JPH116028A - プレス成形後の表面性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板 - Google Patents
プレス成形後の表面性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板Info
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- JPH116028A JPH116028A JP17112097A JP17112097A JPH116028A JP H116028 A JPH116028 A JP H116028A JP 17112097 A JP17112097 A JP 17112097A JP 17112097 A JP17112097 A JP 17112097A JP H116028 A JPH116028 A JP H116028A
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Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 P添加による高強化を図りつつ、しかもプレ
ス加工後に表面起伏の生じない、表面性状に優れた深絞
り用高強度冷延鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.08%以下、Si:
1.0%以下、Mn:0.1〜2.5%、P:0.04
〜0.15%、S:0.02%以下、sol.Al:0.0
1〜0.1%、N:0.01%以下を各々含有し、ある
いは更にTi:0.005〜0.1%、Nb:0.00
5〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Cr:0.
01〜2%、B:0.005%以下のうち1種または2
種以上を含有し、残額がFeおよび不可避的不純物から
なる。さらに、ある部位のPの偏析度αを「α=その部
位のP濃度/鋼中のPの平均濃度」とするとき、鋼板断
面における偏析度の最大値αMAX と最小値αMIN との比
αMAX /αMIN が4以下である。
ス加工後に表面起伏の生じない、表面性状に優れた深絞
り用高強度冷延鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.08%以下、Si:
1.0%以下、Mn:0.1〜2.5%、P:0.04
〜0.15%、S:0.02%以下、sol.Al:0.0
1〜0.1%、N:0.01%以下を各々含有し、ある
いは更にTi:0.005〜0.1%、Nb:0.00
5〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Cr:0.
01〜2%、B:0.005%以下のうち1種または2
種以上を含有し、残額がFeおよび不可避的不純物から
なる。さらに、ある部位のPの偏析度αを「α=その部
位のP濃度/鋼中のPの平均濃度」とするとき、鋼板断
面における偏析度の最大値αMAX と最小値αMIN との比
αMAX /αMIN が4以下である。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はプレス成形後の表面
性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板に関するものであ
る。
性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車車体重量軽減の目的から、
内板・外板等、比較的薄手の鋼板についても薄肉化を可
能とする高強度化が求められている。鋼板の高強度化に
関してはこれまでに種々の方法が提案されているが、上
述のような加工性を要求される用途に関しては、軟鋼の
成分系をベースにP,Si,Mn等の固溶強化元素を添
加する手法が一般的である。例えば、「鉄と鋼」69
(1983)p1303には、バッチ焼鈍用の低炭素A
lキルド鋼をベースとして、これにPを添加することに
より深絞り性の指標であるr値の高い高強度冷延鋼板の
製造が可能であることが示されている。
内板・外板等、比較的薄手の鋼板についても薄肉化を可
能とする高強度化が求められている。鋼板の高強度化に
関してはこれまでに種々の方法が提案されているが、上
述のような加工性を要求される用途に関しては、軟鋼の
成分系をベースにP,Si,Mn等の固溶強化元素を添
加する手法が一般的である。例えば、「鉄と鋼」69
(1983)p1303には、バッチ焼鈍用の低炭素A
lキルド鋼をベースとして、これにPを添加することに
より深絞り性の指標であるr値の高い高強度冷延鋼板の
製造が可能であることが示されている。
【0003】また、近年冷延鋼板の製造は、生産性の高
い連続焼鈍が主流となっており、この場合には極低炭素
鋼にTi,Nb等を添加した所謂IF鋼にP,Si,M
n等の固溶強化元素を添加することが行われている。例
えば、特公昭57−57945号公報には、Ti添加極
