JPH1136652A - 皿ばね式摩擦ダンパを用いた制振構造 - Google Patents

皿ばね式摩擦ダンパを用いた制振構造

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JPH1136652A
JPH1136652A JP18844997A JP18844997A JPH1136652A JP H1136652 A JPH1136652 A JP H1136652A JP 18844997 A JP18844997 A JP 18844997A JP 18844997 A JP18844997 A JP 18844997A JP H1136652 A JPH1136652 A JP H1136652A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部要因による建物架構の変形や摩擦材の摩
耗等によりばねの変形量が変化しても、一定した摩擦減
衰力を発生させて、建物架構を振動から永続的に保護す
ることができる皿ばね式摩擦ダンパを用いた制振構造を
提供する。 【解決手段】 摩擦ダンパ20を、上梁14とブレース
上端部の結合部18aとの間に設けると共に、水平方向
を指向する滑り板22およびこれに圧接しつつ滑動する
摩擦材24からなる摩擦減衰力生成部26と、摩擦減衰
力生成部26と結合部18aとの間に設けられ、摩擦減
衰力生成部26に圧接力を生じさせる弾発力を発生する
皿ばね28とで構成する。皿ばね28は、設定圧接力が
加えられて上梁14と結合部18aとの間の上下方向隙
間δ寸法の見込み変化量に対して、弾発力の変動が小さ
い非線形ばね領域R内でたわみ変形されるように設定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐振用補強部材と
該耐振用補強部材を設ける建物架構との間にダンパを設
けて、より積極的に振動減衰するようにした制振構造に
関し、とりわけ、ダンパを摩擦ダンパとして構成した場
合に、構造体の変形や摩擦部分の摩耗によっても略一定
した摩擦減衰力を発生させることができる皿ばね式摩擦
ダンパを用いた制振構造に関する。
【0002】
【従来の技術】中,高層建築物では、地震や風等の水平
力に対する抵抗要素として、耐振壁や例えば特公平4−
12790号公報(Int.Cl.E04H 9/02)に開示されるよ
うに、ブレース構造を用いた建物架構が広く用いられて
いる。ブレースでは建物架構に入力された振動の減衰効
果を更に向上させるために、制振用のダンパを組み込む
ようにしたものがある。この制振用のダンパとしては特
開平5−10050号公報(Int.Cl.E04H 9/02)に開示
されるように、ブレースの上端部と梁との間に配置され
る束材を塑性変形可能な鋼材で形成した鋼材ダンパ(履
歴ダンパ)があり、鋼材の塑性変形により振動エネルギ
ーを吸収するようになっている。
【0003】しかし、この種の鋼材ダンパではある程度
以上の変形が生じて鋼材が降伏するまではダンパとして
の機能が得られないという欠点があり、かつ、鋼材が繰
り返し降伏してエネルギーを吸収した場合には、該鋼材
の歪硬化により降伏耐力が大きくなり、累積塑性変形性
能や疲労強度が低下して取り替えが必要となる。また、
鋼材ダンパは設計上、付加剛性,降伏耐力および降伏変
位等に制約がある。
【0004】一方、低振動から減衰効果を得ることがで
きる制振用のダンパとして、上記鋼材ダンパ以外に摩擦
力を利用した摩擦ダンパが知られている。この摩擦ダン
パは滑り板に摩擦材をばねで押し付け、摩擦材に生じる
摩擦力を利用して振動エネルギーを吸収するようになっ
ており、このときに用いられるばねとしては、コイルば
ね,板ばね,ゴム板等の様々なものが知られている。即
ち、上記摩擦ダンパでは滑り板および摩擦材相互間の摩
擦係数をμとすると、発生する摩擦力Fは摩擦係数μと
滑り板に摩擦材を圧接させる圧接力Pの積μ×Pで与え
られる。このときの圧接力Pは上記ばねの弾発力として
得られ、P=K×σ(K:ばね定数、σ:ばね変形量)
によってその弾発特性が一義的に決定される。また、上
記ばねは、ばね定数(剛性)Kが一定で線形のばね特性
を備えたものが用いられ、この線形性を有する範囲で得
られるばね性能に基づいて適用されるのが一般的であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記摩
擦ダンパは、建物架構が地震や風、荷重や温度伸縮等の
外部要因によって変形したり、摩擦材の摩耗によりその
板厚が変化したりすると、ばねの変形量σが予め設定し
た値から変化してしまう。このようにばねの変形量σが
