とした雑音減算スペクトラムを算出す
る。そして、さらに、神経回路網モデルを用いて構成さ
れた写像計算手段は、神経回路網のパラメータが適切に
調節されている場合には、クリッピング手段によって算
出された雑音減算スペクトラムを、クリッピングによる
歪みを低減したスペクトラムへ写像する。また、クリッ
ピング手段によって算出された雑音減算スペクトラム
は、雑音減算スペクトラム記憶手段に記憶されて保持さ
れる。
【0014】写像計算手段によって計算されたスペクト
ラムが音声入力装置へ入力されると、音声入力装置で
は、認識手段が、予め記憶されている複数の比較対象パ
ターン候補と比較して一致度合の高いものを認識結果と
する。さらに、音声認識装置の教師スペクトラム記憶手
段には、各比較対象パターン候補に対応して用意された
雑音の含まれない教師スペクトラムが記憶されており、
音声認識装置の教師スペクトラム出力手段は、認識手段
による認識結果に対応する教師スペクトラムを雑音抑圧
装置へ出力する。
【0015】雑音抑圧装置の学習制御手段は、音声認識
装置の認識手段による認識結果が正しい場合には、上述
したように写像計算手段からの出力に対応して音声認識
装置から出力される教師スペクトラムを、写像計算手段
を構成する神経回路網の教師出力とし、上述のように雑
音減算スペクトラム記憶手段に記憶され保持されたその
教師スペクトラムに対応する雑音減算スペクトラムを神
経回路網の入力として、神経回路網のパラメータを調節
する。
【0016】なお、スペクトラム算出手段が算出するス
ペクトラムには、振幅スペクトラムやパワースペクトラ
ムが考えられる。つまり、フレーム信号をフーリエ変換
すると周波数スペクトラムS(f) が算出される。こ
の周波数スペクトラムS(f) の振幅成分である振幅
スペクトラムA(f)を用いてもよいし、その振幅スペ
クトラムA(f)を2乗して得たパワースペクトラムP
(f)を用いてもよい。
【0017】例えば、スペクトラム算出手段が振幅スペ
クトラムA(f)を算出する場合には、雑音スペクトラ
ム推定手段が雑音振幅スペクトラムAN(f)を推定
し、減算手段が、音声区間の入力信号に基づいて算出し
た振幅スペクトラムAS(f)から、雑音振幅スペクト
ラムAN(f)に所定のサブトラクト係数を乗じたもの
を減算する。
【0018】また、スペクトラム算出手段がパワースペ
クトラムP(f)を算出する場合には、雑音スペクトラ
ム推定手段が雑音パワースペクトラムPN(f)を推定
し、減算手段が、音声区間の入力信号に基づいて算出し
たパワースペクトラムPS(f)から、雑音パワースペ
クトラムPN(f)に所定のサブトラクト係数を乗じた
ものを減算する。
【0019】このように減算処理を施すと、推定雑音の
パワースペクトラムあるいは振幅スペクトラムにサブト
ラクト係数を乗じた値を、入力音声のパワースペクトラ
ムあるいは振幅スペクトラムから差し引くこととなる
が、サブトラクト係数が大きい場合には計算上マイナス
値になることがある。パワースペクトラムあるいは振幅
スペクトラムは理論上マイナス値になることはあり得な
いため、その部分をクリッピングしてゼロ(0)あるい
は相対的に小さな正の定数に設定した雑音減算スペクト
ラムを算出する。したがって、この雑音減算スペクトラ
ムにはクリッピングによる特有の歪みが生じてしまう。
これをそのまま音声認識に用いると認識率が低下してし
まう。
【0020】そこで本発明では、神経回路網モデルを用
い、クリッピングによって歪みの生じたスペクトラムか
らクリッピングによる影響を補正したスペクトラムへの
写像を計算することで歪み低減を実現する。神経回路網
モデルは、任意の入力信号(スカラ、ベクトル)を任意
の出力信号(スカラ、ベクトル)へ写像する能力を有し
ている。つまり、ニューロン数を十分多く取れば任意の
入出力関係を実現できる。これについては、例えば船橋
賢一「ニューラル・ネットワークのcapabilit
yについて」(電子情報通信学会技術研究報告vol.8
8,No.126、MBE88−52)などにおいて証明
されている。従って、神経回路モデルのパラメータを調
節すれば、すなわち神経回路モデルを学習させれば、ク
リッピングによって歪みの生じたスペクトラムを、クリ
ッピングによる影響を補正したスペクトラムへ写像する
ことができる。
【0021】神経回路網モデルとしては、例えば請求項
5に示すように、フィードフォワード型神経回路網モデ
ルを用いることが考えられる。例えば入力層、隠れ層、
出力層の3層から成るフィードフォワード型神経回路網
モデルを用いる場合、入力されるスペクトラムが、フレ
ーム単位の処理時間tに対し、1〜129というような
129の周波数fに対応するサンプルデータであれば、
入力層、出力層に129のニューロンを有するものを用
いることが考えられる。その結果、フレーム単位の処理
時間t毎に129の周波数fに対応するサンプルデータ
を入力層から入力し、出力層に129の周波数fに対応
する出力を得ることができるのである。この場合、神経
回路網に入力される雑音減算スペクトラムをPSRC
(f,t)(f=1,2,・・・,129)とし、隠れ
層のニューロン数を例えば100とすれば、神経回路網
の出力PSRCNN(f,t)(f=1,2,・・・,
129)は以下の式で示される。
【0022】
【数1】
【0023】ここでW(f,h)(f=1,2,・・
・,129,h=1,2,・・・100),w(h,
i)(h=1,2,・・・,100,i=0,1,2,
・・・,129)が神経回路網モデルのパラメータであ
る。関数S(・)は、S(x)=1/(1+e-x)であ
る。
【0024】このパラメータW(f,h)及びw(h,
i)を調節することによって、クリッピングによって歪
