JPH116052A - 立方晶窒化ホウ素膜の製造方法 - Google Patents
立方晶窒化ホウ素膜の製造方法Info
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- JPH116052A JPH116052A JP15676097A JP15676097A JPH116052A JP H116052 A JPH116052 A JP H116052A JP 15676097 A JP15676097 A JP 15676097A JP 15676097 A JP15676097 A JP 15676097A JP H116052 A JPH116052 A JP H116052A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】真空アーク蒸着にホウ素を用いることを可能と
し、これにより、立方晶窒化ホウ素(c−BN)膜を任
意の基体上に単独で形成する。 【解決手段】半導体ホウ素11を400〜500℃以上
に加熱して抵抗率を下げ、アーク放電による真空アーク
蒸着を行わせる。アーク放電の初期に発生する非荷電の
溶融材料20とその後に発生するホウ素イオン19とを
電磁コイル18で分離し、ホウ素イオン19のみを基体
21の方向に導く。
し、これにより、立方晶窒化ホウ素(c−BN)膜を任
意の基体上に単独で形成する。 【解決手段】半導体ホウ素11を400〜500℃以上
に加熱して抵抗率を下げ、アーク放電による真空アーク
蒸着を行わせる。アーク放電の初期に発生する非荷電の
溶融材料20とその後に発生するホウ素イオン19とを
電磁コイル18で分離し、ホウ素イオン19のみを基体
21の方向に導く。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立方晶窒化ホウ素
膜の製造方法に関する。
膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】立方晶窒化ホウ素(以下、「c−BN」
と略記する。)は、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ材料
として知られており、また、電気抵抗や熱伝導率が高
く、更に、化学的に比較的不活性である等、特に、電子
デバイスに用いるのに有用な特性を有している。
と略記する。)は、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ材料
として知られており、また、電気抵抗や熱伝導率が高
く、更に、化学的に比較的不活性である等、特に、電子
デバイスに用いるのに有用な特性を有している。
【0003】例えば、磁気テープや磁気ディスク等の磁
気記録媒体に摺接する磁気ヘッド面における磨耗防止膜
としてc−BN膜が期待されている。
気記録媒体に摺接する磁気ヘッド面における磨耗防止膜
としてc−BN膜が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際には、c
−BNの薄膜を単独で形成することは非常に困難であ
り、例えば、蒸着等によりc−BN膜を形成する場合、
まず、基体上に六方晶系の窒化ホウ素(以下、「h−B
N」と略記する。)の層が成長した後、その上にc−B
Nが成長するため、必然的に、得られる膜の下地部分は
h−BNになってしまう。
−BNの薄膜を単独で形成することは非常に困難であ
り、例えば、蒸着等によりc−BN膜を形成する場合、
まず、基体上に六方晶系の窒化ホウ素(以下、「h−B
N」と略記する。)の層が成長した後、その上にc−B
Nが成長するため、必然的に、得られる膜の下地部分は
h−BNになってしまう。
【0005】この結果、得られた膜の硬度等が、c−B
N単独の場合に比較して劣り、例えば、磨耗防止膜とし
て用いた時の耐磨耗性が充分とは言えなかった。
N単独の場合に比較して劣り、例えば、磨耗防止膜とし
て用いた時の耐磨耗性が充分とは言えなかった。
【0006】特に、記録密度の高いディジタルビデオ用
