JPS6234838B2 - - Google Patents
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- JPS6234838B2 JPS6234838B2 JP58211415A JP21141583A JPS6234838B2 JP S6234838 B2 JPS6234838 B2 JP S6234838B2 JP 58211415 A JP58211415 A JP 58211415A JP 21141583 A JP21141583 A JP 21141583A JP S6234838 B2 JPS6234838 B2 JP S6234838B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chromium
- tfs
- treatment
- electrolytic
- oxide film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
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- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
- Electrochemical Coating By Surface Reaction (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
本発明は鋼板の表面上に金属クロムの下層と、
クロム水和酸化物の上層とを有するテインフリー
スチール、特に接着缶用の材料として耐レトルト
処理性にすぐれた電解クロメート処理鋼板に関す
るものである。 電解クロメート処理鋼板はテインフリースチル
クロムタイプ(以下、TFSと略称する)と称さ
れ、ブリキに代る缶用材料としての特性が認めら
れ、近年その使用量が増大している。TFSは表
面に金属クロムと水和酸化クロム被膜を有するた
め十分な溶接性能を持たず、その製缶に当つては
缶胴はエポキシ・フエノール系樹脂を塗装後、ナ
イロン系接着剤で接合している。 最近TFS缶の用余が拡大し、炭酸飲料やビー
ルなど内容物の充填が低温状態でなされる低温パ
ツクのみならず、果汁およびコーヒーなどのよう
に内容物を高温殺菌して充填するいわゆるホツト
パツク用またはパツク後高温で殺菌処理を行うレ
トルト処理が必要な缶にも使用されるようになつ
て缶胴が破れるトラブルが発生している。 このホツトパツク、レトルト処理の際にTFS
接着缶に生ずる缶胴の破れは、前記接合部のナイ
ロン系接着剤層を通して浸透する熱水により塗膜
とTFSとの界面の接着が悪くなり、塗膜―TFS
界面から剥離するために発生するものである。 接着性のすぐれたTFSを得る目的で多くの研
究が行われ、クロムめつき浴や電解クロム酸浴に
添加加されている硫酸が水和酸化クロム被膜中に
共析し、レトルト処理時に溶出して塗膜―TFS
界面剥離を起すとの見解から、クロム水和酸化膜
中に含まれる硫酸根を極力減らし、代つてフツ素
イオンを用いた製品(例えば、特公昭57―
53440,特開昭56―142897号参照)が多く提案さ
れている。 しかし、そのためには、TFS最表面の水和酸
化クロム膜を形成する電解クロム酸処理浴は勿論
のこと、クロムめつき浴にも硫酸を添加せず、代
つてフツ素化合物を添加する方法が採用されてい
るが、その場合には金属クロムの析出効率が悪
く、製造能率を著しく低下させたり、得られた
TFSに表面汚れが多発して製品の品質安定性が
悪く、歩留りが劣り、工業的には多くの問題が残
つていた。 本願の発明者等は、この点を解消する方法とし
て硫酸を含むクロムめつき浴中でクロムめつき
後、該液中で鋼板を陽極とする逆電解を施し、そ
の後に硫酸を添加しないクロム酸水溶液中で電解
クロム酸処理を施すことを提案した(特開昭57―
177998号参照)。しかし、その後の調査によつ
て、クロムめつき工程と電解クロム酸処理工程と
の間に鋼板を陽極として逆電解を施す工程を挿入
するこの方法は、塗料密着性の改善に極めて有効
であるが、逆電解後の鋼板においては、その後の
電解クロム酸処理工程でのクロム水和酸化膜の成
長が抑制され、すぐれた塗料密着性を示すTFS
