JPH1175897A - 遺伝子工学用色素含有剤 - Google Patents

遺伝子工学用色素含有剤

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JPH1175897A
JPH1175897A JP9257939A JP25793997A JPH1175897A JP H1175897 A JPH1175897 A JP H1175897A JP 9257939 A JP9257939 A JP 9257939A JP 25793997 A JP25793997 A JP 25793997A JP H1175897 A JPH1175897 A JP H1175897A
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朋子 中川
Hiroyuki Mukai
博之 向井
Fumitsugu Hino
文嗣 日野
Ikunoshin Katou
郁之進 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遺伝子増幅法や該方法で得られた核酸断片の
解析に有用な遺伝子工学用試薬を提供する。 【解決手段】 後記(1)、(2)より選択される遺伝
子工学用色素含有剤:(1)遺伝子増幅反応においてそ
の反応の効率を向上させる遺伝子増幅効率向上剤、
(2)遺伝子増幅反応を阻害せず、反応前の遺伝子増幅
反応液に添加されることによって反応液を直接電気泳動
に供することを可能にする色素剤。前記の遺伝子工学用
色素含有剤を含有する遺伝子増幅反応液。前記の遺伝子
工学用色素含有剤、又は遺伝子増幅反応液を含有する遺
伝子増幅用キット。 【効果】 反応後に得られる増幅産物の量の増加、並び
に遺伝子の検出感度の向上、また、一連の遺伝子増幅操
作を簡便、かつ効率よく行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子増幅法や該
方法で得られた核酸断片の解析に有用な遺伝子工学用色
素含有剤に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子増幅法、特にポリメラーゼ・チェ
ーン・リアクション(PCR)法は試験管内において簡
便に所望の核酸断片を増幅する技術であり、現在では遺
伝子に関する研究のみならず生物学、医学、農業等幅広
い分野において不可欠の手法となっている。遺伝子増幅
法によって試料中に存在する特定の遺伝子、又はその断
片を増幅することは、該遺伝子のみならず該遺伝子を有
する生物そのものの存在を検出することにつながる。ま
た増幅対象をmRNAとすることにより、該遺伝子の発
現状態を知ることも可能である。遺伝子増幅法のこのよ
うな特徴は、該方法を広範な分野において利用可能な遺
伝子のスクリーニング方法とした。その例としては、例
えば微生物遺伝子の検出による食品や飲料水の微生物汚
染の検査や、組織適合性抗原遺伝子を調べる移植適合検
査等が挙げられる。このような分野での遺伝子増幅法の
利用は、非常に多数の試料を対象として該方法を実施す
ることを必要とし、その操作全体を効率よく行うことが
望まれるようになってきた。遺伝子増幅反応において、
その増幅効率は該反応の全体の質を左右する重要な因子
である。遺伝子増幅反応効率が低い反応系では、必要な
増幅産物を得るために反応のスケールを大きくする、す
なわち使用する鋳型量や酵素量を増やすか、あるいは反
応時間を延長するなどの配慮が必要となることがある。
また、遺伝子の検出手段として行われる遺伝子増幅反応
においては増幅反応効率が検出感度を左右する。例え
ば、PCR法による遺伝子増幅反応は、DNAポリメラ
ーゼの活性を利用してある鋳型核酸に相補的な核酸を合
成する工程の繰返しからなる。理想的には1工程の反応
によって1分子の鋳型核酸から1分子の相補鎖核酸が合
成されるはずであるが、実際には反応の中断等のために
これよりも低い効率で相補鎖が合成される。したがっ