ヘッドでは、その許容ギャップの点から、磨耗防止膜に
要求される厚みは精々20nm程度であるが、このよう
に膜厚が薄くなると、相対的に、膜全体に対するh−B
Nの割合が大きくなるため、耐磨耗性等の特性の低下が
顕著になる。
ヘッドでは、その許容ギャップの点から、磨耗防止膜に
要求される厚みは精々20nm程度であるが、このよう
に膜厚が薄くなると、相対的に、膜全体に対するh−B
Nの割合が大きくなるため、耐磨耗性等の特性の低下が
顕著になる。
【0007】c−BN膜の単独形成に関しては、例え
ば、ヨーロッパ特許出願第0432,829号や日本国
特許第2522617号公報及び第2522618号公
報に、レーザーアブレーション技術により、シリコン上
に、夫々、c−BN膜や炭素合金化c−BN膜及びリン
合金化c−BN膜を形成することが開示されている。し
かし、これらの方法では、c−BN膜を、シリコン上に
しか形成することができず、例えば、上述したような磁
気ヘッド面に磨耗防止膜を形成する場合には適用ができ
ない。
ば、ヨーロッパ特許出願第0432,829号や日本国
特許第2522617号公報及び第2522618号公
報に、レーザーアブレーション技術により、シリコン上
に、夫々、c−BN膜や炭素合金化c−BN膜及びリン
合金化c−BN膜を形成することが開示されている。し
かし、これらの方法では、c−BN膜を、シリコン上に
しか形成することができず、例えば、上述したような磁
気ヘッド面に磨耗防止膜を形成する場合には適用ができ
ない。
【0008】また、M. SOKOLOWSKI et al. "PRORERTIES
AND GROWTH OFβ-BN (BORAZON) LAYERS FROM A PULSED
PLASMA UNDER REDUCED PRESSURE" (Journal of Crysta
l Growth 52 (1981) 165-167) には、衝撃波パルスアー
クにより、基体上にα−BN(h−BN)無しにβ−B
N(c−BN)が形成されたことが報告されているが、
この方法では、比較的大掛かりな装置が必要である。
AND GROWTH OFβ-BN (BORAZON) LAYERS FROM A PULSED
PLASMA UNDER REDUCED PRESSURE" (Journal of Crysta
l Growth 52 (1981) 165-167) には、衝撃波パルスアー
クにより、基体上にα−BN(h−BN)無しにβ−B
N(c−BN)が形成されたことが報告されているが、
この方法では、比較的大掛かりな装置が必要である。
【0009】一方、アーク放電を利用した真空アーク蒸
着法は、イオンプレーティング法の中でも特にイオン化
率が高い方法であり、結晶性の良い膜を形成できる方法
として知られている。
着法は、イオンプレーティング法の中でも特にイオン化
率が高い方法であり、結晶性の良い膜を形成できる方法
として知られている。
【0010】しかし、アーク放電は、一般に、抵抗率が
10-7〜10-8Ωcm程度の金属や10-3Ωcm程度の
シリコン等では可能であるが、抵抗率が通常107 Ωc
m程度のホウ素では、材料自体の電圧降下により、放電
電圧、トリガー電圧がかからないという問題が有った。
10-7〜10-8Ωcm程度の金属や10-3Ωcm程度の
シリコン等では可能であるが、抵抗率が通常107 Ωc
m程度のホウ素では、材料自体の電圧降下により、放電
電圧、トリガー電圧がかからないという問題が有った。
【0011】そこで、本発明の目的は、真空アーク蒸着
法にホウ素を用いることを可能とし、それにより、シリ
コン又はシリコン以外の基体上にc−BN膜を単独で形
成することを可能ならしめる立方晶窒化ホウ素膜の製造
方法を提供することである。
法にホウ素を用いることを可能とし、それにより、シリ
コン又はシリコン以外の基体上にc−BN膜を単独で形
成することを可能ならしめる立方晶窒化ホウ素膜の製造
方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決すべ
