JPH1134216A - 積層体および窓用ガラス積層体 - Google Patents
積層体および窓用ガラス積層体Info
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Abstract
反射光の色調が、入射角度を変えても変化が少ない積層
体の提供。 【解決手段】基体と、該基体上に、基体側から、順次、
酸化物からなる第1層、Agを主成分とする金属からな
る第2層、酸化物からなる第3層、Agを主成分とする
金属からなる第4層、および酸化物からなる第5層とを
有し、第1層の厚さが第5層の厚さの60〜90%であ
る積層体および窓用ガラス積層体。
Description
に、低放射性を有するため高断熱性を有するとともに、
穏やかな外観色調を有し、かつその外観色調が、入射角
度を変えても変化が少ない積層体に関する。特に、Lo
w−Eガラス(Low Emissivity Gla
ss)に関する。
層を介して2枚のガラスを積層した構造の複層ガラスが
窓ガラスとして用いられている。この複層ガラスは、室
外からは太陽光を取り入れるとともに、室内から室外へ
の熱の放射を遮断して、室内の保温性の向上と暖房負荷
の軽減に有効なものである。
を目的として、図3に示す、2枚のガラス基板31aお
よび31bを、周辺部32を密封して、ガラス基板31
aと31bの間に断熱空気層33を形成するように積層
した複層ガラスにおいて、室内側のガラス基板31bの
断熱空気層33側に低放射性被膜34を配設してなるガ
ラスとして、Low−Eガラスと呼ばれる高断熱性を有
するガラスを使用した積層体が利用されるようになって
きている。このガラス積層体は、太陽光に含まれる波長
0.3〜2.0μm程度の光線を透過させて、室内に太
陽光を取り入れる一方、断熱空気層によって室内側から
室外側へ熱の伝導を遮断する作用において、低放射性被
膜34の低い放射性能によって、保温性および断熱性能
を向上させることができるものである。
としない地方、例えば、関東地方以西の温暖な地方で用
いられる窓ガラスにおいては、室内から室外への熱の放
射を遮断するよりも、むしろ室外から室内への熱の流入
を遮断するとともに、室外からの太陽光による室内雰囲
気の加熱を抑制し、冷房効率を向上させることが求めら
れている。さらに、ビル用、住宅用等の窓ガラスだけで
なく、自動車、電車等の車両用窓ガラスにおいても、外
観、車室内の居住性、外部視認性等の向上を目的とし
て、大面積化しており、そのため、同様に、室内雰囲気
の加熱を抑制することが求められている。
す積層体と同様に、2枚のガラス基板41aおよび41
bを、周辺部42を密封して、ガラス基板41aと41
bの間に断熱空気層43を形成するように積層した複層
ガラスにおいて、室外側のガラス基板41aの断熱空気
層43の側に低放射性被膜44を有するLow−Eガラ
スを使用した積層体が用いられるようになってきてい
る。
ラスとしては、ガラス基板上に、高い赤外反射特性を有
する層と、高い可視光線透過率を有する透明誘電体層と
を、順次積層して形成した各種のものが、提案されてい
る。これらの複層構造のLow−Eガラスにおいては、
赤外線反射特性を有する膜として、Agを主成分とする
膜が用いられ、透明誘電体膜としては、ZnO、SnO
2 、TiO2 等の酸化物膜、あるいはSiNx 等の窒化
物膜が用いられる。
スをガラス基板として用いるガラス積層体は、Low−
E膜による光の干渉効果によって色調を表現しているた
め、ガラス基板側から見た反射光の色調が、入射角度に
よる変化が大きいものであった。そのため、例えば、こ
のガラス積層体からなる窓ガラスを装着した建物を正面
から見た場合と、角度を変えて斜めから見た場合とで
は、異なる色調に見え、外観が変化して見える不都合が
あった。
つかの提案がなされている。例えば、特開平7−165
442号公報には、第1誘電物質層、赤外線反射特性を
有する金属を基にした第1層、第2誘電物質層、赤外線
