JPH1132777A - タンパク分解酵素阻害剤およびその製造法 - Google Patents
タンパク分解酵素阻害剤およびその製造法Info
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- JPH1132777A JPH1132777A JP9212701A JP21270197A JPH1132777A JP H1132777 A JPH1132777 A JP H1132777A JP 9212701 A JP9212701 A JP 9212701A JP 21270197 A JP21270197 A JP 21270197A JP H1132777 A JPH1132777 A JP H1132777A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】タンパク分解酵素阻害タンパク質の餌領域
のペプチド配列の一部を改変したタンパク分解酵素阻害
タンパク質。 【効果】従来適当な阻害剤がなかったタンパク分解酵素
に対して新たな阻害剤を提供することができる。
のペプチド配列の一部を改変したタンパク分解酵素阻害
タンパク質。 【効果】従来適当な阻害剤がなかったタンパク分解酵素
に対して新たな阻害剤を提供することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、阻害することを
目的とするタンパク分解酵素が分解する能力を有するペ
プチド配列を、タンパク分解酵素阻害性タンパク質のBa
it region(餌領域)に遺伝子工学的手法によって導入
し、しかる後に組換生産することによって得られる新規
なタンパク分解酵素阻害物質に関する。
目的とするタンパク分解酵素が分解する能力を有するペ
プチド配列を、タンパク分解酵素阻害性タンパク質のBa
it region(餌領域)に遺伝子工学的手法によって導入
し、しかる後に組換生産することによって得られる新規
なタンパク分解酵素阻害物質に関する。
【0002】
【従来の技術】生体機能を維持する上で、治療薬とし
て、タンパク質分解酵素の製造行程における分離剤ある
いは補助剤として、また試薬として、不可欠なタンパク
分解酵素阻害物質には従来以下のようなものがある。
て、タンパク質分解酵素の製造行程における分離剤ある
いは補助剤として、また試薬として、不可欠なタンパク
分解酵素阻害物質には従来以下のようなものがある。
【0003】即ち生体内には自己の生産するタンパク分
解酵素が過剰に作用することを防ぐ機能を有するさまざ
まなタンパク分解酵素阻害物質があり、アンチトロンビ
ン、α1アンチトリプシン、α2マクログロブリン、組
織プロテアーゼ阻害物質等はそれらを代表するものであ
る。また多くの生物は、外敵とする微生物等のタンパク
質分解酵素を介する攻撃から身を守るために、さまざま
なタンパク分解酵素阻害物質を生産しており、それらに
は卵白由来のオボマクログロブリン、微生物由来のペプ
スタチン、ロイペプチン等が含まれる。
解酵素が過剰に作用することを防ぐ機能を有するさまざ
まなタンパク分解酵素阻害物質があり、アンチトロンビ
ン、α1アンチトリプシン、α2マクログロブリン、組
織プロテアーゼ阻害物質等はそれらを代表するものであ
る。また多くの生物は、外敵とする微生物等のタンパク
質分解酵素を介する攻撃から身を守るために、さまざま
なタンパク分解酵素阻害物質を生産しており、それらに
は卵白由来のオボマクログロブリン、微生物由来のペプ
スタチン、ロイペプチン等が含まれる。
【0004】これらタンパク分解酵素阻害物質は、医薬
品製造業ならびに酵素工業において極めて重要な原料と
なってきた。すなわちすでに1930年に牛の臓器から
発見されたペプチド性タンパク分解酵素阻害物質である
トラジロールは急性循環不全の治療薬(アプロチニン)
として現在に至るまで長く使用され、ほかにアンチトロ
ンビンIII(DIC治療薬)、ウリナスタチン(膵炎なら
びに急性循環不全治療薬)、メシル酸ガベキセート(膵
炎ならびにDIC治療薬)等が極めて多数の医薬品とし
て製造されているのが現状である。さらに最近にはHI
V治療薬ならびに癌の治療薬としてタンパク分解酵素阻
害物質が注目されていることはゆうまでもない。またタ
ンパク分解酵素阻害物質はタンパク分解酵素の製造行程
における自己消化防御、あるいはアフィニティー精製等
の目的でも工業的に有用であり、さらにはタンパク分解
酵素の特性解析等のための試薬としても不可欠な存在で
ある。
品製造業ならびに酵素工業において極めて重要な原料と
なってきた。すなわちすでに1930年に牛の臓器から
発見されたペプチド性タンパク分解酵素阻害物質である
トラジロールは急性循環不全の治療薬(アプロチニン)
として現在に至るまで長く使用され、ほかにアンチトロ
ンビンIII(DIC治療薬)、ウリナスタチン(膵炎なら
びに急性循環不全治療薬)、メシル酸ガベキセート(膵
炎ならびにDIC治療薬)等が極めて多数の医薬品とし
て製造されているのが現状である。さらに最近にはHI
V治療薬ならびに癌の治療薬としてタンパク分解酵素阻
害物質が注目されていることはゆうまでもない。またタ
ンパク分解酵素阻害物質はタンパク分解酵素の製造行程
における自己消化防御、あるいはアフィニティー精製等
の目的でも工業的に有用であり、さらにはタンパク分解
酵素の特性解析等のための試薬としても不可欠な存在で
ある。
【0005】タンパク分解酵素阻害物質は従来、生体物
質あるいは微生物生産物質からタンパク分解酵素の阻害
活性を指標として分離、精製されたものである。また一
部についてはそれらの構造の一部を改変したものも含
