JPH115316A - 液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射記録装置

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JPH115316A
JPH115316A JP15859797A JP15859797A JPH115316A JP H115316 A JPH115316 A JP H115316A JP 15859797 A JP15859797 A JP 15859797A JP 15859797 A JP15859797 A JP 15859797A JP H115316 A JPH115316 A JP H115316A
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Masashi Hiratsuka
昌史 平塚
Masaki Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発熱素子の保護膜あるいは保護膜上の経時的
な状態変動による堆積物の除去効果の低下を防ぎ、常に
良好な画質で記録を行なうことができる液体噴射記録装
置を提供する。 【解決手段】 制御部4は複数の回復動作条件を保持し
ている。入力される記録データから発熱素子2による液
体の噴射回数を計数し、あるいはタンク5の交換回数を
計数し、発熱素子2の保護膜あるいは保護膜上の経時的
な状態変動を間接的に検知する。そして、噴射回数の計
数値あるいはタンク5の交換回数に応じて回復動作条件
を切り換える。これによって、長期間の使用によって堆
積物が充分除去できなくなってきても、回復駆動条件を
変えて回復動作を行ない、除去できなかった堆積物も除
去できるようになる。そのため、常に良好な画質を維持
して記録を行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を噴射して飛
翔液滴を形成し、この飛翔液滴により記録を行なう液体
記録噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体を噴射して記録を行なう液体噴射記
録装置の一つとして、熱エネルギーを利用したものがあ
る。この熱エネルギーを利用したサーマル液体噴射記録
装置は、低コストでありながら高画質が得られ、高速に
記録可能な装置として脚光を浴びている。このサーマル
液体噴射記録装置では、発熱抵抗体等の発熱素子に通電
し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、その熱
エネルギーを液体に伝えて液体を膜沸騰させ、発生する
気泡の成長時の圧力によって液体を噴射する。このと
き、発熱素子の発熱によって、液体中から炭素を主成分
とする物質が発熱素子の保護膜上に付着し、長期間の使
用によって保護膜上に炭素を主成分とする膜が堆積して
しまう。この堆積物の膜によって発熱素子で発生する熱
エネルギーの液体への伝導が阻害され、エネルギー効率
が低下して液体の噴射力が弱まり、画質の劣化を起こす
という問題がある。
【0003】一方、サーマル液体噴射記録装置の駆動方
法の主なものとして、シングルパルス駆動と分割パルス
駆動の2つの方法がある。図2は、サーマル液体噴射記
録装置の駆動方法の一例の説明図である。シングルパル
ス駆動では、図2(A)に示すように1つのパルスを発
熱素子に与える駆動方法である。以前はこのシングルパ
ルス駆動が用いられてきたが、より安定した駆動方法と
して、図2(B)に示すような分割パルス駆動が用いら
れている。この分割パルス駆動では、複数のパルスによ
って駆動する。図2(B)に示す例では、まず液体を噴
射しない程度のエネルギーをパルスP1(これをプレパ
ルスP1と呼ぶ)で与え、液体を加温する。休止期間P
2の後、液体を噴射するためのエネルギーをパルスP3
(これをメインパルスP3と呼ぶ)で与えて液滴を飛翔
させる。しかし、分割パルス駆動を行なっても、保護膜
上に炭素を主成分とする膜が堆積することに変わりはな
