JPH1194084A - 摺動部用被覆材およびピストンリング - Google Patents
摺動部用被覆材およびピストンリングInfo
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- JPH1194084A JPH1194084A JP25636197A JP25636197A JPH1194084A JP H1194084 A JPH1194084 A JP H1194084A JP 25636197 A JP25636197 A JP 25636197A JP 25636197 A JP25636197 A JP 25636197A JP H1194084 A JPH1194084 A JP H1194084A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 相手材への攻撃性を高めることなく、高温,
高負荷となるような厳しい摺動条件下においても優れた
耐摩耗性を確保し、同時に部分的に下地と相手材との直
接接触が起きた場合の相手面との潤滑性にも優れ、これ
までにない優れた耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用
いることなく低コストで実現できる摺動部用被覆材を提
供する。 【解決手段】 耐熱性樹脂をベース材とし且つ摺動面1
sを有する摺動部用被覆材1cにおいて、ベースとなる
耐熱性樹脂が50重量%以上でかつ少なくとも強化粒子
として粒径1〜5μmの酸化アンチモンを5重量%以上
含有する表面層1fと、同じく耐熱性樹脂をベース材と
してベースとなる耐熱性樹脂が20重量%以上でかつ少
なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を30〜80
重量%含有する表面下層1uとを積層してなる2層構造
のものとした。
高負荷となるような厳しい摺動条件下においても優れた
耐摩耗性を確保し、同時に部分的に下地と相手材との直
接接触が起きた場合の相手面との潤滑性にも優れ、これ
までにない優れた耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用
いることなく低コストで実現できる摺動部用被覆材を提
供する。 【解決手段】 耐熱性樹脂をベース材とし且つ摺動面1
sを有する摺動部用被覆材1cにおいて、ベースとなる
耐熱性樹脂が50重量%以上でかつ少なくとも強化粒子
として粒径1〜5μmの酸化アンチモンを5重量%以上
含有する表面層1fと、同じく耐熱性樹脂をベース材と
してベースとなる耐熱性樹脂が20重量%以上でかつ少
なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を30〜80
重量%含有する表面下層1uとを積層してなる2層構造
のものとした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動部用被覆材に
係わり、特に、内燃機関用ピストンリング等に被覆し
て、下地金属と相手材との直接接触および潤滑状態の悪
化による凝着,摩耗の発生を防止するのに好適な摺動部
用被覆材およびその被覆材が表面に被覆してあるピスト
ンリングに関するものである。
係わり、特に、内燃機関用ピストンリング等に被覆し
て、下地金属と相手材との直接接触および潤滑状態の悪
化による凝着,摩耗の発生を防止するのに好適な摺動部
用被覆材およびその被覆材が表面に被覆してあるピスト
ンリングに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年の内燃機関の高性
能化に伴って、その運転環境は年々苛酷になってきてい
る。
能化に伴って、その運転環境は年々苛酷になってきてい
る。
【0003】一般に、これら内燃機関のピストンには、
燃焼室の気密性の確保およびシリンダー内の適切な潤滑
油コントロールのため、ピストンリングが装着されてい
るが、特に、高温,高負荷の状態においては、ピストン
材として用いられているアルミニウム合金がピストンリ
ングの表面に凝着し、ピストン材が摩耗するという現象
が起こる場合があり、これにより、燃焼室の気密性の低
下、オイル消費量の増大などといった問題を生じること
がある。
燃焼室の気密性の確保およびシリンダー内の適切な潤滑
油コントロールのため、ピストンリングが装着されてい
るが、特に、高温,高負荷の状態においては、ピストン
材として用いられているアルミニウム合金がピストンリ
ングの表面に凝着し、ピストン材が摩耗するという現象
が起こる場合があり、これにより、燃焼室の気密性の低
下、オイル消費量の増大などといった問題を生じること
がある。
【0004】そこで、これを防止するため、一部のエン
ジンにおいては、ピストンリング基材とピストンとの直
接接触の防止と共に、潤滑状態の改善を狙って、ピスト
ンリングの上下面に固体潤滑剤等を含有する被覆を施し
ている。
ジンにおいては、ピストンリング基材とピストンとの直
接接触の防止と共に、潤滑状態の改善を狙って、ピスト
ンリングの上下面に固体潤滑剤等を含有する被覆を施し
ている。
【0005】従来のこうした固体潤滑被膜材としては、
例えば、エポキシ樹脂やポリアミドイミド(PAI)樹
脂等をバインダーとし、MoS2(二硫化モリブデ
ン),グラファイト,PTFE(ポリテトラフルオルエ
チレン)等の固体潤滑剤を適宜・適量含有させた固体潤
滑被膜が知られている。
例えば、エポキシ樹脂やポリアミドイミド(PAI)樹
脂等をバインダーとし、MoS2(二硫化モリブデ
ン),グラファイト,PTFE(ポリテトラフルオルエ
チレン)等の固体潤滑剤を適宜・適量含有させた固体潤
滑被膜が知られている。
【0006】しかしながら、このような従来の固体潤滑
被膜は、特に、部分的に下地が露出し、露出した下地と
下地凹部に残存した被膜成分との共存面での摺動となっ
た場合の潤滑性確保の必要性から、固体潤滑剤成分を多
