JPH11341867A - 電動機制御装置および制御方法 - Google Patents

電動機制御装置および制御方法

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JPH11341867A
JPH11341867A JP10166193A JP16619398A JPH11341867A JP H11341867 A JPH11341867 A JP H11341867A JP 10166193 A JP10166193 A JP 10166193A JP 16619398 A JP16619398 A JP 16619398A JP H11341867 A JPH11341867 A JP H11341867A
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voltage
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英治 山田
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P6/00Arrangements for controlling synchronous motors or other dynamo-electric motors using electronic commutation dependent on the rotor position; Electronic commutators therefor
    • H02P6/14Electronic commutators
    • H02P6/16Circuit arrangements for detecting position
    • H02P6/18Circuit arrangements for detecting position without separate position detecting elements
    • H02P6/185Circuit arrangements for detecting position without separate position detecting elements using inductance sensing, e.g. pulse excitation

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  • Power Engineering (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気角をセンサレスで検出する場合、要求ト
ルクの変化があると検出精度が低下することがあった。 【解決手段】 コイルに多相交流を流してロータを回転
させる同期モータの運転を制御する制御装置を次の通り
構成する。コイルに検出用の電圧を印加し、その電圧に
応じて流れる電流に基づいて、ロータの電気角をセンサ
レスで検出可能な電気角検出部を用意する。また要求ト
ルクに応じてコイルにトルク出力用の電圧を印加するト
ルク制御部を用意する。制限部により両者の実行タイミ
ングを調整して、トルク制御部による電流の変化が電気
角検出部の処理に影響を与えないようにする。両者の実
行タイミングを予めスケジューリングしてもよいし、要
求トルクの変動に応じて電気角検出処理の実行を待つよ
うにしてもよい。こうすることによりトルクの変化が生
じても電気角を精度良く検出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気角を検出する
センサを用いることなく同期モータの運転を制御するた
めの電動機制御装置および制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多相交流を巻線に流し、該巻線による磁
界と永久磁石による磁界との相互作用により回転子を回
転させる同期モータで、所望の回転トルクを得るために
は、回転子の位置、即ち電気角に応じて巻線に流す多相
交流を制御する必要がある。従来は、回転子の電気角を
検出するためには、ホール素子等を利用した電気角セン
サが用いられていた。
【0003】これに対し、装置のコストを低減しつつ、
信頼性を向上する等の目的からセンサレスで電気角を検
出するための技術も提案されている。かかる技術として
は、例えば特開平7−177788記載の技術がある。
これは、モータが比較的低速で回転している場合におい
て、モータの巻線間に電圧を印加し、該印加された電圧
に応じて流れる電流の挙動を検出することにより、電気
角を検出するものである。
【0004】具体的に、電気角を検出する手段の一例を
示せば次の通りである。回転子角度に応じて磁気回路中
の磁気抵抗が変化するような、いわゆる突極型の永久磁
石型モータの場合、回転子の電気角によって巻線のイン
ダクタンスが変化し、巻線に電圧を印加した場合の電流
の挙動が変化する。例えば、図9に示す通り、インダク
タンスが大きい程、電圧印加後、所定時間経過した時点
での電流値は小さくなる。両者の間には、理論的に求め
られる関係が存在する。本出願人が提案していた上記電
気角検出装置は、かかる性質に着眼してなされたもので
ある。この電気角検出装置では、インダクタンスと電気
角との関係を予めテーブルとして記憶しておき、巻線に
印加された電圧に応じて流れる電流を検出し、検出され
た電流の挙動からインダクタンスを算出し、そのインダ
クタンスに基づいて上記テーブルを参照して電気角を求
める。上記電気角検出装置において電気角の検出を精度
良く行うためには、印加した電圧と該電圧に応じて流れ
る電流の挙動との関係を正確に把握する必要がある。
【0005】かかる技術によりセンサレスで電気角を検
出する場合には、図9に示す通り、電気角を検出するた
めの検出用電圧を印加していた。モータの巻線には本
来、トルクの出力に関与する電流を流すためのトルク電
圧が印加されている。上記検出用電圧とトルク電圧とは
別個の制御処理により印加されていた。
【0006】両者の印加の制御タイミングを図20に示
す。図20のB1,B2,B3・・・はトルク制御が実
行されるタイミングを示している。なお、実際には電圧
指令値に応じて、区間B1,B2,B3等内に所定のデ
ューティで電圧が印加される。図20では、トルク指令
値が一定であり、モータ電流の実効値はiTで一定値と
なる場合を示している。図20のS1は電気角検出が実
行されるタイミングを示している。電気角検出処理中は
ほとんどの間、検出用の電圧が印加されているため、図
20の区間S1は検出用の電圧の印加期間とほぼ同義で
ある。
【0007】図20に示す通り、トルク制御の方が電気
角の検出処理よりも細かな周期で実行される。電気角検
出処理中でもトルク制御は併せて実行される(図20中
のB5〜B8の処理)。但し、この期間では、トルク指
令値の読み込みは行わず、従前に用いていたトルク指令
値に基づいて電圧を印加するように制御がなされてい
る。従って、検出用電圧が印加されている間は、トルク
を出力するためのトルク電圧は変化せず、トルク電流は
一定の値iTで流れる。検出用電圧をトルク電圧に重畳
して印加するとモータ電流は図20のiSに示すように
変化する。検出用電圧が印加されている間、トルク電流
は一定値であるから、トルク電圧と検出用の電圧とが重
畳して印加された場合でも、検出用電圧に対する電流の
変化iSを検出することにより電気角を検出することが
できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電気角
の検出方法では、トルク電圧の制御と電気角の検出処理
の実行タイミングによっては、電気角を精度よく検出で
きない場合があった。特に、電気角の検出処理を実行す
る直前に要求トルクの変更があった場合に電気角の検出
精度が大きく低下する事象が見いだされた。
【0009】電気角の検出精度が低下すれば、同期モー
タから出力されるトルクが不連続的に変化するなど、電
動機の円滑な運転を損ねる可能性がある。また、円滑な
運転が損なわれた結果、電動機の運転効率が低下するこ
とにもなる。
【0010】本発明は上記課題を解決するためになさ
れ、センサレスで同期モータの運転を制御する制御装置
および制御方法において、要求トルクの変更があった場
合にも電動機を円滑に運転することを可能とする技術を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では
次の構成を採った。本発明の第1の電動機制御装置は、
巻線に流す多相交流を制御することによって、該多相交
流を流した際に該巻線に生じる回転磁界を利用して回転
子を回転させる同期電動機の運転を制御する電動機制御
装置であって、該電動機から出力すべき要求トルクを設
定する要求トルク設定手段と、所定のタイミングにおい
て、前記巻線に検出用電圧を印加し、該印加された電圧
に応じて前記巻線に流れる電流の挙動に基づいて、前記
回転子の電気的な位置を定義する電気角を検出する電気
角検出手段と、前記検出された電気角に基づいて、前記
同期電動機の運転の制御を実行する各タイミングにおけ
る電気角を推定する電気角推定手段と、前記要求トルク
および前記推定された電気角に応じて、巻線に流す多相
交流を制御して、該要求トルクを出力するトルク制御手
段と、前記トルク制御手段と前記電気角検出手段との実
行タイミングを、該トルク制御手段により前記巻線に流
れる電流が前記電気角の検出に与える影響を回避可能な
タイミングに調整する調整手段とを備えることを要旨と
する。
【0012】かかる電動機制御装置によれば、要求トル
クの変動があった場合でも電気角を精度よく検出するこ
とができ、同期モータのトルク制御を適切に行うことが
できる。この結果、同期モータを安定して運転すること
が可能となり、また同期モータの運転効率を向上するこ
とができる。かかる効果を奏するための作用について以
下に説明する。
【0013】まず、上記発明を完成するためには、要求
トルクの変更があった場合に、従来の制御方法によって
電気角を精度よく検出することができなくなる原因を見
極める必要があった。同期モータの電気角をセンサを用
いずに検出する技術は、比較的近年になって研究が開始
された技術である。従って、要求トルクの変更に伴って
電気角の検出精度が低下するという現象自体が報告され
た例はなかった。当然、その原因について言及した文献
等も存在しなかった。
