JPH1134846A - Abs装置 - Google Patents

Abs装置

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JPH1134846A
JPH1134846A JP961598A JP961598A JPH1134846A JP H1134846 A JPH1134846 A JP H1134846A JP 961598 A JP961598 A JP 961598A JP 961598 A JP961598 A JP 961598A JP H1134846 A JPH1134846 A JP H1134846A
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brake
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体速度の高低や路面状況の変化などに係わ
らず常に正確な制御を行えるABS装置を提供する。 【解決手段】 路面摩擦力情報とブレーキトルク情報と
に基づいて、路面摩擦力FとブレーキトルクBとの差に
応じた差分パラメータMを演算するM演算手段21と、
M演算手段21により演算された差分パラメータMを補
正して積分することにより、車輪のロック時に0になる
車輪速度パラメータMωを演算するMω演算手段22
と、Mω演算手段22により演算された車輪速度パラメ
ータMωを微分することにより車輪加速度パラメータd
Mω/dtを演算するdMω/dt演算手段23と、d
Mω/dt演算手段23により演算された車輪加速度パ
ラメータdMω/dtを用いてブレーキ装置の液圧を制
御する電磁弁制御手段26とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、車両の急制動時
に車輪のロックを防止するABS(antilock brake sys
tem )装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のABS装置においては、歯車を有
するハブを車輪に取り付け、その歯車の回転を電磁ピッ
クアップにより検出し、その検出信号に基づいて車輪速
度を演算し、その車輪速度と加速度センサからの検出信
号とに基づいて車体速度を演算して、車輪速度と車体速
度からスリップ率を演算することにより、スリップ率を
用いて制御を行っていた。
【0003】しかし、車体速度を直接求めることは困難
であることから、車輪速度と加速度センサからの検出信
号とに基づいて車体速度を推測していたので、正確な車
体速度を求めることができず、制御が不正確であった。
【0004】しかも、車体速度が低速になるに従って電
磁ピックアップからの検出信号の周期が長くなり、制御
の精度が低下していくので、ブレーキペダルを踏み込む
ことにより車体速度が低下し始めてから車両が停止する
まで動作する必要のあるABS装置にとって、極めて不
都合である。
【0005】
【発明の開示】本願発明は、上記した事情のもとで考え
出されたものであって、車体速度の高低や路面状況の変
化などに係わらず常に正確な制御を行えるABS装置を
提供することを、その課題とする。
【0006】上記の課題を解決するため、本願発明で
は、次の技術的手段を講じている。
【0007】本願発明の第1の側面によれば、車両の車
輪と走行路面との間に作用する路面摩擦力Fに応じた路
面摩擦力情報と、車両の車輪とブレーキ装置との間に作
用するブレーキトルクTに応じたブレーキトルク情報と
を得ることができる任意数の第1のセンサを有するAB
S装置であって、第1のセンサからの路面摩擦力情報と
ブレーキトルク情報との差に応じた差分パラメータMを
演算する差分パラメータ演算手段と、差分パラメータ演
算手段により演算された差分パラメータMを補正して積
分することにより、車輪のロック時に0になる車輪速度
パラメータMωを演算する車輪速度パラメータ演算手段
と、車輪速度パラメータ演算手段により演算された車輪
速度パラメータMωを微分することにより車輪加速度パ
ラメータdMω/dtを演算する車輪加速度パラメータ
演算手段と、車輪加速度パラメータ演算手段により演算
された車輪加速度パラメータdMω/dtを用いてブレ
ーキ装置の液圧を制御するブレーキ液圧制御手段とを備
えたことを特徴とする、ABS装置が提供される。
【0008】路面摩擦力情報やブレーキトルク情報は、
各々1個のセンサから直接得てもよいし、センサからの
検出信号を演算することにより得てもよい。たとえば路
面摩擦力情報は、1個のセンサから直接得ることもでき
るし、路面摩擦係数μに応じた路面摩擦係数情報を出力
するセンサからの検出信号に、車両の重量に応じた定数
を乗算して得ることもできる。さらには、複数のセンサ
からの検出信号を演算することにより得てもよい。
【0009】第1のセンサとしては、たとえば車両の車
軸に作用する各方向の剪断力を検出する、歪ゲージから
なる応力センサを用いることができるが、これに限るも
のではない。
【0010】ブレーキ液圧制御手段は、たとえばブレー
キ装置の油圧配管に組み込まれた電磁弁を制御する。
【0011】好ましい実施の形態によれば、車両に作用
する重力加速度Gに応じた重力加速度情報を得ることが
できる任意数の第2のセンサを有し、車輪速度パラメー
タ演算手段は、差分パラメータMと、重力加速度情報に
基づく重力加速度Gとの差を積分することにより、車輪
速度パラメータMωを得る。
【0012】重力加速度情報は、1個のセンサから直接
得てもよいし、センサからの検出信号を演算することに
より得てもよい。さらには、複数のセンサからの検出信
号を演算することにより得てもよい。
【0013】差分パラメータMと重力加速度Gとの差の
積分は、差分パラメータMと重力加速度Gとをディジタ
ルデータとして処理する場合、たとえば所定時間毎に差
分パラメータMと重力加速度Gとの差を演算し、それら
を累積加算することにより実現できる。
【0014】他の好ましい実施の形態によれば、車輪速
度パラメータ演算手段は、差分パラメータMと、差分パ
ラメータMのピーク値に応じた第1の閾値に比例する値
