JPH11348595A - 車両用左右輪の駆動制動制御装置 - Google Patents

車両用左右輪の駆動制動制御装置

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JPH11348595A
JPH11348595A JP16041898A JP16041898A JPH11348595A JP H11348595 A JPH11348595 A JP H11348595A JP 16041898 A JP16041898 A JP 16041898A JP 16041898 A JP16041898 A JP 16041898A JP H11348595 A JPH11348595 A JP H11348595A
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wheels
brake
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秋介 稲垣
Yasuo Tanaka
泰男 田中
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  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Retarders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用左右輪の駆動制動制御装置において、
機械式リミテッドスリップデフと左右の各駆動輪を別々
に制動しうるブレーキ装置を利用して、装置のコスト増
や重量増等を招くことなく車両の旋回性能を向上できる
ようにする。 【解決手段】 左右駆動輪10L,10Rと、エンジン
から出力された駆動力を左右駆動輪10L,10Rに差
動制限をしながら伝達する機械式リミテッドスリップデ
フ12と、左右駆動輪10L,10Rにそれぞれ設けら
れたブレーキ装置20とをそなえ、リミテッドスリップ
デフ12は、エンジンから入力された駆動力が前進方向
であるときだけ差動制限を可能にするワンウェイクラッ
チ18を有し、車両の前進加速旋回時に、左右駆動輪1
0L,10Rのうちの旋回内輪側の駆動輪にブレーキ装
置20によって所要の制動力を加える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械式リミテッド
スリップデフを通じて駆動力を伝達される左右の駆動輪
に対して、ブレーキ装置による制動制御を利用して駆動
力制御を行ないうる、車両用左右輪の駆動制動制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両(自動車)の左右輪の駆動力
や制動力を制御する技術が開発されている。例えばエン
ジンからの駆動力を左右の駆動輪(以下、単に左右輪と
いう)へ確実に伝達するために、リミテッドスリップデ
フが開発されている。このリミテッドスリップデフは、
左右輪の差動を許容しつつ左右輪に駆動力を配分し、一
方の駆動輪がスリップして左右輪の差動が大きくなると
この差動を制限して、一方の駆動輪のスリップを抑制
し、他方の駆動輪への駆動力の伝達を可能にする。
【0003】こうしたリミテッドスリップデフ(以下、
LSDという)には、種々のタイプのものがあり、これ
らのLSDは、エンジンからの駆動力が入力される入力
側と駆動輪へ駆動力を出力する出力側との間に介装さ
れ、一般に、後輪の左右駆動輪間に設けられる。例えば
機械式LSDの場合、デフ自体は、エンジンからの駆動
力がデフケースから入力され、互いに噛合するピニオ
ン,サイドギヤを介して、左右輪の各駆動軸に出力する
ように構成され、差動制限機構は、デフケースと一体回
転するフリクションディスクと、サイドギヤと一体回転
するフリクションディスクとが、摺接されることにより
構成されている。
【0004】そして、入出力軸間(デフケースとサイド
ギヤとの間)で差動が生じると、かかる差動制限機構が
