【発明の詳細な説明】
T細胞介在性炎症と共に現れる皮膚疾患における経口寛容
発明の分野
本発明はT細胞介在性またはT細胞依存性炎症と共に現れる皮膚疾患の治療のた
めの方法および構成に関する。さらに詳しくは、本発明は炎症の抑制を引き起こ
す経口的に(または粘膜的に)誘発される免疫耐性による、上記疾患の治療のため
の方法および構成に関する。
発明の背景
抗原の経口投与は、Wells,H.G.J.Infect.Dis.8:147-171,1911およびChase,M.P
roc.Soc.Exp.Biol.Med.61:257-259,1946によって抗原特異的末梢性免疫寛容を誘
発するものとして最初に示された。
経口的に誘発された免疫寛容(「経口寛容」)を記述したMowat,A.M.,Immunol.Tod
ay 8:93-98,1987は、摂取した食物内のタンパク質に対する全身の免疫応答を妨
げることを含む。加えて、自己抗原およびバイスタンダー抗原(後に定義する)に
対する経口寛容は、自己免疫反応または応答を抑制するのに用いられ、それゆえ
動物とヒトの両方における(T細胞介在性)自己免疫疾患を抑制するのに用いられ
ている:Thompson,H.S.G等,Clin.Exp.Immunol.,64:581-586,1986;Nagler-Anders
on,C.等,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)83:7443-7446,1986;Higgins,P.等,J.Immunol
.140:440-445,1988;Zhang,J.A.等,proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88:10252-10256,19
91;Nussenblatt,R.B.等,J.Immunol.,144:1689-1695,1990;Weiner,H.L.等,Scienc
e,259:1321-1324,1993;Trentham,D.E.等,Science,261,1727-1730,1993。
本発明者と共同研究者は、様々なヒト自己免疫疾患に対する経口寛容を誘発す
るための「自己抗原」および「バイスタンダー抗原」の使用に向けられたいくつかの
特許出願および特許を持っている。これらの特許及び特許出願のいくつかは以下
に掲げられている。これらの先願特許および出願で用いられているように、「自
己抗原」、「バイスタンダー抗原」および「バイスタンダー抑制」なる語は、以下の
ような意味を持つ:
「自己抗原」なる語は自己免疫疾患において免疫調節系によって攻撃される一次
(または一つの一次)標的となる、通常動物において見出される物質またはその一
部である。本用語はまた動物に投与されると、自己免疫疾患の特徴を持つ病気を
誘発する抗原性物質をも含む。加えて本用語は、本質的に自己抗原の主要抗原エ
ピトープまたは主要抗原エピトープ部位よりなるペプチド性サブクラスを含む。
誘発された自己免疫疾患における主要抗原エピトープまたは部位としては、その
疾患を誘発する完全な自己抗原の代わりに自己抗原の断片を用いることができる
。自己免疫疾患に悩まされているヒトにおいては、主要抗原エピトープまたは部
位は、自己抗原攻撃の下にある組織または器官に特異的な抗原の断片であり、自
己抗原攻撃T細胞の実質的なパーセンテージ(例えば絶対多数である必要はないけ
れども大多数)によって認識される。
「バイスタンダー抗原」または「バイスタンダー」なる語は、タンパク質、タンパ
ク質断片、ペプチド、糖タンパク質またはその他のあらゆる免疫原性物質であり
、(i)自己免疫攻撃の下にある器官または組織に特異的な(または主に見出される
)成分であるか、またはそれに由来するものであり、(ii)経口のまたは腸溶性の
投与により、調節(サプレッサー)T細胞(それはCD4+またはCD8+型のものでありう
る)を誘発するものである。調節(サプレッサー)T細胞は、それらが少なくとも一
つの抗原非特異的免疫抑制因子または免疫調節性サイトカイン(TGF-β,IL-4また
はIL-10のような)を自己免疫破壊に寄与する免疫攻撃細胞を減少させそれらによ
って抑制するようにさせる、攻撃の下にある器官または組織に対して標的とされ
るものである。本用語は自己免疫攻撃に含まれる自己抗原およびそれらの断片を
限定することなく含む。加えて本用語は、自己免疫組織破壊の結果として自己免
疫攻撃の場においてさらされるようになる、免疫系に通常はさらされていない抗
原を含む。例えば特定の組織に特異的なものではないが、熱ショックタンパク質
は免疫系との接触から通常保護されている。
「バイスタンダー抑制」なる語は、自己免疫破壊に寄与する細胞の自己免疫攻撃
の場での抑制である;バイスタンダー抗原の摂取(または吸入)によって導き出さ
れ、自己免疫破壊に寄与している細胞が形成される場に補充されるサプレッサー
T細胞からの、一つまたはそれ以上の免疫抑制因子(Th2-促進性サイトカインおよ
びTh1-阻害性サイトカイン)の放出によって、本抑制は介在される。分泌された
サイトカインによるダウンレギュレーションの結果が、抗原非特異的だが局部に
制限された、組織破壊の原因である自己免疫応答である。
促進剤を用いておよび用いないで自己抗原またはより一般的にバイスタンダー
抗原を用いて、経口的に誘発された免疫寛容(または吸入によって誘発された免
疫寛容)による自己免疫疾患と関連する免疫応答の抑制において有用な方法およ
