JPH1192915A - 蒸着方法および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
蒸着方法および有機エレクトロルミネッセンス素子Info
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Abstract
着方法において、ガスや水分等による汚染を確実に低減
できる蒸着方法を提供する。不純物による汚染を低減す
ることにより優れた品質を確保できる有機EL素子を提
供する。 【解決手段】 有機蒸着材料を用いて有機物層13,1
4を蒸着するにあたって、有機蒸着材料として、ガス含
有率を1mol%以下としたペレット状のものを用い
る。これにより、ガスや水分等による汚染を確実に低減
できるから、有機EL素子1を作製した場合には、寿命
が長く駆動電圧の低い高品質な有機EL素子1が得られ
る。
Description
機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)に関
し、詳しくは、有機蒸着材料を用いて有機物層を成膜す
る蒸着方法、および、基板上に成膜された電極および有
機物層を備えた有機EL素子に関する。
有機EL素子が注目されており、ディスプレイ等への利
用に向けて研究が進められている。この有機EL素子
は、一般に、陽極(透明電極)、発光層等の有機物層、
および陰極(対向電極)を基板上に積層した構造を備え
ている。一方、カールソン方式の電子写真複写機では、
電子写真感光体として、有機物からなる感光層を備えた
有機感光体が用いられている。これらの有機EL素子や
電子写真感光体等における有機物層の成膜は、有機物か
らなる有機蒸着材料を加熱して蒸発させる真空蒸着法に
より行われている。この有機蒸着材料には、原料の有機
物を溶融脱気して粉砕した粉末状のものが用いられてい
る。
不純物であるガスを吸着しやすいうえ、粉末状の有機蒸
着材料は大気との接触面積が大きいため、水分等の不純
物を吸着しやすい。吸着されたガスや水分等は、有機物
層の蒸着時に、有機蒸着材料とともに蒸発して有機物層
に混入したり基板等に付着したりする。このようなガス
等の不純物による汚染のために、有機EL素子や電子写
真感光体等においては、目的とする機能が充分に得られ
ない場合がある。このような問題を解消するものとし
て、有機物粉末を加圧成形して錠剤としたものを有機蒸
着材料として用いることにより、蒸着時のガスの蒸発を
抑制する方法(特開平5−204196号公報)、気化
させた有機蒸着材料をコールドトラップに導入し、不純
物を凝縮させて取り除いてから蒸着に用いる方法(特開
昭50−3973号)等が提案されている。
る方法では、有機物粉末を単に加圧成形するのみである
ため、蒸着材料中から、ガス、特に、有機物の結晶中に
取り込まれた有機溶媒等を取り除くことができず、ガス
による汚染を充分に低減できないという問題がある。一
方、コールドトラップに導入する方法では、有機蒸着材
料中の不純物のうちの不揮発性成分は除去できるもの
の、ガス等の揮発性成分を充分に除去できないため、ガ
ス等による汚染を回避できない。また、これらの方法で
有機EL素子を作成すると、発光層や基板等の汚染を充
分に抑制できないために、素子性能の低下、特に、寿命
が短くなるという問題が生じる。
機物層を成膜する蒸着方法において、ガスや水分等の不
純物による汚染を確実に低減できる蒸着方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、基板上に成膜
された電極および有機物層を備えた有機EL素子におい
て、不純物による汚染を低減することにより優れた品質
を確保できる有機EL素子を提供することにある。
に、本発明者らが鋭意検討した結果、有機蒸着材料に含
まれるガスの性質にもよるが、有機蒸着材料中に5mo
l%以上のガスが含まれていると、蒸着時に有機蒸着材
料から脱ガスが発生し、このガスによって有機物層や基
板等が汚染されるという知見が得られた。なお、ここで
のガスとは、有機蒸着材料の蒸着温度程度以下で蒸発す
る物質のことであり、蒸着温度付近の温度よりも高い温
度で蒸発する物質は含まない。本発明は、有機蒸着材料
中のガスの量を制限することで、前記目的を達成しよう
とするものである。
いて有機物層を成膜する蒸着方法であって、前記有機蒸
着材料は、ペレット状に形成され、かつ、ガス含有率が
1mol%以下とされていることを特徴とする。
らず、蒸着する有機蒸着材料以外の物質のうち、つま
り、有機蒸着材料中の不純物のうち、有機蒸着材料の蒸
着時の温度付近以下の温度で蒸発する物質のことをい
う。このガスには、大気中(常温)で気体のものだけで
