JPH11508231A - 安定な脂質/核酸複合体を含む送達ビヒクル - Google Patents
安定な脂質/核酸複合体を含む送達ビヒクルInfo
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Abstract
(57)【要約】
安定なポリヌクレオチド送達ビヒクル(SPDV)が記載され、これはSPDVの構造成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を組み込む。本発明のSPDVは、合成の生分解性の両親媒性脂質、および適切な標的化剤を必用に応じて組み込み得る。
Description
【発明の詳細な説明】
安定な脂質/核酸複合体を含む送達ビヒクル
関連出願
本出願は、1995年5月26日に出願された米国特許出願番号第08/450,142号の一
部継続出願である。
1.0.序論
本発明は生化学の分野である。特に、ポリヌクレオチドまたは他の生物活性物
質を細胞に効率的に送達する新規の組成物が報告される。
2.0.背景
本発明は、新規のポリヌクレオチド送達ビヒクル、およびそれを製造するため
の新規の方法に関する。
分子生物学の分野が成熟するにつれて、研究者らがポリヌクレオチドを操作す
ることを可能にする、広範な種々の方法および技法が開発されてきた。ポリヌク
レオチドは、代表的には、細胞内で特定の機能を行う目的で操作される。不運に
も、ポリヌクレオチドポリマーは、(リン酸骨格のために)高度に荷電した分子
であり、そして細胞膜を容易に透過しない。このように、遺伝子工学で得られる
進歩とともに、研究者らが遺伝子操作された物質を細胞中に導入し得る方法にお
ける進歩もまた、得られている。
遺伝子操作されたポリヌクレオチドを細胞に送達するために開発された方法の
1つは、リポソームの使用を包含する。リポソームのリン脂質二重層は、代表的
には、細胞膜の成分と類似の物質から製造される。したがって、リポソームと(
外部または内部のいずれかで)会合したポリヌクレオチドは、リポソームの包膜
が細胞膜と融合するとき、細胞に送達され得る。より代表的には、リポソームは
細胞中にエンドサイトーシスされる。インターナリゼーションの後、エンドサイ
トーシス小胞の内部pHは実質的に低下し得、そして/または小胞はリソソーム
を含む他の細胞内小胞と融合し得る。小胞融合のプロセス中またはその後、エン
ドソームの内部含有物は細胞中に放出され得る。
リポソームは、ポリヌクレオチド送達ビヒクルとしてリポソームの比較的少な
い内部容量により限定される。したがって、リポソーム処方物内に高濃度のポリ
ヌクレオチドを効果的に捕らえることは困難である。
研究者らは、リポソーム処方物に正の電荷を有する両親媒性の脂質部分を添加
するか、または使用することによって、上記の無効果を補うことを試みた。原則
的には、両親媒性脂質の正の電荷を有する基は、負の電荷を有するポリヌクレオ
チドとイオン対を形成し、そしてポリヌクレオチドと脂質粒子との間の会合の程
度を増加させ、これはおそらく細胞膜への核酸の結合を促進する。例えば、いく
つかのカチオン性脂質産物が現在入手可能であり、核酸の細胞中への導入に有用
である。特に重要なものは、LIPOFECTINTM(DOTMA)、これはジアシルグリセロ
ールに付着した1価カチオン性コリン頭部基からなる(一般的に、Epsteinらの
米国特許第5,208,036号を参照のこと);TRANSFECTAMTM(DOGS)、リポスペルミ
ン頭部基を有する合成カチオン性脂質(Promega、Madison、Wisconsin);DMRIE
およびDMRIE・HP(Vical、La Jolla、CA);DOTAPTM(Boehringer Mannheim、Ind
ianapolis、Indiana)、ならびにLipofectamine(DOSPA)(Life Technology, I
nc.、Gaithersburg、Maryland)である。
適切に用いられると、上記の化合物は、インビトロで培養された細胞への核酸
の透過性を増強する。したがって、リポフェクションのプロセスは細胞生物学の
重要な手段になっている。代表的には、カチオン性脂質を含む処方物は送達され
るポリヌクレオチドと内部混合され、次いで標的細胞に適用される。リポフェク
ション効率が2、3時間後に著しく低下するので、カチオン性脂質−ポリヌクレ
オチド複合体は、一般的に、混合後比較的すぐに使用されなければならない。こ
の観察から、少なくともリポフェクション効率に関して、カチオン性脂質−ポリ
ヌクレオチド複合体はむしろ不安定であると推測し得る。
研究の展望から、上記の複合体はかなり調製し易い。したがって、調製された
複合体の比較的短い活性寿命は、インビトロ適用が関係する場合問題ではない。
しかし、カチオン性脂質を含むポリヌクレオチド送達ビヒクルの医学的使用また
はインビボ使用が意図される場合、所定の臨床医が、必然的に、活性処方物を確
実に調製し、続いて最適活性のかなり狭い領域(window)内でその処方物を使用し
得ることを想定し得ない。したがって、特に臨床的使用が意図される場合、より
安定なポリヌクレオチド送達システムが好ましい。
現在入手可能な化合物の別の欠点は、それぞれの脂質およびカチオン性成分が
生分解性化学結合によって連結されないことである。このように、標的細胞が合
成脂質を代謝し得ないので、現在入手可能な合成カチオン性脂質のほとんどはか
なり毒性である。
所定のレベルの細胞毒性は有害であり得るが、ポリヌクレオチドを送達するた
めのカチオン性脂質のインビトロ使用または研究の使用が意図される場合は受容
可能であり得る;しかし、このような毒性は、一般的に、カチオン性脂質のイン
ビボ使用が意図される場合は受容可能ではない。したがって、必須ではないが、
インビボでの使用のためのカチオン性脂質−ポリヌクレオチド送達ビヒクルの調
製について、生体適合性、生分解性、または代謝可能な成分を含むカチオン性脂
質が好ましい。あるいは、実質的に低減された毒性のカチオン性脂質−ポリヌク
レオチド送達ビヒクルが用いられ得る。
最後に、細胞をトランスフェクトするために合成カチオン性脂質を使用するた
めの現在利用可能な方法はすべて、比較的低濃度の血清によって迅速に不活性化
される脂質/DNA複合体を生成する。血清感受性は、無血清培地中でトランスフ
ェクション手順の開始部分を行うことによって、インビトロ適用において容易に
回避され得る。しかし、血清感受性は、インビボでのカチオン性脂質媒介DNA送
達の広範な使用に対する、主な障害のままである。
3.0 発明の要旨
本発明は、形成/合成後少なくとも48時間、トランスフェクション効率を保持
する、新規の安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを意図する。
したがって、本発明はまた、安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを製造する
方法を主張し、この方法は、界面活性剤の存在下で送達されるポリヌクレオチド
を両親媒性のカチオン性脂質結合体と接触させる工程;およびこの界面活性剤を
除去する工程であって、これによって実質的にサイズ安定なポリヌクレオチド送
達ビヒクルが形成され、この送達ビヒクルはまた、トランスフェクション効率に
関して実質的に安定である工程を包含する。
本発明の別の実施態様は、核酸が界面活性剤の添加前にまたは同時にカチオン
と複合され、そしてこの界面活性剤がカチオンの除去前に除去される、追加の特
徴を有する、上記のように生成された安定な複合体である。
本発明の別の局面は、安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを製造するための
プロセスであって、このプロセスは、界面活性剤の存在下でポリヌクレオチドを
カチオン性脂質と接触させる工程、このポリヌクレオチドをこのカチオン性脂質
に複合体化させるためにこの界面活性剤を除去する工程、および得られる送達ビ
ヒクルを単離する工程を包含する。
単離された送達ビヒクルは、最初に形成された容量よりも少ない容量に再懸濁
され得る。その結果、送達ビヒクルを含む濃縮された組成物が形成される。した
がって、本発明の別の局面は、一般的に、少なくとも約0.5mg/ml、および好まし
くは少なくとも約1.0mg/mlのDNA濃度を含む安定なポリヌクレオチド送達ビヒク
ルである。
安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルの単離の間、得られる組成物の毒性は劇
的に低減され得る。したがって、本発明のさらに別の実施態様は、実質的に低減
された毒性の安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルである。
本発明はさらに、非カチオン性脂質または他の脂質部分とさらに複合体化され
る両親媒性のカチオン性脂質結合体を含む、安定なポリヌクレオチド送達ビヒク
ルを意図する。
本発明のさらなる実施態様は、生体適合性カチオン性脂質結合体を含む安定な
ポリヌクレオチド送達ビヒクル、およびその生成および使用方法である。
このように、本発明はまた、生分解性脂質部分を含む生体適合性の両親媒性の
カチオン性脂質結合体を意図し、この生分解性脂質部分は、これもまた生体適合
性であるpH感受性化学結合による生体適合性カチオン性または多価カチオン性部
分に共有結合される。
したがって、本発明のさらなる実施態様は、以下の一般式を有する生体適合性
の両親媒性のカチオン性脂質結合体を包含する:
R1−X−R2
ここで、R1は、生分解性脂質部分であり;R2は、生体適合性のカチオン性部分
または多価カチオン性部分であり;そしてXは、生体適合性の生分解性共有結合
リンカーまたは他の不安定な共有結合リンカーである。
本発明で意図されるポリヌクレオチド送達ビヒクルの安定性のため、標的化基
はさらにビヒクル中に組み込まれ得、これによって送達されるポリヌクレオチド
は、特定の細胞型および/または細胞の場所(例えば、核)に標的化され得る。
本発明の別の実施態様は、目的の1つまたは複数のポリヌクレオチドを細胞に
送達するための、上記の安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルの使用を意図する
。関連の局面では、安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルは、個体に治療的利益
を提供するために使用され得る。
本発明のさらに他の局面は、安定な複合体を結合し得る特性を有する標的化剤
と複合体とを会合させることによって、特定の細胞および組織に安定な複合体(
または送達ビヒクル)を標的化する方法である。
4.0 図面の説明
図1aおよび1b。本発明の新規の代謝可能な/生分解性のカチオン性脂質のいく
つかの例を示す。詳細には、ヘキサミン、スペルミン、スペルミジン、ペンタエ
チレンヘキサミン(PEHA)に(ホスホジエステル結合によって)結合したN-グル
タリル-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン;(ホスホジエステル結
合によって)ペンタエチレンヘキサミンに結合したN-スクシニル-ジオレオイル
ホスファチジルエタノールアミン;(エステル結合によって)ペンタエチレンヘ
キサミンに結合した1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-スクシネート(DOSG)の例
である。
図2。pH不安定リンカー分子を組み込む、本発明によって意図される新規の生
分解性のカチオン性脂質の例を示す。この分子を合成するための反応スキームも
提供される。
図3。本発明で利用可能ないくつかのカチオン性脂質のカチオン性基が、どの
ように、およびどこでアシル鎖に付着されるかを示す。詳細には、1価カチオン
性合成脂質DOTMA、DMRIE、DORIE、およびDMRIE・HP;ならびに多価カチオン性合
成脂質DOGS(TransfectamTM)およびDOSPA(Lipofectamine)が示される。
図4。いくつかの異なる時点での一過性のリポソーム−DNA複合体のサイズ分
布における変化を示す。
図5。いくつかの異なる時点での安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルのサイ
ズ分布における変化を示す。
図6。脂質/DNAリン酸比および複合体/ビヒクルを形成するために使用され
る投入DNA量の関数としての、一過性のリポソーム−DNA複合体、および安定なポ
リヌクレオチド送達ビヒクルの(β-ガラクトシダーゼ活性によって測定される
)相対的なトランスフェクション効率を示す。
図7。複合体/ビヒクルを形成するために使用される投入DNA量の関数として
の、一過性のリポソーム−DNA複合体、および安定なポリヌクレオチド送達ビヒ
クルの(β-ガラクトシダーゼ活性によって測定される)相対的なトランスフェ
クション効率のより識別力のある分析を示す。
図8。図8(a)は、保存時間の関数として、一過性のリポソーム−DNA複合体、
および安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルの(トランスフェクション効率/β
-ガラクトシダーゼ活性の低下により測定される)相対的な安定性を示す。図8(
b)は、種々の保存条件下での安定な複合体および一過性の複合体の相対的な安定
性を示す。安定なカチオン性脂質/DNA複合体を、5%デキストロースとともに
−20℃で(黒四角)、デキストロースなしで−20℃で(白四角)、4℃で(白丸
)、室温で(黒三角)、および37℃で(白三角)保存した。一過性の複合体を4
℃で(黒丸)保存した。
図9。血清濃度の割合の関数として、一過性のリポソーム−DNA複合体、およ
び安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルの(トランスフェクション効率/β-ガ
ラクトシダーゼ活性の低下により測定される)相対的な安定性を示す。
図10。複合体化していない脂質から分離後の安定なカチオン性脂質/DNA複
合体の遺伝子導入活性を示す。安定なカチオン性脂質/DNA複合体を、3.3:1、6.
