JPH1139653A - 磁気記録媒体の熱安定性測定方法および熱安定性測定装置 - Google Patents

磁気記録媒体の熱安定性測定方法および熱安定性測定装置

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JPH1139653A
JPH1139653A JP9194240A JP19424097A JPH1139653A JP H1139653 A JPH1139653 A JP H1139653A JP 9194240 A JP9194240 A JP 9194240A JP 19424097 A JP19424097 A JP 19424097A JP H1139653 A JPH1139653 A JP H1139653A
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recording medium
thermal stability
magneto
head
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Shinzo Tsuboi
眞三 坪井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体の熱安定性を直接的かつ精度よ
く測定する。 【解決手段】 磁気記録媒体1の磁気記録が書き込まれ
ている部分に光磁気ヘッド3からレーザー照射を行って
加熱する。それと同時に、加熱されている部分の磁気記
録を再生ヘッド2により再生し、その再生出力を測定す
る。この再生出力を磁気記録媒体1の非加熱時の再生出
力と比較し減衰量を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気ディスク装置等
の磁気記録再生装置に用いられる高密度情報磁気記録媒
体の熱安定性測定方法および熱安定性測定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気ディスク等の磁気記録媒体を
用いた記録および再生が一般的に広く行われている。そ
して、磁気記録情報量をより多くするために高密度記録
が求められており、そのために低ノイズ特性を有する磁
気記録媒体が必要とされている。低ノイズ化を達成する
ためには、磁気記録媒体の磁性膜の結晶粒の微細化が必
須であるが、結晶粒をある程度小さくすると、熱揺らぎ
の影響が出てきて磁化の安定性が低下する。すなわち、
高温の下で磁気記録の記録や再生を行うと、磁化が不安
定になり正確な記録や再生が行われなくなる場合があ
る。
【0003】一般的には、磁性膜を構成する結晶粒の安
定性を表わす指標として、KuV/kT(Ku:磁気異
方性エネルギー、V:結晶粒の体積、k:ボルツマン定
数、T:温度)の値が用いられている。このことは、1
994年発行のアイトリプルイー・トランザクション・
オン・マグネティックス(IEEE Trans.Magn.)第30号
第4230〜4232頁に記載の論文「10Gbit/
in2の磁気記録における熱的不安定性(Thermal insta
bility at 10Gbit/in2 magnetic recording)」に明示
されている。そして、アレニウス(Arrhenius)則によ
ると、KuV/kT=25の時に、100秒間で磁化が
1/e(e:自然対数)になり、KuV/kTがこれ以
下であると超常磁性となる臨界値であることが知られて
いる。このことは、1986年発行のジャーナル・オブ
・アプライド・フィジックス(J.Appl.Phys.)第60号
第2548頁に記載の論文「タンデム・デポジッション
・オブ・スモール・メタル・パーティクル・コンポジッ
ツ(Tandem deposition ofsmall metal particle compo
sites)」に明示されている。
【0004】このように、KuV/kTの値が安定性を
表わす指標となっているが、kは定数で、Ku、Vは各
磁性膜の特性などによって決まる値であり、KuV/k
Tの値は温度Tによって左右される。具体的には、温度
Tが高いほどKuV/kTが小さく磁化不安定である。
そして、KuV/kT=25が超常磁性の臨界値である
が、実際の磁気記録媒体として用いるためには、もっと
KuV/kTが大きくなければ実用に不適である。そこ