く含有させているため、結合性に劣り、より厳しい摺動
条件においては、被膜自身の摩耗の進行が激しくなって
十分な耐久性が得られず、その結果、早期にピストンリ
ング基材−ピストン間の凝着,摩耗が発生してしまうこ
とがありうるという問題があった。
被膜は、特に、部分的に下地が露出し、露出した下地と
下地凹部に残存した被膜成分との共存面での摺動となっ
た場合の潤滑性確保の必要性から、固体潤滑剤成分を多
く含有させているため、結合性に劣り、より厳しい摺動
条件においては、被膜自身の摩耗の進行が激しくなって
十分な耐久性が得られず、その結果、早期にピストンリ
ング基材−ピストン間の凝着,摩耗が発生してしまうこ
とがありうるという問題があった。
【0007】一方では、被膜の耐摩耗性改善のため、一
般的な樹脂複合材と同様に炭素繊維やガラス繊維等を配
合すると、部分的に下地が露出して相手材との直接接触
が起きた場合の潤滑性が低下するだけでなく、相手材へ
の攻撃性が大きくなり、これをピストンリングの被覆材
として使用した場合には、相手材であるピストンを摩耗
させてしまうことがあるという問題があった。
般的な樹脂複合材と同様に炭素繊維やガラス繊維等を配
合すると、部分的に下地が露出して相手材との直接接触
が起きた場合の潤滑性が低下するだけでなく、相手材へ
の攻撃性が大きくなり、これをピストンリングの被覆材
として使用した場合には、相手材であるピストンを摩耗
させてしまうことがあるという問題があった。
【0008】このため、アルミニウム合金製ピストンの
場合、こうした厳しい条件下では、ピストンのピストン
リングとの摺動面に陽極酸化処理を施す等、より高コス
トの対策を採用せざるを得ないというのが実情であっ
た。
場合、こうした厳しい条件下では、ピストンのピストン
リングとの摺動面に陽極酸化処理を施す等、より高コス
トの対策を採用せざるを得ないというのが実情であっ
た。
【0009】
【発明の目的】本発明は、従来のこうした課題に着目し
てなされたもので、相手材への攻撃性を高めることな
く、高温,高負荷となるような厳しい摺動条件下におい
ても優れた耐摩耗性を確保し、同時に部分的に下地と相
手材との直接接触が起きた場合の相手面との潤滑性にも
優れた摺動部用被覆材を提供することにより、これまで
にない耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることな
く低コストで実現できるようにすることを目的としてい
る。
てなされたもので、相手材への攻撃性を高めることな
く、高温,高負荷となるような厳しい摺動条件下におい
ても優れた耐摩耗性を確保し、同時に部分的に下地と相
手材との直接接触が起きた場合の相手面との潤滑性にも
優れた摺動部用被覆材を提供することにより、これまで
にない耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることな
く低コストで実現できるようにすることを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明者らはこのような樹脂結合被覆材の摩擦,摩
耗挙動を詳細に調査した結果、こうした樹脂結合被覆材
の被覆による凝着,摩耗防止性能のより一層の向上のた
めには、被覆材単相で摺動している領域での被覆材自身
の耐摩耗性向上、および摩耗が進行して下地が露出した
後の潤滑性能向上の両面からの検討が必要であり、それ
ぞれの領域で要求される被膜特性は明確に異なっている
ことを見いだして本発明を完成するに至った。
め、本発明者らはこのような樹脂結合被覆材の摩擦,摩
耗挙動を詳細に調査した結果、こうした樹脂結合被覆材
の被覆による凝着,摩耗防止性能のより一層の向上のた
めには、被覆材単相で摺動している領域での被覆材自身
の耐摩耗性向上、および摩耗が進行して下地が露出した
後の潤滑性能向上の両面からの検討が必要であり、それ
ぞれの領域で要求される被膜特性は明確に異なっている
ことを見いだして本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明に係わる摺動部用被覆材
は、請求項1に記載しているように、耐熱性樹脂をベー
ス材とするものであって、ベースとなる耐熱性樹脂が5
0重量%以上でかつ少なくとも強化粒子として粒径1〜
5μmの酸化アンチモンを5重量%以上含有する表面層
と、同じく耐熱性樹脂をベース材としてベースとなる耐
熱性樹脂が20重量%以上でかつ少なくとも潤滑性向上
成分として固体潤滑剤を30〜80重量%含有する表面
下層を積層してなる複層構造を有する構成としたことを
特徴としている。
は、請求項1に記載しているように、耐熱性樹脂をベー
ス材とするものであって、ベースとなる耐熱性樹脂が5
0重量%以上でかつ少なくとも強化粒子として粒径1〜
5μmの酸化アンチモンを5重量%以上含有する表面層
と、同じく耐熱性樹脂をベース材としてベースとなる耐
熱性樹脂が20重量%以上でかつ少なくとも潤滑性向上
成分として固体潤滑剤を30〜80重量%含有する表面
下層を積層してなる複層構造を有する構成としたことを
特徴としている。
【0012】そして、本発明に係わる摺動部用被覆材の
実施態様においては、請求項2に記載しているように、
表面層に、潤滑性向上成分として固体潤滑剤を含みかつ
その含有量が表面下層中の固体潤滑剤含有量以下である
ものとすることができる。
実施態様においては、請求項2に記載しているように、
表面層に、潤滑性向上成分として固体潤滑剤を含みかつ
その含有量が表面下層中の固体潤滑剤含有量以下である
ものとすることができる。
【0013】同じく、本発明に係わる摺動部用被覆材の
実施態様においては、請求項3に記載しているように、
表面下層に、強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アン
チモンを含みかつその含有量が表面層中の酸化アンチモ