く、依然として上述の問題は残る。
【0004】発熱素子の保護膜上に炭素を主成分とする
膜が堆積する問題に対する対策として、例えば特開平6
−122198号公報には、インクの温度を上げてイン
クの粘度を下げてインクのリフィル時の慣性力を向上さ
せたり、分割パルス駆動によりインクを加温し、液相か
ら気相に状態変化する分子数を増加させたり、さらには
駆動電圧を1/2にし、相転移分子数を増やすなどの方
法によって、気泡の消泡時に消泡点に集中するインクに
よる衝撃(キャビテーション)力を上げ、この衝撃力に
よって発熱素子の保護膜上の炭素などの膜を剥がし、除
去する方法が記載されている。また、キャビテーション
により堆積物を除去する他の方法として、例えば特開昭
63−141754号公報、特開平6−135002号
公報等には、通常の記録時よりエネルギーの大きいパル
スを加える方法が記載されている。しかし、エネルギー
量が大きいだけに発熱素子の経時劣化を早めるという問
題があった。
【0005】図3は、堆積物の除去動作後の発熱抵抗体
の保護膜上の状態の一例の説明図である。図中、ハッチ
ングの密度によって堆積物の程度を示しており、密度の
高いほど堆積物が多いことを示す。上述の文献に記載さ
れている方法によれば、図3(A)に示すように気泡の
消滅点の周辺において、堆積物を除去することができ
る。しかし、除去できるエリアは保護膜全体ではなく、
気泡の消滅点の周辺だけであり、図3(A)に示すよう
に気泡の消滅点から離れた場所の堆積物は完全には除去
できない。
【0006】この除去できないエリアの堆積物を除去す
る方法として、例えば特開平8−90790号公報に
は、プレパルスP1、休止時間P2の少なくとも一方を
2段階以上変調して、消泡点の位置を変える方法が記載
されている。しかし、位置の変化が十分でなく、図3
(B)に示すように堆積物は残存していた。
【0007】さらに、例えば特願平8−260475号
では、通常の記録時のメインパルスより短いメインパル
スを用いて回復駆動を行なう。また例えば特願平8−2
47923号では、噴射しない程度のエネルギーを回復
パルスとして印加し、その後、通常のメンテナンス時の
噴射動作を行なう。これらの方法によって、図3(C)
に示すように発熱素子の保護膜上の堆積物を効率よく除
去することが可能になった。
【0008】しかし、液体噴射記録装置を使用し続けて
ゆくと、上述のような良好な回復動作を定期的に行なっ
ていても、発熱素子の周辺部の保護膜上には堆積物が除
去されずに残ってきてしまう。これは、周辺部分での熱
分布の相違や、発熱素子の保護膜の酸化による熱伝導性
の低下等によるものと考えられる。堆積物が残っている
とエネルギー効率が低下して噴射される液滴量が減少
し、記録される画質に影響する。さらには発熱素子の保
護膜上の堆積物を除去する際のエネルギーにも影響する
ため、充分に堆積物の除去が行なえず、さらに堆積物が
増えてしまう。そのため、このような発熱素子の保護膜
上の経時的な変動に対応した回復動作を行なう必要があ
る。しかし従来の液体噴射記録装置では、このような発
熱素子の保護膜上の経時的な劣化に対処した回復駆動を
行なうものは考えられていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、発熱素子の保護膜あるいは
保護膜上の経時的な状態変動によって引き起こされる回
復動作による堆積物の除去効果の低下を防ぎ、常に良好
な画質で記録を行なうことができる液体噴射記録装置を
提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、制御手段に
よる制御によって、通常の記録以外の時に、発熱素子の
保護膜上に堆積する堆積物を除去するための回復駆動を
行なう。この回復駆動時の駆動条件として、発熱素子の
保護膜あるいは保護膜上の経時的な状態変動に応じた回
復駆動条件を用いて回復駆動を行なう。これによって、
長期間の使用によって堆積物が充分除去できなくなって
きても、回復駆動条件を変えて回復動作を行なうことに
