JPH1135595A - アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれを用いた制癌剤 - Google Patents

アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれを用いた制癌剤

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JPH1135595A
JPH1135595A JP6324006A JP32400694A JPH1135595A JP H1135595 A JPH1135595 A JP H1135595A JP 6324006 A JP6324006 A JP 6324006A JP 32400694 A JP32400694 A JP 32400694A JP H1135595 A JPH1135595 A JP H1135595A
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正彦 土屋
G Gaiser Timothy
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】制癌作用を高めたプロテインキナーゼA−RI
αに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供す
る。 【構成】配列番号1に示すヒトプロテインキナーゼA−
RIα遺伝子のコード鎖の一部の塩基配列に実質的に相
補的な塩基配列、またはこれらの遺伝子の非コード鎖の
一部の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、一
般式(I)で表される構造を有するオリゴヌクレオチ
ド、ならびに当該オリゴヌクレオチドよりなる制癌剤。 (一般式(I)中、nは整数を表し、Rは水素原子又は
水酸基を表し、Bは核酸塩基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトプロテインキナー
ゼA、特にヒトプロテインキナーゼA−RIαに対する
アンチセンスオリゴヌクレオチド及びこのアンチセンス
オリゴヌクレオチドからなる制癌剤並びにこの制癌剤を
含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】癌は昔より不治の病として知られている
が、それは現在に至っても大きく変化していない。それ
は癌細胞が生物体自身に由来する、いわば反乱分子であ
り、基本的な生理機構は正常細胞と大して違いがないた
め、抗癌剤等で癌細胞を死滅させようとすれば、正常細
胞をも傷つけてしまい、副作用が発現されるためであ
る。かかる状況を鑑みて、選択的に癌のみを攻撃し治療
する方法が検討されてきた。例えば、癌細胞特有の抗原
に対するモノクロナール抗体あるいはリポソーム等の担
体を利用し、これらに薬剤を担持させる方法が考え出さ
れたが、これらには網内系による捕捉と分解の問題や、
モノクローナル抗体あるいは担体と薬剤との結合力の問
題や、リリースの問題があり、充分な効果を発揮できな
かった。
【0003】1980年代前半より各種の遺伝子操作技
術が進歩し、癌治療の分野に応用されるようになってき
た。これらの内、癌の生理・増殖に特異的に必要な遺伝
子に対し、その遺伝子の一部に相補的な塩基配列を有す
るオリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチ
ド)を反応させ、いわば癌関連遺伝子に蓋をするアンチ
センス技術が考案され、このものについて種々の検討が
為されてきた。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは
遺伝子発現を、癌細胞に対しても正常細胞に対しても無
差別に阻害する為、何の遺伝子発現を抑制するかが重要
なポイントになっている。
【0004】これらのアンチセンスオリゴヌクレオチド
による制癌作用の中で、ユーン・スーン・チョウチュン
らがプロテインキナーゼAが増殖期の癌細胞の分裂に必
要とされることに注目し、開発したプロテインキナーゼ
A−RIαに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの
技術は、そのメカニズムの新規性から注目を集めていた
(特開平6−211889号)。しかしながら、そのイ
ン・ビボに於ける制癌作用は著しく優れているとは言え
ず、実効性には問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる状況に
