JPH1191095A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH1191095A
JPH1191095A JP25573097A JP25573097A JPH1191095A JP H1191095 A JPH1191095 A JP H1191095A JP 25573097 A JP25573097 A JP 25573097A JP 25573097 A JP25573097 A JP 25573097A JP H1191095 A JPH1191095 A JP H1191095A
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千秋 田沼
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史郎 斉藤
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健一 森
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均 八木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超音波の放射圧でインク滴を吐出させて画像を
記録するインクジェット記録装置において、インク滴の
飛翔効率向上と記録速度の高速化を図る。 【解決手段】インク液保持室(19)と、圧電体(1
2)およびこの圧電体(12)の対向面にそれぞれ形成
される一対の対向電極(13,14)から構成される圧
電素子からなる超音波発生手段と、圧電素子を駆動する
駆動手段(16)と、超音波発生手段から発生される超
音波を前記インク液の液面近傍に集束させる超音波集束
レンズ部材(18)を含む超音波発生手段とを有するイ
ンクジェット記録装置である。電極14は、副走査方向
における各端が電極13の各端から前記圧電素子の厚さ
に相当する長さ以下の圧電体表面領域に存在し、この電
極14の各端部に対応する領域には、超音波を遮蔽する
第1および第2の遮音部材(21a,21b)がそれぞ
れ設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はインク液を液滴化し
て被記録体上に飛翔させることにより画像を記録するイ
ンクジェット記録装置に係り、特に圧電素子により放射
される超音波ビームの圧力によりインク滴を吐出させて
被記録体上に飛翔させるインクジェット記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インク液を液滴化して被記録媒体上に飛
翔させることにより画点を形成し画像を記録する装置
は、インクジェットプリンタとして実用化されている。
このインクジェットプリンタは他の記録方式と比べて騒
音が少なく、現像や定着などの処理が不要であるという
利点を有し、普通紙記録技術として注目されている。現
在までに数多くのインクジェットプリンタの方式が提案
されているが、特に、特公昭56−9429号公報や特
公昭61−59911号公報等に開示されている発熱体
の熱により発生する蒸気の圧力でインク滴を飛翔させる
方式、および特公昭53−12138号公報等に開示さ
れている圧電体の変位による圧力パルスによりインク滴
を飛翔させる方式が代表的なものである。
【0003】しかし、これらの方式では溶媒の蒸発や揮
発によって局部的にインクの濃縮が生じやすく、また、
それぞれの解像度に対応する個別のノズルが細いため、
ノズルに目詰まりを生じやすいという問題がある。特
に、蒸気の圧力を利用する方式では、インクとの熱的あ
るいは化学的な反応等により生じる不溶物の付着が、ま
た圧電体の変位による圧力を利用する方式では、インク
流路等における複雑な構造がさらに目詰まりを誘起しや
すくしている。数十から百数十のノズルを使用している
シリアル走査型のへッドではその目詰まりの頻度を低く
抑えることができるが、数千のノズルを必要とするライ
ン走査型ヘッドでは確率的にかなり高い頻度で目詰まり
が発生し、信頼性の点で大きな問題となっている。さら
に、これらの方式は解像度の向上には適していないとい
う欠点もある。
【0004】これらの欠点を克服するために、薄膜の圧
電体から発生する超音波ビームの圧力を用いてインク液
面からインク滴を飛翔させるという、超音波を用いる方
式が提案されている(IBM TDB,vol.16,
No.4,1168頁(1973−10)、特開昭63
一162253号公報、特開昭63−166548号、
特開昭63−312157号公報、特開平2−1844
43号公報等参照)。この方式は個別のドット毎のノズ
ルやインク流路間の隔壁を必要としないいわゆるノズル
