【発明の詳細な説明】
腐食防止剤を含むガスケット
航空機の機能はたくさんの機械的、水力学的および電気的システムに依存して
いる。例えば保守の目的でこれらのシステムへの接近は、しばしばパネルを取り
外して航空機の外側または内側からのみ行うことができる。水の侵入のような環
境の影響からシステムを守るために、信頼できるパネルのシーラントが必要であ
る。
従来、2成分のシーラントを混合してガンまたはスパチュラで航空機構造物に
適用していた。管理された周囲条件、長い硬化時間(通常24時間だが、空気湿
度および温度に依存してより長いこともある)はもちろん限られたポットライフ
もこの方法の特徴である。ポリスルフィドはそのようなシーラント材料の一例で
ある。より更に、このシーラントは取り替えなければならないときに除去しにく
い。取り替えられたシーラントは、使用後に毒性の物質に対する特別な廃棄技術
で処分しなければならない。
W.L.Gore & Associatesはこれらの問題を克服するSK
YFLEX(商標)という商品名で販売される一連のシーラントテープを開発し
た。それらは上記の制限がなく、取り付けの際に保護手段の使用を要求しない。
このシーラントテープはドイツ特許出願公開第3726853号明細書(For
rest他)でより詳細に説明される。
SKYFLEX(商標)シーラントテープは延伸膨張ポリテトラフルオロエチ
レン(ePTFE)から作られる。この材料は化学的に不活性で、どんな一般的
な化学物質にも影響されない。それは幅広い温度範囲(−240℃〜+260℃
)で機能し、老化せず、耐
候性および耐紫外線性を持つ。SKYFLEX(商標)シーラントに使用される
ePTFEはGORE(商標)延伸膨張プロセスで製造される。この結果、高い
耐圧性と上記の利点を併せ持つ材料となる。加えて、この材料はシールされる表
面の不規則性に完全に適合する。
シーラントテープは航空機と同様に、信頼できるパネルシーラントが要求され
る車および列車のような他のシステムでの応用が現在見出されている。これらの
システムの全てもまた、パネルの周りの腐食の被害を受ている。図1および図2
はこれらの問題を図示する。図1はこの例ではアルミニウム合金で作られる2つ
の金属部品10a、10bの上面を表し、それらの間に配置されているのがシー
ラント20である。金属部品10とシーラント20の境界で、接合部30aおよ
び30bが作られる。接合部30aおよび30bは金属表面で、顕微鏡的な寸法
であるが、隙間30のように振る舞う(図2に示すように)。
図2では金属隙間30の側面図を描き出している。接合部30内での酸素の拡
散は防止される。防止された酸素の拡散は接合部30の下部または内部40内で
の酸素の枯渇を導く。結果として接合部30の内部40は、完全に酸化アルミニ
ウムに転化した接合部30の上部または外側の領域50と比較して電気化学的電
位が下がる。電気化学的電位の違いは電気化学反応を開始させる。接合部30の
内部40で、アルミニウムイオンが形成される。第2の反応では、これらのイオ
ンは酸を生成する加水分解を起こす。接合部30内の酸の存在は、次に更なる腐
食を促進する金属の溶解を促進する。
クロメートまたはホスフェートのような腐食防止剤物質を2成分のシーラント
に加えて、2成分のシーラントで腐食を減少させる。しかしながら、これらの腐
食防止物質はたいてい大変毒性が強く、
シーラント素材の内部に分散させる必要があるという不利な点を持つ。それらは
限られた領域だけで効果があり、実験によりそれらが時間の経過と共に活性を喪
失してシーラント素材から散逸する傾向があり、このためににシーラントの耐腐
食性は減少することが示された。腐食防止物質は金属表面の電気化学電位を増加
させ、それにより表面の一時的な不動態化を導く。
United Technologies Corporationの米国特
許第4,028,324号明細書(Tuschner他)は、リン酸燃料電池用
シーラントの耐薬品性を改良する方法を説明している。使用されたシーラントは
押し出しシール材料であって、組成は本質的にePTFE、ハロゲン化油、0〜
5重量%のハロゲン化溶媒、およびリン酸中で安定でePTFEと親和性がある
充填剤からなる。このシーラントはPTFE、フルオロカーボンオイル、溶媒お
よび充填剤をミキサー中で混合して作る。成分を混合した後、乾燥させて溶媒を
蒸発させる。その後、配合物をラム押出機でテープ状に押し出す。
しかしながら環境的な関心から、この特許の技術は現在では妥当性が限定され
る。CFCの使用はそれらが大気のオゾン層に有害な影響をもたらすことが知ら
れたために避けられるようになってきた。
教示された製造方法はまた、PTFEの押し出しの前にPFPEをPTFEに