みの生じたスペクトラムからクリッピングによる影響を
補正したスペクトラムへの写像が実現される。ところ
で、音声認識システムの使用される環境が異なれば雑音
の種類が異なることを考えると、音声認識システムの使
用される環境で発生する雑音に合わせてクリッピングに
よる影響を補正することが望ましい。例えば、このよう
な神経回路網モデルを用いた音声認識システムが自動車
内にて用いられる場合には、予め多くの自動車雑音を含
んだ音声にて神経回路網のパラメータを調節しておくと
いう具合である。ところが、想定される使用環境で発生
する雑音に合わせてクリッピングによる歪みを補正する
ようシステムを設計すると、想定されなかった環境下で
使用した場合には雑音の種類の違いによって認識率の低
下を招くことが懸念される。例えば、上述のような自動
車雑音を含んだ音声にて神経回路網のパラメータを調節
した音声認識システムを、例えば街頭やパーキングエリ
アなどに設定される情報端末装置等に使用した場合、発
生する雑音の種類の違いによって認識率の低下を招致す
ることがある。
【0025】これに対して、本発明の音声認識システム
では、音声認識装置の認識対象語彙を示す複数の比較パ
ターン候補に対応させ、雑音の含まれない教師スペクト
ラムを音声認識装置に記憶しておき、また、神経回路網
に入力される雑音減算スペクトラムを保持しておく。そ
して、雑音減算スペクトラムに基づいて音声認識装置で
正しい認識がなされた場合には、その認識結果に対応す
る教師スペクトラムを神経回路網の教師出力とし、その
教師スペクトラムに対応する雑音減算スペクトラムを神
経回路網の入力として、神経回路網のパラメータを調節
し神経回路網を学習させる。つまり、クリッピングによ
る歪みのあるスペクトラムを理想的な出力である教師ス
ペクトラムへ写像するように神経回路網のパラメータを
調整すれば最適な補正となるため、歪みのあるスペクト
ラムの写像から正しく認識がなされた場合、記憶してお
いた教師スペクトラムを教師出力としてパラメータの調
節を行う。
【0026】このように本発明の音声認識システムで
は、システム稼働中、正しい音声認識がなされる度に神
経回路網のパラメータが調節されていく。そのため、発
生する雑音種類が異なるどのような環境下で使用して
も、認識対象となる音声と雑音とが混在した入力信号に
対しスペクトラムサブトラクション法を用いて雑音抑圧
を行う際に生じる歪みを適切に補正することができる。
しかも、神経回路網モデルが任意の写像を実現可能であ
ることから、神経回路網のパラメータ調節、すなわち学
習が進めば、歪みのあるスペクトラムを教師スペクトラ
ムに近いスペクトラムに写像することができ、スペクト
ラムの歪みに対し最適に近い補正が実現できる。その結
果、音声認識における認識率の向上に寄与することがで
きる。
【0027】以上説明したように、本発明においては、
神経回路網モデルを用いているが、、その理由は、神経
回路網モデルが、任意の入力信号(スカラ、ベクトル)
を任意の出力信号(スカラ、ベクトル)へ写像する能力
を有していると共に、周知の学習能力を備えているから
である。すなわち、神経回路モデルでは、入力信号及び
その入力信号に対応する教師出力信号に基づいて、パラ
メータの調節、すなわち学習を行うことができるため、
入力信号及び出力信号の間に存在する因果関係を人間が
把握する必要がない。その結果、神経回路モデルを用い
ることによって、音声認識システムの使用される種々の
環境で発生する任意の雑音に合わせ、クリッピングによ
るスペクトラムの歪みを低減させることができる。
【0028】なお、上述した減算手段が、音声区間の入
力信号に基づいて算出したパワースペクトラムPS
(f)から雑音パワースペクトラムPN(f)に所定の
サブトラクト係数を乗じたものを減算する構成を前提と
する場合には、請求項4に示すようにしてもよい。すな
わち、雑音抑圧装置が自己相関係数算出手段を備える構
成とし、この自己相関係数算出手段が、クリッピング手
段によって算出された雑音減算スペクトラムに基づいて
自己相関係数を算出する。このとき、写像計算手段は、
自己相関係数算出手段によって算出された自己相関係数
を、クリッピングによる歪みを低減した自己相関係数へ
写像する。
【0029】このように自己相関係数を用いても同様に
歪み低減が実現できると共に、雑音抑圧装置からの出力
を用いて音声認識を行なう音声認識装置におけるメモリ
容量及び処理負荷の低減の面で有効である。これは、自
己相関係数のフーリエ変換がパワースペクトラムにな
る、つまりパワースペクトラムの逆フーリエ変換が自己
相関係数になることに着目したものである。自己相関係
数をC(r,t)、逆フーリエ変換をF-1とすると、パ
ワースペクトラムP(f,t)との関係は次のようにな
る。
【0030】C(r,t)=F-1[P(f,t)] なお、rは自己相関係数の指数であり、パワースペクト
ラムにおける周波数fに対応する。このように、パワー
スペクトラムと自己相関係数とは等価であるため、自己
相関係数の写像を計算させれば、パワースペクトラムを
用いた場合と同様の結果、つまり歪みの低減された出力
を得ることができる。
【0031】そして、このような自己相関係数を用いる
と音声認識装置におけるメモリ容量及び処理負荷が低減
されるのであるが、その点について説明する。音声認識
装置が線形予測分析(linear predictive coding:LP
C)を行なう構成であり、雑音抑圧装置からパワースペ
クトラムを出力する場合を想定すると、音声認識装置に
おいては、まず雑音抑圧装置から出力されたパワースペ
クトラムから自己相関係数を算出しなければならなくな
る。そのため、処理負荷やメモリ容量の増大につながっ
ていた。それに対して、雑音抑圧装置において自己相関