変動すると、これに応じてばねの弾発力Pが変動してし
まうため、摩擦係数μが一定であっても摩擦ダンパの摩
擦力Fに変動が生じ(F=μ×P=μ×(K×σ))、
延いては、摩擦ダンパ4による摩擦減衰力を一定に維持
することができなかった。
【0006】このように摩擦減衰力を一定に維持するこ
とができないと、摩擦ダンパを設計値通りに作動させる
ことができず、該摩擦ダンパを設けた制振壁やブレース
の機能が低下して建物架構に不慮の損害を生じさせるお
それがあるという課題があった。
【0007】本発明は係る従来の課題に鑑みて創案され
たものであり、外部要因による建物架構の変形や摩擦材
の摩耗等によりばねの変形量が変化しても、一定した摩
擦減衰力を発生させることができる皿ばね式摩擦ダンパ
を用いた制振構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の皿ばね式摩擦ダンパを用いた制振構造は、
相対向する一対の柱部材と、これら柱部材の上下端部を
連結する上,下一対の架設部材とで区画される空間内に
耐振用補強部材を備え、該耐振用補強部材を上記架設部
材から上下方向に適宜隙間を設けて配置し、上記耐振用
補強部材と上記架設部材とを上記上下方向隙間に介設し
たダンパを介して連結するようにした建物架構であっ
て、上記ダンパを、上記架設部材と上記耐振用補強部材
との間に設けられ、水平方向を指向する滑り板および該
滑り板に圧接しつつ滑動する摩擦材からなる摩擦減衰力
生成部と、該摩擦減衰力生成部と上記架設部材若しくは
上記耐振用補強部材の少なくともいずれか一方との間に
設けられ、該摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせる弾
発力を発生するばねとからなる摩擦ダンパで構成し、該
ばねは、設定圧接力が加えられて上記架設部材と上記耐
振用補強部材との間の上下方向隙間寸法の見込み変化量
に対して、弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でた
わみ変形される皿ばねで構成する。
【0009】また、上記耐振用補強部材が上記空間内に
備えられたブレースであって、該ブレースの上端部と上
方の該架設部材とを上記上下方向隙間に介設した上記ダ
ンパを介して連結した構成とする。
【0010】他方、上記耐振用補強部材が上記空間内に
備えられた耐振壁であって、該耐振壁の上端部と上方の
該架設部材とを上記上下方向隙間に介設した上記ダンパ
を介して連結した構成とする。
【0011】以上の構成による本発明の皿ばね式摩擦ダ
ンパを用いた制振構造の作用は、建物架構に地震等の水
平振動が入力されると、摩擦ダンパに水平方向の変位力
が入力される。すると、摩擦減衰力生成部の滑り板と摩
擦材は、皿ばねの弾発力によって圧接された状態で相対
的に滑動して摩擦抵抗力を発生し、この摩擦抵抗力によ
り振動が効果的に減衰される。このとき、上記皿ばね
は、設定圧接力が加えられて架設部材と上記耐振用補強
部材との間の上下方向隙間寸法の見込み変化量に対し
て、弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変
形されるように設定されているため、種々の原因によっ
て皿ばねの変形量が見込み変化量の範囲で変化した場合
にあっても、摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせる皿
ばねの弾発力の変動はきわめて小さくなる。従って、摩
擦減衰力生成部で発生される摩擦抵抗力を略一定に維持
することができるため、振動減衰能力が変動することを
防止することができる。
【0012】そして上記耐振用補強部材が建物架構の空
間内に備えられたブレース若しくは耐振壁であって、こ
れらブレースまたは耐振壁の上端部と上方の該架設部材
とを上記上下方向隙間に介設した上記摩擦ダンパを介し
て連結した場合には、減衰能力が変動することを防止し
た上記構成の摩擦ダンパにより設定にしたがった確実な
振動減衰作用を確保しつつ、これらブレースや耐振壁が
本来有する耐振機能を有効に発揮させて、効果的に建物
架構を制振することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1か
ら図5は本発明の皿ばね式摩擦ダンパを用いた制振構造
の一実施形態を示し、図1はブレースを取り付けた建物
架構の概略構成図、図2はブレースと建物架構との間に
介設される摩擦ダンパの要部を断面した拡大正面図、図
3は同摩擦ダンパの要部を断面した拡大平面図、図4は
摩擦ダンパに用いられる皿ばねを示す拡大断面図、図5
は摩擦ダンパに適用される皿ばねのばね特性の一実測例