を安定して得るためには、電解クロム酸処理工程
で多量の電気量を必要とし、経済的でないことが
判明した。 本発明は上述したような状況に鑑みてなされた
もので、経済的に効率良く製造でき、しかも耐レ
トルト処理性の極めてすぐれたTFSを提供する
ことを目的とする。 本発明は薄鋼板に片面50〜200mg/m2の金属ク
ロムめつきを施し、該金属クロム層表面に5〜30
mg/m2のクロム水和酸化物被膜を有するTFSに
関するものである。金属クロム層は50mg/m2未満
では耐食性が劣つてよくない。また200mg/m2よ
り多くても耐食性の更なる向上は望めないので、
通常のTFSは50〜200mg/m2の金属クロム層を有
している。一方、クロム水和酸化物被膜が5mg/
m2未満では所望の塗料密着性が得られず、また30
mg/m2より多いと外観が悪くなつたり、加工時に
クロム水和酸化物被膜にクラツクが入つて実用的
でない。更にいえば、クロム水和酸化物被膜量は
8〜25mg/m2が最も望ましい。 本願の発明者等は先に塗料密着性にすぐれた
TFSの製造方法として、硫酸を添加したクロム
めつき浴でクロムめつき後、該液中で鋼板を陽極
とする逆電解を施し、次いで硫酸を含まないクロ
ム酸水溶液中で電解クロム酸処理を施すことを提
案した(特開昭57―177998号参照)。その後の調
査の結果、クロムめつき工程と電解クロム酸処理
工程との間に鋼板を陽極として逆電解を施す工程
を挿入するこの方法は、塗料密着性のよいTFS
製造に有効であるが、逆電解後の鋼板において
は、その後の電解クロム酸処理工程でのクロム水
和酸化物膜の成長が抑制され、すぐれた塗料密着
性を示すTFSを安定して得るためには、電解ク
ロム酸処理工程で多量の電気量を必要とし、経済
的でないことが判明した。この原因については定
かでないが、クロムめつき後に鋼板を陽極として
施す逆電解処理によつて鋼板表面層の性質が変つ
たためと思われる。 本願の発明者等はこの逆電解によつて変質した
クロムめつき鋼板表面の特性に興味を持ち、また
TFSの塗料密着性い関して、クロム水和酸化物
被膜中に共析した硫酸根を有害とする在来の説に
も疑問を持つて、クロムめつき→逆電解→電解ク
ロム酸処理の工程を経て製造した種々の硫酸含有
量を有するTFSについて、耐レトルト処理性と
SおよびOの含有量、アルカリ可溶分(熱アルカ
リ可溶分)との関係を定量的に調べた。その結
果、クロムめつき→逆電解→硫酸を助剤とする電
解クロム酸処理の工程で製造したTFSにおいて
は、水和酸化クロム膜中のSとOがAESのピー
ク強度比でS/O≧0.18、アルカリ可溶分≧30%
のものは極めてすぐれた接着性が得られることを
見い出し、本発明を完成するに至つたものであ
る。 TFSの品質特性を把握するために用いた耐レ
トルト処理性の試験方法、水和酸化クロム膜中の
S/O比およびアルカリ可溶分の測定方法は以下
の通りである。 (1) 耐レトルト処理法 TFSの試料表面1にフエノール・エポキシ系
塗料を60mg/dm2塗布し、210℃で12分間焼付け
た。もう一つの試料表面2に同じ塗料を25mg/d
m2塗布し、同じ条件で焼付けた。この2つの試料
を各々幅70mm、長さ60mmに切断し、塗膜厚の異な
る2枚の試片の長さ方向の両端(1Aおよび2
A)を8mmだけ重ね、その間に100μmのナイロ
ンフイルム3(接着剤)をはさみ、ホツトプレス
を用いて200℃で120秒の予熱を行つた後、3Kg/
cm2の加圧下で200℃で30秒間の圧着を行つた(第
1a図参照)。この試験片4を10組つくり、缶胴
のように半径100mm程度に予め丸めた後、底辺70
mmのアングル5に第1b図に示すように固定し、
125〜130℃、1.6〜1.7Kg/cm2のレトルト釜中で
300分経時した時の剥離の有無を調べた。10組中
の剥離本数で耐レトルト処理性の指標とした。評
価方法は以下の通りである。 〇…レトルト処理時の剥離本数 0/10本 △…レトルト処理時の剥離本数 1〜2/10本 ×…レトルト処理時の剥離本数 3以上/10本 (2) S/0比測定 TFSの水和酸化クロム膜中の硫酸根の含有量
をオーシエ電子分光法(AESと略称す)により
調べ、第2図に示すようにAESチヤート上の酸
素ピークと硫黄ピークの強度比S/0の値として
示した。なお、AES測定は、真空度1.0×
