JPH11506325A - Δp62、その変異体、核酸配列及びこれらの使用 - Google Patents

Δp62、その変異体、核酸配列及びこれらの使用

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JPH11506325A JP8536252A JP53625296A JPH11506325A JP H11506325 A JPH11506325 A JP H11506325A JP 8536252 A JP8536252 A JP 8536252A JP 53625296 A JP53625296 A JP 53625296A JP H11506325 A JPH11506325 A JP H11506325A
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トツク,ブリユノ
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Abstract

(57)【要約】 この発明は、Δp62もしくはΔSam68と称する新規のポリペプチド、その変異体、対応する核酸配列、及び特に癌の遺伝子治療におけるこれらの使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ΔP62、その変異体、核酸配列及びこれらの使用 本発明は、ΔP62と称する新規のポリペプチド、その変異体、対応する核酸 配列及びこれらの治療的使用、特に抗癌遺伝子治療における使用に関する。 細胞分裂の調節には、腫瘍形成遺伝子(オンコジーン)及びサプレッサー遺伝 子と称する種々の遺伝子が関与している。これらの遺伝子のうち、ras遺伝子 と、通常タンパク質p21と呼ばれる該遺伝子の産物は、これらについて研究さ れた総ての真核生物の細胞増殖の調節で重要な役割を果たしている。特に、これ らのタンパク質のある特異な修飾がこれらのタンパク質の正常な調節を喪失させ て、これらのタンパク質を腫瘍形成性にすることが明らかにされた。例えば、極 めて多くのヒト腫瘍が修飾ras遺伝子の存在に関連していた。また、タンパク 質p21の過剰発現は細胞増殖を乱し得る。従って、細胞内でのタンパク質p2 1の正確な役割、機能様式及び特性の解明は、発癌の解明及び治療方法にとって 重要な問題である。 in vivoでは、タンパク質p21によって開始されるシグナルの形質導 入に関与する事象の正確な内容は不明である。 しかしながら、益々多くの研究結果が、活性型rasタンパク質(GTPに結合 )に直接的且つ優先的に作用するエフェクターの多様性を強調している。これら のエフェクターのうち、タンパク質GAPは、シグナルの形質導入における関与 が明らかにされた最初のものである。これは、正常タンパク質に結合したGTP の加水分解を強力に促進する能力を有する、総ての真核生物に存在する細胞質ゾ ルタンパク質である。このタンパク質は別個の機能を担う二つのドメインを有す る。カルボキシ末端は、タンパク質p21に作用してそのGTPアーゼ活性 有する。別の末端では、N末端部分の下流に、メッセージの形質導入に関与し別 のタンパク質に作用するドメインSH2及びSH3が並置されている。この種の タンパク質には、チロシンが高度にリン酸化されたそれぞれ62kDa及び19 0kDaの2種類のタンパク質p62及びp190がある。これら2種類のタン パク質はGAPとの間で特異的な複合体を形成し、種々のGAPエピトープに対 する抗体により免疫沈降する。特に、GAPのドメインSH2のレベルでp62 とGAPとの相互作用が生起することが知られている。p62のアミノ酸27 1〜443はリン酸化チロシンを含み、前述の相互作用に関与していると思われ る。これらの同じリン酸化はまた、p62とアダプターGRB2との間の相互作 用に関与していると思われる。また、srcファミリーのチロシンキナーゼ及び ホスホリパーゼCγのドメインSH3への結合に関与するプロリン含量の高い共 通部位が、p62の配列の全長にわたって分布されている。 タンパク質p62(又はSam68)はWongら(Cell69(1992 )551)によって同定された。このタンパク質は443個のアミノ酸からなり 、その配列は文献に開示されている(配列番号1参照)。 前述の特徴以外に、タンパク質p62はhnRNP(ヘテロ核リボ核タンパク 質)に固有の特徴を幾つか有する。即ち、グリシンを多く含み、アルギニン含量 の高い部分を有し、アミノ酸145〜247が前述のhnRNPに対して大きな 相同を有する部分GRP33を規定する。この部分は、hnRNP Kに含まれ ているものと相同のRNA結合共通部位を含む。この共通部位はKHドメインと 称する(KH=hnRNPKHomolog)。保存残基はRNAへの結合に必 須であり、 ある病理における該ドメインの非完全性の影響は、X−fragile症候群で 観察される精神薄弱に関係のある遺伝子の産物であるFMR1に関して明らかに された(Siomiら,Cell 77(1994)33)。 本発明の目的は特に、細胞の増殖及び死滅におけるタンパク質p62(Sam 68)の重要性を証明することにある。本発明はより特定的には、p62誘導体 が細胞形質転換プロセスに作用することができる、特にタンパク質ras及びs rcにより形質導入されるシグナルを阻害することができるという論拠に基づく ものである。本発明はまた、前記誘導体がアポトーシス(apoptotiqu e)特性を有し、従って細胞死を誘発することができるという極めて驚くべき論 拠にも基づいている。 従って本発明の第一の主題は、タンパク質GAPとp62との間の相互作用を 少なくとも部分的に阻害することができるあらゆるp62誘導体に関する。本発 明の誘導体は、好ましくは、タンパク質ras及び/又はsrcの腫瘍形成能力 を少なくとも部分的に阻害することができる。より好ましくは、本発明の誘導体 は、アポトーシス(apoptose)による細胞死を 誘発することができる。本発明の誘導体は、p62のRNAと相互作用する能力 を喪失していることも特徴とする。 本発明は特に、タンパク質p62の天然アイソフォーム(isoforme) の立証、クローニング及び特徴解明を説明する。