JPH1137065A - 容積形流体機械 - Google Patents

容積形流体機械

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JPH1137065A
JPH1137065A JP19591097A JP19591097A JPH1137065A JP H1137065 A JPH1137065 A JP H1137065A JP 19591097 A JP19591097 A JP 19591097A JP 19591097 A JP19591097 A JP 19591097A JP H1137065 A JPH1137065 A JP H1137065A
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JP
Japan
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displacer
cylinder
suction
fluid machine
compression
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Pending
Application number
JP19591097A
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English (en)
Inventor
Shigeru Machida
茂 町田
Hirokatsu Kosokabe
弘勝 香曽我部
Shiyunichi Mitsuya
俊一 三津谷
Kunihiko Takao
邦彦 高尾
Hiroaki Hatake
裕章 畠
Shigetaro Tagawa
茂太郎 田川
Kenji Tojo
健司 東條
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication of JPH1137065A publication Critical patent/JPH1137065A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出過程の流体損失をスクロール式流体機械
並に小さくし、吸入流体損失が小さくディスプレーサ端
面のシール性の高い容積形流体機械を提供すること。 【解決手段】 断面形状が連続した曲線で構成される中
空シリンダ4内で旋回することにより複数の吐出ポート
8aから作動流体を吐出する容積形流体機械1の吸入流
路7aは端板7を貫通し、もしくはさらにシリンダ4に
も流路を形成した構成を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばポンプ、圧
縮機、膨張機等に係り、特に容積形流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】古くから容積形の流体機械として、円筒
状のシリンダ内をピストンが往復運動を繰り返すことに
より作動流体を移動させるレシプロ式流体機械、円筒状
のシリンダ内を円筒状のピストンが偏心回転運動するこ
とにより作動流体を移動させるロータリ式(ローリング
ピストン型)流体機械、端板上に直立した渦巻状のラッ
プを有する一対の固定スクロール及び旋回スクロールを
噛み合わせ、旋回スクロールを旋回運動させることによ
り作動流体を移動させるスクロール式流体機械が知られ
ている。
【0003】レシプロ式流体機械は、その構造が単純で
あることから製作が容易でかつ安価であるという利点が
ある反面、吸入終了から吐出終了までの行程が回転軸の
回転角で180度と短く、吐出過程の流速が速くなるた
め圧力損失の増加による性能低下という問題、及び、ピ
ストンを往復させる運動を必要とするため回転軸系の不
釣合慣性力を完全にバランスさせることができず振動や
騒音が大きいという問題がある。
【0004】また、ロータリ式流体機械は、吸入終了か
ら吐出終了までの行程は回転軸の回転角で360度であ
るため吐出過程の圧力損失が増加するという問題はレシ
プロ式流体機械に比べ少ないものの、軸1回転に1回吐
出するものであるためガス圧縮トルクの変動が比較的大
きくレシプロ式流体機械と同様に振動と騒音の問題があ
る。
【0005】さらに、スクロール式流体機械は、吸入終
了から吐出終了までの行程が回転軸の回転角で360度
以上と長い(空調用として実用化されているものは通常
900度程度)ため吐出過程の圧力損失が小さく、か
つ、一般に複数の圧縮作動室が形成されるため1回転中
のガス圧縮トルクの変動も小さく振動及び騒音が小さい
という利点がある。しかし、ラップ噛み合い状態での渦
巻状のラップ間のクリアランスや、端板とラップ歯先間
のクリアランスの管理が必要で、そのために精度の高い
加工を施さねばならず加工費用が高価になるという問題
がある。また、吸入終了から吐出終了までの行程が回転
軸の回転角で360度以上と長く、圧縮過程の期間が長
ければ長いほど内部漏れが増加するという問題があっ
た。
【0006】ところで、作動流体を移動させるデイスプ
レーサが作動流体が吸入されたシリンダに対して相対的
に自転運動せずにほぼ一定の半径で公転運動、すなわち
旋回運動することにより作動流体を搬送する容積形機械
の一種が特開昭55−23353号公報(文献1)、米
国特許2112890号公報(文献2)、特開平5−2
02869号公報(文献3)及び特開平6−28075
8号公報(文献4)に提案されている。ここに提案され
ている容積形流体機械は、複数の部材(ベーン)が中心
より放射状に延びている花びら形状を有するピストン
と、このピストンとほぼ相似形の中空部を有するシリン
ダとから構成され、このピストンがこのシリンダ内を旋
回運動することによって、作動流体を移動させるもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記文献4に示された
容積形流体機械は、レシプロ式のように往復運動する部
分を持たないため、回転軸系の不釣り合いをバランスさ
せることができる。このため振動が小さく、さらに、ピ
ストンとシリンダ間の相対滑り速度が小さいので摩擦損
失を比較的少なくできるといった特長を備えている。し
かしながら、吸入流路はケーシング内に構成された大き
な空間と、前記ケーシングと外側ランナの間に構成され
る広い空間が兼用され、さらには内側ランナのディスク
部で一時的に流路が絞られているため、圧縮機吸入ポー
トから圧縮室内に流入するまでに吸入気体が過熱された
り、吸入気体の流動に基づく吸入圧損が生じるため圧縮
機性能が低下するという問題があった。
【0008】また、上記文献4においては潤滑油の存在
はもとより潤滑油経路などの記載に十分な配慮がなされ
ておらず、圧縮作動室内への潤滑油供給手段などが明記
されていないため、圧縮作動室内の潤滑やシール性能確
保と言う点で問題があった。また、ピストンを構成する
複数のベーンとシリンダとによって形成される個々の圧
縮作動室の吸入終了から吐出終了までの行程が、回転軸
の回転角θcで約180度(210度)と短い(ロータ
リ式の約半分でレシプロ式と同程度)ため、吐出過程に
おける流体の流速が速くなり圧力損失が増加して性能が
低下する問題がある。また、これら文献に示された流体
機械では、個々の圧縮作動室の吸入終了から吐出終了ま
での回転軸の回転角が小さく、作動流体の吐出が終了し
てから次の(圧縮)行程が始まる(吸入終了)までの時
間的なずれ(タイムラグ)が存在していることとなり、
吸入終了から吐出終了までの圧縮作動室が回転軸周りに
偏って形成されるようになるため力学的なバランスが悪
く、圧縮された作動流体からの反力としてピストンに、
ピストン自身を回転させようとする自転モーメントが過
大に作用し、ベーンの摩擦や摩耗といった信頼性上の問
題が起こりやすいという欠点がある。
【0009】本発明の第1の目的は、吸入気体の流体損
失を小さくできる旋回揺動形の容積形流体機械を提供す
ることにある。本発明の第2の目的は、圧縮作動室の内
の吸入圧縮作動室内の潤滑を良好に保つとともに潤滑油
シール効果を高めてディスプレーサに働く自転モーメン
トに打ち勝って、摩擦・摩耗の問題を解決して信頼性が
高く、効率の良い容積形流体機械を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、端板
間にディスプレーサとシリンダとを配置し、前記シリン
ダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記シ
リンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1つ
の空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリン
ダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間が
形成される容積形流体機械において、圧縮機吸入口と前
記複数の空間を端板に設けた連通孔と前記シリンダに設