て、その条件を改善することによって現行の反応よりも
高い効率で遺伝子増幅を行うことが期待される。
【0003】一方、遺伝子増幅反応によって生成された
増幅産物の解析法としては、増幅産物の鎖長とその量を
同時に知ることができる電気泳動法がよく使用されてい
る。電気泳動による増幅産物の解析は、反応後の溶液の
一部をとってこれに試料用色素緩衝液(ローディング・
バッファー)を添加し、電気泳動に供するのが一般的で
ある。このような試料用色素緩衝液は、泳動距離の指標
となる成分として色素(色素マーカー)、反応液をゲル
のウエル内に容易にアプライできるように反応液の比重
を増加させる成分としてグリセロール等を含んでいる。
多数の試料について遺伝子増幅法を実施し、その結果の
解析を電気泳動によって行う場合、個々の反応液を試料
用色素緩衝液と混合して電気泳動に供するのは非常に煩
雑な作業である。この作業は増幅反応が終った容器から
の反応液の採取、試料用色素緩衝液の添加、混合といっ
た一連の操作を要し、また、混合のための新たな容器も
必要である。更に操作中に試料を取り違えてしまう危険
もある。遺伝子増幅反応液に予め試料用色素緩衝液を加
えておき、遺伝子増幅反応後の反応液を直接電気泳動に
供することができれば、上記の煩雑さを解消し、能率よ
く作業を行うことができる。しかしながら、反応に悪影
響を与えることなく、反応開始前の遺伝子増幅反応液に
添加して使用可能な試料用色素緩衝液は存在しなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題を解決することが可能な遺伝子工学用試薬を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明はその成分として色素を含有する遺伝
子工学用色素含有剤に関し、下記(1)、(2)から選
択されることを特徴とする; (1)遺伝子増幅反応においてその反応の効率を向上さ
せる遺伝子増幅効率向上剤、(2)遺伝子増幅反応を阻
害せず、反応前の遺伝子増幅反応液に添加されることに
よって反応液を直接電気泳動に供することを可能にする
色素剤。次に、本発明の第2の発明は遺伝子増幅反応に
使用するための反応液に関し、第1の発明の遺伝子工学
用色素含有剤を含有することを特徴とする。更に、本発
明の第3の発明は遺伝子増幅反応を行うためのキットに
関し、第1の発明の遺伝子工学用色素含有剤、又は第2
の発明の遺伝子増幅反応液を含有することを特徴とす
る。
【0006】本発明者らは鋭意研究の結果、遺伝子増幅
反応液中に色素を添加して反応を行った場合に反応が促
進され、より多くの増幅産物が得られることを明らかに
した。また、色素を予め反応液に添加することにより、
反応液中の核酸の電気泳動による解析が簡便に行えるよ
うになることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の遺伝子工学用色素含有剤は、その有効成分
として色素を含有することを特徴とする。本発明に使用
することのできる色素には特に限定はないが、生化学分
野で汎用されている色素、例えばpH指示薬やタンパク
染色用試薬として使用されている色素等を使用すること
ができる。本発明に好適な色素としては、例えばオレン
ジG、ブロモフェノールブルー、ポンソーS、キシレン
シアノール、ファーストグリーンFCF、アミドブラッ
ク、メチルレッド等があり、これらは単独あるいは混合
された形で使用することができる。
【0008】本発明の遺伝子工学用色素含有剤として
は、遺伝子増幅反応においてその反応効率を向上させる
もの、すなわち遺伝子増幅効率向上剤として使用される
ものがある。該遺伝子増幅効率向上剤には遺伝子増幅反
応の効率を向上させる成分として上記の色素を使用する
ことができる。これらの色素のうちには高濃度で使用し
た場合に遺伝子増幅反応を阻害するものがあるが、本発
明の遺伝子増幅効率向上剤には、該色素が遺伝子増幅反