鑑みて為されたものであり、制癌作用を高めたプロテイ
ンキナーゼA遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレ
オチドを提供する事を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実状を
踏まえ、プロテインキナーゼA遺伝子に対するアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドの制癌作用を実用可能な程度に
高めるため、鋭意研究を重ねた結果、ヌクレオチド間の
結合をフォスフォルアミデートにすることで、制癌作用
が著しく高まる事を見いだして発明を完成させた。
【0007】すなわち本発明は、ヒトプロテインキナー
ゼA遺伝子の配列の全部又は一部に対して、少なくとも
一部が相補的な塩基配列を有し、一般式(I)で表され
る構造を有するオリゴヌクレオチドである。
【0008】
【化2】
【0009】(一般式(I)中、nは整数を表し、R1
は水素原子又は水酸基を表し、Bは核酸塩基を表す。) ヒトプロテインキナーゼA遺伝子の一部としては、ヒト
プロテインキナーゼAのレギュラトリー部分またはその
一部をコードする配列が挙げられる。さらに、レギュラ
トリー部分としては、RI−αが挙げられる。
【0010】さらに本発明は、上記オリゴヌクレオチド
からなる制癌剤、及びこの制癌剤から選ばれる1種以上
を含有する癌治療用の医薬組成物を提供する。
【0011】尚、本明細書において、「アンチセンスオ
リゴヌクレオチド」とは、遺伝子又はmRNAにハイブ
リダイズすることによってその遺伝子の発現を抑制する
オリゴヌクレオチドをいい、遺伝子DNAのコード鎖
(+鎖)あるいはmRNAに相補的な塩基配列を有する
オリゴヌクレオチドのみでなく、非コード鎖((−)
鎖)に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドも
含まれる。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】(1)本発明のアンチセンスオリゴヌクレ
オチド 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトプロ
テインキナーゼA遺伝子の配列の全部又は一部に対し
て、少なくとも一部が相補的な塩基配列を有するオリゴ
ヌクレオチドである。ヒトプロテインキナーゼA遺伝子
の配列の一部としては、ヒトプロテインキナーゼAのレ
ギュラトリー部分またはその一部をコードする配列が挙
げられる。さらに、レギュラトリー部分としては、RI
−αが挙げられる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、上記のような塩基配列を有し、且つ、オリゴ
ヌクレオチドを構成する各ヌクレオチド間の結合様式
が、一般式(I)に示される様なフォスフォルアミデー
ト結合によるものである。
【0014】オリゴヌクレオチドの鎖長の長さは、プロ
テインキナーゼA遺伝子に対する特異性が維持されれば
特段の限定は受けない。好ましい鎖長としては塩基数に
して9〜40である。これは、9未満では遺伝子に対す
る特異性が少なくなり制癌作用を充分に発揮できない場
合があり、40を越えると、塩基配列をコントロールし
て合成する事が著しく困難になるからである。より好ま
しい鎖長は、効果と経済性のバランスが最も良い、塩基
数で15〜24のものである。
【0015】本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド
は、プロテインキナーゼA−RIαの生合成に係わる遺
伝子に相補的な配列を有する核酸であれば、その種類は
問わない。すなわち、ヌクレオチド間の結合がフォスフ
ォルアミデート結合である限り、DNA型(一般式
(I)中、R1が水素原子)のオリゴヌクレオチドであ
っても、RNA型(一般式(I)中、R1が水酸基)の
オリゴヌクレオチドであってもよい。
【0016】プロテインキナーゼA−RIαに対するア
ンチセンスオリゴヌクレオチドの配列としては、プロテ
インキナーゼA−RIα遺伝子のコード鎖または非コー
ド鎖の塩基配列の一部と実質的に相補的な配列、言い換
えれば非コード鎖またはコード鎖の塩基配列の一部と実
質的に同一な配列であれば、プロテインキナーゼA−R
Iαの生合成を抑制できることが期待される。プロテイ
ンキナーゼA−RIα遺伝子の塩基配列の一部として
