【発明の詳細な説明】
白血病マーカーとしておよび乳癌の予後において
有用な単離された核酸分子
発明の分野
本発明は、乳癌腫において増幅されそして過剰発現する4つの新規のヒト遺伝
子に関する。4つの遺伝子は、染色体17q11-q21.3に位置する。本発明はまた、
乳癌腫において発現され、そして染色体6q22-q23に位置する第5の新規のヒト遺
伝子に関する。第6の新規の遺伝子もまた記載され、これはヒトD52遺伝子のマ
ウスホモログである。
発明の背景
Lら、Lancet 341:973-978(1993); Fletcher,S.W.ら、J.Natl.Cancer Inst.8
5:1644-1656(1993))にもかかわらず、それに関連する転移は、乳癌の死の主要
な原因のままである(Frost,P.& Levin,R.,Lancet 339:1458-1461(1992))。
正常な細胞周期の制御から逃れた悪性細胞によって特徴づけられる形質転換の最
初の段階は、優性なオンコジーンの発現および/または腫瘍抑制遺伝子の欠失に
よって駆動される(Hunter,T.& Pines,J.,Cell 79:573-582(1994))。
腫瘍の進行は、原発性腫瘍の部位を離れ、そしてリンパ管または血管を通して
移動した後に、離れた場所で宿主の組織において増殖しそして二次腫瘍を形成す
るという悪性細胞の能力として考慮され得る(Fidler,I.J.,Cancer Res.50:61
30-6138(1990); Liotta,L.ら、Cell 64: 327-336(1991))。転移への進行は、形
質転換のみでなく、悪性細胞と宿主の細胞/組織との間の相互作用のカスケード
の結果にもまた依存する。これらの相互作用は、悪性細胞および宿主細胞の両方
における異なる遺伝子産物の合成および/または活性の分子的改変を反映し得
る。腫瘍の進行の制御に関わるいくつかの遺伝子が、細胞接着、細胞外マトリッ
クス分解、免疫監視、成長因子合成、および/または新脈管形成において同定さ
れ、そしてこれらに関係していることが示されている(Hart,I.R.& Saini,A..
,Lancet 339:1453-1461(1992); Ponta,H.ら、B.B.A.1198:1-10(1994); Berns
tein,L.R.& Liotta,L.A.,Curr.Opin.Oncol.6:106-113(1994); Brattain
,M.G.ら、Curr.Opin.Oncol.6:77-81(1994);およびFidler,I.J.& Ellis
,L.M.,Cell 79:185-188(1994)に総説されている)。
しかし、転移の形成および増殖に関わる機構を定義することは、乳癌研究にお
いて未だに主要な課題である(Rusciano,D.& Burger,M.M.,BioEssays 14:18
5-194(1992); Hoskins,K.& Weber,B.L.,Current Opinion in Oncology 6:5
54-559(1994))。転移の形成に導くプロセスは複雑であり(Fidler,I.J.,Cancer
Res.50:6130-6138(1990); Liotta,L.ら、Cell 64:327-336(1991))、従って、
関連する分子的事象を同定することは、至適な処置の選択にとって重要である。
発明の要旨
乳癌由来の転移性の腋窩のリンパ節からのcDNAライブラリーのディファレンシ
ャルスクリーニングにより、4つのクローン(MLN 50、51、62、および64)が本
発明者らにより単離され、そして第17染色体長腕のq11-q21.3領域に共存してい
ることが決定された。乳癌進行に関連するいくつかの遺伝子が、第17染色体の同
一の部分に割り当てられた。最も注目すべくは、q12中のオンコジーンc-erbB-2
、および最近クローン化されたq21中の腫瘍抑制遺伝子BRCA1であった。さらに、
D53遺伝子が、発現された配列タグ(先に同定されたD52遺伝子に相同であると同
定された)を用いて原発性の浸潤性乳腺腫のcDNAライブラリーから本発明者らに
よりクローン化され、そしてD53遺伝子は染色体6q22-q23に局在化された。
本発明の4つのMLN遺伝子は、乳癌の予後マーカーとして有用である。当該分
野で公知の予後判定因子(prognosticator)の群は、いずれもハイリスクおよびロ
ーリスクの患者を十分に識別するという目的を完全には成就しないが、予後因子
の組合せが患者の予後の予想を改善し得る。従って、本発明によりさらなる予後
マーカーが提供され、これらは、ハイリスクの乳癌患者とローリスクの乳癌患者
との間をより詳細に識別する当該分野で公知の予後判定因子の集団に加えられ得
る。本発明により、非腫瘍化乳房組織におけるMLN 50、51、62、または64遺伝子
の発現レベルまたは遺伝子コピー数と比較した場合の、乳癌組織における増強さ
れたMLN 50、51、62、または64遺伝子の発現レベルまたは遺伝子コピー数が、ハ
イリスクの乳癌患者の指標となる。
本発明は、急性の骨髄性白血病の異なるタイプを識別するための方法(これは
、白血病細胞をD52またはD53遺伝子発現についてアッセイすることを含む)をさ
らに提供する。これにより、D52転写物(mRNA)もしくはタンパク質の存在、ま
たはD53 mRNAもしくはタンパク質の欠失は、白血病細胞が骨髄球の特徴(例えば
、HL-60細胞)を有し、そしてD53 mRNAもしくはタンパク質の存在、またはD52 m
RNAもしくはタンパク質の欠失は、白血球細胞が赤血球性の特徴(例えば、K-562
細胞)を有することを示す。
アミノ酸配列が図14(A-B)、21(A-E)、6(A-B)、16(A-C)、24(B)、および25(B)
にそれぞれ示されるMLN 50、51、62、64、D53、またはマウス(m)D52ポリペプ
チドをコードする単離された核酸分子がまた提供される。別の局面において、本
発明は、ATCC受託番号第97608号、同第97611号、同第97610号、同第97609号、お
よび同第97607号としてそれぞれ寄託されたcDNAによりコードされるアミノ酸配
列を有するMLN 50、51、62、64、またはD53ポリペプチドをコードする単離され
た核酸分子を提供する。本発明のさらなる実施態様は、本発明の上記の単離され
た核酸分子に少なくとも90%、そして好ましくは少なくとも95%、97%、98%、
または99%同一である単離された核酸分子を含む。
本発明はまた、上記の単離された核酸分子を含むベクター、このベクターで形
質転換された宿主細胞、およびMLN 50、51、62、64、mD52、もしくはD53ポリペ
プチドまたはそれらのフラグメントの組換え技術による産生に関する。
本発明は図14(A-B)、21(A-E)、6(A-B)、16(A-C)、24(B)、および25(B)にそれ
ぞれ示されるアミノ酸配列を有する単離されたMLN 50、51、62、64、D53、また
はmD52ポリペプチドをさらに提供する。さらなる局面において、単離されたMLN
50、51、62、64、またはD53ポリペプチドが提供され、これらはATCC受託番号第9
7608号、同第97611号、同第97610号、同第97609号、および同第97607号としてそ
れぞれ寄託されたcDNAによりコードされるアミノ酸配列を有する。
図面の簡単な説明
図1。10個のMLN遺伝子の発現分析。ノーザンブロットは、MLN(レーン1)、
NLN(レーン2)、およびFA(レーン3)から単離された全RNAの10μgを含んだ
。5つのフィルターを調製し、そしてそれらの各々を2つのMLN cDNAプローブ(
MLN 62および50; MLN 74および51; MLN 19および64; MLN 10および137; MLN 4お
よび70)および内部ローディングコントロール36B4を用いて連続的にハイブリダ
イズした。rRNAサイズマーカー(S値)を示す(左)。
図2。インサイチュハイブリダイゼーションによるMLN 50、51、62、および64
遺伝子の染色体割り当て。(A)MLN 50、51、62、および64 cDNAプローブに対
する標識部位の分布を図示するヒトGバンド第17染色体のイディオグラム。(B
)第17染色体の長腕のq11-q21.3領域内のMLN遺伝子の推定の相対的割り当て。
図3。乳癌細胞株間のMLN 50、51、62、および64遺伝子の発現分析。乳癌細胞
株由来の10μgの全RNAを各レーンにロードした。ハイブリダイゼーションをMLN
50、51、62、および64に対応するプローブで連続的に行った。コントロールハイ
ブリダイゼーションをMLN19(c-erbB-2)、p53、および36B4で行った。mRNAのおお
よそのサイズをkbで示す(右)。
図4。ヒト乳房組織の線維腺腫、癌腫、およびリンパ節転移におけるCART1 mR
NAのノーザンブロット分析。各レーンは10μgの全RNAを含んだ。左から右へ、乳
房線維腺腫(FA、レーン1〜6)、癌腫(BC、レーン7〜16)、および転移リン
パ節(MLN、レーン17および18)に由来するRNAサンプルをロードした。ハイブリ
ダイゼーションをCART1に対する32P cDNAプローブを用いて行った。2000塩基長
の
CART1転写物が、種々のレベルで、いくつかの癌腫(レーン7、11、および13)
において、および1つの転移サンプル(レーン17)において発現した。36B4プロ
ーブ(Masiakowski,P.ら、Nucl.Acids Res.10:7895-7903(1982))を陽性の内部
コントロールとして用いた。オートラジオグラフィーはCART1のハイブリダイゼ
ーションについては2日間であったが、一方36B4ハイブリダイゼーションは16時
間曝された。
図5。ヒト乳癌腫および腋窩のリンパ節転移におけるCART1 mRNAのインサイチ
ュハイブリダイゼーション。正常乳房(A)、インサイチュ癌腫(C)、浸潤性
癌腫(B)、および転移リンパ節(D)の切片を、CART1に特異的なアンチセン
ス35S RNAプローブでハイブリダイズした。CART1は腫瘍の上皮細胞において強力
に発現したが、一方腫瘍の間質性の部分は全く陰性であった(B)。CART1転写物
は陽性の領域の至る所で均一に分布した(B〜D)。正常な管はCART1シグナルを
欠失していた(A)。センスヒトCART1 RNAプローブを用いた場合、バックグラウ
ンドをこえる有意な標識は見出されなかった(データ示さず)。明視野(A〜D)。
図6。ヒトCART1のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列。(A-B)ヌクレオチド
配列(配列番号1)には、5'から3'の方向に番号を付し、そしてオープンリーデ
ィングフレーム中のアミノ酸配列(配列番号2)を1文字コードにより示す。下
線を付したヌクレオチド配列は、Kozak配列およびpoly(A)付加シグナル配列
に対応する。推定のNLS配列を太字で記しそして点線で下線を付した。2つのC
リッチ領域を四角で囲み、HおよびC残基を太字で記す。制限TRAFドメインを灰
色の四角で囲んだ。矢印はスプライシング部位を、そして星印は終止コドンを示
す。
図7。CART1 C3HC3Dモチーフの一次構造および種々の種由来のRINGフィンガー
タンパク質との比較。これらの配列はPileUpプログラム(Feng,D.F.& Doolitl
e,R.F.,J.Mol.Evol.25:351-360(1987))を用いて互いに整列化された。括
弧内の数字は各タンパク質におけるモチーフのそれぞれの位置を示す。全ての配
列において同一な残基を太字で記し、そして保存された残基(R/K; I/V/L; Y/F;
D/E; N/Q; S/T)を灰色の四角で囲んだ。ギャップを用いてアラインメントを至適
化した:H,Homo(CART1(配列番号2)、RING1(配列番号13)、BRCA1(配列番号14)
、CD40bp(配列番号15)、SS-A/Ro(配列番号16)、MEL18(配列番号17));M,Mus(T
RAF2(配列番号18)、RPT-1(配列番号19));X,Xenopus(XNF7(配列番号20));
D,Drosophila(SU(z)2(配列番号21));S,Saccharomyces(RAD18(配列番号22))
;D,Dictyostelium(DG17(配列番号23))。
図8。全長CART1 cDNAのAvaII消化のパターン。(A)全長CART1 cDNA(配列番
号1)におけるAvaII部位(太字)の位置および配列。配列番号2の残基54〜60か
らの対応するタンパク質配列を1文字コードを用いて示す。Dを太字で記す。(
B)CART1 AvaII消化のゲル電気泳動のエチジウムブロミド染色。分子量(m.w.)
およびCART1フラグメントサイズをそれぞれ左側および右側に示す。
図9。CART1に存在する3つのオリジナルHC3HC3のCリッチモチーフの一次構
造およびCD40-bp、TRAF2、およびDG17の一次構造との比較。アラインメントおよ
び従来的な表記は上記の図7の説明文の記載と同様。CART1(101-154)(配列番号2
);CART1(155-208)(配列番号2);CART1(209-267)(配列番号2);CD40bp(134-18
9)(配列番号24);CD40bp(190-248)(配列番号25);TRAF2(124-176)(配列番号26)
;TRAF2(177-238)(配列番号27);DG17(193-250)(配列番号28)。
図10。制限TRAFモチーフの一次構造ならびにCD40-bp、TRAF1およびTRAF2の一
次構造との比較。配列および従来的な表記は上記の図7の説明文の記載と同様。
コンセンサス配列(配列番号32)をCART1(308-387)(配列番号2)、CD40bp(415-4
94)(配列番号29)、TRAF1(260-339)(配列番号30)、およびTRAF2(352-431)(配列番
号31)について示す。コンセンサス配列(配列番号36)をCART1(388-470)(配列番
号2)、CD40bp(495-567)(配列番号33)、TRAF1(340-409)(配列番号34)、およびTR
AF2(432-501)(配列番号35)について示す。
図11。ヒトCART1遺伝子およびタンパク質の構成要素。CART1遺伝子エキソン/
イントロン構成要素の模式図。エキソンに1から7の番号を付した。DNAコード
配列とタンパク質ドメインとの間の対応を示す(B,BamHI; ORF,オープンリーデ
ィングフレーム;UTR,非翻訳領域)。
図12。CART1、CD40-bp、TRAF2、およびDG17タンパク質構造の構成要素の比較
。RINGフィンガー、CARTモチーフ、αヘリックス、および制限TRAFドメインの大
きさおよび位置を、これらのタンパク質の各々についてそれらのタンパク質の構
成要素の類似性を強調して示す。
図13。ヒト組織におけるLasp-1 mRNA発現のノーザンブロット分析。(A)乳
房由来の転移リンパ節(レーン1および2)、乳癌腫(レーン3〜12)、線維腺腫
(レーン13〜17)、および乳房過形成(レーン18)から抽出された全RNA(10μg)を
ロードし、トランスファーし、そしてc-erbB-2、Lasp-1、およびRNAローディン
グコントロール36B4に特異的な32P標識プローブを用いてハイブリダイズした。
おおよその転写物の大きさを示す(右)。(B)正常リンパ節(レーン1)、正常皮
膚(レーン2)、正常肺(レーン3)、正常胃(レーン4)、正常結腸(レーン5)、正
常肝臓(レーン6)、SK-Br-3(レーン7)、BT-474(レーン8)、およびMCF-7(レー
ン9)から抽出した全RNAをロードし、トランスファーし、そしてc-erbB-2、Las
p-1、およびRNAローディングコントロール36B4に特異的な32P標識プローブを用
いてハイブリダイズした。おおよその転写物の大きさを示す(右)。
図14。ヒトLasp-1のヌクレオチドおよびアミノ酸配列。(A)ヒトLasp-1のヌ
クレオチド配列(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)。ヌクレオチド
およびアミノ酸残基の左および右にそれぞれ番号を付した。LIMドメインに関わ
るコンセンサス残基に下線を付し、そして太字にし、そしてSH3ドメインに関わ
る残基は再び太字にした。チロシンキナーゼリン酸化における推定のチロシン残
基に下線を付した。星印は終止コドンを示す。ポリアデニル化のためのシグナル
に下線を付した。(B)Lasp-1 cDNAの構造。影を付した四角はタンパク質コ
ード領域を示す。Lasp-1に対して相同性を有する、別に発現される配列タグの位
置を、その対応する長さおよび受託番号と共に示す。
図15。Lasp-1 LIMおよびSH3ドメインの他のタンパク質との比較。(A)Lasp-
1 LIMドメイン(配列番号4の残基1〜51)の他のLIMタンパク質との比較:YLZ4
(1-51)(配列番号37);hCRIP(1-55)(配列番号38);rCRP2(1-56)(配列番号39);rC
RP2(119-180)(配列番号40);TSF3(5-64)(配列番号41);TSF3(104-162)(配列番号
42))。コンセンサスLIMドメイン残基は太字で、同一の残基は点線で示し、(.)
はアラインメントにおけるギャップを示す。(B)Lasp-1 SH3ドメイン(配列番
号4の残基196-261)の他のタンパク質との比較:YLZ3(134-200)(配列番号43);
EMSI(486-550)(配列番号44);ABPI(526-592)(配列番号45);h/fyn(76-141)(配列
番号46);h/src(78-144)(配列番号47);h/frg(71-135)(配列番号48);h/yes(85-
152)(配列番号49)。同一の残基は点線で、整列させた配列の半分より多くで保存
または半保存された残基は太字で示し、(.)はアラインメントにおけるギャッ
プを示す。
図16。ヒトMLN64のヌクレオチドおよびアミノ酸配列。ヌクレオチド配列(配
列番号5)に5'から3'の方向に番号を付し、そしてオープンリーディングフレー
ム中のアミノ酸配列(配列番号6)を1文字コードにより示す。下線を付したヌ
クレオチド配列は、Kozakおよびpoly(A)付加シグナル配列に対応する。点線で下
線を付したヌクレオチド配列は、欠失し得る配列に対応する;◇欠失後の新たな
スプライシング部位;◆挿入部位。合成ペプチド配列を太字で記す。矢印はスプ
ライシング部位を、アスタリスクは終止コドンを示す。
図17。ヒトMLN 64遺伝子およびタンパク質の機構。MLN 64遺伝子エキソン/イ
ントロン機構の模式図。エキソンに1から15の番号を付す(陰影を付した四角お
よび白抜きの四角はそれぞれコードおよび非コードエキソン)。矢印はヌクレオ
チド置換、エキソン欠失、およびイントロン挿入部位を示す(a:エキソン2、C/T
置換、b:エキソン2、137bp 5'末端欠失、c:エキソン4、A/G置換、d:エキソン
4、13bp 3'末端欠失、e:イントロン6、199bp 5'末端挿入、f:エキソン7完全
欠失、gおよびh:イントロン9、51bpおよび657bp 5'末端挿入)。
図18。ヒト乳線維腺腫、癌腫、およびリンパ節転移におけるMLN 64 mRNAのノ
ーザンブロット分析。各レーンは10μgの全RNAを含む。左から右へ、乳線維腺腫
(レーン1〜6)、癌腫(レーン7〜14)、正常リンパ節(レーン15および16)、およ
び転移リンパ節(レーン17および18)に由来するRNAサンプルがロードされてい
る。ハイブリダイゼーションをMLN 64に対する32P cDNAプローブを用いて行った
。2000塩基長のMLN 64転写物は、種々のレベルで、いくつかの癌腫(レーン6、1
0、および11)、および転移サンプル(レーン16および17)において発現された。発
現の同一のパターンをerbB-2プローブを用いて観察した。36B4プローブ(Masiako
wski,P.ら、Nocl.Acids Res.10:7895-7903(1982))を陽性内部コントロールと
して用いた。オートラジオグラフィーは、MLN 64およびerbB-2のハイブリダイゼ
ーションについては2日間、一方、36B4ハイブリダイゼーションは16時間曝され
た。
図19。ヒト乳癌腫および腋窩のリンパ節転移におけるMLN 64 mRNAのインサイ
チュハイブリダイゼーション。正常乳房(A)、インサイチュ癌腫(C)、浸潤
性癌腫(B)、および転移リンパ節(D)の切片を、MLN 64に特異的なアンチセ
ンス35S RNAプローブでハイブリダイズした。MLN 64が腫瘍の上皮細胞において
強力に発現されたのに対し、腫瘍の間質性の部分は完全に陰性である(B)。MLN
64転写物は陽性領域の至る所で均一に分布されている(B〜D)。正常な管は、ML
N 64シグナルを欠失している(A)。センスヒトMLN 64 RNAプローブを用いた場合
、バックグラウンド上に有意な標識は見出されなかった(データ示さず)。明視野
(A〜D)。
図20。ヒト乳癌腫および腋窩のリンパ節転移の免疫組織化学。正常乳房(A)
、インサイチュ癌腫(C)、浸潤性癌腫(B)、および転移リンパ節(D)の切
片を、MLN 64タンパク質の存在について、モノクローナル抗体を用いて研究した
(材料および方法を参照のこと)。MLN 64は腫瘍の上皮細胞において強力に発現
されるのに対し、腫瘍の間質性の部分は完全に陰性である(B)。MLN 64タンパク
質は細胞質の束様構造中に局在化した(B〜D)。正常な管はMLN 64染色されない
(A)。
図21(A〜E)。ヒトMLN 51のヌクレオチドおよびアミノ酸配列。ヌクレオチド配
列(配列番号7)に5'から3'の方向に番号を付す。配列の長さは4253塩基であり
、そしてさらなる非翻訳233ヌクレオチドを5'末端上に含む。アミノ酸配列(配
列番号8)に5'から3'の方向に番号を付す(下)。配列の長さは534アミノ酸であ
る。
図22。CART1 cDNA配列に相同性を有する発現された配列タグ(EST)のアライン
メント。CART1ヌクレオチド配列の一部に相同性を有する9つのESTがGenBankに
おいて同定された。CART1遺伝子に関する受託番号およびアラインメントを示す
。CART1 ORFを四角で囲む。
図23。MLN 51 cDNA配列に相同性を有する発現された配列タグ(EST)のアライン
メント。MLN 51ヌクレオチド配列の一部に相同性を有する3つのESTがGenBankに
おいて同定された。MLN 51遺伝子に関する受託番号およびアラインメントを示す
。
図24(A)〜(B)。3 hD53 cDNAの模式図。(A)3 hD53 cDNAの模式図。クローン
83289および116783はWashington University-Merck ESTプロジェクトにより単離
されたcDNAを表し、そしてクローンUIは本研究中にヒト乳癌腫cDNAライブラリー
から単離されたcDNAを表す。影を付した領域は5'-UTR配列を、黒く塗った領域は
コード配列を、そして白抜きの領域は3'-UTR配列を示す。ポリA配列に関連する
ポリアデニル化シグナルを示し、クローン83289欠失、およびクローン83289の3'
-UTRにおけるAlu配列とした。(B)hD53 Ul cDNAについて決定されたヌクレオ
チド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。予想されるコード
配列は、1文字コードを用いて翻訳され(太字)、イタリック体の番号は翻訳産物
を示し、そしてその他の全ての番号はヌクレオチド配列を示す。3'-UTR内に、ポ
リアデニル化シグナル(ATTAAA、配列番号9のヌクレオチド1308-1313)を下線
を付して、太字で示し、これはpolyA付加(ヌクレオチド1325)に対応する部位
である。
図25(A)〜(B)。2つのmD52 cDNAの模式図。(A)アポトーシスのマウス乳腺c
DNAライブラリーから単離された2つのmD52 cDNAの模式図。影を付した領域は5'
-UTR配列を示し、黒塗りの領域はコード配列を示し、そして白抜きの領域は3'-U
TR配列を示す。ポリA配列に関連するポリアデニル化シグナルを示す。(B)mD5
2 Cl cDNAについて決定されたヌクレオチド配列(配列番号11)およびアミノ酸
配列(配列番号12)。予想されたコード配列は、1文字コードを用いて翻訳され(
太字)、イタリック体の番号は翻訳産物を示し、そしてその他の全ての番号はヌ
クレオチド配列を示す。3'-UTR内に、2つのポリアデニル化シグナル(両方とも
配列番号11のATTAAA、ヌクレオチド976-981、AATAAA、ヌクレオチド2014-2019)
を下線を付して、太字で示し、これはポリA付加(配列番号11のヌクレオチド101
2および2033)に対応する部位である。
図26(A)〜(B)。mD52、hD52、およびhD53のアラインメント。(A)プログラム
PileUpにより作製された1文字コードを用いて示されたmD52(配列番号12)、hD52
(配列番号50)、およびhD53(配列番号10)アミノ酸配列のアラインメント。配列の
上および下の数字は、mD52およびhD53それぞれにおけるアミノ酸位を示す。番号
付けは3つの配列について127残基まで同一であり、hD52およびmD53については
残基171まで同一である。垂直線およびコロンはmD52およびhD52配列、および/ま
たはhD52およびhD53配列にそれぞれ同一であるかまたは保存された残基を示す。
以下の置換が許容される:MILVA、GA、DE、TS、QN、YFW、RKH。N末端PESTドメ
イン(mD52中のLys10-Arg40、hD52中のArg10-Arg40、およびhD53中のMet1-Lys37
)、コイルド-コイルドメイン(mD52中のGlu29-Leu71、hD52中のAla22-Leu71、
およびhD53中のVal22-Leu71)、およびC末端PESTドメイン(mD52中のLys152-Pro185
、hD52中
のLys152-Lys179、およびhD53中のLys164-His184)を配列の上に示す。さらに、
N-グリコシル化の潜在的な部位(mD52中のAsn163およびAsn167、hD52中のAsn16 7
、ならびにhD53中のAsn82)に下線を付し、そして太字で示す。カゼイン11キナ
ーゼによるリン酸化の潜在的な部位(mD52中のSer26、Thr32、Thr44、Ser75、Ser136
;hD52中のSer26、Thr30、Ser32、Ser75、Ser136、Thr171;hD53中のThr17、
Ser32、Ser58、Ser86、Ser149、Ser174、Thr197)、プロテインキナーゼC(mD52
およびhD52中のThr122、Thr133;hD53中のThr52、Ser58、Ser122、Ser131、Thr1 46
、Ser160、Ser194)、cAMP-およびcGMP-依存性キナーゼ(mD52およびhD52中のSe
r100)、およびチロシンキナーゼ(hD53中のTyr130)は全て太字で示してある。
(B)1文字コードを用いて示されたmD52(配列番号12)、hD52(配列番号51)、お
よびhD53(配列番号10)配列中で同定されたアラインメントされたコイルドコイル
ドメイン。配列の下の番号は、3つの配列中のアミノ酸位を示す。abcdefgの7
リピートパターンを配列の上に示す。a位およびd位(コイルドコイルドメインの
疎水性のアミノ酸により頻繁に占有される)は太字で示し、そしてe位およびg位
(それぞれ負および正に帯電したアミノ酸により頻繁に占有される)に下線を付
してある。mD52、hD52、およびhD53配列がこのコンセンサスに一致するところで
は、関連の残基を対応して太字または下線を付して示す。
図27(A)〜(B)。(A)116783 hD53プローブでの標識部位の分布を図示したヒ
トGバンド第6染色体のイディオグラム。(B)インサイチュハイブリダイゼー
ションによるマウス第3染色体および第8染色体に対するmD52遺伝子の局在化。
WMPマウスRb(3;12)およびRb(8;9)染色体の図。第3染色体および第8染色体
上の標識部位の分布を示す。
図28。ヒト乳癌腫細胞株におけるhD52およびhD53転写物のレベルに対するエス
トラジオール処理の効果。ノーザンブロット分析を各サンプルについて10μgの
全RNAを用いて行った。各転写物の同一性およびサイズ(括弧内)を各パネルの
右に示し、一方対応するオートラジオグラフィーの曝露時間を左に示す。各細胞
株について、レーン1は正常培地(材料および方法を参照のこと)中で6日間増
殖した細胞由来の全RNAを示し、レーン2は正常培地中で1日間、そしてフェノ
ールレッドを含まない10%ステロイド枯渇FCSおよび0.6μg/mlインスリン補充DM
EM中で5日間増殖した細胞由来の全RNAを示し、レーン3は培養の最後の3日間
は培地に10-9Mのエストラジオールを補充したことを除いてレーン2と同様であ
り、そしてレーン4は培養の最後の3日間は培地に10-8Mのエストラジオールを
補充したことを除いてレーン2と同様である。ER+/ER-は以下に示す細胞株にお
けるエストロゲンレセプターの存在/非存在を示す。hD52およびhD53転写物は3
つの細胞株中で共発現され、両方の遺伝子についての転写レベルはMCF7細胞中の
エストラジオール刺激/欠乏により同様に影響を及ぼされ、BT-20細胞中での同一
の処理によっては影響を及ぼされなかった。hD52およびhD53転写物レベルに対す
る異なる効果が、BT-474細胞を用いた実験において表された。エストロゲンを誘
導可能なpS2遺伝子を、エストラジオール補充/欠乏の有効性についてのコントロ
ールとして用いた。予想されたとおり、エストラジオールの存在はER+細胞株中
でpS2発現を誘導したが、ER+細胞株BT-20中では誘導しなかった。全ての細胞株
について類似の結果を、別の時に行われた少なくとも1つの他の実験において得
た。
図29。ヒト白血病細胞株におけるhD52またはhD53転写レベルに対するTPA処置
の効果。ノーザンブロット分析を、10μgの全RNAを用いて各サンプルについて行
った。各転写物の同一性およびサイズ(括弧内)を各パネルの右に示し、一方対
応するオートラジオグラフィーの曝露時間を左に示す。(C)と記されたレーン
は正常培地(材料および方法を参照のこと)中で増殖した細胞由来の全RNAを示
し、(16)と記されたレーンは16nM TPAを補充した培地中で増殖した細胞由来の
全RNAを示し、そして(160)と記されたレーンは160nM TPAを補充した培地中で
増殖した細胞由来の全RNAを示す。レーンの上に示された時間は、各実験の開始
後いつ細胞が採集されたかを示す。(A)HL-60細胞のTPA処理は、hD52およびト
ランスフェリンレセプター(TR)の転写レベルをTPA処理の18時間後に減少させ
ることが見出された。hD53転写物はHL-60細胞株中では検出されなかった。類似
の結果を、別の時に行った少なくとも1つの他の実験において得た。(B)K-56
2細胞のTPA処理が、TPA処置の24時間後に、hD53およびトランスフェリンレセプ
ター(TR)の転写レベルを減少させることが見出された。hD52転写物はK-562細
胞中では検出されなかった。
図30。染色体領域17q11-q21の増幅を伴う3つの代表的乳癌腫瘍DNAのサザンブ
ロット分析。(L)および(T)は、末梢白血球および腫瘍組織からそれぞれ単
離された、対応するTaqI消化DNAサンプルを示す。ハイブリダイゼーションを、
プローブMLN 50、51、62、64、およびERBB2を用いて連続的に行った。ケース309
は、MLN 62、ERBB2、およびMLN64についての増幅を示す。ケース1191は、MLN 62
のみについての増幅を示す。ケース1512は、ERBB2およびMLN 64についての増幅
を示す。
図31。ヒト乳癌における17q11-q21アンプリコンマップ。行は各腫瘍サンプル
に対応し、カラムは各マーカーに対応する。デンシトメターを用いて決定された
遺伝子用量(増幅レベル)を4つのカテゴリーに再分した。白抜きの四角は正常
なコピー数を、影を付した四角は2〜5倍の増幅を、暗い影を付した四角は6〜
10倍増幅を、そして黒塗りの四角は>10倍増幅を表す。17q11-q21由来の座は、
最も動原体性の座位(MLN 62)から最もテロメリックな座(MLN 51)までのそれ
らの染色体の位置に従ってアラインメントされている。
図32。正常組織および腫瘍乳房組織におけるMLN 50、51、62、64、およびERBB
2のノーザンブロット分析。N1およびN2、正常乳房組織、T309、T1191およびT151
2、乳房腫瘍組織。ハイブリダイゼーションを、プローブMLN 50、51、62、64、
およびERBB2を用いて連続的に行った。36B4プローブを用いたコントロールハイ
ブリダイゼーションは、類似の量のmRNAを各々の場合においてロードしたことを
示す。右に、mRNAのおおよその大きさをkbで示す。ケース309は、正常乳房組織
と比較した、MLN62、ERBB2、およびMLN64についての過剰発現を示す。ケース119
1は、MLN62のみについての過剰発現を示す。ケーズ1512は、ERBB2およびMLN64に
ついての過剰発現を示す。
発明の詳細な説明
6つの新規遺伝子、MLN 50、51、62、64、D53、およびm52の単離および局在化
本発明者らは、悪性乳房組織で増幅されそして過剰発現される、第17染色体の
ロングアームに共局在化する4つの遺伝子を同定した。腫瘍進行に関連するこれ
らの遺伝子を同定およびクローン化するために、転移腋リンパ節に由来する乳癌
からのcDNAライブラリーの鑑別スクリーニングを行った。この方法は、悪性(ML
N)および非悪性(線維腺腫;FA)乳房組織を示す2つのプローブを使用するMLN
cDNAライブラリーをスクリーニングすることを包含した。非悪性であるが増殖
性組織であるので、FAをコントロール組織として選択し、それによって細胞増殖
に特徴的であるが悪性プロセスに関連のないmRNAを同定する確率を最小にした。
鑑別スクリーニング方法を、以下の実施例1およびBasset,P.ら,Nature 348:6
99-704(1990)に詳細に説明し、そして後者にはストロメライシン-3遺伝子の同定
を可能にすると記載されている(米国特許第5,236,844号も参照のこと)。
4つの異なるクローン(MLN 50、51、62、および64)を単離し、これらは、配
列が、組み合わせたGeneBank/EMBLとの比較によって決定されるようにこれまで
に特徴づけられた遺伝子またはタンパク質ファミリーに属さないcDNAに対応する
。中期細胞のインサイチュハイブリダイゼーションによって、本発明の4つの新
しい遺伝子を、第17染色体ロングアームのq11-q21.3領域に共局在化することを
決定した。乳癌進行に関与するいくつかの遺伝子は、第17染色体の同じ部分、最
も明確にはq12のオンコジーンc-erbB-2(Fukushige,S.I.ら,Mol.Cell.Biol
.6:955-958(1986))およびq21の最近クローニングした腫瘍抑制遺伝子BRCAI(H
all,J.M.ら,Science 250:1684-1689(1990);およびMiki,Y.ら,Science 266:
66-71(1994))に割りあてられている。これらの染色体割りあてに従って、本発
明者らは、c-erbB-2遺伝子の近位(MLN 62および50)および遠位(MLN 64および
51)の、ならびにBRCAI遺伝子に近位の4つの新規遺伝子をマッピングした。
第17染色体長腕上の多数の染色体セグメントが、乳房腫瘍発生における増幅の
ための標的であることが既に示されてきており(Muleris,M.ら,Genes Chrom.
Cancer 10: 160-170(1994);Kallioniemi,A.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
91:2156-2160(1994))、そして17q12は最も通常に増幅された染色体バンド領域
であることがわかった(Guan,X.Y.ら,Nat.Genet.8:155-161(1994))。一貫
して、乳癌において、c-erbB-2過剰発現は遺伝子増幅に最も頻繁に関連する(Sl
amon,D.J.ら,Science 235:177-182(1987);van de Vijver,M.ら、Mol.Cell
.Biol.7:2019-2023(1987))。
DNA増幅が、癌細胞が多くの遺伝子をアップレギュレートさせることによる腫
瘍進行に重要な役割をはたすことが、当該分野で仮定される(Kallioniemi,A.