けた吸入流路を介して連通状態に構成したり、端板間に
ディスプレーサとシリンダとを別体的に配置し、前記デ
ィスプレーサの中心部に回転軸を配設してボルトなどの
締結手段により一体化して複数の圧縮作動空間を構成し
た圧縮機構部を潤滑油と共に密閉容器内に収納し、該潤
滑油が前記ディスプレーサの中心部から該前記ディスプ
レーサ端面の隙間を通って吸入圧縮作動室内に流入でき
るようにすると共に、圧縮機吸入口と前記複数の空間を
端板に設けた連通孔を介して連通状態に構成したことに
より達成できる。
【0011】上記第2の目的は、端板間にディスプレー
サとシリンダとを配置し、前記シリンダ中心と前記ディ
スプレーサ中心を合わせたとき前記シリンダ内壁面及び
前記ディスプレーサ外壁面により1つの空間が形成さ
れ、前記ディスプレーサ及び前記シリンダとの位置関係
を旋回位置においたときは複数の空間が形成される容積
形流体機械において、前記ディスプレーサの中心部に潤
滑などのための給油流路を設けた回転軸を配置し、該回
転軸に電動要素を設けて潤滑油と共に密閉容器内に収納
し、回転軸の回転に連動して運動する該ディスプレーサ
の端面に凹部を設け、圧縮機吸入口と前記複数の空間を
端板に設けた連通孔と前記シリンダ内に設けた吸入流路
を介して連通状態に構成したり、回転軸の軸方向に対し
て略直交する面に平行してに前記複数の空間と連通する
吸入流路を前記シリンダに設けることによって達成でき
る。
【0012】さらには、端板間に平面形状が連続した曲
線で構成される内壁を有するシリンダと、このシリンダ
の内壁に対向するように設けられた外壁を有し、旋回運
動したとき前記内壁とこの外壁と前記端板により複数の
空間を形成するディスプレーサとを備えた容積形流体機
械において、前記ディスプレーサの中心部に潤滑などの
ための給油流路を設けた回転軸を配置し、回転軸の回転
に連動して運動する該ディスプレーサの端面と端板間に
少なくとも潤滑油が通る溝部を設けるとともに、圧縮機
吸入口と前記複数の空間を端板に設けた連通孔と前記シ
リンダに設けた吸入流路を介して連通状態に構成するこ
とにより達成できる。
【0013】さらには、端板間に平面形状が連続した曲
線で構成される内壁を有するシリンダと、このシリンダ
の内壁に対向するように設けられた外壁を有し、旋回運
動したとき前記内壁とこの外壁と前記端板により複数の
空間を形成するディスプレーサとを備えた容積形流体機
械において、機械の運転中に生じる自転モーメントを前
記ディスプレーサと前記シリンダ壁面で受けるように構
成すると共に、圧縮機吸入口と前記複数の空間を端板に
設けた連通孔と前記シリンダに設けた吸入流路を介して
連通状態に構成したり、前記端板に設けた連通孔を回転
軸の軸心方向から透視してみたとき、端板に設けた連通
孔は前記シリンダ上に配設されると共に回転軸の回転に
伴って前記ディスプレーサ上に間欠的に配設されるよう
な位置に構成したことにより達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の特徴は以下
の実施形態によりさらに明確になる。以下、本発明の一
実施の形態を図を用いて説明する。まず、本発明の一実
施形態である容積形流体機械の構造を図1乃至図3を用
いて説明する。図1(a)は本発明の一実施形態である容
積形流体機械を圧縮機として用いた場合における密閉型
圧縮機の要部を示す縦断面図((b)のA-A断面図)、(b)
は(a)のB-B矢視で圧縮室を形成している状態を示す平面
図、図2は容積形圧縮要素の作動原理図、図3は本発明
の一実施形態である容積形流体機械を圧縮機として用い
た場合における密閉型圧縮機の縦断面図である。
【0015】図1において、密閉容器3内には、容積形
圧縮要素1及びこれを駆動する電動要素(図3に示した
要素2)が収納されている。容積形圧縮要素1の詳細を
説明する。図1(b)には同様の輪郭形状が3組組み合わ
された3条ラップが示されている。シリンダ4の内周形
状は、中空部が120度(中心o’)毎に同じような形
状が表れるように形成されている。この個々の中空部の
端部には、内方に向かって突出する複数(この場合は3
条ラップであるので3つ存在する)のベーン4bを有す
る。ディスプレーサ5は、このシリンダ4の内側に配設
されシリンダ4の内周壁4a(ベーン4bよりも曲率が
大きい部分)及びベーン4bと噛み合うように互いの中
心をεだけずらして構成されている。尚、シリンダ4の
中心o’とディスプレーサ5の中心oを一致させると、
両者の輪郭形状の間には一定幅の隙間が形成される様に
構成されている。
【0016】次に、容積形圧縮要素1の作動原理を図1
及び図2により説明する。記号oはディスプレーサ5の
中心、記号o’はシリンダ4(あるいは回転軸6)の中
心である。記号a,b,c,d,e,fはシリンダ4の
内周壁4a及びベーン4bとディスプレーサ5の噛み合
いの接点を表す。ここで、シリンダ4の内周輪郭形状を
みると、同じ曲線の組合せが3箇所連続して滑らかに接
続されている。このうちの1箇所に着目すると、内周壁
4a、ベーン4bを形作る曲線を、厚みのある一つの渦
曲線(ベーン4bの先端を渦の巻始めと考える)とみる
ことができ、その内壁曲線(g−a)は、曲線を構成す
る各円弧角の合計を示す巻き角がほぼ360度(設計思
想は360度であるが製造誤差のため丁度その値にはな
らないという意味である。以下、同様。尚、この巻き角
については詳細を後述する)の渦曲線で、外壁曲線(g
−b)も巻き角がほぼ360度の渦曲線である。このよ
うに、上記1箇所の内周輪郭形状は、内壁曲線及び外壁
曲線から形成されている。これら2つの曲線円周上にほ
ぼ等ピッチ(3条ラップであるので120度)に配設
し、隣合う渦巻体の外壁曲線と内壁曲線とは円弧等の滑
らかな接続曲線(b−b’)で結ぶことによって、シリ
ンダ4の内周輪郭形状全体が構成されている。ディスプ
レーサ5の外周輪郭形状も上記シリンダ4と同じ原理で
構成されている。
【0017】なお、3つの曲線からなる渦巻体を円周上
にほぼ等ピッチ(120度)に配設するとしたが、これ
は後述する圧縮動作に伴う荷重を均等に分散させる目的
と製造のし易さを配慮したためで、特に、これらのこと
が問題にならない場合は、不等ピッチでもよい。
【0018】さて、このように構成されたシリンダ4と
ディスプレーサ5による圧縮動作を図2を用いて説明す
る。7aは吸入ポートすなわち、端板7bに設けた連通
孔であり、ほぼ円形に構成されている。8aは吐出ポー
トであり、夫々3ヶ所対応する端板に設けられている。
(b)図に示すように連通孔7aの輪郭線は圧縮作動室
15が最大容積を形成したとき(図中網掛けで示した面
積に相当する)、ディスプレーサ5の外壁面より外側に
はみ出さないように形成される。但し、圧縮動作の遅れ
若しくは進みを考慮して、ディスプレーサ5の外壁面よ
り外側にはみ出るように形成することもできる。さら
に、シリンダ4に設けたベーン4bの付け根付近では前
記吸入ポートすなわち、端板7bに設けた連通孔7aの
輪郭線はシリンダの一部をを覆う様に構成することがで
きる。また、ディスプレーサ5と端板7b、8bとの間
のシール性やディスプレーサ5の両端面に作用する圧力
バランスを考慮して、連通孔7aの大きさを小さくする
こともできる。
【0019】回転軸6を回転させることにより、ディス
プレーサ5が固定側であるシリンダ4の中心o’の周り
を自転することなしに旋回半径ε(=oo’)で公転運
動し、ディスプレーサ5の中心o周りに複数の圧縮作動
室が形成される。この複数の圧縮作動室は、シリンダ内
周輪郭(内壁)とディスプレーサ5の外周輪郭(側壁)
とにより囲まれて密閉された複数の空間のうち、吸入が
終了し圧縮(吐出)行程となっている空間をいう。すな
わち、吸入終了から吐出終了までの期間となっている空
間である。前述の巻角が360度の場合に限ると、圧縮
終了時点ではこの空間は無くなるが、その瞬間に吸入も
終了するのでこの空間を1つと勘定する。但し、ポンプ
として用いる場合は、吐出ポートを介して外部と連通し
ている空間をいう。なお、本実施例の形態では常時3個
の圧縮作動室が形成されている。
【0020】接点aと接点bで囲まれハッチングが施さ
れた1つの圧縮作動室15に着目して説明する。この圧
縮作動室15は、吸入終了時点では2つに別れている
が、圧縮行程が開始されると直ぐにこの2つの圧縮作動
室はつながって1つになる空間である。図2(1)が吸
入ポート7aからこの圧縮作動室への作動気体の吸入が
終了した状態である。この状態から90度回転軸6が回
転した状態が図2(2)で、回転が進み最初から180
度回転した状態が図2(3)で、さらに回転が進み最初
から270度回転した状態が図2(4)である。図2
(4)から90度回転すると最初の図2(1)の状態に
戻る。これより、回転が進むに従って圧縮作動室15は
その容積を縮少し、吐出ポート8aは吐出弁9(図1に
示す)で閉じられているため作動流体の圧縮作用が行わ
れることになる。そして、圧縮作動室15内の圧力が外
部の吐出圧力よりも高くなると圧力差で吐出弁9が自動
的に開き、圧縮された作動気体は吐出ポート8aを通っ