は、遺伝子のどの部位であっても上記の効果は期待でき
るが、より完全にプロテインキナーゼA−RIα活性の
発現を抑制するという観点からは、該遺伝子のコード鎖
の5’末端側、好ましくは開始コドンから100番目の
コドンまでの300ヌクレオチドからなる配列の一部で
あることが好ましい。このプロテインキナーゼA−RI
α遺伝子のコード領域の300ヌクレオチドの配列を配
列番号1に示す。また、この配列に対するアンチセンス
配列(非コード鎖の配列と同じ)を配列番号6に示す。
ここで、配列番号1に示す配列と配列番号6に示す配列
の関係は相補的関係にあり、遺伝子のどちらの鎖に対す
るアンチセンスオリゴヌクレオチドであっても制癌作用
は期待できる。
【0017】また、配列番号1又は6に示す塩基配列の
一部としては、配列番号1においては5’末端側であ
り、配列番号6については3’末端側であることが好ま
しい。
【0018】ここで、「実質的に相補的」とは、オリゴ
ヌクレオチド中の全てのヌクレオチドがプロテインキナ
ーゼA遺伝子に対して相補的であることを必要とするも
のではなく、オリゴヌクレオチドが遺伝子DNAまたは
mRNAの相当する部位にハイブリダイズし、転写また
は翻訳を阻害することができる程度に相補的であればよ
いことを意味する。したがって、生理条件下で特異的な
ハイブリダイゼーションが阻害されない限り、ヌクレオ
チド鎖中の一部のヌクレオチドの置換、欠失または挿入
があっても良い。
【0019】アンチセンスオリゴヌクレオチド中で置き
変わってもよいヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの
長さや配列によって異なるが、一般的にオリゴヌクレオ
チドの両端部近辺は、内部に比べて置換、欠失及び挿入
の影響が少なく、AT(又はAU)塩基対の方がGC塩
基対に比べて置換の影響が少ない。核酸のハイブリダイ
ゼーション強度の計算方法は公知であり、当業者にとっ
て、配列番号1及び6に示す配列をもとに、生理条件下
でのハイブリダイゼーションが損なわれないように一部
の配列を改変することは容易である。具体的には、プロ
テインキナーゼA遺伝子に対して90%以上のホモロジ
ーを有しているものは、多少なりとも所期の効果が期待
でき、実質的に相補的であると定義できる。さらに、こ
のようなオリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端に
非特異的な配列を有するオリゴヌクレオチドが付加され
ていても、実質的に影響を受けない。
【0020】又、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオ
チドを構成するヌクレオチドの種類としては、塩基をチ
ミン、アデニン、シトシン、グアニンとし、糖をデオキ
シリボースとしたDNA構成ヌクレオチド類縁体でもよ
く、塩基をウラシル、アデニン、シトシン、グアニンと
し、糖をリボースとしたRNA構成ヌクレオチド類縁体
でも構わない。さらに、イノシンのように非特異的に他
の塩基と水素結合が可能な塩基を含んでいてもよい。最
も好ましいものは、配列番号1の塩基配列に対して相補
的な、DNA構成ヌクレオチド類縁体のオリゴヌクレオ
チドである。
【0021】プロテインキナーゼA−RIαに対するア
ンチセンスオリゴヌクレオチドの配列としては、配列番
号1に示す塩基配列の一部と相補的な配列、すなわち配
列番号6に示す配列の一部と同一の配列を有するものと
して具体的には、配列番号2、3、4、5に示す塩基配
列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。また、配
列番号6に示す塩基配列の一部と相補的な配列、すなわ
ち配列番号1に示す配列の一部と同一の配列を有するも
のとして具体的には配列番号7、8、9に示すオリゴヌ
クレオチドが挙げられる。これらのオリゴヌクレオチド
の配列番号1または6に示す配列上の位置を次に示す。
【0022】 配列番号2:配列番号6の塩基番号280〜300 配列番号3:配列番号6の塩基番号46〜57 配列番号4:配列番号6の塩基番号148〜165 配列番号5:配列番号6の塩基番号250〜279 配列番号7:配列番号1の塩基番号1〜21 配列番号8:配列番号1の塩基番号244〜255 配列番号9:配列番号1の塩基番号136〜153 配列番号10:配列番号6の塩基番号280〜300
【0023】本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド
は、ヌクレオチド同士を一般式(I)に示す様に窒素−