び構成は、本発明者とその共同研究者による様々な特許および特許出願に記述さ
れている;1994年2月25日に出願された出願番号08/202,677;1995年4月10日に出
願された出願番号08/419,502;1995年4月10日に出願された出願番号08/419,505:1
994年4月28日に出願された出願番号08/235,121;1995年3月21日に査定された特許
第5,399,347号;1994年8月11日に出願された出願番号08/297,395;1993年4月9日に
出願された出願番号08/046,354;1995年4月10日に出願された出願番号08/420,979
;1995年4月10日に出願された出願番号08/420,980;1993年8月10日に出願された出
願番号08/105,912;1994年7月22日に出願された出願番号08/279,275:1994年10月2
4日に出願された出願番号08/328,562。
しかしながら、炎症によって特徴付けられ、悩まされている器官として皮膚を
も含む疾患にバイスタンダー抑制を応用するという概念は、開示または提案され
ていない。特にヒト皮膚疾患の治療へのバイスタンダー抑制の応用は、開示また
は提案されていない。
たくさんの既知の、未知のまたは議論されている病因学の皮膚疾患(または他
の病理学の徴候)が、少なくとも実質的な部分、T細胞より特異的にはTh1細胞に
よって介在される皮膚の炎症応答によって特徴付けられる、または関連している
。これかの疾患のいくつかは自己免疫であると考えられる:非限定的な例として
は、乾癬、白斑、尋常天疱瘡、皮膚筋炎、円形脱毛症、完全脱毛症そして全身性
脱毛症がある。Krueger,J.,Nature Medicine 1(5):442-447,1995年5月;Wong,R.I
.等,Immunol.Today,14(2):69-74,1993年2月;Trentham,D.E.等,Arthritis Rheum,
24(11):1363-9,1981年11月;Goudie,R.B.等,Lancet,1979年8月,2(8139):393-5;Fa
thman,C.G.等,N.Engl.J.Med.,1992年6月18日,326(25):1693-5;Grunwald,M.H.等,
Int.J.Dermatol.,1989年9月,28(7):480-1;Fine,R.M.,Int.J.Dermatol.,1988年1-
2月,27(1):17-8;Carstens,J.,Mt.Sinai J.Hed.,1990年10月,57(5):311-4:Reeves
,W.H.,Semin Dermatol.,1991年9月,10(3):217-24。
炎症と共に現れる他の皮膚疾患は自己免疫ではないが、その発病は外因性の抗
原と関連している。非限定的な例としては、アトピー性皮膚炎及び接触性皮膚炎
が含まれる。
これらの疾患の共通の特徴は、抗原(内因性でも外因性でも)が皮膚の微環境に
存在することである。炎症は、抗原を認識しその抗原の場に凝集する活性化した
T細胞によって引き起こされる。
大抵は生命を脅かすことはないが、これらのT細胞介在性炎症皮膚疾患は、非
常に多くの人々を悩ませている。例えば合衆国人口の少なくとも1%が乾癬に苦
しんでいる。これらの疾患は身体的に衰弱させるだけでなく、心理的にも損害を
与え(その場合としては、例えば乾癬と特に黒人に対する白斑の両方)、特に疾患
が職業に関するものであるときには、しばしば患者の生産性をも害する(例えば
接触皮膚炎の場合のように)。それゆえこの疾患は少なからぬ経済上の負担を増
している。これらのT細胞介在性炎症皮膚疾患に対する治療法は知られていない
。現在用いられている治療は一時的なものであり、しばしば患者が治療してもら
うつもりである疾患と少なくとも同じくらい重大な副作用を伴うものである。
例えば乾癬の治療には、紫外線B波(UVB)照射、紫外線A波(UVA)照射と組み合わ
せたソラレン(P)の局所または全身の投与を含むPUVA、メトトレキセート投与、
レチノイドの局所または全身の施用およびサイクロポリンAのような全身的な免
疫抑制剤の投与を含む。白斑もまた、PUVAまたは(より効果が少ないが)局所のス
テロイドを用いて治療される。皮膚の漂白もまた用いられるが、それは色素脱失
をマスキングするのに効果的であるだけである。
様々なタイプの皮膚炎および部分的な円形脱毛症が、通常局所のステロイドを
用いて治療される。広がった円形脱毛症はサイクロポリンAまたはステロイドを
用いて治療され、全身に投与される。
PUVA治療は実質的に皮膚ガン(扁平上皮ガン、悪性黒色腫)の危険を増大し、早
発性(光)老化もまた引き起こす。
UVB治療もまた、悪性腫瘍の危険の増大と光老化による損害の両方が幾分より
小さく表明されているが、同様の不利益がある。
メトトレキセート(ひどい乾癬の場合にのみ用いられる)は化学療法薬として創
り出されたが、その投与は骨髄抑制、免疫抑制そして肝硬変を含む化学療法の通
常の副作用を持っている。
レチノイドは催奇形のものであり、妊婦には投与できない。さらに実質的に多
くの患者が副作用を持っている。レチノイドの最も共通の副作用のいくつかは以
下のものである:血液トリグリセリドの増大(それは血管および心臓の疾患の危
険を増大すると考えられる)、害された肝機能および良性の頭蓋内の高血圧症。
よって本分野では、皮膚疾患と関連するT細胞介在性炎症を抑制する、および