添加することが限られた方法で可能な方法であるに過ぎないので多数の不利な点
を持つ。第一にPFPEはPTFEを完全に飽和しなければならなく、このこと
はPFPEの低い表面エネルギーおよび粘度(すなわち24mN/mよりも小さ
い)を必要とする。第二にPTFEに対するPFPEの割合を限られた範囲から
しか選べない。割合いが低すぎる、例えは30%より少ないときは
要求される押し出し圧力が高すぎて材料はもはや押し出すことができない。もし
PFPEの割合が高すぎると、そのときは押し出し圧力は下がる。しかしながら
、その場合押し出された材料はシーラントとして使用するのを可能にするのに十
分安定でない。更に不利な点は、Tuschnerは材料が240℃(400°
F)まででのみ安定である必要があると言っていることである。しかしながら延
伸膨張PTFEは250℃より高い温度で焼結する必要がある。このようにTu
schnerの技術は、PFPEを伴う延伸膨張PTFEの製造には適用できな
い。
Donaldson Company Inc.の国際公開92/21715
号パンフレット(Chung)では、延伸膨張の前または後に官能化されていな
いペルフルオロポリエーテル(PFPE)の液体で処理されたePTFEをメカ
ニカルシールとして使用することを説明している。この特許出願の発明者は、こ
の出願で説明される系が改良された耐放射線性を提供することに気がついた。し
かしながらこの特許出願には、この材料から作られるシーラント材料がより更に
耐腐食性であることを示唆していない。
同様にダイキン工業の特開昭61−163944号公報(オオモリ)は、セン
サーのダイヤフラムに使用するために官能化されていないPFPE化合物をeP
TFEに組み込むことを教示する。この特許出願もまたPFPE/PTFE系の
耐腐食性を教示していない。
ePTFEに官能化されたPFPEおよび官能化されていないPFPEの両方
を組み合わせることもW.L.Gore & Associatesのドイツ特
許出願公開4308369号明細書(B
の方法を教示する。しかしながらこの開示は、この系が耐腐食性も
示すことを教示していない。
従って、本発明の目的は耐腐食性を改良したシーラントを提供することである
。
本発明の更なる目的は、耐腐食性を改良したシーラントのための改良した製造
方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、微孔質材料の本体に腐食防止剤を組み込んだ微孔質材
料で作られるシーラントを提供することである。
この目的は、使用前にa)30〜90重量%の多孔質基礎材料および、b)上
記多孔質材料と親和性があることを必要条件とする10〜70重量%の腐食防止
剤から本質的になるシーラント材料の提供により達成される。本特許で使用する
「重量%」はシーラントと腐食防止剤の合計重量の割合としての、シーラントま
たは腐食防止剤の重量を指すものである。材料のこの組み合わせは毒性が無く、
特別な道具および硬化時間を要求せずに簡単に2つの金属部品の間に適用できる
。より更にこのシーラント材料は、ポリテトラフルオロエチレンの延伸膨張の前
に特別な混合工程を必要とせずに簡単におよび安価に作られる。
本発明で使用される腐食防止剤は、好ましくは少なくとも極性の性質の基を持
つ。このことは金属部品の表面に膜が形成することを促進して、腐食物質による
作用から金属部品を保護する。
シーラント材料の腐食防止剤は、ペルフルオロポリエーテル、ポリシロキサン
、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブチレン共
重合体、フルオロアルキル界面活性剤ポリマー、およびポリエステルからなる群
より選ばれる。特にふさわしい腐食防止剤はペルフルオロポリエーテルまたは官
能化されたそれらの誘導体であることが分かった。この腐食防止剤
は簡単に得られ、確実にアルミニウムプレートの腐食を防止する。
腐食防止剤は好ましくは、カルボン酸、カルボキシレート、アルコール、リン
酸のモノ、ジ、およびトリエステル、リン酸塩、カルボン酸塩、シラン、アミン
、エーテル、イソシアネート、ウレタン、チオール、ジチオール、エステル、ア
ミド、無水マレイン酸または酢酸、並びにそれらのフッ素化された誘導体からな
る群より選ばれる極性基を付加して官能化される。
基礎材料のシーラントは一般に、毒性が無く大変効果的なシーラントであるこ
とが示されているポリテトラフルオロエチレンおよび延伸膨張ポリテトラフルオ
ロエチレンからなる群より選ばれる。しかしながら、他のシーラント材料もそれ
らが多孔質である限り本発明に使用できるだろう。そのような材料の例は、ポリ
カーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ナイロ
ン、セルロースアセテート、熱可塑性ポリウレタン、並びにポリウレタン若しく
はポリシロキサンのような熱可塑性発泡体といった相分離プロセスで製造される
ものである。
より更にシーラントは、ePTFEとガラス、セラミック、カーボンブラック
および熱可塑性樹脂との配合物および複合材料から作ることもできる。PEEK
(ポリ−(エーテル−エーテル−ケトン))およびUHMW−PE(高分子量の
ポリエチレン)のような熱可塑性樹脂とePTFEの配合物は、出願中のドイツ
特許出願公開19638416.8号明細書で教示される。
シーラント材料が使用前にa)30〜90重量%の延伸膨張ポリテトラフルオ
ロエチレン、およびb)10〜70重量%の腐食防止剤で構成される場合に、良
い耐腐食性の結果が得られることを実験結果が示した。好ましくは、使用前に4
0〜60重量%の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンおよび40〜60重量%
の腐食防止剤
からなるシーラント材料を使用する。
耐腐食性シーラント材料製造方法は以下a)〜d)の工程を含む。
a)多孔質の基礎シーラント材料を製造する第1の工程。
b)少なくとも腐食防止剤を含む流体を調製する第2の工程。
c)上記基礎シーラント材料を上記流体に規定時間適用する第3の工程。
d)基礎シーラント材料を乾燥して耐腐食性シーラント材料を作成する第4の
工程。
従来技術の方法と比較して、これはシーラントに耐腐食性を導入するとても安
価で簡単な方法を提供する。
本発明の好ましい態様では、多孔質の基礎シーラント材料を腐食防止剤および
他の流体の混合物である流体に浸漬する。これは、腐食防止剤が多孔質の基礎シ
ーラントの本体に吸収されることを確実にする最も実用的な方法であることが分
かった。しかしながら、基礎シーラント材料の表面に腐食防止剤を噴霧、ロール
塗布またははけ塗りすることも可能だろう。
実験は、多孔質の基礎シーラント材料の表面に液状の純粋な添加剤を吹き付け
ることが可能であることも示した。
基礎シーラント材料を浸漬する混合物は、別の流体中の腐食防止剤の溶液、分
散液または懸濁液である。一つの有利な態様では混合物は、溶質がポリテトラフ
ルオロエチレンと親和性があり極性の性質の基を持つことを必要条件とする腐食
防止剤である溶液である。溶媒は典型的にアルコール、ケトン、アルカン、水ま
たはペルフルオロポリエーテルまたはそれらの混合物からなる群より選ばれる。
本発明の有利な態様では、溶媒はアルコールで、腐食防止剤はペルフルオロポリ
エーテルである。この組み合わせは耐腐食性を持つ効
果的なシーラントの製造を可能にする。ペルフルオロポリエーテルは毒性が無く
健康を害さないという点で、従来技術の腐食防止剤と比較して大きな利点を持つ
。より更にこの材料はオゾン層に被害を与えないことが知られおり、これは大気
圏の高いところを飛行する航空機に組み込まれるシーラント材料にとって、非常
に重要なことである。
耐腐食性シーラント材料製造の好ましい結果は上記混合物が、a)50〜80
重量%の腐食防止剤、およびb)20〜50重量%の溶媒からなる場合に得られ
る。本発明の一態様における乾燥工程(第4の工程)は以下のa)およびb)を
含む。
a)周囲温度と大気圧で規定の時間乾燥する工程。
b)真空にして規定の時間乾燥する工程。
シーラント材料を加熱して乾燥工程を素速く行うことも可能だろう。
製造されたシーラントは、シーラント20で分離される2つの金属プレート1
0a、10bの系で使用することができる。この系は典型的に、腐食が深刻な問
題である航空機のような輸送手段での用途がある。製造されたシーラントはより
更に、金属とプラスチックのような異質の材料の間のシーラントとして使用でき
る。
図1は金属部品の間のシーラントの上面図を示している。
図2は隙間の側面図を示している。
図3は本発明のシーラント製造で使用する装置の簡単な概観図を示している。
図4はシーラントのデザインを示している。
図5は本発明の方法で製造されるバンドシーラントによって分離されるアルミ
ニウム合金プレートの腐食の程度を決定する実験装置の概観図を示している。
図6は腐食問題の写真を示している。
図7は溶液中の防止剤の濃度に対するシーラントの重量増加のグラフを示して
いる。
本発明のシーラント製造に使用する装置を図3に示す。これは腐食防止剤と溶
媒の溶液70が入る大桶60からなる。シーラント90をホルダー80によって
溶液70に浸漬する。
本発明のシーラントの製造は以下のように行われる。初めにシーラントテープ
90を既知の従来技術の方法で製造する。このようなシーラントテープの一例は