燐結合でつなぐ事を特徴とする。この様な一般式に表さ
れるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、後記実施例に
示すように、従来のホスホロチオエート等の結合様式を
有するアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも優れた癌
抑制効果を有する。
【0024】(2)本発明のアンチセンスオリゴヌクレ
オチドの製造方法 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、反応式
(II)に従って、順次ヌクレオチドを伸長することによ
り、塩基配列を制御しながら合成することが出来る。
【0025】
【化3】
【0026】(ただし、式中Poはポリマー残基を表
し、Rは水素原子又はアシロキシ基を表し、Bは核酸塩
基を表す。)
【0027】即ち、ポリマー等の固相にエステル結合で
固定したジメチルトリチル化したヌクレオシドを、ジク
ロロ酢酸で脱トリチル化し、(2−シアノエトキシ)−
(N,N−ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンと
N,N−ジイソプロピルエチルアミンを反応させてフォ
スフィチル化することにより、シアノエトキシヌクレオ
チドとし、これにテトラゾールを反応させた後、更にト
リエチルアミン存在下、3’−アミノ−5’−ジメチル
トリチルデオキシリボヌクレオチドの3’−アミノ基で
テトラゾールを置換し、このジメチルトリチル体につい
て同様に3’−アミノ−5’−ジメチルトリチルデオキ
シリボヌクレオシドを縮合させる操作を繰り返せば、エ
トキシシアノフォスフォルアミデート結合で結合したポ
リマー上にエステル結合で固定された任意の塩基配列の
オリゴヌクレオチドが得られる。これをアンモニアを用
いて脱ジメチルトリチル化及び脱エステル化すれば一般
式(I)で表される構造を有するオリゴヌクレオチドが
得られる。
【0028】上記一連の反応は、市販されているDNA
シンセサイザー、及び上記の反応試薬を用いる事によ
り、自動的に任意の塩基配列のオリゴヌクレオチドを得
る事が可能である。上記の反応において、糖鎖部分を
2’−アシル−3’−アミノ−5’−ジメチルトリチル
リボースで置き換えたヌクレオシドを用いれば、RNA
類似のアンチセンスオリゴヌクレオチドが得られる。
【0029】(3)本発明の制癌剤 本発明の制癌剤は、上記記載のオリゴヌクレオチドから
選ばれる1種以上からなる。オリゴヌクレオチドは、二
種以上の混合物として用いると、より高い制癌作用が得
られる場合がある。
【0030】本発明の制癌剤は後記実施例に示すよう
に、各種の癌細胞に対して優れた制癌作用を示す。本発
明の制癌剤が有効な癌は、ヒトの癌であれば特に限定は
ない。動物の癌に対しては、本発明の制癌剤であるアン
チセンスオリゴヌクレオチドがヒトのプロテインキナー
ゼA−RIα遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレ
オチドであるため、有効でない場合があることも予想さ
れる。
【0031】本発明の制癌剤が有効な癌としては、具体
的に例示すれば、白血病、肺癌、胃ガン、肝臓癌、腎臓
癌、悪性リンパ腫、舌癌、食道癌、乳ガン、咽頭癌、脳
腫瘍、悪性筋腫、メラノーマ、子宮頸癌等が挙げられ
る。本発明の制癌剤の好ましい投与量であるが、病種や
病状、年齢、体重、性別、体調などにより異なるが、お
およそ成人一人一日当たり、10mg〜200000m
gを一回ないしは数回に分けて投与するのが適当であ
る。投与経路としては、静脈内、動脈内、門脈内、皮
下、皮内、筋肉内、病巣内等へ投与する注射による投
与、経口投与等が例示できる。
【0032】(4)本発明の制癌用の医薬組成物 本発明の医薬組成物は上記制癌剤と剤形上の任意成分と
からなる。剤形上の任意成分は通常医薬組成物に用いら
れているものであれば特に制限無く用いることができ
る。例えば、経口製剤としては、増量剤、結合剤、嬌味
嬌臭剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤、糖衣剤等が例示で
き、注射剤としては、pH調節剤、等張剤、安定剤等が
例示できる。また、他の制癌作用が知られている薬剤と
ともに製剤化してもよい。これらの制癌剤と任意成分を
剤形化する方法は、通常の方法によれば良い。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明がこれら実施例に何等限定を受け