との差を積分することにより、車輪速度パラメータMω
を得る。
【0015】他の好ましい実施の形態によれば、車両に
作用する重力加速度Gに応じた重力加速度情報を得るこ
とができる任意数の第2のセンサと、重力加速度情報に
基づく重力加速度Gの軌跡の傾きを演算する重力加速度
変化率演算手段と、重力加速度変化率演算手段により演
算された重力加速度Gの軌跡の傾きに応じて第1の閾値
を変化させる第1の閾値可変手段とを有する。
【0016】重力加速度情報に基づく重力加速度Gの軌
跡の傾きは、重力加速度Gをディジタルデータとして処
理する場合、たとえば所定時間毎に重力加速度Gを記憶
しておき、所定時間前の重力加速度Gと現在の重力加速
度Gとの差を演算することにより求められる。
【0017】他の好ましい実施の形態によれば、所定時
間毎の車輪速度パラメータMωの差を演算する二点差分
演算手段と、二点差分演算手段により演算された車輪速
度パラメータMωの差に応じて第1の閾値を変化させる
第1の閾値可変手段とを有する。
【0018】他の好ましい実施の形態によれば、今回の
減圧開始時点における路面摩擦力Fの値と、前回の減圧
開始時点における路面摩擦力Fの値との差を演算する路
面摩擦力変化量演算手段と、路面摩擦力変化量演算手段
により演算された路面摩擦力Fの変化量に応じて第1の
閾値を変化させる第1の閾値可変手段とを有する。
【0019】他の好ましい実施の形態によれば、第1の
閾値可変手段は、第1の閾値を連続的に変化させる。
【0020】連続的に変化させるとは、アナログ的に変
化させる場合だけではなく、重力加速度Gの軌跡の傾
き、車輪速度パラメータMωの差、あるいは路面摩擦力
Fの差が、所定時間毎に変化した場合に、その変化に応
じて必ず第1の閾値を変化させる場合も含む。
【0021】他の好ましい実施の形態によれば、第1の
閾値可変手段は、第1の閾値を段階的に変化させる。
【0022】段階的に変化させるとは、重力加速度Gの
軌跡の傾き、車輪速度パラメータMωの差、あるいは路
面摩擦力Fの差が、所定時間毎に変化した場合、その変
化量が所定値以上の場合に、その変化量に応じて第1の
閾値を変化させる場合をいう。
【0023】他の好ましい実施の形態によれば、ブレー
キ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始後に、車輪
加速度パラメータdMω/dtが第2の閾値に達した時
点で、ブレーキ液圧の減圧を終了させる。
【0024】第2の閾値は、車輪のスリップ率が最適な
状態における車輪加速度パラメータdMω/dtの値の
近傍に設定される。
【0025】もちろん、車輪加速度パラメータdMω/
dtを用いた減圧終了時点の判断と、車輪速度パラメー
タMωあるいは差分パラメータMを用いた減圧終了時点
の判断とを併用してもよい。この場合、複数の制御の判
断結果が異なることもあるが、ブレーキ液圧の減圧開始
から所定の最低減圧期間が経過した後に、最初に減圧終
了時点であると判断した判断結果に従えばよい。
【0026】他の好ましい実施の形態によれば、ブレー
キ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧終了後に、車輪
加速度パラメータdMω/dtが第3の閾値に達した時
点で、ブレーキ液圧を急加圧させる。
【0027】第3の閾値は、車輪速度が相対的な車体速
度程度になった状態における車輪加速度パラメータdM
ω/dtの値の近傍に設定される。この第3の閾値は、
第2の閾値よりも大きい。
【0028】ブレーキ液圧を急加圧させるとは、たとえ
ば、ブレーキ油圧の減圧終了後に、ブレーキ油圧の増圧
と保持とを所定時間毎に繰り返して徐々にブレーキ油圧
を加圧させる状態から、常にブレーキ油圧を増圧させる
状態に移行することをいうが、これに限るものではな
い。
【0029】他の好ましい実施の形態によれば、差分パ
ラメータ演算手段は、第1のセンサからの路面摩擦力情
報とブレーキトルク情報とに基づいて、路面摩擦力Fか
らブレーキトルクTを減算した値F−Tを差分パラメー
タMとして求める。
【0030】他の好ましい実施の形態によれば、差分パ
ラメータ演算手段は、車輪の半径をR、車輪の回転中心
とブレーキ装置のブレーキキャリパとの距離をrとした
ときに、第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキ
トルク情報とに基づいて、半径Rと距離rとの比R/r
と路面摩擦力Fとの積(R/r)Fからブレーキトルク
Tを減算した値(R/r)F−Tを差分パラメータMと
して求める。
【0031】他の好ましい実施の形態によれば、車両の
旋回時に、路面摩擦力Fの代わりに、車両の進行方向と
直交する方向に車輪に作用するコーナリングフォースF
S を用い、このコーナリングフォースFS に応じた路面
摩擦力情報とブレーキトルクTに応じたブレーキトルク
情報とに基づいて差分パラメータMを求める構成とし
た。
【0032】他の好ましい実施の形態によれば、車輪の
操舵角を検出する操舵角センサを設け、この操舵角セン
サからの検出信号に基づいて車輪の回転軸芯に直交する
方向と車両の進行方向との偏差である横滑り角βを求
め、この横滑り角βに基づいてコーナリングフォースF
S を求める構成とした。
【0033】このように本願発明によれば、路面摩擦力
FとブレーキトルクTとに基づいて得られる差分パラメ
ータMや、さらにそれに基づいて得られる車輪加速度パ
ラメータdMω/dtを用いて制御を実行するので、従
来のように車輪と共に回転する歯車を用いる制御と比較
して、車体速度の高低などに係わらず常に正確な制御を
行える。しかも、差分パラメータMや車輪加速度パラメ
ータdMω/dtは、路面摩擦力Fに含まれるブレーキ
トルクTのクロストーク成分が除去されたパラメータで
あることからも、制御の精度が向上する。
【0034】さらに、差分パラメータ演算手段により演
算された差分パラメータMを補正して積分することによ
り、車輪のロック時に0になる車輪速度パラメータMω
を演算し、それに基づいて車輪加速度パラメータdMω
/dtを演算するので、実際の車輪加速度の挙動に極め