この差動を低減するように作用する。したがって、一方
の駆動輪がスリップした場合には、この一方の駆動輪側
のサイドギヤとデフケースとの間や他方の駆動輪側のサ
イドギヤとデフケースとの間で差動が生じることにな
り、この差動が抑制される。
【0005】この差動抑制により、スリップしている
(スリップの大きい)側の駆動輪の無駄な回転が抑制さ
れるとともに、スリップしていない(又は、スリップが
少ない)側の駆動輪に確実に駆動力が伝達され、車両の
走行性が確保される。特に、LSDにエンジンからの駆
動力を入力された場合だけ、差動制限クラッチの結合を
可能とするクラッチをそなえたクラッチ付き機械式LS
Dや、LSDにエンジンから前進方向への駆動力を入力
された場合だけ、差動制限クラッチの結合を可能とする
ワンウェイクラッチをそなえた、ワンウェイクラッチ付
き機械式LSDも開発されている。
【0006】一方、制動時の車輪のロックを防止できる
ように、各車輪毎にロック傾向を判定してロック傾向で
あれば制動力を低減制御できるようにした、アンチロッ
クブレーキシステム(ABS)も開発され実用化されて
いる。このようなABSを搭載した車両の場合、上記の
ワンウェイクラッチ付き機械式LSDを装備すれば、エ
ンジンからの駆動力を入力されない制動時にはLSDは
作用しないので、LSDがABSと干渉するようなこと
はない。
【0007】ところで、車両の旋回開始時には、車両を
旋回方向に回頭させる必要があり、操舵輪(前輪)を転
舵することで車両の回頭を行なっているが、LSDによ
り左右輪の差動を制限すると、車両の回頭が抑制され
る。この回頭の抑制は、旋回開始時に必要以上にタック
インしやすい場合(オーバステア傾向が大の場合)には
差動制限が有効に働きステア特性が改善されるが、特に
タックインが問題ない程度なら、車両の速やかな回頭を
妨げることになり好ましくない。
【0008】したがって、クラッチ付き機械式LSDの
場合には、車両を回頭させたければ、アクセルオフとし
てエンジンからの駆動力をLSDに入力させないように
すればよく、車両の回頭を抑制したければ、アクセルオ
ンとしてエンジンからの駆動力をLSDに入力させれば
よい。そこで、このような機械式LSDを用いて、例え
ばワインディングロードのスポーツ走行中などに、ドラ
イバの運転操作により、ステア特性の変化を利用しなが
ら車両を安定走行させつつ高速な旋回を行なえるように
することも可能となる。
【0009】しかしながら、こうした運転操作は、ドラ
イバの高度な運転技術を必要とするだけでなく、車両の
ステア特性の設定や、機械式LSDのロック率の設定
や、初期トルク(クラッチ付きの機械式LSDのクラッ
チを結合しうる最低駆動力)の設定を適切に行なわなく
てはならない。ところが、ロック率を増すとヒステリシ
スが大きくなって、ドライバのスロットルによるステア
操作が困難になってしまい、また、初期トルクを増加さ
せると、旋回初期の自転(回頭)が困難になるという不
具合があり、実際には、車両のステア特性,ロック率,
初期トルクの設定をいずれも適切に行なうことは困難で
ある。
【0010】また、機械式LSDの場合、片輪の衝撃入
力が大きいという特性もある。なお、このような機械式
LSD以外に、ビスカスカップリングユニット(VC
U)等の速度感応型LSDもあるが、この場合、旋回時
の内輪トルクが外輪トルクよりも常に大きくなってしま
うため、車両の限界運転時に後輪の左右輪駆動制御によ
る前輪の補助が不可能であるという課題や、凹凸路直進
加速性能が悪いという不具合があり、上述のような旋回
性能の向上を目指す場合、機械式LSDの方が都合がよ
い。
【0011】ところで、機械式LSDの場合、ドライバ
が如何に高度な運転技術を有していても、カーブ路で加
速しながら車両をカーブに沿って回頭させることは困難
である。つまり、加速をするためには、駆動輪に前進駆
動力を与える必要があり、機械式LSDに駆動力が加わ
って差動制限が行なわれ、車両が回頭しにくくなってし
まう。