反射特性を有する金属を基にした第2層、および第3誘
電物質層を連続して堆積させた透明な基材であって、金
属を基にした第1層の厚さを、金属を基にした第2層の
厚さの約50〜80%とする透明な基材が提案されてい
る。
は、(a) 約275Åを超えない厚さで基材の表面に塗布
された抗−反射性金属酸化物からなるベースコート、
(b) 前記ベースコートの上に塗布された第1の反射性金
属層、(c) 前記第1の反射性金属層の上に塗布さてた抗
−反射性金属酸化物からなる中間層、(d) 前記中間の抗
−反射性層の上に塗布された第2の反射性金属層、およ
び(e) 前記第2の反射性金属層の上に保持された金属酸
化物からなる外側の抗−反射特性層からなる、表面上の
塗膜を有する基材からなる塗布基材が提案されている。
は、 60〜75nmの光学的厚さを有し、基体に隣接した
透明誘電非吸収剤材料の第1層、 9〜11nmの幾何学的厚さを有する銀または銀合金
の第1層、 135〜170nmの光学的厚さを有する透明誘電非
吸収剤材料の第2層、 12〜15nmの幾何学的厚さを有する銀または銀合
金の第2層、 45〜65nmの光学的厚さを有する透明誘電非吸収
剤材料の第3層 を担持する面を有し、被覆基体が、70%より大なる視
感透過率TLC、47%未満のソーラーフアクターF
s、及び12%以下の対向面に対する反射法線での色の
純度を示すことを特徴とする被覆基体が提案されてい
る。
は、誘電材料でできた第1層と、部分反射材料でできた
第2層と、誘電材料でできた第3層と、部分反射材料で
できた第4層と、誘電材料でできた第5層とを有し、前
記第1、第3、及び第5の誘電材料層の各々が、屈折率
が1.7から2.7までの範囲内にあるほぼ透明な誘電
材料から成り、前記第1及び第5の層は、前記第3層の
光学的厚さの33%乃至45%のほぼ同じ光学的厚さを
有する、可視反射がほぼ無色の太陽光制御用層状コーテ
イングが提案されている。
は、ガラス板上に、このガラス板側から順に、第1層と
して金属酸化物膜、第2層としてAgを主成分とする
膜、第3層として金属酸化物膜、第4層としてAgを主
成分とする膜、第5層として金属酸化物膜が、必要に応
じて第6層として保護膜が形成されてなる断熱ガラスに
おいて、前記金属酸化物膜が前記第1層、第3層または
第5層の層全体として酸化錫及び酸化亜鉛のいずれか一
方または双方を主成分とする1または2以上の層からな
り、前記第3層の厚さが65nm以上80nm以下、前
記第2層の厚さが7nm以上11nm未満、前記第4層
の厚さが11nmを越えて14nm以下である断熱ガラ
スが提案されている。
は、ガラス基板上に多層系をスパッタ被覆されたスパッ
タ被覆ガラス製品において、前記ガラ基板から外側へ向
かって、a)約300〜550Åの厚さをもつSi3 N4
の層と、 b)約7Åまたはこれ未満の厚さをもつニッケルまたはニ
クロムの層と、 c)約70〜130Åの厚さをもつ銀の層と、 d)約7Åまたはこれ未満の厚さをもつニッケルまたはニ
クロムの層と、 e)約700〜1100Åの厚さをもつSi3 N4 の層
と、 f)約7Åまたはこれ未満の厚さをもつニッケルまたはニ
クロムの層と、 g)約70〜190Åの厚さをもつ銀の層と、 h)約7Åまたはこれ未満の厚さをもつニッケルまたはニ
クロムの層と、 i)約350〜700Åの厚さをもつSi3 N4 の層 とを含む多層系を有するスパッタ被覆ガラス製品が提案
されている。
層体または材料は、外側から見た反射色調が入射角度に
応じて変化する特性、即ち反射色調の入射角度依存性の
改善という点では未だ十分なものではなかった。
は、穏やかな外観色調を有し、かつ基体側から見た反射
光の色調が、入射角度を変えても変化が少ない積層体を
提供することにある。また、本発明の別な目的は、高断
熱性を有するとともに、穏やかな外観色調を有し、かつ
基体側から見た反射光の色調が、入射角度を変えても変
化が少ない窓用ガラス積層体を提供することにある。
決するために、基体と、該基体上に、基体側から、順