ン含有量以下であるものとすることができる。
実施態様においては、請求項3に記載しているように、
表面下層に、強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アン
チモンを含みかつその含有量が表面層中の酸化アンチモ
ン含有量以下であるものとすることができる。
【0014】同じく、本発明に係わる摺動部用被覆材の
実施態様においては、請求項4に記載しているように、
表面層の膜厚が表面下層の膜厚よりも厚くかつ全体の厚
さが5〜25μmであるものとすることができる。
実施態様においては、請求項4に記載しているように、
表面層の膜厚が表面下層の膜厚よりも厚くかつ全体の厚
さが5〜25μmであるものとすることができる。
【0015】同じく、本発明に係わる摺動部用被覆材の
実施態様においては、請求項5に記載しているように、
下地処理として基材に表面粗さRmax1〜10μmの
リン酸塩処理が施されているものとすることができる。
実施態様においては、請求項5に記載しているように、
下地処理として基材に表面粗さRmax1〜10μmの
リン酸塩処理が施されているものとすることができる。
【0016】また、本発明に係わるピストンリングは、
請求項6に記載しているように、請求項1ないし5のい
ずれかに記載の摺動部用被覆材がピストンリング基材表
面の少なくとも所要表面に被覆してある構成としたこと
を特徴としている。
請求項6に記載しているように、請求項1ないし5のい
ずれかに記載の摺動部用被覆材がピストンリング基材表
面の少なくとも所要表面に被覆してある構成としたこと
を特徴としている。
【0017】
【発明の作用】本発明の摺動部用被覆材は、請求項1に
記載しているように、耐熱性樹脂をベース材とし、ベー
スとなる耐熱性樹脂が50重量%以上でかつ少なくとも
強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチモンを5重
量%以上含有する表面層と、同じく耐熱性樹脂(表面層
の耐熱性樹脂と同じものとは限らない。)をベース材と
してベースとなる耐熱性樹脂が20重量%以上でかつ少
なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を30〜80
重量%含有する表面下層を積層してなる複層構造を有す
る構成としたものであるが、この場合に、耐熱性樹脂を
ベース材に用いることで、高温の摺動部にも使用できる
ものとなり、このような耐熱性樹脂をベース材とする表
面層に少なくとも強化粒子として酸化アンチモンを添加
することで、被覆材単相で摺動する領域での自身の耐摩
耗性に優れたものとなる。そしてさらに、表面下層に少
なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を添加するこ
とで、一部下地が露出した時の潤滑性能を同時に確保し
うるものとなる。
記載しているように、耐熱性樹脂をベース材とし、ベー
スとなる耐熱性樹脂が50重量%以上でかつ少なくとも
強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチモンを5重
量%以上含有する表面層と、同じく耐熱性樹脂(表面層
の耐熱性樹脂と同じものとは限らない。)をベース材と
してベースとなる耐熱性樹脂が20重量%以上でかつ少
なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を30〜80
重量%含有する表面下層を積層してなる複層構造を有す
る構成としたものであるが、この場合に、耐熱性樹脂を
ベース材に用いることで、高温の摺動部にも使用できる
ものとなり、このような耐熱性樹脂をベース材とする表
面層に少なくとも強化粒子として酸化アンチモンを添加
することで、被覆材単相で摺動する領域での自身の耐摩
耗性に優れたものとなる。そしてさらに、表面下層に少
なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を添加するこ
とで、一部下地が露出した時の潤滑性能を同時に確保し
うるものとなる。
【0018】表面層に添加する酸化アンチモンは、一般
的な樹脂複合材に使用されている炭素繊維やガラス繊維
等と比較して硬度が高すぎず、粒子形状も球形に近く、
エッジを持たないため相手材への攻撃性が小さく、相手
摺動部材としてアルミニウム等の比較的軟質な金属を組
み合わせた場合でも、その摩耗を促進してしまうような
ことがない。
的な樹脂複合材に使用されている炭素繊維やガラス繊維
等と比較して硬度が高すぎず、粒子形状も球形に近く、
エッジを持たないため相手材への攻撃性が小さく、相手
摺動部材としてアルミニウム等の比較的軟質な金属を組
み合わせた場合でも、その摩耗を促進してしまうような
ことがない。
【0019】しかし、酸化アンチモンの添加量が5重量
%未満では、十分な耐摩耗性向上の作用が小さく、逆
に、添加量の増加によりベースとなる耐熱性樹脂の割合
が50重量%未満になると、被膜の結合力低下によりか
えって摩耗量が増大する。
%未満では、十分な耐摩耗性向上の作用が小さく、逆
に、添加量の増加によりベースとなる耐熱性樹脂の割合
が50重量%未満になると、被膜の結合力低下によりか
えって摩耗量が増大する。
【0020】また、添加する酸化アンチモンの粒径が1
μm未満では、耐摩耗性向上の作用が小さく、逆に5μ
mを超えると、被膜中に均一に分散させることが難しく
なり、安定した摺動部用被覆材の形成が困難となる場合
がある。
μm未満では、耐摩耗性向上の作用が小さく、逆に5μ
mを超えると、被膜中に均一に分散させることが難しく
なり、安定した摺動部用被覆材の形成が困難となる場合
がある。
【0021】表面下層に添加する固体潤滑剤の添加量に
ついては、その量が30重量%未満では一部下地が露出
した時の潤滑作用を十分に得ることができず、また、添
加量が80重量%を超えてベース材である耐熱性樹脂の