を示すグラフ図である。
【0014】本実施形態は基本的には、図1に示すよう
に建物架構10の相対向する柱部材12,12と、これ
ら柱部材12,12の上下端部を連結する上,下架設部
材としての上,下梁14,14aまたは床14bとで区
画される空間S内で、下梁14aまたは床14bから上
梁14に向かってハの字形状に延出される一対のブレー
ス16,16を備える。そして、これら両ブレース1
6,16の上端部16a,16aを、上梁14の下方か
ら適宜隙間δを設けてつなぎ材18を介して結合し(直
接結合してもよい)、該結合部18aと上梁14とを上
記隙間δに介設する図2,図3に示す摩擦ダンパ20で
連結するようになっている。尚、上記床14bに対して
は、上方階の下梁14aが上梁14となる。
【0015】摩擦ダンパ20は、上梁14の下面と上記
結合部18aの上面との間に設けられ、水平方向を指向
する滑り板22および該滑り板22に圧接しつつ滑動す
る摩擦材24からなる摩擦減衰力生成部26と、該摩擦
減衰力生成部26と該結合部18aとの間に設けられ、
該摩擦減衰力生成部26に圧接力を生じさせる弾発力を
発生する皿ばね28とで構成する。このとき、上記皿ば
ね28は、設定圧接力が加えられて上記上梁14と上記
結合部18aとの間の上下方向隙間δ寸法の見込み変化
量に対して、図5に示す弾発力の変動が小さい非線形ば
ね領域R内でたわみ変形されるように設定してある。
【0016】上記摩擦減衰力生成部26の一方を構成す
る滑り板22としては、ステンレス板や、その表面にス
テンレス板が設けられたクラッド鋼等で形成されると共
に、その表面(下面)は滑らかな平坦面として形成さ
れ、上記上梁14の下面に固設される。一方、上記摩擦
減衰力生成部26の他方を構成する摩擦材24としては
摩擦係数μが一定の部材、μが小さい(0.2程度)も
のとしては例えば四フッ化エチレンや超高分子量ポリエ
チレン(例えば、ソマライト(商品名))、μが中くら
い(0.5程度)のものとしては例えば表面を平滑にし
たステンレス板、さらにμが大きい(1.0程度)もの
としては表面を平坦にした鋼板などで、これらから必要
に応じた摩擦係数μを有する材料を選択して形成され、
後述するシャーキー30の上端部のフランジ30a上面
に形成された凹部30bに嵌着される。
【0017】上記皿ばね28は、複数の皿ばね単体28
aを同軸状に積層して構成される。該皿ばね単体28a
は、図4に示すように中央部に開口部28bが形成され
る皿状に形成され、複数枚の該皿ばね単体28aを同じ
向きに重ね合わせた4組のばね積層体を、逆向きに交互
に突き合わせることにより上記皿ばね28が構成され
る。そして、皿ばね28は積層された状態で中心部に貫
通される開口部28bに、ガイドを兼ねるシャーキー3
0を挿通し、該シャーキー30によって皿ばね単体28
aが積層された状態を保持して位置ずれが防止される。
また、シャーキー30の上端部にはフランジ30aが形
成され、該フランジ30aによって皿ばね28が上方に
抜け出るのが阻止される。
【0018】一方、上記皿ばね28の下側には支持台3
2が配置され、該支持台32上に皿ばね28が載置され
ると共に、該支持台32の中央部に形成された凹部32
aに上記シャーキー30の下端部が軸方向の移動を可能
に挿入される。そして、上記摩擦ダンパ20が上梁14
とブレース16,16の結合部18aとの間に介装され
る際、所定の予圧力が付加されるように圧縮状態で取り
付けられる。該予圧力は支持台32と結合部18aとの
間に差し込まれるスペーサ34によって微調整される。
このように取り付け状態で予圧力が付加されることによ
り、上記皿ばね28は図5に示したばね特性の荷重−変
位関係が非線形となる領域Rに達するようになってい
る。
【0019】即ち、図5は本実施形態に用いた上記皿ば
ね28の本発明に採用し得るばね特性の荷重−変位曲線
のグラフの一実測例が示され、縦軸には必要摩擦減衰力
を得るために摩擦減衰力生成部26に入力される荷重w
を示し、該荷重wの反力として摩擦減衰力生成部26に
生じさせるべき圧接力、すなわち皿ばね28によって発
生させる弾発力が示されると共に、横軸には皿ばね28
のたわみ量σが示されている。そして、必要摩擦減衰力
を得ることができる設定圧接力の値と、これを加えたと
きの皿ばね28のたわみ量との関係が同図から理解され
る。
【0020】上記皿ばね28自体の荷重特性はその形状
に依存することが知られており、本発明では図4に示す
ように、皿ばね単体28aの板厚をS、全たわみ量をh
とした場合に、h/Sが1.3〜1.4の皿ばねを使用
することが好ましい。h/Sが1.3よりも小さいと反
りの発生が小さく十分な変形量を確保できず、また1.