く、本発明の立方晶窒化ホウ素膜の製造方法では、加熱
した半導体ホウ素を陰極として、高真空中でアーク放電
を起こさせ、前記半導体ホウ素から発生したホウ素イオ
ンを負電位の基体表面に導き、窒素イオンの存在下で、
前記ホウ素イオンを前記基体表面に付着させて、前記基
体表面に実質的に立方晶系の窒化ホウ素膜を形成する。
く、本発明の立方晶窒化ホウ素膜の製造方法では、加熱
した半導体ホウ素を陰極として、高真空中でアーク放電
を起こさせ、前記半導体ホウ素から発生したホウ素イオ
ンを負電位の基体表面に導き、窒素イオンの存在下で、
前記ホウ素イオンを前記基体表面に付着させて、前記基
体表面に実質的に立方晶系の窒化ホウ素膜を形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を好ましい実施の形
態に従い説明する。
態に従い説明する。
【0014】本発明者は、純度のあまり良くないホウ素
を加熱すると、その抵抗率がかなり大きく低下すること
を見出した。
を加熱すると、その抵抗率がかなり大きく低下すること
を見出した。
【0015】即ち、図3(b)に示すように、純度約9
9.8%の10mm角のホウ素サンプル1をホットプレ
ート2上で加熱し、その抵抗率の変化を調べた。図中、
3は、ホットプレート2の温度を測定するための熱電
対、4は、ホウ素サンプル1を挟持する電極、5は可変
直流電源、6は電流計である。
9.8%の10mm角のホウ素サンプル1をホットプレ
ート2上で加熱し、その抵抗率の変化を調べた。図中、
3は、ホットプレート2の温度を測定するための熱電
対、4は、ホウ素サンプル1を挟持する電極、5は可変
直流電源、6は電流計である。
【0016】測定結果を図3(a)に示すが、ホウ素サ
ンプル1の抵抗率は、常温の107Ωcm程度から、温
度の上昇に伴い大きく低下して、500℃近辺では、ア
ーク放電が可能な10Ωcm程度にまで下がった。これ
は、測定に使用したホウ素サンプル1が純度の良くない
(約99.8%)ものであるため、不純物炭素(C)等
により半導体として作用するためと考えられる。なお、
図3(a)において、縦軸は、ホウ素サンプル1の抵抗
率〔Ωcm〕、横軸は、ホットプレート2の温度〔℃〕
を夫々示す。
ンプル1の抵抗率は、常温の107Ωcm程度から、温
度の上昇に伴い大きく低下して、500℃近辺では、ア
ーク放電が可能な10Ωcm程度にまで下がった。これ
は、測定に使用したホウ素サンプル1が純度の良くない
(約99.8%)ものであるため、不純物炭素(C)等
により半導体として作用するためと考えられる。なお、
図3(a)において、縦軸は、ホウ素サンプル1の抵抗
率〔Ωcm〕、横軸は、ホットプレート2の温度〔℃〕
を夫々示す。
【0017】従って、この温度と抵抗率の関係は、ホウ
素中の不純物濃度を変えることにより調整することが可
能である。例えば、不純物として、炭素(C)、カルシ
ウム(Ca)等を最大で約5wt%まで添加することによ
り、400℃近辺でもアーク放電を可能ならしめること
ができる。この時、不純物の添加量をあまり多くし過ぎ
ると、蒸着で得られる膜の結晶性や膜質が悪くなるの
で、不純物の添加量は5wt%程度以下とするのが良い。
素中の不純物濃度を変えることにより調整することが可
能である。例えば、不純物として、炭素(C)、カルシ
ウム(Ca)等を最大で約5wt%まで添加することによ
り、400℃近辺でもアーク放電を可能ならしめること
ができる。この時、不純物の添加量をあまり多くし過ぎ
ると、蒸着で得られる膜の結晶性や膜質が悪くなるの
で、不純物の添加量は5wt%程度以下とするのが良い。
【0018】本発明者は、上述の知見に基づき、半導体
ホウ素を陰極として用いる真空アーク蒸着装置を作製し
た。以下に、その詳細を説明する。
ホウ素を陰極として用いる真空アーク蒸着装置を作製し
た。以下に、その詳細を説明する。
【0019】まず、図2(a)に示すように、例えば、
不純物濃度を適宜に調節したホウ素パウダーを固めたも
のをグラファイト坩堝で約1000℃の温度で焼結し