て吐き出される。吸入終了(圧縮開始)から、吐出終了
までの回転軸の回転角は360度で、圧縮、吐出の各行
程が実施されている間に次の吸入行程が準備されてお
り、吐出終了時が次の圧縮開始となる。例えば、接点a
とdによって形成される空間に着目すると、図2(1)
の段階で既に吸入ポート(連通孔)7aから吸入が開始
されており、回転が進むにつれてその容積が増し、図2
(4)の状態になると、この空間は分断される。この分
断された量に相当する流体は、回転角が進んだ状態を示
す状況、例えば接点bとeによって形成される空間と同
じような空間を形成した時の空間から補われる。
【0021】この補われ方について詳述する。図2
(1)の状態の接点aとbとにより形成された圧縮作動
室の隣の接点aとdによって形成された空間は吸入が始
まっている。この空間は、一旦図2(3)に示されるよ
うに接点aとdによって形成される空間のように広がっ
た後、図2(4)になるとディスプレーサ先端部の接点
dで分断されてる。従って、例えば図2(3)の接点a
とdによって形成された空間の全ての流体が図2(1)
の接点aとbによって形成される空間で圧縮される訳で
はない。分断されて接点aとdによって形成された空間
に取り込まれなかった流体体積と同量の流体は、図2
(4)において吸入過程にある接点bとeによって形成
される空間が、図2(1)に示されるように接点bによ
って分断されて、吐出ポート付近の接点eと接点bとに
より形成される空間に流入している流体によって充当さ
れる。
【0022】これは、前述したように、各ラップを均等
ピッチで配置したことによる。即ち、ディスプレーサお
よびシリンダの形状が同一輪郭形状の繰返しにより形成
されているため、いずれの圧縮作動室も異なる空間から
流体を得てもほぼ同量の流体を圧縮することができるの
である。なお、不均等ピッチであっても各空間に形成さ
れる容積が等しくなるように加工を施すことは可能であ
るが製作性が悪い。前出のいずれの従来技術においても
吸込過程にある空間が閉じられて内部の流体がそのまま
圧縮され吐出されるのに対して、このように圧縮作動室
に隣合う吸入過程にある空間が分断されて圧縮動作を行
うことは本実施形態の特徴の一つである。
【0023】以上説明したように、連続的な圧縮動作と
なる圧縮作動室がディスプレーサ5の中心部に位置する
回転軸6のクランク部6aの周りにほぼ等ピッチで分散
して配設され、各圧縮作動室は各々位相がずれて圧縮が
行われる。すなわち、一つの空間に着目すると吸入から
吐出までは回転軸の回転角で360度ではあるが、本実
施形態の場合3個の圧縮作動室が形成され、これらが1
20度ずれた位相で吐出をするので、流体である気体を
圧縮する圧縮機として動作させた場合、回転軸の回転角
で360度間に3回圧縮気体を吐出することになる。
【0024】さて、圧縮動作を終了した瞬間の空間(接
点aとbによって囲まれた空間)を一つの空間として見
做すと、本実施形態の如く巻角が360度の場合、いず
れの圧縮機動作状態においても、吸入行程となっている
空間と圧縮行程となっている空間とが交互になるように
設計されており、このため、圧縮行程が終了した瞬間直
ちに次の圧縮行程に移行することができ、滑らかで連続
的に流体を圧縮することができる。
【0025】次に、このような形状をした容積形圧縮要
素1を組み込んだ圧縮機を図1及び図3を用いて説明す
る。図3において、容積形圧縮要素1は、上記詳述した
シリンダ4及びディスプレーサ5に加えて、ディスプレ
ーサ5の中心部の軸受にクランク部6aが嵌合してディ
スプレーサ5を駆動する回転軸6、前記シリンダ4の両
端開口部を閉塞する端板と回転軸6を軸支する軸受を兼
ねた主軸受部材7と副軸受部材8、前記主軸受部材7の
端板7bに形成された吸入ポート7a(連通孔7a)、
前記副軸受部材8の端板8bに形成された吐出ポート8
a、この吐出ポート8aを差圧で開閉する吐出弁9を有
する。但し吐出弁9はリード弁形式でもよい。一方、回
転軸6もしくはこれを回転可能に軸支する軸受部材の表
面は摺動による摩擦損失の低減を図って表面処理がなさ
れている。また、回転軸6と各軸受部材7、8との間に
はこれらと材質の異なる軸受部品を介在することもでき
る。さらに、回転軸6とディスプレーサ5との嵌合部も
前記と同じように構成している。5bはディスプレーサ
5に形成された貫通穴である。また、10は主軸受部材
7に取り付けられた吸入カバー、11は副軸受部材8と
一体的に吐出室8cを形成するための吐出カバーであ
る。
【0026】なお、容積形圧縮要素1は、大きく分類し
て吸入ポート7a(連通孔7a)を備えた端板7bと吐
出ポート8aを備えた端板8bとシリンダ4さらにディ
スプレーサ5と回転軸6により構成されるが、前記これ
らの部品は全て個々の部品として製作される。
【0027】別体製作することにより端板7bと端板8
bとシリンダ4の端面さらにディスプレーサ5の端面等
が互いに当接する面は高い面精度で加工することができ
る。従って、圧縮機として運転する場合には接触面のシ
ール性を高く維持できるなどの効果がある。さらには、
シリンダ4やディスプレーサ5の曲壁面の加工精度も高
く維持できる。さらに他の効果は、両端板とシリンダ4
の外周部に一体化のための固定用貫通穴設けてあるので
各部品の組立時においては自由度の高い位置決め作業を
しながら組立ができるので、吸入流路や吐出流路と圧縮
作動室との位置関係を好適に保つことができ、気体の流
動抵抗を小さくすることができる。
【0028】電動要素2は、固定子2aと回転子2bか
らなり、回転子2bは焼き嵌め等で回転軸6に固定され
ている。この電動要素2は、電動機効率向上のため、ブ
ラシレスモータで構成され、3相インバータにより駆動
制御される。ただし、2は他の電動機形式、例えば、直
流電動機や誘導電動機でも差し支えない。12は密閉容
器3の内の底部に溜められた潤滑油で、この中に回転軸
6の下端部が浸かっている。13は吸入パイプ、13a
は吸入口、14は吐出パイプ、15はシリンダ4の内周
壁4a及びベーン4bとディスプレーサ5の噛み合いに
よって形成される前述した圧縮作動室である。また、吐
出室8bはOリング等のシール部材16により密閉容器
3内の圧力と区画されている。
【0029】本実施形態における容積形流体機械を空調
用圧縮機として利用した場合、その作動気体(冷媒ガ
ス)の流れを図1により説明する。図中に矢印で示すよ
うに、吸入パイプ13を通って密閉容器3に入った作動
気体は、主軸受部材7に取り付けられた吸入カバー10
内の吸入口13aに入り吸入連通孔7aを通って容積形
圧縮要素1に入り、ここで回転軸6の回転によってディ
スプレーサ5が旋回運動を行い圧縮作動室の容積が縮少
することにより圧縮される。圧縮された作動気体は、副
軸受部材8の端板8bに形成された吐出ポート8aを通
り吐出弁9を押し上げて吐出室8c内に入り、吐出パイ
プ14を通って外部に流出する。尚、吸入パイプ13と
吸入カバー10との間に隙間が形成されている理由は、
密閉容器3内の圧力を低く保つためと作動気体を電動機
要素2内にも流通させることによって電動機要素2を冷
却するためである。従って、密閉容器3内の圧力は吸入
圧力にほぼ等しく保たれている。
【0030】内部に溜められた潤滑油12は、差圧や遠
心ポンプ給油によって底部から回転軸6内部に設けられ
た給油穴を通って、各摺動部に送られ潤滑する。この一
部は圧縮作動室内部15にもディスプレーサ5と端板7
bもしくは8b間の隙間を通って供給される。
【0031】ここで、本発明の容積形圧縮要素1を構成
する主要部品であるディスプレーサ5及びシリンダ4の
輪郭形状の構成方法の一例を図4乃至図6を用いて説明
する(3条ラップの場合を例にあげる)。図4(a)
(b)は、一例として平面形状が円弧の組合せにより構
成されたディスプレーサの形状の一例で、(a)は平面
図、(b)は側面図である。図5(a)(b)は、図4
に示したディスプレーサの対となって噛み合うシリンダ
形状の一例で、(a)は平面図、(b)は側面図であ
る。また、図6は、図4に示したディスプレーサの中心
oと図5示したシリンダの中心o’とを重ねてディスプ
レーサとシリンダの壁面の一部分を描いた図である。
【0032】図4(a)において、ディスプレーサの平
面形状は中心o(正三角形IJKの図心)の周りに同一
の輪郭形状が3箇所連続して接続されている。その輪郭
形状は、半径R1から半径R7までの全部で7つの円弧
で形成されており、点p,q,r,s,t,u,v,w
は夫々異なる半径の円弧の接続点である。曲線pqは、
正三角形の一辺IK上に中心を持つ半径R1の円弧、こ
こで、点pは頂点IよりR7の距離にある。曲線qrは
接続点qと半径R1の中心を結ぶ直線の延長線上に中心
を持つ半径R2の円弧、曲線rsは接続点rと半径R2
の中心を結ぶ直線上に中心を持つ半径R3の円弧、曲線
stは同様に接続点sと半径R3の中心を結ぶ直線の延
長線上に中心を持つ半径R4の円弧である。曲線tuは
接続点tと半径R4の中心を結ぶ直線の延長線上に中心
を持つ半径R5の円弧、曲線uvは接続点uと半径R5