む。これらタンパク分解酵素阻害物質は多数の成書に紹
介されているが、たとえば医薬品として利用されている
タンパク分解酵素阻害物質で日本において販売が認可さ
れているものについては”日本医薬品集、医療薬編、日
本医薬情報センター編、1996年10月”に全てが記
載されている。また微生物由来のものを含む各種のタン
パク分解酵素阻害物質については”生化学データブック
I、日本生化学会編、東京化学同人社”等に記載されて
いる。
質あるいは微生物生産物質からタンパク分解酵素の阻害
活性を指標として分離、精製されたものである。また一
部についてはそれらの構造の一部を改変したものも含
む。これらタンパク分解酵素阻害物質は多数の成書に紹
介されているが、たとえば医薬品として利用されている
タンパク分解酵素阻害物質で日本において販売が認可さ
れているものについては”日本医薬品集、医療薬編、日
本医薬情報センター編、1996年10月”に全てが記
載されている。また微生物由来のものを含む各種のタン
パク分解酵素阻害物質については”生化学データブック
I、日本生化学会編、東京化学同人社”等に記載されて
いる。
【0006】従来発見され、製造され、また利用されて
きたタンパク分解酵素は、それぞれ特長があるが、その
利用性から見たとき、原理的に可能なすべての利用目的
に合致する物質が入手可能となっているとはいい難い。
すなわち目的とするタンパク分解酵素に対して活性を有
する阻害物質が未だに発見されていなかったり、あるい
は発見されていてもその製造方法が確立していなかった
り、またさらに発見され、製造方法が確立していても、
たとえば生体に対して毒性がある等の要因のために利用
することができなかったりすることがしばしばある。と
くに医薬品としての使用を念頭に置くとき、効果的なタ
ンパク分解酵素阻害物質でありながら、その毒性あるい
は副作用のために使用できなかったケースは少なくな
い。
きたタンパク分解酵素は、それぞれ特長があるが、その
利用性から見たとき、原理的に可能なすべての利用目的
に合致する物質が入手可能となっているとはいい難い。
すなわち目的とするタンパク分解酵素に対して活性を有
する阻害物質が未だに発見されていなかったり、あるい
は発見されていてもその製造方法が確立していなかった
り、またさらに発見され、製造方法が確立していても、
たとえば生体に対して毒性がある等の要因のために利用
することができなかったりすることがしばしばある。と
くに医薬品としての使用を念頭に置くとき、効果的なタ
ンパク分解酵素阻害物質でありながら、その毒性あるい
は副作用のために使用できなかったケースは少なくな
い。
【0007】一方、生体内にはα2-マクログロブリン、
ならびにそのファミリー物質であるプレグナンシーゾー
ンプロテイン(PZP)、α1-マクログロブリン等、天然の
タンパク分解酵素阻害活性を有するタンパク質がある。
これら一群のタンパク質は、タンパク分解酵素に対して
かなり廣い基質特異性を有し、生体内でタンパク分解酵
素の過剰な作用を抑制制御している。これらα2-マクロ
グロブリンファミリーのタンパク質は生体由来であるた
めに、外部から与えた場合に起きるかも知れない障害性
も極めて少ないものと推察される。
ならびにそのファミリー物質であるプレグナンシーゾー
ンプロテイン(PZP)、α1-マクログロブリン等、天然の
タンパク分解酵素阻害活性を有するタンパク質がある。
これら一群のタンパク質は、タンパク分解酵素に対して
かなり廣い基質特異性を有し、生体内でタンパク分解酵
素の過剰な作用を抑制制御している。これらα2-マクロ
グロブリンファミリーのタンパク質は生体由来であるた
めに、外部から与えた場合に起きるかも知れない障害性
も極めて少ないものと推察される。
【0008】ヒトのα2-マクログロブリン(hα2
M)を例にとって、そのタンパク分解酵素阻害の機構を
今少し詳述すれば以下の通りである。すなわちhα2M
は分子量18万の同じザフユニット4個よりなる分子量
約72万の4量体糖タンパク質で、肝により合成され、
血液中に3mg/ml程度含有される。hα2Mは極めて多
種のプロテアーゼの活性を阻害する能力を有し、それら
にはプロテアーゼの全ての群、すなわちセリンプロテア
ーゼ、システインプロテアーゼ、金属プロテアーゼ、な
らびにアスパラギン酸プロテアーゼを含んでいる。hα
2Mのそれぞれのサブユニットにはbait regi
on(餌領域)とよばれる各種のタンパク分解酵素に切
断されやすい配列を含んだペプチド領域と、別にペプチ
ド鎖の側鎖をチオールエステル結合で環状に結んだチオ
ールエステル結合部位がある。ここであるタンパク分解
酵素が餌領域のペプチドを切断すると、hα2Mの別の
領域にあるチオールエステル結合部位が自動的に切断さ
れ、4量体のhα2Mがその立体構造を大きく変化させ
て、餌領域を切断したタンパク分解酵素を罠に取り込む
ように囲み、複合体を形成する。hα2Mはトリプシ
ン、キモトリプシン、トロンビン等もともと生体由来の
タンパク分解酵素を阻害するばかりでなく、微生物由来
のタンパク分解酵素である、サーモライシン、ズブチリ
シン、スタフィロコッカスV8、ストレプトミセストリ
プシン等も阻害し(Mortensen,S.B., et al, FEBS lett
ers, 135, 295-300(1981))、炎症時や感染時における生
体防御に大きな役割を負っていることが推察されている
(図1参照)。
M)を例にとって、そのタンパク分解酵素阻害の機構を
今少し詳述すれば以下の通りである。すなわちhα2M
は分子量18万の同じザフユニット4個よりなる分子量
約72万の4量体糖タンパク質で、肝により合成され、
血液中に3mg/ml程度含有される。hα2Mは極めて多
