JPH11352064A - 電気化学発光分析装置 - Google Patents

電気化学発光分析装置

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JPH11352064A
JPH11352064A JP16179698A JP16179698A JPH11352064A JP H11352064 A JPH11352064 A JP H11352064A JP 16179698 A JP16179698 A JP 16179698A JP 16179698 A JP16179698 A JP 16179698A JP H11352064 A JPH11352064 A JP H11352064A
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electrode
electrochemiluminescence
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analyzer according
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JP16179698A
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Hiroyuki Tomita
裕之 富田
Yuji Miyahara
裕二 宮原
Tomoharu Kajiyama
智晴 梶山
Takeshi Ninomiya
健 二宮
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電極表面の電位分布のダイナミックな変化を測
定して、電極反応の解析をすることにより、従来よりも
検出感度が高い電気化学分析機器を提供する。 【解決手段】作用電極表面の電位分布を可視化し、電気
二重層の形成を直接観察する。電気二重層が形成される
までの現象が、電気化学分析に関する容量成分に相当す
るので、電気二重層形成までの現象を分離することで、
電気化学分析の容量成分のみを分離できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気化学発光を用
いて、電極表面の電位分布のダイナミックな変化を測定
して、電極反応の解析を行う分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水道システムや化学プラントなどの工業
プロセスの自動管理を行うためには、化学プロセスにお
ける化学的量、すなわち物質の濃度を測定して計画どお
りの化学反応が正常に行われているかどうかを監視する
必要がある。このため機器分析法と呼ばれる、自動分析
方法が発達している。なかでも電気化学分析法と呼ばれ
る電気化学的原理を応用した機器分析法は、他の機器分
析法に比べて、装置が簡単で設備費が低廉であること、
多成分系試料中の特定成分分析における選択分離という
点に長所があること、希薄成分の定量分析に適している
ことなどの多くの特長がある。電気化学分析法では、ポ
ーラログラフィー等の電流測定法や、pH電極などの電
位差測定法、交流印加時の導電率を測定するインピーダ
ンス測定法、試薬との反応量を測定する滴定法などが代
表的である。
【0003】近年、電気化学発光法(Electro−chemilu
minescence:ECL)と呼ばれる、電気化学反応による
発光現象が、ホルモン,毛中薬物,DNA等の生体試料
の微量分析に応用されている。生体試料の微量分析にお
いても、電流測定法,電位差測定法などの電気化学分析
法が既に適用されているが、ECL法は、従来の電気化
学分析法と比較して高感度であることが知られている。
ECL法に関する公知例は、例えば特表平4−502964 号
公報に記載されている。ECL法では、一般に発光試薬
と還元剤の両者をECLサンプルに加える。
【0004】本願明細書では、特表平4−502964 号公報
に記載されているECL法、すなわち発光試薬としてTr
is(2,2′−bipyridyl)ruthenium(II)、還元剤と
してトリプロピルアミン(N(CH2CH2CH3)3)の両
者を用いるECL法を例にとる。以後、Tris(2,2′