、W.L.Gore & Associatesが製造するSKYFLEX(商
標)シーラントテープである。これらのシーラントテープはPTFEを押し出し
て、その後で伸張して作る。
PTFEは一軸方向または二軸方向に伸張することができる。このようなテー
プの一例は図4で示され、GO−AS−0001という部品番号で販売される。
テープの形状寸法は特定の用途にふさわしいように選択され、発明を限定しない
。例えばテープは完全に平面でよく、または異なる位置に異なる高さのリブを持
っていてもよい。この例では、ePTFEは0.5g/cm3に再低密化した。
しかしながら、用途によって要求されれば他の密度のシーラントテープが使用で
きる。
第2の工程では、腐食防止剤を大桶60内で溶媒と混合する。本発明の一つの
態様では、使用する防止剤は極性のPFPE(ペルフルオロポリエーテル)であ
り、使用する溶媒はフッ化素した溶媒である。この目的にふさわしいPFPEは
、FOMBLIN−Z(商標)およびFLUOROLINK(商標)の商標名で
Ausimontによって提供される。ふさわしいフッ素化溶媒は低分子量のP
FPEである。これらの例は、本発明の実施にふさわしい物質を説
明することのみを意図する。ふさわしい材料の更なる例は以下で示される。使用
するPFPEは、好ましくは1または2の極性末端基で官能化され、以下のよう
な一般的な構造を持つ。
ここで−ORはアルコキシ基である。
シーラントテープ90を大桶60の溶液70に浸漬する。シーラントテープ9
0を30秒〜5分までの時間沈めておく。沈めておく時間は、シーラントテープ
90が溶液70で飽和されるのを確実にするのに十分に長い必要がある。時間の
正確な長さは溶液の濃度だけでなく、処理するシーラントテープ90の形状寸法
にも依存する。
既知のように、ePTFEのような材料はその構造中に多くの気孔を持つ。溶
液70はこの気孔に吸収される。これらの気孔が完全に満たされると、シーラン
トテープ90はもはやそれ以上の溶液70を吸収できない。シーラントテープを
溶液から取り出せるのはこの時である。シーラントテープを溶液中に留めておく
時間の長さは、シーラントテープ90が大桶60の中にある間溶液70を撹拌す
ること、または超音波を使用して溶液70の混合およびシーラントテープ90に
よる吸収を促進して短縮できる。
あるいはシーラントテープ90に、腐食防止剤を直接または腐食防止剤を含む
溶液70を噴霧、ロール塗布またははけ塗りすること
ができる。
溶液70から取り出した後、シーラントテープ90を乾燥する。乾燥の時間は
、乾燥を行う雰囲気と共にシーラントテープ90の形状寸法および溶液70の成
分にも依存する。シーラントテープ90から全ての溶媒を蒸発させることを確実
にするために、十分な時間シーラントテープ90を乾燥すべきである。典型的な
乾燥時間は、上記の例では周囲温度で外気にさらす場合は4時間であろう。シー
ラントテープ90を加熱することまたは真空中に配置することによって、必要な
乾燥時間を短縮できる。
溶媒の蒸発させた後、シーラントテープ90を計量してもよい。それらは典型
的に10%〜130%の重量増加をしていることが分かる。よい耐腐食性は後で
示すように、シーラントテープの重量増加か20重量%より大きいときに得られ
る。
ここで、シーラントテープ90を適用する用意ができる。シーラントテープ9
0は航空機のパネルをシールするのにふさわしい。更にそれらは、車および列車
のような他の輸送手段のシールされる腐食されやすい金属部品にふさわしい。シ
ーラントテープを、活性な化合物で満たされるバッテリー燃料電池のような固定
対象物に使用することもよいだろう。
所望の方法で製造したシーラントテープの耐腐食性を示すために、図5Aで示
すような実験装置を作成した。2つのアルミニウムプレート100aおよび10
0bを2つのPTFEブロック120a、120b一緒に締めつけた。アルミニ
ウムプレート100aおよび100b、並びにブロック120aおよび120b
の間に、上記の方法で作ったシーラント110a、110bおよび110cを導
入した。アルミニウムプレート100aまたは100bの1つには、隙間(ga
p)に1つ以上のスリット113を設け、電解薬剤が
隙間の内部のアルミニウムを攻撃できるようにする。
2つの実験を使用してシーラントを試験した。図5Bに示す第1の実験では、
アルミニウム合金プレート100a、100bをブラインと共に大桶130に入
れた。一定の電位を電極140および電位源150によって2つのプレートにか
けた。参照電極145をブラインに導入して、アルミニウム合金プレート100
a、100bの電位を測定および調節する。アルミニウムプレート100a、1