低炭素鋼をベースとして、これにPを添加することによ
り深絞り性を大きく損なうことなく高強度化を図る技術
が開示されている。また、特公平3−51778号公報
には、極低炭素IF鋼に対してP,Mn,Siを適正バ
ランスにて添加することにより、強度延性バランスに優
れた鋼板を得る技術が開示されている。
い連続焼鈍が主流となっており、この場合には極低炭素
鋼にTi,Nb等を添加した所謂IF鋼にP,Si,M
n等の固溶強化元素を添加することが行われている。例
えば、特公昭57−57945号公報には、Ti添加極
低炭素鋼をベースとして、これにPを添加することによ
り深絞り性を大きく損なうことなく高強度化を図る技術
が開示されている。また、特公平3−51778号公報
には、極低炭素IF鋼に対してP,Mn,Siを適正バ
ランスにて添加することにより、強度延性バランスに優
れた鋼板を得る技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな固溶強化元素、特に固溶強化能の大きいPを多く含
有する鋼板は、プレス加工後の表面にゴーストと称され
る筋状の起伏を生じる場合があり、自動車外板のように
外観に対する要求が厳しい用途においては問題となるこ
とがあった。
うな固溶強化元素、特に固溶強化能の大きいPを多く含
有する鋼板は、プレス加工後の表面にゴーストと称され
る筋状の起伏を生じる場合があり、自動車外板のように
外観に対する要求が厳しい用途においては問題となるこ
とがあった。
【0005】かかる問題に対して、特開平6−1458
07号公報に記載されているように、Pの添加量を抑制
し、TiCの析出強化を利用することにより高強度化を
図る技術が提案されているが、所謂極低炭素鋼に比較し
て、C含有量が増加するため安定して高r値が得られな
いこと、また安価な強化元素であるPの代わりにTiを
多く添加するためコスト増になること等の問題がある。
07号公報に記載されているように、Pの添加量を抑制
し、TiCの析出強化を利用することにより高強度化を
図る技術が提案されているが、所謂極低炭素鋼に比較し
て、C含有量が増加するため安定して高r値が得られな
いこと、また安価な強化元素であるPの代わりにTiを
多く添加するためコスト増になること等の問題がある。
【0006】本発明は、P添加による高強化を図りつ
つ、しかもプレス加工後にゴーストの生じない、表面性
状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板を提供するものであ
る。
つ、しかもプレス加工後にゴーストの生じない、表面性
状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決するために詳細な調査を行ったところ、固溶強
化能が大きく、かつ連鋳鋼において偏析を生じ易いPを
多量に添加した場合、鋼板面内、特に板幅方向に強度差
が生じ、その結果プレス加工後の表面に起伏を生じるこ
とが判明した。さらにこの強度差は、Pの偏析が板幅方
向に不均一であることに起因して生じること、Pの偏析
度の最大/最小比を4倍以下に抑えればプレス成形後の
表面起伏がほぼ解消可能なことを見出した。
点を解決するために詳細な調査を行ったところ、固溶強
化能が大きく、かつ連鋳鋼において偏析を生じ易いPを
多量に添加した場合、鋼板面内、特に板幅方向に強度差
が生じ、その結果プレス加工後の表面に起伏を生じるこ
とが判明した。さらにこの強度差は、Pの偏析が板幅方
向に不均一であることに起因して生じること、Pの偏析
度の最大/最小比を4倍以下に抑えればプレス成形後の
表面起伏がほぼ解消可能なことを見出した。
【0008】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
ものであり、重量%で、C :0.08%以下、Si:
1.0%以下、Mn:0.1〜2.5%、P :0.0
4〜0.15%、S :0.02%以下、sol.Al:
0.01〜0.1%、N :0.01%以下、を各々含
有し、あるいは更にTi:0.005〜0.1%、N
b:0.005〜0.1%、V :0.005〜0.1
%、Cr:0.01〜2%、B :0.005%以下、
のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなり、ある部位のPの偏析度αを α=その部位のP濃度/鋼中のPの平均濃度 とするとき、鋼板断面における偏析度の最大値αMAX と
最小値αMIN との比αMAX /αMIN (以下、「偏析偏
差」と称す)が4以下であることを特徴とする。
ものであり、重量%で、C :0.08%以下、Si:
1.0%以下、Mn:0.1〜2.5%、P :0.0
4〜0.15%、S :0.02%以下、sol.Al:
0.01〜0.1%、N :0.01%以下、を各々含
有し、あるいは更にTi:0.005〜0.1%、N
b:0.005〜0.1%、V :0.005〜0.1
%、Cr:0.01〜2%、B :0.005%以下、
のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなり、ある部位のPの偏析度αを α=その部位のP濃度/鋼中のPの平均濃度 とするとき、鋼板断面における偏析度の最大値αMAX と
最小値αMIN との比αMAX /αMIN (以下、「偏析偏
差」と称す)が4以下であることを特徴とする。
【0009】まず、本発明における鋼成分の限定理由に
ついて説明する。 C:0.08%以下 Cはその含有量が増加するにつれて鋼板の強度が増加す
るが、過度に含有する場合は加工性の劣化を招くので、
上限を0.08%とする。
ついて説明する。 C:0.08%以下 Cはその含有量が増加するにつれて鋼板の強度が増加す
るが、過度に含有する場合は加工性の劣化を招くので、
上限を0.08%とする。
【0010】Si:1.0%以下 Siは強化に有効で、添加による加工性の劣化が少ない
元素であるが、多量の添加は化成処理性を悪化させるの
で、その上限を1.0%とする。また、溶融亜鉛めっき
を施す場合は不めっきの原因ともなるので、0.5%以
下とすることが好ましい。
元素であるが、多量の添加は化成処理性を悪化させるの
で、その上限を1.0%とする。また、溶融亜鉛めっき
を施す場合は不めっきの原因ともなるので、0.5%以
下とすることが好ましい。
【0011】Mn:0.1〜2.5% Mnは強化のため、また熱間脆性の防止を目的として添
加される。熱間脆性の防止のためには、少なくとも0.
1%の含有が必要である。強化元素として添加する場
合、過度の添加は深絞り性を劣化させるので、その上限
を2.5%とする。
加される。熱間脆性の防止のためには、少なくとも0.
1%の含有が必要である。強化元素として添加する場
合、過度の添加は深絞り性を劣化させるので、その上限
を2.5%とする。
【0012】P:0.04〜0.15% Pは安価な強化元素であり、高強度冷延鋼板(340N
/mm2 級以上)を得るためには0.04%以上含有させ
る必要がある。ただし、過度の添加は耐2次加工脆性の
劣化を招くので上限を0.15%とする。
/mm2 級以上)を得るためには0.04%以上含有させ
る必要がある。ただし、過度の添加は耐2次加工脆性の
劣化を招くので上限を0.15%とする。
【0013】S:0.02%以下 Sは鋼中に不純物として含有され、MnやTiと結合し
て硫化物を形成する。特にMn系の硫化物は伸長した介
在物となり加工性を劣化させるので、Sの含有量はでき
るだけ低減すべきであり、その上限を0.02%とす
る。
て硫化物を形成する。特にMn系の硫化物は伸長した介
在物となり加工性を劣化させるので、Sの含有量はでき
るだけ低減すべきであり、その上限を0.02%とす
る。
【0014】sol.Al:0.01〜0.1% Alは溶鋼の脱酸を目的として添加されるが、添加量が
少ないと、その効果が十分得られず、またTi,Nb等
を添加する場合にはそれらの元素が酸化されて歩留りが
低下し、さらにバッチ焼鈍材の場合、焼鈍過程でのAl
N析出が高r値化のために必要となるので、sol.Alで
少なくとも0.01%を含有させる必要がある。しか
し、0.1%を超えるとそれらの効果が飽和するととも
に、加工性を劣化させるようになる。したがって、添加
量の下限を0.01%、上限を0.1%とする。
少ないと、その効果が十分得られず、またTi,Nb等
を添加する場合にはそれらの元素が酸化されて歩留りが
低下し、さらにバッチ焼鈍材の場合、焼鈍過程でのAl
N析出が高r値化のために必要となるので、sol.Alで
少なくとも0.01%を含有させる必要がある。しか
し、0.1%を超えるとそれらの効果が飽和するととも
に、加工性を劣化させるようになる。したがって、添加
量の下限を0.01%、上限を0.1%とする。
【0015】N:0.01%以下 Nは鋼中に不純物として存在し、通常はAl,Ti等と
結合して窒化物を形成している。バッチ焼鈍材の場合、
加工性の観点から焼鈍過程においてある程度のAlNを
析出させる必要があるが、過度にNを含有させると逆に
加工性が劣化する。また連焼焼鈍材においてはNの含有
量は低いほど好ましく、これらの観点から0.01%以
下に低減する必要がある。
結合して窒化物を形成している。バッチ焼鈍材の場合、
加工性の観点から焼鈍過程においてある程度のAlNを
析出させる必要があるが、過度にNを含有させると逆に
加工性が劣化する。また連焼焼鈍材においてはNの含有
量は低いほど好ましく、これらの観点から0.01%以
下に低減する必要がある。
【0016】本発明の鋼は以上の成分を必須成分とする
が、材質特性を向上させるために、下記Ti,Nb,
V,Crのうちから1種又は2種以上、及び/又はBを
必要に応じて添加することができる。
が、材質特性を向上させるために、下記Ti,Nb,
V,Crのうちから1種又は2種以上、及び/又はBを
必要に応じて添加することができる。
【0017】Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.
005〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Cr:
0.01〜2% これらの元素はN,Cを析出物として固定するために、
必要に応じて添加する。そのためにはTi,Nb,Vに
ついては少なくとも0.005%、Crについては少な
くとも0.01%の含有が必要である。しかし、多量に
含有させた場合、固溶成分として残存し、加工性の劣化
を招くので、Ti,Nb,Vについては0.1%、Cr
については2%の含有を上限とする。
005〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Cr:
0.01〜2% これらの元素はN,Cを析出物として固定するために、
必要に応じて添加する。そのためにはTi,Nb,Vに
ついては少なくとも0.005%、Crについては少な
くとも0.01%の含有が必要である。しかし、多量に
含有させた場合、固溶成分として残存し、加工性の劣化
を招くので、Ti,Nb,Vについては0.1%、Cr
については2%の含有を上限とする。
【0018】B:0.005%以下 Bは2次加工脆化を抑制するために有効な元素であり、
本発明においても耐2次加工性を向上させるために必要
に応じて添加することができる。しかし、0.005%
を超えて添加すると、その効果が飽和するとともに加工
性の劣化を招くようになるので、上限を0.005%と
する。
本発明においても耐2次加工性を向上させるために必要
に応じて添加することができる。しかし、0.005%
を超えて添加すると、その効果が飽和するとともに加工
性の劣化を招くようになるので、上限を0.005%と
する。
【0019】次に、Pの偏析偏差の限定理由を説明する
に際し、まず鋼板内のPの偏析状態について述べる。
P,Si,Mn等の固溶強化元素はいずれも鋳造時にス
ラブ中心部に偏析する傾向にあるが、これらの中で特に
Pについてはその傾向が強く、脆化、ゴースト等の問題
を引き起こす。ゴーストに関しては、Pの偏析がスラブ
中心面内に均一に生じれば問題ないのであるが、実際に
は、凝固終了直前まで溶融状態で存在し、Pの平均濃度
(鋼中の平均濃度すなわち含有量)に比してPが濃化し
た領域(偏析部)、更に場合によっては減少した領域が
数mm間隔で分散した状態で凝固する。この濃化領域ある
いは更に濃度減少領域はその間隔を保持したまま熱延・
冷延工程で伸張し、結果として板幅方向に数mm間隔の筋
状で残存することになる。Pの固溶強化能が0.01%
あたりおおよそ10Nであることを勘案すると、その存
在は無視できない。筋状のPの濃化領域・濃度減少領域
の存在がPの固溶強化能の大きさと相まって面内での強
度分布を生じさせ、これがプレス後に凹凸の起伏模様
(ゴースト)となって現れる原因となるものと推察され
る。なお、Pの濃化領域・濃度減少領域は、板厚中心を
中心として全板厚の1/5の範囲内に概ね偏在する傾向
があるが、濃化部については他の領域に波及する場合も
ある。
に際し、まず鋼板内のPの偏析状態について述べる。
P,Si,Mn等の固溶強化元素はいずれも鋳造時にス
ラブ中心部に偏析する傾向にあるが、これらの中で特に
Pについてはその傾向が強く、脆化、ゴースト等の問題
を引き起こす。ゴーストに関しては、Pの偏析がスラブ
中心面内に均一に生じれば問題ないのであるが、実際に
は、凝固終了直前まで溶融状態で存在し、Pの平均濃度
(鋼中の平均濃度すなわち含有量)に比してPが濃化し
た領域(偏析部)、更に場合によっては減少した領域が
数mm間隔で分散した状態で凝固する。この濃化領域ある
いは更に濃度減少領域はその間隔を保持したまま熱延・
冷延工程で伸張し、結果として板幅方向に数mm間隔の筋
状で残存することになる。Pの固溶強化能が0.01%
あたりおおよそ10Nであることを勘案すると、その存
在は無視できない。筋状のPの濃化領域・濃度減少領域
の存在がPの固溶強化能の大きさと相まって面内での強
度分布を生じさせ、これがプレス後に凹凸の起伏模様
(ゴースト)となって現れる原因となるものと推察され
る。なお、Pの濃化領域・濃度減少領域は、板厚中心を
中心として全板厚の1/5の範囲内に概ね偏在する傾向
があるが、濃化部については他の領域に波及する場合も
ある。
【0020】本発明者らは、ゴ−ストが顕在しないPの
偏析状態を種々の実験を基に検討した結果、後述の実施
例から明らかなとおり、偏析偏差すなわち鋼板断面にお