−bipyridyl)ruthenium(II)をRu(bpy)3 2+、或いは
Ru錯体と略記する。またトリプロピルアミンをTPA
と略記する。
【0005】Ru(bpy)3 2+は正電位の作用電極上で、R
u(bpy)3 3+へと酸化される。またTPAも正電位の作用
電極上で、TPA・+へと酸化される。この後Ru(bpy)3
3+はTPA・と反応することでRu(bpy)3 2+*になり、
安定なRu(bpy)3 2+ に戻る際に約600ナノメートル
(nm)の波長の光を発する。Jonathan L. LelandとMi
chael J. Powell、ジャーナル オブ エレクトロケミ
カル ソサエティー(J.Electrochem. Soc.)137,3
127−3131(1990)参照。
【0006】Ru(bpy)3 2+を測定対象(例えばホルモ
ン,腫瘍マーカー,DNA)と特異的に結合する分子に
ラベルしたものが発光試薬である。発光試薬と測定対象
を十分に結合させた後、Ru(bpy)3 2+由来の発光を光電
子増倍管或いはフォトダイオード等の光検出器で測定す
る。このように電気化学発光法では、発光量から測定対
象物質の定量を行う。
【0007】電気化学分析法の長所である簡便性と選択
分離性に、ECL法の長所である高感度性が加わること
で、より検出感度が高く、簡便な電気化学分析機器を作
成できる。現在、ECL法を水道システムや化学プラン
トなどの工業プロセスの自動管理に適用した例はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】電気化学分析法では、
一般に、電極部は単純な電気抵抗ではなく、抵抗と容量
とが複雑に組合わさったインピーダンスを形成すると考
えられている。従って、容量成分のみを調べたい場合で
も、容量成分のみの正確な測定は本来困難である。この
ことは抵抗成分のみを調べたい場合でも同様である。導
電率分析法では同期整流器を応用して容量成分に関係す
る電流を除外する方法もあるが、この方法でも、抵抗と
容量部分とを分離させることは難しい。
【0009】上記の電気化学分析に関する、抵抗成分と
容量成分とを分離すれば、原理的により正確な測定がで
きる。本発明は、容量成分のみの分離を電極表面の電位
分布を可視化することで可能とする。またECL法を用
いることで、従来の電流測定法よりも、検出感度が高い
電気化学分析機器を提供できる。
【0010】このほか、試料液体の一部をサンプリング
して測定する、液体サンプリング式電気化学分析法にお
いては、サンプリングポイントから分析機器の検出部に
試料溶液が伝達されるまでにある程度の時間がかかるの
で、指示おくれが生じるという問題がある。
【0011】そこで本発明では、比較的短時間に起こる
濃度変化をサンプリング動作を含まない測定方式で、迅
速に測定する。また滴定法は正確な測定ができるが装置
構成が複雑となる。濃度変化を簡便にモニタする目的で
あれば、装置構成がより簡単であることが製造価格や保
守価格を低減させるためには望ましい。
【0012】本発明では、この指示おくれが起こらず、
装置構成も簡単な電気化学分析機器を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明では、電気化学発
光試薬を用いて、溶液中の電位分布形成の時間分解測定
を行う。上記溶液における電位分布の形成速度が、上記
溶液中の電解質濃度に比例することを用いて、電解質濃
度を測定する。電極上では電圧印加の瞬間から時間経過
とともに、電気二重層が形成される。電気二重層が形成
されるまでが、溶液の容量成分を反映している。そのた
め電気二重層が形成されるまでを観察すれば、容量成分
のみを分離することができる。なお、従来の電解質濃度
測定装置でも分析試薬を用いているものがあるが、電気
化学発光試薬を用いて濃度計測を行っている例はない。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例の装置構
成を示すもので、電気化学発光分子を用いて、電極表面
の電位分布のダイナミックな変化を測定して、電極反応
の解析を行う分析装置の全体構成を示している。本実施
例では、本装置を用いて溶液中の電解質濃度を測定す
る。
【0015】本装置は、電解質濃度測定フロースルーセ
ル1,ポテンシオスタット2,ファンクションジェネレ