応の効率を向上させるのに効果のある濃度で反応液に添
加されるような濃度で含有されていればよい。また、本
発明の遺伝子増幅効率向上剤はpHを調整するための緩
衝成分、例えばトリス−塩酸等を含んでいてもよい。そ
のpHは、該遺伝子増幅効率向上剤が添加された反応液
のpHが通常遺伝子増幅反応が実施される範囲、例えば
pH8.3〜pH9.2の範囲となるように調整されて
いることが好ましい。
【0009】本明細書記載の「遺伝子増幅反応の効率」
は、一定の条件、すなわち一定の鋳型核酸やプライマー
の量、反応温度、反応時間において得られる増幅産物の
量を示す。本発明の遺伝子増幅効率向上剤を添加した反
応液を用いて遺伝子増幅反応を行うことにより、添加し
ない場合に比べて得られる増幅産物の量が増加する。ま
た、本発明の遺伝子増幅効率向上剤によって増幅可能な
核酸の鎖長が延長されることもあるが、この場合にもこ
れまでわずかな量しか、あるいは全く得られなかった長
鎖の増幅産物が豊富に得られるようになり、「遺伝子増
幅反応の効率」の向上が認められる。
【0010】本発明の遺伝子増幅効率向上剤は、上記の
ように予め反応液に添加して遺伝子増幅反応に使用され
る。該向上剤が添加可能な遺伝子増幅反応としては、特
に限定されるものではないが、例えばPCR法等が挙げ
られる。該向上剤はそこに含有される色素の終濃度が遺
伝子増幅反応に適した範囲となるような量を反応開始前
の反応液に添加して使用すればよい。該向上剤の使用に
より、これまでよりも少量の鋳型核酸からも十分な量の
増幅産物が得られるようになり、また、遺伝子の検出を
行う場合においてもその感度を向上させることができ
る。
【0011】遺伝子増幅効率に優れ、かつ長鎖のDNA
断片の増幅が可能なPCR技術としてLA PCR法が
知られている〔プロシーディングズ オブ ザ ナショ
ナルアカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ U
SA(Proc. Natl. Acad.Sci. USA)、第91巻、第2
216〜2220頁(1994)〕。該方法は性質の異
なる2種のDNAポリメラーゼを混合して使用するPC
R法であり、その特徴の一つとして、1種のDNAポリ
メラーゼの使用では増幅が困難な長鎖のDNAを増幅可
能なことが挙げられる。本発明の遺伝子増幅効率向上剤
は該方法における増幅効率の向上に特に有用である。
【0012】また、本発明の遺伝子工学用色素含有剤と
しては、反応前の遺伝子増幅反応液に添加されることに
よって反応液を直接電気泳動に供することを可能にする
色素剤がある。該色素剤は遺伝子増幅反応を阻害しない
ことを特徴とする。該色素剤を反応開始前の遺伝子増幅
反応液に添加することにより、反応終了後、反応液をそ
のまま電気泳動のゲルにアプライすることができる。す
なわち、この場合には反応終了後、電気泳動に先立って
反応液に試料用色素緩衝液を添加する必要がないため、
増幅産物を電気泳動によって解析する際に有用である。
該色素剤に含有される色素としては、電気泳動時にその
泳動状態を知るための目安となるよう陽極側に移動する
ものであれば特に限定はなく、1種、又は複数の色素を
組合せて使用すればよい。
【0013】電気泳動後の増幅産物の解析は、通常、ゲ
ルを適当な核酸染色用試薬で染色することによって実施
される。例えば、エチジウムブロマイドを使用する場合
には、染色したゲルを紫外線照射下に肉眼で観察、ある
いは写真撮影するか、適当な装置を使用した画像解析を
行う。色素のあるものは染色後のゲル中の増幅産物の確
認を困難にすることがあるが、本発明の色素剤において
はこのような性質を示さない濃度で使用することが望ま
しい。また、該色素剤に含有される色素の濃度は、反応
液中では遺伝子増幅反応を阻害せず、かつ電気泳動時に
は泳動距離の指標として目視可能な濃度であればよい。
反応液中での終濃度が、例えばオレンジGであれば0.
05〜0.5mg/ml、ブロモフェノールブルーでは0.