6:1、および16.5:1のDOSPA/DNAリン酸比で調製した。懸濁液を遠心分離し、そし
てペレット(無地の黒のボックス)、上清(白ボックス)、および元の遠心分離
していない懸濁液(斜線のボックス)を、遺伝子導入活性についてアッセイした
。元の懸濁液からの約0.2μg DNAを、105NIH 3T3細胞に添加した。遠心分離前の
元の懸濁液の等容量を提供することに基づいて、ペレットおよび上清の対応する
量を、細胞に添加した。
図11。β-gal活性および総細胞タンパク質の両方の関数として、細胞をトラ
ンスフェクトするために使用されるDNA用量のグラフである。
図12。いくつかの異なるスペルミン/DNAリン酸比で、および脂質と会合し
たリガンド/総脂質のいくつかの異なるモルパーセントで、一過性のまたは安定
な脂質/DNA複合体のいずれかに組み込まれた、RGDペプチドと会合した脂質を使
用する標的化研究において得られる発現の比較レベルを示す。
図13。カチオンの存在下で生成された安定な合成DNA送達ビヒクルを使用す
るインビボ遺伝子導入および生体分布におけるDOSPA/DNAリン酸比の効果を示す
(MnSV101)。
図14。1:1のDOSPA/DNAヌクレオチド比での(アルカリホスファターゼ活性に
より測定される)MnSV101の生体分布についての用量応答曲線を示す。
図15。1/1のDOSPA/DNAヌクレオチド比で調製されたMnSV101によるインビボ
遺伝子導入および発現についての時間経過を示す。各組織についてのアルカリホ
スファターゼ発現を免疫捕獲により所定の日にアッセイした。
図16。遺伝子導入の生体分布および効率に関して、MnSV101と(Mnの代わり
にカチオンNaの存在下で形成された)NaSV101との間の比較を示す。DOSPA/DNAヌ
クレオチド比を1/1に保ち、注入容量は0.25mlであり、そして使用したDNA用量は
80ugであった。各組織についてのアルカリホスファターゼ発現を免疫捕獲によっ
てアッセイした。MnSV101およびNaSV101を、第2の透析工程でデキストロースに
対して、または注入の前に生理食塩水(0.15M NaCl)に対してのいずれかで透析
した。
5.0 発明の詳細な説明
本発明の生分解性の両親媒性のカチオン性脂質は、目的の1つまたは複数のポ
リヌクレオチドと接触(イオン対形成)され得、その結果、カチオン性脂質の正
電荷が負の電荷を有するポリヌクレオチドと静電的に相互作用する。カチオン部
分とポリヌクレオチドとの間の静電的相互作用は、ポリヌクレオチド中の電荷の
反発をおそらく低下させ、そしてポリヌクレオチドを(ゲルシフトアッセイで見
られるような)より小型の配置中に凝縮させる。
凝縮されたカチオン性脂質/ポリヌクレオチド複合体は、続いてポリヌクレオ
チド送達ビヒクルのアセンブリのための骨格または核として作用する。構造の必
須部分として凝縮されたポリヌクレオチドを物理的に組み込むことによって、本
明細書に記載されるポリヌクレオチド送達ビヒクルは、代表的には先の処方物/
方法を使用して得られたものと比較してより有意な割合のポリヌクレオチドを安
定に含み得る。例えば、本明細書に開示された方法を使用して、少なくとも約80
パーセントの投入ポリヌクレオチドは、複合体形成後48時間に測定した場合、別
々のサイズ範囲の送達ビヒクルと安定に会合したままである。
好ましくは、本発明の生分解性の両親媒性のカチオン性脂質結合体は、生分解
性成分を含む。このように、脂質部分は、脂質が生分解性または生体適合性であ
る限り、約3から約26の間の、そして好ましくは約12から約24の間の炭素原子、
コレステロール、ならびにその誘導体および改変体を含む炭化水素鎖を一般的に
有する多くの脂肪酸鎖(飽和またはシス/トランス不飽和)のいずれかを含み得
る。
本発明のカチオン性成分は、1価、2価、または好ましくは多価(すなわち、
多価カチオン性)であり得る。カチオン性部分は、好ましくは生体適合性であり
、そして中性pHまたはその付近のpHで正電荷を保持する種々の化学基のいずれか
を含み得、これらには、アミノ基、アミド基、アミジン基、正の電荷を有するア
ミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、およびヒスチジン)、スペルミン、スペ
ルミジン、イミダゾール基、グアニジニウム基、またはそれらの誘導体を含むが
、これらに限定されない。
カチオン性成分は、一般的に、所定の適用のために最適化したカチオン/リン
酸比でポリヌクレオチドと組み合わせられる。通常、カチオン/リン酸比は、約
1と約20との間、しばしば約5と約17との間、および好ましくは約6と約15との
間である。従って、電荷比は、カチオン上に含まれる正の電荷を有する基の数、
およびポリヌクレオチドのサイズに依存して変化する。
代表的には、本発明の生分解性の両親媒性のカチオン性脂質結合体のカチオン
性成分および脂質成分は以下に記載され、または以下を含むがこれらに限定され
ない種々の供給源のいずれかから得られ得る:Merck Indexの1995版、Budavari
ら編、Merck and Company,Inc.、Rahway、N.J.、1995 SIGMA chemical company
catalogue、St.Louis、MO.、1995 Aldrich Biochemicals Catalogue、または1
995 Ofatlz and Bauer catalogue。
カチオン性基は、好ましくはエステル結合またはホスホジエステル結合により
脂質成分に付着され得、これはリパーゼまたはホスホリパーゼなどのような天然
の酵素の作用によりカチオン性基から脂肪酸を分離可能にする(図1を参照のこ
と)。このような結合は、おそらく現在利用可能なカチオン性脂質と関連する細
胞傷害性に寄与しているエーテル結合を使用して脂質に付着する、現在利用可能
な合成カチオン性脂質の改良を示す。
例えば、図1は、グルタリルリンカーを使用してジオレオイルホスファチジル
エタノールアミン(DOPE)に共有結合したポリアミンの化学構造を示す。DOPEは
、ホスホリパーゼA1、A2、C、およびDによって分解され得る。これはアシル
鎖を付着するためにエーテル結合を使用する、現存する合成カチオン性脂質の利
点を提供する。エーテル結合はホスホリパーゼによって分解され得ず、従ってエ
ーテル結合したアシル基は細胞膜に蓄積する。
DOSPA(リポフェクタミン(Life Technology Inc.,Gaithersburg,MD)中の
カチオン性脂質)、およびDOGS(トランスフェクタム(Promega)のカチオン性
脂質)は、ジアシルエーテル結合したグリセロールに付着したスペルミンを含む
。DOSPAおよびDOGSは、ペプチド結合を含むので理論的には生分解性である;し
かし、この概念を支持する文献には確証的なデータは存在していない。さらに、
限定された加水分解が起こった場合でさえ、得られる分解産物はなお、エーテル
結合したジアシルグリセロールである。
本明細書に開示される生分解性の両親媒性脂質の他の利点は、ポリアミンを脂
質に付着させる方法である。DOSPAおよびDOGSのジアシルエーテル結合したグリ
セロールは、スペルミンの中央に付着する。新しい分子はアミド結合により分子
の末端で付着する。図3は、現在入手可能な1価カチオンおよび4価カチオンの
脂質の多くについての一般式を示す。
特に好ましい実施態様では、本発明の生分解性の両親媒性のカチオン性脂質結
合体の、カチオン性部分および脂質部分は、不安定な(例えば、生分解性または
pH不安定)リンカー基により共有結合される。不安定なリンカーは、細胞の内在
化および/またはエンドソーム融合後に脂質部分およびカチオン部分を解離する
カチオン性脂質を含むポリヌクレオチド送達ビヒクルの製造を可能にする。
脂質産物がエンドソーム膜を脱安定化または破壊し得、カチオン/ヌクレオチ
ド複合体の細胞質中への放出を容易にするために、脂質アナログは操作され得る
。脂質加水分解産物は、ジアシルグリセロール、lys-ホスホリル、またはホスフ
ァチジルエタノールアミン、モノアシルグリセロール、トリグリセリドなどであ
り得る。
本発明の1つの実施態様は、pH不安定リンカー分子である。この結合は、アミ
ノ基との反応の際に酸不安定結合を形成する無水2-メチルマレイン酸に基づく。
このように、上記のように改変されたpH不安定結合は、本発明のpH感受性/不安
定性共有結合リンカー部分(エステル結合も含み得る)の実際の例示として用い
られる。
本発明の目的のために、用語「両親媒性」とは、少なくとも1つの実質的に極
性(すなわち、水性溶媒で自由に混和可能)な領域、および少なくとも1つの実
質的に非極性(すなわち、有機溶媒に自由に混和可能)な領域を含む、分子また
は化合物をいう。用語「生分解性のカチオン性脂質」とは、細胞中に入る際に、
カチオン性脂質が、両親媒性分子からその別々の親水性成分および疎水性成分(
およびその代謝副産物)に変換されること、あるいはさもなければ細胞の異化代
謝プロセスまたは代謝プロセスに関与し得ることをいう。用語「生体適合性」と
は、化合物が意図された用量で顕著な毒性または有害な免疫学的効果を示さない
ことを意味する。用語「pH感受性」とは、分子中の少なくとも1つの共有結合が
、エンドソーム融合後に生じるpHに一般的に接近するpHの変化によって破壊され
得ることを意味する。用語「実質的に毒性」とは、治療的用量で、所定の薬剤
が、結局、薬剤の意図した治療的利益を明らかに越える有害な結果を生じること
を意味する。
スペルミンまたは他のカチオンを脂質に生分解的に結合する他の方法は、リソ
ソームプロテアーゼ(チオプロテアーゼまたはカテプシンを含むがこれらに限定
されない)によってタンパク質分解切断を受けやすいジペプチドリンカーを使用
することを包含する。
本発明の他の実施態様は、種々の保存および使用条件下で、上記の生分解性の
両親媒性のカチオン性脂質結合体、または現在入手可能なカチオン性脂質結合体
(例えば、リポフェクチン、リポフェクタミンなど)を使用して、(サイズおよ
びトランスフェクション効率を維持することによって)安定なままであるポリヌ
クレオチド送達ビヒクルをアセンブリする、新規な方法である。
上記および下記の安定な合成ポリヌクレオチド送達ビヒクル(SPDV)は、SPDV
の構造成分として送達されるポリヌクレオチドを物理的に組み込む。このように
、ポリヌクレオチドの構造はSPDVの構造的特徴に寄与する。代表的には、ポリヌ
クレオチドがプラスミドの形態である場合、DNAは一般的に超らせん形成した環
または弛緩した環のいずれか、あるいはその混合物を含む。特定の形態が所定の
適用に好適であり得る程度まで、DNAジャイレース、リガーゼ、およびトポイソ
メラーゼのような酵素は必要と考えられるようにプラスミドの構造を変化するた
めに使用され得る。直線状ポリヌクレオチドが好ましく、プラスミドは直線状に
され得、そして必要に応じて複合体形成の前にコンカテマー化(concatamerized
)される。
一本鎖および二本鎖ポリヌクレオチドはまた、ウイルスタンパク質、一本鎖結
合タンパク質、ヒストンタンパク質などのような適切なポリヌクレオチド結合タ
ンパク質の添加による脂質複合体形成の前に、「予めパッケージされ」得る。
本発明の送達ビヒクルを使用して送達され得る目的のポリヌクレオチドには、
DNA、RNA、原核生物および真核生物ウイルス粒子に随伴するポリヌクレオチド(
例えば、レトロウイルスコア粒子、バクテリオファージ粒子、アデノウイルス粒
子、アデノ随伴ウイルスコア粒子など)、タンパク質/DNA複合体、すなわち、
遺伝子導入および発現などを容易にするための組込み、エンドソーム破壊のため
のタンパク質;RNA/DNA複合体、ならびに上記の任意およびすべての誘導体およ
び改変体が挙げられるが、これらに限定されない。DNA分子が送達されるべき場
合には、代表的には、これは目的の遺伝子またはその一部を含み、目的のDNAの
発現を最適にするために空間的に編成される調節配列に隣接する。
好ましくは、本明細書に記載されるSPDVを使用して送達されるべきポリヌクレ
オチドは、実質的に純粋である(すなわち、混入しているタンパク質、脂質、多
糖類、および核酸を実質的に含まない)。例えば、プラスミドDNAが使用される
場合、調製物は、一般的に、フェノール、またはフェノール:クロロホルム、抽
出、および同密度遠心分離(CsClなどを使用して)を含むプロセス、またはその
機能等価物によって調製される。好ましくは、DNA調製物はまた、RNaseで処理さ
れ、そして複数回の抽出および少なくとも2回の超遠心分離にかける。代表的に
は、実質的に純粋な核酸の調製物は、全核酸の少なくとも約80パーセント、一般
的には少なくとも約90パーセント、および好ましくは少なくとも約95パーセント
が所望の核酸から構成される調製物である。
特に、目的の遺伝子は、広範な発現ベクターに挿入され得、続いて本明細書に
開示した方法を使用して送達され得る。本明細書に開示した方法および組成物を
使用して送達され得る適切なベクターには、単純ヘルペスウイルスベクター、ア
デノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター
、仮性狂犬病ウイルス、α-ヘルペスウイルスベクターなどが挙げられるが、こ
れらに限定されない。ウイルスベクター、特に非複製細胞を改変するために適切
なウイルスベクターの詳細な総説、および目的のポリヌクレオチドの発現に関連
してこのようなベクターを使用する方法は、Viral Vectors: Gene Therapy and Neuroscience Applications
CaplittおよびLoewy編、Academic Press、San Dieg
o(1995)の本に見いだされ得る。本発明の方法および組成物が、目的の核酸をコ
ードするかまたは含む、ベクター核酸、または適応可能である場合は、ウイルス
またはサブウイルス粒子を直接送達するために使用され得ることが意図される。
本明細書で用いられる場合、用語「発現」とは、目的のDNAの転写、ならびに
対応するmRNA転写物のスプライシング、プロセシング、安定化、および必要に応
じて、翻訳をいう。送達されるDNA分子の構造に依存して、発現は一過性または