割合が20重量%未満になると、添加成分の保持性が著
しく低下して下地から容易に脱落してしまうことになる
ため、凝着,摩耗防止性能を長期間維持することができ
なくなる。
ついては、その量が30重量%未満では一部下地が露出
した時の潤滑作用を十分に得ることができず、また、添
加量が80重量%を超えてベース材である耐熱性樹脂の
割合が20重量%未満になると、添加成分の保持性が著
しく低下して下地から容易に脱落してしまうことになる
ため、凝着,摩耗防止性能を長期間維持することができ
なくなる。
【0022】本発明の摺動部用被覆材の実施態様におい
ては、請求項2に記載しているように、表面層に、潤滑
性向上成分として固体潤滑剤を含みかつその含有量が表
面下層中の固体潤滑剤含有量以下であるものとすること
ができるが、特に潤滑状態の厳しい環境で使用するよう
な場合には、このように表面層にも潤滑性向上成分とし
て固体潤滑剤を適宜含有させることにより、摺動時の摩
擦損失はより一層低減するものとなり、これに伴う摩擦
発熱の低減によって、摺動部用被覆材の耐久性はより一
層向上するものとなる。
ては、請求項2に記載しているように、表面層に、潤滑
性向上成分として固体潤滑剤を含みかつその含有量が表
面下層中の固体潤滑剤含有量以下であるものとすること
ができるが、特に潤滑状態の厳しい環境で使用するよう
な場合には、このように表面層にも潤滑性向上成分とし
て固体潤滑剤を適宜含有させることにより、摺動時の摩
擦損失はより一層低減するものとなり、これに伴う摩擦
発熱の低減によって、摺動部用被覆材の耐久性はより一
層向上するものとなる。
【0023】しかし、表面下層への添加量を超えるよう
な多量の添加では、潤滑性は向上する半面、被膜自身の
結合性が損なわれ、結果的に被膜の耐摩耗性向上には好
ましくないものとなる。
な多量の添加では、潤滑性は向上する半面、被膜自身の
結合性が損なわれ、結果的に被膜の耐摩耗性向上には好
ましくないものとなる。
【0024】また、本発明の摺動部用被覆材の実施態様
においては、請求項3に記載しているように、表面下層
に、強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチモンを
含みかつその含有量が表面層中の酸化アンチモン含有量
以下であるものとすることができるが、特に高面下の摺
動条件で使用するような場合には、このように表面層と
同様に酸化アンチモンを添加することにより表面下層の
もつ優れた潤滑性を維持しながらその耐摩耗性もより一
層強化されるものとなるが、この添加量が表面層中への
添加量を超えるような多量の添加では、一部下地が露出
した時に下地凹部に残存する潤滑成分の量が相対的に低
下することにより、必要な潤滑作用が十分に得られなく
なる。
においては、請求項3に記載しているように、表面下層
に、強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチモンを
含みかつその含有量が表面層中の酸化アンチモン含有量
以下であるものとすることができるが、特に高面下の摺
動条件で使用するような場合には、このように表面層と
同様に酸化アンチモンを添加することにより表面下層の
もつ優れた潤滑性を維持しながらその耐摩耗性もより一
層強化されるものとなるが、この添加量が表面層中への
添加量を超えるような多量の添加では、一部下地が露出
した時に下地凹部に残存する潤滑成分の量が相対的に低
下することにより、必要な潤滑作用が十分に得られなく
なる。
【0025】さらに、本発明の摺動部用被覆材の実施態
様においては、請求項4に記載しているように、表面層
の膜厚が表面下層の膜厚よりも厚くかつ全体の厚さが5
〜25μmであるものとすることができるが、このよう
に、表面層の膜厚を表面下層の膜厚よりも厚くすること
により、下地金属露出の直前までは主として自身の耐摩
耗性に優れた表面層での摺動とすることとなって、摺動
部用被覆材の耐久性はより一層向上するものとなる。そ
して、全体の膜厚については、厚さが5μm未満では均
一な被膜の形成が難しくなると同時に配合した添加成分
の作用が十分に得られない傾向となり、また、25μm
を超えると被膜全体としての強度が低下して下地からの
早期脱落が起こりやすい傾向となる。
様においては、請求項4に記載しているように、表面層
の膜厚が表面下層の膜厚よりも厚くかつ全体の厚さが5
〜25μmであるものとすることができるが、このよう
に、表面層の膜厚を表面下層の膜厚よりも厚くすること
により、下地金属露出の直前までは主として自身の耐摩
耗性に優れた表面層での摺動とすることとなって、摺動
部用被覆材の耐久性はより一層向上するものとなる。そ
して、全体の膜厚については、厚さが5μm未満では均
一な被膜の形成が難しくなると同時に配合した添加成分
の作用が十分に得られない傾向となり、また、25μm
を超えると被膜全体としての強度が低下して下地からの
早期脱落が起こりやすい傾向となる。
【0026】さらにまた、本発明の摺動部用被覆材の実
施態様においては、請求項5に記載しているように、下
地処理として基材に表面粗さRmax1〜10μmのリ
ン酸塩処理が施されているものとすることができ、この
ようにすることによって、摺動部用被覆材の下地金属と
の密着強度および一部下地が露出した時の添加成分の保
持性がより一層向上することとなるが、下地処理層の粗
さがRmax1μm未満ではこの作用が十分でなく、ま
た、10μmを超えると均一な被膜形成が難しくなって
被膜の早期剥離,脱落の原因となるおそれがある。
施態様においては、請求項5に記載しているように、下
地処理として基材に表面粗さRmax1〜10μmのリ
ン酸塩処理が施されているものとすることができ、この
ようにすることによって、摺動部用被覆材の下地金属と
の密着強度および一部下地が露出した時の添加成分の保
持性がより一層向上することとなるが、下地処理層の粗
さがRmax1μm未満ではこの作用が十分でなく、ま