で、各磁気記録媒体について実用可能な温度範囲を求め
ることが望まれている。
【0005】実用可能な温度範囲を知るために、熱安定
性(熱揺らぎ)を評価する方法として、例えばハードデ
ィスクドライブ(HDD)等の磁気記録再生装置を電気
炉に入れて、磁気記録の再生を行いその再生出力を検出
しながら電気炉内の温度を上げていく方法が考えられ
る。しかし、温度を上げていくと磁気抵抗ヘッド(MR
ヘッド)の特性が変わってしまう。例えば、MR比(抵
抗の絶対値と磁気が加わることによる抵抗変化量との
比)が小さくなったり接着剤がはがれたりする。このよ
うにHDD内部に問題が生じてしまうため、熱安定性を
直接評価することは困難である。
【0006】そこで、熱安定性の影響を調べる方法とし
て、保磁力の温度依存性を調べる方法や、磁気力顕微鏡
(MFM:Magnetic Force Microscopy)を用いる方法
が提案されている。いずれも、日本応用磁気学会誌 V
ol.21 Supplement No.S1(第5回
垂直磁気記録シンポジウム論文集)第187〜191頁
に記載の論文「垂直記録情報の熱安定性」に開示してあ
る。
【0007】保磁力の温度依存性を調べて熱安定性を調
べる方法は、絶対温度100〜500Kぐらいの温度範
囲で保磁力を測定し、保磁力の温度変化率を求める方法
である。
【0008】MFMによる方法によると、記録磁化パタ
ーンが形成された試料(磁気記録媒体)を、例えば20
0℃で3時間加熱し、その後MFMによる観察を行う。
そして、磁気記録書き込み直後にMFM観察を行った際
のMFM出力と、3時間加熱後のMFM出力とを比較
し、その減衰量を求める。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、保磁力
の温度依存性を求める方法では、実際に磁気記録の再生
を行うわけではなく、再生信号に及ぼす熱の影響は測定
できない。また、この方法により得られる保持力の温度
変化率の大きさには、結晶性の配向等の影響も含まれて
いるため、熱安定性そのものは求められない。さらに、
保持力の測定は、磁気記録媒体に加える磁界を磁気が消
失するまで徐々に大きくしていくことにより行うため、
特定の記録密度が記録されていても大きな磁界(例えば
5〜15kOe)により磁化が消失してしまう。従っ
て、熱安定性の記録密度依存性を測定することはできな
い。
【0010】一方、MFMによる測定方法には以下の問
題点がある。
【0011】第1の問題点は、この測定法では磁気記録
媒体が高温に加熱された状態ではMFM出力を測定して
いない点である。つまり、この測定方法では一旦高温に
加熱した後、ある程度冷却されて熱の影響が緩和されて
からMFM出力が測定されることになる。その理由は、
MFMによる測定方法では磁化状態が不安定な高温の状
態でMFM測定することができないからであり、安定な
室温の第1の状態と不安定な高温の第2の状態とを経て
室温に戻った準安定の第3の状態でMFM測定が行わ
れ、第1の状態と第3の状態とが比較される。熱安定性
の上で最も問題となる不安定な第2の状態は、MFM測
定されていない。加熱上昇した第2の状態の温度を、第
3の状態における熱安定性指標KuV/kTの絶対温度
Tとして代入することはできない。従ってこの測定方法
では、本来求められている、絶対温度Tが大きく熱安定
性指標KuV/kTが小さい状態(第2の状態)におけ
る熱安定性の評価は行えない。
【0012】磁化が不安定な高温の第2の状態ではな
く、磁化が準安定な室温の第3の状態でMFM測定する
ため、加熱前の室温の安定な第1の状態とほとんど差の
ない状態でのMFM測定となる。第2の状態のようにか
なり高温に加熱して磁化が熱的に不安定な状態になって
も、第3の状態のように室温に戻った状態では、第1の
状態とMFM出力の差はほとんど見られない。従ってこ
の測定方法の結果を見るかぎりでは、加熱しても熱的に
不安定になっているようには見えない。しかし、実際は
第2の状態において一旦熱的に非常に不安定になってい
る。この不安定さはこの測定方法では検出困難である。
【0013】本発明の目的は、磁気記録媒体の熱安定性
を直接かつ精度よく測定する磁気記録媒体の熱安定性測
定方法および熱安定性測定装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、磁気記