次、酸化物からなる第1層、Agを主成分とする金属か
らなる第2層、酸化物からなる第3層、Agを主成分と
する金属からなる第4層、および酸化物からなる第5層
とを有し、第1層の厚さが第5層の厚さの60〜90%
である積層体を提供するものである。
るために、第2層と第4層の厚さの比を調整すること
は、特開平7−165442号公報等にも既に提案され
ているが、前記の通り、未だ十分な効果を得るには至っ
ていなかった。そこで、本発明者は、第2層と第4層の
厚さの比だけでなく、第1層と第5層の酸化物からなる
層の厚さの比に注目し、鋭意検討を行った。そこで、図
2に示す通り、正面から見た場合(入射角度0度付近)
にほぼ同じ反射色調(図中では、CIE色度座標上での
xの値が0.305、yの値が0.343程度)を示
し、それぞれ第1層の酸化物の膜厚が第5層の酸化物の
膜厚よりも薄い積層板と、第1層の酸化物の膜厚が第5
層の酸化物の膜厚よりも薄い積層板とについて、入射角
度による反射色調の変化を比較した。図2から明らかな
ように、第1層の厚さが第5層の厚さよりも薄い場合
(図中のAの曲線)の方が、入射角度による反射色調の
変化が小さくなることを知見した。この知見に基づい
て、第1層の酸化物からなる層の厚さを、第5層の厚さ
よりも薄くすれば、入射角度による反射色調の変化が小
さい積層体を得ることを見出し、本発明を想到するに至
った。
明する。本発明の積層体は、図1に一例を示すとおり、
基本的に、基体11上に、基体側から、順次、第1層
1、第2層2、第3層3、第4層4及び第5層5を有す
るものである。
されず、例えば、ガラス基板等が挙げられる。本発明の
積層体を建築用や車両用の窓ガラス用途に用いる場合
は、ガラス基板としては、ソ−ダライムガラスが一般的
に用いられる。
れる第1層、第2層の上層に配設される第3層、および
第4層の上層に配設される第5層としては、特に制限さ
れず、この種の積層体に常用されるいずれの酸化物材料
からなるものでもよい。この第1層、第3層及び第5層
の具体例として、建築用や車両用の窓ガラスの被覆材料
として頻繁に使用される材料である、Sn、Znおよび
Tiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸
化物を含む層が挙げられる。特に、第1層、第3層およ
び第5層としては、各層の上層に形成されるAgを主成
分とする金属からなる第2層または第4層が安定的に形
成される点、および該第2層または第4層が高い結晶性
を有しながら形成される点から、Znの酸化物を含む層
が好ましい。
内の内部応力が低下し、基体との密着性の良好な層が得
られることから、ZnOを主成分として含み、Sn、A
l、Cr、Ti、Si、B、MgおよびGaから選ばれ
る少なくとも1種の金属元素を含む層が、特に好まし
い。ZnOを主成分として含み、特に、ZnOとAlを
含む層またはZnOとSnを含む層が、各層の上層に形
成されるAgを主成分とする金属からなる第2層または
第4層との相性がよい。さらに、ZnOとAlを含む層
は、Alが安価な材料であり、かつ層の成膜速度が大き
いため、有用である。また、Snは比較的安価な材料で
ある点で、好ましい。
が、ZnOと前記の金属元素を含む層である場合、これ
らの金属元素の含有割合は、1〜10at%が好まし
く、特に2〜6at%であるのが好ましい。これらの金
属元素の含有割合が多すぎると、各層の上層に形成され
るAgを主成分とする金属からなる第2層または第4層
の安定化に必要なZnの酸化物の結晶性が低下する傾向
にある。
および第5層は、同じ成分または組成からなる層であっ
てもよいし、異なる成分および組成からなる層であって
もよい。また、第1層、第3層、および第5層のそれぞ
れの層は、複数の酸化物層が積層された構造のものであ
ってもよい。例えば、第1層が、ZnOとSnO2 から
なる多層構造の層であってもよい。また、すべての酸化
物層を同じ材料で形成することは、インライン型スパッ