【0014】本発明の発明者はかかる背景に基づき、要
求トルクの変更があった場合のモータ電流の変化につい
て詳細に調べた。要求トルクの変更があった場合のモー
タ電流の変化の様子を図21に示す。図21は図20に
示したトルク制御処理および電気角の検出処理の実行タ
イミングのうち、区間Aの部分を拡大して示したもので
ある。図21に示したトルク制御B4において、要求ト
ルクが増加した場合を考える。
【0015】かかる場合には、モータ電流は変更前の要
求トルクに応じた実効値iT1から変更後の要求トルク
に応じた実効値iT2に移行する。このため、トルク制
御B4において電圧が印加されると、モータ電流は図2
1のi1に示す通り、増加する。ところが、一般にコイ
ルに流れる電流の挙動は、電圧の印加に対してインダク
タンスに応じた遅れを伴って変化する。電気角検出処理
を実行する直前にトルク電圧が変化した場合には、図2
1に示すように電気角の検出処理が開始された時点でト
ルク電圧に応じた電流の変化の過渡期にある可能性があ
る。
【0016】かかる場合に電気角の検出用電圧を印加す
れば、トルク電圧による電流の変化と、検出用電圧によ
る電流の変化とが重ね合わされた電流の変化が生じる。
この結果、モータ電流は、図21のi2に示すように検
出用電圧に応じた電流変化よりも急激な割合で変化す
る。検出用電圧印加中にトルク電圧に応じた電流が目標
値iT2に移行すれば、その後は図21のi3に示すよ
うに検出用電圧に応じた電流変化が生じる。検出用電圧
の印加前後に生じるモータ電流の変化量△idetは、
検出用電圧に応じて生じるモータ電流の変化量△ire
qよりも大きな値となる。検出用電圧の印加中に電流が
目標値iT2に移行しない場合も同様である。かかる原
因によって、コイルのインダクタンスを精度よく検出す
ることができず、電気角の検出精度が低下していたので
ある。
【0017】本発明の電動機制御装置は、かかる分析に
基づきなされたものである。本発明の電動機制御装置に
よれば、調整手段がトルク制御手段と電気角検出手段と
の実行タイミングを調整し、トルク制御手段により巻線
に流れる電流が電気角の検出に影響を与えないようにす
る。この結果、検出用電圧が印加されている間は、該検
出用電圧にのみ応じた電流の変化が生じるため、電気角
を精度よく検出することが可能となる。なお、本明細書
においては、電流値および電圧値は特に断らない限り、
実効値を意味するものとする。
【0018】なお、本発明の電動機制御装置における電
気角検出手段は、電動機が比較的低速で回転している場
合の電気角の検出に適したものである。従って、本発明
の電動機制御装置を電動機が比較的低速回転している場
合にだけ適用するものとしてもよい。
【0019】上記電動機制御装置において、前記調整手
段は、前記トルク制御手段と前記電気角検出手段との実
行タイミングを、電気角の検出手段の実行がトルク制御
手段の実行に先行するように予め設定されたタイミング
とする手段とすることができる。
【0020】こうすれば、トルク制御手段の実行による
電流の変化が電気角検出手段に影響を与えることを回避
することができる。なお、トルク制御手段が電気角検出
手段に影響を与え得るのは、要求トルクの変動に応じて
巻線に流す多相交流が変動する場合である。従って、ト
ルク制御手段のうち多相交流の変動が生じる可能性があ
るものに先行して電気角検出手段を実行するように実行
タイミングを設定すればよい。例えば、トルク制御手段
が所定の回数実行されるごとに要求トルク設定手段で設
定された要求トルクを読み込む場合を考える。かかる場
合には、要求トルクの読み込みを伴って実行されるトル
ク制御手段では多相交流が変動する可能性があり、その
他のトルク制御手段では過渡応答を除けば多相交流の変
動を伴う可能性はない。かかる場合には、要求トルクの
読み込みが行われるトルク制御手段に先行して電気角検
出処理が実行されるように設定すればよい。
【0021】また、上記電動機制御装置において、前記
調整手段は、前記トルク制御手段と前記電気角検出手段
との実行タイミングを、トルク制御手段による前記巻線
への通電の制御がなされてから所定の期間経過した後
に、前記電気角検出手段による電気角の検出を行うよう
に予め設定されたタイミングとする手段とすることがで
きる。
【0022】このように実行タイミングを設定すれば、
トルク制御手段によるトルク制御が実行された後、所定
の期間経過し、巻線に流れる電流が安定してから電気角
検出手段を実行する。従って、トルク制御手段による電
流の変化の影響を受けることなく精度よく電気角を検出
することができる。所定の期間とは、トルク制御により
多相交流の変動が生じた場合に、その変動が電気角の検
出に影響を与えない程度に減衰するまでに要する時間と
して予め設定された時間である。
【0023】この場合にはさらに、前記調整手段におけ
る所定の期間は、前記要求トルク設定手段により設定さ
れた要求トルクの変化率が大きくなるにつれて大きくな
るように予め設定された期間であるものとすることが望
ましい。
【0024】一般に要求トルクの変化率が大きくなる
程、トルク制御手段による多相交流の変動が大きくな
り、その変動が電気角の検出に影響を与えない程度に安
定するまでの時間が長くなる。逆に要求トルクの変化率
が小さい場合には、電気角検出手段の実行を待つ期間も
短くてよい。上述した電動機制御装置のように、電気角
検出処理を実行するまでの所定の期間を、要求トルクの
変化率に応じて設定するものとすれば電気角検出手段の
実行を待つ期間を、要求トルクの変化率に応じた必要最
低限の期間とすることができるため、電気角を精度よく
検出することを可能にしつつ、電動機制御装置の応答性
も確保することができる。
【0025】なお、上記電動機制御装置において、所定
の期間は、要求トルクの変化率が大きくなるにつれて大
きくなるように種々の態様による設定が考えられる。例
えば、要求トルクの変化率がある所定の値以下の場合に
は所定の期間を値0とし、所定の値以上の変化率で要求
トルクが変化したときに所定の期間が0よりも大きい値
となるように設定してもよい。こうすれば、所定の値以
下の変化率で要求トルクが変化した場合には、電気角検
出処理に与える影響が小さいものと見なして、トルク制
御処理に続けて電気角検出処理を実行するようにするこ
ともできる。
【0026】本発明の第1の電動機制御装置において、
前記トルク制御手段により前記巻線に流れる電流の変化
を検出する電流検出手段を備え、前記調整手段は、前記
電気角検出手段の実行タイミングを調整し、前記検出さ
れた電流の変化が所定の値以下である場合に前記電気角
の検出を実行する手段であるものとすることもできる。
【0027】こうすれば、電流検出手段により、トルク
制御手段により多相交流に変化が生じているか否かを検
出し、多相交流の変化が十分に減衰した場合に電気角の
検出を実行することができる。従って、トルク制御手段
による電流の変化の影響を受けることなく電気角を精度
よく検出することが可能となる。
【0028】なお、上記構成による電動機制御装置は、
次に示す2つの態様で適用することが可能である。第1
の態様としては、電流検出手段により所定以上の電流の
変化が生じていると検出された場合には、電気角検出手
段の実行タイミングであってもその実行を抑制する態様
である。こうすれば、精度よく電気角を検出可能なタイ
ミングにおいてのみ電気角検出手段が実行されるように
なる。第2の態様としては、他の方法により電気角検出
手段の実行が制限されている場合において、電流検出手
段により電流の変化が所定以下であると判断された場合
には電気角検出手段の実行を許可するとい態様である。
他の方法により電気角検出手段の実行が制限される場合
としては、例えばトルク制御手段により要求トルクが変
更した後の所定の期間は無条件に電気角検出処理の実行
を禁止するような場合が挙げられる。かかる場合に、第
2の態様により上記電動機制御装置を適用すれば、電流
の変化が所定の値以下となった時点で電気角の検出を実
行することができるため、不必要に電気角の検出を遅ら
せることがない。従って、電気角を精度よく検出しつ
つ、電動機制御装置の応答性も確保することができる。
【0029】本発明の第2の電動機制御装置は、巻線に
流す多相交流を制御することによって、該多相交流を流
した際に該巻線に生じる回転磁界を利用して回転子を回
転させる同期電動機の運転を制御する電動機制御装置で
あって、該電動機から出力すべき要求トルクを設定する
要求トルク設定手段と、所定のタイミングにおいて、前
記巻線に検出用電圧を印加し、該印加された電圧に応じ
て前記巻線に流れる電流の挙動に基づいて、前記回転子
の電気的な位置を定義する電気角を検出する第1の電気
角検出手段と、前記検出された電気角に基づいて、前記
同期電動機の運転の制御を実行する各タイミングにおけ
る電気角を推定する電気角推定手段と、前記要求トルク
および前記推定された電気角に応じて、巻線に印加する
電圧を制御することにより該巻線に流す多相交流を制御
して、該設定された要求トルクを出力するトルク制御手
段と、前記所定のタイミングにおいて、前記トルク制御
手段により前記巻線に流れる電流が前記電気角の検出に
影響を与える場合には、前記電気角検出手段の実行に際
し印加される前記検出用電圧に代えて、前記トルク制御
手段により前記巻線に印加された電圧を用いて前記電気
角の検出を実行する第2の電気角検出手段とを備えるこ
とを要旨とする。
【0030】かかる電動機制御装置では、トルク制御手
段により巻線に流れる電流が前記電気角の検出に影響を
与える場合には、電気角検出手段の実行に際し印加され
る前記検出用電圧に代えて、トルク制御手段により巻線
に印加された電圧を用いて電気角の検出を実行する。ト
ルク制御手段により巻線に流れる電流が前記電気角の検
出に影響を与える場合としては、要求トルクが変動した
場合が挙げられる。要求トルクが変動した場合には、ト
ルク制御手段により巻線に流れる電流が図21のi1に
示すように変化する。このとき、トルク制御処理B4等
において印加された電圧を一種の検出用電圧と見なせ
ば、その電圧に応じて生じる電流の変化i1を検出する
ことにより電気角を検出することが可能となる。こうす
れば、電気角を精度よく検出できる他、トルク制御手段
により電気角の検出が影響を受ける場合に、電気角検出
手段の実行タイミングを変更することなく電気角を検出
することが可能となる。
【0031】なお、要求トルクが変動した場合等、多相