種のプロテアーゼの活性を阻害する能力を有し、それら
にはプロテアーゼの全ての群、すなわちセリンプロテア
ーゼ、システインプロテアーゼ、金属プロテアーゼ、な
らびにアスパラギン酸プロテアーゼを含んでいる。hα
2Mのそれぞれのサブユニットにはbait regi
on(餌領域)とよばれる各種のタンパク分解酵素に切
断されやすい配列を含んだペプチド領域と、別にペプチ
ド鎖の側鎖をチオールエステル結合で環状に結んだチオ
ールエステル結合部位がある。ここであるタンパク分解
酵素が餌領域のペプチドを切断すると、hα2Mの別の
領域にあるチオールエステル結合部位が自動的に切断さ
れ、4量体のhα2Mがその立体構造を大きく変化させ
て、餌領域を切断したタンパク分解酵素を罠に取り込む
ように囲み、複合体を形成する。hα2Mはトリプシ
ン、キモトリプシン、トロンビン等もともと生体由来の
タンパク分解酵素を阻害するばかりでなく、微生物由来
のタンパク分解酵素である、サーモライシン、ズブチリ
シン、スタフィロコッカスV8、ストレプトミセストリ
プシン等も阻害し(Mortensen,S.B., et al, FEBS lett
ers, 135, 295-300(1981))、炎症時や感染時における生
体防御に大きな役割を負っていることが推察されている
(図1参照)。
【0009】さて、このようにして形成された複合体に
はいままで分子内に隠されていたレセプター結合部位が
露出し、レセプター結合部位を露出した複合体は血流に
乗って肝に至り、肝細胞のレセプターに結合し、細胞内
に取り込まれてリソゾームで分解される。哺乳動物は勿
論、hα2Mに構造的にもまた機能的にも類似したタン
パク質は脊椎動物、無脊椎動物を含めて廣く分布し、ま
た個体のなかにも一種類でなく、類似タンパク質が複数
存在するのが普通である。たとえばヒトの妊娠時の血液
中に顕在するプレグナンシーゾーンプロテイン(PZP)は
構造的にもまた機能的にもhα2Mと極めて類似してお
り、さらに補体C3,C4も餌領域とチオールエステル
結合を有する類似タンパク質である。
はいままで分子内に隠されていたレセプター結合部位が
露出し、レセプター結合部位を露出した複合体は血流に
乗って肝に至り、肝細胞のレセプターに結合し、細胞内
に取り込まれてリソゾームで分解される。哺乳動物は勿
論、hα2Mに構造的にもまた機能的にも類似したタン
パク質は脊椎動物、無脊椎動物を含めて廣く分布し、ま
た個体のなかにも一種類でなく、類似タンパク質が複数
存在するのが普通である。たとえばヒトの妊娠時の血液
中に顕在するプレグナンシーゾーンプロテイン(PZP)は
構造的にもまた機能的にもhα2Mと極めて類似してお
り、さらに補体C3,C4も餌領域とチオールエステル
結合を有する類似タンパク質である。
【0010】α−2マクログロブリン、ならびにその類
似タンパク質はこのように生体内でタンパク分解酵素の
過剰な活性を抑制することを通じて極めて重要な働きを
しているものと考えられているが、しかしその阻害活性
はかならずしもオールマイティーなものでない。たとえ
ば外傷から侵入し、組織を浸潤する致死的な感染を引き
起こすClostridium histolyticumは結合組織を分解する
コラゲナーゼを分泌するが、α−2マクログロブリンの
餌領域ペプチドはこのタンパク分解酵素の基質特異性と
遙かにかけはなれたものであるために、分解は極めて遅
く、従ってこのコラゲナーゼの活性を殆ど阻害すること
ができない(Sottrup-Jensen,l., J. Biol. Chem., 264,
393-401(1989))。他にも基質特異性の高い多くのタン
パク分解酵素をα−2マクログロブリンは阻害できない
ことは容易に推察される。たとえばベイト領域の中心部
にはリジンやプロリンが存在しないために、これらのア
ミノ酸のN末あるいはC末側のペプチド結合を特異的に
切断するタンパク分解酵素はα−2マクログロブリンの
阻害を受けないことが推察される。実際、後述するよう
にAchromobactor由来のリジルエンドペプチダーゼはα
−2マクログロブリンによって阻害されない。
似タンパク質はこのように生体内でタンパク分解酵素の
過剰な活性を抑制することを通じて極めて重要な働きを
しているものと考えられているが、しかしその阻害活性
はかならずしもオールマイティーなものでない。たとえ
ば外傷から侵入し、組織を浸潤する致死的な感染を引き
起こすClostridium histolyticumは結合組織を分解する
コラゲナーゼを分泌するが、α−2マクログロブリンの
餌領域ペプチドはこのタンパク分解酵素の基質特異性と
遙かにかけはなれたものであるために、分解は極めて遅
く、従ってこのコラゲナーゼの活性を殆ど阻害すること
ができない(Sottrup-Jensen,l., J. Biol. Chem., 264,
393-401(1989))。他にも基質特異性の高い多くのタン
パク分解酵素をα−2マクログロブリンは阻害できない
ことは容易に推察される。たとえばベイト領域の中心部
にはリジンやプロリンが存在しないために、これらのア
ミノ酸のN末あるいはC末側のペプチド結合を特異的に
切断するタンパク分解酵素はα−2マクログロブリンの
阻害を受けないことが推察される。実際、後述するよう
にAchromobactor由来のリジルエンドペプチダーゼはα
−2マクログロブリンによって阻害されない。
【0011】このようにα2マクログロブリンならびに
その類似タンパク質がタンパク分解酵素阻害物質として
特長ある機能を有するにも関わらず、その基質特異性の
限界のために医薬利用等の利用性が現実性をもって論ぜ
られることなく、現在に至った。