【0012】そこで、単に差動を制限して車輪のスリッ
プを抑制するだけでなく、左右輪(特に、後輪)への駆
動力配分を積極的に制御できるようにして、車両の旋回
性能の向上を図ることができるようにしたLSDも開発
されている。このようにアクティブ制御できるLSDと
しては、例えばトルク移動型LSDや電磁クラッチ式L
SDがあり、例えば加速しながらも必要に応じて差動制
限を弱めるようにすることで、回頭性能を向上できるよ
うにすることができる。
【0013】トルク移動型LSDの場合、例えば、エン
ジンの駆動力を入力される入力側と左右の駆動輪に駆動
力を出力する出力側との間にそれぞれ自由に圧着状態を
制御できる多板クラッチが介設されており、これらの多
板クラッチの圧着を制御することで、差動制限力を調整
するように構成されている。電磁クラッチ式LSDの場
合、差動制限に直接関与するメインクラッチの他にパイ
ロットクラッチをそなえ、電磁コイルへの電力調整によ
りアーマチャ等を駆動してパイロットクラッチを圧着す
ることで、メインクラッチの圧着が可能になり、パイロ
ットクラッチの圧着下で左右輪に差動が生じると、メイ
ンクラッチが圧着して、左右輪間での差動制限を行なう
ように構成されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
トルク移動型LSDの場合、旋回時に外輪トルクを内輪
トルクよりも大きくすることができ、旋回初期の自転が
つくりやすいものの、外輪トルクを十分に増大できるよ
うにするには、LSDを大型で重量の大きいものにしな
くてはならない。また、フィードバック制御によりトル
ク移動を行なうため、制御遅れにより凹凸路走行時や高
速旋回時の走行安定性が低下しやすいという課題があ
る。
【0015】また、電磁クラッチ式LSDも、旋回時に
外輪トルクを内輪トルクよりも大きくすることができ、
旋回初期の自転がつくりやすいものの、舗装高μ路での
拘束トルクが不足するという課題がある。また、上述の
各LSDを組み合わせたものも開発されているが、装置
の大型化を招いたり、コストの増大を招く等の課題があ
る。
【0016】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、機械式リミテッドスリップデフと左右の各駆動輪
を別々に制動しうるブレーキ装置を利用しながら、装置
のコスト増や重量増等を招くことなく、車両の旋回性能
を向上できるようにした、車両用左右輪の駆動制動制御
装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の車両用左右輪の駆動制動制御装置では、エン
ジンから出力された駆動力は、機械式リミテッドスリッ
プデフを通じて差動制限をされながら左右駆動輪に伝達
される。このとき、リミテッドスリップデフは、ワンウ
ェイクラッチを有しており、エンジンから入力された駆
動力が前進方向であるときだけ差動制限を行なう。
【0018】そして、車両の前進加速旋回時には、該左
右駆動輪のうちの旋回内輪側の駆動輪にブレーキ装置に
よって所要の制動力を加える。これにより、旋回外輪側
の駆動輪への駆動トルクが増加する一方で、旋回内輪側
の駆動輪への駆動トルクは僅かな増加に抑えられるか又
は増加しないようになり、旋回外輪側が旋回内輪側より
も十分に大きくトルク配分されるようになり、旋回性能
向上に寄与する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明すると、図1〜図8はいずれも本発
明の一実施形態としての車両用左右輪の駆動制動制御装
置を示すものである。なお、本実施形態にかかる車両
(自動車)は、左右の前輪及び左右の後輪へそれぞれエ
ンジン駆動力を伝達して走行しうる四輪駆動車であっ
て、本装置は、左右の後輪側に設けられている。
【0020】つまり、図1に示すように、本駆動制動制
御装置は、ワンウェイクラッチ付き機械式リミテッドス
リップデフ(以下、機械式LSD又は単にLSDとい
う)12をそなえており、この機械式LSD12を通じ
