JPH1193021A - 鞘芯ポリエステル繊維 - Google Patents

鞘芯ポリエステル繊維

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JPH1193021A
JPH1193021A JP25496697A JP25496697A JPH1193021A JP H1193021 A JPH1193021 A JP H1193021A JP 25496697 A JP25496697 A JP 25496697A JP 25496697 A JP25496697 A JP 25496697A JP H1193021 A JPH1193021 A JP H1193021A
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JP
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fiber
sheath
core
polyester
polymer
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JP25496697A
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Katsuhiro Fujimoto
克宏 藤本
Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散染料での低温で濃染可能で、強度と適度
な弾性率をもち、熱セット性、ドライクリーニング堅牢
性が良好な、熱安定性に乏しい繊維との複合や反応染料
等の耐熱性の低い染料を使用する場合に適し、織編製時
の取扱性に優れ、かつソフトな風合いの布帛を得ること
ができるポリエステル系繊維の提供。 【解決手段】 鞘部がテレフタル酸を酸成分とし、トリ
メチレングリコールをグリコール成分とするポリエステ
ルポリマーからなり、芯部がテレフタル酸を酸成分と
し、エチレングリコールをグリコール成分とするポリエ
ステルポリマーからなる繊維であり、該繊維の径に対す
る芯部の径の比率が40〜90%である鞘芯ポリエステ
ル系繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鞘芯構造のポリエ
ステル繊維に関するものである。更に詳しくは、ナイロ
ン繊維とポリエステル繊維との両方の特徴を兼ね備え
た、低温可染性、熱セット性、堅牢性があり、また高い
強度と適度な弾性率を有していることで織編製時の取り
扱い性に優れ、しかもソフトな風合いの布帛を得ること
のできる鞘芯ポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン繊維は、低弾性率、高弾性回復
性、低温可染性を利用して広く衣料分野や資材分野に用
いられている。衣料分野においては、弾性率が低いとい
う特性を生かしてソフト感の要求が強い婦人用インナー
やパンスト分野で、例えば、ポリウレタン繊維に代表さ
れるストレッチ繊維と混用して幅広く用いられている。
また、資材分野においては、ナイロン繊維は、弾性回復
性や折り曲げや摩擦に対する耐性が優れていることか
ら、カーペット、漁網、帆布等に用いられている。
【0003】更に、後加工特性という製造上の問題に関
しては、ナイロン繊維は低温可染性であるために、例え
ば、ナイロン繊維とセルロース繊維との混用において
は、セルロース繊維の染色に耐熱性の低い反応染料を用
い、酸性染料と組み合わせて、常圧一段一浴染色を行う
ことができる。また、ウール、絹、ポリウレタン繊維、
アセテート繊維のような110℃を越える染色温度では
熱劣化を受けやすい繊維との混用において、これらを痛
めずに染色が可能であるという優れた加工特性を有す
る。
【0004】このようにナイロン繊維は、低弾性率、高
弾性回復性、低温可染性という特徴を活かして、合繊の
中で大きな市場を有しているにもかかわらず、次に示す
重大な欠点も有する。すなわち、ナイロン繊維は熱セッ
ト性が悪く、例えば、ストレッチ繊維と混用したトリコ