ない事は言うまでもない。
【0034】
【実施例1】 アンチセンスオリゴヌクレオチドの製造
例(1) 上記に述べた方法により、核酸合成機ABI384シン
セサイザー(アプライドバイオシステムズ社製)を用い
て、配列番号2、3、4、5、7、8、9に示す塩基配
列を有するDNA型のオリゴヌクレオチドを合成した。
即ち、ポリマーにエステル結合で固定した各配列の3’
末端塩基を有するジメチルトリチル化したヌクレオシド
を、ジクロロ酢酸の3%塩化メチレン溶液を用い1.5
分間処理して脱ジメチルトリチル化反応を行った。さら
に0.2モルの(2−シアノエトキシ)−(N,N−ジ
イソプロピルアミノ)クロロホスフィンと0.2モルの
N,N−ジイソプロピルエチルアミンの塩化メチレン溶
液を用いてフォスフィチル化反応を10分間行い、シア
ノエトキシヌクレオチドとした。これに0.4モルのテ
トラゾールの90%アセトニトリル水溶液に溶解した溶
液を用いて5分間反応させたてテトラゾリル化した後、
3’末端から2番目の塩基を有する0.2モルの3’−
アミノ−5’−ジメチルトリチルデオキシリボヌクレオ
シドと0.2モルのトリエチルアミンの50%四塩炭ア
セトニトリル溶液を用いてこれらのヌクレオシドのカッ
プリングを20分間行った。
【0035】上記と同様にして、各塩基配列に従って順
次ヌクレオシドを結合させ、最後にアンモニアのメタノ
ール飽和溶液を用いて5’末端のヌクレオチドの脱ジメ
チルトリチル化、脱シアノエトキシ化及びエステルの加
水分解によるポリマーからのオリゴヌクレオチドの離脱
を行った。塩基配列は予め自動合成機にインプットして
おいた。
【0036】
【実施例2】 アンチセンスオリゴヌクレオチドの製造
例(2) モノマーヌクレオシドを、2’−アセチル−3’−アミ
ノ−5’−ジメチルトリチルリボヌクレオシドに変えた
以外は実施例1と同様にして反応を行い、配列番号10
に示す配列を有するRNA型のオリゴヌクレオチドを作
製した。
【0037】
【実施例3】 アンチセンスオリゴヌクレオチドの製造
例(3) 実施例1と同様にして、配列番号2に示す塩基配列の
5’末端の2塩基GGをTTに置き換えた配列のDNA
型オリゴヌクレオチドを合成した。
【0038】
【実施例4】 白血病細胞に対する制癌作用(イン・ビ
トロ) 実施例1〜3で作製したオリゴヌクレオチドについて、
HL−60白血病細胞を用いて増殖抑制作用を調べた。
即ち、10%FBS(牛胎仔血清)を添加したRPMI
1640培地中で培養した後、PBS(燐酸緩衝生理食
塩水)で2回洗浄した細胞を、10%FBS添加RPM
I1640培地で希釈し2×105個/mlの濃度に調
整した。これに最終濃度が所定の濃度になるように調整
した、各種濃度の実施例1〜3で製造したオリゴヌクレ
オチドの生理食塩水溶液を加えた。その後1週間5%炭
酸ガス混合ガス雰囲気で37℃の温度で培養し、毎日細
胞数をカウントした。培養開始7日後の細胞数より、細
胞増殖を100%抑制する最小濃度を決定した。尚、ポ
ジティブコントロールとしては、特開平6−21188
9号記載の配列番号1のチオオリゴヌクレオチド(21
マー)、即ち、本発明の実施例1の配列番号2のオリゴ
ヌクレオチドの結合様式をフォスフォルアミデートから
ホスホロチオエーテルに変えたものを用いた。結果を表
1に示す。
【0039】この結果より、本発明のオリゴヌクレオチ
ドが制癌作用を有している事及び本発明のオリゴヌクレ
オチドが従来のオリゴヌクレオチドよりすぐれた制癌作
用を有する事が判る。
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例5】 結腸癌細胞に対する制癌作用(イン・ビ
トロ) 実施例4と同様に、結腸癌由来細胞LS174Tを用い
て増殖抑制作用を見た。完全増殖抑制最小濃度を表2に
示す。これより、本発明のオリゴヌクレオチドは結腸癌
に対しても白血病と同様の作用を示す事が判る。
【0042】
【表2】
【0043】
【実施例6】 結腸癌細胞に対する制癌作用(イン・ビ
ボ) 結腸癌由来細胞LS174Tを用いて、これをヌードマ
ウス(雄性、1群5匹)に移植し、その増殖に対する本
発明の抑制作用を調べた。即ち、前培養し濃度を2×1
7個/mlに調整した癌の分散液を0.1ml右側背
部皮膚に注射して癌細胞を移植し、7日飼育した後、実
験に使用した。即ち、オリゴヌクレオチドを最終濃度で
10mg/mlになるように、49.5%のピーナッツ
オイルと49.5%の生理食塩水と1%のツィーン80
を混合、乳化したベヒクルに混ぜ込んだ検体を0.01