タリング装置を用いて、マルチパス法によって、各層を
形成する場合に、ターゲット数を節約できること等の点
で有利である。
上層に配設される第2層、および第3層の上層に配設さ
れる第4層は、Agを主成分とする金属からなる層であ
り、Agのみからなる層、または、Agを主成分とし、
他の金属元素、例えば、Pd、Au、Cu等の他の金属
元素を含む層である。第2層または第4層が、Agと他
の金属元素を含む場合、他の金属元素の含有割合は、A
gと他の金属元素との総量に対して、0.3〜10at
%であることが好ましい。他の金属元素が0.3at%
未満ではAgの安定化の効果が低下し、また10at%
超でも再び安定化の効果が低下する。特に、本発明にお
いて、第2層または第4層が、他の金属元素として、P
dを含む層であると、化学的耐久性に優れた層を形成す
ることができるため、好ましい。Pdを含有すると、A
g原子の不動化、すなわちAgのマイグレーションの低
減を図ることができる。このAgとPdとからなる層に
おいて、Pdの添加量が多くなると成膜速度が低下し、
可視光線透過率も低下し、逆に放射率が上昇して、Lo
w−E膜としては好ましくないものとなる。そのため、
Pdの添加量は、5.0at%以下が適当である。ま
た、Pdの添加量が増加すると、第2層または第4層形
成時の材料費が著しく増加するので、0.5〜2.0a
t%程度の範囲が適正である。
4層は、同じ成分または組成からなる層であってもよい
し、異なる成分および組成からなる層であってもよい。
また、第2層および第4層のそれぞれの層は、複数の金
属層が積層された構造の層であってもよい。例えば、第
2層は、AgとPdとからなる多層構造の層であっても
よい。
成分とする金属からなる層と、酸化物からなる層との界
面、例えば、第1層と第2層との界面、第2層と第3層
との界面、第3層と第4層との界面、第4層と第5層と
の界面に、Agを主成分とする金属からなる層の安定化
を図るため、金属薄膜または窒化物膜からなるバリアー
層(Agを主成分とする金属からなる層の酸化を防止す
る層)を配設してもよい。特に、第2層と第3層との界
面、および/または第4層と第5層との界面にバリア−
層を配設した本発明の積層体は、Agを主成分とする金
属からなる層(第2層または第4層)の上に、酸化物か
らなる層(第3層または第5層)を、酸素を含む雰囲気
中で積層する際に、雰囲気中の酸素により、Agを主成
分とする金属からなる層が酸化されることを防止できる
点で、有効である。
物膜としては、Ti、Zn、Ta、NiCr、SiNx
を主成分とする膜が好適である。その膜厚は、1〜5n
mが好ましい。1nmより薄いと、バリアー層としての
働きを充分に示さず、逆に5nmより厚いと積層体の可
視光線透過率が低下し、また、色調に影響が出るなどの
不具合が生じる。ここで、SiNx 膜が完全な透明窒化
物膜であれば、その膜厚は5nmを超えてもよい。
上に、さらにオーバーコート層を積層してもよい。オー
バーコート層としては、Siを含有するSnO2 層が形
成されることが好ましい。Siを含有するSnO2 層
は、ZnOを主成分とする層との相性がよく、界面で強
い密着性が得られるたあめ、有効である。Siを含有す
るSnO2 層におけるSnとSiの総量に対するSiの
含有割合は、5〜95at%であることが好ましい。特
に、30〜90at%、さらには40〜90at%が好
ましい。
機能(耐水性)を向上させるものである。SnO2 にS
iが添加されると、形成される膜が結晶質から非晶質構
造となり緻密な膜となる。Siの割合が少なすぎると、
膜の耐湿性が低下する。また、膜が非晶質から結晶質に
近づき、膜表面の平滑性がなくなる。また、Siの割合
が多くなりすぎると、直流スパッタリング法で成膜する
際に、アーキングが発生しやすくなり、生産性が低下す
る。このSiを含有するSnO2 層の膜厚は、特に限定
されないが、耐水性および耐擦傷性を向上させるために
は、5nm程度以上必要であり、膜厚が増加するにつれ
