JPH1192880A - 耐酸化性・耐水蒸気酸化特性に優れた 高Crフェライト系耐熱鋼とその製造方法 - Google Patents

耐酸化性・耐水蒸気酸化特性に優れた 高Crフェライト系耐熱鋼とその製造方法

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JPH1192880A
JPH1192880A JP25648197A JP25648197A JPH1192880A JP H1192880 A JPH1192880 A JP H1192880A JP 25648197 A JP25648197 A JP 25648197A JP 25648197 A JP25648197 A JP 25648197A JP H1192880 A JPH1192880 A JP H1192880A
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steel
coating film
oxidation resistance
heat
resistant
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JP25648197A
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Noriyuki Fujitsuna
宣之 藤綱
Fujio Abe
冨士雄 阿部
Masaaki Igarashi
正晃 五十嵐
Takehiko Itagaki
孟彦 板垣
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Kobe Steel Ltd
Nippon Steel Corp
National Institute for Materials Science
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
National Research Institute for Metals
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温での耐酸化性、特に耐水蒸気酸化特性に
優れたフェライト系耐熱鋼を提供する。 【解決手段】 酸化皮膜(1)(2)直下に1μm以下
の極微細な酸化物(4)が析出し、皮膜(1)(2)と
母材(3)との密着性が向上された高Crフェライト系
耐熱鋼とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ボイラ、
化学工業装置などの高温・高圧下で使用される装置用材
料に適したフェライト系耐熱鋼とその製造方法に関する
ものであり、高温での耐酸化性、特に水蒸気酸化特性に
優れ、従来鋼と同等以上のクリープ強度を有する耐熱鋼
とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】ボイラ、原子力、化学工業用
等の高温耐熱耐圧部材に使用される耐熱鋼には、一般
に、高温強度、靱性、高温耐食性および耐酸化性等が要
求される。これらの用途には、従来、JIS−SUS3
21H、同SUS347H鋼などのオーステナイト系ス
テンレス鋼、JIS−STBA24(2・1/4Cr−
1Mo鋼)などの低合金鋼、さらにはJIS−STBA
26(9Cr−1Mo鋼)などの9〜12Cr系の高フ
ェライト鋼が用いられてきている。
【0003】なかでも、高Crフェライト鋼は、500
〜650℃の温度において、強度、耐食性の点で低合金
鋼よりも優れており、また、オーステナイト系ステンレ
ス鋼に比べて安価であり、熱伝導度が高く、かつ、熱膨
張が小さいことから耐熱疲労特性やスケール剥離が起こ
りにくく、さらに応力腐食割れを起こさないなどの利点
があるため、広範囲に使用されている。
【0004】一方、近年では、火力発電プラントでは、
熱効率の向上を目的として、ボイラ蒸気条件の高温・高
圧化が進められており、現在の538℃、246気圧と
いう超臨界条件から、将来的には650℃、350気圧
という超々臨界圧条件での運転が計画されている。これ
に伴い、ボイラ用鋼に対する要求特性は非常に厳しいも
のになり、従来の高Crフェライト鋼では、耐酸化性や
長時間のクリープ強度特性、特に耐水蒸気酸化特性につ
いては対応できなくなってきている。耐水蒸気酸化特性
が十分でないと、高温水蒸気が流れるボイラ用鋼管内面
に酸化皮膜が生成する。この酸化皮膜はある程度成長す
ると、起動停止などのボイラの温度変化に伴う熱応力に