ml腫瘍と左側背部皮膚に皮下投与し、投与後腫瘍の大
きさを測定した。オリゴヌクレオチド投与群の腫瘍の平
均体積を無投与群の腫瘍の平均体積から減じ、この値を
無投与群の腫瘍の平均体積で除したものに100を乗じ
た数値を増殖抑制率とした。
【0044】本発明のオリゴヌクレオチドとしては、配
列番号2に示す配列を有するオリゴヌクレオチドを、対
照品としては実施例1に示したホスホロチオエートタイ
プのオリゴヌクレオチドを用いた。本発明のオリゴヌク
レオチドの増殖抑制率が71%であったのに対し、対照
品のオリゴヌクレオチドは35%であった。これより、
本発明のオリゴヌクレオチドがイン・ビボに於いても優
れた制癌作用を有する事が判る。又、オリゴヌクレオチ
ドを投与した後も好ましくない毒性は観察されておら
ず、安全性並びに毒性に対する効果濃度で示される治療
係数も高いものである事が判る。
【0045】
【実施例7】 複数のアンチセンスオリゴヌクレオチド
の併用効果 実施例4と同様に配列番号2に示す配列を有する本発明
のオリゴヌクレオチドと配列番号3に示す配列を有する
本発明のオリゴヌクレオチドの等モル混合物について、
HL−60に対する制癌作用を調べた。細胞増殖抑制最
小濃度は0.4μM(0.2μMの配列番号2の本発明
のオリゴヌクレオチドと0.2μMの配列番号3の本発
明のオリゴヌクレオチドの混合物)で、相加効果以上の
効果がある事が判る。
【0046】
【発明の効果】本発明のプロテインキナーゼA遺伝子に
対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは制癌作用が高
いので、制癌剤、癌治療用の医療用組成物としてたいへ
ん有用である。
【0047】
【配列表】
配列番号1 配列の長さ:300 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA アンチセンス:NO 配列 ATGGAGTCTG GCAGTACCGC CGCCAGTGAG GAGGCACGCA GCCTTCGAGA ATGTGAGCTC 60 TACGTCCAGA AGCATAACAT TCAAGCACTG CTCAAAGATT CTATTGTGCA GTTGTGCACT 120 GCTCGACCTG AGAGACCCAT GGCATTCCTC AGGGAATACT TTGAGAGGTT GGAGAAGGAG 180 GAGGCAAAAC AGATTCAGAA TCTGCAGAAA GCAGGCACTC GTACAGACTC AAGGGAGGAT 240 GAGATTTCTC CTCCTCCACC CAACCCAGTG GTTAAAGGTA GGAGGCGACG AGGTGCTATC 300
【0048】配列番号2 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ アンチセンス:YES 配列 GGCGGTACTG CCAGACTCCA T 21
【0049】配列番号3 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ アンチセンス:YES 配列 AGGAGGAGAA AT 12
【0050】配列番号4 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ アンチセンス:YES 配列 CCTGAGGAAT GCCATGGG 18
【0051】配列番号5 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ アンチセンス:YES 配列 TTCTCGAAGG CTGCGTGCC TCCTCACTGGC 30
【0052】配列番号6 配列の長さ:300 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA アンチセンス:YES 配列 GATAGCACCT CGTCGCCTCC TACCTTTAAC CACTGGGTTG GGTGGAGGAG GAGAAATCTC 60 ATCCTCCCTT GAGTCTGTAC GAGTGCCTGC TTTCTGCAGA TTCTGAATCT GTTTTGCCTC 120 CTCCTTCTCC AACCTCTCAA AGTATTCCCT GAGGAATGCC ATGGGTCTCT CAGGTCGAGC 180 AGTGCACAAC TGCACAATAG AATCTTTGAG CAGTGCTTGA ATGTTATGCT TCTGGACGTA 240 GAGCTCACAT TCTCGAAGGC TGCGTGCCTC CTCACTGGCG GCGGTACTGC CAGACTCCAT 300
