JPH1180667A5 - - Google Patents
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- JPH1180667A5 JPH1180667A5 JP1997241432A JP24143297A JPH1180667A5 JP H1180667 A5 JPH1180667 A5 JP H1180667A5 JP 1997241432 A JP1997241432 A JP 1997241432A JP 24143297 A JP24143297 A JP 24143297A JP H1180667 A5 JPH1180667 A5 JP H1180667A5
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Description
【発明の名称】表面処理剤、表面処理剤組成物、および表面処理された基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記含フッ素シリコーン化合物(A)および/または下記含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物からなる表面処理剤。
含フッ素シリコーン化合物(A):下式1で表される1価含フッ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、下式2で表される1価含ケイ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を含む含フッ素シリコーン化合物。
ただし、式1および式2中の記号は、以下の意味を示す。
Rf :エーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基。
X:炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入されていてもよい2価炭化水素基。
R1 :1価有機基。
Y:加水分解性基、または、イソシアネート基。
a:1以上の整数。
b:1、2、または3。
−X−Rf ・・・式1
−(CH2 )a Si(R1 )3−b (Y)b ・・・式2
【請求項2】含フッ素シリコーン化合物(A)が下式3で表される化合物である請求項1記載の表面処理剤。
ただし、式3中の記号は以下の意味を示す。また、式3におけるオルガノシロキサン単位の連なり方は、ブロックであってもランダムであってもよい。
R5 :下式1で表される1価含フッ素有機基。
R7 :下式2で表される1価含ケイ素有機基。
R2 、R3 、R4 、R6 、R8 、R9 、R10、R11、R12、およびR13:それぞれ独立に1価有機基を示し、下式1で表される1価含フッ素有機基または下式2で表される1価含ケイ素有機基であってもよい。
n:1以上の整数。
m:1以上の整数。
k:0以上の整数。
Rf 、X、R1 、Y、a、およびb:それぞれ、請求項1における意味と同じ意味。
【化1】
−X−Rf ・・・式1
−(CH2 )a Si(R1 )3−b (Y)b ・・・式2
【請求項3】請求項1または2記載の表面処理剤および有機溶剤を含有する表面処理剤組成物。
【請求項4】請求項3記載の表面処理剤組成物を基板表面に付着させ、つぎに乾燥することにより形成された被膜で表面が被覆された、表面処理された基板。
【請求項5】請求項3記載の表面処理剤組成物を基板表面に付着させ、つぎに、室温で乾燥させることを特徴とする表面処理された基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板表面に優れた撥水性、水滴転落性を付与しうる表面処理剤、および該表面処理剤を含む表面処理剤組成物、該組成物により表面処理された基板、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス、プラスチックス、セラミックス、金属等の各種基材、また、表面処理層を有する各種基材は各種分野で使用されているが、基材表面での水のもたらす悪影響が問題となっている。
【0003】
たとえば、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外板、窓ガラス、鏡表示機器表面材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、その他の物品の表面は常に清浄であることが好ましい。なぜなら、輸送機器物品の表面に雨滴、ほこり、汚れ等が付着したり、大気中の湿度、温度の影響で水分が凝縮すると、外観が損なわれる問題がある。また、人の目に直接触れる表面であったり、人が直接接する表面であると、不快感や衛生上の問題も生じる。さらには、輸送機器物品が有する本来の機能を著しく低下させることになる。特に、輸送機器用物品が透明性、透視性を要求される物品(たとえば、窓ガラス、鏡等)である場合には、透明性、透視性の低減はその物品の本来の目的を達成できないことになり、重大事故を誘発原因となる可能性がある。
【0004】
ほこり、汚れ、水等を除去するための手段(たとえば、拭きとり、ワイパーによる除去)は、表面に微細な傷を付けることがある。また、ほこり、汚れ、水等にともなわれる異物粒子が傷を一層著しいものにすることもある。さらに、ガラス表面に水分が付着した場合には水分中にガラス成分が溶出し、表面が浸食される(いわゆる焼けを生じる)ことはよく知られている。この焼けを除去するために強く摩擦することは表面に微細な凸凹を生じさせることにつながる。また、焼けが激しく生じたガラスや、表面に微細な凸凹を生じたガラスからなる透視部は、本来の機能が低下し、また、その表面での光の散乱が激しく、視野確保の点で不都合が生じるため安全性の点でも問題がある。
【0005】
その他にも、ほこり、汚れ、水は輸送機器物品の表面に有害な影響を与えて、損傷、汚染、着色、腐食等を促進させ、また、輸送機器物品の電気特性、機械特性、光学的特性等の変化を誘発することもある。この種の悪影響は輸送機器物品に限らず、建築・建装用物品、電気・電子機器用物品等各種の分野で問題となっている。
【0006】
こうした問題を解決するために、従来より、水滴の付着をなくし、その悪影響を排除する性質(以下これらを単に撥水性という)を基材表面に付与することが強く求められている。
たとえば、シリコーン系ワックスやオルガノシロキサン化合物、界面活性剤等を直接塗布して撥水性を付与する以下の提案が従来よりなされている。
【0007】
アルキルポリシロキサンおよび酸よりなる撥水組成物(特公昭50−15473)、有機溶媒および金属ハロゲン化物からなる撥水性処理剤(特開昭55−9652)、塩素原子含有シロキサン化合物を含有する撥水組成物(特開昭55−78080、特開昭55−90580)、アミノ変性シリコーンオイルと界面活性剤とを含有する撥水剤組成物(特開平5−301742)、フルオロアルキルシラン、不溶性微粉末、アルコール系溶剤および酸またはアルカリよりなる撥水剤組成物(特開平8−277388)等。
【0008】
しかし、従来の撥水処理剤組成物は、塗布時にムラが発生しやすかったり、基材への付着性が不足するため、防汚性を長く長期間持続させられず、適用範囲が限定されていた。また、すでに使用されている物品に防汚性を付与する場合には、各物品に常温で直接塗布するだけで防汚性を付与する必要がある。たとえば、すでに市販されている自動車用フロントガラスに処理を行う場合、各自動車のフロントガラスを全て入れ替えることは経済的な理由からできない。また、塗布後に自動車全体を焼成することは現実的に不可能である。しかし、従来提案された処理剤においては常温で直接塗布するだけの撥水処理では性能の点から問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来の撥水剤が有する欠点を解消し、多種類の基材に対して優れた撥水性、特に優れた水滴の転がり性を付与できる表面処理剤、および該表面処理剤により処理された基材かつその製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を含有する表面処理剤で基板表面を処理することにより、撥水性、水滴の転落性、密着性(耐久性)、耐摩耗性かつ耐薬品性に優れた基板が得られることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記含フッ素シリコーン化合物(A)および/または下記含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物を必須成分として含有する表面処理剤である。
含フッ素シリコーン化合物(A):オルガノシロキサン単位が2個以上重合した化合物であり、該オルガノシロキサン単位として、下式1で表される1価含フッ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、下式2で表される1価含ケイ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を含む含フッ素シリコーン化合物。
【0012】
ただし、式1および式2中の記号は、以下の意味を示す。
Rf :エーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基。
X:炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入されていてもよい2価炭化水素基。
R1 :1価有機基。
Y:加水分解性基、または、イソシアネート基。
a:1以上の整数。
b:1、2、または3。
【0013】
−X−Rf ・・・式1
−(CH2 )a Si(R1 )3−b (Y)b ・・・式2
【0014】
【発明の実施の形態】
本明細書における「有機基」は炭素原子を含む基を意味する。
また、本明細書における「炭化水素基」は、「エーテル性の酸素原子を含む」等の記載がない限りは、炭素原子と水素原子のみからなる基をいう。炭化水素基は、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基のいずれでもよいが、脂肪族炭化水素基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。
【0015】
含フッ素シリコーン化合物(A)は、シロキサン結合に有機基が結合したオルガノシロキサン単位が2個以上重合した化合物である。そして、該オルガノシロキサン単位として、1価含フッ素有機基(式1)がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、1価含ケイ素有機基(式2)がケイ素原子に直接結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を必須とする化合物である。
【0016】
1価含フッ素有機基(式1)におけるRf は、エーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基を示す。
1価ポリフルオロ炭化水素基としては、エーテル性の酸素原子を含んでいても含まなくてもよい。エーテル性の酸素原子を含まない1価ポリフルオロ炭化水素基とは、1価炭化水素基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいい、ポリフルオロアルキル基が好ましい。
【0017】
1価ポリフルオロ炭化水素基中のフッ素原子の割合は、(1価ポリフルオロ炭化水素基中のフッ素原子数)/(1価ポリフルオロ炭化水素基に対応する同一炭素原子数の炭化水素基中の水素原子数)×100(%)で表現した場合に60%以上であるのが好ましく、特には80%以上が好ましく、さらには実質的に100%である場合、すなわち1価炭化水素基の水素原子の実質的に全てがフッ素原子に置換された「1価パーフルオロ炭化水素基」であるのが好ましい。
【0018】
また、1価ポリフルオロ炭化水素基は、直鎖、分岐のいずれの構造であってもよく、直鎖の構造が特に好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分の炭素原子数1〜3程度の短鎖であるのが好ましく、分岐部分が1価ポリフルオロ炭化水素基の末端部分に存在している構造が好ましい。1価ポリフルオロ炭化水素基の炭素数は1〜18が好ましく、特に4〜12が好ましい。
【0019】
さらに、1価ポリフルオロ炭化水素基は、ポリフルオロアルキル基が好ましく、ペルフルオロアルキル基が好ましい。ポリフルオロアルキル基の炭素数は1〜18が好ましく、特に4〜12が好ましい。
【0020】