よって除去できなかった堆積物も除去できるようにな
る。そのため、常に良好な画質を維持して記録を行なう
ことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の液体噴射記録装
置の実施の一形態を示す要部ブロック図、図4は、同じ
く記録ヘッド部分の一例を示す概略断面図である。図
中、1は記録ヘッド、2は発熱素子、3は温度検出部、
4は制御部、5はタンク、11は流路基板、12はドラ
イバー側電極、13は発熱抵抗体、14は共通電極、1
5は支持基板、16は保護膜、17は吐出孔、18は流
路、19は液室、20は樹脂層である。
【0012】記録ヘッド1には多数の発熱素子2が配列
されている。発熱素子2は、図4に示すように、支持基
板15上に発熱抵抗体層を成膜し、必要に応じて不純物
をドープして発熱抵抗体13として形成される。記録ヘ
ッド1はさらに、発熱抵抗体13上に層間絶縁膜を成膜
後、ドライバー側電極12と共通電極14を形成し、例
えばコンタクトホール等により発熱抵抗体13との電気
的接続を図る。また発熱抵抗体13上には、液体との接
触による化学的なダメージや、キャビテーション等の物
理的ダメージから発熱抵抗体13を保護するための保護
膜16を形成する。そして、少なくとも発熱抵抗体13
上の発熱領域を除き、樹脂層20を施す。ここでは樹脂
層20を2層設けているが1層でもよい。発熱抵抗体1
3上の樹脂層20を設けなかった部分が液室19とな
る。
【0013】また、別の工程によって、発熱抵抗体13
に対応する流路18や、図示しない共通液室などが流路
基板11に形成され、上述のようにして形成された支持
基板15と接合または接着されて記録ヘッド1が作製さ
れる。なお、ドライバー側電極12および共通電極14
は、例えば支持基板15上や記録装置本体に設けられた
制御部4と電気的に接続される。
【0014】記録ヘッド1は、発熱素子2の発熱によっ
て加温される。それとともに内部の液体も加温される。
液体は温度によって粘度が変化するため、所定の液滴量
を噴射させるために必要となるエネルギー量が変化す
る。記録ヘッド1には温度検出部3が設けられており、
内部の液体の温度に代えて、記録ヘッド1の温度を検出
して制御部4へ出力し、液体の状態を制御部4へ伝え
る。
【0015】制御部4は、液体噴射記録装置各部の制御
を行なう。記録時には外部から送られてきた記録データ
に従って、記録ヘッド1や被記録媒体の制御を行なうと
ともに、発熱素子2を選択的に駆動して記録を行なう。
この場合に、上述のように温度によって噴射させる液体
の粘度等が変化することを考慮し、ほぼ一定の液滴量の
噴射を行ない安定した記録を行なうため、温度検出部3
で検出した記録ヘッド1の温度を考慮して記録時の駆動
条件を設定することができる。また、回復動作時には保
護膜16あるいは保護膜16上の経時的な状態変動に応
じた回復駆動条件を設定し、その回復駆動条件に従って
発熱素子2を駆動する。もちろん、この回復駆動条件
も、温度検出部3で検出した記録ヘッド1の温度も考慮
して設定することもできる。回復動作は、被記録媒体に
記録しない、例えばメンテナンスステーションなどで行
なわれる。
【0016】回復駆動条件としては、記録時の駆動条件
とは異なった条件を設定する。例えば記録時よりも噴射
される液滴量が少なくなるような条件が設定される。こ
れによって回復動作による発熱素子2の劣化を防ぐ。ま
た、このように記録時の駆動条件とは異なる回復駆動条
件で発熱素子2を駆動することによって、液体中に発生
する気泡の消滅点の位置を、通常の記録時とは異なる位
置に変えることができる。そのため、通常の記録時に保
護膜16上に堆積した堆積物を除去することができる。
このとき、保護膜16あるいは保護膜16上の経時的な
状態変動に応じた回復駆動条件を設定するので、保護膜
16の劣化や保護膜16上に除去しきれなかった堆積物
が堆積してきた場合でも、良好に堆積物の除去を行なう
ことができる。また、記録ヘッド1の温度も考慮して回
復駆動条件を設定すれば、記録ヘッド1の温度によら