該疾患を治療する新しい方法と構成の必要がある。さらに特に本分野では、上述
の列挙したような重大な副作用が実質的に無い使用の上記方法と構成の必要があ
る。
発明の概要
一つの面として、本発明は、T細胞介在性(またはT細胞依存性)炎症と共に現
れる動物(ヒトを含む)の皮膚疾患の、「皮膚関連性バイスタンダー抗原」(以下に
定義する)の上記炎症を抑制するのに効果的な量を経口ルートで治療の必要のあ
る動物に対して投与することを含む治療法に関する。
もう一つの面として、本発明は、皮膚疾患と関連するT細胞介在性またはT細胞
依存性皮膚の炎症を抑制する、皮膚関連性バイスタンダー抗原の上記炎症を抑制
するのに効果的な量を治療の必要のある動物に対して投与することを含む抑制法
に関する。
さらに他の面として、本発明は、少なくとも一つの皮膚関連性バイスタンダー
抗原を含む;経口投与を翻案した;および上述の方法に有用な構成と投与形態に関
する。
本発明は、本明細書、請求項および図に示された特別の好ましい実施態様を参
考として、以下に詳細に記述されている。
図面の簡単な説明
図1はマウスの3つの実験グループのそれぞれに対する肉趾の厚さ(非チャレン
ジコントロールと比較したmmで表される)の変化の図である;G3は因子XIII(皮膚
特異的バイスタンダー抗原)を与えられ;G2は鶏卵リゾチーム(HEL)を与えられ;
G1はPBS(ポジティブコントロールグループ)を与えられた;それからマウスは右
脇腹を因子XIIIで免疫化され、および左脇腹をHELで免疫化された;そしてHELで
チャレンジされた。
発明の詳細な説明
遅延型過敏症(DTH)実験では、T細胞介在性炎症は第一の(抗原に対して過敏に
する)免疫化によって誘発され、それに実験動物を過敏に反応するのに用いられ
るような同じ抗原を用いたチャレンジが続くことがよく知られている。チャレン
ジは通常、動物のそれぞれ耳または肉趾に投与され、そこは(他の器官とは対照
的に)皮膚が比較的豊富にあり、それゆえ皮膚の炎症が誘発される。DTHシステム
はT細胞介在性炎症における様々な方法及び物質の効果を評価するためのテンプ
レートとして、広く用いられている。Ferguson,T.A.等,PNAS(USA)88:8072-8076,
1991,Ohmen,J.D.等,J.Immunol.,154:1956-1963,1995。それゆえ上述の皮膚疾患
と関連するようなT細胞介在性皮膚炎症における様々な方法及び物質の効果を評
価するのにそれは特に有用である。DTHシステムは皮膚に抗原(内因性または外因
性)の存在を効果的に真似るものであり、この抗原に反応的である活性化T細胞を
導き出す。さらにDTHシステムにおいて炎症を誘発するのに用いられる抗原を(任
意に)選択する能力は、原因となる試薬に非依存的に炎症(及びその抑制)を研究
するためのテンプレートとしてこのシステムを信頼性のあるものにしている。Ah
med,A.R.等,Arch.Dermatol.,119(11):934-945,1983;MacLean,L.D.,Surg.Gynecol
.Obstet.,166:285-293,1988。
バイスタンダー抑制の概念は、様々な自己免疫疾患における研究の過程で本発
明者とその共同研究者により最初に創り出された。自己免疫疾患の場合には、バ
イスタンダー抑制は調節(サプレッサー)T細胞を腸管関連リンパ組織(GALT)にお
いて誘発されるようにし、または吸入による投与の場合には粘膜関連リンバ組織
(MALT)において誘発されるようにする。これらの調節細胞は血液またはリンパ組
織内で放出され、それから自己免疫疾患に悩む器官または組織に移動し、その場
所で悩まされている器官または組織の自己免疫攻撃を抑制する。バイスタンダー
抗原によって導き出されたT細胞(それはそれらを導き出すのに用いられるバイス
タンダー抗原の少なくとも一つの抗原決定基を認識する)は自己免疫攻撃の場に
おいて標的とされ、そこでは該T細胞は形質転換増殖因子β(TGF-β)、インター
ロイキン-4(IL-4)またはインターロイキン-10(IL-10)のような特定の免疫調節因
子およびサイトカインの局所の放出を介在する。これらの中で、TGF-β(特異的
にはTGF-β1)は、以下の現象を誘発する抗原に関わらず、その放出の場における
全ての免
疫攻撃現象を抑制する抗原非特異的免疫抑制因子である。(しかしながら、バイ
スタンダー抗原を用いた局所の免疫寛容化が自己免疫攻撃の付近にのみTGF-βの
放出を引き起こすので、全身の免疫抑制は結果として起こらない。)IL-4およびI
L-10もまた抗原非特異的免疫調節サイトカインである。特にIL-4はTh2応答を促
進する、すなわちT細胞前駆体に作用し、それらをTh2細胞に選択的に分化させる
。IL-4はまたTh1再燃を間接的に阻害する。IL-10はTh1応答の直接的な阻害剤で
ある。
多発性硬化症EAE用の動物モデルおよびI型糖尿病用の動物モデル(NODマウス)
においてバイスタンダー抗原を用いて自己免疫疾患に悩まされている動物を経口
で免疫寛容化した後、本発明者とその共同研究者は自己免疫攻撃の場におけるTG
F-β、IL-4およびIL-10の増大した濃度を観察した。例えばChen,Y.等,Science,2
65:1237-1240,1994参照。それゆえ抗原を与えられた動物によるこれらのTh1抑制
性サイトカインの分泌は、以下の実験において本発明の実施可能性を評価するた
めに用いられた。
皮膚関連性バイスタンダー抗原の経口投与が、T細胞介在性炎症皮膚疾患と関