ける偏析度の最大値αMAX と最小値αMIN との比αMAX
/αMIN が4以下、好ましくは3以下であれば、種々の
条件でのプレスを施した後も鋼板表面の起伏はほぼ無視
しうるレベルとなることを見出した。
偏析状態を種々の実験を基に検討した結果、後述の実施
例から明らかなとおり、偏析偏差すなわち鋼板断面にお
ける偏析度の最大値αMAX と最小値αMIN との比αMAX
/αMIN が4以下、好ましくは3以下であれば、種々の
条件でのプレスを施した後も鋼板表面の起伏はほぼ無視
しうるレベルとなることを見出した。
【0021】このような鋼板断面におけるPの偏析を低
減するための方法としては、スラブ段階での処理が有効
であり、例えば連続鋳造時の凝固直前のスラブを適宜圧
下して中心偏析そのものを軽減する手法が考えられる
が、より効果的な手法としては、スラブに対する高温で
の塑性加工により中心部の鋳造組織を再結晶組織とする
ことである。このような加工としては、例えば凝固後の
スラブに対して高温加熱の後、ブレークダウン圧延を施
すことが考えられる。その他、熱延の際、粗圧延後のラ
フバーに対し、巻取り等の曲げ加工を施した後、適宜高
温で保持して再結晶を促進してもよい。
減するための方法としては、スラブ段階での処理が有効
であり、例えば連続鋳造時の凝固直前のスラブを適宜圧
下して中心偏析そのものを軽減する手法が考えられる
が、より効果的な手法としては、スラブに対する高温で
の塑性加工により中心部の鋳造組織を再結晶組織とする
ことである。このような加工としては、例えば凝固後の
スラブに対して高温加熱の後、ブレークダウン圧延を施
すことが考えられる。その他、熱延の際、粗圧延後のラ
フバーに対し、巻取り等の曲げ加工を施した後、適宜高
温で保持して再結晶を促進してもよい。
【0022】熱延以後の工程についても、Pの偏析低減
効果が損なわれることがない限り、その方法に制限は無
い。例えば深絞り性を高めるために冷延率を高くするこ
とに特に問題は無く、またバッチ焼鈍、連続焼鈍の如何
も問わない。さらに溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっきの
他、種々の表面処理を施すことも何等問題はない。
効果が損なわれることがない限り、その方法に制限は無
い。例えば深絞り性を高めるために冷延率を高くするこ
とに特に問題は無く、またバッチ焼鈍、連続焼鈍の如何
も問わない。さらに溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっきの
他、種々の表面処理を施すことも何等問題はない。
【0023】
【実施例】表1に示すA〜Lの鋼を連続鋳造し、質量約
20tのスラブを得た。A〜D鋼についてはスラブ加熱
温度1200℃、仕上温度870℃で、E〜L鋼につい
てはスラブ加熱温度1150℃.仕上温度900℃で熱
延を行い、3.6mm厚の熱延板を得た。これらを酸洗
後、0.8mm厚に冷延し、引き続いてA〜D鋼は670
℃で17時間のバッチ焼鈍を、E〜L鋼については83
0℃で60秒の連続焼鈍を施した。
20tのスラブを得た。A〜D鋼についてはスラブ加熱
温度1200℃、仕上温度870℃で、E〜L鋼につい
てはスラブ加熱温度1150℃.仕上温度900℃で熱
延を行い、3.6mm厚の熱延板を得た。これらを酸洗
後、0.8mm厚に冷延し、引き続いてA〜D鋼は670
℃で17時間のバッチ焼鈍を、E〜L鋼については83
0℃で60秒の連続焼鈍を施した。
【0024】
【表1】
【0025】得られた鋼板の引張特性をJIS5号試験
片にて調査した。また、r値については、試験片を圧延
方向と平行、45°をなす方向、90°をなす方向に沿
って採取したJIS5号試験片を用い、各試験片により
得られたr値(r0 ,r45,r90)から(r0 +2・r
45+r90)/4として求めた。
片にて調査した。また、r値については、試験片を圧延
方向と平行、45°をなす方向、90°をなす方向に沿
って採取したJIS5号試験片を用い、各試験片により
得られたr値(r0 ,r45,r90)から(r0 +2・r
45+r90)/4として求めた。
【0026】また、得られた鋼板の化成処理性、耐2次
加工脆性を調べた。化成処理性については、SD−50
00(商品名、日本パーカー製)にて付着処理の後、表
面をSEM観察し、未付着部の有無を確認した。未付着
部が無い場合を○、未付着部が見られる場合を×と評価