10-9torr、ビーム電圧10.0KVで行た。深さ方向の
分析を行うため、Arスパツタを加速電圧
4.0KV、電流密度0.6μA/m2、真空度2.2×
0-7torrで行つた。膜中のS/0の深さ方向の分
布は最表面の少し内側(約10Åの深さ)で最大値
をとる。本発明ではこの最大値を各々の試料の
S/0値とした。 (3) アルカリ可溶分 TFSを210℃で12分間空焼きした後、7.5N―
NaOHにより110℃で、すなわち熱アルカリ溶液
で10分間浸漬処理し、その時に溶解したクロメー
ト被膜量をもとのクロメート被膜量で割つたもの
である。値の大きいものは空焼きによつてクロメ
ート被膜が不溶化し難いことを示す。 本発明のTFSの製造に際しては、薄鋼板を通
常の方法で電解脱脂、水洗後硫酸酸洗し、
CrO3100〜200g/、H2SO4 0.5〜1g/、
Na2SiF6 5〜8g/の組成からなるクロムめ
つき浴中で陰極処理し、これにひきつづいて該液
中で鋼板を陽極として0.3〜9クーロン/dm2の
電気量で逆電解処理を行い、水洗後無水クロム酸
30〜90g/、硫酸0.05〜0.9g/を添加して
調製した電解クロム酸浴中で鋼板を陰極として処
理した。 得られたTFSの表面に形成された水和酸化ク
ロム膜の量は、熱アルカリ水溶液(7.5N
NaOH)での溶解作業前後の表面クロム量を螢光
X線分析によつて検出し、溶解量を水和酸化クロ
ム量とした。 用いた試料はクロムめつきおよび電解クロム酸
処理時の電気量を調整して金属クロム量100〜120
mg/m2、水和酸化クロム量10〜20mg/m2の範囲に
保たれていた。 第3図にテストしたTFSの耐レトルト処理性
を、水和酸化クロム膜のS/0値およびアルカリ
可溶分の関係で示す。S/0値が0.18以上、アル
カリ可溶分が30%以上の範囲にあるような表面被
膜を有するTFSでは、耐レトルト処理性が極め
てすぐれていることがわかる。 以上の結果から、クロムめつき後鋼板を陽極と
して逆電解処理を施した後、電解クロム酸処理を
行う方法で製造されるTFSにおいては、クロム
水和酸化物膜中のS/0値が0.18以上、アルカリ
可溶分が30%以上であれば塗料の密着性を極めて
良好なレベルに保つことができることが判明し
た。 従来発表された多くの研究結果によれば、水和
酸化クロムに共析した硫酸根は概してレトルト処
理性を損うものとされ、また空焼処理時の水和酸
化クロム膜の不溶化しやすさの指標となるアルカ
リ可溶分も高い値はレトルト処理性を損うものと
するのが通説であつた。本発明は、クロムめつき
工程と電解クロム酸処理工程との間に鋼板を陽極
として処理する逆電解工程を採用したTFSにお
いては、一定量以上の共析硫酸根の存在がかえつ
て耐レトルト処理性を向上させ、またレトルト処
理後の高温耐久性についても従来にない良好な特
性を有する製品を生み出すことを見出してなされ
た。その特性改善機構の詳細については定かでな
いが、クロムめつき後の逆電解処理によつて鋼板
表面の薄い水和酸化クロム膜が変質し、その後の
電解クロム酸処理工程で硫酸を添加した処理浴中
で生成する、共析硫酸根の多い、空焼処理時にア
ルカリ不溶化し難い膜の性質に影響を与え、得ら
れたTFSの接着性を大幅に改善したものと考え
られる。 以下本発明を実施例および比較例を挙げて具体
的に説明する。 板厚0.22mmの冷延鋼板(T4CA)をホメザリン
溶液で80℃、15A/dm2の電流密度で10秒間の電
解脱脂を行い、水洗後10%H2SO4中に5秒間浸漬
して水洗した後、下記の条件で本処理を行つた。
本処理は、(1)クロムめつき工程→(2)逆電解処理工
程→(3)電解クロム酸処理工程の順に行い、(1)と(2)
とは同一の電解液中で連続して実施し、(2)と(3)の
間および(3)終了後には水洗を行つた。 (1) クロムめつき めつき液組成 CrO3 150g/ H2SO4 0.3〜1.0g/ Na2SiF6 7g/ めつき条件 液温50℃、電流密度50A/dm2で
陰極処理 (2) 逆電解処理 鋼板を陽極として0.5〜3クーロン/dm2の逆
電解処理を行つた。比較のため逆電解を行わない
例も表1に示した。 (3) 電解クロム酸処理 組 成 CrO3 60g/ H2SO4 0.05〜0.6g/ 液 温 40〜45℃ 硫酸度の異なるクロム酸浴中で陰極処理を行つ
た。試料調整にあたつては、クロムめつきおよび