より剥離し、詰まりなどの原因になる。そのため、水蒸
気酸化の防止、特には、酸化皮膜の剥離防止は重要な課
題となっている。
【0005】上記の要求に応えられる材料としては、オ
ーステナイト系ステンレス鋼がある。しかし、オーステ
ナイト系ステンレス鋼は高価であり、経済性の面で商業
プラントの使用範囲は限定されている。さらに、オース
テナイト系ステンレス鋼は熱膨張係数が大きく、起動停
止等に伴う温度変化による熱応力が大きく、プラントの
設計あるいは運転の観点でも困難を伴う。このような観
点から、熱膨張係数が小さく、より安価な高Crフェラ
イト鋼の特性改善が要求されている。
【0006】このような要求に対応するため、近年、種
々の高Crフェライト系耐熱鋼が提案されている。たと
えば、特開平3−097832号公報には、従来よりも
Wの含有量を高め、さらに高温耐酸化性を改善する観点
からCuを含有させた高Cr耐熱鋼が、また、特開平4
−371551号公報および特開平4−371552号
公報には、Mo/Wの適正化に加えて、CoとBを複合
添加することで高温強度と靱性を高めた高Cr耐熱鋼が
提案されている。しかし、これらの鋼は、Wの多量添加
により高温クリープ強度は向上するが、WはMo,Cr
等と共にフェライト生成元素であり、多量添加によりδ
−フェライトが生成し、靱性が低下するのを避けられな
いという欠点がある。
【0007】この対策としては、マルテンサイト単相と
するのが最も効果的であり、このため、たとえば、特開
平5−263195号公報等には、Cr量を低減するこ
とで、また、特開平5−311342号公報、同5−3
11343号公報、同5−311344号公報、同5−
311345号公報、同5−311346号公報等に
は、オーステナイト生成元素であるNi,Cu,Co等
を多量添加することで靱性改善を図った鋼が提案されて
いる。
【0008】しかし、前者の特開平5−263196号
公報に提案された鋼は、Cr主体のスケール中にMoが
混入して緻密なスケール構造を維持できないため、耐水
蒸気酸化性が劣る。この問題を解決するために、特開平
8−85847号公報ではMo添加量を少量ないしは無
添加とし、W添加を主要強化元素とした鋼が提案されて
いる。しかし、この鋼は、特開平5−311342号公
報等に開示されている鋼と同じく、Ni,Cuを多量に
含有するため、Cr203を主体とする酸化物の構造を
変化させ、耐水蒸気酸化性も劣化するという欠点を有し
ている。
【0009】このように、高温高圧の超々臨界圧条件に
対して十分な耐酸化性および耐水蒸気酸化性を満足する
高Crフェライト系耐熱鋼は見あたらない。そこで、こ
の出願の発明は、上記の実状に鑑み、600℃以上での
耐酸化性、特に630℃以上での水蒸気中での耐酸化性
(耐水蒸気酸化性)に優れた、新しい、高Crフェライ
ト系耐熱鋼を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、使用中に表面に酸化皮膜
が生成する高Cr含有のフェライト系耐熱鋼において、
酸化皮膜との界面もしくはその近傍に1ミクロン以下の
径の極微細な酸化物が形成されて酸化皮膜と母材との密
着性が向上されたことを特徴とする耐水蒸気酸化特性に
優れた高Crフェライト系耐熱鋼(請求項1)を提供す
る。
【0011】また、この出願の発明は、上記耐熱鋼の態
様として、重量%でCrを8.0〜13.0%含有し、
TiおよびYのうちの少くとも1種が、合計重量%で
0.01〜0.30%添加含有されているフェライト系
耐熱鋼(請求項2)をはじめ、重量%で、Crを8.0
〜13.0%含有し、C:0.06〜0.18%、S
i:0.1〜1.0%、Mn:0.05〜1.5%、N
i:0〜0.5%、W:0〜4.0%、Mo:0〜2.
0%、但しW+2Mo≦4.0%、V:0.10〜0.
50%、Nb:0.02〜0.14%、N:0〜0.1
%、B:0〜0.010%、O:0.010%以下を含
有し、さらにTiおよびYを 0.01%≦Ti+Y≦0.30%以下 の範囲で少なくとも1種以上を含有し、残部がFeおよ
び不可避不純物からなる組成のフェライト系耐熱鋼(請
求項3)。
【0012】さらに加えて、Co、Rh、Ir、Pdお
よびPtのうちの少くとも1種を合計重量%で5.0%
以下の範囲で含有されているフェライト系耐熱鋼(請求
項4)等を提供する。そしてまた、この出願の発明は、
以上の耐熱鋼の製造方法として、1250℃以上に加熱
し、鍛造や圧延の塑性加工を行い、直ちに1000〜1
150℃で1時間以上保持した後に、マルテンサイト変
態終了温度以下まで急冷し、その後、650〜800℃