その類似タンパク質がタンパク分解酵素阻害物質として
特長ある機能を有するにも関わらず、その基質特異性の
限界のために医薬利用等の利用性が現実性をもって論ぜ
られることなく、現在に至った。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、目的
とするタンパク分解酵素の基質特異性に合わせて設計し
た餌領域を有し、当該タンパク分解酵素を阻害する活性
を有する新規なタンパク分解酵素阻害タンパク質を提供
することを目的とする。
とするタンパク分解酵素の基質特異性に合わせて設計し
た餌領域を有し、当該タンパク分解酵素を阻害する活性
を有する新規なタンパク分解酵素阻害タンパク質を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者らは、以上にある
ようなα2マクログロブリンならびにその類似タンパク
質のタンパク分解酵素阻害の基質特異性を技術的に解決
するために鋭意工夫を重ね、餌領域のペプチド配列を遺
伝子工学的に改変した変異体を作成、製造し、そのよう
な変異体がタンパク分解酵素阻害物質として異なった基
質特異性を示すことを発見して、本発明に到達した。即
ち、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明
からなる。
ようなα2マクログロブリンならびにその類似タンパク
質のタンパク分解酵素阻害の基質特異性を技術的に解決
するために鋭意工夫を重ね、餌領域のペプチド配列を遺
伝子工学的に改変した変異体を作成、製造し、そのよう
な変異体がタンパク分解酵素阻害物質として異なった基
質特異性を示すことを発見して、本発明に到達した。即
ち、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明
からなる。
【0014】α2-マクログロブリンまたは類似の(餌領
域とチオールエステル結合を有する)タンパク分解酵素
阻害物質に対し、その構成要素の一部である餌領域のペ
プチド構造を遺伝子工学的手法によって変更した変異体
を作成することにより、目的とするタンパク分解酵素に
対して阻害活性を有するタンパク分解酵素阻害活性を得
る。
域とチオールエステル結合を有する)タンパク分解酵素
阻害物質に対し、その構成要素の一部である餌領域のペ
プチド構造を遺伝子工学的手法によって変更した変異体
を作成することにより、目的とするタンパク分解酵素に
対して阻害活性を有するタンパク分解酵素阻害活性を得
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明によるタンパク分解酵素阻
害物質は、たとえば以下のようにして合成される。
害物質は、たとえば以下のようにして合成される。
【0016】.目的とする新規タンパク分解酵素の素
材とする原材料として、餌領域とチオールエステル結合
を有するタンパク分解酵素阻害物質(ProtoX)を選択す
る。ProtoXとしてはたとえばhα2Mが選択できるが、
当業者であれば当然推察がつくような他の物質で行うこ
とも当然本発明に含まれる。ProtoXの多数についてすで
にcDNA配列は決定されているので、これらについては既
知の配列を利用してcDNAを分離すればよい(Kan. C-C.,
et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 82, 2282-2286(198
5))。
材とする原材料として、餌領域とチオールエステル結合
を有するタンパク分解酵素阻害物質(ProtoX)を選択す
る。ProtoXとしてはたとえばhα2Mが選択できるが、
当業者であれば当然推察がつくような他の物質で行うこ
とも当然本発明に含まれる。ProtoXの多数についてすで
にcDNA配列は決定されているので、これらについては既
知の配列を利用してcDNAを分離すればよい(Kan. C-C.,
et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 82, 2282-2286(198
5))。
【0017】.ProtoXのcDNAを単離し、その配列構造
を決定し、餌領域の配列を割り出す。餌領域とチオール
エステル結合を有するタンパク分解酵素の多数のものに
ついて、すでに餌領域の配列は決定されており、これら
については既知の配列を利用すればよい(Isaac, L and
Isenman, D.E., J. Biol. Chem., 267, 10062-10069(19
92))。
を決定し、餌領域の配列を割り出す。餌領域とチオール
エステル結合を有するタンパク分解酵素の多数のものに
ついて、すでに餌領域の配列は決定されており、これら
については既知の配列を利用すればよい(Isaac, L and
Isenman, D.E., J. Biol. Chem., 267, 10062-10069(19
92))。
【0018】.目的とするタンパク分解酵素の基質特
異性に合ったペプチド配列が餌領域内に実現するように
塩基配列を変更したcDNAを設計し、遺伝子工学的な
手法を用いて餌領域の塩基配列を変更したcDNA(X
cDNA)を得る。
異性に合ったペプチド配列が餌領域内に実現するように
塩基配列を変更したcDNAを設計し、遺伝子工学的な
手法を用いて餌領域の塩基配列を変更したcDNA(X
cDNA)を得る。
【0019】.変更した塩基配列を有するcDNAを
組み込んだ組換え発現系を構築し、宿主細胞に組み込ん
で、転写、翻訳させ、変異型のタンパク分解酵素阻害物
質(X)を得る。
組み込んだ組換え発現系を構築し、宿主細胞に組み込ん
で、転写、翻訳させ、変異型のタンパク分解酵素阻害物