Δp62(又はΔSam68) と称する前記アイソフォームは、ドメインKHにわたり、タンパク質GRP33 と相同の領域に欠失を有する。この欠失に起因して、Δp62はp62の性質を 完全には備えていない。例えば、Δp62はGAP及び無傷のGRB2と相互作 用するドメイン、並びにSH3のパートナーであるプロリンに富む種々の配列と を有する(第1図)。しかしながらΔp62は、タンパク質GRP33と相同の ドメインの欠失に起因して、核酸と相互作用することはできない。本出願人は、 種々の正常細胞又は腫瘍細胞モデルへのΔp62のcDNAの導入(trans fert)がp62とRasとの間の協働を妨害し、正常及び腫瘍形成Rasタ ンパク質により形質導入されるシグナルを阻害することも明らかにした。従って 、Δp62は過剰発現されると増殖及び分化プロセスを妨害し、種々の細胞モデ ル内でアポトーシスによる細胞死を生起させる。 好ましい実施態様の一つとして、本発明はより特定的には、タンパク質GRP 33と相同の領域に少なくとも一つの欠失を有するp62誘導体に関する。より 具体的には、本発明の誘導体は、配列番号1に示されているようなドメインKH にわたる領域であって、タンパク質p62の残基145から247の間に含まれ ている領域に少なくとも一つの欠失を有する。この欠失は有利には10個以上の アミノ酸にわたり、より好ましくは30個以上のアミノ酸にわたる。この欠失は 、結果として得られる誘導体が上述の性質を有する限り、前記領域内の一つ以上 の部位に影響を及ぼし得る。 特に有利には、本発明の誘導体は、配列番号2又はその変異体の全部又は一部 を含むポリペプチドである。本発明で使用する変異体(variant)という 用語は、構造が一つ以上の遺伝子的、生化学的及び/又は化学的改変によって配 列番号2の配列と異なっているポリペプチドを意味する。これは特に、一つ以上 の残基のあらゆる突然変異、置換、欠失、付加及び/又は修飾であり得る。この 種の誘導体は種々の目的、例えば特に、相互作用部位に対するペプチドの親和性 を増加させる、ペプチドの産生率を高める、プロテアーゼに対するペプチドの耐 性を高める、又はペプチドによる細胞膜の通過を促進する、ペプチドの治療効果 を高める、もしくはその副作用を低下させる、又はペプチドに新しい薬物動態学 的及び/又は生物学的性質を与えるといった目的で生成できる。有利には、変異 体は、存在が誘導体の活性にとって決定的なものではないアミノ酸の欠失又は突 然変異を含む。このようなアミノ酸は、例えば実施例に記載のような細胞活性試 験によって確認することができる。 特に好ましくは、本発明の誘導体は、GAPのドメインSH2との相互作用を 可能にするタンパク質p62の少なくとも一部分を保持する。p62の前記部分 はより特定的には、タンパク質p62の残基200から450の間に局在するリ ン酸化チロシンからなる(配列番号1参照)。従って本発明の好ましい誘導体の 一つは、少なくとも、(i)p62の残基145から247の間に含まれた領域 における欠失と、(ii)GAPのドメインSH2との相互作用を可能にするp 62の部分とを含む。より好ましくは、欠失は残基1〜202にわたる。 この点に関して、本出願人は、特に有利な性質を有する本発明の誘導体が、本 質的にp62のリン酸化チロシンを有する領域を含むポリペプチドからなり得る ことも明らかにした。 本発明のポリペプチドの特に好ましい具体例は、p62の配列の残基170〜 208を欠失している配列番号2のポリペプチドΔp62によって表される。別 の具体例は、p62の残基203〜443からなるポリペプチドp62−Cによ って表される(配列番号3)。 本出願明細書に記載の結果は特に、Δp62がGAPに対してp62と競合で きることを示している。GAPはRasタンパク質のエフェクターの一つである ため、Δp62はこれに依 ロックする。遺伝子の導入(トランスフェクション、感染、マイクロインジェク ション等)によって過剰発現されると、Δp62は正常細胞(繊維芽細胞NIH 3T3及びSwiss 3T3)又は腫瘍細胞(H460、HCT116)内で アポトーシスによる細胞死を誘発し、rasによって誘導される病巣形成を阻害 することができる。これと同じ効果は、誘導体p62−C(本質的に、アミノ酸 203〜443の領域にわたりGAP及びGRB2のドメインSH2との相互作 用ドメインに対応するΔp62のC末端部分からなる)でも得られる。前記C末 端部分は、ドメインSH3との相互作用部位のうちFynに対する 親和性が最も大きい三つの部位も含む。本発明の誘導体の大きな治療活性は、こ れらの誘導体の多くの性質、特にsrcファミリーのタンパク質(例えばfyn )のドメインSH3を滴定する能力(pouvoir de titratio n)、GRB2のドメインSH2を滴定してGRB2のリクルート(recru tement)を阻害する能力、並びにRasに依存するシグナル経路(voi e de signalisation)に関してタンパク質GAPのエフェク ター機能を阻害する能力に関連している。 本発明の別の目的は、上述のようなポリペプチドをコードするあらゆる核酸に 関する。 本発明の核酸はリボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)であり得 る。また、ゲノムDNA(gDNA)又は相補的DNA(cDNA)でもあり得 る。該核酸は、ヒト由来、動物由来、ウイルス由来、合成又は半合成であってよ い。該核酸は種々の方法、特に本出願明細書に記載の配列と、例えば核酸合成器 とを用いて、化学的合成により製造することができる。また、特異的プローブ、 特に本出願明細書に記載のようなプローブ(例えば配列番号6及び7参照)を用 いるライブラリーの スクリーニング(criblage)によって得ることもできる。あるいは、ラ イブラリーからスクリーニングされた配列の化学的改変(伸長、欠失、置換等) を含む種々の方法の組合わせによって得ることもできる。一般的には、本発明の 核酸は当業者に公知の任意の方法で製造し得る。 好ましくは、本発明の核酸はcDNA又はRNAである。 本発明の核酸は有利には下記の中から選択される: (a)配列番号2もしくは配列番号3又はこれらの配列の相補鎖の全体又は一部 、(b)配列(a)とハイブリダイズし本発明の誘導体をコードする任意の配列 、(c)遺伝暗号の縮重 の変異体。 