て、耐水性や耐擦傷性が向上する。層の厚さの上限は特
にないが、20nmあれば充分な性能が得られる。
は、第5層の厚さの60〜90%である。第1層の厚さ
が第5層の厚さの60%未満であると、両方の膜厚差が
大きくなり過ぎて、無彩色に近い穏やかな反射色調を示
す積層体が得られない。また、第1層の厚さが第5層の
厚さの90%を超える厚さであると、第1層の酸化物と
第5層の酸化物の膜厚がほぼ同程度となり、入射角度を
変えても反射色調の変化が少ない積層体を得ることがで
きない。
厚さを、第5層の厚さの60〜90%にするとともに、
第2層の厚みを、第4層の厚みの、50〜90%にする
ことにより、入射角度による反射色調の変化を低減する
効果を、さらに顕著なものとすることができるため、好
ましい。また、本発明の積層体においては、第1層、第
3層および第5層の光学的厚さの和が300nm以下と
比較的薄い場合は、第1層の厚さを、第5層の厚さの6
0〜90%とするとともに、第3層の厚さを、第1層の
厚さの300%以上にすることにより、入射角度による
反射色調の変化を低減する効果を、さらに顕著なものと
することができるため好ましい。
て、第1層〜第5層の厚さは、それぞれ、前記第1層の
光学的厚さが32nm〜41nm、第2層の幾何学的厚
さが6nm〜9nm、第3層の光学的厚さが113nm
〜145nm、第4層の幾何学的厚さが8nm〜12n
m、かつ第5層の光学的厚さが45nm〜60nmであ
る構成が挙げられる。各層の厚さがこれらの範囲にある
積層体は、無彩色に近い穏やかな反射色調を有し、その
基体側からの反射色調が入射角度を変えても変化が小さ
いという特性を示す。また、Low−Eガラスに本来要
求される、高い断熱性、建物や車両用の窓ガラスとして
実用上支障のない適度の可視光透過率と可視光反射率を
有し、さらに遮熱性能にも優れている。
ては、第1層〜第5層の厚さが、それぞれ、第1層の光
学的厚さが41nm〜50nm、第2層の幾何学的厚さ
が6nm〜9nm、第3層の光学的厚さが150nm〜
177nm、第4層の幾何学的厚さが11nm〜15n
m、かつ第5層の光学的厚さが62nm〜74nmであ
る構成が挙げられる。この構成では、第1層、第3層、
第4層および第5層の厚みが、前記の構成のものより厚
いため、第1層、第3層および第5層の厚みが変動した
場合の、色調の変化が前記の構成のものより小さいた
め、安定して製造ができる点で好ましい。
ては、第1層〜第5層の厚さが、それぞれ、第1層の光
学的厚さが63nm〜71nm、第2層の幾何学的厚さ
が6nm〜9nm、第3層の光学的厚さが165nm〜
187nm、第4層の幾何学的厚さが10nm〜14n
m、かつ第5層の光学的厚さが72nm〜82nmであ
る構成が挙げられる。この構成では、第1層、第3層お
よび第5層の厚みが、第2の好ましい態様よりもさらに
厚くなっており、第1層、第3層および第5層の厚みが
変動した場合の、色調の変化が前記の構成のものよりさ
らに小さいため、安定して製造ができる。また、第3層
の厚さを第1層の厚さの300%以上にしなくても、無
彩色に近い穏やかな反射色調を有し、その基体側からの
反射色調が入射角度を変えても変化が比較的小さいとい
う特性を示す。
理した基体に、金属、合金、化合物等からなる層を形成
するための常用の方法に従って、第1層から第5層まで
を、順次、形成することによって行うことができる。こ
れらの層の形成方法は、特に限定されず、蒸着法、CV
D法、スパッタリング法などを用いることができる。特
に、窓ガラス等の大面積の基体に対しては、膜厚の均一
性を容易に制御でき、生産性にも優れるという点で、直
流スパッタリング法が有効である。
それぞれ断熱空気層を介して積層されてなる窓用ガラス
積層体であって、少なくとも1つのガラス基板が本発明
の積層体である窓用ガラス積層体を提供するものであ
る。本発明の積層体は、窓用ガラス積層体の室外側に配
置され、第1層〜第5層を有する面を断熱空気層の側に