ず、さらに良好に堆積物を除去できる。なお、保護膜1
6あるいは保護膜16上の経時的な状態変動は、例えば
発熱素子2による液体の噴射回数を計数しておくことに
よって間接的に知ることができる。また、タンク5の交
換回数によっても間接的に知ることができる。タンク5
の容量は決まっているので、その容量と噴射する液滴量
から発熱素子2による液体の噴射回数がわかる。
【0017】タンク5には発熱素子2によって飛翔させ
る液体が貯蔵されている。記録ヘッド1において液滴を
飛翔させて液体が消費されると、貯蔵している液体を流
路18へと供給する。
【0018】次に動作の一例について説明する。制御部
4からドライバー側電極12および共通電極14を介し
て発熱素子2である発熱抵抗体13に駆動信号が印加さ
れると、発熱抵抗体13はその電気的エネルギーを熱エ
ネルギーに変換し、液体中に熱を放出する。放出された
熱によって液体中に気泡が発生する。発生した気泡は液
室19内で成長し、そのときの圧力によって液室19お
よび流路18内の液体が吐出孔17から噴射する。噴射
された液滴は被記録媒体へと飛翔して付着し、記録が行
なわれる。
【0019】液滴の噴射後、電気的エネルギーの切断に
よって急速に冷却され、気泡は縮小してゆく。この時の
負圧によってタンク5から液体が流路18に再供給され
る。そして、気泡は保護膜16上で消滅する。気泡の消
滅時には、消滅点に液体が急激に流入し、キャビテーシ
ョンが発生する。保護膜16はこのキャビテーションか
ら発熱抵抗体13を保護している。
【0020】この過程で液体中に放出される熱によっ
て、液体中の不純物や染料などが炭化し、保護膜16上
に付着して徐々に堆積する。この堆積物によってエネル
ギー効率が低下し、飛翔する液滴の体積が減少して濃度
低下を引き起こす。そのため、この堆積物の除去動作を
行なう。この堆積物の除去動作は、通常の記録時以外
の、例えばメンテナンス時等に行なう。以下、この堆積
物の除去動作について説明する。なお、発熱素子2の駆
動方式として、図2(B)に示したような分割パルス駆
動を行なうものとする。
【0021】分割パルス駆動信号による駆動を行なうと
き、メインパルスP3をある程度の長さ以上にすると、
発熱抵抗体13の保護膜16と液体の接触面で膜沸騰が
起き、これによって発生する気泡の膨張によって上述の
ように液体が噴射される。膜沸騰後、気泡が消滅するま
での間は、保護膜16と液体との間は遮断され、発熱抵
抗体13と保護膜16の熱は液体に十分に伝達されな
い。このため、発熱抵抗体13と保護膜16に残された
熱は、保護膜16を劣化させるとともに保護膜16上の
堆積物の発生を加速すると考えられる。通常の記録時に
は駆動パルスにより直ちに気泡を発生させるが、堆積物
の除去を行なう場合には、メインパルスP3のパルス幅
を調節して気泡の発生には不十分なエネルギーを与え
る。これによって液体に対して充分に熱を伝えることが
できる。その結果、液体による化学的作用を促進し、保
護膜16上の堆積物を剥離もしくは、溶解させることが
できる。その後、メンテナンス時に通常行なわれている
ダミージェットと呼ぶ被記録媒体以外への液滴の噴射を
続けて行なうことにより、流路18内に剥離した堆積物
を外部に吐き出すことができる。
【0022】ここで、この回復作用は限られたエネルギ
ー範囲でのみ発生する。大きすぎれば通常の噴射とな
り、小さすぎればエネルギー不足により効果が得られな
い。サーマル方式は熱を利用した噴射方式であり、環境
温度に対して敏感である。そのため、制御部4は温度検
出部3によって検出される記録ヘッド1の温度に応じた
回復駆動条件を設定するとよい。図5は、回復駆動条件
の一例の説明図である。メインパルスP3の幅を上述の
エネルギー範囲となるように設定している。このとき、
液体の温度によらずに良好な回復効果をえるため、記録
ヘッド1の温度に応じてプレパルスP1のパルス幅を変
更し、メインパルスP3による駆動前に液体を加温す
る。例えば記録ヘッド1の温度が低い場合にはプレパル
