JPH1157324A - 結晶性ポリオレフィン系樹脂厚物成形品 - Google Patents

結晶性ポリオレフィン系樹脂厚物成形品

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JPH1157324A
JPH1157324A JP9227024A JP22702497A JPH1157324A JP H1157324 A JPH1157324 A JP H1157324A JP 9227024 A JP9227024 A JP 9227024A JP 22702497 A JP22702497 A JP 22702497A JP H1157324 A JPH1157324 A JP H1157324A
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thick
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JP9227024A
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Inventor
Tatsuya Hayashi
林  達也
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的大型で、かつ厚物でその表面に突起を
有する結晶性ポリオレフィン系樹脂成形品は、その外表
面は無配向層となっていると共に、内部などの球晶が比
較的大きくなっているので、例えば曲げ弾性率や曲げ強
度の低下および、降伏応力や硬度の低下などに影響があ
るとされている。 【解決手段】 突起が賦形された結晶性ポリオレフィン
系樹脂厚物成形品であって、該突起も含め該成形品が、
最外表面に、ポリオレフィン分子が配向結晶化したスキ
ン層と、これに接して内側に、ポリオレフィン分子が球
晶化し所定直径より小さい径のもののみを含む小球晶化
層とからなる、少なくとも二層の層構造を形成してなる
結晶性ポリオレフィン系樹脂厚物成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に突起を有す
る厚物成形品に関するものである。特に、本発明は表面
にポリオレフィン分子が配向結晶化したスキン層を有
し、その内側にポリオレフィン分子の小球晶化層を有す
る厚物成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリプロピレンなどの結晶性ポ
リオレフィン系樹脂厚物成形品、特に比較的大型で、か
つ厚物でその表面に円柱状、楕円柱状、長角柱状などの
突起を有する結晶性ポリオレフィン系樹脂成型品にあっ
ては、その外表面は無配向層となっていると共に、成形
品の内部などの球晶の大きさも比較的大きくなっている
ものが多々見られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの厚物成形品、
特に比較的大型で、かつ厚物でその表面に突起を有する
結晶性ポリオレフィン系樹脂成形品は、その外表面は無
配向層となっていると共に、内部などの球晶が比較的大
きくなっているので、例えば曲げ弾性率や曲げ強度の低
下および、降伏応力や硬度の低下などに影響があるとさ
れている。また、これら無配向層の発生や球晶が大きく
なる現象は、多分にその成形方法に起因するものと考え
られる。
【0004】一般に、表面に各種形状の突起や部分的に
肉厚の相違する箇所(本明細書では、単に「突起」とい
う。)を有する厚物成形品の成形方法としては、(1)
雌型、雄型のいずれか一方の表面に突起を賦形するため
の窪部が刻設された金型を用い、その雌型内にペレット
あるいは粉末状の熱可塑性樹脂の所定量を投入し、雄型
を型締後、金型内の樹脂を加熱溶融しながら圧縮するこ
とにより樹脂を流動させ、金型に刻設された窪部に樹脂
を充填し、金型を冷却し金型内の樹脂を固化した後、成
形品を金型から取り出す圧縮成形法、(2)前記の圧縮
成形機に押出機を併設し、その押出機にて樹脂を溶融押
出して雌型に充填し、充填後、雌型に雄型を型締めし、
その金型を圧縮成形機にて所定圧力で圧縮して前記と同
様にして成形する押出圧縮成形法、(3)また、その突
起が成形品の断面上同一位置で連続形状の場合には押出
成形法、(4)さらには、基体の厚さが比較的薄肉で成
形品面積が小さい場合には射出成形などが採用される。
【0005】これらの方法にあって、比較的大型で、か
つ厚物でその表面に突起を有する成形品を形成するため
に、その成形品に見合った熱可塑性樹脂を加熱溶融状態
で金型内に充填すると共に、金型内の樹脂を加熱溶融し