なるように配置される。本発明の窓用ガラス積層体は、
高断熱性を有するとともに、無彩色に近い穏やかな色調
を有し、かつ室外側から見た反射光の色調が、入射角度
を変えても変化が少ないため、建築物、車両等の窓ガラ
スとして好適である。例えば、図4の構成を有するガラ
ス積層体において、基体41aとして、本発明の積層体
を用いたものは、高断熱性を有するとともに、無彩色に
近い穏やかな室外反射色調を有し、かつその反射色調
が、入射角度を変えても変化が少ないものである。
て、本発明をより具体的に説明する。
磨洗浄、界面活性剤による洗浄、純粋によるすすぎを順
次行って、表面を洗浄処理した、厚み3mmのソーダラ
イムガラス板を、スパッタリング装置内にセットし、下
記厚さの5層を順次形成して、ガラス積層体を製造し
た。 第1層 18.5nm(光学厚さ 37nm) 第2層 7.5nm 第3層 66nm(光学厚さ 132nm) 第4層 9.5nm 第5層 27nm(光学厚さ 54nm) 第1層、第3層および第5層として、Alを5at%含
有するZnターゲットを用い、酸素ガスとアルゴンガス
の混合ガス雰囲気中(酸素/アルゴンの比は、10/
1)で、圧力2.2mtorr、投入電力2.0W/c
m2 の条件でスパッタリングを行って、ZnOを主成分
とし、Alを含有する層を形成した。また、第2層およ
び第4層として、Pdを1at%含むAgターゲットを
用いて、アルゴンガス雰囲気中で、圧力2.0mtor
r、投入電力0.86W/cm 2 の条件でスパッタリング
を行って、Agを主成分とし、Pdを含有する層を形成
した。
に、第2層と第4層の金属膜の酸化を防止するために、
Alを5at%含有するZnターゲットを用い、アルゴ
ンガス雰囲気中で、圧力2.0mtorr、投入電力
0.2W/cm2 の条件でスパッタリングを行って、第2
層と第3層の界面、第4層と第5層の界面に、ZnとA
lの金属からなるバリアー層(約3nmの膜厚)を形成
した。このバリア−層は、最終的には第3層および第5
層と同じ酸化物層となった。
反射色調を、日本分光工業株式会社製のART−25G
Tを用いて、380nm〜780nmの波長範囲で、入
射角度0°、20°、40°および60°において測定
した。この測定において、入射角度0°および60°に
おける反射色調(CIE色度座標図における座標値)
は、下記のとおりであった。 入射角度0°の場合 (0.2986、0.3455) 入射角度60°の場合 (0.3025、0.3278) 入射角度0°の場合の座標値が表わす色調は、完全な無
色ではなく、僅かに緑味を帯びた色調である。但し、こ
の緑味を帯びた色調が人間の目に好印象を与え、外観色
調が穏やかであると感じられる。また、入射角度が0°
の場合と、60°の場合を比較すると、xの値の変化量
が+0.0039、yの値の変化量が−0.0177で
あった。
1と同様にして、下記厚さの5層を順次形成して、ガラ
ス積層体を製造した。 第1層 24nm(光学厚さ 48nm) 第2層 7.5nm 第3層 81.5nm(光学厚さ 163nm) 第4層 13nm 第5層 32nm(光学厚さ 64nm) 得られたガラス積層体のガラス面側からの反射色調を、
実施例1と同様の方法で測定した。この測定結果におい
て、入射角度0°および60°における反射色調(CI
E色度座標図における座標値)は、下記のとおりであっ
た。 入射角度0°の場合 (0.3001、0.3492) 入射角度60°の場合 (0.3029、0.3377) 入射角度0°の場合の反射色調は、実施例1と同様に、
穏やかな色調を呈していた。また、入射角度が0°の場
合と、60°の場合を比較すると、xの値の変化量が+
0.0028、yの値の変化量が−0.0115であっ
た。
1と同様にして、下記厚さの5層を順次形成して、ガラ
ス積層体を製造した。 第1層 34nm(光学厚さ 68nm) 第2層 7.5nm 第3層 88nm(光学厚さ 176nm) 第4層 11.5nm 第5層 38nm(光学厚さ 76nm) 得られたガラス積層体のガラス面側からの反射色調を、