係数化し、これを音声認識装置側へ渡せば、音声認識装
置における処理負荷やメモリ容量の削減を実現できる。
音声認識装置がP次のLPCを実行する場合には、指数
rがr=0,1,2,……Pの自己相関係数C(r,
t)しか用いず、一般にP=17程度である。
【0032】したがって、パワースペクトラムを逆フー
リエ変換して自己相関係数化し、その自己相関係数の写
像を出力することで、音声認識装置におけるメモリ容量
及び処理負荷の低減を実現できる。ところで、本発明の
音声認識システムにおいては、音声認識装置の認識結果
が正しい場合に神経回路網のパラメータを調節するので
あるが、認識結果が正しいか否かは、例えば請求項6に
示すように、認識手段による認識結果を報知し、当該報
知に対応して外部から入力される確認信号に基づき、当
該認識結果が正しいか否かを判断するよう構成すること
が考えられる。ここで認識結果の報知は、例えば認識結
果を合成音声として出力したり、例えばナビゲーション
システム等のようにディスプレイを備えたシステムであ
れば、そのディスプレイに認識結果を表示したりするこ
とによって行う。そして、例えば発声者自身が、報知さ
れた認識結果が正しいか否かを判定し、確認スイッチを
押下したり、所定の音声入力を行うと、音声認識システ
ムが、例えば確認スイッチの押下による信号や入力され
た音声信号などの確認信号に基づいて認識結果が正しい
か否かを判定する。
【0033】また、例えば請求項7に示すように、認識
手段によって一致度合が高いと判断されたパターンの一
致度合と、他の比較対象パターン候補の一致度合とに所
定値以上の差がある場合に、認識手段による認識結果が
正しいと判断するよう構成してもよい。音声認識装置の
認識手段は、予め記憶された複数の比較対象パターン候
補毎に雑音抑圧装置からの出力との一致度合を計算し一
致度合の高いものを認識結果とするのであるが、このと
き、計算される一致度合に差がない場合は誤まって認識
さする可能性が高い。そこで、認識結果となったパター
ンの一致度合が他のパターンの一致度合から比較的大き
い場合に正しく認識されていると推定するのである。こ
のようにすれば、上述したように利用者が認識結果の正
誤を確認する必要がなく便利である。
【0034】なお、上述した判定手段は、入力信号に音
声が含まれている音声区間であるか音声が含まれていな
い雑音区間であるかを判定するのであるが、これは入力
信号のパワーに基づいて判定することが考えられる。ま
た、音声を入力させる期間を発声者自身が指定するため
に設けられた入力期間指定手段によって指定された入力
期間を音声区間として判定するようにしてもよい。この
入力期間指定手段としては、例えばPTT(Push-To-Ta
lk)スイッチなどが考えられる。つまり、利用者がPT
Tスイッチを押しながら音声を入力すると、そのPTT
スイッチが押されている間に入力された音声を処理対象
として受け付けるのである。このようにすることで、雑
音抑圧対象となる入力信号に対してのみ雑音抑圧処理を
実行すればよいので、処理負荷軽減の点で有効である。
【0035】このような音声認識システムは、音声信号
に混入した雑音の種類が異なるどのような環境下でも適
応的にスペクトラムサブトラクション法による特有の歪
みを補正することができるため、種々の適用先が考える
ことができる。例えばいわゆるカーナビゲーションシス
テム用として用いることが考えられる。この場合には、
例えば経路設定のための目的地などが音声にて入力でき
れば非常に便利である。また、ナビゲーションシステム
だけでなく、例えば音声認識システムを車載空調システ
ム用として用いることも考えられる。この場合には、空
調システムにおける空調状態関連指示を利用者が音声に
て入力するために用いることとなる。さらには、例え
ば、携帯用の情報端末装置、あるいは街頭やパーキング
エリアなどに設定される情報端末装置などにも同様に適
用できる。
【0036】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態の音声認
識システムの概略構成を示すブロック図である。本音声
認識システムは、マイク30を介して入力された音声に
対して雑音抑圧を行なう雑音抑圧装置10と、その雑音
抑圧装置10からの出力を、予め記憶されている複数の
比較対象パターン候補と比較して一致度合の高いものを
認識結果とする音声認識装置20とを備えている。
【0037】まず、雑音抑圧装置10について説明す
る。図1に示すように、雑音抑圧装置10は、音声入力
部11と、入力音声切り出し部12と、フレームパワー
スペクトラム計算部13と、雑音パワースペクトラム推
定部14と、雑音パワースペクトラム減算部15と、パ
ワースペクトラムクリッピング計算部16と、写像計算
部17と、学習制御部18とを備えている。以下、各ブ
ロックでの処理内容について説明する。
【0038】音声入力部11は、マイク30を介して入
力されたアナログ音声信号を例えば10KHzのサンプ
リング周波数でデジタル信号に変換し、入力音声切り出
し部12へ出力する。入力音声切り出し部12は、音声
入力部11からの入力信号を順次所定の長さ所定のサン
プル、例えば25.6ミリ秒で256サンプルのフレー
ム毎に切り出し、フレームパワースペクトラム計算部1
3と雑音パワースペクトラム推定部14へ出力する。
【0039】雑音パワースペクトラム推定部14は、入
力音声切り出し部12からのフレーム信号を、フーリエ
変換してスペクトラムSN(f,t)を求め、そのスペ
クトラムSN(f,t)の振幅の2乗を計算して求めた
パワースペクトラムPN(f,t)を内部のバッファ
(図示せず)に記憶する。このパワースペクトラムPN
(f,t)の算出式は以下の通りである。
【0040】