の中心を結ぶ直線の延長線上の図心oを中心とする半径
R6の円弧、曲線vwは接続点vと半径R6の中心(図
心o)を結ぶ直線上の頂点Jを中心とする半径R7の円
弧である。尚、半径R1,R2,R3,R4,R5,R
6の夫々の円弧の角度は接続点において滑らかに接続す
る(接続点での接線の傾きが同一)という条件により決
められる。点pから点wに至る輪郭形状を図心oを中心
に反時計周りに120度回転させると点wに点pが重な
り、さらに120度回転させると全周の輪郭形状が完成
する。これによりディスプレーサの平面形状が得られ、
厚みhを与えることによってディスプレーサが構成され
る。
【0033】ディスプレーサの平面形状が決まると、こ
のディスプレーサが旋回半径εで旋回運動したときにこ
れに噛み合うシリンダの輪郭形状は、図6に示されるよ
うにディスプレーサの輪郭形状を構成する曲線の外側の
法線距離がεのオフセット曲線となる。
【0034】図5によりシリンダの輪郭形状を説明す
る。三角形IJKは図4と同じ大きさの正三角形であ
る。輪郭形状は、ディスプレーサと同様に全部で7つの
円弧で形成されており、点p’,q’,r’,s’,
t’,u’,v’,w’は夫々異なる半径の円弧の接続
点である。曲線p’q’は、正三角形の一辺IK上に中
心を持つ半径(R1−ε)の円弧、ここで、点p’は頂
点Iより(R7+ε)の距離にある。曲線q’r’は接
続点q’と半径(R1−ε)の中心を結ぶ直線の延長線
上に中心を持つ半径(R2−ε)の円弧、曲線r’s’
は接続点r’と半径(R2−ε)の中心を結ぶ直線上に
中心を持つ半径(R3−ε)の円弧、曲線s’t’は同
様にs’と半径(R3−ε)の中心を結ぶ直線上に中心
を持つ半径(R4+ε)の円弧である。曲線t’u’は
接続点t’と半径(R4+ε)の中心を結ぶ直線の延長
線上に中心を持つ半径(R5+ε)の円弧、曲線u’
v’は接続点u’と半径(R5+ε)の中心を結ぶ直線
の延長線上の図心o’を中心とする半径(R6+ε)の
円弧、曲線v’w’は接続点v’と半径(R6+ε)の
中心(図心o’)を結ぶ直線上の頂点Jを中心とする半
径(R7+ε)の円弧である。
【0035】尚、半径(R1−ε),(R2−ε),
(R3−ε),(R4+ε),(R5+ε),(R6+
ε)の夫々の円弧の角度はディスプレーサ同様、夫々の
接続点において滑らかに接続する(接続点での接線の傾
きが同一)という条件により決められる。点p’から点
w’に至る輪郭形状を図心o’を中心反時計周りに12
0度回転させると点w’に点p’が一致し、さらに12
0度回転させると全周の輪郭形状が完成する。これによ
りシリンダの平面形状が得られる。シリンダの厚みH
は、ディスプレーサの厚みhよりわずかに厚くなってい
る。
【0036】図6はディスプレーサの中心oとシリンダ
の中心o’を重ねその一部を表した図である。ディスプ
レーサとシリンダとの間に形成される隙間は旋回半径に
等しいεとなるようにしている。尚、この隙間は、全周
においてεであることが望ましいが、ディスプレーサの
外周輪郭とシリンダの内周輪郭とにより形成される圧縮
作動室が正常な動作をする範囲において、何らかの理由
によって、この関係が崩れる箇所があっても差し支えな
い。
【0037】尚、ここではディスプレーサ外壁及びシリ
ンダ内壁の輪郭形状の構成方法として複数円弧の組合せ
による方法を説明したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく任意の(n次式で表される曲線等)曲線の組
合せによっても同様の輪郭形状を構成することができ
る。
【0038】図1乃至図6にて説明した一実施形態の作
用効果を以下に説明する。図7は、吸入終了時からの回
転軸の回転角θを横軸にとって本発明における圧縮作動
室の容積変化特性(吸入容積Vsと圧縮作動室容積Vの
比で表す)を他形式の圧縮機と比較して示す。これより
本実施形態に係る容積形圧縮要素1の容積変化特性は、
吐出開始容積比0.37の空調機の一種の運転条件(例
えば作動気体がフロンHCFC22の場合、吸入圧力P
s=0.64MPa、吐出圧力Pd=2.07MPa)
で比べて見ると、圧縮過程はレシプロ式とほぼ同等で、
短時間に圧縮過程が終了するため作動気体の漏れが低減
され、圧縮機の能力及び効率を向上することができる。
一方、吐出過程はロータリ式(ローリングピストン型)
よりも約50%長くなり、吐出流速が遅くなるため圧力
損失が低減され、吐出過程の流体損失(過圧縮損失)を
大幅に低減して性能向上を図ることができる。
【0039】図8は、本実施形態における回転軸1回転
中の仕事量の変化、すなわちガス圧縮トルクTの変化を
他形式の圧縮機と比較して示す(ここに、Tmは平均ト
ルクである)。これより本発明の容積形圧縮要素1のト
ルク変動はロータリ式の約1/10と非常に小さく、ス
クロール式と同等だが、スクロール式のオルダムリング
のような旋回スクロール自転防止のために往復摺動する
機構をもたないため、回転軸系の慣性バランスがとれた
圧縮機の振動・騒音を低減することができる。
【0040】また、図4に示すように輪郭線はスクロー
ル式のような長い渦巻き形状でないため、加工時間の短
縮、コスト低減が図れるとともに、スクロール式のよう
な渦巻き形状を保持するための端板(鏡板)が無いの
で、冶具を貫通させて加工することができなかったスク
ロール式に比べてロータリ式並の加工で製作することが
できる。さらに、ガス圧によるスラスト荷重はディスプ
レーサに作用しないので、スクロール圧縮機に見られる
ような圧縮機の性能に重要な影響をおよぼす軸方向クリ
アランスの管理もしやすくなるため性能向上が図れる。
さらに、計算の結果、同一容積、同一外径のスクロール
圧縮機と比較すると、厚みを薄くすることができ、圧縮
機の小型、軽量化にも寄与することができる。
【0041】次に前述の巻き角と吸入終了から吐出終了
までの回転軸の回転角θcとの関係について説明する。
前述の1実施形態では巻き角を360度として説明した
が、巻き角を変えることによって回転軸の回転角θcを
変えることも可能である。例えば、図2では、巻き角が
360度であるので、吸入終了から吐出終了までの回転
軸の回転角θcが360度で元の状態に戻る。この巻き
角を360度よりも小さくすることによって吸入終了か
ら吐出終了までの回転軸の回転角θcを小さくする場
合、吐出ポートと吸入ポート(連通孔)が連通する状態
が生じ、吐出ポート内の流体の膨張作用で一旦吸入され
た流体が逆流するといった問題が起こる。巻き角を36
0度よりも大きくすると回転軸の回転角も360度より
大きくなり、吸入終了から吐出ポートのある空間に連通
するまでの間に大きさの異なるの2つの圧縮作動室が形
成される。これを圧縮機として用いたとき、これら2つ
の圧縮作動室の圧力上昇が各々異なるために両者合流時
に不可逆的な混合ロスが生じ、圧縮動力の増加になる。
また、液体ポンプとして用いようとしても、吐出ポート
に連通しない圧縮作動室が形成されることからポンプと
しては適用しにくくなる。このため、巻き角は許容され
る精度の範囲内において極力360度が望ましいといえ
る。
【0042】前述の特開昭55−23353号公報(文
献1)に記載の流体機械における圧縮行程の回転軸の回
転角θcは、θc=180度であり、特開平5−202
869号公報(文献3)及び特開平6−280758号
公報(文献4)に記載の流体機械における圧縮行程の回
転軸の回転角θcは、θc=210度である。作動流体
の吐出が終了してから次の圧縮行程が始まる(吸入終
了)までの期間は、文献1においては回転軸の回転角θ
cで180度、文献3及び文献4においては150度で
ある。
【0043】圧縮行程の回転軸の回転角θcが210度
の場合における軸の1回転中の各圧縮作動室(符号I、
II、III、IVで示す)の圧縮行程線図を図9(a)に示
す。但し、条数N=4である。回転軸の回転角θcが3
60度内には4個の圧縮作動室が形成されるが、ある角
度において同時に形成される圧縮作動室数nは、n=2
あるいは3となっている。同時に形成される圧縮作動室
数の最大値は条数よりも少ない3である。
【0044】同様に条数N=3であり圧縮行程の回転軸
の回転角θcが210度の場合を図10(a)に示す。
この場合も同時に形成される圧縮作動室数nは、n=1
あるいは2であり、同時に形成される圧縮作動室数の最
大値は条数よりも少ない2である。このような状態で
は、圧縮作動室が回転軸の周りに偏って形成されるた
め、力学的アンバランスが発生し、ディスプレーサに働
く自転モーメントが過大になり、ディスプレーサとシリ
ンダとの接触荷重が増大し機械摩擦損失の増加による性
能低下やベーンの摩耗による信頼性低下の問題がある。
この問題を解決するため、本実施の形態では、吸入終了
から吐出終了までの(圧縮行程という場合有り)回転軸
の回転角θcが、 (((N−1)/N)・360)<θc≦360(度)(数1) を満たすように、ディスプレーサの外周輪郭形状及びシ
リンダの内周輪郭形状を形成している。換言すると、前
述の巻き角が数式1の範囲になっている。
【0045】図9(b)を参照すると、圧縮行程の回転