実施例1と同様の方法で測定した。
び60°における反射色調(CIE色度座標図における
座標値)は、下記のとおりであった。 入射角度0°の場合 (0.2980、0.3435) 入射角度60°の場合 (0.3020、0.3280) 入射角度0°の場合の反射色調は、実施例1と同様に、
穏やかな色調を呈していた。また、入射角度が0°の場
合と、60°の場合を比較すると、xの値の変化量が+
0.0040、yの値の変化量が−0.0155であっ
た。
1と同様にして、下記厚さの5層を順次形成して、ガラ
ス積層体を製造した。 第1層 27.5nm(光学厚さ 55nm) 第2層 7.5nm 第3層 56nm(光学厚さ 112nm) 第4層 9.5nm 第5層 23nm(光学厚さ 46nm)
反射色調を、実施例1と同様の方法で測定した。この測
定結果において、入射角度0°および60°における反
射色調(CIE色度座標図における座標値)は、下記の
とおりであった。 入射角度0°の場合 (0.3005、0.3427) 入射角度60°の場合 (0.3137、0.3268) 入射角度が0°の場合と、60°の場合を比較すると、
xの値の変化量が+0.0132、yの値の変化量が−
0.0159であった。
の膜厚の測定は、Arイオンビームによるスパッタエッ
チングを併用したX線光電子分光法(XPS)を用い、
表面から深さ方向の分析を行うことにより実施した。こ
の測定では、Arイオンビームによるスパッタエッチン
グ時間が表面からの深さ、つまり膜厚に対応する。そし
て、各層のスパッタエッチング時間は、深さ方向プロフ
ァイルにおけるXPSピーク強度の立ち上がりおよび立
ち下がりでの最大強度の50%となるスパッタエッチン
グ時間の差で定義した。スパッタエッチング時間から膜
厚への換算は膜厚が既知でかつ膜構成が同じ標準試料を
用い作成した検量線により求めた。使用したXPS分光
装置は、PHI製Quantum2000 であり、X線モノクロメ
ータで単色化した15kV、20WのAlKα線をX線
源とした。X線ビームは、試料表面に垂直に入射させ、
ビーム径は100μmの条件で試料表面の100μmの
微小領域を測定した。また、X線光電子の検出角は45
°であり、帯電の影響を避けるため、電子シャワーとA
rイオンシャワーを併用し帯電補正を行った。スパッタ
エッチングのためのArイオンビームは、加速電圧1.
0keV、電流密度37nA/mm2 であり、エネルギ
ー分布の均一化と中性粒子の除去のため5°屈折させ、
試料表面に対し45°の入射角で照射した。
60°の場合は0°の場合に比較して、xの値が増加
し、yの値が減少している。CIE色度座標上でこの変
化は赤味を帯びる方向である。入射角度が0°の場合は
緑味を帯びた穏やかな色調であるので、その色調が赤味
を帯びてしまうと反射色調の変化が特に強く感じられて
しまう。このため、このxの値の増加量と、yの値の減
少量は小さい程良い。本発明の実施例は比較例に比べて
xの値の変化量が小さい、すなわち、赤味が抑えられて
いる。その結果、入射角度を変えても反射色調変化が小
さいという印象を与えることができる。本発明のガラス
積層体における基体側からの反射色調に関しては、入射
角度0°でのxの値(CIE色度座標図におけるx座
標)と60°でのxの値との差の絶対値が、0.01以
下であることが好ましく、特に、0.005以下である
ことが好ましい。
い、6mmの断熱空気層を介して別の3mmソーダライ
ムガラスと複層ガラス化し、窓用ガラス積層体(以下、
積層体Aという)を作製した。一方、6mmの断熱空気
層を12mmとした以外は、前記と同様にして窓用ガラ
ス積層体(以下、積層体Bという)を作製した。実施例
1のガラス積層体の放射率の測定値から、その熱貫流率
を計算したところ、積層体Aでは2.5、積層体Bでは
1.7であった。このことから、これらの窓用ガラス積
層体は高い断熱性を有していることが確認できた。ま