の範囲に加熱し、焼き戻しを行うことを特徴とするフェ
ライト系耐熱鋼の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴を有するものであるが、耐酸化性で問題となるの
は、酸化皮膜が剥離し、堆積することにより配管が閉塞
することや、皮膜が飛散することにより、より後方にあ
る機器においてエロージョンを発生させることである。
この観点からこの出願の発明はなされたものであり、そ
の要旨とするところは、前記のとおり、酸化皮膜直下の
地金との界面もしくはその近傍に1μm以下の極微細な
酸化物を均質に形成させることにより酸化皮膜と母材と
の密着性を向上させることにある。
【0014】高温酸化特性の改善には、高Cr化、高S
i化が有効であることが知られている。高Cr組成では
δ−フェライトが生成し、靱性が低下するという問題が
あるため、従来鋼ではNi,Co,Cu等のオーステナ
イト安定化元素が添加されている。しかし、これらの元
素が含まれると安定な酸化皮膜が得にくくなり、耐酸化
性が悪くなるという欠点がある。また、高Si化は腐食
量は抑制するものの、皮膜剥離が起こりやすくなるとい
う欠点がある。
【0015】そこで、発明者らは、合成組成による皮膜
構造および皮膜/母材の界面組織を検討し、以下の知見
を得たことでこの発明を完成した。 酸化皮膜と金属母材の界面もしくはその近傍、特に皮
膜直下領域に微細な酸化物が存在すると、皮膜中の空孔
消滅点になるとともに、界面に生じるボイドの成長に対
する障壁となる。さらに加えて、ブリッジング効果によ
り皮膜と母材との密着力が増大し、皮膜剥離が抑制され
る。
【0016】このような微細の酸化物を生成させるに
は、酸素との親和性が高い元素、たとえばTi,Yを
0.01〜0.50%の範囲で添加することが効果的で
ある。また、Ti,Yは、酸素をトラップすることによ
り、酸素の内向拡散が抑制され、酸化速度が著しく低下
する。 皮膜直下領域で生成する酸化物粒子が大きくなりすぎ
ると、皮膜剥離に対する抵抗にはならず、酸化物粒子が
存在しない場合と有意な差は認められなくなる。
【0017】従来、高Crフェライト系耐熱鋼では、
Ti添加により粗大な炭窒化物(介在物)が生成し、強
化に寄与するVやNbの炭化物、窒化物および炭窒化物
の量が激減し、クリープ強度が低下する。そのためTi
添加は一般には行われないが、加工熱処理条件を適正化
することにより、炭窒化物を微細に分散させることがで
き、クリープ強度を改善しうる。
【0018】これらの結果から、この発明によって、6
00℃以上の高温において耐酸化性とクリープ強度の両
立したフェライト系耐熱鋼が提供される。さらに詳しく
この発明の構成について説明する。 <析出酸化物>酸化皮膜の剥離の主要因は、温度変化に
よって引き起こされる熱応力であり、この熱応力は酸化
皮膜が成長するにつれて(皮膜の厚さが厚くなるにつれ
て)大きくなる。熱応力が皮膜と母材との密着力(接合
強度)を越えると、剥離が起こる。したがって、皮膜の
密着力を上げることができれば、皮膜の剥離は抑制でき
る。
【0019】皮膜の密着性は、一般には、酸化皮膜を緻
密にし、皮膜と母材との界面にポロシティーを作りにく
くすることによって行われる。これに対して、この発明
では、皮膜と母材との界面に微細な粒子を存在させ、皮
膜/母材間の剥離進展の障害となるようにすると同時
に、皮膜の浮き上がりを抑える。ここで以下のようにス
ケール剥離防止の効果を説明することができる。
【0020】すなわち、この発明では、たとえばTiあ
るいはYの酸化物が内部酸化により生成し、たとえば図
1に示すような外層スケール(Fe酸化物)(1)と内
層スケール(Fe−Cr酸化物)(2)とが母材(3)
表面に生成したスケール構造となり、スケール/母材界
面近傍に微細な酸化物粒子(4)が存在する形態とな
る。
【0021】一般に、図2(A)に示すように、スケー
ル中に存在する空孔点がスケールと地金(母材)との界
面に凝集し、ボイド(5)となり、このボイド(5)が
連結することによって剥離が生じると考えられる。ここ
で、図2(B)のように、スケール(1)(2)と母材
(3)の界面近傍、特にスケール(2)直下領域に微細
な酸化物粒子(4)が存在すると、微細粒子がスケール
中の空孔子点の消滅点になるとともに、ボイド(5)の
連結の障壁となる。さらに、粒子がスケールと母材とを
機械的に接合する役割を果たすことにより、スケールの
浮き上がりや剥離を制御することが可能となる。
【0022】1ミクロン以下、望ましくは0.5ミクロ