て近似した車輪加速度パラメータdMω/dtを得るこ
とができ、走行路面の状況変化に迅速かつ正確に対応で
きることからも、制御の精度を一層向上させることがで
きる。
【0035】また、車輪加速度パラメータdMω/dt
を用いるので、差分パラメータMだけで制御した場合の
ように、特に極低μ路の走行時にMの変化量が極めて小
さくて、たとえば減圧終了を判断するための第1の閾値
が極めて浅くなる結果、油圧系の応答遅れによって制御
が不可能になるというような問題を良好に解消でき、特
に極低μ路面において顕著な効果が得られる。さらに
は、車輪速度パラメータMωを用いて減圧終了を判断す
る場合と比較しても、車輪加速度パラメータdMω/d
tは車輪速度パラメータMωのように初期値を持ってお
らず、0レベル付近の変動を監視することにより制御を
行えることから、容易かつ迅速に高精度な制御を行え
る。
【0036】本願発明のその他の特徴および利点は、添
付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より
明らかとなろう。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の
形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0038】図1は、本願発明に係るABS装置に設け
られたセンサブロックの配置説明図であって、センサブ
ロック1は、車両車軸2に形成された孔3に装着されて
いる。なお孔3は、必ずしも車両車軸2自体に形成する
必要はなく、車両車軸2の近傍に形成してもよい。
【0039】図2は、センサブロック1の外観斜視図で
あって、このセンサブロック1は、たとえば金属あるい
はシリコン系の材料からなる立方体形状の基板5の各表
面に、4個の金属抵抗箔からなる応力歪みゲージ6をク
ロス状に貼着したものである。なお基板5は、必ずしも
立方体形状である必要はなく、板状の基板の表裏に応力
歪みゲージ6をそれぞれクロス状に設け、それら板状の
基板を孔3の内部にたとえば3個設置してもよい。
【0040】図3は、本願発明に係るABS装置の回路
ブロック図であって、このABS装置は、ABS装置全
体を制御するCPU(central processing unit )1
1、CPU11のワークメモリとして用いられるRAM
(random access memory)12、各種のプログラムやデ
ータなどが格納されたROM(read only memory)1
3、およびCPU11とセンサや電磁弁などの入出力機
器との間の信号授受を制御するインターフェイス14を
備えている。インターフェイス14は、入力されるアナ
ログ信号をディジタル信号に変換する機能や、出力する
ディジタル信号をアナログ信号に変換する機能などを有
しており、インターフェイス14には、車両の車輪と走
行路面との間に作用する路面摩擦力Fに比例した電圧を
出力する路面摩擦力センサ15と、車両の車輪とブレー
キ装置との間に作用するブレーキトルクTに比例した電
圧を出力するブレーキトルクセンサ16と、車両に作用
する重力加速度Gに比例した電圧を出力する重力加速度
センサ17と、ブレーキ装置の油圧を制御するための電
磁弁18とが接続されている。路面摩擦力センサ15、
ブレーキトルクセンサ16、および重力加速度センサ1
7は、センサブロック1の応力歪みゲージ6により実現
されている。
【0041】図4は、CPU11がROM13に格納さ
れたプログラムに基づいて動作することにより実現され
る仮想的な回路ブロック図であって、CPU11は、M
演算手段21、Mω演算手段22、dMω/dt演算手
段23、−a演算手段24、急加圧判断手段25、およ
び電磁弁制御手段26を実現している。これらの回路
は、車両のブレーキペダルが踏み込まれることにより、
CPU11がROM13に格納されているABS制御プ
ログラムを実行することによって実現される。ブレーキ
ペダルの踏み込みは、図示していないが、ブレーキペダ
ル自体に取り付けられたセンサ、あるいはブレーキ装置
の油圧を監視するセンサなどからの検出信号に基づい
て、CPU11が判断する。
【0042】M演算手段21は、路面摩擦力センサ15
およびブレーキトルクセンサ16からインターフェイス
14を介して入力された路面摩擦力Fとブレーキトルク
Tとに基づいて、差分パラメータM=F−Tを演算す
る。
【0043】Mω演算手段22は、M演算手段21から
の差分パラメータMと、重力加速度センサ17からイン
ターフェイス14を介して入力された重力加速度Gとに
基づいて、差分パラメータMと重力加速度Gとの差M−
Gを積分することにより、車輪速度パラメータMωを演
算する。
【0044】dMω/dt演算手段23は、Mω演算手
段22からの車輪速度パラメータMωを微分することに
より、車輪加速度パラメータdMω/dtを演算する。
【0045】−a演算手段24は、路面摩擦力センサ1
5および重力加速度センサ17からインターフェイス1
4を介して入力される路面摩擦力Fおよび重力加速度G
に基づいて、第1の閾値としての−aを演算する。具体
的には、重力加速度Gを所定時間毎に監視し、今回の重
力加速度Gと前回の重力加速度Gとの差に基づいて重力
加速度Gの軌跡の傾きを演算して、その傾きに応じて−
aを連続的あるいは段階的に変化させる。さらに−a演
算手段24は、今回の減圧開始時点における路面摩擦力
Fの値と、前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの
値との差に応じて、−aを連続的あるいは段階的に変化
させる。なお、ブレーキペダルの踏み込み時における初
回の−aは、標準的な差分パラメータMのマイナス方向
のピーク値に応じて予め決定され、ROM13に記憶さ
れている。
【0046】急加圧判断手段25は、dMω/dt演算
手段23からの車輪加速度パラメータdMω/dtと、
ROM13に記憶されている第3の閾値+Aとを比較し
て、車輪加速度パラメータdMω/dtの値が第3の閾
値+Aに達すれば、過度の減圧状態であると判断して、
急加圧指示信号を出力する。車輪加速度パラメータdM