て、図示しないエンジンからの駆動力が左右の駆動輪
(以下、単に車輪ともいう)10L,10Rに伝達され
るようになっている。
【0021】この機械式LSD12は、エンジンからの
駆動力がデフケース12Aに入力され、デフケース12
Aに装着されたピニオン12B,ピニオン12Bと噛合
するサイドギヤ12L,12Rを経て、サイドギヤ12
L,12Rの結合された後輪駆動軸14L,14Rへと
伝達されて、後輪駆動軸14L,14Rに結合された左
右の駆動輪10L,10Rへと伝達されるようになって
いる。
【0022】そして、機械式LSD12における入力側
部材と出力側部材との間に、フリクションディスク16
A,16Bを有する差動制限機構16が介装されてい
る。つまり、エンジンからの駆動力が入力される入力側
部材であるデフケース12Aと一体回転するように複数
のフリクションディスク16Aが、駆動輪10L,10
Rへ駆動力を出力される出力側部材であるサイドギヤ1
2L,12R又は後輪駆動軸14L,14Rと一体回転
するように複数のフリクションディスク16Bが、それ
ぞれそなえられている。
【0023】また、この機械式LSD12は、エンジン
から前進駆動力が入力された場合のみフリクションディ
スク16A,16Bを互いに係合可能とするワンウェイ
クラッチ18がそなえられており、エンジンから前進駆
動力が入力された状態で、入力側部材(デフケース12
A)と出力側部材(サイドギヤ12L,12R)とが差
動を生じると、フリクションディスク16A,16Bの
相互間で、高速回転側から低速回転側へ駆動力(トル
ク)が伝達されるようになっている。
【0024】逆に、エンジンから前進駆動力が入力され
なければ、入力側部材(デフケース12A)と出力側部
材(サイドギヤ12L,12R)とが差動を生じても、
ワンウェイクラッチ18の機能によって、フリクション
ディスク16A,16Bは係合せずに、左右輪間での駆
動力(トルク)の伝達は行なわれないようになってい
る。
【0025】また、左右の駆動輪10L,10Rに別個
に制動力を加えることができるブレーキ装置20がそな
えられている。つまり、各駆動輪10L,10Rにはそ
れぞれキャリパ22がそなえられ、各キャリパ22は、
ブレーキシリンダ内にブレーキ圧を与えられることで、
ブレーキディスク22Aにブレーキパッド22Bを押し
付けて車輪に制動力を加えるようになっている。
【0026】このため、ブレーキ装置20には、各キャ
リパ22のブレーキシリンダ内のブレーキ圧を制御する
ブレーキ回路24がそなえられている。このブレーキ回
路24は、ブレーキ液タンク26と、このブレーキ液タ
ンク26と各キャリパ22,22との間に介装されたブ
レーキ液供給路28A,28B,28C,ブレーキ液給
排路30A,30B,ブレーキ液排出路32A,32
B,32Cとをそなえている。
【0027】ブレーキ液供給路28Aには、モータ34
Aで駆動されるポンプ34と蓄圧器36とが介装されて
いる。また、ブレーキ液供給路28B及びブレーキ液排
出路32Bとブレーキ液給排路30Aとの間、及び、ブ
レーキ液供給路28C及びブレーキ液排出路32Cとブ
レーキ液給排路30Bとの間には、それぞれ、給排切換
バルブ(比例弁)38L,38Rが介装されている。
【0028】各給排切換バルブ38L,38Rは、CP
U40を通じて、制動油圧(ブレーキ圧),後輪の各車
輪速,前輪車輪速,スロットル開度,ハンドル角,車体
の横G,吸気圧等に基づいて制御されるようになって
る。つまり、図示しないブレーキペダルの踏み込みに応
じて変化するマスタシリンダの油圧(ブレーキ圧)を検
出する圧力センサ42や各キャリパ22近傍の制動油圧
を検出する圧力センサ42L,42Rと、後輪の各車輪
10L,10Rの車輪速を検出する車輪速センサ44
L,44Rと、前輪の各車輪速を検出する車輪速センサ
46と、スロットル開度を検出するスロットル開度セン
サ48と、ハンドル角を検出するハンドル角センサ50
と、車体の横Gを検出する横Gセンサ52と、エンジン