連続的であり得る。
多くの転写プロモーターおよびエンハンサーは、目的のDNAで使用され得、こ
れらには単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、サイトメガロウイルスプ
ロモーター/エンハンサー、SV40プロモーター、およびレトロウイルス末端反復
配列(LTR)プロモーター/エンハンサーなど、ならびにそれらの任意の置換お
よび改変体が挙げられるがこれらに限定されず、十分確立された分子生物学技法
を使用して産生され得る(一般的に、Sambrookら、(1989)Molecular Cloning
I-III巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New Yo
rk、ならびにCurrent Protocols in Molecular Biology(1989)John Wiley & S
ons、全巻およびその定期的最新巻を参照のこと、これらは参考として本明細書
中に援用される)。プロモーター/エンハンサー領域はまた、組織特異的発現を
提供するために選択され得る。
特定の目的のDNAには、以下をコードする配列が挙げられるが、これらに限定
されない:種々のタンパク質、サイトカインおよび成長因子(例えば、G-CSF、G
M-CSF、神経成長因子(NGF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、脳由来神経栄養因子(B
DNF)、インターロイキン1〜2および4〜14、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、αま
たはγインターフェロン、エリスロポイエチンなど)、嚢胞性線維症膜貫通型調
節タンパク質(CFTR)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、D-アミノ酸デカルボキシ
ラーゼ、GTPシクロヒドロラーゼ、レプチン、レプチンレセプター、第VIII因子
および第IX因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)。
さらに、アンチセンス、抗原、またはアプトメリックオリゴヌクレオチドは、
本明細書に記載されたSPDVを使用して送達され得る。リボザイム、RNA-DNAハイ
ブリッド、ポリヌクレオチドペプチド結合したオリゴ(PNA)、環状または直線状R
NA、環状一本鎖DNA。
目的のRNAには、自己複製RNA、細胞質内で直接翻訳され得る上記遺伝子のいず
れかに対応するmRNA転写物、または触媒性RNA、例えば「ハンマーヘッド」ヘア
ピン、肝炎δウイルス、特定のRNA配列をインビボで特異的に標的化および/ま
たは切断し得るグループIイントロンが含まれる。触媒性RNAによって標的化す
るための特定の目的のものは、RNAウイルス、ならびに細胞およびウイルスの両
方の転写物である。
あるいは、RNA、DNA、または両方の混合物のアンチセンス形態は、細胞内の目
的の特定の遺伝子の発現を阻害するために、または点変異または他の変異(ノン
センスまたはミスセンスなど)を修正するために、細胞に送達され得る。
本発明のさらなる実施態様は、より大きなポリヌクレオチドとともにSPDVに組
み込まれているオリゴマーヌクレオチドの送達を意図する。このような「キャリ
ア」ポリヌクレオチドは、一本鎖(直線状または環状)または実質的に二本鎖で
あり得、そして送達されるべきオリゴマーヌクレオチドに実質的に相同または相
補的である1つ以上の領域をさらに含み得る。
所望である場合、目的のDNAは、送達ビヒクルによって既に送達された目的のD
NAを隠すおよび発現する細胞の根絶の制御を可能にする自殺シグナルをさらに組
み込み得る。例えば、チミジンキナーゼ(tk)遺伝子は、送達されたDNAに組み込
まれ得る。この結果、正確な量のアシクロビル、ガンシクロビル、またはそれら
の概念上のもしくは機能的等価物を投与することによって、医師がtk遺伝子を発
現する細胞を殺すことが可能になる。
安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを製造する本発明の方法は、目的のポリ
ヌクレオチドが両親媒性のカチオン性脂質結合体と接触し、その結果、カチオン
性部分とポリヌクレオチドとの間のイオン対形成によりポリヌクレオチドが凝縮
することが可能である。代表的には、接触は、脂質ミセルを形成するために、適
切な界面活性剤中に脂質構成成分を最初に溶解することによって達成される。脂
質の溶解に適切な界面活性剤には、コール酸、デオキシコール酸、ラウロイルサ
ルコシン、オクタノイルスクロース、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)-ジ-メチ
ルアミン]-2-ヒドロキシル-1-プロパン)、新規β-D-グルコピラノシド、ラウリ
ルジメチルアミンオキシド、オクチルグルコシドなどが挙げられるが、これらに
限定されない。好ましくは、界面活性剤は非イオン性であり、そして高い臨界ミ
セル濃度(CMC)を有する。ポリヌクレオチドがミセル化した両親媒性のカチオ
ン性脂質結合体に添加されると、イオン対形成が起こり、そしてポリヌクレオチ
ドは両親媒性のカチオン性脂質結合体との複合体として凝縮する。
イオン対形成が安定な脂質/ポリヌクレオチド複合体の形成に役割を果たすと
すれば、複合体形成中のpHは、特定の成分の相互作用を最適化または安定化にす
るために変化され得る。例えば、非pH感受性カチオン性脂質が使用される場合は
、約4の低いpHが、ポリヌクレオチドと同時に組み込まれ得る所定のポリヌクレ
オチド(例えば、RNA)または他の化学薬剤を複合体化するために、好適であり
得る。さらに、ポリヌクレオチド(例えば、DNA)が塩基加水分解に実質的に感
受性ではない場合、情況は、約10までのpHを複合体形成中に使用することを指図
し得る。一般的に、約5から約9までの範囲内のpHは、複合体形成およびトラン
スフェクションの間使用される。
代表的には、多くのカチオン性凝縮剤(例えば、スペルミンまたはスペルミジ
ン)は、ポリヌクレオチドを沈殿させる。しかし、凝縮カチオンを、ポリヌクレ
オチドへ注意深く制御して添加(注入ポンプなどを使用して)することにより、
比較的高い濃度(例えば、約0.5mg/ml)のポリヌクレオチドが凝縮剤と複合体化
することが可能になる。このように、ミセル化したカチオン性脂質凝縮剤へのポ
リヌクレオチド添加を注意深く制御することによって、カチオン性凝縮剤による
比較的高い濃度のポリヌクレオチドを複合体化することが可能になる。
最初の複合体形成の後、界面活性剤をゆっくり除去(すなわち、大規模な透析
による)することにより、安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルのアセンブリお
よび形成が可能になる。ゆっくりした透析は界面活性剤除去の好ましい方法のま
まであるが、透析緩衝液の相対量を増加することによって、または、透析物緩衝
溶液から、界面活性剤と結合しそしてこれを除去する緩衝液に試薬を添加するこ
とによって、界面活性剤の除去が促進され得る。
あるいは、ポリヌクレオチドを、カチオン性脂質および界面活性剤を添加する
前に適切なカチオンを含む溶液に溶解し得る。。界面活性剤が添加された後、こ
れはカチオンの存在下で透析によって除去され、そして続いてカチオンが透析に
よって除去され得る。適切なカチオンには、正電荷を有するあらゆるエレメント
が含まれる。カチオンは、1価、2価、または多価であり得る。適切なカチオン
の代表的な例には、マンガン、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、ルビジ
ウム、亜鉛、モリブデン、ニッケル、鉄などが挙げられるが、これらに限定され
ない。一般的には、カチオンは、脂質とポリヌクレオチドの複合体化の間の凝集
形成を妨げるに十分な量で、および所定のカチオン性化合物のほとんど最大の溶
解性の濃度まで添加される。好ましくは、ナトリウム(例えば、塩化ナトリウム
)の濃度は、約0.1モル濃度と約5モル濃度との間であり、マグネシウム(例え
ば、塩化マグネシウム)の濃度は約0.5モル濃度と約5モル濃度との間であり;
そしてマンガン(例えば、塩化マンガン)の濃度は約0.1モル濃度と約4モル濃
度との間である。
さらに、カチオンのタイプおよび濃度がSPDVをアセンブリするために使用され
る界面活性剤またはカチオン性脂質のタイプに依存して調節されるべきであり得
ることは、当業者に理解される。
ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドがSPDVのアセンブリの間にカチオ
ンと複合体化されるべき場合、カチオン性脂質および/または界面活性剤は、カ
チオンの添加の前に、同時に、またはその後に添加され得る。一般的には、カチ
オン性脂質は、約0.1:1と約16.1:1との間、そして好ましくは約0.5:1と約7:1と
の間、より好ましくは約0.7:1と約2:1との間、そして特定すると約1:1の、カチ
オン性脂質対ポリヌクレオチドリン酸比で、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌク
レオチドに添加される。上記の比は、限定ではなく例示として提供され、そして
SPDVをアセンブリするために使用されるカチオン性脂質の特性に依存して改変さ
れ得る。また、任意の比はDNA濃度に依存している。
カチオン、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、カチオン性(または
他の)脂質、および界面活性剤が環境中に存在した後、界面活性剤は、好ましく
はカチオン含有緩衝液中での透析によって除去される。界面活性剤が除去された
後、カチオンは、続いて透析または機能的等価物によって実質的に除去され得る
。好ましくは、透析は、一般的に、約4℃と約30℃との間の温度で行われ、そし
てSPDVの意図する使用に有害でない最終カチオン濃度になる。例えば、カチオン
は、例えば非経口投与に適切である緩衝化溶液での透析によって、実質的に除去
され得る。
カチオンの実質的な除去の後、得られるSPDVは、一般的に、約4℃で保存した
場合、少なくとも2週間安定なままである(すなわち、形質導入活性を保持する
)。
ポリヌクレオチドがカチオン性脂質の添加の前にまたは同時に、カチオンと複
合体化される(または他の予め凝縮される)場合、安定な複合体は、比較的低い
脂質:核酸リン酸比で(界面活性剤の存在下で)形成され得る。より低い比の脂
質を使用することによって、より高い比の脂質が複合体に組み込まれ、これによ
り最終産物中に組み込まれなかった脂質がより少なくなる。この特徴は、このよ
うな脂質の組み込まれていない形態が実質的に標的細胞に対して毒性であるため
、非生分解性脂質が使用される場合には、望ましい。従って、本発明の他の実施
態様は、低減した毒性を含む本質的に上記のように製造されたSPDVである。本発
明の開示の目的で、毒性の低減は、少なくとも約10μgのDNAを含むSPDVが動物が
危険な毒性的影響を被ることなしに動物に注入され得ることを意味する。
核酸をカチオンと複合体化するかまたは予め凝縮することのさらなる特徴は、
より高い濃度のDNAがSPDVを形成するために使用され得るということである。例
えば、0.1モル濃度でMnCl2の存在は、約0.05mg/mlの濃度のDNAでSPDV形成を可能
にする。同様に、カチオンの濃度を上昇させることによって、対応する量によっ
てSPDVをアセンブリするために使用されるDNAの濃度を上昇させ得る(すなわち
、2モル濃度のMnCl2は約1mg/mlのDNAの濃度でSPDV形成を可能にし得る)。適用
可能なカチオンが比較的高い溶解性(すなわち、NaClは約5.5モル濃度で飽和す
る)ならば、本発明の方法が、少なくとも約10mg/mlの濃度のDNA(または他のポ
リヌクレオチド)のSPDVの形成を可能にすることは明らかである。従って、本発
明の別の実施態様は、上記のように処方されているSPDVの調製物であり、そして
これは、一般的には約0.05mg/mlと約10mg/mlとの間、好ましくは約0.25mg/mlと
約10mg/mlとの間、より好ましくは約0.5mg/mlと約1.5mg/mlとの間、そして特定
すると約0.8mg/mlと1.2mg/mlとの間の濃度のDNA(または他のヌクレオチド)を
含む。従って、本発明の別の実施態様は、高濃度の核酸(すなわち、>0.25mg/m
l核酸)を含むSPDV組成物である。
本発明の方法により製造されるポリヌクレオチド送達ビヒクルの本来の安定性
のため、標的化剤は、特定の細胞および/または組織にビヒクルを向けるために
ビヒクル中に安定に組み込まれ得る。従って、界面活性剤の除去の前またはその
間に、任意の種々の標的化剤はまた、送達ビヒクル中に組み込まれ得る。
本発明の開示の目的で、用語「標的化剤」とは、送達ビヒクルに組み込まれ得
る任意のまたはすべてのリガンドまたはリガンドレセプターをいう。このような
リガンドには、IgM、IgG、IgA、IgDなどのような抗体、あるいはその任意の部分
またはサブセット、細胞因子、細胞表面レセプター、MHCまたはHLAマーカー、ウ
イルスエンベロープタンパク質、ペプチドまたは小器官リガンド、それらの誘導
体などが挙げられるが、これらに限定されない。
必要であれば、リガンドは、ポリヌクレオチド送達ビヒクルへの組み込み前に
適切な脂質部分に誘導体化され得る。例えば、標的化剤(例えば、免疫グロブリ
ン)は、最初に、脱離基を、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)および1-エチ
ル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、またはそのメチオ
ジド、(EDCメチオジド)、および標的化分子上の遊離アミノ基を使用してカル
ボキシル基に誘導体化することによって、両親媒性脂質の極性領域の遊離のカル
ボキシル基にN-結合され得る。あるいは、標的化剤は適切な条件にある送達ビヒ