前述のように、本出願人は、極めて顕著な抗増殖及びアポトーシス特性を有す るp62由来ポリペプチドをコードする新規の核酸配列を分離し特徴を解明した 。これらの核酸は、細胞機能不全を破壊又は修正することができる本発明の誘導 体を細胞内で産生するための治療剤として使用し得る。そのために本発明は、前 述のような核酸と、その発現を可能にするプロモーターと、転写終結シグナルと を含む任意の発現カセットにも関す る。前記プロモーターは有利には、哺乳動物、好ましくはヒトの細胞内で機能す るプロモーターの中から選択する。これは、 等)内での核酸の発現を可能にするプロモーターである。これについては、種々 のプロモーターを使用し得る。例えば、遺伝子p62の固有プロモーターであっ てよい。あるいは、異なる起源(別のタンパク質の発現に関与するもの、又は合 成のもの)のプロモーター領域であってもよい。従って前記プロモーターは、遺 伝子の転写を特異的又は非特異的に、誘導的又は非誘導的に、強く又は弱く刺激 又は抑制する任意のプロモーター又は誘導配列であり得る。具体例としては特に 、真核生物又はウイルスの遺伝子のプロモーター配列が挙げられる。これは例え ば、標的細胞のゲノムに由来するプロモーター配列であってよい。真核生物プロ モーターとしては特に、偏在プロモーター(HPRT、PGK、α−アクチン、 チューブリン遺伝子等のプロモーター)、中間フィラメントのプロモーター(G FAP、デスミン、ビメンチン、ニューロフィラメント、ケラチン遺伝子等のプ ロモーター)、治療遺伝子プロモーター(例えばMDR、CFTR、第VIII 因子、アポAI遺伝子等のプロ モーター)、組織特異的プロモーター(ピルビン酸キナーゼ、ビリン、脂肪酸結 合腸タンパク質、平滑筋α−アクチン遺伝子等のプロモーター)、又は刺激に応 答するプロモーター(ステロイドホルモン受容体、レチノイン酸受容体等)を使 用し得る。プロモーターはまた、ウイルスのゲノムに由来するプロモーター配列 、例えばアデノウイルスのEIA及びMLP遺伝子のプロモーター、CMVの初 期プロモーター、又はRSV、LTR等のプロモーターであってもよい。更に、 これらのプロモーター部分は、活性化配列、調節配列、又は組織特異的発現もし くは組織優勢発現を可能にする配列の付加により改変し得る。 本発明は、抗増殖及び/又はアポトーシス特性によって多くの細胞機能不全を 妨害する新規の治療剤を提供する。この目的では、本発明の核酸又はカセットを 治療すべき部位に注入するか、又は破壊もしくは治療すべき細胞と直接一緒にイ ンキュベートし得る。実際、裸の核酸は特定のベクターを用いずに細胞内に浸透 できることが開示されている。しかしながら本発明では、(i)細胞浸透効果、 (ii)ターゲッティング、(iii)細胞内外の安定性を増加させる投与ベク ターを使用する方が好ましい。 本発明の特に好ましい実施態様では、核酸又はカセットをベクター内に導入す る。使用するベクターは、化学的なもの(リポソーム、微粒子(nanopar ticule)、ペプチド複合体、脂質又はカチオンポリマー等)、ウイルス由 来のもの(レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、AAV、ワク チンウイルス等)、又はプラスミド由来のものであり得る。 ウイルス性ベクターの使用は、ウイルスの天然のトランスフェクション特性を 基本とする。従って、例えばアデノウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイル ス及びアデノ随伴ウイルスを使用することが可能である。これらのベクターはト ランスフェクションで特に有効であることが判明している。これに関して、本発 明の好ましい主題の一つは、ゲノムが前述のような核酸を含む欠陥組換えレトロ ウイルスにある。本発明の別の特定の目的は、ゲノムが前述のような核酸を含む 欠陥組換えアデノウイルスにある。 本発明のベクターは、真核細胞内への核酸の導入及びその内部での発現を促進 することができる非ウイルス性物質であってもよい。化学的又は生化学的な合成 又は天然のベクターは、特に利便性、安全性の理由で、またトランスフェクショ ンすべき DNAの大きさに関する理論的制限がないという理由で、有用な天然ウイルス代 替物である。これらの合成ベクターは二つの主要機能を有する。即ち、トランス フェクションすべき核酸を導入可能し、細胞への結合及び形質質膜の貫通、そし て必要であれば二つの核膜の貫通を促進する。核酸のポリアニオン性を解決する ために、非ウイルス性ベクターはいずれもポリカチオン電荷を有する。 本発明で使用する核酸又はベクターは、局所投与、経口投与、非経口投与、鼻 内投与、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、眼内投与、経皮(transder mique)投与等に適するように処方し得る。好ましくは、核酸又はベクター は注射可能形態で使用する。従って、特に治療すべき部位に直接注射する場合に は、注射液を形成するために医薬的に許容し得る任意のビヒクルと混合し得る。 これは特に、無菌溶液、等張溶液、又は場合に応じて無菌水もしくは生理学的食 塩水の添加により注射可能溶液の形成が可能な乾燥組成物、特に凍結乾燥組成物 であり得る。患者の腫瘍に核酸を直接注入する方法は、疾患のある組織に治療効 果を集中させることができるため有利である。核酸の使用量は種々のパラメータ ー、特に遺伝子、ベクター、 使用する投与方法、問題の病気、又は所期の治療期間に応じて調節し得る。 本発明は、少なくとも一つの核酸を含む総ての医薬組成物にも関する。 本発明は、前述のようなベクターを少なくとも一つ含む総ての医薬組成物にも 関する。 本発明は、前述のようなp62誘導体を少なくとも一つ含む総ての医薬組成物 にも関する。 本発明の医薬組成物は抗増殖特性を有するため、過剰増殖性障害、例えば特に 癌及び再発狭窄症の治療に特に適している。従って本発明は、細胞、特に過剰増 殖細胞の破壊に特に効果的な方法を提供する。この方法はin vitro又は ex vivoで使用し得る。