ω/dtの値が第3の閾値+Aよりも小さくなれば、急
加圧指示信号の出力を停止する。
【0047】電磁弁制御手段26は、M演算手段21か
らの差分パラメータM、dMω/dt演算手段23から
の車輪加速度パラメータdMω/dt、−a演算手段2
4からの−a、および急加圧判断手段25からの急加圧
指示信号に基づいて、電磁弁18のソレノイドへの通電
状態を切り換える。
【0048】すなわち、M演算手段21は、第1のセン
サからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報との差に
応じた差分パラメータMを演算する差分パラメータ演算
手段を構成している。Mω演算手段22は、差分パラメ
ータ演算手段により演算された差分パラメータMを補正
して積分することにより、車輪のロック時に0になる車
輪速度パラメータMωを演算する車輪速度パラメータ演
算手段を構成している。dMω/dt演算手段23は、
車輪速度パラメータ演算手段により演算された車輪速度
パラメータMωを微分することにより車輪加速度パラメ
ータdMω/dtを演算する車輪加速度パラメータ演算
手段を構成している。急加圧判断手段25および電磁弁
制御手段26は、車輪加速度パラメータ演算手段により
演算された車輪加速度パラメータdMω/dtを用いて
ブレーキ装置の液圧を制御するブレーキ液圧制御手段を
構成している。−a演算手段24は、重力加速度Gの軌
跡の傾きを演算する重力加速度変化率演算手段を構成し
ている。さらに−a演算手段24は、重力加速度Gの軌
跡の傾きに応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可
変手段を構成している。さらに−a演算手段24は、今
回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値と、前回の
減圧開始時点における路面摩擦力Fの値との差を演算す
る路面摩擦力変化量演算手段を構成している。さらに−
a演算手段24は、路面摩擦力変化量演算手段により演
算された路面摩擦力Fの変化量に応じて第1の閾値を変
化させる第1の閾値可変手段を構成している。
【0049】次に上記ABS装置の動作を説明する。ブ
レーキペダルが踏み込まれると、電磁弁制御手段26
が、M演算手段21からの差分パラメータMと−a演算
手段24からの−aとを監視し、差分パラメータMが−
aまで減少した時点で、電磁弁18を制御してブレーキ
油圧を減少させる。そして電磁弁制御手段26が、dM
ω/dt演算手段23からの車輪加速度パラメータdM
ω/dtを監視し、ブレーキ油圧の減圧開始後に、車輪
加速度パラメータdMω/dtが第2の閾値+aに達し
た時点で、電磁弁18を制御してブレーキ油圧の減少を
終了させ、たとえば10msecの増圧と40msec
の油圧保持とを交互に繰り返すことにより、ブレーキ油
圧を徐々に増加させる。
【0050】以後、上記のようなブレーキ油圧の減少制
御と増加制御とが、車両の停止時まで繰り返される。
【0051】このとき、−a演算手段24により、重力
加速度センサ17からの重力加速度Gの傾きに応じて、
−aが更新される。すなわち、路面摩擦係数μの大きな
路面の場合には重力加速度Gの傾きが大きくなり、路面
摩擦係数μの小さな路面の場合には重力加速度Gの傾き
が小さくなるので、路面の状況に応じて第1の閾値であ
る−aを変化させることにより、ブレーキ油圧の減圧開
始のタイミングを変化させている。
【0052】さらに、−a演算手段24により、減圧制
御のサイクル毎の路面摩擦力Fの差に応じて、−aが更
新される。具体的には、今回の減圧開始時点における路
面摩擦力Fと前回の減圧開始時点における路面摩擦力F
との差に所定の係数を乗算し、その値と前回の−aの値
との積を前回の−aの値から引いた値を今回の−aの値
とする。換言すれば、今回の減圧開始時点における路面
摩擦力Fと前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fと
の差に所定の係数を乗算し、その値に前回の−aの値を
乗算した値が、前回の−aの値と今回の−aの値との差
になる。すなわち、車体速度の変遷による慣性モーメン
トの変化に応じて、−aの値を変化させているのであ
る。
【0053】一方、減圧終了のタイミングが遅れた場
合、減圧終了後に車輪加速度パラメータdMω/dtの
値が過剰に大きくなることを利用して、急加圧判断手段
25が、減圧終了の遅れを検出し、急加圧指示信号を電
磁弁制御手段26に出力する。これにより電磁弁制御手
段26が、電磁弁18を制御して、ブレーキ油圧を急激
に上昇させる。このブレーキ油圧の上昇により車輪加速
度パラメータdMω/dtの値が第3の閾値+Aまで減
少すれば、急加圧判断手段25が、急加圧指示信号の出
力を停止する。これにより電磁弁制御手段26が、電磁
弁18を制御して、ブレーキ油圧を徐々に増加させる状
態に戻す。
【0054】以下、上記の動作により優れたABS制御
を行える理由について、理論的に考察する。
【0055】図5は、走行中の車両に急ブレーキが作用
したことにより車輪がロッキングに至るときの各種パラ
メータの変化を説明する説明図であって、図5より明ら
かなように、ブレーキ制動開始の立ち上がり時、路面と
車輪との間に十分な摩擦力が残存している期間(0〜t
1 )は、ブレーキ油圧Pの上昇に伴って路面摩擦力Fお
よびブレーキトルクTがブレーキ油圧Pに追随するよう
にほぼ直線的に増加する。この期間の差分パラメータM
の傾きはほぼ一定値である。
【0056】ところが、路面から車輪に作用する摩擦力
が限界点に近づくと、ブレーキトルクTがブレーキ油圧
Pに従って上昇するにも係わらず、路面摩擦力Fの上昇
度は減少を始め、やがてブレーキ油圧Pが路面から得ら
れる摩擦力の限界値に対応した一定圧力に達すると、急
速に下降線を描いて減少していく。またブレーキトルク
Tは車輪がロッキングに至るに従って、路面摩擦力Fと
同様に急速に減少を始める。このため、この期間(t1
〜t2 )において差分パラメータMは、路面摩擦力Fの
上昇度の減少に伴い急速に降下を始め、ブレーキトルク