連するT細胞介在性炎症免疫応答を抑制する(すなわち除去するまたは減少させる
)のに効果的であることを、本発明者は見出した。
本目的で用いられる「皮膚関連性バイスタンダー抗原」なる語は、受容者動物の
T細胞によって認識され得る(例えば増殖アッセイにより評価されるような)免疫
系(通常または炎症の過程の結果として)にさらされるいかなる皮膚関連性抗原を
も含むとここで定義される。それゆえ上記参考とした前出願の「バイスタンダー
抗原」の定義もまた、バイスタンダー抗原が「皮膚関連性」である、すなわち皮膚
または皮膚成分にのみ特異的に発現される(例えば白斑におけるメラノサイト)、
または皮膚の実質的な量において発現される(例えばIII型コラーゲン)という付
加的な必要を伴ってここで当てはまる。皮膚関連性バイスタンダー抗原は通常、
すなわち炎症の不存在下で免疫系と接触しなければならない、または炎症の結果
として免疫系にさらされるようにならなければならない。治療される被験者のT
細胞によって認識される(抗原提示の関係において)であろう少なくとも一つのエ
ピトープを含む天然で生じる皮膚関連性バイスタンダー抗原の断片をも、本定義
の範囲に包含される。それゆえ断片は、T細胞受容体に対するリガンドであるか
または、自己反応性T細胞により認識されるエピトープであってもよい。バイス
タンダー抗原は
炎症を引き起こすT細胞の一時的なまたは一つの一時的な標的である必要はない
。例えばたとえ皮膚疾患が天然で自己免疫であったとしても、バイスタンダー抗
原は自己抗原である必要はない。
炎症と共に存在する皮膚疾患を治療するために用いられ得る皮膚関連性バイス
タンダー抗原の制限のない例としては、I型、III型およびIV型コラーゲン;基
底のケラチン(K5またはK14のような)および超基底のケラチン(K1およびK10のよ
うな);トランスグルタミナーゼ1およびトランスグルタミナーゼ5(a/k/a 因子XI
II)のようなトランスグルタミナーゼが含まれる。加えてメラノサイト特異的酵
素チロシナーゼは白斑の治療に特異的に有用であり、ケラチンK16(毛包に特異的
)は円形脱毛症、完全脱毛症または全身性脱毛症の治療に特異的に有用である;
および抗原Jo-1と他のアミノアシルt-RNAシンテターゼも同様に(Plotz等,in Man
ual of Biological Markers of Disease,B6.1:1-118,1994)筋炎の治療に特異的
に有用である。
ヒト疾患の治療においては、組換え法によって発現されたものであっても天然
由来で精製されたものであっても、ヒト由来皮膚関連性バイスタンダー抗原を用
いるのが好ましい。
他の皮膚関連性バイスタンダー抗原の精製法は本分野ではよく知られている。
さらに、皮膚関連性バイスタンダー抗原の上述の例の全ての核酸配列および/ま
たはアミノ酸配列が解明されており、それらのうちのいくつかは商業的に入手可
能である:例えばヒト胎盤由来のIV型コラーゲン、ヒト表皮由来のケラチン、因
子XIII、チロシナーゼ(ヒトチロシナーゼについてはそれをコードする遺伝子の
単離と共にその核酸配列およびアミノ酸配列を開示するWO 88/02372を参照)があ
る。効果的な治療のために精製された皮膚関連性バイスタンダー抗原を投与する
必要はないことに注意すべきである。一つ(またはそれ以上の)上記抗原を含む精
製されていない構成物または調製物を用いることができる。構成物の種類の非限
定的な例としては、皮膚関連性バイスタンダー抗原のリガンドの一つかそれ以上
のT細胞エピトープを含む、合成キメラペプチド及びポリペプチドがある。皮膚
関連性バイスタンダー抗原の混合物を含む生成されていない調製物の経口投与を
用いる炎症の抑制の能力は、与えられた抗原としての全メラノサイトを用いた本
発明者による実験に見出される(データは示していない)。
因子XIIIは、米国特許第5,395,922号;第5,378,687号;第5,047506号;第5,204,4
47号;第5,164,373号;そして第4,597,899号(参考として取り込まれる)の教示のよ
うに生産されうる。他の皮膚関連性バイスタンダー抗原を作製するおよび/また
は精製する方法を教示する、またはそれらの核酸配列またはアミノ酸配列を示す
その他の文献としては以下のものがある:Fuchs,E.等,Cell 17(3):573-82,1979
年7月;Prockop,D.J.,J.Biol.Chem.265(26):15349-52,1990年9月15日;Hudson B.G
.等,J.Biol.Chem.268(35):26033-6,1993年12月15日;Stevens,H.P,等,Postgrad.M
ed.J.70(829):775-9,1994年11月;Slack J.L.等,Am.J.Med.Genet.45(2):140-51,1
993年1月15日;Aberdam D.等,Cell Adhes.Commun.2(2):115-29,1994年6月;Takami
,H,等,Contrib.Nephrol.107:36-46,1994;Pulkkinen,L.等,Genomics 24(2):357-6
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等,Int.J.Dermatol.14(3):161-71,1975年4月;Prockop,D.J.Prog.Clin.Biol.Res.
