JPH1190680A - 片面サブマージアーク溶接用裏当てフラックス - Google Patents

片面サブマージアーク溶接用裏当てフラックス

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JPH1190680A
JPH1190680A JP25358097A JP25358097A JPH1190680A JP H1190680 A JPH1190680 A JP H1190680A JP 25358097 A JP25358097 A JP 25358097A JP 25358097 A JP25358097 A JP 25358097A JP H1190680 A JPH1190680 A JP H1190680A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 銅板とフラックスとを裏当てとして使用する
片面サブマージアーク溶接法において、幅広い溶接条件
でアンダーカット等の溶接欠陥を防止でき、裏ビードの
余盛り高さが安定しており、形状及び外観が良好な裏ビ
ードが得られ、溶接終了後に残フラックスが銅板表面に
付着することがなく容易に剥離することができ、銅板形
状の安定性を確保することができる片面サブマージアー
ク溶接用裏当てフラックスを提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂をコーティングしたフラッ
クスと熱硬化性樹脂コーティングしないフラックスと
を、前記熱硬化性樹脂をコーティングしたフラックスが
フラックス全重量あたり40乃至50重量%となるよう
に混合する。前記熱硬化性樹脂量は熱硬化性樹脂をコー
ティングしたフラックス全重量あたり2乃至9重量%で
ある。また、粒子径が210乃至1190μmであるフ
ラックスはフラックス全重量あたり80重量%以上であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、片面サブマージア
ーク溶接において、被溶接材の溶接部裏側に設けられた
銅板と被溶接材との間に配置される裏当フラックスに関
し、特に、この銅板と裏当てフラックスとを使用する片
面サブマージアーク溶接において発生しやすいアンダー
カット等の欠陥を防止することができる片面サブマージ
アーク溶接用裏当てフラックスに関する。
【0002】
【従来の技術】片面サブマージアーク溶接方法は、片面
から一度の溶接のみで、比較的厚板まで仕上げることが
でき、極めて高能率な溶接方法であることから、造船の
板継ぎ溶接を始めとして、種々の構造物の溶接に適用さ
れている。
【0003】しかし、この片面溶接は、被溶接材の表側
から溶接して被溶接材の裏側にビードを形成することか
ら、不適正な裏当てフラックスを使用して溶接すると、
裏ビードに欠陥が生じ、その欠陥の補修に多大な時間が
費やされ、高能率という利点も効果が半減してしまう。
【0004】現在、多く適用されている片面サブマージ
アーク溶接方法は、裏当てに、フラックスのみを使用す
る方法と、銅板及びフラックスを使用する方法とに大別
することができる。このうち、銅板及びフラックスを裏
当てに使用する片面サブマージアーク溶接方法において
は、当金として銅板を使用し、この銅板に裏当てフラッ
クスを一定厚さで配置し、このフラックスを間に挟んで
銅板を被溶接母材である鋼板の開先裏面に押し付け、開
先裏面にフラックスと銅板とを配置して溶接する溶接方
法である。この方法は、裏当に銅板を使用することか
ら、高電流による溶接が可能であり、フラックスのみに
よる方法に比して更に高能率な溶接方法である。
【0005】しかし、この銅板とフラックスとを使用す
る片面サブマージアーク溶接方法は、裏ビードにアンダ
ーカットが発生しやすく、また、溶接条件、開先精度又
は母材の溶接歪み等により当金銅板の冷却状態が変化し
て裏ビードの凝固が不均一になることから、ビード幅及
び余盛高さが揃いにくいという欠点を有する。
【0006】そこで、これらの欠点を改善すべく従来か
ら種々検討がなされた結果、固形の裏当てフラックスを
使用することにより、アンダーカットを防止でき、ビー
ド幅及び余盛高さを安定化できることが判った。しか
し、固形の裏当てフラックスは溶接対象の鋼板との密着
性が悪く、裏ビートに鋳バリが生じたり、溶落したりす
るという問題点がある。そこで、裏当てフラックスが鋼
板裏面に密着するまでは粉体又は粉状で、裏ビードを形
成するときに固形になるように、フラックスの粒子表面
に熱硬化性樹脂をコーティングした裏当てフラックスが
一般に使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この熱硬化性樹脂をコ