て、約10mm角のホウ素焼結体10を作製し、更に、
これを丸く削り込んで、右図に示すような、プラグ状の
ホウ素カソード11を作製した。なお、この時、ホウ素
カソード11のカソード面11aは、汚さないように注
意した。
不純物濃度を適宜に調節したホウ素パウダーを固めたも
のをグラファイト坩堝で約1000℃の温度で焼結し
て、約10mm角のホウ素焼結体10を作製し、更に、
これを丸く削り込んで、右図に示すような、プラグ状の
ホウ素カソード11を作製した。なお、この時、ホウ素
カソード11のカソード面11aは、汚さないように注
意した。
【0020】次に、図2(b)に示すように、タングス
テン(W)のヒーターパターン12が印刷されたアルミ
ナグリーンシートを重ねて巻き、これを焼結して作製し
た中空セラミックヒーター13に、上述のホウ素カソー
ド11を、引き出し線であるタングステン(W)ワイヤ
ーごとねじ込んで、アーク放電用カソード15を作製し
た。なお、後のアーク放電時、このねじ込んだ部分への
アークは発生しなかった。
テン(W)のヒーターパターン12が印刷されたアルミ
ナグリーンシートを重ねて巻き、これを焼結して作製し
た中空セラミックヒーター13に、上述のホウ素カソー
ド11を、引き出し線であるタングステン(W)ワイヤ
ーごとねじ込んで、アーク放電用カソード15を作製し
た。なお、後のアーク放電時、このねじ込んだ部分への
アークは発生しなかった。
【0021】図2(c)に、このアーク放電用カソード
15を、トリガー電極16の近傍に配置した状態を示
す。
15を、トリガー電極16の近傍に配置した状態を示
す。
【0022】図1に、真空アーク蒸着装置の全体構成を
概略的に示すが、上述したアーク放電用カソード15に
対向してリング状のアノード17が配されている。な
お、25は、アーク放電用カソード15とアノード17
との間のアーク放電を安定化するとともに、アーク放電
用カソード15から発生したホウ素イオンを効率良くア
ノード17の方向に導くための偏向コイルである。
概略的に示すが、上述したアーク放電用カソード15に
対向してリング状のアノード17が配されている。な
お、25は、アーク放電用カソード15とアノード17
との間のアーク放電を安定化するとともに、アーク放電
用カソード15から発生したホウ素イオンを効率良くア
ノード17の方向に導くための偏向コイルである。
【0023】このアノード17の先には、後述するよう
に荷電したホウ素イオン19と非荷電の溶融材料20と
を分離するためのマクロフィルターとしての電磁コイル
18が設けられている。即ち、この電磁コイル18は、
アーク放電中、常に電流が流されていて、例えば、核融
合装置におけるトカマクと同様に、300G程の環状
(トーラス)磁場を発生する。従って、荷電したホウ素
イオン19は、このトーラス磁場に沿って湾曲した経路
を基体21の方向に導かれ、一方、アーク放電初期に陰
極材料の突沸により発生する非荷電の溶融材料20は、
このトーラス磁場に影響されないので、アノード17か
ら飛び出した方向にそのまま進行し、基体21の方向に
は導かれない。
に荷電したホウ素イオン19と非荷電の溶融材料20と
を分離するためのマクロフィルターとしての電磁コイル
18が設けられている。即ち、この電磁コイル18は、
アーク放電中、常に電流が流されていて、例えば、核融
合装置におけるトカマクと同様に、300G程の環状
(トーラス)磁場を発生する。従って、荷電したホウ素
イオン19は、このトーラス磁場に沿って湾曲した経路
を基体21の方向に導かれ、一方、アーク放電初期に陰
極材料の突沸により発生する非荷電の溶融材料20は、
このトーラス磁場に影響されないので、アノード17か
ら飛び出した方向にそのまま進行し、基体21の方向に
は導かれない。
【0024】電磁コイル18とc−BN膜を形成する基
体21との間には、偏向コイル22が配されている。こ
の偏向コイル22には、基体21への成膜時、交流電流
が供給され、これにより、基体21の表面に均一に成膜
が行われるようにする。なお、23は、偏向コイル22
を保持するリング状の中空ホルダーである。