154:81-8,1984年;Merot,Y.,Semin.Dermatol.7(4):269-77,1988年12月:Steinert,
P.M.等,Trends Genet.9(8):280-4,1993年8月。ケラチン10配列は1994年4月12日
に査定された米国特許第5,302,511号に記述されている。他のヒトケラチンに対
する発現システムは、1990年12月25日に査定された米国特許第4,980,290号に開
示されている。
さらに哺乳動物由来の皮膚関連性抗原に相当するもの(例えばニワトリおよび
ウシコラーゲン、ブタケラチン、七面鳥ケラチン);およびキニアピッグトラン
スグルタミナーゼは商業的に入手可能であり(例えばSigma Chemical Co.,St.Lou
is,Mo.)、または核酸配列および/またはアミノ酸配列が知られている。もし動物
由来の皮膚関連性バイスタンダー抗原がヒトの治療に用いられるならば、相当す
るヒト抗原と最も近い相同性を持つ該動物由来の抗原を用いるのが好ましい。
皮膚関連性バイスタンダー抗原の効果的な量は、一般的に動物被験者(ヒトを
含む)当たりの治療(投与量)当たり0.1mg-100mgの範囲内である。正確な量は被験
者ごとに変化するであろうし、抗原を認識する被験者のT細胞の能力にしたがっ
ても変化するであろう(例えば弱い抗原の多量の投与が必要であろう)。抑制を誘
発する有効性は投与量依存的であり、ありきたりの実験で確定される最高の最適
条件効果的投与量がある。I型コラーゲンおよびIV型コラーゲンに対しては、有
用な投与量範囲は0.1-10mg/患者/治療、好ましくは0.1-5mgである。因子XIIIに
対しては、ヒトにとっての効果的な投与量範囲も0.1-10mg、好ましくは1-10mgで
ある。
ケラチンに対しては、ヒトにおける効果的な投与量範囲は0.1-10mgである。
治療の有効性(炎症の抑制)は、さらに以下に議論するように、治療される疾患
に依存して、悩まされている部分の身体検査および皮膚障害の減少または消失、
色素脱失、または脱毛の阻害によって評価される。治療の頻度(ヒトを含む哺乳
動物に対して)は、例えば毎日、一日おき、一週間に一度または二度、月に一度
と変化し得る。毎日複数回の投与もまた可能である。
治療の開始に当たっては、皮膚関連性バイスタンダー抗原をより頻繁に(例え
ば毎日または一日おきに)投与するのが好ましく、治療が進行するにつれてその
頻度を次第に減らしていくことができる(例えば一週間に一度または月に一度に)
。投与の最適条件の頻度の決定は、本記述に照らして当業者の範囲にあり、疾患
のひどさと同様に患者の年齢および体調に基づいて変化するであろう。それはこ
こに与えられている情報と当業者を用いて、病院に勤務している医師によって個
体レベルで最もよく決定される。治療の継続期間は数日間(例えば十日)から数週
間(例えば四週間)、数ヶ月(例えば六ヶ月)、無期限まで変化しうる。ヒトに対し
ては治療は好ましくは少なくとも三ヶ月続くと思われ、本治療の低い毒性のため
、利益が持続する限り継続し得る。
本発明で用いられる皮膚関連性バイスタンダー抗原は、経口消費に適した様々
な固体または液体で投与される。
本発明にしたがって皮膚関連性バイスタンダー抗原を含む各経口処方は、加え
て本分野でよく知られているような製薬学的に許容できるキャリアー、希釈液、
フィルター、可溶化剤及び乳化剤そして塩類を含む不溶性の成分を含む。例えば
錠剤は本分野でよく知られた固体のキャリアーを用いたありきたりの方法にした
がって処方されるであろう。本発明で用いられるカプセルは、ゼラチンまたはセ
ルロース誘導体のような製薬学的に許容できる物質から製造されるであろう。持
続放出経口デリバリーシステムおよび/または経口投与の投与形態のための腸溶
性コーティングもまた、1987年11月3日に査定された米国特許第4,704,295号;198
5年12月3日に査定された米国特許第4,556,552号;1982年1月5日に査定された米国
特許第4,309,404号;1982年1月5日に査定された米国特許第4,309,406号;米国特許
第5,296,236号;WO 85/02092;そしてEP 516/411に記述されたもののように考えら
れる。
固体のキャリアーの例としては、デンプン、糖、ベントナイト、シリカそして
他の一般に用いられるキャリアーが含まれる。本発明の処方に用いられるであろ
うキャリアーと希釈液の非限定的な例として、塩水、シロップ、ブドウ糖および
水が含まれる。液体処方としては好ましくは溶液である;もし皮膚関連性バイス
タンダーが水に不溶性であれば、本分野でよく知られているようにそれを可溶化
しおよび/またはpHを調節する;または抗原を部分的に加水分解するあるいは懸
濁液として投与する。
必要な効果的な量は、複数の投与ユニット(カプセルまたは錠剤またはそれら
の組み合わせのような)の投与によって達するので、活性成分または各投与形態
の個々の投与量に含まれている成分のユニット含有量が、それ自体効果的な量を
構成する必要はない。
一般的に経口投与されると、本発明のバイスタンダー抗原は単一の投与形態ま
たは複数の投与形態で投与されるであろう。
前述したように最適条件量と共に効果的な投与範囲を確定することは、この明
細書に与えられている情報に照らして当業者のよく知るところである。例えば哺
乳動物およびヒトへの投薬は始めは皮膚関連性バイスタンダー抗原の比較的低投