1価ポリフルオロ炭化水素基の具体例としては以下に示す例が挙げられる。なお、以下の具体例中には、それぞれの構造異性の基に相当する基も含まれる。
C4 F9 −{ただし、CF3 (CF2 )3 −、(CF3 )2 CFCF2 −、(CF3 )3 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−等の構造異性の基を含む}、C5 F11−{ただし、CF3 (CF2 )4 −、(CF3 )2 CF(CF2 )2 −、(CF3 )3 CCF2 −、CF3 (CF2 )2 CF(CF3 )−等の構造異性の基を含む}、C6 F13−{ただし、CF3 (CF2 )2 C(CF3 )2 −等の構造異性の基を含む}、C8 F17−、C10F21−、C12F25−、C14F29−、C16F33−、C18F37−、C20F41−、(CF3 )2 CF(CF2 )s −(sは0または1以上の整数)、HCt F2t−(tは1以上の整数)。
【0021】
また、エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基とは、上記の1価ポリフルオロ炭化水素基中の炭素−炭素結合間、または、上記の1価ポリフルオロ炭化水素基とXとの間にエーテル性の酸素原子が挿入された基をいい、1価ポリフルオロ炭化水素基中の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入された基が好ましい。
【0022】
エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基としては、ポリフルオロオキシアルキレン部分を含む基が好ましく、特にペルフルオロオキシアルキレン部分を含む基が好ましく、とりわけ、ペルフルオロオキシアルキレン部分を含み、かつ、末端がペルフルオロアルキル基である基が好ましい。該ペルフルオロオキシアルキレンとしては、ペルフルオロオキシメチレン、ペルフルオロオキシエチレン、ペルフルオロオキシプロピレン、ペルフルオロオキシブチレン等が挙げられる。
【0023】
エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基の具体例としては、以下に示す例が挙げられる。
CF3 (CF2 )4 OCF(CF3 )−、
F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 CF2 −(uは1以上の整数)、
F[CF(CF3 )CF2 O]y CF(CF3 )−(yは1以上の整数)、
F(CF2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −(vは1以上の整数)、
(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −(wは1以上の整数)。
【0024】
また、式1で表される1価含フッ素有機基中のXは、炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい2価炭化水素基を示す。
炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を含まない2価炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、直鎖または分岐のいずれの構造であってもよいが、本発明においては−(CH2 )i −(ここで、iは1〜20の整数、好ましくは2〜8の整数である。)で表される直鎖のアルキレン基が好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分の炭素原子数が1〜3程度の短鎖のものが好ましい。炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を含む2価炭化水素基としては、上記アルキレン基の炭素−炭素結合間の1か所にエーテル性の酸素原子が挿入された基が好ましい。
【0025】
1価含フッ素有機基(式1)は、下式1a、下式1b、または下式1cで表される1価含フッ素有機基であるのが好ましい。
ただし、式1a、式1b、および式1c中の記号は、下記の意味を示す。
Rf1、Rf3:それぞれ独立に、1価ポリフルオロ炭化水素基。
Rf2:エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基。
X1 、X2 、X3 、X4 、およびX5 :それぞれ独立に、2価炭化水素基。
【0026】
R f1−X1 − ・・・式1a
Rf2−X2 −O−X3 −・・・式1b
Rf3−X4 −O−X5 −・・・式1c
【0027】
Rf1、Rf2、Rf3は、それぞれ、上記のエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基の好ましい態様として説明した基が好ましい。X1 、X2 、X3 、X4 、およびX5 は、それぞれ独立に、−(CH2 )h −(ここで、hは1〜10の整数、好ましくは2〜4の整数である。)で表される直鎖のアルキレン基が好ましい。
【0028】
さらに、1価含フッ素有機基(式1)は、下式1a’、下式1b’、または下式1c’で表される1価含フッ素有機基であるのが好ましい。
ただし、式1a’、式1b’、および式1c’中の記号は、下記の意味を示す。
【0029】
d:1〜18の整数、好ましくは6〜12の整数。
e:1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数。
g:1〜18の整数、好ましくは4〜12の整数。
X1 、X2 、X3 、X4 、X5 :それぞれ独立に、2価炭化水素基、好ましくは直鎖アルキレン基。
【0030】
【化2】
【0031】
式1a’の具体例を挙げる。下式中のペルフルオロアルキル基は、直鎖構造であるのが好ましい。
C4 F9 −(CH2 )2 −、
C4 F9 −(CH2 )3 −、
C4 F9 −(CH2 )4 −、
C5 F11−(CH2 )2 −、
C5 F11−(CH2 )3 −、
C6 F13−(CH2 )2 −、
C8 F17−(CH2 )2 −、
C8 F17−(CH2 )3 −、
C8 F17−(CH2 )4 −、
C9 F19−(CH2 )2 −、
C9 F19−(CH2 )3 −、
C10F21−(CH2 )2 −。
【0032】
式1bまたは式1b’の具体例を挙げる。
F[CF(CF3 )CF2 O]2 CF(CF3 )CH2 O(CH2 )3 −、
F[CF(CF3 )CF2 O]4 CF(CF3 )CH2 O(CH2 )3 −、
F(CF2 CF2 CF2 O)2 CF2 CF2 CH2 O(CH2 )3 −。
【0033】
式1c’の具体例を挙げる。ただし、下式中のペルフルオロアルキル基は直鎖構造であるのが好ましい。
C4 F9 −(CH2 )2 −O−(CH2 )3 −、
C6 F13−(CH2 )2 −O−(CH2 )3 −、
C8 F17−(CH2 )2 −O−(CH2 )3 −、
C8 F17−(CH2 )3 −O−(CH2 )3 −。
【0034】
1価含ケイ素有機基(式2)におけるR1 は1価炭化水素基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。これらアルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、特に1〜4が好ましく、とりわけ1(すなわちR1 はメチル基)であるのが好ましい。アルキル基は、直鎖の構造が好ましい。
【0035】
また、1価含ケイ素有機基(式2)におけるYは加水分解性基、または、イソシアネート基(−NCO)を示す。加水分解性基としては、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が例示され、なかでもメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
aは1〜3の整数が好ましく、特に3が好ましい。bは2または3が好ましく、特に2が好ましい。
【0036】
1価含ケイ素有機基(式2)は、加水分解性基またはイソシアネート基を含む基である。1価含ケイ素有機基(式2)の具体例を挙げる。
−(CH2 )2 Si(OCH3 )3 、
−(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
−(CH2 )2 SiCl3 、
−(CH2 )3 SiCl3 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2 、
−(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )(OC2 H5 )2 、
−(CH2 )3 Si(OCH3 )3 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
−(CH2 )2 Si(NCO)3 、
−(CH2 )3 Si(NCO)3 、
−(CH2 )2 Si(CH3 )(NCO)2 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )(NCO)2 。
【0037】
含フッ素シリコーン化合物(A)におけるオルガノシロキサン単位は、上記1価含フッ素有機基(式1)がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、上記1価含ケイ素有機基(式2)がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を含む。
【0038】
含フッ素シリコーン化合物(A)中には、オルガノシロキサン単位として、オルガノシロキサン単位(A1 )およびオルガノシロキサン単位(A2 )以外のオルガノシロキサン単位(A3 )を含んでいてもよい。
【0039】
オルガノシロキサン単位(A3 )は、1価含フッ素有機基(式1)および1価含ケイ素有機基(式2)以外の有機基(以下、「他の有機基」と記す。)のみがケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位である。
【0040】
該他の有機基としては、1価炭化水素基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。これらアルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、特に1〜4が好ましく、とりわけ1(すなわち、メチル基)が好ましい。また、アルキル基は、直鎖の構造が好ましい。
【0041】
オルガノシロキサン単位(A1 )としては、(R20)(A10)SiO2/2 、(A10)2 SiO2/2 、(A10)SiO3/2 、(A10)3 SiO1/2 、(R20)(R14)(A10)SiO1/2 、(R20)2 (A10)SiO1/2 [ただし、A10は1価含フッ素有機基(式1)を示し、R20およびR14は、それぞれ独立に、1価有機基を示し、他の有機基が好ましい。]が挙げられる。
【0042】
オルガノシロキサン単位(A2 )としては、(R15)(B10)SiO2/2 、(B10)2 SiO2/2 、(B10)SiO3/2 、(B10)3 SiO1/2 、(R15)(R16)(B10)SiO1/2 、(R15)2 (B10)SiO1/2 [ただし、B10は1価含ケイ素有機基(式2)を示し、R15およびR16は、それぞれ独立に、1価有機基を示し、他の有機基が好ましい。]が挙げられる。
【0043】
オルガノシロキサン単位(A3 )としては、(R17)(R18)SiO2/2 、(R17)SiO3/2 、(R17)(R18)(R19)SiO1/2 [ただし、R17、R18、およびR19は、それぞれ独立に、他の有機基が好ましい。]が挙げられる。
【0044】
含フッ素シリコーン化合物(A)は、オルガノシロキサン単位が2個以上重合した構造を含む化合物である。重合したオルガノシロキサン単位の連なり方は、直鎖状または分岐状であるのが好ましく、特に直鎖状が好ましい。フッ素シリコーン化合物(A)が直鎖の構造である場合、1価含フッ素有機基(式1)、および、1価含ケイ素有機基(式2)の結合位置としては特に限定されず、SiO1/2 単位またはSiO2/2 単位のいずれに結合していてもよく、SiO2/2 単位に結合するのが好ましい。
【0045】
また、フッ素シリコーン化合物(A)が分岐の構造である場合には、ケイ原子に1価有機基が結合していないシロキサン単位(SiO4/2 単位)を含んでいてもよい。
【0046】
本発明における、含フッ素シリコーン化合物(A)としては、下記化合物が好ましい。ただし、下式中における記号は、以下の意味を示す。