Cancer 58:40-45(1994))。増幅は、オンコジーンならびに薬物耐性に関連する
遺伝子を標的することが公知である。遺伝子増幅の頻度および遺伝子コピー数は
、処置に応答しない患者において顕著に、乳癌進行中に増加し、これは増幅し
nn,U.ら,Intl.J.Cancer 58:40-45(1994);Guan,X.Y.ら,Nat.Genet.8:15
5-161(1994))。インビボでは、4つのMLN遺伝子が、テストした乳癌の10〜20%
で増幅を示した。
D52遺伝子は、初期浸潤性管乳癌からのcDNAライブラリーの鑑別スクリーニン
グによって単離されており(Byrne,J.A.ら,Cancer Res.55:2896-2903(1995)
)、そして癌細胞に排他的に過剰発現および局在化し、そして線維芽細胞のよう
な他の細胞タイプには過剰発現および局在化しないことが見いだされている。中
期細胞のインサイチュハイブリダイゼーションによって、D52は染色体8q21に局
在化した。ヒトゲノムのこの領域は、乳癌細胞株で増幅されることが注目されて
おり、そして乳癌中の全体の染色体8qアームの頻繁な増加がこの領域内のいくつ
かの重要な遺伝子座の存在を示し得ることが示唆された(Kallioniemi,A.ら,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2156-2160(1994))。
本発明者らは、hD52遺伝子に相同であると同定された発現した配列タグ(EST
)での、初期浸潤性管乳癌からのcDNAライブラリーの鑑別スクリーニングによっ
て、次いで、得られる陽性クローンの二次スクリーニングによって、D52のホモ
ログを単離している。D52ホモログをクローニングするための方法は、以下の実
施例5に詳細に説明される。D52タンパク質と52%の同一性を共有するタンパ
ク質をコードする1つのクローン(D53)が、本発明者らによって単離された。
中期細胞のインサイチュハイブリダイゼーションによって、本発明の新しい遺伝
子が第6染色体のq22-q23領域に局在化されることを決定した。
本発明者らはまた、hD52遺伝子のフラグメント(5'UTRの91 bpおよびコード配
列の491 bpを含む)でのスクリーニングによって、アポトーシスマウス乳腺cDNA
ライブラリーからのhD52遺伝子のマウスホモログを単離している。マウス(m)D52
をクローニングするための方法は、以下の実施例5に詳細に説明される。mD52ク
ローンは、hD52と82%相同性を共有する185アミノ酸タンパク質をコードする。
マウス中期細胞のインサイチュハイブリダイゼーションによって、本発明のmD52
遺伝子が、染色体3A1-3A2ならびに染色体8Cに局在化されることを決定された。
乳癌予後剤としてのMLN 50、51、62、および64
本発明の4つのMLN遺伝子は、乳癌の予後マーカーとして有用であるポリペプ
チドをコードする。予後マーカーが乳癌患者の管理に重要な情報を提供すること
が当該分野で公知である(Eliasら,J.Histotechnol.15(4):315-320(1992))
。例えば、初期乳癌における全身性アジュバント治療の適用について、高いおよ
び低い危険性の患者の同定は主要な問題である(McGuire,W.L.,N.Engl.J.M
ed.320:525-527(1989))。いくつかの古典的(腫瘍サイズ、リンパ節状態、組
織病理学、ステロイドレセプター状態)および二次生成予後因子(増殖速度、DN
A倍数性、オンコジーン、増殖因子レセプター、およびいくつかの糖タンパク質
)は、治療決定を行うために現在利用可能である(McGuire,W.L.,Prognostic
Factors for Recurrence and Survival,EDUCATIONAL BOOKLET AMERICAN SOCIET
Y OF CLINICAL ONCOLOGY,第25回Annual Meeting,89-92(1989);Contessoら,E
ur.J.Clin.Oncol.25:403-409(1989))。当該分野で公知の予後剤の群が、高
いおよび低い危険性の患者を完全に区別するための目的を完全に満たすが、予後
因子の組み合わせは患者の予後の予知を改良し得る(McGuire,W.L.,N.Engl.
J.Med.320:525-527(1989))。従って、本発明によって、高いおよび低い危険
性の乳癌患者間をより特定に区別するための当業者に公知の予後剤の群に加えら
れ得るさらなる予後マーカーが提供される。
本発明者らは、多くの場合、乳房腫瘍から得た細胞が4つのMLN遺伝子のうち
の少なくとも1つの顕著なより大きいコピー数を含み、そして「正常」乳房組織
、すなわち非腫瘍形成性乳房組織から得た細胞と比較したとき、MLN 50、51、62
、または64 mRNAおよび/またはタンパク質の顕著に増強したレベルを発現する
。従って、本発明は、乳癌の予後中に有用な方法を提供し、これは乳房組織にお
ける第1のMLN 50、51、62、または64遺伝子発現レベルまたは遺伝子コピー数を
アッセイすること、およびこの遺伝子発現レベルまたは遺伝子コピー数を第2の
MLN 50、51、62、または64遺伝子発現レベルまたは遺伝子コピー数と比較するこ
とを包含し、これによってこの第1の遺伝子発現レベルまたは遺伝子コピー数の
上記第2に対する相対レベルは乳癌に対する予後マーカーである。
本発明者らは、MLN 50、51、62、または64遺伝子の任意の増幅されない腫瘍過
剰発現を観察しなかった。従って、発明者らは理論によって結びつけることを意
図しないが、4つのMLN遺伝子が、例えば、遺伝子の調節配列の変化によるよう
な乳癌における遺伝子増殖以外のメカニズムによって活性化され得ないようであ
る。従って、本発明によって、独立した研究が増幅の存在と再発の増加した危険
性との間の関連を示しているので(Slamonら,Science 235:177(1987);Ravdin
およびChamness,Gene 159:19(1995))、遺伝子増幅および標準よりも増強され
た遺伝子発現は、乳癌予後に臨床的に関連する。
本発明の方法は、単独でまたは上記のものを含む乳癌予後のための当該分野で
公知の他のマーカーとともに使用され得る。「MLN 50、51、62、または64遺伝子
発現レベルをアッセイすること」により、第1の生物学的試料中のMLN 50、51、
62、もしくは64タンパク質レベルまたはMLN 50、51、62、もしくは64 mRNAレベ
ルを、第2の生物学的試料中のMLN 50、51、62、もしくは64タンパク質レベルま
たはmRNAレベルとの直接的または相対的のいずれかでの比較によって定性的また
は定量的に測定または評価することが意図される。「MLN 50、51、62、または64
遺伝子コピー数をアッセイすること」により、第1の生物学的試料中のMLN 50、
51、62、または64遺伝子コピー数を、第2の生物学的試料中のMLN 50、51、62、
または64遺伝子コピー数との直接的または相対的のいずれかでの比較によって定
性的または定量的に測定または評価することが意図される。
好ましくは、第1の生物学的試料中のMLN 50、51、62、もしくは64タンパク質
レベル、mRNAレベル、または遺伝子コピー数を測定または評価し、そして第2の
標準MLN 50、51、62、もしくは64タンパク質レベル、mRNAレベル、または遺伝子
コピー数と比較した。この標準は乳癌を有さない個体から得た第2の生物学的試
料である。当該分野で認識されるように、標準MLN 50、51、62、もしくは64タン
パク質レベル、mRNAレベル、または遺伝子コピー数が公知になるにつれて、比較
のための標準として繰り返して使用され得る。しかし、第1および第2の生物学
的試料が両方とも乳癌を有する個体から得られ得ることも当該分野で認識される
。このようなシナリオにおいて、相対的なMLN 50、51、62、もしくは64タンパク
質レベル、mRNAレベル、または遺伝子コピー数は、個体間の相対的な予後を提供
する。
「生物学的試料」は、MLN 50、51、62、もしくは64タンパク質;MLN 50、51、
62、もしくは64 mRNA;またはMLN 50、51、62、もしくは64遺伝子を含む個体、
細胞株、組織培養物、または他の供給源から得られる任意の生物学的試料が意図
される。好ましくは、生物学的試料には、腫瘍形成性または非腫瘍形成性乳房組
織が挙げられる。組織生検を得るための方法は当該分野で周知である。
本発明は、哺乳動物における乳癌についての予後指標として有用である。好ま
しい哺乳動物には、尾ありサル(monkey)、尾なしサル(ape)、ネコ、イヌ、
ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、およびヒトが挙げられる。特に好ましいのはヒトで
ある。
MLN 50、51、62、または64遺伝子コピー数をアッセイすることは、例えば、染
色体外二重微小(dmin)または組込まれた均一な染色領域(hsrs)を可視化する
ことによるような任意の公知の技法に従って行われ得る(Gebhartら,Breast Ca
ncer Res.Treat.8:125(1986);Dutrillauxら,Cancer Genet.Cytogenet.49:
203(1990))。比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)および染色体微小切開
および蛍光インサイチュハイブリダイゼーションに基づく方策のような他の技法
もまた、腫瘍細胞における増加したDNAコピー数の領域についての検索に使用さ
れ得る(Guanら,Nature Genet.8:155(1994);Mulerisら,Genes Chrom.Cance
r 10:160(1994))。4つのMLN遺伝子にハイブリダイズするDNAプローブを
以下に記載のように調製し得る。
総細胞RNAは、ChomczynskiおよびSacchi,Anal.Biochem.162:156-159(1987)
に記載の単一工程のグアニジウム-チオシアナート-フェノール-クロロホルム法
のような任意の適切な技法を使用して、正常および腫瘍形成性乳房組織から単離
され得る。AuffrayおよびRougeon,Eur.J.Biochem.107:303(1980)に記載のLi
CL/尿素法もまた使用され得る。次いで、MLN 50、51、62、または64m RNAレベル
を任意の適切な方法を使用してアッセイする。これらには、ノーザンブロット分
析、S1ヌクレアーゼマッピング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼ
連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT-PCR)、およびリガーゼ連鎖反応と組み合わ
せた逆転写(RT-LCR)が挙げられる。
ノーザンブロット分析は、Haradaら,Cell 63:303-312(1990)に記載のように
行われ得る。簡単にいうと、総RNAを上記のように生物学的試料から調製する。
ノーザンブロットについては、RNAを適切な緩衝液(例えば、グリオキサール/
ジメチル、スルホキシド/リン酸ナトリウム緩衝液)中で変性し、アガロースゲ
ル電気泳動にかけ、そしてニトロセルロースまたはナイロンフィルターに移す。
任意の適切な方法(例えば、32P-マルチプライムDNA標識システム(Amersham)
)に従って標識したMLN 50、51、62、または64 DNAがプローブとして使用される
。ハイブリダイゼーション後、フィルターを洗浄し、そしてX-線フィルムに曝す
。
本発明によるプローブとしての使用のためのMLN 50、51、62、または64 DNAを
以下に記載する。フラグメントを使用する場合、DNAプローブは少なくとも約15
〜30ヌクレオチドの長さであり、そして好ましくは、少なくとも約50ヌクレオチ
ドの長さである。
S1マッピングは、Fujitaら,Cell 49:357-367(1987)に記載のように行われ得
る。S1マッピングでの使用のためのプローブDNAを調製するために、MLN 50、51
、62、または64 cDNAのセンス鎖をテンプレートとして使用して、標識したアン
チセンスDNAを合成する。次いで、アンチセンスDNAは、適切な制限エンドヌクレ
アーゼを使用して切断されて、所望の長さのさらなるDNAプローブを生成し得る
。このようなアンチセンスプローブは、MLN 50、51、62、または64 mRNAに対応
す
る保護されたバンドを可視化するために有用である。ノーザンブロット分析は上
記のように行われ得る。
あるいは、MLN 50、51、62、または64 mRNAレベルは、Makinoら,Technique 2
:295-301(1990)に記載のRT-PCR法を使用してアッセイされる。この方法にょって
、ポリアクリルアミドゲルバンド中の増幅産物の放射活性は、標的mRNAの初期濃
度に直線的に関連する。簡単にいうと、この方法は、RTプライマーおよび適切な
緩衝液を含む反応混合物に生物学的試料から単離されたトータルRNAを添加する
ことを包含する。プライマーアニーリングのためのインキュベーション後、混合
物に、RT緩衝液、dNTP、DDT、RNaseインヒビター、および逆転写酵素を追加し得
る。RNAの逆転写を達成するためのインキュベーション後、次いで、RT産物を標
識したプライマーを使用するPCRにかける。あるいは、プライマーを標識するよ
りもむしろ、標識したdNTPがPCR反応混合物に含まれ得る。PCR増幅は、従来の技
法に従ってDNAサーマルサイクラーで行われ得る。増幅を達成するための適切な
ラウンド数の後、PCR反応混合物をポリアクリルアミドゲル上で電気泳動する。
ゲルを乾燥した後、適切なバンド(MLN 50、51、62、または64 mRNAに対応する
)の放射活性を、画像分析機を使用して定量する。RTおよびPCR反応成分および
条件、試薬およびゲル濃度、ならびに標識方法は、当該分野で周知である。RT-P
CR方法における改変は当業者には明らかである。
逆転写したMLN 50、51、62、または64 mRNAを増幅する任意のセットのオリゴ
ヌクレオチドプライマーが使用され得、そして以下に提供されるMLN 50、51、62
、または64 DNA配列に参照して設計され得る。
生物学的試料中のMLN 50、51、62、または64タンパク質レベルをアッセイする
ことは、当該分野で公知の方法を使用して行い得る。抗体に基づく技法が好まし
い。例えば、組織におけるMLN 50、51、62、または64タンパク質発現は、古典的
な免疫組織学的方法で研究され得る。これらにおいて、特異的認識が、一次抗体
(ポリクローナルまたはモノクローナル)によって提供されるが、二次検出シス
テムは、蛍光、酵素、または他の結合した二次抗体を利用し得る。結果として、
病理学的検査についての組織切片の免疫組織学的染色が得られる。組織はまた、
ウエスタンブロットまたはドット/スロットアッセイ(Jalkanen,M.ら,J.Cel
l.Biol.101:976-985(1985);Jalkanen,M.ら,J.Cell.Biol.105:3087-3096(
1987))のためのMLN 50、51、62、または64タンパク質の解放については、例え
ば、尿素および中性洗浄剤で抽出され得る。カチオン性固相の使用に基づくこの
技法において、MLN 50、51、62、または64タンパク質の定量は、標準として単離
されたMLN 50、51、62、または64を使用して達成され得る。この技法はまた、体
液に適用され得る。これらの試料について、MLN 50、51、62、または64タンパク
質のモル濃度は、血清、血漿、尿、脊髄液などのような種々の体液に対するMLN
50、51、62、または64タンパク質含量の標準値をセットすることを援助する。次
いで、MLN 50、51、62、または64量の正常な出現は、健常個体からの値を使用し
てセットされ得、これはテスト被験体から得られた値と比較され得る。
MLN 50、51、62、または64遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体に基づ
く方法には、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)およびラジオイムノ
アッセイ(RIA)のようなイムノアッセイが挙げられる。例えば、モノクローナ
ル抗体は、免疫吸着剤としておよび酵素標識したプローブとしての両方で使用さ
れて、MLN 50、51、62、または64タンパク質を検出および定量し得る。試料中に
存在するMLN 50、51、62、または64タンパク質の量は、直線回帰コンピュータア
ルゴリズムを使用して標準調製物中に存在する量を参照して計算され得る。この
ような腫瘍抗原を検出するためのELISAは、Iacobelliら,Breast Cancer Resear
ch and Treatment 11:19-30(1988)に記載される。他のELISAアッセイでは、2つ
の異なるモノクローナル抗体が使用されて、体液中のMLN 50、51、62、または64
タンパク質を検出し得る。このアッセイでは、抗体の一方が免疫吸着剤として、
そして他方が酵素標識プローブとして使用される。
上記の技法は、本質的に「1段階」または「2段階」アッセイとして行われ得
る。「1段階」アッセイは、MLN 50、51、62、または64タンパク質を固定した抗
体と接触させる工程、および洗浄することなくこの混合物を標識した抗体と接触
させる工程を包含する。「2段階」アッセイは、混合物を標識した抗体を接触さ
せる工程の前に洗浄する工程を包含する。他の従来の方法もまた適切なように用
いられ得る。支持体上にアッセイシステムの1つの成分を固定することが通常望
ましく、それによってこのシステムの他の成分をこの成分との接触を生じさせる
ようにして、そしてこの試料から容易に除去される。
適切な酵素標識は、例えば、基質と反応させることによる過酸化水素の産生を
触媒するオキシダーゼ群からのものを含む。グルコースオキシダーゼは、良好な
安定性を有しそしてその基質(グルコース)が容易に入手可能であるので、特に
好ましい。オキシダーゼ標識の活性は、酵素標識した抗体/基質反応によって形
成される過酸化水素の濃度を測定することによってアッセイされ得る。酵素の他
に、他の適切な標識には、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、
トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc)のよう
な放射性同位元素、ならびにフルオレセインおよびローダミンのような蛍光標識
、ならびにビオチンが挙げられる。
個体から得られた生物学的試料中でMLN 50、51、62、または64タンパク質レベ
ルをアッセイする工程の他に、MLN 50、51、62、または64タンパク質はまたイメ
ージングによってインビボで検出され得る。MLN 50、51、62、または64タンパク
質のインビボイメージングのための抗体標識またはマーカーには、X-放射線写真
法、NMR、またはESRによって検出可能なものが挙げられる。X-放射線写真法につ
いては、適切な標識には、バリウムまたはセシウムのような放射性同位元素が挙
げられ、これらは検出可能な放射を放射するが、被験体に明らかに有害ではない
。NMRおよびESRに適切なマーカーは、重水素のような検出可能な特徴的スピンを
有するものであり、これは、関連したハイブリドーマに対する栄養の標識によっ
て、抗体中に取り込まれ得る。
放射性同位元素(例えば、131I、121In、99mTc)、放射不透性基質、または核
磁気共鳴によって検出可能な物質のような適切な検出可能なイメージング部分で
標識されている抗体または抗体フラグメントは、乳癌について検査される哺乳動
物に(例えば、非経口で、皮下に、または腹腔内に)導入される。被験体のサイ
ズおよび使用されるイメージングシステムが診断イメージを生じるために必要な
イメージング部分の量を決定することは、当該分野で理解される。放射性同位元
素部分の場合は、ヒト被験体について、注入される放射活性の量は、通常約5〜
20マイクロキューリーの99mTcの範囲である。次いで、標識した抗体または抗体
フラグメントは、タンパク質を含む細胞の位置に優先的に蓄積する。インビボ
腫瘍イメージングは、S.W.Burchielら,Immunopharmacokinetics of Radiolabe
lled Antibodies and Their Fragments,TUMOR IMAGING: THE RADIOCHEMICAL DE
TECTION OF CANCER(S.W.BurchielおよびB.A.Rhodes編,Masson Publishing I
nc.(1982))に記載されている。
本発明における使用のための抗体は、完全なMLN 50、51、62、もしくは64タン
パク質またはその抗原性ポリペプチドフラグメントに対して惹起され得、これは
、アルブミンのようなキャリアタンパク質とともに、あるいは十分に長い(少な
くとも約25アミノ酸)ならばキャリアなしで、動物系(例えば、ウサギまたはマ
ウス)に提示され得る。本明細書で使用される場合、用語「抗体」(Ab)または
「モノクローナル抗体」(Mab)は、完全な分子、ならびにMLN 50、51、62、ま
たは64タンパク質に特異的に結合し得る抗体フラグメント(例えば、FabおよびF
(ab')2フラグメント)を含むことを意味する。FabおよびF(ab')2フラグメントは
、循環から明らかにより迅速に、完全な抗体のFcフラグメントを欠き、そして完
全な抗体の非特異的組織結合を有し得ない(Wahlら,J.Nucl.Med.24:316-325
(1983))。従って、これらのフラグメントが好ましい。
本発明の抗体は、種々の方法のいずれかによって調製され得る。例えば、MLN
50、51、62、あるいは64タンパク質またはその抗原フラグメントを発現する細胞
は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために、動物に投与され得
る。好ましい方法では、MLN 50、51、62、または64の調製物が調製され、そして
天然の夾雑物を実質的に含まないように精製される。次いで、このような調製物
は、より大きな比活性のポリクローナル抗血清を産生するために、動物に導入さ
れる。
最も好ましい方法では、本発明の抗体は、モノクローナル抗体(またはそのML
N 50、51、62、もしくは64結合フラグメント)である。このようなモノクローナ
ル抗体は、ハイブリドーマ技法を使用して調製され得る(Kohlerら,Nature 256
:495(1975);Kohlerら,Eur.J.Immunol.6:511(1976);Kohlerら,Eur.J.Im
munol.6:292(1976);Hammerlingら,MONOCLONAL ANTIBODIES AND T-CELL HYBRI
DOMAS,563-681(Elsevier,N.Y.,1981))。一般に、このような手順は、MLN 50
、51、62、あるいは64抗原で、またはより好ましくは抗原を発現する細胞
で、動物(好ましくはマウス)を免疫する工程を包含する。適切な細胞は、抗ML
N 50、51、62、または64抗体を結合する能力によって認識され得る。このような
細胞は、任意の適切な組織培養培地中で培養され得る;しかし、10%ウシ胎児血
清(約56℃で不活性化された)を追加し、そして約10μg/lの非必須アミノ酸、
約1,000 U/mlのペニシリン、および約100μg/mlのストレプトマイシンを追加し
たEarle's改変Eagle's培地中で細胞を培養するために好ましい。このようなマウ
スの脾臓細胞を抽出し、そして適切なミエローマ細胞株と融合する。任意の適切
なミエローマ細胞株が本発明に従って用いられ得る;しかし、アメリカンタイプ
カルチャーコレクション,Rockville,Marylandから入手可能な、親ミエローマ
細胞株(SP2O)を用いることが好ましい。融合後、得られるハイブリドーマ細胞
は、HAT培地中で選択的に維持され、次いで、Wandsら,Gastroenterology 80:22
5-232(1981)に記載されるように限定希釈によってクローニングされる。次いで
、このような選択によって得られるハイブリドーマ細胞をアッセイして、MLN 50
、51、62、または64抗原を結合し得る抗体を分泌するクローンを同定する。
本発明の抗体のFabおよびF(ab')2ならびに他のフラグメントが、本明細書に記
載の方法に従って使用され得ることが理解される。このようなフラグメントは、
代表的には、パパイン(FAbフラグメントを産生するために)またはペプシン(F
(ab')2フラグメントを産生するために)のような酵素を使用するタンパク質分解
切断によって産生される。あるいは、抗原結合フラグメントは、組換えDNA技法
の適用によってまたは合成化学によって産生され得る。
インビボイメージングを使用してヒトにおけるMLN 50、51、62、または64タン
パク質のレベルを検出する場合、「ヒト化」キメラモノクローナル抗体を使用す
ることが好ましいことであり得る。このような抗体は、上記のモノクローナル抗
体を産生するハイブリドーマ細胞に由来する遺伝子構築物を使用して産生され得
る。キメラ抗体を産生する方法は当該分野で公知である。Morrison,Science 22
9:1202(1985);Oiら,BioTechniques 4:214(1986);Cabillyら,米国特許第4,81
6,567号;Taniguchiら,EP 171496;Morrisonら,EP 173494;Neubergerら,WO
8601533;Robinsonら,WO 8702671;Boulianneら,Nature 312:643(1984);Neub
ergerら,Nature 314:268(1985)を参照のこと。
白血病の種々のタイプを区別するためのマーカーとしてのD52/D53遺伝子発現
本発明者らは、D52およびD53遺伝子の相対的な発現レベルが、白血病の種々の
タイプ間を区別するために使用され得ることを、さらに発見した。特に、本発明
者らは、D52遺伝子が骨髄球の特徴(HL-60細胞のような)を有する白血病細胞で
発現されるが赤血球の特徴(K562細胞のような)を有する白血病細胞では発現さ
れないことを観察した;しかしD53遺伝子発現については逆が真実である。従っ
て、本発明は、種々のタイプの白血病間を区別するための診断方法をさらに提供
し、これはD52またはD53遺伝子発現についての白血病細胞をアッセイする工程を
包含する;これによって、D52遺伝子発現の存在またはD53遺伝子発現の欠如は、
白血病細胞が骨髄球の特徴を有することを示し、そしてD53遺伝子発現のいずれ
かの存在またはD52遺伝子発現の欠如は、白血病細胞が赤血球の特徴を有するこ
とを示す。好ましくは、この方法を使用して、急性骨髄性白血病の種々のタイプ
を区別する。示されるように、本発明の方法は、D52またはD53遺伝子発現のいず
れかの存在または不在についてアッセイすることによって行われ得る。しかし、
好ましくは、両遺伝子の発現がアッセイされる。
ヒト(h)D52遺伝子は、Byrne,J.A.ら,Cancer Research 55:2896-2903(1995
)に詳細に記載され、そしてmD52遺伝子は以下に記載される。hD53遺伝子もまた
以下に記載される。白血病細胞におけるD52およびD53遺伝子発現を検出するため
の方法は、上記におよび以下の実施例に詳細に記載される。上記のように、D52
およびD53遺伝子発現は、対応するmRNAまたはタンパク質のいずれかを検出する
ことによってアッセイされ得る。
MLN 50、51、62、64、およびD53核酸分子、ポリペプチド、およびそのフラグメ
ント
図6(A〜B)、14(A〜B)、16(A〜C)、21(A〜E)、24(B)、および25(B)にそれぞれ
記載のMLN 62、50、64、51、D53、またはmD52のヌクレオチド配列(それぞれ、
配列番号1、3、5、7、9、および11)のような、本明細書で提供される情報
を使用して、開始物質としてmRNAを使用するcDNAをクローニングするための手順
のような、標準的クローニングおよびスクリーニング手順を使用して、本発明の
単離された核酸分子が得られ得る。
「単離された」核酸分子により、天然の環境から取り出されている、核酸分子
、DNA、またはRNAが意図される。例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は
、異種宿主細胞で維持される組換えDNA分子、または溶液中で(部分的または実
質的に)精製したDNA分子であるので、本発明の目的のために単離されると考え
られる。単離されたRNA分子は、本発明のDNA分子のインビトロRNA転写物を含む
。「単離された」ポリペプチドまたはタンパク質により、天然の環境から取り出
されたポリペプチドまたはタンパク質が意図される。例えば、宿主細胞中で発現
した組換え産生したポリペプチドおよびタンパク質は、例えば、SmithおよびJoh
nson,Gene 67:31-40(1988)に開示される単一段階精製方法のような任意の適切
な技法によって部分的または実質的に精製されている天然または組換えポリペプ
チドであるので、本発明の目的のために単離されると考えられる。単離された核
酸分子およびポリペプチドもまた、このような合成的に産生された化合物を含む
。
示されるように、本発明の核酸分子は、mRNAのようなRNAの形態で、あるいは
、例えば、クローニングまたは合成的に産生されることによって得られるcDNAお
よびゲノムDNAを含むDNAの形態であり得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり
得る。一本鎖DNAは、センス鎖としても公知であるコーディング鎖であり得、あ
るいは、アンチセンス鎖とも呼ばれる非コーディング鎖であり得る。
MLN 50、51、62、64遺伝子、およびD53遺伝子は、1996年6月14日に、アメリカ
ンタイプカルチャーコレクション,12301 Park Lawn Drive,Rockville,Maryla
nd 20852で寄託され、そして本明細書に示される受託番号が与えられた。
本発明のMLN 50、51、62、64、D53、およびmD52核酸分子を、以下により詳細
に議論する。
MLN 62
本発明は、アミノ酸配列が図6(A〜B)(配列番号2)に示されるCART1ポリペ
プチド(MLN 62 cDNAクローンに対応する)またはこのポリペプチドのフラグメ
ントをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。この
ような単離された核酸分子は、開始コドンが図6(A〜B)(配列番号1)に示すヌ
クレオチド配列の位置85〜87に位置するオープンリーディングフレーム(ORF)
を含むDNA分子を含み、そして開始コドンが図6(A〜B)(配列番号1)のヌクレ
オチド配列の位置85〜87にあるが、遺伝コードの縮重のため、CART1ポリペプチ
ドまたはそのフラグメントをなおコードする、ORFのすべてまたは一部とは実質
的に異なる配列を含むDNA分子をさらに含む。もちろん、遺伝コードは当該分野
で周知である。従って、上記の縮重改変体を生成することは、当業者には日常的
である。
本発明はさらに、1996年6月14日にATCC受託番号97610として寄託されたクロー
ンのcDNAによってコードされるようなアミノ酸配列を有するCART1ポリペプチド
をコードする単離された核酸分子を提供する。
本発明はさらに、図6(A〜B)(配列番号1)に示すヌクレオチド配列または上
記の寄託されたcDNAに含まれるCART1遺伝子のヌクレオチド配列を有する単離さ
れた核酸分子、またはそのフラグメントを提供する。このような単離されたDNA
分子およびそのフラグメントは、染色体とのインサイチュハイブリダイゼーショ
ンによる遺伝子マッピングのための、およびノーザンブロット分析によってヒト
組織(乳房およびリンパ節組織を含む)におけるCART1遺伝子の発現を検出する
ための、DNAプローブとして有用である。もちろん、上記のように、DNA分子が、
開始コドンが図6(A〜B)(配列番号1)の位置85〜87にあるORFを含むならば、C
ART1ポリペプチドまたはそのフラグメントを発現するためにも有用である。
MLN 50
本発明はまた、アミノ酸配列が図14(A〜B)(配列番号4)に示されるLasp-1ポ
リペプチド(MLN 50 cDNAクローンに対応する)またはこのポリペプチドのフラ
グメントをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。
このような単離された核酸分子は、開始コドンが図14(A〜B)(配列番号3)のヌ
クレオチド配列の位置76〜78にあるオープンリーディングフレーム(ORF)を含
むDNA分子を含み、そして開始コドンが図14(A〜B)(配列番号3)のヌクレオチ
ド配列の位置76〜78にあるが、遺伝コードの縮重のため、Lasp-1ポリペプチドを
なおコードする、ORFのすべてまたは一部とは実質的に異なる配列を含むDNA分子
をさらに含む。もちろん、遺伝コードは当該分野で周知である。従って、上記の
縮重改変体を生成することは、当業者には日常的である。
本発明はさらに、1996年6月14日にATCC受託番号97608として寄託されたクロー
ンのcDNAによってコードされるようなアミノ酸配列を有するLasp-1ポリペプチド
をコードする単離された核酸分子を提供する。
本発明はさらに、図14(A〜B)(配列番号3)に示すヌクレオチド配列または上
記の寄託されたcDNAに含まれるLasp-1遺伝子のヌクレオチド配列を有する単離さ
れた核酸分子、またはそのフラグメントを提供する。このような単離されたDNA
分子およびそのフラグメントは、染色体とのインサイチュハイブリダイゼーショ
ンによる遺伝子マッピングのための、およびノーザンブロット分析によってヒト
組織(乳房およびリンパ節組織を含む)におけるLasp-1遺伝子の発現を検出する
ための、DNAプローブとして有用である。もちろん、上記のように、DNA分子が、
開始コドンが図14(A〜B)(配列番号3)の位置76〜78にあるORFを含むならば、L
asp-1ポリペプチドまたはそのフラグメントを発現するためにも有用である。
MLN 64
本発明はまた、アミノ酸配列が図16(A〜C)(配列番号6)に示されるMLN 64ポ
リペプチドまたはこのポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチ
ドを含む単離された核酸分子を提供する。このような単離された核酸分子は、開
始コドンが図16(A〜C)(配列番号5)のヌクレオチド配列の位置169〜171にある
オープンリーディングフレーム(ORF)を含むDNA分子を含み、そして開始コドン
が図16(A〜C)(配列番号5)のヌクレオチド配列の位置169〜171にあるが、遺伝
コードの縮重のため、MLN 64ポリペプチドまたはそのフラグメントをなおコード
する、ORFのすべてまたは一部とは実質的に異なる配列を含むDNA分子をさらに含
む。もちろん、遺伝コードは当該分野で周知である。従って、上記の縮重DNA分
子を生成することは、当業者には日常的である。
本発明はさらに、1996年6月14日にATCC受託番号97609として寄託されたクロー
ンのcDNAによってコードされるようなアミノ酸配列を有するMLN 64ポリペプチド
をコードする単離された核酸分子を提供する。
本発明はさらに、図16(A〜C)(配列番号5)に示すヌクレオチド配列または上
記の寄託されたcDNAに含まれるMLN 64遺伝子のヌクレオチド配列を有する単離さ
れたDNA分子、またはそのフラグメントを提供する。このような単離されたDNA分
子およびそのフラグメントは、染色体とのインサイチュハイブリダイゼーション
による遺伝子マッピングのための、およびノーザンブロット分析によってヒト組
織(乳房およびリンパ節組織を含む)におけるMLN 64遺伝子の発現を検出するた
めの、DNAプローブとして有用である。もちろん、上記のように、DNA分子が、開
始コドンが図16(A〜C)(配列番号5)の位置169〜171にあるORFを含むならば、M
LN 64ポリペプチドまたはそのフラグメントを発現するためにも有用である。
MLN 51
本発明はまた、アミノ酸配列が図21(A-E)(配列番号8)に示されるMLN 51ポ
リペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む単離さ
れた核酸分子を提供する。このような単離された核酸分子は、開始コドンが図21
(A-E)(配列番号7)のヌクレオチド配列の位置234〜236にあるオープンリーデ
ィングフレーム(ORF)を含むDNA分子を含み、そして開始コドンが図21(A-E)(
配列番号7)のヌクレオチド配列の位置234〜236にあるが、遺伝コードの縮重の
ため、MLN 51ポリペプチドまたはそのフラグメントをなおコードする、ORFのす
べてまたは一部とは実質的に異なる配列を含むDNA分子をさらに含む。もちろん
、遺伝コードは当該分野で周知である。従って、上記の縮重DNA分子を生成する
ことは、当業者には日常的である。
本発明はさらに、1996年6月14日にATCC受託番号97611として寄託されたクロー
ンのcDNAによってコードされるようなアミノ酸配列を有するMLN 51ポリペプチド
をコードする単離された核酸分子を提供する。
本発明はさらに、図21(A-E)(配列番号7)に示すヌクレオチド配列または上
記の寄託されたcDNAに含まれるMLN 51遺伝子のヌクレオチド配列を有する単離さ
れたDNA分子、またはそのフラグメントを提供する。このような単離されたDNA分
子およびそのフラグメントは、染色体とのインサイチュハイブリダイゼーション
による遺伝子マッピングのための、およびノーザンブロット分析によってヒト組
織(乳房およびリンパ節組織を含む)におけるMLN 51遺伝子の発現を検出するた
めの、DNAプローブとして有用である。もちろん、上記のように、DNA分子が、開
始コドンが図21(A-E)(配列番号7)の位置234〜236にあるORFを含むならば、ML
N 51ポリペプチドまたはそのフラグメントを発現するためにも有用である。
D53
本発明はまた、アミノ酸配列が図24(B)(配列番号10)に示されるD53ポリペプ
チドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核
酸分子を提供する。このような単離された核酸分子は、開始コドンが図24(B)(
配列番号9)のヌクレオチド配列の位置181〜183にあるオープンリーディングフ
レーム(ORF)を含むDNA分子を含み、そして開始コドンが図24(B)(配列番号9
)のヌクレオチド配列の位置181〜183にあるが、遺伝コードの縮重のため、D53
ポリペプチドまたはそのフラグメントをなおコードする、ORFのすべてまたは一
部とは実質的に異なる配列を含むDNA分子をさらに含む。もちろん、遺伝コード
は当該分野で周知である。従って、上記の縮重DNA分子を生成することは、当業
者には日常的である。
本発明はさらに、1996年6月14日にATCC受託番号97607として寄託されたクロー
ンのcDNAによってコードされるようなアミノ酸配列を有するD53ポリペプチドを
コードする単離された核酸分子を提供する。
本発明はさらに、図24(B)(配列番号9)に示すヌクレオチド配列または上記
の寄託されたcDNAに含まれるD53遺伝子のヌクレオチド配列を有する単離されたD
NA分子、またはそのフラグメントを提供する。このような単離されたDNA分子お
よびそのフラグメントは、染色体とのインサイチュハイブリダイゼーションによ
る遺伝子マッピングのための、およびノーザンブロット分析によってヒト組織(
乳房およびリンパ節組織を含む)におけるD53遺伝子の発現を検出するための、D
NAプローブとして有用である。もちろん、上記のように、DNA分子が、開始コド
ンが図24(B)(配列番号9)の位置181〜183にあるORFを含むならば、D53ポリペ
プチドまたはそのフラグメントを発現するためにも有用である。
マウスD52
本発明はまた、アミノ酸配列が図25(B)(配列番号12)に示されるマウスD52ポ
リペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む単離さ
れた核酸分子を提供する。このような単離された核酸分子は、開始コドンが図25
(B)(配列番号11)のヌクレオチド配列の位置22〜24にあるオープンリーディン
グフレーム(ORF)を含むDNA分子を含み、そして開始コドンが図25(B)(配列番
号11)のヌクレオチド配列の位置22〜24にあるが、遺伝コードの縮重のため、D5
2ポリペプチドまたはそのフラグメントをなおコードする、ORFのすべてまたは一
部とは実質的に異なる配列を含むDNA分子をさらに含む。もちろん、遺伝コード
は当該分野で周知である。従って、上記の縮重DNA分子を生成することは、当業
者には日常的である。
本発明はさらに、図25(B)(配列番号11)に示すヌクレオチド配列を有する単
離されたDNA分子、またはそのフラグメントを提供する。このような単離されたD
NA分子およびそのフラグメントは、染色体とのインサイチュハイブリダイゼーシ
ョンによる遺伝子マッピングのための、およびノーザンブロット分析によってマ
ウスまたはヒト組織(乳房およびリンパ節組織を含む)におけるマウスまたはヒ
トD52遺伝子の発現を検出するための、DNAプローブとして有用である。もちろん
、上記のように、DNA分子が、開始コドンが図25(B)(配列番号11)の位置22〜24
にあるORFを含むならば、マウスD52ポリペプチドまたはそのフラグメントを発現
するためにも有用である。
本発明の単離された核酸分子のフラグメント、誘導体、および改変体
図6(A-B)、14(A-B)、16(A-C)、21(A-E)、24(B)、または25(B)(それぞれ、配