クル/脂質に(チオ酢酸、ヒドロキシルアミン、およびEDTAを使用して)ジスル
フィド結合され得るか、またはスクシンイミジルアセチルチオアセテートは脂肪
酸(例えば、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、DOPE)とともに使用
されて、DOPE-チオアセテート(ATA)を形成し得、これはヒドロキシルアミンで
処理され得、還元された分子(DOPE-アセチル-SH)を生成する。標的化剤の遊離
アミノ基は、スクシンイミジルマレイミドフェニルブチレート(SMPB)と反応し
て、ペプチド結合によってマレイミドフェニルブチレート(MPB)に結合される
標的を生成する。誘導体化した脂肪酸は、続いて、標的-MPB複合体と組み合わせ
て、脂肪酸に架橋されている標的化剤を生成する。
さらに、標的化剤は、上記のような生分解性結合によって脂質に結合され得る
(ペプチドまたはジペプチドリンカー、pH加水分解可能なリンカーなど)。
あるいは、標的化剤はまた、安定な複合体と「標的化された」細胞または組織
との間の架橋として作用し得る。例えば、標的化剤が単に複合体と会合する場合
、この薬剤は複合体形成後または単離後に複合体に添加され得る。標的化剤がま
た細胞表面上の分子によって認識し得るかまたは認識され得る程度まで、この薬
剤は効果的に複合体を細胞表面との親密な接触させる架橋分子として作用し得る
。
特に、肝細胞が脂質が向かうトランスフェクションの好適な標的である場合、
フェチュインのような分子は有用であることが示され得る。肝細胞はガラクトー
スレセプターを含む。ノイラミニダーゼでの処理後、フェチュインは、その表面
上に多くのガラクトース残基を提示するアシアロフェチュインに変換される。さ
らに、フェチュインとアシアロフェチュインの両方とも、安定な脂質/DNA複合
体と会合することが公知である。
酸性アミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸)に富む分子として、アシ
アロフェチュインは、おそらく脂質複合体のカチオン性頭部基と会合する。結果
として、アシアロフェチュイン会合複合体は、タンパク質において露出したガラ
クトース残基によって肝細胞へ標的化される。
アシアロフェチュインが安定な複合体と会合するという観察はまた、はるかに
到達する可能性を有する。例えば、アシアロフェチュインは、多くの従来の化学
的方法のいずれかを使用して、広範な数の標的化リガンドのいずれかと誘導体化
され得る。例えば、過ヨウ素酸塩は、ガラクトースのヒドロキシル基の少なくと
も一部をアルデヒドに変換するために使用され得、このアルデヒドは1級アミノ
基と反応してシッフ塩基を形成し、これは続いて(標的化リガンドを添加するた
めに)水素化アルミニウムリチウムで還元され得る。あるいは、このアルデヒド
は、ヒドラジドと反応して ヘテロ二官能性架橋化試薬を付着し得る(これは適
切な標的化リガンドである)。上記のストラテジーは両方とも、アシアロフェチ
ュインが実際に任意の標的化リガンドで誘導体化され得る多くの可能性のある方
法の単なる例証であり、そして本発明をいかなるようにも限定すると解釈される
べきでない。
リガンド会合後、誘導体化したアシアロフェチュインは、上記のように安定な
複合体と会合され得る。事実上、任意のリガンドがアシアロフェチュインに付着
され得、そして事実上任意のDNAが安定な複合体中にパッケージングされ得る。
従って、適切に誘導体化したアシアロフェチュインを適切な安定な複合体と注意
深く適合させることによって、事実上いずれの細胞が、事実上いずれの遺伝子を
も発現するために標的され得る。
さらに、アシアロフェチュイン、またはその機能的等価物(対面結合(vis-a-
vis binding))は、N-ヒドロキシ-スクシンイミジル-オレエートと反応して、
1つアシル化したまたは複数アシル化したアシアロフェチュイン誘導体を生成し
得、これは脂質複合体に直接組み込まれ得る。さらに、広範な脂肪酸鎖のいずれ
もがまた、この方法論を使用してASFに連結され得る。代表的には、複合体当た
り少なくとも約1から約20のアシル化したアシアロフェチュイン分子が組み込ま
れ、そして好ましくは約5から約12分子が組み込まれる。
さらに、安定なカチオン性脂質/核酸複合体との会合もし得る他のタンパク質
が同定されまたは開発されそうである。アシアロフェチュインのように、安定な
複合体と会合するタンパク質は、標的化リガンドで適切に誘導体化され、そして
安定な複合体を特定の細胞および組織に指向させるために使用され得る。このよ
うに、任意の種々の細胞は、例えば、内皮細胞、系統細胞(line cell)、上皮
細胞、島細胞、ニューロンまたは神経組織、中皮細胞、骨細胞、軟骨細胞、造血
細胞、免疫細胞、主要な腺または器官(例えば、肺、心臓、胃、膵臓、腎臓、皮
膚など)の細胞、外分泌および/または内分泌細胞などである。
種々の細胞表面マーカーおよびレセプターをコードするタンパク質は特定の目
的のものである。このようなタンパク質の例である簡単なリストには、以下のも
のが挙げられる:CDl(a-c)、CD4、CD8-11(a-c)、CD15、CDw17、CD18、CD21-25、
CD27、CD30-45(R(O、A、およびB))、CD46-48、CDw49(b,d,f)、CDw50、CD51、CD5
3-54、CDw60、CD61-64、CDw65、CD66-69、CDw70、CD71、CD73-74、CDw75、CD76-
77、LAMP-1およびLAMP-2、ならびにT細胞レセプター、インテグリンレセプター
、増殖性内皮のエンドグリン、またはこれらに対する抗体。
本発明の開示の目的で、「安定な」ポリヌクレオチド送達ビヒクルは、一般的
に、48時間の保存後に新鮮に調製した産物のポリヌクレオチドトランスフェクシ
ョン効率の少なくとも約20パーセントのトランスフェクション効率を保持し、そ
して好ましくは48時間後に少なくとも約35パーセントのトランスフェクション効
率を保持し、そして特に好ましい実施態様では、48時間後に少なくとも約50パー
セントのトランスフェクション効率を保持する。
あるいは、本明細書に記載された安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルは、サ
イズ安定性のままであり、そして一般的に、少なくとも48時間液体状態で保持し
た後、約30と約200nmとの間、好ましくは約50と約150nmとの間、および好ましく
は約70と約115nmとの間の平均粒子サイズ(Gaussian分布による)の離散サイズ
範囲(discrete size range)を保持する。
血清での安定性に関する場合、本発明の安定なポリヌクレオチド送達ビヒクル
は、それらが、約15パーセントまでの血清濃度に曝される場合に、先行技術によ
って教示される方法/合成カチオン性脂質を使用して製造されるリポソーム処方
物よりも、一般的に少なくとも約2倍安定であり、そして好ましくは少なくとも
約1桁の程度安定である点で、血清安定性である。
本明細書に記載されるSPDVの安定性は、適切な保存条件によって増大され得る
。例えば、SPDVは凍結されて、無期限に保存され得る。迅速なまたは緩慢な(約
4℃で)融解の後、代表的には、SPDVは、新鮮に製造された試料のトランスフェ
クション効率の、すべてではないとしても、実質的な部分を保持する。さらに、
本発明のSPDVはまた、凍結乾燥および再構成後に、その元のトランスフェクショ
ン効率の実質的な量(すなわち、少なくとも約50パーセント)を保持する。
SPDVを凍結することまたは凍結乾燥することによって長期安定性を増大させよ
うとする場合、適切な賦形剤が凍結の前にSPDV調製物に添加され得る。このよう
な安定化賦形剤の例には、単糖類または二糖類(例えば、グルコース、スクロー
スなど)、多糖類、または種々の周知の薬剤のいずれも(例えば、グリセロール
、ゴム、デキストランなど)が挙げられる。
安定な脂質/DNA複合体は凝集し得る。特に、約0.5、一般的には約1.0を越え
る、そして好ましくは少なくとも約3.0から約25までよりも大きな脂質対DNA比で
形成される安定な複合体は、室温から約0℃の間、一般的には約15℃と約1℃と
の間、および好ましくは約4℃の温度で保持される場合、ゆるい凝集体を形成し
得る。この開示の目的で、ゆるい凝集体は、懸濁液中に容易に分散可能な凝集体
として定義される。必要に応じて、このような凝集は、融解が後に続く凍結保存
(約−20℃以下で)の期間後に生じ得る。凝集が所望であるならは、凝集のレベ
ルは、温度を調整することに加えて任意の多くの手段によって調節され得る。例
えば、緩衝液/塩濃度は、凝集の量を増加させるために調整され得る。さらに、
共沈殿物が添加され得、これは安定な複合体と複合体形成し、そしてさらに沈殿
の程度速度を増加させる。凝集はまた、促進化剤の添加によって増加され得る。
例えば、標的化剤またはレセプターが複合体に組み込まれる場合、適切なレクチ
ン、リガンド、または抗体が添加されて、複合体を架橋し得、そして凝集または
沈殿の速度および程度を増加させる。
必要に応じて、適切なリガンドまたは抗体、あるいはその混合物は、適切な固
体支持体(すなわち、ラテックスビーズ、マイクロキャリアビーズ、膜またはフ
ィルターなど)に固定され得、そして溶液から標的化レセプターまたはリガンド
を組み込む複合体を選択的に結合するために使用され得る。従って、安定な複合
体はまた、この方法を使用して溶液から選択的に除去され得る。
あるいは、透析前に過剰の会合していない脂質を除去するための工程を行うこ
とによって、非生分解性カチオン性脂質で作製される複合体を、実質的に解毒し
得る。例えば、複合体化されていない脂質は、一般的に、界面活性剤溶液中に脂
質ミセルとして存在する。このように、界面活性剤の存在下で、サイズ排除クロ
マトグラフィーは、より大きな安定な複合体(これは、おそらくボイド用量で溶
出する)から複合体化していない脂質(すなわち、毒性成分)を分離するために
使用され得る。
凝集した安定な脂質/DNA複合体は、最適にトランスフェクション活性を保持
する。さらに、凝集した複合体は、遠心分離(これらが効果的に沈殿を形成する
場合)および/または真空もしくは単純エバポレーション、限外濾過、クロマト
フォーカシング、電気泳動、カラムクロマトグラフィーなどを含むがこれらに限
定されない、種々の標準的技法によって濃縮され得る。単離後、凝集した複合体
の濃度は、適切な緩衝液で複合体を穏やかに再懸濁または希釈することによって
調整され得る。濃縮した安定な複合体のインビボ使用が意図される場合、緩衝液
はインビボ投与に適切となる。
単離および再懸濁の正味の結果として、両方がDNAトランスフェクション活性
を保持する、安定な複合体が得られ得、そして従来通りに製造された脂質/DNA
複合体に通常ロードされ得るDNA量をはるかに越えるDNA濃度を含む。現在、同様
に高いDNA/脂質濃度で製造される一過性および安定な複合体は、測定可能なト
ランスフェクション活性を(高い毒性のために)欠いている。
この限定の正味の効果は、代表的には従来通りに製造された脂質に基づくトラ
ンスフェクション方法によって導入され得る比較的少量の核酸が、一般的により
広範な技術の適用および使用をブロックしていることである。従って、本明細書
で実証した安定な複合体を濃縮する能力は、本発明のさらに別の新規な局面を示
す。従って、本発明のさらなる実施態様は、測定可能なトランスフェクション活
性を保持し、そして約10mg/mlまでの少なくとも1ml当たり約10μgの核酸を含む
、安定な脂質/核酸複合体を製造する方法である。
遺伝子物質の高い濃度の使用および送達を可能にすることに加えて、凝集はま
た、核酸の細胞への送達のための伝統的な脂質媒介性方法の固有の特徴である、
毒性の劇的な低減を生じる。代表的にはリポフェクションで使用される非生分解
性カチオン性脂質は、細胞に対して比較的毒性である。従って、標的細胞は、カ
チオン性脂質の限定された濃度に対してのみ寛容し得る。カチオン性脂質/DNA
複合体形成の間、投入カチオン性脂質の有意な部分は、DNA複合体中に会合しな
い(すなわち、DNAトランスフェクションを促進しない)。複合体形成が脂質/D
NAの比較的固定された比に関連するならば、必然的に、対応して固定された割合
の組み込まれていない脂質が、脂質/DNA複合体のいかなる試料中にも存在する
ことになる。細胞に提供されたDNAの量を増加させることもまた、(毒性の)脂
質の正味の量を増加させるので、組み込まれていない脂質の存在は、標的細胞に
提供され得る遺伝子物質の量を厳しく制限する。従って、遊離の会合していない
脂質からトランスフェクション活性(すなわち、脂質/DNA複合体)を分離する
行為は、標的細胞に提供され得る核酸の正味の量を本質的に増加させる。
凝集したそして再懸濁した安定な複合体を使用する毒性研究は、毒性活性の非
常に大部分が上清中に残存することを示す。逆に、再懸濁した凝集体は、高いレ
ベルのトランスフェクション活性を保持するが、対応する脂質/DNA比で形成さ
れる一過性の複合体よりもはるかに低い毒性を示す。従って、懸濁液から安定な
複合体を除去することによって、細胞毒性の主要な供給源からトランスフェクシ
ョン活性を効果的に単離し得る。従って、本発明の他の実施態様は、単離された
安定なカチオン性脂質/核酸複合体であり、これは、同様の脂質/核酸比および
/または脂質/核酸濃度で形成されている一過性または安定な複合体に対して実
質的に低減された毒性を有する。
同様に、本発明の別の実施態様は、実質的に低減された毒性の安定なカチオン
性脂質/核酸複合体を製造する方法である。この開示の目的で、用語「実質的に
低減された毒性」とは、薬剤の毒性が、一般的に、未処理の薬剤に対して少なく
とも約25パーセント、好ましくは少なくとも約50パーセント低減され、そして最
適には少なくとも約100パーセントの低減が達成されることを意味する。毒性は
また、試験被験体の50パーセントに致命的である用量を決定することによって測
定され得る。一般的に、記載される実質的に低減した毒性の安定なポリヌクレオ
チドビヒクルは、類似のカチオン性脂質/リン酸比で形成された単離されていな
い安定な複合体の2倍の致死用量(すなわちLD50)を有し、そして最適に低減さ