軸の回転角θcが、270度より大きくなっており、同
時に形成される圧縮作動室数nは、n=3あるいは4と
なり、圧縮作動室数の最大値は4である。この値は、条
数N(=4)に一致する。また、図10(b)では、圧
縮行程の回転軸の回転角θcが、240度より大きくな
っており、同時に形成される圧縮作動室数nは、n=2
あるいは3となり、圧縮作動室数の最大値は3である。
この値は、条数N(=3)と一致する。
【0046】このように圧縮行程の回転軸の回転角θc
の下限値を数式1の左辺の値よりも大きくすることによ
り、圧縮作動室数の最大値が条数N以上となり、圧縮作
動室が回転軸の周りに分散して配置されるようになるた
め、力学的なバランスがよくなり、ディスプレーサに働
く自転モーメントが低減され、ディスプレーサとシリン
ダとの接触荷重も低減され機械摩擦損失の低減による性
能向上と共に接触部の信頼性を向上することができる。
【0047】一方、圧縮行程の回転軸の回転角θcの上
限は数式1によると360度となっている。この圧縮行
程の回転軸の回転角θcの上限は360度である。前述
したように、作動流体の吐出が終了してから次の圧縮行
程が始まる(吸入終了)までのタイムラグを0にするこ
とができ、θc<360度の場合に起こる隙間容積内の
ガスの再膨張による吸入効率の低下を防止することがで
きると共に、θc>360度の場合に起こる2つの圧縮
作動室の圧力上昇が異なるために両者合流時に発生する
不可逆的な混合ロスを防止することができる。後者につ
いて図11を用いて説明する。
【0048】圧縮行程が回転軸の回転角θcで375度
となる容積形流体機械を図11に示す。図11(a)
は、図中2つの圧縮作動室15aと15bの吸入が終了
した状態である。このとき2つの圧縮作動室15aと1
5bの圧力は吸入圧力Psで両者等しくなっている。吐
出口8aは圧縮作動室15aと15bの間に位置してお
り、両圧縮作動室とは連通していない。この状態から回
転軸の回転角θcで15度回転が進んだ状態を図11
(b)に示す。吐出口8aと両圧縮作動室15aと15
bが連通する直前の状態である。このとき圧縮作動室1
5aの容積は図11(a)の吸入終了時よりも小さく圧
縮が進行しており圧力も吸入圧力Psよりも高い圧力に
なっている。これに対して、圧縮作動室15bの容積は
逆に吸入終了時よりも大きくなっており、膨張作用によ
り圧力も吸入圧力Psよりも低くなっている。次の瞬間
圧縮作動室15aと15bが合体(連通)する際に、図
11(c)に矢印で示すような不可逆的な混合が起こ
り、圧縮動力の増加による性能低下が発生することとな
る。従って、圧縮行程の回転軸の回転角θcの上限は3
60度が望ましい状態である。
【0049】図12は文献3若しくは文献4に記載され
た容積形流体機械の圧縮要素であり、(a)が平面図
(b)が側面図である。条数Nは3であり、圧縮行程の
回転軸の回転角θcは210度である。この図におい
て、圧縮作動室数nは図10(a)に示したようにn=
1あるいは2となる。この図は回転軸の回転角θが0度
の状態を示しており、圧縮作動室数nは2である。本図
から明らかなように、ディスプレーサの外周輪郭形状と
シリンダの内周輪郭形状とにより形成される空間の内右
側の空間は圧縮作動室となってなく、吸入ポート(連通
孔)7aと吐出口8aが連通している。このため、吐出
口8aの隙間容積内ガスの再膨張により一旦、吸入ポー
ト(連通孔)7aからシリンダ4の圧縮作動室内に流入
したガスが逆流し、吸入効率が低下する問題がある。
【0050】ところで、図12に示した容積形流体機械
の圧縮行程の回転軸の回転角θcを、本実施の形態の考
え方を用いて拡大する場合を考える。圧縮行程の回転軸
の回転角θcを拡大するためには2点鎖線で図示するよ
うにシリンダ4の輪郭曲線の巻角を大きくしなければな
らないが、図示の如くベーン4bの厚さが極端に薄くな
り、圧縮作動室数nの最大値が条数N(N=3)以上と
なるように圧縮行程の回転軸の回転角θcを240度よ
り大きくすることは困難である。
【0051】図13に図12に示された容積形流体機械
と同じ行程容積(吸入容積)、同じ外径寸法、そして同
じ旋回半径を有する容積形流体機械の圧縮要素の実施形
態の一例を示す。この図13に示された圧縮要素の圧縮
行程の回転軸の回転角θcは240度より大きい360
度を実現している。これは、図12に示された圧縮要素
では、圧縮作動室を形成するシール点間が滑らかな曲線
によって構成されているため、例え、本実施の形態の考
え方に基づいて圧縮行程の回転軸の回転角θcを拡大し
ようとしても最大で240度が限界であるが、図13に
示された本実施の形態による圧縮要素では、シール点間
(a−c)が滑らかではなく(一様の曲線ではなく)接
点b付近の形状がディスプレーサから見て突出するよう
に形成され、ディスプレーサの各条が中心部から先端部
に向かう途中にくびれ部が存在している。これらは図1
に示した実施の形態についても云えることである。これ
らの形状により、接点aから接点bまでの巻き角を24
0度より大きい360度とすることができ、接点bから
接点cまでの巻き角を240度より大きい360度とす
ることができる。この結果、圧縮行程の回転軸の回転角
θcを240度より大きな360度とすることができ、
圧縮作動室数nの最大値を条数N以上とすることができ
る。このため、圧縮作動室が分散配置され自転モーメン
トを小さくすることができる。
【0052】さらに、このように有効に機能しうる圧縮
作動室数が増加したことで、図12に記載の圧縮要素の
シリンダ高さ(厚み)をHとしたとき、図13に記載の
圧縮要素のシリンダ高さは0.7Hとなり、30%低く
なるので、圧縮要素の小型化を図ることができる。
【0053】図14は、本実施形態におけるディスプレ
ーサ5に作用する荷重及びモ−メントの説明図である。
記号θは回転軸6の回転角、εは旋回半径である。作動
気体の圧縮に伴い、各圧縮作動室15の内圧によってデ
ィスプレーサ5には、図に示すように偏心方向に直角な
接線方向力Ftと偏心方向にあたる半径方向力Frが作
用する。FtとFrの合力がFである。この合力Fのデ
ィスプレーサ5の中心oからのずれ(腕の長さl)によ
ってディスプレーサを回転させようとする自転モ−メン
トM(=F・l)が働く。この自転モ−メントMを支え
るのがディスプレーサ5とシリンダ4の接点eと接点b
における反力R1と反力R2である。本発明では常時、
吸入ポ−ト(連通孔)7aに近い2ないし3箇所の接点
でモ−メントを受け、その他の接点には反力が作用しな
い。
【0054】本発明の容積形圧縮要素1は、ディスプレ
ーサ5の中心部に嵌合された回転軸6のクランク部6a
の周りにほぼ等ピッチで吸入終了から吐出終了までの回
転軸の回転角がほぼ360度となる圧縮作動室を分散し
て配設しているため、合力Fの作用点をディスプレーサ
5の中心oに近付けることができ、モ−メントの腕の長
さlを縮少して自転モ−メントMを低減することができ
る。したがって、反力R1と反力R2が軽減される。ま
た、接点gと接点bの位置からわかるように、自転モ−
メントMをうけるディスプレーサ5とシリンダ4の摺動
部位を、温度が低く油粘度の高い作動気体の吸入ポート
(連通孔)7a付近になるようにしているため摺動部の
油膜が確保され、摩擦・摩耗の問題を解決した信頼性の
高い容積形流体機械を提供することが出来る。
【0055】図15は作動流体の内圧によってディスプ
レーサに働く軸1回転中の自転モーメントMを図12に
示された圧縮要素及び図13に示された圧縮要素で比較
したものである。計算条件は作動流体をHFC134a
としたときの冷凍条件(吸入圧力Ps=0.095MP
a、吐出圧力Pd=1.043MPa)である。これに
より圧縮作動室数nの最大値が条数以上となる本実施の
形態による圧縮要素では、吸入終了から吐出終了までの
圧縮作動室が回転軸の周りにほぼ等ピッチで分散して配
置されるため力学的なバランスがよくなり、圧縮による
荷重ベクトルがほぼ中心を向くように構成できる。この
ためディスプレーサに働く自転モーメントMを低減する
ことができる。この結果、ディスプレーサとシリンダの
接触荷重も軽減され機械効率を向上することができると
共に圧縮機としての信頼性を向上することができる。
【0056】ここで、吸入孔(連通孔)7aと吐出口8
aとが連通する期間と圧縮行程回転軸の回転角との関係
について説明する。吸入孔と吐出口が連通する期間、す
なわち作動流体の吐出が終了してから次の圧縮行程が始
まる(吸入終了)までの間の回転軸の回転角で表すタイ
ムラグΔθは、圧縮行程の回転軸の回転角θcとして、
Δθ=360度−θcで表される。Δθ≦0度の場合
は、吸入孔(連通孔)7aと吐出口が連通する期間が存
在しないため、吐出口の隙間容積内ガスの再膨張による
吸入効率の低下はない。Δθ>0度の場合には吸入孔
(連通孔)7aと吐出口が連通する期間が存在するた
め、吐出口の隙間容積内ガスの再膨張に起因する吸入効
率の低下が起こり、圧縮機の(冷凍)能力が低下するこ
とになる。また、吸入効率(体積効率)の低下は圧縮機
のエネルギ効率である断熱効率あるいは成績係数の低下
