JPH1169947A - 生物餌料培養用餌料 - Google Patents

生物餌料培養用餌料

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JPH1169947A
JPH1169947A JP10202893A JP20289398A JPH1169947A JP H1169947 A JPH1169947 A JP H1169947A JP 10202893 A JP10202893 A JP 10202893A JP 20289398 A JP20289398 A JP 20289398A JP H1169947 A JPH1169947 A JP H1169947A
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秀一 酒本
Hideyuki Fujita
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 クリーム状酵母を有効成分とし、副原料とし
てビタミンB12、化工澱粉、栄養強化剤及び植物プラ
ンクトンを配合した。 【効果】 従来と比べて懸濁処理が不要となり作業負担
が軽減されるばかりでなく、栄養強化処理(2次培養)
の必要もなく、しかも安価な生物餌料用餌料を提供可能
となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚介類の種苗生産
で使用される生物餌料培養用餌料、及び該生物餌料培養
用餌料を用いた生物餌料の培養方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ウナギ、ドジョウ、アユ、ヒラ
メ、マダイ、クルマエビ等の魚介類、特にその種苗生産
において、生物餌料は欠かせない重要な存在であるが、
その培養用の餌料としては、パン酵母又は、ナンノクロ
ロプシス、クロレラ等の植物プランクトンが利用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の固形状
パン酵母及び乾燥酵母は、水を添加し混合の後、ミキサ
ーなどで十分に懸濁処理を行なって菌体を一つ一つばら
ばらにしなければ、生物餌料に摂餌せしめることができ
ない。実際、種苗生産の現場では、給餌の度にこの作業
を行っており、非常に煩雑であることが以前から問題点
とされていた。
【0004】さらに、パン酵母やクロレラ等の植物プラ
ンクトンで培養した生物餌料は、魚介類の必須脂肪酸
の、主としてn−3系HUFA、特にDHAが不足して
いる。該生物餌料を給餌した飼育魚は活力が低下し、大
量斃死を起こすことが知られている(渡辺武:種苗生産
と生物餌料 81〜110、魚類の栄養と飼料、荻野珍
吉編、恒星社厚生閣(1980))。この問題点の回避
策として、飼育魚の給餌前に生物餌料の二次培養を行
い、必須脂肪酸を含んだ油を生物餌料に取り込ませるこ
とで、生物餌料の栄養を強化することが一般に行われて
いる。この作業も上述したパン酵母の懸濁処理作業以上
に煩雑である。
【0005】また、植物プランクトンのナンノクロロプ
シスは、種苗生産業者が各自で培養槽を設置し生産を行
っているが、生産量が天候などにより左右され易く、必
要量が安定して入手し難い状況にある。一方、クロレラ
は市販品としてあるがたいへん高価であることと、更に
栄養強化処理を必要とすることが問題とされている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題点を解決するため鋭意研究の結果、酵母を製造す
る過程において得られる水分量が60〜90%のクリー
ム状酵母に、ビタミンB12、化工澱粉、栄養強化剤及
び植物プランクトン等を添加・混合せしめた本発明の生
物餌料培養用餌料を生物餌料の培養に使用することで、
従来の生物餌料使用の際の酵母懸濁処理や、二次培養な
どの作業が不要となるばかりでなく、生物餌料の培養成
績も向上することを見い出した。
【0007】すなわち本発明は、クリーム状酵母及び該
クリーム状酵母1kgに対してビタミンB12を0.0
1〜10mg、化工澱粉を0.1〜20g添加し、更に
栄養強化剤及び/又は植物プランクトンを配合する組成
物の生物餌料培養用餌料の提供に関する。また、目的の
生物餌料100万個体当たり、本発明の生物餌料培養用