R5 :式1で表される1価含フッ素有機基。
R7 :式2で表される1価含ケイ素有機基。
R2 、R3 、R4 、R6 、R8 、R9 、R10、R11、R12、およびR20:それぞれ独立に1価有機基を示し、式1で表される1価含フッ素有機基または式2で表される1価含ケイ素有機基であってもよい。
n:1以上の整数。
m:1以上の整数。
k:0以上の整数。
Rf 、X、R1 、Y、a、およびb:上記と同じ意味。
【0047】
【化3】
【0048】
ただし、上記の含フッ素シリコーン化合物(A)におけるオルガノシロキサン単位の連なり方は、ブロックであってもランダムであってもよい。
【0049】
上記の含フッ素シリコーン化合物(A)のうち、本発明においては、特に式3で表される化合物が好ましい。さらに、式3におけるR2 、R3 、R4 、R6 、R8 、R9 、R10、R11、R12、およびR20は、1価含フッ素有機基(式1)または1価含ケイ素有機基(式2)以外の他の有機基である場合が好ましく、特にメチル基であるのが好ましい。また、nは1〜30が好ましく、特に2〜20が好ましい。mは1〜10が好ましく、特に1〜5が好ましい。kは0〜100が好ましく、特に0〜80が好ましい。なお、kが0である場合は、(R9 )(R10)Si02/2 単位は、存在しないことを意味する。nとmとkとの比(n/m/k)はフッ素含有量によって適宜変更されうるが、好ましくは(50〜0.1)/1/(100〜1)であり、特には(30〜0.1)/1/(50〜1)が好ましい。
【0050】
さらに、含フッ素シリコーン化合物(A)は、常温で流動状態にある化合物が好ましいため、分子量は4×102 〜1×106 程度が好ましく、より好ましくは1×103 〜1×104 である。
【0051】
含フッ素シリコーン化合物(A)中のフッ素含有量は5〜80重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。含フッ素シリコーン化合物(A)中の1価含ケイ素有機基(式2)の数としては、1〜20が好ましく、特に1〜10が好ましい。
【0052】
式3で表される含フッ素シリコーン化合物(A)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。ただし、下式中、A11は、−(CH2 )3 OCH2 CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]3 Fを示す。
【0053】
【0054】
【0055】
含フッ素シリコーン化合物(A)の製造方法としては、公知の方法が採用できる。たとえば1価含フッ素有機基(式1)が結合した環状ポリシロキサン、1価含ケイ素有機基(式2)が結合した環状ポリシロキサン、および必要に応じて他の有機基が結合した環状ポリシロキサンとを、ジシロキサンとともに共加水分解する方法(特開平8−302020)が挙げられる。
【0056】
また、1価含ケイ素有機基(式2)が結合した環状ポリシロキサン、水素原子が結合した環状ポリシロキサン、およびジシロキサンとを共加水分解する等の方法で、ケイ素原子に直接結合した水素原子および1価含ケイ素有機基(式2)を有するヒドロシリコーン化合物とし、このヒドロシリコーン化合物に下式4または5で表される化合物等をヒドロシリル化する方法も採用できる。
【0057】
ただし、式4および式5中のX6 およびX7 は、それぞれ独立して、単結合または2価炭化水素基を示し、単結合またはアルキレン基が好ましい。
Rf −X6 −CH2 CH=CH2 ・・・式4
Rf −X7 −O−CH2 CH=CH2 ・・・式5
【0058】
本発明は、上記の含フッ素シリコーン化合物(A)および/または含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物からなる表面処理剤である。
本発明の含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物とは、含フッ素シリコーン化合物(A)と水が反応して生成する化合物をいう。具体的には、含フッ素シリコーン化合物(A)が有する加水分解性基の一部または全部が水と反応してOH基に変化した化合物、または該OH基に変化した化合物間で脱水縮合してSi−O−Si結合を形成することにより生成した化合物等が例示される。
【0059】
含フッ素シリコーン化合物(A)を加水分解する方法としては公知の方法が使用できる。
たとえば、含フッ素シリコーン化合物(A)と水とを単に混合する方法、含フッ素シリコーン化合物(A)と水を酸の存在下で混合する方法、含フッ素シリコーン化合物(A)と水をアルカリの存在下で混合する方法等がある。
【0060】
本発明の場合、撥水撥油剤または該組成物としての寿命、膜物性等の観点から、酸の存在下での加水分解が好ましい。加水分解に必要な水の量に限定はないが、含フッ素シリコーン化合物に存在する加水分解性基の等モル以上、500倍モル以下が好ましい。また、酸は硝酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸等が好適に用いられる。酸量は、水に対して0.05〜10重量%が好ましい。あまり酸量が多いと、作業時の安全性に問題が生じるからである。加水分解後の酸は、そのまま組成物中に残留していてもよく、また、中和および脱塩等の方法で除去してもよい。いずれにしても、組成物中に残留する酸量は、組成物の安定性等の点から0.05〜0.3重量%とするのが好ましい。
【0061】
上記加水分解は、含フッ素シリコーン化合物(A)、水および酸等だけで実施してもよいが、各種有機溶剤の存在下で実施するのがよい。有機溶剤量は含フッ素シリコーン化合物(A)が全体の0.05〜10重量%となるような量を用いるのが好ましい。
【0062】
加水分解時に用いる有機溶剤としては、酢酸エステル系、含フッ素系、炭化水素系、アルコール系、ケトン系の有機溶剤が好ましく、特に酢酸エステル系、アルコール系が好適である。加水分解時に用いる有機溶剤の好ましい態様は、後述する組成物中に含ませる有機溶剤の好ましい態様と同一である。該有機溶剤としては、効率の点から後述する組成物中に含ませる有機溶剤と同一のものを用いるのが好ましい。
【0063】
本発明における含フッ素シリコーン化合物(A)は1種または2種以上を用いうる。また、含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物は、1種または2種以上の含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物であってもよく、さらに、含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物は1種であっても、2種以上であってもよい。
【0064】
本発明の表面処理剤は、上記の含フッ素シリコーン化合物(A)および/または下記含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物からなるものである。該表面処理剤は、そのままを表面処理してもよく、必要に応じて他の化合物を含ませて組成物としてから表面処理してもよく、組成物としてから表面処理するのが好ましい。すなわち、本発明においては、上記表面処理剤は、表面処理剤を必須成分とする表面処理剤組成物として用いるのが好ましい。
【0065】
表面処理剤組成物は、上記表面処理剤および有機溶剤を含有する表面処理剤組成物が好ましい。有機溶剤としては、酢酸ブチル、酢酸エチル等の酢酸エステル系の有機溶剤、ペルフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)、ペルフルオロ(トリ−n−ブチルアミン)等の含フッ素系溶剤、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤等が好ましい。含フッ素シリコーン化合物(A)におけるYが加水分解性基である場合の有機溶剤は、アルコール系溶剤とするのが好ましく、Yがイソシアネート基である場合の有機溶剤は、酢酸エステル系の有機溶剤とするのが好ましい。
【0066】
組成物中に含ませる有機溶剤量は、含フッ素シリコーン化合物(A)と含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物の濃度が0.05〜10重量%であるのが好ましい。
【0067】
また、表面処理剤組成物中には添加剤を含ませてもよい。添加剤としては含フッ素シリコーン化合物(A)または/および含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物との反応性、相溶性を考慮して選択すればよく、たとえば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化スズ等の金属酸化物の超微粒子、各種樹脂等が挙げられる。着色が必要であれば、染料、顔料等を加えてもよい。この他に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加も支障ない。
【0068】
また、導電性、帯電防止性等を付与したい場合には、目的に応じた抵抗値の得られる材料[酸化スズ、ITO(In2 O3 −SnO2 )、酸化亜鉛等]も添加できる。添加剤の添加量は目的によるが、0.01〜20重量%がよく、過剰な添加は、本発明の被膜の水滴転落性、耐摩耗性を低下させる。
【0069】
本発明の処理剤組成物は、基板表面に付着させ、つぎに乾燥することにより、表面処理するのが好ましい。該処理にあたっては、特別な前処理は必要ないが、目的に応じて行うことは別段問題なく、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等によるアルカリ処理、フッ酸水溶液、塩酸水溶液による酸処理、またはプラズマ照射、コロナ放電等による放電処理、酸化セリウム、アルミナ等の各種研磨剤による研磨処理/ブラスト処理を行うことができる。
【0070】
本発明の表面処理剤組成物は、通常の方法、たとえば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スプレー塗布、スキージ塗布、各種印刷塗布等の方法によって基材表面に処理できる。本発明の表面処理剤は、0℃〜50℃程度の常温の大気中での乾燥のみで優れた性能を発現するため、経済的に優れた特徴を有する。また、乾燥速度を速める目的や効果の持続性を高める目的で加熱処理してもよい。
加熱条件は、基材の耐熱性を考慮して選択すればよく、加熱する場合の温度は60〜400℃程度が好ましく、加熱する時間は1〜60分程度が好ましい。
【0071】
本発明の表面処理剤組成物によって得られる被膜の厚さは特に限定されないが、極力薄いものであることが好ましい。膜厚は単分子膜厚以上かつ2μm以下が好ましく、特に単分子膜厚以上0.1μm以下が好ましい。被膜の厚さは、表面処理剤組成物の成分濃度、塗布条件、加熱条件等により適宜制御できる。
【0072】
また、本発明の表面処理剤組成物より得られる被膜は、低屈折率であるため、低反射性も付与可能であり、かかる効果を期待するのであれば、被膜の膜厚を光学干渉が生じる膜厚に制御すればよい。
さらに、本発明の表面処理剤組成物より得られる被膜は、表面滑り性にも優れており、本効果により摩耗に対する耐久性が高いものと推定される。
【0073】
基材としては、たとえば、ガラス、プラスチックス、金属、セラミックス、その他の無機材料や有機材料またはその組み合わせ(複合材料、積層材料等)等が挙げられる。また、基材の表面は基材そのものの表面であってもよく、塗装金属等の塗膜表面や表面処理ガラスの表面処理層表面(たとえば、ゾルゲル膜、スパッタ膜、CVD膜、蒸着膜等が設けられた表面)など、基材表面に存在する基材とは異なる材質の表面であってもよい。基材の形状としては平面に限らず、全面または部分的に曲率を有するものなど目的に応じた任意な形状でもよい。
【0074】
本発明の表面処理剤組成物は常温処理でも性能を発現するため、すでに何らかの用途に使用されている基材に対しても処理ができ、撥水性、水滴除去性等の機能を付与できる。したがって、これまでにない幅広い範囲での応用ができる。
【0075】
本発明において特に有効な基材は、ガラス等の透明な材料からなる基材であり、適当な物品とはそれらを装着した物品である。したがって、本発明の表面処理剤組成物で処理された基材は、輸送機器用物品、建築・建装用の物品に用いられるのが特に好ましい。
【0076】