電解クロム酸処理時の電気量を調整して、金属ク
ロム量100〜200mg/m2、水和酸化クロム量10〜20
mg/m2となるように処理した。得られた試料につ
いて測定した耐レトルト処理性、水和酸化クロム
膜のアルカリ可溶分、S/0値を表1に示す。 表1の結果から、(1)クロムめつき→(2)逆電解→
(3)硫酸を助剤とする電解クロム酸処理の工程で製
造したTFSにおいては、表面の水和酸化クロム
膜がAESのピーク強度比でS/0≧0.18のSを含
み、アルカリ可溶分30%以上であれば、耐レトル
ト処理性が極めて良好なことがわかる。逆電解処
理を行う同様な工程だ処理されたTFSであつて
も、S/0値、アルカリ可溶分が上記の領域を満
足しない場合には不十分な特性となつている。ま
た、逆電解処理を行わない場合には、得られた
TFSの水和酸化クロム膜がS/0値、アルカリ
可溶分に関して上記の領域を満足しても、著しく
劣つた塗料密着性しか示さない。 【表】
クロム水和酸化物の上層とを有するテインフリー
スチール、特に接着缶用の材料として耐レトルト
処理性にすぐれた電解クロメート処理鋼板に関す
るものである。 電解クロメート処理鋼板はテインフリースチル
クロムタイプ(以下、TFSと略称する)と称さ
れ、ブリキに代る缶用材料としての特性が認めら
れ、近年その使用量が増大している。TFSは表
面に金属クロムと水和酸化クロム被膜を有するた
め十分な溶接性能を持たず、その製缶に当つては
缶胴はエポキシ・フエノール系樹脂を塗装後、ナ
イロン系接着剤で接合している。 最近TFS缶の用余が拡大し、炭酸飲料やビー
ルなど内容物の充填が低温状態でなされる低温パ
ツクのみならず、果汁およびコーヒーなどのよう
に内容物を高温殺菌して充填するいわゆるホツト
パツク用またはパツク後高温で殺菌処理を行うレ
トルト処理が必要な缶にも使用されるようになつ
て缶胴が破れるトラブルが発生している。 このホツトパツク、レトルト処理の際にTFS
接着缶に生ずる缶胴の破れは、前記接合部のナイ
ロン系接着剤層を通して浸透する熱水により塗膜
とTFSとの界面の接着が悪くなり、塗膜―TFS
界面から剥離するために発生するものである。 接着性のすぐれたTFSを得る目的で多くの研
究が行われ、クロムめつき浴や電解クロム酸浴に
添加加されている硫酸が水和酸化クロム被膜中に
共析し、レトルト処理時に溶出して塗膜―TFS
界面剥離を起すとの見解から、クロム水和酸化膜
中に含まれる硫酸根を極力減らし、代つてフツ素
イオンを用いた製品(例えば、特公昭57―
53440,特開昭56―142897号参照)が多く提案さ
れている。 しかし、そのためには、TFS最表面の水和酸
化クロム膜を形成する電解クロム酸処理浴は勿論
のこと、クロムめつき浴にも硫酸を添加せず、代
つてフツ素化合物を添加する方法が採用されてい
るが、その場合には金属クロムの析出効率が悪
く、製造能率を著しく低下させたり、得られた
TFSに表面汚れが多発して製品の品質安定性が
悪く、歩留りが劣り、工業的には多くの問題が残
つていた。 本願の発明者等は、この点を解消する方法とし
て硫酸を含むクロムめつき浴中でクロムめつき
後、該液中で鋼板を陽極とする逆電解を施し、そ
の後に硫酸を添加しないクロム酸水溶液中で電解
クロム酸処理を施すことを提案した(特開昭57―
177998号参照)。しかし、その後の調査によつ
て、クロムめつき工程と電解クロム酸処理工程と
の間に鋼板を陽極として逆電解を施す工程を挿入
するこの方法は、塗料密着性の改善に極めて有効
であるが、逆電解後の鋼板においては、その後の
電解クロム酸処理工程でのクロム水和酸化膜の成
長が抑制され、すぐれた塗料密着性を示すTFS
を安定して得るためには、電解クロム酸処理工程
で多量の電気量を必要とし、経済的でないことが
判明した。 本発明は上述したような状況に鑑みてなされた
もので、経済的に効率良く製造でき、しかも耐レ
トルト処理性の極めてすぐれたTFSを提供する
ことを目的とする。 本発明は薄鋼板に片面50〜200mg/m2の金属ク
ロムめつきを施し、該金属クロム層表面に5〜30
mg/m2のクロム水和酸化物被膜を有するTFSに
関するものである。金属クロム層は50mg/m2未満
では耐食性が劣つてよくない。また200mg/m2よ
り多くても耐食性の更なる向上は望めないので、