ながら圧縮することにより樹脂を流動させ、金型内に樹
脂が充満して金型内で所定の成形品の形状になった時点
で冷却水などの冷却媒体によって冷却し、金型内の樹脂
を固化させた後、成形品を金型内から取り出せる。これ
により、樹脂の流動が終了した時点で冷却されるので、
成形品の外表面は無配向層となりやすく、また、成形品
全体も徐冷に近い形で冷却されるので、成形品の内部な
どの球晶も比較的大きくなる傾向がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、表面のス
キン層およびその内側の小球晶化層からなる少なくとも
二層の層構造を形成した厚物成形品とすることにより、
上記の諸問題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、突起が賦形された結晶性ポリオレ
フィン系樹脂厚物成形品であって、該突起も含め該成形
品が、最外表面に、ポリオレフィン分子が配向結晶化し
たスキン層と、これに接して内側に、ポリオレフィン分
子が球晶化し所定直径より小さい径のもののみを含む小
球晶化層とからなる、少なくとも二層の層構造を形成し
てなる結晶性ポリオレフィン系樹脂厚物成形品に存す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の厚物成形品を構成する結
晶性ポリオレフィン系樹脂は、具体的には、エチレン、
プロピレン等のα−オレフィンの単独重合体或いは共重
合体であり、例えば、ポリエチレン、アイソタクチック
ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、
ポリブテン−1、プロピレン−α−オレフィン共重合体
(例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン
−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重
合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合
体)、エチレン−1−ブテン共重合体などが挙げられ
る。なかでも、プロピレン単独重合体やプロピレンを主
体とする共重合体(以下、結晶性ポリプロピレン系樹脂
という。)、あるいはエチレン単独重合体やエチレンを
主体とする共重合体(以下、結晶性ポリエチレン系樹脂
という。)が一般的である。
【0008】また、これら結晶性ポリオレフィン系樹脂
は、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)、エ
チレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EP
DM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム
(NBR)などのゴムと、ミキサー、押出機などにより
機械的にブレンドして、または架橋剤の存在下でブレン
ドして、熱可塑性エラストマーとして使用することもで
きる。後記するように、突起を構成する材料としては、
熱可塑性エラストマーとして使用するのが好ましい。な
お、それら結晶性ポリオレフィン系樹脂とゴムとのブレ
ンド比は、通常、重量比で10:90〜50:50の範
囲から選択される。
【0009】上記の結晶性ポリオレフィン系樹脂は、上
記ゴムのほかに、充填材、顔料、造核剤、可塑剤や伸展
油などの加工助剤、老化防止剤等の各種添加剤をブレン
ドした組成物として使用することもできる。なかでも、
造核剤として、ポリオレフィン系樹脂に対して0.1〜
0.3重量%のアジピン酸や安息香酸のナトリウム塩、
シリカなどを添加するときは、冷却時に生成する球晶を
微小化できるので有用である。
【0010】本発明の厚物成形品の表面に賦形される突
起の形状は、成形可能であれば特に制限はなく、円柱、
楕円柱、角柱、角錐台、円錐台など、あるいはこれらを
長堤状、格子状、枠状に配置したものなど、厚物成形品
の用途に応じて所望のものが選択される。もちろん、用
途によっては、形状や大きさの異なる複数種の突起を混
在させることもある。また、成形品の厚さは、少なくと
も10mm、通常20〜80mmである。
【0011】本発明の厚物成形品は、最外表面に、ポリ
オレフィン分子が配向結晶化したスキン層と、これに接
して内側に、ポリオレフィン分子が球晶化し所定直径よ
り小さい径のもののみを含む小球晶化層とからなる、少
なくとも二層の層構造を形成していることが必要であ
る。また好ましくは、上記小球晶化層に接してその内側