にもつながる。
【0057】圧縮行程の回転軸の回転角θcはディスプ
レーサあるいはシリンダの輪郭曲線の巻き角と吸入孔及
び吐出口の位置によって決定される。ディスプレーサあ
るいはシリンダの輪郭曲線の巻き角を360度にした場
合には、圧縮行程の回転軸の回転角θcは360度にで
きると共に吸入孔あるいは吐出口のシール点を移動する
ことによってθc<360度にもすることができる。し
かし、θc>360度にはすることはできない。
【0058】例えば、前述の図11に示した圧縮要素の
圧縮行程の回転軸の回転角θc=375度を吐出口の位
置や大きさを変えることによりθc=360度に変更す
ることができる。これは、図11における吸入終了状態
の直後に圧縮作動室15aと圧縮作動室15bとが連通
するように吐出口を大きくすることにより実現すること
ができる。このような変更を行うことによりθc=37
5度の時に発生していた2つの圧縮作動室の圧力上昇が
異なるために起こる不可逆的な混合ロスを低減すること
ができる。従って、輪郭曲線の巻き角は、圧縮行程の回
転軸の回転角θcを決定する必要条件ではあるが十分条
件ではないと云うことができる。
【0059】さて、上記説明した本実施形態、即ち図3
に示す実施形態では、密閉容器3内の圧力が低圧(吸入
圧力)に保持されるタイプの密閉型圧縮機について説明
したが、低圧タイプにすることにより以下のような利点
がある。 (1)圧縮された高温の作動気体による電動要素2の加
熱が少なく、吸入ガスによって冷却されるため、固定子
2a、回転子2bの温度が低下し、モ−タ効率が向上し
て性能向上が図ることができる。 (2)フロン等の潤滑油12と相溶性のある作動流体で
は、圧力が低いため潤滑油12中に溶解する作動気体の
割合が少なくなり、軸受等での油の発泡現象が起こりに
くいので軸受などの摺動部の信頼性を向上することがで
きる。 (3)密閉容器3の耐圧を低くでき、密閉容器3の薄肉
・軽量化が図ることができる。
【0060】次に、密閉容器3内の圧力が高圧(吐出圧
力)に保持されるタイプのものについて説明する。図1
6は、本発明の他の実施形態に係る容積形流体機械を圧
縮機として用いた高圧タイプの密閉型圧縮機の要部拡大
断面図である。図16において、前述の図1〜図3と同
一符号を付したものは同一部品であり、同一の作用をな
す。図において、13bは吸入カバー10によって主軸
受部材7に一体的に形成された吸入室で、シール部材1
6等によって密閉容器3内の圧力(吐出圧力)と区画さ
れている。17は吐出室8c内と密閉容器3内を連通す
る吐出通路である。容積形圧縮要素1の作動原理等は前
述した低圧(吸入圧力)タイプと同様である。
【0061】作動気体の流れは図中に矢印で示すよう
に、吸入パイプ13を通って吸入口13aに入った作動
気体は、主軸受部材7に形成された吸入ポート(連通
孔)7aを通って容積形圧縮要素1に入り、ここで回転
軸6の回転によってディスプレーサ5が旋回運動を行い
圧縮作動室15の容積が縮少することにより圧縮され
る。圧縮された作動気体は、副軸受部材8の端板に形成
された吐出ポート8aを通り吐出弁9を押し上げて吐出
室8c内に入り、吐出通路17を通って密閉容器3内に
入り、この密閉容器3に接続された吐出パイプ(図示せ
ず)より外部に流出する。
【0062】このような高圧タイプの利点は、潤滑油1
2が高圧になっているため、回転軸6の回転による遠心
ポンプ作用等によって各軸受摺動部に給油された潤滑油
12がディスプレーサ5の端面の隙間等を通ってシリン
ダ4内に供給され易くなるため、圧縮作動室15のシー
ル性及び摺動部の潤滑性を向上できる点にある。以上、
本発明の容積形流体機械を用いた圧縮機では機器の仕様
や用途あるいは生産設備等に応じて低圧タイプ、高圧タ
イプどちらでも選択することが可能となり、設計の自由
度が大幅に拡大する。
【0063】次に本発明の実施例に係る吸入流路の構成
について説明する。図17は吸入流路の一実施例を示す
説明図であり、図17(1)は図1の(b)と同じ切り口で
示した1実施例を示している。また、図17(2)は(1)
のA−A断面であり、(1)は(2)のB−B矢視図でもあ
る。以下、図21までは吸入流路の他の一実施例を示す
ものであるが図面の種類は図17と同じものである。以
下、順を追ってその構成と作用について説明する。
【0064】図17(1)で5cはディスプレーサ5の端
面に中央の軸受部5aから連続的に設けた溝である。5
bは溝5cが連続されるように設けた凹部である。但
し、この5bは図1に示した貫通孔と同じように反対側
端面に連通する空間であっても良い。ディスプレーサ5
の端面に設けた溝は更に先端面に設けた凹部5dに連続
している。
【0065】これらの溝5cや凹部はディスプレーサ5
の反対側すなわち端板8の端面に設けている。従って、
圧縮機として運転すると回転軸を介して給油される潤滑
油は、ディスプレーサ5の内面5aから各溝部5cや凹
部5b、5dに供給される。この結果、ディスプレーサ
5と端板7、8間の隙間には油膜が存在し易くなり、デ
ィスプレーサ5の運動によって発生する摺動損失を小さ
く保つと共に、圧縮作動室15内の流体のシール効果を
向上することができる。さらには、ディスプレーサ5の
両端面に働く流体の圧力によって回転軸方向のスラスト
力をキャンセルすることができる。
【0066】端板7に設けた連通孔7aはシリンダ4に
設けた吸入流路4fに連通していて、この流路に直交す
るように溝部4g、7g、8gが設けられている。従っ
て、吸入気体は圧縮作動室に対して円周方向から流入す
ることになる。この結果、圧縮作動室が吸入工程から圧
縮行程に入るまでに吸入気体の慣性力によって流入す
る。
【0067】また、図1に示した吸入ポートの位置をデ
ィスプレーサ5に重ならないように配置したため、ディ
スプレーサ5の先端部まで潤滑油を保持できシール性能
を高くできる効果がある。従って、圧縮機の体積効率を
向上することができる。さらに、ディスプレーサ5に自
転モーメントが作用してこのモーメントをディスプレー
サ5とシリンダ4の円弧部分で受ける構成になっていて
も、吸入流路4fをシリンダ4の円弧部の外周側に設け
てあるので、壁面部でのディスプレーサ5の接触面積が
小さくなるがモーメントを受ける位置が他のベーンの方
に移動するため、接触荷重が小さくなるので旋回運動の
好適な状態が損なわれることはない。次に、さらに他の
一実施例を図18によって説明する。図の基本的な構成
は図17と似ているが異なる点について以下に記載す
る。この一実施例は吸入流路をシリンダ4内でディスプ
レーサ5に向けて曲げて構成している。本実施例では、
吸入気体がディスプレーサ5の側面に衝突するようにし
てあるので、両端面の隙間部分に直接的に吸入気体が入
り込むのが阻止できるので、端面部でのシール効果を高
く保つことができる。また、吸入気体によって、ディス
プレーサ5の先端部すなわちモーメント荷重を受ける部
分が好適に冷却されるので、端面部の隙間から漏れ出た
潤滑油の粘度が高まるので接触部での信頼性が高まると
共に、作動気体のシール効果を高く維持することができ
る。
【0068】次に、さらに他の一実施例を図19によっ
て説明する。図の基本的な構成は図17と似ているが異
なる点について以下に記載する。この一実施例は吸入流
路4fの一部を圧縮作動室側に重なるように配置したこ
とにある。また、この流路4hはディスプレーサ5の厚
さより長く設けてあり、端板8のところは凹部8gにな
っている。図17も同じように端板に凹部を設けてある
が、凹部8gは吸入気体と共に流入した異物などが圧縮
作動室15へ入らないようにするダスト回収溝の効果も
奏でるものである。さらに、本実施例によれば、吸入流
路4hが圧縮作動室15と干渉するような配置にしたた
め、吸入圧損を小さく押さえることができ、かつ吸入気
体の十分な量の確保ができる。
【0069】図20は、さらに他の一実施例を示してい
る。本実施例では、吸入流路4hはディスプレーサ5の
途中まで構成されている。この場合では、加工するのが
簡単で圧損が少なくかつディスプレーサ5の両端面の油
ポケット5dや油溝5c内での潤滑油の保持ができる。
また、図17で示した流路と同じようにディスプレーサ
5とシリンダ4の壁面部の接触面積を少なからず維持で
きるので、自転モーメントを受けることができ、このた
め、吸入流路4hもしくは4fの位置をより中心側に設
けることができ、圧縮作動室15bの方にもより十分な
量の気体を供給できる。
【0070】図21は、さらに他の一実施例を示してお
り、ディスプレーサ5やシリンダ4を4条に構成した場
合の配置例を示したものである。吸入流路4hは図20
と同じように構成させているが、図17から図19に示
した流路構成のいずれでも採用できる。その時の作用効
果もほぼ同様である。
【0071】次に、本発明に係る他の実施例を図22に
よって説明する。。図22において、容積形圧縮要素1
は、上記詳述したシリンダ4及びディスプレーサ5に加
えて、ディスプレーサ5の中心部の軸受にクランク部6
aが嵌合してディスプレーサ5を駆動する回転軸6、前