の吸気圧を検出する吸気圧センサ54等が設けられてお
り、CPU40では、これらの各センサからの検出情報
に基づいて給排切換バルブ38L,38Rを制御するよ
うになっている。
【0029】例えば図示しないブレーキペダルを踏み込
むとマスタシリンダの油圧が上昇して、圧力センサ42
がこれを検知すると、CPU40では、給排切換バルブ
38L,38Rをいずれもブレーキ液供給状態として、
図示しない前輪ブレーキの各キャリパへブレーキ液を供
給するとともに、ブレーキ液供給路28Bとブレーキ液
給排路30Aとを連通させ、ブレーキ液供給路28Bと
ブレーキ液給排路30Bとを連通させて、左後輪10L
のキャリパ22及び右後輪10Rのキャリパ22へ、そ
れぞれブレーキ液を供給して、各車輪に制動力を与える
ようになっている。
【0030】また、このブレーキペダルの踏み込み時に
は、アンチロックブレーキ制御も行なうようになってお
り、車輪速センサ44L,44R,46を通じて各車輪
(左右の前輪及び左右の後輪)の回転速度を監視しなが
ら、ロック傾向が生じた車輪については、キャリパのブ
レーキ液を排出するか又は供給停止して制動力を弱め
て、車輪のグリップ力を復活させて、車輪のロックを生
じさせることなく、車輪のグリップ力を確保しながら確
実な制動を行なえるようになっている。
【0031】また、CPU40では、旋回加速時や制動
旋回時には、左右輪のいずれかに制動力を加えることで
車両の自転(回頭)を促進する制御(以下、駆動制動制
御という)を行なうようになっている。まず、旋回加速
時の駆動制動制御について説明する。つまり、車両を加
速させながら旋回する場合、アクセルペダルが踏み込ま
れて、スロットルが開放してエンジンから機械式LSD
12に前進駆動力が入力されるため、機械式LSD12
のワンウェイクラッチ18が結合して、入力側部材(デ
フケース12A)と出力側部材(サイドギヤ12L,1
2R)とが差動を生じると、差動制限機構16が作動し
て左右輪の差動を制限する。旋回時に左右輪の差動が規
制されると、車体の旋回方向への自転(回頭)が妨げら
れ、旋回性能が低下してしまう。
【0032】そこで、旋回加速時に、旋回内輪側の車輪
に制動力を加え左右輪(旋回内外輪)に強制的に差動を
生じさせることで、車体の旋回方向への自転(回頭)を
促進するようにしている。この場合、車両が旋回中であ
るか否かや、車両が加速中であるか否かや、左右輪のい
ずれが旋回内輪であるかを把握する必要があり、また、
旋回内輪に加える制動力が大き過ぎては、車両の自転が
過剰になってしまうため、旋回内輪にどのように制動力
を加えるかも適切に設定することが必要である。
【0033】本装置では、吸気圧センサ54で検出され
たエンジンの吸気圧に基づいて、加速を判定するように
なっている。つまり、加速時には吸気圧が高まるので、
吸気圧が予め設定された閾値以上になったら、車両が加
速中である(即ち、エンジンの前進駆動力が機械式LS
D12に入力されている)と判定することができるので
ある。
【0034】また、左右輪のいずれが旋回内輪であるか
については、ハンドル角センサ50で検出されたハンド
ル角θhと横Gセンサ52で検出された車両に生じる横
Gとに基づいて判定するようになっている。つまり、ハ
ンドル角θhが右切りを示し(ハンドル角θhが右旋回
方向へ所定増加率以上増加していること)且つ車両の横
Gが右旋回を示している(車両の左方向へ横Gが発生し
ている)場合、右旋回状態にあって、右輪が旋回内輪で
あると判定し、逆に、ハンドル角θhが左切りを示し
(ハンドル角θhが左旋回方向へ所定増加率以上増加し
ていること)且つ車両の横Gが左旋回を示している(車
両の右方向へ横Gが発生している)場合、左旋回状態に
あって、左輪が旋回内輪であると判定するようになって
いる。
【0035】このように、制御対象となる旋回内輪につ
いて、ハンドル角θhだけでなく横Gも用いて判定して
いるのは、ハンドル切り増し時に制動制御を行ない、ハ
ンドル戻し時には制動制御を行なわないようにするため