ーティングしたフラックスを裏当フラックスに使用する
ことにより、銅板とフラックスとを裏当てに使用する片
面サブマージアーク溶接における課題、即ち、裏ビード
のアンダーカット、ビード幅及び余盛高さの不揃いは解
決される。この場合に、フラックスを溶接熱で固まらせ
る作用を有する熱硬化性樹脂は、その扱い易さの点から
常温では固形であることが必要であり、フラックス粒子
の表面に均一に散布する目的から比較的低温(70〜1
00℃)で液状になる特性ものが好ましい。しかしなが
ら、このような特性を有する熱硬化性樹脂をコーティン
グした裏当てフラックスは、溶接終了後、フラックス粒
子の表面にコーティングされている熱硬化性樹脂が溶接
熱で溶融固化することから、熱硬化性樹脂がフラックス
粒子間を固結すると同時に、裏当て銅板にもフラックス
がこびり付き、その除去に多大な労力と時間とが費やさ
れる。
【0008】この課題を解決するために、裏当て銅板に
接する部分、即ち、裏当てフラックスの下層には熱硬化
性樹脂を含まないフラックスを散布する方法が提案され
ている(特公昭59−44958号公報)。
【0009】また、裏当てフラックスの粒度構成の中
で、裏当て銅板上に接する部分の粒度構成を調査した結
果、比較的細粒なものが多いことから、細粒フラックス
については熱硬化性樹脂のコーティング量を減らすか、
又は熱硬化性樹脂をコーティングしないこととし、裏当
て銅板へのフラックスのこびり付きを改善する方法が提
案されている(特開平6−218576号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
裏当てフラックスの下層に熱硬化性樹脂を含まないフラ
ックスを散布する方法では、その散布の高さの調整及び
裏ビードの余盛高さが揃いにくい等の問題点がある。
【0011】また、細粒フラックスについては熱硬化性
樹脂のコーティング量を減らすか、又は熱硬化性樹脂を
コーティングしないこととする方法では、裏ビードの出
方、即ち余盛高さが高いか又は低いかにより、外観が異
なる虞れがあり、銅板からのフラックスの剥離性の安定
性が十分でないという問題点がある。
【0012】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、銅板とフラックスとを裏当てとして使用す
る片面サブマージアーク溶接法において、幅広い溶接条
件でアンダーカット等の溶接欠陥を防止でき、裏ビード
の余盛り高さが安定しており、形状及び外観が良好な裏
ビードが得られ、溶接終了後に残フラックスが銅板表面
に付着することがなく容易に剥離することができ、銅板
形状の安定性を確保することができる片面サブマージア
ーク溶接用裏当てフラックスを提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る片面サブマ
ージアーク溶接用裏当てフラックスは、熱硬化性樹脂を
コーティングしたフラックスと熱硬化性樹脂をコーティ
ングしないフラックスとを混合してなる片面サブマージ
アーク溶接用裏当てフラックスにおいて、熱硬化性樹脂
をコーティングしたフラックスはフラックス全重量あた
り40乃至50重量%であり、前記熱硬化性樹脂量は熱
硬化性樹脂をコーティングしたフラックス全重量あたり
2乃至9重量%であり、粒子径が210乃至1190μ
mであるフラックスはフラックス全重量あたり80重量
%以上であり、メッシュ間隔が210乃至1190μm
の如何なる篩にかけた場合にも、熱硬化性樹脂をコーテ
ィングしたフラックス全量に対する前記篩中に残る熱硬
化性樹脂をコーティングしたフラックスの重量比率と、
熱硬化性樹脂をコーティングしないフラックス全量に対
する前記篩中に残る熱硬化性樹脂をコーティングしない
フラックスの重量比率との差が5重量%以下であること
を特徴とする。
【0014】この片面サブマージアーク溶接用裏当てフ
ラックスにおいて、前記熱硬化性樹脂をコーティングし
たフラックスと前記熱硬化性樹脂をコーティングしない
フラックスとの間の見かけ密度の差を0.7g/cm3
以下とすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明者等が前記課題を解決す
べく、鋭意実験研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
先ず、形状及び外観が良好であり、余盛高さが安定して
おり、アンダーカットがない裏ビードを得るためには、
被溶接材の開先裏側に、溶融プールが形成される前に、
裏当てフラックスが固形状になっている必要がある。こ
の裏当フラックスを固形状にする役割をするのが熱硬化
性樹脂である。熱硬化性樹脂をフラックスの各粒子の表