【数2】
【0041】このバッファには過去の全てのパワースペ
クトラムが記憶されているのではなく、現在時点から5
×25.6ミリ秒まで過去のパワースペクトラム、つま
り最新の5つのフレームに対するパワースペクトラムP
N(f,t)が順次更新しながら記憶されていくことと
なる。
【0042】なお、パワースペクトラムPN(f,t)
において、fは周波数、tは時間(この場合はフレーム
単位の処理に対応する時間)である。256サンプルの
フレーム信号をフーリエ変換しているため、フーリエ変
換で計算されるスペクトラムの対称性から、パワースペ
クトラムPN(f,t)は、周波数(f)方向に129
個のサンプルデータとなる。また、t=0が現在、t=
1が直前の過去、t=2がさらに前の過去、というよう
に数字が増えるほど前の過去を示すものとする。したが
って、最新の5つフレームに対するパワースペクトラム
PN(f,t)とは、PN(f,0)、PN(f,
1)、PN(f,2)、PN(f,3)、PN(f,
4)(ここでf=1,2,・・・,129)の5つを指
す。なお、それ以前の過去のパワースペクトラムはバッ
ファから捨てられる。
【0043】そして、雑音パワースペクトラム推定部1
4は、音声が入力されたことを示す音声入力検出信号を
受け取ると雑音パワースペクトラムの推定処理を中止す
る。本実施形態においては、図示しないPTT(Push-T
o-Talk)スイッチが押されている場合にはこの音声入力
検出信号が出力される。つまり、本音声認識システムで
は、利用者がPTTスイッチを押しながらマイク30を
介して音声を入力するという使用方法である。そのた
め、PTTスイッチが押されているということは利用者
が音声を入力しようとする意志をもって操作したことで
あるので、その場合には実際には音声入力があるかない
かを判断することなく、音声入力がされる期間(音声区
間)であると捉えて処理しているのである。
【0044】音声入力検出信号を受け取った雑音パワー
スペクトラム推定部14では、雑音パワースペクトラム
の推定処理を中止し、バッファに記憶されている5つの
パワースペクトラムPN(f,0)、PN(f,1)、
PN(f,2)、PN(f,3)、PN(f,4)の平
均値を算出して、スペクトラムサブトラクション法での
減算に用いる雑音パワースペクトラムPNAV(f)
(fは周波数)を作成し、雑音パワースペクトラム減算
部15へ渡す。なお、この雑音パワースペクトラムPN
AV(f)の算出式は以下の通りである。
【0045】
【数3】
【0046】一方、フレームパワースペクトラム計算部
13は、音声入力検出信号を受け取った場合にだけ処理
を行なう。その処理は、入力音声切り出し部12からの
フレーム信号、上述したような25.6ミリ秒のフレー
ム毎の入力音声信号に対してフーリエ変換を行い入力音
声信号のスペクトラムSS(f,t)を求め、スペクト
ラムSS(f,t)の振幅の2乗を計算してパワースペ
クトラムPS(f,t)を求めて雑音パワースペクトラ
ム減算部15へ渡す。なお、このパワースペクトラムP
S(f,t)の算出式は以下の通りである。
【0047】
【数4】
【0048】雑音パワースペクトラム減算部15では、
フレームパワースペクトラム計算部13から送られたパ
ワースペクトラムPS(f,t)から、雑音パワースペ
クトラム推定部14から送られた雑音パワースペクトラ
ムPNAV(f)に所定のサブトラクト係数を乗じたも
のを減算してパワースペクトラムクリッピング計算部1
6へ送る。ここでサブトラクト係数は1.2である。従
って、雑音パワースペクトラム減算部15からの出力P
SR(f,t)は以下の式に示す通りとなる。
【0049】
【数5】
【0050】パワースペクトラムクリッピング計算部1
6では、雑音パワースペクトラム減算部15からの出力
PSR(f,t)に対し、減算によってマイナスとなっ
た部分をクリッピングしてゼロ又は相対的に小さな正の
定数に置き換えたパワースペクトラムPSRC(f,
t)を計算し、写像計算部17へ渡す。従って、パワー
スペクトラムPSRC(f,t)は以下の式に示す通り
となる。
【0051】
【数6】
【0052】写像計算部17は、3層のフィードフォワ
ード型神経回路網モデルを用いて構成されており、入力
層、隠れ層、出力層は、各々129,100,129の
ニューロンから成る。写像計算部17は、パワースペク
トラムクリッピング計算部16からのパワースペクトラ
ムPSRC(f,t)を入力してパワースペクトラムP
SRCNN(f,t)を出力する。フレーム単位の時系
列データであるパワースペクトラムPSRC(f,t)
は、周波数(f)方向に129サンプルのデータであ
り、この神経回路網モデルに入力されることによって、
フレーム単位の処理に対応する時間t毎に129サンプ
ルの時系列データであるPSRCNN(f,t)が出力
される。写像計算部17からの出力PSRCNN(f,
t)は以下の式に示す通りである。
【0053】
【数7】
【0054】ここでW(f,h)(f=1,2,・・
・,129,h=1,2,・・・100),w(h,
i)(h=1,2,・・・,100,i=0,1,2,
・・・,129)が神経回路網モデルのパラメータであ
る。関数S(・)は、S(x)=1/(1+e-x)であ
る。
【0055】また、写像計算部17は、PTTスイッチ
が押されている期間(音声区間)にパワースペクトラム
クリッピング計算部16から出力されるパワースペクト
ラムPSRC(f,t)をバッファ17aに順次記憶す
る。このようにして、入力音声切り出し部12での切り
出し単位である25.6ミリ秒のフレーム毎に得られる
パワースペクトラムPSRCNN(f)が順次音声認識
装置20へ送られる。
【0056】次に、この音声認識装置20について説明