輸送機器用物品としては、電車、バス、トラック、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外板、窓ガラス、鏡、視界確保用(CCD)レンズ、表示機器表面材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、その他の輸送機器に使用される物品、または使用された部品、構成部材等が挙げられる。
【0077】
該物品は表面処理された基材のみからなるものでもよく、表面処理された基材が組み込まれたものでもよい。たとえば、前者として自動車用の窓ガラス等が、後者としてガラス鏡が組み込まれた自動車用バックミラー部材等が挙げられる。
【0078】
輸送機器用物品としては、電車のボディ、窓ガラス、パンタグラフ等、自動車、バス、トラック等のボディ、フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ミラー、バンパー等、船舶、航空機等のボディ、窓ガラス等が例示できる。
【0079】
表面処理剤組成物で処理された基材や物品においては、撥水性により表面に付着する水滴がはじかれ、特に走行に伴って、受ける風圧との相互作用によって、表面上を急速に移動し、水滴としてとどまることなく、水分が誘発する悪影響を排除できる。特に、窓ガラス等の透視野部での用途では、水滴の飛散により視野の確保が非常に容易となり車両の安全性向上につながる。したがって、本発明の表面処理剤組成物を処理する被処理物としては、輸送機器用の窓ガラスが特に好ましい。
【0080】
本発明の表面処理剤組成物を処理して得られる被膜は、特に水滴転落性に優れるため、風圧との相互作用がほとんど期待できない低速走行時、または停止時でも視界確保が容易となるため非常に安全性向上への寄与は大きい。さらに、この性能は、1価ポリフルオロ有機基とケイ素原子と、該ケイ素原子に直接結合した加水分解性基またはイソシアネート基とを有する公知化合物からなる表面処理剤、または、該化合物の加水分解生成物からなる表面処理剤よりも優れる。
【0081】
また、仮に水滴が氷結するような環境下でも氷結せず、仮に氷結したとしても解凍は著しく速い。さらに、水滴の付着がほとんどないため、定期的清浄作業回数を低減でき、しかも、清浄は容易で美観保護の点からも非常に有利である。
【0082】
また、建築・建装用物品としては、建築物に取り付けられる物品、すでに建築物に取り付けられた物品、または建築物に取り付けられていなくてもそれとともに使用される建築用物品、たとえば、家具、什器などの建築用物品およびそれらの物品構成要素である基材(ガラス窓)等が挙げられる。
【0083】
具体的には、窓ガラス板、窓ガラス、屋根用ガラス板やガラス屋根等の各種屋根、ドア用ガラス板やそれがはめ込まれたドア、間仕切り用ガラス板、温室用ガラス板や温室、ガラスの代わりに使用される透明プラスチック板やそれを有する上記のような建築用物品(窓材、屋根材など)、セラミックス、セメント、金属その他の材料からなる壁材、鏡やそれを有する家具、陳列棚やショーケース用のガラス等が挙げられる。また、建築、建装用物品は表面処理された基材のみからなるものでもよく、表面処理された基材が組み込まれたものでもよい。たとえば、前者として窓用ガラス板があり、後者としてガラス鏡が組み込まれた家具がある。
【0084】
表面処理された基材においては、撥水性により表面に接触した水がはじかれ、付着し難く、たとえ付着してもその量は少なく、また、付着した水滴の除去も容易である。また、水滴が氷結するような環境下でも氷結せず、仮に氷結したとしても解凍は著しく容易である。さらには、水滴の付着がほとんどないため、定期的清浄作業回数を低減でき、しかも清浄は容易であり、美観保護の観点からも有利である。
【0085】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらに限定されない。実施例における各種評価方法は以下のとおりである。
【0086】
[撥水性]水の接触角を測定した。
[水滴転落性]水平(角度0°)に保持したサンプル基板に50μlの水滴を滴下後、サンプル基板を傾けていき、水滴が転がり始めたときの基板と水平面との角度を読み取った。
【0087】
[水滴残存性]垂直に立てたサンプルに対して20cmの距離に保持したノズルから水を全面に1時間スプレーした後、サンプル表面に残存する水滴を肉眼で観察し、A:サンプル表面に水滴がまったく残らない、B:サンプル表面に水滴が少し残る、C:サンプル表面に水滴がかなり残る、D:サンプル表面で水滴が濡れ広がる、という基準で評価した。
[撥水耐久性の評価]沸騰水中に6時間浸漬した後の、撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した。
【0088】
[使用した含フッ素シリコーン化合物]
【0089】
【化4】
【0090】
【化5】
【0091】
【化6】
【0092】
[実施例1]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに2−プロパノール50.0g、酢酸ブチル44.0g、含フッ素シリコーン化合物(a)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌した。ついで、0.6重量%の硝酸水溶液を3.0g添加し、1昼夜、25℃で撹拌して処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げ、サンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0093】
[実施例2〜5]
実施例1における含フッ素シリコーン化合物(a)を(b)[実施例2]、(c)[実施例3]、(d)[実施例4]、(f)[実施例5]に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0094】
[実施例6]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに酢酸ブチル97.0g、含フッ素シリコーン化合物(h)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌後、1昼夜、25℃で撹拌して処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げ、サンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0095】
[実施例7]
実施例6における含フッ素シリコーン化合物(h)を(j)に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0096】
[実施例8]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに酢酸ブチル97.0g、含フッ素シリコーン化合物(i)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌後、1昼夜、25℃で撹拌して処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げ、サンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0097】
[比較例1]
実施例1における含フッ素シリコーン化合物(a)を(g)に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0098】
[実施例9]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに2−プロパノール97.0g、含フッ素シリコーン化合物(e)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌し、処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げた後、200℃で30分間加熱乾燥してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0099】
[実施例10〜12]
実施例9における含フッ素シリコーン化合物(e)を(a)[実施例10]、(b)[実施例11]、(c)[実施例12]に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0100】
[実施例13]
実施例2で得られたサンプルを200℃で30分加熱してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0101】
[実施例14〜21]
実施例1[実施例14]、実施例2[実施例15]、実施例3[実施例16]、実施例4[実施例17]、実施例6[実施例18]、実施例7[実施例19]、実施例8[実施例20]、実施例10[実施例21]で得られたサンプル基板を下表2または表3に示す薬品に24時間浸漬し、浸漬後の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した。結果を表2または表3に示す。
【0102】
[実施例22〜29]
実施例1[実施例22]、実施例2[実施例23]、実施例3[実施例24]、実施例4[実施例25]、実施例6[実施例26]、実施例7[実施例27]、実施例8[実施例28]、実施例10[実施例29]で得られたサンプルを荷重1kgでネル布にて1500回往復摩耗した。摩耗試験後の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した結果を表4に示す。
【0103】
[実施例30]
実施例8の方法で自動車用フロント合わせガラス表面に処理を行った後、該合わせガラスを自動車に装着した。この自動車を1ヶ月間実際に使用して、フロント表面での汚れ、ほこりの付着状態、また、雨天時においては水滴の付着状態を肉眼で観察した。
【0104】
その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付着による水垢の発生は見られず、まれにそれらの発生があってもティッシュペーパーを用いて軽く拭けば容易に除去できた。また、雨天時には、表面で水滴がはじかれ、走行による風圧との相互作用により水滴はすみやかに移動し、ワイパーを使用することなく、視野が確保された。また、停車時においても水滴の転がり性がよいため、水滴が自重により転落して、ワイパーを用いなくても視野の確保が容易であった。さらに、未処理のフロント合わせガラスに付着する水滴が氷結するような環境下での走行テストにおいてフロントガラスでの氷結はまったく見られなかった。
【0105】
[実施例31]
実施例30においてフロント合わせガラスをサイドガラス、リアガラス、サイドミラーに変更して行ったところ、実施例30と同様の効果が確認できた。
【0106】
[実施例32]
すでに常用して3年が経過した自動車用フロントガラスの表面を酸化セリウム水溶液で研磨し、水洗し乾燥した。洗浄したフロント合わせガラスを基板として実施例7の方法で処理した。この自動車を用いて実施例30と同様の走行試験を実施したところ、同様の効果が確認された。
【0107】
[実施例33]
実施例8の方法で建築用窓ガラスの表面に塗布し、被膜を形成した。こうして得られた窓ガラスを家に取り付けた。この窓ガラス表面への汚れ、ほこりの付着状態を観察した。
【0108】
その結果、汚れ、水垢の発生は見られず、まれにそれらの発生が認められてもティッシュペーパーで軽く拭けば簡単に除去できた。また、雨天時には、表面の水滴がはじかれ転落するので特に風の強い日には風圧との相互作用ですみやかに水滴が移動し、視界の確保が容易であった。さらに、未処理の窓ガラスに付着する水滴が氷結するような環境下でのテストにおいても該窓ガラスでの氷結はまったく見られなかった。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【発明の効果】
本発明の表面処理剤を含む表面処理剤組成物は、基材表面に優れた撥水性、水滴転落性、水滴残存防止効果、および防汚性を付与する。本発明の表面処理剤により付与された効果は、長期にわたって持続しうる。
【0114】
また、本発明の表面処理剤組成物は、常温での処理、および加熱処理の両方が可能であり、汎用性の点においても優れる。さらに、一度使用された基材に、常温かつ簡単に処理することができ、その場合にも優れた上記効果を発揮しうるため、修復剤(リペア剤)としても使用しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記含フッ素シリコーン化合物(A)および/または下記含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物からなる表面処理剤。