質(X)を得る。
【0020】上記のようにして得た新規タンパク分解酵
素阻害物質(X)は以下のように作用する。 餌領域
のペプチド配列は、目的とするタンパク分解酵素(P)
の基質となるように設計されているので、目的とするタ
ンパク分解酵素の作用を受けた場合に餌領域が開裂す
る。
素阻害物質(X)は以下のように作用する。 餌領域
のペプチド配列は、目的とするタンパク分解酵素(P)
の基質となるように設計されているので、目的とするタ
ンパク分解酵素の作用を受けた場合に餌領域が開裂す
る。
【0021】 餌領域が開裂したX(X’)は、チオ
ールエステル結合部位その他の部位が原タンパク分解酵
素阻害物質(ProtoX)と同様に構成されているので、チ
オールエステル結合が切断される(X”)。
ールエステル結合部位その他の部位が原タンパク分解酵
素阻害物質(ProtoX)と同様に構成されているので、チ
オールエステル結合が切断される(X”)。
【0022】 チオールエステル結合が切断されたX
(すなわちX”)は、ProtoXがすると同様に目的とする
タンパク分解酵素(P)を取り囲むように複合体(たと
えばをPX"4)を形成し、Pの活性を阻害する。
(すなわちX”)は、ProtoXがすると同様に目的とする
タンパク分解酵素(P)を取り囲むように複合体(たと
えばをPX"4)を形成し、Pの活性を阻害する。
【0023】 さらに複合体においては、ProtoXが形
成した複合体の場合と同様にレセプター結合部位が露出
する。
成した複合体の場合と同様にレセプター結合部位が露出
する。
【0024】 レセプター結合部位が露出した複合体
は、血流によって肝に運ばれ、肝細胞の受容体に結合し
て細胞内に取り込まれ、リソゾームにおいて分解され
る。
は、血流によって肝に運ばれ、肝細胞の受容体に結合し
て細胞内に取り込まれ、リソゾームにおいて分解され
る。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を記載するが、本発明
はこれらの実施例に限定されない。
はこれらの実施例に限定されない。
【0026】実施例1 ヒトα2マクログロブリンcD
NA(hα2McDNA)クローンの分離 ヒト肝癌由来培養細胞株Hep−G2(ATCC)よりhα2
McDNAクローンを分離した。すでにHepG2細胞
はヒトα2マクログロブリン(hα2M)を分泌してい
ることが知られており、またそのcDNAの配列も決定
されている(Kan, C-C., et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i., 82, 2282-2286(1985), Boel, E., et al., Biochem
istry, 29, 4081-4087(1990))。そこで知られたcDN
A配列の小部分を合成し、これらをプライマーとしてH
ep−G2細胞から得られたmRNAをRT−PCRす
ることによってhα2McDNAの配列の大断片を得
た。これら大断片をプローブとして使用することによ
り、Hep−G2細胞由来mRNAを鋳型にして作製し
たcDNAライブラリーからhα2McDNAをクロー
ニングした。得られた複数のクローンから完全長(約
4.6Kb)のものを再構成し、塩基配列を決定した。
NA(hα2McDNA)クローンの分離 ヒト肝癌由来培養細胞株Hep−G2(ATCC)よりhα2
McDNAクローンを分離した。すでにHepG2細胞
はヒトα2マクログロブリン(hα2M)を分泌してい
ることが知られており、またそのcDNAの配列も決定
されている(Kan, C-C., et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i., 82, 2282-2286(1985), Boel, E., et al., Biochem
istry, 29, 4081-4087(1990))。そこで知られたcDN
A配列の小部分を合成し、これらをプライマーとしてH
ep−G2細胞から得られたmRNAをRT−PCRす
ることによってhα2McDNAの配列の大断片を得
た。これら大断片をプローブとして使用することによ
り、Hep−G2細胞由来mRNAを鋳型にして作製し
たcDNAライブラリーからhα2McDNAをクロー
ニングした。得られた複数のクローンから完全長(約
4.6Kb)のものを再構成し、塩基配列を決定した。
【0027】ここで使用したDNA断片の合成法、RT
−PCR法、cDNAライブラリーの作成法、塩基配列
の決定法、ならびにPCR法による完全長配列の選択に
ついては、常法に従って行った(Molecular Cloning, Ma
nitis, T., et al., Cold Spring harbor Laborator
y)。
−PCR法、cDNAライブラリーの作成法、塩基配列
の決定法、ならびにPCR法による完全長配列の選択に
ついては、常法に従って行った(Molecular Cloning, Ma
nitis, T., et al., Cold Spring harbor Laborator
y)。
【0028】実施例2 野生型hα2M生産組換CHO
細胞の構築 持続的に野生型hα2MをCHO細胞に生産させるため
に、pcDLsRα△−neo△11発現ベクター(Tak
ebe, Y., et al., Mol. Cell. Biol., 8, 466-472(198
8), Noda, A., et al., Exp. Cell. Res., 211, 92-98
(1994))に野生型hα2McDNAを導入した(pcD
LsRα△−neo△11/α2M)。このようにして