ex vivoの場合には該方法は本質的に、細 胞を一つ又は複数の核酸の存在下で(あるいはベクターもしくはカセットの存在 下、又は誘導体の存在下で直接に)インキュベートすることからなる。in v ivoの場合は、有効量の本発明のベクター(又はカセット)を生体に投与する 、好ましくは治療すべき部位(特に腫瘍)に直接投与することからなる。これに 関して、本発明は、過剰増殖細胞を破壊する方 法であって、前記細胞又はその一部を前述のような核酸と接触させることからな る方法も提供する。 本発明は、過剰増殖(即ち異常増殖)細胞を破壊するためにin vivoで 使用すると有利である。例えば、本発明は腫瘍細胞又は血管壁(再発狭窄)の平 滑筋細胞の破壊に使用し得る。本発明は特に、活性化腫瘍形成遺伝子が関与して いる癌の治療に適している。この種の癌の具体例としては、結腸癌、甲状腺癌、 肺癌腫、骨髄性白血病、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、胃癌、食道癌、Bリンパ腫、 卵巣癌、膀胱癌、膠芽腫、肝臓癌、骨癌、皮膚癌、膵臓癌、腎臓癌及び前立腺癌 等が挙げられる。 本発明の生成物は、これらの生成物とin vivoで相互作用する阻害物質 、作用物質、競合物質又は分子の追求によって、腫瘍形成遺伝子のシグナル伝達 経路の別のパートナーを同定するためにも使用される。 本発明はまた、標的細胞内で発現されると、p62又はΔp62をコードする 細胞mRNAの転写及び/又は翻訳の制御を行うアンチセンス配列にも関する。 この種の配列は例えば、欧州特許第140 308号に記載の方法により、標的 細胞内でΔp62又はp62細胞mRNAに相補的なRNAに転写する ことができ、それによってこれらがタンパク質に翻訳されるのを阻止し得る。こ の種の配列は、逆方向に転写された核酸配列番号1、2又は3の全体又は一部か らなり得る。 本発明は、過剰増殖性障害の治療に使用する医薬組成物を製造するために、細 胞内でΔp62の発現又は過剰発現を誘発できる任意の化合物を使用する方法に も関する。 以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発明 を説明するためのものであって、発明の範囲を限定するものではない。図面の説明 第1図 :p62及びΔp62の構造ドメインを簡単に示す説明図である。第2図 :ポリオーマウイルスのエンハンサーに由来するRREのタンパク質ra sによるトランス作用に対するp62及びΔp62の作用を示す説明図である。第3図 :繊維芽細胞NIH3T3内でΔp62によって誘発される細胞死を明ら かにする説明図である。第4図 :種々の細胞毒性物質及び血清除去で処理した胚性繊維芽細胞におけるΔ p62の発現を示す説明図である。第5図 :腫瘍形成遺伝子によって誘発される病巣形成の阻害を示す説明図である 。分子生物学の一般的手法 分子生物学で一般的に使用されている方法、例えばプラスミドDNAの分離用 抽出、塩化セシウム勾配でのプラスミドDNAの遠心分離、アガロースゲルもし くはアクリルアミドゲル上での電気泳動、電気溶離によるDNAフラグメントの 精製、フェノールもしくはフェノール−クロロホルムでのタンパク質抽出、エタ ノールもしくはイソプロパノールによる食塩水中でのDNA沈降、大腸菌内の形 質転換等は当業者に良く知られており、文献に広く記述されている[Mania tis T.ら,“Molecular Cloning,a Laborat ory Manual”,Cold Spring Harbor Labor atory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1982;A usubel F.M.ら(編),“Current Protocols i n Molecular Biology”,John Wiley & So ns,New York,1987]。 pBR322、pUC型のプラスミド及びM13系のファージは市販のもので ある(Bethesda Research Laboratories)。連結反応の場合は、DNAフラグメントをアガロ ースゲルもしくはアクリルアミドゲル上での電気泳動により大きさに応じて分離 し、フェノール又はフェノール/クロロホルム混合物で抽出し、エタノールで沈 降させ、次いでファージT4DNAリガーゼ(Biolabs)の存在下で製造 業者の指示に従いインキュベートし得る。突出5’末端の充填は、大腸菌DNA ポリメラーゼIのクレノウフラグメント(Biolabs)により製造業者の指 示通りに実施し得る。突出3’末端の破壊は、ファージT4DNAポリメラーゼ (Biolabs)を製造業者の指示通りに使用し、その存在下で行う。突出5 ’末端の破壊は、ヌクレアーゼS1による処理によって実施する。 in vitroで合成オリゴデオキシヌクレオチドによる部位特異的突然変 異誘発は、Amershamから市販されているキットを使用して、Taylo rらが開発した方法[Nucleic Acids Res.13(1985) 8749−8764]で実施し得る。PCR法[Polymerase−cat alyzed Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応),Sa iki R.K.ら,Science 230(1985)1350− 1354;Mullis K.B.及びFaloona F.A.,Meth. Enzym.155(1987)335−350]によるDNAフラグメントの 酵素増幅は、DNAサーマルサイクラー(Perkin Elmer Cetu s)を製造業者の指示通りに使用して実施し得る。核酸配列の確認は、Amer shamから市販されているキットを使用して、Sangerらが開発した方法 [Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74(1977)5463 −5467]で実施し得る。実施例 実施例1:Δp62の相補的DNAの単離 ポリA+ヒト胎盤抽出物RNAから合成された相補的DNA集団上でのPCR により、Δp62の相補的DNAを単離した。1μgのDNAを、p62の配列 に由来し、それぞれアミノ酸123〜131(5’オリゴ)及び437〜443 (3’オリゴ)に対応するプライマーと一緒に使用した。 