与量でなされ、段々にそれが増大していき(例えば対数的に)、治療に対する生物
学的反応を測定する。それは例えば、Chen,Y.等,Science,1994,上記参照に記述
されているような調節細胞(CD4+および/またはCD8+)の誘導、循環しているT細胞
上のクラスII表面マーカーの減少および/またはよく知られている方法にしたが
った疾患のひどさの評価による。
疾患のひどさは病院に勤務している医師による身体検査によって評価され得る
。非限定的な例は以下の通りである:
乾癬:斑の大きさと広さおよび関連するサーモンピンクの紅斑および銀白色の
大きさ;丘疹、膿庖および爪の変形。
白斑:色素脱失した斑または斑点の表面部分(大きさ)及び配色、色素減少した
病変、三色の斑または斑点;色素脱失した部分の過度に炎症を起こした境界、炎
症または発疹(それらはしばしば色素脱失に先行する)。
接触皮膚炎:供給元によって処方された方法にしたがって実施される診断法で
用いられる標準化したパッチテスト、皮膚バイオプシー、考えられるまたは既知
の誘発試薬の塗布およびブリックまたはスクラッチスキンテスト;赤み、疱疹、
ひび割れ、かさぶた、ミミズ腫れ、乾燥または発疹の出現;火照るようなかゆみ
またはヒリヒリ感(患者によって報告される)、皮膚反応または皮膚病変の減少に
より測定される改良。
円形脱毛症:脱毛前または毛の成長と同時の火照り、かゆみ、ヒリヒリ感;病
変の場所、数および表面面積;毛の顕微鏡検査;バイオプシー。
アトピー性皮膚炎:擦り傷、乾燥、魚鱗癬、手の平のシワの過多、毛孔性角化
症、紅斑、眼窩周囲の黒化、粃糠癪、白質のような特徴を持つ病変の広さとひど
さ。
最適条件投与量は、疾患の徴候に最大の減少を引き起こすような測定されてい
る生物学的現象に最大の影響を持つものであろう。効果的な投与量範囲は治療さ
れている疾患の特徴である少なくとも一つの徴候の、少なくとも統計的または臨
床的に重大な減退、またはマーカー(調節または活性化T細胞の頻度のような)の
重大な変化を引き起こすようなものであろう。
皮膚関連性バイスタンダー抗原の投与は、好ましくは一つまたはそれ以上の促
進剤、すなわちLPS、リピドA(米国特許出願出願番号08/202,677号に記述されて
いるような)、IL-4、IL-10またはI型インターフェロン(例えば米国特許出願出
願番号第08/420,980号と第08/420,979号を参照)のような、皮膚関連性バイスタ
ンダー抗原の免疫寛容化効果を促進する物質の経口投与と共になされ得る。先行
する文で用いられている「共になされる」なる語は、これらの抗原の投与の前、実
質的に同時または後を意味する。当然、共になされる物質の投与は、最初に投与
された物質の関連した効果が徐々に消え去る時間間隔ほど長く間を空けて抗原の
投与に先行するまたは続くべきではない。さらに促進剤は通常皮膚関連性バイス
タンダー抗原の約24時間前または後以内に投与されるべきであり、一時間以内が
好ましい。
本発明は主として、皮膚疾患に関連する炎症に対する免疫寛容の経口の誘発を
参考として上記記述してきた。「経口」投与は、経口の、腸溶性のまたは胃内の投
与を含む、すなわちそれは皮膚関連性バイスタンダー抗原を腸管関連リンパ組織
(GALT)と接触するように運ぶ投与を含む。
さらに免疫応答は、適当な抗原を粘膜関連リンパ組織(MALT)と接触するように
置くことによっても成し遂げられるという事実に基づいて、本発明における免疫
寛容を成し遂げる代わりの方法として、皮膚関連性バイスタンダー抗原を口内の
、鼻の、気管支のまたは肺の粘膜と接触させるように置くことによる投与(粘膜
投与と呼ばれ、吸入、口内のおよび鼻の投与を含む)がある。粘膜投与において
効果的であろう抗原の量は、経口投与で用いられるものより幾分か低いと考えら
れる、すなわちその範囲の半分より低いかおよび好ましくは上記与えられた範囲
の三分の一より低い。
粘膜投与に対して有用である処方は、粘膜を通過するポリペプチドの投与に適
したものを含む。例えば米国特許第4,226,848号および第4,690,683号は、鼻腔内
に医薬を投与するのに有用な重合剤のマトリックスを記述している。米国特許第
4,952,560号は水溶性タンパク質及び一価アルコールを含む軟膏の処方を開示し
ているが、それは上皮障壁を通過する薬剤の吸収を増大するので、本発明の投与
において施用に適しているといえよう。物質の経皮的な吸収を改良する方法は、
米国特許第4,272,516号に記述されている。これらの処方と本分野でよく知られ
ている他のもののそれぞれは、本発明で記述されているようなバイスタンダー抗
原の粘膜のデリバリーのために用いられよう。
付加的に適した処方は、商業的に入手可能な媒介物を含むが、その処方は吸収
を促進するような表面活性剤および他の皮膚浸透剤を含む必要はない。特に、米
国特許第5,407,911号は、高分子量ポリペプチドとして吸収を促進するようなア
キサシクロアルカン誘導体の施用を記述する。米国特許第5,397,771号は、粘膜
を通過する製薬学的合成物の投与法においてn-グリコフロールの施用を記述する
。加えて米国特許第4,548,922号は、吸収を増大するための水溶性両染性のステ
ロイドの施用を開示する。Morimoto等(Chem.Pharm.Bull.35(7):3041-3044)に記
述されているもののようなゲルベース合成物もまた本発明に適している。しかし
ながら、本発明のバイスタンダー抗原の粘膜投与の目的は、それらをリンパ組織