レス方式であるために、ラインヘッド化する上での大き
な障害であった目詰まりやそれからの復旧という問題が
ない。また、この方式では、非常に小さい径のインク滴
を安定に飛翔させることができるため、高解像度化にも
適している。しかし、これら超音波を用いる方式ではイ
ンク滴の飛翔効率が低く、そのため画像記録速度を向上
させることができないという問題がある。
【0005】さらに、従来の超音波方式インクジェット
記録装置の代表的なヘッド構造においては、超音波集束
手段を構成する音響レンズ、特にフレネルレンズが、イ
ンク液を収容・保持するインク液保持室の支持部材とし
ても機能させているため、機械的強度を持たせる点か
ら、圧電体に比べて十分厚く、インク液の深さに比べて
もそれと同じかそれ以上の厚さを有している。このよう
な構造では、圧電素子から放射された超音波は、フレネ
ルレンズが厚いために、その内部を伝播する際に大きな
減衰や散乱を生じてしまい、効率よく超音波をインク液
中に放射することが難しい。特に、小径のインク滴を飛
翔させるために高周波の超音波を放射させた場合におい
ては、フレネルレンズ中での超音波の減衰や散乱の影響
は著しく大きい。
【0006】また、フレネルレンズ内部で発生する乱反
射によって超音波が有効レンズ部分以外の部分からイン
ク液中に照射されてしまうという問題もある。これを解
決するために、フレネルレンズの有効レンズ部分以外の
部分がインク液に直接接しないようにインク室の側壁等
で覆うことが行われている。しかし、このように有効レ
ンズ部分の近傍にインク室等のある種の障害物を設ける
と、インク液中に放射された超音波がインク液/障害物
の界面で強く反射され、他の超音波と干渉しあってその
集束が妨害されてしまう。
【0007】このように、従来の方式および構造では、
効率よくインク滴を飛翔させることが困難であり、その
ために余分な電圧を圧電素子に印加する必要があり、ま
た、電圧印加時間を長くする必要もある。その結果、消
費電力が大きくなり、また、画像記録スピードを上げる
ことができないという問題も生じている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
を解決しようとするものであり、超音波を用いつつ少な
い消費電力でインク滴の飛翔効率を向上させ、もって圧
電素子を駆動してからインク滴が飛翔するまでの時間を
短くし、記録スピードの高速化を図ることを課題とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、第1に、インク液を保持するインク液保
持室と、それぞれ圧電体およびこの圧電体の両面に対向
して配置された一対の第1および第2の電極からなる複
数の圧電素子を含み、前記インク液と音響的に接続され
る超音波発生手段と、前記超音波発生手段を駆動する駆
動手段と、前記超音波発生手段上に形成され、前記超音
波発生手段から発生される超音波を前記インク液の液面
近傍に集束させる超音波集束レンズ部材を含む超音波集
束手段とを具備するインクジェット記録装置において、
前記一対の電極のうち、第1の電極は、圧電素子の配列
方向と直交する方向における各端が第2の電極の対応す
る各端から前記圧電素子の厚さに相当する長さ以下の圧
電体表面領域に存在し、圧電素子の配列方向と直交する
方向における第2の電極の前記各端部に対応する領域に
は、超音波を遮蔽する第1および第2の遮音部材がそれ
ぞれ設けられていることを特徴とするインクジェット記
録装置を提供する。
【0010】本発明は、第2に、インク液を保持するイ
ンク液保持室と、それぞれ圧電体およびこの圧電体の両
面に対向して配置された一対の第1および第2の電極か
らなる複数の圧電素子を含み、前記インク液と音響的に
接続される超音波発生手段と、前記超音波発生手段を駆
動する駆動手段と、前記超音波発生手段上に形成され、
前記超音波発生手段から発生される超音波を前記インク
液の液面近傍に集束させる超音波集束レンズ部材を含む
超音波集束手段とを具備するインクジェット記録装置に
おいて、前記一対の電極のうち、第1の電極は、圧電素
子の配列方向と直交する方向における各端が第2の電極
の対応する各端から前記圧電素子の厚さに相当する長さ
を超える圧電体表面領域に存在することを特徴とするイ
ンクジェット記録装置を提供する。この場合、超音波集
束レンズ部材の有効レンズ口径WL と、圧電体の厚さT
P と、副走査方向における一対の対向電極の重なり幅W
Eが、下記式 WL ≧WE +2TP (1) で示される関係を満足することが好ましい。
【0011】本発明において、上記超音波集束レンズ部
材は、フレネルレンズを含むことが好ましい。また、本
発明において、前記超音波集束レンズ部材は、音響マッ