録が書き込まれる磁気記録媒体の熱安定性測定方法にお
いて、位置制御可能な加熱手段により前記磁気記録媒体
の前記磁気記録が書き込まれている部分を加熱するとと
もに、再生ヘッドにより前記磁気記録を再生しその再生
出力を測定することにある。これにより精度よく熱安定
性を求めることができる。
【0015】前記磁気記録媒体の非加熱時の再生出力に
対する、前記加熱手段による前記磁気記録媒体加熱時の
前記再生出力の減衰量を求めることにより、熱安定性が
明確にわかる。
【0016】前記加熱手段が光磁気ヘッドであり、レー
ザー照射により前記磁気記録媒体の加熱を行う構成とす
ることができる。
【0017】前記光磁気ヘッドの駆動電流とレーザー集
光点のスポット径との少なくとも一方を変化させること
により、前記磁気記録媒体の温度を制御すると、熱安定
性の正確な測定が容易にできる。
【0018】前記光磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の半
径方向にスキャンさせながら加熱を行い、記録トラック
幅よりも小さくかつ前記レーザー集光点の前記スポット
径と同等あるいはそれ以下であるトラック幅の再生ヘッ
ドを、前記光磁気ヘッドと同様にスキャンしながら前記
磁気記録を再生し、トラック幅方向に沿って前記再生出
力を測定する。これにより、熱安定性のトラック幅方向
の分布状態がわかる。
【0019】前記再生ヘッドと前記光磁気ヘッドとの円
周方向の間隔を制御することにより、熱による磁化不安
定性の緩和を測定することもできる。
【0020】前記加熱手段により前記磁気記録媒体を部
分的に加熱し、前記磁気記録媒体の一部の磁化状態を変
化させ、次に、前記再生ヘッドを前記磁気記録媒体上で
スキャンしながら再生し、前記再生出力の変動を検出し
た時点で停止させることにより前記加熱手段と前記再生
ヘッドとの位置合わせを行うことができる。これによ
り、精度よく測定可能になる。
【0021】また、本発明の他の特徴は、磁気記録が書
き込まれる磁気記録媒体の熱安定性測定装置において、
磁気記録媒体上で位置制御可能であり前記磁気記録媒体
の前記磁気記録が書き込まれている部分を加熱可能な加
熱手段と、磁気記録媒体上で位置制御可能であり前記磁
気記録媒体に書き込まれた磁気記録を再生可能な再生ヘ
ッドと、前記再生ヘッドからの再生出力を測定可能な測
定手段とを有するところにある。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0023】本発明の第1の実施形態においては、ガラ
ス基板のような光を透過する基板に磁性膜が片面だけ形
成されている磁気記録媒体(磁気ディスク)1を熱安定
性測定対象として用いている。そして、図1に示すよう
に、記録再生可能な再生ヘッド(磁気ヘッド)2と、磁
気記録媒体1に対しレーザー照射により部分的に加熱可
能な光磁気ヘッド(加熱手段)3とが、磁気記録媒体1
を挟んで対向するように設けられている。両ヘッド2、
3はそれぞれ独立して位置制御可能である。なお、ここ
で用いる再生ヘッド2は、自己録再タイプのインダクテ
ィブヘッドでも、記録部と再生部とが別に設けられてい
るID(インダクティブ)/MR(磁気抵抗)複合型ヘ
ッドのどちらでもよい。
【0024】熱安定性測定を行う前に、はじめにまず再
生ヘッド2と光磁気ヘッド3とを同一半径位置(同一ト
ラック位置)に配置する必要がある。この両ヘッド2、
3の位置合わせ工程について、まず説明する。
【0025】片面だけ磁性膜が形成され、反対面からは
光透過可能な磁気記録媒体1を評価する場合、磁性膜の
ついている面側に再生ヘッド2を配置し、反対面(光透
過面)側に光磁気ヘッド3を配置し、両ヘッド2、3を
ほぼ同一半径位置に位置させる。ただし、完全に同一の
半径位置(トラック位置)にするためには補正が必要で
ある。
【0026】そこで、まず、磁気記録可能な再生ヘッド
2により磁気記録媒体1の広い領域(数μmから数m
m)にわたって、何らかの磁気記録パターンを形成す
る。このパターンは、周期信号やランダムパターンなど
どのような記録パターンであってもよい。次に、光磁気
ヘッド3から磁気記録媒体1にレーザーを照射する。こ
のとき、光磁気ヘッド3のレーザーダイオード(図示せ