なく、蒸着時に加熱されて気化するものも含まれる。
有率が1mol%以下とされているので、有機物層の蒸
着時に蒸発する不純物としてのガスの量を大幅に少なく
できるから、ガスによる汚染を確実に低減できる。ま
た、有機蒸着材料は、ペレット状に形成されているの
で、粉末状のものよりも、大気と接触する面積を小さく
できるから、不純物である水分等の吸着を最小限にでき
る。従って、有機物蒸着材料からの水分等の蒸発を最小
限にできるため、水分等の不純物による汚染を確実に低
減できる。また、粉末と異なり、それ自身の熱伝導が良
好になるため、大量の材料を仕込んだとき等には、短時
間で蒸着条件が安定化する。
中で加熱することにより脱気処理したものであることが
好ましい。このように、有機物を真空中で加熱すれば、
有機物の結晶中に取り込まれた有機溶媒等のガスも除去
できるので、効率よく脱気できるから、有機蒸着材料中
のガス含有率を確実に低減できる。
は、より好ましくは、0.1mol%以下であり、ガス
含有率は低い方が好ましい。また、蒸着の際には、真空
槽自身からもガスが発生することから、この真空槽から
発生するガスを基準として、これよりもガス含有率の低
い有機蒸着材料を用いることでも、充分な効果が得られ
る。ガス含有率の測定方法としては、脱気処理の際の真
空度の変化から推定する方法、ガスクロマトグラフィー
法、脱気処理前後の重量減少から求める方法等を採用で
きる。また、有機蒸着材料の種類は、特に限定されるも
のではないが、分子量が大きすぎると、蒸着時に高温に
なって分解するおそれがあるため、分子量は小さい方が
好ましく、例えば、分子量2000以下である。
定されるものではないが、作成しやすいものが好まし
い。ペレットの形状としては、例えば、球状、円柱状、
直方体形状等を採用できる。また、ペレットの大きさ
は、最大径が0.1〜100mmとすることが好まし
い。
および有機物層を備えた有機エレクトロルミネッセンス
素子であって、前記有機物層は、有機蒸着材料を前記基
板上に蒸着することにより成膜され、前記有機蒸着材料
は、ペレット状に形成され、かつ、ガス含有率が1mo
l%以下とされていることを特徴とする。
有率を1mol%以下としたペレット状のものを用いる
ので、有機蒸着材料中の不純物であるガスや水分等を少
なくでき、有機物層や基板の汚染を確実に低減できるか
ら、寿命が長く駆動電圧の低い高品質な有機EL素子が
得られる。
り出し面とするタイプでは、有機EL素子の層構成の具
体例として、基板表面上の積層順が下記(1)〜(4)
のものが挙げられる。 (1)陽極/発光層/陰極 (2)陽極/発光層/電子注入層/陰極 (3)陽極/正孔注入層/発光層/陰極 (4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
種の有機発光材料により形成されるが、有機発光材料と
正孔注入材料および/または電子注入材料との混合物に
より形成される場合もある。また、前述した層構成の素
子の外周に、当該素子を覆うようにして素子への水分の
浸入を防止するための保護層が設けられる場合もある。
基板は、少なくとも有機EL素子からの発光(EL光)
に対して高い透過性(概ね80%以上)を与える物質か
らなり、具体的には、透明ガラス、透明プラスチック、
石英等からなる板状物やシート状物或いはフィルム状物
を採用できる。
入層、保護層の材料としては、それぞれ従来公知の材料
を用いることができる。例えば、陽極材料としては、仕
事関数が大きい(例えば4eV以上)金属、合金、電気
伝導性化合物、または、これらの混合物が好ましく用い
られる。具体例としては、金、ニッケル等の金属や、C
ul、ITO、SnO2 、ZnO等の誘電性透明材料
等が挙げられる。特に、生産性や制御性の点からITO
が好ましい。陽極の膜厚は、材料にもよるが、通常10
nm〜1μmの範囲内で適宜選択可能である。
い(例えば4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合
物、またはこれらの混合物等が好ましく用いられる。具
体例としては、ナトリウム、ナトリウムーカリウム合
金、マグネシウム、リチウム、マグネシウムと銀との合
金または混合金属、アルミニウム、Al/Al2 O3 、
インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げら
れる。陰極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm〜
1μmの範囲内で適宜選択可能である。陽極および陰極
のいずれにおいても、そのシート抵抗は、数百Ω/□以
下が好ましい。なお、陽極材料および陰極材料を選択す