チング層としての機能をも有することが望ましい。
【0012】本発明者等は、超音波ビームの放射圧によ
りインク液面からインク滴を吐出させて被記録体上に飛
翔させて画像を記録するインクジェット記録装置におい
て、従来の方式では達成できなかった記録スピードの高
速化や高解像度化を図るために、複数の圧電素子を所定
の間隔で配置し、その一部の圧電素子群(駆動素子群)
に所定の位相差を与えて駆動することによってインク液
面近傍に超音波ビームを集束させてインク滴を飛翔さ
せ、駆動素子群を所定方向に移動させる駆動手段(リニ
ア電子走査手段)を具備したインクジェット記録装置を
提案している。
【0013】また、上記従来のインクジェット記録装置
において音響レンズの厚さが厚い故に生じるレンズ中で
の超音波の減衰や散乱による飛翔効率の低下を抑えるた
めに、音響レンズからその支持機能を分離して、音響レ
ンズとは別に、圧電素子の裏面に支持部材を設ける構造
を提案している。この場合、音響レンズ、特にフレネル
レンズは支持部材としての機能を併せ持つ必要がないこ
とから、その厚さは超音波集束のための必要最小限でよ
く、圧電体と同等の厚さで、インク液の深さに比べ十分
薄い厚さでよいこととなる。これにより、音響レンズ中
での超音波の減衰や散乱は無視できるほど低減すること
ができ、インク液滴の飛翔効率を向上させ、もって記録
スピードの高速化を図ることができる。超音波集束手段
をフレネルレンズで構成する場合、その凹凸の厚みをそ
れぞれフレネルレンズ中の超音波の波長の(2n+1)
/4倍(nは0以上の整数)に近くなるように設定し、
かつフレネルレンズ材料として圧電体の音響インピーダ
ンスとインク液のそれとの積の平方根に近い音響インピ
ーダンス値を有する材料を用いることにより、フレネル
レンズに音響マッチング層としての機能も兼ね備えさせ
ることができる。これにより、界面での超音波の反射が
低減され、より飛翔効率を改善することができる。
【0014】しかし、圧電体にその幅全体に渡って対向
電極を形成し、その上に圧電体と同じ幅の有効レンズ口
径を有する超音波集束レンズ部材を形成する従来の構造
では、圧電体を所定形状に加工する際に圧電体の切断部
近傍で脱分極等に起因して特性劣化が生じやすいという
ことが見い出された。また、そのような構造では、圧電
体の端部における対向電極位間で短絡が生じやすいとい
うこともわかった。
【0015】そこで、本発明者らは、圧電体の幅および
超音波集束レンズ部材の有効レンズ口径に対する対向電
極の幅の影響等について鋭意研究したところ、一対の電
極のうち、一方の電極(第1の電極)は、圧電素子の配
列方向と直交する方向(副走査方向)における各端が他
方の電極(第2の電極)の対応する各端から圧電素子の
厚さに相当する長さ以下の圧電体表面領域に存在するよ
うに設け、かつ副走査方向における第2の電極の各端部
に対応する領域には、超音波を遮蔽する第1および第2
の遮音部材をそれぞれ設けることにより、脱分極等に起
因する特性劣化、例えば、メインビーム位置(焦点位
置)以外の場所で強いサイドローブが発生し超音波集束
が妨害されることによるインク液滴の飛翔効率の低下を
防止できることを見い出した。この場合、第1の電極
は、第2の電極よりも短く形成することができるし、あ
るいは第2の電極と同等の長さに形成することもでき
る。
【0016】さらに、本発明者らは、第1の電極を、そ
の副走査方向における各端が第2の電極の対応する各端
から圧電素子の厚さに相当する長さを超える圧電体表面
領域に存在するように設けることによっても上記脱分極
等に起因する特性劣化を防止し得ることを見い出した。
この場合において、超音波集束レンズ部材の有効レンズ
口径WL と、圧電体の厚さTP と、一対の対向電極の重
なり幅WE が、下記式 (1): WL ≧WE +2TP (1) で示される関係を満足すると、上記サイドローブの発生
を防止できるばかりでなく、圧電体端部における対向電
極間の短絡の発生を抑制できることをさらに見い出し
た。この場合は、超音波集束レンズ部材の幅は、その有
効レンズ領域の幅と等しくすることができ、さらには、
圧電体の幅と等しくすることができる。
【0017】なお、超音波集束レンズがフレネルレンズ
である場合、その中心からの各溝の位置は、当該技術分
野で知られているように、下記式(2)または式(3)
で表されるフレネル輪帯の半径r(a)に相当する位置
に形成される。
【0018】 r(a) =[( 2a-1)λi /2×{F+( 2a-1)λi /8}]1/2 (2) r(a) =(aλi F)1/2 (3) 式(2)および式(3)において、λi はインク液中で
の超音波の波長、Fは焦点距離(インク液の深さ)、a
は、1以上の整数である。