前記プライマーの配列は下記の通りである: 反応は55℃で実施した。その結果、アガロースゲル電気泳 動により2種類の生成物:p62のPCR生成物に対応する987塩基対のバン ド、及びΔp62のPCR生成物に対応する870塩基対のバンド、が分離され た。 後者のバンドをクローニングした。その配列は、GRP33に相同なドメイン に117塩基対の欠失を有する以外は、p62の配列に正確に対応する。Δp6 2の完全配列は配列番号2で表される(第1図も参照)。 このようなp62アイソフォームの存在は、ベクターλgt11内に樹立され たヒト胎盤相補的DNAのライブラリーのスクリーニングによって確認された。 このスクリーニングに使用したオリゴヌクレオチドは、Δp62内に存在する欠 失の特異的結合に対応する24マーである。該オリゴヌクレオチドの配列は下記 の通りである: 実施例2:Δp62及びp62−Cの発現ベクターの構築 この実施例は、本発明の核酸をin vitro又はin vivo導入する ために使用し得るベクターの構築を説明する。 2.1. プラスミドベクター: プラスミドベクターを構築するために、2種類のベクターを 使用した。 − ベクターSV2。DNA Cloning,A practicalapp roach Vol.2,D.M.Glover(編)IRL Press,O xford,Washington DC,1985に記載。このベクターは真 核細胞発現ベクターである。変異体p62−C及びΔp62をコードする核酸を EcoRIフラグメントの形態で該ベクター内に挿入した。その結果、前記核酸 はウイルスSV40のエンハンサーのプロモーターの制御下におかれる。 − ベクターpcDNA3(Invitrogen)。これも真核細胞発現ベク ターである。変異体p62−C及びΔp62をコードする核酸をEcoRIフラ グメントの形態で該ベクター内に挿入して、CMVの初期プロモーターの制御下 においた。 2.2. ウイルス性ベクター 特定の実施態様では、本発明は前述のような核酸のin vivo導入及び発 現を可能にするウイルス性ベクターの構築及び使用に関する。 より特定的にアデノウイルスは、構造及び性質が少しずつ異なる種々の血清型 の特徴が解明された。これらの血清型のうち、 本発明では2型もしくは5型ヒトアデノウイルス(Ad2もしくはAd5)、又 は動物由来アデノウイルス(国際公開第94/26914号参照)を使用するの が好ましい。本発明で使用し得る動物由来アデノウイルスとしては、イヌ由来、 ウシ由来、マウス由来(例えばMavl,Beardら,Virology75 (1990)81)、ヒツジ由来、ブタ由来、トリ由来又はサル由来(例えばS AV)のものが挙げられる。動物由来アデノウイルスは好ましくはイヌアデノウ イルス、より好ましくはアデノウイルスCAV2[例えばマンハッタン株即ちA 26/61(ATCC VR−800)]である。本発明では、ヒトもしくはイ ヌ由来アデノウイルスを使用するか、又はこれらを混合して使用するのが好まし い。 好ましくは、本発明の欠陥アデノウイルスは、ITR、キャプシド封入(en capsidation)を可能にする配列及び本発明の核酸を含む。より好ま しくは、本発明のアデノウイルスのゲノムでは、少なくともE1領域が非機能性 である。所期のウイルス遺伝子は、当業者に公知の任意の方法、特に所期の遺伝 子における完全除去、置換、部分的置換又は一つ以上の塩基の付加により非機能 性にし得る。この種の改変は、例え ば遺伝子工学技術又は突然変異誘発物質での処理により、in vitro(単 離DNA使用)又はin situで得ることができる。別の領域、特にE3領 域(国際公開第95/02697号)、E2領域(国際公開第94/28938 号)、E4領域(国際公開第94/28152号、第94/12649号、第9 5/02697号)及びL5領域(国際公開第95/02697号)も改変し得 る。好ましい実施態様では、本発明のアデノウイルスはE1及びE4領域に欠失 を有する。別の好ましい実施態様では、前記アデノウイルスはE1領域に欠失を 有し、そのレベルにE4領域及び本発明の核酸が挿入される(仏国特許出願公開 第94/13355号参照)。本発明のウイルスでは、部分E1内の欠失はアデ ノウイルスAd5の配列のヌクレオチド455〜3329にわたるのが好ましい 。 本発明の欠陥組換えアデノウイルスは当業者に公知の任意の方法で製造できる (Levreroら,Gene 101(1991)195、欧州特許第185 573号、Graham,EMBOJ.3(1984)2917)。特に、こ れらのアデノウイルスは、アデノウイルスと主に所期のDNA配列を有するプラ スミドとの間の相同的組換えによって製造できる。相同的組換え は、前記アデノウイルス及びプラスミドを適当な細胞系内で同時トランスフェク ションした後で生起する。使用する細胞系は好ましくは、(i)前記エレメント によって形質転換できなければならず、(ii)欠陥アデノウイルスのゲノムの 部分を相補することができる配列を、好ましくは組換えの危険を回避するために 組み込み形態で含んでいなければならない。細胞系の具体例としては、特にアデ ノウイルスAd5のゲノムの左方部分(12%)をゲノムに組込んだ形態で含む ヒト胎児腎細胞系293(Grahamら,J.Gen.Virol.36(1 977)59)、又は特に国際公開第94/26914号及び第95/0269 7号に記載されているようなE1及びE4機能を相補することができる細胞系が 挙げられる。 次いで、実施例に記載のように、増殖したアデノウイルスを回収し、一般的な 分子生物学的方法によって精製する。 アデノ随伴ウイルス(AAV)は、DNAの大きさが比較的小さく、感染した 細胞のゲノム内に安定に且つ部位特異的に組込まれるウイルスである。これらの ウイルスは、細胞の増殖、形態又は分化に対する影響を誘発せずに、広範囲の細 胞に感染することができる。また、これらのウイルスはヒトの病気には 関与しないと思われる。AAVのゲノムはクローニングされ、配列決定され、特 徴が解明されている。該ゲノムは約4700塩基からなり、各末端に約145塩 基の逆方向反復領域(ITR)を含む。この領域はウイルスの複製起点として機 能する。ゲノムの残りの部分は、キャプシド封入機能を有する二つの必須領域に 分けられる。