る際に基準とする仕事関数の大きさは、4eVに限定さ
れるものではない。
機発光材料)は、有機EL素子用の発光層、すなわち、
電界印加時に陽極または正孔注入層から正孔を注入する
ことができるとともに、陰極または電子注入層から電子
を注入することができる注入機能や、注入された電荷
(電子と正孔の少なくとも一方)を電界の力で移動させ
る輸送機能、電子と正孔の再結合の場を提供してこれを
発光につなげる発光機能等を有する層を形成することが
できるものであればよい。その具体例としては、ベンゾ
チアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾ
ール系等の系の蛍光増白剤や、金属キレート化オキシノ
イド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピ
ラジン誘導体、ポリフェニル系化合物、12−フタロペ
リノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエ
ン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジ
アゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導
体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導
体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、芳香族
ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属
錯体等が挙げられる。発光層の厚さは、特に限定される
ものではないが、通常は、5nm〜5μmの範囲内で適
宜選択される。
料(正孔注入材料)は、正孔の注入性と、電子の障壁性
のいずれかを有しているものであればよい。その具体例
としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導
体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導
体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレン
ジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カ
ルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラ
セン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、
スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系化合
物、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー等の導
電性高分子オリゴマー、ポルフィリン化合物、芳香族第
三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメ
チリディン系化合物等が挙げられる。正孔注入層の厚さ
も特に限定されるものではないが、通常は、5nm〜5
μmの範囲内で適宜選択される。正孔注入層は、上述し
た材料の一種または二種以上からなる一層構造であって
もよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる複
数層構造であってもよい。
入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよ
く、その材料(電子注入材料)の具体例としては、ニト
ロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導
体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘
導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸
無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導
体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、
オキサジアゾール誘導体、8−キノリノール誘導体の金
属錯体、メタルフリーフタロシアニンやメタルフタロシ
アニン、或いは、これらの末端がアルキル基やスルホン
基等で置換されているもの、ジスチリルピラジン誘導体
等が挙げられる。電子注入層の厚さも特に限定されるも