れた毒性のビヒクルは、対応する単離されていないカチオン性脂質/ポリヌクレ
オチド混合物よりも少なくとも約1桁高い程度のLD50を有する。
上記の新規製造方法のもとで、本発明のさらに別の実施態様は、両親媒性のカ
チオン性脂質結合体および/または上記の生分解性カチオン性脂質結合体を含む
安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを記載する。適切であれば、任意のまたは
種々の(すなわち、混合物)の他の「ヘルパー」脂質部分がまた、安定なポリヌ
クレオチド送達ビヒクルに添加されて、ビヒクルの化学的特徴を変化させ得る。
このように、任意の多くの周知のリン脂質が添加され得、これには、ジステロイ
ルホスファチジル-グリセロール(DSPG)、硬化ダイズ油(hydrogenated soy)
、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホ
スファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノール
アミン、スフィンゴミエリン、モノ、ジ、およびトリグリセロール、セラミド、
セレブロシド、ホスファチジルグリセロール(HSPG)、ジオレオイル-ホスファ
チジルコリン(DOPC)、カルジオリピンなどが挙げられるが、これらに限定され
ない。さらなる脂質部分には、コレステロール、コレステロールエステル、およ
びそれらの他の誘導体が挙げられる。適切な場合、さらなる脂質およびリン脂質
が正または負に荷電されていることが好適であり得、そして種々の脂質部分の比
は、最適な電荷比をもたらすように変化され得る。
さらに、種々の安定化剤のいずれもが、記載されたビヒクルとともに利用され
得る。種々の成分の酸化は、窒素のような不活性雰囲気下で、本発明に従って処
方物を調製することによって実質的に減少され得るが、これは幾分不便であり、
そして費用がかかるプロセスであり、そしてそのため化学的抗酸化剤を添加する
ことがしばしば好適である。適切な薬学的に受容可能な抗酸化剤としては、没食
子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、
アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウム、DL-またはD-αトコフェロー
ルおよびDL-またはD-α酢酸トコフェリルが挙げられる。存在する場合、抗酸化
剤は、例えば、0.1%(w/v)まで、好ましくは0.0001〜0.05%の量で、ビヒクルの
組み立ての前、間、または後のいずれかに、単独でまたはポリヌクレオチド送達
ビヒクルと組み合わせて添加され得る。
医者または患者の面から、所望されない徴候(例えば、疾患に関連する徴候、
環境または因子への感受性、正常な老化など)の任意の緩和または防止が所望さ
れることが、当業者には理解される。従って、本出願の目的では、本明細書で使
用される用語「処置」、「治療的使用」、または「医学的使用」は、本発明の組
成物の任意のおよびすべての使用をいい、この組成物は、疾患の状態または徴候
を治療し、またはさもなければ、いかなるようにも、疾患または他の所望されな
い徴候を防止し、妨げ、遅延させ、または逆転させる。
疾患の治療的処置に使用される場合、安定なポリヌクレオチド送達ビヒクル(
SPDV)またはその誘導体の適切な投与量は、任意のいくつかの十分に確立された
方法論によって決定され得る。例えば、動物研究が、1キログラム体重当たりの
生物活性薬剤の最大許容用量、またはMTDを決定するために通常使用される。一
般的に、試験される少なくとも1つの動物種は哺乳動物である。当業者は、ヒト
を含む他の種に対する効能および毒性の回避のための用量を適切に外挿する。効
能のヒト研究が行われる前に、正常被験体における第I相臨床試験が安全用量を
確立するに役立つ。
特にインビボ使用が意図される場合、本発明の種々の生化学的成分は、好まし
くは高純度であり、そして潜在的に有害な夾雑物を実質的に含まない(例えば、
少なくとも国民食品(National Food)(NF)クレード、一般的には少なくとも
分析グレード、および好ましくは少なくとも医用グレード)。所定の化合物が使
用前に合成されなければならないならば、このような合成または続いての精製は
、合成または精製手順の間に使用され得たいかなる潜在的に毒性の薬剤を実質的
に含まない産物を、好ましくは生じる。
さらに、安定なポリヌクレオチド送達ビヒクル(SPDV)はまた、確立された方
法によって、インビボ安定性および任意の種々の薬理学的特性を増強するように
改変され得る(例えば、インビボ半減期を増加する、毒性を低減する[インビボ
毒性はDMRIE/DOPE(1:1、mol:mol)、DOSPA/DOPE(4:1)、またはPC-コレステロ
ール(chol)/DOPE(1:1)については観察されていないが]など)。例えば、
ジステロイルホスファチジルコリン(DSPC)/chol(2:1)またはスフィンゴミ
エリン/chol(1:1)のような単純長循環脂質組成物を使用して、半減期/毒性
を試験し得る。あるいは、合成ポリエチレンPC-chol/DOPE(1:1)リン脂質また
はGM1のようなガングリオシドを含むことは、循環半減期を増加させるために使
用され得る。毒性は、カチオン性部分にアシル鎖を接合するエステルまたはセラ
ミドのような生分解性結合、あるいはカチオン性基にアシル鎖を接合するための
カルバメート、ヒドラジド、または無水物結合を有するカチオン性脂質を使用す
ることによって、さらに低減され得る。
SPDVまたはその誘導体の診断的、治療的、または医学的使用が意図される場合
、SPDVは滅菌条件下で調製および維持され得、従って微生物の夾雑を避け得る。
SPDVの比較的小さいサイズおよび固有の安定性のため、SPDVを含む組成物はまた
、使用前に濾過滅菌され得る。滅菌調製および濾過滅菌の上記の方法に加えて、
抗菌剤もまた添加され得る。抗菌剤(これは、一般的に、総処方物の約3%w/v
まで、好ましくは約0.5〜2.5%の量で使用され得る)には、メチルパラベン、エ
チルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノール、デヒドロ酢酸
、フェニルエチルアルコール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、チモール、チ
メロサール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、クレゾール、p-ク
ロロ-m-クレゾール、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水
銀、硝酸フェニル水銀、および塩化ベンジルアルコニウムが挙げられるが、これ
らに限定されない。好ましくは、抗菌添加剤は、SPDVの生化学的特性を増強する
か、
またはSPDV活性について不活性であるかのいずれかである。所定の抗菌剤がSPDV
活性に対して有害であると判明すれば、より低い程度にSPDV機能をもたらす別の
薬剤に置換され得る。
有効成分としてSPDVを含む組成物は、任意の多くの確立された方法によってイ
ンビボで導入され得る。例えば、薬剤は吸入によって;皮下(sub-q)注射によ
って、静脈内(I.V.)注射によって、腹腔内(I.P.)注射によって、または筋肉
内(I.M.)注射によって;直腸内に、局所適用薬剤(経皮パッチ、軟膏(ointme
nt)、クリーム、軟膏(salve)、点眼剤など)として投与され得、あるいは、
腫瘍または他の器官のような組織に、または内臓内もしくは周囲に、直接注入さ
れ得る。
本発明の別の実施態様は、遺伝子治療を行うためのSPDVの使用を包含する。こ
のような遺伝子治療は、冒されている個体のゲノム中の遺伝子欠損を償うことを
意図し、そしてエクスビボ体細胞遺伝子治療によってもたらされ得、それによっ
て、宿主細胞は体から取り出され、そして欠損遺伝子を発現するように形質導入
されて、宿主に再移植される。あるいは、体細胞遺伝子治療は、所望の遺伝子を
有するベクターを個体にインビボで直接注入することによって行われ得、それに
よって、遺伝子は送達され、そして宿主組織によって発現される。
上記のポリヌクレオチド送達ビヒクルは、主としてポリヌクレオチドを細胞に
提供することが意図されるが、本発明のさらなる実施態様は、ポリヌクレオチド
に加えて任意の種々の適切な生物活性薬剤のパッケージングおよび送達を意図す
る。例えば、目的の生物活性薬剤(例えば、任意のタンパク質、ペプチド、有機
低分子など)が正味の負の電荷を含むかまたは実質的な量の負に荷電した特徴を
含むならば、確立されたリポソーム処方物または脂質エマルジョンあるいは本明
細書に開示されたと実質的に類似の方法によって構築される送達ビヒクル中に組
み込まれた生分解性の両親媒性脂質を使用して、このような薬剤を送達するため
に有用であると判明し得る。
さらに、目的の所定の薬剤がポリヌクレオチド(例えば、DNAおよび/またはR
NA結合活性を有するタンパク質または他の分子)と会合し得るならば、薬剤をポ
リヌクレオチド送達ビヒクル中に最初に組み込むことによって、薬剤を体に送達
するために有用であると判明し得る。
さらに、リポソームおよび脂質エマルジョンまたはマイクロエマルジョンが薬
物送達ツールとしてまたは化粧品の成分として有用であると判明したならば、本
明細書で開示された新規な生分解性の両親媒性脂質はまた、脂質構造、膜、また
はエマルジョンの安定化、構造的、または結合成分として有用であると判明し得
る。代表的には、生分解性の両親媒性脂質は、添加されるかまたは既存の処方物
の脂質成分と交換されるかのいずれかであり、または両親媒性脂質の荷電した基
をさらに利用する新規処方物が構築され得る。
所望であれば、1つ以上の安定化剤および/または可塑剤が、より高い保存安
定性のために、エマルジョンおよびリポソーム処方物に添加され得る。マイクロ
エマルジョンは通常の条件下で静置した際に分離しない傾向にあるが、より大き
な程度の安定性はいくつかの状況下で有用であり得る。安定化剤および/または
可塑剤として有用な物質としては単純炭化水素が挙げられ、これには、グルコー
ス、ガラクトース、スクロース、またはラクトース、デキストリン、アカシア、
カルボキシポリメチレン、およびコロイド状水酸化アルミニウムが挙げられるが
これらに限定されない。安定化剤/可塑剤が添加される場合、これらは全調製物
の約10%(w/v)、好ましくは約0.5から6.5%までの量で組み込まれ得る。
開示された生分解性の両親媒性のカチオン性脂質を含む脂質処方物(例えば、
エマルジョン、マイクロエマルジョン、リポソーム、または送達ビヒクル)はま
た、カプセル化した生物活性薬剤を消化プロセスから顕著に保護し得る。このよ
うに、処方物はまた、生物活性薬剤の経口投与に有用であるとを判明し得る。
さらなる腸の保護が所望されるならば、さらなる保護のために、腸溶性のまた
はそうでなければ他の保護された形態で、本発明に従って固体または液体処方物
を処方することが可能である。液体処方物の場合には、これらは、中間鎖トリグ
リセリドの液体混合物のような保護剤と混合され得るかまたは単に同時投与され
得るかのいずれかであり、あるいはこれらは腸溶性カプセル(例えば、軟または
硬ゼラチンの、これらはそれ自体が必用に応じてさらに腸溶性にされる)中に充
填され得る。あるいは、固体処方物はより可撓的に処理され得る。これらは、錠
剤を形成するために腸性物質でコートされ得るか、または腸性カプセル中に充填
され得るかのいずれかである。
錠剤またはカプセル剤上の腸性コーティングの厚さは、例えば、0.5〜4ミク
ロンの厚さであり得るが、正確な厚さは処方の当業者によって決定される。腸溶
性顆粒(その粒子サイズは、例えば、0.5〜2mmであり得る)は、コーティング
のために錠剤中に混合されることなく、それ自体がコートされ得る。同様に、マ
イクロカプセルは腸溶性にされ得る。腸性コーティングは、経口投与可能な薬学
的処方物に従来から利用される腸性物質のいずれかを含み得る。適切な腸性コー
ティングは、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第15版、161
4-1615頁(1975);第2版、116-117頁、371-374頁(1976);および「Hagars Handb
uch der Pharmazeutischen Praxie」、第4版、第7a巻(Springer Verlag 1971)
、739-742頁および776-778頁から公知である。
適切な腸溶性物質の例としては、セルロースアセチルフタレート、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースフタレート(HPMC-P)、サリチル酸ベンゾフェニル、
セルロースアセトスクシネート、スチレンおよびマレイン酸のコポリマー、処方
されたゼラチン(formulated gelatin)、ケラチン、ステアリン酸、ミリスチン
酸、ポリエチレングリコール、シェラック、グルテン、アクリル酸およびメタク
リル酸樹脂、ならびにマレイン酸およびフタル酸誘導体のコポリマーが挙げられ
る。腸溶性物質(単数または複数)は、ジクロロメタン、エタノールおよび水、
セルロースフタレート、またはポリビニルアセテートフタレートのような溶媒に
溶解され得る。腸性コーティングとしてHPMC-P、ポリエチレングリコール6000、
またはシェラックを利用することが好ましい。pH5.5での分解または消失(これ
は、ヒト幽門で遭遇される)を目的とするHPMC-Pの専売調製物は、商標HP5-5で
入手可能であり、そしてこれが特に好ましい。
用語「生物学的活性物質」には、特に、薬学的に活性なタンパク質性物質、お
よび薬学的に活性な有機分子が含まれる。タンパク質性物質は、純粋なタンパク
質であり得るか、または、糖タンパク質がタンパク質と糖残基との両方を含むよ
うに、タンパク質を含み得る。この物質は疾患またはその徴候の処置または予防
のいずれかによって、ヒト医学または獣医学で有用であり得、あるいは化粧品的
または診断的に有用であり得る。本発明に従って使用され得るタンパク質性生物