交流を変更する必要が生じた場合には、電流の変化を可
能な限り短い期間で達成するために、電圧を印加する初
期の段階で要求された電流を流すために必要となる電圧
値よりも大きな電圧を印加することが通常である。この
ような大きな電圧が印加される時間は非常に短いもの
の、電圧値が大きいため、電流の変化を十分に検出する
ことができ、電気角を検出することができる。このよう
に短い時間に印加された電圧に基づいて電気角を検出す
るためには、該電圧に応じて電流の変化が十分に生じる
必要がある。
【0032】従って、上記電動機制御装置においては、
前記第2の電気角検出手段は、前記トルク制御手段によ
り前記巻線に流れる電流が前記電気角の検出に影響を与
える場合のうち、前記要求トルクの変化率が所定の値以
上である場合において、前記電気角の検出を実行する手
段であるものとすることが望ましい。
【0033】以上では電動機制御装置としての発明につ
いて説明した。本発明は、また電動機の制御方法として
も成立する。本発明の第1の制御方法は、巻線に流す多
相交流を制御することによって、該多相交流を流した際
に該巻線に生じる回転磁界を利用して回転子を回転させ
る同期電動機の運転を制御する電動機の制御方法であっ
て、(a)該電動機から出力すべき要求トルクを設定す
る工程と、(b)所定のタイミングにおいて、前記巻線
に検出用電圧を印加し、該印加された電圧に応じて前記
巻線に流れる電流の挙動に基づいて、前記回転子の電気
的な位置を定義する電気角を検出する工程と、(c)前
記検出された電気角に基づいて、前記同期電動機の運転
の制御を実行する各タイミングにおける電気角を推定す
る工程と、(d)前記要求トルクおよび前記推定された
電気角に応じて、巻線に流す多相交流を制御して、該設
定された要求トルクを出力する工程と、(e)前記工程
(d)と前記工程(b)との実行タイミングを、該工程
(d)により前記巻線に流れる電流が前記電気角の検出
に与える影響を回避可能なタイミングに調整する工程と
を備えることを要旨とする。
【0034】本発明の第2の制御方法は、巻線に流す多
相交流を制御することによって、該多相交流を流した際
に該巻線に生じる回転磁界を利用して回転子を回転させ
る同期電動機の運転を制御する電動機の制御方法であっ
て、(a)該電動機から出力すべき要求トルクを設定す
る工程と、(b)所定のタイミングにおいて、前記巻線
に検出用電圧を印加し、該印加された電圧に応じて前記
巻線に流れる電流の挙動に基づいて、前記回転子の電気
的な位置を定義する電気角を検出する工程と、(c)前
記検出された電気角に基づいて、前記同期電動機の運転
の制御を実行する各タイミングにおける電気角を推定す
る工程と、(d)前記要求トルクおよび前記推定された
電気角に応じて、巻線に流す多相交流を制御して、該設
定された要求トルクを出力する工程と、(e)前記所定
のタイミングにおいて、前記工程(d)により前記巻線
に流れる電流が前記電気角の検出に影響を与える場合に
は、前記工程(b)の実行に際し印加される前記検出用
電圧に代えて、前記工程(d)により前記巻線に印加さ
れた電圧を用いて前記電気角の検出を実行する工程とを
備えることを要旨とする。
【0035】これらの制御方法により電動機を制御する
ものとすれば、先に電動機制御装置の発明において説明
したのと同様の作用により、要求トルクの変動があった
場合でも電動機の電気角を適切に検出することができ、
適切なトルク制御を実行することができる。この結果、
電動機を安定して運転することが可能となり、また電動
機の運転効率を向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】(1)実施例の構成:以下、本発
明の実施の形態について、実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのソフトウェア構成を
示す説明図である。図示する通り、モータ40の運転を
制御するための電動機制御装置は、要求トルク設定部2
16と、トルク制御部200と、電気角検出部220
と、電気角推定部226と実効タイミング制御部228
とから構成されている。電動機制御装置の制御対象であ
るモータ40は、後述する通り巻回されたコイルに多相
交流を流すことにより回転する同期電動機である。
【0037】電気角検出部220は、検出電圧印加部2
22と電流検出部224とを有している。検出電圧印加
部222は、モータ40の電気角を検出するための検出
用の電圧パルスをモータ40の巻線に印加する。電流検
出部224は印加された検出用の電圧に応じて巻線に流
れる電流を検出する。電気角検出部220は印加された
検出用の電圧パルスおよび検出された電流に基づいてモ
ータ40の電気角を求める。こうして求められた電気角
は電気角推定部226に受け渡される。電気角推定部2
26は検出された電気角およびモータ40の回転数に基
づいて、トルク制御を実行する際に必要となる電気角を
推定し、その電気角をトルク制御部200に受け渡す。
【0038】要求トルク設定部216はモータ40から
出力すべき要求トルクを設定する。要求トルクは要求ト
ルク設定部216内部で算出する場合もあれば、電動機
制御装置の外部から入力された値を要求トルクとして設
定することもある。トルク制御部200は要求トルク設
定部216および電気角推定部226から、要求トルク
およひ電気角の情報を受け取って、モータ40の巻線に
流す電流を制御することにより、モータ40を要求され
た回転数およびトルクで運転する。なお、電気角検出部
220とトルク制御部200の実行タイミングはそれぞ
れ実行タイミング制限部228により制限されている。
実行タイミング制限部228は本発明における制限手段
に相当する。
【0039】電気角検出部220およびトルク制御部2
00を中心としたソフトウェアの詳細な構成を図2に詳
細に示す。最初にトルク制御部200の構成について説
明する。要求トルク設定部216により設定された要求
トルクT*は電流設定部212に受け渡される。電流設
定部212は要求トルクT*に基づいて電流指令値id
*,iq*を設定する。id*はモータ40のいわゆる
d軸電流、iq*はいわゆるq軸電流の指令値を示して
いる。電流指令値の設定は、図示しないマップを参照す
ることにより行われる。
【0040】一方、3相/2相変換部210は、モータ
40のU,V,Wの各相に流れている電流を3相/2相
変換し、d軸に流れている電流idとq軸に流れている
電流iqとを算出する。図1では、U,V,Wの各相に
流れている電流のうちU相の電流iuとV相の電流iv
のみを用いるものとして示した。これは、3相交流の場
合、U,V,W相に流れる電流の合計値は常に値0とな
るため、W相の電流値iwは検出する必要がないからで
ある。3相/2相変換に際しては、電気角推定部226
で推定された電気角が用いられる。
【0041】先に設定された電流指令値id*,iq*
と、実際に流れている電流id,iqとの差分に基づい
てPI制御部202d,202qは、いわゆる比例積分
制御によってそれぞれd軸およびq軸に印加すべき電圧
指令値Vd*,Vq*を設定する。こうして設定された
電圧指令値Vd*,Vq*は2相/3相変換部204に
よりU,V,Wの各相の電圧指令値Vu*,Vv*,V
w*に変換される。相/3相変換に際しても、電気角推
定部226により推定された電気角が用いられる。これ
らの指令値に基づいて、PWM制御部206は各相への
印加電圧を制御するためのスイッチング信号Su,S
v,Swを設定する。このスイッチング信号に基づいた
スイッチングを行うことにより通電部208は各相に電
流を通電する。
【0042】なお、本実施例では、後述する通り、通電
部208として内部にスイッチング素子を備えるインバ
ータを採用しているため、PWM制御部206では通電
部208を駆動するためのスイッチング信号を生成して
いる。これに対し、スイッチング素子を持たない通電部
208を採用する場合には、PWM制御部206を省略
しても構わない。また、電圧指令値Vu*,Vv*,V
w*を実現可能な制御方法であれば、PWM制御に依ら
ずその他の制御方法によるスイッチング信号の生成を行
うものとしても良い。
【0043】次に、電気角検出部220の構成について
説明する。電気角検出部220の構成は、実際にはトル
ク制御部200の構成と一部重複している。電気角検出
部220は検出用電圧の印加信号を出力する。この信号
は、トルク制御部200を構成する2相/3相変換部2
04により設定されたU,V,Wの各相の電圧指令値に
重畳する形で出力される。本実施例では、U相に重畳す
るものとしている。検出用電圧が重畳された電圧は、P
WM制御部206および通電部208によりモータ40
に印加される。結局、モータ40にはトルク出力用の電
圧と、検出用の電圧が重畳して印加されることになる。
これが電気角検出部220に含まれる検出電圧印加部2
22の構成である。
【0044】モータ40の各相に流れる電流はセンサに
より変換され、2相/3相変換を行う前に電気角検出部
220に受け渡される。これが電流検出部224に相当
する。電気角検出部220はこうして検出された電流値
と、先に印加した検出用電圧とに基づいて電気角を算出
する。算出された電気角は電気角推定部226に受け渡
される。電気角推定部226は電気角検出部220によ
り算出された電気角に対し、モータ40の回転に伴う電
気角の変化分を補正してトルク制御に必要となる電気角
を推定する。
【0045】次に、本実施例の電動機制御装置10およ
びモータ40のハードウェア構成を説明する。図3は、
本実施例の電動機制御装置10のハードウェア構成を示
す説明図である。モータ制御装置10は、主に外部から
のトルク指令を受けて三相同期モータ40の三相(U,
V,W相)のモータ電流を制御する制御用ECU10
0、三相同期モータ40のU相電流iu、V相電流iv
を検出する電流センサ102、103、検出された電流
の高周波ノイズを除去するフィルタ106、107、検
出した電流値をディジタルデータに変換する2個のアナ
ログディジタル変換器(ADC)112、113から構
成されている。電気角センサとしては、ホール素子を用
いたものが知られている。
【0046】制御用ECU100の内部には、図示する
ように、算術論理演算を行うマイクロプロセッサ(CP
U)120、このCPU120が行う処理や必要なデー
タを予め記憶したROM122、処理に必要なデータ等