のではないが、通常は、5nm〜5μmの範囲内で適宜
選択される。電子注入層は、上述した材料の一種または
二種以上からなる一層構造であってもよいし、同一組成
または異種組成の複数層からなる複数層構造であっても
よい。
テトラフルオロエチレンと少なくとも一種のコモノマー
とを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合
体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフロオロエ
チレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロ
ロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンと
ジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、吸水率1%
以上の吸水性物質および吸水率0.1%以下の防湿性物
質、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、T
i、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2 、Al
2 O3 、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2
O3 、Y2 O3 、TiO2 、等の金属酸化
物、MgF2 、LiF、AlF3、CaF2 等の金
属フッ化物等が挙げられる。
除く各層(陽極および陰極を含む)の形成方法について
も特に限定されるものではない。陽極および陰極等の形
成方法としては、例えば、真空蒸着法、スピンコート
法、キャスト法、スパッタリング法、LB法等を適用す
ることができる さらに、保護層については、真空蒸着法、スピンコート
法、スパッタリング法、キャスト法、MBE(分子線エ
ピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレ
ーディング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレ
ーディング法)、反応性スパッタリング法、プラズマC
VD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースC
VD法等を採用できる。
る材料に応じて適宜変更可能であるが、有機EL素子を
構成する各層の形成にあたって、真空蒸着法を用いれ
ば、この真空蒸着法だけによって有機EL素子を形成す
ることができるため、設備の簡略化や生産時間の短縮を
図るうえで有利である。
層を含む)の形状および大きさは必ずしも同一ではな
い。また、素子を平面視したときに、基板の直上に形成
された電極の上に他の全ての層が必ず納まっているとい
うわけでもない。
面に基づいて説明する。 〈有機EL素子の構成〉図1には、本実施形態の有機E
L素子1が示されている。この有機EL素子1は、基板
11と、この基板11上に成膜されたITO膜からなる
陽極(透明電極)12と、この陽極12上に成膜された
有機物層としての正孔注入層13および発光層14と、
これらの有機物層13,14上に成膜された陰極(対向
電極)15とを備えている。
り、その片面に、帯状の陽極12が長手方向に沿って成
膜されている。この陽極12上に積層された正孔注入層
13および発光層14の上には、基板11の長手方向と
直交する方向、つまり、陽極12と直交する方向に延び
る三つの帯状の陰極15が形成されている。本実施形態
の有機EL素子1においては、平面視したときに、陽極
12および陰極15が重なり、これらの電極12,15
の間に正孔注入層13および発光層14が介装された領
域に、平面形状矩形の発光面16が形成される。
層である正孔注入層13は、当該正孔注入層13用の有
機蒸着材料を、基板11の陽極12上に蒸着することに
より成膜されている。これと同様に、有機物層である発
光層14は、当該発光層14用の有機蒸着材料を、基板
11の正孔注入層13上に蒸着することにより成膜され
ている。これらの有機蒸着材料は、ペレット状に形成さ
れ、かつ、そのガス含有率が1mol%以下とされたも
のである。
よび発光層14を構成する各有機蒸着材料は、それぞれ
次のような手順で作製する。本実施形態では、粉末状の
有機物を真空中で加熱することにより、有機物の脱気処
理および成形を行う。すなわち、有機物粉末をモリブデ
ン製の容器に入れて、真空蒸着装置の真空槽内にセット
する。なお、この容器は、ペレットに対応した形状の凹
部を複数有するものであり、これらの凹部にそれぞれ所