列番号1、3、5、7、9、または11)に示すヌクレオチド配列を有する単離さ
れたDNA分子の「フラグメント」とは、上記のDNAプローブとして有用である少な
くとも15 bp、好ましくは少なくとも20 bp、およびより好ましくは少なくとも30
bpの長さのDNAフラグメントを意図する。もちろん、約50〜2000 bp長のより長
いDNAフラグメントはまた、図6(A-B)、14(A-B)、16(A-C)、21(A-E)、24(B)、ま
たは25(B)(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、または11)に示すヌクレ
オチド配列のすべてではないにしろほとんどに対応するDNAフラグメントである
ので、本発明によるDNAプローブとして有用である。例えば、少なくとも20 bp長
のフラグメントとは、寄託されたcDNAのヌクレオチド配列あるいは図6(A-B)、1
4(A-B)、16(A-C)、21(A-E)、24(B)、または25(B)(それぞれ、配列番号1、3、
5、7、9、または11)に示すヌクレオチド配列からの20以上の連続する塩基を
含むフラグメントを意図する。示したように、このようなフラグメントは、従来
のDNAハイブリダイゼーション技法に従ったプローブとして、またはポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)による標的配列の増幅のためのプライマーとしてのいずれか
で診断的に有用である。
例えば、本発明者らは、全長ヒトcDNA(ヌクレオチド1〜2004)に対応する標
識したDNAプローブを構築して、ノーザンブロット分析を使用してヒト組織でのC
ART1遺伝子発現を検出した(下記の実施例2を参照のこと)。さらに、本発明者
らは、1.0 kb BamHIフラグメントに対応する標識したDNAプローブを構築して、
ノーザンブロット分析を使用してヒト組織でのLasp-1遺伝子発現を検出した(下
記の実施例3を参照のこと)。本発明者らはまた、図16(A-C)(配列番号5)の
ヌクレオチド1〜2008に対応する標識したDNAプローブを構築して、ノーザンブ
ロット分析を使用してヒト組織でのMLN 64遺伝子発現を検出した(下記の実施例
4を参照のこと)。なおさらに、MLN 64の5'プローブを、EcoRIフラグメント(
図16(A-C)のヌクレオチド60〜2073(配列番号5))に対応する3'プローブであ
るので、(PCRによって)増幅したDNAフラグメント(図16(A-C)のヌクレオチド
1〜81(配列番号5))を使用して得た。最終的に、本発明者らはまた、クロー
ン116783の842 bpインサート(図1(A))を標識して、U1クローン(現在はD53)
を単離し、ならびにノーザンブロット分析を使用してヒト組織でのD53発現を検
出した(下記の実施例5を参照のこと)。
MLN 62、50、64、51遺伝子およびD53遺伝子が寄託されそして図6(A-B)、14(A
-B)、16(A-C)、21(A-E)、24(B)、および25(B)(それぞれ、配列番号1、3、5
、7、9、または11)に示されるヌクレオチド配列が提供されるので、本発明の
このようなDNAフラグメントを生成することは、当業者には日常的である。例え
ば、
制限エンドヌクレアーゼ切断または超音波処理による剪断は、種々のサイズのフ
ラグメントを生成するために容易に使用し得た。あるいは、本発明のDNAフラグ
メントは、公知の技法に従って合成によって生成され得た。
本発明の好ましい核酸分子は、MLN 62、50、64、51、mD52、またはD53タンパ
ク質の成熟形態および/または追加の配列(例えば、リーダー配列をコードする
配列)、または成熟ポリペプチドのコード配列を、上記の追加のコード配列を含
むかまたは含まずに、追加の非コード配列とともにコードし、この非コード配列
としては、例えば、イントロンならびに非コーディング5'および3'配列(例えば
、転写、mRNAプロセシング(スプライシングおよびポリアデニル化シグナルを含
む)、リボソーム結合、およびmRNA安定性で役割を演じる転写された翻訳されな
い配列);および迫加のアミノ酸(例えば、追加の機能性を提供するアミノ酸)
をコードする追加のコード配列が挙げられるがこれらに限定されない。従って、
例えば、ポリペプチドは、ペプチドのようなマーカー配列に融合され得、これは
融合したポリペプチドの精製を容易にする。本発明のこの局面のある好ましい実
施態様では、マーカー配列は、特に、pQEベクター(Qiagen,Inc.)で提供され
るタグのようなヘキサヒスチジンペプチドであり、その多くは市販で入手可能で
ある。Gentzら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821-824(1989)に記載のように
、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の便利な精製を提供する。HAタ
グは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応し
、これはWilsonら,Cell 37:767(1984)に記載されている。
本発明は、さらに、本発明の単離された核酸分子の改変体に関し、これは、ML
N 62、50、64、51、mD52、またはD53タンパク質のフラグメント、アナログ、ま
たは誘導体をコードする。改変体は、対立遺伝子改変体のように、天然に生じ得
る。天然に生じない改変体は、当該分野で公知の変異誘発技法を使用して産生さ
れ得、これにはヌクレオチドの置換、欠失、または付加によって産生されるもの
を含む。これらの中で特に好ましいものは、サイレントまたは保存的な置換、付
加、および欠失であり、これはMLN 62、50、64、51、mD52、またはD53タンパク
質あるいはそのフラグメントの特性および活性を変更しない。
本発明のさらなる実施態様は、本発明の上記の単離された核酸分子と少なくと
も90%同一、およびより好ましくは少なくとも95%、97%、98%、または99%同
一である単離された核酸分子を含む。特に、本発明は、寄託されたcDNAあるいは
図6(A-B)、14(A-B)、16(A-C)、21(A-E)、24(B)、または25(B)(それぞれ、配列
番号1、3、5、7、9、または11)に含まれるヌクレオチド配列と少なくとも
90%、95%、97%、98%、または99%同一の単離された核酸分子に関する。
本発明によれば、2つの核酸配列間の「%同一性」は、デフォールトパラメー
タとともに「fastA」コンピュータアルゴリズム(Pearson,W.R.およびLipman,
D.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988))を使用して決定され得る。
本発明のこのような95%、97%、98%、または99%同一の核酸分子の使用は、特
に、(1)cDNAライブラリー中のMLN 62、50、64、51、mD52、hD52、またはD53遺伝
子あるいはその対立遺伝子改変体を単離すること;(2)Vermaら,HUMAN CHROMOSO
MES: A MANUAL OF BASIC TECHNIQUES(Pergamon Press,NY,1988)に記載のよう
にMLN 62、50、64、51、mD52、hD52、またはD53遺伝子の正確な染色体位置を提
供するための中期染色体展開物へのインサイチュハイブリダイゼーション(FISH
);および(3)特定の組織におけるMLN 62、50、64、51、mD52、hD52、またはD53
mRNA発現を検出するためのノーザンブロット分析を包含する。
表現型がサイレントなアミノ酸置換をどのように作製するかに関する指針は、
Bowie,J.U.ら,Science 247:1306-1310(1990)で提供され、ここで著者らは、ア
ミノ酸配列の変化に対する許容度を研究するための2つの主なアプローチがある
ことを示している。第1の方法は、変異が自然選択によって受け入れられるかま
たは拒絶されるかのいずれかである進化のプロセスをあてにする。第2のアプロ
ーチは、クローン化遺伝子の特定の位置でのアミノ酸変化を導入するための遺伝
子工学、および機能性を維持する配列を同定するための選択またはスクリーニン
グを使用する。著者らが述べるように、これらの研究は、タンパク質がアミノ酸
置換に驚くほど耐性であることを明らかにした。著者らはさらに、どのアミノ酸
変化がタンパク質の特定の位置で許されるようであるかを示す。例えば、ほとん
どの埋め込まれたアミノ酸残基は、非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖のいく
つかの特徴は一般的に保存される。他のこのような表現型がサイレントの置換は
、Bowie,J.U.ら,Science 247:1306-1310(1990)に記載され、そしてこの参
考文献は本明細書に援用されている。
本発明はさらに、寄託されたcDNAあるいは図6(A-B)、14(A-B)、16(A-C)、21(
A-E)、24(B)、または25(B)(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、または11
)に示される核酸配列の1つに相補的なまたは直接ハイブリダイズする配列を有
する核酸分子にストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る核酸分子に関す
る。「ストリンジェント条件」とは、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl
、15mM クエン酸3ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×Denh
ardt's溶液、10%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNA(ssD
NA)を含む溶液中で42℃での一晩のインキュベーション、次いで約65℃で0.1×S
SC中でフィルターを洗浄することを意図する。
本発明に従って作成した改変体核酸分子の例を以下に議論する。本発明者らは
、ヌクレオチドの置換、欠失、および/または挿入から生じる多くのMLN 64遺伝
子改変体をクローニングおよび同定した。興味深いことに、改変は主にエキソン
/イントロン境界で生じた。これはMLN 64改変体が不完全なスプライシングプロ
セスから生じたことを示唆する。MLN 64遺伝子のこれらの改変体は、以下の表VI
に記載され、そして以下を含む:それぞれアミノ酸32でLeuからPheへおよびアミ
ノ酸117でGlnからArgへ変化させる、ヌクレオチド262でのCからTのおよびヌク
レオチド518でのAからGの2つの置換(表VI、改変体AおよびB);MLN 64タ
ンパク質における33アミノ酸欠失を導く、ヌクレオチド716から814の99bp欠失(
すなわち、412アミノ酸改変体タンパク質を生じるアミノ酸184〜216の欠失)(
表VI、改変体C);挿入部位の48bp下流に停止コドンを生成しそしてC末端に16
の異常なアミノ酸を含む281アミノ酸キメラC末端短縮型タンパク質を生じる、
ヌクレオチド963〜964間の51bp挿入(表VI、改変体D);C末端に20の異常なア
ミノ酸を含む285アミノ酸キメラC末端短縮型タンパク質を生じる、ヌクレオチ
ド963〜964間の657bp挿入(表VI、改変体E);MLN 64の121 N末端アミノ酸お
よびC末端部分に126の異常なアミノ酸を含む247アミノ酸キメラC末端短縮型タ
ンパク質に導くフレームシフトを生じる、上記の99bp欠失およびヌクレオチド53
1〜543の13bp欠失(表VI、改変体F);および開始ATGコドンの喪失、上記の13b
p欠失、およびMLN 64の138C末端アミノ酸を含むN末端短縮型タンパク質をコー
ド
するヌクレオチド715の下流の199bp挿入を導く、ヌクレオチド115〜251の137bp
欠失(表VI、改変体G)。
上記に基づき、これらの7つの異なる改変体A〜Gおよびそれらがコードする
ポリペプチドを生成することは、当業者には日常的である。例えば、以下の実施
例4に詳細に議論されるように、本発明者らは、転移性腋窩リンパ節組織、SKBR
3乳癌細胞株、および非形質転換胎盤組織から得たcDNAライブラリーからこれら
の改変体をクローニングした。さらに、いくつかの改変体はまた、配列が図16(A
-C)(配列番号5)に示されるMLN 64遺伝子の部位特異的変異誘発によって生成
され得た。
さらなる局面では、本発明は、上記のポリヌクレオチドのいずれかのヌクレオ
チド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに関する。
発現された配列タグ
発現された配列タグ(EST)は、mRNAに対応するランダムに選択されたcDNAク
ローンからの配列のセグメントである(Adams,M.D.ら,Science 252:1651-1656
(1991);Adams,M.D.ら,Nature 355:632-634(1992);Adams,M.D.ら,Nat.Gen
et.4:373-380(1993))。CART1(MLN 62)ヌクレオチド配列の一部に少なくとも
部分的に相同性を有する9つのESTは、GenBankにおいて本発明者らによって同定
された(Accession No.T64889、T97084、R37445、R61143、T96972、R12544、T4
0174、R61861、およびT41053)。CART1ヌクレオチド配列に対するこれらのESTの
アラインメントを、図22に提供する。
Lasp-1(MLN 50)ヌクレオチド配列の一部に少なくとも部分的に相同性を有す
る22のESTは、GenBankにおいて本発明者らによって同定された(Accession No.T
15543、T33692、T32123、T34158、F04305、T33826、T32139、T51225、D12116、T
61881、T51339、T24771、T10815、T60382、M86141、T34342、T08601、T32161、T
34065、Z45434、T08349、およびF06105)。Lasp-1ヌクレオチド配列に対するこ
れらのESTのアラインメントを、図14(C)に提供する。
MLN 64ヌクレオチド配列の一部に少なくとも部分的に相同性を有する14のEST
は、GenBankにおいて本発明者らによって同定された(Accession No.M85471、T
49922、T85470、T85372、R02020、S70803、R02021、17500、R41043、R36697、R3
7545、R42594、R48774、およびR48877)。
MLN 51ヌクレオチド配列の一部に少なくとも部分的に相同性を有する3つのES
Tは、GenBankにおいて本発明者らによって同定された(Accession No.Z25173、
D19971、よびD11736)。MLN 51ヌクレオチド配列に対するこれらのESTのアライ
ンメントを図23に提供する。
D53ヌクレオチド配列の一部に少なくとも部分的に相同性を有する3つのESTは
、GenBankにおいて本発明者らによって同定された(Accession No.T89899、T68
402、およびT93647)。
単離されたRNA分子
本発明はさらに、上記の寄託されたcDNA、図6(A-B)、14(A-B)、16(A-C)、21(
A-E)、24(B)、または25(B)(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、または11
)に示される核酸配列、あるいはそのフラグメントの1つのインビトロ転写物で
ある単離されたRNA分子を提供する。このようなRNA分子は、インサイチュハイブ
リダイゼーションによってCART1、Lasp-1、MLN 64、MLN51、mD52、hD52、または
D53遺伝子発現を検出するためのアンチセンスRNAプローブとして有用である。例
えば、本発明者らは、CART1 cDNAのBgIIIフラグメント(図6(A-B)(配列番号1
)のヌクレオチド279〜1882に対応する)のインビトロ転写によって、標識した
アンチセンスRNAプローブを生成した。RNAプローブを使用して、悪性上皮細胞お
よび浸潤癌におけるCART1遺伝子発現を検出した(下記、実施例2を参照のこと
)。本発明者らはまた、インビトロ転写によって、ヒトMLN 64 cDNAに特異的な
標識したアンチセンスRNAプローブを生成した。このRNAプローブを使用して、悪
性上皮細胞および浸潤性癌におけるMLN 64遺伝子発現を検出した(下記、実施例
4を参照のこと)。
ポリペプチドおよびそのフラグメント
CART1ポリペプチド
本発明はさらに、ATCC受託番号97610として寄託されたcDNAによってコードさ
れるような、または図6(A-B)(配列番号2)に示されるようなアミノ酸配列を
有する単離されたCART1ポリペプチド、あるいはそのフラグメントを提供する。C
ART1ポリペプチドは、発明者らが示したものは乳癌腫細胞の核に局在し、これは
3つの主要な構造ドメインを示す約470残基のタンパク質である。第1に、シス
テインリッチなドメインは、おそらくタンパク質−タンパク質結合に関連する、
普通でないRINGフィンガーモチーフに対応するタンパク質のN末端部分(図6(A
-B)(配列番号2)のアミノ酸残基18〜57)に位置した。第2に、元のシステイ
ンリッチなドメインは、タンパク質のコア(図6(A-B)(配列番号2)のアミノ
酸残基83〜282)に位置した。そしてこれは、CARTモチーフと命名され、おそら
く核酸および/またはタンパク質−タンパク質結合に関連する、HC3HC3コンセン
サスモチーフの3回くり返しによって構成される。第3に、CART1タンパク質の
C末端部分は、タンパク質/タンパク質相互作用に関連することが知られている
TRAFドメイン(図6(A-B)(配列番号2)のアミノ酸残基308〜470)に対応する
。
RING、CART、およびTRAFドメインの同様の会合は、ヒトCD40結合タンパク質に
おいておよびマウス腫瘍壊死因子(TNF)レセプター関連因子2(TRAF2)におい
て当該分野で観察されており、両方ともTNFレセプターファミリーによって媒介
されるシグナル伝達に、および発生的に調節されるDictyostelium discoideum D
G17タンパク質に関連する。これは、CART1とともに、これらの構造的に関連する
タンパク質が新しいタンパク質ファミリーのメンバーであること、およびCART1
が乳癌の進行中のTNF関連サイトカインシグナル伝達に関連し得ることを示唆す
る。従って、CART1 DNA配列がRING、CART、およびTRAFドメインをコードする領
域であるとして図6(A-B)(配列番号1)で提供されるので、以下に挙げるもの
と同様または等価の組換え構築物を生成することは、十分に当業者の技術範囲内
である。
上記のように、本発明者らは、CART1ポリペプチドが乳癌の予後マーカーであ
ることを発見した。従って、このポリペプチドおよびそのフラグメントは、サイ
トゾルにおける免疫組織化学およびRIAのような予後アッセイでの使用のために
、上記のようなポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するために使用
され得る。例えば、本発明者らは、組換え産生されたCART1を実質的に精製し、
そ
してそれをマウスに注射してモノクローナル抗体を惹起させた。さらに、図6(A
-B)(配列番号2)の配列Q393からD411に対応する、CART1のポリペプチドフラ
グメントを、ウサギに注射してポリクローナル抗体を惹起させた。
Lasp-1ポリペプチド
本発明はさらに、ATCC受託番号97608として寄託されたcDNAによってコードさ
れるような、または図14(A-B)(配列番号4)に示されるようなアミノ酸配列を
有する単離されたLasp-1ポリペプチド、あるいはそのフラグメントを提供する。
本発明者らは、Lasp-1ポリペプチドが、2つの主要な構造ドメインを示す約261
残基のタンパク質であることを発見した。第1に、システインリッチなLIM/ダブ
ルジンクフィンガー様モチーフの1つのコピーは、タンパク質のN末端部分(図
14(A-B)(配列番号4)のアミノ酸1〜51)に位置する。第2に、SH3(Src相同
性領域3)ドメインは、タンパク質のC末端部分(図14(A-B)(配列番号4)の
アミノ酸196〜261)に位置する。Lasp-1は、関連するLIMおよびSH3ドメインを示
す第1のタンパク質であり、従って新規のタンパク質ファミリーの第1のメンバ
ーを構成する。従って、Lasp-1 DNA配列が、LIMおよびSH3ドメインをコードする
領域であるとして図14(A-B)(配列番号3)で提供されるので、以下に挙げるも
のと同様または等価の組換え構築物を生成することは、十分に当業者の技術範囲
内である。
上記のように、本発明者らは、Lasp-1ポリペプチドが乳癌の予後マーカーであ
ることを発見した。従って、このポリペプチドおよびそのフラグメントは、サイ
トゾルにおける免疫組織化学およびRIAのような予後アッセイでの使用のために
、上記のようなポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するために使用
され得る。
MLN 64ポリペプチド
本発明はさらに、ATCC受託番号97609として寄託されたcDNAによってコードさ
れるような、または図16(A-C)(配列番号6)に示されるようなアミノ酸配列を
有する単離されたMLN 64ポリペプチド、あるいはそのフラグメントを提供する。
本発明はまた、上記の7つの改変体A〜Gによってコードされるポリペプチドを
提供する。MLN 64タンパク質のこれらの改変体は、以下の実施例4で詳細に議論
される。本発明者らは、図16(A-C)(配列番号6)に示されるMLN 64タンパク質
が、2つの潜在的な膜貫通ドメイン(残基1〜72および94〜168)ならびにいく
つかの潜在的なロイシンジッパーおよびロイシンリッチなくり返し構造を示す約
445残基のタンパク質であることを発見した。アミノ酸組成分析は、11.5%の芳
香族残基(Phe、Trp、およびTyr)および26%の脂肪族残基(Leu、Ile、Val、お
よびMet)を示した。従って、MLN 64 DNA配列が、図16(A-C)(配列番号5)で提
供されるので、以下に挙げるものと同様または等価の組換え構築物を生成するこ
とは、十分に当業者の技術範囲内である。
本発明者らは、MLN 64ポリペプチドが乳癌の予後マーカーであることを発見し
た。従って、このポリペプチド、そのフラグメント、および上記のようなポリペ
プチド改変体は、サイトゾルにおける免疫組織化学およびRIAのような予後アッ
セイでの使用のために、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するた
めに使用され得る。
例えば、MLN 64タンパク質のポリペプチドフラグメント(MLN 64タンパク質の
C末端部分に位置する16アミノ酸長)は、Fmoc化学を使用して固相で本発明者ら
によって合成され、そして二官能性試薬MBSを使用して追加のNH2末端外システイ
ン残基を介してオボアルブミンに連結された。この合成MLN 64フラグメントを、
陽性血清が得られるまで、BALB/cマウスに定期的に注射した。脾臓細胞を取り出
し、そしてSt.GrothおよびScheidegger,J.Immunol.Meth.35:1-21(1980)に
従って、ミエローマ細胞と融合した。培養上清を、抗原として非結合ペプチドフ
ラグメントを使用するELISAによってスクリーニングした。陽性培養培地を、MLN
64 cDNAをトランスフェクトしたCOS-1細胞での免疫細胞蛍光およびウエスタン
ブロット分析によって試験した。MLN 64タンパク質を特異的に認識するモノクロ
ーナル抗体を分泌することが見いだされたいくつかのハイブリドーマを、軟寒天
上で2回クローニングした。合成MLN 64ペプチドフラグメントに対するモノクロ
ーナル抗体を免疫組織化学的分析に用い、これは形質転換した上皮細胞に制限さ
れたMLN 64タンパク質染色を示した(下記、実施例4を参照のこと)。
MLN 51ポリペプチド
本発明はさらに、ATCC受託番号97611として寄託されたcDNAによってコードさ
れるような、または図21(A-E)(配列番号8)に示されるようなアミノ酸配列を
有する単離されたMLN 51ポリペプチド、あるいはそのフラグメントを提供する。
本発明者らは、MLN 51ポリペプチドが約534残基のタンパク質であることを発見
した。従って、MLN 51 DNA配列が図21(A-E)(配列番号7)で提供されるので、
以下に挙げるものと同様または等価の組換え構築物を生成することは、十分に当
業者の技術範囲内である。
上記のように、本発明者らは、MLN 51ポリペプチドが乳癌の予後マーカーであ
ることを発見した。従って、このポリペプチド、そのフラグメント、および上記
のようなポリペプチド改変体は、サイトゾルにおける免疫組織化学およびRIAの
ような予後アッセイでの使用のために、ポリクローナルおよびモノクローナル抗
体を生成するために使用され得る。
D53ポリペプチド
本発明はさらに、ATCC受託番号97607として寄託されたcDNAによってコードさ
れるような、または図24(B)(配列番号10)に示されるようなアミノ酸配列を有
する単離されたD53ポリペプチド、あるいはそのフラグメントを提供する。本発
明者らは、D53ポリペプチドが約204アミノ酸長であることを発見し、そしてhD53
中に、ならびにhD52ホモログおよびマウスD52中に、すべての3つのタンパク質
においてLeu71で終わると予測される、各タンパク質のN末端に向かう単一のコ
イルドコイルドメインを同定した。このコイルドコイルドメインは、ヘリカルホ
イール分析を使用してhD52/N8において予測されるロイシンジッパーと重複する
。D52ファミリータンパク質におけるコイルドコイルドメインの存在は、特異的
なタンパク質−タンパク質相互作用がこれらのタンパク質の機能に必要とされる
ことを示す。本発明者らは、3つのタンパク質、hD53、hD52、およびmD52におけ
る2つの候補PESTドメインの存在を同定した。これは、それらの細胞内での発生
量が、タンパク質分解機構によって部分的に制御され得ることを示す。興味深い
ことに、
N末端に位置するPESTドメインの範囲は、D52およびD53タンパク質の両方におけ
るコイルドコイルドメインの範囲と重複する。従って、PEST配列が複合体を形成
し得るタンパク質における条件的なタンパク質分解シグナルとして作用し得ると
いう仮定に従って、コイルドコイルドメインを介する相互作用が、このPESTドメ
インをマスクし得ることが認識され得た(Rechsteiner,M.,Adv.Enzyme Reg.
27:135-151(1988))。また、3つのタンパク質の配列は、電荷を有するアミノ酸
の一様でない分布を含み;一方、各タンパク質のほぼ最初と最後の50アミノ酸は
、優勢な負の電荷を示すが、各タンパク質の中心部分は、過剰の正の電荷を有す
る残基を示す。最後に、本発明者らは、3つのタンパク質における同様の電位の
翻訳後改変部位を同定した。
本発明者らは、D53ポリペプチドが乳癌の腫瘍マーカーであることを発見した
。さらに、相対的なhD52/hD53遺伝子発現レベルは、種々の形態の白血病間を区
別するためのマーカーとして有用である。
マウスD52ポリペプチド
本発明はさらに、図25(B)(配列番号12)に示されるようなアミノ酸配列を有
する単離されたmD52ポリペプチド、あるいはそのフラグメントを提供する。本発
明者らは、mD52ポリペプチドが、上記のようなドメイン特徴を有する約185アミ
ノ酸残基のタンパク質であることを発見した。
ポリペプチドフラグメントおよび改変体
モノクローナルおよびポリクローナル抗体の両方を惹起し得る、上記のフラグ
メント以外のCART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD52、またはD53のフラグメント
は、当業者には容易に明らかであり、そして一般的に、少なくとも10アミノ酸長
、および好ましくは少なくとも15アミノ酸長である。例えば、Van Regenmortel
ら,Immunol.Letters 17:95-108(1988)に記載の「良好な抗原」基準は、モノク
ローナルおよびポリクローナル抗体を惹起し得る、CART1、Lasp-1、MLN 64、MLN
51、mD52、またはD53タンパク質のフラグメントを選択するために使用され得た
。
CART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD52、またはD53のいくつかのアミノ酸配列
が、タンパク質の構造または機能に顕著な影響を及ぼすことなく変化され得るこ
とは、当該技術分野で認識される。配列中のこのような差が考慮されるならば、
タンパク質上に活性を決定する重要な領域があることを記憶しているべきである
。このような領域は、通常、結合部位を構成するか、または結合部位に影響を及
ぼす3次構造を形成する残基を含む。一般に、同様の機能を行う残基が使用され
るならば、3次構造を形成する残基を置き換えることが可能である。他の場合、
変更がタンパク質の重要でない領域で生じるならば、残基のタイプは全く重要で
はないかもしれない。
従って、本発明はさらに、実質的なタンパク質活性を示すか、または免疫組織
化学またはRIAアッセイに有用な抗体を惹起し得る上記のタンパク質フラグメン
トのようなCART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD52、またはD53タンパク質の領域
を含む、CART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD52、またはD53タンパク質の改変体
を含む。このような変異体は、欠失、挿入、逆位、くり返し、およびタイプ置換
(例えば、ある親水性残基を別のものと置き換えるが、原則として、強い親水性
を強い疎水性と置き換えるのではない)を含む。小さな変化またはこのような「
中立の」アミノ酸置換は、一般に、活性にほとんど影響を有しない。
保存的置換として代表的に見られるのは、以下のものである:脂肪族アミノ酸
Ala、Val、Leu、およびlle間の、一つと別のものとの置換;ヒドロキシル残基、
SerおよびThrの相互交換、酸性残基、AspおよびGluの交換;アミド残基、Asnお
よびGln間の置換;塩基性残基、LysおよびArgの交換;ならびに芳香族残基、Phe
、Tyr間の置換。上記で詳細に示したように、アミノ酸変化は表現型がサイレン
ト(すなわち、機能に顕著な有害な効果を有するようではない)であるようであ
ることに関するさらなる指針は、Bowie,J.U.ら,Science 247:1306-1310(1990)
見い出され得る。
好ましくは、このような改変体は、上記のCART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、m
D52、またはD53ポリペプチドと、少なくとも90%、95%、97%、98%、または99
%同一であり、そしてまた、少なくとも30アミノ酸およびより好ましくは少なく
とも50アミノ酸を有するこのようなポリペプチドの一部を含む。本発明によれば
、2つのポリペプチド間の「%同一性」は、デフォールトパラメータとともに
「fastA」コンピュータアルゴリズムを使用して決定され得る(Pearson,W.R.お
よびLipman,D.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988))。
単離されたCART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD52、またはD53ポリペプチドま
たはそのフラグメントは、好ましくは単離された形態で提供され、そして好まし
くは実質的に精製される。もちろん、精製方法は当該技術分野で公知である。好
ましい実施態様では、CART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD52、またはD53ポリペ
プチドの組換え産生型は、SmithおよびJohnson,Gene 67:31-40(1988)に記載の
単一工程法によって実質的に精製される。CART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD5
2、またはD53タンパク質は、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、
陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグ
ラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフ
ィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグ
ラフィーを含む、周知の方法によって組換え細胞培養物から回収されそして精製
され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製に
用いられる。本発明のポリペプチドには、天然の精製された産物、化学的合成手
順の産物、ならびに、組換え技法によって、例えば、細菌、酵母、高等植物、昆
虫、および哺乳動物細胞を含む原核生物または真核生物宿主から産生される産物
が含まれる。組換え産生手順に用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチ
ドは、グリコシル化され得るかまたはグリコシル化され得ない。さらに、本発明
のポリペプチドはまた、最初の改変されたメチオニン残基を、およびある場合に
は宿主が媒介したプロセスの結果として含み得る。
ベクターおよび宿主
本発明はまた、本発明の単離されたDNA分子を含むベクター、このベクターで
遺伝子操作される宿主細胞、およびCART1、Lasp-1、MLN 64、MLN 51、mD52、ま
たはD53ポリペプチドあるいはそのフラグメントの組換え技法による産生に関す
る。
CART1、Lasp-1、MLN 51、MLN 64、mD52、またはD53ポリペプチドあるいはその
フラグメントをコードするDNA分子、好ましくはcDNAは、適切なベクターに容易
に挿入され得る。理想的には、ベクターは、挿入の容易さのために適切な制限部
位を有すが、しかし、これがリーディングフレームおよび挿入の方向にわたる不
確定性を導き得るので、例えば、平滑末端連結もまた使用され得る。このような
場合、発現のための形質転換体を試験するための過程の問題であり;その6つの
うちの1つは、正確なリーディングフレームを有すべきである。
CART1、Lasp-1、MLN 51、MLN 64、mD52、またはD53ポリペプチドあるいはその
フラグメントは、任意の適切な宿主細胞において発現され得る。発現の程度は、
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析され得る(Laemmelliら,Natu
re 227:680-685(1970))。このようなポリペプチドの産生に有用な培養には、原
核生物、真核生物、および酵母の発現系が含まれる。好ましい系には、E.coli
、Streptomyces、およびSalmonella typhimurium、ならびに酵母、哺乳動物細胞
、または植物細胞が含まれる。哺乳動物宿主には、HeLa、COS、およびチャイニ
ーズハムスター卵巣(CHO)細胞が含まれる。酵母宿主には、S.cerevisiaeが含
まれる。昆虫細胞には、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞が含まれる。
上記の宿主細胞に適切な培養培地および条件は、当該技術分野で公知である。上
記の宿主細胞における発現を指示し得るベクターも、当該技術分野で公知である
。
本発明者らは、完全なCART1タンパク質または上記の個々のドメインに対応す
るCART1タンパタ質のフラグメントのいずれかをコードする、以下の組換えDNA発
現構築物を設計した。細菌発現系は以下のとおりである:pGEX-CART1;pGEX-RIN
G;pGEX-CART;pGEX-CART-TRAF;およびpGEX-TRAF。酵母発現系は以下のとおり
である:pBTMN-CART-TRAF;pBTMN-CART;pBTMN-TRAF;pVP-CART-TRAF;pVP-CART
;およびpVP-TRAF。真核生物発現系は以下のとおりである:pSG5-CART1;pAT3-C
ART1;pAT4-CART1;pBC-CART1;およびpCMV-CART1。
例えば、pAT4-CART1とは、インサートとして完全なCART1 DNAコード配列を含
むpAT4ベクターを意図する。同様に、pBTMN-CART-TRAFとは、CARTおよびCART1タ
ンパク質のTRAF領域をコードするDNA配列を含むpBTMNベクターを意図する。上に
挙げた残りの構築物は、同様にまた解釈されるべきである。pGEX、pBTMN、pVP、
pSG5、pAT3、pAT4、pBC、およびpCMVベクターは、当該技術分野で公知であり、
そして公的に入手可能である。
本発明者らは、完全なLasp-1タンパク質またはLasp-1タンパク質のフラグメン
トのいずれかをコードする、以下の組換えDNA発現構築物を設計した。細菌発現
系は以下のとおりである:pGEX-LASP1;pGEX-LIM;およびpGEX-SH3。酵母発現系
は以下のとおりである:pBTMN-LASP1;pBTMN-LIM;pBTMN-SH3;pVP-LASP1;pVP-
LIM;およびpVP-SH3。真核生物発現系は以下のとおりである:pSG5-LASP1;pBC-
LASP1;およびpCMV-LASP1。pGEX、pBTMN、pVP、pSG5、pBC、およびpCMVベクター
は、当該技術分野で公知であり、そして公的に入手可能である。
本発明者らは、MLN 64タンパク質をコードする以下の組換えDNA発現構築物を
設計した。細菌発現系には、pGEX-MLN 64が含まれる。真核生物発現系には、pSG
5-MLN 64およびpBC-MLN 64が含まれる。pGEX、pSG5、およびpBCベクターは、公
知であり、そして公的に入手可能である。
本発明を一般的に記載して、同様のことが、例示によって提供され限定するこ
とを意図しない以下の実施例への参照によって、より容易に理解される。
実験
実施例1
乳癌において増幅および過剰発現し、第17染色体q11−q21.3領域に位置する4つ
の新規なヒト遺伝子の同定
序
診断時における原発性腫瘍の早期発見およびより小さいサイズにもかかわらず
ncer Inst.85:1644-1656(1993))、関連した転移は未だ乳癌による死亡の主要
な原因である(Frost,P.およびLevin,R.,Lancet 339:1458-1461(1992))。
従って、転移の形成と増殖との機序を明確にすることは、現在でも乳癌研究の主
要な課題である(Rusciano,D.およびBurge,M.M.,BioEssays 14:185-194(199
2);Hoskins,K.およびWeber B.L.,Curr.Opin.Oncol.6:554-559(1994))。転
移の形成を導くプロセスは複雑である(Fidler,I.J.,Cnacer Res.50:6130
-6138(1990);Liotta,L.ら、Cell 64:327-336(1991))。従って、最適な処置
を選択するために、関連する分子的事象を明らかにすることが重要である。
形質転換の最初の段階は、悪性細胞が正常な細胞周期制御から逸脱することに
より特徴付けられ、これは優性オンコジーンの発現および/または腫瘍抑制遺伝
子の欠損により操られる(Hunter,T.およびPines,J.,Cell 79:573-582(1994
))。腫瘍の進行は、原発性腫瘍部位を離れ、そしてリンパ管または血管を通っ
て移動した後に宿主組織の隔たれた所で増殖して二次腫瘍を形成する悪性細胞の
能力として考ることができる(Fidler,I.J.,Cancer Res.50:6130-6138(1990
);Liotta,L.ら、Cell 64:327-336(1991))。転移への進行は、形質転換だけ
ではなく、悪性細胞と宿主細胞/組織との一連の相互作用の結果にも依存する。
これらの相互作用は、悪性細胞および宿主細胞の両方における異なる遺伝子産物
の合成および/またはその活性の分子的改変を反映し得る。腫瘍進行の制御に関
与するいくつかの遺伝子が同定され、そして細胞接着、細胞外マトリックス分解
、免疫監視、増殖因子合成および/または管脈形成に関係することが示されてい
る(Hart,I.R.およびSaini,A.,Lancet 339:1453-1461(1992)における総説;
Ponta,H.ら、B.B.A.1198:1-10(1994);Bernstein,L.R.およびLiotta,L.A.
,Curr.Opin.Oncol.6:106-113(1994);Brattain,M.G.ら、Curr.Opin.Onco
l.6:77-81(1994);Fidler,I.J.およびEllis,L.M.,Cell 79:185-188(1994)
)。
癌の進行に関与し得る遺伝子を同定およびクローン化するために、本発明者ら
は、乳癌由来の転移腋窩リンパ節(MLN)から確立したcDNAライブラリーのディ
ファレンシャルスクリーニングを行った。乳癌では、腋窩リンパ節は、通常、転
移形成の最も早い部位であり、そして診断目的のために日常的に摘除される(Ca
rter,C L.ら、Cancer 63:181-187(1989))。全身転移は、通常、その後、疾患
において、主として骨、脳および内臓で生じる(Rusciano,D.およびBurger,M.