4よりも大きいと逆向きに反る変形が生じてしまうおそ
れがある。なお、Doは皿ばねの外径寸法、Diは皿ば
ねの内径寸法である。また、皿ばねの組み合わせ方に関
しては、皿ばねを同じ向きに重ね合わせる並列では、重
ね枚数を2枚にすると2倍の弾発力、3枚にすると3倍
の弾発力というように、弾発力はこの並列の重ね枚数で
調整することができる。また皿ばねの向きを互い違いに
重ね合わせる直列では、重ね枚数を2枚にすると2倍の
たわみ量、3枚にすると3倍のたわみ量というように、
たわみ量はこの直列の重ね枚数で調整することができ
る。従って、これら並列および直列の並べ方を種々組み
合わせることによって、様々な弾発力を確保しつつ所望
のたわみ量に設定することができる。
【0021】上述したようにグラフに例示された実際の
皿ばね28では、設定圧接力が加えられることで荷重−
変位関係が非線形となる領域Rに達している。ここで非
線形領域Rとは、摩擦ダンパ20が配置される上下方向
隙間寸法δの見込み変化量に対して弾発力の変動が小さ
い領域をいい、そしてこの皿ばね28はこの非線形ばね
領域R内で使用されることになる。すなわち、線形領域
を超えて、皿ばね28のたわみ量σが変化してもその発
生弾発力の変動がきわめて小さな非線形領域R内を当該
皿ばね28の使用領域として設定するようになってい
る。
【0022】図5の実測例では、必要摩擦減衰力を得る
ために皿ばね28に設定すべき圧接力(弾発力)は約6
0tであり、このとき皿ばね28に発生しているたわみ
量σは、非線形領域Rに達しているおおよそ40mmで
ある。このような状態の皿ばね28に対し、上記上下方
向隙間寸法δが±5mm範囲で変動しても、弾発力の変
動を±4t程度に抑えることができる。これを同一の皿
ばねの線形領域での使用と比較すると、例えば16mm
のたわみ量で使用される皿ばねでは、たわみ変形量が1
0mm減少してたわみ量が6mmになると、弾発力で2
3tの変動を生じてしまうことが理解される。
【0023】この実測例では、皿ばね28は約62mm
たわませると潰れてしまう性能となっていて、このよう
な皿ばね28に対して45mm以下のたわみ量で使用す
ることは、全たわみ量のおよそ75%以下での使用(4
5/62<0.75)にあたり、残留変形の発生も防止
できて耐久性に関しても満足できる使用となっている。
【0024】以上説明したように本実施形態の皿ばね式
摩擦ダンパを用いた制振構造にあっては、図1に示した
建物架構10に地震等の水平振動が入力されると、ブレ
ース16,16の結合部18aと上梁14との間の隙間
δに介設された摩擦ダンパ20に水平方向の変位力が入
力される。すると、図2に示した摩擦減衰力生成部26
の滑り板22と摩擦材24は、皿ばね28の弾発力によ
って圧接された状態で相対的に滑動して摩擦抵抗力を発
生し、この摩擦抵抗力により振動が効果的に減衰され
る。このとき、上記皿ばね28は、設定圧接力が加えら
れて上梁14と上記ブレースの結合部18aとの間の上
下方向隙間寸法δの見込み変化量に対して、弾発力の変
動が小さい非線形ばね領域R内でたわみ変形されるよう
に設定されている。このため、建物架構10が地震や
風、荷重や温度伸縮等の外部要因によって変形したり、
摩擦材24の摩耗によりその板厚が変化したりして皿ば
ね28の変形量σが見込み変化量の範囲で変化した場合
にあっても、摩擦減衰力生成部26に圧接力を生じさせ
る皿ばね28の弾発力の変動はきわめて小さくなる。従
って、摩擦減衰力生成部26で発生される摩擦抵抗力を
略一定に維持することができるため、建物架構10に入
力される振動に対する減衰性能が変動することを防止す
ることができる。
【0025】このように、種々の原因により摩擦ダンパ
20を介設した建物架構10とブレース16,16の結
合部18aとの間の上下方向隙間寸法δが変化しても、
一定した摩擦減衰力を発生させることができるので、摩
擦ダンパ20による制振機能を設計値通りに発揮させる
ことができる。従って、これによりブレース16,16
の信頼性を向上することができ、延いては建物架構10
を効果的に制振することができる。また、皿ばね28に
たわみ変形が生じても摩擦減衰力生成部26に加わる弾