ットやラッセル等の編物は長期使用すると、いわゆる、
笑い、という組織ずれを起こしやすいために、寸法安定
性、形態安定性に乏しい布帛となる。また、耐光性が悪
いために、長期間使用したり、日光に当てすぎると、黄
変しやすいという問題も存在する。更に、弾性率が低す
ぎるために織編成などの後加工時の取り扱いが困難であ
ったりする。
【0005】これに対し、ポリエチレンテレフタレート
繊維に代表されるポリエステル繊維は、熱セット性、耐
候性や、繊維の取り扱い性には優れるものの、弾性率が
高いために風合いが堅くなったり、弾性回復性に乏しか
ったり、また高温での染色が必要であるといった、ナイ
ロン繊維とは逆の性能を有する。仮にナイロン繊維とポ
リエステル繊維との両方の特徴を兼ね備えた、低温可染
性、熱セット性、堅牢性があり、高い強度、適度な弾性
率を有しており、織編成時の取り扱い性の優れた繊維の
製造が可能であれば、ナイロン繊維やポリエステル繊維
の物性の問題は解決でき、ソフトな風合いを有する熱セ
ット性に優れた布帛が提供できるものの、これまでこの
ような繊維は知られていない。
【0006】分散染料に対しての染色性が良好で、弾性
率が低く、弾性回復性に優れた繊維としては、例えば、
特開昭52−5320号公報に開示されているポリトリ
メチレンテレフタレート繊維が挙げられる。ここに開示
されている繊維は、ナイロン並の低弾性率で弾性回復性
も優れているが、強度が3g/d程度と低く、後加工の
ために繊維を取り扱う際に少し大きい張力が加わると切
れてしまったり、強度の弱い布帛しか得られなかったり
する。また弾性率が低すぎるために、織編成の際、糸に
張力がかかると簡単に伸びてしまうため取り扱いが困難
であり、しかも織編成後は張力が解除されて糸が縮むた
め、得られる布帛の織または編の密度が高くなりすぎ、
硬い風合いで、しかも縮み斑のために、しわの多いもの
となってしまう。
【0007】また、ポリブチレンテレフタレート繊維
も、染色性が良好で、比較的強度が高く、弾性率が低
く、弾性回復性に優れており、すでにナイロン繊維を代
替する一部の分野で実用化されている。しかしながら、
ガラス転移点が低いために熱セット性が非常に悪く、染
色性は良好であるが、ドライクリーニング堅牢性が悪
い。また弾性率が低すぎるため、織編成時にポリトリメ
チレンテレフタレート同様の問題が発生してしまう。
【0008】ポリエチレンテレフタレートからなるポリ
エステル繊維の分散染料に対しての染色性を高め、かつ
ソフトな風合いとする方法としては、ポリエチレンテレ
フタレートにポリオキシエチレングリコールやアジピン
酸を共重合させる方法がすでに知られている(例えば、
特開平3−40880号公報、特開平3−174076
号公報、特開平4−41732号公報、特開消3−85
111号公報、特開少3−235536号公報)。
【0009】しかしながら、これらの方法では染色性は
改善されるものの、弾性率はポリエチレンテレフタレー
トと大きくは違わず、ソフトな布帛を得ることはできな
い。更に、耐光堅牢性、ドライクリーニング堅牢性が低
かったり、紡糸性が十分でなく収率が低下したり、細デ
ニール化が難しく用途が著しく限定されたりする。ま
た、このような布帛の風合いをソフトに改良する方法と
して、布帛化した後にアルカリ水溶液で繊維を一部分解
溶解するアルカリ減量処理も行われている。しかしアル
カリ減量処理でも十分なソフトさが得られないばかり
か、工程が増加するとともに、アルカリ減量処理時に発
生する廃液の処理のために新たな設備が必要となりコス
トが高くなってしまう。
【0010】以上のように、公知技術の範囲では、ナイ
ロン繊維とポリエステル繊維との両方の特徴を兼ね備え
た、低温可染性、熱セット性、堅牢性があり、高い強
度、適度な弾性率を有していることで織編成時の取り扱
い性の優れた繊維は知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ナイ
ロン繊維とポリエステル繊維との両方の特徴を兼ね備え
た、低温可染性、熱セット性、堅牢性があり、また高い