M.,BioEssays 14:185-194(1992))。なぜなら患者の生存の見地から利益がな
いため、それらはめったに除去されないからである。同様のディファレンシャル
スクリーニングプロトコルは、浸潤性が最も高い乳癌腫において過剰発現するス
トロメライシン−3遺伝子(Basset P.ら、Nature 348:699-704(1990))、およ
び乳癌細胞株において発現が低下するマスピン(maspin)遺伝子(Zou,Z.ら、Sci
ence 263:526-529(1994))を含む、腫瘍進行に関与し得るいくつかの遺伝子の
同定を既に可能にした。本研究では、それぞれ悪性乳房(MLN)および非悪性乳
房(線維腺腫;FA)乳腺組織を示す2つのプローブを使用して、MLN cDNAライブ
ラリーのスクリーニングを行った。転移サンプルは、予後不良で転移拡大の高い
傾向と関連する臨床的特徴および組織学的特徴を有する患者から得た。良性腫瘍
であるFAは、非悪性であるが増殖性組織であるため、コントロール組織として選
択した。これにより、細胞増殖に特徴的であるが悪性プロセスには関係がないmR
NAが同定される確率を最小限にした。
本明細書で、本発明者らは、第17染色体長腕上に共に局在化し、そして悪性乳
房組織において増幅および過剰発現する4つの新規な遺伝子の同定を報告する。
材料および方法
組織および細胞培養
液体窒素中で凍結した。隣接切片を、10%緩衝化ホルマリン中で固定し、組織学
的検査のためにパラフィン包埋した。
細胞株(ZR75-1、MCF7、SK-BR-3、BT-20、BT-474、HBL-100、MDA-MB231および
T-47D)は、記載されており、そしてAmerican Type Culture Collection(ATCC
,Rockville,MD)から入手できる。MCF7、ZR75-1、BT-474およびT-47D株はエス
トロゲンレセプター陽性であり、BT-20、SK-BR-3およびMDA-MB231はエストロゲ
ンレセプター陰性であった。細胞を、本発明者らの実験室で日常的に維持し、そ
して、10%ウシ胎児血清を補足したダブルベッコ改変イーグル培地中でコンフル
エンスで培養した。
RNAの調製および分析
外科試料をイソチオシアン酸グアニジニウム溶解緩衝液中でホモジネートし、
塩化セシウムクッションによる遠心分離により精製した(Chirgwin,J.M.ら、B
iochemistry 18:52-94(1979))。ポリA+RNAを、オリゴdTセルロースクロマト
グラフィーを用いて精製した(Aviv,H.およびLeder,P.,Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 69:1408-1412(1977))。培養した細胞株由来のRNAを、Chomczynski,P
.およびSacchi,N.(Anal.Biochem,162:156-159(1987))の一段階手順を用
いて抽出した。RNAを、1%アガロース、2.2Mホルムアルデヒドゲルで電気泳動に
より分画し(Lehrach,H.ら、Biochemistry 16:4743−4751(1977))、ナイロン
メンブレン(Hybond N,Amersham Corp.,Arlington Heights,IL)に移し、80
℃で2時間のベーキングにより固定した。
cDNAライブラリーの構築
乳癌MLNの4つの独立した外科試料由来のポリA+RNAをプールした。cDNAを、M
MLV逆転写酵素(SuperscriptTM,Gibco BRL,Gaithersburg,MD)、およびプラ
イマーとしてオリゴ dT(Pharmacia Fine Chemicals,Piscataway,NJ)を使用
して合成した。第2鎖の合成を、RNaseH置換により行った(Gubler,U.およびH
offman,B.J.,Gene 25:263-269(1983))。T4 DNAポリメラーゼIを使用して平
滑末端とした後、EcoRIアダプターを加えた。連結後、過剰のアダプターおよび3
00bp未満の分子を、Biogel A50m(Bio-Rad,Richmond,CA)でのゲル濾過クロマ
トグラフィーにより除去した。サイズ選択されたcDNAを、λ-ZAPII(Stratagene
Inc.,La Jolla,CA)のEcoRIクローニング部位に連結した。
プローブの調製
MLN特異的プローブ(プラスプローブ)を得るために、MLNから精製した3μg
のポリA+RNAを第一鎖のcDNA合成に使用し、そしてオリゴdTをプライマーとする
ことにより370ngのcDNAを得た。RNA分子をNaOH加水分解で除去し、そして一本鎖
cDNAを乳房FAから精製したポリA+RNAの7μg(19倍過剰)にハイブリダイズさ
せた。68℃で24時間のハイブリダイゼーションの後(Hedick,S.M.ら、Nature 3
08:149-153(1984);Rhyner,T.A.ら、J.Neurosci.Res.16:167-181(1986))
、一本鎖材料(開始cDNAの12%)をヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー
(Bio-Rad,Richmand,CA)で精製した。同じように、マイナスプローブ(乳房F
A から得た)を、5μgのポリA+RNAから得た。ポリA+RNAを560ngの一本鎖cDNA
に変換し、そして正常な結腸および肝臓の7μg(20倍過剰)にハイブリダイズ
させた。ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー後、cDNAの14%が一本鎖の
ままであった。両方の場合において、Centricon 30(Amicon,Beverly,MA)を
使用して、一本鎖cDNAを濃縮し、そしてT10E1で洗浄した。20ngのプラスプロー
ブおよび40ngのマイナスプローブをそれぞれ得た。一本鎖cDNAの10ngに32Pラン
ダム標識(Feinberg,A.P.およびVogelstein,B.,Anal.Biochem.112:195-20
3(1983))を行い、2×109cpm/μgのプラスプローブと3×109cpm/μgのマイナス
プローブをそれぞれ得た。
cDNAライブラリーのスクリーニング
MLNライブラリーから100,000pfuをプレーティングし、そして、ナイロンフィ
ルターレプリカ(Biodyne A 転移メンブレン、Pall Europe Limited,Portsmout
h)を42℃で、50%ホルムアルデヒド、5×SSC、0.4%フィコール、0.4%ポリビ
ニルピロリドン、20mMリン酸ナトリウム(pH 6.5)、0.5% SDS、10%デキスト
ラン硫酸および100μg/ml変性サケ精子DNA中で、0.5〜1×106cpm/mlに希釈した32
P標識のプラスプローブまたはマイナスプローブとともに、36〜48時間ハイブ
リダイズした。ストリンジェントな洗浄を、60℃で0.1×SSCおよび0.1% SDS中
で行った。フィルターを−80℃で24〜72時間オートラジオグラフィーに供した。
プラスプローブおよびマイナスプローブによってディファレンシャルシグナルを
与えるプラークを拾い上げ、同じハイブリダイゼーション条件を使用する二次ス
クリーニングに供した。
プラスミドの回収およびサザンブロット分析
pBluescript/λZAPIIインビボ切除システム(Stratagene Inc.,La Jolla,CA
)を使用して、純粋なプラークを細菌コロニーとして直接回収した。少量スケー
ルのプラスミド抽出を行い(Zhou,C.ら,Biotechniques 8:172-173(1990))
、そして、この材料の約1/10(200ng)をEcoRIで消化し、2つのアガロースゲ
ルに載せ、そして共に泳動した。電気泳動後、ゲルをナイロンメンブレン(Hybo
nd N+,Amersham Corp.)上にブロットし、そしてメンブレンをプラスプ
ローブおよびマイナスプローブとハイブリダイズさせた。選択されたクローン由
来のインサートをアガロースゲルから精製し、ランダムプライミングにより32P
標識を行い、そして、ノーザンブロット分析、サザンブトッロ分析および交叉ハ
イブリダイゼーションに使用した。
配列決定およびコンピュータ分析
既報の方法で調製したプラスミドテンプレートを、RNaseA(10μg/ml)で30
分間処理し、次いで0.57 容量のポリエチレングリコールNaCl(20%、2M)で沈
澱させ、エタノールで洗浄し、減圧乾燥し、200ng/μlでT10E1に再懸濁した。二
本鎖DNAテンプレートを、TaqポリメラーゼおよびpBluescriptのユニバーサルプ
ライマーまたは内部プライマーのいずれかを使用し、Applied Biosystems 373A
自動化シーケンサーでの検出のための色素標識ddNTPを用いて配列決定した。配
列分析は、GCG分析解析パッケージ(Wisconsinパッケージ、バージョン8.0、Gen
etics Computer Group,Madison,WI)を用いて行った。配列の相同性を、FastA
プログラムおよびBlastプログラムを用いてGenBank/EMBL複合データバンク(リ
リース84.0/39.0)全体を検索することにより、そして、翻訳された配列の場合
、SwissProtデータベース(リリース29.0)全体を検索することにより同定した
。
ゲノムDNA抽出およびサザンブロット分析
細胞を75mm2のフラスコでコンフルエンスで増殖させ、1×PBS で洗浄した。2
mlの抽出緩衝液(10mM Tris-HCL(pH 8.0)、0.1M Na2EDTA(pH 8.0)、20μg/ml RN
aseA、0.5% SDS、100μg/mlプロテイナーゼK)を添加した後、フラスコを42
℃で12時間インキュベートした。1容量のイソプロパノールで沈澱させることに
より、ゲノムDNAを回収した。70%エタノールで洗浄した後、DNAを風乾し、4℃
のT10E1に溶かした。DNA増幅研究のために、細胞株のゲノムDNAの10μgをBamHI
で完全に消化した。染色体上の局在化のために、ヒト/げっ歯類の体細胞ハイブ
リッド(NIGMS Mappingパネル#2;Coriell Cell Repositories,Camden,NJ)
から抽出したDNAをBamHIまたはEcoRIで完全に消化して使用した。両方の場合に
おいて、BamHIまたはEcoRIで消化したゲノムDNAを、0.8%アガロースゲルで分
画し、Hybond N+メンブレン上にブロットした。乳房細胞株におけるMLN遺伝子の
コピー数の量を、ドットブロット分析により決定した。ゲノムDNA(2.5μg)を
、65℃で0.4M NaOH中で1時間変性させ、2倍の連続希釈液をHybond N+メンブレン
上にスポットした。cDNAライブラリーのスクリーニングで記載したように、ハイ
ブリダイゼーションおよび洗浄を行った。コントロールプローブp53は、php53B
(ATCC No.57254)から放出される2.0kb BamHIフラグメントに相当した。ヒトの
細胞および組織に適したRNA負荷コントロールは、36B4の内部(0.7kb)のPstIフ
ラグメント(Masiakowski,P.ら,Nucleic Acids Res.10:7895-7903(1982))
であった。
遺伝子マッピング
MLN50、51、62、および64遺伝子の染色体上の帰属を、植物性血球凝集素で刺
激したヒトリンパ球(72時間の培養)から得た染色体調製物でのインサイチュハ
イブリダイゼーションにより行った。ハイブリダイゼーション後の良質な染色体
バンドの形成を確実にするために、培養の最後の7時間、5−ブロモデオキシウ
リジン(60μg/ml)を培地に加えた。cDNAプローブをニックトランスレーション
により3H標識し、比活性を1.5×105dpm/mlとした。この放射能標識プローブを、
既に記載されたように(Mattei,M.G.ら,Human Genet.69:268-271(1985))ハ
イブリダイゼーション溶液の25ng/mlの最終濃度で、分裂中期展開物にハイブリ
ダイズさせた。このスライドを核追跡乳剤(NTB2,Kodak,Rochester,NY)でコ
ーティングした後、4℃で19日間露光した後に現像した。バンド形成中の銀粒子
の滑りを避けるために、染色体展開物をまず緩衝化ギムザ溶液で染色し、分裂中
期を撮影した。次いで、蛍光色素−光分解−ギムザ法によりRバンド形成を行い
、そして解析前に分裂中期を再度撮影した。
結果
MLN cDNAライブラリーのディファレンシャルスクリーニング
乳管癌腫の4人の患者を、その年齢(50歳未満)、その原発性腫瘍の大きなサ
イズおよび高い組織学的グレード(Bloom,H.J.G.およびRichardson,W.W.,Bri
t.J.Cancer 11:359-366(1957))、ならびにMLNの存在に従って選択した(表
-45(1994)およびそこでの参考文献)、代表的な乳房MLN cDNAライブラリーを調
製するために、RNAを、4人の患者に由来し相対的に等量でプールされた転移サ
ンプルから抽出した。選択されたMLNサンプルの組織学検査により、80%を超え
る転移組織が明らかになった。しかし、稀なディファレンシャル転写物の希釈を
避けるために、本発明者らは、患者Cからもっぱら得られたMLNを使用して富化
されたプラスプローブを調製した。この患者は17の関係したリンパ節を有し(表
I)、さらにその原発性腫瘍は2つの予後不良の因子を示した。それらは、エス
トラジオールおよびプロゲステロンレセプター陰性(Osborne,C.K.ら.,レセプ
ター、乳房疾患 301-325(第2版,Harris,J.R.ら編、J.B.Lippincott,Philade
lphia,PA 1991))およびc-erdB-2過剰発現(Slamon,D.J.ら,Science 244:70
7-712(1982);Borg,A.ら,Oncogene 6:137-143(1991);Toikkanen,S.ら,J.
Clin.Oncol.8:103-112(1992);Muss,H.B.ら,N.Engl.J.Med.300:1260-1
266(1994))であった。
2種類の富化プローブを使用して、MLN cDNAライブラリーから合計で105の組
換え体をディファレンシャルスクリーニングした。プラスプローブは、MLN cDNA
に由来し、そしてFAで発現される配列を欠いていた。「マイナス」プローブは、
FA cDNAに由来し、そして正常な肝臓および結腸で発現される配列を欠いていた
(「材料および方法」参照)。これらの2つのプローブで得られたパターンを比
較することにより、「プラス」プローブで陽性であり、そして「マイナス」プロ
ーブで陰性である「ディファレンシャルプラーク」を195個検出できた。24個の
ディファレンシャルプラークを二次スクリーニングに供し、そして純粋プラーク
から回収されたプラスミドDNAを「ディファレンシャルインサート」の有無につ
いてサザンブロット分析で試験した(「材料および方法」参照)。関連するcDNA
クローンを同定するために、同定されたディファレンシャルインサートを32P標
識し、そしてMLN cDNAライブラリーリフト(lift)およびサザンブロットを再プロ
ーブし、した。同じプロトコルを使用して、残りの「ディファレンシャルプラー
ク」の特徴付けを行い、そして最終的に10個の独立したファミリーのディファレ
ンシャルクローンを同定した。各ファミリー(MLN4、10、19、50、51、62、64、7
0、74および137)の最も長いcDNAインサートをさらなる研究のために選択した。
10個のMLN遺伝子の発現分析
これらのクローンに対応する遺伝子のディファレンシャル発現を試験するため
に、MLN、FAおよび正常な腋窩リンパ節(NLN)のRNAを使用してノーザンブロッ
トを調製した。フィルターを32P標識した10個のMNL cDNAとハイブリダイズした
。図1(A-O)に示すように、検出されたすべてのmRNAはMLN(レーン1)で優先的
に観察されたが、NLNおよびFA(レーン2および3)ではシグナルは全く観察さ
れないか、またはかすかなシグナルのみが観察された。この10個のプローブで検
出されたmRNAのサイズは、0.5kb(MLN70)から5kb(MLN74)まで変化した。この
ことは、本発明者らのスクリーニングプロトコルが優先的な転写物サイズに有利
でないことを示した。発現レベルには差があったが、それらの最低の量(MLN62
)でも、比較的高いレベルであった(図1(A-O))。
10個のMLN遺伝子のcDNAおよび推定タンパク質の配列
最初の段階では、cDNAを、pBluescriptベクターのユニバーサルプライマーを
使用して両末端で部分的に配列決定した。これらの部分配列を、GeneBank/EMBL
のDNA複合データバンクと比較した。MLN74、19、10および4は、それぞれ、既知
の遺伝子であるフィブロネクチン遺伝子(アクセス番号X02761、K00799、K02273
、X00307およびX00739;Kornblihtt,A.R.ら,EMBO J.3:221-226(1983))、c-
erbB-2遺伝子(アクセス番号M11730;Coussens,L.ら,Science 239:1132-1139
(1985))、非特異的交叉反応性抗原(NCA、アクセス番号M18728;Tawaragi,Y.
ら,Biochem.Biophys.Res.Commun.150:89-96(1988))およびカルサイクリ
ン(アクセス番号M14300およびJ02763;Calabretta,B.ら,J.Biol.Chem.26
:12628-12632(1986))に対応した。しかし、それらは、このスクリーニングで
回収された最も多くのクローンであった。なぜなら、表IIに示すように、それら
はディファレンシャルクローンの75%を表したからである。これらの遺伝子と癌
との関係、そしてこれらのいくつかについては転移との関係がすでに報告されて
いる。
第二段階では、配列相同性が最初に見出されなかった場合、完全なcDNA配列を
確立し、そして予想される対応タンパク質の配列をSwissProtデータバンクに存
在する配列と比較した。MLN70(アクセス番号X80198)およびMLN137(アクセス
番号X80197)は、他の種由来のタンパク質との相同性を示し、そしてそれぞれ、
S100ファミリーおよびケラチンファミリーに分類され得る(Kligman,D.およびH
ilt,D.C.,Trends Biol.Sci 13:437-443(1988);Donato,R.,Cell Calcium
12:713-726(1991);Smack,D.P.ら,J.Amer.Acad.Dermatol.30:85-102(199
4))。30アミノ酸長のZF-1のシステインに富むブタペプチド(アクセス番号P801
71,Sillard,R.ら,Eur.J.Biochem.211:377-380(1993))は、MLN50の推定
タンパク質(アクセス番号X82456)のN末端部分と100%の同一性を示した。さら
に、いくつかの配列相同性が、種々の、発現配列タグ(EST;Adamd,M.D.ら,Nat
ure 335:632-634(1992))を用いて、MLN50の3'非コード領域(アクセス番号T08
349、T08601およびM86141,Adams,M.D.ら,Nature 335:632-634(1992);Adams
,M.D.ら,Nat.Genet.4:373-380(1993);T10815,Bell,G.I.およびTakeda,
J.,Hum,Mol.Genet.2:1793-1798(1993);D12116,Okubo,K.ら,Nat.Genet
ics 2:173-179(1992))およびMLN51(アクセス番号X80199;ESTアクセス番号Z2
5173およびD19971,Okubo,K.ら,Nat.Genetics 2:173-179(1992))のcDNA配
列内で見出された。驚くべきことに、本発明者らは、401bp長のEST(アクセス番
号M85471,Adams,M.D.ら,Nature 335;632-634(1992))の一部(129bp)およ
びMLN64(アクセス番号X80198)の5'コード領域と100%の相同性が観測された。
このことは、このESTがキメラか、またはスプライシングされなかったRNAに相当
し得ることを示唆する。MLN50、51および64について観測された多くの相同性は
、短い非コードDNA配列に限定された。MLN62(アクセス番号X80200)について相
同性は見出されなかったので、本発明者らは、それらが新規なタンパク質ファミ
リーに属すると考え、さらなる特徴付けを行った。
MLN50、51、62および64遺伝子の染色体上帰属
サザンブロットをげっ歯類バックグランドの個々のヒト染色体に対応する、ヒ
ト体細胞ハイブリッド由来のゲノムDNAのEcoRIまたはBamHI消化物を負荷するこ
とによって構築した。MLN51および64プローブは第17染色体上で特有のハイブリ
ダイゼーションシグナルを示した。MLN50および62プローブは、第17染色体に対
して強いハイブリダイゼーションを示し、そしてそれぞれ、第3と第16染色体上
、および第5染色上にかすかなシグナルを示した(表III)。この4つのプロー
ブが第17染色体とハイブリダイゼーションを示したので、第17染色体上に以前に
局在化された(Fukushige,S.I.ら,Mol.Cell.Biol.6:955-958(1986))、c-
erbB-2オンコジーンに対応するMLN19を用いて、同じサザンブロットを再プロー
ビングした。予測通り、MLN19はこの染色体に対して限定されたハイブリダイゼ
ーションを示した(表III)。
上記の4つの新規の遺伝子の第17染色体上の精確な位置を明らかにするために
、本発明者らは、染色体インサイチュハイブリダイゼーションを行った。MLN50
を使用して、100個の分裂中期細胞を調べた。276個の銀粒子が染色体と結合し、
そして、そのうちの83個(30%)は第17染色体上に位置した。粒子分布はランダ
ムではなかった:それらの65/83(78.3%)を第17染色体長腕のq11〜q12領域に
マッピングした(図2(A))。2つの2次的な部位を、3p22〜3p21.3(36/276、
全粒子の13%)および16q12.1(26/276、全粒子の9.4%)で検出した。MLN51を
使用して、100個の分裂中期細胞を調べた。176個の銀粒子が染色体と結合し、そ
のうちの60個(34.1%)は第17染色体上に位置した。粒子分布はランダムではな
かった:それらの49/60(81.6%)を第17染色体長腕のq11〜q21.3領域にマッピン
グした(図2(A))。MLN62を使用して、150個の分裂中期細胞を調べた。204個
の銀粒子が染色体と結合し、そして2つのハイブリダイゼーション部位が検出さ
れた。20.1%が第17染色体上に位置し、そしてその82.9%を長腕のq11〜q12領域
にマッピングした(図2(A))。16.6%は第5染色体上に位置した。粒子分布は
ランダムではなかった:79.4%を第5染色体長腕のq31〜q32領域にマッピングし
た。MLN64を使用して、150個の分裂中期細胞を調べた。247個の銀粒子が染色体
と結合し、そしてそのうちの64個(25.9%)を第17染色体上に位置した。粒子分
布はランダムではなかった:その73.4%が第17染色体長腕のq12〜q21領域にマッ
ピングされ、q21.1バンドで最大であった(図2(A))。これらの結果は、これ
までにサザンブロットハイブリダイゼーションにより得られた知見とよく一致し
、そ
して第17染色体の長腕に沿って MLN50および62ならびにMLN51および64は、それ
ぞれMLN19(c-erbB-2)に対して動原体側、MLN19に対してテロメア側であること
を示唆する(図2(B))。
MLN50、51、62、および64遺伝子の増幅および発現
本研究で単離したcDNAクローンのうち5つは、第17染色体上に配置された遺伝
子(すなわちMLN50、51、62、64および19)に相当した。さらに、これらのクロ
ーンはすべて第17染色体の長腕のq11〜q21.3領域に配置される。乳癌腫における
c-erbB-2過剰発現が主に遺伝子増幅に依存することが公知であるため(Slamon,
D.J.ら,Science 235:177-182(1987);van de Vijver,M.ら,Mol.Cell.Biol
.7:2019-2023(1987))、本発明者らは、MLN50、51、62および64遺伝子の増殖
について確認した。これらのそれぞれは散発性乳癌腫の10〜20%において増幅が
見られた(データは示さない)。しかし、増幅は常に遺伝子過剰発現と相関する
わけではない。そのため、MLN遺伝子の増幅と発現との間の関係を研究するため
に、本発明者らは、MCF7、TO-47D、BT-474、SKBR-3、MDA-MB-231、BT-20、およ
びZR-75-1を含むヒト乳癌細胞株、ならびに不死化乳房上皮細胞株HBL-100のパネ
ルのゲノムDNA分析およびゲノムRNA分析を行った。MLN増幅および発現パターン
を、c-erbB-2のパターン、および第17染色体の短腕に配置され、そして乳癌腫に
おいてしばしば変異しているか、または欠失しているが、決して増幅されない遺
伝子であるp53(Baker,S.J.ら,Science 244:217-221(1989))のパターンと比
較した。これらの細胞株から抽出したゲノムDNAのBamHI消化物を含むサザンブロ
ットのハイブリダイゼーションは、c-erbB-2、MLN50、51、および64遺伝子がい
くつかの細胞株で増幅されたが、一方MLN62およびp53遺伝子は増幅されなかった
ことを示した(表IV)。さらに、増幅のレベルを定量するために、細胞のゲノム
DNAの段階希釈液を含むドットブロットを行った。表IVにまとめるように、MLN64
およびc-erbB-2遺伝子はSK-BR-3(それぞれ8、および16コピー)およびBT-474
(それぞれ16、および32コピー)で共増幅されることが見い出された。MLN50遺
伝子はBT-474 でのみ増幅され(8コピー)、そしてMLN51遺伝子はSk-BR-3での
み増幅された(4コピー)。同じ細胞株から抽出されたRNAを含むノーザンブロッ
トを、MLNのcDNAプローブとハイブリダイズさせた(図3)。MLN64および19(c-
erbB-2)遺伝子はSk-BR-3およびBT-474で過剰発現され、MLN50遺伝子はBT-474で
、そしてMLN51遺伝子はSk-BR-3 で過剰発現された。これらの結果は、細胞株に
おけるMLN50、51、および64の過剰発現が各遺伝子の増幅に関係したことを明ら
かに示した。MLN62についてはSK-BR-3およびBT-20で、そしてp53についてはMCF7
およびHBL-100で、遺伝子増幅とは無関係な基底レベルを超える過剰発現が観察
された。
乳癌培養細胞株で観察された増幅パターンは、MLN50(c-erbB-2と共増幅され
るが、MNL 62とは共増幅されない)およびMLN64(2つの細胞株においてc-erbB-
2と共増幅されるが、一方MLN51は1つの細胞株でのみ共増幅された)は、それぞ
れMLN62および51よりもc-erbB-2の最も近くに配置されるはずであることを示唆
した。従って、これらの染色体上の分配と増幅パターンに従って、cen-MLN 62-M
LN 50-c-erbB-2-MLN 64-MLN 51-telの5つの遺伝子座フレームワーク順が提案さ
れ得る(図2(B))。
考察
本研究において、本発明者らは、悪性(MLN)および悪性ではない(FA)乳房
組織の典型である2種類のサブトラクトしたcDNAプローブを用いる、乳癌MLN cD
NAライブラリーのディファレンシャルスクリーニングによるcDNAの同定を報告す
る。
同定されたcDNAは、MLNにおいて発現するが正常リンパ節またはFAでは発現し
ない10個の異なる遺伝子に対応した。これらのcDNAの75%は、転移プロセスに関
係することが以前に報告されている既知の遺伝子、すなわち c-erbB-2遺伝子、N
CA遺伝子、フィブロネクチン遺伝子、およびカルサイクリン(calcyclin)遺伝子
に対応した。c-erbB-2の過剰発現は乳癌腫の15〜30%で示されており、そして特
に浸潤されたリンパ節を有する患者においてより短い生存期間と関係づけられて
いる(Slamon,D.J.ら,Science 244:707-712(1989);Borg,A.ら,Oncogene 6
:137-143(1991);Toikkanen,S.ら,J.Clin.Oncol.8:103-112(1992);Muss,
H.B.ら,N.Engl.J.Med.300:1260-1266(1994))。NCAは癌胎児抗原(CE
A)ファミリーに属する。CEAの発現は転移乳癌を有する患者の50〜80%で上昇し
ており、そして疾病の再発を検出するための循環(circulating)マーカーとして
使用される(Loprinzi,C.ら、J.Clin.Oncol.4:45-56(1986))。悪性腫瘍に
おいて、オルタナティブスプライシングによるフィブロネクチンの発現調節が報
告されている(Carnemolla、B.ら,J.Cell Biol.108:1139-1148(1989);Hump
hries,M.I.,Semin.Cancer Biol.4:293-299(1993))。S100 Ca++結合タンパ
ク質ファミリーのメンバーであるカルサイクリンは細胞周期関連タンパク質であ
り、そして転移ヒトメラノーマ細胞株において高度に過剰発現されることが示さ
れている(Weterman,M.A.ら,Cancer Res.52:1291-1296(1992))。同定され
たcDNAの残り25%のおよそ半分は、それぞれS100およびケラチンタンパク質ファ
ミリーの2つの新規のメンバーに対応した。最後に、残った別のクローン(MLN5
0、51、62、および64)は、以前に特徴付けされた遺伝子またはタンパク質ファ
ミリーのいずれにも属さなかったcDNAに対応した。
これらのcDMAに対応する4つの遺伝子は、第17染色体長腕のq11〜q21.3領域に
共配置されていた。乳癌の進行に関連するいくつかの遺伝子がこの染色体の同じ
位置にすでに割り当てられており、特に、q12にはオンコジーンc-erbB-2があり
(Fukushige,S.I.ら,Mol.Cell.Biol.6:955-958(1986))、そしてq21には
最近クローン化された腫瘍抑制遺伝子BRACA1がある(Hall,J.M.ら,Science 25
0:1684-1689(1990);Miki Y.ら,Science 266:66-71(1994)および同報告書中
の参考文献)。それらの染色体上の割当てに従って、本発明者らは、4つの新規
の遺伝子をc-erbB-2遺伝子の近位(MLN62および50)および遠位(MLN64および51
)にマッピングした。これらの位置はおそらくBRCA1遺伝子の近位であると思わ
れる。
インビボでは、4つのMLN遺伝子は乳癌腫の10〜20%で増幅を示した。さらに
、乳癌細胞株では、MLN64はc-erbB-2 と同じ増幅パターンを示し、これはBT-474
およびSK-BR-3における明確な増幅を示した。しかし、MLN50遺伝子およびMLN51
遺伝子の増幅は、それぞれBT-474およびSK-BR-3に制限されており、そしていず
れの細胞株もMLN62の増幅を示した。全体的にこれらの結果は、c-erbB-2 アンプ
リコンの性質および大きさは、悪性細胞株ごとに変化し得るという概念を支持し
(Muleris,M.ら,Genes Chrom.Cancer 10:160-170(1994))、乳癌の不均質性
例証する。最終的に、乳癌細胞株において、MLN50、51、および64遺伝子の過剰
発現は遺伝子増幅と相関していた。
DNA増幅は、癌細胞が多くの遺伝子をアップレギュレートすることを可能にす
ることにより、腫瘍の進行において重大な役割を果たすと考えられている(Kall
ら,Intl.J.Cancer 58:40-45(1994))。特に、処置に反応しない患者におい
て、遺伝子増幅の頻度ならびに遺伝子コピー数が乳癌の進行中に増大し、これは
増幅された標的遺伝子の過剰発現が悪性細胞に選択的な利点を付与することを示
Intl.J.Cancer 58:40-45(1994);Guan,X.Y.ら,Nat.Genet.8:155-161(199
4))。最近、比較ゲノムハイブリダイゼーションを用いて、現在知られているオ
ンコジーンの遺伝子座とは異なる増幅された遺伝子座がマッピングされ(Kallio
niemi,A.ら,Proc.Natl.Acac.Sci.USA 91:2156-2160(1994);Muleris,M.