【0019】本発明において、超音波集束レンズがフレ
ネルレンズである場合、その有効レンズ口径は、形成さ
れた溝の数nに対応する、上記式(2)または(3)で
規定される半径r(n)の2倍に相当する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。全図に渡り、同一部分は、同一符
号で示されている。図1は、本発明の一実施の形態に係
るインクジェット記録装置の記録ヘッド部の斜視図であ
る。図2は、図1に示すインクジェット記録装置のヘッ
ド部における圧電素子および超音波集束レンズ部材を含
む領域部分を拡大して示す断面図である。
【0021】図1および図2に示すインクジェット記録
装置のヘッド部は、超音波発生手段を構成する平板状圧
電体12を支持部材11上に有する。圧電体12は、超
音波の周波数や素子の大きさ等によってチタン酸鉛(P
T)、ジルコン・ チタン酸鉛(PZT)等のセラミック
材料、フッ化ビニリデンと三フッ化エチレンとの共重合
体等の高分子材料、ニオブ酸リチウム等の単結晶材料、
酸化亜鉛等の圧電性半導体材料で形成することができ
る。また、支持部材11は、ガラス等の材料で形成する
ことができる。
【0022】圧電体12の下面には、互いに分離した複
数の個別電極13が、それぞれ、形成されている。圧電
体12は、これら個別電極13により、機能的に複数の
圧電素子に区分される。他方、圧電体12の上面には、
一体の共通電極14が形成されている。これら電極13
および14は、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、
金等の金属材料を蒸着やスパッタにより薄膜として形成
することができる。あるいは、これら電極13および1
4は、ガラスフリットを銀ペーストに混合したものをス
クリーン印刷法により印刷し、これを焼き付けることに
よっても形成することができる。個別電極13と共通電
極14の対応部分とが各対向電極を構成する。
【0023】また、支持部材11の一端部側には、圧電
体12の下面に形成された個別電極13と同じ間隔で、
複数のアレイ電極15が形成されており、この支持部材
11上の各アレイ電極15と圧電体12下面上の各個別
電極13とは、導電性接着剤を介して整合して圧着さ
れ、電気的に接続されている。支持部材11上のアレイ
電極15は、支持部材11の端部上に配置された駆動回
路16にボンディングワイヤ17によって接続され、圧
電体12の上面に形成された共通電極14も、図示しな
い配線により、駆動回路16に接続されている。
【0024】共通電極14を介して圧電体12全面を覆
うように超音波集束音響レンズ部材18が設けられてい
る。このレンズ部材18には、その中央から対称的な位
置に一対毎にフレネルの輪帯理論に基づいて所定のピッ
チで複数の溝(図1および図2においては、4つの溝1
8a〜18dであり、18aと18b、18cと18d
が対称的に形成されている)が、各個別電極13により
区分された圧電素子の配列方向(主走査方向に相当)に
平行に形成されている。各溝の深さは、溝の上面と底面
から照射される超音波の位相を半波長シフトさせるよう
に、それぞれレンズ部材18中の超音波の波長の(2m
+1)/4倍(mは0以上の整数)に近い値に設定され
ている。溝は、個別電極により区分された圧電素子の配
列方向(主走査方向に相当)に平行に形成される。
【0025】本発明において、このフレネルレンズ部材
18は、圧電素子とインク液との音響的マッチングを取
るための音響マッチング層としても機能することが好ま
しい。そのためには、フレネルレンズ部材を音響インピ
ーダンスZm が圧電体の音響インピーダンスZp とイン
ク液の音響インピーダンスZi との積の平方根(Zm
(Zp ×Zi1/2 )に近い値を有する材料で形成する
ことが望ましい。そのような材料としては、エポキシ樹
脂、ポリイミド等の高分子材料、あるいはそれら高分子
材料に音響インピーダンスを調整するために繊維または
アルミナもしくはタングステン等の粉末を混合したもの
を例示することができる。
【0026】また、支持部材11上には、圧電素子1
2、フレネルレンズ部材18とインク液20を収容する
インク液保持室19が設けられている。このインク液保
持室19は、インク液20を囲む側壁が、フレネルレン
ズの両端から上方に向かって合わさるように傾斜してお
り、その上部は、スリット19aを形成して開口してい
る。
【0027】さて、図2に最もよく示されているよう
に、圧電体12の下面に形成された個別電極13は、圧
電体12の幅と同等の長さW1を有する。しかしなが
ら、圧電体12の上面に形成された共通電極14は、図
示の例では、圧電体12よりも短く(長さW2)、圧電
体12の両端部を除いた中央領域部分にのみ形成されて