強度と適度な弾性率を有していることで織編製時の取り
扱い性に優れ、しかもソフトな風合いの布帛を得ること
のできるポリエステル繊維を提供しようとするものであ
る。
【0012】より具体的には、分散染料に対して110
℃以下で染色可能であり、強度が3.5g/d以上、弾
性率が40〜70g/dで、熱セット性が良好で、ドラ
イクリーニング堅牢性、耐光堅牢性に優れ、織編成時等
の後加工時の取り扱い性に優れ、かつソフトな風合いの
布帛を得るのに有用なポリエステル繊維を提供しようと
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、鞘芯構造のポリエステル繊維において限
られた種類のポリマーを、ある特定の割合で用い、特定
の方法で繊維化することにより、特定の構造を持った繊
維を得ることができ、これにより上記の課題を解決でき
る可能性を見出し、更に検討を続けた結果、本発明に到
達した。
【0014】すなわち、本発明は、鞘部と芯部とからな
るポリエステル繊維において、鞘部がテレフタル酸を酸
成分とし、トリメチレングリコールをグリコール成分と
するポリエステルポリマーからなり、芯部がテレフタル
酸を酸成分とし、エチレングリコールをグリコール成分
とするポリエステルポリマーからなり、該繊維の径に対
する芯部の径の比率が40〜90%であることを特徴と
する鞘芯ポリエステル繊維、である。
【0015】本発明の鞘芯ポリエステル繊維は、鞘部を
構成するポリマーが、テレフタル酸を酸成分とし、トリ
メチレングリコールをグリコール成分とするポリエステ
ルである。また、芯部が、テレフタル酸を酸成分とし、
エチレングリコールをグリコール成分とするポリエステ
ルである。本発明の鞘芯ポリエステル繊維は、鞘部、芯
部のいずれのポリマーにおいても、必要に応じて、本発
明の効果を損なわない範囲、好ましくは10重量%以
内、さらに好ましくは5重量%以内で、イソフタル酸、
コハク酸、アジピン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸等の酸成分や、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール等グリコール成分、ε−カプロラクト
ン、4−ヒドロキシ安息香酸などを共重合していてもよ
い。
【0016】ただし、この場合、堅牢性の低下が起こら
ない程度の共重合成分であることが好ましい。更に、必
要に応じて、各種の添加剤、例えば、艶消し剤、熱安定
剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、制電助剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤な
どを必要に応じて共重合、または混合していてもよい。
【0017】本発明においてトリメチレングリコールと
しては、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパン
ジオール、1,1−プロパンジオール、2,2−プロパ
ンジオール、あるいは、これらの混合物のいずれでもよ
いが、弾性回復性、熱セット性、熱安定性の観点から
1,3−プロパンジオールが特に好ましい。本発明の鞘
芯ポリエステル繊維を構成する鞘部、芯部のポリエステ
ルポリマーは、公知の方法を用いて重合することができ
る。例えば、鞘部に用いるポリマーは、テレフタル酸ま
たはテレフタル酸の低級アルコールエステルと過剰の
1,3−プロパンジオールをテトラブチルチタネート等
の触媒存在下、エステル交換反応させ、次いで、得られ
た反応物にテトラブチルチタネート等の触媒を加えて、
0.5torr以下の真空下、240〜280℃で重縮
合反応を行うことにより得ることができる。
【0018】本発明に用いるポリエステルポリマーは、
分子量を極限粘度によって規定することができる。芯部
に用いるポリエステルポリマーの極限粘度[η]は0.
5〜2が好ましく、更に好ましくは0.55〜1.5、
特に好ましくは0.6〜1.2である。極限粘度が0.