した。また、耐2次加工脆性は絞り比2にて25φのカ
ップを作成し、頂角60°の円錐ポンチを種々の温度で
カップ内面に挿入しながら脆性破壊を起こす温度を調査
することにより確認した。脆性破壊となる遷移温度が−
50℃以下の場合を○、−50℃超0℃以下の場合を
△、0℃超の場合を×と評価した。
加工脆性を調べた。化成処理性については、SD−50
00(商品名、日本パーカー製)にて付着処理の後、表
面をSEM観察し、未付着部の有無を確認した。未付着
部が無い場合を○、未付着部が見られる場合を×と評価
した。また、耐2次加工脆性は絞り比2にて25φのカ
ップを作成し、頂角60°の円錐ポンチを種々の温度で
カップ内面に挿入しながら脆性破壊を起こす温度を調査
することにより確認した。脆性破壊となる遷移温度が−
50℃以下の場合を○、−50℃超0℃以下の場合を
△、0℃超の場合を×と評価した。
【0027】表2にこれらの調査結果を示す。なお、表
1および表2の備考において、「発明鋼」とはPの偏析
偏差の値に関係なく、鋼成分が本発明成分範囲を満足す
るもの、「比較鋼」とは本発明成分範囲を満足しないも
のを意味する。
1および表2の備考において、「発明鋼」とはPの偏析
偏差の値に関係なく、鋼成分が本発明成分範囲を満足す
るもの、「比較鋼」とは本発明成分範囲を満足しないも
のを意味する。
【0028】
【表2】
【0029】表1、表2より、C鋼はC量が多いためr
値が劣化しており、D鋼はSi量が多いため化成処理性
に問題がある。H鋼はP添加量が少ないため強度不足と
なっている。K鋼はMn添加量が多いためr値、化成処
理性が劣化しており、L鋼はP添加量が多すぎるため耐
2次加工脆性に問題があることがわかる。一方、本発明
の鋼成分を満足する鋼種は、高強度かつ深絞り性、化成
処理性、耐2次加工脆性に問題のない冷延鋼板が得らる
ことがわかる。
値が劣化しており、D鋼はSi量が多いため化成処理性
に問題がある。H鋼はP添加量が少ないため強度不足と
なっている。K鋼はMn添加量が多いためr値、化成処
理性が劣化しており、L鋼はP添加量が多すぎるため耐
2次加工脆性に問題があることがわかる。一方、本発明
の鋼成分を満足する鋼種は、高強度かつ深絞り性、化成
処理性、耐2次加工脆性に問題のない冷延鋼板が得らる
ことがわかる。
【0030】次に、表1のA,B,E,F,G,I,
J,K,L鋼を用い、スラブに対してP偏析抑制処理を
施した場合と未処理の場合について、上記と同条件で熱
延、冷延、焼鈍を行い、得られた鋼板のP偏析状況とゴ
ースト発生状況を調査した。
J,K,L鋼を用い、スラブに対してP偏析抑制処理を
施した場合と未処理の場合について、上記と同条件で熱
延、冷延、焼鈍を行い、得られた鋼板のP偏析状況とゴ
ースト発生状況を調査した。
【0031】偏析状況については、Pの偏析が鋼板断面
について板厚中心より全厚の1/5の範囲(板厚中心
部)に生じていたので、同部分をEPMAにより分析し
て、Pの偏析度の最大値αMAX 、最小値αMIN を求め、
偏析偏差αMAX /αMIN を算出した。ゴーストについて
は、鋼板圧延方向に3%の歪みが付与される条件にてプ
レス加工を施した後、鋼板表面を軽く砥石掛けして凹凸
を明視化させ、鋼板表面の性状を観察した。ゴーストの
発生無き場合をランク1、わずかに視認される場合をラ
ンク2、明白に視認される場合をランク3とし、各製造
条件につき試料数N=10の調査を行った。これらの調
査結果を表3および図1に示す。
について板厚中心より全厚の1/5の範囲(板厚中心
部)に生じていたので、同部分をEPMAにより分析し
て、Pの偏析度の最大値αMAX 、最小値αMIN を求め、
偏析偏差αMAX /αMIN を算出した。ゴーストについて
は、鋼板圧延方向に3%の歪みが付与される条件にてプ
レス加工を施した後、鋼板表面を軽く砥石掛けして凹凸
を明視化させ、鋼板表面の性状を観察した。ゴーストの
発生無き場合をランク1、わずかに視認される場合をラ
ンク2、明白に視認される場合をランク3とし、各製造
条件につき試料数N=10の調査を行った。これらの調
査結果を表3および図1に示す。
【0032】
【表3】
【0033】表3および図1によれば、偏析偏差が大き
い場合にはゴーストが確実に発生するが、偏析備差を4
以下とすることでゴーストランクが改善され、特に偏析
偏差が3以下の場合にはほとんどゴーストの発生が見ら
れないことが分かる。
い場合にはゴーストが確実に発生するが、偏析備差を4