に、さらに、球晶化したポリオレフィン分子が上記所定
直径より大きい径のものを主とする大球晶化層を有す
る、多層の層構造を形成していることが好ましい。
【0012】最外表面のスキン層は、10μm以上、好
ましくは50〜250μmの厚さを有し、この層内では
ポリオレフィン分子が配向結晶化している。配向結晶化
していることおよび層の厚さは、例えば、偏光顕微鏡に
より観察し、測定することができる。しかして、スキン
層の存在しない無配向状態では、曲げ強度や曲げ弾性
率、引張降伏強度等が低下するという問題がある。
【0013】スキン層の内側の小球晶化層は、ポリオレ
フィン分子が非晶相中に分散した多数の球晶を含み、該
球晶は所定直径より小さい径のもののみで構成される。
所定直径は、ポリオレフィン分子の種類によって相違
し、結晶性ポリプロピレン系樹脂では70μm、好まし
くは50μm、結晶性ポリエチレン系樹脂では10μ
m、好ましくは7μmである。すなわち、所定直径以下
に微細化する必要がある。上記球晶の直径は、偏光顕微
鏡により観察し、測定すればよい。球晶が微細な場合、
大きな球晶に比べ球晶−非晶界面に生じる応力が小さく
なるためクラックが生じにくく破断伸び率等が向上する
ものと推定される。さらにはヒケ、空洞等の発生のない
品質の優れたものとなる。また、球晶が大きくなればそ
れに応じて破断伸び率等の物性値が極端に低下するとい
う問題がある。また、小球晶化層の厚さは、成形品の要
求物性によっても相違するが、全体厚さの5〜40%で
ある。
【0014】小球晶化層の内側の大球晶化層は、ポリオ
レフィン分子が非晶相中に分散した多数の球晶を含み、
該球晶は上記所定直径より大きい径のものを主とする。
この表面にスキン層を有し、その内側に小球晶化層、大
球晶化層とすることにより、一層前述の性質や耐水圧強
度を確実に発現することができる。この理由は明らかで
はないが、小球晶化層により破断伸び等の向上が図ら
れ、大球晶層により圧力による変形が防止され、両者相
まって諸性質に好ましい影響を与えるものと推測され
る。従って、この大球晶化層は、諸性質に悪影響が出な
いように配慮することが好ましく、冷却速度によりその
発現をコントロールすることがよい。
【0015】前述のような、表面のスキン層およびその
内側の小球晶化層からなる少なくとも二層の層構造を形
成した厚物成形品を製造するには、生産効率等の点から
下記の方法が好適である。
【0016】第一の方法においては、厚肉の結晶性ポリ
オレフィン系樹脂製板状基体を、必要に応じシーリング
内に収容した後、適当な加熱手段を用いて、その表面の
みを熱変形温度以上、分解温度以下に加熱する。このよ
うにして準備した、板状基体の加熱された表面上に、薄
肉のポリオレフィン系樹脂溶融シートを載置し、その上
から突起賦形面を設けた冷却金型を用いて、プレスする
ことによって表面に突起を有する厚物成形品が成形され
る。
【0017】厚肉の板状基体は、通常、押出成形、プレ
ス成形などによって調製するが、比較的大型の基体は押
出成形で成形するのが成形性の面から好適である。厚肉
の板状基体は、平滑面を有するものであれば、全体が同
一の厚さのものでもよいし、周縁部のみが中央部より厚
いいわゆる縁付きのものでもよい。一方、突起を賦形す
るための、薄肉の溶融シートは、ポリオレフィン系樹脂
を押出機で成形したばかりの、溶融状態のシートをその
まま使用するか、あるいは押出成形やプレス成形などに
より事前に調製した薄肉シートを、使用に際して、熱板
等を用いて再加熱し溶融させて使用する。
【0018】また、厚肉の板状基体の厚さは10mm以
上が好ましい。すなわち、本発明方法は、厚物成形品を
得るのに有利な方法であり、厚さ10mm以下の成形品
では、溶融シートに加えて板状基体を用いる利益はな
い。一方、薄肉の溶融シートの厚さは、形成すべき突起
の高さ、体積等でも異なるが、シート溶融時間、成形
性、ハンドリング性などから考えて10mm以下が望ま
しい。
【0019】厚肉の板状基体を、その表面温度のみをこ
れを構成する結晶性ポリオレフィン樹脂の熱変形温度以
上に加熱する際には、赤外線ヒーターや熱板等を用いる
が、板状基体の内部に極力熱が伝達しないように注意す
ることが肝要である。内部温度が上昇すると、成形品に
ソリが発生しやすくなるので注意が必要である。また、
表面温度が低すぎると、溶融シートとの融着強度が低下
するので、薄肉の溶融シートを載置するまでは板状基体
の表面温度を最低熱変形温度以上に保持することが必要
である。好ましい加熱条件としては、溶融温度から溶融
温度以下40度程度、加熱時間は、熱容量の大きな熱源
によって極めて短時間、好ましくは1分以内で、その表