スP1のパルス幅を長くして加温量を増加させ、温度が
高い場合にはプレパルスP1のパルス幅を短くして加温
量を減らす。これによって、記録ヘッド1の温度によら
ず常に良好に堆積物の除去を行なうことができ、安定し
た画質を提供することができる。
【0023】図6、図7は、各使用環境における発熱素
子による液滴の噴射回数と記録されるドット径との関係
を示すグラフである。図6は、室温28℃、湿度70%
の高温多湿の環境下で液体噴射記録装置を用いた場合を
示し、図7は、室温10℃、湿度30%の低温乾燥の環
境下で液体噴射記録装置を用いた場合を示している。い
ずれの場合でも、堆積物を除去する回復駆動を行なわな
い場合には、液滴の噴射回数の増加とともに液滴量が減
少し、記録されるドット径が小さくなる。しかし、堆積
物を除去する動作を行なうことによって、液滴量を維持
することができる。この時、いずれの環境下でも良好に
液滴量を維持しており、記録ヘッド1の温度に応じた回
復駆動条件を用いることによって使用環境によらずに良
好に堆積物を除去できることがわかる。
【0024】制御部4は、例えば図5に示したような回
復駆動条件をテーブルとして保持しておくことができ
る。堆積物を除去する回復動作時には温度検出部3によ
る記録ヘッド1の温度をもとにテーブルを参照し、駆動
条件を設定すればよい。あるいは、駆動条件を記録ヘッ
ド1の温度の関数として設定しておき、演算により駆動
条件を求めてもよい。
【0025】このような堆積物を除去する動作は、一般
にメンテナンス動作を行なう際に行なえばよく、例えば
1ページの記録終了後や、タンク5の交換時、一定の噴
射回数に到達時等、定期的に行なえばよい。また、エラ
ー発生時等、不定期に行なう場合を加えてもよい。図8
は、堆積物を除去するために発熱素子を駆動する回数の
具体例の説明図である。この具体例では、堆積物を除去
する動作を1ページの記録ごとおよびタンク5の交換ご
とに行なうものとし、各タイミングにおいて発熱素子2
に回復パルスを与えて駆動する回数と、堆積物の除去動
作後に行なうダミージェットの回数を示している。1ペ
ージの記録ごとに行なう堆積物の除去動作では、上述の
ようにして設定された回復駆動条件に従って1つの発熱
素子2あたり100回駆動し、その後、ダミージェット
を30回噴射させている。また、タンク交換ごとに行な
う堆積物の除去動作では、同様に1つの発熱素子2あた
り5000回駆動し、その後、ダミージェットを30回
噴射させている。タンクを交換する直前は、記録ヘッド
1内に液体がない状態で駆動されることも考えられ、そ
の場合には保護膜16上に堆積物が付着しやすい。その
ため、タンク交換時には堆積物の除去動作を充分に行な
うように設定している。このようにして堆積物を除去す
る動作を行なうことにより、例えば図3(C)に示した
ように、効率よく堆積物を除去することができる。
【0026】しかし上述のように長期間使用している
と、上述のような回復駆動条件による堆積物の除去動作
を行なっていても、発熱素子2の周辺部にあたる保護膜
16上に堆積物がどうしても堆積し、除去しきれなくな
る。原因の一つとして保護膜16の酸化による熱伝導性
の低下が考えられるため、同じ回復駆動条件で堆積物の
除去動作をいくら行なっても、充分に堆積物を除去でき
ない。このような堆積物の除去機能の低下を改善するた
め、本発明では保護膜16あるいは保護膜16上の状態
に応じた回復駆動条件を設定する。
【0027】図9は、長期間使用後の回復駆動条件の一
例の説明図である。上述のように保護膜16が劣化する
と熱伝導性が低下するため、液体を充分熱することがで
きなくなる。この状態で従前通りの液体の加熱を行なう
には、発熱素子2における発熱量を増加させればよい。
図9に示した回復駆動条件の例では、基本的にメインパ
ルスP3のパルス幅を多少長くして、投入エネルギーを
増加させている。この例では、記録ヘッド1の温度変化
にも対応するため、図9に示した回復駆動条件も記録ヘ
ッド1の温度に応じたプレパルスP1が設定されるよう
にしている。
【0028】図10、図11は、さらに長期間使用後の