ず)に流す電流を制御して、磁気記録媒体1表面が30
0℃以上に加熱されて、レーザー照射された部分の磁気
情報が消失する。光磁気ヘッド3はこの位置で停止させ
ておく。
【0027】そこで、再生ヘッド2をスキャンさせなが
ら、はじめに記録をした領域の記録再生を行う。する
と、加熱により磁気情報が消失しているトラック位置で
再生出力が急減する。そこが光磁気ヘッド3のトラック
位置であるため、再生ヘッド2を停止させる。こうし
て、再生ヘッド2と光磁気ヘッド3との半径位置(トラ
ック位置)を合わせることができる。
【0028】次に、熱安定性測定工程について説明す
る。
【0029】前記した通り、本実施形態では、磁気記録
媒体の磁化を熱的に不安定にするための加熱手段として
光磁気ヘッド3が用いられている。加熱温度の制御は光
磁気ヘッド3のレーザーダイオード(図示せず)に供給
する電流を変えることにより行われる。磁気記録媒体1
の温度は基板により異なるため、予めシュミレーション
により補正を行って正確な温度が求められるようにす
る。
【0030】位置合わせ工程における加熱によって磁気
記録媒体1の磁性膜の磁化が完全に消失している場合に
は、再生ヘッド2と光磁気ヘッド3を同じ量だけオフト
ラックさせる。
【0031】まず、磁気記録媒体1上に、磁気記録可能
な再生ヘッド2を用いて任意の記録磁化パターンを形成
する。そしてこの磁気記録を再生ヘッド2により再生
し、再生出力の大きさを測定手段4により測定する。
【0032】次に、光磁気ヘッド3からレーザー照射し
て磁気記録媒体1を加熱する。このとき、図示しないレ
ーザーダイオードに流す電流およびレーザーの集光点の
スポット径を制御することにより、加熱温度が制御され
る。光磁気ヘッドの集光点のスポット径は、数μmから
サブμmの範囲で任意に変化可能である。
【0033】加熱処理を行いながら再生出力の大きさを
測定することにより、熱による再生出力の減衰量を測定
することができる。この再生出力減衰量が磁気記録媒体
1の熱安定性を表わす指標となる。このように、記録再
生を実施しながら基板の反対面から光磁気ヘッド3を用
いて媒体を加熱し、再生出力の減衰量を測定して熱の不
安定性を求める方法では、安定な室温の状態と不安定な
高温の状態とにおける再生出力を直接測定するため、熱
安定性を正確に測定することができる。
【0034】また、本発明の第2の実施形態として、レ
ーザーを透過しない基板(例えばNiP/Al基板等)
上に磁性膜が形成されたり、基板の両面に磁性膜が形成
されていてレーザーを透過しない磁気記録媒体5の熱安
定性測定を行う場合の構成について、図2に示してあ
る。この場合、再生ヘッド6と光磁気ヘッド7とが同一
面側に配置されている。
【0035】再生ヘッド6と光磁気ヘッド7との位置合
わせは、前記と同様の方法によって行われる。ただし両
ヘッド6、7は同一面側に設けられているため、両ヘッ
ド6、7はヘッド(スライダー)の大きさ以上離れて配
置される。
【0036】このようにして、トラック位置あわせを行
った後、両ヘッドを任意のトラック位置まで移動させて
熱安定性測定を行う。すなわち、前記の方法と同様に、
再生ヘッドにより磁気記録を再生し測定手段8により再
生出力を測定しながら、磁気記録媒体5に対して同一面
側の光磁気ヘッド7により加熱が行われ、熱安定性が測
定される。
【0037】はじめに記録するパターンの周期を変化さ
せることにより、熱安定性の記録密度依存性を測定する
ことができる。さらに、AC消磁状態、DC消磁状態に
ついても同様に測定することができる。
【0038】また、波長の短いレーザー光を用いて、集
光点のスポット径を小さくして、かつトラック幅が集光
点のスポット径と同等もしくはそれ以下の再生ヘッドを
用いて、測定位置をトラック半径方向にずらしながら測
定を実施することにより、熱安定性のトラック半径方向
の分布を検出することができる。
【0039】なお、前記のように磁気記録媒体に熱を加
えて磁化を不安定化しても、加熱後に時間が経つと不安
定状況が緩和される。したがって、第2の実施形態のよ
うに再生ヘッド6と光磁気ヘッド7が同一面側に配置さ
れており、両ヘッド6、7が磁気記録媒体4の円周方向
の位置がずれている場合、熱による不安定がある程度緩
和された状態で熱安定性が測定される。そこで、両ヘッ