餌料を1日に0.1〜10g給餌する生物餌料の培養方
法の提供に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の生物餌料培養用餌
料、及びそれを用いた生物餌料の培養方法について詳細
に説明する。
【0009】本発明に係る生物餌料とは、魚介類の種苗
生産用に使用されているプランクトン類であれば良く、
例えばシオミズツボワムシ、アルテミア、タマミジンコ
などが挙げられる。
【0010】本発明に係るクリーム状酵母とは、水分量
を60〜90%に調製した活性酵母溶液である。例え
ば、通常市販されている生酵母の製造過程で得られる圧
搾成型前の水分量が60〜90%の酵母懸濁液、もしく
は市販の固形状酵母及び乾燥酵母に水分を添加・懸濁し
たものを使用しても良い。酵母の種類は、生物餌料の栄
養源となる限り特に限定されず、パン酵母、トルラ酵
母、ビール酵母などが知られている。例えば、サッカロ
ミセス属に属する酵母が挙げられ、サッカロミセス・セ
レビシエ(Saccharomyces cerevisiae)や、サッカロミ
セス・ロキシ(Saccharomyces rouxii)などが使用可能
である。その他のもシゾサッカロミセス(Zygosaccharo
myces)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、キャンディダ
(Candida)属、トルラスポラ(Torulasupora)属、ト
ルロプシス(Torulopsis)属、ミコトルラ(Mycotorul
a)属に属する幅広い範囲の本発明の酵母に使用可能で
ある。
【0011】本発明の生物餌料培養用餌料中におけるビ
タミンB12の添加量は、クリーム状酵母1kgに対し
て0.01〜10mg、さらに好ましくは0.2〜2m
gの範囲で使用可能である。0.01mg未満では、生
物餌料の充分な増殖が期待できない場合が生ずる。一方
2mgより多く添加しても、それに見合った効果が認め
られない。また、酵母の使用量が少ない場合には培養水
1kL当たりビタミンB12が100μg以上になるよ
う添加すれば良い。
【0012】本発明の生物餌料培養用餌料には、保存性
を高める目的で化工澱粉を添加することが望ましい。す
なわちクリーム状酵母は、酵母懸濁溶液であることか
ら、時間が経過するにつれて徐々に酵母が沈殿する。一
旦沈殿した酵母を元の懸濁状態にするには、長時間攪拌
しなければならない。化工澱粉を添加することによって
クリーム状酵母に適度の粘性を付与でき、酵母の沈殿が
阻止できる。
【0013】本発明の生物餌料培養用餌料で使用される
化工澱粉は、冷水膨潤性を有するものを使用することが
望ましい。また、その添加量は、クリーム状酵母1kg
に対して0.1〜20g、好ましくは5〜10g添加す
ることによって、適度な粘性をもたらし本発明の生物餌
料培養用餌料の保存・安定性を高める働きをする。化工
澱粉の添加量が、0.1gより少ない場合には、長時間
静置すると懸濁している酵母が徐々に沈殿することか
ら、使用の際に容器を振盪し、再度酵母を懸濁させる必
要が生じる。逆に20gより多い場合は粘性が必要以上
に高まり、流動性が著しく阻害されることから使用に際
して不便である。
【0014】本発明の生物餌料培養用餌料で使用される
栄養強化剤とは、魚介類の必須脂肪酸であるn−3系高
度不飽和脂肪酸(以下HUFAと表記する)であり、こ
れを含有しカプセル化しても良く、例えばその一形態と
しては、特願平8−238645号記載の方法によって
作られたものが挙げられる。
【0015】本発明の生物餌料培養用餌料中における栄
養強化剤の添加量は、生物餌料の増殖に必要な栄養と餌
料生物として要求される栄養を、バランス良く構成させ
るという観点から、クリーム状酵母に対して0.5〜3
0重量%、更に好ましくは5〜10重量%とすることが
望ましい。
【0016】本発明の生物餌料培養用餌料には植物プラ
ンクトンを添加・混合することによって、その餌料価値
を更に高めることが可能となる。使用される植物プラン
クトンは、例えばクロレラやナンノクロロプシスなどが
挙げられ、その配合割合は必要に応じて適宜選択するこ
とができる。
【0017】上述した以外必要栄養物や栄養強化物を、
本発明の生物餌料培養用餌料に添加することによって、
さらに生物餌料の培養効果を高めることが可能である。
【0018】本発明の生物餌料培養用餌料には、食塩や