面に均一にコーティングするためには、そのコーティン
グ時に熱硬化性樹脂は液状であることが好ましい。しか
し、熱硬化性樹脂が常温で液状であると、フラックス同
士が溶接前に付着してしまうことから、熱硬化性樹脂は
常温では固体であり、70〜100℃程度で液状とな
り、更に、高温になると固化する特性を有する熱硬化性
樹脂がフラックスの品質の安定性及び良好な裏ビードを
得る上で必要である。
【0016】ところが、このような特性を有する熱硬化
性樹脂をコーティングしたフラックスを銅板上に散布
し、溶接を行うと、溶接熱によって、銅板表面が100
℃前後に加熱されることから、フラックス粒子表面にコ
ーティングされている熱硬化性樹脂が軟化溶融し、溶接
後、裏当てフラックスが銅板表面にこびり付く原因とな
る。
【0017】これを回避するためには熱硬化性樹脂の量
を低減することが効果的であるが、健全で外観及び形状
が良好な裏ビードを得るためには溶接時にフラックスの
各粒子が安定して結合固化する必要がある。このために
は、フラックス粒子表面に均一に熱硬化性樹脂がコーテ
ィングされている必要があり、この熱硬化性樹脂を均一
にフラックス粒子表面にコーティングするためには、全
フラックス粒子に対して2重量%以上の熱硬化性樹脂が
必要である。但し、熱硬化性樹脂が全フラックス粒子に
対して9重量%を超えると、溶接時のガス量が過剰とな
り、フラックス内からガスが放出しきれないため、裏ビ
ードの外観が損なわれたり、ピット又はブローホール等
のガス欠陥が発生したりする原因となる。従って、裏当
てフラックス全重量あたりの熱硬化性樹脂量は2乃至9
重量%とする。
【0018】而して、上述の熱硬化性樹脂を粒子表面に
均一にコーティングしたフラックスを、裏当てフラック
ス全体に適用した場合、良好な品質の裏ビードが得られ
るものの、溶接後に裏当て銅板に残留するフラックスが
銅板にこびり付くことを回避することができない。そこ
で、上述の熱硬化性樹脂をコーティングしたフラックス
に熱硬化性樹脂をコーティングしないフラックスを機械
的に均一混合して裏当フラックスとし、この裏当てフラ
ックスの固化状態と裏ビードの品質及び溶接後の残留フ
ラックスの銅板へのこびり付き状況について種々実験研
究したところ、粒度構成が略同じフラックスで、フラッ
クスの全重量を100%としたとき、熱硬化性樹脂をコ
ーティングしたフラックスが40乃至50重量%を占め
る裏当てフラックスの場合にはフラックスの固化状態が
良好であり、裏ビードのアンダーカットが発生せず、外
観が良好で、形状が安定した裏ビードが得られ、更に課
題であった溶接後の残留フラックスの銅板へのこびり付
き現象も飛躍的に改善することができた。
【0019】熱硬化性樹脂をコーティングしたフラック
スの比率が裏当てフラックス全重量あたり40重量%未
満では裏当てフラックスの固化力が弱く、裏ビードの安
定性が不十分となる。一方、熱硬化性樹脂をコーティン
グしたフラックスの比率が裏当てフラックス全重量当た
り50重量%を超えると、溶接後に残留する裏当てフラ
ックスが銅板にこびり付く現象を改善することができな
い。従って、本発明においては、熱硬化性樹脂をコーテ
ィングしたフラックスと熱硬化性樹脂をコーティングし
ないフラックスとを混合して裏当てフラックスとし、こ
の裏当てフラックス全重量あたり、熱硬化性樹脂をコー
ティングしたフラックスは40乃至50重量%とし、残
部を熱硬化性樹脂をコーティングしないフラックスとす
る。
【0020】次いで、フラックスの粒子径については、
粒子径が210乃至1190μmであるフラックスがフ
ラックス全重量当たり80重量%以上となるようにす
る。フラックス全体の粒度としては、210μm(JI
S Z3352規定の粒度メッシュ:65メッシュ相
当)より細粒であるフラックスの比率が裏当てフラック
ス全重量あたり20重量%を超えると、裏ビードの余盛
り高さが不安定になり、また、溶接後に残留する裏当て
フラックスが銅板にこびり付きやすくなる。一方、11
90μm(JIS Z3352規定の粒度メッシュ:1
4メッシュ相当)より粗粒のフラックスが裏当てフラッ
クス全重量あたり20重量%を超えると、裏ビードに鋳
バリが発生したり、ビード幅が不安定になったりする。
従って、粒子径が210乃至1190μmであるフラッ
クスが裏当てフラックス全重量あたり80重量%以上と
なるように粒子径を規定する。
【0021】この210乃至1190μmを下限値とす
るフラックス粒度構成において、熱硬化性樹脂をコーテ
ィングしたフラックスと、熱硬化性樹脂をコーティング
しないフラックスとについて、夫々その全量あたりの重
量比率の差が5%以下となるようにする。
【0022】熱硬化性樹脂をコーティングしたフラック