た、10μmを超えると均一な被膜形成が難しくなって
被膜の早期剥離,脱落の原因となるおそれがある。
【0027】さらにまた、本発明によるピストンリング
は、請求項6に記載しているように、請求項1ないし5
のいずれかに記載の摺動部用被覆材がピストンリング基
材の表面に被覆してあるものとすることによって、相手
材であるピストンへの攻撃性を強めることなく、高温,
高負荷となるような厳しいピストンの摺動条件下におい
ても、長期間にわたりピストンリング基材とピストン面
との直接接触が防止され、さらに部分的にピストンリン
グ基材とピストン面との直接接触が起きた場合でもピス
トン面との潤滑性に優れたものとなり、これまでにない
優れた耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることな
く低コストで実現されることとなる。
は、請求項6に記載しているように、請求項1ないし5
のいずれかに記載の摺動部用被覆材がピストンリング基
材の表面に被覆してあるものとすることによって、相手
材であるピストンへの攻撃性を強めることなく、高温,
高負荷となるような厳しいピストンの摺動条件下におい
ても、長期間にわたりピストンリング基材とピストン面
との直接接触が防止され、さらに部分的にピストンリン
グ基材とピストン面との直接接触が起きた場合でもピス
トン面との潤滑性に優れたものとなり、これまでにない
優れた耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることな
く低コストで実現されることとなる。
【0028】
【発明の効果】本発明の摺動部用被覆材によれば、請求
項1に記載しているように、耐熱性樹脂をベース材と
し、ベースとなる耐熱性樹脂が50重量%以上でかつ少
なくとも強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチモ
ンを5重量%以上含有する表面層と、同じく耐熱性樹脂
(表面層の耐熱性樹脂と同じものとは限らない。)をベ
ース材としてベースとなる耐熱性樹脂が20重量%以上
でかつ少なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を3
0〜80重量%含有する表面下層を積層してなる複層構
造を有する構成としたものであるから、耐熱性樹脂をベ
ース材に用いることによって高温の摺動部にも使用でき
るものとすることが可能であり、また、このような耐熱
性樹脂をベース材とする表面層に少なくとも強化粒子と
して酸化アンチモンを添加することによって被覆材単相
で摺動する領域での自身の耐摩耗性に優れたものとする
ことが可能であり、さらに、表面下層に少なくとも潤滑
性向上成分として固体潤滑剤を添加することによって一
部下地が露出した時の潤滑性能を同時に確保することが
可能であって、相手材への攻撃性を高めることなく、高
温,高負荷となるような厳しい摺動条件下においても優
れた耐摩耗性を確保し、同時に部分的に下地と相手材と
の直接接触が起きた場合の相手面との潤滑性にも優れた
ものとすることが可能であり、これまでにない優れた耐
凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることなく低コス
トで実現することが可能であるという著しく優れた効果
がもたらされる。
項1に記載しているように、耐熱性樹脂をベース材と
し、ベースとなる耐熱性樹脂が50重量%以上でかつ少
なくとも強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチモ
ンを5重量%以上含有する表面層と、同じく耐熱性樹脂
(表面層の耐熱性樹脂と同じものとは限らない。)をベ
ース材としてベースとなる耐熱性樹脂が20重量%以上
でかつ少なくとも潤滑性向上成分として固体潤滑剤を3
0〜80重量%含有する表面下層を積層してなる複層構
造を有する構成としたものであるから、耐熱性樹脂をベ
ース材に用いることによって高温の摺動部にも使用でき
るものとすることが可能であり、また、このような耐熱
性樹脂をベース材とする表面層に少なくとも強化粒子と
して酸化アンチモンを添加することによって被覆材単相
で摺動する領域での自身の耐摩耗性に優れたものとする
ことが可能であり、さらに、表面下層に少なくとも潤滑
性向上成分として固体潤滑剤を添加することによって一
部下地が露出した時の潤滑性能を同時に確保することが
可能であって、相手材への攻撃性を高めることなく、高
温,高負荷となるような厳しい摺動条件下においても優
れた耐摩耗性を確保し、同時に部分的に下地と相手材と
の直接接触が起きた場合の相手面との潤滑性にも優れた
ものとすることが可能であり、これまでにない優れた耐
凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることなく低コス
トで実現することが可能であるという著しく優れた効果
がもたらされる。
【0029】そして、請求項2に記載しているように、
表面層に、潤滑性向上成分として固体潤滑剤を含みかつ
その含有量が表面下層中の固体潤滑剤含有量以下である
ものとすることによって、特に潤滑状態の厳しい環境で
使用するような場合であっても、このように表面層にも
潤滑性向上成分として固体潤滑剤を適宜含有させること
により、摺動時の摩擦損失をより一層低減することが可
能となり、これに伴う摩擦発熱の低減によって、摺動部
用被覆材の耐久性をより一層向上させることが可能にな
るという著しく優れた効果がもたらされる。
表面層に、潤滑性向上成分として固体潤滑剤を含みかつ
その含有量が表面下層中の固体潤滑剤含有量以下である
ものとすることによって、特に潤滑状態の厳しい環境で
使用するような場合であっても、このように表面層にも
潤滑性向上成分として固体潤滑剤を適宜含有させること
により、摺動時の摩擦損失をより一層低減することが可
能となり、これに伴う摩擦発熱の低減によって、摺動部