発力がほぼ一定で変動がないので、後々の複雑なメンテ
ナンスを不要とすることができる。
【0026】また、巨大地震により著しく大きな振動が
入力された場合には、皿ばね28が全たわみ量分変形し
て密着状態で建物架構10を剛体支持するため、有効な
バックアップシステムとして機能させることができると
いう利点もある。更に、本実施形態の皿ばね式摩擦ダン
パを用いた制振構造は、地震に対してのみならず、風に
よる建物架構10の揺れに対しても有効に作用すること
はいうまでもない。
【0027】図6には他の実施形態が示されており、こ
の実施形態では上梁14下方に比較的長いつなぎ材18
を配設し、このつなぎ材18の両端部に各ブレース16
の上端部を接続するようにして、ブレース16相互間に
広い空間を確保できるようにしている。そしてこの長く
形成したつなぎ材18の両端部に摩擦ダンパ20を2つ
配設していて、このような実施形態にあっても上記実施
形態と同様な作用効果を確保することができる。特にこ
の実施形態では、つなぎ材18が2つの摩擦ダンパ20
によって両端支持される形態なので、摩擦ダンパ20の
増設による高効率な振動減衰と、つなぎ材18の両端支
持によって建物架構10内に発生するモーメント等に対
するつなぎ材18の負担軽減とを確保できて、効果的な
制振作用を発揮させることができる。
【0028】また図7にはさらに他の実施形態が示され
ており、この実施形態では建物架構10内にプレキャス
トコンクリート製等の耐振壁50が備えられている。こ
の耐振壁50は下端部が下梁14aや床14bに接合さ
れて建物架構10内に立設され、上端部50aと上梁1
4との間に所定の上下方向隙間が形成されている。ま
た、耐振壁50の両側部と建物架構10を構成する一対
の柱部材12との間には、建物架構10と耐振壁50と
の水平方向相対変位を吸収し許容するための隙間gが形
成されている。そしてこのように配置された耐振壁50
の上端部50a両側と上梁14との間には2つの摩擦ダ
ンパ20が配設されていて、このような実施形態にあっ
ても上記実施形態と同様な作用効果を確保することがで
きる。
【0029】すなわち、これら図6および図7に示す実
施形態にあっても、減衰能力が変動することを防止した
上記構成の摩擦ダンパ20により設定にしたがった確実
な振動減衰作用を確保しつつ、これらブレース16や耐
振壁50が本来有する耐振機能を有効に発揮させて、こ
れらの相乗効果により効果的に建物架構を制振すること
ができる。
【0030】そして、以上のように摩擦ダンパ20の設
置個数については必要に応じて1以上、複数個設置する
ことができるとともに、耐振用補強部材についても、ブ
レース16や耐振壁50に限らず、その他の構造を設定
して、これらに対して上記摩擦ダンパ20を設置するこ
とが可能である。
【0031】図8および図9は他の実施形態を示し、図
8は摩擦ダンパの要部を断面した拡大正面図、図9は同
摩擦ダンパの要部を断面した拡大平面図であり、この実
施形態を上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付し
て重複する説明を省略して述べる。
【0032】即ち、この実施形態にあっては、皿ばね2
8が平面配置で4つ設けられて構成されている。このよ
うに多数の皿ばね28を用いると、皿ばね28を1つ備
える場合に比べて、皿ばね28に加えられる設定圧接
力、すなわち発生弾発力を分散させることが可能とな
り、ばね設計の自由度を増すことができる。また、本実
施形態では皿ばね28は、皿ばね単体28aを順次反対
向きに重ね合わせて組み合わせることで構成されてい
る。
【0033】勿論、この実施形態にあっても上記それぞ
れの皿ばね28は開口部28bにガイドを兼ねたシャー
キー30が挿通されて、皿ばね28の位置ずれが防止さ
れるようになっている。また、それぞれの皿ばね28に
挿通される4個のシャーキー30の上端部は共通のフラ
ンジ30aによって互いに連結される。更に、該フラン
ジ30aと支持台32との間には、締め付け用のPC鋼
棒40が設けられ、該PC鋼棒40がナット40aによ
って締め付け可能となっている。
【0034】このように構成された摩擦ダンパ20は、