Tのピーク点において最下点に達する。その後ブレーキ
トルクTの下降と反比例して上昇し、やがて一定値とな
る。
【0057】一般に、ブレーキトルクTは路面摩擦力F
に比して非常に大きなこともあり、通常検出される路面
摩擦力Fには相当量のブレーキトルクTのクロストーク
成分が含まれている。よって純粋な路面摩擦力を検出す
ることは非常に困難である。ところで、下記数式1に示
す近似の運動方程式において、Fpureは純粋な路面摩擦
力、tは路面摩擦力センサ15により検出された路面摩
擦力Fに混入したクロストーク成分であり、このクロス
トーク成分tはブレーキトルクTに比例している。した
がって、t/Tは定数として定義することができる。よ
って差分パラメータM=F−Tを用いて制御を行うこと
により、ブレーキトルクTによるクロストーク成分を排
除した制御が可能となり、差分パラメータMの変動は車
輪の回転角加速度dω/dtの挙動に近似できると判断
できる。なお、下記数式1において、Iは車輪の慣性モ
ーメント、ωは車輪の回転角速度、K1 ,K2 は比例定
数である。
【0058】
【数1】
【0059】そこで、ブレーキ制動開始直後から、路面
摩擦力センサ15からの路面摩擦力Fとブレーキトルク
センサ16からのブレーキトルクTとに基づいて、M演
算手段21により差分パラメータMを逐次演算して、そ
の結果を電磁弁制御手段27に送る。電磁弁制御手段2
7では、ブレーキ制動開始直後から差分パラメータMを
監視し、差分パラメータMの値が−a演算手段24から
の−aの値まで小さくなった時点で車輪がロッキングに
向かっていると判断し、この時点をABS制御の減圧制
御開始タイミングとして、ブレーキ油圧Pを減少させる
ことで車輪のロッキングを回避する。図5における−a
は、第1の閾値に相当し、ブレーキ制御における制動力
の限界境界線を意味する。
【0060】ところで、限界境界線は路面摩擦係数μの
限界境界に相当するものであり、路面摩擦係数μは路面
の状況や車両速度の変化に伴ってリアルタイムに変化す
る。すなわち限界境界線たる−aもリアルタイムに変化
させる必要がある。この−aの変更制御については後述
する。
【0061】ブレーキ油圧Pを増加させると、ブレーキ
系の伝達遅れを介してブレーキトルクTが増加し、更に
伝達遅れを介して路面摩擦力Fが増加する。一般に図5
の路面摩擦力Fのピーク値から左側は安定領域、右側は
不安定領域と呼ばれているが、この不安定領域には、ロ
ッキングの直前の状況、すなわち車輪は回転しているも
ののその回転速度が急速に減少を始める、いわゆるオー
バースリップ現象が存在し、この時点においてブレーキ
油圧Pを減少させることによって、車輪のロッキングは
防がれる。
【0062】一方、ブレーキ油圧Pの増圧もしくは保持
中に、差分パラメータMは負の領域方向に大きく移行す
る。ここで、不安定領域に達する時点で差分パラメータ
Mに境界線たる減圧しきい値基準線として−aを与え、
その−aを差分パラメータMと比較すると、図6に示す
ようにブレーキ油圧減少信号Aが得られ、このブレーキ
油圧減少信号Aが得られた時点(t4 )を減圧制御開始
タイミングと判断する。この−aは、車輪の安定領域に
おけるブレーキ油圧Pの不要な減圧を防止するために、
現存する最大の路面摩擦係数μによる差分パラメータM
より僅かにマイナスの方向に大きな値でなければならな
い。
【0063】差分パラメータMは、上記数式1により車
輪の回転角加速度dω/dtの挙動に近似できることは
既述のとおりである。そこで、下記数式2より、差分パ
ラメータMの積分値Mωは車輪速度VW の挙動に近似的
に表現できると判断できる。なお下記数式2において、
Rは車輪有効半径である。また、下記数式3に差分パラ
メータMの積分値Mωと車輪速度VW との関係式を示
す。下記数式3において、k,Cは定数である。また、
図7にブレーキ制御による車輪速度VW に近似した積分
値Mωの挙動を示す。
【0064】
【数2】
【0065】
【数3】
【0066】図7に示すように、基本的に実際の制御に
おいて取得される差分パラメータMは、車輪のロッキン
グ時において車輪速度VW が0の値に帰するに対し、常
に負の領域に存在するため、積分値Mωを車輪速度VW
に近似できるように補正しなければならないという問題
が残存する。またこの期間における車両の相対的な減速
度は、車輪に作用する力が静摩擦係数による力から動摩
擦係数による力に変化することにより慣性的な力になる
ため、減速度は一定となる。
【0067】そこで図8に示すように、重力加速度セン
サ17からの重力加速度Gを用いて、M−Gを積分する
ことにより、車輪速度パラメータMωを演算する。この
ように、重力加速度Gをゼロドリフトラインとして用い
ることによって差分パラメータMを補正した後に積分す
ることにより、実際の制御における車輪速度VW と同等
な挙動を有する車輪速度パラメータMωが得られる。
【0068】ブレーキ制御開始直後から車輪ロックに至
るまでの間に、差分パラメータMが、ゼロドリフトライ
ンよりも正の方向に位置する期間が存在する。この期間
における車輪の回転角加速度の変化量は微少であり、実
際のABS制御において無視してもよい期間、すなわち
安定領域であると判断できる。従ってブレーキ制御開始
直後から差分パラメータMがゼロドリフトラインに達す
るまでの期間は、ABS制御をする必要がないと判定す
る要因になり得る。
【0069】車輪加速度パラメータdMω/dtは、車
輪速度パラメータMωを微分したものであり、この車輪
加速度パラメータdMω/dtを減圧制御終了判定に用
いるために、図9に示すように、第2の閾値+aを利用
している。すなわち、ブレーキ制御開始後に、車輪加速
度パラメータdMω/dtが第2の閾値+aに達した時
点t5 を、車輪速度が安定領域にまで十分回復した減圧
制御終了タイミングとして判断している。
【0070】このようにすれば、極低μ路の走行時のよ
うに差分パラメータMの変化量が極めて小さい場合であ
っても、車輪加速度パラメータdMω/dtの変化量は
十分に大きいので、精度良く減圧制御終了判定を行え
る。しかも、車輪加速度パラメータdMω/dtは車輪