学的物質の例としては、インスリン、カルシトニン、および成長ホルモンのよう
なタンパク質ホルモン(ヒトまたは動物由来あるいは半合成または全合成によっ
て調製されるのいずれにしても)、エリスロポエチン、プラスミノーゲンアクチ
ベーターおよびそれらの前駆体(例えば、tPA、ウロキナーゼ、プロウロキナー
ゼ、およびストレプトキナーゼ)、ヒトインターフェロンαを含むインターフェ
ロン、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、およびIL-12を含むインタ
ーロイキン、ならびに第VIII因子を含む血液因子が挙げられるが、これらに限定
されない。
いずれにせよ、これらが生分解性である場合、本発明で開示された生分解性の
両親媒性のカチオン性脂質、およびそれとともに製造されるポリヌクレオチド送
達ビヒクルは、細胞への現在入手可能な合成カチオン性脂質対面ポリヌクレオチ
ド送達に対して顕著な改良を示す。なぜなら、分解反応の副産物が実質的に非毒
性であるか、または本来生体適合性であるからである。このように、本発明で開
示された生分解性の両親媒性のカチオン性脂質は、インビトロならびにインビボ
での細胞へのポリヌクレオチドの送達に有用である。
本発明の別の実施態様は、本明細書で開示されたカチオン性基の代わりに、他
の生体適合性または基を脂質部分に付着するための、両親媒性カチオン性脂質分
子の生体適合性のpH感受性のまたはさもなければ生分解性のリンカー部分の使用
である。例えば、上記の標的化または生物活性タンパク質は、脂質に機能的に誘
導体化され、そしてエンドサイトーシスの後に細胞中に放出され得る。あるいは
、生体適合性アニオン性基はまた、正に荷電した生物活性薬剤またはポリマーの
脂質性構造中への複合体化またはカプセル化を容易にするために、脂質に付着さ
れ得る。
以下の実施例は、本発明を説明するために提供される。当業者のレベルであれ
ば、本発明の具体的に記載された特徴から実質的でない差を生じるように、上記
または以下の開示のいずれもを改変することを予測し得る。このように、以下の
実施例は、例示によって提供され、そして本発明を限定する目的のために含まれ
ない。
6.0.実施例
6.1.生分解性カチオン性脂質結合体の作製方法
図1(a)に示される生分解性カチオン性脂質を以下のように合成した:クロ
ロホルム中10μmolのN-グルタリル-DOPE(Avanti Polar Lipids、AL)を試験管
に添加した。窒素下のエバポレーションによりクロロホルムを除去し、脂質膜を
得た。残留クロロホルムを減圧により除去した。この膜を水中で水和し、そして
超音波処理して直径約80nmのリポソームを形成した。50mM MES(pH6.2)中の5
倍モル過剰量のN-ヒドロキシスクシンイミドおよび50mM MES(pH6.2)中の4モ
ル過剰量のEDCをN-G-DOPEに添加し、そして室温で20分間インキュベートした。
脂質混合物の抽出後、クロロホルム/メタノール/水(65/25/4)を用いた薄層
クロマトグラフィー分析を行った。これは、これらの条件下でN-G-DOPEのすべて
がN-ヒドロキシスクシンイミド-N-G-DOPEに転換することを示した。反応混合物
を、10mM Hepes(pH8.5)で平衡化したSephadexG-25スーパーファインを含有す
る3mlスピンカラムに加えることにより、未反応EDC、NHS、およびMESを除去し
た。リポソームを1%オクチルグルコシド中に溶解し、そしてポリアミンを5倍
モル過剰量まで脂質に添加して全てのNHS-N-G-DOPEを消費した。反応を4℃で一
晩行った。脂質生成物を水に対して透析し、界面活性剤、緩衝液および未反応ポ
リアミンを除去した。次いで、この脂質生成物を1%オクチルグルコシド中に溶
解し、そして以下のリポフェクタミン/DNA複合体形成に用いたものと本質的に同
じプロトコルを用いてDNAに添加し得る。
図1(b)に示される生分解性脂質(アミド結合によりN-スクシニル-DOPE(N
S-DOPE)もしくはN-グルタリル-DOPE(NG-DOPE)に結合したペンタエチレンヘキ
サミン(PEHA)、またはアミド結合によりDOSGに結合したPEHA)を、pH6.5〜約8
.5で120分間室温でNS-DOPE、NG-DOPE、またはDOSG(EDCでの処理により調製)の
いずれかのN-ヒドロキシスクシンイミジルエステルとPEHAを反応させることによ
り調製した。
あるいは、スペルミンを、以下のように、ヘテロ二官能性架橋剤によりDOPEに
結合し得る。DOPEをSMBPで誘導体化して頭部基(DOPE-MPB)に末端マレイミドを
生じさせる。スペルミンをスクシンイミジル-アセチル-チオアセテートと反応さ
せ、保護チオールを有するスペルミンを生じさせる。その後、保護基をヒドロキ
シルアミンにより除去し、DOPE-MOBをスペルミンのチオール基と反応させてDOPE
-BPM-S-スペルミンを生じさせる。このスキームを用いることにより、DOPE基は
ホスホリパーゼ加水分解に対して感受性を留め、それゆえDNAから脂質を放出す
る。
別のアプローチは、SPDP(スクシンイミジル-ピリジルジチオプロピオンネー
ト(pyridylyldithiopropionate))をDOPEと反応させてDOPE-PDPを生じさせるこ
とを含む。DOPE-PDPをDTTで還元後、露呈したチオール基が生じる。その後、DOP
Eのチオール基を上述した改変スペルミン分子の遊離チオール基と反応させてDOP
E-S-S-スペルミン(ジスフィルド結合によりスペルミンに結合したDOPE)を生じ
させ得る。ジスフィルド結合は、脂質からのDNAの放出を効果的に生じる標的細
胞による還元に対して感受性である。
図2は、pH不安定カチオン性脂質を合成するための3つのストラテジーを示す
。合成1に関して、Blattler,W.A.ら、酸不安定結合を形成する新しいヘテロ二
官能性タンパク質架橋試薬、Biochemistry 1985、24、1517-1524を参照し、合成
3に関しては、Behr、J.P.ら、リポポリアミンコートDNAによる哺乳動物の初期
内分泌細胞への効果的な遺伝子導入、Proceedings from the National Academy
of Sciences(USA)、1989、86、6982-6986を参照する。これらの開示は、本明細
書中で参考として援用される。
さらに、DOPEは、イミノチオランと反応させてチオレート化脂質を生じさせ得
る。スペルミンのようなポリアミンも同様にイミノチオランと反応させ得る。ヨ
ウ素の存在下で誘導体化スペルミンおよび脂質を共に添加することにより、ジス
フィルドにより結合されたポリアミン脂質が得られる。
6.2.安定な送達ビヒクルの作製方法
6.2.1.試薬
リポフェクタミンを、Life Technology Inc、Gaithersburg、MDより購入した
。
オクチルグルコシドを、SIGMA Chemical Co.、St.Louis、MOより購入した。β-
ガラクトシダーゼ遺伝子を含有する7.3キロベースの二本鎖閉環状DNA(pCMVβ、
Clontech、Palo Alto、Californiaより購入)を細菌中で増殖させ、Quiagen Max
iPrep Isolationキットを用いて単離した。BioRad、Sunnyvale、CAより購入した
ポリミキシンBアガロースカラムを用いて吸着によりLPSを除去した。
6.2.2.安定なDNA/脂質複合体の処方物のためのプロトコル
以下に示す量のリポフェクタミン(DOSPA)を1%オクチルグルコシド、10mM
TRIS(pH7.4)中に可溶化し、総容量0.5ml中の5μgのDNA(pCMVβ)に添加した
:4.5μl、9μl、22.5μl、45μlおよび90μl。サンプルを、4℃で、5%グル
コース、10mM TRIS(pH7.5)に対して透析した。透析緩衝液を48時間にわたって
5回交換した。得られたポリヌクレオチド送達ビヒクルを、以下に述べるように
、粒子サイズおよびトランスフェクション効率について試験した。
同様の方法を用いて、カチオン性脂質DOTAPおよびDC-CHOL(3-β-(n-(N',N'-
ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール)を有する安定な複合体を
得た。
6.3.粒子サイズの分析
粒子サイズの分析が、LeedsおよびNorthropレーザー動的光散乱器(laser dyna
mic light scattering instrument)を用いることで得られた。リポフェクタミン
を有する一過性の(例えば、先行技術)脂質/DNA複合体の特徴付けにより、リポ
ソームの出発サイズは直径約50nmであることが示された。DNAの添加により、サ
イズは100nmに増大した。図4に示すように、経時的なこれらの複合体の保存は
、100nm粒子の減少およびさらに大きな粒子(d>1μm)の増加を示した。一過性 の
脂質/DNA複合体の保存により、遺伝子発現の減少が生じた。
これとは逆に、本明細書で開示した安定な脂質/DNA複合体の粒子サイズ分析は
、約100nmの非常に厳密な粒子集団を示した。この同じサイズの粒子は生成の48
時間後に優勢に観察された。14日後、粒子分析は、優勢な粒子サイズが100nm粒
子であることと共に、より大きな粒子(約1μm)の割合が低いことを示した(
図
5参照)。
遺伝子発現の減少率と相関する粒子サイズの増加率の事実は、2つのパラメー
ター間の直接的関係を強く示唆する。
6.4.安定なDNA/脂質複合体による細胞トランスフェクション
リポフェクタミンはDOSPAで省略されるカチオン性脂質を含む。この脂質はジ
アルキルエーテルで誘導体化されたスペルミンからなる。トランスフェクション
を、DOSPAとDNAリン酸との比に関して試験した。安定な脂質複合体を無血清培地
、DMEMに添加し、そしてNIH-3T3細胞に添加した。細胞を脂質/DNA複合体と共に
3時間インキュベートした。この培地を取り除き、そして完全培地で置き換えた
。インキュベーションを48時間継続した。細胞を0.1mlの溶解緩衝液(0.1%TX-1
00)中で回収し、そして0.040mlの細胞溶解物を0.05mlの2倍濃度のβ-ガラクト
シダーゼ基質と混合して酵素活性を測定した。β-ガラクトシダーゼ発現のレベ
ルを安定な複合体および一過性の複合体の両方について測定した。以下の実験を
行った。
6.4.1.遺伝子発現
DOSPAはジアシルエーテルで誘導体化されたスペルミンからなる。トランスフ
ェクション効率を測定している間、スペルミンとDNAリン酸との比は、0.5:1〜10
:1(mol/mol)で変化した。細胞に添加する直前に、安定な複合体のDNAトランス
フェクションを、脂質およびDNAを一緒に添加することから構成される一過性の
複合体のそれと比較した。NIH-3T3細胞を、無血清培地において、37℃で、3〜4
時間、細胞と共にインキュベートした。培地を完全培地と交換し、そしてインキ
ュベーションを24時間継続した。細胞を回収し、そしてβ-ガラクトシダーゼ活
性について溶解物を分析した。結果が図6に示され、これは安定な複合体(実線
、左パネル)が一過性の複合体(実線、右パネル)と同レベルの遺伝子発現であ
ることを示す。第二に、スペルミンとDNAリン酸との最適比は両方の複合体で同
じであった(約2.5)。毒性が、DNAリン酸に対するスペルミンのより高い比(5
〜10:1)において、安定な複合体および一過性の複合体の両方について観察
された。このため、DNAをウェル当たり0.2μgに減少し、そして同じ比で試験し
た。これにより、細胞に添加された脂質の量の減少が生じた。
供されたDNAの量の減少により、スペルミンとDNAリン酸との最適比は両方の処
方物について2.5〜10に増大し、確認された毒性レベル(細胞形態により決定)
は実質的に減少した。顕著な差異は、遺伝子発現のレベルが安定な複合体で変化
しない(図6、点線、左パネル)のに対して、一過性の複合体による発現は5分
の1に減少した(図6、点線、右パネル)ことである。上記の結果は、スペルミ
ンとDNAリン酸との比を10に維持し、そして複合体形成に用いたDNAの量を変化さ
せることにより拡大された。結果を図7に示す。
図7において、β-ガラクトシダーゼ活性をY軸に対数スケールで示し、そし
てDNA投入量をX軸に示す。使用した最低用量のDNAは、安定な複合体のみが遺伝
子発現を示した。それ以上の用量は、安定な複合体が一過性の複合体に比べて5
〜10倍高いレベルの遺伝子発現(およびトランスフェクション効率)をもたらす
ことを示した。
6.4.2.安定性試験
一過性の複合体以上の安定な複合体の利点を、遺伝子トランスフェクションの
効率を4℃での保存時間と相関させる比較試験においてさらに示した。これらの
複合体を同じ時間で調製し、上記と同じ細胞トランスフェクションプロトコルを
用いてNIH-3T3細胞のトランスフェクションについてX軸で示した時間で試験し
た。結果を図8(a)に示す。一過性の複合体は24時間後にβ-ガラクトシダー
ゼ活性の劇的な低下を示し、そして48時間後に発現は観察されなかった。これと
は逆に、安定な複合体は新たに生成された一過性の複合体を用いて観察される活
性レベルと等価である48時間後の活性レベルを示し(安定な複合体を形成するに
は48時間の透析を要するため、最初の時点は48時間である)、14日の保存後に約
50%の最大トランスフェクション効率をなお維持した。これらのデータは、DNA
トランスフェクション効率の喪失を最小限にする保存条件を最適化する労力なし
に集められた。従って、結果は、一過性の複合体と比較してSPDVを用いて得られ
得る安定性増大の最小レベルを表す。
長期安定性試験を、6.6のDOSPA/DNA比からなる安定な複合体を用いて行った。
安定な複合体のアリコートを20℃で、5%デキストロースの存在下または非存在
下に-20℃で、4℃で、室温で、および37℃で90日まで保存した。安定性を、複
合体のトランスフェクション効率をアッセイすることにより評価した。結果を図
8(b)に示す。図8(b)は、4℃および5%デキストロースの存在下に-20
℃で保存した安定な複合体の両方が、少なくとも90日間、または凍結保存の場合