02〜0.2mg/ml、アミドブラックでは0.01〜
0.05mg/mlとなるように設定されるのが適当であ
る。更に、含有される色素が遺伝子増幅反応の効率を向
上させる作用を有するものは特に有用である。
【0014】本発明の色素剤はpHを調整するための緩
衝成分、例えばトリス−塩酸等を含んでいてもよい。そ
のpHは、該色素剤が添加された反応液のpHが通常遺
伝子増幅反応が実施される範囲、例えばpH8.3〜
9.2の範囲となるように調整されていることが好まし
い。
【0015】また、本発明の色素剤は反応液のゲルのウ
エルへの添加が容易となるよう、反応液の比重を高める
ような成分を含有するものであってもよい。このような
成分としては、例えばグリセロールやショ糖等を使用す
ることができる。その反応液中での濃度は遺伝子増幅反
応に悪影響を与えず、かつ反応液に適度な比重を与える
範囲であれば特に限定はない。なお、下記に例示した本
発明の遺伝子工学用色素含有剤はこのような成分を含有
していないが、これを添加した反応液は十分な比重を有
しており、電気泳動に供する上で不都合はない。更に、
該色素剤を含有する反応液はアガロース、アクリルアミ
ド等各種の電気泳動用ゲルに使用することが可能であ
る。
【0016】本発明の色素剤が添加可能な遺伝子増幅反
応としては、特に限定されるものではないが、例えばP
CR法が挙げられる。なお、本発明の色素剤は目的とす
る反応を阻害しない範囲で、遺伝子増幅以外の酵素反
応、例えばDNAの制限酵素消化反応等にも使用するこ
とが可能である。
【0017】本発明の遺伝子工学用色素含有剤の例とし
ては、例えば、10mMトリス−塩酸(pH8.3)、1
mg/mlオレンジG、0.2mg/mlブロモフェノールブル
ーという組成のものが挙げられる。該色素含有剤は遺伝
子増幅反応液に、その全量に対して5〜10%程度の量
を添加して使用される。例えば、反応開始前のPCR反
応液に該色素含有剤を添加して遺伝子増幅反応を行った
場合には、該色素含有剤が添加されない場合に比べて増
幅される産物の量が増加する。また、この反応液は反応
終了後に直接電気泳動に供することが可能である。
【0018】上記のように、本発明の遺伝子工学用色素
剤は、例えばその適量を遺伝子増幅反応液に添加して使
用されるが、遺伝子増幅反応に必要な各種の成分と、本
発明の遺伝子工学用色素剤とを混合した反応液を調製し
ておくことにより、簡便に遺伝子増幅反応を実施するこ
とができる。このような遺伝子増幅反応液としては、例
えばPCR法に使用するものの場合は、反応に適したp
Hを維持するための緩衝成分(トリス−塩酸等)、Mg
Cl2 、基質となるデオキシリボヌクレオチド三リン酸
(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、及び本
発明の遺伝子工学用色素剤を含むものが例示される。更
にDNAポリメラーゼを含有するものでもよい。また増
幅の対象となる遺伝子が特定のものであれば、該遺伝子
を増幅するためのプライマーを含んでいてもよい。これ
らの各成分の濃度は、最終的に反応液が調製された際
に、それぞれ遺伝子増幅反応に適した濃度となるように
設定されていればよい。
【0019】本発明の遺伝子工学用色素剤、並びに本発
明の遺伝子工学用色素剤を含有する遺伝子増幅反応液
は、種々の遺伝子増幅反応に利用することができる。し
たがって試験管内での遺伝子増幅を行うためのキット、
例えば、PCRキット等に本発明の遺伝子工学用色素剤
又は本発明の遺伝子増幅反応液を添付することにより、
これらキットの性能を改善することができる。このよう
なキットとしては、例えばDNAポリメラーゼや核酸合
成の基質であるデオキシリボヌクレオチド三リン酸、M
gCl2 と言った遺伝子増幅反応に必要な試薬と本発明
の遺伝子工学用色素剤とを含むもの等が挙げられる。
【0020】以上に説明したとおり、本発明により、遺
伝子増幅反応を始め種々の遺伝子工学的実験操作におい
て有用な遺伝子工学用色素剤が提供される。本発明の遺