00bの表面構造を観察によって調べた。第2の実験は電位をかけないで行った
。この実験は自由腐食条件を模擬実験した。
電位差計でのおよび視覚での検出による実験の結果を表1に要約する。表の1
番目の列は単に試料番号である。2番目の列は使用したシーラントテープのタイ
プを示し、W.L.Gore & AssociatesのSKYFLEX(商
標)テープシーラントの部品番号を参照する。3番目の列は使用した「典型的な
」防止剤の割合を示す。亜鉛−アルミニウムポリホスフェートのような、これら
の従来の防止剤は押し出しの前にPTFEに予め配合する。表の4番目の列は蒸
発後のePTFEの質量増加を示す。表の5番目の列は溶液70に防止剤が含ま
れるかどうか、およびそのタイプを示す。表の例では、4タイプのPFPEを使
用した。MF201およびMF407は一官能性のPFPEで、Montefl
uosから入手できる。PFPEは単独でも、混合物としても使用した。更に対
照として、PFPEを組み合わせないシーラントテープによってシールされるア
ルミニウムの腐食を、同じ実験装置を使用して調べた。これらの対照調査は表の
5番目の列では「なし」という語で示されている。
一定の電圧で表の7番目の列で与える時間、腐食させた結果を表の6番目の列
に示す。表のOは金属プレートが完全に腐食したことを示し、1つのXは激しい
腐食を示しおよびXXXXはほとんどまたは完全に腐食が観察されないことを表
す。同様に8番目の列は、9番目の列の日数で示す期間の自由腐食実験の結果を
示す。
表から分かるように、防止剤(この例ではPFPE)がシーラントテープに組
み入れられていない場合に腐食は激しい。しかしながら、PFPEの吸収によっ
てシーラントテープの重量が増加する場合は腐食が減少する。テープに組み入れ
られるPFPEがより多くなると、得られる結果はより良くなる。
図6はアルミニウムプレート100aまたは100bのうちの1つのスリット
の視覚的な観察結果を示す。図6Aは、アルミニウムプレート100a、100
bをブライン130に68日間入れて一定の電位をかけた後の腐食の結果を示す
。この例で使用したシーラント110は腐食防止剤を全く含んでいない。図6B
ではシーラント110は本発明によって加えられた腐食防止剤を含む。腐食は観
察されないことが分かるだろう。
更なる実験を行って、様々な腐食防止剤によって提供される耐腐食性の程度を
定量化する。図5Aおよび5Bに示すのと同じ実験装置を使用して、プレート1
00bのスリットの上部および底部で損傷の深さを測定し、プレート100bの
他の面でも測定した。結果を表2に示す。
この表で「全体」は、損傷がアルミニウムプレート100aおよび100bの
全体にわたって観察されることを意味する。「部分的」は、損傷がアルミニウム
プレート100aおよび100bのどちらかの限られた場所で観察されること、
またはアルミニウムプレート100aおよび100bに均一に分布することを意
味する。
得られた結果は、ホスフェート基で(MF201)およびシラン基で(MF4
07)官能化されたPFPE液が低いまたは中間の耐腐食活性を示すことを示す
。カルボン酸基で(FLUOROLINK C)またはヒドロキシル基で(FL
UOROLINK D)官能化されたPFPE液は、おそらく金属の表面にPF
PE液がよく付着するために、はるかに良い耐腐食活性を示す。
本発明の方法により製造されるシーラント材料の質量または重量の増加は、溶
液70の防止剤濃度を変化させて調整することができる。これを図7に示す。
この例ではGORE SKYFLEX(商標)GO−TS−00
08/4シーラントテープを、3種類の溶液のうちの1つに3分間入れて溶液を
撹拌する。その後、シーラントテープを周囲温度と圧力で12時間、続いてオイ
ル真空ポンプで2時間乾燥する。この3つの溶液から得られたものは表3に要約
できる。
図7のグラフから分かるようにシーラント材料の重量増加は、溶液70の防止
剤の濃度に直線的に比例する。
シーラント材料に防止剤を加えることは、更なる利点を持つことが分かった。
特にシーラント材料の重量増加が70重量%より大きい場合、シーラント材料は
よりよいシーラント特性を持つ。
上記の例では、シーラント材料を充填するのに使用した防止剤はPFPEであ
った。しかしながら、本発明はこのタイプの防止剤の使用に限定されない。研究
からは、使用する防止剤がシーラント材料からしみ出してシールすべき金属部品
10の表面に膜を形成できるようにすることによって、この発明が機能すること
が示された。その後、この膜は金属部品10を腐食から保護する。腐食防止剤と
して使用するのにふさわしい他の材料は、以下の特性を持たなければならない。