ン以下の酸化物粒子が存在する場合に、この酸化皮膜の
剥離が抑制され、上記の効果が発揮される。一方、粒子
の大きさが3ミクロン以上と大きくなると、逆に剥離性
は劣化する。 <合成組成> Cr:一般に、フェライト系耐熱鋼における酸化皮膜
は、外層側にFe主体の酸化皮膜が生成し、その内層側
にCr主体の酸化皮膜が生成する。この緻密なCr2
3 皮膜を剥離させず、安定化させることが、耐酸化性改
善には有効である。この観点から、この発明では、Cr
を必須合金元素としている。添加量については、緻密な
酸化皮膜が得るには8.0%以上必要であり、一方、1
3.0%を超えるとδ−フェライトの生成を促進し、靱
性等のその他の特性を著しく劣化させることから、Cr
含有量は好ましくは、8.0〜13.0%である。
【0023】Ti:Tiは酸素との親和性が高く、少量
の添加により、微細な酸化物が皮膜直下に生成するよう
になる。Tiは酸素以外にも炭素や窒素とも結合しやす
く、合金中に含まれるこれらの元素とも結合し、炭化物
等を形成する。添加量が0.01%以下と少ない場合に
は、すべてのTiが合金中に含まれる炭素等と結合し、
使用中に酸化物を生成することができなくなる。そのた
め、0.01%以上添加することが好ましい。一方、添
加量が多すぎると、Ti酸化物の粗大化が顕著に起こ
り、悪影響を及ぼす。そのため、上限を0.3%とする
のが適当である。また、Tiは、酸素をトラップする。
酸素の内向拡散が抑制され、酸化速度が著しく低下す
る。
【0024】また、Ti添加を行うと、粗大な炭窒化物
(介在物)が生成し、強化に寄与するVやNbの炭化
物、窒化物および炭窒化物の量が激減し、クリープ強度
が低下する。そのため、Ti添加はこれまで一般には行
われない。しかし、1250℃以上に加熱するとTi炭
化物の再固溶が始まり、この温度域で鍛造、圧延、押し
出し等の所定の塑性加工を施し、直ちに1000〜11
50℃の範囲に冷却保持した後に、マルテンサイト変態
終了温度以下まで冷却することにより、粗大なTi炭化
物のないマルテンサイト組織が得られる。その後、65
0〜800℃の範囲で焼き戻しを施すことにより、焼き
戻しマルテンサイト中に微細なM23C6やMCが析出
した組織が得られ、Tiを添加しない基本組成と同等の
クリープ強度が得られる。このとき、加工温度はTi炭
化物の固溶を促進させることが目的となり、高いほど好
ましく、1250℃でTi炭化物の固溶は起こり始める
が、1300℃以上に加熱することが望ましい。
【0025】Y:YもTiと同様、酸素との親和性が高
い元素であり、この発明の効果を有効に発揮しやすい。
添加量については、Tiと同様、使用中に酸素と結合さ
せるために、溶存酸素と結合する以上の量を添加する必
要があるため、下限値を0.01%とし、上限はTiと
同様の理由により0.3%とするのが適当である。Yの
場合も、Tiと同様、酸素をトラップすることにより、
酸素の内向拡散を抑制し、酸化速度が著しく低下させ
る。
【0026】なお、以上のTiとYについては、両者を
添加含有させる場合には、合計重量%で、0.01〜
0.3%とするのが適当である。0.01%未満ではこ
の発明の効果は充分でなく、0.3%を超える場合に
は、酸化物の粗大化が起こり好ましくないからである。
その他の元素については、これまでにもクリープ特性や
靱性など他の必要特性を付与するために添加されるもの
であり、これまでにも一般的に添加されている量を目安
とする。
【0027】C:Cは、MC[炭窒化物M(C,N)と
して形成される場合もある。なお、Mは合金元素を指
し、以下同じ]、M7C3、M23C6型の炭化物を形
成して、鋼の性能に大きく影響する元素である。特に、
VCやNbC等の微細な炭化物が使用中に析出すること
により、長時間側のクリープ強度の向上に寄与する。し
かし、この析出強化の効果を得るためには0.06%以
上が必要であり、一方、0.18%を超えると使用初期
段階から炭化物の凝集粗大化を招き、逆に長時間側のク
リープ強度の低下を招く。このため、C含有量は0.0
6〜0.18の範囲とするのが適当である。
【0028】Si:Siは、溶鋼の脱酸剤として、また
高温における耐水蒸気酸化性を向上させるのに有効な元
素であるが、多量の添加は靱性劣化を招くことから、こ
れまで一般的に、0.01〜1.0%の範囲で添加され
てきた。よって、本発明においても、その上限を1.0
%とした。 Mn:Mnは、溶鋼の脱酸剤および脱硫剤として添加す
るが、高応力で短時間クリープ強度を向上させるのに有
効な元素である。しかし、その効果を得るためには0.