ドの円周方向の間隔を制御しつつ熱安定性測定を行うこ
とにより、不安定の緩和状態を知ることができる。
【0040】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。
【0041】[実施例1]実施例1では、磁気記録媒体
1として、ガラス基板上にCr層(下地層)とCoCr
PtTa層(磁性膜)を形成したCoCrPtTa/C
r長手ガラス基板媒体(3.5インチ磁気ディスク)が
用いられている。媒体の保磁力は2400Oe、Brδ
(Br:残留磁束密度、δ:磁性膜厚)は120Gμm
である。
【0042】磁気記録再生ヘッド2としてはID/MR
複合型ヘッドが用いられている。記録条件は、周速1
2.7m/sec、浮上量45nm、記録部のトラック
幅は4μm、ギャップ長は0.6μm、再生部のトラッ
ク幅は2μm、ギャップ長は0.3μm、記録電流の振
幅は20mA0Pである。
【0043】まず、磁気記録媒体上に、記録トラック幅
相当のピッチ(4μm)で、例えば外周端部から35m
m〜36mmの範囲領域すべてに20kFRPIの記録
密度を記録した。その後、磁気記録媒体(磁気ディス
ク)を回転させながら、再生ヘッド2と反対面側の光磁
気ヘッド(波長780nmのレーザー照射ヘッド)3の
パワーをあげて、特定のトラック全周にレーザーを照射
し、例えば400℃以上の高温に加熱した。これによ
り、光磁気ヘッド3によりレーザー照射された領域の磁
気記録が消失した。そこで光磁気ヘッドは停止させてお
き、再生ヘッド2をスキャンしながら磁気記録媒体1の
磁気記録の再生を行った。磁気記録媒体1のトラック位
置が35mm〜36mmの領域に再生ヘッド2が到達す
ると、この領域の磁気記録が消えているため、測定手段
4により再生出力の急激な低下が認められた。このと
き、磁気記録を消失させた光磁気ヘッド3とその記録消
失を検知した再生ヘッド2とが対向位置にある。こうし
て、光磁気ヘッド3と再生ヘッド2のトラック方向の位
置合わせを行うことができた。
【0044】なお、はじめに記録する記録密度がどのよ
うな記録密度や記録パターンであっても同様の位置合わ
せを行い得る。また、完全に磁気記録が消失するまで温
度を上げる必要はなく、媒体磁化状態が変化する程度に
温度を上げるとその部分の出力が低下するので、位置合
わせ可能である。
【0045】そこで、熱安定性の測定を行う。前記のと
おりトラック位置35mm〜36mmの領域の磁性膜の
磁化が、熱により完全に消失しているので、再生ヘッド
2と光磁気ヘッド3とを同じ量だけ(例えば300μm
外周側に)オフトラックさせた。
【0046】そして、磁気記録媒体1に記録密度20k
FRPIの信号を形成した。次に、光磁気ヘッド3によ
り磁気記録媒体1を加熱した。本実施例においてレーザ
ー集光点のスポット径が2μmである場合の、レーザー
ダイオードに流す電流と光出力の関係が図3に示されて
いる。また、光ダイオードに流す電流とスポットの中心
温度の関係が図4に示されている。なお、本実施例では
ガラス基板を有する磁気記録媒体を用いたが、NiP/
Al合金基板等その他の基板を有する磁気記録媒体の場
合は、その熱伝導性を考慮して温度を補正する。
【0047】本実施例の熱安定性測定装置を用いて5
0、100、150、200℃に加熱したときの熱安定
性(再生出力の温度依存性)を測定した。すなわち、光
磁気ヘッド3で磁気記録媒体を加熱すると同時に、再生
ヘッド2で磁気記録の再生を行い測定手段4で再生出力
を測定した。そして、熱安定性に関して最も影響を及ぼ
すと思われる面内媒体の磁性膜厚を7.5nm〜20n
mまで変化させた場合の熱安定性(再生出力の温度依存
性)について、図5に示している。この図5には、レー
ザー加熱を行う前の再生出力値の値を1とした場合の加
熱時の再生出力を示している。本実施例の測定装置で熱
安定性を測定すると、記録密度20kFRPIにおい
て、加熱温度が高く熱的に不安定になるほど再生出力が
減少し磁化が弱くなっている様子が明らかである。ま
た、本発明装置による測定により、磁性膜厚が薄いほ
ど、熱的に不安定になることも明確にわかる。
【0048】[比較例]実施例1に対する比較例とし
て、MFMを用いた従来の測定法を行った結果について
説明する。なお、MFMを用いた従来の測定方法は、記
録密度10〜300kFRPIで磁気記録した室温の安