用被覆材の耐久性をより一層向上させることが可能にな
るという著しく優れた効果がもたらされる。
【0030】また、請求項3に記載しているように、表
面下層に、強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチ
モンを含みかつその含有量が表面層中の酸化アンチモン
含有量以下であるものとすることによって、特に高面下
の摺動条件で使用するような場合であっても、このよう
に表面層と同様に酸化アンチモンを添加することにより
表面下層のもつ優れた潤滑性を維持しながらその耐摩耗
性もより一層強化することが可能になって摺動部用被覆
材全体の寿命をさらに向上させることが可能になるとい
う著しく優れた効果がもたらされる。
面下層に、強化粒子として粒径1〜5μmの酸化アンチ
モンを含みかつその含有量が表面層中の酸化アンチモン
含有量以下であるものとすることによって、特に高面下
の摺動条件で使用するような場合であっても、このよう
に表面層と同様に酸化アンチモンを添加することにより
表面下層のもつ優れた潤滑性を維持しながらその耐摩耗
性もより一層強化することが可能になって摺動部用被覆
材全体の寿命をさらに向上させることが可能になるとい
う著しく優れた効果がもたらされる。
【0031】さらに、請求項4に記載しているように、
表面層の膜厚が表面下層の膜厚よりも厚く形成されかつ
全体の厚さが5〜25μmであるものとすることによっ
て、下地金属露出の直前までは主として自身の耐摩耗性
に優れた表面層での摺動とすることが可能となって、摺
動部用被覆材の耐久性をより一層向上させることが可能
であり、被覆材全体の厚さが5〜25μmであるものと
することによって、配合した添加成分の作用を十分に発
揮させることが可能であると共に、一段と特性の安定し
た摺動部用被覆材を得ることが可能であるという著しく
優れた効果がもたらされる。
表面層の膜厚が表面下層の膜厚よりも厚く形成されかつ
全体の厚さが5〜25μmであるものとすることによっ
て、下地金属露出の直前までは主として自身の耐摩耗性
に優れた表面層での摺動とすることが可能となって、摺
動部用被覆材の耐久性をより一層向上させることが可能
であり、被覆材全体の厚さが5〜25μmであるものと
することによって、配合した添加成分の作用を十分に発
揮させることが可能であると共に、一段と特性の安定し
た摺動部用被覆材を得ることが可能であるという著しく
優れた効果がもたらされる。
【0032】さらにまた、請求項5に記載しているよう
に、下地処理として基材に表面粗さRmax1〜10μ
mのリン酸塩処理が施されているものとすることによっ
て、被覆材の下地金属との密着強度および一部下地が露
出した時の添加成分の保持性をより一層向上させること
が可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
に、下地処理として基材に表面粗さRmax1〜10μ
mのリン酸塩処理が施されているものとすることによっ
て、被覆材の下地金属との密着強度および一部下地が露
出した時の添加成分の保持性をより一層向上させること
が可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0033】本発明のピストンリングでは、請求項6に
記載しているように、請求項1ないし5のいずれかに記
載の摺動部用被覆材がピストンリング基材の表面に被覆
されているものとしたから、相手材であるピストンへの
攻撃性を強めることなく、高温,高負荷となるような厳
しいピストンの摺動条件下においても、長期間にわたり
ピストンリング基材とピストン面との直接接触が防止さ
れ、さらに部分的にピストンリング基材とピストン面と
の直接接触が起きた場合でもピストン面との潤滑性に優
れたものとすることが可能であって、これまでにない優
れた耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることなく
低コストで実現することが可能であるという著しく優れ
た効果がもたらされる。
記載しているように、請求項1ないし5のいずれかに記
載の摺動部用被覆材がピストンリング基材の表面に被覆
されているものとしたから、相手材であるピストンへの
攻撃性を強めることなく、高温,高負荷となるような厳
しいピストンの摺動条件下においても、長期間にわたり
ピストンリング基材とピストン面との直接接触が防止さ
れ、さらに部分的にピストンリング基材とピストン面と
の直接接触が起きた場合でもピストン面との潤滑性に優
れたものとすることが可能であって、これまでにない優
れた耐凝着,耐摩耗性能を複雑な機構を用いることなく
低コストで実現することが可能であるという著しく優れ
た効果がもたらされる。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例について比較例と共に
さらに詳細に説明する。
さらに詳細に説明する。
【0035】実施例1〜5 まず、ベース材となる耐熱性樹脂としてPAI(ポリア
ミドイミド)樹脂を選択し、これをn−メチル−2−ピ
ロリドン,キシレンを溶剤として溶解したものに、表1
の実施例1〜5の表面層、表面下層それぞれの欄に示し
た酸化アンチモン(Sb2O3)等を適宜含む組成とな
るように各成分を配合して、摺動部用被覆材の溶液を調
整した。
ミドイミド)樹脂を選択し、これをn−メチル−2−ピ
ロリドン,キシレンを溶剤として溶解したものに、表1
の実施例1〜5の表面層、表面下層それぞれの欄に示し
た酸化アンチモン(Sb2O3)等を適宜含む組成とな
るように各成分を配合して、摺動部用被覆材の溶液を調
整した。
【0036】次に、ばね用鋼で作製したピストンリング
基材の上面に脱脂等の表面調整を施した後、表面粗さR
max約3μmのリン酸マンガン処理を施し、この上
に、上記のごとく調整した溶液を表面下層、表面層の順
にスプレー塗布して乾燥した後、約180〜220℃で