05%以上が必要であり、一方、1.6%を超えると靱
性を劣化させのことが知られている。このため、Mn添
加量は0.05〜1.5%とするのが適当である。
【0029】Mo,W:Moは固溶強化をもたらすと同
時に、M23C6を安定化させ、高温強度を向上させ
る。2%超ではδフェライトの生成を促進すると同時
に、M6CとLaves 相の析出および凝集粗大化を促進さ
せるので、上限を2%とした。WはMoと同様固溶強化
をもたらすと同時に、M23C6の微細析出に寄与し、
炭化物の凝集粗大化を抑制する。これらの効果により、
高温長時間でのクリープ強度を著しく向上させる。4%
を超えると、δフェライトと粗大なLaves 相が生成しや
すくなり靱性を低下させるため、上限を4%とするのが
適当である。Mo,Wを同時に添加する場合には、W+
2Moの合計が4%とするのが適当である。
【0030】V:Vは、微細な炭窒化物を形成してクリ
ープ強度の向上に寄与する元素である。しかし、その効
果を得るためには0.10%以上が必要であり、一方、
0.50%を超えて添加してもその効果は飽和すること
から、V含有量は0.10〜0.50%とするのが適当
である。 Nb:Nbは炭窒化物として析出し、高温強度を高める
とともに、組織微細化の作用により靱性を改善するた
め、最低0.02%が必要とされている。しかし、0.
15%以上添加すると、焼きならし温度ではマトリック
スに完全に固溶しきれず、十分な強化効果が得られない
と考えられているため、0.02〜0.14%とするの
が適当である。
【0031】N:Nは、窒化物および炭窒化物を形成し
てクリープ強度を改善する元素である。しかし、一般
に、0.1%を超えると窒化物の粗大化が進行し、逆に
著しい靱性低下を招くので、上限を、好ましくは0.1
%とする。 Ni:Niはオーステナイト生成元素であり、δフェラ
イトの生成を抑制する効果を有し、靱性の改善にも有効
であることが知られている。しかし、1%以上添加する
と、クリープ強度の低下を招くため、上限を、好ましく
は1%とする。
【0032】B:Bは粒界強化やM23C6炭化物を微
細分散に効果があり、高温強度に寄与するとともに焼き
入れ性改善に有効であることが知られている。0.01
%を超えると粗大なB含有析出物を形成し、脆化を引き
起こすことが知られている。よって、上限は0.01%
とするのが適当である。 Co,Rh,Ir:上記以外にも、δフェライトの生成
を抑制する効果を有する元素としてCoがあり、近年C
o添加の検討が進められている。しかし、添加しすぎる
と強度低下や脆化を引き起こすことが知られており、一
般的にはその上限は5%とされている。RhおよびIr
もCoと同様に有効である。Co,RhおよびIrは、
各々、0.3〜5.0%の割合で、しかも2種以上添加
する場合にも、合計重量としては0.3〜5.0%とす
るのが適当である。
【0033】もちろん、この発明は、皮膜直下に1ミク
ロン以下の微細な酸化物を生成させ、その酸化物粒子が
ブリッジング効果を発揮することにより、皮膜の剥離を
抑制することを主旨としている。そのため、以上例示し
た合成成分に、限定されるものではない。以下、実施例
を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。
【0034】
【実施例】実施例1 表1に示す化学組成を有する各種鋼を50kg真空誘導
溶解炉にて溶製した。得られたインゴットを熱間鍛造、
熱間圧延して20mm厚さの板材とし、これらの板材か
ら各種の試験片を採取した。なお、表1中の比較例1,
2,3はそれぞれ、ASTMのT91,T92,T12
2規格鋼である。
【0035】
【表1】
【0036】各種試験に先立ち、1050℃×1時間→
ACの焼きならし処理後、780℃×1時間→ACの焼
きもどし処理を行い、耐水蒸気酸化性を調査した。水蒸
気酸化試験は、試験環境:水蒸気雰囲気、試験温度:7
00℃、試験時間:1000時間の連続加熱によるスケ
ール厚さの評価と、同温度において、96時間加熱後室
温まで空冷する処理を10回繰り返した場合の脱落スケ
ール量の評価を行った。表2にこれらの結果を示した。
同表には、皮膜直下における酸化物の有無とそのサイズ
を合わせて示している。
【0037】
【表2】
【0038】表2に示したように、Ti,Yを添加する
ことにより微細な酸化物が皮膜下部に生成し、結果とし
て、脱落スケール量が減少していることが確認された。
同時に、連続加熱時のスケールの厚さも薄くなってお
り、酸化速度も同時に抑制してると判断される。Siを
添加した比較鋼において、連続加熱時の皮膜厚さが減少