する。音声認識装置20は、逆フーリエ変換部21と、
LPC分析部22と、ケプストラム計算部23と、標準
パターン格納部24と、照合部25と、判定部26とを
備えている。
【0057】逆フーリエ変換部21では、写像計算部1
7からの出力PSRCNN(f,t)に対して逆フーリ
エ変換を施して自己相関係数を求め、LPC分析部22
へ渡す。LPC分析部22では、逆フーリエ変換部21
からの出力を用いて線形予測分析を行う。線形予測分析
は音声信号処理の分野では一般的な分析手法であり、例
えば、古井「ディジタル音声処理」(東海大学出版会)
などに詳しく説明されている。本実施形態においてはこ
の線形予測分析に自己相関法を用いており、自己相関係
数を用いて12次のLPC係数を計算する。
【0058】そして、ケプストラム計算部23では、L
PC分析部22において計算されたLPC係数を基に、
フレーム毎のスペクトラム上の特徴パラメータとしての
LPCケプストラム係数を1次から17次まで計算す
る。一方、標準パターン格納部24には予め計算してお
いた認識対象語彙の標準パターン(特徴パラメータ系
列)が格納してあり、照合部25は、標準パターン格納
部24に格納されている標準パターンと、ケプストラム
計算部23にて計算されたLPCケプストラム係数との
間で類似度計算を行なう。これらは周知のDPマッチン
グ法、HMM(隠れマルコフモデル)あるいは神経回路
網モデルなどによって、辞書データとして格納された単
語に対応する類似度を求める。そして、判定部26は、
各認識対象語彙のうち照合部25で計算した類似度が最
も高い語彙を認識結果として出力する。なお、本実施形
態の音声認識装置20は、上述したように単語単位の認
識を行うものであるが、句や文章の単位で認識を行うも
のとしてもよい。
【0059】このように、本実施形態の音声認識システ
ムによれば、雑音抑圧装置10の雑音パワースペクトラ
ム減算部15において、音声区間の入力信号に基づいて
算出したパワースペクトラムPS(f,t)から雑音ス
ペクトラムPNAV(f)に所定のサブトラクト係数
(ここでは1.2)を乗じたものを減算し、写像計算部
17においてPSRCNN(f,t)を計算している。
雑音パワースペクトラム減算部15においては、上述し
たように雑音パワースペクトラムPN(f)を1.2倍
したものを、音声区間の入力信号に基づいて算出したパ
ワースペクトラムPS(f,t)から減算している。こ
の場合はサブトラクト係数が1より大きい1.2である
ため、計算上マイナス値になることがある。パワースペ
クトラムは理論上マイナス値になることはあり得ないた
め、パワースペクトラムクリッピング計算部16におい
て、その部分をクリッピングしてゼロ(0)あるいは相
対的に小さな正の定数に設定している。したがって、パ
ワースペクトラムクリッピング計算部16からの出力で
ある雑音の抑圧されたパワースペクトラムに特有の歪み
が生じてしまい、これをそのまま音声認識に用いると認
識率が低下してしまう。
【0060】そこで、神経回路網モデルを用い、クリッ
ピングによって歪みの生じたパワースペクトラムからク
リッピングによる影響を補正したパワースペクトラムへ
の写像を計算することで歪み低減を実現する。神経回路
網モデルは、任意の入力信号(スカラ、ベクトル)を任
意の出力信号(スカラ、ベクトル)に写像する能力を有
している。つまり、ニューロン数を十分多く取れば任意
の入出力関係を実現できる。これについては、例えば船
橋賢一「ニューラル・ネットワークのcapabili
tyについて」(電子情報通信学会技術研究報告vol.8
8,No.126、MBE88−52)などにおいて証明
されている。従って、神経回路網モデルのパラメータを
調節すれば、すなわち神経回路網モデルを適切に学習さ
せれば、写像計算部17において、クリッピングによっ
て歪みの生じたパワースペクトラムからクリッピングに
よる歪みを低減したパワースペクトラムを計算すること
ができる。
【0061】そこで次に、本実施形態の音声認識システ
ムにおける雑音抑圧装置10の写像計算部17を構成す
る神経回路モデルのパラメータの調節について説明す
る。上述したように音声認識装置20では、判定部26
が、各認識対象語彙のうち照合部25で計算した類似度
が最も高い語彙を認識結果として出力するのであるが、
この判定部26の認識結果は、音声認識装置20の外部
に接続された音声合成部41へ出力される。
【0062】音声合成部41は、判定部26からの出力
を所定周波数のディジタル信号として合成し、このディ
ジタル信号を、音声出力部42が、アナログ音声信号に
変換して出力する。その結果、スピーカ43から認識さ
れた単語が音声として出力される。
【0063】そして、その後、判定部26は外部からの
確認信号の入力を待つ。本実施形態においては、図示し
ない確認スイッチが押されている場合に、確認信号が出
力される。つまり、本音声認識システムにおいて、利用
者は、スピーカ43から出力された単語が正しく認識さ
れたものであるとき、確認スイッチを押さえる取り決め
としておく。これによって、判定部26に確認信号が入
力された場合、利用者が入力した音声が正しく認識され
たことを意味し、その場合には、後述するような学習動
作に移る。一方、判定部26に確認信号が入力されない
場合、利用者が入力した音声が間違って認識されたこと
を意味し、その場合には、学習動作を行わない。
【0064】ここで、本実施形態の音声認識システムに
おける学習動作について説明する。判定部26には、バ
ッファ26aが用意されており、このバッファに各認識
対象語彙に対応した雑音の含まれない教師パワースペク
トラムを記憶している。そして、判定部26は、上述し
たように確認信号が入力されると、認識結果に対応した