は少なくとも270日間、実質的に100%の初期トランスフェクション活性を保持し
たことを示す。デキストロースの非存在下に-20℃で保存した安定な複合体は、
時間の経過と共に継続的に活性が失われるトランスフェクション活性が初期の5
分の1に減少し、そして37℃で保存した安定な複合体は14日後に本質的に全ての
トランスフェクション活性を失った。これとは逆に、一過性の複合体はわずか24
時間後に本質的に全ての活性を失った。5%デキストロース保存条件の凍結乾燥
は、最初の容量の0.1倍〜1倍の容量で再懸濁した場合に活性の完全な保持が生
じた(すなわち、少なくとも10倍まで濃縮し得る)。
6.4.3.血清安定性の証明
一過性のカチオン性脂質/DNA複合体と関連するさらなる問題は、血清成分によ
る不活性化である。血清不活性化を回避するためには、トランスフェクションの
現行の方法ではカチオン性脂質/DNA複合体を無血清培地中の細胞でインキュベー
トすることが必要である。これはインビボでの一過性のカチオン性脂質/DNA複合
体の使用を大きく妨げる問題である。このため、トランスフェクションに関する
血清安定性を試験した。血清を安定な複合体および一過性の複合体の両方につい
て0〜15%で試験した。これらの試験のため、0.2μgのDNAを使用し、スペルミ
ンとDNAリン酸との比を10:1に維持した。結果を図9に示す。一過性の複合体は
2%血清で活性の顕著な低下を示したが、安定な複合体のトランスフェクション
効率は使用した全ての血清濃度でほとんど低下しなかった。その後のX-gal染色
試験は、約10%の露呈細胞が試験範囲の血清濃度でβ-galを発現することを示し
た。
上記のデータにより、1)少なくとも14日間安定のままであるDNA/カチオン性
脂質複合体の形成、2)安定な複合体のトランスフェクション効率は現在知られ
ている一過性の複合体のトランスフェクション効率よりも大きいこと(遺伝子発
現により測定)、および3)安定な複合体は一過性の複合体よりも血清成分不活
性化に対して感受性が低いことが示される。
6.5.安定なカチオン性脂質/DNA複合体の単離および濃縮
安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを、上述したように、3.3、6.6、および
16.5のDNAリン酸に対する脂質の比を用いて形成した。複合体はDOSPAおよび特に
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(pCMVβ)の転写制御下のβ-ガラク
トシダーゼ遺伝子をコードする7.3kbプラスミドコードを含む。
ビヒクル/複合体をデキストロース(5%)の存在下に-20℃で、および4℃で
保存した。90日の保存後、全てのサンプルは本質的に全ての初期トランスフェク
ション効率を保持した。保存の間、4℃で維持したサンプルは沈殿物を蓄積した
。この沈殿物を4℃で15分間、3,000gでの遠心分離により溶液から分離し、ペレ
ットを10mM Tris中に再懸濁した。その後、再懸濁沈殿物、上清、および出発混
合物を3T3細胞におけるトランスフェクション活性について試験した。
トランスフェクション実験の結果を図10に示す。図10は、大部分のトランスフ
ェクション活性が、3.3のDOSPA/DNA比で複合体を形成した場合、上清に留まり;
そして約90%のトランスフェクション活性が、6.6および16.5のDOSPA/DNA比で作
製したサンプルのペレットに配分したことを示す。6.6および16.5の比の脂質分
析は、DOSPA/DOPE比においてわずかの差異を示し、そして総脂質の約10%はペレ
ットに留まるが、投入脂質の90%は上清に留まることを示した。さらに、上清お
よび濃縮複合体を薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いてさらに分析すると、
上清およびペレット(複合体)の両方は、同一のDOPEするDOSPA比を含んだ。こ
れらのデータにより、大部分の脂質が上清に留まることがさらに確認された。
約6よりも高い脂質/DNAリン酸比を有する処方物から生じるペレットを元の容
量の50分の1で再懸濁すると、濃縮組成物は対応する未濃縮処方物よりも実質的
に高い(数倍まで)トランスフェクション効率を示した。より高いレベルのトラ
ンスフェクションの理由は、おそらく、未複合体化脂質の除去による。図10に示
すように、非複合体化脂質は、非生分解性カチオン性脂質にしばしば関連する観
察された毒性の大きな原因である。従って、毒性成分から活性成分を単離するこ
とにより、さらにDNAを標的細胞に添加し得、これは、結果として遺伝子導入の
量を増大させる。
この観察の重要性は、濃縮サンプルに含まれるDNA濃縮物とほぼ等しいDNA濃縮
物を用いて作製される未濃縮複合体は実際にトランスフェクション活性を示さな
いということである。DNAに対する脂質の最適比は相対的に一定であるので、DNA
濃度を増大させるには、脂質の濃度を比例した量で増大させることが必要である
。しかし、非生分解性カチオン性脂質は、しばしば、細胞に対して高度に毒性で
あるので、トランスフェクションの間、限られた量の毒性脂質のみを細胞に与え
得る。従って、脂質/DNA複合体を形成する以前の方法を用いた場合、脂質の毒性
は、一般的に、標的細胞に与えられる得るDNAの量を制限した。同様に、細胞に
与え得る少量のDNAは、脂質ベースのDNA送達系のトランスフェクション効率をさ
らに制限した。
6.6.単離された安定なカチオン性脂質/DNA複合体は低い毒性を示す。
濃縮複合体は何倍にも増大したDNAの量を含むが、それらは対応する毒性の増
大を示さなかった。事実、15.625の脂質/DNAリン酸比で作製された濃縮複合体は
、6.25のDOSPA/DNA比で作製された濃縮および単離複合体より4倍を高いトラン
スフェクション活性を生じ、細胞毒性はほとんどまたは全く確認されなかった。
これとは逆に、15.625の比で作製された未濃縮複合体は、細胞トランスフェクシ
ョンについて機能的に不活性である。なぜなら、増大した脂質濃度に関連する細
胞毒性が高いレベルであるからである。
一般的に、一過性の複合体または安定な複合体のいずれかで処理された細胞の
生存力は、細胞に添加されたDNAの濃度が1μg/mlまで増大された場合、減少し
た。この量は、本質的に処理細胞の全てを死滅させた。これとは逆に、単離およ
び再懸濁複合体は、1μg/mlのDNAを送達するために用いた場合にはほとんど毒
性を引き起こさず、そして10μg/mlのDNA濃度ではわずかな毒性のみであった。
明らかに、安定な複合体を単離および濃縮すること、細胞に与えられ得るDNA
の正味量を増大すること、および細胞毒性の主要源から活性複合体を分離するこ
との両方によってトランスフェクション効率が増大される。上清および濃縮複合
体のその後の毒性プロフィールは、毒性の大部分が上清に留まることを示した。
さらに、種々の画分のLD50を比較する細胞毒性試験を行った場合、単離複合体
(例えば、ペレット)の予測される致死用量は、出発混合物または上清のいずれ
かよりもある程度高いことが見出された。
濃縮複合体におけるDNAに対する脂質の比を測定した場合、複合体における脂
質の割合は、DNAに対する脂質の比が約10以上に増大した後に、実質的に増大し
なかった。従って、試験に用いた7.3kbプラスミドは、約10の脂質/DNA比で脂質
と会合して飽和されると結論され得る。この測定データは、他の核酸に一般に適
用可能であることを証明し得、そしてこのようなデータの考察は、脂質/DNA複合
体を実質的に脱毒化する開示された方法をさらに容易し得る。
6.7.インビボでのポリヌクレオチド送達ビヒクルの使用
SPDVを5モル%ラクトシルセレブロシドの存在下に処方し、そしてマウスに静
脈内注射した。注射の48時間後に、全細胞DNAを種々の組織から取り出し、そし
てサザン分析を用いて宿主組織に送達されているプラスミドDNAについてスクリ
ーニングした。データにより、SPDVと複合体化したポリヌクレオチドが細胞に送
達され、そして検出されたDNAの量が、DOSPA/DNAリン酸の比が増大(20:1まで)
するとともに増大したことが示される。
さらに、βガラクトシダーゼをコードするDNA含むSPDVを生きたマウスの脳に
注射した。注射の72時間後に行ったその後の組織学的試験により、針路に沿って
βガラクトシダーゼ活性が検出された(コントロール注射の針路に沿ってβガラ
クトシダーゼ活性は検出されなかった)。これらのデータは、SPDVが実際に複合
体化DNAを脳組織に送達し、その後インビボで発現されるという結論と一致する
。
6.8.安定な脂質/DNA複合体および一過性の脂質/DNA複合体のDNA導入活性の比較
安定な複合体および一過性の複合体を、0.3〜15のDNAリン酸に対するDOSPA(m
ol/mol)の比、ならびに0.1μg/ウェル(図11Aおよび11E)、0.2μg/ウェル(図
11Bおよび11F)、0.4μg/ウェル(図11Cおよび11G)、および0.8μg/ウェル(図
11Dおよび11H)の異なるDNA濃度で、上記したように本質的に形成した。β-ガラ
クトシダーゼ活性(黒丸)を左のy軸にプロットし、そして細胞溶解物から回収
した総細胞タンパク質(白丸)と比較して右のy軸にプロットした。
特に、図11は、一過性の複合体および安定な複合体の両方でDNA濃度が増大さ
れた場合に、一般に、β-gal発現が増大したことを示す。
6.9.ペプチドリガンドを用いたヒト内皮細胞への安定なカチオン性脂質/DNA送 達ビヒクルのインビトロ標的化
標的化リガンドは次の配列を有する環状RGDペプチドであった:
このRGDペプチドは、特にαvβδインテグリンレセプターに結合する。このイ
ンテグリンは内皮細胞上で発現され、そしてビトロネクチンに結合することが可
能である。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)をインビトロ組織培養アッセイ系とし
て用いた。これらの細胞はビトロネクチンレセプターを発現するだけではなく、
通常のDNAトランスフェクション技法に対してきわめて耐性である。このため、
非特異的標的化による発現は低く、従って雑音(noise)比に対するシグナルを増
大する。DNAトランスフェクションビヒクルを次のようにアセンブリした。
標的化リガンドでSV101を誘導するためのストラテジーには第一に、リガンド
を脂質に付着させ、次いでDNAの添加前に界面活性剤/カチオン性脂質混合ミセル
に組み込むことが必要である。これを達成するために、Avanti Polar Lipid、Bi
rmingham、ALより購入したN-グルタリルジオレオイルホスファチジルエタノール
アミン(G-DOPE)の末端カルボキシル基を、モル過剰の1,エチル-3-(3-ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NH
S)と脂質とを反応させることにより、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化エス
テルに変換した。この反応は、最初に10μmolのG-DOPEをCHCl3を含む試験管に添
加することにより行った。溶媒は脂質膜を形成するN2下でエバポレーションによ
り除去し、そして残留溶媒は乾燥により除去した。
脂質膜を水中で水和し、懸濁液にボルテックスし、そして強浴(strong bath
)超音波処理器で10分間、超音波処理した。5倍過剰のEDCおよびNHSを、50mM M
ES、pH6.0中のリポソームに添加した。反応物を室温で20分間インキュベートし
た。反応物を10mM Hepes、pH8.5で平衡化した5mlのSephadex G-25スピンカラム
に加え、2,000RPMで3分間遠心分離した。NHS-G-DOPEを溶出液中で採集し、2μ
molの脂質を1.0%オクチルグルコシド中で溶解した。5倍モル過剰のRGBペプチ
ドを溶解脂質に添加し、そして反応物を4℃で一晩インキュベートした。
脂質/リガンド反応混合物を、LTI、Gaithersburg、MDより購入したリポフェク
タミンに総脂質の5、10、20モル%で添加した。オクチルグルコシドを添加し、
最終オクチルグルコシド濃度を1%とした。DNAを、1、2.5、5、10、15、およ
び20のDOSPA/DNAリン酸比で溶解脂質混合物に添加した。脂質/DNA混合物を28ウ
ェルGIBCO透析フローチャンバーに配置し、そして4リットルの5%デキストロ
ース、10mM Tris、pH7.2に対して48時間透析した。
HUVECをDNAの添加24時間前に35mmディッシュ中にウェル当たり1.5×105細胞の
密度でプレートした。1μgのDNAを無血清培地の各ウェルに添加し、そして37℃
で4時間、細胞とともにインキュベートした。脂質/DNA複合体を吸引により除去
し、そして完全培地と交換した。100μlの溶解緩衝液(0.1%Triton X-100およ
び250mM Tris、pH8.0)の添加の24時間後に細胞を回収した。50μlの細胞溶解物
を50μlのβ-ガラクトシダーゼ基質(ONPG)と混合し、そしてβ-ガラクトシダ
ーゼ活性についてアッセイした。結果を図12に示す。
図12のY軸は観察された発現のレベル(β-ガラクトシダーゼ活性により測定
された)を示し、そしてX軸はDNAに対するスペルミンの比を示す。DOSPAはスペ
ルミンに誘導されたジアクリルグリセロールからなる。従って、DNAリン酸とス
ペルミンの比はDNAリン酸に対するDOSPAの比を表す。それぞれの線は、脂質誘導
ペプチド(脂質会合リガンド)のモル%の増大を表す。白丸は無血清培地のリポ
フェクタミンにDNAを添加することにより形成される一過性の複合体であり、続
いて、直ちに一過性の複合体は細胞に適用される。試験したDNAリン酸に対する
スペルミンのいずれの比でもβ-ガラクトシダーゼ活性は確認されなかった。
黒ダイアモンドは、10の比で多少の遺伝子発現を示すが、発現のレベルは低く
、2ミリ単位よりわずかに低いことを示した安定なカチオン性脂質/DNA複合体を
表す。5および10モル%(標的化ペプチド結合脂質/総脂質)は、それぞれ黒逆
三角形と黒四角(box)とで表される。いずれも同じスペルミン/リン酸比、10で