いる。従って、各圧電素子として機能する圧電体12の
部分は、共通電極14に対応する領域のみとなる。この
場合、共通電極14によって露出された圧電体の各端部
表面領域の長さW3およびW4は、圧電体12の厚さに
相当する長さ以下に設定されている。そして、個別電極
の両端部に対応する領域には、超音波を遮蔽する遮音部
材21aおよび21bがそれぞれ設けられている。図2
に示す例では、この遮音部材21aおよび21bは、圧
電体12の上記露出領域を覆うばかりでなく、共通電極
14の端部上にわたって設けられている。このような遮
音部材21aおよび21bは、レンズ部材18とは異な
る材料であって、圧電体12から放射される超音波を遮
蔽し得る材料、例えば、シリコーン樹脂で形成すること
ができる。
【0028】このような構成をとることにより、共通電
極14の周辺に相当する圧電体部分からも発振され得る
超音波遮蔽することができ、従ってサイドローブの発生
を抑制して効率的なインク液滴の飛翔を行わせることが
できる。しかも、遮音部材21aおよび21bを設けた
圧電体領域の長さは、圧電体12の厚さ以下であるか
ら、レンズ部材18を広く設けることができ、有効な超
音波のより一層の利用を図ることもできる。また、共通
電極14を越えた部分の圧電体12の領域が、遮音部材
21aおよび21bにより覆われているので、共通電極
14と個別電極13との間の短絡も防止される。
【0029】次に、上記インクジェット記録装置におけ
る超音波の集束方法および圧電素子の駆動方法の一例を
説明する。圧電素子11の配列方向(主走査方向)にお
ける超音波の集束方法は、個別電極13により個別アレ
イ状に動作される圧電体12からなる圧電素子の一部の
圧電素子群(同時駆動素子群)に対して所定の遅延時間
を設定してそれらを同時に駆動し、そのとき各圧電素子
から放射される超音波の位相を制御して、インク液面近
傍で超音波の強度が局所的に強くなるように、すなわち
焦点を結ぶように動作させる。具体的には同時駆動素子
群の中心部の遅延時間が最も長く、外側に向かうにつれ
て徐々に遅延時間を短くするものである。一方、アレイ
状の圧電素子の配列方向に対して直行する方向(本発明
において、副走査方向という)における超音波の集束方
法は、音響レンズ、ここではフレネルレンズ18によっ
て行う。このように二方向からの超音波の集束により、
インク液面上の任意の位置から超音波の圧力でインク滴
を吐出、飛翔させる。インク滴の飛翔位置は、同時に駆
動する圧電素子群を電子的に走査することにより、変え
ることが可能である。さらに、アレイ状に配列された圧
電素子の中で、前記同時駆動素子群を複数個設けること
により同時に複数のインク滴を飛翔させることができ
る。
【0030】もう一つは、フレネル輪帯論に基づいて、
同時駆動素子数を2種類にグループ分けし、一方を駆動
するタイミングを他方に対し位相をπだけシフトとする
というものである。これをフレネル駆動と呼ぶことにす
る。
【0031】なお、副走査方向の超音波集束度合が強け
れば、主走査方向は複数素子を同時に駆動するのみで、
遅延時間を与えて集束させなくてもインク滴は飛翔する
ので、遅延時間を与えなくてもよい。
【0032】図3は、本発明の第2の実施の形態に係る
ものであって、レンズ部材18が、共通電極14をその
両端において越えて形成されている以外は、図1および
図2に示すインクジェット記録装置のヘッド部と同様の
ヘッド部の斜視図を示すものである。この場合も圧電体
12の露出表面を覆うように、遮音部材21aおよび2
1bが設けられている。
【0033】図4は、共通電極14を個別電極13の長
さと同等の幅で形成した以外は、図1および図2に示す
インクジェット記録装置のヘッド部と同様のヘッド部を
示すものである。この場合、遮音部材21a、21b
は、共通電極14の少なくとも端部を覆うように形成さ
れている。このように、共通電極14を個別電極13の
長さと同等の幅で形成することにより、超音波の発振領
域を拡大することができる。
【0034】なお、図2から図4において、遮音部材2
1aおよび21bの少なくとも1つをインク液保持室1
9のインク液20を囲む側壁で構成することも可能であ
る。図5は、遮音部材21a、21bをレンズ部材18
と同じ材料で形成するが、その厚さを超音波の波長より
も大きな厚さ(例えば、60μmより大きな厚さ)に設
定することにより形成された以外は、図1および図2に
おける示すインクジェット記録装置のヘッド部と同様の
ヘッド部を示すものである。
【0035】なお、図5における形態について、図3に
示す配置構造のレンズ部材が共通電極をその両端におい
て越えて形成されていてもよい。図6は、遮音部材21