を一時的に読み書きするRAM124、計時を行うクロ
ック126等が設けられており、バスにより相互に接続
されている。このバスには、入力ポート116や出力ポ
ート118も接続されており、CPU120は、これら
のポート116,118を介して、三相同期モータ40
のU,V,Wの各相に流れる電流iu,iv、電気角
θ、回転数Nを読み込むことができる。
【0047】また、制御用ECU100には、別途入力
されるトルク指令に基づいて決定されたモータ40の各
相電流iu,iv,iwが得られるようモータ40の各
コイル間に電圧を印加するインバータ130およびバッ
テリ132が、その出力部に設けられている。CPU1
20からの制御出力Su,Sv,Sw,SDが、このイ
ンバータ130に出力されており、三相同期モータ40
の各コイルに印加される電圧を外部から制御することが
可能となっている。
【0048】本実施例では、インバータ130として、
いわゆるトランジスタインバータを採用している。イン
バータ130はスイッチング素子としてのトランジスタ
が各相に対し2つ一組で設けられている。各相の2つの
トランジスタは一方がバッテリ132のソース側、他方
がシンク側に接続されている。制御用ECU100から
の制御出力Su,Sv,Sw、SDはこれらのトランジ
スタのゲート信号に入力され、各トランジスタのオンオ
フを制御する。但し、各相のシンク側に設けられたトラ
ンジスタにはインバータ素子により制御出力がハイロー
反転されて入力されるようになっている。従って、上記
インバータの各相のトランジスタは通常は、ソース側と
シンク側とが排他的にオンオフするようになっている。
なお、制御信号SDは、全てのトランジスタをオフ状態
にするシャットダウン信号である。
【0049】図3における制御用ECU100が、図1
に示したトルク制御部200,電気角検出部220、要
求トルク設定部216,電気角推定部226、および実
行タイミング制限部228の各機能を果たす部分であ
る。トルク制御部200の構成として図2に示した各ブ
ロックの機能を果たす部分でもある。本実施例では、要
求トルク設定部216は、外部から入力されたトルク指
令値を要求トルクT*として設定する機能を奏するもの
として構成した。また、インバータ130およびバッテ
リ132が通電部208に相当する機能を果たす部分で
ある。
【0050】次に、本実施例の電動機制御装置による制
御対象であるモータ40の構成について説明する。図4
は、モータ40の回転軸を含む断面における断面図であ
る。図5は、回転軸に直交する断面における断面図であ
る。図4に示す通り、この三相同期モータ40は、固定
子30と回転子50とこれらを収納するケース60とか
らなる。回転子50は、外周に永久磁石51ないし54
が貼付されており、その軸中心に設けられた回転軸55
を、ケース60に設けられた軸受61,62により回転
自在に軸支している。
【0051】回転子50は、無方向性電磁鋼板を打ち抜
いて成形した板状回転子57を複数枚積層したものであ
る。この板状回転子57は、図5に示すように、直交す
る位置に4箇所の突極71ないし74を備える。板状回
転子57を積層した後、回転軸55を圧入し、積層した
板状回転子57を仮止めする。この電磁鋼板を素材とす
る板状回転子57は、その表面に絶縁層と接着層が形成
されており、積層後所定温度に加熱され、接着層が溶融
することにより、固定される。
【0052】こうして回転子50を形成した後、回転子
50の外周面であって、突極71ないし74の中間位置
に、永久磁石51ないし54を軸方向に亘って貼付す
る。永久磁石51ないし54は、回転子50の半径方向
に磁化されており、その極性は隣り合う磁石同士が互い
に異なる磁極となっている。例えば、永久磁石51は外
周面がN極であり、その隣の永久磁石52は外周面がS
極となっている。この永久磁石51,52は、回転子5
0を固定子30に組み付けた状態では、板状回転子57
および板状固定子20を貫く磁路Mdを形成する(図5
破線参照)。
【0053】固定子30を構成する板状固定子20は、
板状回転子57と同じく無方向性電磁鋼板の薄板を打ち
抜くことで形成されており、図5に示すように、計12
個のティース22を備える。ティース22間に形成され
たスロット24には、固定子30に回転磁界を発生させ
るコイル32が巻回されている。尚、板状固定子20の
外縁部には、固定用のボルト34を通すボルト孔が設け
られているが、図5では図示を省略してある。
【0054】固定子30は、板状の板状固定子20を積
層し互いに押圧した状態として、接着層を加熱・溶融す
ることで一応固定される。この状態で、コイル32をテ
ィース22に巻回して固定子30を完成した後、これを
ケース60に組み付け、ボルト孔に固定用のボルト34
を通し、これを締め付けて全体を固定する。更に回転子
50をケース60の軸受61,62により回転自在に組
み付けることにより、この三相同期モータ40は完成す
る。
【0055】固定子30のコイル32に回転磁界を発生
するよう励磁電流を流すと、図5に示すように、隣接す
る突極および板状回転子57,板状固定子20を貫く磁
路Mqが形成される。尚、上述した永久磁石51により
形成される磁束が回転子50を、その回転軸中心を通っ
て径方向に貫く軸をd軸と呼び、回転子50の回転面内
において前記d軸に電気的に直交する軸をq軸と呼ぶ。
つまり、d軸およびq軸は回転子50の回転に伴い回転
する軸である。本実施例では、回転子50に貼付された
永久磁石51および53は外周面がN極となっており、
永久磁石52および54は外周面がS極となっているこ
とから、図5に示す通り、幾何学的にはd軸と45度方
向にある軸がq軸となる。
【0056】図6に本実施例の三相同期モータ40の等
価回路を示す。図6に示す通り、三相同期モータ40は
U,V,Wの三相コイルと、回転軸中心回りに回転する
永久磁石を有する等価回路により表される。d軸はこの
等価回路において永久磁石のN極側を正方向として貫く
軸として表され、q軸はd軸に対し幾何学的にも直交し
た軸として表される。また、電気角はU相コイルを貫く
軸とd軸との回転角θとなる。
【0057】(2)運転制御処理:本実施例の電動機制
御装置10によるモータ40の運転制御処理について説
明する。図7は運転制御処理の流れを示すフローチャー
トである。このフローチャートは、制御用ECU100
内のCPU120により周期的に実行されるルーチンで
ある。
【0058】運転制御処理が開始されるとCPU120
は、電気角検出タイミングであるか否かを判定する(ス
テップS100)。本実施例では、後述する通り、トル
ク制御処理が細かな周期で実行され、電気角検出処理は
粗い周期で実行されている。トルク制御処理とは、モー
タ40の要求トルクに応じてコイルに流す電流を設定
し、通電する処理である。本実施例では、モータ40の
運転を円滑に制御するために、電気角検出処理とトルク
制御処理の実行周期に差異を持たせている。モータ40
の運転を制御するためには、モータ40の回転に応じて
インバータのスイッチングを制御し、回転磁界を生じさ
せる必要がある。かかる制御を実行するトルク制御処理
は、モータ40の回転に追随できるように十分細かな周
期で実行する必要がある。トルク制御には電気角が必要
となるが、モータ40の回転数が既知であれば、単位時
間当たりの回転角度が既知となるから、積分により電気
角を推定することができる。
【0059】これに対し、電気角検出処理は、電気角を
検出することにより、積分で求められた電気角の累積誤
差を解消するための処理である。従って、トルク制御よ
りも粗い周期で実行しても構わない。もちろん、モータ
40の回転に追随できる速度で電気角の検出処理を実行
できる場合には、運転制御ルーチンを実行するごとに電
気角の検出を行うものとしてもよい。かかる場合には、
ステップS100の判断処理は不要となる。
【0060】本実施例では、電気角検出処理は運転制御
処理ルーチンを所定回数実行するごとに行うように設定
されている。従って、CPU120は運転制御処理の実
行回数をカウントした情報を記憶したメモリを参照し、
電気角検出処理を実行するタイミングであるか否かを判
定する。電気角検出処理を実行するタイミングであると
判断された場合には、電気角検出処理を行う(ステップ
S200)。電気角検出処理を実行するタイミングにな
いと判断された場合には、電気角検出処理はスキップす
る。
【0061】電気角検出処理のフローチャートを図8に
示す。また、この処理を実行する際の電圧および電流の
様子を図9に示す。まず図9に基づいて、電気角を検出
する原理について説明する。
【0062】図5に示した三相同期モータ40の等価回
路図のU相とVW相間に所定の検出用電圧E1をステッ
プ関数的に加えた場合、ここに流れる電流Auは、回路
のインダクタンス成分Lにより定まる過渡応答を示す。
電圧E1はU相がプラス状態であり他の相がマイナス状
態となる方向に印加されている。電圧E1を印加した際
の過渡応答の一例を示したのが、図9のグラフである。
なお、回路のインダクタンスLは、その時の回転子50
の電気角θの関数となっている。即ち、回転子50が回
転していない状態(静止状態)にあるとすれば、この回
転子50のd軸が電気的にq軸に対してなす角(電気
角)により、回路のインダクタンスLは定まる。本実施
例では、回路のインダクタンスLと電気角について、実
測により得られた関係がテーブル形式でROM122に
記憶されている。
【0063】図5に示す等価回路において流れる電流
(以下、U相電流と呼ぶ)Au(t1)は、電圧印加
中、即ち図9の区間D1においては次式(1)の応答を
示す。 Au(t1)={1−exp(−R・t1/L)}E1/R … (1) ここで、expは、指数関数を示し、Rは回路のインピ
ーダンスを、t1は電圧印加後の経過時間を示す。ま
た、L/Rをモータの時定数Tmという。
【0064】式(1)によれば、電流の応答は厳密には
曲線状の変化を示すが、本実施例の電圧印加時間は、モ
ータ時定数Tmに比して十分小さいため、本実施例にお
いては、電流変化は図9に示す通り直線で近似して取り
扱うことができる。つまり、t1がモータ時定数Tmよ
りも十分小さいという条件下で上式(1)をテーラー展
開することにより、上式(1)は次式(2)の形で扱う
ことができる。 Au(t1)=E1・t1/L … (2)
【0065】式(1)または式(2)より、電圧印加時