定な状態をMFMにより観察してMFM出力を測定した
後、50〜200各温度で1時間加熱(アニール)し磁
化を不安定にした後、室温まで冷却して準安定な磁化状
態とする。そこでMFM観察を行い、MFM出力を求め
て加熱前後のMFM出力の変化を比較した。つまり、加
熱前のMFM出力を1として加熱後のMFM出力を示す
ことにより、各温度で加熱したことによる磁化の不安定
性が表されている。その結果が図6に示されている。従
来測定法によると記録密度100kFRPI以下の記録
磁化パターンを200℃以下の温度で加熱した場合、熱
による磁化の消失は全く見られない。記録密度300k
FRPIにおいてさえも消失量は5%以下である。しか
し、この従来の測定方法では加熱中に磁化が不安定にな
っている状態を直接評価せずに、室温に戻して不安定が
緩和された準安定状態を評価している。従って、熱によ
る磁化の本来の消失量は正確に測定されていない。図6
によると、300kFRPIでの安定な室温の状態と準
安定な室温の状態の差が5%であることがわかるが、実
際には200℃に加熱中の不安定な状態では室温の安定
な状態に比べてもっと磁化不安定な状態になっている
が、この従来の測定方法ではそれが検出できない。
【0049】[実施例2]実施例2では、磁気記録媒体
5として、光不透過のNiP/Al積層基板にCr層
(下地層)CoCrPtTa(磁性膜)を形成したCo
CrPtTa/Cr長手NiP/Al基板媒体(3.5
インチ磁気ディスク)が用いられている。磁気記録媒体
の保磁力は2000Oe、Brδ(Br:残留磁束密
度、δ:磁性膜厚)は70Gμmである。なお、磁性膜
厚は80nmである。
【0050】磁気記録再生ヘッド6にはID/MR複合
型ヘッドを用いた。記録条件は周速12.7m/se
c、浮上量45nm、記録部のトラック幅は2μm、ギ
ャップ長は0.4μm、再生部のトラック幅は1.5μ
m、ギャップ長は0.3μm、記録電流は20mA0P
した。
【0051】まず磁気記録媒体5に記録密度100kF
RPIの信号を形成した。次に、光磁気ヘッド(波長7
80nmのレーザー照射ヘッド)7を用いて、磁気記録
媒体5を室温から200度まで加熱しながら、再生ヘッ
ド6により磁気記録を再生して測定手段8により再生出
力の測定を行った。レーザー加熱を行う前の再生出力を
1とした場合の、加熱時の再生出力が図7に示されてい
る。また、比較のために、従来同様にMFMを用いて、
加熱後室温に戻した記録媒体の再生出力測定も行った
(やはりレーザー加熱前の再生出力を1として示してい
る)。この従来の測定方法では、熱による不安定性がほ
とんど見られないのに対し、本発明の測定方法による
と、温度が高くなるにつれて磁化が不安定になる様子が
明確に測定できる。
【0052】[実施例3]実施例1と同様な磁気記録媒
体、ヘッド、評価条件の下で、様々な記録密度で熱安定
性の測定を行った。図8に、本実施例において測定した
磁性膜厚20nmの面内媒体の熱安定性(再生出力の温
度依存性)の記録密度依存性を示している。本実施例に
より、記録密度が高くなるにつれて熱的不安定になるこ
とがわかる。特に、加熱温度が高くなるにつれてこの傾
向が強いことがわかる。
【0053】さらに、本実施例の測定装置を用いて垂直
2層媒体の熱安定性の記録密度依存性を測定し、その結
果が図9に示されている。本測定により、垂直媒体の場
合は記録密度が増加するにつれて熱に対する磁化安定性
になることがわかる。特に、加熱温度が高いほどこの傾
向が強い。
【0054】このように、本実施例の測定装置を用いれ
ば、どのような記録密度においても、また面内媒体およ
び垂直媒体のいずれにおいても熱安定性の測定が可能で
ある。
【0055】[実施例4]実施例4では、Brδが12
5Gμm、保磁力が2400OeのCoCrPt/Cr
長手ガラス基板媒体を用い、周速12.7m/sで、浮
上量45nmの条件下でのもとで、5μmのトラック幅
を持つ記録ヘッドにより、40kFRPIの記録磁化パ
ターンを形成し、トラック幅が0.8μmの再生用MR
ヘッドで再生出力を測定した。次に、再生ヘッド2と反
対面側、つまりガラスディスク背面側の光磁気ヘッド
(波長640nmのレーザー照射ヘッド)3を用いて、
レーザー集光点のスポット径を0.93μmにして加熱
しながら、再生ヘッド2により磁気記録を再生した。こ