伝子工学用色素剤は、種々の遺伝子増幅反応に利用可能
であり、例えばPCR法によるDNAの増幅等に利用で
きる。この遺伝子工学用色素剤を利用して遺伝子増幅を
実施することにより、反応後に得られる増幅産物の量の
増加、並びに遺伝子の検出感度の向上を達成することが
できる。また、増幅産物の検出、確認を含む一連の遺伝
子増幅操作を簡便、かつ効率よく行うことができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例をもって更に具体的に本発明を
説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるもので
はない。
【0022】実施例1 PCR反応液中に添加可能な色
素濃度の確認 オレンジG、ブロモフェノールブルー(BPB)、アミ
ドブラックの3種の色素に関して、その濃度がPCRの
効率、及び電気泳動に与える影響を調べた。以下の組成
の反応液にオレンジGとブロモフェノールブルーはそれ
ぞれ終濃度0.01〜1mg/ml、またアミドブラックは
終濃度0.001〜1mg/mlの範囲で反応液に添加し
た。反応液組成(最終容量50μl 中):1ngのλ D
NA(宝酒造社製)、各10pmolのプライマーλ1及び
プライマーλ2(配列表の配列番号1及び2にそれぞれ
プライマーλ1とλ2の塩基配列を示す)、5μl のE
x Taq添付10倍濃度反応緩衝液(宝酒造社製)、
終濃度各0.25mMのdATP、dCTP、dGTP及
びdTTP、1.25単位のEx Taq(宝酒造社
製)。こうして調製した反応液を94℃、30秒〜55
℃、30秒〜72℃、30秒を1サイクルとした30サ
イクルの反応に付した。反応終了後、反応液のうちの8
μl を直接1%アガロースゲル(アガロースL03、宝
酒造社製)にアプライし、泳動時の色素が目視できるか
どうかを観察し、また、泳動後のゲルをエチジウムブロ
マイドで染色してDNAの増幅の状態を調べた。この結
果を表1に示す。
【0023】
【表1】 表 1 ───────────────────────────────── 終濃度 オレンジG BPB アミドブラック ──────────────────────── (mg/ml) 増幅 目視 増幅 目視 増幅 目視 ───────────────────────────────── 1.0 − × − × − × 0.5 △ ○ − × − × 0.2 ○ ○ △ ○ − × 0.1 ○ ○ ○ ○ − ○ 0.05 ○ △ ○ △ △ ○ 0.02 ○ − ○ △ ○ ○ 0.01 ○ − ○ − ○ △ 0.005 ○ − 0.002 ○ − 0.001 ○ − ─────────────────────────────────
【0024】 増幅 ○:多量の増幅産物が見られる △:増幅産物が見られる −:増幅産物は見られない 目視 ○:色素の濃さは泳動状態の確認に適している △:色素は薄いが泳動状態の確認は可能 −:色素を視認できない ×:色素が濃すぎて泳動状態がわかりづらい
【0025】表1に示されるようにオレンジG、ブロモ
フェノールブルー、アミドブラックはそれぞれ反応液中
の終濃度として0.05〜0.5mg/ml、0.02〜
0.2mg/ml、0.01〜0.05mg/mlの範囲でPC
Rを阻害せず、また、泳動中はこれらの色素を泳動状態
の指標として利用可能であった。このように、これらの
色素を使用することによって増幅反応の効率を低下させ
ることなく、反応後の遺伝子増幅反応液を直接電気泳動
に供すること可能であることが示された。
【0026】実施例2 反応液を直接電気泳動に供する
ことを可能にする遺伝子工学用色素含有剤 ヒトβ−グロビン遺伝子の一部の110bpの領域を増幅
するためのプライマー対であるプライマーPC03とP
C04(配列表の配列番号3及び4にそれぞれプライマ
ーPC03とPC04の塩基配列を示す)、同じくヒト
β−グロビン遺伝子の一部の262bpの領域を増幅する
ためのプライマー対であるプライマーKM29とKM3