体21との間には、偏向コイル22が配されている。こ
の偏向コイル22には、基体21への成膜時、交流電流
が供給され、これにより、基体21の表面に均一に成膜
が行われるようにする。なお、23は、偏向コイル22
を保持するリング状の中空ホルダーである。
【0025】また、基体21の近傍には、例えば、パル
ス電磁バルブ付きマスフローコントローラーが接続され
た供給管24から窒素(N2 )ガスが供給される。この
供給管24から供給されるN2 ガスは、ホウ素イオン1
9と反応して、基体21表面にc−BN膜を形成する。
ス電磁バルブ付きマスフローコントローラーが接続され
た供給管24から窒素(N2 )ガスが供給される。この
供給管24から供給されるN2 ガスは、ホウ素イオン1
9と反応して、基体21表面にc−BN膜を形成する。
【0026】この真空アーク蒸着装置により、基体21
表面にc−BN膜を形成する手順を説明すると、まず、
装置内を、例えば、5×10-5Torr程度の高真空にした
後、アーク放電用カソード15の中空セラミックヒータ
ー13のヒーター部に、例えば、交流電圧130Vを印
加して、温度を400℃以上に上昇させ、赤熱させてお
く。この状態で、例えば、15KVで0.1μFに充電
した電荷をトリガー電極16のエアーギャップで放電さ
せると、アーク放電用カソード15とトリガー電極16
との間でトリガー放電が起こる。次に、アーク放電用カ
ソード15とリング状のアノード17との間に主アーク
が起きる。
表面にc−BN膜を形成する手順を説明すると、まず、
装置内を、例えば、5×10-5Torr程度の高真空にした
後、アーク放電用カソード15の中空セラミックヒータ
ー13のヒーター部に、例えば、交流電圧130Vを印
加して、温度を400℃以上に上昇させ、赤熱させてお
く。この状態で、例えば、15KVで0.1μFに充電
した電荷をトリガー電極16のエアーギャップで放電さ
せると、アーク放電用カソード15とトリガー電極16
との間でトリガー放電が起こる。次に、アーク放電用カ
ソード15とリング状のアノード17との間に主アーク
が起きる。
【0027】このアーク放電により、アーク放電用カソ
ード15のホウ素カソード11において局部的な発熱が
起こり、ホウ素カソード11からホウ素が蒸発する。但
し、このアーク放電の初期には、ホウ素カソード11
が、いわゆる突沸を起こし、充分に蒸発しない溶融状態
の固まりが飛散する。この固まりが、基体21面に到達
すると、成膜される膜が凸凹になり、膜質が極端に悪く
なるので、図1の真空アーク蒸着装置では、上述した如
く、電磁コイル18により、この非荷電の溶融材料20
が基体21の成膜面の方向に行かないようにしている。
ード15のホウ素カソード11において局部的な発熱が
起こり、ホウ素カソード11からホウ素が蒸発する。但
し、このアーク放電の初期には、ホウ素カソード11
が、いわゆる突沸を起こし、充分に蒸発しない溶融状態
の固まりが飛散する。この固まりが、基体21面に到達
すると、成膜される膜が凸凹になり、膜質が極端に悪く
なるので、図1の真空アーク蒸着装置では、上述した如
く、電磁コイル18により、この非荷電の溶融材料20
が基体21の成膜面の方向に行かないようにしている。
【0028】本例のように高真空状態でアーク放電を続
けると、ホウ素カソード11からの蒸発物質が電離して
放電を維持するいわゆる真空アークの状態になる。従っ
て、この状態では、ホウ素のイオン化率が非常に高くな
り、イオン化したホウ素イオン19が、電磁コイル18
のトーラス磁場に導かれて、基体21の成膜面に到達
し、その近傍において供給管24から供給される窒素
(N)と反応して、負電位の基体21面にc−BN膜を
形成する。
けると、ホウ素カソード11からの蒸発物質が電離して
放電を維持するいわゆる真空アークの状態になる。従っ
て、この状態では、ホウ素のイオン化率が非常に高くな
り、イオン化したホウ素イオン19が、電磁コイル18
のトーラス磁場に導かれて、基体21の成膜面に到達
し、その近傍において供給管24から供給される窒素