aおよび21bを図5に示す形態で形成した以外は、図
4に示すインクジェット記録装置のヘッド部と同様のヘ
ッド部を示すものである。
【0036】図7は、遮音部材21aおよび21bをレ
ンズ部材の表面を粗面化(それぞれ、符号211a、2
11bで示す)して構成した以外は、図1および図2に
示すインクジェット記録装置のヘッド部と同様のヘッド
部を示すものである。
【0037】なお、図7における形態について、図3に
示す配置構造のレンズ部材が共通電極をその両端におい
て越えて形成されていてもよい。図8は、遮音部材21
aおよび21bを図7の場合と同様にレンズ部材の表面
を粗面化(それぞれ、符号211a、211bで示す)
して構成した以外は、図4に示すインクジェット記録装
置のヘッド部と同様のヘッド部を示すものである。
【0038】図9および図10には、本発明のさらに別
の実施の形態に係るインクジェット記録装置が示され、
図10は、図9に示すインクジェット記録装置の圧電素
子および超音波集束レンズ部材を含む領域部分を拡大し
て示す断面図である。図1および図2と同様の箇所は、
同一符号をもって示し、その詳細は、図1および図2に
おいて説明した通りのものである。
【0039】この記録装置においては、図10に最もよ
く示されているように、共通電極14の長さWE は、個
別電極13の長さW1よりも短く、この共通電極により
露出された圧電体12の端部表面領域の長さW3’およ
びW4’は、圧電体の厚さに相当する長さよりも長い長
さを有する。このようにすると、遮音部材を設けること
なく、図1ないし図8に関して説明したインクジェット
記録装置と同様の効果を得ることができる。
【0040】さらに、図9および図10に示す例では、
個別電極のレンズ部材18には、溝18a〜18dに加
えて、共通電極14を越えた両端部領域にもフレネルの
輪帯理論に基づいて溝18e〜18jが形成され、レン
ズ部材18の有効レンズ領域18eff の幅(有効レンズ
口径)は、個別電極13と共通電極14との副走査方向
における重なり幅(この場合、共通電極14の副走査方
向の幅)よりも所定の程度だけ大きくされている。
【0041】より具体的には、図10に示すように、圧
電体12には、個別電極13および14が図1および図
2に説明した通りに形成され、レンズ部材18も図1お
よび図2に説明した通りに形成されるが、フレネルレン
ズ溝が上に述べたように共通電極14の領域を越えて形
成されている結果、レンズ部材18の有効レンズ口径W
L は、共通電極14の副走査方向の幅WE よりも大きく
されている。この場合、有効レンズ口径が大きくなる程
度は、圧電体12の厚さTP によっても規定されること
が重要であることがわかった。すなわち、有効レンズ口
径WE は上記式 (1): WL ≧WE +2TP で示される関係を満足することが好ましい。
【0042】この関係は、圧電体の両面に形成された対
向電極の副走査方向における重なり幅よりも大きな有効
口径をもってフレネルレンズが形成される場合、いいか
えると、レンズ部材に形成された有効レンズ領域が、そ
の幅が対向電極の重なり幅よりも大きく形成された場
合、どの程度大きくすべきであるかを規定したものとい
うことができる。
【0043】有効レンズ口径がこのような関係を有する
と、図1および図2に関して述べたような、短絡の防
止、サイドローブ発生の抑制がより一層効果的に達成さ
れる。図11は、レンズ部材18を共通電極14の副走
査方向における幅よりも大きいが、圧電体12の副走査
方向における幅よりも小さく形成し、従ってフレネルレ
ンズ溝の数が減少している以外は、図9および図10に
示すインクジェット記録装置のヘッド部と同様のヘッド
部を示す概略断面図である。この場合にも、図3および
図4に示すものと同様の効果が奏される。
【0044】以上図面を参照して本発明の実施の形態を
説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。例えば、個別電極13の長さ(幅)を圧電体12の
副走査方向における幅と同じとし、共通電極14の幅を
圧電体12の副走査方向における幅よりも小さくした場
合について説明したが、個別電極13と共通電極14と
の幅の関係を逆にしても同様の効果が得られることはい
うまでもない。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例よりさらに説明する。 実施例1〜2 本実施例では、図9および図10に示す構造のインクジ
ェット記録装置を作製した。
【0046】圧電体12として、厚さが約0.5mmで
比誘電率200のチタン酸鉛系圧電セラミックを用い
た。この圧電体の両面に、スパッタ法により、Ti/A
u電極層をそれぞれの厚さが0.05μm、および0.