面のみを加熱するのがよい。
【0020】厚肉の板状基体上に載置すべき、薄肉の溶
融シートは、ゼロせん断粘度が5×104 g/cm・s
ec以上で、1×103 sec-1のせん断時の粘度が5
×104 g/cm・sec以下であることが重要であ
る。ゼロせん断粘度が5×104 g/cm・sec以下
であるとハンドリング中に溶融樹脂が流動し、シート形
状をとどめず成形が困難となる。また、1×103 se
-1のせん断時の粘度が5×104 m/cm・sec以
上であると粘度が高くプレス時の賦形が困難となる。
【0021】本明細書において、溶融シートのゼロせん
断粘度および1×103 sec-1のせん断時の粘度は、
温度およびせん断速度を変えてシート材料の粘度を測定
し、多数の測定値から、次のモデル式の諸係数を定める
ことによって得られる。 η =η0 /(1+η0 γ/τ* )1-n η0 =Bexp(Tb /T) 式中、ηは粘度(g/cm・sec)であり、η0 はゼ
ロせん断粘度(g/cm・sec)であり、γはせん断
速度(sec-1)であり、Tは温度(°K)であり、
n、τ* 、BおよびTb は係数である。すなわち、ゼロ
せん断粘度(η0 )は、溶融シートの温度の関数として
上記のモデル式から算出され、一方、1×103 sec
-1のせん断時の粘度は、さらにせん断速度(γ)として
1×103 sec-1を代入することによって、これも上
記のモデル式から算出される。
【0022】しかして、粘度の測定は、低せん断域(1
×10-2〜6.0×101 sec-1)と高せん断域
(3.5×101 〜6.0×103 sec-1)に分けて
行われる。例えば、低せん断域の粘度は、レオメトリッ
クス社の動的粘弾性測定装置RDA−IIを用いて、A
STM D4440−84に準拠し、平行円板法に従っ
て測定される。また、高せん断域の粘度は、東洋精機社
のキャピラリー式レオメーター・キャピログラフ1Bを
用いて、JIS K7199に準拠し、長さ40mm、
直径1mmのキャピラリーで測定される。測定点数は、
温度については、溶融シートの成形温度範囲から複数条
件、通常3〜5条件を選択し、しかもそれぞれの温度条
件についてせん断速度条件を変えて、せん断速度依存性
が正確に把握できる程度の多数点を選定する。
【0023】厚肉の板状基体の加熱表面上に、薄肉の溶
融シートを載置した後は、その上から突起賦形面を設け
た冷却金型を用いて、素早くプレスを行う。プレスの際
の金型温度は、金型内を流れる冷媒などにより、少なく
とも溶融シートを構成するポリオレフィン樹脂の熱変形
温度より低い温度とすることが必要であり、好ましくは
熱変形温度から熱変形温度以下40度程度の範囲の温度
とするのがよい。金型温度が高すぎると、ポリオレフィ
ン樹脂の冷却に長時間を要し徐冷となり、内部球晶が成
長して物性の低下を招くので好ましくない。冷却金型
は、その表面に、突起を賦形するための凹部を刻設した
雄型である。
【0024】板状基体の周囲は、溶融シートをプレスし
た際の樹脂の流出を防ぐためのシーリングを行うことが
好ましい。シーリングは、、厚肉の板状基体および薄肉
の溶融シートを十分収容できるアルミ製枠でもよいが、
上記冷却金型と合わせて必要なキャビティを形成する雌
型であってもよく、また、縁付きの板状基体の場合に
は、板状基体自体であってもよい。
【0025】プレス圧力は5〜40kgf/cm2 が好
ましい。プレス圧力が5kgf/cm2 以下であると、
樹脂が充分に流動せず転写不良を生じる。また、40k
gf/cm2 以上であると、シーリングを行っても樹脂
が流出し充分な圧力が加わらず、転写不良やヒケ、ボイ
ドなどの不良が発生する。このような方法により、板状
基体と溶融シートの融着、溶融シートに対する突起の賦
形、および厚物成形品の冷却を同時に行うことが可能と
なる。
【0026】第二の方法では、厚肉の結晶性ポリオレフ
ィン系樹脂製板状基体を、賦形する突起の最大高さ乃
至、突起の最大高さの1.4倍に相当する基体表面から
の厚さ領域を、塑性流動可能な温度、具体的には結晶性
ポリオレフィン系樹脂の溶融温度以上、分解温度以下の
温度に加熱して、溶融させる。ついで、この溶融状態の
基体を、成形用金型に冷却媒体を通して冷却し、あらか
じめ、結晶化温度以下の温度に保持してある成形用金型
で圧縮し、基体の表面に所望の突起を賦形する。
【0027】上記結晶性ポリオレフィン系樹脂の溶融温
度は、例えばポリプロピレン樹脂では150〜180
℃、ポリエチレン樹脂では100〜140℃の範囲であ
る。また、分解温度はポリプロピレン樹脂では250〜
300℃、ポリエチレン樹脂では240〜300℃の範