構築したpcDLsRα△−neo△11/α2MのD
NAを大量調製し、CHO細胞へ燐酸カルシウム法によ
って遺伝子導入した。さらに遺伝子導入した細胞から野
生型hα2Mを生産する細胞クローンを分離した。ここ
でα2M生産はEIA法によって測定した。発現ベクタ
ーの構築法、プラスミドの増殖ならびにDNA分離、遺
伝子導入法、組換細胞クローンの分離法、ならびに生産
されるhα2M量のEIA法による定量は常法に従って
行った。
細胞の構築 持続的に野生型hα2MをCHO細胞に生産させるため
に、pcDLsRα△−neo△11発現ベクター(Tak
ebe, Y., et al., Mol. Cell. Biol., 8, 466-472(198
8), Noda, A., et al., Exp. Cell. Res., 211, 92-98
(1994))に野生型hα2McDNAを導入した(pcD
LsRα△−neo△11/α2M)。このようにして
構築したpcDLsRα△−neo△11/α2MのD
NAを大量調製し、CHO細胞へ燐酸カルシウム法によ
って遺伝子導入した。さらに遺伝子導入した細胞から野
生型hα2Mを生産する細胞クローンを分離した。ここ
でα2M生産はEIA法によって測定した。発現ベクタ
ーの構築法、プラスミドの増殖ならびにDNA分離、遺
伝子導入法、組換細胞クローンの分離法、ならびに生産
されるhα2M量のEIA法による定量は常法に従って
行った。
【0029】実施例3 野生型hα2Mの組換生産 野生型hα2M組換CHO細胞は10%牛胎児血清を含
むEagleのMEM培地(非必須アミノ酸100μM添加、GIBC
O BRL社製)、150cm2のフラスコを用いて静置培養して増
殖させた。さらに細胞を1750cm2のローラーボトルに播
種し、血清添加培地で2日間ローラー培養した後、PS
Bで2回洗浄し、無血清培地(SFM-II、Gibco BRL社)
中でさらに2日間無血清培養した。このようにして4.8l
の無血清培養液を回収した。
むEagleのMEM培地(非必須アミノ酸100μM添加、GIBC
O BRL社製)、150cm2のフラスコを用いて静置培養して増
殖させた。さらに細胞を1750cm2のローラーボトルに播
種し、血清添加培地で2日間ローラー培養した後、PS
Bで2回洗浄し、無血清培地(SFM-II、Gibco BRL社)
中でさらに2日間無血清培養した。このようにして4.8l
の無血清培養液を回収した。
【0030】培養上清からの野生型hα2Mの精製は亜
鉛クロマトグラフィー法(ChelatingSepharose FF,ファ
ルマシア社製)、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sepharos
e CL6B,ファルマシア社製)によって行った。即ち常法に
従い、培養上清のpHを塩酸で6.0に調製し、亜鉛ク
ロマトカラムに負荷した後、pH5.0の溶出液で溶出
させることによって精製した。精製したα2Mは約25
mgであった。精製した野生型組換α2Mを電気泳動
し、ニトロセルロース膜に転写した後、抗体によって染
色することにより、その均一性を確認し、またヒト血漿
より精製したhα2Mならびにウシ血漿からのα2M
(bα2M)とを並列にさまざまな条件で電気泳動的に
比較し、ヒト血漿由来のhα2Mと挙動をともにするこ
とを確認した。さらにN末端解析を行うことにより、ウ
シ型でなく、ヒト型であることを確認した。
鉛クロマトグラフィー法(ChelatingSepharose FF,ファ
ルマシア社製)、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sepharos
e CL6B,ファルマシア社製)によって行った。即ち常法に
従い、培養上清のpHを塩酸で6.0に調製し、亜鉛ク
ロマトカラムに負荷した後、pH5.0の溶出液で溶出
させることによって精製した。精製したα2Mは約25
mgであった。精製した野生型組換α2Mを電気泳動
し、ニトロセルロース膜に転写した後、抗体によって染
色することにより、その均一性を確認し、またヒト血漿
より精製したhα2Mならびにウシ血漿からのα2M
(bα2M)とを並列にさまざまな条件で電気泳動的に
比較し、ヒト血漿由来のhα2Mと挙動をともにするこ
とを確認した。さらにN末端解析を行うことにより、ウ
シ型でなく、ヒト型であることを確認した。
【0031】実施例4 hα2McDNAの餌領域の変
更 変異型のα2Mを得るために、餌領域配列の変更を行っ
た。即ち、さきに野生型hα2McDNAを導入したp
cDLsRα△−neo△11/α2MからKpnIな
らびにPstIによって餌領域を含むDNA断片を切り
出し、この断片をpUC19にサブクローニングした。
断片を導入したpUC19プラスミドDNA上でU.S.E.
Mutagenesis法によって餌領域にある696番目のアル
ギニンをリジンに変えるために塩基配列の2198番−
2200番の5’−CGC−3’を5’−AAA−3’
へ変換した。変換が正しく行われたことを塩基配列によ
って確認し、再度pUC19プラスミドから断片を切り
出して、もとのpcDLsRα△−neo△11ベクタ
ーの餌領域にもどし、再度塩基配列を確認して、プラス
ミドベクターDNAの大量調製を行った。
更 変異型のα2Mを得るために、餌領域配列の変更を行っ
た。即ち、さきに野生型hα2McDNAを導入したp
cDLsRα△−neo△11/α2MからKpnIな
らびにPstIによって餌領域を含むDNA断片を切り
出し、この断片をpUC19にサブクローニングした。
断片を導入したpUC19プラスミドDNA上でU.S.E.