ーター3,光検出カメラ4と画像認識部5から構成され
る。
【0016】電気化学発光を起こすのに必要な電極はフ
ロースルーセル1内面に設置されている。電極は2電極
方式と3電極方式のいずれも可能であるが、例えば、3
電極方式を用いる場合は、作用電極11,対電極12,
参照電極13を設置する。作用電極11が光出射面とな
る。作用電極11上で生じた発光は、フロースルーセル
1の透明な部分を透過して、光検出カメラ4に入射す
る。
【0017】本発明を実装するためのフロースルーセル
1を構成する材料には、その透明部分としてガラスやア
クリル,ポリメタクリル酸メチル等の光透過性物質を用
い、その他の不透明な部分にはプラスチック等の高分子
化合物,Alやステンレス等の金属、或いはセラミック
などを用いることができる。また作用電極11や対電極
12を構成する材料には、耐腐食性の高いPtや、電極
として一般に用いられているAl,Ag等の金属を用い
ることができる。
【0018】光検出カメラ4としては、例えばフォトン
カウンティングモードを有する光検出CCD(Charge C
oupled Device )カメラを用いることができる。光検出
カメラ4で発光分布の変化を検出する際の、最小の時間
間隔を0.1 秒以下とするのがよい。
【0019】本検出器のように2つの電極で溶液を挟ん
だ系は、静電気的に見ると、溶液の抵抗Rと、電極−溶
液間のコンデンサーCが直列につながったものである。
このため、イオンが移動し終わるまでの時間、すなわち
電気二重層が形成されるまでの時間は、コンデンサの充
電にかかる時間(充電時間)に等しく、ほぼR×Cの3
倍である。0.1mol/l硫酸の場合、実測値を用いて計
算すると、上記の充電時間は約0.03 秒である。渡
辺,中村著,電子移動の化学,朝倉書店(1996)参照。
上記の充電時間は溶液濃度や、イオンの種類によって異
なるが、測定する電解質濃度の測定濃度範囲を考慮する
と、発光分布の変化を検出する際の、最小の時間間隔は
0.1 秒以下とするのが望ましい。
【0020】フロースルーセル1には、電解質濃度を測
定したい試料を、流入口14を通じて流し入れ、流出口
15を通して排出する。画像処理部5は、例えば、画像
メモリー部51,発光分布変化認識部52,電解質濃度
算出部53から成る。
【0021】作用電極を流れる電流値は、作用電極上で
生じる化学反応量と相関があることが知られている。井
上,相澤,藤嶋著,電気化学測定法,技報堂出版(198
4)参照。作用電極上で生じる化学反応量を測定するた
め電流計6を設置するのもよい。但し電流計6は本発明
では必ずしも必須ではない。
【0022】図2は、作用電極11と対電極12の配置
図である。図2(A)は上面図、図2(B)は側面図で
ある。作用電極11と対電極12は、鉛直方向にずらし
て、測定対象の溶液が流れる流路を、上下から挟むよう
な配置が好ましい。また作用電極11の表面が光射出面
となるので、対電極12は水平方向にも若干ずらした配
置が好ましい。例えば作用電極11の端から対電極12
端までの距離(α)は2ミリメートル(mm)以下とする
のがよい。
【0023】作用電極11を5mm×5mmのプラチナ板、
対電極12を1mm×5mmのプラチナ板とし、αを0,
0.5,1,1.5,2mmとした場合、αが増加すると共
に、電解質濃度の測定の信号ノイズ比(S/N)が低下
していき、αが2mm以上になると実用上、十分なS/N
が得られなかった。なお図2に示す2面の対電極12の
うち、いずれか片方を取り除いた場合は、2面をそのま
ま用いた場合よりもS/Nは低下した。図2に示すよう
に、1面の作用電極11に対し、2面の対電極12を、
作用電極からみて両側にずらして配置するのがよい。
【0024】図3には、図2の作用電極11と対電極1
2の配置を1単位として1次元的に並べた電極配置A
((A1)上面図(A2)側面図)と、2次元的に並べ
た電極配置B((B1)上面図(B2)側面図)を示し
た。前述のように作用電極11の一つの面に対応する対
電極12が1面だけだと、2面を用いた場合よりS/N
が低下した。そこで図3のように、作用電極11の一つ
の面に対し、対電極12を2面以上対応させればよい。
【0025】図4はフロースルーセル1の側断面図を示
している。フロースルーセル1には、光検出カメラ4,