5未満では得られる繊維の強度、伸度が低くなり、本発
名の目的とする高い強度の繊維を得ることが困難となる
ばかりか、ポリマーの溶融粘度が低すぎるため、紡糸性
が不安定となる。逆に極限粘度が2.0を超える場合
は、溶融粘度が高すぎるために、ギアポンプでの軽量が
スムーズに行われなくなり、吐出不良等で紡糸性は低下
する。
【0019】一方、鞘部に用いるポリエステルポリマー
の極限粘度[η]は0.4〜1.5が好ましく、更に好
ましくは0.45〜1.3、特に好ましくは0.5〜
1.2である。極限粘度が0.4未満では得られるの繊
維の強度、伸度が低くなり、本発明の目的とする高い強
度の繊維を得ることが困難となるばかりか、ポリマーの
溶融粘度が低すぎるため、紡糸性が不安定となる。逆に
極限粘度が1.5を超える場合は、紡糸の際に配向がか
かりやすくなりすぎ染色性が低下したり、溶融粘度が高
すぎるために、ギアポンプでの軽量がスムーズに行われ
なくなり、吐出不良や不均一な鞘芯構造となってしまっ
たりする。また鞘部に用いるポリマーと芯部に用いるポ
リマーの極限粘度差は0.5以下が好ましく、更に好ま
しくは0.4以下である。鞘部に用いるポリマーと芯部
に用いるポリマーの極限粘度差が0.4を超えると押出
の際に均一な鞘芯構造とならなくなってしまう。
【0020】本発明において、繊維の径に対する芯部の
径の比率は、本発明の目的とする低温可染で高い強度、
適度な弾性率の繊維とするために極めて重要である。繊
維の径に対する芯部の径の比率は、40〜90%である
ことが必要であり、好ましくは50〜80%、更に好ま
しくは60〜70%である。繊維の径に対する芯部の径
の比率が40%未満では本発明の目的とする高い強度を
有した繊維を得ることができなくなるばかりか、均一な
鞘芯構造の繊維を得ることができなくなり、染色むら
や、繊維径のむらが発生してしまう。また比率が90%
を超えると本発明の目的である分散染料を用いて110
℃以下で濃色まで染色できなくなってしまう。
【0021】また、本発明の鞘芯ポリエステル繊維は、
繊維の密度、鞘部ポリマーの複屈折率(Δn)が、ある
特定の値であることが好ましい。密度や複屈折率は鞘部
と芯部の比率のみならず繊維の結晶化度や配向度の指標
となる値であり、繊維の強度、染色性に強く影響を及ぼ
すためである。繊維の密度は1.33〜1.40g/c
m3が好ましく、更に好ましくは1.34〜1.39g
/cm3、特に好ましくは1.35〜1.38g/cm3
である。密度が1.33g/cm3未満となるのは鞘部
のポリマーの比率が多すぎ、しかも鞘部、芯部ともに十
分に結晶化していない場合であり、この場合は本発明の
目的の一つである高い強度を得ることができなくなった
り、染色物のドライクリーニング堅牢性などが低下して
しまったりする。また、繊維の密度は、鞘部ポリマー、
芯部ポリマーの密度より考えた場合、本発明の芯部の割
合の範囲内であれば、1.40g/cm3を超えること
はない。
【0022】一方、鞘部ポリマーの複屈折率は0.01
〜0.07が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.
06である。鞘部ポリマーの複屈折率が0.01未満で
は鞘部ポリマーの配向度が低すぎるために脆くなり、繊
維を折り曲げたりした際にキズが発生したりする。また
0.06以上では鞘部ポリマーの配向度が高すぎるため
に本発明の目的である、分散染料を用いて110℃で濃
色まで染色することが困難となってしまう。このように
鞘部ポリマーの配向度が比較的低くできるのは、芯部に
本発明のような伸長弾性率の高いポリマーを配置するこ
とで、紡糸時に伸長弾性率の低い鞘部のポリマーに張力
がかかりにくくなり、ポリマーの配向を抑制できるから
である。
【0023】本発明の鞘芯ポリエステル繊維は、強度が
3.5g/d以上あることが好ましく、更に好ましくは
4g/d以上である。強度が3.5g/d以上あること
で、通常、ナイロン繊維やポリエステル繊維と同様な織
編成の方法や、後加工を行うことが可能となる。また、
弾性率は40〜80g/dであることが好ましく、更に
好ましくは50〜70g/dである。弾性率が40g/
d未満では、織編成の際、糸に張力がかかると簡単に伸
びてしまうため取り扱いが困難であり、しかも織編成後