即ち、ゲノムの左方部分であって、ウイルスの複製とウイルス遺伝 子の発現とに関与するrep遺伝子を含む部分、並びにゲノムの右方部分であっ て、ウイルスのキャプシドタンパク質をコードするcap遺伝子を含む部分であ る。 遺伝子のin vitro及びin vivo導入にAAV由来ベクターを使 用する方法は文献に記述されている(特に国際公開第91/18088号、第9 3/09239号、米国特許第4,797,368号、第5,139,941号 、欧州特許第488 528号参照)。これらの出願明細書は、rep及び/又 はcap遺伝子が欠失し所期の遺伝子に置換されているAAV由来の種々の構築 物と、前記所期の遺伝子をin vitro導入(培養細胞を使用)又はin vivo移入(生体内に直接)するための前記構築物の使用とを開示している。 本発明の欠陥組換えAAVは、ヒトヘルパーウイルス(例えばアデノウイルス) に感染した細胞系内で、AAVの二つの逆方向反復領域(ITR)に挟まれた所 期の本発明の核酸配列と、AAVのキャプシド封入遺伝子(遺伝子rep及びc ap)を有するプラスミドとの同時トランスフェクションを行うことにより製造 できる。使用し得る細胞系は例えば細胞系293である。製造した組換えAAV は次いで一般的な方法で精製する。 ヘルペスウイルス及びレトロウイルスについては、組換えベクターの構築が文 献に広く開示されている:特にBreakfieldら,New Biolog ist 3(1991)203、欧州特許第453242号、同第178220 号、Bernsteinら,Genet.Eng.7(1985)235、Mc Cormick,BioTechnology 3(1985)689等参照。 であり、分裂中の細胞に選択的に感染する。従って、レトロウイルスは癌に適用 するのに有利なベクターを構成する。レトロウイルスのゲノムは本質的に二つの LTRと、一つのキャプシド封入配列と、三つのコーディング領域(gag、p ol及びenv)とを含む。レトロウイルス由来の組換えベクターでは 通常、gag、pol及びenv遺伝子が全体的又は部分的に欠失し、所期の外 来核酸配列によって置換される。これらのベクターは種々のレトロウイルス、特 にMoMuLV(マウスモロニー白血病ウイルス、MoMLVとも称する)、M SV(マウスモロニー肉腫ウイルス)、HaSV(ハーベー肉腫ウイルス)、S NV(脾臓壊死ウイルス)、RSV(ラウス肉腫ウイルス)又はフレンドウイル スから製造できる。 本発明の核酸を含む本発明の組換えレトロウイルスを構築するためには、主に LTRとキャプシド封入配列と前記核酸とを含むプラスミドを構築し、次いで欠 陥レトロウイルス機能をトランスでプラスミド内にもたらすことができるキャプ シド封入細胞系をトランスフェクションするために使用する。従って、キャプシ ド封入細胞系は通常、gag、pol及びenv遺伝子を発現することができる 。この種のキャプシド封入細胞系は先行技術で開示されており、特に細胞系PA 317(米国特許第4,861,719号)、細胞系PsiCRIP(国際公開 第90/02806号)及び細胞系GP+envAm−12(国際公開第89/0 7150号)が知られている。組換えレトロウイルスはまた、転写活性を回避す るためにLTRに改変を含 み得ると共に、gag遺伝子の一部を含む伸長したキャプシド封入配列も含み得 る(Benderら,J.Virol.61(1987)1639)。製造した 組換えレトロウイルスは次いで一般的な方法で精製する。 本発明を実施する場合は、欠陥組換えアデノウイルス又はレトロウイルスを使 用すると特に有利である。実際、これらのベクターは、腫瘍細胞内に遺伝子を導 入する場合に特に有利な性質を有する。 2.3. 化学的ベクター 開発された合成ベクターのうち、本発明では、ポリリシン、(LKLK)n、 (LKKL)n、ポリエチレンイミン及びDEAEデキストラン、又はカチオン 脂質もしくはリボフェクタント(lipofectant)といった種類のカチ オンポリマーを使用するのが好ましい。これらの物質はDNAを導入可能とし、 細胞膜との結合を促進する性質を有する。これらの物質の具体例としては、リポ ポリアミン(リポフェクタミン、トランスフェクタム等)、種々のカチオン性も しくは中性脂質(DOTMA、DOGS、DOPE等)並びに核由来ペプチドが 挙げられる。また、受容体によって仲介される標的指向トラ ンスフェクションという概念が開発された。これは、カチオンポリマーによって DNAを導入するという原理を利用し、カチオンポリマーと、グラフトしたい種 類の細胞の表面に存在する膜受容体のリガンドとの間の化学的結合により複合体 を膜に結合させるというものである。例えば、トランスフェリンもしくはインス リンの受容体、又は肝細胞のアシアログリコプロテインの受容体のターゲッティ ングが開示されている。このような化学的ベクターを使用する本発明の組成物の 製造は、当業者に公知の任意の方法で実施され、通常は異なる成分同士を単に接 触させることによって実施する。実施例3:Rasの腫瘍形成形態に起因するR.R.E(ras応答エレメント )のトランス作用の阻害(図2) 繊維芽細胞NIH 3T3を、ポリオーマウイルスのエンハンサーに由来する Ras応答エレメントの制御下におかれたクロラムフェニコールアセチルトラン スフェラーゼのレポーター遺伝子でトランスフェクションした。細胞を、SV4 0の腫瘍形成遺伝子Middle T(MT)のcDNAを有する発現ベクター で同時トランスフェクションすると、前記エレメントは15〜20倍刺激される 。この刺激は、同時トランスフェク ションをp62−C及びΔp62発現ベクターで行なう時には殆ど影響を受けな い(実施例2参照)。同時トランスフェクションをMTではなく活性型の腫瘍形 成遺伝子Ha−ras(Val 12)を用いて実施すると、CAT活性が基線 レベルの30〜40倍刺激される。p62の発現はこの刺激に殆ど影響しないが 、p62−C及びΔp62は腫瘍形成Ras遺伝子に起因する総ての活性をほぼ 完全に阻害する。同様に、腫瘍形成遺伝子v−srcとの同時トランスフェクシ ョンによって得られた刺激は、タンパク質p62−C及びΔp62によって強く 阻害されるがp62には阻害されない。 