教師パワースペクトラムを雑音抑圧装置10の学習制御
部18へ出力する。
【0065】上述したように、写像計算部17のバッフ
ァ17aには、PTTスイッチを押している期間(音声
区間)のパワースペクトラムPSRC(f,t)が記憶
されている。従って、このバッファ17aに記憶された
パワースペクトラムPSRC(f,t)あるいはその一
部分が認識された単語に対応している。
【0066】そこで、学習制御部18は、判定部26か
ら出力された認識結果に対応した教師パワースペクトラ
ムを写像計算部17の神経回路網の教師出力とし、パワ
ースペクトラムPSRC(f,t)(tは認識された単
語を構成するフレーム単位の処理に対応する時間)を写
像計算部17の神経回路網の入力として、神経回路網の
パラメータを調整する。この調整は、例えばバックプロ
パゲーション学習法(技術評論社「ニューロコンピュー
タ」第2章バックプロパゲーションpp.28〜pp.
84参照)を用いて行うことが考えられる。
【0067】ここで、上述した本実施形態の雑音抑圧装
置10の写像計算部17を構成する神経回路網の学習手
順の一具体例を示す。まず、神経回路網が入力信号の値
を変えずに入力信号をそのまま出力するようにパラメー
タの調整を行う。これについては、例えば男性10人、
女性10人というような複数の人間の音声から複数のパ
ワースペクトラムを作成し、各パワースペクトラムを神
経回路網の入力及び教師出力として、バックプロパゲー
ション学習法によりパラメータを調整する。
【0068】このような学習を行った神経回路網モデル
によって上述した写像計算部17を構成する。これによ
って、雑音抑圧装置10は、パワースペクトラムクリッ
ピング計算部16からの出力PSRC(f,t)をその
まま出力することになる。つまり、写像計算部17から
の出力PSRCNN(f,t)は、写像計算部17への
入力PSRC(f,t)と等しくなる。すなわち、クリ
ッピングの影響を何ら補正していないパワースペクトラ
ムPSRCNN(f,t)を音声認識装置20へ出力す
ることになる。
【0069】ところが、この場合であっても、認識率は
クリッピングによる歪みによって低下するものの、正し
く認識されることがある。正しく認識された場合には、
上述したように、神経回路網の教師出力を音声認識装置
の判定部26のバッファ26aに記憶された教師パワー
スペクトラムとし、神経回路網の入力を写像計算部17
のバッファ17aに記憶されたパワースペクトラムPS
RC(f,t)としてパラメータの調節が行われる。そ
して、利用者から入力される音声が正しく認識される度
に、繰り返しパラメータの調節が行われる。パラメータ
の調節が行われれば、認識率が向上していくため、より
頻繁に学習されることになる。
【0070】このように本実施形態の音声認識システム
では、システム稼働中、正しい音声認識がなされる度に
写像計算部17の神経回路網のパラメータが調節されて
いく。そのため、発生する雑音種類が異なるどのような
環境下で使用しても、認識対象となる音声と雑音とが混
在した入力信号に対しスペクトラムサブトラクション法
を用いて雑音抑圧を行う際に生じる歪みを適切に補正す
ることができる。しかも、神経回路網モデルが任意の写
像を実現可能であることから、写像計算部17を構成す
る神経回路網のパラメータ調節、すなわち学習が進め
ば、歪みのあるスペクトラムを教師スペクトラムに近い
スペクトラムに写像することができ、スペクトラムの歪
みに対し最適に近い補正が実現できる。その結果、音声
認識における認識率の向上に寄与することができる。
【0071】なお、本実施形態においては、入力音声切
り出し部12における切り出し機能が「フレーム分割手
段」に相当する。また、入力音声切り出し部12におい
て、音声入力検出信号の入力があると切り出し処理を始
めたり、雑音パワースペクトラム推定部14において、
音声入力検出信号の入力があると雑音パワースペクトラ
ムの推定を止めているが、これが「判定手段」による音
声区間と雑音区間の判定結果に基づく処理内容の変更に
相当する。そして、フレームパワースペクトラム計算部
13が「スペクトラム算出手段」に相当し、雑音パワー
スペクトラム推定部14が「雑音スペクトラム推定手
段」に相当する。また、雑音パワースペクトラム減算部
15が「減算手段」に相当し、パワースペクトラムクリ
ッピング計算部16が「クリッピング手段」に相当し、
写像計算部17が「写像計算手段」に相当する。この写
像計算部17のバッファ17aが「雑音減算スペクトラ
ム記憶手段」に相当する。
【0072】また、音声認識装置20の判定部26が
「認識手段」及び「教師スペクトラム出力手段」に相当
し、この判定部26のバッファ26aが「教師スペクト
ラム記憶手段」に相当する。以上、本発明はこのような
実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨
を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
【0073】(1)例えば、上記実施形態においては、
写像計算部17からの出力であるパワースペクトラムP
SRCNN(f,t)を音声認識装置20の逆フーリエ
変換部21に渡しているが、雑音抑圧装置10側に逆フ
ーリエ変換部を備える構成とし、パワースペクトラムク
リッピング計算部16からの出力であるパワースペクト
ラムPSRC(f,t)を逆フーリエ変換し自己相関係
数化し、その後、写像計算部17において写像計算を行
ってもよい。このように自己相関係数を用いても同様に
歪み低減が実現できると共に、この場合には、後段の音
声認識装置20におけるメモリ容量及び処理負荷の低減
の面で有効である。