記シリンダ4の両端開口部を閉塞する端板と回転軸6を
軸支する軸受71と72を備えた主軸受部材7と同じく
回転軸6を軸支する軸受81を備えた副軸受部材8、前
記主軸受部材7の端板7bに形成された吸入ポート7a
(連通孔7a)、前記副軸受部材8の端板8bに形成さ
れた吐出ポート8a、この吐出ポート8aを差圧で開閉
する吐出弁9を有する。但し吐出弁9はリード弁形式で
もよい。さらに、回転軸6とディスプレーサ5との嵌合
部も前記と同じように軸受5aを備えて構成している。
5bはディスプレーサ5に形成された貫通穴である。ま
た、10は主軸受部材7に取り付けられた吸入カバー、
11は副軸受部材8と一体的に吐出室8cを形成するた
めの吐出カバーである。これによれば、軸受の材料を種
々選択できるので各種運転条件に対しても軸受などの駆
動機構の信頼性を高く維持することができる。
【0072】図23に、本発明の容積形圧縮機を適用し
た空調システムを示す。このサイクルは冷暖房が可能な
ヒートポンプサイクルで、前述の図3で説明した本発明
の容積形圧縮機30、室外熱交換器31とそのファン3
1a、膨張弁32、室内熱交換器33とそのファン33
a、4方弁34から構成されている。一点鎖線35は室
外ユニット、36は室内ユニットである。容積形圧縮機
30は、図2に示した作動原理図に従って動作し、圧縮
機を起動することによりシリンダ4とディスプレーサ5
間で作動流体(例えばフロンHCFC22やR407
C、R410A等)の圧縮作用が行われる。
【0073】冷房運転の場合、圧縮された高温・高圧の
作動気体は破線矢印で示すように吐出パイプ14から4
方弁34をとおり室外熱交換器31に流入して、ファン
31aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁32で絞ら
れ、断熱膨張して低温・低圧となり、室内熱交換器33
で室内の熱を吸熱してガス化された後、吸入パイプ13
を経て容積形圧縮機30に吸入される。一方、暖房運転
の場合は、実線矢印で示すように冷房運転とは逆に流
れ、圧縮された高温・高圧の作動気体は吐出パイプ14
から4方弁34を通り室内熱交換器33に流入して、フ
ァン33aの送風作用で室内に放熱して、液化し、膨張
弁32で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、室外
熱交換器33で外気から熱を吸熱してガス化された後、
吸入パイプ13を経て容積形圧縮機30に吸入される。
【0074】図24は、本発明の容積形圧縮機を搭載し
た冷凍システムを示す。このサイクルは冷凍(冷房)専
用のサイクルである。図において、37は凝縮器、37
aは凝縮器ファン、38は膨張弁、39は蒸発器、39
aは蒸発器ファンである。容積形圧縮機30を起動する
ことによりシリンダ4とディスプレーサ5間で作動流体
の圧縮作用が行われ、圧縮された高温・高圧の作動気体
は実線矢印で示すように吐出パイプ14から凝縮器37
に流入して、ファン37aの送風作用で放熱、液化し、
膨張弁38で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、
蒸発器39で吸熱ガス化された後、吸入パイプ13を経
て容積形圧縮機30に吸入される。ここに、図23、図
24ともに本発明の容積形圧縮機を搭載しているので、
エネルギ効率に優れ、低振動・低騒音で信頼性の高い冷
凍・空調システムが得られる。なお、ここでは容積形圧
縮機30として低圧タイプを例にあげて説明したが、高
圧タイプでも同様に機能し、同様の効果を奏することが
できる。
【0075】次に本発明のもう一つ別の実施例について
説明する。図25は、本発明の別の実施形態に係る容積
形流体機械をポンプとして用いた要部縦断面図(図26
のC−C断面相当)、図26は、図25のB−B矢視図
である。なお、前述の図1〜図3と同一符号を付したも
のは同一部品であり、同一の作用をなす。
【0076】図において、40は固定側部材で固定渦巻
体40a、端板部40b、主軸受部40cからなり各部
は一体で構成されている。41は旋回側部材で旋回渦巻
体41a、この旋回渦巻体41aを渦巻体の軸方向中央
付近の外周部で連結する補強板41b、旋回渦巻体41
aの中心部に配設された軸受41cからなる。42は固
定側渦巻体40aの外周を取り囲むリング部で、内部に
吸入室42aを形成し吸入ポート42bにより外部と連
通する。43は逆止弁、44は軸封装置である。また4
5は固定渦巻体40aと旋回渦巻体41aの噛み合いに
よって形成される圧縮作動室である。記号Omはデイス
プレーサである旋回側部材41の中心、記号Ofは固定
側部材4(あるいは回転軸6)0の中心である。ここで
固定側部材40は、巻き角がほぼ360度の固定渦巻体
40aを端板部40b上に3箇所(少なくとも2箇所以
上)、中心Of周りにほぼ等ピッチに配設している。旋
回側部材41の旋回渦巻体41aの形状は、前記固定渦
巻体40aとの噛み合い関係を満足するように決められ
る。
【0077】作動流体(この例では非圧縮性の液体)の
流れは、図25に矢印で図示するようにリング部42に
形成された吸入ポート42bを通って吸入室42aに入
った作動流体は、電動要素(図示せず)により回転軸6
が回転し、旋回側部材41が旋回運動を行うことによっ
て圧縮作動室45に吸い込まれ、圧縮作動室45の容積
が縮少することにより移動して副軸受部材8の端板に形
成された吐出ポート8aを通って吐出室8b内に入り、
逆止弁43、吐出パイプ14を通って外部に搬送され
る。本実施例においてもその基本的な作動原理は前述の
図2で説明した容積形圧縮要素1と同様である。両者の
違いは、作動流体が非圧縮性の液体のため、吸入終了と
同時に次に吐出行程が始まることである。また、圧縮作
動室45の容積変化特性及びガスを圧縮した場合の軸1
回転中のガス圧縮トルクTの変化も、図7及び図8と同
様になる。したがって、吐出過程の流体損失(過圧縮損
失)を大幅に低減して性能向上を図ることができるとと
もに、振動・騒音を低減することができるといった前述
の実施形態と同様の効果を上げることができる。
【0078】以上、固定側部材40の端板部40b上に
巻き角が実質的にほぼ360度の固定渦巻体40aを3
箇所もつ容積形流体機械について説明してきたが、本発
明はこれに限定されるものではなく、前述した実施例と
同様に、固定渦巻体40aの数が2個以上N個(多条)
の容積形流体機械に拡張できる(Nの値も前述した実施
例と同様、実用上は8〜10以下となる)。
【0079】これまでに述べた実施形態では、容積形流
体機械として圧縮機及びポンプを例に挙げて説明した
が、本発明はこれ以外に膨張機や動力機械にも応用する
ことができる。また、本発明では運動形態として、一方
(シリンダ側)が固定しもう一方(ディスプレーサ)が
ほぼ一定の旋回半径で自転せずに公転運動を行う形式と
したが、相対的に上記の運動と等価な運動形態となる両
回転式の容積形流体機械にも適用することができる。
【0080】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、回転軸の周りに2箇所以上の複数の圧縮作動室を
配設し、個々の圧縮作動室の吸入終了から吐出終了まで
の回転軸の回転角をほぼ360度になるように構成する
ことにより、吐出過程の過圧縮損失を大幅に低減し、か
つディスプレーサに働く自転モーメントを軽減してディ
スプレーサとシリンダ間の摩擦損失を低減することによ
り、性能向上が図れかつ信頼性の高い容積形流体機械が
得られる。また、このような容積形流体機械を冷凍サイ
クルに搭載することにより、エネルギ効率に優れ、信頼
性の高い冷凍・空調システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る容積形流体機械を圧縮機に適用し
た密閉型圧縮機の圧縮要素の縦断面図及び平面図。
【図2】本発明に係る容積形流体機械の作動原理説明
図。
【図3】本発明に係る容積形流体機械の縦断面図。
【図4】本発明に係る容積形流体機械のディスプレーサ
の輪郭構成法を示す図。
【図5】本発明に係る容積形流体機械のシリンダの輪郭
構成法を示す図。
【図6】図4及び図5に示されるディスプレーサとシリ
ンダを重ねあわせた図。
【図7】本発明における圧縮作動室の容積変化特性図。
【図8】本発明におけるガス圧縮トルク変化図。
【図9】4条ラップにおける回転軸の回転角と圧縮作動
室との関係を示す図。
【図10】3条ラップにおける回転軸の回転角と圧縮作
動室との関係を示す図。
【図11】圧縮要素の巻き角が360度より大きい場合
の動作説明図。
【図12】圧縮要素の巻き角の拡大を説明する図。
【図13】図1に示した容積形流体機械の変形例。
【図14】本発明のディスプレーサに作用する荷重及び
モーメント説明図。
【図15】圧縮要素の回転軸の回転角と自転モーメント
比との関係を示す図。
【図16】本発明の他の実施形態に係る密閉型圧縮機の
要部縦断面図。
【図17】本発明の一実施例に係る吸入流路の配置を示
す平面図と断面図。
【図18】本発明の他の一実施例に係る吸入流路の配置