速度パラメータMωのように初期値を持つことがないの
で、0レベル付近で制御を行える。
【0071】減圧制御期間中に車輪速度が十分に回復し
ているにも係わらず過剰に減圧制御を行った場合、車輪
速度は相対的な車体速度に近づく傾向を示し、スリップ
率の損失を招く。この期間において図10に示すように
車輪加速度パラメータdMω/dtも第2の閾値+aを
越え、第3の閾値+Aに至る。通常、減圧制御終了後は
パルスステップコントロール制御による緩やかな加圧を
実施するが、過剰な減圧制御が発生した場合、スリップ
率の損失が解消されず、結果として制動距離の損失を招
く要因となる。そこで第2の閾値+aよりも大きい第3
の閾値+Aを設定し、車輪加速度パラメータdMω/d
tが第3の閾値+Aを越えた時点t6 で今までの緩やか
な加圧制御から急加圧制御へ移行する。これによって損
失したスリップ率の速やかな回復を図り、車輪加速度パ
ラメータdMω/dtが再び第3の閾値+Aまで戻って
きた時点t7 でスリップ率の損失が解消されたものと判
断し、通常の緩やかな加圧制御に戻す。
【0072】一般に路面摩擦力Fや路面摩擦係数μは、
制御中の路面の種類、例えば乾燥アスファルト路から濡
れたアスファルト路への変化や、車体速度の変遷やギヤ
位置による慣性モーメントの大小に対応して変化する。
従来のABS制御装置は、主とする制御パラメータをス
リップ率や車輪減速度に置き換え、その設定値すなわち
車輪の安定限界を検出するための値を変化させる方式を
採用している。しかしながら、従来のABS装置に使用
されている歯車状の車輪速度センサは、低速になる程そ
のセンシングが悪くなるという応答性上の問題や、スリ
ップ率を算出するのに必要な車体速度を車輪速度による
推定値に頼っているため、その信頼性に欠けるという問
題が残存する。
【0073】そこで図11に示すように、差分パラメー
タMが−aと交差する点αと前回の制御サイクル時の交
点である点βとにおける路面摩擦力Fの値の比較を行
い、その差だけ−aもしくはその傾きを深くする。すな
わち、車輪の安定限界の底を下方へ引き下げる。これを
ブレーキ制動開始直後から常に監視し、連続的に実施す
ることで、−aを段階的もしくは連続的に変化させるこ
とにより、車体速度の変遷による慣性モーメントの変化
に対応した−aの制御を実現できる。
【0074】さらに、重力加速度Gの軌跡の傾きに応じ
て−aを段階的もしくは連続的に変化させることによ
り、路面状況の変化に対応した−aの制御を実現でき
る。
【0075】すなわち、従来のABS装置に採用されて
いる歯車状の車輪速センサの欠点を排除したリアルタイ
ムセンシング可能な、かつ路面状況や車両のギヤ位置に
よる慣性モーメントの大小に適応した制御が実現する。
【0076】図12は、本願発明の別の実施形態におけ
るCPU11により実現される仮想的な回路ブロック図
であって、この実施形態においては、Mω演算手段31
が、差分パラメータMと重力加速度Gとの差M−Gを積
分することにより車輪速度パラメータMωを演算する代
わりに、M演算手段21からの差分パラメータMと、−
a演算手段32からの−aに比例する値との差を積分す
ることにより、車輪速度パラメータMωを演算する。ま
た、−a演算手段32が、重力加速度Gの軌跡の傾きに
応じて−aを変化させる代わりに、所定時間毎の車輪速
度パラメータMωの差に応じて−aを変化させる。他の
動作は図4に示す回路ブロックの場合と同様である。こ
のようにすれば、重力加速度センサ17を用いることな
く制御を行える。
【0077】すなわち、Mω演算手段31は、差分パラ
メータMと、差分パラメータMのピーク値に応じた第1
の閾値に比例する値との差を積分することにより、車輪
速度パラメータMωを得る車輪速度パラメータ演算手段
を構成している。−a演算手段32は、所定時間毎の車
輪速度パラメータMωの差を演算する二点差分演算手段
を構成している。さらに−a演算手段32は、二点差分
演算手段により演算された車輪速度パラメータMωの差
に応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段を
構成している。
【0078】以下、上記の動作により優れたABS制御
を行える理由について、理論的に考察する。
【0079】先ず車輪速度パラメータMωの演算に際し
て、図13に示すように、差分パラメータMが車輪ロッ
ク状態において減速度と同様に一定値に達することを利
用し、車輪ロック期間における差分パラメータMの値M
0と同等なゼロドリフトラインすなわち−aに比例した
値を有する直線を基準線として用いることで補正する。
このゼロドリフトラインを基準線と想定する、すなわち
原点をゼロドリフトラインにまで移動させることによっ
て、実際の制御における車輪速度VW と同等な挙動を有
する車輪速度パラメータMωが得られる。
【0080】ブレーキ制御開始直後から車輪ロックに至
るまでの間で差分パラメータMは、ゼロドリフトライン
よりも正の方向にある期間が存在する。この期間におけ
る車輪加速度の変化量は微少であり、実際のABS制御
において無視してもよい期間、すなわち安定領域である
と判断できる。従ってブレーキ制御開始直後からゼロド
リフトラインにまで差分パラメータMが達するまでの期
間はABS制御をする必要がないと判定する要因になり
得る。
【0081】ブレーキ制御中の路面状況の変移に関して
は、車輪速度Vw の挙動に近似できる車輪速度パラメー
タMωの二点差分式より導出される値により推定可能で
ある。二点差分とはある規定時間における車輪速度パラ
メータMωの変化量をリアルタイムに求めたもので、車
輪速度Vw の変化量に相当する。
【0082】たとえば、ブレーキ制動制御中の車両が通
過する路面の状況が、濡れたアスファルト路面から乾燥
したアスファルト路面に変化した場合、前半部の濡れた
アスファルト路面走行時は、路面に現存する摩擦係数μ
は低く、−aを相対的に小さくしなければならない。当
然ながら差分パラメータMも小さくなり、その積分値に
対応する車輪速度パラメータMωの変化量も小さくな
る。しかしながら、車両が乾燥したアスファルト路面に