2μmになるように形成し、3kV/mmの電界を印加
して圧電体12の分極処理を行った。その後、圧電体1
2の一方の面上の電極層をエッチングによりパターニン
グして、1つの圧電素子の幅60がμm、個別電極の間
隔が25μm(個別電極の配列ピッチ85μm)になる
ように個別電極13を形成した。また、圧電体12の副
走査方向の幅は5mmとした。
【0047】一方、ガラス製の支持部材11にTi/A
uのアレイ電極15を形成した。ついで、圧電体11上
の個別電極13と支持部材11上のアレイ電極15を位
置合わせした状態で、導電性エポキシ樹脂で接着し、両
電極が導通するように加圧した。
【0048】次に圧電体を厚さ50μmまで研磨した
後、アルミニウムからなる共通電極14をスパッタ法に
より、0.3μmの厚さに形成した。このとき、副走査
方向の電極の長さは2.0mmとした。
【0049】次に、音響マッチング層を兼ねるフレネル
レンズ18を作製するために、エポキシ樹脂とアルミナ
粉末の混合物とを音速が3×103 m/s近傍になるよ
うな割合で配合し、密度2.20×103 kg/m3
音速2.95×103 m/sの混合物を得た。これを共
通電極14の上面に塗布して硬化させ、厚さが45μm
になるように研磨した。その後焦点距離が2.5mmに
なるように深さ1/2波長(約30μm)の溝を主走査
方向に平行に形成してフレネルレンズ18を構成した。
溝形成領域の幅(レンズ口径)は、共通電極の幅(対向
電極の重なり幅に相当)2.0mmよりも0.1mm広
い2.1mmのもの(実施例1)と、0.2mm広い
2.2mmのもの(実施例2)とした。そして超音波放
射面とインク液面との距離がほぼ2.5mmになるよう
にインク液保持室19を設け、インク液を充填し、さら
に駆動回路16を設置して2種類の本発明のインクジェ
ット記録装置を完成した。
【0050】比較例1〜2 レンズ口径をそれぞれ2.0mm(圧電体の幅と同じ:
比較例1)または2.05mm(比較例2)とした以外
は、実施例1と同様にして2種類のインクジェット記録
装置を作製した。
【0051】実施例1〜2と比較例1〜2で作製した4
つの記録装置を用いてインク滴の飛翔実験を行った。イ
ンク液滴の飛翔実験には、駆動周波数(50MHz)お
よび駆動電圧(20V)を同じに設定し、そのときの駆
動バースト信号の印加時間を飛翔効率の評価基準とし
た。インク液滴の安定な飛翔を得るために必要な最小バ
ースト印加時間を図12に示す。図12において、点a
は実施例1の結果を、点bは、実施例2の結果を、点c
は比較例1の結果を、点dは比較例2の結果を示す。
【0052】図12に示すように、対向電極の重なり幅
よりも有効レンズ領域の幅を大きくした場合、上記式
(1)の関係を満足することにより(実施例1および
2)、それ以外のとき(比較例2)よりも少ないバース
ト印加時間で安定なインク液滴飛翔が可能となり、ほぼ
一定なインク液滴の飛翔を高効率で達成できることがわ
かる。対向電極の重なり幅と有効レンズ領域の幅が同じ
である場合(比較例1)、対向電極の重なり幅よりも有
効レンズ領域の幅を大きくした場合(実施例1〜2、比
較例2)に比べてインク液滴の飛翔効率ははるかに低い
こともわかる。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、超
音波集束の妨害となる音波の発生を抑制し、より効果的
にインク液滴を飛翔させることができ、もって記録速度
の高速化や低消費電力化が達成し得るインクジェット記
録装置が提供される。本発明のインクジェット記録装置
では、対向電極間の短絡も防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインクジェット記録装置のヘッド
部の斜視図。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置のヘッド部
の圧電体および超音波集束レンズ部材を含む領域の拡大
概略断面図。
【図3】本発明による他のインクジェット記録装置のヘ
ッド部の斜視図。
【図4】本発明による他のインクジェット記録装置のヘ
ッド部の斜視図。
【図5】本発明による他のインクジェット記録装置のヘ
ッド部の斜視図。
【図6】本発明による他のインクジェット記録装置のヘ
ッド部の斜視図。
【図7】本発明による他のインクジェット記録装置のヘ
ッド部の斜視図。
【図8】本発明による他のインクジェット記録装置のヘ
ッド部の斜視図。
【図9】本発明によるさらに他のインクジェット記録装
置のヘッド部の斜視図。
【図10】図9に示すインクジェット記録装置のヘッド
部の圧電体および超音波集束レンズ部材を含む領域の拡
大概略断面図。
【図11】本発明によるさらに他のインクジェット記録