は張力が解除されて糸が縮むため、得られる織編布帛の
密度が高くなりすぎ、硬い風合いで、しかも縮み斑のた
めに、しわの多いものとなってしまう。一方弾性率が8
0g/dを超えると本発明の目的であるソフトな風合い
の布帛を得ることが困難となってしまう。弾性率が40
〜80g/dの範囲であることで、本発明の目的とす
る、織編成時の取り扱い性が良く、ソフトな風合いの布
帛を得ることのできる繊維を得ることができる。
【0024】本発明の鞘芯ポリエステル繊維は、次に示
すような方法で得ることができる。紡糸の際の紡口パッ
クからの押出しに当たっては、鞘部ポリマーと芯部ポリ
マーの2種類のポリエステルポリマーを使うため、所望
の断面構造を作るのに適した紡口パックを選択する必要
があるが、これらは公知の技術を用いることができる。
以下、紡口パックについて、概略図を以てその一例を示
す。
【0025】例えば図1のような紡口パックを用いれば
よい。図1において、鞘部ポリマーをAから、芯部ポリ
マーをBから各々濾過部を通過した後、水平流路1を通
ってキャピラリー2に導入し、紡口3より流出させてフ
ィラメント群として吐出成形することによって、本発明
が目的とする鞘芯構造を得ることができる。本発明の鞘
芯ポリエステル繊維の製造において、ポリマーを紡口よ
り押し出す温度は280〜330℃が好ましく、より好
ましくは285〜320℃である。紡糸温度が280℃
未満では、温度が低過ぎて安定した溶融状態になり難
く、得られた繊維の斑が大きくなり、また満足し得る強
度、伸度を示さなくなる。また、紡糸温度が330℃を
越えると熱分解が激しくなり、得られた糸は着色し、ま
た満足し得る強度、伸度を示さなくなる。
【0026】本発明の鞘芯ポリエステル繊維は、紡口よ
り押出した後に巻き取り、次いで延伸されることにより
得ることができる。ここで巻き取った後に延伸されると
は、紡糸を行った後にボビン等に巻き取り、この糸を別
の装置を用いて延伸する、いわゆる通常法や、紡口より
押し出されたポリマーが完全に冷却固化した後、一定の
速度で回転している第一ロールに数回以上巻き付けられ
ることにより、ロール前後での張力が全く伝わらないよ
うにし、第一ロールと第一ロールの次に設置してある第
二ロールとの間で延伸を行うような、紡糸−延撚工程を
直結したいわゆる直延法を指す。
【0027】紡口より押出した後の糸の巻取速度は、鞘
部ポリマーにできるだけ配向をかけず、芯部のポリマー
は結晶化させないでできるだけ配向をかけることのでき
る速度を選ぶことが好ましい。芯部のポリマーを結晶化
させないで配向をかけることで、巻取に続く延伸・熱処
理により、より芯部のポリマーの配向度、結晶化度を高
めることができ繊維の強度を高めることができる。また
鞘部のポリマーに配向をかけないことで、延伸・熱処理
による鞘部のポリマーの配向を抑制でき、低温での染色
性を向上させることができる。このような巻取速度とし
ては800〜4000m/minが好ましく、より好ま
しくは1200〜3500m/min、更に好ましくは
1600〜3000m/minである。巻取速度が80
0m/min未満では、巻取った糸の鞘部、芯部ともに
配向がかからず、このような繊維を延伸すると芯部ポリ
マーとともに鞘部ポリマーの配向度が高くなり染色性が
低下するばかりか、芯部に十分な配向がかかっていない
ために延伸により十分芯部ポリマーを配向することがで
きず、十分な強度を得ることが困難になる。また400
0m/min以上では巻取り時に繊維があまり配向せず
に結晶化するため延伸性が低下してしまい、延伸・熱処
理に十分に配向度を上げることができなくなり本発明の
目的である高い強度の繊維を得ることが困難となってし
まう。
【0028】延伸時の延伸倍率は巻取速度によって異な
るが、巻き取った糸を延伸した際に破断する延伸倍率
(破断延伸倍率、以下、BDR、と省略する)を100
%とした時の50〜99%が好ましく、より好ましく6
0〜95%、特に好ましくは70〜90%である。延伸
倍率がBDRの50%未満では繊維に十分な配向をかけ
ることができないために十分な強度を得ることが困難と
なる。また99%を超えると延伸の際に糸切れが多発
し、連続して繊維を延伸することが困難となってしま
う。
【0029】延伸の際の温度は、延伸ゾーンでは35〜