囲である。また、結晶性ポリオレフィン系樹脂の熱成形
が可能な温度としての熱変形温度は、ポリプロピレン樹
脂では50〜70℃、ポリエチレン樹脂では40〜70
℃の範囲である。
【0028】この方法の加熱溶融工程においては、厚肉
の結晶性ポリオレフィン系樹脂製板状基体の調製法およ
び該板状基体の加熱溶融手段は、前記第一の方法と同様
であるが、この板状の基体の表面から賦形する突起の最
大高さ乃至、突起の最大高さの1.4倍に相当する基体
表面からの厚さ領域を、所定温度に加熱して溶融させる
ことが肝要である。すなわち、板状基体の表面を、賦形
する最大高さに相当する深さ以下だけ溶融させたので
は、溶融していない箇所の塑性流動が起こらないので、
成形品の突起箇所が充填不良となり易く好ましくない。
また、賦形する突起の最大高さの1.4倍に相当する深
さ以上に溶融させたのでは、成形品の内部まで温度が上
昇し、加熱時間だけでなく冷却時間まで長くなるととも
に、成形品の内部ボイド発生の原因となり好ましくな
い。さらに、加熱温度が溶融温度以下であると、その樹
脂の溶融時の粘度が高くなり、流動し難く高い圧力で成
形するようになるとともに、成形品の金型転写性が劣る
こととなり好ましくない。また、分解温度以上であると
その樹脂が熱劣化を生じ強度の低下等が生じやすい。
【0029】この方法の圧縮冷却工程において、上記板
状基体の表面に所望の形状の突起を賦形するための凹部
が刻設してある、雄型および雌型からなる成形用金型に
よる圧縮は、10〜30kgf/cm2 程度の圧力で行
われる。また、冷却条件としては、通常、冷却媒体の温
度0〜40℃、冷却時間20〜40分間が選択される
が、その結晶化温度域において、冷却速度を出来る限り
速くするのが良く、10〜30℃/分の速度であれば、
通常行う冷却条件で成長する球晶径の約半分とすること
ができる。
【0030】上記の方法は、いずれも、厚物成形品全体
を溶融するのではなく、凹凸部を有する部分の更に表面
から限定された深さ部分の領域のみ溶融するため冷却も
容易で、その冷却速度も大きく取ることが可能となり、
ひいては成形品の耐久性に影響する結晶の成長を抑止で
きるというものである。また、結晶化温度以下の金型で
圧縮するため、配向を生じ、表面にスキン層を形成する
ことも物性値を向上させる結果をもたらす。また、上記
の方法において、成形用金型の表面にテフロンコーティ
ングを施してあると冷却、賦形後の成形品が成形用金型
より容易に離型できるという利点がある。
【0031】なお、圧縮成形において、溶融状態のシー
トまたは板状基体の表面を流動させ突起形状を賦形させ
るとき、溶融状態のシートまたは板状基体を構成してい
る樹脂が突起形状の賦形範囲外へ流出することなく成形
できれば、予め設定してあるシートまたは板状基材の肉
厚は成形品と合致する。この溶融樹脂の賦形範囲外への
流出を防止するため、成形後の成形品の肉厚とほぼ同じ
肉厚のゴム状弾性スペーサー体を挿入して成形するのが
良い。このゴム状弾性スペーサー体は、ゴム状弾性体
と、溶融樹脂の流動圧力によるゴム状弾性体の移動・変
形を抑制する、金属、高剛性樹脂、木材等で作られた拘
束枠とからなるものを使用するのが好ましい。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって、
詳細に説明する。しかして、以下の実施例及び比較例に
おける成形品の評価は次のようにして行った。 [ヒケなどの有無]成形品の表面における「ヒケ」「バ
リ」「欠け」などを肉眼によって観察し、その有無によ
って評価した。
【0033】[空洞の有無]成形品を、その外側より1
00mmの位置4カ所とほぼ中央部の1カ所において切
断し、その切断面における「空洞」を肉眼によって観察
し、その有無によって評価した。
【0034】[引張試験]JIS K7113に従う。
その際、用いる試験片は、2号試験片で、肉厚3mmの
ものを、成形品から切り出し、速度は50mm/s、支
点間距離20mmを選択した。なお、切り出し位置は、
突起を除く平板状部の表面から深さ3.5mm〜6.5
mm(厚さ3mm)の位置とした。これは、実施例にお
いては、小球状化層と大球状化層の界面の上下1.5m
mの位置に相当する。
【0035】[曲げ試験]JIS K7203に従う。
その際、用いる試験片は、長さ100mm、幅25m
m、肉厚3mmのものを、成形品から切り出し、速度は
1mm/s、評点間距離32mmを選択した。なお、切
り出し位置は、上記引張試験と同様とした。
【0036】[水圧試験]成形品を、金属製定盤に載置
し、その四辺を水密的に固定し、これらを80℃±1.