装置のヘッド部の概略断面図。
【図12】本発明による実施例の結果を比較例の結果と
ともに示すグラフ図。
【符号の説明】
11…支持部材 12…圧電素子 13…個別電極 14…共通電極 15…アレイ電極 16…駆動回路 18…超音波集束レンズ部材 19…インク液保持室 19a…スリット 20…インク液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 健一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 八木 均 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 山本 紀子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク液を保持するインク液保持室と、 それぞれ圧電体およびこの圧電体の両面に対向して配置
    された一対の第1および第2の電極からなる複数の圧電
    素子を含み、前記インク液と音響的に接続される超音波
    発生手段と、 前記超音波発生手段を駆動する駆動手段と、 前記超音波発生手段上に形成され、前記超音波発生手段
    から発生される超音波を前記インク液の液面近傍に集束
    させる超音波集束レンズ部材を含む超音波集束手段とを
    具備するインクジェット記録装置において、 前記一対の電極のうち、第1の電極は、圧電素子の配列
    方向と直交する方向における各端が第2の電極の対応す
    る各端から前記圧電素子の厚さに相当する長さ以下の圧
    電体表面領域に存在し、 圧電素子の配列方向と直交する方向における第2の電極
    の前記各端部に対応する領域には、超音波を遮蔽する第
    1および第2の遮音部材がそれぞれ設けられていること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の電極が、前記圧電素子の配列
    方向と直交する方向において、前記第2の電極より短い
    長さを有することを特徴とする請求項1記載のインクジ
    ェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記レンズ部材の有効レンズ口径が、前
    記圧電素子の配列方向と直交する方向において、前記第
    1の電極よりも短い長さを有することを特徴とする請求
    項1のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記第1および第2の遮音部材が、前記
    第1の電極の各端部をも覆っていることを特徴とする請
    求項3記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の電極が、前記圧電素子の配列
    方向と直交する方向において、前記第2の電極と実質的
    に等しい長さを有することを特徴とする請求項1記載の
    インクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2の遮音部材が、前記
    第1の電極上に設けられていることを特徴とする請求項
    5記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 インク液を保持するインク液保持室と、 それぞれ圧電体およびこの圧電体の両面に対向して配置
    された一対の第1および第2の電極からなる複数の圧電
    素子を含み、前記インク液と音響的に接続される超音波
    発生手段と、 前記超音波発生手段を駆動する駆動手段と、 前記超音波発生手段上に形成され、前記超音波発生手段
    から発生される超音波を前記インク液の液面近傍に集束
    させる超音波集束レンズ部材を含む超音波集束手段とを
    具備するインクジェット記録装置において、 前記一対の電極のうち、第1の電極は、圧電素子の配列
    方向と直交する方向における各端が第2の電極の対応す
    る各端から前記圧電素子の厚さに相当する長さを超える
    圧電体表面領域に存在することを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記超音波集束レンズ部材の有効レンズ
    口径WL と、前記圧電体の厚さTP と、前記圧電素子の
    配列方向と直交する方向における前記一対の電極の重な
    り幅WE が、下記式 WL ≧WE +2TP (1) で示される関係を満足することを特徴とする請求項7記
    載のインクジェット記録装置。
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