突入すると、路面に現存する摩擦係数μが大きくなっ
て、−aを深くすることができ、結果として車輪速度パ
ラメータMωの変化量が増大する。この車輪速度パラメ
ータMωの変異点が、路面状況の変化により路面摩擦係
数μが大きく変わる変移点に相当し、各々の路面状況に
則した−aの設定が可能となる。
【0083】なお上記各実施形態においては、M演算手
段21が、路面摩擦力情報とブレーキトルク情報とに基
づいて、路面摩擦力FからブレーキトルクTを減算した
値F−Tを差分パラメータMとして求めるように構成し
たが、必ずしもこのようにする必要はない。たとえば、
車輪の半径をR、車輪の回転中心とブレーキ装置のブレ
ーキキャリパとの距離をrとしたときに、路面摩擦力情
報とブレーキトルク情報とに基づいて、半径Rと距離r
との比R/rと路面摩擦力Fとの積(R/r)Fからブ
レーキトルクTを減算した値(R/r)F−Tを差分パ
ラメータMとして求めてもよい。半径Rおよび距離r
は、ABS装置が搭載される車両に応じて予め決まって
いるので、定数R/rの値も既知であり、その定数R/
rはたとえばROM13に記憶させておく。
【0084】すなわち、車輪の半径をR、車輪の回転中
心とブレーキ装置のブレーキキャリパとの距離をrとす
れば、タイヤトルクはRF、ブレーキトルクはrTであ
り、上記数式1は下記数式4のように表されるので、
(R/r)F−Tを差分パラメータMとして用い得るこ
とは明らかである。
【0085】
【数4】
【0086】このようにすれば、車両が停止したときの
差分パラメータMが0になり、制御が容易になる。ま
た、ブレーキ装置の作動時における差分パラメータMの
ピーク値が時間的に早く現れるので、第1の閾値である
−aに到達するのも早いことから、オーバースリップの
発生が起こり難くなる。
【0087】また、車両の旋回時に、路面摩擦力Fの代
わりに、車両の進行方向と直交する方向に車輪に作用す
るコーナリングフォースFS を用い、このコーナリング
フォースFS に応じた路面摩擦力情報とブレーキトルク
Tに応じたブレーキトルク情報とに基づいて差分パラメ
ータMを求めるようにしてもよい。もちろん、ブレーキ
制御は各車輪毎に各別に実行する。すなわち、車両の旋
回時においては、内輪側と外輪側とで車輪に作用する力
が異なり、内輪側の車輪がロッキングを起こし易いが、
コーナリングフォースFS を用いてブレーキ制御を実行
することにより、このような問題が解消され、適切な制
御を行えるものと考えられる。
【0088】ところで、タイヤのコーナリング特性に関
するFiala の理論を用いてコーナリングフォースFS
導出すると、コーナリングフォースFS は近似的にコー
ナリングパワーKと横滑り角βとの積Kβで表せること
が公知の事実として知られている。ここで、コーナリン
グパワーKはタイヤのトレッド形状および材質によって
決定される定数であり、横滑り角βは車輪の回転軸芯に
直交する方向と車両の進行方向との偏差である。また、
一般的には、横滑り角βは車輪の操舵角に基づいて求め
られる。したがって、車輪の操舵角を検出する操舵角セ
ンサを設けることにより、車両の旋回時に、操舵角セン
サからの検出信号に基づいて横滑り角βを求め、この横
滑り角βとコーナリングパワーKとによりコーナリング
フォースFS を求めて、このコーナリングフォースFS
を路面摩擦力情報として用いて差分パラメータMを演算
し、この差分パラメータMに基づいてブレーキ制御を行
うようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るABS装置に設けられたセンサ
ブロックの配置説明図である。
【図2】本願発明に係るABS装置に設けられたセンサ
ブロックの外観斜視図である。
【図3】本願発明に係るABS装置の回路ブロック図で
ある。
【図4】本願発明に係るABS装置に備えられたCPU
により実現される仮想的な回路ブロック図である。
【図5】本願発明に係るABS装置における各部信号波
形図である。
【図6】本願発明に係るABS装置における各部信号波
形図である。
【図7】本願発明に係るABS装置における各部信号波
形図である。
【図8】本願発明に係るABS装置における各部信号波
形図である。
【図9】本願発明に係るABS装置における各部信号波
形図である。
【図10】本願発明に係るABS装置における各部信号
波形図である。
【図11】本願発明に係るABS装置における各部信号
波形図である。
【図12】別の実施形態におけるABS装置に備えられ
たCPUにより実現される仮想的な回路ブロック図であ
る。
【図13】別の実施形態におけるABS装置の各部信号
波形図である。
【符号の説明】
11 CPU 12 RAM 13 ROM 14 インターフェイス 15 路面摩擦力センサ 16 ブレーキトルクセンサ 17 重力加速度センサ 18 電磁弁 21 M演算手段 22 Mω演算手段 23 dMω/dt演算手段 24 −a演算手段 25 急加圧判断手段 26 電磁弁制御手段 31 Mω演算手段 32 −a演算手段

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車輪と走行路面との間に作用する
    路面摩擦力Fに応じた路面摩擦力情報と、車両の車輪と
    ブレーキ装置との間に作用するブレーキトルクTに応じ
    たブレーキトルク情報とを得ることができる任意数の第
    1のセンサを有するABS装置であって、 前記第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトル
    ク情報との差に応じた差分パラメータMを演算する差分
    パラメータ演算手段と、 前記差分パラメータ演算手段により演算された差分パラ
    メータMを補正して積分することにより、前記車輪のロ
    ック時に0になる車輪速度パラメータMωを演算する車
    輪速度パラメータ演算手段と、 前記車輪速度パラメータ演算手段により演算された車輪
    速度パラメータMωを微分することにより車輪加速度パ
    ラメータdMω/dtを演算する車輪加速度パラメータ