5℃の恒温水槽中に約2時間放置後、該定盤に設けた孔
より10kgf/cm2 の水圧を掛け、1時間にわたっ
て、圧力計および成形品外観の変化を観察する。異常が
なければ、水圧強度10kgf/cm2 以上と評価す
る。
【0037】(実施例1)下記の樹脂ペレットを下記条
件で押出成形して、厚さ40mmの原板を得、300m
m角に切り出し板状基体を得た。 [板状基体] 形 状:300mm×厚さ40mm 使用樹脂:ポリプロピレン樹脂 溶融温度 :Tm=165℃ 分解温度 :Td=250℃ 熱変形温度:Tf=60℃ 押出条件:押出機 :シングルスクリューφ80mm押出機 押出量 :60kg/hr 成形口金 :I(アイ)ダイ 温度 シリンダー:200℃ 成形口金 :220℃
【0038】また、別に押出成形により下記の樹脂ペレ
ットから厚さ6mmのシートを得、300mm角に切断
して突起成形用のシートを得た。 [突起成形用シート] 形 状:300mm×厚さ6mm 使用樹脂:板状基体と同様 押出条件:押出機 :シングルスクリューφ40mm押出機 押出量 :25kg/hr 成形口金 :コートハンガーダイ 温度 シリンダー:200℃ 成形口金 :220℃
【0039】前記突起成形用シートは、テフロンコーテ
ィングを施した2枚の熱板に挟んで7分間加熱し、温度
200℃の溶融シートとした。前記板状基体は、突起成
形用シートを加熱中に、アルミ製枠(内法300mm角
×高さ60mm)に挿入して、赤外線ヒーターにて加熱
し、表面を100℃とした。この板状基体の加熱表面上
に素早く上記溶融シートを乗せ、突起賦形面を設けた冷
却金型を取り付けたプレス機を用い、該金型を上方より
降下させて、下記条件で圧縮成形し、図1に示す表面に
円柱状突起等を有する、下記仕様の厚物成形品を得た。 [加熱条件] 溶融シート 温 度:200℃ ゼロせん断粘度: 6.02×105 g/cm・sec 1×103 sec-1のせん断時の粘度 3.29×105 g/cm・sec 板状基体: 表面温度:100℃ [プレス条件] 金型温度:25℃ 圧縮圧力:20kgf/cm2 圧縮時間:3分 [成形品仕様] 形 状:300mm角×厚さ45mm(突起高さ含まず) 突起高さ:5mm
【0040】このようにして得られた厚物成形品は、そ
の縦断面を偏光顕微鏡で観察したところ、明確な境界面
を有する三層構造を形成するものであった。また、各層
は、次の通りであった。なお、厚さは、突起を有しない
平板状部において測定した数値で示した。 最外層:スキン層。状態 配向結晶化している。 厚さ 240μm 中間層:小球晶化層。状態 球晶としては、直径40μ
m以下の小球晶のみを含む。 厚さ 約5mm 最内層:大球晶化層。状態 球晶としては、直径70μ
m以上の大球晶を主とする。 厚さ 約40mm
【0041】(比較例1)実施例1と同様のペレット
を、下記条件で押し出して、実施例1の冷却金型と同様
の突起賦形面を有し、しかも予め加熱用ヒーターで加熱
してある雌金型内に、溶融樹脂を厚物賦形用フォーマを
通して充填した。充填は実施例1の成型品仕様相当量行
った。続いて、上記の雌金型と同様の条件で予め加熱用
ヒーターで加熱してある平板状賦形面を有する雄金型
を、上方より降下させて、下記条件で圧縮成形して、実
施例1同様に、図1に示す表面に円柱状突起等を有する
厚物成形品を得た。
【0042】 [成形品仕様] 実施例1と同じ [使用樹脂] 実施例1と同じ [押出条件] 押出機:シングルスクリューφ80mm押出機 押出量:310kg/hr 温度 シリンダー:200℃ [プレス条件] 金型温度:230℃ 加熱時間:2分 圧縮圧力:20kgf/cm2 圧縮時間:180分(冷却時間含む)
【0043】このようにして得られた厚物成形品は、そ
の縦断面を偏光顕微鏡で観察したところ、単一層をなす
ものであり、配向結晶化したスキン層の存在は認められ
ず、球晶として存在するものは、最大直径100μmに
及ぶものであった。
【0044】[結果]上記実施例1及び比較例1をそれ
ぞれ3回ずつ繰り返し、得られた成形品について、ヒケ
や、空洞の有無、引張試験、曲げ試験などの評価を行っ