を示す平面図と断面図。
【図19】本発明の他の一実施例に係る吸入流路の配置
を示す平面図と断面図。
【図20】本発明の他の一実施例に係る吸入流路の配置
を示す平面図と断面図。
【図21】本発明の他の一実施例に係る吸入流路の配置
を示す平面図と断面図。
【図22】本発明の他の実施形態に係る密閉型圧縮機の
要部縦断面図。
【図23】本発明の容積形圧縮機を適用した空調システ
ムを示す図。
【図24】本発明の容積形圧縮機を適用した冷凍システ
ムを示す図。
【図25】本発明の別の実施形態に係る容積形流体機械
をポンプとして用いた要部縦断面図。
【図26】図25のB−B横断面図。
【符号の説明】
1 容積形圧縮要素 2 電動要素 3 密閉容器 4 シリンダ 4a 内周壁 4b ベーン 5 ディスプレーサ 5a 軸受 5b 貫通穴 6 回転軸 6a クランク部 7 主軸受支持部材 7a 吸入ポート(連通孔) 7b 端板 8 副軸受支持部材 8a 吐出ポート 8b 端板 8c 吐出室 9 吐出弁 10 吸入カバー 11 吐出カバー 12 潤滑油 13 吸入パイプ 13a 吸入口 14 吐出パイプ 15 圧縮作動室 16 シール部材 17 吐出通路 30 容積形圧縮機 31 室外熱交換器 32 膨張弁 33 室内熱交換器 34 4方弁 37 凝縮器 38 膨張弁 39 蒸発器 40 固定側部材 40a 固定渦巻体 40b 端板部 40c 主軸受部 41 旋回側部材 41a 旋回渦巻体 41b 補強板 41c 軸受 42 リング部 42a 吸入室 42b 吸入ポート 43 逆止弁 44 軸封装置 45 圧縮作動室 o ディスプレーサ中心 o’ シリンダ中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高尾 邦彦 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 畠 裕章 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 田川 茂太郎 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 東條 健司 静岡県清水市村松390番地 株式会社日立 製作所空調システム事業部内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端板間にディスプレーサとシリンダとを
    配置し、前記シリンダ中心と前記ディスプレーサ中心を
    合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレー
    サ外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレ
    ーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においた
    ときは複数の空間が形成される容積形流体機械におい
    て、圧縮機吸入口と前記複数の空間を端板に設けた連通
    孔と前記シリンダに設けた吸入流路を介して連通状態に
    構成したことを特徴とする容積形流体機械。
  2. 【請求項2】 端板間にディスプレーサとシリンダとを
    配置し、前記シリンダ中心と前記ディスプレーサ中心を
    合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレー
    サ外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレ
    ーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においた
    ときは複数の空間が形成される容積形流体機械におい
    て、吸入流路を有する端板と吐出流路を有する端板と、
    両端板の間に配設される扁平状のディスプレーサを内包
    するシリンダを備え、前記シリンダの略中央部にクラン
    ク部を有する回転軸を配設して、前記両端板とシリンダ
    を締結手段により一体的に構成させたことを特徴とする
    容積形流体機械。
  3. 【請求項3】 端板間にディスプレーサとシリンダとを
    配置し、前記シリンダ中心と前記ディスプレーサ中心を
    合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレー
    サ外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレ
    ーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においた
    ときは複数の空間が形成される容積形流体機械におい
    て、前記ディスプレーサの中心部に回転軸を配設すると
    共に、前記複数の空間などで構成された圧縮機構部を潤
    滑油と共に密閉容器内に収納し、該潤滑油が前記ディス
    プレーサの中心部から該前記ディスプレーサ端面の隙間
    を通って吸入圧縮作動室内に流入する通路を備えるとと
    もに、圧縮機吸入口と前記複数の空間を端板に設けた連
    通孔を介して連通状態に構成したことを特徴とする容積
    形流体機械。
  4. 【請求項4】 端板間にディスプレーサとシリンダとを
    配置し、前記シリンダ中心と前記ディスプレーサ中心を
    合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレー
    サ外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレ
    ーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においた
    ときは複数の空間が形成される容積形流体機械におい
    て、前記ディスプレーサの中心部に潤滑などのための給
    油流路を設けた回転軸を配置し、該回転軸に電動要素を
    設けて潤滑油と共に密閉容器内に収納し、回転軸の回転
    に連動して運動する該ディスプレーサの端面に凹部を設
    け、圧縮機吸入口と前記複数の空間を端板に設けた連通
    孔と前記シリンダ内に設けた吸入流路を介して連通状態
    に構成したことを特徴とする容積形流体機械。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項3記載の容積形流
    体機械において、前記シリンダに回転軸の軸方向に対し
    て略直交する面に平行して前記複数の空間と連通する吸
    入流路を設けたことを特徴とする容積形流体機械。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項3記載の容積形流
    体機械において、吸入流路の位置を、シリンダ側のベー
    ンの付け根の曲率を有する部分でディスプレーサの自転
    モーメントを受ける部分よりも外側にしたことを特徴と
    する容積形流体機械。
  7. 【請求項7】 端板間に平面形状が連続した曲線で構成
    される内壁を有するシリンダと、このシリンダの内壁に
    対向するように設けられた外壁を有し、旋回運動したと
    き前記内壁とこの外壁と前記端板により複数の空間を形
    成するディスプレーサとを備えた容積形流体機械におい
    て、前記ディスプレーサの中心部に潤滑などのための給
    油流路を設けた回転軸を配置し、回転軸の回転に連動し
    て運動する該ディスプレーサの端面と端板間に少なくと
    も潤滑油が通る溝部を設けるとともに、圧縮機吸入口と
    前記複数の空間を端板に設けた連通孔と前記シリンダに
    設けた吸入流路を介して連通状態に構成したことを特徴
    とする容積形流体機械。
  8. 【請求項8】 端板間に平面形状が連続した曲線で構成
    される内壁を有するシリンダと、このシリンダの内壁に
    対向するように設けられた外壁を有し、旋回運動したと
    き前記内壁とこの外壁と前記端板により複数の空間を形
    成するディスプレーサとを備えた容積形流体機械におい
    て、機械の運転中に生じる自転モーメントを前記ディス
    プレーサと前記シリンダ壁面で受けるように構成すると
    共に、圧縮機吸入口と前記複数の空間を端板に設けた連
    通孔と前記シリンダに設けた吸入流路を介して連通状態
    に構成したことを特徴とする容積形流体機械。
  9. 【請求項9】 前記請求項1または請求項2記載の容積
    形流体機械において、前記端板に設けた連通孔を回転軸
    の軸心方向からみたとき、端板に設けた連通孔は前記シ
    リンダ上に配設されると共に回転軸の回転に伴って前記
    ディスプレーサ上に間欠的に配設されるように構成した
    ことを特徴とする容積形流体機械。
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