定量の有機物粉末を入れる。
行い、真空槽が所定の真空度になったら、所定の温度に
なるように容器を加熱する。なお、真空槽の真空度は、
電離真空計等を用いて測定すればよい。容器が加熱され
ると、その凹部内の有機物粉末が溶融するとともに、有
機物に含まれていた不純物としてのガスが放出され、こ
れにより、真空槽の真空度が低下する。このまま容器を
所定温度に加熱し続けると、有機物粉末中のガスが少な
くなってその蒸発量が減少し、これにより、真空槽の真
空度が高くなる。そして、有機物粉末に含まれるガスが
ほとんどなくなると、真空槽の真空度は、前記所定の真
空度(加熱前の真空度)に戻る。このような脱気処理に
より、有機物粉末中のガスが取り除かれる。特に、有機
物粉末を加熱することにより、有機物の結晶中に取り込
まれた有機溶媒等のガスを確実に除去できる。このとき
の容器の加熱温度は、有機物が溶融しかつ蒸発しない程
度の温度に設定し、容器の加熱時間は、ガスの発生によ
り低下した真空度が所定の真空度(加熱前の真空度)ま
で回復するのに要する時間以上に設定する。
後、容器の加熱を終了して、溶融した有機物を冷却し、
容器の凹部に倣った形状に固化させてから、真空槽から
取り出す。これにより、有機蒸着材料であるペレットが
得られる。このようにして、有機物粉末を真空中で加熱
し、真空槽の真空度が加熱前の状態に戻るまで脱気する
と、得られるペレットのガス含有率は1mol%以下と
なる。また、ペレットは、大気と接触する表面積が粉末
状態のときよりも小さくなるため、脱気処理後の水分等
の吸収を最小限に抑えることができる。
陽極12付きの基板11に、正孔注入層13、発光層1
4および陰極15を真空蒸着法によって順次成膜する。
すなわち、基板11上に予めITO膜12を成膜した透
明支持基板10を用意し、この透明支持基板10を洗浄
してから、真空蒸着装置の真空槽内の基板ホルダに固定
する。この真空蒸着装置は既存のものであり、その真空
槽内には、基板ホルダと複数のモリブデン製の抵抗加熱
ボートとが対向配置されている。このような真空蒸着装
置では、真空槽の真空を破ることなく複数層の膜を連続
して蒸着できるうえ、種類の異なる蒸着材料を同時に蒸
発させることにより、複数種類の材料からなる膜を蒸着
できるようになっている。
層13用のペレット、同様の処理で得られた発光層14
用のペレット、および、陰極15用の金属を、それぞれ
別の抵抗加熱ボートに入れた後、真空槽内を所定の真空
度になるように減圧する。なお、陰極15用の金属に
は、粉末状のものを用いてもよく、或いは、ペレット状
のものを用いてもよい。また、使用する金属の種類は、
一種類に限定されず、複数種類であってもよく、複数種
類の金属を用いる場合には、材質毎に蒸着温度等の蒸着
条件が異なるため、それぞれ別の抵抗加熱ボートに入れ
る。
れた抵抗加熱ボートを所定の温度まで加熱して蒸発さ
せ、透明支持基板10の陽極12上に堆積させて、正孔
注入層13を成膜する。このとき、正孔注入層13用の
ペレットは、前述の脱気処理によってガス含有率が1m
ol%とされるとともに、脱気処理後の水分等の吸収が
ほとんどないため、蒸着時には、正孔注入層13用のペ
レットからガス等の不純物はほとんど発生しない。
支持基板10を真空槽から取り出すことなく、発光層1
4の成膜を行う。すなわち、発光層14用のペレットを
入れた抵抗加熱ボートを所定の温度まで加熱して蒸発さ
せ、正孔注入層13上に堆積させて発光層14を成膜す
る。この際、発光層14用のペレットは、正孔注入層1
3の場合と同様に、前述の脱気処理によってガス含有率
が1mol%とされるとともに、脱気処理後の水分等の
吸収がほとんどないため、蒸着時には、ペレットからガ
ス等の不純物はほとんど発生しない。
き、陰極15の成膜を行う。すなわち、陰極用の金属を
入れた抵抗加熱ボートを所定の温度まで加熱して蒸発さ
せ、発光層14上に堆積させて陰極15を成膜する。な
お、本実施形態の陰極15は、マスク等を用いて発光層
14上に所定間隔で三つ形成する。
13、発光層14および陰極15を成膜した透明支持基
板10を真空槽から取り出し、三つに切断して、層構成
が、陽極(ITO膜)12/正孔注入層13/発光層1
4/陰極15とされた三つの有機EL素子1を得る。
うな効果がある。すなわち、正孔注入層13および発光
層14を構成する各ペレット(有機蒸着材料)は、その
ガス含有率が1mol%以下とされているので、蒸着時
に蒸発する不純物としてのガスの量を大幅に少なくでき
るから、ガスによる有機EL素子1を構成する各層12
〜15および基板11の汚染を確実に低減できる。ま
た、正孔注入層13および発光層14を構成する各ペレ
ット(有機蒸着材料)は、粉末状のものよりも大気と接