以下とすることでゴーストランクが改善され、特に偏析
偏差が3以下の場合にはほとんどゴーストの発生が見ら
れないことが分かる。
【0034】
【発明の効果】本発明の深絞り用冷延鋼板によれば、P
を0.04〜0.15%含有する所定成分としたので、
良好な深絞り性、化成処理性、耐2次加工脆性を有し、
コスト増を招来することなく高強度化を図ることがで
き、しかも鋼板断面におけるPの偏析度の最大値と最小
値との比を所定の範囲に抑えたので、ゴーストの発生を
抑制することができ、プレス加工後の表面性状も良好で
ある。このため、加工性が要求される自動車部材の素材
鋼板として、特に外観が重要視される自動車外板として
好適であり、車体重量軽減、ひいては燃費軽減による環
境問題改善へ寄与することができる。
を0.04〜0.15%含有する所定成分としたので、
良好な深絞り性、化成処理性、耐2次加工脆性を有し、
コスト増を招来することなく高強度化を図ることがで
き、しかも鋼板断面におけるPの偏析度の最大値と最小
値との比を所定の範囲に抑えたので、ゴーストの発生を
抑制することができ、プレス加工後の表面性状も良好で
ある。このため、加工性が要求される自動車部材の素材
鋼板として、特に外観が重要視される自動車外板として
好適であり、車体重量軽減、ひいては燃費軽減による環
境問題改善へ寄与することができる。
【図1】実施例におけるPの偏析偏差(Pの偏析度の最
大値αMAX と最小値αMIN との比αMAX /αMIN )とゴ
ーストの発生状況との関係を示す図である。
大値αMAX と最小値αMIN との比αMAX /αMIN )とゴ
ーストの発生状況との関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、C :0.08%以下、S
i:1.0%以下、Mn:0.1〜2.5%、P :
0.04〜0.15%、S :0.02%以下、sol.A
l:0.01〜0.1%、N :0.01%以下、残部
がFeおよび不可避的不純物からなり、ある部位のPの
偏析度αを α=その部位のP濃度/鋼中のPの平均濃度 とするとき、鋼板断面における偏析度の最大値αMAX と
最小値αMIN との比αMAX /αMIN が4以下であること
を特徴とするプレス成形後の表面性状に優れた深絞り用
高強度冷延鋼板。 - 【請求項2】 請求項1に記載した成分のほか、さらに
重量%で、Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.0
05〜0.1%、V :0.005〜0.1%、Cr:
0.01〜2%、B :0.005%以下、のうち1種
または2種以上を含有する請求項1に記載したプレス成
形後の表面性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17112097A JPH116028A (ja) | 1997-06-11 | 1997-06-11 | プレス成形後の表面性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17112097A JPH116028A (ja) | 1997-06-11 | 1997-06-11 | プレス成形後の表面性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH116028A true JPH116028A (ja) | 1999-01-12 |
Family
ID=15917361
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17112097A Pending JPH116028A (ja) | 1997-06-11 | 1997-06-11 | プレス成形後の表面性状に優れた深絞り用高強度冷延鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH116028A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7534312B2 (en) | 2001-08-24 | 2009-05-19 | Nippon Steel Corporation | Steel plate exhibiting excellent workability and method for producing the same |