8(配列表の配列番号5及び6にそれぞれプライマーK
M29とKM38の塩基配列を示す)、同じくヒトβ−
グロビン遺伝子の一部の408bpの領域を増幅するため
のプライマー対であるプライマーGH20とGH21
(配列表の配列番号7及び8にそれぞれプライマーGH
20とGH21の塩基配列を示す)、ヒトN−ras/
61遺伝子の一部の103bpの領域を増幅するためのプ
ライマー対であるプライマー N-ras/61 F と N-ras/61
R(配列表の配列番号9及び10にそれぞれプライマー
N-ras/61 F と N-ras/61 R の塩基配列を示す)、ヒト
β−アクチン遺伝子の一部の261bpの領域を増幅する
ためのプライマー対であるプライマーβ-actin F1 とβ
-actin R2(配列表の配列番号11及び12にそれぞれ
プライマーβ-actin F1 とβ-actin R2の塩基配列を示
す)をそれぞれ合成した。10倍濃度の遺伝子工学用色
素含有剤〔10mMトリス−塩酸(pH8.3)、1mg/
mlオレンジG、0.2mg/mlブロモフェノールブルー〕
を調製し、これを上記の標的遺伝子を増幅するためのP
CR反応液に添加し、その反応への影響を調べた。PC
R反応液の組成(最終容量は50μl 、濃度による表示
は終濃度を示す)を以下に示す。:それぞれ10pmolの
上記の各プライマー対、100ngの精製ヒトゲノムDN
A、10mMのトリス−塩酸(pH8.3)、50mMのK
Cl、1.5mMのMgCl2 、各0.2mMのdATP、
dCTP、dGTP及びdTTP、5μl の10倍濃度
遺伝子工学用色素含有剤、及び1.25単位のTaqD
NAポリメラーゼ(宝酒造社製)。各反応液について9
4℃、30秒〜55℃、30秒〜72℃、30秒を1サ
イクルとして30サイクルの反応を行った。また、コン
トロールとして、各標的遺伝子について上記の遺伝子工
学用色素含有剤を添加しない反応も並行して行った。反
応後、増幅産物の解析をヌシーブ(NuSieve)
3:1アガロース(FMC社製)を使用した3%アガロ
ースゲル電気泳動により行った。本発明の遺伝子工学用
色素含有剤が添加された反応液はその8μl を直接、ま
たコントロールの反応液はその8μl をサンプリングし
て1.6μl の試料用色素緩衝液(2.5mg/mlブロモ
フェノールブルー、2.5mg/mlキシレンシアノール、
30%グリセロール)と混合した後ゲルにアプライし
た。この際、遺伝子工学用色素含有剤を含むPCR反応
液は直接ゲルにアプライしても不都合なくウェル内に沈
降し、また、電気泳動中は反応液に含まれる2種類の色
素も目視可能であり泳動距離の指標とすることができ
た。電気泳動終了後のゲルをエチジウムブロマイド染色
して増幅されたDNAを検出した。遺伝子工学用色素含
有剤を添加した反応液と添加しなかった反応液について
増幅されたDNA断片の量を比較したところ、5種類の
プライマー対すべてで遺伝子工学用色素含有剤の添加の
有無による増幅DNA量の差は見られなかった。このよ
うに、上記の遺伝子工学用色素含有剤はPCRを全く阻
害しないことが確認された。
【0027】実施例3 色素の添加による遺伝子増幅の
反応効率の向上 各種の色素がPCR反応液に添加された場合の遺伝子増
幅反応の効率への影響を、反応液中に添加する鋳型DN
A量を減らした反応系を用いて確認した。色素としてオ
レンジG、ブロモフェノールブルー、アミドブラック
を、またPCRに使用する酵素としてはTaKaRa
Ex Taq(宝酒造社製)を使用した。鋳型として
2.5ng、250pg、あるいは25pgのλ DNA(宝
酒造社製)を含む以下の組成の反応液(最終容量は50
μl )を調製した。:各10pmolのプライマーλL36
及びプライマーMBR202(配列表の配列番号13、
14にそれぞれプライマーλL36、MBR202の塩
基配列を示す)、5μl のEx Taq添付10倍濃度
反応緩衝液、終濃度各0.25mMのdATP、dCT
P、dGTP及びdTTP、5μl の色素水溶液、1.