の電流Au(t1)の挙動がインダクタンスLに応じて
変化することが分かる。インダクタンスが小さい場合に
は、図9に示す通り、電圧印加期間終了時点でモータ電
流は電流値Im1まで立ち上がる。これに対し、インダ
クタンスが大きい場合には、図9に示す通り、電流値I
m1よりも小さい電流値Im2までしか立ち上がらな
い。
【0066】本実施例では、かかる特性に鑑み、電圧印
加開始前後でのモータ電流の変化を検出する。次にこの
電流値およびその他既知の諸量を式(2)に代入するこ
とにより、インダクタンスLを算出する。前述の通り、
ROM122には、テーブル形式でインダクタンスLと
電気角の関係が記憶されているため、本実施例の電気角
検出装置は、算出されたインダクタンスLに基づいてこ
のテーブルを参照することにより、電気角を求める。な
お、上述の説明では、インダクタンスの検出を電圧印加
開始前後の電流の変化量Im1,Im2に基づいて行う
ものとしているが、その他電流値Auが所定の値に達す
るまでに要する時間を用いるものとしてもよいし、電圧
印加中(図9の区間D1)における電流の変化率を用い
るものとしてもよい。なお、上述の関係式を用いるため
には、回路に現実に電圧が印加された時間および電圧値
が既知である必要がある。
【0067】かかる原理に基づく電気角の検出を実行す
るために、電気角検出ルーチン(図8)では、CPU1
20は、まず初期電流値a0の検出を行う(ステップS
202)。具体的には、U相に流れる電流値に応じて電
流センサ102から出力される信号をフィルタ106お
よびADC112を介して入力ポート116より読み込
む。次にCPU120は、検出用電圧の印加を開始する
(ステップS204)。具体的には、電圧印加部130
に対し、U相電圧を制御する信号Suにハイの信号を出
力する。電圧を印加するパターンは、図9に示した通り
である。この結果、U相には、図9のグラフに示した通
り、検出用電圧に応じたモータ電流が流れる。
【0068】CPU120は、この後、サンプリングタ
イムが経過するのを待つ(ステップS206)。サンプ
リングタイムは、図9の区間D1の時間に相当する。実
際には、CPU120は、モータ40の種々の制御ルー
チンに合わせて定期的に割り込み処理をかけることによ
り、電気角検出ルーチンを実行している。従って、ここ
にいうサンプリングタイムとは、この割り込み間隔の整
数倍で表されるタイミングである。なお、本実施例で
は、一定の時間が経過した時点で割り込み処理をかける
ものとしているが、順方向電圧の印加開始から後で説明
する電流検出までの経過時間が特定できるものであれ
ば、1パッケージのあるタスクが終了したタイミング等
必ずしも一定の時間間隔とはならないタイミングをサン
プリングタイムとしてもよい。
【0069】サンプリングタイムが経過した後、CPU
120は順方向電圧の印加を停止し(ステップS20
8)、電流値a1を検出する(ステップS210)。電
流値の検出と、電圧の印加停止とはいずれが先であって
も構わない。また、図9に示す通り、電圧の印加を停止
してもしばらく電流値は維持されるため、電圧の印加を
停止してから電流が減衰しない程度の期間経過した後に
電流値a1を検出するものとしてもよい。こうしてステ
ップS202およびS210において検出された電流値
a0,a1により、順方向電圧を印加する前後の電流変
化量△a1(=a1−a0)を算出する(ステップS2
12)。
【0070】次に、CPU120は、この結果を用いて
電気角を算出する(ステップS214)。つまり、先に
説明した式(2)を用いてインダクタンスLを算出し、
電気角とインダクタンスを記憶したテーブルを参照する
ことによって電気角を求めるのである。こうして電気角
を算出したところで、CPU120は電気角検出ルーチ
ンを終了する。
【0071】なお、電気角とインダクタンスとを記憶し
たテーブルの形式によっては、U相電流を検出しただけ
では、電気角が0〜2πの範囲で一義的に求まらない場
合もある。かかる場合には、図8に示した電気角検出ル
ーチンをV相についても実行することにより電気角を検
出し、U相電流に基づく電気角の検出結果とV相電流に
基づく電気角の検出結果とを比較すれば、電気角を0〜
2πの範囲で一義的に求めることができる。こうして電
気角を検出した後、CPU120は運転制御ルーチン
(図7)に戻る。
【0072】次に、CPU120はトルク制御処理を実
行する(図7のステップS300)。トルク制御処理の
内容を図10に示すフローチャートに基づいて説明す
る。トルク制御ルーチンでは、まず電気角検出処理が実
行されたか否かを判定する(ステップS302)。本実
施例では、図7のステップS100において電気角検出
処理の実行タイミングを判定しているのと同じ方法によ
り、電気角検出処理が実行されたか否かを判定してい
る。電気角検出処理が実行されたことを示すフラグを設
け、このフラグの値に基づいて判定するものとしてもよ
い。
【0073】電気角検出処理が実行された場合には、目
標トルクT*の読み込みを行う(ステップS304)。
その他の場合には、この処理をスキップする。こうする
ことにより、電気角検出処理が実行された直後にトルク
制御ルーチンを実行する場合にのみトルク指令値T*が
変化し、その他の場合には既に読み込まれているトルク
指令値T*に基づいてモータ40のトルク制御が実行さ
れることになる。
【0074】次に、CPU120は電気角θの推定を行
う(ステップS306)。電気角θの推定は、次の手順
により実行する。説明の便宜のため、電気角検出処理に
より検出された電気角をθ0と呼ぶものとし、ステップ
S306で推定された電気角をθと呼ぶものとする。ま
ず、電気角検出処理が実行された直後である場合には、
その処理により検出された電気角θ0をそのまま電気角
θとして用いる。つまり、「θ=θ0」とする。その他
の場合には、電気角検出処理により検出された電気角θ
0にモータ40の回転に伴う角度変化を考慮して電気角
θを推定する。モータ40の回転に伴う角度変化は、モ
ータ40の回転角速度ωおよび先に電気角検出処理が実
行されてからの経過時間tpとの積で表される。従っ
て、この場合には、「θ=θ0+ω×tp」により電気
角θを求める。
【0075】ステップS306では、電気角の「推定」
という用語を用いた。これは上述の各式により、電気角
θを算出する処理である。但し、ここでの電気角の算出
は、トルク制御ルーチンを繰り返し実行するごとに誤差
が含まれる可能性がある。一方、本実施例では電気角検
出処理(図8)において誤差の少ない電気角を算出して
いる。従って、本明細書では、このように精度の良い算
出と区別する意味合いでステップS306における処理
を「推定」と呼ぶ。
【0076】次に、CPU120は、電流iu,ivを
検出する(ステップS308)。これらの値は電流セン
サ102,103により検出される。なお、W相につい
て電流を検出しないのは、三相交流ではU,V,Wの各
相に流れる電流の総和は必ず値0となるため、W相の電
流値はiu,ivに基づいて算出することができるから
である。こうして検出された電流iu,ivおよび推定
された電気角θに基づいて、CPU120は3相/2相
変換を行いd軸電流id、q軸電流iqを算出する(ス
テップS310)。3相/2相変換は以下に示す式を演
算することにより実行される。 id=√2×(−iu・sin(θ−120)+iv・
sinθ); iq=√2×(−iu・cos(θ−120)+iv・
cosθ); こうして演算されたd軸電流idおよびq軸電流iq
は、後述する電圧指令値の設定に用いられる。なお、電
動機のトルク制御においては、d軸電流およびq軸電流
が本質的なパラメータとなるため、本実施例ではこれら
の電流に変換して制御を実施している。かかる変換を行
わずにU,V,Wの3相のまま制御することも可能であ
る。
【0077】次に、CPU120は目標トルクT*に基
づいてd軸、q軸の目標電流id*,iq*を設定する
(ステップS312)。この処理は、ROM122内に
記憶された電流マップから、目標トルクT*に相当する
値を読み出すことにより行う。電流マップは、目標トル
クT*の離散的な値に対し、目標電流id*,iq*を
与えるマップである。従って、目標トルkT*等の値に
よっては該当する値がマップに存在しない場合もある。
本実施例では、かかる場合には、電流マップを線形補完
することにより該当する値を求めるものとしている。マ
ップを構成するトルクの離散的な値が十分細かく設定さ
れている場合には、補完演算を省略してもよい。例え
ば、マップ上に存在するポイントから目標トルクT*に
最も近いポイントを選択し、そのポイントに対応する目
標電流id*,iq*を用いるものとしてもよい。
【0078】こうして目標電流id*,iq*が設定さ
れると、CPU120はd軸方向、q軸方向に印加すべ
き電圧指令値Vd*,Vq*を設定する(ステップS3
14)。この電圧指令値は、いわゆる比例積分制御(P
I制御)により設定される。つまり、ステップS308
において算出されたd軸電流id、q軸電流iqと、ス
テップS312において設定された目標電流id*,i
q*との差分△id、△iqを求め、その差分△id、
△iqの比例項と積分項との和により電圧指令値Vd
*,Vq*を設定する。比例積分制御は周知の制御方法
であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0079】以上の処理により、d軸、q軸に印加する
電圧指令値Vd*,Vq*が設定された。次にCPU1
20はこれらの電圧指令値を2相/3相変換によりU,
V,Wの各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変
換する(ステップS316)。2相/3相変換は次式を
演算することにより行われる。
【0080】Vu*=√(2/3)×(Vd*・cos
θ−Vq*・sinθ); Vv*=√(2/3)×(Vd*・cos(θ−12
0)−Vq*・sin(θ−120)); Vw*=−Vu−Vv;
【0081】CPU120は、2相/3相変換した結果
に基づいて、PWM制御してインバータに出力する(ス
テップS318)。つまり、各相の電圧指令値Vu*,
Vv*,Vw*を、インバータの各トランジスタのオン
オフ信号のディーティ比に変換して出力する。この信号
によってインバータの各トランジスタがオンオフされる
と、ステップS312で設定した目標電流id*,iq