と関連する粘膜で免疫系と接触させることであり、これらの物質を血流中に運搬
することではないことに注意すべきである。従って上述の処方の吸収促進剤は減
少されるかまたは除去されるかもしれない。どのパラメーターを改めるべきかの
決定は、当業者の手の範囲にある。
エアゾール形態で吸入により投与する処方もまた、本発明において用いられる
施用として考えられる。エアゾール投与の処方についての一般的な手引きは、Ba
rr,Prac.Pharm.19(11):675-678に与えられている。さらに特徴的には、米国特許
第4.352,789号は、本発明に用いることができる細かく分割された固体物質の投
与のためのエアゾール処方を記述する。さらに米国特許第3,739,951号は、エア
ゾール形態での液体処方の投与法を開示する。バイスタンダー抗原のエアゾール
デリバリーは、共に係属している共同出願米国出願08/419,502に記述されている
。本分野でよく知られているこれらおよび他の粘膜投与法は、MALTに対する本発
明の液体合成物の投与として考えられる。吸入可能な合成物において皮膚関連性
バイスタンダー抗原は、懸濁液よりもむしろ溶液として投与されるのが好ましい
。従って、抗原は最初に可溶化されまたは加水分解されるであろうし、自然に生
じている抗原の断片が用いられ得る。
本発明の吸入可能な製薬学的処方は、エアゾールスプレーの形態、例えば1986
年11月25日に査定された米国特許第4,624,251号;1972年11月21日に査定された第
3,703,173号:1971年2月9日に査定された第3,561,444号および1971年1月13日に査
定された第4,635,627号:1985年10月22日に査定された第4,548,922号に記述され
ているもののような噴霧器で投与されてもよい(吸収促進剤の使用は本発明の実
施において必要ではないことに注意すべきである)。エアゾール物質は治療され
る被験者によって吸入される。本実施例において(および正確性の目的として)エ
アゾール試薬で治療される動物は、囲まれた(機密の)おりの中にいたままであり
、その中でエアゾールが実施された。それゆえ、空間ユニット当たりの物質の量
が測定され、およびその結果はおりの空間の体積当たりのエアゾール物質のユニ
ットの点から量を測れる。
加圧された計量しながら供給された投与量吸入器(MDI)、およびNewman,S.P.in
Aerosols and the Lung,Clarke,S.W.とDavia,D.編pp.197-224,Butterworths,Lo
ndon,イギリス、1984;またはLaube,B.L.JAMA,1993,269:2106-9に開示されている
ようなドライパウダー吸入器のようなエアゾールデリバリーの他のシステムも、
もしエアゾール化抗原の量がここに記述されているように調節できるのであれば
、本発明を実施する場合に用いられうる。
ここで開示されているようなタイプのエアゾールデリバリーシステムは、Fiso
ns Corporation(Bedford,MA),Schering Corp.(Kenilworth,NJ)およびAmerican P
harmoseal Co.,(Valencia,CA)を含むたくさんの商業的な供給元から入手可能で
あ
る。
ここに引用されれた全ての文書は、全体として参考として取り込まれる。矛盾
する場合には定義も含めて本明細書が優先する。
本発明は以下の実施例によってさらに説明され、以下の実施例は本発明の範囲
を限定するものではない。
実験
動物:6から8週齢のSJL X PLJ(F1)マウス(メス)をグループに分割し(グループ
当たり5匹)、以下に記述するような様々な抗原(またはPBS)を一日おきに五回与
えた;最後に与えてから二日後、100μg結核菌を含むCFA内の100μg抗原を用い
てマウスを脇腹の皮下注射により免疫化した;十日目に免疫化の脇腹に相当する
肉趾ヘの同じ抗原を用いた皮下注射によりマウスをチャレンジした;チャレンジ
の前後とチャレンジの24または48時間後の肉踵の厚さ(mm)の差異として遅延型過
敏症を測定した。
In vitroT細胞刺激:前パラグラフに記述されているように与えられ及び免疫
化されたマウスを免疫化後14日に犠牲にし、リンパ節を取り出した;in vitroで
抗原を用いて72時間細胞を刺激し、5×105細胞当たり1μCiのトリチウム化した
チミジンを用いてパルスし、16時間インキュベートした。それから細胞を集め、
非刺激化コントロールと比較して分当たりのカウントとしてチミジンの取り込み
を評価した。
サイトカイン生産:原始T細胞カルチャーを抗原を用いて刺激した;40または7
2時間後上清を取り出し、IL-4,IL-10,IL-2およびIFN-γ(40時間上清)そしてTGF-
β(72時間上清)をELISAによって評価した;(IL-2,IL-4,IL-10およびIFN-γに対
する)適当な抗体はPharmingen,San Diego,CAから商業的に入手可能なものを使い
、(TGF-βに対する)適当な抗体はCeltrix Pharmaceuticals,Santa Clara,CAおよ
びR&D,Minneapolis,MNから商業的に入手可能なものを用いた。
実施例1:遅延型過敏症反応は、皮膚炎症誘発剤に関わらず皮膚関連バイスタン
ダ
ー抗原を与えることにより抑制される。
マウスの3つのグループに以下のように与えた:グループ1:リン酸緩衝生理食
塩水(PBS);グループ2:鶏卵リゾチームをマウス当たり30μg与えた(HEL;非皮膚