スと、熱硬化性樹脂をコーティングしないフラックスと
の各粒度構成が異なり、各粒度における熱硬化性樹脂を
コーティングした粒子と熱硬化性樹脂をコーティングし
ていない粒子との存在割合が不均一になると、裏ビード
の外観が損なわれたり、裏当てフラックスの固化状態が
不安定になるため、ビードの余盛り高さが不均一とな
る。従って、210乃至1190μmの間の如何なる粒
度の篩を使用して篩った場合においても、篩中に残留す
るフラックスのうち、熱硬化性樹脂をコーティングした
フラックスの熱硬化性樹脂をコーティングしたフラック
ス全体に対する重量比率と、熱硬化性樹脂をコーティン
グしないフラックスの熱硬化性樹脂をコーティングしな
いフラックス全体に対する重量比率との差が5重量%以
下となるようにする。
【0023】なお、裏当てフラックスの成分について
は、熱硬化性樹脂をコーティングしたフラックスと熱硬
化性樹脂をコーティングしないフラックスとの成分が異
なっていても裏ビードの形成等に何ら問題はない。
【0024】しかし、裏当てフラックスの見かけ密度に
ついては、熱硬化性樹脂をコーティングしたフラックス
と熱硬化性樹脂をコーティングしないフラックスとの見
かけ密度の差が0.7g/cm3 以下にすることによ
り、双方のフラックスがより均一に混合され、より良好
な裏ビードが得られる。
【0025】
【実施例】以下、本発明に係る片面サブマージアーク溶
接用裏当てフラックスの実施例について、その比較例と
比較して具体的に説明する。
【0026】先ず、種々の組成を有するフラックスにつ
いて、熱硬化性樹脂をコーティングしたフラックスと熱
硬化性樹脂をコーティングしないフラックスとをその混
合比率及びフラックスの粒度構成を変化させて混合し、
下記表1に示す溶接条件で片面サブマージアーク溶接を
実施した。次に、得られた裏ビートの外観、形状、ビー
ド幅の安定性等を観察することにより、溶接性を評価し
た。
【0027】図1は本実施例において溶接母材として使
用した鋼板の開先形状を示す断面図である。図1に示す
ように、鋼板の突合せ端面に開先角度60°のV型開先
2を形成した。ルート長は3mmである。前記裏当てフ
ラックスを開先裏面3に銅板に支持させて配置し、開先
2側に表フラックスを供給してサブマージアーク溶接し
た。鋼板1は板厚が16mmで、鋼種はSM400であ
る。また、使用した溶接ワイヤの径は4.8mm及び
6.4mmである。この鋼板1の材質及び溶接ワイヤの
材質を、下記表1に示す。
【0028】また、表フラックスの組成を下記表2に示
す。この表フラックスとしては、JIS Z3352に
規定された粒度メッシュが10×48のものを使用し
た。
【0029】更に、本実施例において使用した裏当てフ
ラックスの組成を下記表3に示す。溶接条件は下記表4
に示す。
【0030】下記表5及び表6は夫々本発明の実施例及
び比較例における裏当てフラックスの種類、粒度構成、
見掛密度、樹脂量及び熱硬化性樹脂をコーティングした
フラックスと熱硬化性樹脂をコーティングしないフラッ
クスとの混合比率を示す。なお、表5及び6において、
フラックスの種類、粒度構成、見掛密度、樹脂量及び混
合比率の欄は、夫々、上段が熱硬化性樹脂をコーティン
グしたフラックス、下段が熱硬化性樹脂をコーティング
しないフラックスについてのものである。但し、比較例
7はフラックス全量が熱硬化性樹脂をコーティングした
ものであり、比較例11は、下段に熱硬化性樹脂をコー
ティングしたフラックスを示した。
【0031】片面サブマージアーク溶接後に得られた裏
ビードの品質及び裏当てフラックスの銅板へのこびりつ
きの評価結果について、下記表7に示す。評価基準とし
ては、極めて良好なものは◎、良好なものは○、やや不
良のものは△、不良のものは×とした。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】 但し、その他の成分は、CO2,B23,Fe−Si,
Fe−Mn,Na2O,MnO等である。
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】上記表5乃至7に示すように、実施例N
o.1乃至6は熱硬化性樹脂をコーティングしたフラッ
クスと熱硬化性樹脂をコーティングしないフラックスと
の混合比率及びフラックスの粒度構成並びに熱硬化性樹
脂量が本発明の範囲内であるので、裏ビードの外観、形
状、幅の安定性及び余盛り高さの安定性は全て良好であ
り、健全な裏ビードが形成された。また、裏当て銅板に
裏当てフラックスがこびり付くことはなく、溶接後の余
分な裏当てフラックスを銅板表面から容易に剥離するこ
とができた。但し、実施例5,6は、見掛密度差が0.