それらは使用するシーラント材料20(この場合はePTFE)と親和性があり
、これにより基礎シーラント材料に実質的に均一に分配できなければならない。
それらは金属の表面に防水
膜を形成することができなければならず、従って疎水性であるべきである。ある
いは、腐食防止剤は疎油性であってもよい。
実験は更に、最も有利に使用される防止剤は、極性であるか実質的に極性の性
質であるいわゆる定着(anchor)基を持つことを示した。これらの定着基
は電位によって、シールされる金属部品10の表面に引き寄せられる。例えばカ
ルボキシル基−COOHは極性であり、アルミニウム金属プレートの表面に自然
に形成される酸化アルミニウムの面によく付着することが知られている。カルボ
ン酸塩も極性で、鋼の表面によく付着する。
金属部品上における有機膜の薄層形成の速度論は、1991年のSan Di
ego:Academic PressによるAbraham Ulmanの「
An introduction to Ultrathin Organic
Film, From Langmuir−Blodget to Self
Assembly」という本で説明される。
これらの必要条件を考慮に入れ、表4に上げる材料を試験した。
官能化されたフルオロシリコーンは下記の一般的な構造を持っている。
官能化されたポリシロキサンは下記の一般的な構造を持っている。
官能化されたオレフィン共重合体(エチレン−ブチレン共重合体)は以下の一
般的な構造を持っている。
ここで末端基は前にPFPEに対して挙げたものと同じでよい。
要約すると、以下の材料がPTFEに組み込む防止剤としてふさわしいと考え
られる。
・PFPEまたは官能化されたPFPE。特に、カルボン酸、カルボキシレー
ト、アルコール、リン酸のモノ、ジおよびトリエステル、リン酸塩、カルボン酸
塩、シラン、アミン、アミド、エステル、エーテル、イソシアネート、ウレタン
、チオールおよびジチオールのような極性基の付加によって官能化されたPFP
E。このような化合物はAusimontによって製造され、GALDEN、F
ORMBLINおよびFLUOROLINKの商標名で販売されている。
・ポリシロキサン、官能化されたポリシロキサンまたはフッ素化ポリシロキサ
ン。上記のものと同じ官能基が使用できる。ポリシロキサンはWacker C
hemieから入手できる。官能化されたポリシロキサンはWacker Ch
emieまたはDow Chemicalsから入手できる。フッ素化ポリシロ
キサンはHoechstから商標名NUVAで入手できる。
・ポリブタジエンはHuls AGから商標名Polyolで入
手できる。上記の官能基と類似の官能基で官能化されたポリブタジエン。これら
はGoodrich Chemcalから商標名Hycarで入手できる。ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、および官能化されたブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体。これらもGoodrich Chemicalから入手でき
る。
・エチレン−プロピレン共重合体(Uniroyalが製造するいわゆるEP
Mポリマー)、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM共重合体と呼
ばれる)、上記の官能基で官能化されたEPMおよびEPDM共重合体、および
EPMおよびEPDM共重合体に基づく3元共重合体、並びにそれらの官能化さ
れた誘導体のようなポリオレフィン共重合体。加えて、Shell Chemi
calsが製造するKraton L−1203のようなエチレン−ブタジエン
共重合体が使用にふさわしいと考えられる。
・フルオロアルキル界面活性剤ポリマー(FSPと呼ばれる)は、Dow C
hemical社の米国特許第4,929,666号明細書(Schmidt他
)によって説明され、3M社から得られる。
・ポリエステル類およびポリエーテル類、並びに、ポリエステル、オリゴエス
テル、ポリエーテル、オリゴエーテル、フルオロアルキル、シロキサンまたはオ
レフィン単位から作られる共重合体またはブロック共重合体。
・シラン、カルボン酸およびそれらの誘導体(例えばエステル、塩およびアミ
ド)、アルカン、チオールおよびジチオール化合物のような低分子量の流体また
はワックス状の防止剤。
添加剤は描出した直線分子に限定されない。腐食防止剤材料としての添加剤の
効果は、少量の極性分子を持つ疎油性ポリマー鎖の存在によって確実にされる。
このため、例えば櫛状、星状、環状また
は樹木状構造の非直線鎖構造を持つ添加剤も添加剤として効果的であると考えら
れる。