作用電極11,対電極12,参照電極13,試料流入口
14,試料流出口15がある。本発明では、作用電極上
に電気化学発光試薬を配置するために、例えばビーズを
用いるか(図4(A)),化学結合を用いる(図4
(B))などの方法を用いることができる。(A)のビ
ーズを用いる場合は、電気化学発光試薬21と磁性ビー
ズ22とをアビジン−ビオチン分子などの結合分子23
により結合する。
【0026】磁性ビーズ22は、光出射面となる作用電
極11の壁面の外部に磁石24を配置することで、作用
電極上11に捕捉できる。この磁石24は、電磁石であ
ってもよいし、永久磁石であってもよい。磁石の磁力に
よってフロースルーセル1の作用電極11上に捕捉され
ている磁性ビーズ22は、分析終了後、電磁石への通電
を遮断して、或いは永久磁石を機械的にフロースルーセ
ル1より遠ざけて磁力を弱めることにより、フロースル
ーセル1から排出できる。
【0027】磁性ビーズの直径は、例えば数マイクロメ
ートル以下とする。或いは磁性細菌から取り出した磁性
微粒子ならば、数10から数100ナノメートル以下の
微粒子を用いることができる。この磁性微粒子であれ
ば、例えば生物細胞に取り込ませて、細胞が生きた状態
でも、細胞中の電解質濃度を測定することができる。
【0028】また(B)の化学結合を用いる場合は、作
用電極面を修飾して、例えばS−H結合などを用いた固
定化分子25により、電気化学発光試薬21を作用電極
上に配置することができる。固定化分子25の長さ、た
とえば炭素鎖を構成する炭素数を変えることで、電気化
学発光試薬21と作用電極11との距離を制御すること
ができる。
【0029】化1に、電気化学発光試薬21にルテニウ
ムトリビピリジル錯体、Ru(bpy)3 2+、還元剤にトリプロ
ピルアミン,TPAを用いる電気化学発光(Electro−c
hemiluminescence,ECL)に関係する化学反応式を示
す。Jonathan L. LelandとMichael J. Powell,J. Elec
trochem. Soc. 137,3127−3131(1990)参照。
【0030】
【化1】
【0031】ECLの発光が生じるには、まずRu(bp
y)3 2+が、電極上で酸化されて、Ru(bpy)3 3+が産出さ
れる必要がある(式1)。またTPA分子も、電極上で
酸化される(式2)。酸化されたTPA分子は、プロト
ンを遊離して、ラジカル化すると考えられている(式
3)。ラジカル化されたTPAはRu(bpy)3 3+と反応
し、励起状態Ru(bpy)3 2+*を生じる(式4)。また励起
状態Ru(bpy)3 2+*は、式5,6の反応によっても産出
する。この式4および式6で生じるRu(bpy)3 2+*は安
定状態のRu(bpy)3 2+に戻る際に波長約600nmの発
光を生じる(式7)。この波長約600nmの発光が、
電気化学発光或いはECLと呼ばれ、光センサで検出さ
れる。
【0032】以下の図5から図7に示す実施例では、化
1に示したRu(bpy)3 2+とTPAを用いた電気化学発光
により、電解質濃度を測定した例を示す。
【0033】本実施例では、図4の(A)に示したよう
に、磁性ビーズを用いて電解質濃度を測定した。ECL
測定時には、+1.4V の一定電圧を1秒間、作用電極
11と参照電極13の間に印加した。作用電極11は5
mm×5mm、厚さ0.2mm のプラチナ板とし、その作用電
極11の鉛直方向に、約1mm離して、2本のワイヤ状の
プラチナ板(幅1mm)を対電極12として、作用電極1
1と平行に設置した。なお2本の対電極12は、それぞ
れ平行とした。参照電極13は銀/塩化銀電極(Ag/
AgCl)とした。
【0034】本実施例において用いた測定試料は、磁性
ビーズ表面にRu錯体を結合させたものにTPAを加え
た試料である。リン酸緩衝液300mmol・dm-3 ,TP
A180mmol・dm-3に、0.133mg・dm-3のビオチン
−Ru(bpy)3 2+と、0.72mg・dm-3のストレプトアビ
ジンでコーティングした磁性ビーズ(φ2.8μm )を
混合して、約10分間28℃でインキュベートし、Ru
(bpy)3 2+と磁性ビーズ22とをアビジン−ビオチン結合
したものを試料として用いた。
【0035】図5(A)はフロースルーセル1の作用電