た結果は、下表の通りである。 実施例1 比較例1 繰り返し番号 1 2 3 1 2 3 成形時間(分) 20 20 20 180 180 180 ヒケなどの有無 無 無 無 有 有 有 空洞の有無 無 無 無 有 有 有 引張破断強度(kgf/cm2 ) 253 230 引張破断伸び率(%) 120 105 曲げ強度(kgf/cm2 ) 602 597 曲げ弾性率(kgf/cm2 ) 13.2×104 13.0×104 水圧強度(kgf/cm2 ) 10以上 10以上
【0045】(実施例2)実施例1において、ポリプロ
ピレン樹脂に代えて下記のポリエチレン樹脂を使用し、
かつ、このポリエチレン樹脂に合った下記条件を選んだ
他は、実施例1と全く同様にして、実施例1と同様に図
1に示す表面に円柱状突起等を有する厚物成形品を得
た。 [板状基体] 使用樹脂:ポリエチレン樹脂 溶融温度 :Tm=135℃ 分解温度 :Td=240℃ 熱変形温度:Tf=45℃) 押出条件: 温度 シリンダー:180℃ 成形口金 :200℃ [突起成形用シート] 使用樹脂:板状基体と同様 押出条件:温度 シリンダー:180℃ 成形口金 :200℃ [加熱条件] 溶融シート ゼロせん断粘度: 1.52×105 g/cm・sec 1×103 sec-1のせん断時の粘度 2.24×105 g/cm・sec
【0046】このようにして得られた厚物成形品は、そ
の縦断面を偏光顕微鏡で観察したところ、明確な境界面
を有する三層構造を形成するものであった。また、各層
は、次の通りであった。なお、厚さは、突起を有しない
平板状部において測定した数値で示した。 最外層:スキン層。状態 配向結晶化している。 厚さ 250μm 中間層:小球晶化層。状態 球晶としては、直径5μm
以下の小球晶のみを含む。 厚さ 約15mm 最内層:大球晶化層。状態 球晶としては、直径10μ
m以上の大球晶を主とする。 厚さ 約30mm
【0047】(比較例2)比較例1において、ポリプロ
ピレン樹脂に代えて実施例2に記載のポリエチレン樹脂
を使用し、かつ、このポリエチレン樹脂に合った下記条
件を選んだ他は、比較例1と全く同様にして、図1に示
す表面に円柱状突起等を有する成形品を得た。 [使用樹脂] 実施例2と同じ [押出条件] 温度 シリンダー:200℃ [プレス条件]加熱時間:2分
【0048】このようにして得られた厚物成形品は、そ
の縦断面を偏光顕微鏡で観察したところ、単一層をなす
ものであり、配向結晶化したスキン層の存在は認められ
ず、球晶として存在するものは、最大直径20μmに及
ぶものであった。
【0049】[結果]上記実施例2及び比較例2をそれ
ぞれ3回ずつ繰り返し、得られた成形品について、ヒケ
や、空洞の有無、引張試験などの評価を行った結果は、
下表の通りである。 実施例2 比較例2 繰り返し番号 1 2 3 1 2 3 成形時間(分) 20 20 20 180 180 180 ヒケなどの有無 無 無 無 有 有 有 空洞の有無 無 無 無 有 有 有 引張破断強度(kgf/cm2 ) 320 295 引張破断伸び率(%) 600 450 水圧強度(kgf/cm2 ) 10以上 10以上
【0050】(実施例3)実施例1において、突起形成
用シートのペレットのみをポリプロピレン樹脂に代えて
下記ポリオレフィン系可塑性エラストマーを使用し、か
つ、この熱可塑性エラストマーに合った下記条件を選ん
だ他は、実施例1と全く同様にして、図1に示す表面に
円柱状突起等を有する成形品を得た。 [板状基体] 使用樹脂:ポリオレフィン形熱可塑性エラストマー 溶融温度 :Tm=170℃ 分解温度 :Td=245℃ 熱変形温度:Tf=65℃ [加熱条件] 溶融シート:ゼロせん断粘度: 1.67×106 g/cm・sec 1×103 sec-1のせん断時の粘度 1.25×105 g/cm・sec
【0051】このようにして得られた厚物成形品は、そ
の縦断面を偏光顕微鏡で観察したところ、明確な境界面
を有する三層構造を形成するものであった。また、各層
は、次の通りであった。なお、厚さは、突起を有しない