(N)と反応して、負電位の基体21面にc−BN膜を
形成する。
【0029】例えば、本例の真空アーク蒸着装置におい
て、5×10-5Torr程度の圧力で最大10分間のパルス
放電を行い、11200パルスの後、膜厚約1000Å
のc−BN膜を得た。
て、5×10-5Torr程度の圧力で最大10分間のパルス
放電を行い、11200パルスの後、膜厚約1000Å
のc−BN膜を得た。
【0030】この得られた膜は、膜の硬さが、ビッカー
ス硬度で約4000kg重/mm2であり、また、膜の
赤外線吸収ピークが波数1080cm-1付近に有ること
が確認され、実質的にc−BN膜が単独で形成されたこ
とが確認された。
ス硬度で約4000kg重/mm2であり、また、膜の
赤外線吸収ピークが波数1080cm-1付近に有ること
が確認され、実質的にc−BN膜が単独で形成されたこ
とが確認された。
【0031】以上に説明した方法によれば、シリコン上
には勿論、シリコン以外の基体上にもc−BN膜を単独
で形成することができる。従って、例えば、磁気ヘッド
の摺動面に、c−BNのみからなる極めて耐磨耗性に優
れた磨耗防止膜を形成することが可能となる。また、c
−BN膜を単独で形成することができるので、その薄膜
化が可能となり、例えば、ディジタルビデオ用ヘッドに
おける極めて薄い磨耗防止膜を高硬度のc−BNのみで
構成することが可能となる。
には勿論、シリコン以外の基体上にもc−BN膜を単独
で形成することができる。従って、例えば、磁気ヘッド
の摺動面に、c−BNのみからなる極めて耐磨耗性に優
れた磨耗防止膜を形成することが可能となる。また、c
−BN膜を単独で形成することができるので、その薄膜
化が可能となり、例えば、ディジタルビデオ用ヘッドに
おける極めて薄い磨耗防止膜を高硬度のc−BNのみで
構成することが可能となる。
【0032】更に、上述の方法は、例えば、既存の真空
アーク蒸着装置の一部の仕様を変更するだけで実施する
ことができ、特に大掛かりな装置は必要無い。従って、
非常に簡便である。
アーク蒸着装置の一部の仕様を変更するだけで実施する
ことができ、特に大掛かりな装置は必要無い。従って、
非常に簡便である。
【0033】以上、本発明を好ましい実施の形態に従い
説明したが、本発明は、必ずしも上述の例に限定される
ものではない。例えば、ホウ素カソード11の形状やア
ーク放電用カソード15の構成等は、上述の例のもの限
らず、種々に変更が可能である。また、上述の例では、
アーク放電用のアノードとして、リング状のアノード1
7を用いたが、アーク放電用のアノードは、例えば、ホ
ウ素カソード11の周囲を取り囲むようなチューブ状の
ものでも良い。
説明したが、本発明は、必ずしも上述の例に限定される
ものではない。例えば、ホウ素カソード11の形状やア
ーク放電用カソード15の構成等は、上述の例のもの限
らず、種々に変更が可能である。また、上述の例では、
アーク放電用のアノードとして、リング状のアノード1
7を用いたが、アーク放電用のアノードは、例えば、ホ
ウ素カソード11の周囲を取り囲むようなチューブ状の
ものでも良い。
【0034】
【発明の効果】本発明においては、加熱した半導体ホウ
素を陰極として、高真空中でアーク放電を起こさせ、前
記半導体ホウ素から発生したホウ素イオンを負電位の基
体表面に導き、窒素イオンの存在下で、前記ホウ素イオ
ンを前記基体表面に付着させて、前記基体表面に実質的
に立方晶系の窒化ホウ素膜を形成する。従って、シリコ
ン上は勿論、シリコン以外の任意の基体上にc−BN膜
を単独で形成することができる。
素を陰極として、高真空中でアーク放電を起こさせ、前
記半導体ホウ素から発生したホウ素イオンを負電位の基
体表面に導き、窒素イオンの存在下で、前記ホウ素イオ
ンを前記基体表面に付着させて、前記基体表面に実質的
に立方晶系の窒化ホウ素膜を形成する。従って、シリコ
ン上は勿論、シリコン以外の任意の基体上にc−BN膜
を単独で形成することができる。
【0035】また、本発明の方法は、例えば、既存の真
空アーク蒸着装置の一部を変更して実施することがで