極に電圧を階段状(ステップ状)に印加した直後の様子
を示している。この時点では電気化学発光試薬21は光
を放出していなかった。しかしその数ミリ秒後から、図
5(B)に示すように発光が始まり、対電極12に近い
発光試薬21から順番に、光を放出した。約100ミリ
秒後には図5(C)に示すように作用電極11上の全て
の電気化学発光試薬21が光を放出するようになった。
【0036】図6は図5のように光検出カメラ4により
観察した発光分布の時間変化の様子を示す。(A1)か
ら(D1)はフォトンカウンティングモードで観察し
た、作用電極面の発光分布の時間変化の観察像を示す。
(A2)から(D2)はそれぞれ、(A1)から(D
1)の発光強度分布を数値化した様子である。(A1)
(A2)は電圧印加直後、(B1)(B2)は電圧印加の
1/30秒後、(C1)(C2)は電圧印加の1/15
秒後、(D1)(D2)は電圧印加の1/10秒後の発光
分布である。(A2)から(D2)までの数値化処理に
より、発光面の端の部分が移動する速度(mm/秒)を求
めることができる。この移動速度は、塩化ナトリウム等
の電解質濃度により変化した。
【0037】図7に、3回の実験から求めた、塩化ナト
リウム濃度(mol/l )と発光面端部の移動速度(mm/
秒)との関係を示す。比較対象として、塩化ナトリウム
濃度(mol/l )と電流計6で測定した電流値のピーク
値との関係を示す。作用電極11を流れる電流値は、電
圧印加の瞬間に最大値(ピーク値)をとり、時間経過と
共に減少する。発光面端部の移動速度も、ピーク電流値
も共に、塩化ナトリウム濃度の増加に伴って増加した。
【0038】発光面端部の移動速度は、塩化ナトリウム
濃度が零のときの17.03mm/秒から、塩化ナトリウ
ム濃度が0.1mol/lのときの49.45mm/秒まで、
0.1mol/lの変化に対し、約2.9倍(49.45/1
7.03=2.904 )変化した。それに対し、電流値
は塩化ナトリウム濃度が零のときの4.79mA から、
塩化ナトリウム濃度が0.1mol/lのときの6.01m
Aまで、0.1mol/l の変化に対し、約1.3倍(6.
01/4.79=1.255)の変化に留まった。
【0039】図8にて本実施例の現象を考察する。図8
は電位分布曲線で、正極と負極の間の電位を表す。図8
(A)左に示すように、電解質溶液に電圧印加の瞬間、
正極から負極まで直線的な電位差が生じる。この電位差
により、溶液中のイオンが移動して、図8(A)右のイ
オン分布が形成される。この図8(A)右の分布は電気
二重層と呼ばれる。本願明細書では、電圧印加の瞬間か
ら、電気二重層が形成されるまでの時間を緩和時間
(τ)と呼ぶ。ECLの発光はECL試薬の分子の近傍
に、局所的に、しきい値以上の電位差がなければ生じな
い。
【0040】図8の電位分布曲線の傾きが電位差を示す
が、図8(B)のように、電圧印加後、時間経過と共
に、電位差の大きい領域(電位分布曲線の傾きの大きい
部分)が増加することがわかる。電気二重層が形成され
る時点では、電極全面の電位差が大きくなり、全面が発
光するようになる。従って、電圧印加の瞬間から電極全
面が発光するまでの時間が緩和時間(τ)に相当する。
【0041】このように本発明では、電解質濃度を測定
するだけでなく、電気二重層の形成を可視化することが
できる。電気二重層の形成を直接観察できる方法は現在
までに知られていない。本発明で初めてその観察方法を
提供した。磁性ビーズの存在により、電極上の電気二重
層は乱されていると思われるが、ビーズ直径を小さくす
ることで、ビーズの影響を小さくすることができる。
【0042】また、図4(B)のように化学結合で電気
発光試薬21を電極と結合する場合は、化学結合の長さ
を制御することで、電極から数分子以内の電気二重層の
形成を観察することができる。
【0043】既存の酵素センサでは、酵素を高分子膜に
固定化して、酵素の電気化学的な酸化還元反応から、測
定対象物質を選択的に計測している。既存の酵素センサ
は測定結果を知るために、電流I(t),tは時間を測定
し、その一次微分(dI(t)/dt)や二次微分(dI
2(t)/dt2)を検出している。本発明では、電流値の
代わりに、発光面端部の移動速度を用いて測定してい
る。本願明細書で示したように発光面端部の移動速度で
測定する方が、電流値を用いるより感度が高くなる。そ