平板状部において測定した数値で示した。 最外層:スキン層。状態 配向結晶化している。 厚さ 200μm 中間層:小球晶化層。状態 球晶としては、直径40μ
m以下の小球晶のみを含む。 厚さ 約5mm 最内層:大球晶化層。状態 球晶としては、直径70μ
m以上の大球晶を主とする。 厚さ 約40mm
【0052】[結果]上記実施例3を3回繰り返し、得
られた成形品について、ヒケや、空洞の有無、の評価を
行った結果は、下表の通りである。
【0053】
【発明の効果】本発明においては、表面にスキン層を有
すると共に突起の付け根部分の球晶を微細なものとして
あるので、この部分での曲げ弾性率、曲げ強度、引張強
度、破断伸び率、衝撃強度等の機械的強度が改良でき、
また短期耐水圧強度にも優れており、不測の圧力にも耐
え得る耐久性を有するものである。球晶が微細な場合、
大きな球晶に比べ球晶−非晶界面に生じる応力が小さく
なるためクラックが生じにくく破断伸び率等が向上する
ものと推定される。さらにはヒケ、空洞等の発生のない
品質の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】厚物成形品の概略図

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】突起が賦形された結晶性ポリオレフィン系
    樹脂厚物成形品であって、該突起も含め該成形品が、最
    外表面に、ポリオレフィン分子が配向結晶化したスキン
    層と、これに接して内側に、ポリオレフィン分子が球晶
    化し所定直径より小さい径のもののみを含む小球晶化層
    とからなる、少なくとも二層の層構造を形成してなる結
    晶性ポリオレフィン系樹脂厚物成形品。
  2. 【請求項2】上記小球晶化層に接してその内側に、さら
    に、球晶化したポリオレフィン分子が上記所定直径より
    大きい径のものを主とする大球晶化層を有する、多層の
    層構造を形成してなる請求項1記載の結晶性ポリオレフ
    ィン系樹脂厚物成形品。
  3. 【請求項3】上記厚物成形品が、20〜80mmの厚さ
    を有する請求項1または2記載の結晶性ポリオレフィン
    系樹脂厚物成形品。
  4. 【請求項4】上記スキン層が、50〜350μmの厚さ
    を有する請求項1〜3記載の結晶性ポリオレフィン系樹
    脂厚物成形品。
  5. 【請求項5】上記所定直径は、結晶性ポリプロピレン系
    樹脂の場合には、70μmであり、結晶性ポリエチレン
    系樹脂の場合には、10μmである請求項1〜4記載の
    結晶性ポリオレフィン系樹脂厚物成形品。
  6. 【請求項6】上記厚物成形品の水圧強度が10kgf/
    cm2 以上である請求項1〜5記載の結晶性ポリオレフ
    ィン系樹脂厚物成形品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018507123A (ja) * 2015-02-18 2018-03-15 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーE.I.Du Pont De Nemours And Company 複合防弾積層体

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JPH08197640A (ja) * 1995-01-24 1996-08-06 Mitsubishi Chem Corp ポリオレフィン樹脂成形体
JPH1016049A (ja) * 1996-06-26 1998-01-20 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 表面に突起を有する厚物成形品の成形方法
JPH1110718A (ja) * 1997-06-19 1999-01-19 Idemitsu Petrochem Co Ltd 中空成形体の製造方法

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