ら,Genes Chrom.Cancer 10:160-170(1944))、このことは、それらの発現が
乳癌に寄与する未知の遺伝子の存在を示唆する。ここで本発明者らが報告するよ
うに、ディファレンシャルスクリーニングの使用は、増幅され、そして過剰発現
される遺伝子を直接クローニングすることを可能にするため、このような未知の
遺伝子の同定に有効な方法論であり得る。増幅は染色体DNA領域の広範な領域に
関係するが、オンコジーンを標的とすることが公知である(Schwab,M.およびAm
ler,L.,Genes Chrom.Cancer 1:181-193(1990))。標的化した遺伝子を同定
するために、増幅と過剰発現との間の相関関係が必要である。従って17q12アン
プリコン内では、c-erbB-2はc-erbAとしばしば共増幅されるが、c-erbAの過剰発
現は決して観察されなかった(van de Vijver,M.ら,Mol.Cell.Biol.7:201
9-2023(1987))。11q13アンプリコン内でも同様の所見が観察されており、ここ
でサイクリンD/PRAD1遺伝子はint-2およびhst-1の2つの線維芽細胞増殖因子関
連遺伝子と連結され、そしてRPDA1のみが癌腫において過剰発現されている(Lam
mie,G.A.ら,Oncogone 6;439-444(1991))。この状況において、本研究で同
定された4つの新規の遺伝子が増幅されるだけではなく過剰発現されるという事
実は、これらの遺伝子が乳腫瘍の発生および/または進行に寄与し得ることを示
唆する。
実施例2
ヒト乳癌腫で発現される遺伝子であって、腫瘍壊死因子レセプター結合タンパク
質ファミリーの新規のメンバーをコードする、CART1
序
ヒトCART1 cDNAは、実施例1で上述したMLN 62cDNAクローンに対応する。この
クローンを、2つのサブトラクティブプローブ(それぞれ、転移性および非悪性
の乳房組織を表す)を用いることによるディファレンシャルスクリーニングを通
して同定した。そしてこれを、q11-q12座にて、第17染色体上にマップした。こ
の座は、その過剰発現が、乳癌の患者について全体的に短く、そして疾病と無関
係な生存性に関するオンコジーンc-erb-B-2を含む(Salmon,D.L.ら、Science 2
35:177-182(1987);Muss,H.B.ら、N.Engl.J.Med.330:1260-1266(1994))
。
本実施例において、本発明者らは、正常ヒト組織および悪性ヒト組織のパネル
におけるCART1遺伝子の発現を調査し、そしてCART1 cDNAタンパク質および遺伝
子の構成を特徴づけた。CART1は、特に上皮乳癌細胞で発現された。CART1のアミ
ノ酸配列は、TNFレセプター結合タンパク質に存在するものと同様の構造ドメイ
ンを明らかにした。これは、CART1がTNF関連サイトカインに対するシグナル伝達
に関与することを示唆している。
材料および方法
組織回収
その後の分析に依存して、組織を液体窒素中で即時に凍結するか(RNA抽出)
、またはホルムアルデヒド中で固定しそしてパラフィン包埋した(インサイチュ
ハイブリダイゼーション)。凍結組織を−80℃で保存し、一方パラフィン包埋組
織を4℃で保存した。
本研究に含まれる39人の患者の平均年齢は、55歳であった。乳癌腫の主な特徴
は以下のとおりであった:SBRグレードI(13%)、グレードII(38%)、グレードII
I(49%);エストラジオールレセプター陽性(25%)、陰性(75%);リンパ節の浸
潤なし(39%)、浸潤有り(61%)。
RNA単離および分析
グアニジウムイソチオシアネートを用いて単一工程法により調製した(Chomczy
nski,P.およびSacchi,N.,Anal.Biochem.162:156-159(1987))全RNAを、ホ
ルムアミドの存在下でのアガロースゲル電気泳動(1%)により分画した。トラ
ンスファー後、RNAを加熱(12時間、80℃)により固定した。フィルター(Hybond N
: Amersham Corp.)を酸性化し(10分間、5%CH3COOH)そしてハイブリダイゼーシ
ョンの前に染色した(10分間、0.004%メチレンブルー、0.5M CH3COONa、pH 5.0)
。
pBluescript II SKベクター(Stratagene)にクローン化した、全長ヒトcDNA(
ヌクレオチド1〜2004)に対応するCART1プローブを、ランダムプライミング(約
106cpm/ng DNA)を用いて32P標識化した(Feinberg,A.P.およびVo Vogelstein,
B.,Anal.Biochem.132:6(1983))。フィルターを、50%ホルムアミド、5×SS
C、0.1%SDS、0.5%PVP、0.5%Ficoll、50 mM ピロリン酸ナトリウム、1%グリ
シンおよび500μg/ml ssDNA中で、42℃にて2時間プレハイブリダイズした。ハ
イブリダイゼーションを、ストリンジェントな条件下(50%ホルムアミド、5×S
SC、0.1%SDS、0.1%PVP、0.1%Ficoll、20 mM ピロリン酸ナトリウム、10%硫
酸デキストラン、100μg/ml ssDNA;42℃)で18時間行った。フィルターを、2×
SSC、0.1%SDS中で室温にて30分間、その後0.1×SSC、0.1%SDS中で55℃で30分
間洗浄した。
インサイチュハイブリダイゼーション
インサイチュハイブリダイゼーションを、ヒトCART1 cDNAのBglIIフラグメン
ト(ヌクレオチド279〜1882)のインビトロ転写の後に得た、35S-標識化アンチ
センスRNAプローブ(5×108cpm/μg)を用いて行った。ホルムアルデヒド固定-パ
ラフィン包埋組織切片(6μm厚)をLMR中で脱パラフィン化し、再水和し、そして
プロテイナーゼKで消化した(1μg/ml;30分間、37℃)。ハイブリダイゼーショ
ンを18時間行い、その後RNAse処理し(20μg/nl;30分間、37℃)そして2回スト
リンジェントに洗浄した(2×SSC、50%ホルムアミド;60℃、2時間)。オート
ラジオグラフィーを、NTB2感光乳剤(Kodak)を用いて2〜4週間行った。曝露の
後、スライドを現像し、そしてトルイジンブルー(toluidine blue)を用いて対比
染色した。CART1由来の35S-標識化センス転写物を、陰性コントロールとして並
行して試験した。
CART1ゲノムDNAクローン化
50μgのヒトゲノムDNAをSau3Aで部分的に消化した。10〜30%のショ糖グラジ
エント上でのサイズ選択の後、インサート(16〜20 kb)をλEMBL 301のBamHI置換
部位にサブクローン化した(Lathe,Rら、Gene 57:193〜201(1987))。2.5×106
の組換えクローンを得、そしてライブラリーを一旦増幅した。全長CART1 cDNAプ
ローブを用いて、100万pfuをゲノムCART1 DNAの存在について分析した。30個の
クローンが陽性シグナルを生じた。2回目のスクリーニングの後、これらのクロ
ーンのうち4個をpBluescript II SK-ベクター(Stratagene)にサブクローン化し
、CART1 cDNA配列に関して配列決定し、そして位置決めした。
配列決定反応
記載されるように(Zhou,C.ら、Biotechniques 8:172-173(1990))調製したCA
RT cDNAクローンおよびゲノムサブクローンを、RNaseA処理(10μg/ml:30分間、
37℃)、その後のPEG/NaCl沈殿(0.57容量;20%、2M)およびエタノール洗浄によ
りさらに精製した。真空乾燥されたペレットを、TE中に200ng/μlにて再懸濁し
た。次いで、2本鎖DNAテンプレートを、pBluescript ユニバーサルプライマー
および/またはインターナルプライマー、およびApplied Biosystems 373A 自動
配列決定機での検出のための色素標識化dNTPのいずれかを用いて、Taqポリメラ
ーゼにより配列決定した。
コンピュータ分析
配列分析を、GCG配列分析パッケージ(Wisconsin Package、バージョン8、Gen
etic Computer Group)を用いて行った。CART1 cDNA配列およびその推測される推
定のタンパク質を用いて、完全な結合GenBank/EMBLデータベースおよび完全なSw
issProtデータベースを、それぞれBLAST(Altshul,S.F.ら、J.Mol.Biol.215
:403-410(1990))およびFastA(Person,W.R.およびLipaman.D.J.,Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 85:2444-2448(1988))プログラムによりサーチした。CART1タン
パク質のRINGフィンガーモチーフおよびコンセンサス配列を、PROSITE辞書(リリ
ース12)中のMotifsプログラムによりさらに同定した。配列アラインメントを、
プログラムPileUp(Feng,D.F.およびDoolittle,R.F.,J.Mol.Evol.25:35
1-360(1987))を用いることにより自動的に得た。
結果
CART1遺伝子の発現
ノーザンブロット分析を用いて、本発明者らは、良性のヒト乳房組織(16の線
維腺腫)および悪性のヒト乳房組織(39の癌腫および5つの転移性腋窩リンパ節
)におけるCART1遺伝子の発現を研究した。CART1 cDNAプローブを用いるハイブ
リダイゼーションは、4つの癌腫および2つの転移において、2kbの見かけの分
子量を有するCART1転写物に対応する陽性シグナルを生じた(図4、レーン7、1
1、13および17、データ不掲載)。線維腺腫は、基底レベルを上回るCART1発現を
示さなかった(図4、レーン1〜6)。CART1転写物は、正常なヒト腋窩リンパ
節、皮膚、肺、胃、結腸、肝臓、腎臓および胎盤においては観察されなかった(
データ不掲載)。
アンチセンスCART1 RNAプローブを用いるインサイチュハイブリダイゼーショ
ンを、原発性乳癌腫および腋窩リンパ節転移について行った。CART1は悪性の上
皮細胞(図5(C))および浸潤性の癌腫(図5(B))において発現し、一方腫瘍間質
細胞は陰性であった。CART1の転写物は陽性の領域に均一に分布していた。正常
な上皮細胞は、浸潤性の癌腫の領域の近傍に位置している場合でさえも、CART1
遺伝子を発現していなかった(図5(A)およびデータ不掲載)。CART1遺伝子の発
現の類似のパターンが、癌細胞に限定された発現を有する乳癌の患者由来の転移
性腋窩リンパ節において観察され、一方非関連のリンパ節領域は陰性であった(
図5(D)およびデータ不掲載)。
ヒトCART1 cDNAおよび推定タンパク質配列の決定
完全なCART1 cDNA配列を、3つの独立したcDNAクローンから確立した。センス
鎖およびアンチセンス鎖の両方を配列決定した。最長のcDNAクローンは、先に観
察された2kbの転写物と一致するサイズである2004 bpを含み、これはこのcDNA
が全長CART1 cDNAに対応することを示唆している(図6(A〜B))(配列番号1
)。最初のATGコドン(ヌクレオチド位85)は、翻訳の開始に最も好ましい環境
を有し(Kozak,M,Nucl.Acids Res.15:8125-8149(1987))、およびクラシカル
なAATAAAポリ(A)添加シグナル配列(Wahle,E.およびKeller,W.,Annu.Rev.Bi
ochem.61:419-440(1992))は、ポリ(A)ストレッチの18 bp上流に位置した。従
って、オープンリーディングフレームは、53 KDの分子量および8のpHiを有する
、470残基のタンパタ質をコードすることが予想された(図6(A〜B))(配
列番号2)。推定のタンパク質はいくつかのコンセンサス配列、および顕著な2
つの潜在的な核局在シグナル(NLS)、単節(monopartite)KPKRR(図6(A〜B)
、配列番号2の残基11〜15)(Dang,C.V.およびLee.W.M.F.,J.Biol.Chem
.264:18019-18023(1989))ならびに2分節(bipartite)RR-X11-KRRLK(図6(A
〜B)、配列番号2の残基123〜140)(Dingwall,C.およびLaskey,R.A.,Trend
s Biochem.Sci.16:478-480(1991))を示した。この分子はまた、N-グリコシル
化(NGS、図6(A〜B)、配列番号2の残基355-357)、カゼインキナーゼI(EELS
、残基300〜303;SVGS、残基303〜306;ECFS、残基331〜334;全て図6(A〜B
)、配列番号2)およびカゼインキナーゼII(SEE、残基86〜88;SRRD、残基122〜
125;SGE、残基149〜151;SHE、残基155〜157;TSE、残基185〜187;TKE、残基1
99〜201;SGE、残基357〜359;SLLD、残基389〜392;SLDE、残基426〜429;SHQD
、残基441〜444;全て図6(A〜B)、配列番号2)によるリン酸化、プロリン
依存性リン酸化(FSPA、図6(A〜B)、配列番号2の残基333〜336)ならびにcA
MP依存性リン酸化(RRVT、図6(A〜B)、配列番号62の残基384〜387)に特異的
な潜在的な部位を含んだ(Kemp,B.E.およびPearson,R.B.,Trends Biochem.S
ci.15:342-346(1990)に総説される)。さらに、2つのシステインリッチ(C-リ
ッチ)領域を同定した。1つはタンパク質のN末端部分に位置し(残基18〜57)、
そして他方は分子の中心に位置する(残基83〜282)。最終的に、CART1タ
ンパク質のC末端部分は、最近記載されたTRAFドメイン(Rothe,M.ら、Cell 78
:681-692(1994)に対応した(図6(A〜B))。
CART1は異例のN末端RINGフィンガーモチーフを含有する
推定のCART1タンパク質のN末端のCリッチ構造は、C3HC4コンセンサス配列(F
reemont,P.S.ら、Cell 64:483-484(1991);図7)を暗示する、CX2CX12CX1HX2
CX2CX11CX2D(C3HC3D)モチーフ(図6(A〜B)、配列番号2の残基18〜57)を
含有した。この配列は、タンパク質のN末端またはC末端部分のいずれかに位置
し、2つのジンクフィンガーに対して潜在的に生じ得、そしてRINGフィンガーモ
チーフと呼ばれてきた(Freemont,P.S.,Ann.N.Y.Acad.Sci.684:174-192
(1993)およびその中の参考文献)。そのような構造を共有するタンパク質は、し
ばしばDNAまたはRNA結合特性を示し、そしてDG17(Driscoll,D.M.およびWillia
ms,J.G.,Mol.Cell.Biol.7:4482-4489(1987))およびSU(z)2(Van Lohuize
n,M.ら、Nature 353:353-355(1991))のような発達、RPT-1(Patarca,R.ら、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2733-2737(1988))、SS-A/Ro(Chan,E.K.L.ら、J
.Clin.Invest.87:68-76(1991))、XNF7(Reddy,B.ら、Dev.Biol.148:107
-116(1991))およびRING1(Lovering,R.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2112
-2116(1993))のような遺伝子転写、RAD-18(Jones,J.S.ら、Nucl.Acids Res
.16:7119-7131(1988))のようなDNA修復、MEL-18(Tagawa,M.ら、J.Biol.Ch
em.265:20021-20026(1990);Goebl,M.G.,Cell 66:623(1991))のような細
胞形質転換、BRCA1(Miki,Y.ら、Science 266:66-71(1994))のような腫瘍抑制
、またはCD40結合タンパク質(CD40-bp)(Hu,H.M.ら、J.Biol.Chem.269:300
69-30072(1994))およびTRAF2(Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994))のような
シグナル伝達の間に関係することが報告されている。CおよびH残基の分布は、
これらの全てのRINGフィンガーにおいて高度に保存されている(図7)。しかし
、CART1は、C3HC4モチーフ(図7)の最後のC残基の代わりにアスパラギン酸(D
-)残基を含有していた。このD-残基の存在を確認するために、そしてD-コドン配
列がAvaII制限部位に通じるので(図8(A))、全長CART1 cDNAについてAvaII消化
を行った。ゲル電気泳動は4つのバンド(それぞれ、253、428、531および792 bp
)の
存在を示し、パターンはD-コドンの存在と一致している(図8(B))。しかし、CA
RT1 cDNAは、悪性組織を用いて確立されたcDNAライブラリーからクローン化され
たので、本発明者らは癌腫形成の間に生じる改変の結果D-残基が生じるという可
能性(Bishop,J.M.,Cell 64:235-348(1991))を排除し得なかった。従って、
生理的な残基を同定するために、本発明者らは、正常な白血球ゲノムライブラリ
ー由来のCART1 DNAを配列決定した(材料および方法を参照)。この分析は、D-
残基の存在、そして従ってC3HC3Dモチーフを確実にした。データバンクライブラ
リー分析は、同一のRINGフィンガーモチーフを共有するタンパク質が他にあるこ
とを明らかにしなかった。
新規のC-リッチモチーフである、CARTモチーフの同定および特徴づけ
第2のC-リッチ領域は、残基83〜282にわたり、そしてタンパク質のほぼ半分
を構成する(図6(A〜B))(配列番号2)。これは、23のC-残基および12の
H-残基を含有した。これらは、ぞれぞれ、残りのC-残基およびH-残基の96%およ
び67%に相当する。これらのC/H残基のスペーシングの慎重な試験は、3つのHX3
CX6CX3CX11-12HX4CX6CX2-6CX11(HC3HC3)リピートを生じる配置の検出を可能にし
た。これらの最N末端は(残基101-154)、潜在的な2分節NLSを含有した(図6
(A〜B)および9)。これらのリピートの間の相同性は、C/H残基およびスペ
ーサーのサイズに対して制限されなかった。3つのCART1 HC3HC3モチーフのアラ
インメントは、互いにおよそ50%の類似性および30%の同一性を示した(図9)
。
タンパク質データベースにおける相同性の探索は、Dictyostelium discoidide
um DG 17タンパク質(図9)(配列番号28)(Driscoll,D.M.& Williams,J
.G.,Mol.Cell.Biol.7:4482-4489(1987))における類似のモチーフ(残基19
3〜250)の1コピー、ならびにヒトCD40-bp(図9)(残基134-189および190-24
8、それぞれ配列番号24および25)(Hu,H.M.ら、J.Biol.Chem.269:30069
-30072(1994))およびマウスTRAF2(図9)(残基124-176および177-238、配列番
号26および27)(Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994))における2コピーの存
在を明らかにした。2つのN末端CART1 HC3HC3モチーフの配列が、CD40-bpのN
末端モチーフの配列(それぞれ、50%および40%)およびTRAF2(それぞれ、52
%お
よび46%)のN末端モチーフの配列に最も類似していたことに注目すべきである
。しかし、C末端CART1 HC3HC3モチーフは、CD40-bpのC末端モチーフ(58%)
およびTRAF2のC末端モチーフ(55%)、ならびにDG17のC末端モチーフ(51%
)に最も類似していた(図9)。これらの比較より、HX3-4CX6CX2-4CX11-12HX3- 4
CX6CX2/6CX11コンセンサス配列が、本発明者らが「RINGおよびTRAFドメインに
結合したC-リッチモチーフ」にちなんでCARTモチーフと命名したこの新規のモチ
ーフについて提唱された(以下参照)(図9)。
CART1はC末端TRAFドメインを含む
TNFレセプター結合因子1(TRAFI)および2(TRAF2)において近年同定されたTRA
Fドメインは、TNFシグナル伝達経路に関与する。TRAFドメインは、これらのタン
パク質の230のC末端残基を含み、そして53%の同一性を共有する(Rothe,M.ら
、Cell 78:681-692(1994))。TRAFモチーフはまた、CD40(TNFレセプターファミ
リーの別のメンバー)の細胞質テイルに結合するCD40-bpにおいて報告された(Hu
,H.M.ら、J.Biol.Chem.269:30069-30072(1994))。CART1のC末端部分(
残基267-470)は、TRAFドメインと2度の(two degrees)相同性を示した。従って
、残基267〜307は弱い相同性(12〜23%同一性)を示した。構造的な予測より、こ
のCART1 TRAFドメインのN末端部分は、αヘリックスに対して生じると推測され
る(Chou,P.Y.およびFasman,G.D.,Annu.Rev.Biochem.47:251-276(1978)
)。TRAF1、TRAF2およびCD40-bpの対応する領域についてすでに提唱されたこのよ
うな構造は、タンパク質/タンパク質相互作用に関与すると推測される(Rothe,
M.ら、Cell 78:681-692(1994);Hu,H.M.ら、J.Biol.Chem.269:30069-30
072(1994))。CART1 TRAFドメインのC末端部分(残基308-470)は、TRAF1(60%
および42%)、TRAF2(69%および47%)およびCD40-bp(62%および43%)の対
応する部分と高度の類似性および同一性を示し、従って「制限されたTRAFドメイ
ン」と定義する(図10)。最終的に、DG17は、N末端RINGフィンガーおよびCART
モチーフをすでに含んでいたので、本発明者らは、そのC末端部分で制限された
TRAFドメインの存在を探求した。本発明者らは、CART1およびDG17の最後の150残
基の間に55%の類似性および30%の同一性を観察した(データ不掲載)。しかし
、
原生動物のDGI7タンパク質は、ヒトおよびマウスのタンパク質由来の制限された
TRAFコンセンサスモチーフを有する複数のミスマッチを示した(図10)。これは
、DG17が原始的なTRAFドメインを含有することを示唆している。
CART1遺伝子の構成
2つの独立なクローンを、全長CART1 cDNAプローブを用いてヒト白血球ゲノム
ライブラリーのスクリーニングから選択した。これらのクローンは、スプライス
部位をマップするためにサブクローン化され、部分的に配列決定された3 kbお
よび3.2 kbのBamHIフラグメントを含んだ。ヒトCART1遺伝子は7つのエキソンに
分断されることが見出された(図11および表V(それぞれ、配列番号52〜57に対
応するエキソン/イントロン番号1〜6))。イントロン/エキソン境界線の比
較は、各々が規範的なスプライスコンセンサス配列に対応することを示した(Br
eathnach,RおよびChambon,P.,Annu.Rev.Biochem.50:349-383(1981))。C
ART1遺伝子の総長は、約5.5 kbであった(図11)。RINGフィンガードメインのゲ
ノム構造の分析は、ヌクレオチド226-227の間に位置するイントロン配列の存在
により分離された2つのエキソンによりコードされることを明らかにした(図4
)。従って、C3HC2およびC3HC3DモチーフのCD部分は、それぞれ、エキソン1お
よび2によりコードされる(図11)。3つのCARTモチーフは、それぞれ、3つの
別々の、161 bpのエキソン(エキソン4)(配列番号55)、161 bpのエキソン(
エキソン5)(配列番号56)、および156 bpのエキソン(エキソン6)(配列番
号57)によりコードされた(図11および表V)。それらの類似のサイズに加えて
、この3つのエキソンは互いに約40%の同一性を示した。これはこれらが先祖エ
キソンの重複により生じることが示唆している。最終的に、α-ヘリックスおよ
び制限されたTRAFドメインは、3’非翻訳領域をまたコードするエキソン7によ
りコードされていた。
CART1タンパク質亜細胞局在−CART1亜細胞局在を、ウサギポリクローナル抗体
を用いてヒト浸潤性乳癌腫由来のパラフィン包埋切片について行った。抗体特異
性を、CART1組換えタンパク質のウェスタンブロット分析により確立した(デー
タ不掲載)。インサイチュハイブリダイゼーションを用いた本発明者らの発見と
一致して、CART1免疫ペルオキシダーゼ染色(褐色染色)が悪性上皮細胞で観察
された。さらに、CART1タンパク質は、核に局在しているようであった。これは
、ほぼ1つのCART1核局在シグナルが機能的であったということを示している。
染色の強度は、切片の所定の領域内でさえも、ある細胞から別の細胞までで変動
し得た。
考察
本発明者らは、乳癌転移性リンパ節cDNAライブラリーをスクリーニングするこ
とにより、本発明者らがCART1遺伝子(実施例1でMLN 62として同定された)と
呼ぶ新規の遺伝子によりコードされるcDNAおよび対応する推定タンパク質を特徴
づけた。CART1は10%の原発性乳癌腫および50%の転移性腋窩リンパ節で過剰発
現されるが、一方対応する非悪性組織には過剰発現しなかった。CART1転写物は
悪性上皮細胞で特異的に検出され、そして癌腫領域を通して均一に分布していた
。CART1の発現は、皮膚、肺、胃、結腸、肝臓、腎臓および胎盤を含む、正常ヒ
ト組織のパネルでは観察されなかった。いくつかの悪性組織に制限されたこの発
現パターンは、CART1が原発性癌腫および転移の形成および/または進行に至る
プロセスに関与することを示唆する。cDNAのオープンリーディングフレームから
推測された推定CART1タンパク質配列は、いくつかの構造ドメインを示した。CAR
T1のN末端部分は、RINGフィンガーの存在により特徴付けられたC-リッチドメイ
ンを含んだ(Freemont,P.S.,Ann.N.Y.Acad.Sci.681:174-192(1993))
。RINGフィンガータンパク質ファミリーは、現在、細胞の増殖および分化の調節
に関与する70以上のメンバーを含む(Freemont,P.S.,Ann.N.Y.Acad.Sci.
684:174-192(1993)に総説されている)。興味深いことに、このファミリーの最
近同定されたメンバーのうちの1つは、遺伝性の乳癌の約50%の原因となる、腫
瘍抑制遺伝子BRCA1である(Miki,Y.ら、Science 266:66-71(1994))。RINGフィ
ンガーモチーフは2つのジンクフィンガーに折り畳まれ、そしてタンパク質/核
酸相互作用に関与すると仮定さいる(Schwabe,J.W.R.およびKlug,A,Nature
Struc.Biol.1:345-349(1994)およびその中の参考文献)。CART1 RINGフィン
ガ
ーにおいて、最後のC-残基はD-残基により置換されて、通常のC3HC4モチーフの
代わりにC3HC3Dを生じる。アスパラギン酸は潜在的な亜鉛配位結合残基として既
に記載されているので(Vallee,B.L.およびAlud,D.S.,Biochem.29:5647-5
659(1990))、本発明者らは、C3HC3Dモチーフがジンクフィンガー構造を介して金
属原子に有効に結合し得ると仮定する。この仮説と一致して、アスパラギン酸は
、別のタイプのジンクフィンガーモチーフであるLIMドメインにおいて機能的
Trends Genet.9:315-320(1994)およびその中の参考文献)。
CART1 RINGフィンガーは、それぞれ、C3HC2およびC3HC3DモチーフのCD部分を
コードする2つのエキソンによりコードされている。ゲノム構造は、それぞれ、
C3HおよびC4の推定ジンクフィンガーをコードする2つのエキソンから生じるコ
ンセンサスMEL-1 8 RINGフィンガーについて先に記載されたもの(Asano,H.ら、
DNA Sequence 3:369-377(1993))とわずかに異なる。
CART1はまた、元来のC-リッチ領域を含んだ。これは、タンパク質内のより中
心部に位置し、そして新規のタンパク質の特徴に対応し、本発明者らがCARTモチ
ーフと称するHC3HC3モチーフの3回の繰り返しで構成された。これらの3回の繰
り返しは、互いに相同な別個のエキソンによりコードされた。これは、これらが
1つの先祖エキソン由来であることを示唆している。CARTモチーフは、種々のコ
ピー数で、3つのRINGフィンガータンパク質である、ヒトCD40-bp(2コピー)、
マウスTRAF2(2コピー)およびDictyostelium discoideum DG17タンパタ質(1
コピー)においてのみ見出された(Hu,H.M.ら、J.Biol.Chem.269:30069-30
072(1994);Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994);Driscoll,D.M.およびWil
liams,J.G.,Mol.Cell.Biol.7:4482-4489(1987))。CD40-bp、TRAF2およびD
G17の対応するC-リッチ領域は、CHC3H2「Bボックス」モチーフまたはC2H2 Xeno
pus Laevis転写因子IIIAモチーフのいずれかに類似するパターンで部分的に編
成されていると以前に報告されている(Freemont,P.S.,Ann.N.Y.Acad.Sci
.684:174-192(1993));Hu,H.M.ら、J.Biol.Chem.269:30069-30072(1994
);Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994);Driscoll,D.M.およびWilliams,
J.G.,Mol.Cell.Biol.7:4482-4489(1987))。以前の研究で定義されたCART
モチーフは、CART1、CD40-bp、TRAF2およびDG17で観察されるC-リッチ領域のほ
ぼ全体を含む。CARTドメインの機能は、まだ決定されていない。予備的なタンパ
ク質研究(C.R.,非公開の結果)は、CARTモチーフの正確な折りたたみは、亜鉛
の存在に依存することを示し、このことは、CARTが、核酸の結合におそらく関与
している新規の亜鉛結合モチーフに対応するという仮説を支持する(Schwabe,J
.W.R.およびKlug,A.,Nature Struc.Biol.1:345-349(1994);Schmiedesk
amp,M.およびKlevit,R.E.,Curr.Opin.Struc.Biol.4:28-35(1994))。
CART1のC末端部分は、TRAF1、TRAF2およびCD40-bpで先に同定されたTRAFドメ
インに対応した。このモチーフはタンパク質/タンパク質相互作用に関与し、そ
してTRAF2およびCD40-bpは、それぞれ、TNF-レセプターファミリーの2つのメン
バーであるTNF-R2およびCD40の細胞質ドメインと特異的に相互作用することが報
告されている(Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994);Hu,H.M.ら、J.Biol.
Chem.269:30069-30072(1994))。TRAFドメインは2つの構造ドメインで構成さ
れ、この2つのドメインは、低度に保存されたαヘリックスに対応するN末端局
在ドメイン、および高度に保存され、そして本発明者らが「制限されたTRAFドメ
イン」(先に記載されたTRAFドメインの一部分しか含まないので)と呼ぶものに
対応するC末端局在ドメインである(Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994);Hu
,H,M,ら、J.Biol.Chem.269:30069-30072(1994))。両方の構造モチーフは
、CART1遺伝子の同じエキソンによりコードされていた。相同性はまた、弱い保
存であるがTRAFドメインと考えられ得る原生動物DG17タンパク質のC末端部分で
観察された。
従って、CART1は、ヒトCD40-bp、マウスTRAF2および原生動物DG17のものに類
似するタンパク質構造を共有する。これは、N末端RINGフィンガー、1〜3の中
心CARTモチーフおよびC末端TRAFドメインを含む(図12)。これらの結果は、こ
れらの構造的に関連したタンパク質が同じタンパク質ファミリーに属し、そして
類似の機能を示し得るということを示唆する。DG17は、ストレス条件下で生じる
Dictyostelium discoideumの凝集の間に発現されて、分化した多細胞生物を通し
て細胞の生存を可能にする。DG17の機能の正確な機能は未知のままである(Drisc
oll,D.M.およびWilliams,J.G.,Mol.Cell.Biol.7:4482-4489(1987))。し
かし、CD40-bpおよびTRAF2は、両方ともTNF関連サイトカインシグナル伝達に関
与することが以前に示されている(Hu.H.M.ら、J.Biol.Chem.269:30069-30
072(1994);Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994))。増殖因子レセプターとは
対照的に、一般に、サイトカインレセプターはその細胞質領域にキナーゼ活性を
含まず、そしてそれらのシグナル伝達機構はわかりにくいままである(Taga,T.
およびKishimoto,T.,FASEB J.6:3387-3396(1993)に総説される)。今日まで
に、TNFおよびTNFレセプターファミリーは、それぞれ8および12のメンバーを含
む。シグナル伝達に必要とされるTNFレセプター細胞質ドメイン間に配列相同性
がないことは、各レセプターに対して特異的なシグナル経路が存在することを示
唆する(Smith,C.A.ら、Cell 65:959-962(1994)に総説される)。近年、CD40お
よびTNF-R2を介したシグナル伝達が、それらの細胞質ドメインと、2つの細胞性
タンパク質であるCD40-bpおよびTRAF2それぞれとの相互作用に関与していること
が提唱された(Rothe,M.ら、Cell 78:681-692(1994);Hu,H.M.ら、J.Biol.
Chem.269:30069-30072(1994))。従って、CD40-bpおよびTRAF2は、それらの各
リガンドによるレセプター活性化のもとに核に転位される、潜在的な細胞質転写
因子であり得た。同様の系が、インターフェロンにより誘引される遺伝子活性化
経路に関与するシグナル伝達体および転写アクチベーター(STAT)のタンパク質フ
ァミリーについて提唱されている(Darnell,J.Eら、Science 264:1415-1421(1
994))。この系は、おそらく、レセプターの活性化後のSTATのリン酸化により誘
引される、細胞質から核へのSTATの移動を介する直接のシグナル伝達経路を含む
(Ihle,J.N.ら、Trends Biochem.Sci.19:222-227(1994);Darnell,J.E.ら
、Science 264:1415-1421(1994))。これらのすべての観察より、CART1は、2つ
のTNFレセプター結合タンパク質において観察されるものと同一のRING、CARTお
よびTRAFドメインの構造編成を共有するだけでなく、推定のNLSおよびリン酸化
部位もまた示し、このCART1は、TNF関連サイトカインシグナル伝達について同様
の機能を発揮し得ると推測させる。
TNFリガンドファミリーのメンバーは、他面発現性の生物学的効果を誘導する
ことが示されている。この効果は、細胞分化、増殖、活性化または死、癌腫形成
および腫瘍進行の間に関与する全てのプロセスを含む(Smith,C.A.ら、Cell 6
5:959-962(1994)、およびその中の参考文献)。乳癌腫において、p55およびp75T
NFレセプターが悪性組織で発現することが示されており、そしてそれらの対応す
るTNFαリガンドの分泌の劇的な増加がこの疾病の転移段階に関連している(Pusz
tai,L.ら、Brit.J.Cancer 70:289-292(1994)、およびその中の参考文献)。
乳癌腫におけるCART1の過剰発現の本発明者らの観察は、CRAT1が、p55/p75また
はTNFレセプターファミリーの別のメンバーのいずれかを関与させるシグナル伝
達経路に関与し得ることを示唆する。TNFレセプターの特性ならびにCRAT1と相互
作用し得るタンパク質の特性は、現在特徴づけされている。
実施例3
Lasp-1(MLN50)は、LIMおよびSH3ドメインの結合により特徴づけられる
新規タンパク質ファミリーの第1のメンバーをコードする
序
上記の実施例1において、本発明者らは、非悪性(線維線種および正常なリン
パ節)乳房組織に対する悪性(転移性リンパ節)乳房組織を用いるディファレン
シャルハイブリダイゼーションによる、乳癌由来の転移性リンパ節cDNAライブラ
リーからのMLN50(Lasp-1)cDNAの単離を記載する。染色体マッピングにより、
本発明者らは、Lasp-1遺伝子を、第17染色体の長腕のq12-q21領域にマッピング
した。この領域は、乳癌の20〜30%で変化し、プロトオンコジーンのc-erbB-2の
増幅を導くことが知られている(Fukushige,S.I.ら、Mol.Cell.Biol.6:955-
958(1986);Slamon,D.J.ら、Science 244:707-712(1989))。乳癌の細胞株にお
いて、本発明者らは、Lasp-1 RNAの過剰発現がその遺伝子増幅と相関し、そして
Lasp-1およびc-erbB-2が同じアンプリコンに属することを示唆するc-erbB-2の増
幅/過剰発現に相関することを見出した。本実施例において、本発明者らは、ヒ
ト乳癌におけるLasp-1の過剰発現の頻度を決定し、そしてコードされたタンパク
質を特徴づけた。
材料および方法
組織および細胞培養
めに液体窒素中で凍結した。隣接する切片を、10%の緩衝化ホルマリン中で固定
し、そして組織学的検査のためにパラフィン包埋した。
細胞株(SK-BR-3、BT-474、MCF-7)は、American Type Culture Collection(
ATCC,Rockville,MD)から入手可能である。細胞を、本発明者らの実験室で日
常的に維持し、そして10%仔ウシ胎児血清を補充したダルベッコ改変イーグル培
地(SK-Br-3)中および10μg/mlのインスリンを補充したダルベッコ改変イーグ
ル培地(MCF-7)中、ならびに10%仔ウシ胎児血清および10μg/mlのインスリン
を補充したRPMI(BT-474)中でコンフルエントに培養した。
RNA調製および分析
外科標本を、グアニジニウムイソチオシアネート溶解緩衝液中でホモジナイズ
し、そして塩化セシウムクッションによる遠心分離により精製した(Chirgwin,
J.M.ら、Biochem.18:52-94(1979))。培養した細胞株からのRNAを、Chomczynsk
i,P.およびSacchi,N.,Anal.Biochem.162:156-159(1987)の単一工程手順を
用いて抽出した。RNAを、1%アガロース、2.2Mホルムアルデヒドゲル上での電
気泳動(Lehrach,H.ら、Biochem.16:4743-4751(1977))により分画し、ナイロ
ン膜(Hybond N,Amersham Corp.)にトランスファーし、そして2時間80℃でベ
ーキングすることにより固定化した。
プローブ調製およびハイブリダイゼーション
MLN50から放出された1.0kbのBamHIフラグメントに対応したLasp-1プローブは
、pBluescript中にサブクローン化された。RNAローディングコントロールプロー
ブ36B4は、内部の0.7kbのPstIフラグメントであった(Masiakowski,P.ら、Nucl
eic Acids Res.10:7895-7903(1982))。
ノーザンブロットを、42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC、0.4%フィコール
、0.4%ポリビニルピロリドン、20mMリン酸ナトリウム(pH 6.5)、0.5%SDS、1
0%硫酸デキストラン、および100μg/ml変性サケ精子DNA中で、36〜48時間、0.5
〜1.106cpm/mlに希釈した32P標識プローブとハイブリダイズした。ストリンジェ
ントな洗浄を、60℃で、0.1×SSCおよび0.1%SDS中で行った。ブロットを、-80
℃で24時間、オートラジオグラフに供した。
配列分析
配列分析を、GCG配列分析パッケージ(Wiskonsinパッケージバージョン8.0、G
enetics computer Group、Madison、WI)を用いて行った。Lasp-1のcDNAおよび
アミノ酸配列を用いて、完全統合GenBank/EMBLデータベースおよび完全SwissPro
tデータベースを、それぞれ、BLASTプログラム(Altschul,S.F.ら、J.Mol.Bi
ol.215:403-410(1990))およびFastAプログラム(Pearson,W.R.およびLipma
n,D.J.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444-2448(1988))を用いて検索した
。Lasp-1のLIMモチーフおよびコンセンサス配列を、PROSITE辞書(リリース12
)において、モチーフプログラムによりさらに同定した。配列アライメントを、
PileUpプログラム(Feng,D.F.およびDoolittle,R.F.、J.Mol.Evol.25:351-
360(1987))を用いて自動的に得た。
結果および考察
Lasp-1のmRNA分布を決定するために、本発明者らは、ノーザンブロット分析を
、プローブとしてcDNAを用いて行った。単一の4.0kbのmRNAのバンドを、低いレ
ベルで、調べた全てのヒトの組織および細胞株において検出された(図13、デー
タ示さず)。Lasp-1 mRNAの過剰発現が、8%(5/61)の原発性乳癌(図13(A)
、レーン8)、および40%(2/5)の乳癌誘導転移性リンパ節(図13(A)、レ
ーン1および2)で見出された。基底レベルを上回る発現は、非悪性乳房組織(
図13(A)、レーン13〜17、線維線腫;レーン18、増殖性乳房)および正常成人組
織(図13(B)、レーン1〜6、データ示さず)においても見出されなかった(0/
15)。c-erbB-2の過剰発現との比較により、Lasp-1は、ほとんどのヒト乳癌およ
び細胞株で共発現していることを見出した(図13(A)、レーン1、2、および8
;図13(B)、レーン8)が、全てのヒト乳癌および細胞株ではなかった(図13(A)
、レーン12;図13(B)、レーン7)。これらの結果は、c-erbB-2座付近を中心と
する遺伝子増幅によりおそらく引き起こされる、いくつかの乳癌組織および誘導
された転移性リンパ節における増加した発現をともなって、Lasp-1がRNAレベル
でほぼ遍在することを示唆する。
完全なLasp-1 cDNA配列を、4つの独立したcDNAクローンから確立した。セン
ス鎖およびアンチセンス鎖の両方を配列決定した。最長のcDNAクローンは、3848
bpを含有した。サイズは転写物サイズと一致し、これは、このクローンが全長cD
NA(図14(A-B))(配列番号3)に対応するはずであることを示唆するる。ヌク
レオチドレベルで、配列相同性を、22個の発現配列タグ(EST)(Weinstockら、
Curr.Opin.Biotech.5:599-603(1994)、およびそれにおける参考文献)を用い
て見出した。これらの配列のいくつかは重複し、そしてそれらは、ほとんど、
分子の3'非翻訳末端に位置していた(図14(C))。これらのESTのほとんどは、正
常な組織(胎児脳、白血球、前立腺、肝臓、膵臓小島、および胎児脾臓)を用い
て確立した異なるヒトcDNAライブラリーから確立された。これらのすべてのサン
プル中におけるLasp-1転写物の存在は、Lasp-1 mRNAの遍在的な発現の本発明者
らの発見と良く一致する(図13、データ示さず)。
最初のATGコドン(図14(A-B)(配列番号3)のヌクレオチド位76)は、翻訳の
開始に好ましい状況を有した(Kozak,M.、Nucl.Acids Res.15:8125-8149(19
87))。そして古典的なAATAAAポリ(A)付加シグナル配列(Wahle,E.およびKelle
r,W.、Annu.Rev.Biochem.61:419-440(1992))が、ポリ(A)ストレッチの13bp
上流に位置していた(図14(A-B)(配列番号3))。予想されるオープンリーデ
ィングフレームは、30KDの分子量および6.5のpHiを有する、261アミノ酸のタン
パク質をコードした(図14(A-B)(配列番号4))。このタンパク質は、いくつ
かのコンセンサス配列を示した:アミド化部位(GGKR、図14(A-B)(配列番号4
)の残基203-206)、cAMPおよびcGMP依存性プロテインキナーゼ(RRDS、図14(A-
B)(配列番号4)の残基141-144)、カゼインキナーゼII(SGGE、139-136;SAAD
、213-216;SFQD、221-224;すべて、図14(A-B)(配列番号4))、プロテイン
キナーゼC(TEK、14-16;TCK、33-35;SYR、150-152;すべて、図14(A-B)(配
列番号4))、およびチロシンキナーゼ(KKGYEKKPY、38-45;KDSQDGSSY、137-1
44;すべて、図14(A-B)(配列番号4))によるいくつかのリン酸化部位。
a,I.およびRabbits,T.H.、Trends Genet.9:315-320(1994))ドメイン、およ
びタンパク質のC末端部でのSH3(Musacchioら、FEBS Lett.307:55-61(1992))
ドメインとして同定された。
Lasp-1の予想される一次配列は、2つの可能性のあるチロシンリン酸化部位(
図14(A-B)で下線を付す)を含む;これらの残基の後に、予想されるSH2結合モチ
ーフ(Songyangら、Cell 72:767-778(1993))に相同性を示す短いトリペプチド
が続く。
単一のLIMドメインがLasp-1のN−部分に存在する
LIMドメインは、多くの無脊椎動物および脊椎動物のタンパク質に存在する7
個のシステインおよびヒスチジン残基(C-X2-C-X16/23-H-X2-C-X2-C-X2-C-X16/2 1
-C-X2/3-C/D/H)の配置である。一般的な名称は、3つの最初に同定されたLIM
遺伝子(lin-11、lsl-1、およびmec-3)の産物について与えられた。LIMを含む
タンパク質のファミリーは、引き続き増加しており、そして異なる群に再分割さ
れ得た(Shnchez-Garcia,I.およびRabbits,T.H.、Trends Genet.9:315-320(1
994))。LIM-HDと名付けられた1つの群は、ホメオドメインと結合する2つのLI
Mドメインを有するタンパク質を含む(lin-11、lsl-1、mec-3)。LIM-onlyと名
付けられた別の群は、単一のLIMドメインを示すタンパク質(CRIP)、2つのLIM
ドメインを示すタンパク質(CRP、TSF3、RBTN1、RBTN2、RBTN3)、または3つの
LIMドメインを示すタンパク質(ザイキシン)を含む。最近、キナーゼドメイン
と結合する2つのLIMドメインを有するタンパク質を含む、LIM-Kと名付けられた
新
9:315-320(1994);Mizunoら、Oncogene 9:1605-1612(1994))。LIMドメインは亜
鉛結合構造を規定し、そして亜鉛の結合は、ドメインの正しい折り畳みに必要で
ある。
LIMタンパク質とLasp-1との配列アライメントは、C.elegans YLZ4の推定のタ
ンパク質(アクセス番号P34417)と最良値のアライメントを示した。全体的な相
同性は低い(36%の同一性および55%の類似性)が、LIMドメイン内では高い(6
6%の同一性および80%の類似性)。タンパク質YLZ4は、C.elegansの第3染色体
の全配列決定において同定された(Wilson,R.ら、Nature 368:32-38(1994))。
YLZ4のLIMドメインは、LIMコンセンサスと完全に一致する。最初の2つのシステ
インは、2つの残基の代わりに4つの残基で隔てられ、アライメントにおけるギ
ャップを導く(図15(A))。LIMコンセンサス配列以外のLIMを含む他のタンパク
質のうち、さらなる相同性が、ヒトのシステインリッチタンパク質CRP中で見出
された(Liebhaberら、Nucl.Acids Res.18:3871-3879(1990))。ラットのシス
テインリッチの腸タンパク質CRIPそして腸の亜鉛吸収におけるCRIPの役割が示唆
されており、そしてCRPは、LIM-onlyタンパク質ザイキシンの結合パートナーと
して同定されたが、これらのタンパク質の生理学的機能は未だ不明である。病
巣の接着斑において調節機能またはシグナリング機能を有すると考えられた(Cr
awfordら、J.Cell Biol.116:1381-1393(1992);Crawfordら、J.Cell Biol.1
24:117-127(1994);Sadlerら、J.Cell Biol.119:1573-1587(1992))、これら
の2つのタンパク質間の相互作用は、それらのLIMドメイン間での配列特異的相
互作用により媒介される(ShmeichelおよびBeckerle、Cell 79:211-219(1994))
。LIMドメインは、SH2およびSH3ドメインに類似するタンパク質/タンパク質モ
ジュラー結合界面として考えられ得る(ShmeichelおよびBeckerle、Cell 79:211
-219(1994))。異なる種、哺乳動物、線虫、および植物の広範囲にわたるLasp-1
LIMドメインの強い保存を示す本発明者らの発見は、このドメインの重要な機能
を示唆する。
Lasp-1はC末端部分にSH3ドメインを含む
SH3(src相同性領域3)は、60アミノ酸の小さなタンパク質ドメインであり、
srcタンパク質チロシンキナーゼのN末端の非触媒部分における保存された配列
として最初に同定された(Sadowskiら、Mol.Cell.Biol.6:4396-4408(1986);
Mayerら、Nature 332:272-275(1988))。チロシンキナーゼシグナル伝達経路に
関与する多くのタンパク質は、SH3ドメインを含む(Schlessinger,Curr.Opin
.Genet.Develop.4:25-30(1994))。このドメインはまた、関連しない機能タ
ンパク質(例えば、細胞骨格結合タンパク質)中で見出され得た(Musacchioら
、FEBS Lett.307:55-61(1992))。SH3ドメインの機能は、依然として不明であ
る。しかし、SH3含有タンパク質は、通常、原形質膜の近傍に位置する。これは
、タンパク質をこの細胞区分に標的化することにおけるこのドメインの役割を示
唆する(Musacchioら、FEBS Lett.307:55-61(1992))。アダプター分子Grb2の
直接的な証拠である、SH3ドメインを標的化する性質が提供された(Bar-Sagiら
、Cell 74:83-91(1993))。その機能に対する暗示が、いくつかの異なるSH3ドメ
インの解明により達成された。これは、全体の構造が保存され、そして独立して
折り畳まれることを示す。オンコジーンのチロシンキナーゼのSH3ドメインに対
するいくつかのタンパク質リガンドがまた単離され、SH3ドメインへの結合に必
要な特定のプロリンリッチ領域の規定に導く(Alexandropoulosら、
92:3110-3114(1995)、およびそこでの参考文献)。
配列アライメントは、Lasp-1のC末端部と、いくつかのSH3含有タンパク質と
の相同性を示した(図15(B))。SH3含有タンパク質として、EMS1(Schuuringら
、Oncogene 7:355-361(1992))のSH3ドメインにおいて、srcチロシンキナーゼ基
質のコルタクチン(cortactin)(Wuら、Mol.Cell Biol.11:5113-5124(1991)
)のヒトホモログが挙げられる。最強の保存が、C.elegansのYLZ3の推定のタン
パク質(アクセス番号P34416)で見出された。全体的な相同性は低い(23%の同
一性および40%の類似性)が、SH3ドメイン内では大きい(57%の同一性および7
4%の類似性)。このタンパク質は、C.elegansの第3染色体全体の配列決定から
予想された。興味深いことに、F42H10.3コスミドにおいて、YLZ3をコードする遺
伝子は、YLZ4をコードする遺伝子に隣接する。YLZ4コード遺伝子は、Lasp-1のLI
Mドメインと強い相同性を有するLIMドメインを含有した(図15(A))。これは、
原生生物由来のタンパク質において隔てられた同じタンパク質機能ドメインでの
結合を導くモジュラー進化過程を反映する。
結論として、Lasp-1は、LIMドメインおよびSH3ドメインを有する。これらのド
メインは、発生、転写、形質転換、および細胞シグナリングを含む異なる細胞プ
ロセスで生じる、タンパク質/タンパク質の相互作用に関与する。LIMドメイン
は、2つの異なる機能的ドメイン(ホメオドメインおよびキナーゼドメイン)と
結合することが示されている。SH3ドメインは、しばしば、SH2、プレクストリン
(pleckstrin)相同性(PH)、およびキナーゼドメインと結合して見出される。
LIMドメインとSH3ドメインとの間の連結が、細胞骨格タンパク質パクシリン(pa
xillin)(LIM-onlyタンパク質)と、ビンキュリンのSH2ドメインおよびSH3ドメ
インならびに病巣接着キナーゼ(pp125fak)との相互作用により見出された。現
在まで、Lasp-1は、両方のドメインを含む最初のタンパク質であり、そして細胞
シグナリングに関与するアダプター分子の新規のタンパク質ファミリーの最初の
メンバーを示し得た。ヒトの成人組織におけるLasp-1の遍在的な発現は、このタ
ンパク質の基本的な細胞機能を示唆する。さらに、10〜15%のヒト乳癌における
遺伝子増幅によるその過剰発現は、Lasp-1が癌腫形成または腫瘍進行に関連し得
ることを示唆する。
実施例4
悪性細胞および組織において c-erbB-2 オンコジーンとともに
共発現される遺伝子であるMLN64
序
上記実施例1において、本発明者らは転移性乳癌cDNAライブラリーからのヒト
MLN64 cDNAの単離について述べている。このクローンを、乳癌に特異的に関与し
やすい新しい遺伝子を同定するために、それぞれ、転移性および良性乳房組織を
代表する2つの減法プローブを用いて行われるディファレンシャルスクリーニン
グにより確認した。
本発明者らは、q21.1バンドに最大を有する第17染色体のロングアームのq12-q
21領域においてMLN64をマッピングした(上記実施例1を参照のこと)。この領
域にはすでに乳癌疾患に関与していることが知られている2つの遺伝子が含まれ
る。それらは、q12のオンコジーンc-erbB-2(Slamon,D.J.ら,Science 235:17
7-182(1987))およびq21の腫瘍サプレッサー遺伝子BRCAI(Hall,J.M.ら,Scie
nce 250:1684-1689(1990);BrownおよびSolomon,Curr.Opin.Genet.Dev.4:43
9-445(1994),およびそれらの中の引用文献)の2つである。c-erbB-2過剰発現
は、乳癌患者のより早い回復および疾病を有さない生存と相関がある(Muss,H.B
.ら,N.Engl.J.Med.300:1260-1266(1994),およびその中の引用文献)。さらに
、c-erbB-2過剰発現は、発癌中の遺伝子増幅に依存することが証明されている(
van de Vijver,M.ら,Mol.Cell Biol.7:201-223(1987))。本発明者らは、
実施例1において、MLN64遺伝子がSKBR3およびBT474乳癌細胞株においてc-erbB-
2遺伝子とともに共増幅されることを立証した。DNA増幅は、癌細胞に多数の遺伝
Natl.Acad.Sci.USA 91:2156-2160(1994))、および、特に、オンコジーンを
アップレギュレートさせることにより、腫瘍を進行させる上で重要な役割を果た
していると考えられている。遺伝子増幅の頻度ならびに遺伝子コピー数は、乳癌
進行中、特に、処置に応答しない患者において増加し、これは増幅された標的遺
伝子の過剰発現が悪性細胞に対し選択的に有利な状況をもたらすことを示唆して
nn,U.ら,Intl.J.Cancer 58:40-45(1994);Guan,X.Y.ら,Nat.Genet.8:1
55-161(1994))。
BRCAIは乳癌腫の遺伝的形式の約半分に対して応答性であり、これは他の腫瘍
サプレッサー遺伝子が関連する可能性があることを示唆している(Miki,Y.ら
,Science 266:66-71(1994))。BRCAIは、フレームシフトおよびナンセンス変異
を含む種々の可能性のある疾患をもたらす改変を示すことが示されている(Cast
illa ら,Nat.Genet.8:387-391(1994);Friedman ら,Nat.Genet.8:399-404(
1994);Simard ら,Nat.Genet.8:392-398(1994))。
最後に、散在性初期乳癌腫において、種々の部位のDNA変異、欠失、または増
幅が第17染色体のq12-q21領域で報告されている(Kirchweger ら,Intl.J.Canc
er 56:13-19(1994);Futreal ら,Science 266:120-122(1994);Guan,X.Y.ら,Na
t.Genet.8:155-161(1994))。この状況では、第17染色体のq12-q21領域に位置
し、そして乳癌細胞株で増幅および過剰発現されるMLN64は、乳癌の発症および
/または進行に導く分子プロセスに関与し得る。
本実施例において、本発明者らは、MLN64 cDNA、タンパク質および遺伝子の構
成を特徴付け、そして一群の正常および悪性ヒト組織におけるMLN64遺伝子発現
を調べた。
材料および方法
組織および細胞株採取
続く分析に依存して、組織を液体窒素中で直ちに凍結するか(RNA抽出)、あ
るいはホルムアルデヒド中で固定し、そしてパラフィンに包埋した(インサイチ
ュハイブリダイゼーションおよび免疫組織学)。凍結した組織を−80℃で保存す
る一方で、パラフィンに包埋した組織を4℃で保存した。
本研究に参加した39名の患者の平均年齢は55歳であった。乳癌腫の主な特徴は
以下のとおりであった:SBRグレードI(13%)、グレードII(38%)、グレー
ドIII(49%);エストラジオールレセプター陽性(25%)、陰性(75%);湿
潤のないリンパ節(39%)、湿潤を有するリンパ節(61%)。
RNAの単離および分析
グアニジウム-イソチオシアネートを用いる一工程の方法(Chomczynski,P.お
よびSacchi,N.,Anal.Biochem.162:156-159(1987))により調製された全RNA
を、ホルムアルデヒドの存在下で、アガロースゲル電気泳動(1%)により分画
した。移動後、RNAを加熱(12時間、80℃)により固定化した。フィルター(Hyb
ond N;Amersham Corp.)を酸性化し(10分、5%CH3COOH)、ハイブリダイゼー
ションの前に染色した(10分、0.004%メチレンブルー、0.5MCH3COOHNa、pH5.