【0074】これは、パワースペクトラムの逆フーリエ
変換が自己相関係数になることに着目したものである。
つまり、自己相関係数をC(r,t)、逆フーリエ変換
をF -1とすると、パワースペクトラムP(f,t)との
関係は次のようになる。 C(r,t)=F-1[P(f,t)] なお、rは自己相関係数の指数であり、パワースペクト
ラムにおける周波数fに対応する。
【0075】このように、パワースペクトラムと自己相
関係数とは等価であるため、パワースペクトラムを用い
ても自己相関係数を用いても同様の結果、つまり歪みの
低減された出力を得ることができる。そして、上述した
ように雑音抑圧装置10において自己相関係数化を行う
ようにすれば、音声認識装置20には、逆フーリエ変換
部21による処理が必要なくなるため、音声認識装置2
0の処理負荷やメモリ容量の削減を実現できる。
【0076】(2)また、上記実施形態においては、フ
ーリエ変換して得た周波数スペクトラムS(f) の振
幅を2乗したパワースペクトラムPS(f)を用い、同
様に雑音パワースペクトラムPN(f)を用いていた
が、周波数スペクトラムS(f) の振幅成分である振
幅スペクトラムA(f)そのものを用いてもよい。その
場合には、雑音振幅スペクトラムAN(f)を推定し、
音声区間の入力信号に基づいて算出した振幅スペクトラ
ムAS(f)から雑音振幅スペクトラムANAV(f)
に所定のサブトラクト係数を乗じたものを減算すればよ
い。
【0077】但し、自己相関係数C(r,t)は上述し
たようにパワースペクトラムP(f,t)との間で等価
であるため、振幅スペクトラムを用いる場合には、自己
相関係数化はできないため、自己相関係数を用いた場合
のメリットは得られない。しかし、逆に考えれば、雑音
抑圧装置10において自己相関係数化するのは、これを
音声認識装置20へ渡した場合に音声認識装置20にお
ける処理負荷やメモリ容量の削減を実現できるからであ
り、この利点を享受しないのであれば、自己相関係数化
しなくてもよい。
【0078】(3)また、上記実施形態においては、写
像計算部17では、フレーム単位の処理に対応する時間
t毎にパワースペクトラムPSRC(f)の写像を計算
しているが、各周波数f毎に所定期間のパワースペクト
ラムPSRC(t)の写像を計算してもよい。なお、
(1)に示したように、自己相関係数化した場合には、
フレーム単位の処理に対応する時間t毎に自己相関係数
CSS(r)の写像を計算してもよいし、各指数r毎に
所定期間の自己相関係数CSS(t)の写像を計算して
もよい。
【0079】(4)さらにまた、上記実施形態において
は、音声認識装置20の判定部26による認識結果の正
誤判定を外部から入力される確認信号に基づいて行う構
成であった。すなわち、認識結果をスピーカ43から合
成音声として出力し、発声者自身に確認させ、認識結果
が正しい場合に発声者が確認スイッチを押下することに
よって入力される確認信号に基づいて判定していた。
【0080】これに対して、例えば判定部26が、各認
識対象語彙に対し照合部25で計算した類似度を比較
し、最も高い類似度と次に高い類似度との差が所定値以
上である場合に、認識が正しいと判定するように構成し
てもよい。例えばA,B,Cの3つの認識対象語彙があ
る場合、語彙A,B,Cのそれぞれの類似度が90パー
セント、20パーセント、30パーセントというような
ときは、語彙Aという認識結果が正しい可能性が高い
が、語彙A,B,Cのそれぞれの類似度が、50パーセ
ント、45パーセント、40パーセントである場合に
は、語彙Aという認識結果が正しい可能性は低くなるか
らである。このように判定部26が、認識結果の正誤判
定を行うようにすれば、上述したように発声者自身が認
識結果の正誤判定を行う必要がなくなるため便利であ
る。
【0081】(5)また、上記実施形態においては、音
声を入力させる期間を発声者自身が指定するために設け
られたPTTスイッチを用い、利用者がPTTスイッチ
を押しながら音声を入力すると、そのPTTスイッチが
押されている間を音声区間とみなすようにしたが、実際
の入力信号に基づいて音声区間と雑音区間を判定するよ
うにしてもよい。例えば、入力信号のパワーに基づいて
判定することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の音声認識システムの概略
構成を示すブロック図である。
【図2】 従来の音声認識システムの概要を示す説明図
である。
【符号の説明】
10…雑音抑圧装置 11…音声入力部 12…入力音
声切り出し部 13…フレームパワースペクトル計算部 14…雑音パワースペクトラム推定部 15…雑音パワースペクトラム減算部 16…パワースペクトラムクリッピング計算部 17…写像計算部 17a…バッ
ファ 18…学習制御部 20…音声認識装置 21…逆フーリエ変換部 22…LPC
分析部 23…ケプストラム計算部 24…標準パ
ターン格納部 25…照合部 26…判定部 26a…バッファ 30…マイク 41…音声合
成部 42…音声出力部 43…スピー
カ 200…音声認識システム 201…マイ
ク 203…雑音抑圧装置 204…音声
認識装置 205…PTTスイッチ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号を所定の処理時間毎にフレーム
    信号として切り出すフレーム分割手段と、前記フレーム
    信号からスペクトラムを算出するスペクトラム算出手段
    と、前記入力信号に音声が含まれている音声区間と前記
    音声が含まれていない雑音区間とを判定する判定手段
    と、該判定手段によって判定された前記雑音区間の入力
    信号に基づいて算出した前記スペクトラムを用いて雑音