同じレベルの発現を示し、これは非ペプチド処方物よりも2倍高かった。20モル
%グラフを上向き黒三角形で表す。この処方物は、10のスペルミン/リン酸比で1
0ミリ単位であった最大レベルの遺伝子発現を示す。これらの結果は、遺伝子発
現の増大レベルと複合体における脂質会合リガンドのモル%の増大との間の強い
相関を明らかに示し、これは効果的な標的化が達成されていることを示唆する。
6.10.ラクトシルセレブロシドおよびフェチュインを用いた標的試験
上述したように、本発明で開示した脂質/DNA複合体に固有の安定性により、標
的化剤を複合体に会合するためにしばしば、必要とされる操作が可能となる。例
えば、10モル%のラクトシルセレブロシドを含む安定な複合体が形成された。こ
れにより、ガラクトース残基を示す複合体が得られた。複合体の表面上のガラク
トースの存在は、肝細胞(肝細胞はガラクトースの表面レセプターを発現する)
標的化することが要求される場合に望ましい。
あるいは、タンパク質フェチュインを用いることができる。ノイラミニダーゼ
(シアル酸を分割する)による処理後、アシアロフェチュインが得られる。アシ
アロフェチュインは肝細胞ガラクトースレセプターと会合することが知られてい
る。0.5ml中の125μgアシアロフェチュインと0.2μg DNAを含む、安定な複合体
とアシアロフェチュイン(沈降および濃縮された安定な複合体)とを4℃で18時
間、共にインキュベートすることにより、アシアロフェチュインで予めインキュ
ベートしなかった安定な複合体に対して、肝細胞トランスフェクションが15倍増
大した。
6.11.濃縮脂質/DNA複合体でトランスフェクトされた遺伝子のインビボ発現
約10μgのDNAを含む濃縮および脱毒性化された安定脂質/DNA複合体を用いて、
インビボでマウスにβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を導入した。複合体の静脈内(
または筋注)投与後、マウスは依然として生存可能であり、屠殺されそしてイン
ビボ遺伝子発現について分析される時まで、明らかに健康であった。これとは逆
に、一過性の複合体中に10μgのDNAを注射したマウスは、一般的に内臓に重大な
損傷をうけ、ほとんど生存不可能であった。
上記の明細書で述べた全ての刊行物および特許は本明細書中で参考として援用
される。本発明の記載された方法およびシステムのさまざまな改変および変更は
、本発明の範囲および精神から離れることなく当業者にとって明らかである。本
発明は特に好ましい実施態様と共に述べられているが、請求の範囲に記載されて
いるような本発明はこのような特別の実施態様に過度に限定されるべきではない
と理解するべきである。もちろん、分子生物学の分野または関連分野における当
業者に自明である本発明を実施するための上述した態様のさまざまな改変は、以
下の請求の範囲内にあることが意図される。
6.12.低減された毒性の安定なSPDVを形成するための別の方法
プラスミドSSV9-MD2-APM(図13参照)を、0.5mg/mlのDNA、1 M MgCl2、および
2%オクチルグルコシドを含む2ml容量中のDOSPA/DOPE(1:1 mol/mol)と複合
体化した。カチオン性脂質(DOSPA)を、DOSPA:DNAリン酸比、0.6:1、1:1、およ
び1.6:1で添加した。48時間にわたって合計8リットルの1モルMnCl2に4℃で透
析することにより界面活性剤を除去した。カチオンのその後の除去および実質的
な除去を合計8リットルの5%デキストロース、10mM Trisに透析することによ
り達成し、これにより約50〜約150nmの間の平均直径を有する粒子の濁った分散
体が得られた。こうして得られた安定な複合体は、4℃で保存される場合、完全
なトランスフェクション活性を少なくとも2週間維持する。
6.13.低減された毒性の安定なSPDVを用いたインビボ発現試験
80μgのDNA(SSV9-pMD-AP)を用いて、本質的に6.12節で述べたようにSPDVを
形成し、容量0.25mlでBalb Cマウス(約25gm)の尾部静脈内に注射した。MnSV10
1はMnCl2透析した脂質/DNA複合体を指す。標準プラスミド単離法およびCsCl上の
二重バンドにより調製されていたSSV9-pMD-APを有する複合体を調製した。DNAに
対するDOSPAの比を約0.66〜約1.65で変化させた。1群当たり5匹のマウスに注
射した。投与後24時間に組織サンプルを回収し、そして正味濃度100mg/mlの緩衝
液でホモジナイズした。ホモジネートを30分間65℃に加熱し、内因性アルカリホ
スファターゼを不活化した。二次抗体を96ウェルプレートに吸着させたの後、抗
ヒト胎盤アルカリホスファターゼポリクロナール抗体を添加することからなる免
疫捕獲アッセイを用いてホモジネートを分析した。0.2mlのホモジネートを各ウ
ェルに添加し、そして4℃で一晩インキュベートした。20ミリ単位〜0.1ミリ単
位の範囲のアルカリホスファターゼ(AP)の標準曲線も含む。プレートを洗浄し
、追加の200μlアリコートをウェル内で2時間インキュベートしてシグナルを増
大させるか、またはウェルを洗浄してアルカリホスファターゼ基質を添加する。
各ウェルのVmaxを測定することができるMolecular Devicesプレートリーダを用
いてプレートを読み取った。VmaxをAPのミリ単位に変換し、そしてデータを組織
100mg当たりに標準化した。
図14は、MnSV101により、血液を除く試験した全組織(すなわち、肝臓、脾臓
、肺、心臓、および腎臓)においてインビボでの発現の有意なレベルが生じたこ
とを示す。1.65:1のDOSPA/DNAリン酸比で調製されたMNSV101は最高の発現レベル
を示したが、毒性効果は理想的な比がおそらく1:1と1.65:1との間の範囲である
ことを示唆する。
図15は、1:1のDOSPA:DNAリン酸比で調製されたMnSV101について、試験した80
μg用量のDNAは、一般的に低いDNA濃度よりも優れたインビボ発現を提供したこ
と示す。
図16は、(1:1のDOSPA:DNAリン酸比で生成される)MnSV101を用いた遺伝子導
入は、送達されたDNAの一過性のインビボ発現を明らかに導くことを示す。
図17は、本質的に6.12節に述べたように生成される安定な合成送達ビヒクル(
1:1のDOSPA:DNAリン酸比)はまた、二価Mnカチオンを用いた場合に用いられる濃
度と同様の濃度で、一価カチオンNa(NaCl、すなわち、NaSV101、またはNaCl-
SV101を使用)を用いて生成され得る。図17のデータは、実質的に除去するのと
は対照的に、第2の透析工程間に複合体中のカチオン濃度を単純に減少させるこ
とは、ナトリウムを使用してSPDVを形成するのを助ける場合、発現レベルを増強
し得ることをさらに示す。図17はまた、MnSV101およびNaSV101がいずれも、後に
インビボで遺伝子を発現することができる筋組織への遺伝子の送達が可能である
ことを示す。
【手続補正書】
【提出日】1998年6月30日
【補正内容】
(1)明細書4頁15〜16行に「ビヒクル」とあるのを「ビヒクル組成物」に補
正する。
(2)明細書7頁11行の「示す。」の後に、「図13はプラスミドSSV9-MD2-APM
のマップを示す。」を加える。
(3)明細書7頁12行に「図13」とあるのを「図14」に補正する。
(4)明細書7頁15行に「図14」とあるのを「図15」に補正する。
(5)明細書7頁17行に「図15」とあるのを「図16」に補正する。
(6)明細書7頁20行に「図16」とあるのを「図17」に補正する。
(7)明細書17頁8行の「低減した」の前に「一過性リポソーム/DNA複合体と
比較して」を加える。
(8)明細書17頁8行に「含む」とあるのを「有する」に補正する。
(9)明細書19頁19行に「である」とあるのを「に連結されている」に補正す
る。
(10)明細書20頁12行に「系統細胞(line cell)」とあるのを「細胞株」に補
正する。
(11)明細書22頁2行に「程度速度」とあるのを「程度または速度」に補正す
る。
(12)明細書22頁28行に「現在」とあるのを「脂質/DNA複合体の単離を伴うこ
となく」に補正する。
(13)明細書25頁13行の「または」を削除する。
(14)明細書30頁17行の「または」を削除する。
(15)明細書31頁8行に「MES」とあるのを「MES(4-モルフォリンエタンスル
ホン酸)」に補正する。
(16)明細書31頁29行に「SMBP」とあるのを「SMPB」に補正する。
(17)明細書32頁3行に「DOPE-MOB」とあるのを「DOPE-MPB」に補正する。
(18)明細書32頁3〜4行に「DOPE-BPM-S-スペルミン」とあるのを「DOPE-MP
B-S-スペルミン」に補正する。
(19)明細書32頁14行の「3つの」を削除する。
(20)明細書32頁15行の「酸不安定結合」の前に「「」を加える。
(21)明細書32頁16行の「試薬」の後に「」」を加える。
(22)明細書32頁17行の「リポポリアミン」の前に「「」を加える。
(23)明細書32頁18行の「導入」の後に「」」を加える。
(24)明細書33頁5行に「LPS」とあるのを「リポ多糖(LPS)」に補正する。
(25)明細書33頁25行の「生じた。」の後に、「節6.9において以下に記載す
るように、先行技術の一過性複合体は、DNAをカチオン性脂質に添加することに
より形成され、そして一般的に、一過性複合体は直ぐに使用される。」を加える
。
(26)明細書34頁9行に「DMEM」とあるのを「DMEM(ダルベッコ改変イーグル
培地)」に補正する。
(27)明細書36頁12行に「保存条件の」とあるのを「を用いて-20℃で保存さ
れた複合体の」に補正する。
(28)明細書40頁17行に「αvβδ」とあるのを「αvβ3」に補正する。
(29)明細書40頁18行に「インテグリン」とあるのを「インテグリンレセプタ
ー」に補正する。
(30)明細書40頁28行に「G-DOPE」とあるのを「N-G-DOPE」に補正する。
(31)明細書41頁2行に「G-DOPE」とあるのを「N-G-DOPE」に補正する。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.両親媒性のカチオン性脂質結合体を含む、安定な合成ポリヌクレオチド送 達ビヒクル。 2.生分解性の両親媒性のカチオン性脂質結合体を含む、安定な合成ポリヌク レオチド送達ビヒクル。 3.標的化リガンドをさらに含む、請求項1に記載の送達ビヒクル。 4.標的化リガンドをさらに含む、請求項2に記載の送達ビヒクル。 5.血清中で安定である、請求項1、2、3、または4に記載の送達ビヒクル 。 6.サイズ安定である、請求項5に記載の送達ビヒクル。 7.安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを製造するためのプロセスであって 、 a)界面活性剤の存在下でポリヌクレオチドを両親媒性のカチオン性脂質結合 体と接触させる工程;および b)ポリヌクレオチドとカチオン性脂質との複合体を形成するために該界面活 性剤を除去する工程、 を包含する、プロセス。 8.請求項7に記載の方法によって生成される、安定なポリヌクレオチド送達 ビヒクル。 9.生分解性の両親媒性のカチオン性脂質結合体を含む、請求項8に記載の安 定なポリヌクレオチド送達ビヒクル。 10.標的化リガンドを含む、請求項8または9に記載の安定なポリヌクレオ チド送達ビヒクル。 11.血清安定である、請求項10に記載の安定なポリヌクレオチド送達ビヒ クル。 12.以下の一般式: R1−X−R2 を有する、生体適合性の両親媒性のカチオン性脂質結合体であって、 ここで、R1は、生分解性の脂質部分であり;R2は、生体適合性のカチオン性 または多価カチオン性部分であり;そして Xは、生体適合性および不安定な共有結合リンカーである、カチオン性脂質結 合体。 13.目的のポリヌクレオチドを細胞に送達するための、安定なポリヌクレオ チド送達ビヒクルの使用。 14.前記細胞がインビトロで存在する、請求項13に記載の使用。 15.前記細胞がインビボで存在にする、請求項13に記載の使用。 16.脂質処方物を調製するための、請求項12に記載の生分解性の両親媒性 のカチオン性脂質の使用。 17.前記安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルが生分解性の両親媒性のカチ オン性脂質を含む、請求項13に記載の使用。 18.前記細胞がインビトロで存在する、請求項17に記載の使用。 19.前記細胞がインビボで存在する、請求項17に記載の使用。 20.低減された毒性の安定な合成ポリヌクレオチド送達ビヒクル。 21.細胞中に遺伝子導入させるための、請求項20に記載の送達ビヒクルの 使用。 22.前記細胞がインビトロで存在する、請求項21に記載の使用。 23.前記細胞がインビボで存在する、請求項21に記載の使用。 24.請求項20に記載の送達ビヒクルを生成するための方法であって、 a)界面活性剤の存在下でポリヌクレオチドを両親媒性のカチオン性脂質結合 体と接触させる工程; b)ポリヌクレオチドとカチオン性脂質との複合体を形成するために該界面活 性剤を除去する工程;および c)会合していない脂質から該複合体を実質的に単離する工程、 を包含する、方法。 25.安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを製造するためのプロセスであっ て、 a)カチオンおよび界面活性剤の存在下でポリヌクレオチドを両親媒性のカチ オン性脂質結合体と接触させる工程;および b)ポリヌクレオチドとカチオン性脂質との複合体を形成するために該界面活 性剤を除去する工程、 を包含する、プロセス。 26.前記界面活性剤が前記カチオンの前に除去される、請求項25に記載の 方法。 27.前記カチオンが少なくとも約0.1モル濃度の濃度で存在する、請求項2 5に記載の方法。 28.前記界面活性剤が除去された後に前記カチオンが実質的に除去される、 請求項25に記載の方法。
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