ソルビン酸、ポリリジンなどの静菌剤を添加することに
よって保存性を高めることが可能である。
【0019】以上の如く得られた本発明の生物餌料培養
用餌料は、生物餌料の培養に際し、必要量を計量してそ
のまま培養槽に流し込むという簡便な工程で給餌作業が
完了するだけでなく、生物餌料の増殖効果に良好な作用
を奏することを見いだしたものである。
【0020】本発明の生物餌料培養用餌料を用いて培養
を行った生物餌料は、魚介類への給餌に際して、通常行
われているn−3系HUFAの強化を目的とした二次培
養を行う必要がないため、培養槽からそのまま魚介類の
飼育水槽へただ移送する事で作業が完了する。
【0021】
【実施例】以下、実施例によってさらに本発明を詳細に
説明するが、これらは本発明の技術的範囲を制限するも
のではない。当業者は、本明細書に基づいて容易に本発
明に修飾、変更を加えることができ、それらは本発明の
技術分野に含まれる。
【0022】
【実施例1】パン酵母を培養する過程において得られ
た、水分含量74%のクリーム状酵母からなる本発明の
生物餌料培養用餌料ならびに従来の市販パン酵母製品
(オリエンタル酵母工業製)を用いてシオミズツボワム
シの培養を行った。
【0023】水温を28℃に設定した容量0.5kLの
パンライト水槽2面に、シオミズツボワムシを培養水1
mL当たり約150個体となるようにセットした。一方
の水槽には本発明の生物餌料培養用餌料を、他方の水槽
には従来の市販パン酵母製品を、シオミズツボワムシ1
00万個体当たり1日に1g給餌した。なお従来の市販
パン酵母製品を給餌するに際しては、予め適当量の水を
加え、ミキサーにて懸濁処理を行った。
【0024】
【図1】
【0025】図1の試験結果より、本発明の生物餌料培
養用餌料は、従来の市販パン酵母製品を使った場合と同
等の培養効果をもたらすことが確認されるとともに、給
餌に際しての、ミキサーによるパン酵母の懸濁処理が不
要になったことによる、大幅な作業性の向上が認められ
た。
【0026】
【実施例2】水分含量74%のクリーム状パン酵母10
0kgにビタミンB12を0、25、50、75mg添
加し、攪拌混合することによって4種類の本発明に係る
生物餌料培養用餌料を得た。得られた4つの本発明の生
物餌料培養用餌料を用いてシオミズツボワムシの培養を
行った。
【0027】水温を28℃に設定した容量0.5kLの
パンライト水槽4面に、シオミズツボワムシを培養水1
mL当たり約150個体となるようにセットし、各水槽
には本発明の生物餌料培養用餌料をシオミズツボワムシ
100万個体当たり1日に1g給餌した。
【0028】
【図2】
【0029】図2の試験結果よりビタミンB12をクリ
ーム状酵母100kg当たり50mg以上添加して得た本
発明の生物餌料培養用餌料は、それ以下の場合に比べて
培養効果が向上することが確認された。
【0030】
【実施例3】水分含量74%のクリーム状パン酵母10
0kgにビタミンB12を50mg、淡水クロレラ30
kg、冷水膨潤性化工澱粉(商品名ミラスパース62
6:株式会社光洋商会)700g、栄養強化剤(商品名
DHAce:オリエンタル酵母工業株式会社)10kg
を攪拌混合することによって本発明の生物餌料培養用餌
料を得た。得られた本発明の生物餌料培養用餌料ならび
に従来のパン酵母(オリエンタル酵母工業製)を用いて
シオミズツボワムシの培養を行い、n−3系HUFA含
量の変化を調べた。
【0031】水温を28℃に設定した容量0.5kLの
パンライト水槽2面に、シオミズツボワムシを培養水1
mL当たり約200個体となるようにセットした。一方
の水槽には本発明の生物餌料培養用餌料を、他方の水槽
には従来のパン酵母を、シオミズツボワムシ100万個
体当たり1日に1g給餌した。なお従来のパン酵母を給
餌するに際しては、予め適当量の水を加え、ミキサーに
て懸濁処理を行った。図3にシオミズツボワムシの脂質
中にn−3系HUFAが占める割合の変化を示す。
【0032】
【図3】
【0033】本発明の生物餌料培養用餌料を用いて培養
したシオミズツボワムシのn−3系HUFA含量は試験
開始直後から増加しており、もはや二次培養が不要であ
ることが分かる。
【0034】
【実施例4】水分含量74%のクリーム状パン酵母10
0kgにビタミンB12を200mg添加することによ
って、本発明の生物餌料培養用餌料を得た。得られた本