回復駆動条件の一例の説明図である。図5に示した回復
駆動条件から図9に示した回復駆動条件に変えて堆積物
の除去動作を行なうだけでも十分に堆積物が除去される
ようになり、再び長期間使用しても画質を維持できるよ
うになる。しかしさらに記録装置を使用していると、再
び発熱素子2の周辺部にあたる保護膜16上に堆積物が
除去しきれなくなってくることが考えられる。そのよう
な場合を考慮し、例えば図10に示すように、さらに投
入エネルギーを増加、すなわちメインパルスP3のパル
ス幅を長くした回復駆動条件に切り換えるように構成す
ることができる。さらに使用していくうちに堆積物が除
去できなくなる場合には、例えば図11に示すように、
図10に示した回復駆動条件よりもさらにメインパルス
P3のパルス幅を長くして投入エネルギーを増加させた
回復駆動条件を使用すればよい。
【0029】このような回復駆動条件の切り換えは、保
護膜16あるいは保護膜16上の状態に応じて行なうこ
とが望ましい。しかし、保護膜16の状態や保護膜16
上の堆積物の状態を直接検知することができない。経験
的にこれらの状態と発熱素子2による液体の噴射回数と
に関係があることがわかっているので、発熱素子2によ
る液体の噴射回数から保護膜16あるいは保護膜16上
の状態を間接的に知ることができる。制御部4では、入
力される記録データに応じて発熱素子2を駆動するの
で、この時に液体の噴射回数を計数する。そして、発熱
素子2による液体の噴射回数に応じた回復駆動条件を選
択し、堆積物の除去動作の際にその駆動条件で発熱素子
2を駆動すればよい。
【0030】記録データに基づいて発熱素子2による液
体の噴射回数を計数する代わりに、タンク5の交換によ
っておおまかな発熱素子2による液体の噴射回数を得て
もよい。タンク5の容量は決まっているので、液滴量で
除算することによって1個のタンク5で噴射する液滴
数、すなわち1個のタンクあたりの発熱素子2による液
体の噴射回数がわかる。タンク5の交換回数を記憶して
おけば、使用開始からの大まかな発熱素子2による液体
の噴射回数を得ることができる。得られた大まかな噴射
回数をもとに、回復駆動条件を選択して堆積物の除去動
作を行なえばよい。
【0031】図12は、発熱素子による液体の噴射回数
と使用する回復駆動条件の一例の説明図である。図12
に示した例では、記録ヘッド1の使用開始から液体の噴
射回数が1×105 回に達するまでは図5に示した回復
駆動条件を用いて堆積物の除去を行なう。液体の噴射回
数が1×105 回を超えると回復駆動条件を図5に示し
たものから図9に示した条件に変更する。そして液体の
噴射回数が1×106回に達するまで、図9に示した回
復駆動条件で堆積物の除去を行なう。さらに液体の噴射
回数が1×106 回を超え、1×108 回までは図10
に示した回復駆動条件を用い、1×108 を超えた場合
には図11に示した回復駆動条件を用いる。
【0032】制御部4は、例えば図12に示したような
テーブルと、図5、図9〜図11に示すような回復駆動
条件を示すテーブルを保持しておき、発熱素子2による
液体の噴射回数から図12に示したテーブルを引き、対
応する回復駆動条件を選択して用い、堆積物の除去を行
なうようにすることができる。ここでは4つの回復駆動
条件から選択する例を示したが、これに限らず、2つや
3つ、5つ以上の回復駆動条件から選択するようにして
もよい。
【0033】また、回復駆動条件を切り換える液体の噴
射回数も、図12に示した条件に限るものではない。こ
の回復駆動条件を切り換えるタイミングは、種々の条件
や経験等を考慮して任意に設定すればよい。例えば図1
0において1×106 回から1×108 回では長すぎる
場合には、3×106 回程度で回復駆動条件を切り換え
るなどとしてもよい。
【0034】図12に示した例では、回復駆動条件を切
り換える発熱素子2による液体の噴射回数が等間隔では
ない。これは、初期の頃の記録ヘッド1の状態が変化し
やすく、特性が安定しないことによる。使用しているう
ちに安定してくる。例えば初期の頃は各部の劣化の速度