Mutagenesis法によって餌領域にある696番目のアル
ギニンをリジンに変えるために塩基配列の2198番−
2200番の5’−CGC−3’を5’−AAA−3’
へ変換した。変換が正しく行われたことを塩基配列によ
って確認し、再度pUC19プラスミドから断片を切り
出して、もとのpcDLsRα△−neo△11ベクタ
ーの餌領域にもどし、再度塩基配列を確認して、プラス
ミドベクターDNAの大量調製を行った。
【0032】
【図1】
【0033】実施例5 変異型hα2M生産組換CHO
細胞の樹立 変異型hα2M生産組換CHO細胞の樹立は、野生型h
α2M生産組換CHO細胞の構築と同様にして行い変異
型hα2Mを安定に発現している細胞株(K696)を
得た。
細胞の樹立 変異型hα2M生産組換CHO細胞の樹立は、野生型h
α2M生産組換CHO細胞の構築と同様にして行い変異
型hα2Mを安定に発現している細胞株(K696)を
得た。
【0034】実施例6 変異型hα2Mの組換生産 変異型hα2M組換CHO細胞は野生型hα2M組換C
HO細胞と同様に行った。先ず、10%牛胎児血清を含
む培地中で増殖させ、その後ローラーボトルに播種して
血清添加培地で2日間ローラー培養した後、PSBで2
回洗浄し、無血清培地で2日間培養して培養上清を得
た。無血清培養中での非特異的分解を避けるために、ペ
ーファブロック(メルク社)を添加し、5ιの無血清培
養上清を収穫した。
HO細胞と同様に行った。先ず、10%牛胎児血清を含
む培地中で増殖させ、その後ローラーボトルに播種して
血清添加培地で2日間ローラー培養した後、PSBで2
回洗浄し、無血清培地で2日間培養して培養上清を得
た。無血清培養中での非特異的分解を避けるために、ペ
ーファブロック(メルク社)を添加し、5ιの無血清培
養上清を収穫した。
【0035】培養上清からの変異型hα2Mの精製は野
生型hα2Mの場合と同様に亜鉛クロマトグラフィー法
(Chelating Sepharose FF,ファルマシア社製)、ゲル濾
過クロマトグラフィー(Sepharose CL6B,ファルマシア社
製)によって行った。精製したK696型のα2Mは約1
mgであった。
生型hα2Mの場合と同様に亜鉛クロマトグラフィー法
(Chelating Sepharose FF,ファルマシア社製)、ゲル濾
過クロマトグラフィー(Sepharose CL6B,ファルマシア社
製)によって行った。精製したK696型のα2Mは約1
mgであった。
【0036】実施例7 野生型組換hα2M、K696
変異型組換hα2M、ならびにヒト血漿由来野生型hα
2Mの酵素阻害活性の測定 それぞれのタンパク質の酵素阻害活性はハイドアズール
を基質とした色素溶出法(Arakawa, H., et al., J. Bio
l. Chem., 264, 2350-2356(1989))よって、トリプシン
(ブタ膵臓由来、シグマ社製)ならびにAchromobactor ly
ticus由来リシルエンドペプチダーゼ(M-497-1、和光社
製)に対して行った(図2)。反応は酵素濃度(トリプ
シン0.2μg/1.25ml, リシルエンドペプチダーゼ0.28μg
/1.25ml)、PBS中、37℃で行い、色素溶出は波長575nm
で定量した。
変異型組換hα2M、ならびにヒト血漿由来野生型hα
2Mの酵素阻害活性の測定 それぞれのタンパク質の酵素阻害活性はハイドアズール
を基質とした色素溶出法(Arakawa, H., et al., J. Bio
l. Chem., 264, 2350-2356(1989))よって、トリプシン
(ブタ膵臓由来、シグマ社製)ならびにAchromobactor ly
ticus由来リシルエンドペプチダーゼ(M-497-1、和光社
製)に対して行った(図2)。反応は酵素濃度(トリプ
シン0.2μg/1.25ml, リシルエンドペプチダーゼ0.28μg
/1.25ml)、PBS中、37℃で行い、色素溶出は波長575nm
で定量した。
【0037】トリプシン阻害活性で見たとき、上記3種
のhα2Mはいずれもhα2M/プロテアーゼ比2以下
で完全な阻害を示した。この結果から、野生型組換hα
2M、K696変異型組換hα2M酵素ともトリプシン
に対して阻害活性を有することが確認された。この結果
はK696変異型組換hα2Mを含めて3種のhα2M
ともその餌領域にトリプシン感受性の配列を有している
ことから容易に推察される推論を裏付けたものである。
のhα2Mはいずれもhα2M/プロテアーゼ比2以下
で完全な阻害を示した。この結果から、野生型組換hα
2M、K696変異型組換hα2M酵素ともトリプシン
に対して阻害活性を有することが確認された。この結果
はK696変異型組換hα2Mを含めて3種のhα2M
ともその餌領域にトリプシン感受性の配列を有している
ことから容易に推察される推論を裏付けたものである。
【0038】一方、リシルエンドペプチダーゼに対して
は野生型組換hα2MKと696変異型組換hα2Mと
は全くことなった挙動を示した。即ち野生型組換hα2
Mはリシルエンドペプチダーゼを全く阻害しなかったの
に対し、696変異型組換hα2Mは、トリプシンに対
してよりは弱いがしかし顕著な阻害活性を示した。この
結果は、hα2Mのアミノ酸配列上696番目にある餌
領域のアルギニンをリジンに置換したことにより、この
変異型hα2Mの餌領域がリシルエンドペプチダーゼに
よって切断され、その結果チオールエステル領域が開裂
してhα2Mの構造変換を来たし、結果としてリシルエ
ンドペプチダーゼがhα2Mに捕捉されて、その酵素活
性が阻害されるという推論に証拠を与えたものである。
は野生型組換hα2MKと696変異型組換hα2Mと
は全くことなった挙動を示した。即ち野生型組換hα2
Mはリシルエンドペプチダーゼを全く阻害しなかったの
に対し、696変異型組換hα2Mは、トリプシンに対
してよりは弱いがしかし顕著な阻害活性を示した。この
結果は、hα2Mのアミノ酸配列上696番目にある餌
領域のアルギニンをリジンに置換したことにより、この
変異型hα2Mの餌領域がリシルエンドペプチダーゼに
よって切断され、その結果チオールエステル領域が開裂
してhα2Mの構造変換を来たし、結果としてリシルエ
ンドペプチダーゼがhα2Mに捕捉されて、その酵素活
性が阻害されるという推論に証拠を与えたものである。
【0039】
【図2】
【0040】
【発明の効果】本発明にある新規タンパク分解酵素阻害
物質は、目的とするタンパク分解酵素の基質の配列をそ
の餌領域に導入することによって、目的とするタンパク
分解酵素を阻害するように自由に設計することができ、
従来適当な阻害剤がなかったタンパク分解酵素に対して
新たに阻害剤を提供することが可能となる。
物質は、目的とするタンパク分解酵素の基質の配列をそ
の餌領域に導入することによって、目的とするタンパク
分解酵素を阻害するように自由に設計することができ、
従来適当な阻害剤がなかったタンパク分解酵素に対して