発明の生物餌料培養用餌料を用いて8日間シオミズツボ
ワムシの大量培養を行い、個体数の変化と、その間のシ
オミズツボワムシの採集量を調べた。
【0035】水温を23〜24℃に設定した容量80k
Lのコンクリート水槽2面に、シオミズツボワムシを培
養水1mL当たり約100個体となるようにセットし
た。一方の水槽には本発明の生物餌料培養用餌料とナン
ノクロロプシスを、他方の水槽には従来のパン酵母とナ
ンノクロロプシスを給餌した。なお、従来のパン酵母を
給餌するに際しては、予め適当量の水を加え、ミキサー
にて懸濁処理を行った。図4にシオミズツボワムシの個
体数の変化を示す。
【0036】
【図4】
【0037】本発明の生物餌料培養用餌料を用いた区
は、培養後半からパン酵母区に比較して高いシオミズツ
ボワムシ密度を維持しており、ワムシの採集量も多かっ
た(本発明の生物餌料培養用餌料を用いた区:223億
個体、パン酵母区:185億個体)。よって、本発明の
生物餌料培養用餌料がシオミズツボワムシの大量培養に
適していることが分かる。
【0038】
【実施例5】水分含量74%のクリーム状パン酵母10
0kgにビタミンB12を50mg、冷水膨潤性化工澱
粉(商品名ミラスパース626:株式会社光洋商会)7
00g添加することによって得た、本発明の生物餌料培
養用餌料を試験区、水分含量74%のクリーム状パン酵
母100kgにビタミンB12を50mg添加すること
によって得た、本発明の生物餌料培養用餌料を対象区と
して、保存性の比較試験を行なった。
【0039】保存試験は、サンプルを容量600mlの
サンプル瓶に入れ、5℃の条件下で静置して行ない、経
時的に沈殿の形成状態を調べた。
【0040】
【表1】 表1.保存試験の結果 ─────────────────────────────────── 試験区 対象区 ─────────────────────────────────── 4日後 沈殿なし 沈殿なし 2週間後 沈殿なし 少量の沈殿(かき混ぜれば容易に懸濁する) 4週間後 沈殿なし 多量の沈殿(沈殿が水飴様の粘りを持つ) ───────────────────────────────────
【0041】表1から明らかなように、本発明に係る生
物餌料培養様餌料は、化工澱粉を添加することによって
保存性が大きく改善されることが確認された。
【0042】以上のように本発明の生物餌料培養用餌料
を用いれば、従来のパン酵母を使用する場合に比べて、
使用の都度必要であった懸濁処理が不要となることか
ら、作業負担が軽減される。また植物プランクトンを使
用する場合に比較して餌料代が安価で済む。
【0043】本発明の生物餌料培養用餌料で培養した生
物餌料には、魚介類の必須脂肪酸(主としてn−3系H
UFA)が充分に含有されているため、さらに二次培養
を行う必要が無くなり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生物餌料培養用餌料と市販パン酵母
製品のワムシの培養効果を比較した図である。
【図2】 ビタミンB12添加による生物餌料培養用餌
料のワムシ培養効果を示した図である。
【図3】 シオミズツボワムシ培養時における、脂質中
のn−3系HUFA組成比の経時変化を示した図であ
る。
【図4】 シオミズツボワムシ培養における、増殖の経
時変化を示した図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水分量が60〜90%のクリーム状酵母を
    有効成分とする生物餌料培養用餌料。
  2. 【請求項2】クリーム状酵母1kgに対して、ビタミンB
    12を0.01〜10mg及び/又は化工澱粉を0.1
    〜20g添加・混合すること、を特徴とする請求項1記
    載の生物餌料培養用餌料。
  3. 【請求項3】栄養強化剤及び/又は植物プランクトンを
    添加・混合すること、を特徴とする請求項1ないし2の
    いずれか1項に記載の生物餌料培養用餌料。
  4. 【請求項4】生物餌料100万個体当たり、請求項1な
    いし3のいずれか1項に記載の生物餌料培養用餌料を1
    日に0.1〜10g給餌すること、を特徴とする生物餌
    料の培養方法。
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