含フッ素シリコーン化合物(A):下式1で表される1価含フッ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、下式2で表される1価含ケイ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を含む含フッ素シリコーン化合物。
ただし、式1および式2中の記号は、以下の意味を示す。
Rf :エーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基。
X:炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入されていてもよい2価炭化水素基。
R1 :1価有機基。
Y:加水分解性基、または、イソシアネート基。
a:1以上の整数。
b:1、2、または3。
−X−Rf ・・・式1
−(CH2 )a Si(R1 )3−b (Y)b ・・・式2
【請求項2】含フッ素シリコーン化合物(A)が下式3で表される化合物である請求項1記載の表面処理剤。
ただし、式3中の記号は以下の意味を示す。また、式3におけるオルガノシロキサン単位の連なり方は、ブロックであってもランダムであってもよい。
R5 :下式1で表される1価含フッ素有機基。
R7 :下式2で表される1価含ケイ素有機基。
R2 、R3 、R4 、R6 、R8 、R9 、R10、R11、R12、およびR13:それぞれ独立に1価有機基を示し、下式1で表される1価含フッ素有機基または下式2で表される1価含ケイ素有機基であってもよい。
n:1以上の整数。
m:1以上の整数。
k:0以上の整数。
Rf 、X、R1 、Y、a、およびb:それぞれ、請求項1における意味と同じ意味。
【化1】
−X−Rf ・・・式1
−(CH2 )a Si(R1 )3−b (Y)b ・・・式2
【請求項3】請求項1または2記載の表面処理剤および有機溶剤を含有する表面処理剤組成物。
【請求項4】請求項3記載の表面処理剤組成物を基板表面に付着させ、つぎに乾燥することにより形成された被膜で表面が被覆された、表面処理された基板。
【請求項5】請求項3記載の表面処理剤組成物を基板表面に付着させ、つぎに、室温で乾燥させることを特徴とする表面処理された基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板表面に優れた撥水性、水滴転落性を付与しうる表面処理剤、および該表面処理剤を含む表面処理剤組成物、該組成物により表面処理された基板、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス、プラスチックス、セラミックス、金属等の各種基材、また、表面処理層を有する各種基材は各種分野で使用されているが、基材表面での水のもたらす悪影響が問題となっている。
【0003】
たとえば、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外板、窓ガラス、鏡表示機器表面材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、その他の物品の表面は常に清浄であることが好ましい。なぜなら、輸送機器物品の表面に雨滴、ほこり、汚れ等が付着したり、大気中の湿度、温度の影響で水分が凝縮すると、外観が損なわれる問題がある。また、人の目に直接触れる表面であったり、人が直接接する表面であると、不快感や衛生上の問題も生じる。さらには、輸送機器物品が有する本来の機能を著しく低下させることになる。特に、輸送機器用物品が透明性、透視性を要求される物品(たとえば、窓ガラス、鏡等)である場合には、透明性、透視性の低減はその物品の本来の目的を達成できないことになり、重大事故を誘発原因となる可能性がある。
【0004】
ほこり、汚れ、水等を除去するための手段(たとえば、拭きとり、ワイパーによる除去)は、表面に微細な傷を付けることがある。また、ほこり、汚れ、水等にともなわれる異物粒子が傷を一層著しいものにすることもある。さらに、ガラス表面に水分が付着した場合には水分中にガラス成分が溶出し、表面が浸食される(いわゆる焼けを生じる)ことはよく知られている。この焼けを除去するために強く摩擦することは表面に微細な凸凹を生じさせることにつながる。また、焼けが激しく生じたガラスや、表面に微細な凸凹を生じたガラスからなる透視部は、本来の機能が低下し、また、その表面での光の散乱が激しく、視野確保の点で不都合が生じるため安全性の点でも問題がある。
【0005】
その他にも、ほこり、汚れ、水は輸送機器物品の表面に有害な影響を与えて、損傷、汚染、着色、腐食等を促進させ、また、輸送機器物品の電気特性、機械特性、光学的特性等の変化を誘発することもある。この種の悪影響は輸送機器物品に限らず、建築・建装用物品、電気・電子機器用物品等各種の分野で問題となっている。
【0006】
こうした問題を解決するために、従来より、水滴の付着をなくし、その悪影響を排除する性質(以下これらを単に撥水性という)を基材表面に付与することが強く求められている。
たとえば、シリコーン系ワックスやオルガノシロキサン化合物、界面活性剤等を直接塗布して撥水性を付与する以下の提案が従来よりなされている。
【0007】
アルキルポリシロキサンおよび酸よりなる撥水組成物(特公昭50−15473)、有機溶媒および金属ハロゲン化物からなる撥水性処理剤(特開昭55−9652)、塩素原子含有シロキサン化合物を含有する撥水組成物(特開昭55−78080、特開昭55−90580)、アミノ変性シリコーンオイルと界面活性剤とを含有する撥水剤組成物(特開平5−301742)、フルオロアルキルシラン、不溶性微粉末、アルコール系溶剤および酸またはアルカリよりなる撥水剤組成物(特開平8−277388)等。
【0008】
しかし、従来の撥水処理剤組成物は、塗布時にムラが発生しやすかったり、基材への付着性が不足するため、防汚性を長く長期間持続させられず、適用範囲が限定されていた。また、すでに使用されている物品に防汚性を付与する場合には、各物品に常温で直接塗布するだけで防汚性を付与する必要がある。たとえば、すでに市販されている自動車用フロントガラスに処理を行う場合、各自動車のフロントガラスを全て入れ替えることは経済的な理由からできない。また、塗布後に自動車全体を焼成することは現実的に不可能である。しかし、従来提案された処理剤においては常温で直接塗布するだけの撥水処理では性能の点から問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来の撥水剤が有する欠点を解消し、多種類の基材に対して優れた撥水性、特に優れた水滴の転がり性を付与できる表面処理剤、および該表面処理剤により処理された基材かつその製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を含有する表面処理剤で基板表面を処理することにより、撥水性、水滴の転落性、密着性(耐久性)、耐摩耗性かつ耐薬品性に優れた基板が得られることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記含フッ素シリコーン化合物(A)および/または下記含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物を必須成分として含有する表面処理剤である。
含フッ素シリコーン化合物(A):オルガノシロキサン単位が2個以上重合した化合物であり、該オルガノシロキサン単位として、下式1で表される1価含フッ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、下式2で表される1価含ケイ素有機基がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を含む含フッ素シリコーン化合物。
【0012】
ただし、式1および式2中の記号は、以下の意味を示す。
Rf :エーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基。
X:炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入されていてもよい2価炭化水素基。
R1 :1価有機基。
Y:加水分解性基、または、イソシアネート基。
a:1以上の整数。
b:1、2、または3。
【0013】
−X−Rf ・・・式1
−(CH2 )a Si(R1 )3−b (Y)b ・・・式2
【0014】
【発明の実施の形態】
本明細書における「有機基」は炭素原子を含む基を意味する。
また、本明細書における「炭化水素基」は、「エーテル性の酸素原子を含む」等の記載がない限りは、炭素原子と水素原子のみからなる基をいう。炭化水素基は、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基のいずれでもよいが、脂肪族炭化水素基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。
【0015】
含フッ素シリコーン化合物(A)は、シロキサン結合に有機基が結合したオルガノシロキサン単位が2個以上重合した化合物である。そして、該オルガノシロキサン単位として、1価含フッ素有機基(式1)がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、1価含ケイ素有機基(式2)がケイ素原子に直接結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を必須とする化合物である。
【0016】
1価含フッ素有機基(式1)におけるRf は、エーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基を示す。
1価ポリフルオロ炭化水素基としては、エーテル性の酸素原子を含んでいても含まなくてもよい。エーテル性の酸素原子を含まない1価ポリフルオロ炭化水素基とは、1価炭化水素基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいい、ポリフルオロアルキル基が好ましい。
【0017】
1価ポリフルオロ炭化水素基中のフッ素原子の割合は、(1価ポリフルオロ炭化水素基中のフッ素原子数)/(1価ポリフルオロ炭化水素基に対応する同一炭素原子数の炭化水素基中の水素原子数)×100(%)で表現した場合に60%以上であるのが好ましく、特には80%以上が好ましく、さらには実質的に100%である場合、すなわち1価炭化水素基の水素原子の実質的に全てがフッ素原子に置換された「1価パーフルオロ炭化水素基」であるのが好ましい。
【0018】
また、1価ポリフルオロ炭化水素基は、直鎖、分岐のいずれの構造であってもよく、直鎖の構造が特に好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分の炭素原子数1〜3程度の短鎖であるのが好ましく、分岐部分が1価ポリフルオロ炭化水素基の末端部分に存在している構造が好ましい。1価ポリフルオロ炭化水素基の炭素数は1〜18が好ましく、特に4〜12が好ましい。
【0019】
さらに、1価ポリフルオロ炭化水素基は、ポリフルオロアルキル基が好ましく、ペルフルオロアルキル基が好ましい。ポリフルオロアルキル基の炭素数は1〜18が好ましく、特に4〜12が好ましい。
【0020】
1価ポリフルオロ炭化水素基の具体例としては以下に示す例が挙げられる。なお、以下の具体例中には、それぞれの構造異性の基に相当する基も含まれる。
C4 F9 −{ただし、CF3 (CF2 )3 −、(CF3 )2 CFCF2 −、(CF3 )3 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−等の構造異性の基を含む}、C5 F11−{ただし、CF3 (CF2 )4 −、(CF3 )2 CF(CF2 )2 −、(CF3 )3 CCF2 −、CF3 (CF2 )2 CF(CF3 )−等の構造異性の基を含む}、C6 F13−{ただし、CF3 (CF2 )2 C(CF3 )2 −等の構造異性の基を含む}、C8 F17−、C10F21−、C12F25−、C14F29−、C16F33−、C18F37−、C20F41−、(CF3 )2 CF(CF2 )s −(sは0または1以上の整数)、HCt F2t−(tは1以上の整数)。
【0021】