これを取り付ける際に、まずPC鋼棒40に対してナッ
ト40aを締め込んでフランジ30aと支持台32との
間を十分に縮め、この状態で摩擦ダンパ20を上梁14
とブレース16,16(図1および図6参照)の結合部
18aとの間に配置する。次いでナット40aを緩め、
皿ばね28に設定圧接力に対応する弾発力が発生するた
わみ量までナット40aを緩めていく。このたわみ量は
設置時には既知の量であり、当該たわみ量にセット(予
圧力の付加)できたならばナット40aの緩め作業を一
旦終了する。そして、このとき、支持台32と結合部1
8aとの間に間隙が生じている場合には、これらの間に
スペーサ34を介装して、ボルト42で支持台32を結
合部18aに固定する。その後、ナット40aを外して
皿ばね28を上下方向に伸び縮みが自由な状態とするよ
うになっている。
【0035】勿論、この実施形態にあっても上記実施形
態と同様に、皿ばね28に予圧力が付加されることによ
り、上梁14と上記ブレースの結合部18aとの間の上
下方向隙間寸法δの見込み変化量に対して、弾発力の変
動が小さい非線形ばね領域R内でたわみ変形されるよう
に設定されている。従って、この実施形態にあっても上
記実施形態と同様の機能を発揮できることはいうまでも
なく、特にこの実施形態では積層される皿ばね単体28
aは、上下に隣接されるものどうしが反対に向き合って
配置されるため、許容されるばね変形量を大きく取るこ
とができる。本実施形態の摩擦ダンパ20は、図7に示
した耐振壁50にも適用可能である。
【0036】ところで、上記各実施形態にあっては上梁
14側に摩擦減衰力生成部26を配置し、ブレース1
6,16の結合部18a側に皿ばね28を配置した場合
を開示したが、これに限ることなくこれらを反対に取り
付けて摩擦減衰力生成部26を結合部18a側、皿ばね
28を上梁14側に配置してもよい。また、皿ばね28
を構成する皿ばね単体28aの組み合わせ配置構成に関
しても、上記実施形態の開示形態に限らず、本発明の皿
ばね28に求められる設定が可能である限り、種々に変
更して組み合わせ構成することができることはもちろん
である。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の皿ばね式摩
擦ダンパを用いた制振構造にあっては、耐振用補強部材
と架設部材との上下方向隙間に介設されるダンパを、架
設部材と耐振用補強部材との間に設けられ、水平方向を
指向する滑り板および滑り板に圧接しつつ滑動する摩擦
材からなる摩擦減衰力生成部と、摩擦減衰力生成部と架
設部材若しくは耐振用補強部材の少なくともいずれか一
方との間に設けられ、摩擦減衰力生成部に圧接力を生じ
させる弾発力を発生するばねとからなる摩擦ダンパで構
成し、ばねは、設定圧接力が加えられて架設部材と耐振
用補強部材との間の上下方向隙間寸法の見込み変化量に
対して、弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわ
み変形される皿ばねでなる構成としたので、建物架構に
地震等の水平振動が入力されると、摩擦ダンパの摩擦減
衰力生成部の滑り板と摩擦材は、皿ばねの弾発力によっ
て圧接された状態で相対的に滑動して摩擦抵抗力を発生
し、この摩擦抵抗力により入力された振動を効果的に減
衰することができる。このとき、上記皿ばねは、設定圧
接力が加えられて架設部材と耐振用補強部材との間の上
下方向隙間寸法の見込み変化量に対して、弾発力の変動
が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形されるように設
定されているため、種々の原因によって皿ばねの変形量
が見込み変化量の範囲で変化した場合にあっても、摩擦
減衰力生成部に圧接力を生じさせる皿ばねの弾発力の変
動をきわめて小さくすることができる。従って、摩擦減
衰力生成部で発生される摩擦抵抗力を略一定に維持する
ことができるため、振動減衰能力が変動することを防止
することができる。
【0038】そして上記耐振用補強部材が建物架構の空
間内に備えられたブレース若しくは耐振壁であって、こ
れらブレースまたは耐振壁の上端部と上方の該架設部材