*が流れる。この結果、モータ40は目標トルクT*に
相当するトルクを出力する。以上の制御処理を周期的に
繰り返すことにより本実施例の電動機制御装置は、モー
タ40の運転を制御する。
【0082】以上で説明した運転制御ルーチンを実行し
た場合の電気角検出処理とトルク制御処理の実行タイミ
ングを図11に示した。図11におけるB1,B2,B
3,B4等はトルク制御処理が実行されるタイミングを
示している。また、S1,S2は電気角検出処理が実行
されるタイミングを示している。図11では、トルク制
御処理を4回実行する度に1回の割合で電気角検出処理
が実行される場合を例にとって示した。図11中のK
1,K2,K3,K4はそれぞれ運転制御ルーチンが実
行されている区間を示している。
【0083】図11に示す通り、区間K1では電気角検
出処理を実行するタイミングに相当すると判断され、電
気角検出処理S1およびトルク制御処理B1の双方が実
行されている。その後、区間K2〜K4では、電気角検
出処理を実行するタイミングにないと判断され、トルク
制御処理B2〜B4のみが実行されている。区間K4に
続く処理では、再び電気角検出処理を実行するタイミン
グに相当すると判断され、電気角検出処理S2およびト
ルク制御処理の双方が実行されることになる。図10の
トルク制御処理のステップS302およびステップS3
04に示した通り、目標トルクT*は電気角検出処理を
実行した直後にトルク制御処理を実行する際にのみ更新
される。従って、図11ではトルク制御処理B1におい
てのみ目標トルクT*が変更され得る。B2〜B4では
B1において更新された目標トルクT*と同じ値でトル
ク制御処理が実行される。
【0084】かかるタイミングで電気角検出処理および
トルク制御処理を実行した場合の電流の変化を図12に
示す。図12では、トルク制御処理B1以降、電気角検
出処理S2が実行されるまでの期間におけるモータ電流
の変化の様子を示した。トルク制御処理B1において、
目標トルクT*の値が大きな値に更新された場合を考え
る。目標トルクT*更新後のモータ40の電流指令値は
目標トルク更新前の値it1から値it2に増加する。
トルク制御処理B1では、かかる電流を流すべくインバ
ータ130のスイッチングが制御される。実際には、モ
ータ電流が増加するまでには1回のトルク制御の実行時
間よりも長い時間が必要となる。従って、トルク制御処
理B2またはB3に至る頃にモータ電流は目標値it2
に至り、一定の値となる。もちろん、これは一例に過ぎ
ず、モータ40の特性によってはトルク制御処理B1を
実行している間にモータ電流が目標値it2に至る場合
もある。
【0085】このように電気角検出処理を実行した直後
にのみ目標トルクT*を入力するようにしておけば、次
に電気角検出処理を実行する際には、モータ電流を新た
な目標値it2で安定させることができる。この結果、
電気角検出処理S2において検出される電流変化△i
は、図12に示す通り、検出用電圧に応じて生じる変化
のみとなる。従って、電気角を適切に検出することがで
きる。
【0086】また本実施例の電動機制御装置のようにト
ルク制御処理と電気角検出処理との実行タイミングを設
定しておけば、電気角検出処理中にはトルク制御が実行
されないようになる。モータ40のコイルに流れる電流
は目標値iT2に移行する過渡期であっても、トルク制
御が実行されなければモータ電流は増加することはなく
ほぼ一定値を維持する。本実施例において、精度良く電
気角を検出することができる効果には、かかる作用に基
づく部分もある。
【0087】上記実施例では、電気角検出処理を実行し
た直後にのみ目標トルクT*を入力するようにしたが、
目標トルクT*の読み込みは電気角検出処理の実行直後
に限定されるものではない。例えば、要求トルクT*の
変化に対するモータ電流の応答が十分早い場合には、図
12におけるトルク制御処理B2において目標トルクT
*を読み込むものとしてもよい。
【0088】(3)第2実施例:次に第2実施例の電動
機制御装置について説明する。第2実施例の電動機制御
装置は、ハードウェア構成およびソフトウェア構成とも
に第1実施例の電動機制御装置と同じである。第2実施
例の電動機制御装置では、運転制御ルーチンの処理内容
が第1実施例と相違する。
【0089】図13に第2実施例の電動機制御装置にお
ける運転制御ルーチンのフローチャートを示す。この処
理は第1実施例と同様、CPU120により周期的に実
行される。この処理が開始されると、CPU120はト
ルク制御処理を実行する(ステップS400)。トルク
制御処理の内容は、第1実施例において説明した処理と
ほぼ同一である(図10参照)。但し、第1実施例では
電気角検出処理が実行された場合にのみ目標トルクT*
の読み込みを行うものとしていた(図10のステップS
302,S304)。これに対し、第2実施例では所定
のタイミングで目標トルクT*の読み込みを実行する。
第1実施例において運転制御処理を所定回数繰り返すご
とに電気角検出処理を実行したのと同様、第2実施例に
おいて運転制御処理を所定回数繰り返すごとに目標トル
クT*の読み込みを行うものとするのである。もちろ
ん、目標トルクT*の読み込みを毎回行うものとしても
構わない。
【0090】トルク制御処理を実行した後、CPU12
0は電気角検出可否判定処理を実行する(ステップS4
10)。この処理内容について図14に基づいて説明す
る。図14は、電気角検出可否判定処理のフローチャー
トである。
【0091】この処理が開始されると、CPU120は
トルク指令値が変化したか否かを判定する(ステップS
412)。トルク指令値の変化とは、運転制御処理を前
回実施した際のトルク指令値に対する変化をいう。前回
運転制御処理を実行した際に、図10のステップS30
4において目標トルクT*の読み込みが行われた場合に
はトルク指令値T*が変化する可能性がある。ステップ
S412の処理では、トルク指令値から前回のトルク指
令値を引いて、トルク変化量△Tを求め、この変化量△
Tが値0であるか否かを判定している。
【0092】トルク指令値T*が変化した場合には、経
過時間カウンタtに値0を代入し(ステップS41
4)、このカウンタtをリセットする。経過時間カウン
タtはトルク指令値T*が変化しなくなったあとの経過
時間を計測するカウンタである。トルク指令値T*が変
化していない場合には、経過時間カウンタtを△tだけ
増加する(ステップS416)。△tは電気角検出処理
可否判定処理が実行される時間間隔である。一定の時間
間隔で処理が繰り返し実行される場合には、△tは一定
値となる。かかる処理によりトルク指令値T*が変化し
なくなってからの経過時間を計測することができる。
【0093】次に、CPU120は判断基準時間αtの
読み込みを行う(ステップS418)。判断基準時間α
tはトルク指令値の変化に対応したマップとしてROM
122に予め記憶されている。かかるマップの例を図1
5に示した。トルク変化量が大きくなるにつれて判断基
準時間αtも大きくなるように設定されている。また、
本実施例ではトルク変化量が△T0以下の範囲では判断
基準時間αtを値0に設定した。
【0094】判断基準時間とは、電気角検出処理の実行
可否を判定するための基準となる時間である。その設定
方法について図16を用いて説明する。トルク指令値が
変化した場合には、図16に示すようにモータ40の電
流は初期値it1から変化後の目標値it2まで徐々に
増加する。電気角を精度よく検出するためには、トルク
指令値T*の変化に伴うモータ40の電流変化が安定し
てから、電気角検出処理を実行することが必要である。
判断基準時間αtは、図16に示すようにトルク指令値
T*の変化を伴うトルク制御が終了してから、トルク指
令値の変化に伴う電流の変化が安定するまでに要する時
間である。この値は、モータ40の特性に応じて、予め
実験または解析により定めることができる。また、トル
ク指令値の変化量が比較的小さい場合には、この変化量
が電気角の検出に与える影響は小さいため、本実施例の
ように所定の変化量△T0以下では判断基準時間αtを
値0とすることもできる。
【0095】CPU120は、こうして設定された判断
基準時間αtと経過時間カウンタtとの大小関係を比較
する(ステップS420)。経過時間カウンタtが判断
基準時間αt以上である場合には、トルク指令値の変化
に伴う電流の変化が安定しており、電気角の検出に与え
る影響は小さいものと判断する。従って、電気角検出処
理の実行可否を示すフラグFTに、実行可であることを
意味する値1を代入する(ステップS422)。経過時
間カウンタtが判断基準時間αtよりも小さい場合に
は、トルク指令値の変化に伴う電流の変化が電気角の検
出に与える影響が大きいと判断する。従って、フラグF
Tに電気角検出処理の実行を禁止することを意味する値
0を代入する(ステップS424)。以上の処理によ
り、判定結果をフラグFTに設定した後、CPU120
は再び運転制御ルーチン(図13)の処理に戻る。
【0096】運転制御ルーチンでは、CPU120は電
気角検出タイミングであるか否かを判定する(ステップ
S500)。電気角検出タイミングの判定は第1実施例
における判定と同じである。つまり、運転制御ルーチン
を所定回数繰り返し実行する度に電気角検出処理を実行
する。電気角検出タイミングにないと判断された場合に
は、何も処理を行わずに運転制御ルーチンを一旦終了す
る。
【0097】電気角検出タイミングであると判断された
場合には、次にフラグFTが値1であるか否かを判定す
る(ステップS510)。フラグFTが値1である場合
には、電気角検出可否判定処理により、電気角の検出を
実行してもよいと判断された場合に当たる。従って、C
PU120は電気角検出処理Aを実行する(ステップS
520)。この電気角検出処理Aは第1実施例において
説明した電気角検出処理(図8)と同じ処理である。つ
まり、検出用の電圧を印加し、該電圧の印加前後の電流
の変化に基づいて電気角を検出する処理である。こうし
て電気角を検出するとCPU120は運転制御ルーチン
を一旦終了する。
【0098】一方、フラグFTが値0である場合には、
トルク変化量△Tが所定の値αよりも大きいか否かを判
定する(ステップS530)。トルク変化量△Tは先に
電気角検出可否判定処理(図14)において算出された
値である。トルク変化量△Tが所定の値αよりも大きい
場合には電気角検出処理Bを実行する(ステップS55