が速いが、次第に劣化の進行速度は遅くなり、劣化した
まま安定してくる。そのため、噴射回数が多くなるとそ
れだけ回復駆動条件の切り換えまでの期間を長くするこ
とができる。このような知見に基づき、一例として図1
2に示したような発熱素子2による液体の噴射回数で回
復駆動条件を切り換えている。
【0035】図13は、液滴の噴射回数と噴射された液
滴によって形成されるドット径との関係を示すグラフで
ある。図12に示したタイミングで図5、図9〜図11
に示した回復駆動条件を切り換えながら、堆積物を除去
する動作を行なわせてゆくと、図13に実線で示すよう
に、記録されるドット径はある範囲内に収まり、高画質
を維持することができた。それぞれの回復駆動条件を切
り換えるタイミングで条件を切り換えなかった場合に
は、それぞれ、破線で示すように記録されるドット径は
小さくなり、濃度低下など、画質に影響が生じた。図1
3からわかるように、使用してゆくに従って回復駆動条
件を切り換えてゆくことにより、常に良好に堆積物を除
去することができ、高画質を維持してゆくことができ
る。
【0036】回復駆動条件を切り換える液体の噴射回数
は、記録ヘッド1に設けられているすべての発熱素子2
について積算した値を用いるほか、各発熱素子2ごとあ
るいは数個の発熱素子2のグループごとに計数し、その
最大値や中間値、平均値、最小値などに従って回復駆動
条件を切り換えるようにしてもよい。また、各発熱素子
2ごとやグループごとに噴射回数を計数している場合、
制御は複雑になるが、各発熱素子2ごとやグループごと
に回復駆動条件を切り換えてもよい。
【0037】なお、上述の例では、堆積物を除去する際
の発熱素子2の駆動を、図2(B)に示す分割パルス駆
動によって行なう例を示したが、図2(A)に示すシン
グルパルス駆動で行なう場合でも同様である。また、分
割パルス駆動を行なう場合でも、プレパルスは1個に限
らず、複数個のパルスで構成されていてもよい。また、
上述の例ではエネルギー量の制御をパルス幅で行なった
が、電圧や電流を制御してもよい。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、発熱素子の保護膜あるいは保護膜上の経時的
な状態変動に応じて回復駆動条件を変えて回復動作を行
なうので、長期間の使用によって堆積物が充分除去でき
なくなってきても、回復駆動条件を変えて回復動作を行
ない、除去できなかった堆積物も除去できるようにな
る。そのため、常に良好な画質を維持して記録を行なう
ことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体噴射記録装置の実施の一形態を
示す要部ブロック図である。
【図2】 サーマル液体噴射記録装置の駆動方法の一例
の説明図である。
【図3】 堆積物の除去動作後の発熱抵抗体の保護膜上
の状態の一例の説明図である。
【図4】 本発明の液体噴射記録装置の実施の一形態に
おける記録ヘッド部分の一例を示す概略断面図である。
【図5】 回復駆動条件の一例の説明図である。
【図6】 高温多湿の使用環境(室温28℃、湿度70
%)における発熱素子による液滴の噴射回数と記録され
るドット径との関係を示すグラフである。
【図7】 低温乾燥の使用環境(室温10℃、湿度30
%)における発熱素子による液滴の噴射回数と記録され
るドット径との関係を示すグラフである。
【図8】 堆積物を除去するために発熱素子を駆動する
回数の具体例の説明図である。
【図9】 長期間使用後の回復駆動条件の一例の説明図
である。
【図10】 さらに長期間使用後の回復駆動条件の一例
の説明図である。
【図11】 さらに長期間使用後の回復駆動条件の一例
の説明図である。
【図12】 発熱素子による液体の噴射回数と使用する
回復駆動条件の一例の説明図である。
【図13】 液滴の噴射回数と噴射された液滴によって
形成されるドット径との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…記録ヘッド、2…発熱素子、3…温度検出部、4…