25単位のEx Taq。なお各色素水溶液の濃度は、
その反応液中の終濃度がオレンジGについては0.1mg
/ml、0.05mg/ml、0.02mg/mlの3通り、ブロ
モフェノールブルーについては0.02mg/ml、0.0
1mg/ml、0.005mg/mlの3通り、アミドブラック
については0.02mg/ml、0.01mg/mlの2通りと
なるよう調製した。また、コントロールとして色素水溶
液を添加しない反応液も調製した。こうして調製した反
応液を94℃、1分の加熱処理の後、98℃、10秒〜
68℃、15分を1サイクルとした30サイクルの反応
を行い、更に72℃、10分の処理に付した。反応終了
後、実施例1同様に反応液を1%アガロースゲル(アガ
ロースL03)電気泳動に供し、電気泳動後のゲルをエ
チジウムブロマイドで染色することにより増幅されたD
NAを検出した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】 表 2 ────────────────────────────────── λ DNA添加量 2.5ng 250pg 25pg ────────────────────────────────── コントロール ++ + − オレンジG 0.1mg/ml ++ + − 0.05mg/ml ++ ++ ± 0.02mg/ml ++ ++ + ブロモフェノールブルー 0.02mg/ml ++ ++ + 0.01mg/ml ++ ++ + 0.005mg/ml ++ ++ + アミドブラック 0.02mg/ml ++ ++ ± 0.01mg/ml ++ + ± ──────────────────────────────────
【0029】 ++:多量の増幅産物が見られる + :増幅産物が見られる ± :わずかな増幅産物が見られる − :増幅産物は見られない
【0030】表2に示されるように、色素の種類やその
濃度によって強弱はあるが、いずれの色素においてもコ
ントロールの反応液に比べて遺伝子増幅反応の効率の向
上が見られた。すなわち、これらの色素が遺伝子増幅反
応の効率を向上させる作用を有していることが明らかと
なった。
【0031】実施例4 2種の色素を含有する遺伝子工
学用色素含有剤による遺伝子増幅の反応効率の向上 実施例2で調製された2種類の色素を含有する遺伝子工
学用色素含有剤について、その遺伝子増幅反応効率への
影響を以下の実験により確認した。PCRに使用する酵
素としてはTaKaRa Ex Taqを使用した。鋳
型として2.5ng、250pg、あるいは25pgのλ D
NAを含む以下の組成の反応液(最終容量は50μl )
を調製した。:各10pmolのプライマーλL36及びプ
ライマーMBR202、5μl のEx Taq添付10
倍濃度反応緩衝液、各0.25mMのdATP、dCT
P、dGTP及びdTTP、5μl の10倍濃度遺伝子
工学用色素含有剤〔10mMトリス−塩酸(pH8.
3)、1mg/mlオレンジG、0.2mg/mlブロモフェノ
ールブルー〕、2.5単位のEx Taq。また、コン
トロールとして遺伝子工学用色素含有剤を添加しない反
応液も調製した。こうして調製した反応液を94℃、1
分の加熱処理の後、98℃、10秒〜68℃、15分を
1サイクルとした30サイクルの反応を行い、更に72
℃、10分の処理に付した。反応終了後、実施例1同様
に反応液を1%アガロースゲル(アガロースL03)電
気泳動に供し、電気泳動後のゲルをエチジウムブロマイ
ドで染色することにより増幅されたDNAを検出した。
コントロールの反応液では2.5ngのλ DNAを含む
反応液のみで約35kbの増幅産物が見られるのに対し、
本発明の遺伝子工学用色素含有剤を添加されたものでは
25pgのλ DNAでも増幅産物が確認された。この結
果より、上記の遺伝子工学用色素含有剤において、優れ
た遺伝子増幅効率向上効果が見られることが明らかとな
った。
【0032】実施例5 遺伝子増幅用キットの作製 PCR法により高い効率で標的遺伝子の増幅を行うこと
が可能であり、また、反応後の反応液を直接電気泳動に
供することが可能な、本発明の遺伝子工学用色素含有剤
を含む遺伝子増幅用キットを作製した。10mMトリス−
塩酸(pH8.3)、1mg/mlオレンジG、0.2mg/
mlブロモフェノールブルーの組成の試薬を調製し、これ
をA剤(遺伝子工学用色素含有剤)とした。次にTaK
aRa Ex Taq(宝酒造社製)より10μl をと
り、これをB剤(酵素剤)とした。また、該製品添付の
10倍濃度反応緩衝液、及びdNTP混合液よりそれぞ
れ100μl をとり、これらをそれぞれC剤、D剤とし
た。これらA剤〜D剤を組合せて、50μl の反応液に
して20反応分の遺伝子増幅用キットを作製した。50
μl のPCR反応液当りのA剤〜D剤の使用量はそれぞ
れ5μl 、0.5μl 、5μl 、5μl である。
【0033】
【発明の効果】本発明により、遺伝子増幅反応等の遺伝
子工学的実験操作において有用な遺伝子工学用色素剤が
提供される。この遺伝子工学用色素剤を利用して遺伝子
増幅を実施することにより、反応後に得られる増幅産物
の量の増加、並びに遺伝子の検出感度の向上を達成する
ことができる。また、増幅産物の検出、確認を含む一連
の遺伝子増幅操作を簡便、かつ効率よく行うことができ
る。
【0034】
【配列表】
【0035】配列番号1 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GATGAGTTCG TGTCCGTACA ACT 23