    演算手段と、 前記車輪加速度パラメータ演算手段により演算された車
    輪加速度パラメータdMω/dtを用いて前記ブレーキ
    装置の液圧を制御するブレーキ液圧制御手段とを備えた
    ことを特徴とする、ABS装置。
  2. 【請求項2】 前記車両に作用する重力加速度Gに応じ
    た重力加速度情報を得ることができる任意数の第2のセ
    ンサを有し、 前記車輪速度パラメータ演算手段は、差分パラメータM
    と、前記重力加速度情報に基づく重力加速度Gとの差を
    積分することにより、車輪速度パラメータMωを得る、
    請求項1に記載のABS装置。
  3. 【請求項3】 前記車輪速度パラメータ演算手段は、差
    分パラメータMと、差分パラメータMのピーク値に応じ
    た第1の閾値に比例する値との差を積分することによ
    り、車輪速度パラメータMωを得る、請求項1に記載の
    ABS装置。
  4. 【請求項4】 前記車両に作用する重力加速度Gに応じ
    た重力加速度情報を得ることができる任意数の第2のセ
    ンサと、 前記重力加速度情報に基づく重力加速度Gの軌跡の傾き
    を演算する重力加速度変化率演算手段と、 前記重力加速度変化率演算手段により演算された重力加
    速度Gの軌跡の傾きに応じて前記第1の閾値を変化させ
    る第1の閾値可変手段とを有する、請求項3に記載のA
    BS装置。
  5. 【請求項5】 所定時間毎の車輪速度パラメータMωの
    差を演算する二点差分演算手段と、 前記二点差分演算手段により演算された車輪速度パラメ
    ータMωの差に応じて前記第1の閾値を変化させる第1
    の閾値可変手段とを有する、請求項3に記載のABS装
    置。
  6. 【請求項6】 今回の減圧開始時点における路面摩擦力
    Fの値と、前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの
    値との差を演算する路面摩擦力変化量演算手段と、 前記路面摩擦力変化量演算手段により演算された路面摩
    擦力Fの変化量に応じて前記第1の閾値を変化させる第
    1の閾値可変手段とを有する、請求項3ないし請求項5
    のいずれかに記載のABS装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の閾値可変手段は、第1の閾値
    を連続的に変化させる、請求項4ないし請求項6のいず
    れかに記載のABS装置。
  8. 【請求項8】 前記第1の閾値可変手段は、第1の閾値
    を段階的に変化させる、請求項4ないし請求項6のいず
    れかに記載のABS装置。
  9. 【請求項9】 前記ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ
    液圧の減圧開始後に、車輪加速度パラメータdMω/d
    tが第2の閾値に達した時点で、ブレーキ液圧の減圧を
    終了させる、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載
    のABS装置。
  10. 【請求項10】 前記ブレーキ液圧制御手段は、ブレー
    キ液圧の減圧終了後に、車輪加速度パラメータdMω/
    dtが第3の閾値に達した時点で、ブレーキ液圧を急加
    圧させる、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の
    ABS装置。
  11. 【請求項11】 前記差分パラメータ演算手段は、前記
    第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情
    報とに基づいて、路面摩擦力FからブレーキトルクTを
    減算した値F−Tを差分パラメータMとして求める、請
    求項1ないし請求項10のいずれかに記載のABS装
    置。
  12. 【請求項12】 前記差分パラメータ演算手段は、前記
    車輪の半径をR、前記車輪の回転中心と前記ブレーキ装
    置のブレーキキャリパとの距離をrとしたときに、前記
    第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情
    報とに基づいて、前記半径Rと前記距離rとの比R/r
    と路面摩擦力Fとの積(R/r)Fからブレーキトルク
    Tを減算した値(R/r)F−Tを差分パラメータMと
    して求める、請求項1ないし請求項10のいずれかに記
    載のABS装置。
  13. 【請求項13】 車両の旋回時に、路面摩擦力Fの代わ
    りに、車両の進行方向と直交する方向に車輪に作用する
    コーナリングフォースFS を用い、このコーナリングフ
    ォースFS に応じた路面摩擦力情報とブレーキトルクT
    に応じたブレーキトルク情報とに基づいて差分パラメー
    タMを求める構成とした、請求項1ないし請求項12の
    いずれかに記載のABS装置。
  14. 【請求項14】 車輪の操舵角を検出する操舵角センサ
    を設け、この操舵角センサからの検出信号に基づいて車
    輪の回転軸芯に直交する方向と車両の進行方向との偏差
    である横滑り角βを求め、この横滑り角βに基づいて前
    記コーナリングフォースFS を求める構成とした、請求
    項13に記載のABS装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114771477A (zh) * 2022-05-27 2022-07-22 烟台大学 一种基于摩檫力随动补偿的汽车防抱死制动方法

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CN114771477A (zh) * 2022-05-27 2022-07-22 烟台大学 一种基于摩檫力随动补偿的汽车防抱死制动方法
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