こで、既存の酵素センサに本発明を適用することで、選
択的な計測をより高感度で行える。
【0044】
【発明の効果】電気化学発光を用いて、電極表面の電位
分布のダイナミックな変化を測定して、電極反応の解析
を行う。この一例として、電気化学分析に関する抵抗成
分と容量成分とを分離し、原理的により正確な測定を行
った例を示した。容量成分のみの分離は、本発明のよう
に電極表面の電位分布を可視化することで可能である。
またECL法を用いることで、従来の電流測定法より
も、検出感度が高い電気化学分析機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の電気化学発光分析装置の全
体構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例の作用電極と対電極の基本配
置を示す上面図および側面図。
【図3】作用電極と対電極の他の配置例を示す上面図お
よび側面図。
【図4】測定フロースルーセルの概略側断面図。
【図5】測定フロースルーセルにおいて、電解質濃度を
測定した際の現象の説明図。
【図6】測定フロースルーセルにおいて電解質濃度を測
定した際の、発光像と発光強度分布図。
【図7】NaCl濃度と発光面端部の移動速度および作
用電極上の電流値との関係を示す測定図。
【図8】発光面が変化する理由の説明図。
【符号の説明】
1…電解質濃度測定フロースルーセル、2…ポテンシオ
スタット、3…ファンクションジェネレーター、4…光
検出カメラ、5…画像認識部、6…電流計、11…作用
電極、12…対電極、13…参照電極、14…試料流入
口、15…試料流出口、21…電気化学発光試薬、22
…磁性ビーズ、23…結合分子、24…磁石、25…固
定化分子、51…画像メモリー部、52…発光分布変化
認識部、54…電解質濃度算出部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二宮 健 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料が流れる試料流路と、上記試料流路に
    設けられる作用電極と、作用電極に対向する対電極と、
    上記作用電極に印加する電圧の制御を行う電圧印加制御
    手段を具備するフロースルーセルにおいて、光検出カメ
    ラを用いて上記試料流路からの発光の2次元強度分布の
    時間変化を検出することを特徴とする電気化学発光分析
    装置。
  2. 【請求項2】上記発光強度分布の変化を検出する際の、
    最小の時間間隔を0.1 秒以下とすることを特徴とする
    請求項1記載の電気化学発光分析装置。
  3. 【請求項3】上記電圧印加手段を用い、階段状(ステッ
    プ状)の電圧印加を行うことを特徴とする請求項1記載
    の電気化学発光分析装置。
  4. 【請求項4】上記光検出カメラとして、フォトンカウン
    ティングモードを有するCCD(Charge Coupled Devic
    e )カメラを用いたことを特徴とする請求項1記載の電
    気化学発光分析装置。
  5. 【請求項5】上記作用電極上に、電気化学発光試薬を化
    学結合することを特徴とする請求項1記載の電気化学発
    光分析装置。
  6. 【請求項6】上記作用電極上に、電気化学発光試薬を結
    合した微小粒子を配置することを特徴とする請求項1記
    載の電気化学発光分析装置。
  7. 【請求項7】各時間ごとの発光強度分布像を記憶して、
    発光端を画像処理により抽出することを特徴とする請求
    項1記載の電気化学発光分析装置。
  8. 【請求項8】作用電極をフローセルの第1内面に配置
    し、対電極を前記フローセルの第2内面で、かつ光射出
    面となる前記作用電極由来の発光が光検出カメラの受光
    面に入射することを妨げない配置としたことを特徴とす
    る請求項1記載の電気化学発光分析装置。
  9. 【請求項9】請求項8記載の電極配置を有し、かつ作用
    電極1面に対し、対電極を2面以上対応させたことを特
    徴とする請求項1記載の電気化学発光分析装置。
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