新たに阻害剤を提供することが可能となる。
【0041】本発明にある新規タンパク分解酵素阻害物
質は、目的とする動物に由来する原材料を選択すること
により、その動物に投与した場合にも免疫的に排除され
たり、生体内で免疫的な異常反応を引き起こすことがな
く、医薬品として使用できると期待される。
質は、目的とする動物に由来する原材料を選択すること
により、その動物に投与した場合にも免疫的に排除され
たり、生体内で免疫的な異常反応を引き起こすことがな
く、医薬品として使用できると期待される。
【0042】本発明にある新規タンパク分解酵素阻害物
質は、目的とするタンパク分解酵素と結合して複合体を
形成した後、生体内では肝臓に運ばれて分解され、生体
内に長期に残留することによる障害が起きないことが期
待される。
質は、目的とするタンパク分解酵素と結合して複合体を
形成した後、生体内では肝臓に運ばれて分解され、生体
内に長期に残留することによる障害が起きないことが期
待される。
【0043】本発明にある新規タンパク分解酵素阻害物
質は原材料として使用するタンパク分解酵素阻害物質が
阻害するタンパク分解酵素を切断したり失活させること
なく、単に複合体を形成するのみであるので、アフィニ
ティー精製等の方法によるタンパク分解酵素の精製に利
用することが期待される。
質は原材料として使用するタンパク分解酵素阻害物質が
阻害するタンパク分解酵素を切断したり失活させること
なく、単に複合体を形成するのみであるので、アフィニ
ティー精製等の方法によるタンパク分解酵素の精製に利
用することが期待される。
【0044】
【図1】(A)野生型ヒトα2マクログロブリン餌領域
の餌領域(Bait region)のアミノ酸配列を示す。縦線部
位は各種プロテアーゼ、すなわちT(トリプシン),SG
T(ストレプトミセストリプシン),PA(パパイン),E
(エラスターゼ),CS(キモシン),CT(キモトリプシ
ン),SP(スタフィロコッカスV8),PL(プラスミ
ン),TH(トロンビン),TL(サーモライシン),S(ズ
ブチリシ)、およびSGB(ストレプトミセスプロテアー
ゼB)の作用部位を示す。(B)変異型ヒトα2マクロ
グロブリン餌領域の餌領域(Bait region)のアミノ酸配
列を示す。
の餌領域(Bait region)のアミノ酸配列を示す。縦線部
位は各種プロテアーゼ、すなわちT(トリプシン),SG
T(ストレプトミセストリプシン),PA(パパイン),E
(エラスターゼ),CS(キモシン),CT(キモトリプシ
ン),SP(スタフィロコッカスV8),PL(プラスミ
ン),TH(トロンビン),TL(サーモライシン),S(ズ
ブチリシ)、およびSGB(ストレプトミセスプロテアー
ゼB)の作用部位を示す。(B)変異型ヒトα2マクロ
グロブリン餌領域の餌領域(Bait region)のアミノ酸配
列を示す。
【図2】血漿由来ヒトα2マクログロブリン、野生型組
換ヒトα2マクログロブリン、および696K変異型ヒ
トα2マクログロブリンのトリプシンおよび、リジルエ
ンドペプチダーゼに対する阻害活性を示す図である。
換ヒトα2マクログロブリン、および696K変異型ヒ
トα2マクログロブリンのトリプシンおよび、リジルエ
ンドペプチダーゼに対する阻害活性を示す図である。
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 タンパク分解酵素阻害剤およびその
製造法
製造法
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 9/98 C12N 5/00 B //(C12N 9/50 C12R 1:91) (C12N 9/98 C12R 1:91)
Claims (3)
- 【請求項1】タンパク分解酵素阻害タンパク質の餌領域
(Bait region)のペプチド配列の一部を改変した新規な
タンパク分解酵素阻害タンパク質。 - 【請求項2】餌領域のペプチド配列が、α2-マクログロ
ブリン、α1-マクログロブリン、あるいはプレグナンシ
ーゾーンプロテイン(PZP)由来である請求項1記載
の新規なタンパク分解酵素阻害タンパク質。 - 【請求項3】図1(B)のアミノ酸配列で示される餌領
域を有する請求項1記載の新規なタンパク分解酵素阻害
タンパク質。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9212701A JPH1132777A (ja) | 1997-07-24 | 1997-07-24 | タンパク分解酵素阻害剤およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9212701A JPH1132777A (ja) | 1997-07-24 | 1997-07-24 | タンパク分解酵素阻害剤およびその製造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1132777A true JPH1132777A (ja) | 1999-02-09 |
Family
ID=16627006
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9212701A Pending JPH1132777A (ja) | 1997-07-24 | 1997-07-24 | タンパク分解酵素阻害剤およびその製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1132777A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2017062238A1 (en) * | 2015-10-05 | 2017-04-13 | Mitz Howard | Compositions and methods for diagnosing and treating intellectual disabilities |
-
1997
- 1997-07-24 JP JP9212701A patent/JPH1132777A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2017062238A1 (en) * | 2015-10-05 | 2017-04-13 | Mitz Howard | Compositions and methods for diagnosing and treating intellectual disabilities |
| EP4154943A1 (en) * | 2015-10-05 | 2023-03-29 | Mitz, Howard | Compositions and methods for diagnosing and treating intellectual disabilities |
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