更に、極性基をポリマー鎖の末端に結合すること、またはポリマーの主鎖若し
くは側鎖に組み込むことのいずれもできることに注意すべきである。
上記の防止剤の溶媒として以下のものが使用できる。
・アルコール(例えはイソプロパノール、IPA)。
・ケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルブチルケトン。
・塩素化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム。
・アルカン。
・低分子量のPFPE。
・水。
・上記溶媒の混合物。
説明では、使用する流体は溶媒と防止剤の溶液であるとした。しかしながら、
水またはアルコールベースの防止剤の分散液または懸濁液を使用することも可能
であろう。シーラント材料は、溶媒のない腐食防止剤だけからなる液体中に入れ
ることもできる。
更に、シーラント材料に腐食防止剤を適用する他の方法を使用することが可能
である。例えば腐食防止剤は気孔中にそれを吸収するシーラント材料の表面に噴
霧、ロール塗布またはペイントすることができるだろう。
更に、この説明で使用する基礎シーラント材料は延伸膨張ポリテトラフルオロ
エチレンであるとした。しかしながら、良好なシーラント材料であり、そしてま
た材料の気孔内への防止剤の吸収を可能にするのに十分多孔性でもあるという特
徴を持つ限り、他の材料を使用できよう。そのような材料の例は、相分離プロセ
スで製造される材料、例えばポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリプ
ロピレン、ポリスルホン、ナイロン、セルロースアセテート、並びにポリウレタ
ン若しくはポリシロキサンのような発泡体などである。
【手続補正書】
【提出日】1998年9月17日
【補正内容】
請求の範囲
1.使用前に、本質的に以下a)およびb)からなるシーラント材料。
a)30〜90重量%の多孔質基礎材料。
b)上記多孔質基礎材料中に分散することを必要条件とし、1以上の極性基の
付加により官能化されている電気化学的電位差による腐食を防止するための10
〜70重量%の腐食防止剤。
2.上記多孔質基礎材料が、ポリテトラフルオロエチレン、延伸膨張ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンとフルオロポリマーの配合物
、相分離プロセスで作られた材料または高分子発泡体からなる群より選ばれる請
求項1に記載のシーラント材料。
3.上記多孔質基礎材料が延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンである請求項
1に記載のシーラント材料。
4.上記腐食防止剤が、ペルフルオロポリエーテル、ポリシロキサン、ポリブ
タジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、
フルオロアルキル界面活性剤ポリマー、およびポリエステルの官能化された誘導
体、並びにそれらのフッ素化された誘導体からなる群より選ばれる請求項1に記
載のシーラント材料。
5.上記腐食防止剤がフルオロシリコーンである請求項1に記載のシーラント
材料。
6.上記腐食防止剤が、カルボン酸、カルボキシレート、アルコール、リン酸
のモノ、ジおよびトリエステル、リン酸塩、カルボン酸塩、シラン、アミン、ア
ミド、エステル、エーテル、イソシアネート、ウレタン、チオール、ジチオール
および無水マレイン酸からなる群より選ばれる1以上の極性基の付加によって官
能化されている請求項1に記載のシーラント材料。
7.上記腐食防止剤が、少なくとも1つのウレタン基の付加によって官能化さ
れている請求項6に記載のシーラント材料。
8.使用前に以下a)およびb)からなる請求項3に記載のシーラント材料。
a)40〜90重量%の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン。
b)10〜60重量%の腐食防止剤。
9.使用前に以下a)およびb)からなる請求項8に記載のシーラント材料。
a)30〜60重量%の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン。
b)40〜70重量%の腐食防止剤。
10.以下a)〜d)の工程を含む耐腐食性シーラント材料製造方法。
a)多孔質の基礎シーラント材料(90)を製造する第1の工程。
b)腐食防止剤の流体(70)を調製する第2の工程。
c)上記基礎シーラント材料(90)に上記流体を適用する第3の工程。
d)上記基礎のシーラント材料を乾燥して耐腐食性シーラント材料を作成する
第4の工程。
11.上記第3の工程が上記基礎シーラント材料を上記流体(70)に浸漬す