0)。
全長ヒトcDNAの(ヌクレオチド 1-2008)に対応する実施例1に記載のMLN64プ
ローブ(pBluescript II SK−ベクター(Stratagene)中にクローニングされてい
る)をランダムプライマー(約106cpm/ng DNA)を用いて52P標識した(Feinberg
,A.P.およびVogelstein,B.,Anal.Biochem.137:266-267(1984))。フィルタ
ーを、50%ホルムアミド、5× SSC、0.1%SDS、0.5%PVP、0.5%Ficoll、50m
Mピロリン酸ナトリウム、1%グリシン、500μg/mlのssDNA中、42℃で2時間プ
レハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションをストリンジェントな条件下(
50%ホルムアミド、5×SSC、0.1%SDS、0.1%PVP、0.1%Ficoll、20mMピロリ
ン酸ナトリウム、10%デキストラン硫酸、100μg/mlの ssDNA;42℃)で18時間
行った。フィルターを、2×SSC、0.1%SDS中で室温にて30分洗浄後、0.1%SSC
、0.1%SDS中で55℃にて30分洗浄した。デハイブリダイゼーション後、フィルタ
ーを、c-erbB-2特異的プローブで再度ハイブリダイズした。36B4プローブ(Mas
iakowski,P.ら,Nucleic Acids Res.10:7895-7903(1982))を陽性内部コント
ロールとして用いた。MLN64およびc-erbB-2のハイブリダイゼーションについて
は2日間オートラジオグラフィーを行い、一方、36B4ハイブリダイゼーションに
ついては16時間、露出させた。
ゲノムDNAの単離および分析
ヒト白血球、ならびにサル、ブタ、ウサギ、ラット、ハムスター、マウス、ニ
ワトリ、ハエ、および線虫由来のゲノムDNA(10mg)をEcoRIまたはTaqIを用い
て消化し、アガロースゲル電気泳動(0.8%)により分画し、そしてナイロン膜(
Hybond N+;Amersham Corp.)に移した。サザンブロットについてのハイブリダイ
ゼーション条件は、先に記載したノーザンブロットについての条件と同一であっ
た。
モノクローナル抗体の調製および免疫組織化学
推定のMLN64タンパク質のC末末端分(図16(A-C))に位置する16AA(アミノ酸
)に対応する合成ペプチドPC94を、Fmocケミストリー(Model 431A ペプチド合
成機,Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)を用いて固相で合成し、
アミノ酸分析(Model 420A-920A-130A 分析装置システム;Applied Biosystems
,Inc.)により検証し、そして二官能性試薬MBS(Aldrich Chemical Co.,Milwa
ukee,WI)を用いてさらなるNH2-末端外のシステイン残基を介してオボアルブ
ミン(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO)に結合した。
2匹の8週齢の雌BALB/cマウスに、陽性抗血清を獲得するまで、2週毎に100
μgの結合抗原を腹腔内に注入した。融合の4日前に、マウスに抗原(100μg)
の追加注入を行い、次いで脾臓を取り出すまで毎日静脈経路で10μgおよび腹腔
経路で10μg注入した。これらの脾臓細胞を、St.GrothおよびScheidegger、J.
Immunol.Meth.35:1-21(1980)に従い、Sp2/0-Ag14ミエローマ細胞と融合した
。培養上清を、抗原として非結合ペプチドを用いてELISAによりスクリーニング
した。次いで、陽性培養培地をMLN64 cDNAでトランスフェクトしたCOS-1細胞に
関して免疫細胞蛍光抗体法およびウエスタンブロット分析により試験した。MLN6
4を特異的に認識する抗体を分泌することが見出された5つのハイブリドーマを
、軟寒天上で2回クローニングした。これらはすべて、免疫グロブリンのkサブ
クラスであるIgG1に対応した(Isotyping kit,Amersham Corp.)。
免疫組織化学分析を、パラフィンに包埋した組織切片を用いて先に記載した(
Rio,M.C.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:9243-9247(1987))ように行っ
た。ハイブリドーマ上清を2倍に希釈し、そしてペルオキシダーゼ-抗ペルオ
キシダーゼ系(DAKO,Carpinteria,CA)を露見させるために用いた。
インサイチュハイブリダイゼーション
インサイチュハイブリダイゼーションを、ヒトMLN64 cDNAに特異的な35S標識
したアンチセンスRNAプローブ(5×108cpm/μg)を用いて行った。ホルムアル
デヒドで固定しパラフィンに浸漬した組織切片(厚さ6μm)をLMR中で脱パラ
フィン化し、再水和し、そしてプロテイナーゼK(1μg/ml;30分、37℃)で消
化した。ハイブリダイゼーションを18時間行い、続いてRNase 処理(20μg/ml;
30分、37℃)を行い、そしてストリンジェントな条件で2度洗浄した(2×SSC
、50%ホルムアミド;60℃、2時間)。NTB2エマルジョン(Kodak)を用いてオ
ートラジオグラフィーを2〜4週間行った。露出後、スライドを現像し、トルイ
ジン・ブルーを用いて対比染色した。MLN64 からの35S標識したセンス転写物を
陰性コントロールとして並行して試験した。
MLN64 ゲノムDNAクローニング
50μgのヒトゲノムDNAをSau3Aで部分消化した。10-30%スクロース勾配でサ
イズ選択した後、インサート(16-20kb)をλEMBL 301のBamHI置換部位でサブク
ローニングした(Lathe,R.ら,Gene 57:13-201(1987))。2.5×106の組換えク
ローンを得、そしてライブラリーを一度増幅した。100万pfuを、5'および3'末
端特異的MLN64 プローブを用いて、ゲノムMLN64 DNAの存在について二重で分析
した。5'プローブを、増幅したDNAフラグメント(ヌクレオチド1〜81)を用い
て得、そして3'プローブはMLN64 XYZbp(ヌクレオチド60〜2073)を含むEcoRI
フラグメントに対応した。10および18のクローンは、それぞれ5'および3'プロ
ーブについて陽性のシグナルを示した。第2のスクリーニングの後、2つのプロ
ーブとハイブリダイズする4つのクローンをpBluescriptIISK-ベクター(Strat
agene)にサブクローニングし、配列決定し、そしてMLN64 cDNA配列について位
置を決定した。
RT-PCR-配列決定反応
Zhou,C.ら,Biotechniques 8:172-173(1990)に記載されるように調製したML
N64 cDNAクローンおよびゲノムサブクローンを、さらにRNaseA処理(10μg/ml;
30分、37℃)により精製し、続いてPEG/NaCl沈殿(0.57容量,20%,2M)およ
びエタノール洗浄を行った。真空乾燥したペレットをTE中200ng/μlで再懸濁し
た。次いで、二本鎖DNAテンプレートをpBluescript ユニバーサルプライマーお
よび/または内部プライマーならびにApplled Biosystems 373A 自動化シーケン
サーでの検出のための色素標識したddNTPを用いてTaqポリメラーゼを用いて決定
した。
コンピュータ分析
配列分析を、GCG配列分析パッケージ(Wisconsin Package,バージョン8,Ge
netic Computer Group)を用いて行った。MLN64 cDNA配列およびそれから導かれ
るタンパク質を用いて、BLAST(Altschul,S.F.ら,J.Mol.Biol.215:403-41
0(1990))およびFastA(Pearson,W.R.およびLipman,D.J.,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 85:2444-2448(1988))プログラムにより、それぞれ、完全複合GenBank/
EMBLデータベースおよび完全SwissProtデータベースを調査した。
結果
ヒトMLN64 cDNAおよび推定タンパク質配列の決定
完全MLN64 cDNA配列を、ヒトの転移性腋窩リンパ節を用いて構築された組織cD
NAライブラリーに由来する、6つの独立したcDNAにより確立した(実施例1)。
各クローンについては、センスおよびアンチセンス両方の鎖を配列決定した。全
長MLN64 cDNAは2073bpを含んだ(図16(A-C))(配列番号5)。第1のATGコドン
(ヌクレオチド169-171)は翻訳の開始に最適な状況を有し(Kozak,M.,Nucl.
Acids Res.15:8125-8148(1987))、そしてAATTAAAポリ(A)付加シグナル配列(
配列番号5のヌクレオチド2050-2056)(Wahle,E.およびKeller,W.,Annu.R
ev.Biochem.61:40-41(1992))は、ポリ(A)ストレッチの24bp上流に位置し
た。従って、オープンリーディングフレームは、分子量50KDおよびpHi8.2であ
る445アミノ酸(AA)のタンパク質(図16(A-C))(配列番号6)をコードする。DN
Aデータベースの調査により、成人(心臓)、生後(脳)または胎児(胎盤、肝
臓、脾臓および脳)のいずれかを用いて確立されたライブラリーで同定された種
々のヒト発現配列タグ(EST)との相同性が明らかにされている。さらに、ラッ
ト骨肉腫細胞株cDNAライブラリーのディファレンシャルスクリーニングにより最
近確認された、クローンp10.15のcDNA配列(606bp)と75%の相同性が認められ
(WayeおよびLi,J.Cell Biochem.54:273-280(1994))、これはMLN64 がラット
のp10.15のヒトホモログに対応していることを示唆している。
驚いたことに、タンパク質のアラインメントにより、2つの推定タンパク質間
の相同性は、p10.15タンパク質のコアに位置する21AAと同一であるMLN64の最後
の21C末端AAに限定されることが示された(WayeおよびLi,J.Cell Biochem.54
:273-280(1994))。両推定タンパク質について慎重に試験がなされ、そしてこれ
らが一般に21コドンのみを含む異なるオープンリーディングフレームからもたら
されることが示された(WayeおよびLi,J.Cell Biochem.54:273-280(1994))。
MLN64 は、未知の機能のCaenorhabditis elegans U12964 推定タンパク質と29%
の同一性および55%の類似性を示した(Waterston R.私信)。推定MLN64 タン
パク質分析により、N-グリコシル化(NESD,残基219-222;NKTV,残基311-314
;図16(A-C)の配列番号6の両方)、カゼインキナーゼIIによるリン酸化(SFFD,
残基94-97;SPPE,残基209-212;SDNE,残基217-220;SDEE,残基221-224;SAQE
,残基232-235;SPRD,残基343-346;TMFE,残基426-429;図16(A-C)の配列番号
6のすべて)、プロテインキナーゼC(SPR,残基343-345;SAK,残基370-372;
THK,残基375-377;図16(A-C)の配列番号6のすべて)、アミド化(AGKK,残基2
26-229;図16(A-C)の配列番号6)に特有の潜在的な部位を示した(総説、Kemp
,B.E.およびPearson,R.B.,Trends Biochem.Sci.15:342-346(1990))。さら
に、構造分析により2つの潜在的な膜貫通ドメインが示された(図16(A-C)の配
列番号6の残基1-72および94-168)。MLN64アミノ酸組成は、11.5%の芳香族残
基(Phe、TrpおよびTyr)および26%の脂肪族残基(Leu、Ile、ValおよびMet)
を示した。これらの脂肪族残基の可能な各部分の配列を検出するために、これら
の脂肪族残基の配置を慎重に試験した。Leu 残基は主として、200N末端AA(37
Le
u)において、AA285とAA328との間(7Leu/43AA)およびAA406とAA441との間(7
Leu/35AA)に分布している。コンセンサスロイシンジッパー(総説、Buschおよ
びSassone-Corsi,Trends Genet.6:36-40(1990))も、ロイシンリッチ反復(Ko
beおよびDeisenhofer,Trends Biochem.Sci.11:415-421(1994))も導かれ得な
かった。
MLN64 改変体
4人の異なる患者から得た転移性腋窩のリンパ節を用いて組織cDNAライブラリ
ーを構築した。6つの独立したMLN64 cDNAをこのライブラリーからクローニング
し、そして配列を決定した。本発明者らは、これらの配列の間に高度の多様性を
観察した。従って、本発明者らは、Leu をPhe(AA32)におよびGln をArg(AA11
7)にそれぞれ変える2つの置換(CをT(ヌクレオチド262)およびAをG(ヌ
クレオチド518))を観察した(表VI、改変体AおよびB)。別のcDNAは、33AA(
AA184-AA216)の欠失および412AA推定タンパク質に導く99bp欠失(ヌクレオチド
716-814)を示した(表VI、改変体C)。最後に、1つのクローンは、挿入部位
の48bp下流に終止コドンを生じ、そしてそのC末末端で16の変種AAを含む281AA
キメラC末端トランケート化タンパク質を生じる51bp挿入(ヌクレオチド963-96
4の間)を示した(表VI、改変体D)。これらの結果は、MLN64 オープンリーデ
ィングフレームにおいて少なくとも4つの改変が起きることを示した。タンパク
質の改変およびおそらくは機能の喪失に導く遺伝子的および後生学的DNA変異を
示す遺伝子は、形質転換および/または癌の進行において役割を果たし得るので
(Joensen,ら,Amer.J.Pathol.143:867-874(1993);Katagiri ら,Cytogenet
.Cell Genet.68:39-44(1995))、観察された変化がcDNAライブラリー人工産物
からもたらされる可能性を避けるために、本発明者らは、SKBR3乳癌細胞株を用
いて確立された第2ライブラリーからMLN64 cDNAを再度クローニングすることを
決定した(未発表データ)。
25の新しいMLN64 cDNAをクローニングし、そしてMLN64特異的プライマーを組
織ライブラリーから先に単離したものと同じ挿入/欠失改変体の存在をPCRを用い
て同定するためにデザインした。25のクローンの中で、6つがすでに同定された
欠失/挿入の事象と一致する改変されたサイズを示したが、一方、残りの19のク
ローンは野生型MLN64 cDNAのサイズと同一のサイズを示した(データは示されて
いない)。6つの改変体クローンの配列分析は、これらすべてがヌクレオチド26
2位置にCをおよびヌクレオチド518位置にAからGへの置換を含むことを示し(
表VI、改変体B)、これは組織ライブラリーから単離したMLN64 クローンで観察
される1つのヌクレオチドの変化が、そのライブラリーが4人の患者由来の組織
を用いて確立されていたので、個々の多様性に対応し得ることを示唆した。4つ
のクローンは、転移性ライブラリーからクローニングされたcDNAで先に観察され
た改変である99bp欠失(ヌクレオチド716-814)を示した(表VI、改変体C)。9
9bp欠失に加えて、1つのクローンは、フレームシフトを生じ、そしてMLN64-の1
21のN末端AAおよびC末末端分に126の変種AAを含有する247AAキメラC末端トラ
ンケート化タンパク質を生じる13bp欠失(ヌクレオチド531-543)を示した(表V
I、改変体F)。657bpの挿入(ヌクレオチド963と964との間)が、285AAのC-ト
ランケート化タンパク質をもたらす別のクローンで観察された(表VI、改変体E
)。残りのクローンは、3つの改変であるATG開始コドンの喪失に導く137bp
欠失(ヌクレオチド115-251)、すでに記載した13bp欠失(ヌクレオチド531-543
)および199bp挿入(ヌクレオチド715下流)を示した。第1の潜在的なATGコ
ドンはヌクレオチド1087〜1089に位置しているので、このクローンはMLN64の138
C末端AAを含むN末端トランケート化タンパク質をコードし得る(表VI、改変体
G)。従って、組織cDNAライブラリーで先に観察された改変体に加えて、本発明
者らは細胞cDNAライブラリーにおいて3つの新規なMLN64 改変体を観察した。研
究したすべてのクローンは、インサートがスプライスされていないプレメッセン
ジャーRNAに対応し得る可能性を除くpolyA+を示した。2つの異なるライブラリ
ーから単離された2つの同一の改変体(表VI、改変体BおよびC)の同定により
、これらはcDNAライブラリー人工産物によるものではなく、MLN64遺伝子特有のc
DNA改変によるものであることが示された。改変体D、EおよびFに存在する推
定ナンセンスタンパク質配列は、データベースに含まれている既知のタンパク質
配列との相同性を示さなかった。
これらの改変体が悪性に特異的であるかどうかを決めるために、そしてMLN64
は胎盤で発現されたので(以下を参照)、本発明者らは、ヒトcDNA胎盤ライブラ
リー(J.M.Garnier,未発表データ)を用いて、先に述べたSKBR3ライブラリー
スクリーニングについて同じPCRプロトコルを用いて改変体を調査した。9つの
独立したクローンを同定し、そしてオルタナティブスプライシング事象について
確認した。すでに悪性組織において同定されている199bpの挿入に対応する1つ
の改変体のみを見出したので、改変体の発生率は形質転換された組織におけるよ
りも低かった。
MLN64遺伝子組織
PCR増幅により得られたヌクレオチド1〜81(図16(A-C);配列番号5)および
ほぼ全長のMLN64 cDNA(ヌクレオチド60〜2073)に、それぞれ、対応する2つの
プローブを用いて、ヒト白血球ゲノムライブラリーをスクリーニングした(材料
および方法を参照)。106のクローンをハイブリダイズし、この2つのプローブ
の1つについて陽性シグナルを得た。どのクローンも両プローブとの共のハイブ
リダイゼーションは示さなかった。4つのクローンが最小プローブとハイブリダ
イズした。これらはすべて6kbのインサートを含んだ。このインサートを内部プ
ライマーを用いて配列決定し、エキソン/イントロンの境界を決定した。他の4
つのクローンは、最長のプローブに対してハイブリダイズした。これらのインサ
ートをBamHIで消化すると2つのフラグメント(3.5および6kb)が得られ、こ
れらのフラグメントをサブクローン化し、そしてスプライシング部位をマッピン
グするために種々のプライマーを用いて配列決定した。イントロンのサイズは、
cDNA内およびエキソン境界に位置するプライマーを用いるゲノムサブクローン
の配列決定またはPCR増幅により推定した。全長が約20kbであるヒトMLN64遺伝子
は、15のエキソンに分断されることが判明した(図17および表VII(配列番号58-
71に対応するエキソン/イントロン番号1-14))。エキソン1ならびにエキソン
2および15の一部は、MLN64遺伝子の5'および3'非翻訳領域を含む。翻訳され
たcDNA配列は、エキソン2のヌクレオチド55で開始する。イントロン/エキソン
の境界分析は、エキソン2(配列番号59)、3(配列番号60)、4(配列番号61
)、6(配列番号63)、9(配列番号66)および13(配列番号70)に関連した
5'スプライス供与配列、ならびにエキソン2(配列番号59)、3(配列番号60
)、6(配列番号63)、11(配列番号68)および12(配列番号69)に関連した3
'スプライス受容配列は、規範的なスプライスコンセンサス配列(Breathnach,R.
およびChambon,P.,Annu.Rev.Biochem.50:349-383(1981))に対応しないこと
を示した(表VII)。
タンパク質改変体へ導くcDNA改変は、エキソン2からイントロン9までのすべ
てに分布していた。単一ヌクレオチド置換がエキソン2および4で観察された(
図17、aおよびc)。137bpと13bp欠失が、それぞれ、エキソン2の5'末端(図
17、b)とエキソン4の3'末端(図17、d)とで生じた。99bp欠失はエキソン
7全体に関係していた(図17、f)。199pb挿入はイントロン6の5'末端に対応
し(図17、e)、そして51bpまたは657bpの挿入はイントロン9の5'末端または
全体に対応した(図17、gおよびh)。従って、欠失/挿入事象は、イントロン
1/エキソン2(配列番号58/配列番号59)、エキソン4/イントロン4(配列番
号61)、エキソン6/イントロン6(配列番号63)、イントロン6/エキソン7(
配列番号63/配列番号64)、およびエキソン9/イントロン9(配列番号66)の
それぞれの境界で、おそらくはこれらのスプライシング部位の保存度が低いこと
により生じた(表VII)。
さらに、本発明者らは、EcoRIまたはBamHIで消化した、線虫、ハエ、ハム
スター、マウス、ラット、ブタおよびヒト由来のゲノムDNAを含む動物ブロット(
zooblot)を用いて、MLN64遺伝子の保存を探求した。MLN64 cDNAハイブリダイゼ
ーションにより、無脊椎動物および脊椎動物それぞれについて、弱いシグナルお
よび強いシグナルが得られた(データは示していない)。これはMLN64 が進化を
通してよく保存され、このタンパク質に対し重要な機能があることを示している
。
MLN64 はヒト悪性組織で過剰発現されている
MLN64 cDNAプローブを用いたノーザンブロットハイブリダイゼーション(材料
および方法を参照)により、見かけの分子量が2kbのMLN64 転写物に対応する陽
性シグナルを得た(図18、レーン11、12、17、18;データは示していない)。さ
らに、2kb転写物を多量に含む試料では、より長い3kb転写物もまた検出された
(図18、レーン7、17、18;データは示していない)。より長くオートラジオグ
ラフィーにかけた後、さらに2種のmRNAが可視化されるようになった。BT474細
胞系から抽出したポリアデニル化RNAは、同一のハイブリダイゼーションパター
ンを示した(データは示していない)。
ノーザンブロット分析を用いると、乳房(14/93例)、脳(2/3例)、肺(2/23
例)の悪性腫瘍においてMLN64の過剰発現が観察されたが、一方、結腸(4例)
、腸(1例)、皮膚(5例)、甲状腺(2例)および頭頸部(25例)では陰性で
あった(図18、レーン7、17、18;データは示していない)。さらに、乳房(2
/6例)、肝臓(1/2例)および頭頸部(1/16例)の癌に由来する転移性リンパ
節はMLN64 を発現したが、一方、皮膚(7例)、リンパ腫(3例)および腎臓(
1例)の癌に由来する転移性リンパ節はMLN64陰性であった(図18、レーン17、1
8;データは示していない)。乳癌(1/1例)および結腸癌(2/7例)に由来
する3例の肝臓転移もMLN64 を発現したが、一方、乳癌と卵巣癌に由来する皮膚
転移1例と大網転移1例は発現しなかった(データは示していない)。正常なヒ
トの乳房、腋窩リンパ節、胃、結腸、肝臓および腎臓ではMLN64 転写物は観察さ
れなかったが、一方、皮膚、肺、頭頸部類表皮組織および胎盤では弱いシグナル
が観察された(図18、レーン15および16;データは示していない)。さらに、良
性腫瘍である乳房線維腺腫(試験例13)は、基底レベルを上回るMLN64 発現を示
さなかった(図18、レーン1-6)。要するに、これらの結果は、乳房、結腸、
肝臓、肺、脳および頭頸部を含む広範囲の組織の原発性腫瘍または転移において
、MLN64 が過剰発現しないことを示した。それにもかかわらず、乳房起源の癌腫
で観察されたMLN64 過剰発現のレベルは、他の組織の癌におけるよりも3〜5倍
高かった。
乳癌細胞株において、MLN64 過剰発現はerbB-2 オンコジーンの過剰発現と常
に相関していたので、同じフィルターの c-erbB-2 cDNAプローブとの継続的ハイ
ブリダイゼーションを行った。すべてのMLN64 陽性悪性組織において、発明者ら
はerbB-2 オンコジーンの過剰発現を観察した(図18、レーン6、10、11、16、
および17;データは示していない)。従って、細胞系におけるように、これら2
つの遺伝子がインビボで共発現した。
MLN64 発現は悪性上皮細胞に制限されている
アンチセンスMLN64 RNAプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーショ
ンを、原発性乳癌腫および腋窩リンパ節転移で行った。MLN64 は、悪性上皮細胞
、インサイチュ(図19)および浸潤性(図19)癌腫で発現したが、腫瘍実質細胞
は陰性であった。MLN64 転写物は陽性領域に均一に分布していた。正常上皮細胞
は、浸潤性癌性領域の近傍に位置した時でさえも、MLN64遺伝子を発現しなかっ
た(図19;データは示していない)。MLN64遺伝子発現の類似パターンが、乳癌
患者の転移性腋窩リンパ節で観察され、これは癌細胞に限定して発現されており
、一方、無関係なリンパ節領域では陰性であった(図19;データは示していない
)。
MLN64合成ペプチドに対して指向するモノクローナル抗体を用いると(材料お
よび方法を参照)、乳癌腫免疫組織化学分析は、形質転換された上皮細胞に制限
されたMLN64 染色を示した。さらに、MLN64 タンパク質は細胞質凝縮部位につい
て特定の分布を示し、これはMLN64のオーガナイト(organite)局在化を示唆して
いる(図20)。同一パターンがBT474乳癌細胞系を用いて観察された(図20)。
考察
この実施例において、本発明者らはMLN64 cDNAとその対応タンパク質の特性を
明らかにした。上記の実施例1では、乳癌転移リンパ節cDNAライブラリーのディ
ファレンシャルスクリーニングによりMLN64 cDNAが同定された。445AAを含むMLN
64 タンパク質は、2つの潜在的な膜貫通ドメインと、タンパク質-タンパク質相
互作用およびシグナル伝達に関与する多数の多様なタンパク質中で以前に確認さ
れたいくつかの潜在的なロイシン・ジッパーとロイシンに富む反復構造とを示し
た(BuschおよびSassone-Corsi,Genet.6:36-40(1990);KobeおよびDeisenhofer
,Trends.Biochem.Sci.11:415-421(1994))。MLN64 cDNAは、ラットp10.15
cDNAと高度の相同性を示したが、2つの予測されたタンパク質の間では、21AAを
除いて相同性は認められなかった(WayeおよびLi,J.Cell Biochem.54:273-280
(1
994))。最も高い程度の相同性は、機能が未知であるCaenorhabditis elegans U
12964 推定タンパク質に対してであった。
MLN64遺伝子は、15のエキソンとエキソン2の3'末端からエキソン15の5'末
端までを包含するコード領域を含む。上記の実施例1で、本発明者らは、乳癌細
胞株のパネル中でMLN64遺伝子に影響を及ぼす明らかな転位、挿入または欠失が
ないことを認めた。これらの細胞株では、MLN64遺伝子発現はMLN64遺伝子増幅と
常に相関していた。
この実施例では、乳癌細胞および/または組織において、本発明者らはヌクレ
オチド置換、欠失および/または挿入から生じる7種の異なるMLN64 cDNAを同定
し、かつ特徴付けた。興味深いことに、cDNA改変は主としてエキソン/イントロ
ンの境界で起こり、これはMLN64改変型が欠陥スプライシングプロセスから生じ
ることを示唆している。一貫していることは、ほとんどすべての関係しているス
プライシング部位配列に欠陥があることであった(Breathnach,R.およびChambo
n,P.,Annu.Rev.Biochem.50:349-383(1981))。
2つの改変型はAA置換に至り、そして5つの改変型はN-またはC-短縮型LN64
タンパク質をコードする。さらに、それらの内の3つが、それぞれ、16、20お
よび126AAの付加的なナンセンスタンパク質配列を含むキメラタンパク質に至る
。RT-PCRを用いて、イントロン6配列を含む1つのMLN64 mRNAが胎盤で検出され
ており、これは、少なくともこの場合、MLN64のオルタナティブスプライシング
は形質転換特異的事象ではなかったことを示している。適切なエピトープに対し
て惹起された抗体を用いて、すべてのMLN64改変体RNAが、癌性組織で特異的にお
よび/または自然に生じて効果的に翻訳されるかどうかはまだ分からない。生理
学的および/または病的状態の両方において、エストラジオールレセプターをコ
ードする遺伝子(Miksicek,Semin.Cancer Biol.5:369-379(1994)およびその
中の参考文献)、遍在性細胞表面糖タンパク質CD44をコードする遺伝子(Arch
ら,Science 257:682-685(1992);Joensenら,Amer.J.Pathol.143:867-874(19
93))、金属プロテアーゼ/ジスインテグリン様タンパク質MDCをコードする遺伝
子(Katagiri ら,Cytogenet.Cell Genet.68:39-44(1995))、および腫瘍サプ
レッサーp53をコードする遺伝子(HanおよびKulesz-Martin,Nucl.Acids Res.