加熱焼成して、図1に示すように、ピストンリング基材
1bの上面に表面層1fの膜厚が約7μm,表面下層1
uの膜厚が約3μmで合計膜厚が約10μmの摺動部用
被覆材1cを被覆したピストンリング1のテストピース
を作成した。
基材の上面に脱脂等の表面調整を施した後、表面粗さR
max約3μmのリン酸マンガン処理を施し、この上
に、上記のごとく調整した溶液を表面下層、表面層の順
にスプレー塗布して乾燥した後、約180〜220℃で
加熱焼成して、図1に示すように、ピストンリング基材
1bの上面に表面層1fの膜厚が約7μm,表面下層1
uの膜厚が約3μmで合計膜厚が約10μmの摺動部用
被覆材1cを被覆したピストンリング1のテストピース
を作成した。
【0037】比較例1〜4,比較例7〜8 前記実施例で用いたと同じPAI樹脂をn−メチル−2
−ピロリドン,キシレンを溶剤として溶解したものに、
表1の比較例1〜4および比較例7〜8の表面層、表面
下層それぞれの欄に示した酸化アンチモン(Sb
2O3)等を適宜含む組成となるように各成分を配合し
て、摺動部用被覆材の溶液を調整した。
−ピロリドン,キシレンを溶剤として溶解したものに、
表1の比較例1〜4および比較例7〜8の表面層、表面
下層それぞれの欄に示した酸化アンチモン(Sb
2O3)等を適宜含む組成となるように各成分を配合し
て、摺動部用被覆材の溶液を調整した。
【0038】次に、ばね用鋼で作製したピストンリング
基材の上面に脱脂等の表面調整を施した後、表面粗さR
max約3μmのリン酸マンガン処理を施し、この上
に、上記のごとく調整した溶液を表面下層、表面層の順
にスプレー塗布して乾燥した後、約180〜220℃で
加熱焼成して、実施例と同様に、ピストンリング基材
(1b)の上面に表面層(1f)の膜厚が約7μm,表
面下層(1u)の膜厚が約3μmで合計膜厚が約10μ
mの摺動部用被覆材(1c)を被覆したピストンリング
(1)のテストピースを作成した。
基材の上面に脱脂等の表面調整を施した後、表面粗さR
max約3μmのリン酸マンガン処理を施し、この上
に、上記のごとく調整した溶液を表面下層、表面層の順
にスプレー塗布して乾燥した後、約180〜220℃で
加熱焼成して、実施例と同様に、ピストンリング基材
(1b)の上面に表面層(1f)の膜厚が約7μm,表
面下層(1u)の膜厚が約3μmで合計膜厚が約10μ
mの摺動部用被覆材(1c)を被覆したピストンリング
(1)のテストピースを作成した。
【0039】比較例5〜6 前記実施例で用いたと同じPAI樹脂をn−メチル−2
−ピロリドン,キシレンを溶剤として溶解したものに、
表1の比較例5および6の表面層の欄に示した組成とな
るように各成分を配合して、摺動部用被覆材の溶液を調
整した。
−ピロリドン,キシレンを溶剤として溶解したものに、
表1の比較例5および6の表面層の欄に示した組成とな
るように各成分を配合して、摺動部用被覆材の溶液を調
整した。
【0040】次に、ばね用鋼で作製したピストンリング
基材の上面に脱脂等の表面調整を施した後、表面粗さR
max約3μmのリン酸マンガン処理を施し、この上
に、上記のごとく調整した溶液をスプレー塗布して乾燥
した後、約180〜220℃で加熱焼成して、図2に示
すように、ピストンリング基材11bの上面に膜厚が約
10μmの摺動部用被覆材11cを被覆したピストンリ
ング11のテストピースを作成した。
基材の上面に脱脂等の表面調整を施した後、表面粗さR
max約3μmのリン酸マンガン処理を施し、この上
に、上記のごとく調整した溶液をスプレー塗布して乾燥
した後、約180〜220℃で加熱焼成して、図2に示
すように、ピストンリング基材11bの上面に膜厚が約
10μmの摺動部用被覆材11cを被覆したピストンリ
ング11のテストピースを作成した。
【0041】
【表1】
【0042】(凝着摩耗試験)実施例1〜5,比較例1
〜8で得た各ピストンリング1,11のテストピース
を、図3に示すように、実際のアルミニウム合金製ピス
トンからの切り出し材2を相手材として、表2に示す条
件(試験温度は加熱ヒーター3により設定)で単体凝着
摩耗試験を行い、摺動面1s,11sでの凝着発生まで
の時間と、試験開始から5時間経過時点での相手材摩耗
量を比較した。その結果を表3に示す。
〜8で得た各ピストンリング1,11のテストピース
を、図3に示すように、実際のアルミニウム合金製ピス
トンからの切り出し材2を相手材として、表2に示す条
件(試験温度は加熱ヒーター3により設定)で単体凝着
摩耗試験を行い、摺動面1s,11sでの凝着発生まで
の時間と、試験開始から5時間経過時点での相手材摩耗
量を比較した。その結果を表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】表3より明らかなように、本発明実施例1
〜5に係わるものは、表面層の組成が本発明から外れる
比較例1,2、および、表面下層の組成が本発明から外
れる比較例3,4、さらに、2層構造を有せず摺動初期
と一部下地の露出時とで被覆材組成に変化のない比較例
5,6に比べて、凝着発生までの耐久時間が大きく向上
していることがわかる。
〜5に係わるものは、表面層の組成が本発明から外れる
比較例1,2、および、表面下層の組成が本発明から外
れる比較例3,4、さらに、2層構造を有せず摺動初期
と一部下地の露出時とで被覆材組成に変化のない比較例
5,6に比べて、凝着発生までの耐久時間が大きく向上
していることがわかる。
【0046】また、比較例7,8は、凝着発生までの耐
久時間は本発明実施例と同等であるが、相手材ピストの
摩耗量が本発明実施例と比較して著しく増加しており、
これらのことから、本発明の摺動部用被覆材は従来の摺
動部用被覆材では得ることができない優れた性能を有し
ていることが確かめられた。
久時間は本発明実施例と同等であるが、相手材ピストの
摩耗量が本発明実施例と比較して著しく増加しており、
これらのことから、本発明の摺動部用被覆材は従来の摺