触する面積が小さいため、不純物である水分等の吸着を
最小限にできるから、正孔注入層13および発光層14
の蒸着時におけるペレットからの水分等の蒸発を最小限
にでき、水分等の不純物による有機EL素子1を構成す
る各層12〜15および基板11の汚染を確実に低減で
きる。これにより、有機EL素子1を構成する各層12
〜15および基板11が、蒸着時にガスおよび水分等に
よって汚染されることがほとんどなくなるため、寿命が
長く駆動電圧の低い高品質な有機EL素子1が得られ
る。
の各ペレットは、有機物粉末を真空中で加熱することに
より作製したため、有機物の結晶中に取り込まれた有機
溶媒等のガスも除去でき、効率よく脱気できるから、ペ
レット中のガス含有率を確実に低減できる。
ものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を
含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
すなわち、前記実施形態では、有機物粉末のペレット化
と脱気処理とを同時に行ったが、有機物粉末を加圧成形
等によりペレット状に成形してから脱気処理を行っても
よく、或いは、有機物粉末を脱気処理してからペレット
化してもよい。
の層構成が、陽極/正孔注入層/発光層/陰極の場合に
ついて説明したが、これに限定されず、例えば、陽極/
発光層/陰極としてもよく、或いは、陽極/発光層/電
子注入層/陰極としてもよく、さらには、陽極/正孔注
入層/発光層/電子注入層/陰極としてもよい。また、
これらの層を覆うように保護膜を設けてもよい。
づいて説明する。 〔実施例1〕本実施例1では、前記実施形態に基づい
て、正孔注入層および発光層を構成する各ペレット(有
機蒸着材料)を作製し、これらのペレットを用いて有機
EL素子を作製した。本実施例1では、以下の具体的な
条件等を採用した。
N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[I−I’ビフ
ェニル]−4,4’−ジアミン(以下TPDという) ・発光層 :粉末状のトリス(8−キノリノール)ア
ルミニウム(以下Alq3 という) ・各有機物粉末の容器への供給量:1g
になった後に容器の加熱を開始し、容器が200℃とな
るように加熱した。ガスの発生により真空度が下がり、
再び1×10-5Paに戻ってからさらに10分間加熱を
継続した。
有機物粉末であるTPD粉末について、成形および脱気
処理を行った結果、100mgのTPDのペレットが1
0個得られた。TPD粉末の加熱時には、ガスの発生に
よって真空槽の真空度が、一旦1×10-3Paに下が
り、この状態が30秒続いた後に、再び1×10-5Pa
に戻った。このときの加熱による真空度の低下は、約1
×10-3Paであり、この値と、真空槽の排気速度10
4 l/秒とから、気体の状態式により、TPD粉末か
ら放出されたガス量を見積もると、約4×10-6mol
/秒となる。このガスの放出は30秒間続いたため、本
実施例1の加熱による脱気処理では、TPD粉末から約
1×10-4 molのガスが放出されたことになる。こ
れにより、使用したTPD粉末1g中にガスの占める割
合、つまり、加熱前のTPD粉末のガス含有量は、約5
mol%となる。また、TPDの加熱中、真空槽の真空
度が1×10-5Paに戻ったため、TPD中のガスはほ
ぼ完全に放出されたと考えられる。従って、有機蒸着材
料であるTPDペレットのガス含有量は、5×10-3m
ol%以下であるといえる。
Alq3 粉末について、成形および脱気処理を行った
結果、100mgのAlq3 ペレットが10個得られ
た。前記TPDの場合と同様にして、加熱中の真空槽の
真空度の変化から、ガス量を求めたところ、加熱前のA
lq3 粉末のガス含有量は、約8mol%であった。
また、Alq3 の加熱中に真空度が1×10-5Paに
戻ったことから、有機蒸着材料としてのAlq3 ペレ
ットのガス含有量は、5×10-3mol%以下であると
いえる。
て正孔注入層、発光層および陰極を順次蒸着して、本実
施例1の有機EL素子を得た。この有機EL素子の初期
輝度は、電圧6.5V、電流密度3mA/cm2 の条
件下で100cd/m2 に達し、このときの電力変換
効率は、1.6lm/Wであった。
注入層および発光層の有機蒸着材料として、それぞれ、
加熱による脱気処理をしていないTPD粉末およびAl
q3 粉末を用いた以外は、前記実施例1と同様にして
本比較例1の有機EL素子を得た。このように、TPD
およびAlq3 の脱気処理を省略すると、有機蒸着材
料のガス含有量が1mol%よりも多くなる。このた