である。つまり、旋回時には、ハンドル切り増し時(旋
回方向へのハンドル角速度が所定値以上に大きくなった
場合)に短期間だけ旋回内輪に制動力を加えることで、
車両の旋回方向への回頭を促進することができ、例えば
定常旋回時のようにハンドルを切り増ししない加速旋回
では、車両の回頭を促進する必要はないものと考えてい
るためである。
【0036】もちろん、ハンドルを切り増ししているか
否かの判定は、判定に用いる閾値に依存するので、この
場合の判定閾値を如何に設定するかにより、どの程度の
ハンドル角変化で旋回内輪に制動力を加えるかといっ
た、制御の味付けを調整することができる。また、単に
閾値以上のハンドル角変化が生じても、このハンドル角
変化が旋回終了時のハンドル戻し操作の場合がある。こ
のようなハンドル戻し時には、むしろ機械式LSD12
の差動制限機構16を利用して車両の直進走行への移行
を速やかに行なわせたいので、旋回内輪に制動力を加え
る制御は行なわない。本装置では、ハンドル角θh(ハ
ンドル角θhの増減方向)に基づき判定される旋回方向
と横Gに基づき判定される旋回方向とが異なる場合は、
ハンドル戻し時であると判定して旋回内輪に制動力を加
える制御は行なわないようにしている。
【0037】そして、旋回内輪に制動力を加える場合に
は、例えば図7に示すように、内輪ブレーキ圧を、一定
の圧力範囲(例えば0.05〜0.1MPa)で、機械
式LSD12の初期トルクに相当する範囲で、所定時間
T1だけ増加させる。この所定時間T1は、車両の特性
に応じて時間設定する。なお、この機械式LSD12の
初期トルクとは、機械式LSDでは凹凸路走行時の駆動
抜けの防止、或いは旋回中の車両の安定性向上を狙っ
て、予めLSDに与えておく初期トルク(拘束力)のこ
とであり、本装置では、この初期トルク分をブレーキに
より得るようにしているのである。
【0038】次に、制動旋回時の駆動制動制御(アンチ
ロックブレーキ制御を含む)について説明する。制動時
には、制御領域(アンチロックブレーキ制御の領域)で
あれば、アンチロックブレーキ制御を行なう。つまり、
4輪のうちの最小速度車輪と最大速度車輪との回転速度
偏差が所定の割合(例えば8%)以上あれば、いずれか
の車輪がロック傾向を示しているものとして、所要の車
輪のブレーキ圧を低減して車輪のロックを防止する。
【0039】このアンチロックブレーキ制御を行なうの
は従来どおりであるが、従来のブレーキ制御では、ブレ
ーキオフ(ブレーキペダルの踏み込みが終了)となった
場合は直ぐにブレーキ圧を0にして制動力を無くすとこ
ろが、本装置のブレーキ制御では、ブレーキオフとなっ
た場合に、車両が旋回中(一般には旋回開始段階)であ
れば、図8に実線で示すように、旋回内輪側についての
み、ブレーキ圧を僅かな時間だけ保持したのちに0とす
る。このとき、旋回外輪側については、ブレーキオフと
同時にブレーキ圧を0に減少させる(図8の破線の減少
特性参照)。
【0040】このためには、ブレーキのオン・オフを判
定することや、車両の旋回を判定すること、さらには、
左右いずれの車輪が内輪であるかを判定することが必要
であり、また、旋回内輪側について、どの程度ブレーキ
圧を保持するかの設定が必要になる。本装置では、圧力
センサ42で検出されたマスタシリンダ近傍のブレーキ
圧を予め設定された閾値と比較して、ブレーキ圧が閾値
以上になったら、ブレーキオンと判定し、ブレーキ圧が
閾値未満になったら、ブレーキオフと判定するようにな
っている。
【0041】また、車両が旋回中か否か及び左右いずれ
の車輪が内輪であるかの判定は、ハンドル角センサ50
で検出されたハンドル角θhに基づいて行なうようにな
っている。つまり、ハンドル角θhが右切りを示してい
る(ハンドル角θhが右旋回方向へ所定増加率以上増加
している)場合には、右旋回状態にあって、右輪が旋回
内輪であると判定し、逆に、ハンドル角θhが左切りを
示している(ハンドル角θhが左旋回方向へ所定増加率
以上増加している)場合には、左旋回状態にあって、左