た、反射色調(図3における31a側からの反射色調)
については、複層ガラス化することにより白味が強くな
ったが、穏やかな色調である緑味は十分に認められた。
さらに、斜めから見た場合の反射色調の変化は、複層ガ
ラス化しても影響はなく、実施例1の単板の場合と同様
の良好な結果であった。また、反対側からの反射色調
(図4における41a側からの反射色調)についても前
記と同様であった。
な反射色調を有し、かつ基体側から見た反射光の色調
が、入射角度を変えても変化が少ないものである。ま
た、本発明の窓用ガラス積層体は、高断熱性を有すると
ともに、無彩色に近い穏やかな反射色調を有し、かつ基
体側から見た反射光の色調が、入射角度を変えても変化
が少ないものである。そのため、本発明の積層体および
窓用ガラス積層体は、その特長を活かして、建築物、車
両等の窓ガラス用のガラス基材に好適に用いることがで
きる。
射色調を入射角度を変えて測定した結果を示す図。
を示す模式断面図。
の例を示す模式断面図。
Claims (11)
- 【請求項1】基体と、該基体上に、基体側から、順次、
酸化物からなる第1層、Agを主成分とする金属からな
る第2層、酸化物からなる第3層、Agを主成分とする
金属からなる第4層、および酸化物からなる第5層とを
有し、第1層の厚さが第5層の厚さの60〜90%であ
る積層体。 - 【請求項2】前記第2層の厚さが、第4層の厚さの50
〜90%の厚さである請求項1に記載の積層体。 - 【請求項3】第1層、第3層および第5層の光学的厚さ
の和が300nm以下で、前記第3層の厚さが、第1層
の厚さの300%以上である請求項1〜2のいずれかに
記載の積層体。 - 【請求項4】前記第1層の光学的厚さが32nm〜41
nm、第2層の幾何学的厚さが6nm〜9nm、第3層
の光学的厚さが113nm〜145nm、第4層の幾何
学的厚さが8nm〜12nm、かつ第5層の光学的厚さ
が45nm〜60nmである請求項1〜3のいずれかに
記載の積層体。 - 【請求項5】前記第1層の光学的厚さが41nm〜50
nm、第2層の幾何学的厚さが6nm〜9nm、第3層
の光学的厚さが150nm〜177nm、第4層の幾何
学的厚さが11nm〜15nm、かつ第5層の光学的厚
さが62nm〜74nmである請求項1〜3のいずれか
に記載の積層体。 - 【請求項6】前記第1層の光学的厚さが63nm〜71
nm、第2層の幾何学的厚さが6nm〜9nm、第3層
の光学的厚さが165nm〜187nm、第4層の幾何
学的厚さが10nm〜14nm、かつ第5層の光学的厚
さが72nm〜82nmである請求項1〜2のいずれか
に記載の積層体。 - 【請求項7】前記第1層、第3層および第5層の酸化物
からなる層が、Sn、ZnおよびTiからなる群から選
ばれる少なくとも1種以上の金属の酸化物である請求項
1〜6のいずれかに記載の積層体。 - 【請求項8】前記第1層、第3層および第5層の酸化物
からなる層が、Znの酸化物を含む層である請求項7に
記載の積層体。 - 【請求項9】前記第1層、第3層および第5層の酸化物
からなる層が、ZnOを主成分として含み、さらに、S
n、Al、Cr、Ti、Si、B、MgおよびGaから
選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む層である請求
項8に記載の積層体。 - 【請求項10】前記基体が、ガラス基体である請求項1
〜9のいずれかに記載の積層体。 - 【請求項11】複数枚のガラス基板が、それぞれ断熱空
気層を介して積層されてなる窓用ガラス積層体であっ
て、少なくとも1つのガラス基板が、請求項1〜10の
いずれかに記載の積層体である窓用ガラス積層体。
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| JP9-130789 | 1997-05-21 | ||
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