め、正孔注入層および発光層の蒸着の際に、TPDおよ
びAlq3 から前記実施例1の場合よりも多くのガス
が放出され、真空槽の真空度が低下した。本比較例1の
有機EL素子の初期輝度は、電圧7V、電流密度3.5
mA/cm2 の条件下で100cd/m2 に達し、
このときの電力変換効率は、1.3lm/Wであった。
よび比較例1で得られた各有機EL素子について、半減
寿命および駆動電圧の経時変化を評価した。これらの結
果を図2および図3に示す。半減寿命の評価は、初期輝
度を300cd/m2 として、一定電流駆動で150
cd/m2 に達するまでに要する時間を求めることに
より行った。駆動電圧の評価は、初期の電流を継続して
得るために必要な電圧を求めることにより行った。
およびAlq3 粉末をそれぞれ脱気処理してガス含有
量を1mol%以下にしたペレットを用いて、正孔注入
層および発光層を蒸着したため、蒸着中のガスの発生が
ほとんどなくなる。従って、ガスによる素子の汚染を低
減でき、比較例1よりも半減寿命が長いうえに時間経過
に伴う駆動電圧の上昇が少ない優れた品質の有機EL素
子が得られることがわかる。一方、比較例1では、TP
D粉末およびAlq3 粉末の脱気処理およびペレット
化を行っていないため、蒸着時に放出されたガスによっ
て素子が汚染され、実施例1の有機EL素子よりも半減
寿命が短くなるうえに、時間経過に伴う電圧上昇が大き
くなることがわかる。
注入層の有機蒸着材料として、ガス含有率が0.1mo
l%のTPDペレットを用いた以外は、前記実施例1と
同様にして本実施例2の有機EL素子を得た。
注入層の有機蒸着材料として、ガス含有率が1mol%
のTPDペレットを用いた以外は、前記実施例1と同様
にして本実施例3の有機EL素子を得た。
注入層の有機蒸着材料として、ガス含有率が5×10-2
mol%のTPDペレットを用いた以外は、前記実施例
1と同様にして本実施例4の有機EL素子を得た。
注入層の有機蒸着材料として、ガス含有率が5mol%
のTPDペレットを用いた以外は、前記実施例1と同様
にして本比較例2の有機EL素子を得た。
3,4および比較例2で得られた各有機EL素子につい
て、前記有機EL素子の評価(1)と同様にして、半減
寿命を求めた。これらの結果を、TPDペレットのガス
含有量と半減寿命との関係として、図4に示す。図4よ
り、TPDペレットのガス含有量が少ないほど、半減寿
命の長い高品質な有機EL素子が得られることがわか
る。
有機蒸着材料を用いて有機物層を成膜するにあたって、
有機蒸着材料のガス含有率を1mol%以下としたの
で、有機物層の蒸着時に蒸発する不純物としてのガスの
量を大幅に少なくできるから、ガスによる汚染を確実に
低減できる。また、有機蒸着材料をペレット状に形成し
たので、粉末状のものよりも大気と接触する面積を小さ
くできるから、不純物である水分等の吸着を最小限にで
きる。従って、有機物蒸着材料からの水分等の蒸発を最
小限にできるため、水分等の不純物による汚染を確実に
低減できる。
有機EL素子の有機物層を成膜するにあたって、有機蒸
着材料として、ガス含有率を1mol%以下としたペレ
ット状のものを用いたので、有機物層や基板の汚染を確
実に低減できるから、寿命が長く駆動電圧の低い高品質
な有機EL素子が得られる。
素子の半減寿命を示すグラフ。
の電圧上昇を示すグラフ。
て、TPDのガス含有量と有機EL素子の半減寿命とを
示すグラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】 有機蒸着材料を用いて有機物層を成膜す
る蒸着方法であって、前記有機蒸着材料は、ペレット状
に形成され、かつ、ガス含有率が1mol%以下とされ
ていることを特徴とする蒸着方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載した蒸着方法において、
前記有機蒸着材料は、真空中で加熱することにより脱気
処理したものであることを特徴とする蒸着方法。 - 【請求項3】 基板上に成膜された電極および有機物層
を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、 前記有機物層は、有機蒸着材料を前記基板上に蒸着する
ことにより成膜され、 前記有機蒸着材料は、ペレット状に形成され、かつ、ガ
ス含有率が1mol%以下とされていることを特徴とす
る有機エレクトロルミネッセンス素子。
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|---|---|---|---|
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