動部用被覆材では得ることができない優れた性能を有し
ていることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すピストンリングの一部
拡大断面説明図である。
拡大断面説明図である。
【図2】 従来の樹脂結合被覆処理を施したピストンリ
ングの一部拡大断面説明図である。
ングの一部拡大断面説明図である。
【図3】 単体凝着摩耗試験の概要を示す断面説明図で
ある。
ある。
1 ピストンリング 1b ピストンリング基材 1c 摺動部用被覆材 1f 表面層 1u 表面下層 2 ピストンからの切り出し材(相手材) 3 加熱ヒーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F16J 9/28 F16J 9/28 (72)発明者 塩 田 正 彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 岸 克 宏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内
Claims (6)
- 【請求項1】 耐熱性樹脂をベース材とする摺動部用被
覆材であって、ベースとなる耐熱性樹脂が50重量%以
上でかつ少なくとも強化粒子として粒径1〜5μmの酸
化アンチモンを5重量%以上含有する表面層と、同じく
耐熱性樹脂をベース材としてベースとなる耐熱性樹脂が
20重量%以上でかつ少なくとも潤滑性向上成分として
固体潤滑剤を30〜80重量%含有する表面下層を積層
してなる複層構造を有することを特徴とする摺動部用被
覆材。 - 【請求項2】 表面層に、潤滑性向上成分として固体潤
滑剤を含みかつその含有量が表面下層中の固体潤滑剤含
有量以下であることを特徴とする請求項1に記載の摺動
部用被覆材。 - 【請求項3】 表面下層に、強化粒子として粒径1〜5
μmの酸化アンチモンを含みかつその含有量が表面層中
の酸化アンチモン含有量以下であることを特徴とする請
求項1または2に記載の摺動部用被覆材。 - 【請求項4】 表面層の膜厚が表面下層の膜厚よりも厚
くかつ全体の厚さが5〜25μmであることを特徴とす
る請求項1ないし3のいずれかに記載の摺動部用被覆
材。 - 【請求項5】 下地処理として基材に表面粗さRmax
1〜10μmのリン酸塩処理が施されていることを特徴
とする請求項1ないし4のいずれかに記載の摺動部用被
覆材。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の摺
動部用被覆材がピストンリング基材の表面に被覆してあ
ることを特徴とするピストンリング。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25636197A JPH1194084A (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | 摺動部用被覆材およびピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25636197A JPH1194084A (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | 摺動部用被覆材およびピストンリング |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1194084A true JPH1194084A (ja) | 1999-04-09 |
Family
ID=17291620
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25636197A Pending JPH1194084A (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | 摺動部用被覆材およびピストンリング |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1194084A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009074539A (ja) * | 2007-08-24 | 2009-04-09 | Nippon Piston Ring Co Ltd | ピストンリング |
| DE102008038636B4 (de) * | 2007-08-24 | 2012-10-25 | Nippon Piston Ring Co., Ltd. | Kolbenring |
| JP2014083786A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Lignyte Co Ltd | 黒鉛シート複合材及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-09-22 JP JP25636197A patent/JPH1194084A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009074539A (ja) * | 2007-08-24 | 2009-04-09 | Nippon Piston Ring Co Ltd | ピストンリング |
| DE102008038636B4 (de) * | 2007-08-24 | 2012-10-25 | Nippon Piston Ring Co., Ltd. | Kolbenring |
| JP2014083786A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Lignyte Co Ltd | 黒鉛シート複合材及びその製造方法 |
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