ること、または上記基礎のシーラント材料に上記流体(70)を噴霧、ロール塗
布若しくははけ塗りすることを含む耐腐食性シーラント材料を製造するための請
求項10に記載の方法。
12.上記第3の工程が、上記基礎のシーラント材料を上記流体(70)に浸
漬することを含む耐腐食性シーラント材料製造のための請求項10に記載の方法
。
13.上記基礎のシーラント材料が、ポリテトラフルオロエチレン、延伸膨張
ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンとフルオロポリマー
の配合物、相分離プロセスで作られる材料、または高分子発泡体からなる群より
選ばれる耐腐食性シーラント材料製造のための請求項10に記載の方法。
14.上記流体(70)が溶液、分散液または懸濁液である耐腐食性シーラン
ト材料製造のための請求項10に記載の方法。
15.上記流体(70)が溶液であって、その溶質が、上記基礎シーラント材
料中に分散しかつ、極性の性質の基を持つことを必要条件とする上記腐食防止剤
である耐腐食性シーラント材料製造のための請求項14に記載の方法。
16.上記腐食防止剤が、ペルフルオロポリエーテル、ポリシロキサン、ポリ
ブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体
、フルオロアルキル界面活性剤ポリマーおよびポリエステルの官能化された誘導
体、並びにそれらのフッ素化された誘導体からなる群より選ばれる耐腐食性シー
ラント材料製造のための請求項11に記載の方法。
17.上記腐食防止剤がフルオロシリコーンである耐腐食性シーラント材料製
造のための請求項16に記載の方法。
18.上記腐食防止剤が、カルボン酸、カルボキシレート、アルコール、リン
酸のモノ、ジおよびトリエステル、リン酸塩、カルボン酸塩、シラン、アミン、
アミド、エステル、エーテル、イソシアネート、ウレタン、チオール、ジチオー
ルおよび無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの極性基の付加
によって官能化されている耐腐食性シーラント材料製造のための請求項10〜1
7に記載に記載の方法。
19.溶媒がアルコール、ケトン、アルカン、水および低分子量ペルフルオロ
ポリエーテルまたはそれらの混合物からなる群より選ばれる耐腐食性シーラント
材料製造のための請求項10に記載の方法。
20.溶媒がアルコールである耐腐食性シーラント材料製造のための請求項1
5に記載の方法。
21.上記流体が以下a)およびb)からなる耐腐食性シーラント材料製造の
ための請求項14に記載の方法。
a)50〜80重量%腐食防止剤。
b)20〜50重量%の溶媒。
22.上記第4の工程が以下a)およびb)を含む耐腐食性シーラント材料製
造のための請求項10に記載の方法。
a)周囲温度と圧力で規定の時間乾燥する工程。
b)真空中で規定の時間乾燥する工程。
23.上記第4の工程が基礎シーラント材料を加熱することを含む耐腐食性シ
ーラント材料製造のための請求項10に記載の方法。
24.請求項10〜23のうちの1つに記載された方法で製造された耐腐食性
シーラント材料。
25.請求項1〜9若しくは請求項24のうちの1つに記載されたシーラント
材料で作られたシーラント(20)で分離される2つの金属プレート(10a、
10b)または金属プレートとプラスチックプレートの系。
26.請求項25に記載された系を組み込んだ航空機のような輸送手段。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H
U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,
MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R
O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM
,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU
(72)発明者 リッシュ,ハンス―ユルグ
ドイツ連邦共和国,デー―85521 オット
ーブルン,エゲルベーグ 8
(72)発明者 ヴァルテール,ヴォルフガング
ドイツ連邦共和国,デー―72175 ドルン
ハム,ムリッケシュトラーセ 10
(72)発明者 ヴィエセマン,アマデウス
ドイツ連邦共和国,デー―91166 ゲオル
ゲンスグムンド,ベルグリング 2 ア
【要約の続き】
持つことを必要条件とする上記腐食防止剤である。腐食
防止剤の一例はペルフルオロポリエーテルまたはその官
能化された誘導体である。