| US8828153B2 (en) | 2005-07-04 | 2014-09-09 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | High-strength cold-rolled steel sheet and high-strength plated steel sheet |
| WO2020044445A1 (ja) * | 2018-08-28 | 2020-03-05 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼板及びその製造方法、冷延鋼板及びその製造方法、冷延焼鈍鋼板の製造方法、並びに溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
| JPWO2023026468A1 (ja) * | 2021-08-27 | 2023-03-02 |
-
1997
- 1997-06-11 JP JP17112097A patent/JPH116028A/ja active Pending
Cited By (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7534312B2 (en) | 2001-08-24 | 2009-05-19 | Nippon Steel Corporation | Steel plate exhibiting excellent workability and method for producing the same |
| US7749343B2 (en) | 2001-08-24 | 2010-07-06 | Nippon Steel Corporation | Method to produce steel sheet excellent in workability |
| US7776161B2 (en) | 2001-08-24 | 2010-08-17 | Nippon Steel Corporation | Cold-rolled steel sheet excellent in workability |
| US8052807B2 (en) | 2001-08-24 | 2011-11-08 | Nippon Steel Corporation | Steel sheet excellent in workability |
| US8828153B2 (en) | 2005-07-04 | 2014-09-09 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | High-strength cold-rolled steel sheet and high-strength plated steel sheet |
| WO2020044445A1 (ja) * | 2018-08-28 | 2020-03-05 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼板及びその製造方法、冷延鋼板及びその製造方法、冷延焼鈍鋼板の製造方法、並びに溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
| CN112585287A (zh) * | 2018-08-28 | 2021-03-30 | 杰富意钢铁株式会社 | 热轧钢板及其制造方法、冷轧钢板及其制造方法、冷轧退火钢板的制造方法以及热浸镀锌钢板的制造方法 |
| CN112585287B (zh) * | 2018-08-28 | 2022-03-01 | 杰富意钢铁株式会社 | 热轧钢板、冷轧钢板及它们的制造方法 |
| JPWO2023026468A1 (ja) * | 2021-08-27 | 2023-03-02 | ||
| CN117616143A (zh) * | 2021-08-27 | 2024-02-27 | 日本制铁株式会社 | 钢板及压制成形品 |
| EP4394071A4 (en) * | 2021-08-27 | 2024-09-11 | Nippon Steel Corporation | STEEL PLATE, AND MOULDED AND PRESSED ARTICLE |
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