とを上記上下方向隙間に介設した上記摩擦ダンパを介し
て連結した場合には、減衰能力が変動することを防止し
た上記構成の摩擦ダンパにより設定にしたがった確実な
振動減衰作用を確保しつつ、これらブレースや耐振壁が
本来有する耐振機能を有効に発揮させて、これらの相乗
効果により効果的に建物架構を制振することができると
いう優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すブレースを取り付け
た建物架構の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すブレースと建物架構
との間に介設される摩擦ダンパの要部を断面した拡大正
面図である。
【図3】図2の摩擦ダンパの要部を断面した拡大平面図
である。
【図4】図2の摩擦ダンパに用いられる皿ばねを示す拡
大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す摩擦ダンパに適用さ
れる皿ばねのばね特性の一実測例を示すグラフ図であ
る。
【図6】本発明の他の実施形態を示すブレースを取り付
けた建物架構の概略構成図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態を示す耐振壁を取
り付けた建物架構の概略構成図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示す他の摩擦ダ
ンパの要部を断面した拡大正面図である。
【図9】図8の摩擦ダンパの要部を断面した拡大平面図
である。
【符号の説明】
10 建物架構 12 柱部材 14 上梁 14a 下梁 14b 床 16 ブレース 18 つなぎ材 18a 結合部 20 摩擦ダンパ 22 滑り板 24 摩擦材 26 摩擦減衰
力生成部 28 皿ばね 28a 皿ばね
単体 50 耐振壁 δ 上下方向隙間寸法 R 非線形ばね
領域

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対向する一対の柱部材と、これら柱部
    材の上下端部を連結する上,下一対の架設部材とで区画
    される空間内に耐振用補強部材を備え、該耐振用補強部
    材を上記架設部材から上下方向に適宜隙間を設けて配置
    し、上記耐振用補強部材と上記架設部材とを上記上下方
    向隙間に介設したダンパを介して連結するようにした建
    物架構であって、 上記ダンパを、上記架設部材と上記耐振用補強部材との
    間に設けられ、水平方向を指向する滑り板および該滑り
    板に圧接しつつ滑動する摩擦材からなる摩擦減衰力生成
    部と、該摩擦減衰力生成部と上記架設部材若しくは上記
    耐振用補強部材の少なくともいずれか一方との間に設け
    られ、該摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせる弾発力
    を発生するばねとからなる摩擦ダンパで構成し、 該ばねは、設定圧接力が加えられて上記架設部材と上記
    耐振用補強部材との間の上下方向隙間寸法の見込み変化
    量に対して、弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内で
    たわみ変形される皿ばねでなることを特徴とする皿ばね
    式摩擦ダンパを用いた制振構造。
  2. 【請求項2】 上記耐振用補強部材が上記空間内に備え
    られたブレースであって、該ブレースの上端部と上方の
    該架設部材とを上記上下方向隙間に介設した上記ダンパ
    を介して連結したことを特徴とする請求項1に記載の皿
    ばね式摩擦ダンパを用いた制振構造。
  3. 【請求項3】 上記耐振用補強部材が上記空間内に備え
    られた耐振壁であって、該耐振壁の上端部と上方の該架
    設部材とを上記上下方向隙間に介設した上記ダンパを介
    して連結したことを特徴とする請求項1に記載の皿ばね
    式摩擦ダンパを用いた制振構造。
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