【0036】配列番号2 配列の長さ: 配列の型:核酸25 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GGTTATCGAA ATCAGCCACA GCGCC 25
【0037】配列番号3 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: ACACAACTGT GTTCACTAGC 20
【0038】配列番号4 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: CAACTTCATC CACGTTCACC 20
【0039】配列番号5 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GGTTGGCCAA TCTACTCCCA GG 22
【0040】配列番号6 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: TGGTCTCCTT AAACCTGTCT TG 22
【0041】配列番号7 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GAAGAGCCAA GGACAGGTAC 20
【0042】配列番号8 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GGAAAATAGA CCAATAGGCA G 21
【0043】配列番号9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GGTGAAACCT GTTTGTTGGA 20
【0044】配列番号10 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: ATACACAGAG GAAGCCTTCG 20
【0045】配列番号11 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: AGGCACCAGG GCGTGATGGT 20
【0046】配列番号12 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GGTCTCAAAC ATGATCTGGG 20
【0047】配列番号13 配列の長さ:36 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GGGCGGCGAC CTCGCGGGTT TTCGCTATTT ATGAAA 36
【0048】配列番号14 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:1 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GCGCACAAAA CCATAGATTG CTCTTCTGTA AGG 33
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)、(2)より選択される遺伝
    子工学用色素含有剤; (1)遺伝子増幅反応においてその反応の効率を向上さ
    せる遺伝子増幅効率向上剤、(2)遺伝子増幅反応を阻
    害せず、反応前の遺伝子増幅反応液に添加されることに
    よって反応液を直接電気泳動に供することを可能にする
    色素剤。
  2. 【請求項2】 ポリメラーゼ・チェーン・リアクション
    法によって行われる遺伝子増幅反応に使用されることを
    特徴とする請求項1記載の遺伝子工学用色素含有剤。
  3. 【請求項3】 オレンジG、ブロモフェノールブルー、
    ポンソーS、キシレンシアノール、ファーストグリーン
    FCF、アミドブラック、メチルレッドから選択される
    色素を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の
    遺伝子工学用色素含有剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺
    伝子工学用色素含有剤を含有する遺伝子増幅反応液。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺
    伝子工学用色素含有剤、又は請求項4記載の遺伝子増幅
    反応液を含有する遺伝子増幅用キット。
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JP2013506413A (ja) * 2009-10-02 2013-02-28 フィンザイムズ・オサケユキテュア 反応混合液および関連製品の調製方法

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JP2021168673A (ja) * 2009-10-02 2021-10-28 サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック・バルティクス・ユーエイビーThermo Fisher Scientific Baltics Uab 反応混合液および関連製品の調製方法

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