輪が旋回内輪であると判定するようになっている。
【0042】ここでは、ハンドル角θhのみを用いて横
Gは用いずに旋回方向を判定しているが、これは、制動
旋回時の駆動制動制御ではハンドルの切り増し(切りは
じめ)のみを考慮すればよくハンドルの切り戻しを考慮
しなくてもよいという考えからである。つまり、一般
に、旋回時の制動タイミングはカーブ進入前であり、ブ
レーキがオンからオフになるのは、カーブ進入直前又は
カーブ進入時であって、カーブから脱出する過程でブレ
ーキをオンからオフに操作することは通常考えられない
からである。
【0043】そして、制動旋回時に、旋回内輪の制動力
の解消を遅らせる場合には、例えば図8に実線で示すよ
うに、内輪ブレーキ圧を、所定時間T2だけ保持した上
で0へと減少させる。なお、この所定時間T2は、車両
の特性に応じて時間設定するが、例えば0.2〜0.8
秒程度の範囲内で設定することが考えられる。本発明の
一実施形態としての車両用左右輪の駆動制動制御装置
は、上述のように構成されているので、例えば図2〜図
6のフローチャートに示すように駆動制動制御が行なわ
れる。
【0044】まず、図2(制御メインルーチン)に示す
ように、エンジンの吸気管内圧力(吸気圧)信号,車両
の横加速度(横G)信号,ハンドル角信号,後左右輪等
の制動油圧信号,各車輪速信号等を対応するセンサから
取り込んで(ステップA10)、例えば制動油圧信号か
ら、ブレーキがオンか否かを判定する(ステップA2
0)。そして、ブレーキがオフなら、加速制御(旋回加
速時制御)を行ない(ステップA30)、ブレーキがオ
ンなら、制動制御(制動旋回時制御)を行なう(ステッ
プA40)。
【0045】加速制御(旋回加速時制御)は、図3に示
すように、まず、車両が加速中か否かを判定する(ステ
ップB10)。つまり、吸気圧センサ54で検出された
エンジンの吸気圧が予め設定された閾値以上になった
ら、車両が加速中である(即ち、エンジンの前進駆動力
が機械式LSD12に入力されている)と判定する。車
両が加速中の場合は、旋回方向を設定して(ステップB
20)、この設定に基づいて内輪ブレーキ圧制御を行な
う(ステップB30)。
【0046】ステップB20における旋回方向設定は、
図4に示すように、まず、ステップC10,C20によ
り、車両が旋回中であるか否かの判定を行なう。つま
り、ハンドルが右切りか否かを判定する(ステップC1
0)。例えばハンドル角θhが右旋回方向へ所定増加率
以上増加している場合に、ハンドルが右切りであると判
定する。ハンドルが右切りでなければ、ハンドルが左切
りか否かを判定する(ステップC20)。ここでも、例
えばハンドル角θhが左旋回方向へ所定増加率以上増加
している場合に、ハンドルが左切りであると判定する。
ここで、ハンドルが左切りでなければ、中立(旋回でな
く直進している)と判定する(ステップC30)。
【0047】一方、ハンドルが右切りならば、ステップ
C10からステップC40に進み、車両の横Gが右旋回
を示している(車両の左方向へ横Gが発生している)か
否かを判定する。ここで、車両の横Gが右旋回を示して
いれば、旋回開始時に伴うハンドル切り増し時であり、
右旋回であるとして、右輪が旋回内輪であると判定する
(ステップC60)。
【0048】また、ハンドルが左切りならば、ステップ
C20からステップC50に進み、車両の横Gが左旋回
を示している(車両の右方向へ横Gが発生している)か
否かを判定する。ここで、車両の横Gが左旋回を示して
いれば、旋回開始時に伴うハンドル切り増し時であり、
左旋回であるとして、左輪が旋回内輪であると判定する
(ステップC70)。
【0049】また、ステップC40又はステップC50
でN(否)であれば、内輪設定は行なわない。こうし
て、旋回内輪が設定された場合には、この設定に基づい
て内輪ブレーキ圧制御を行なう(図3のステップB3
0)。この内輪ブレーキ圧制御は、例えば図7に示すよ
うに、内輪ブレーキ圧を、一定の圧力範囲(例えば0.