【0053】配列番号7 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の長さ:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ アンチセンス:No 配列 ATGGAGTCTG GCAGTACCGC C 21
【0054】配列番号8 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の長さ:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ アンチセンス:No 配列 ATTTCTCCTC CT 12
【0055】配列番号9 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:No 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ 配列 CCCATGGCAT TCCTCAGG 18
【0056】配列番号10 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成オリコ゛ヌクレオチト゛ アンチセンス:YES 配列 GGCGGUACUG CCAGACUCCA U 21

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトプロテインキナーゼA遺伝子の配列
    の全部又は一部に対して、少なくとも一部が相補的な塩
    基配列を有し、一般式(I)で表される構造を有するオ
    リゴヌクレオチド。 【化1】 (一般式(I)中、nは整数を表し、R1は水素原子又
    は水酸基を表し、Bは核酸塩基を表す。)
  2. 【請求項2】 ヒトプロテインキナーゼA遺伝子の一部
    がヒトプロテインキナーゼAのレギュラトリー部分また
    はその一部をコードする配列である請求項1記載のオリ
    ゴヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 レギュラトリー部分がRI−αである請
    求項1又は2記載のオリゴヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 配列番号1に示すヒトプロテインキナー
    ゼA−RIα遺伝子のコード鎖の塩基配列に、少なくと
    も一部が相補的な塩基配列を有する請求項3記載のオリ
    ゴヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 配列番号6に示すヒトプロテインキナー
    ゼA−RIα遺伝子の非コード鎖の塩基配列に、少なく
    とも一部が相補的な塩基配列を有する、請求項3記載の
    オリゴヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 大きさが9マー以上40マー以下である
    事を特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のオリ
    ゴヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 配列番号2〜5又は10に示す塩基配列
    と実質的に同一の塩基配列を有する請求項4記載のオリ
    ゴヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 塩基配列が配列番号2〜5又は10に示
    す塩基配列の何れかである請求項7記載のオリゴヌクレ
    オチド。
  9. 【請求項9】 配列番号7〜9に示す塩基配列と実質的
    に同一の塩基配列を有する請求項5記載のオリゴヌクレ
    オチド。
  10. 【請求項10】 塩基配列が配列番号7〜9に示す塩基
    配列の何れかである請求項9記載のオリゴヌクレオチ
    ド。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れか一項に記載の
    オリゴヌクレオチドからなる制癌剤。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の制癌剤から選ばれる
    1種以上を含有する癌治療用の医薬組成物。
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