これらの実験は、MT又はRas Val12又はv−srcを発現させるベ クター0.5μgと、p62−C又はΔp62のcDNAを有する発現ベクター 4μgとを使用して実施した。これらの実験は、本発明のタンパク質が腫瘍形成 遺伝子rasシグナルを妨害できることを明確に示している。実施例4:繊維芽細胞NIH3T3内でΔp62によって誘発される細胞死の立 証(図3) 繊維芽細胞NIH3T3を60%の効率で5μgのΔp62発現ベクター(実 施例2)でトランスフェクションした。 トランスフェクションから24時間後、細胞の生存率は対照と比べて著しい変 化を示す。これらの細胞のDNAを分析すると、アガロースゲル電気泳動後に、 アポトーシス現象の特徴である分解が観察される。p62−CをΔp62と同じ 条件でトランスフェクションした時にも同じ現象が見られる。実施例5:種々の細胞毒性物質と血清除去とによって処理した胚性繊維芽細胞内 でのΔp62の発現の立証(図4) マウス胚性繊維芽細胞を培養し(1)、0.5μgのオカダ PMA及び2μgのイオノマイシンで処理し(3)、1μMのスタウロスポリン にかけるか(4)、又は2μg/mlのカンプトテシンにかけ(5)、最後に血 清を除去する。 これらの繊維芽細胞内での、前記種々の処理時のp62及びΔp62のメッセ ンジャーRNAの発現を分析した。各処理毎に三つの時点を分析した。これらの 時点は三つの処理時間、即ち6時間、12時間及び24時間に対応する。 10%のウシ胎児血清(FCS)の存在下で培養した繊維芽細胞では、p62 のmRNAが観察されるが、Δp62のmRNAは培養24時間後でも検出され ない。オカダ酸で処理した時も同じ状況である。これに対し、PMA及びイオノ マイシンでの処理の6〜12時間後にΔp62のmRNAの強い誘導が観察され る。このmRNAはスタウロスポリンの添加後にも検出可能であり、カンプトテ シン処理の12時間後には極めて強く誘導される。胚性繊維芽細胞から血清を除 去した場合には、Δp62の強い誘導が観察されると同時に、p62のメッセン ジャーが消滅する。 これらの結果は、Δp62のmRNAの発現があるアボトーシス状況時に繊維 芽細胞内で誘発されることを立証するものである。実施例6:rasに誘発される病巣形成のΔp62による阻害 この実施例は、Δp62が腫瘍形成遺伝子によって誘発される形質転換プロセ スを妨害することを明らかにする別の研究を説明する。より特定的には、この実 施例は、Δp62が細胞NIH3T3内で種々の腫瘍形成遺伝子(腫瘍形成遺伝 子ras、v−src)によって誘発される病巣形成を阻害することがで き、p62がこの現象に作用しないことを明らかにする。 繊維芽細胞NIH3T3に、0.1μgのv−SrcもしくはHa−Ras VaI12発現ベクター、及び4mgのp62もしくはΔp62発現ベクター又 は空のベクター(実施例2)を同時トランスフェクションした。これらの細胞を ウシ新生児血清10%含有培地中に維持し、フェノール−フクシンの存在下で細 胞の固定及び染色を行った後、病巣の数を測定した。これらの実験は三つ組みで 実施した。 得られた結果を図5に示す。これらの結果から明らかなように、Δp62はv −src及びHa−Ras Val12によって誘導される病巣の数を約50% 減少させる。この効果は、腫瘍形成遺伝子v−src及びHa−Rasによる形 質転換に特異的な拮抗能力を反映するものである。なぜなら、Δp62はv−R afによって誘導される病巣形成には作用しないからである。また、観察された 効果は生成物の毒性に関連するものではない。なぜなら、p62、Δp62又は 空のベクターによるトランスフェクション後のネオマイシン耐性コロニー数は互 いに類似しているからである。これらの結果は、本発明の分子が、腫瘍形成遺伝 子によって誘発される形質転換プロセスで阻 害機能を果たすことを示している。従ってこれらの結果から、前記生成物が、癌 遺伝子によって誘発される細胞増殖プロセスの修正に有用であり、また、これら の腫瘍形成遺伝子のシグナル伝達経路で活性の及び/又は関与する別の分子を同 定するツールとして有用であることが確認される。実施例7:in vivoでのsrcとの相互作用の立証 この実施例は、Δp62と別の分子との相互作用の研究を説明する。該実施例 は、p62及びΔp62がin vivoでsrcと相互作用できることを明ら かにする。 繊維芽細胞NIH3T3を、mycマーカー(myc teg)を含むp62 又はΔp62発現ベクター(実施例2)でトランスフェクションした。トランス フェクションした細胞は、非同調増殖させておくか、又はノコダゾール処理によ り分裂期でブロックした。次いで細胞にv−Src発現ベクター又は空のベクタ ーを同時トランスフェクションした。48時間後、細胞を溶解し、形成された複 合体を抗myc抗体(抗体9E10)及び抗Src抗体(抗体N16)で免疫検 出した。 得られた結果は、p62及びΔp62がin vivoでsrcと相互作用で きることを示している。また、p62とsrcと の間の相互作用が分裂細胞内でのみ生起すると思われるのに対し、Δp62は非 同調細胞内でもSrcに対してかなり作用する。この相互作用は分裂細胞内で増 強される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年9月1日 【補正内容】 請求の範囲 1. GAPタンパク質とp62との間の相互作用を少なくとも部分的に阻害す ることができるp62誘導体であって、RNAと相互作用するp62の能力を喪 失していることと、GAPのSH2部分との相互作用を可能にするp62の一部 分を含んでいることとを特徴とする前記p62誘導体。 2. rasによって形質導入されるシグナルを少なくとも部分的に阻害するこ とを特徴とする請求項1に記載の誘導体。 3. GRP33タンパク質に相同の領域に少なくとも一つの欠失を有すること を特徴とする請求項1又は2に記載の誘導体。 4. 配列番号2の配列又はその変異体の全体又は一部を含むポリペプチドであ ることを特徴とする請求項1に記載の誘導体。 5. 配列番号2の配列を有するポリペプチドΔp62。 6. 本質的に、p62のリン酸化チロシンを含む領域からなることを特徴とす る請求項1に記載の誘導体。 7. 