75℃が好ましく、さらに好ましくは40〜70℃、特
に好ましくは45℃〜65℃である。延伸ゾーンの温度
が35℃未満では延伸の際に糸切れが多発し、連続して
繊維を得ることができない。また80℃を越えると延伸
ロールなどの加熱ゾーン対する繊維の滑り性が悪化する
ため単糸切れが多発し、毛羽だらけの糸になってしま
う。また、ポリマーどうしがすり抜けてしまうため十分
な配向がかからなくなり弾性回復率が低下する。
【0030】また、延伸後に熱処理を行うことが好まし
い。この熱処理は90〜190℃で行うのが好ましく、
更に好ましくは100〜180℃、特に好ましくは11
0〜170℃である。熱処理温度が90℃未満では繊維
の密度が十分に高くならないことから分かるように結晶
化度が十分に高くならず、本発明の目的とする高い強度
の繊維を得ることが困難となってしまうばかりか、染色
物のドライクリーニング堅牢性などの染色堅牢性が悪化
してしまう。また、190℃より高い温度では繊維が熱
処理ゾーンで切れてしまい延伸することができない。
【0031】本発明の鞘芯ポリエステル繊維の染色性
は、分散染料を用いて110℃で染色した時の深色度で
あるK/Sで評価することができる。K/Sは好ましく
は18以上であり、更に好ましくは20以上である。通
常のポリエチレンテレフタレート繊維を130℃で染色
した時のK/Sが20程度なので、実用上はK/Sが1
8以上であれば、通常のポリエチレンテレフタレート繊
維に近い発色性が発現されたものと考えることができ
る。また染色性の評価に用いた染料は大きな分子構造を
有しているので、この染料を用いて、高い染色性が得ら
れるならば、どのような種類の分散染料を用いても高い
染色性が確保できる。
【0032】こうして染色された染色物が高い堅牢性を
示すためには、ドライクリーニング堅牢性が3−4級以
上であることが望ましい。本発明でのドライクリーニン
グ堅牢性は、液汚染性を評価するものである。なお、堅
牢性の評価項目としては、水堅牢性、洗濯堅牢性、昇華
堅牢性、摩擦堅牢性等多岐に渉るが、本発明者らの検討
によれば、ドライクリーニング堅牢性が3ー4級以上あ
れば、本発明の鞘芯ポリエステル系繊維においては耐光
堅牢性を除く、残りの堅牢性はすべて工業的に問題のな
いレベルであることがわかっている。従って、ドライク
リーニング堅牢性は、本発明の鞘芯ポリエステル繊維の
染色堅牢性全体を示す指標となる。また、アウターに使
用可能であるためには、実施例に示す、本発明の染色条
件で3−4級以上、好ましくは4級以上の耐光堅牢性を
示すことが望ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明をよ
り詳細に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例な
どにより何ら限定されるものでない。尚、実施例中の主
な測定値は以下の方法で測定した。 (1)極限粘度 この極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる
値である。
【0034】
【数1】
【0035】定義式のηrは純度98%以上のo−クロ
ロフェノールで溶解したポリエステルポリマーの希釈溶
液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自
体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されている
ものである。またCは、上記溶液100ml中のグラム
単位による溶質重量値である。 (2)複屈折率(Δn) 光学顕微鏡とコンペンセーターを用いて、繊維の表面に
観察される偏光のリターデーションから求めた。 (3)密度 四塩化炭素及びトルエンにより作成した密度勾配管を用
いて測定を行った。 (4)強度、伸度、弾性率 オリエンテック(株)製テンシロンを用い、糸長20c
m、引っ張り速度20cm/minの条件で測定した。
また弾性率は、引っ張り試験の時、糸の伸びが0.5〜
2mmの間の平均の値を用いた。 (5)染色性{吸尽率、深色度(K/S)} 試料はポリエステル系複合繊維の一口編地を用い、スコ
アロール400を2g/リットルで含む温水を用いて、
70℃、20分間精練処理し、タンブラー乾燥機で乾燥
させ、次いで、ピンテンターを用いて、180℃、30