7g/cm3を超えているので、見掛密度差が0.7g
/cm3以下である他の実施例1乃至4に比して特性が
若干低い。
【0040】一方、比較例No.7は全量熱硬化性樹脂
をコーティングしたフラックスを裏当てフラックスとし
て使用したので、溶接後に残留した裏当てフラックスが
銅板にこびりつき、その剥離が困難であった。また、比
較例No.8は全フラックス重量当たりの熱硬化性樹脂
をコーティングしたフラックスの比率が本発明の範囲を
超えているため、銅板表面への裏当てフラックスのこび
り付きが多く、その剥離が不十分であった。比較例N
o.9は逆に裏当てフラックス全重量あたりの熱硬化性
樹脂をコーティングしたフラックスの比率が本発明の範
囲より低いものであるため、溶接の際に、裏当てフラッ
クスを固化する効果が低く、裏ビードの外観及び形状が
やや不良であり、幅及び余盛り高さの安定性が低かっ
た。
【0041】また、比較例No.10は熱硬化性樹脂を
コーティングしたフラックスと熱硬化性樹脂をコーティ
ングしないフラックスとの粒度構成が本発明にて規定す
る範囲を外れており、熱硬化性樹脂をコーティングしな
いフラックスの方が熱硬化性樹脂をコーティングしたフ
ラックスよりも本発明の範囲を超えて細粒であったの
で、裏ビードの幅及び余盛り高さの安定性が不十分であ
った。
【0042】更に、比較例No.11は熱硬化性樹脂の
量が本発明の範囲を超えているため、溶接中にガスが多
量に発生し、裏ビードにポックマークが発生し、また、
溶接後に残留する裏当てフラックスが銅板にこびり付く
量が多く、その剥離が不十分であった。比較例No.1
2は 熱硬化性樹脂量が本発明の範囲未満であったた
め、溶接時に裏当てフラックスを固化する効果が弱く、
裏ビードの外観、形状、幅及び余盛り高さの安定性が不
十分であった。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
熱硬化性樹脂を所定の範囲に規定してコーティングした
フラックスと、熱硬化性樹脂をコーティングしないフラ
ックスとの混合比率及び前記双方のフラックス粒度構成
を適切に規定したので、外観、形状、幅及び余盛り高さ
が安定した健全な裏ビードを形成することができ、裏当
て銅板への裏当てフラックスのこびり付きを防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例において溶接母材として使用した鋼板
の開先形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1;鋼板 2;開先部 3;開先裏面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂をコーティングしたフラッ
    クスと熱硬化性樹脂をコーティングしないフラックスと
    を混合してなる片面サブマージアーク溶接用裏当てフラ
    ックスにおいて、熱硬化性樹脂をコーティングしたフラ
    ックスはフラックス全重量あたり40乃至50重量%で
    あり、前記熱硬化性樹脂量は熱硬化性樹脂をコーティン
    グしたフラックス全重量あたり2乃至9重量%であり、
    粒子径が210乃至1190μmであるフラックスはフ
    ラックス全重量あたり80重量%以上であり、メッシュ
    間隔が210乃至1190μmの如何なる篩にかけた場
    合にも、熱硬化性樹脂をコーティングしたフラックス全
    量に対する前記篩中に残る熱硬化性樹脂をコーティング
    したフラックスの重量比率と、熱硬化性樹脂をコーティ
    ングしないフラックス全量に対する前記篩中に残る熱硬
    化性樹脂をコーティングしないフラックスの重量比率と
    の差が5重量%以下であることを特徴とする片面サブマ
    ージアーク溶接用裏当てフラックス。
  2. 【請求項2】 前記熱硬化性樹脂をコーティングしたフ
    ラックスと前記熱硬化性樹脂をコーティングしないフラ
    ックスとの間の見かけ密度の差が0.7g/cm3 以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の片面サブマー
    ジアーク溶接用裏当てフラックス。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005246385A (ja) * 2003-11-20 2005-09-15 Oshima Shipbuilding Co Ltd 多電極片面サブマージアーク溶接方法
JP2005349407A (ja) * 2004-06-08 2005-12-22 Kobe Steel Ltd 片面サブマージアーク溶接方法
WO2018159293A1 (ja) * 2017-03-02 2018-09-07 株式会社大貴 粒状体群の製造方法及び製造装置

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