配列番号3の配列の全体又は一部を含むポリペプチドであることを特徴と する請求項6に記載の誘導体。 8. 配列番号3の配列を有するポリペプチドp62−C。 9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸。 10. cDNA又はRNAであることを特徴とする請求項9に記載の核酸。 11. (a)配列番号2もしくは配列番号3の配列又はこれらの相補鎖の全体 又は一部、(b)配列(a)とハイブリダイズし請求項1に記載の誘導体をコー ドする総ての配列、(c)遺伝暗号の縮重に基づく(a)及び(b)の変異体の 中から選択されることを特徴とする請求項9又は10に記載の核酸。 12. 配列番号2の配列を有する核酸。 13. 配列番号3の配列を有する核酸。 14. 請求項9から13のいずれか一項に記載の核酸と、該核酸の発現を可能 にするプロモーターと、転写終結シグナルとを含む発現カセット。 15. 請求項9から13のいずれか一項に記載の核酸又は請求項14に記載の カセットを含むベクター。 16. プラスミド性ベクターであることを特徴とする請求項15に記載のベク ター。 17. ウイルス性ベクターであることを特徴とする請求項1 5に記載のベクター。 18. ウイルス性ベクターがアデノウイルス、レトロウイルス、AAVウイル ス又ヘルペスウイルスに由来することを特徴とする請求項17に記載のベクター 。 19. ゲノムが請求項9から13のいずれか一項に記載の核酸又は請求項14 に記載のカセットを含んでいる欠陥組換えレトロウイルス。 20. ゲノムが請求項9から13のいずれか一項に記載の核酸又は請求項14 に記載のカセットを含んでいる欠陥組換えアデノウイルス。 21. 請求項9に記載の核酸を少なくとも一つ含む医薬組成物。 22. 請求項15に記載のベクターを少なくとも一つ含む医薬組成物。 23. 請求項1に記載の誘導体を少なくとも一つ含む医薬組成物。 24. 癌を治療するための請求項21から23のいずれか一項に記載の医薬組 成物。 25. 過剰増殖性障害の治療に使用する医薬組成物を製造す るための請求項9に記載の核酸又は請求項15に記載のベクターの使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C12P 21/02 A61K 37/02 ADU (C12N 7/00 C12R 1:92) (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AU,BB,BG,BR ,CA,CN,CZ,EE,GE,HU,IS,JP, KP,KR,LK,LR,LT,LV,MG,MK,M N,MX,NO,NZ,PL,RO,SG,SI,SK ,TR,TT,UA,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. GAPタンパク質とp62との間の相互作用を少なくとも部分的に阻害す ることができるp62誘導体。 2. rasによって形質導入されるシグナルを少なくとも部分的に阻害するこ とを特徴とする請求項1に記載の誘導体。 3. RNAと相互作用するp62の能力を喪失していることを特徴とするp6 2誘導体。 4. GRP33タンパク質に相同の領域に少なくとも一つの欠失を有すること を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導体。 5. GAPのSH2ドメインとの相互作用を可能にするp62の一部分を含む ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導体。 6. 配列番号2の配列又はその変異体の全体又は一部を含むポリペプチドであ ることを特徴とする請求項5に記載の誘導体。 7. 配列番号2の配列を有するポリペプチドΔp62。 8. 本質的に、p62のリン酸化チロシンを含む領域からなることを特徴とす る請求項5に記載の誘導体。 9. 配列番号3の配列の全体又は一部を含むポリペプチドであることを特徴と する請求項8に記載の誘導体。 10. 配列番号3の配列を有するポリペプチドp62−C。 11. 請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核 酸。 12. cDNA又はRNAであることを特徴とする請求項11に記載の核酸。 13. (a)配列番号2もしくは配列番号3の配列又はこれらの相補鎖の全体 又は一部、(b)配列(a)とハイブリダイズし請求項1に記載の誘導体をコー ドする総ての配列、(c)遺伝暗号の縮重に基づく(a)及び(b)の変異体の 中から選択されることを特徴とする請求項11又は12に記載の核酸。 14. 配列番号2の配列を有する核酸。 15. 配列番号3の配列を有する核酸。 16. 請求項11から15のいずれか一項に記載の核酸と、該核酸の発現を可 能にするプロモーターと、転写終結シグナルとを含む発現カセット。 17. 請求項11から15のいずれか一項に記載の核酸又は請求項16に記載 のカセットを含むベクター。 18. プラスミド性ベクターであることを特徴とする請求項17に記載のベク ター。 19. ウイルス性ベクターであることを特徴とする請求項17に記載のベクタ ー。 20. ウイルス性ベクターがアデノウイルス、レトロウイルス、AAVウイル ス又ヘルペスウイルスに由来することを特徴とする請求項19に記載のベクター 。 21. ゲノムが請求項11から15のいずれか一項に記載の核酸又は請求項1 6に記載のカセットを含んでいる欠陥組換えレトロウイルス。 22. ゲノムが請求項11から15のいずれか一項に記載の核酸又は請求項1 6に記載のカセットを含んでいる欠陥組換えアデノウイルス。 23. 請求項11に記載の核酸を少なくとも一つ含む医薬組成物。 24. 請求項17に記載のベクターを少なくとも一つ含む医薬組成物。 25. 請求項1に記載の誘導体を少なくとも一つ含む医薬組成物。 26. 癌を治療するための請求項23から25のいずれか一項に記載の医薬組 成物。 27. 過剰増殖性障害の治療に使用する医薬組成物を製造するための請求項1 1に記載の核酸又は請求項17に記載のベクターの使用。
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