秒の熱セットを行ったものを使用した。吸尽率は、40
℃から110℃に昇温後、更にそのまま1時間保持した
後の吸尽率で評価した。染料は、カヤロンポリエステル
ブルー3RSF(日本化薬(株)製)を使用し、6%o
wf、浴比1:50で染色した。分散剤はニッカサンソ
ルト7000(日華化学(株)製)を0.5g/リット
ル使用し、酢酸0.25ml/リットルと酢酸ナトリウ
ム1g/リットルを加え、pHを5に調整した。
【0036】どの程度濃色に染まったかを表す深色度
は、K/Sを用いて評価した。この値は、染色後のサン
プル布の分光反射率Rを測定し、以下に示すクベルカ−
ムンク(Kubelka−Munk)の式から求めた。
この値が大きい程、深色効果が大きいこと、すなわち、
よく発色されていることを示す。Rは、当該染料の最大
吸収波長での値を採用した。
【0037】K/S=(1−R)2/2R (6)染色堅牢性 (3)の方法で染色した一口編地500mgを用いて評
価を行った。ドライクリーニング堅牢性(DC堅牢性)
はJIS−L−0860に、耐光堅牢性はJIS−L−
0842に、洗濯堅牢性はJIS−L−0844に、乾
・湿摩擦堅牢性はJIS−L−0849に準じて行っ
た。
【0038】
【実施例1】1,3−プロパンジオール(以下、TM
G、と略記する)1121重量部、ジメチルテレフタレ
ート(以下、DMT、と略記する)を1300重量部、
エステル交換触媒としてチタンテトラブトキシド1.3
重量部を用いて220℃にてエステル交換反応を行っ
た。次いで重縮合触媒としてチタンテトラブトキシド
1.3重量部を添加して260℃にて減圧度0.5to
rrにて重縮合を行い鞘部に用いるポリエステルポリマ
ーを得た。得られたポリマーの極限粘度は0.62であ
った。
【0039】一方、エチレングリコール(以下、EG、
と略記する)915重量部、DMT1300重量部、エ
ステル交換触媒として酢酸マンガン0.65重量部を用
いて220℃にてエステル交換反応を行った。次いで重
縮合触媒として三酸化アンチモン0.65重量部、安定
剤としてトリメチルフォスファイト0.39重量部を添
加して285℃で減圧度0.5torrにて重縮合を行
い芯部に用いるポリエステルポリマーを得た。得られた
ポリマーの極限粘度は0.68であった。
【0040】得られた2種類のポリマーチップをそれぞ
れ130℃で100ml/分の窒素気流下、20時間乾
燥させた。次いで図3で示された紡口パックを用い、A
から鞘部に用いるポリエステルポリマーを、Bから芯部
に用いるポリエステルポリマーをギアポンプを介して、
流し、36個の一重配列の紡口を用い、紡糸速度160
0m/minで紡糸して未延伸糸を作成した。
【0041】次いで、得られた未延伸糸をホットロール
50℃、ホットプレート140℃、延伸倍率2.6倍
(BDRの85%)、延伸速度600m/minで延撚
を行い、50デニール/36フィラメントの延伸糸を得
た。得られた繊維の芯部の径の比率は70%であった。
また繊維の物性は、強度3.9g/d、伸度41%、弾
性率43g/dであり、繊維の密度は1.359g/c
m3、鞘部のΔnは0.058であった。
【0042】得られた繊維を分散染料を用いて110℃
にて染色した染色物のK/Sは20.9であった。この
結果は、本発明の鞘芯ポリエステル繊維の110℃、6
0分における染色性が、通常法によるポリエチレンテレ
フタレート繊維の130℃、60分の染色性と同等であ
ることを示すものである。染色後の一口編地のドライク
リーニング堅牢性では染色物の退色も認められず、液汚
染は4−5級であった。また、耐光堅牢性(4−5
級)、乾・湿摩擦堅牢性(5級)、洗濯堅牢性(5級)
についても良好であった。
【0043】
【実施例2、3】実施例1と同様の方法で芯部の割合を
変化させて、重合、紡糸実験を行った。その結果を表1
にまとめた。いずれのポリエステル繊維についても良好
な染色性、強度、弾性率などの物性を有していた。
【0044】
【比較例1〜3】実施例1と同様の方法で芯部の割合を
変化させて、重合、紡糸実験を行った。その結果を表1
にまとめた。いずれのポリエステル系繊維についても良
好な染色性と適度な弾性率を同時に満足することはでき
なかった。
【0045】
【比較例4】TMGの代わりに1,4−ブタンジオール