05〜0.1MPa)で、械式LSD12の初期トルク
に相当する範囲で、所定時間T1だけ増加させるように
する。
【0050】このような内輪ブレーキ圧制御により、車
両を加速して、機械式LSD12による差動制限を作用
させながらも、車両の旋回方向への回頭を促進させるこ
とができ、旋回加速時の旋回性能を向上させることがで
きる。一方、制動制御(制動旋回時制御)は、図5に示
すように、まず、制御領域(アンチロックブレーキ制御
の領域)か否かを判定する(ステップD10)。この判
定は、4輪のうちの最小速度車輪と最大速度車輪との回
転速度偏差が所定の割合(例えば8%)以上あれば、い
ずれかの車輪がロック傾向を示しているものとして、制
御領域であるとする。
【0051】制御領域である場合には、所要の車輪、つ
まり、前輪の左右輪のうちの高速側車輪よりも遅い後輪
についてはブレーキ圧を減圧して、車輪のロックを防止
する(ステップD20)。そして、ブレーキがオンから
オフに切り換わったか否かを判定する(ステップD3
0)。つまり、検出されたブレーキ圧が予め設定された
閾値以上の状態から閾値未満になったら、ブレーキオフ
に切り換わったと判定する。
【0052】ブレーキオフに切り換わった場合には、旋
回方向の設定及び内輪ブレーキ圧制御を行なう(ステッ
プD40)。このステップD40の設定及び制御は、図
6に示すように、まず、ステップE10,E20によ
り、車両が旋回中であるか否かの判定を行なう。つま
り、ハンドルが右切りか否かを判定する(ステップE1
0)。例えばハンドル角θhが右旋回方向へ所定増加率
以上増加している場合に、ハンドルが右切りであると判
定する。ハンドルが右切りでなければ、ハンドルが左切
りか否かを判定する(ステップE20)。ここでも、例
えばハンドル角θhが左旋回方向へ所定増加率以上増加
している場合に、ハンドルが左切りであると判定する。
ここで、ハンドルが左切りでなければ、中立(旋回でな
く直進している)と判定する(ステップE30)。
【0053】一方、ハンドルが右切りならば、ステップ
E10からステップE40に進み、右輪が旋回内輪であ
るとして、右内輪のブレーキ圧を設定時間だけ残す。ま
た、ハンドルが左切りならば、ステップE20からステ
ップE50に進み、左輪が旋回左輪であるとして、左内
輪のブレーキ圧を設定時間だけ残す。つまり、外輪ブレ
ーキ圧については、ブレーキオフと共に速やかに0へと
減少させるが、内輪ブレーキ圧については、図8に示す
ように、所定時間T2だけ保持した上で0へと減少させ
る。
【0054】このように、内輪ブレーキ圧を僅かな時間
だけ保持することで、旋回方向へのヨーが発生して、車
両の回頭を促進することができ、車両の旋回性能を向上
させることができる。なお、本発明の車両用左右輪の駆
動制動制御装置は、上述の実施形態に限定されるもので
なく、前輪への適用なと、種々変形して適用できるもの
で、装置のコスト増や重量増等を招くことなく、上述の
効果を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の車両用左右輪の駆動制動制御装置によれば、車両
の前進加速旋回時において、旋回外輪側が旋回内輪側よ
りも十分に大きくトルク配分されるようになり、機械式
リミテッドスリップデフというシンプルで信頼性が高く
低コストなリミテッドスリップデフを用いながら、装置
のコスト増や重量増等を招くことなく、リミテッドスリ
ップデフによる差動制限効果を確保しつつ、旋回性能を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置の制御内容を説明するフローチャート
(メインルーチン)である。
【図3】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置の制御内容を説明するフローチャート
(旋回加速時制御ルーチン)である。
【図4】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置の制御内容を説明するフローチャート
(旋回方向設定ルーチン)である。
【図5】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置の制御内容を説明するフローチャート
(制動旋回時制御ルーチン)である。
【図6】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置の制御内容を説明するフローチャート
(旋回方向設定及びブレーキ圧制御ルーチン)である。
【図7】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置の旋回加速時制御のブレーキ特性を示す
油圧制御特性図である。
【図8】本発明の一実施形態としての車両用左右輪の駆
動制動制御装置の制動旋回時制御のブレーキ特性を示す
油圧制御特性図である。
【符号の説明】
10L,10R 駆動輪 12 ワンウェイクラッチ付き機械式リミテッドスリッ
プデフ 16 差動制限機構 18 ワンウェイクラッチ 20 ブレーキ装置 22 キャリパ 24 ブレーキ回路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右駆動輪と、エンジンから出力された
    駆動力を該左右駆動輪に差動制限をしながら伝達する機
    械式リミテッドスリップデフと、該左右駆動輪にそれぞ
    れ設けられたブレーキ装置とをそなえ、 該リミテッドスリップデフは、該エンジンから入力され
    た駆動力が前進方向であるときだけ差動制限を可能にす
    るワンウェイクラッチを有し、 車両の前進加速旋回時に、該左右駆動輪のうちの旋回内
    輪側の駆動輪に該ブレーキ装置によって所要の制動力を
    加えることを特徴とする、車両用左右輪の駆動制動制御
    装置。
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