のとき、加熱および再生を行なわせながら両ヘッド2、
3をトラック幅方向にスキャンさせることにより、トラ
ック幅方向の熱安定性の分布について測定した。その結
果が図10に示されている。これにより、トラック幅方
向端部において熱安定性が特に悪いことがわかる。これ
は、トラック幅方向端部ではヘッドの記録磁界が弱く、
熱揺らぎに弱いためと考えられる。このように、本発明
の測定装置および測定方法を用いれば、トラック幅方向
における熱安定性の分布を容易に測定できる。
【0056】[実施例5]実施例5では、光磁気ヘッド
3から照射するレーザー光の波長を680nm、集光点
のスポット径を1μmとして、再生ヘッド2と光磁気ヘ
ッド3の焦点位置をトラック円周方向にずらしながら加
熱および再生を行った。すなわち、磁気記録媒体1の光
磁気ヘッド3により加熱された部分を、僅かなタイミン
グだけ遅れて再生ヘッド2が走査し再生する。これによ
り、加熱後に磁化の不安定が緩和した状態を測定するこ
とになる。つまり、光磁気ヘッド3により短時間(例え
ば、走査距離にして1μm相当の時間)加熱処理される
と記録磁化が不安定になるが、しばらくすると熱の緩和
がおきる。そこで、光磁気ヘッド3と再生ヘッド2とを
トラック円周方向に間隔をおいて配置すると、光磁気ヘ
ッド3が加熱した後、僅かな時間経過した後で再生ヘッ
ド2が熱による不安定が若干緩和された状態の磁気記録
を再生する。図11には、不安定緩和時間(光磁気ヘッ
ド3と再生ヘッド2との間隔に比例)をパラメーターと
して、結晶粒径が10〜20nmの磁気記録媒体の再生
出力が示されている。これにより、本発明の熱による不
安定が時間経過により緩和されていく様子が観測でき
る。
【0057】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によると室
温の安定状態における磁気記録の再生出力と、加熱中の
不安定状態における磁気記録の再生出力とを測定し、両
者を比較することにより、熱安定性を明確に測定するこ
とができる。
【0058】さらに、局所的な熱安定性を測定すること
ができるため、熱安定性の分布状態や熱による不安定の
緩和状態を簡単に求めることができ、ひいては優れた磁
気記録媒体およびヘッドの開発に非常に大きな効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス基板などの光透過型基板を有する磁気記
録媒体用の熱安定性測定装置の概略斜視図である。
【図2】光不透過型基板を有する磁気記録媒体用の熱安
定性測定装置の概略斜視図である。
【図3】本発明の実施例1に用いられる光磁気ヘッド
の、集光点のスポット径を2μmとした場合のレーザー
ダイオードに流す電流と光出力との関係図である。
【図4】レーザーダイオードに流す電流と集光点の温度
との関係図である。
【図5】実施例1における熱安定性測定結果を示す各磁
性膜厚ごとの加熱温度と再生出力との関係図である。
【図6】MFMを用いた従来の測定方法により測定した
熱安定性を示す各記録密度における加熱温度と再生出力
との関係図である。
【図7】実施例2における熱安定性測定結果を示す加熱
温度と再生出力との関係を、MFMを用いた従来の測定
方法の測定結果と対比して示す関係図である。
【図8】実施例3の熱安定性測定結果を示す面内媒体の
各記録密度における加熱温度と再生出力との関係図であ
る。
【図9】実施例3の熱安定性測定結果を示す垂直2層媒
体の各記録密度における加熱温度と再生出力との関係図
である。
【図10】実施例4における熱安定性分布を示す各加熱
温度ごとのオフトラック位置と再生出力との関係図であ
る。
【図11】実施例5における不安定の緩和時間依存性を
示す各結晶粒径ごとの緩和時間と再生出力との関係図で
ある。
【符号の説明】
1、5 磁気記録媒体(磁気ディスク) 2、6 加熱手段(光磁気ヘッド) 3、7 再生ヘッド(磁気記録再生ヘッド) 4、8 測定手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録が書き込まれる磁気記録媒体の
    熱安定性測定方法において、 位置制御可能な加熱手段により前記磁気記録媒体の前記
    磁気記録が書き込まれている部分を加熱するとともに、