    スペクトラムを推定する雑音スペクトラム推定手段と、
    前記音声区間の入力信号に基づいて算出した前記スペク
    トラムから、前記雑音スペクトラム推定手段によって推
    定された前記雑音スペクトラムに所定のサブトラクト係
    数を乗じたものを減算する減算手段と、該減算手段によ
    る減算結果のマイナスとなった部分をクリッピングして
    ゼロ又は相対的に小さな正の定数とした雑音減算スペク
    トラムを算出するクリッピング手段とを有する雑音抑圧
    装置と、 前記雑音抑圧装置からの出力を、予め記憶されている複
    数の比較対象パターン候補と比較して一致度合の高いも
    のを認識結果とする認識手段を有した音声認識装置とを
    備える音声認識システムにおいて、 前記音声認識装置は、さらに、 前記各比較対象パターン候補に対応して用意された雑音
    の含まれない教師スペクトラムを記憶した教師スペクト
    ラム記憶手段と、 前記認識手段による認識結果に対応する教師スペクトラ
    ムを前記雑音抑圧装置へ出力する教師スペクトラム出力
    手段とを有し、 一方、前記雑音抑圧装置は、さらに、 前記クリッピング手段によって算出された雑音減算スペ
    クトラムを記憶するための雑音減算スペクトラム記憶手
    段と、 前記クリッピング手段によって算出された雑音減算スペ
    クトラムを前記クリッピングによる歪みを低減したスペ
    クトラムへ写像することが可能な神経回路網モデルを用
    いて、前記雑音減算スペクトラムの写像を計算する写像
    計算手段と、 前記音声認識装置の認識手段による認識結果が正しい場
    合には、前記写像計算手段からの出力に対応して前記音
    声認識装置から出力される教師スペクトラムを前記写像
    計算手段を構成する神経回路網の教師出力とし、前記雑
    音減算スペクトラム記憶手段に記憶され、前記教師スペ
    クトラムに対応する雑音減算スペクトラムを前記神経回
    路網の入力として、前記神経回路網のパラメータを調整
    する学習制御手段とを有したことを特徴とする音声認識
    システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の音声認識システムにお
    いて、 前記スペクトラムは、フレーム信号をフーリエ変換して
    得られる周波数スペクトルの振幅成分である振幅スペク
    トラムであることを特徴とする音声認識システム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の音声認識システムにお
    いて、 前記スペクトラムは、フレーム信号をフーリエ変換して
    得られる周波数スペクトラムの振幅成分である振幅スペ
    クトラムを2乗して得たパワースペクトラムであること
    を特徴とする音声認識システム。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の音声認識システムにお
    いて、 さらに、前記クリッピング手段によって算出された雑音
    減算スペクトラムに基づいて自己相関係数を算出する自
    己相関係数算出手段を備え、 前記写像計算手段は、前記自己相関係数算出手段によっ
    て算出された自己相関係数を、前記クリッピングによる
    歪みを低減した自己相関係数へ写像することが可能な神
    経回路網モデルを用いて構成されていることを特徴とす
    る音声認識システム。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の音声
    認識システムにおいて、 前記写像計算手段は、フィードフォワード型神経回路モ
    デルを用いて構成されていることを特徴とする音声認識
    システム。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の音声
    認識システムにおいて、 前記認識手段による認識結果を報知し、当該報知に対応
    して外部から入力される確認信号に基づき、当該認識結
    果が正しいか否かを判断するよう構成されていることを
    特徴とする音声認識システム。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかに記載の音声
    認識システムにおいて、 前記認識手段によって一致度合が高いと判断されたパタ
    ーンの一致度合と、他の比較対象パターン候補の一致度
    合とに所定値以上の差がある場合、前記認識手段による
    認識結果が正しいと判断するよう構成されていることを
    特徴とする音声認識システム。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の音声
    認識システムにおいて、 前記判定手段は、前記入力信号のパワーに基づいて前記
    音声区間及び雑音区間を判定するよう構成されているこ
    とを特徴とする音声認識システム。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至7のいずれかに記載の音声
    認識システムにおいて、 前記雑音抑圧装置は、 さらに、音声を入力させる期間を発声者自身が指定する
    ために設けられた入力期間指定手段を備え、 前記判定手段は、前記入力期間指定手段によって指定さ
    れた入力期間を前記音声区間として判定するよう構成さ
    れていることを特徴とする音声認識システム。
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