し、皮膜直下に酸化物の生成も認められた。しかし、S
i添加の場合の酸化物は比較的大きく、Cr2 3 皮膜
内面に層状に存在するため、逆に剥離を助長したと判断
される。 実施例2 表1中の発明例2の鋼について、1100〜1400℃
の範囲で鍛造を行い、鍛造後直ちに1050℃の炉に挿
入し1時間保持した後、水冷した。この後、780℃×
1時間→ACの焼き戻し処理を行い、650℃、100
Mpaでクリープ破断試験を行った。その結果を、表3
に示した。
【0039】
【表3】
【0040】表3より、1250℃以上に加熱し、加工
を行うことによって、クリープ破断時間が長くなり、N
o1のT91鋼以上の破断時間となる。さらに、加工温
度を1400℃以上にすることにより、T92(比較例
2)鋼やT122(比較例3)鋼と同程度の破断時間と
なり、十分なクリープ強度を有していると判断された。
【0041】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、ボイラ、原子力、化学工業などの広い産
業分野で使用される高温耐熱、耐圧部材、例えば鋼管、
圧力容器用鋼板、タービン用材料等として有用な、耐水
蒸気酸化性に優れ、従来鋼と比較して同等以上のクリー
プ特性の優れた高Crフェライト系耐熱鋼が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明における酸化物粒子の形成とスケール
との関係構造を例示した断面概要図である。
【図2】(A)(B)は、各々、従来のボイドによる剥
離と、この発明による剥離防止の構造を例示した断面概
要図である。
【符号の説明】
1 外層スケール 2 内層スケール 3 母材 4 酸化物粒子 5 ボイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 冨士雄 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 五十嵐 正晃 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 板垣 孟彦 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用中に表面に酸化皮膜が生成する高C
    r含有のフェライト系耐熱鋼において、酸化皮膜との界
    面もしくはその近傍に1ミクロン以下の径の極微細な酸
    化物が形成されて酸化皮膜と母材との密着性が向上され
    たことを特徴とする耐水蒸気酸化特性に優れた高Crフ
    ェライト系耐熱鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、Crを8.0〜13.0%含
    有し、TiおよびYのうちの少くとも1種が、合計重量
    %で0.01〜0.30%添加含有されている請求項1
    のフェライト系耐熱鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、Crを8.0〜13.0%含
    有し、 C:0.02〜0.18%、Si:0.1〜1.0%、
    Mn:0.05〜1.5%、Ni:0〜0.5%、W:
    0〜4.0%、Mo:0〜2.0%、但しW+2Mo≦
    4.0%、V:0.10〜0.50%、Nb:0.02
    〜0.14%、N:0〜0.1%、B:0〜0.010
    %、O:0.010%以下 を一種以上含有し、さらにTiおよびYを 0.01%≦Ti+Y≦0.30%以下 の範囲で少なくとも1種以上を含有し、残部がFeおよ
    び不可避不純物からなる組成の請求項1または2のフェ
    ライト系耐熱鋼。
  4. 【請求項4】 Co、Rh、Ir、PdおよびPtのう
    ちの少くとも1種を合計重量%で5.0%以下の範囲で
    含有する請求項3のフェライト系耐熱鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかのフェライ
    ト系耐熱鋼の製造方法であって、1250℃以上に加熱
    し、鍛造や圧延等の塑性加工を行い、直ちに1000〜
    1150℃で1時間以上保持した後に、マルテンサイト
    変態終了温度以下まで急冷し、マルテンサイト組織とし
    た後に、650〜800℃の範囲に加熱し、焼き戻しを
    行うことを特徴とするフェライト系耐熱鋼の製造方法。
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