また、エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基とは、上記の1価ポリフルオロ炭化水素基中の炭素−炭素結合間、または、上記の1価ポリフルオロ炭化水素基とXとの間にエーテル性の酸素原子が挿入された基をいい、1価ポリフルオロ炭化水素基中の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入された基が好ましい。
【0022】
エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基としては、ポリフルオロオキシアルキレン部分を含む基が好ましく、特にペルフルオロオキシアルキレン部分を含む基が好ましく、とりわけ、ペルフルオロオキシアルキレン部分を含み、かつ、末端がペルフルオロアルキル基である基が好ましい。該ペルフルオロオキシアルキレンとしては、ペルフルオロオキシメチレン、ペルフルオロオキシエチレン、ペルフルオロオキシプロピレン、ペルフルオロオキシブチレン等が挙げられる。
【0023】
エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基の具体例としては、以下に示す例が挙げられる。
CF3 (CF2 )4 OCF(CF3 )−、
F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 CF2 −(uは1以上の整数)、
F[CF(CF3 )CF2 O]y CF(CF3 )−(yは1以上の整数)、
F(CF2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −(vは1以上の整数)、
(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −(wは1以上の整数)。
【0024】
また、式1で表される1価含フッ素有機基中のXは、炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい2価炭化水素基を示す。
炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を含まない2価炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、直鎖または分岐のいずれの構造であってもよいが、本発明においては−(CH2 )i −(ここで、iは1〜20の整数、好ましくは2〜8の整数である。)で表される直鎖のアルキレン基が好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分の炭素原子数が1〜3程度の短鎖のものが好ましい。炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を含む2価炭化水素基としては、上記アルキレン基の炭素−炭素結合間の1か所にエーテル性の酸素原子が挿入された基が好ましい。
【0025】
1価含フッ素有機基(式1)は、下式1a、下式1b、または下式1cで表される1価含フッ素有機基であるのが好ましい。
ただし、式1a、式1b、および式1c中の記号は、下記の意味を示す。
Rf1、Rf3:それぞれ独立に、1価ポリフルオロ炭化水素基。
Rf2:エーテル性の酸素原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基。
X1 、X2 、X3 、X4 、およびX5 :それぞれ独立に、2価炭化水素基。
【0026】
R f1−X1 − ・・・式1a
Rf2−X2 −O−X3 −・・・式1b
Rf3−X4 −O−X5 −・・・式1c
【0027】
Rf1、Rf2、Rf3は、それぞれ、上記のエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基の好ましい態様として説明した基が好ましい。X1 、X2 、X3 、X4 、およびX5 は、それぞれ独立に、−(CH2 )h −(ここで、hは1〜10の整数、好ましくは2〜4の整数である。)で表される直鎖のアルキレン基が好ましい。
【0028】
さらに、1価含フッ素有機基(式1)は、下式1a’、下式1b’、または下式1c’で表される1価含フッ素有機基であるのが好ましい。
ただし、式1a’、式1b’、および式1c’中の記号は、下記の意味を示す。
【0029】
d:1〜18の整数、好ましくは6〜12の整数。
e:1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数。
g:1〜18の整数、好ましくは4〜12の整数。
X1 、X2 、X3 、X4 、X5 :それぞれ独立に、2価炭化水素基、好ましくは直鎖アルキレン基。
【0030】
【化2】
【0031】
式1a’の具体例を挙げる。下式中のペルフルオロアルキル基は、直鎖構造であるのが好ましい。
C4 F9 −(CH2 )2 −、
C4 F9 −(CH2 )3 −、
C4 F9 −(CH2 )4 −、
C5 F11−(CH2 )2 −、
C5 F11−(CH2 )3 −、
C6 F13−(CH2 )2 −、
C8 F17−(CH2 )2 −、
C8 F17−(CH2 )3 −、
C8 F17−(CH2 )4 −、
C9 F19−(CH2 )2 −、
C9 F19−(CH2 )3 −、
C10F21−(CH2 )2 −。
【0032】
式1bまたは式1b’の具体例を挙げる。
F[CF(CF3 )CF2 O]2 CF(CF3 )CH2 O(CH2 )3 −、
F[CF(CF3 )CF2 O]4 CF(CF3 )CH2 O(CH2 )3 −、
F(CF2 CF2 CF2 O)2 CF2 CF2 CH2 O(CH2 )3 −。
【0033】
式1c’の具体例を挙げる。ただし、下式中のペルフルオロアルキル基は直鎖構造であるのが好ましい。
C4 F9 −(CH2 )2 −O−(CH2 )3 −、
C6 F13−(CH2 )2 −O−(CH2 )3 −、
C8 F17−(CH2 )2 −O−(CH2 )3 −、
C8 F17−(CH2 )3 −O−(CH2 )3 −。
【0034】
1価含ケイ素有機基(式2)におけるR1 は1価炭化水素基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。これらアルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、特に1〜4が好ましく、とりわけ1(すなわちR1 はメチル基)であるのが好ましい。アルキル基は、直鎖の構造が好ましい。
【0035】
また、1価含ケイ素有機基(式2)におけるYは加水分解性基、または、イソシアネート基(−NCO)を示す。加水分解性基としては、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が例示され、なかでもメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
aは1〜3の整数が好ましく、特に3が好ましい。bは2または3が好ましく、特に2が好ましい。
【0036】
1価含ケイ素有機基(式2)は、加水分解性基またはイソシアネート基を含む基である。1価含ケイ素有機基(式2)の具体例を挙げる。
−(CH2 )2 Si(OCH3 )3 、
−(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
−(CH2 )2 SiCl3 、
−(CH2 )3 SiCl3 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2 、
−(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )(OC2 H5 )2 、
−(CH2 )3 Si(OCH3 )3 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
−(CH2 )2 Si(NCO)3 、
−(CH2 )3 Si(NCO)3 、
−(CH2 )2 Si(CH3 )(NCO)2 、
−(CH2 )3 Si(CH3 )(NCO)2 。
【0037】
含フッ素シリコーン化合物(A)におけるオルガノシロキサン単位は、上記1価含フッ素有機基(式1)がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A1 )、および、上記1価含ケイ素有機基(式2)がケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位(A2 )を含む。
【0038】
含フッ素シリコーン化合物(A)中には、オルガノシロキサン単位として、オルガノシロキサン単位(A1 )およびオルガノシロキサン単位(A2 )以外のオルガノシロキサン単位(A3 )を含んでいてもよい。
【0039】
オルガノシロキサン単位(A3 )は、1価含フッ素有機基(式1)および1価含ケイ素有機基(式2)以外の有機基(以下、「他の有機基」と記す。)のみがケイ素原子に結合したオルガノシロキサン単位である。
【0040】
該他の有機基としては、1価炭化水素基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。これらアルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、特に1〜4が好ましく、とりわけ1(すなわち、メチル基)が好ましい。また、アルキル基は、直鎖の構造が好ましい。
【0041】
オルガノシロキサン単位(A1 )としては、(R20)(A10)SiO2/2 、(A10)2 SiO2/2 、(A10)SiO3/2 、(A10)3 SiO1/2 、(R20)(R14)(A10)SiO1/2 、(R20)2 (A10)SiO1/2 [ただし、A10は1価含フッ素有機基(式1)を示し、R20およびR14は、それぞれ独立に、1価有機基を示し、他の有機基が好ましい。]が挙げられる。
【0042】
オルガノシロキサン単位(A2 )としては、(R15)(B10)SiO2/2 、(B10)2 SiO2/2 、(B10)SiO3/2 、(B10)3 SiO1/2 、(R15)(R16)(B10)SiO1/2 、(R15)2 (B10)SiO1/2 [ただし、B10は1価含ケイ素有機基(式2)を示し、R15およびR16は、それぞれ独立に、1価有機基を示し、他の有機基が好ましい。]が挙げられる。
【0043】
オルガノシロキサン単位(A3 )としては、(R17)(R18)SiO2/2 、(R17)SiO3/2 、(R17)(R18)(R19)SiO1/2 [ただし、R17、R18、およびR19は、それぞれ独立に、他の有機基が好ましい。]が挙げられる。
【0044】
含フッ素シリコーン化合物(A)は、オルガノシロキサン単位が2個以上重合した構造を含む化合物である。重合したオルガノシロキサン単位の連なり方は、直鎖状または分岐状であるのが好ましく、特に直鎖状が好ましい。フッ素シリコーン化合物(A)が直鎖の構造である場合、1価含フッ素有機基(式1)、および、1価含ケイ素有機基(式2)の結合位置としては特に限定されず、SiO1/2 単位またはSiO2/2 単位のいずれに結合していてもよく、SiO2/2 単位に結合するのが好ましい。
【0045】
また、フッ素シリコーン化合物(A)が分岐の構造である場合には、ケイ原子に1価有機基が結合していないシロキサン単位(SiO4/2 単位)を含んでいてもよい。
【0046】
本発明における、含フッ素シリコーン化合物(A)としては、下記化合物が好ましい。ただし、下式中における記号は、以下の意味を示す。
R5 :式1で表される1価含フッ素有機基。
R7 :式2で表される1価含ケイ素有機基。
R2 、R3 、R4 、R6 、R8 、R9 、R10、R11、R12、およびR20:それぞれ独立に1価有機基を示し、式1で表される1価含フッ素有機基または式2で表される1価含ケイ素有機基であってもよい。
n:1以上の整数。
m:1以上の整数。
k:0以上の整数。
Rf 、X、R1 、Y、a、およびb:上記と同じ意味。
【0047】
【化3】
【0048】
ただし、上記の含フッ素シリコーン化合物(A)におけるオルガノシロキサン単位の連なり方は、ブロックであってもランダムであってもよい。
【0049】
上記の含フッ素シリコーン化合物(A)のうち、本発明においては、特に式3で表される化合物が好ましい。さらに、式3におけるR2 、R3 、R4 、R6 、R8 、R9 、R10、R11、R12、およびR20は、1価含フッ素有機基(式1)または1価含ケイ素有機基(式2)以外の他の有機基である場合が好ましく、特にメチル基であるのが好ましい。また、nは1〜30が好ましく、特に2〜20が好ましい。mは1〜10が好ましく、特に1〜5が好ましい。kは0〜100が好ましく、特に0〜80が好ましい。なお、kが0である場合は、(R9 )(R10)Si02/2 単位は、存在しないことを意味する。nとmとkとの比(n/m/k)はフッ素含有量によって適宜変更されうるが、好ましくは(50〜0.1)/1/(100〜1)であり、特には(30〜0.1)/1/(50〜1)が好ましい。