制御部、5…タンク、11…流路基板、12…ドライバ
ー側電極、13…発熱抵抗体、14…共通電極、15…
支持基板、16…保護膜、17…吐出孔、18…流路、
19…液室、20…樹脂層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平塚 昌史 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 小林 雅樹 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドに保護膜で覆われた発熱素子
    が設けられ、該発熱素子の加熱により液体を噴射させる
    液体噴射記録装置において、前記発熱素子に与える電気
    エネルギーを制御して前記発熱素子を駆動し通常の記録
    動作を行なうとともに通常の記録時以外の時に回復駆動
    条件に従って前記発熱素子を駆動する制御手段を有し、
    該制御手段は、前記発熱素子の前記保護膜あるいは前記
    保護膜上の経時的な状態変動に応じた回復駆動条件を用
    いることを特徴とする液体噴射記録装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、噴射させる液体を保持
    している液体タンクの交換によって前記発熱素子の前記
    保護膜あるいは前記保護膜上の経時的な状態変動を間接
    的に検知することを特徴とする請求項1に記載の液体噴
    射記録装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、液体を噴射させた回数
    を計数し、該計数値によって前記発熱素子の前記保護膜
    あるいは前記保護膜上の経時的な状態変動を間接的に検
    知することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射記録
    装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記発熱素子の前記保
    護膜あるいは前記保護膜上の経時的な状態変動に応じた
    複数の前記回復駆動条件のうち、前記発熱素子における
    発熱量の少ない条件から順に用いて前記発熱素子を駆動
    することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射記録装
    置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記回復駆動条件によ
    って前記発熱素子を駆動する際に、液体を噴射させない
    で加熱するプレパルスと液体を噴射させるメインパルス
    によって前記発熱素子を駆動し、複数の前記回復駆動条
    件として、前記プレパルスあるいは前記メインパルスあ
    るいは前記プレパルスと前記メインパルスのパルス幅を
    変更して前記発熱素子における発熱量を変化させた条件
    が設定されていることを特徴とする請求項4に記載の液
    体噴射記録装置。
  6. 【請求項6】 さらに前記記録ヘッドの温度を検出する
    温度検出手段を有し、前記制御手段は、前記温度検出手
    段によって検出された前記記録ヘッドの温度も加味した
    回復駆動条件に従って前記発熱素子を駆動することを特
    徴とする請求項1に記載の液体噴射記録装置。
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CN100345684C (zh) * 2003-12-02 2007-10-31 佳能株式会社 喷墨记录设备和用来控制该设备的方法
JP2012116016A (ja) * 2010-11-29 2012-06-21 Canon Inc 液体吐出ヘッドの制御方法及び、この制御方法を行う液体吐出装置

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