き、特に大掛かりな装置を必要としないので、非常に簡
便である。
空アーク蒸着装置の一部を変更して実施することがで
き、特に大掛かりな装置を必要としないので、非常に簡
便である。
【図1】本発明の実施に用いる真空アーク蒸着装置の主
要構成を示す概略図である。
要構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるホウ素カソードの
構成を示す概略図である。
構成を示す概略図である。
【図3】半導体ホウ素の加熱実験の結果を示すグラフ及
びその実験方法を示す概略図である。
びその実験方法を示す概略図である。
10…ホウ素焼結体、11…ホウ素カソード、11a…
カソード面、12…ヒーターパターン、13…中空セラ
ミックヒーター、14…タングステン(W)ワイヤー、
15…アーク放電用カソード、16…トリガー電極、1
7…アノード、18…電磁コイル、19…ホウ素イオ
ン、20…非荷電溶融材料、21…基体、22…偏向コ
イル、23…中空ホルダー、24…窒素(N2 )供給管
カソード面、12…ヒーターパターン、13…中空セラ
ミックヒーター、14…タングステン(W)ワイヤー、
15…アーク放電用カソード、16…トリガー電極、1
7…アノード、18…電磁コイル、19…ホウ素イオ
ン、20…非荷電溶融材料、21…基体、22…偏向コ
イル、23…中空ホルダー、24…窒素(N2 )供給管
Claims (5)
- 【請求項1】 加熱した半導体ホウ素を陰極として、高
真空中でアーク放電を起こさせ、 前記半導体ホウ素から発生したホウ素イオンを負電位の
基体表面に導き、 窒素イオンの存在下で、前記ホウ素イオンを前記基体表
面に付着させて、前記基体表面に実質的に立方晶系の窒
化ホウ素膜を形成する、立方晶窒化ホウ素膜の製造方
法。 - 【請求項2】 前記半導体ホウ素を400℃以上に加熱
する、請求項1に記載の立方晶窒化ホウ素膜の製造方
法。 - 【請求項3】 前記半導体ホウ素を500℃以上に加熱
する、請求項2に記載の立方晶窒化ホウ素膜の製造方
法。 - 【請求項4】 前記半導体ホウ素に、炭素及びカルシウ
ムからなる群より選ばれた少なくとも1種の不純物を5
重量%以下添加する、請求項2に記載の立方晶窒化ホウ
素膜の製造方法。 - 【請求項5】 前記アーク放電時の初期に発生する非荷
電の溶融材料を前記基体以外の方向に導く、請求項1に
記載の立方晶窒化ホウ素膜の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15676097A JPH116052A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 立方晶窒化ホウ素膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15676097A JPH116052A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 立方晶窒化ホウ素膜の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH116052A true JPH116052A (ja) | 1999-01-12 |
Family
ID=15634731
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15676097A Pending JPH116052A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 立方晶窒化ホウ素膜の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH116052A (ja) |
-
1997
- 1997-06-13 JP JP15676097A patent/JPH116052A/ja active Pending
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