0)。所定の値α以下である場合には何も処理を実行せ
ずに運転制御ルーチンを終了する。
【0099】トルク指令値が頻繁に変化する場合には、
電気角検出可否判定処理により、電気角検出可の判定が
なされるまでに長時間を要する場合がある。かかる場合
には、トルク制御において推定される電気角の誤差が大
きくなる可能性もある。電気角検出処理Bは、かかる事
態を回避するために設けられた処理であり、トルク指令
値が変化している場合に適用可能な電気角検出処理であ
る。電気角検出処理Bはトルク指令値に変化があれば実
行可能な処理であるが、本実施例ではこの処理にいよる
電気角の検出精度を確保するため、トルク変化量△Tが
所定の値αよりも大きい場合にのみ電気角検出処理Bを
実行するものとしている。従って、所定の値αは電気角
検出処理Bに対する電気角の検出精度に応じて設定され
る値である。
【0100】所定の値αは、予め定めた一定値とするこ
ともできるし、例えば、電気角検出処理Aまたは電気角
検出処理Bが前回行われてからの経過時間に応じて変化
する値としてもよい。電気角検出処理Aが実行された
後、トルク指令値が頻繁に変化した場合、その変化が比
較的小さい場合には、電気角検出処理Aおよび電気角検
出処理Bのいずれもが長い間、実行されない可能性があ
る。かかる場合に、両者が実行されないまま経過した時
間に応じて所定の値αを小さくすれば、電気角検出処理
Bが実行されるようにすることができる。
【0101】電気角検出処理Bの処理内容を図17に示
すフローチャートに基づいて説明する。この処理が開始
されると、CPU120は、初期電流値a0、初期電圧
値V0、印加電圧値、電圧印加後の電流値a1およびそ
の間の経過時間の読み込みを実行する(ステップS55
2〜S558)。これらの値は、トルク制御ルーチン
(図10)において検出等されている値である。例え
ば、初期電流値a0は、トルク制御ルーチンのステップ
S308において検出された電流値である。初期電圧値
V0は、そのときの電圧指令値である。印加電圧値V1
は、ステップS314において設定された電圧指令値で
ある。電圧印加後の電流値a1はステップS314にお
いて電圧指令値が設定された後、再度トルク制御ルーチ
ンが実行された際にステップS308において検出され
た初期電流値である。経過時間△tはトルク制御ルーチ
ンが繰り返し実行される間の時間である。
【0102】CPU120はこうして読み込まれた電流
値に基づいて、電流の変化量△aおよび電圧の変化△V
を算出し(ステップS560、S562)、電気角を算
出する(ステップS564)。電気角の算出は、第1実
施例における電気角検出処理(図8)と同じである。先
に示した式(2)に電流変化量△a、および印加電圧、
経過時間を代入することによりインダクタンスLを求
め、テーブルを参照して電気角に変換するのである。
【0103】電気角検出処理Bにおける電気角検出の原
理を図18により説明する。図18は、トルク指令値が
変化したときの電圧および電流の様子を示した説明図で
ある。他の類似の説明図(図20等)とは時間軸のスケ
ールが異なっている。図18の上段には電圧の変化の様
子を示した。トルク指令値の変化に伴い電圧指令値はV
T1からVT2まで変化する。本実施例では、PI制御
によって電圧指令値を設定しているため、電圧変化の過
渡期においては、VT2よりも大きな電圧が印加され
る。図18中のP1,P2,P3等で示した部分がそれ
ぞれ1回のトルク制御処理により印加される電圧値を示
している。
【0104】図18の下段には上段の電圧に応じて変化
するモータ電流の様子を示した。トルク指令値の変化の
前後でモータ電流は値iT1からiT2まで増加する。
電気角検出処理Bでは、こうして印加される電圧を一種
の検出用電圧と取り扱うことにより電気角の検出を実行
するものである。電気角検出処理Bにおける電圧の変化
量△V、電流の変化量△i、経過時間△tをそれぞれ図
18中に示した。本実施例では、トルク制御P1の電圧
値を利用して電気角の検出を行う場合を例示している
が、トルク制御P2等を用いて電気角の検出を実行する
ものとしても構わない。
【0105】図18から明らかなとおり、電気角検出処
理Bは非常に短い期間印加される電圧パルスを用いて電
気角を検出するものである。この間に生じる電流の変化
△iは通常の電気角検出処理(図8)に比べて小さな値
である。電気角検出処理Bにおいて、電気角の検出精度
を確保するためには、電流の変化量△iを精度良く検出
する必要がある。電流の変化量△iはトルク指令値の変
化量が大きい程大きくなり検出精度が向上する。従っ
て、電気角検出処理Bでは、トルク指令値の変化量が大
きい方が精度良く電気角の検出をすることができる。本
実施例の電動機制御装置において、トルク指令値の変化
△Tが所定の値αよりも大きい場合のみに電気角検出処
理Bを実行するものとしているのは、上記理由に基づく
ものである。
【0106】以上で説明した第2実施例の電動機制御装
置によれば、トルク指令値に変動が生じた後、所定時間
経過してから電気角検出処理を実行することにより、ト
ルク指令値に変動があった場合でも精度良く電気角を検
出することができ、モータ40を適切に制御することが
できる。この結果、モータ40を円滑かつ効率よく運転
することが可能となる。また、第2実施例の電動機制御
装置によれば、判断基準時間αtの設定に応じて、電気
角検出処理が実行される頻度と、電気角の検出精度とを
変えることができる。
【0107】(4)第3実施例:次に第3実施例として
の電動機制御装置について説明する。第3実施例の電動
機制御装置のハードウェア構成およびソフトウェア構成
は第1実施例および第2実施例の電動機制御装置と同じ
である。第3実施例の電動機制御装置では、運転制御ル
ーチンの処理内容が第1実施例および第2実施例と相違
する。
【0108】第3実施例の電動機制御装置における運転
制御ルーチンの処理内容を図19に示す。この処理はC
PU120により周期的に実行される処理である。この
処理が開始されると、CPU120はトルク制御処理を
実行する(ステップS600)。トルク制御処理の内容
は、第1実施例において説明した処理とほぼ同一である
(図10参照)。但し、第1実施例では電気角検出処理
が実行された場合にのみ目標トルクT*の読み込みを行
うものとしていた(図10のステップS302,S30
4)。これに対し、第3実施例では所定のタイミングで
目標トルクT*の読み込みを実行する。第1実施例にお
いて運転制御処理を所定回数繰り返すごとに電気角検出
処理を実行したのと同様、第3実施例において運転制御
処理を所定回数繰り返すごとに目標トルクT*の読み込
みを行うものとするのである。もちろん、目標トルクT
*の読み込みを毎回行うものとしても構わない。
【0109】次にCPU120はモータ40の各相に流
れる電流を検出する(ステップS602)。この電流は
電流センサ102,103により検出される。CPU1
20は、こうして検出された電流に基づいて電流変化△
iを算出する(ステップS604)。電流変化△iと
は、運転制御ルーチンが前回実施されたときにステップ
S602において検出された電流からの変化である。
【0110】CPU120は、電流変化△iの絶対値と
所定の値αiとの大小関係を比較する(ステップS60
6)。電流変化△iの絶対値が所定の値αiよりも大き
い場合には、トルク制御処理によってモータ40の電流
が変化していることを意味するため、電気角の検出を行
わずに運転制御ルーチンを一旦終了する。このように所
定の値αiは、トルク制御処理によって生じたモータ電
流の変化が電気角の検出に影響を与えるか否かの判断基
準となる値であり、予め実験または解析等によって設定
することができる。
【0111】所定の値αiは、予め定めた一定値とする
こともできるし、種々の条件に応じて変化する値とする
こともできる。例えば、トルク指令値が頻繁に変化し、
電流の変化が減衰しないような場合には、所定の値αi
を一定値にすると、電気角の検出が長い間行われない可
能性がある。かかる状態を回避するために、電気角検出
処理が実行された後の経過時間が長くなる程、所定の値
αiを大きくするように設定することもできる。
【0112】電流変化量△iの絶対値が所定の値αiよ
りも小さい場合には、CPU120は電気角検出タイミ
ングであるか否かを判定する(ステップS608)。電
気角検出タイミングの判定は第1実施例における判定と
同じである。つまり、運転制御ルーチンを所定回数繰り
返し実行する度に電気角検出処理を実行する。電気角検
出タイミングにないと判断された場合には、何も処理を
行わずに運転制御ルーチンを一旦終了する。電気角検出
タイミングであると判断せれた場合には、電気角検出処
理を実行する(ステップS610)。この処理内容は、
第1実施例において説明した処理と同じである(図8参
照)。
【0113】以上で説明した第3実施例の電動機制御装
置によれば、トルク制御処理によって生じた電流の変化
が所定の値αiよりも小さい範囲に減衰してから電気角
検出処理を実行する。従って、トルク制御処理による電
流の変化の影響を受けることなく電気角を精度良く検出
することができ、モータ40を適切に制御することがで
きる。この結果、モータ40を円滑かつ効率よく運転す
ることが可能となる。
【0114】なお、第3実施例の電動機制御装置は、次
の態様で適用することもできる。トルク制御処理におい
てトルク指令値の変動があった場合には、電気角検出処
理の実行の可否を示すフラグFFに、実行の禁止を意味
する値1を代入するものとしておく。また、フラグFF
が値1である場合には電気角検出処理を実行しないよう
にしておく。一方、電流の変化量△iの絶対値が所定の
値αiよりも小さい場合には、フラグFFの値がリセッ
トされるようにしておく。かかる態様では、トルク指令
値の変動があった場合には、原則として電気角の検出処
理の実行を禁止しておき、電流の変化が所定の値αiよ
りも小さくなった時点で電気角の検出処理の実行を許可
する。こうすることによりトルク指令値の変動に伴う電
流の変化の影響を受けることなく電気角を検出すること
が可能となる。
【0115】以上、本発明の種々の実施例について説明
してきたが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実
施が可能である。例えば、以上で説明した各実施例では
運転制御ルーチンを制御用ECU100のCPU120