【0050】
さらに、含フッ素シリコーン化合物(A)は、常温で流動状態にある化合物が好ましいため、分子量は4×102 〜1×106 程度が好ましく、より好ましくは1×103 〜1×104 である。
【0051】
含フッ素シリコーン化合物(A)中のフッ素含有量は5〜80重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。含フッ素シリコーン化合物(A)中の1価含ケイ素有機基(式2)の数としては、1〜20が好ましく、特に1〜10が好ましい。
【0052】
式3で表される含フッ素シリコーン化合物(A)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。ただし、下式中、A11は、−(CH2 )3 OCH2 CF(CF3 )[OCF2 CF(CF3 )]3 Fを示す。
【0053】
【0054】
【0055】
含フッ素シリコーン化合物(A)の製造方法としては、公知の方法が採用できる。たとえば1価含フッ素有機基(式1)が結合した環状ポリシロキサン、1価含ケイ素有機基(式2)が結合した環状ポリシロキサン、および必要に応じて他の有機基が結合した環状ポリシロキサンとを、ジシロキサンとともに共加水分解する方法(特開平8−302020)が挙げられる。
【0056】
また、1価含ケイ素有機基(式2)が結合した環状ポリシロキサン、水素原子が結合した環状ポリシロキサン、およびジシロキサンとを共加水分解する等の方法で、ケイ素原子に直接結合した水素原子および1価含ケイ素有機基(式2)を有するヒドロシリコーン化合物とし、このヒドロシリコーン化合物に下式4または5で表される化合物等をヒドロシリル化する方法も採用できる。
【0057】
ただし、式4および式5中のX6 およびX7 は、それぞれ独立して、単結合または2価炭化水素基を示し、単結合またはアルキレン基が好ましい。
Rf −X6 −CH2 CH=CH2 ・・・式4
Rf −X7 −O−CH2 CH=CH2 ・・・式5
【0058】
本発明は、上記の含フッ素シリコーン化合物(A)および/または含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物からなる表面処理剤である。
本発明の含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物とは、含フッ素シリコーン化合物(A)と水が反応して生成する化合物をいう。具体的には、含フッ素シリコーン化合物(A)が有する加水分解性基の一部または全部が水と反応してOH基に変化した化合物、または該OH基に変化した化合物間で脱水縮合してSi−O−Si結合を形成することにより生成した化合物等が例示される。
【0059】
含フッ素シリコーン化合物(A)を加水分解する方法としては公知の方法が使用できる。
たとえば、含フッ素シリコーン化合物(A)と水とを単に混合する方法、含フッ素シリコーン化合物(A)と水を酸の存在下で混合する方法、含フッ素シリコーン化合物(A)と水をアルカリの存在下で混合する方法等がある。
【0060】
本発明の場合、撥水撥油剤または該組成物としての寿命、膜物性等の観点から、酸の存在下での加水分解が好ましい。加水分解に必要な水の量に限定はないが、含フッ素シリコーン化合物に存在する加水分解性基の等モル以上、500倍モル以下が好ましい。また、酸は硝酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸等が好適に用いられる。酸量は、水に対して0.05〜10重量%が好ましい。あまり酸量が多いと、作業時の安全性に問題が生じるからである。加水分解後の酸は、そのまま組成物中に残留していてもよく、また、中和および脱塩等の方法で除去してもよい。いずれにしても、組成物中に残留する酸量は、組成物の安定性等の点から0.05〜0.3重量%とするのが好ましい。
【0061】
上記加水分解は、含フッ素シリコーン化合物(A)、水および酸等だけで実施してもよいが、各種有機溶剤の存在下で実施するのがよい。有機溶剤量は含フッ素シリコーン化合物(A)が全体の0.05〜10重量%となるような量を用いるのが好ましい。
【0062】
加水分解時に用いる有機溶剤としては、酢酸エステル系、含フッ素系、炭化水素系、アルコール系、ケトン系の有機溶剤が好ましく、特に酢酸エステル系、アルコール系が好適である。加水分解時に用いる有機溶剤の好ましい態様は、後述する組成物中に含ませる有機溶剤の好ましい態様と同一である。該有機溶剤としては、効率の点から後述する組成物中に含ませる有機溶剤と同一のものを用いるのが好ましい。
【0063】
本発明における含フッ素シリコーン化合物(A)は1種または2種以上を用いうる。また、含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物は、1種または2種以上の含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物であってもよく、さらに、含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物は1種であっても、2種以上であってもよい。
【0064】
本発明の表面処理剤は、上記の含フッ素シリコーン化合物(A)および/または下記含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物からなるものである。該表面処理剤は、そのままを表面処理してもよく、必要に応じて他の化合物を含ませて組成物としてから表面処理してもよく、組成物としてから表面処理するのが好ましい。すなわち、本発明においては、上記表面処理剤は、表面処理剤を必須成分とする表面処理剤組成物として用いるのが好ましい。
【0065】
表面処理剤組成物は、上記表面処理剤および有機溶剤を含有する表面処理剤組成物が好ましい。有機溶剤としては、酢酸ブチル、酢酸エチル等の酢酸エステル系の有機溶剤、ペルフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)、ペルフルオロ(トリ−n−ブチルアミン)等の含フッ素系溶剤、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤等が好ましい。含フッ素シリコーン化合物(A)におけるYが加水分解性基である場合の有機溶剤は、アルコール系溶剤とするのが好ましく、Yがイソシアネート基である場合の有機溶剤は、酢酸エステル系の有機溶剤とするのが好ましい。
【0066】
組成物中に含ませる有機溶剤量は、含フッ素シリコーン化合物(A)と含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物の濃度が0.05〜10重量%であるのが好ましい。
【0067】
また、表面処理剤組成物中には添加剤を含ませてもよい。添加剤としては含フッ素シリコーン化合物(A)または/および含フッ素シリコーン化合物(A)の加水分解生成物との反応性、相溶性を考慮して選択すればよく、たとえば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化スズ等の金属酸化物の超微粒子、各種樹脂等が挙げられる。着色が必要であれば、染料、顔料等を加えてもよい。この他に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加も支障ない。
【0068】
また、導電性、帯電防止性等を付与したい場合には、目的に応じた抵抗値の得られる材料[酸化スズ、ITO(In2 O3 −SnO2 )、酸化亜鉛等]も添加できる。添加剤の添加量は目的によるが、0.01〜20重量%がよく、過剰な添加は、本発明の被膜の水滴転落性、耐摩耗性を低下させる。
【0069】
本発明の処理剤組成物は、基板表面に付着させ、つぎに乾燥することにより、表面処理するのが好ましい。該処理にあたっては、特別な前処理は必要ないが、目的に応じて行うことは別段問題なく、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等によるアルカリ処理、フッ酸水溶液、塩酸水溶液による酸処理、またはプラズマ照射、コロナ放電等による放電処理、酸化セリウム、アルミナ等の各種研磨剤による研磨処理/ブラスト処理を行うことができる。
【0070】
本発明の表面処理剤組成物は、通常の方法、たとえば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スプレー塗布、スキージ塗布、各種印刷塗布等の方法によって基材表面に処理できる。本発明の表面処理剤は、0℃〜50℃程度の常温の大気中での乾燥のみで優れた性能を発現するため、経済的に優れた特徴を有する。また、乾燥速度を速める目的や効果の持続性を高める目的で加熱処理してもよい。
加熱条件は、基材の耐熱性を考慮して選択すればよく、加熱する場合の温度は60〜400℃程度が好ましく、加熱する時間は1〜60分程度が好ましい。
【0071】
本発明の表面処理剤組成物によって得られる被膜の厚さは特に限定されないが、極力薄いものであることが好ましい。膜厚は単分子膜厚以上かつ2μm以下が好ましく、特に単分子膜厚以上0.1μm以下が好ましい。被膜の厚さは、表面処理剤組成物の成分濃度、塗布条件、加熱条件等により適宜制御できる。
【0072】
また、本発明の表面処理剤組成物より得られる被膜は、低屈折率であるため、低反射性も付与可能であり、かかる効果を期待するのであれば、被膜の膜厚を光学干渉が生じる膜厚に制御すればよい。
さらに、本発明の表面処理剤組成物より得られる被膜は、表面滑り性にも優れており、本効果により摩耗に対する耐久性が高いものと推定される。
【0073】
基材としては、たとえば、ガラス、プラスチックス、金属、セラミックス、その他の無機材料や有機材料またはその組み合わせ(複合材料、積層材料等)等が挙げられる。また、基材の表面は基材そのものの表面であってもよく、塗装金属等の塗膜表面や表面処理ガラスの表面処理層表面(たとえば、ゾルゲル膜、スパッタ膜、CVD膜、蒸着膜等が設けられた表面)など、基材表面に存在する基材とは異なる材質の表面であってもよい。基材の形状としては平面に限らず、全面または部分的に曲率を有するものなど目的に応じた任意な形状でもよい。
【0074】
本発明の表面処理剤組成物は常温処理でも性能を発現するため、すでに何らかの用途に使用されている基材に対しても処理ができ、撥水性、水滴除去性等の機能を付与できる。したがって、これまでにない幅広い範囲での応用ができる。
【0075】
本発明において特に有効な基材は、ガラス等の透明な材料からなる基材であり、適当な物品とはそれらを装着した物品である。したがって、本発明の表面処理剤組成物で処理された基材は、輸送機器用物品、建築・建装用の物品に用いられるのが特に好ましい。
【0076】
輸送機器用物品としては、電車、バス、トラック、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外板、窓ガラス、鏡、視界確保用(CCD)レンズ、表示機器表面材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、その他の輸送機器に使用される物品、または使用された部品、構成部材等が挙げられる。
【0077】
該物品は表面処理された基材のみからなるものでもよく、表面処理された基材が組み込まれたものでもよい。たとえば、前者として自動車用の窓ガラス等が、後者としてガラス鏡が組み込まれた自動車用バックミラー部材等が挙げられる。
【0078】
輸送機器用物品としては、電車のボディ、窓ガラス、パンタグラフ等、自動車、バス、トラック等のボディ、フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ミラー、バンパー等、船舶、航空機等のボディ、窓ガラス等が例示できる。
【0079】
表面処理剤組成物で処理された基材や物品においては、撥水性により表面に付着する水滴がはじかれ、特に走行に伴って、受ける風圧との相互作用によって、表面上を急速に移動し、水滴としてとどまることなく、水分が誘発する悪影響を排除できる。特に、窓ガラス等の透視野部での用途では、水滴の飛散により視野の確保が非常に容易となり車両の安全性向上につながる。したがって、本発明の表面処理剤組成物を処理する被処理物としては、輸送機器用の窓ガラスが特に好ましい。