2
0:179-181(1992))を含むパネル遺伝子の転写においてオルタナティブスプライ
シングが起こることが報告されている。これらの改変体の生物学的意義は必ずし
も十分に確立されているとは言えないが、形質転換された組織にこれらが存在す
ることは、予後不良や高い転移の可能性と常に関連している(Miksicek,Semin
.Cancer Biol.5:369-379(1994))。
ノーザンブロットを用いて、本発明者らは野生型ARNmと一致する2kbに、およ
び2kb mRNAを高度に発現する組織中でのみで観察された3kbに、2つの主要な
メッセンジャーのサイズを観察した。ヒトの正常な皮膚、肺、頭頸部および胎盤
は、MLN64を低レベルで発現した。その一方、乳房、リンパ節、胃、結腸、肝臓
、腎臓および乳房線維腺腫は発現しなかった。興味深いことに、皮膚、肺および
頭頸部はすべて類表皮組織であり、これはMLN64 タンパク質がこの起原の組織に
おいて所定の生理学的役割を演じている可能性があることを示唆している。MLN6
4 は、乳房、結腸、脳、肝臓、肺および頭頸部原発悪性腫瘍および/または転移
において過剰発現し、最大レベルの発現は乳房悪性組織で観察された。従って、
形質転換組織の広範なパネルで観察されているMLN64 は、発癌現象および/また
は腫瘍進行で起こる基本プロセスに関与しているはずである。
乳癌原発性腫瘍と転移の両方において、MLN64転写物は癌領域全体に均一に分
布しており、その一方、正常な組織は陰性であった。その上、MLN64 はインサイ
チュの腫瘍で発現し、これは腫瘍浸潤に至る早期事象にMLN64 が関与し得ること
を示唆している。C末端に位置するMLN64 合成ペプチドに対して惹起されたモノ
クローナル抗体により、本発明者らはMLN64 タンパク質を、悪性上皮細胞細胞質
の小胞様構造に局在化させた。ウエスタンブロットを用いて、BT474細胞と培養
培地抽出物の両方でMLN64が見いだされた。従って、この分子のN末末端分にお
いて疎水性の分泌シグナルがないにもかかわらず、MLN64 は非古典的メカニズム
を介して小胞体メンブランを横断して輸送されるようである。MLN64 陽性バンド
ルにはF-アクチンもまた含まれており、これはMLN64 が形質転換細胞の細胞骨
格、おそらくポドソーム(podosome)に関係していることを示唆している。ポドソ
ームは、侵入プロセスにおける鍵となる構造と見なされる細胞接着構造に密接に
接触している。
本発明者らは、実施例1において、乳癌細胞株では、MLN64 過剰発現はMLN64
遺伝子増幅およびオンコジーンerbB-2 増幅と相関関係があり、これは、第17染
色体のロングアーム上にあるq12-q21中に共局在化している両遺伝子が同じアン
プリコン(amplicon)に属していることを示唆する。これと一致して、本発明者ら
は、インビボで、これら2つの遺伝子が共発現することを今や観察した。erbB-2
増幅は、乳癌腫で起きる最も普通の遺伝子的変化の1つであり(DevileeおよびC
ornelisse,Biochem.Biophys.Acta 118:113-130(1994)およびその中の引用文献
に総説される)、そして予後不良と関連している(Slamon,D.J.ら,Science 24
4:707-712(1989);Muss,H.B.ら,N.Engl.J.Med.330:1260-1266(1994))。遺伝
子増幅/過剰発現がそれらの細胞および関係するオンコジーンを優先的に増殖さ
せ(Schwab,M.およびAmler,L.,Genes.Chrom.Cancer 1:181-193(1990);Kall
ionieml,A.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2156-2160(1994))、その一
方、タンパク質の劇的な改変で生じた改変体は腫瘍サプレッサー遺伝子を含むタ
ンパク質の不活性化により細胞を増殖させることが、現在、認められている(Kul
esz-Martin ら,Mol.Cell Biol.14:1698-1708(1994);Katagiri ら,Cytogenet
.Cell Genet.68:39-44(1995))。この意味では、増幅しているMLN64遺伝子が
多数の改変体種を示すことは道理に合わないかもしれない。標的の増幅された遺
伝子の産物に欠陥があるとすると、増幅効率はどうなるのであろうか? メカニ
ズムはどうであれ、過剰発現に至る増幅を示す遺伝子または欠陥タンパク質に至
るオルタナティブスプライシング(Miksicek,Semin.Cancer Biol.5:369-379(1
994))が、癌性プロセスに最も頻繁に強く関連しているので、本発明者らの結果
は、MLN64 が発癌および/または腫瘍の進行に関与し得ることを示唆している。
erbB-2のオンコジーン的特性は、GRB7などの第17染色体上におそらく共に局在化
した下流シグナル発生分子の過剰発現により増加され得ることが最近提案されて
いるので、MLN64 がerbB-2 シグナル発生経路に関与し得ると推測することは魅
力的である。
実施例5
D52ホモログ、D53のクローニングによるD52遺伝子/タンパク質ファミリー
の定義
序
ヒトD52(hD52)cDNAを、乳癌腫cDNAライブラリーのディファレンシャルスク
リーニングによりクローン化した(Byrne、J.Aら、Cancer Res.55:2896-2903(
1995))。hD52遺伝子は約40%のヒト乳癌腫で過剰発現され、そこでは癌細胞で
特異的に発現される。hD52遺伝子座は、乳癌腫において(Kallioniemi、A.ら、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2156-2160(1994);Muleris、M.ら、Genes Chro
m.Cancer 10:160-170(1994))、前立腺癌において(Cher、M.L.ら、Genes Chro
m.Cancer 11:153-162(1995))および膀胱癌において(Kallioniemi、A.ら、Gen
es Chrom.Cancer 12:213-219(1995))、および骨肉腫において(Tarkkanen、M
.ら、Cancer Res.55:1334-1338(1995))頻繁に増幅される領域である染色体
8q21にマッピングされた。従って、本発明者らは、先に染色体8q21増幅を伴うと
報告されている(Kallioniemi、A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2156-21
60(1994))乳癌腫細胞株SK-BR-3におけるhD52遺伝子増幅(Byrne、J.A.ら、
Cancer Res.55:2896-2903(1995))に注目した。予想されるhD52のアミノ酸配
列は、全く新規であり、今までに報告された配列とほとんど相同性を有さない(
Byrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896-2903(1995))。ディファレンシャルデ
ィスプレイ技術(Liang、P.およびPardee、A.B.、Science 257:967-971(1992
))を用いてhD52 cDNA(N8として知られる)もまた、正常な肺由来細胞株と腫
瘍性の肺由来細胞株との間のそのディファレンシャル発現により最近クローン化
された。
hD52タンパク質配列を、遺伝子データベース中の翻訳されたヌクレオチド配列
と比較して、翻訳した場合に、hD52配列の24〜40アミノ酸領域と48〜67%の同一
性を示した数個の発現された配列タグ(EST)配列を同定した。これらの配列は
、Washington大学-Merck ESTプロジェクトにより成人の肝臓および胎児の肝臓/
脾
臓cDNAライブラリーから単離されたヒトcDNAクローン由来であった。2個のこの
ようなcDNAクローンが、Lawrence Livermore National LaboratoryのIMAGE協会
(Livermore,California)より提供され、その1つのインサートを乳癌腫cDNA
ライブラリーをスクリーニングするために用いた。これにより、本発明者らは、
hD52と52%の同一性を有する、コード配列が204アミノ酸タンパク質を示す1347b
p cDNAを単離することができた。2つのタンパク質中の推定ドメイン間に存在す
るこの相同性および類似性に基づき、本発明者らはこれを新規遺伝子D53と呼び
、そしてこれがD52遺伝子/タンパク質ファミリーの第2のメンバーであると提
案する。
材料および方法
cDNAライブラリーのスクリーニング
2つのcDNA(GenBank受託番号T68402およびT89899にそれぞれ対応するクロー
ン83289および116783)はLawrence Livermore National Laboratory(Livermore
、California)のIMAGE協会から贈られた。クローン116783のランダムにプライ
ムした32Pラベルインサートを用い、2つのナイロンフィルター(Hybond N,Ame
rsham Corp.)に移された乳癌腫cDNAライブラリー(Byrne、J.A.ら、Cancer Res
.55:2896-2903(1995))からの500、000のプラーク形成単位(pfus)をスクリ
ーニングした。基本的には先に記載されたようにスクリーニングを行い(Basset
,P.ら、Nature 348:699-704(1990))、同定したλZAPIIクローンを純粋なプ
ラークの単離ができる密度で再プレートし、2回目のスクリーニングに供した。
製造業者(Stratagene)の指針に従い、インビボの切除システムを用い、クロー
ンインサートをpBluescript SK-プラスミドの形態で確保した。
mD52 cDNAを単離するため、細胞アポトーシスマウス乳腺から単離したポリA+R
NAを用い、C.Tomasetto(IGBMC、Illkirch、フランス)により構築されたcDNA
ライブラリーを使用した。オリゴTでプライムしたcDNAをZAP-cDNAリンカーアダ
プターと連結し、そして製造業者(Stratagene)の指針に従ってUni-ZapTMXRベ
ク
ター中にクローン化した。hD52 cDNA由来のEcoRI制限フラグメント(91bpの5'-
UTRおよび491bpのコード配列を含む(Byrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896-290
3(1995)))を用い、ストリンジェンシーを落とし、好ましくはフィルターを
最後に室温で30分間、2×SSCおよび0.1%SDSで洗浄して、合計850,000pfusをス
クリーニングした。単一クローン(F1)が同定された。インビトロ切除を用いる
精製およびインサート回収(rescue)の後、完全長のcDNA(クローンCl)を同定す
るため、32PラベルF1インサートを用い、同じcDNAライブラリーフィルターを、
同一条件を用いて再スクリーニングした。
DNA配列決定
NaClおよびポリエチレングリコール6000沈殿によりさらに精製されたプラスミ
ドDNAのミニ調製物を、TaqポリメラーゼおよびT3および/またはT7汎用プライマ
ー、または内部プライマー、およびApplied Biosystems373A自動シーケンサーで
検出するための色素標識ddNTPを用いて配列決定した。
配列分析
核酸およびアミノ酸配列分析を、GCG配列分析パッケージで利用可能な以下の
プログラムを用いて行った:配列相同性検索のためのBLASTおよびFastA;更に配
列をアラインメントするためのgap;pI値計算のためのIsoelectric;認識された
タンパク質モチーフ同定のためのMotifs;およびコイルドコイル(coiled-coil)
ドメイン同定のためのPepcoil(Lupas、Aら、Science 252:1162-1164(1991)の
アルゴリズムによる)。PEST配列は、University of Utah(USA)のDr.Martin、Re
chsteinerから贈られたPEST-FINDアルゴリズム(Rogers、S.ら、Science 234:36
4-368(1986))を用いて割り当てられた。2次構造の他の推定は、MSEQ(Black
、S.D.およびGlorioso、J.C.、BioTech.4:448-460(1986))、PHD(Rost、B.
およびSander,C.、Proteins 19:55-72(1994))およびPSA(Stultz、C.M.ら、P
rot.Sci.2:305-314(1993))ソフトウエアを用いて行われた。
染色体局在化
hD53遺伝子の染色体局在化は、フィトヘマグルチニン刺激リンパ球から得られ
た染色体調製物を用いて行われた。品質の良いハイブリダイゼーション後の染色
体バンディングを確保するために、培養の最後の7時間の間に、60μg/mlの5-ブ
ロモデオキシウリジンを添加して、細胞を72時間培養した。mD52遺伝子について
、WMP系雌マウスからの分裂中期塗沫(metaphase spread))を用い、インサイチュ
ハイブリダイゼーション実験を行い、そこでは、19を除くすべての常染色体(aut
osome)が中部動原体型Robertsonian転座の形態であった。改変pT7T3Dプラスミド
ベクター(Pharmacia)中に842bpのインサートを含む116783(hD53)クローン、
およびpBluescript SK-(Stratagene)中に2051bpのインサートを含むCl(mD52
)クローンを、ニックトランスレーションを用いて8×107dpm/μgの最終比活性
まで3Hラベルし、記載されたように(Mattel、G.M.ら、Human Genet.69:268-27
1(1985))、ハイブリダイゼーション溶液の最終濃度200ng/ml(116783)、お
よび100ng/ml(Cl)で、分裂中期塗沫にハイブリダイズさせた。NTB2エマルジ
ョン(Kodak)を用い、21日間(116783)および20日間(Cl)、4℃でオートラジ
オグラフィーを行った。バンディング手法中に銀粒子が滑り落ちるのを避けるた
め、染色体塗沫を最初に緩衝化ギムザ溶液で染色し、分裂中期の写真を撮った。
蛍光色素光分解ギムザ法を用いてR-バンディングを行い、分析前に分裂中期の写
真撮影を再度行った。
細胞培養
BT-20、BT-474およびMCF7乳癌腫細胞株、および白血病細胞株HL-60およびK-56
2は、American Type Culture Collectionカタログ(第7版)に記載されている
。細胞培養培地は、BT-20用には、10%ウシ胎児血清(FCS)、2mMピルビン酸塩
、2mMグルタミン、10μg/mlインスリンおよび1%非必須アミノ酸を補充したME
M;BT−474用には、10%FCS、2mMグルタミン、および10μg/mlインスリンを補
充したRPMI1640;MCF7用には、10%FCS、および0.6μg/mlインスリンを補充し
たDMEM;HL-60用には、10%FCSを補充したRPMI1640;およびK-562用には、10%
熱不活性化FCSおよび2mMグルタミンを補充したRPMI1640であった。すベての細
胞は、抗生物質(0.1mg/mlストレプトマイシン、500U/mlペニシリンおよび40
μg/mlゲンタマイシン)の存在下、37℃で、加湿インキュベーター中5%CO2/9
5%空気を用いて培養した。
乳癌腫細胞株をエストラジオール補充または欠乏培地で培養した実験では、細
胞を4つの75cm2フラスコに低密度で接種した。これらを1日培養した後、通常
の増殖培地を、内因性ステロイドを枯渇させるために、0.6μg/mlのインスリン
およびデキストラン被覆活性炭で処理された10%FCSを補充したフェノールレッ
ドを含まないDMEM培地に置換(3つのフラスコ)し、または置換しなかった(1
つのフラスコ)。細胞をステロイド枯渇培地中で2日間培養後、10-6Mまたは10- 9
Mのエストラジオールを補充(2つのフラスコ)し、または補充しなかった(1
つのフラスコ)。細胞培養を3日間続け、その時点で細胞は集密状態に近づきつ
つあった。
HL-60およびK-562細胞を、12-O-テトラデカノイルフォルボール-13-アセテー
ト(TPA)を用いて分化誘導した実験では、細胞を、2×105細胞/mlの密度に希
釈し、そして10ml容積を直径85mmの培養皿に接種した。各実験の開始時点で、1
つの培養皿をRNA抽出のために直ちに回収した。次に、培地に、16nMまたは160nM
のTPAを補充し(あるいは補充せず)、そして細胞を48時間までの期間の間培養
した後、RNA抽出のために回収した。
RNA抽出およびノーザンブロット分析
素中で凍結かつ保存した。先に記載されたように(Rasmussen、U.B.ら、Cancer
Res.53:4096-4101(1993))、全RNAを組織および培養細胞から単離した。ノー
ザン分析を10μgの全RNAで行い、これを、1.0%の変性アガロースゲルで電気泳動
を行い、そして20×SSCを用いてナイロンフィルター(Hybond N、Amersham Cor
p.)に移した。
116783 hD53 cDNAおよびhD52 cDNA(Byrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896-29
03(1995))由来の32P標識インサートを用いてノーザンハイブリダイゼーショ
ンを行った。乳癌腫細胞株のエストロゲン処理、および白血病細胞株のTPA処理
の有効性を証明するため、本発明者らはまた、フィルターを、エストロゲン誘導
性遺伝子pS2(Rio、M.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:9243-9247(198
103(1984))に対応する32P標識cDNAインサートと、これらそれぞれの事例にお
いて、再びハイブリダイズさせた。遍在性発現遺伝子を代表する36B4 cDNAの32P
標識内部PstIフラグメント(Masiakowski、P.ら、Nucl.Acids Res.10:7895-79
03(1982))とすべてのフィルターを再びハイブリダイズさせた。ハイブリダイ
ゼーションおよび洗浄工程は、本質的には、文献どおり行った(Basset,P.ら、N
ature 348:699-704(1990))。
結果
ヒトD53 cDNAの単離と配列決定
hD52ホモログの存在は、当初、翻訳された場合hD52のアミノ酸130-180の間の
領域と48-67%一致する24-40アミノ酸領域を示した3つのEST配列(GenBank受託
番号T68402、T89899およびT93647)から予想された。これらのESTは、Washingto
n University-Merck ESTプロジェクトにより成人の肝臓および胎児肝臓/脾臓cD
NAライブラリーから単離されたヒトcDNAクローンに由来し、そしてこれらのcDNA
クローンのうちの2つ(それぞれGenBank受託番号T68402およびT89899に対応する
クローン83289および116783)は、Lawrence Livermore National LaboratoryのIM
AGE協会の好意により提供された。クローン83289および116783の両方向の配列決
定は、それらが、それぞれ1626bpおよび842bpで構成されることを示した(図24(
A))。それのオーバーラップ領域(714bp)内では、それらの配列は、クローン8
3289で100bpが欠失(ヌクレオチド567-666に対応、図24(B))し、そしてクロー
ン83289および116783のそれぞれヌクレオチド254および371で1つのT/G多形(
ヌクレオチド865、図24(B))がある以外は同一であった。
クローン83289および116783は、それらの5'末端から伸び、60と99のアミノ酸
をそれぞれコードし、そして同一の停止コドンで終わるオープンリーディングフ
レームを有することが分かった(図24(A))。しかし、83289クローンには配列欠
失があるため、83289アミノ酸配列の最初の18アミノ酸は、116783クローンの対
応するDNA配列によりコードされた配列に関してフレームシフトしている。従っ
て、116783アミノ酸配列に存在する最初のメチオニン残基(Met123、図24(B)、
翻訳開始にとって適度に都合の良い内容で存在する)は、83289アミノ酸配列内
では、もはやフレームが合っていない。この理由のため、そしてまたこれらの見
かけ上部分長cDNAクローンの長さが観察された1.5kbの転写物サイズに対応しな
かったので(下記参照のこと)、さらなるクローンを単離するために乳癌腫cDNAラ
イブラリーを116783クローンインサートを用いてスクリーニングした。伸長され
た83289 3'-UTR中にAlu配列が存在するので、より短い116783クローンをスクリ
ーニング用に選んだ(図24(A))。
この様にして同定された14のポジティブクローンのうち、11は2回目のスクリ
ーニングでもポジティブであり、そしてこれらの中で2つ(UlおよびSl)は1167
83配列に関してそれらの5'末端に付加物な配列を有していた。最も長いクロー
ンのインサートであるUlを両方向に配列決定した。このことは、Ulクローンが、
クローン116783の5'伸長部に関してさらに494bpを有したこと、およびこの配列
は強いKozakコンセンサス配列(ヌクレオチド175-184、図24(B)、配列番号9)を
含んでいたことを示した。従って、Ul配列は22bpのポリA配列を含む、180bpの5
'-UTR、615bpのコード配列および552bpの3'-UTRで構成されることが分かった。
hD52およびUlコード配列は、それらの長さの多くにわたって良く保存されている
(62%の一致)ことが見出されたが、推定された5'-UTRはほとんど保存されて
いなかった。hD52(Byrne,J.A.ら、Cancer Res.55:2896-2903(1995))につい
ては、Ul 5'-UTR配列中に存在するフレームの合った(in-frame)停止コドンはな
い。しかし、リーディングフレームが提案されたhD52およびUl翻訳開始部位から
5'方向に続いているとすれば、コードされた得られるタンパク質配列は互いに
相同性を示さない。このことは、hD52の最初の170アミノ酸と、対応するUlの領
域との間で60%の同一性/78%の相同性の保存が観察される、翻訳部位の提案さ
れた開始の後にコードされるタンパク質配列と対照的である(下記参照のこと)
。従って、本発明者らは、新規遺伝子をUl cDNA D53に対応すると呼ぶことにし
、それは22.5KDの分子量を有する204アミノ酸のタンパク質(図24(B);配列番号
10)をコードすると推定される。
マウスD52 cDNAの単離と配列決定
D52ファミリーと、これらの配列が進化の過程で保存され得る程度をさらに規
定するため、hD52 cDNAのマウスホモログをアポトーシスマウス乳腺cDNAライブ
ラリーからクローン化した。最初に単離された735bpマウスFl cDNA(図25(A))
のD52ホモログとしての同一性は、その不完全なコード配列とhD52のコード配列
との間で注目される高レベルの相同性で示された(Byrne、J.A.ら、Cancer Res.
55:2896-2903(1955))。Fl cDNAを用いて続いて同定された4つのより長いcDNA
のうち、最も長いもの(Cl、2051bp;図25(B);配列番号11)は、hD52のコード
配列と比較すると完全長の558bpコード配列を含んでいるようであった。推定さ
れたhD52およびmD52コード配列は82%同一であり、後者は185アミノ酸のタンパ
ク質をコードしている(図25(B);配列番号12)。Cl cDNAの残りの1482bpは3'-
UTR配列を示し、これはhD52 3'-UTRの対応する領域(Byrne、J.A.ら、Cancer R
es.55:2896-2903(1995))と約69%同一である。この相同性はポリアデニル化
信号で終了し、その配列と位置はhD52配列中に保存され、そしてその使用はマイ
ナーな2.2kb hD52転写物を生じる(Byrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896-2903
(1995))。従って、Cl cDNAはこのマイナーなhD52転写物に対するマウスのホ
モログを示すようであり、その構造は、hD52とmD52遺伝子との間で明らかに保存
されている。
D52タンパク質ファミリーのメンバーにおいて共通に同定されるドメインの
特徴
D52ホモログとして(hD53と呼ばれる)Ul cDNAの同一性を、図26(A)に示すよう
に、推定のhD53アミノ酸配列(配列番号10)を、hD52のアミノ酸配列(配列番号
50)およびmD52(配列番号12)のアミノ酸配列と並べて確認した。hD53の204の
アミノ酸は、hD52に関して52%同一/66%保存され、そしてヒトおよびマウスD5
2ホモログは86%同一/91%保存されている。これらのホモログの意義をさらに
評価するため、hD53、mD52およびhD52配列を、多くの配列解析プログラムを用い
てさらに調べた。hD52における非極性アミノ酸の7アミノ酸の周期性を示してい
る中心領域が以前に同定されているため(Byrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896
-2903(1995))、疑問の配列を既知のコイルドコイルドメインと統計的に比較
するプログラムを用いた(Lupas,A.ら、Science 252:1162-1164(1991))。コ
イルドコイルドメインは両親媒性である(α-ヘリックスドメインは、abcdefgの
7つからなる一群の繰り返しパターンのaおよびdの位置の疎水性残基により、
そしてまたしばしばeおよびgの位置の荷電残基により特徴付けられる(Adamso
n、J.G.ら、Curr.Opin.Biotechnol.4: 428-437(1993)に総説がある))。タ
ンパク質2量化ドメインを示すコイルドコイル構造は、それらの非極性面が間断
なく隣接するようなスーパーコイル構造を採用する2つのコイルドコイルドメイ
ンの間で形成され、そして疎水的およびイオン的相互作用の両方がそれらの形成
および安定性に重要である(Adamson、J.G.ら、Curr.Opin.Biotechnol.4: 42
8-437(1993))。40〜50アミノ酸の推定のコイルドコイルドメインは、hD53、m
D52およびhD52配列のC末端に面して同定され、そして図26(B)に示されるように
、hD53(配列番号10)およびhD52(配列番号51)ではアミノ酸22-71、およびmD5
2(配列番号12)ではアミノ酸29-71を包含すると予想される。これらの推定され
たコイルドコイルドメインにおける7つからなる一群の繰り返しのaおよびdの位
置のすべてが疎水性残基で占められるのではないことに注意しなければならない
(図26(B))。これは、コイルドコイルドメインに特徴的な先に述べた配列から
のある種の逸脱度が、コイルドコイル構造の形成と相容れないという事実を反映
している(Lupas、A.ら、Science 252:1162-1164(1991);Adamson、J.G.ら、C
urr.Opin.Biotechnol.4:428-437(1993))。
これらの3つのアミノ酸配列を目で検査し、次いでコンピューター解析を行っ
て、各タンパク質に存在すると予想される2番目のドメインタイプを同定したが
、このドメインはPESTドメインであった(Rogers、S.ら、Science 234:364-368
(1986))。PESTドメインはタンパク質分解信号であると考えられ、短い細胞内
半減期を有することが知られるタンパク質中で同定されている(Rechsteiner、M
.Semin.Cell Biol.1:433-440(1990))。それらは、Pro、Glu、Asp、Serおよ
びThr残基に富み、そしてLys、ArgまたはHis残基が隣接するが、これらがない場
合は、N-またはC末端タンパク質末端もまた隣接し得る(Rogers、S.ら、Scienc
e 234:364-368(1986))。PESTドメインは、いわゆるPESTスコアを割り当てる
アルゴリズムを用いて客観的に見出し、かつ評価され得、特定のPEST配列の立候
補資格の強さの目安を与える。本発明者らは、PEST信号を同定するためにこのア
ルゴリズムを用い、そしてそれらの配列および関連するPESTスコアを表VIIIに列
挙する(hD52(AA 10-40)(配列番号72);mD52(AA 10-40)(配列番号12);
hD53(AAI-37)(配列番号10);hD52(AA 152-179)(配列番号73);mD52(AA 152-185)
(配列番号12);hD53(AA 169-190)(配列番号10))。ほとんどすべての同定され
た推定のPEST信号は、ゼロより大きいPESTスコアを伴い、これは、C末端に位置
するhD53のPESTドメインのみがより弱いPEST候補であることを示して、PEST配列
を規定すると考えられる(Rechsteiner、M.、Semin.Cell Biol.1:433-440(19
90))。
3つの配列の間で共通である3番目の特徴は、これらの中で荷電アミノ酸の分
布が不均一であることである。3つのタンパク質のすべては優先的に酸性であり
、mD52、hD52およびhD53それぞれについてpIは4.70、4.75および5.58である。し
かし、各タンパク質の最初と最後の約50のアミノ酸は優先的に負荷電を示し(部
分的にはPESTドメインの存在のため)、各タンパク質の中心部分は正に荷電した
残基が過剰であり、最も頻繁に出現する荷電アミノ酸残基はすべての場合Lysで
ある(図26(A))。
最後に、mD52、hD52およびhD53タンパク質は、類似した潜在的な翻訳後改変の
ための部位を有するが、これらの部位の頻度と位置は3つの配列で同じでない。
mD52およびhD52の両者ではAsn167が潜在的なグリコシル化部位、Asn163がmD52に
おける2番目の潜在的部位であり、その一方Asn82がhD53における潜在的部位であ
る
ので、3つのタンパク質はすべてN-グリコシル化を受け得る。多くの潜在的リン
酸化部位が当初hD52で注目され(Byrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896-2903(1
995))、そしてmD52およびhD53に存在する潜在的リン酸化部位の同様な解析か
ら、mD52またはhD52(それぞれ8つおよび9つの潜在部位)のいずれよりもhD53
がより多い密度の潜在的リン酸化部位(14の潜在的部位)を含むことが明らかに
なった。そのうえ、hD53におけるこれらの部位の分布は、mD52およびhD52で観察
されたパターンとは異なる(このパターンはこれらの2種の分子の間でかなり保
持されている)。hd53における14の潜在的リン酸化部位のうち、4つはmD52およ
びhD52の両者においても見出されており、そして残りはhD53とは異なる(図26(A
))。最も興味あることは、アラインメントさせたmD52およびhD52配列に関して1
3アミノ酸のインサート内に位置するhD53のTyr130はチロシンキナーゼによりリ
ン酸化されると推定され、その一方、mD52またはhD52のいずれにもこのような部
位は存在しない。
D52タンパク質ファミリーのメンバーと他のアミノ酸配列との間の相同性
hD53とh/mD52との間の相同度と対照的に、最初にhD52で観測されたように(B
yrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896-2903(1995))、予測されるhD53アミノ酸配
列(図24(B);配列番号10)は記載されたタンパク質との相同性が比較的に少な
い。相同性はhD53のコイルドコイルドメインと、酵母ZIPI(Sym、M.ら、Cell 72
:365-378(1993))等の他のタンパク質の同様なドメインとの間で同定され得る。
より低いレベルのアミノ酸配列の同一性がhD53のより広い領域と、細胞骨格タン
パク質または他の相同タンパク質との間で観測される。例えば、弱い相同性(20
%の同一性、34%の保存性)がhD53の172個のアミノ酸にわたってブタ(Lankes、
W.T.ら、Biohim.BioPhys.Acta 1216:479-482(1993))、ヒト(Lankes、W.T.