    再生ヘッドにより前記磁気記録を再生しその再生出力を
    測定することを特徴とする磁気記録媒体の熱安定性測定
    方法。
  2. 【請求項2】 前記磁気記録媒体の非加熱時の再生出力
    に対する、前記加熱手段による前記磁気記録媒体加熱時
    の前記再生出力の減衰量を求める請求項1に記載の磁気
    記録媒体の熱安定性測定方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱手段が光磁気ヘッドであり、レ
    ーザー照射により前記磁気記録媒体の加熱を行う請求項
    1または2に記載の磁気記録媒体の熱安定性測定方法。
  4. 【請求項4】 前記光磁気ヘッドの駆動電流とレーザー
    集光点のスポット径との少なくとも一方を変化させるこ
    とにより、前記磁気記録媒体の加熱温度を制御する請求
    項3に記載の磁気記録媒体の熱安定性測定方法。
  5. 【請求項5】 前記光磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の
    半径方向にスキャンさせながら加熱を行い、記録トラッ
    ク幅よりも小さくかつ前記レーザー集光点の前記スポッ
    ト径と同等あるいはそれ以下であるトラック幅の前記再
    生ヘッドを、前記光磁気ヘッドと同様にスキャンしなが
    ら前記磁気記録を再生し、トラック幅方向に沿って前記
    再生出力を測定する請求項3または4に記載の磁気記録
    媒体の熱安定性測定方法。
  6. 【請求項6】 前記再生ヘッドと前記光磁気ヘッドとの
    円周方向の間隔を制御することにより、熱による磁化不
    安定性の緩和を測定する請求項3に記載の磁気記録媒体
    の熱安定性測定方法。
  7. 【請求項7】 前記加熱手段により前記磁気記録媒体を
    部分的に加熱し、前記磁気記録媒体の一部の磁化状態を
    変化させ、次に、前記再生ヘッドを前記磁気記録媒体上
    でスキャンしながら再生し、前記再生出力の変動を検出
    した時点で停止させることにより前記加熱手段と前記再
    生ヘッドとの位置合わせを行う請求項1ないし6のいず
    れか1項に記載の磁気記録媒体の熱安定性測定方法。
  8. 【請求項8】 磁気記録が書き込まれる磁気記録媒体の
    熱安定性測定装置において、 磁気記録媒体上で位置制御可能であり前記磁気記録媒体
    の前記磁気記録が書き込まれている部分を加熱可能な加
    熱手段と、磁気記録媒体上で位置制御可能であり前記磁
    気記録媒体に書き込まれた磁気記録を再生可能な再生ヘ
    ッドと、前記再生ヘッドからの再生出力を測定可能な測
    定手段とを有することを特徴とする磁気記録媒体の熱安
    定性測定装置。
  9. 【請求項9】 前記測定手段が、前記磁気記録媒体の非
    加熱時の再生出力に対する、前記加熱手段による前記磁
    気記録媒体加熱時の前記再生出力の減衰量を測定可能で
    ある請求項8に記載の磁気記録媒体の熱安定性測定装
    置。
  10. 【請求項10】 前記加熱手段がレーザー照射を行う光
    磁気ヘッドである請求項8または9に記載の磁気記録媒
    体の熱安定性測定装置。
  11. 【請求項11】 前記光磁気ヘッドが、駆動電流とレー
    ザー集光点のスポット径との少なくとも一方を変化する
    ことにより前記磁気記録媒体の温度を制御可能である請
    求項10に記載の磁気記録媒体の熱安定性測定装置。
  12. 【請求項12】 前記光磁気ヘッドが、前記磁気記録媒
    体の半径方向にスキャンしながら加熱可能であり、 前記再生ヘッドが、記録トラック幅よりも小さくかつ前
    記レーザー集光点の前記スポット径と同等あるいはそれ
    以下であるトラック幅を有し、前記光磁気ヘッドと同様
    にスキャンしながら前記磁気記録を再生可能である請求
    項10または11に記載の磁気記録媒体の熱安定性測定
    装置。
  13. 【請求項13】 前記再生ヘッドと前記光磁気ヘッドと
    の円周方向の間隔を制御可能である請求項10に記載の
    磁気記録媒体の熱安定性測定装置。
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