【0080】
本発明の表面処理剤組成物を処理して得られる被膜は、特に水滴転落性に優れるため、風圧との相互作用がほとんど期待できない低速走行時、または停止時でも視界確保が容易となるため非常に安全性向上への寄与は大きい。さらに、この性能は、1価ポリフルオロ有機基とケイ素原子と、該ケイ素原子に直接結合した加水分解性基またはイソシアネート基とを有する公知化合物からなる表面処理剤、または、該化合物の加水分解生成物からなる表面処理剤よりも優れる。
【0081】
また、仮に水滴が氷結するような環境下でも氷結せず、仮に氷結したとしても解凍は著しく速い。さらに、水滴の付着がほとんどないため、定期的清浄作業回数を低減でき、しかも、清浄は容易で美観保護の点からも非常に有利である。
【0082】
また、建築・建装用物品としては、建築物に取り付けられる物品、すでに建築物に取り付けられた物品、または建築物に取り付けられていなくてもそれとともに使用される建築用物品、たとえば、家具、什器などの建築用物品およびそれらの物品構成要素である基材(ガラス窓)等が挙げられる。
【0083】
具体的には、窓ガラス板、窓ガラス、屋根用ガラス板やガラス屋根等の各種屋根、ドア用ガラス板やそれがはめ込まれたドア、間仕切り用ガラス板、温室用ガラス板や温室、ガラスの代わりに使用される透明プラスチック板やそれを有する上記のような建築用物品(窓材、屋根材など)、セラミックス、セメント、金属その他の材料からなる壁材、鏡やそれを有する家具、陳列棚やショーケース用のガラス等が挙げられる。また、建築、建装用物品は表面処理された基材のみからなるものでもよく、表面処理された基材が組み込まれたものでもよい。たとえば、前者として窓用ガラス板があり、後者としてガラス鏡が組み込まれた家具がある。
【0084】
表面処理された基材においては、撥水性により表面に接触した水がはじかれ、付着し難く、たとえ付着してもその量は少なく、また、付着した水滴の除去も容易である。また、水滴が氷結するような環境下でも氷結せず、仮に氷結したとしても解凍は著しく容易である。さらには、水滴の付着がほとんどないため、定期的清浄作業回数を低減でき、しかも清浄は容易であり、美観保護の観点からも有利である。
【0085】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらに限定されない。実施例における各種評価方法は以下のとおりである。
【0086】
[撥水性]水の接触角を測定した。
[水滴転落性]水平(角度0°)に保持したサンプル基板に50μlの水滴を滴下後、サンプル基板を傾けていき、水滴が転がり始めたときの基板と水平面との角度を読み取った。
【0087】
[水滴残存性]垂直に立てたサンプルに対して20cmの距離に保持したノズルから水を全面に1時間スプレーした後、サンプル表面に残存する水滴を肉眼で観察し、A:サンプル表面に水滴がまったく残らない、B:サンプル表面に水滴が少し残る、C:サンプル表面に水滴がかなり残る、D:サンプル表面で水滴が濡れ広がる、という基準で評価した。
[撥水耐久性の評価]沸騰水中に6時間浸漬した後の、撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した。
【0088】
[使用した含フッ素シリコーン化合物]
【0089】
【化4】
【0090】
【化5】
【0091】
【化6】
【0092】
[実施例1]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに2−プロパノール50.0g、酢酸ブチル44.0g、含フッ素シリコーン化合物(a)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌した。ついで、0.6重量%の硝酸水溶液を3.0g添加し、1昼夜、25℃で撹拌して処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げ、サンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0093】
[実施例2〜5]
実施例1における含フッ素シリコーン化合物(a)を(b)[実施例2]、(c)[実施例3]、(d)[実施例4]、(f)[実施例5]に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0094】
[実施例6]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに酢酸ブチル97.0g、含フッ素シリコーン化合物(h)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌後、1昼夜、25℃で撹拌して処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げ、サンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0095】
[実施例7]
実施例6における含フッ素シリコーン化合物(h)を(j)に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0096】
[実施例8]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに酢酸ブチル97.0g、含フッ素シリコーン化合物(i)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌後、1昼夜、25℃で撹拌して処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げ、サンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0097】
[比較例1]
実施例1における含フッ素シリコーン化合物(a)を(g)に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0098】
[実施例9]
撹拌器、温度計を備えたフラスコに2−プロパノール97.0g、含フッ素シリコーン化合物(e)3.0gを添加し、25℃で30分撹拌し、処理剤を得た。あらかじめ研磨洗浄したガラス基板(10cm×10cm、厚さ3.5mm)に処理剤を0.5cc滴下し、ティッシュペーパーを用いて自動車のワックス掛けの要領で塗り広げた後、200℃で30分間加熱乾燥してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0099】
[実施例10〜12]
実施例9における含フッ素シリコーン化合物(e)を(a)[実施例10]、(b)[実施例11]、(c)[実施例12]に変更してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0100】
[実施例13]
実施例2で得られたサンプルを200℃で30分加熱してサンプル基板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0101】
[実施例14〜21]
実施例1[実施例14]、実施例2[実施例15]、実施例3[実施例16]、実施例4[実施例17]、実施例6[実施例18]、実施例7[実施例19]、実施例8[実施例20]、実施例10[実施例21]で得られたサンプル基板を下表2または表3に示す薬品に24時間浸漬し、浸漬後の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した。結果を表2または表3に示す。
【0102】
[実施例22〜29]
実施例1[実施例22]、実施例2[実施例23]、実施例3[実施例24]、実施例4[実施例25]、実施例6[実施例26]、実施例7[実施例27]、実施例8[実施例28]、実施例10[実施例29]で得られたサンプルを荷重1kgでネル布にて1500回往復摩耗した。摩耗試験後の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した結果を表4に示す。
【0103】
[実施例30]
実施例8の方法で自動車用フロント合わせガラス表面に処理を行った後、該合わせガラスを自動車に装着した。この自動車を1ヶ月間実際に使用して、フロント表面での汚れ、ほこりの付着状態、また、雨天時においては水滴の付着状態を肉眼で観察した。
【0104】
その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付着による水垢の発生は見られず、まれにそれらの発生があってもティッシュペーパーを用いて軽く拭けば容易に除去できた。また、雨天時には、表面で水滴がはじかれ、走行による風圧との相互作用により水滴はすみやかに移動し、ワイパーを使用することなく、視野が確保された。また、停車時においても水滴の転がり性がよいため、水滴が自重により転落して、ワイパーを用いなくても視野の確保が容易であった。さらに、未処理のフロント合わせガラスに付着する水滴が氷結するような環境下での走行テストにおいてフロントガラスでの氷結はまったく見られなかった。
【0105】
[実施例31]
実施例30においてフロント合わせガラスをサイドガラス、リアガラス、サイドミラーに変更して行ったところ、実施例30と同様の効果が確認できた。
【0106】
[実施例32]
すでに常用して3年が経過した自動車用フロントガラスの表面を酸化セリウム水溶液で研磨し、水洗し乾燥した。洗浄したフロント合わせガラスを基板として実施例7の方法で処理した。この自動車を用いて実施例30と同様の走行試験を実施したところ、同様の効果が確認された。
【0107】
[実施例33]
実施例8の方法で建築用窓ガラスの表面に塗布し、被膜を形成した。こうして得られた窓ガラスを家に取り付けた。この窓ガラス表面への汚れ、ほこりの付着状態を観察した。
【0108】
その結果、汚れ、水垢の発生は見られず、まれにそれらの発生が認められてもティッシュペーパーで軽く拭けば簡単に除去できた。また、雨天時には、表面の水滴がはじかれ転落するので特に風の強い日には風圧との相互作用ですみやかに水滴が移動し、視界の確保が容易であった。さらに、未処理の窓ガラスに付着する水滴が氷結するような環境下でのテストにおいても該窓ガラスでの氷結はまったく見られなかった。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【発明の効果】
本発明の表面処理剤を含む表面処理剤組成物は、基材表面に優れた撥水性、水滴転落性、水滴残存防止効果、および防汚性を付与する。本発明の表面処理剤により付与された効果は、長期にわたって持続しうる。
【0114】
また、本発明の表面処理剤組成物は、常温での処理、および加熱処理の両方が可能であり、汎用性の点においても優れる。さらに、一度使用された基材に、常温かつ簡単に処理することができ、その場合にも優れた上記効果を発揮しうるため、修復剤(リペア剤)としても使用しうる。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP24143297A JPH1180667A (ja) | 1997-09-05 | 1997-09-05 | 表面処理剤、表面処理剤組成物、および表面処理された基板 |
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|---|---|---|---|
| JP24143297A JPH1180667A (ja) | 1997-09-05 | 1997-09-05 | 表面処理剤、表面処理剤組成物、および表面処理された基板 |
Publications (2)
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| JPH1180667A JPH1180667A (ja) | 1999-03-26 |
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| WO2013146111A1 (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-03 | ダイキン工業株式会社 | フルオロポリエーテル基含有シリコーン化合物 |
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1997
- 1997-09-05 JP JP24143297A patent/JPH1180667A/ja not_active Withdrawn
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