1327重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で
重合、紡糸を行った。その結果を表1に示す。得られた
繊維は110℃で染色できたものの、ドライクリーニン
グ堅牢性の悪いものであった。
【0046】
【実施例4、比較例5、6】巻取速度および延伸倍率を
変えた以外は実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行っ
た。その結果を表2に示す。巻取速度が本発明の範囲内
である2000m/minの糸では良好な染色性、強
度、弾性率などの物性を有していた。しかし紡速600
m/minや紡速5000m/minの糸では十分な強
度とならなかった。
【0047】
【比較例7】延伸倍率をNDRの45%である1.8倍
とした以外は実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行っ
た。その結果を表2に示す。得られた繊維は十分な強度
を有していないばかりか、弾性率も低くなってしまっ
た。
【0048】
【比較例8】ホットロールの温度を30℃とした以外は
実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。しかし延
伸の際に糸切れが多発し、連続して繊維を得ることがで
きなかった。
【0049】
【比較例9】ホットロールの温度を90℃とした以外は
実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。しかし延
伸の際にホットロールに糸が融着するため単糸切れが多
発し、得られた繊維は毛羽だらけであった。
【0050】
【比較例10】ホットプレートの温度を70℃とした以
外は実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。糸切
れ、毛羽の発生等の問題なく繊維が得られた。しかし得
られた繊維は十分に結晶化していないために密度が1.
29g/cm3と低く、強度が4.3g/dと低く、ま
た染色物のドライクリーニング堅牢性は3級と堅牢性の
悪いものであった。
【0051】
【比較例11】ホットプレートの温度を200℃とした
以外は実施例1と同様な方法で重合、紡糸を行った。繊
維はホットプレートのところで切れ、延伸を行うことが
できなかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の鞘芯ポリエステル繊維は、分散
染料に対して110℃以下で染色可能であり、強度が
3.5g/d以上、弾性率が40〜70g/d以下で、
熱セット性が良好かつ、堅牢性に優れたことを特徴とす
る繊維である。高い強度、適度な弾性率を有しているの
で、織編成時等の後加工時の取り扱い性に優れ、かつソ
フトな風合いの布帛を得ることができる。このため通常
のポリエチレンテレフタレート系繊維の染色温度では染
色が困難な繊維と混用でき、しかもソフトな風合いを発
揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鞘芯ポリエステル繊維を製造する際に
用いられる紡口パックの一例を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
A〜B:ポリマーの入口 1:水平流路 2:キャピラリー 3:紡口

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鞘部と芯部とからなるポリエステル繊維
    において、鞘部がテレフタル酸を酸成分とし、トリメチ
    レングリコールをグリコール成分とするポリエステルポ
    リマーからなり、芯部がテレフタル酸を酸成分とし、エ
    チレングリコールをグリコール成分とするポリエステル
    ポリマーからなり、該繊維の径に対する芯部の径の比率
    が40〜90%であることを特徴とする鞘芯ポリエステ
    ル繊維。
JP25496697A 1997-09-19 1997-09-19 鞘芯ポリエステル繊維 Pending JPH1193021A (ja)

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