およびFurthmayr、H.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8297-8301(1991))お
よびマウス(Sato,N.J.Cell Sci.103:131-143(1992))由来のモエシンにつ
いて指摘された。若干高いレベルの配列同一性(31-36%の同一性、45-51%の相
同性)がアミノ酸139-177とトウモロコシ(Razafimhatratra、P.ら、Nucl.Acid
s Res.19:1491(1991))およびコムギ(Yang、P.ら、Nucl.Acids Res.19:50
77(1991))ヒストンHI配列との間で指摘された。
最近、本発明者らはh/mD52およびhD53配列と、Caenorhabditis elegans染色
体XコスミドF13E6のヌクレオチド5567-6670の間にコードされた推定タンパク質F
13E6.1の配列(EMBL受託番号 Z68105:Wilson、R.ら、Nature 368:32-38(1994
))との間で、かなり高い程度の相同性を指摘した。長さ257個のアミノ酸で推
定F13E6.1タンパク質はD52およびD53より若干長く、F13E6.1遺伝子の予測される
エキソン4に対応する42個のアミノ酸(アミノ酸121-167)は、D52またはD53配
列に存在しない。F13E6.1はhD52に最もよく似ており、プログラムギャップを用
いて2つの配列を並べると、hD52の185個のアミノ酸にわたって36.2%の同一性
/45.4%の相同性の保存性を示している。この遺伝子、または類似の遺伝子由来
の転写物の存在は、Caenorhabditis elegans(GenBank受託番号D73047、D73326,
D76021およびD76362)、および寄生性線虫Strongyloides stercoralis(GenBan
k受託番号N21784)からのcDNAクローン由来のEST配列により示される。まとめる
と、D52相同体またはその先祖の遺伝子が線虫に存在することは有り得る。
D52およびD53遺伝子の染色体局在化
以前の遺伝子マッピングの研究から、染色体8q21での単一のhD52遺伝子座が示
されている(Byrne、J.A.ら、Cancer Res.55:2896-2903(1995))。従って、
提示されたD52ファミリーのヒト遺伝子メンバーが染色体8q上に集まるかどうか
、およびこれまたはこれらの遺伝子座がシンテニカルに他の種で保存され得るか
どうかを決めるために、本研究では本発明者らはhD52およびmD52に対する染色体
局在化を同様に決定した。
hD53 116783プローブを用いる、インサイチュハイブリダイゼーション後に調
べた100個の分裂中期細胞で、172個の銀粒子が染色体に会合しており、これらの
粒子のうちの57個(33.1%)は染色体6の上に位置した。この染色体上の粒子の
分布は無秩序でなく、これらの40/57(70.2%)はq22-q23領域にマッピングさ
れていた(図27(A))。これらの結果から、本発明者らはhD53遺伝子座をヒトゲ
ノムの6q22-q23バンドにマップすることができ、従って個々の染色体上の独立の
遺伝子座がhD52およびhD53遺伝子に対して存在することを示している。
mD52 Clプローブを用いると、153個の銀粒子はインサイチュハイブリダイゼー
ション後に調べた100個の分裂中期細胞内の染色体と会合していた。これらの粒
子の41個(26.8%)は染色体3上に位置していた。この染色体上の粒子の分布は
無秩序でなく、これらの35/41(85.3%)はA1-A2領域にマッピングしていた(
図27(B))。二次ハイブリダイゼーションピークが染色体8上に検出可能であった
。なぜなら、全粒子のうちの30個はこの染色体上に位置し(19.6%)、この染色
体上の粒子の分布は無秩序でなく、これらの23/30はCバンドにマッピングされ
ているからである。従って、本発明者らは2個のmD52遺伝子座をマウスゲノムの
染色体3A1-3A2、および染色体8C上で同定することができ、これは単一のhD52遺
伝子座が与えられている場合、やや期待外の結果であった。
マウス染色体3A1-3A2領域は、8q21のhD52に隣接するバンド8q22を含む遺伝子
ヒト染色体8qの領域とシステニックであると報告されている(O'Brien、S.J.ら
、Report of the Committee on Comparative Gene Mapping、in HUMAN GENE MAP
PING 846(1993);Lyon、M.F.およびKirby、M.C.、Mouse Genome 93:23-66(19
95))。このことは染色体3A1-3A2遺伝子座が主なmD52遺伝子座であり、2つの
部位間の銀粒子分布と関連し、染色体8Cと会合した15.0%と比べ、染色体と会合
するすべての粒子の22.9%は染色体3A1-A2に見出されることを示している。二重
のマウスD52遺伝子座の意義は現在分かっていない。染色体8C遺伝子座はmD52偽
遺伝子、あるいは他のmD52と高度に相同な遺伝子を表し得る。これらの可能性を
区別することは現在不可能であるが、単一のhD52遺伝子座の存在からヒトには2
番目の遺伝子座が存在しないか、またはそれらはヒト染色体8q21で一次hD52遺伝
子座と共局在していると思われる。
ヒト乳房と乳癌細胞株におけるhD52とhD53の比較発現パターン
hD53の発現パターンを、ノーザンブロット分析を用いて、正常な成人組織、乳
癌腫と線維腺腫、および多数の細胞株で評価した。単一の1.5kb hD53転写物が、
hD53発現に陽性なすべての試料において検出された(図28;データは示していな
い)。検査を受けたこれらの正常な組織については、hD53転写物は腎臓で検出さ
れ、皮膚ではごく弱く検出されたが、肝臓、胃、結腸、腎臓および胎盤では検出
されなかった。乳房腫瘍では、hD53転写物が4/9の癌腫と1/3の線維腺腫で検
出され、hD53転写物レベルはこれら5つの腫瘍で類似していると指摘されている
(データは示していない)。hD53転写物が検出された組織と腫瘍試料のすべては
また、検出可能なレベルのhD52転写物を含んでいた。しかし、hD53遺伝子は、ノ
ーザンブロット分析がもっている感度レベルでhD52よりもあまり広く発現されな
いようであった。なぜなら、hD52転写物を発現するこれらの組織の一部だけはhD
53の検出可能レベルを示したからである(データは示していない)。
乳癌腫細胞株におけるhD53発現のノーザンブロット分析からの最初の結果は、
hD52転写物レベルは、エストロゲンレセプター陽性細胞株において、エストロゲ
ンレセプターを発現しないと考えられている細胞株におけるよりも高いことを示
していた(Byrne,J.A.ら,Cancer Res.55:2896-2903(1995))。従って、本発
明者らはhD52および/またはhD53の転写物レベルが増殖培地におけるエストラジ
オールの有無により影響を受けるかどうか調査に着手した。ヒト乳癌腫細胞株か
らのRNA試料を用いたhD52およびhD53プローブのハイブリダイゼーションにより
、両遺伝子に対応するmRNAはMCF7とBT-474細胞(これらはエストロゲンレセプタ
ーを発現する)およびBT-20細胞(これらはエストロゲンレセプターを発現しな
い)において検出できることが判明した(図28)。しかし、これらの細胞株にお
けるhD52とhD53の相対的な転写物レベルは、同一ではなかった。hD52はBT-474細
胞において比較的に強く発現し、BT-20細胞において比較的に弱く発現し、一方
、hD53の場合はその正反対であった。
MCF7細胞では、培養培地からのエストロゲンの除去は、hD53とhD52転写物レベ
ルの低下と一致していたが、10-9/10-8Mのエストラジオール濃度に培地を補足
するとコントロールhD52またはhD53転写物レベルを回復した(図28)。BT-474細
胞株では、ステロイド欠失培地で5日間細胞を培養してもhD52転写物レベルは変
わらず、一方、欠失培地に10-9または10-8Mのエストラジオールを補足すると、
hD52転写物レベルの低下と一致した。hD53転写物レベルはBT-474細胞株で別の様
式で変化し、その場合これらはエストロゲン欠失培地で培養した細胞を低下させ
、引き続きエストラジオールを補足しても回復しなかった(図28)。BT-20細胞
では、エストラジオールの有無は、同じ試料で指摘された36B4 MRNAレベルと
比べ、hD52またはhD53転写物レベルに大きな変化を生じなかった(図28)。
エストラジオール奪取と補足の効果を、転写がMCF7細胞のエストロゲンにより
直接制御される遺伝子である、ヒトpS2のプローブで同じブロットを再ハイブリ
ダイズして評価した(Brown,A.M.C.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 81:6344-6348(1984))。pS2 MRNAのレベルは、3日までのエストラジオール
処理の間は増加することが判明し、その時間までは誘発の規模は30倍程度であ
る(Westley,B.ら,J.Biol.Chem.259:10030-10035(1984))。従って
、MCF7細胞とBT-474細胞では、pS2 転写物レベルはステロイド欠失培地では低い
か検出できず、一方、エストラジオール処理によりpS2遺伝子発現を誘発した。
しかし、pS2 MRNAはエストロゲンレセプター陰性BT-20細胞では検出されず、こ
れは以前の知見と一致していた(May,F.E.B.およびWestley,B.R,J
.Biol.Chem.263:12901-12908(1988))。
白血病細胞株の分化誘発におけるhD52またはhD53 MRNAレベルの低下
ノーザンブロット分析からの最初の結果は、hD52転写物はHL-60骨髄性白血病
細胞では検出できたが、K-562前赤芽球白血球細胞では検出されないことが以前
に指摘されており(Byrne,J.A.ら,Cancer Res.55:2896-2903(1995))、そこ
で本発明者らはこれら同じ細胞株におけるhD53の発現を調べることにした。正常
条件下で培養した細胞では(材料と方法の章を参照)、本発明者らはこれらの細
胞株におけるhD52およびhD53遺伝子の発現パターンが逆になることを認めた。す
なわち、hD52転写物はHL-60細胞では検出されたが、K-562細胞では検出されず、
一方、hD53転写物はK-562細胞では検出されたが、HL-60細胞では検出されなかっ
た(図29(A)と(B))。
TPAのような化学試薬に対するHL-60細胞とK-562細胞の増殖および分化反応の
特性は、両細胞系における単球/マクロファージ経路に沿ったTPA促進分化により
完全に特徴付けられた(総説、Harris,P.およびRalph,P.,J.Leuk.Biol.37
:407-422(1985);Sutherland,J.A.ら,J.Biol.Resp.Modif.5:250-262(1986
))。16nMまたは160nMのTPAの存在下で細胞を培養すると、18-24時間後には、
処理HL-60細胞におけるhD52転写物レベルは低下し(図29(A))、処理K-562細胞
におけるhD53転写物レベルは低下した(図29(B))。TPA処理の効果を分子制御
する手段として、トランスフェリンレセプターcDNAインサートを用いてフィルタ
ーを再ハイブリダイズした(Kuhn,L.C.ら,Cell 37:95-103(1984))。これは
、TPA処理後にHL-60細胞(Ho,P.T.C.ら,Cancer Res.49:1989-1995(1989))
とK-562細胞(Schonhorn,J.E.,J.Biol.Chem.270:3698-3705(1995))の両方
についてトランスフェリンレセプター転写物レベルの低下が報告されているから
である。トランスフェリンレセプター転写物レベルの低下がTPA処理細胞で指摘
された速度論(図29(A)と(B))は以前に報告された速度論(Ho,P.T.C.ら,Ca
ncer Res.49:1989-1995(1989);Schonhorn,J.E.,J.Biol.Chem.270:3698-37
05(1995))とよく一致している。興味深いことに、トランスフェリンレセプター
、およびHL-60細胞(図29(A))とK-562細胞(図29(B))それぞれのhD52または
hD53転写物について平行低下(それらの規模と速度論の両方について)が認めら
れた。
考察
本発明者らは、hD53と称する新規なヒトcDNA、およびマウスD52cDNA相同体の
クローニングについて、これらの配列とhD52との間の明らかな類似性により、報
告している(Byrne,J.A.ら,Cancer Res.55:2896-2903(1995))。h/mD52とhD
53配列との間の相同性の高い保存性に、これらの配列と他の特徴付けられたタン
パク質の配列との間に低レベルの相同性が存在することを結びつけて、本発明者
らは新規なD52遺伝子/タンパク質ファミリーの存在を提案している。mD52とhD52
配列が86%同一で、91%保存されているという事実に、線虫にD52相同体もしく
は先祖の遺伝子が存在する可能性を結びつけると、D52ファミリータンパク質に
は未知の基本的な細胞機能があることが示唆されている。しかし、本明細書に提
示した配列分析とさらなる実験の結果から、本発明者らはそれらの機能について
仮説を立てることができた。
無極性アミノ酸の7アミノ酸周期性を示す約110個のアミノ酸からなる中央hD5
2領域は、細胞骨格タンパク質領域の低レベルの相同性によって以前から同定さ
れている(Byrne,J.A.ら,Cancer Res.55:2896-2903(1995))。いわゆるLup
as アルゴリズム(Lupas,A.ら,Science 252:1162-1164(1991))を用いて、本
発明者らは各タンパク質のN末端に向かってhD52、mD52およびhD53において単一
のコイルドコイルドメインを同定しており、これは3つのタンパク質すべてにお
いて、Leu71で終わると予測される。このコイルドコイルドメインは、ヘリカル
ホイール分析を用いてhD52/N8において予測されたロイシンジッパーと重なっ
ている。D52ファミリータンパク質におけるコイルドコイルドメインの存在は、
これらのタンパク質の機能にとって特異的タンパク質-タンパク質相互作用が必
要であることを示している。同様に、D52タンパク質に2つの候補PESTが存在す
ることは、それらの細胞内保存量がタンパク質分解メカニズムにより一部制御さ
れることを示している。興味深いことに、N末端に位置したPESTドメインの大き
さは、D52とD53の両タンパク質におけるコイルドコイルドメインの大きさに重
なる。従って、コイルドコイルドメインを介する相互作用は、PEST配列が、複合
物を形成し得るタンパク質において条件付きのタンパク質分解シグナルとして作
用し得るという仮説に従って、このPESTドメインをマスクできるものと予見する
ことができる(Rechsteiner,M.,Adv.Enzyme Reg.27:135-151(1988))
。
現在、組織内のhD53転写物の細胞分布パターンは知られておらず、従って、組
織内でhD52とhD53が共に発現する意義は評価することができない。しかし、乳癌
腫細胞株におけるhD52とhD53の発現について得られた結果は、同じ細胞型で2つ
の遺伝子が発現できることを示し、hD52とhD53の転写物の共発現が調べた細胞株
の3/5(BT-20、BT-474およびMCF7)で証明されている。残りの2つの細胞系(
HBR100およびZR-75-1)では、hD52転写物のみが検出でき(Byrne,J.A.ら,Can
cer Res.55:2896-2903(1995);Byrne,J.A.,未発表の結果)、従って、乳癌腫
細胞ではhD53よりもhD52の方がより頻繁または豊富に発現できるようである。
hD52転写物とhD53転写物はいずれもHFL1線維芽細胞では検出されなかったので(
Byrne,J.A.ら,Cancer Res.55:2896-2903(1995);Byrne,J.A.,未発表の結
果)、本発明者らは現在、hD53は、hD52と同様に(Byrne,J.A.ら,Cancer Res
.55:2896-2903(1995))上皮に由来するマーカーを表していると仮定している。
MCF7細胞で行われたエストラジオール刺激/奪取実験は、FCSとともに培養され
たMCF7細胞で普通に測定されたhD52とhD53の転写物レベルはエストラジオールに
依存することを示している。現在、MCF7細胞においてhD52とhD53の両転写物の蓄
積をエストラジオールが誘発するメカニズムは知られていない。hD52/hD53の転
写物レベルの変動は、MCF7細胞に対するエストロゲンの分裂促進効果に対して補
助的であり得、そしてエストラジオール自身により直接つくられたものではない
ことが可能である。しかし、第2のエストロゲンレセプター陽性乳癌腫細胞株、
BT-474、で行われたエストラジオール刺激/奪取実験からは、MCF7細胞で認めら
れた結果とは異なる結果が得られた。FCSとともに培養されたBT-474細胞に存在
するhD52転写物レベルは、エストロゲンに依存せず、実際に、10-9Mと10-8Mの
エストラジオールを補足したステロイド欠失培地ではhD52転写物レベルはかなり
低下した。2つのエストロゲンレセプター陽性乳癌腫細胞株においてこのように
効果が異なることは、複数のメカニズムがあることを示し得る。これらのメカニ
ズムにより、エストラジオール-エストロゲンレセプター複合体は乳癌腫細胞に
おけるhD52遺伝子発現、またはこのプロセスにおいてレセプター複合体と協働す
るBT-474細胞とMCF7細胞における異なる細胞特異性因子の存在に影響を及ぼす(
Parker,M.G.,Curr.Opin.Cell Biol.5:499-504(1993);Cavailles,V.ら,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10009-10013(1994))。さらに、エストラジオー
ルの奪取/補足は、BT-474細胞におけるhD52とhD53の転写物レベルに対する効果
が異なっていた。ステロイド欠失培地で5日間培養した細胞では、培養の最後の
3日間にこの培地にエストラジオールの補足の有無とは関係なく、hD53転写物レ
ベルの低下が認められた。本発明者らは、これらの結果は、ステロイド欠失培地
におけるファクターの欠如がhD53転写物レベルの低下をもたらし、また、この場
合のファクターはエストラジオールではなかったことを示していると解釈してい
る。
hD52とhD53は、乳癌腫細胞株の3/5で共に発現することが判明しているが、
白血病細胞における対応する知見がこれらの遺伝子の共発現は必須ではないこと
を確認している。HL-60細胞は骨髄性白血病細胞であり、そして顆粒球経路また
はマクロファージ経路に沿って分化を誘発することができるが(Harris,P.およ
びRalph,P.,J.Leuk.Biol.37:407-422(1985))、一方、K-562白血病細胞は
赤血球特性を有し、そして顆粒球、マクロファージおよび巨核芽球性分化に特有
な特徴の発現を誘発することができる(Sutherland,J.A.ら,J.Biol.Re
sp.Modif.5:250-262(1986))。本研究により、これら2つの細胞株の間に別
の分子的違いがあることが判明した。すなわち、hD52転写物はHL-60細胞では検
出されたが、K-562細胞では検出されず、一方、hD53転写物はK-562細胞では検出
されたが、HL-60細胞では検出されなかったからである。これはhD52/hD53遺伝子
発現状態は白血病の異種形態を区別するマーカーとして将来使用できる可能性が
あることを示唆している。
HL-60とK-562の細胞をTPAで処理すると、hD52とhD53の転写物レベルをそれぞ
れ低減する類似の効果があることが判明した。これから、これらの2種類の遺伝
子について、今度は2種類の細胞株で、遺伝子発現の類似の調節について第2の
例が得られ、そしてこれはhD52とhD53遺伝子の間の機能的関係についてのさらな
る証拠と考えられ得る。hD52とhD53の転写物レベルがTPA処理によりHL-60とK-56
2細胞において低減するメカニズムは、現在のところ不明である。hD52とhD53の
転写物レベルの低下は、TPA処理の間接的な結果として起こることもあり得る。
すなわち、TPA処理は増殖を顕著に停止させ、かつ、HL-60とK-562の両細胞にお
けるマクロファージ分化の誘発をもたらすことが知られている。しかし、hD52/h
D53とトランスフェリンレセプター転写物のレベルが、TPA処理細胞において平行
した様式で低下したという事実は、通常の刺激がこれらの現象の原因であり得る
ことを示している。
要約すると、本発明者らは新しい遺伝子/タンパク質ファミリーであるD52ファ
ミリー(現在はD52とD53が含まれる)の存在を証明した。D52とD53の両タンパ
ク質に酸性コイルドコイルドメインが存在することは、タンパク質-タンパク質
の特異的相互作用がD52とD53機能の重要な構成要素を形成し得ることを示して
いる。これに、hD52とhD53の両転写物がある種のヒト細胞系で共に発現されると
いう事実を結び付けると、本発明者らはhD52とhD53が インビボで相互作用し得
ると推測している。しかし、ノーザンブロットデータから判断すると、これらの
2遺伝子が共発現していなかったHL-60とK-562細胞株において本発明者らが観察
したことは、hD52とhD53が本当に細胞パートナーであるならば、このパートナー
シップは必須ではないことを示している。これらのタンパク質の各々について他
のパートナーが存在する可能性があり、ある種の条件下ではホモダイマーの形成
が促進されると推測することは魅力的である。
実施例6
ヒト原発性乳癌において17q11-q21に含まれる2箇所の異なる増幅領域
序
遺伝子の増幅は、乳癌を含む様々な充実性腫瘍の病原および予後に重要な役割
を担うことが示された。おそらくそれは、増幅された標的遺伝子の過剰発現が選
択的な利点を与えるためである。遺伝子増幅を検出する初めての技術は、細胞遺
伝学的分析であった。それゆえ、いくつかの染色体領域の増幅は、染色体外の二
重微小染色体(dmin)または組み込まれた均一染色領域(hsrs)のいずれかとし
て可視化され、乳腫瘍中に見いだされる主な可視的な細胞遺伝学的異常にかぞえ
られる(Gebhart,Eら、Breast Cancer Res.Treat.8:125-138(1986);Dutril
laux,B.ら、Cytogenet.49:203-217(1990))。その他の技術、例えば比較ゲノ
ムハイブリダイゼーション(CGH)、および染色体顕微解剖および蛍光インサイチ
ュハイブリダイゼーションに基づく新しい戦略もまた、腫瘍細胞中のDNAコピー
数が増加した領域についての広域な検査に適用されてきた(Guan,X.Y.ら、Nat.G
enet.8:155-161(1994);Muleris,M.ら、Genes Chrom.Cancer 10:160-170(19
94))。これらの異なる技術により、乳腫瘍中の約20の増幅された染色体領域が
明らかになった。これらの増幅された領域では、少数の遺伝子が5〜100倍に増
幅されたが、そのうちほとんどは悪性の表現型に優性に寄与しているとは考えら
れていない。位置クローニングの試みにより、各増幅領域内で必須遺伝子が同定
され始めている。現在までのところ、乳癌内で増幅していることが証明された遺
伝子には、FGFR1(8p12),MYC(8p24),FGFR2(10q26),CCND1,GSTP1および
EMS1(11q13),IGFRおよびFES(15q24-q25),ならびにERBB2(17q12-q21)が
含まれる(Bri6che,L および Lidereau,R.,Genes Chrom.Cancer 14:227-251(
1995)に概説されている)。第17染色体の断片q11-q21におけるDNA増幅が、ヒト
の乳癌腫において最も一般的な増幅領域の1つであるようである。FISH、CGH、
および染色体顕微解剖により、この領域でDNA配列のコピー数の増加が高いこと
が示された(Kallioniemi,O.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5321-5325(19
92);Guan,X.Y.ら,Nat.Genet.8:155-161(1994);Muleris,M.ら,Genes Ch
rom.Cancer 10:160-170(1994))。17q12での増幅は、はじめはERBB2遺伝子に
対するプローブを用いて乳癌腫で発見された(Slamon,D.J.ら,Science 235:177
-182(1987))。続いてすぐに他の腫瘍の型でも発見され、その中には卵巣、胃
、および膀胱、そして頻度は下がるが肺および結腸の癌腫が含まれた。興味深い
ことに、17q12-q21での増幅の存在は、乳癌において臨床的な関連性を指摘され
ている。乳癌においては、個々の研究で、増加した再発の危険性と関連があるこ
とが示された(Slamon,D.J.ら,Science 235:177-182(1987);Ravdin,P.
M.およびChamness,G.C.,Gene 159:19-27(1995))。現在までのところ、ただ
1つの遺伝子ERBB2のみがこのアンプリコンの発生を担うとして提唱されている
。ERBB2のオンコジーンはERBBファミリーに属し、その中で初めて同定されたメ
ンバー(ERBB1)は、EGF(上皮増殖因子)のレセプターをコードしている(Doug
all,W.C.ら,Oncogene 9:2109-2123(1994))。ERBB2の増幅は、その産物の過
剰発現に関連性がある。この遺伝子は、その形質転換能力のために(DiFiore,P.
P.ら,Science 237:178-182(1987))、そしてERBB2遺伝子を有するトランスジ
ェニックマウスが乳房細胞の増殖の変化および乳腺腫の高い発症率を示したので
(Muller,W.J.ら,Cell 54:105-115(1988))、乳癌における役割の良好な候補
である。
これらの初期の報告はすべて、ヒトの乳癌腫の17q12-q21におけるERBB2オンコ
ジーンの可能性のある役割を強調した。しかしながら、最近、この染色体領域由
来の新しい4つの遺伝子(MLN 50,51,62,および64と称する)が乳癌由来の転移
性腋窩リンパ節から樹立されたcDNAライブラリーのディファレンシャルスクリー
ニングにより同定された(Tomasetto,C.ら,Genomics 28(3):367-376(1995))
。MLN 51およびMLN 64遺伝子は、すでに記載した他の遺伝子とほとんど相同性が
見られなかった。MLN 62遺伝子(CART1またはTRAF4としても知られている)は、
腫
ierら,Journal of Biological Chemistry 270(43):25715-25721(1995))、一方
でMLN 50遺伝子(Lasp-1とも名付けられている)は、タンパク質のN末端部およ
びC末端部のそれぞれのLIMモチーフおよび第3領域Src相同性(SH3)ドメイン
の会合により特徴付けられる新しいLIMタンパク質サブファミリーを定める(Tom
asetto,C.ら、Genomics 28(3):367-376(1995))。
これらの4つの遺伝子は、乳癌細胞株で増幅および過剰発現していることが分
かった。それゆえ、17q11-q21のDNA配列の増幅は当初の推測よりももっと複雑な
ようであり、そして標的遺伝子の数および正体は不明なままである。
本研究において、本発明者らは、ERBB2遺伝子および4つの新しい遺伝子の増
幅について大量の原発性乳腫瘍を調査した。本発明者らは、乳腫瘍のうち25.5%
がこれらの遺伝子の1以上の増幅を示すことを報告する。アンプリコンの予備的
マッピングを行ったところ、ヒト原発性乳癌の17q11-q21に2箇所の異なる増幅
領域が含まれることが示唆された。さらに、本発明者らは、3つの遺伝子(MLN
62、ERBB2、およびMLN 64)がこれらの2つの染色体領域における増幅事象の標
的であるようであると示唆する。
材料および方法
腫瘍および血液サンプル
Centre Rene Huguenin(France)の患者から外科的に取り出した98個の原発性
乳腫瘍からサンプルを得た;患者は誰一人として放射線療法または化学療法を受
けていなかった。術後ただちに、腫瘍サンプルを液体窒素中に置き、そして高分
子量DNAおよびRNAの抽出まで-70℃で保存した。血液サンプルをまた各患者から
採取した。
DNAプローブ
pMAC117プローブ(ERBB2のゲノムクローン由来の0.8Kb AccIフラグメントのDN
Aフラグメント)をERBB2を検出するために用いた(ATCC No.53408)。四つの新規
なクローン(MLN 50、51、62、および64)についてはTomasettoら(1995)に詳
しく記載された。この5つのプローブは以前にインサイチュハイブリダイゼーシ
ョンによって位置決めされそして順序づけされた(Tomasetto,C.ら、Genomics 28
(3):367-376(1995))。
サザンブロット分析については、使用したコントロールプローブは、ヒトβグ
ロビン(Wilson,J.T.ら、Nucl.Acids Res.5:563-581(1978))およびMOSプロト
オンコジーン(ATCC No.41004)であった。
ノーザンブロット分析については、使用したコントロールプローブは、Masiak
owski,P.ら Nucl.Acids Res.10:7895(1982)に記載の、36B4 cDNAの0.7kb PstI
フラグメントであった。
DNA分析
DNAを、腫瘍組織および血液の白血球より標準的な方法(Maniatis,T.ら、MOLE
CULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(第2版,Cold Spring Harbor,NY(1989)
)に従って抽出した。10μgのTaqIで制限したDNAを、アガロースゲル中の電気泳
動により分離し(各患者由来の白血球および腫瘍のDNAサンプルを隣接したレー
ンで泳動した)、そして標準的な技術に従ってナイロン膜フィルター(Hybond N+
,Amersham Corp.)上にブロットした。膜フィルターを、ニックトランスレーシ
ョンした32P標識プローブとハイブリダイゼーションさせ、洗浄し、そして適切
な期間、−70℃でオートラジオグラフィーを行った。
DNA増幅の測定
制限酵素で消化した腫瘍DNAを、同一のアガロースゲル中で対応するリンパ球D
NAと比較した。これらのゲルのブロットを、まずERBB2および4つのMLNのプロー
ブとハイブリダイゼーションした。MOSおよびβグロビンのプローブを使用した
同一のブロットの再ハイブリダイゼーションにより、ナイロン膜上に移されたDN
A量のコントロールを得た。ブロトオンコジーンおよびコントロール遺伝子のオ
ートラジオグラフを、まず目視観察により、次いでデンシトメーターにより測定
した。2コピー以上の強度を有するシグナルのみを、増幅を表しているとみなし
た。白血球DNAサンプルで得られたシグナルに類似のサザンハイブリダイゼーシ
ョンのシグナルを得るために、腫瘍DNAの階段希釈により増幅レベルを定量した
。
RNA分析
RNAを、LiCl/尿素法(Auffray,C. および Rougeon,F.,Eur.J.Biochem.107
:303-314(1980))を用いることにより、正常組織および腫瘍の乳房組織から抽出
した。10マイクログラムのRNAを、6%のホルムアルデヒドを含む1.2%アガロー
スゲルでの電気泳動により分画し、そしてナイロン膜フィルター(Hybond N,Amer
sham Corp.)上に移した後、ブロットハイブリダイゼーションにより分析した。
同一のフィルターを、まずERBB2および4つの MLNのニック翻訳32P標識プローブ
と、50%ホルムアルデヒド中にて42℃でハイブリダイゼーションした。膜を0.
1×SSPE、0.1%SDS中にて50℃でストリンジェントな条件下で洗浄し、そして種々
の期間、-80℃でオートラジオグラフィーに供した。膜をまた、遍在性のRNAに対
応する36B4 cDNAプローブと再ハイブリダイゼーションした。得られたシグナル
を、各実験においてゲル上にロードしたRNAの量をチェックするために用いた。
この36B4シグナルからはまた、RNAサンプルはたいして分解されていなかったこ
とが示された。
RNAの過剰発現の評価
mRNAのバンドの相対強度を、目視検査により評価し、そして遍在性の36B4バン
ドを考慮して、デンシトメーターにより確認した。正常な乳房組織での発現に比
較して、少なくとも2倍の発現増加を陽性と評価した。過剰発現は、正常な乳房
組織で得られたシグナルと類似のノーザンハイブリダイゼーションシグナルを得
るための腫瘍RNAの階段希釈により定量した。
結果
正常DNA(抹消血リンパ球)および98名の乳癌患者由来の自己腫瘍DNAを、17q1
1-q21に位置する5つの異なる遺伝子(ERBB2、MLN50、51、62および64)の増幅
についてサザンブロットでスクリーニングした。
98の腫瘍の内25の腫瘍(25.5%)において、増幅は少なくとも1つの遺伝子座
で起きた。
デンシトメトリー分析により、増幅レベルは症例により変化するだけでなく、
いくつかの腫瘍においては遺伝子により変化することが明らかになった。増幅は
2倍から30倍を超えるまでの範囲であった。
乳癌腫における17q11-q21アンプリコンマップ
25の増幅腫瘍を増幅のパターンおよびレベルに基づいて以下の3群に細分化し
た:A、類似の増幅レベルでのすべての遺伝子の増幅を有する腫瘍;B、変動す
る増幅レベルでのすべての遺伝子の増幅;およびC、いくつかのこれらの遺伝子
の増幅。図30は、遺伝子変化の最も一般的なパターンの例を示す。図31は、増幅
マップの形式でデータを要約する。
A群(5症例)は、17q11-q21における単一のしかし大きなアンプリコンの存
在に対応している。これら5つの腫瘍については、増幅レベルは常に低く(2〜
5×)、このことは第17染色体の長腕全体の多染色体性を示唆している。この第
1群は、アンプリコンの発生の原因となる候補遺伝子を同定するためには、あま
り重要ではない。
他の2つの群(群BおよびC、それぞれ12症例および18症例)は、サイズおよ
び増幅レベルが腫瘍により変化したことを示している。腫瘍T0084、T0284および
T1191が、MLN62のみを含む最小のアンプリコンを有していた。これら3つの腫瘍
は例外であるが、他の17すべての腫瘍におけるアンプリコンには、ERBB2およびM
LN64が含まれていた。興味深いことに、ERBB2およびMLN64は常に類似のレベルま
で共増幅された。3つの症例(T0109、T1273、T1512)において、これらのみが1
7q11-q21で増幅された遺伝子である。他の5つの腫瘍(T0391、T0183、T0309、T
0559およびT0588)においては、アンプリコンはMLN62と2つの遺伝子座(ERBB2
およびMLN64)との間で不連続であった。これらの腫瘍において、MLN50 は増幅
の証拠を示さなかった。
本発明者らの知見は、ヒト原発性乳癌における17q11-q21および17q12-q21にお
ける2つの異なる増幅された領域の存在を示唆し、一方の領域にはMLN62遺伝子
座が、そして他方の領域にはERBB2およびMLN64遺伝子座が、それぞれ含まれてい
る。
乳癌腫におけるERBB2および4つのMLN遺伝子の発現
ERBB2および4つのMLN遺伝子の増幅が発現の上昇に寄与したかどうかを、RNA
発現のDNA増幅との比較により決定した。これを全RNAが利用可能であった全部で
20の腫瘍サンプルについて行った;少なくとも1つの遺伝子座で増幅された25の
腫瘍の中の10サンプルおよび10の非増幅腫瘍。
図32は、ノーザンブロット分析により評価した、いくつかの過剰発現された腫
瘍の例を示している。mRNAのサイズの大きな変化は、どのサンプルでも検出され
なかった。本発明者らはRNA過剰発現とDNA増幅との間での完全な重なりを認めた
。
増幅腫瘍は、増幅遺伝子について常に過剰発現され、そして5つの遺伝子は10の
非増幅腫瘍DNA標本においては決して過剰発現されなかった。ノーザンブロット
分析から定量的データを得ることは技術的に困難であるが、RNAのレベルとDNA増
幅の程度との間には相関が認められたようである。高い増幅レベルを有する腫瘍
は、分析した遺伝子に関わりなく、より高いmRNAレベルを示した。
考察
その増幅が腫瘍形成の原因となり得る遺伝子を探索するための種々のアプロー
チが存在する。細胞遺伝学的分析、CGHおよび染色体顕微解剖により、腫瘍形成
に寄与する遺伝子を有し得る、異なる増幅染色体領域の局在化が可能になった。
パルスフィールド電気泳動を用いた研究により、ヒト腫瘍細胞におけるアンプリ
コンには、長さが数メガベースまでであり得、そしていくつかの遺伝子を含み得
る大きな領域のゲノムDNAが通常含まれていることが示された(Brookes,S.ら,
Genes Chrom.Cancer 6:222-231(1993))。このような遺伝子を正確に位置付け
るためには、増幅領域の細かいスケールの分子マッピングが必要である。従って
、限定された染色体領域に位置する遺伝子の共増幅が、ヒト腫瘍において記載さ
れている。例には、ヒト乳癌における11q13由来の(Karlseder,J.ら,Genes Ch
rom.Cancer 9:42-48(1994))、およびヒト悪性神経膠腫における12q13-q14由来
の(Reifenberger,G.ら,Cancer Res.54:4299-4303(1994))複数の遺伝子の複
雑な共増幅が含まれている。
数人の著者らが、ヒト乳癌における17q11-q21由来のERBB2遺伝子の増幅を観察
した(Slamon,D.J.ら,Science 235:177-182(1987);Ali,I.U.ら,Oncogene R
es.3:139-146(1988);Borg,A.ら,Oncogene 6:137-143(1991);Paterson,M.C
.ら,Cancer Res.51:556-567(1991))。この染色体セグメント由来の4つの新
規な遺伝子が最近同定され、そしてそれらの内の3つは乳癌細胞株において増幅
および過剰発現されることが見いだされたので(Tomasetto,C.ら,Genomics 28
(3):367-376(1995))、本発明者らは多くの一連の腫瘍DNAにおけるERBB2遺伝子
に加えて、これら4つの新規遺伝子の増幅を研究することにより乳癌バイオプシ
ーにおける17q11-q21領域をさらに特徴付けることにした。目的は、この増幅内
の遺伝子を同定すること、それらの頻度およびそれらの増幅レベルを決定するこ
と、ならびにそれによりこのアンプリコン(単数または複数)における実際のド
ライバー遺伝子(driver gene)(単数または複数)をより正確に規定すること
であった。
98の腫瘍の内25(25.5%)が、5つの遺伝子の少なくとも1つが増幅されたこ
とを示した。これら5つの遺伝子の増幅は、mRNAの過剰発現を系統的に伴う。し
かし、オンコジーンの単コピーを有するいくつかの腫瘍が、対応するmRNAを過剰
発現し得ることもまた知られている。この研究において、本発明者らはまた、増
幅を示さない乳房組織の10の腫瘍におけるERBB2および4つのMLN遺伝子のRNAレ
ベルにおける発現について調べた。本発明者らは、これら5つの試験遺伝子につ
いて過剰発現した非増幅腫瘍を全く認めなかった。従って、ERBB2遺伝子のよう
に、4つのMLN遺伝子は、例えば、遺伝子の調節配列の変化のような乳癌腫にお
ける遺伝子増幅以外の機構により活性化され得なかったようである。
変化した腫瘍の大部分において、増幅は試験した遺伝子座のすべては含まなか
った。本発明者らのシリーズにおいて、17q11-q21で最も頻繁に増幅された2つ
の遺伝子はERBB2およびMLN64(22.5%)であり、これらは類似したレベルで系統
的に共増幅され、そして過剰発現された。本発明者らの研究において見られたER
BB2およびMLN64の一定の共増幅は、両方の遺伝子が17q11-q21で互いに接近して
位置していそうであることを示している。従って、MLN64ならびにERBB2遺伝子の
増幅およびその結果の過剰発現は、乳房新形成性増殖にとって病原的意義があり
得る。第3の遺伝子であるMLN62は、第2のアンプリコンに選択される可能な標
的と見なされ得る。この遺伝子は、17q11-12においてMLN64およびERBB2遺伝子に
対してセントロメア側に位置している。MLN62遺伝子は、MLN64およびERBB2遺伝
子より低い頻度で増幅されたが(17.5%)、17q11-q21における2つの異なる増
幅領域を示した大部分の腫瘍において高レベルの増幅を有して見いだされ、そし
て3つの腫瘍(T0084、T0284およびT1191)における唯一の増幅および過剰発現
された遺伝子であった。これらの知見は、いくつかの腫瘍においてMLN62の増幅
が選択増殖の利点提供し得ることを示唆している。たとえ本発明者らの乳房腫瘍
シリーズにおいて認められたアンプリコンにMLN50および4LN51が頻繁に含まれて
いたとしても、増幅地図はこれら2つの遺伝子は増幅の標的遺伝子ではなく、こ
れらはMLN64およびERBB2とともに一定して共増幅され、そして個々の腫瘍におい
て最高の増幅レベルを決して示さなかったことを示唆している。THRA1(van de
Vijver,M.ら,Mol.Cell Biol.7:2019-2023(1987))、RARA(Keith,W.N.ら,E
ur.J.Cancer 29a:1469-1475(1993))、GRB-7(Stein,D.ら,EMBO J.13:1331
-1340(1994))およびTOP2A(Smith,K.ら,Oncogene 8:933-938(1993))を含む
4つの他のERBB2隣接遺伝子が、ERBB2増幅腫瘍の10〜50%においてERBB2と共増
幅されることが以前に認められている。これら4つの遺伝子は、ERBB2増幅なし
に単独では決して増幅しなかった。それゆえ、これら他の結果とともに、本発明
者らのデータは、MLN50およびMLN51ならびにTHRA1、RARA、GRB-7およびTOP2Aが
、いくつかの17q12-q21アンプリコンにまさに偶然に含まれていることを示唆し
ている。
今までのところ、MLN62および事N64の生理学的および病理学的機能については
、ほとんど知られていない。MLN64遺伝子は記載された他の遺伝子とほとんど相
同性を示さない場合、MLN62/CART1/TRAF4は、CD40結合タンパク質および腫瘍壊
死因子(TNF)レセプター関連因子2(TRAF2)(両方はTNFレセプターファミリ
ーにより媒介されるシグナル伝達に関与する)においても認められる3つのドメ
インを示すタンパク質をコードする。従って、MLN62/CART1/TRAF4遺伝子は、乳
癌腫におけるTNF関連サイトカインシグナル伝達に関与し得る。
結論として、この研究は、ヒト乳癌における17q11-q21の2つの異なる領域に
おいて、DNA増幅が頻繁に認められることを示している。このことは、これら2
つの領域におけるいくつかの遺伝子が、ヒト乳癌の開始および/または進行に関
与していることを示唆している。25の増幅乳癌におけるこれらの17q11-q21アン
プリコンの本発明者らの予備的マッピングは、これらが一貫してMLN62/CART1/TR
AF4(17q11-q12)またはMLN64およびERBB2(17q12-q21)のいずれかを含むこと
を示している。2つの新たな遺伝子は乳癌における役割についての良好な候補で
ある。なぜなら、ERBB2と同様、それらの増幅はそれらの過剰発現に導くからで
ある。本発明者らのデータから導かれた主な結論は、ERBB2は、17q11-q21アンプ
リコンにおける選択下の遺伝子の1つとしての良好な候補のままであるが、2つ
の新規候補遺伝子がこれらのアンプリコンのドライバー遺伝子として同定されて
いるということである。従って、MLN62/CART1/TRAF4およびMLN64の生理学的およ
び病理学的意義の解明は、乳癌形成におけるこれら2つの遺伝子の関与を確認す
る。
本発明またはその実施態様の精神または範囲から逸脱することなく、組成物、
濃度、投与様式、および条件の広い範囲の等価パラメータ内で本発明が実施され
得ることを、当業者は理解する。
本明細書中で引用されたすべての参考文献、特許出願および特許の開示は、本
明細書に参考として援用される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12P 21/08 C12Q 1/68
C12Q 1/68 C12N 5/00 A
(71)出願人 ユニバーシティ ルイス パストゥール
フランス国 エフ−67070 ストラスグル
グ セデックス,ボイテ ポスタル 1032
エフ,リュ ボライス パスカル 4
(71)出願人 ブリストル−メイヤーズ スクイブ カン
パニー
アメリカ合衆国 ニュージャージー
08543−4000,プリンストン,ルート 206
アンド プロビンスライン ロード(番
地なし)
(72)発明者 リオ,マリイ−クリスティーヌ
フランス国 エフ−67400 イルキルク,
リュ ドゥ ラルジル 5
(72)発明者 トマッセ,キャサリーン
フランス国 エフ−67100 ストラスバー
グ,リュ ドゥ ベルン 12
(72)発明者 バセット,ポール
フランス国 エフ−67000 ストラスバー
グ,リュ ボルタイル 4
(72)発明者 ブライン,ジェニファー
オーストラリア国 ニューサウスウェール
ズ 2131,アシュフィールド,チャンドス
ストリート 9/8