が実行するソフトウェアにより実現していたが、これら
の処理をハードウェア的に実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ制御装置10のソフトウェア構成を示す
ブロック図である。
【図2】電気角検出部220およびトルク制御部200
を中心としたソフトウェアの詳細な構成を示すブロック
図である。
【図3】モータ制御装置10のハードウェアの概略構成
を示すブロック図である。
【図4】三相同期モータ40の概略構成を示す説明図で
ある。
【図5】三相同期モータ40の固定子30と回転子50
との関係を示す端面図である。
【図6】三相同期モータ40の等価回路図である。
【図7】第1実施例による運転制御ルーチンの流れを示
すフローチャートである。
【図8】電気角検出ルーチンの流れを示すフローチャー
トである。
【図9】電気角検出の原理を示す説明図である。
【図10】トルク制御ルーチンの流れを示すフローチャ
ートである。
【図11】電気角検出処理とトルク制御の実行タイミン
グを示す説明図である。
【図12】第1実施例の制御を実行した場合のモータ電
流の変化の様子を示す説明図である。
【図13】第2実施例による運転制御ルーチンの流れを
示すフローチャートである。
【図14】電気角検出可否判定処理ルーチンの流れを示
すフローチャートである。
【図15】判断基準時間αtとトルク変化量との関係を
与えるグラフである。
【図16】判断基準時間αtの設定方法を示す説明図で
ある。
【図17】電気角検出処理Bの流れを示すフローチャー
トである。
【図18】電気角検出処理Bにおける電気角検出の原理
を示す説明図である。
【図19】第3実施例による運転制御ルーチンの流れを
示すフローチャートである。
【図20】従来における電気角検出処理とトルク制御の
実行タイミングを示す説明図である。
【図21】トルク変化が生じた場合のモータ電流の変化
の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
10…モータ制御装置 20…板状固定子 22…ティース 24…スロット 30…固定子 32…コイル 34…ボルト 36…ボルト孔 40…三相同期モータ 50…回転子 51,52,53,54…永久磁石 55…回転軸 57…板状回転子 60…ケース 61,62…軸受 71,72,73,74…突極 100…制御用ECU 102,103…電流センサ 106,107…フィルタ 112,113…ADC 116…入力ポート 118…出力ポート 120…CPU 122…ROM 124…RAM 126…クロック 130…インバータ 132…バッテリ 200…トルク制御部 202d、202q…PI制御部 204…2相/3相変換部 206…PWM制御部 208…通電部 210…3相/2相変換部 212…電流設定部 216…要求トルク設定部 220…電気角検出部 222…検出電圧印加部 224…電流検出部 226…電気角推定部 228…実行タイミング制限部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻線に流す多相交流を制御することによ
    って、該多相交流を流した際に該巻線に生じる回転磁界
    を利用して回転子を回転させる同期電動機の運転を制御
    する電動機制御装置であって、 該電動機から出力すべき要求トルクを設定する要求トル
    ク設定手段と、 所定のタイミングにおいて、前記巻線に検出用電圧を印
    加し、該印加された電圧に応じて前記巻線に流れる電流
    の挙動に基づいて、前記回転子の電気的な位置を定義す
    る電気角を検出する電気角検出手段と、 前記検出された電気角に基づいて、前記同期電動機の運
    転の制御を実行する各タイミングにおける電気角を推定
    する電気角推定手段と、 前記要求トルクおよび前記推定された電気角に応じて、
    巻線に流す多相交流を制御して、該要求トルクを出力す
    るトルク制御手段と、 前記トルク制御手段と前記電気角検出手段との実行タイ
    ミングを、該トルク制御手段により前記巻線に流れる電
    流が前記電気角の検出に与える影響を回避可能なタイミ
    ングに調整する調整手段とを備える電動機制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電動機制御装置であっ
    て、 前記調整手段は、前記トルク制御手段と前記電気角検出
    手段との実行タイミングを、電気角の検出手段の実行が
    トルク制御手段の実行に先行するように予め設定された
    タイミングとする手段である電動機制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電動機制御装置であっ
    て、 前記調整手段は、 前記トルク制御手段と前記電気角検出手段との実行タイ
    ミングを、トルク制御手段による前記巻線への通電の制
    御がなされてから所定の期間経過した後に、前記電気角
    検出手段による電気角の検出を行うように予め設定され
    たタイミングとする手段である電動機制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の電動機制御装置であっ
    て、 前記調整手段における所定の期間は、前記要求トルク設
    定手段により設定された要求トルクの変化率が大きくな
    るにつれて大きくなるように予め設定された期間である
    電動機制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の電動機制御装置であっ
    て、 前記トルク制御手段により前記巻線に流れる電流の変化
    を検出する電流検出手段を備え、 前記調整手段は、 前記電気角検出手段の実行タイミングを調整し、前記検
    出された電流の変化が所定の値以下である場合に前記電
    気角の検出を実行する手段である電動機制御装置。
  6. 【請求項6】 巻線に流す多相交流を制御することによ
    って、該多相交流を流した際に該巻線に生じる回転磁界
    を利用して回転子を回転させる同期電動機の運転を制御
    する電動機制御装置であって、 該電動機から出力すべき要求トルクを設定する要求トル
    ク設定手段と、 所定のタイミングにおいて、前記巻線に検出用電圧を印
    加し、該印加された電圧に応じて前記巻線に流れる電流
    の挙動に基づいて、前記回転子の電気的な位置を定義す
    る電気角を検出する第1の電気角検出手段と、 前記検出された電気角に基づいて、前記同期電動機の運
    転の制御を実行する各タイミングにおける電気角を推定
    する電気角推定手段と、 前記要求トルクおよび前記推定された電気角に応じて、
    巻線に印加する電圧を制御することにより該巻線に流す
    多相交流を制御して、該設定された要求トルクを出力す
    るトルク制御手段と、 前記所定のタイミングにおいて、前記トルク制御手段に
    より前記巻線に流れる電流が前記電気角の検出に影響を
    与える場合には、前記電気角検出手段の実行に際し印加
    される前記検出用電圧に代えて、前記トルク制御手段に
    より前記巻線に印加された電圧を用いて前記電気角の検
    出を実行する第2の電気角検出手段とを備える電動機制
    御装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の電動機制御装置であっ
    て、 前記第2の電気角検出手段は、前記トルク制御手段によ
    り前記巻線に流れる電流が前記電気角の検出に影響を与
    える場合のうち、前記要求トルクの変化率が所定の値以
    上である場合において、前記電気角の検出を実行する手
    段である電動機制御装置。
  8. 【請求項8】 巻線に流す多相交流を制御することによ
    って、該多相交流を流した際に該巻線に生じる回転磁界
    を利用して回転子を回転させる同期電動機の運転を制御
    する電動機の制御方法であって、(a)該電動機から出
    力すべき要求トルクを設定する工程と、(b)所定のタ
    イミングにおいて、前記巻線に検出用電圧を印加し、該
    印加された電圧に応じて前記巻線に流れる電流の挙動に
    基づいて、前記回転子の電気的な位置を定義する電気角
    を検出する工程と、(c)前記検出された電気角に基づ
    いて、前記同期電動機の運転の制御を実行する各タイミ
    ングにおける電気角を推定する工程と、(d)前記要求
    トルクおよび前記推定された電気角に応じて、巻線に流
    す多相交流を制御して、該設定された要求トルクを出力
    する工程と、(e)前記工程(d)と前記工程(b)と
    の実行タイミングを、該工程(d)により前記巻線に流
    れる電流が前記電気角の検出に与える影響を回避可能な
    タイミングに調整する工程とを備える電動機の制御方
    法。
  9. 【請求項9】 巻線に流す多相交流を制御することによ
    って、該多相交流を流した際に該巻線に生じる回転磁界
    を利用して回転子を回転させる同期電動機の運転を制御
    する電動機の制御方法であって、(a)該電動機から出
    力すべき要求トルクを設定する工程と、(b)所定のタ
    イミングにおいて、前記巻線に検出用電圧を印加し、該
    印加された電圧に応じて前記巻線に流れる電流の挙動に
    基づいて、前記回転子の電気的な位置を定義する電気角
    を検出する工程と、(c)前記検出された電気角に基づ
    いて、前記同期電動機の運転の制御を実行する各タイミ
    ングにおける電気角を推定する工程と、(d)前記要求
    トルクおよび前記推定された電気角に応じて、巻線に流
    す多相交流を制御して、該設定された要求トルクを出力
    する工程と、(e)前記所定のタイミングにおいて、前
    記工程(d)により前記巻線に流れる電流が前記電気角
    の検出に影響を与える場合には、前記工程(b)の実行
    に際し印加される前記検出用電圧に代えて、前記工程
    (d)により前記巻線に印加された電圧を用いて前記電
    気角の検出を実行する工程とを備える電動機の制御方
    法。
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