関連性抗原として用いた);グループ3:トランスグルタミナーゼ5をマウス当た
り30μg与えた(Zymogenetics,Palo Alto,CAから得た因子XIII)をそれぞれ上述し
たスケジュールにしたがった。右脇腹にCFA内の100μgの因子XIIIおよび左脇腹
に100μgのHELを用いて全てのグループを免疫化し、続いて相当する肉趾に50μg
の同じ抗原を用いてチャレンジした。その結果(mmのΔ厚さ)が左肉趾として図1
に示されている。
HELチャレンジされた(左)肉趾(図1)に関しては、グループ1(PBSを与えられた)
はネガティブコントロールである;グループ2(HELを与えられた)はポシティブコ
ントロールである(なぜならそれは過敏症を引き起こすのに用いられるのと同じ
抗原(HEL)を与えられたからであり、その抗原は皮膚関連性バイスタンダー抗原
ではない);グループ3は、皮膚と人為的(すなわち皮下注射のため実験的な環境
において)にのみ関連し、通常皮膚では生じないもう一つの抗原(HEL)によって誘
発された炎症(過敏症)を抑制するように向けられた皮膚関連性バイスタンダー抗
原を与えられたため、実験グループであった。
図1の結果は因子XIIIを与えられるとHELを与えられたのと同じくらいHELによ
って誘発された炎症を抑制したことを示す。それゆえ皮膚関連性バイスタンダー
抗原、すなわち悩まされている組織に集中されるが炎症過程には原因となった含
まれない抗原を与えることは、抑制を引き起こす。これは本発明の実施可能性の
原理の証明を構成する。
実施例2:与えられた皮膚関連性バイスタンダー抗原の投与反応
実施例1に記述したように、マウスに3,30または300μgまたは1mgの因子XIIIを
与え、免疫化しそしてHELを用いてチャレンジするという同様の実験を実施した
。30μgの因子XIIIの投与量により最強の抑制が生じ、これが該抗原とこれらの
動物にとって好ましい投与量である(データは示していない)。
実施例3:皮膚関連性バイスタンダー抗原を与えられた動物のサイトカインプロ
フ
ィールの測定
30μgの因子XIIIを与えられた動物のT細胞のサイトカインプロフィールで、DT
H応答を上述のようにHELを用いて誘導したものは、以下のようなものであった(P
BSを与えられた動物のものと比較して)。
各グループにおいて測定可能なIL-4またはIFN-γ生産はなかった。
その結果は、与えられた抗原による刺激に対して、因子XIIIを与えられた動物
のT細胞は、Th1様サイトカインプロフィール(IL-2の優勢な生産)からTh2様プロ
フィール(TGF-βおよびIL-10の優勢な生産)に変化したことを示し、そのことか
らTh1反応(実質的に炎症に対する反応性)が抑制されたことを意味する。
皮膚関連性バイスタンダー抗原を用いて治療されたヒトの実施例
実施例A:乾癬をもつと診断され、他のいかなる治療も受けていない三人の患者
に、5mgの因子XIII(患者A1);1mgのI型コラーゲン(患者A2);5mgのケラチン5(患
者A3)を経口で投与する。
皮膚関連性バイスタンダー抗原は好ましくは水性の懸濁液または溶液で投与さ
れる。I型コラーゲンは既知の方法で可溶化し0.1M酢酸に溶かす。因子XIII(よ
く知られているように凍結乾燥されている)は水溶性である。ケラチン5は水に不
溶性だが、既知の方法にしたがって微粉にし、水性懸濁液として投与され、また
は部分的に加水分解される。
投与の頻度は一ヶ月間は毎日であり、それから患者の治療に対する反応に応じ
て投与を継続する、またはその頻度を投与の継続期間(三ヶ月かそれ以上続くと
予想される)の間一週間に一度そして一ヶ月に一度と段々に減らす。有効性の評
価は身体検査によってなされる。各患者は皮膚の徴候(類)の実質的な減少を経験
するであろう。
実施例B:アトピー性皮膚炎と診断され、他のいかなる治療も受けていない三人
の
患者に、実施例Aのように処方された5mgの因子XIII(患者B1);1mgのI型コラーゲ
ン(患者B2);5mgのケラチン5(患者B3)を経口で投与する。
投与の頻度は一ヶ月間は毎日であり、それから少なくとも一ヶ月以上の間は一
週間に一度に減らす。有効性の評価は身体検査によってなされる。各患者は病変
の数とひどさにおいて有意な減少を経験するであろう。
実施例C:白斑をもつと診断され、他のいかなる治療も受けていない三人の患者
に、実施例Aのように処方された5mgの因子XIII(患者C1);1mgのI型コラーゲン(
患者C2);5mgのケラチン5(患者C3)を経口で投与する。
投与の頻度は1-3ヶ月間は毎日であり、それから1-3ヶ月間一週間に二度に減ら
し、治療の残りの期間は一ヶ月に一度投与される。有効性の評価は身体検査によ
ってなされる。各患者は色素脱失の範囲および/または強度において、そして上
述したような他の白斑関連性徴候において測定可能な減少を経験するであろう。
本発明は好ましい実施態様を参考として上記記述されている。しかしながらな
されうるであろういかなる修飾も、以下の請求の範囲内にあると予想されるであ
ろう。
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フロントページの続き
(72)発明者 チェン,ヨウハイ
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
01760 ナディック モウヘーガン トレ
イル 14