通常のTFSは50〜200mg/m2の金属クロム層を有
している。一方、クロム水和酸化物被膜が5mg/
m2未満では所望の塗料密着性が得られず、また30
mg/m2より多いと外観が悪くなつたり、加工時に
クロム水和酸化物被膜にクラツクが入つて実用的
でない。更にいえば、クロム水和酸化物被膜量は
8〜25mg/m2が最も望ましい。 本願の発明者等は先に塗料密着性にすぐれた
TFSの製造方法として、硫酸を添加したクロム
めつき浴でクロムめつき後、該液中で鋼板を陽極
とする逆電解を施し、次いで硫酸を含まないクロ
ム酸水溶液中で電解クロム酸処理を施すことを提
案した(特開昭57―177998号参照)。その後の調
査の結果、クロムめつき工程と電解クロム酸処理
工程との間に鋼板を陽極として逆電解を施す工程
を挿入するこの方法は、塗料密着性のよいTFS
製造に有効であるが、逆電解後の鋼板において
は、その後の電解クロム酸処理工程でのクロム水
和酸化物膜の成長が抑制され、すぐれた塗料密着
性を示すTFSを安定して得るためには、電解ク
ロム酸処理工程で多量の電気量を必要とし、経済
的でないことが判明した。この原因については定
かでないが、クロムめつき後に鋼板を陽極として
施す逆電解処理によつて鋼板表面層の性質が変つ
たためと思われる。 本願の発明者等はこの逆電解によつて変質した
クロムめつき鋼板表面の特性に興味を持ち、また
TFSの塗料密着性い関して、クロム水和酸化物
被膜中に共析した硫酸根を有害とする在来の説に
も疑問を持つて、クロムめつき→逆電解→電解ク
ロム酸処理の工程を経て製造した種々の硫酸含有
量を有するTFSについて、耐レトルト処理性と
SおよびOの含有量、アルカリ可溶分(熱アルカ
リ可溶分)との関係を定量的に調べた。その結
果、クロムめつき→逆電解→硫酸を助剤とする電
解クロム酸処理の工程で製造したTFSにおいて
は、水和酸化クロム膜中のSとOがAESのピー
ク強度比でS/O≧0.18、アルカリ可溶分≧30%
のものは極めてすぐれた接着性が得られることを
見い出し、本発明を完成するに至つたものであ
る。 TFSの品質特性を把握するために用いた耐レ
トルト処理性の試験方法、水和酸化クロム膜中の
S/O比およびアルカリ可溶分の測定方法は以下
の通りである。 (1) 耐レトルト処理法 TFSの試料表面1にフエノール・エポキシ系
塗料を60mg/dm2塗布し、210℃で12分間焼付け
た。もう一つの試料表面2に同じ塗料を25mg/d
m2塗布し、同じ条件で焼付けた。この2つの試料
を各々幅70mm、長さ60mmに切断し、塗膜厚の異な
る2枚の試片の長さ方向の両端(1Aおよび2
A)を8mmだけ重ね、その間に100μmのナイロ
ンフイルム3(接着剤)をはさみ、ホツトプレス
を用いて200℃で120秒の予熱を行つた後、3Kg/
cm2の加圧下で200℃で30秒間の圧着を行つた(第
1a図参照)。この試験片4を10組つくり、缶胴
のように半径100mm程度に予め丸めた後、底辺70
mmのアングル5に第1b図に示すように固定し、
125〜130℃、1.6〜1.7Kg/cm2のレトルト釜中で
300分経時した時の剥離の有無を調べた。10組中
の剥離本数で耐レトルト処理性の指標とした。評
価方法は以下の通りである。 〇…レトルト処理時の剥離本数 0/10本 △…レトルト処理時の剥離本数 1〜2/10本 ×…レトルト処理時の剥離本数 3以上/10本 (2) S/0比測定 TFSの水和酸化クロム膜中の硫酸根の含有量
をオーシエ電子分光法(AESと略称す)により
調べ、第2図に示すようにAESチヤート上の酸
素ピークと硫黄ピークの強度比S/0の値として
示した。なお、AES測定は、真空度1.0×
10-9torr、ビーム電圧10.0KVで行た。深さ方向の
分析を行うため、Arスパツタを加速電圧
4.0KV、電流密度0.6μA/m2、真空度2.2×
0-7torrで行つた。膜中のS/0の深さ方向の分
布は最表面の少し内側(約10Åの深さ)で最大値
をとる。本発明ではこの最大値を各々の試料の
S/0値とした。 (3) アルカリ可溶分 TFSを210℃で12分間空焼きした後、7.5N―
NaOHにより110℃で、すなわち熱アルカリ溶液
で10分間浸漬処理し、その時に溶解したクロメー
ト被膜量をもとのクロメート被膜量で割つたもの
である。値の大きいものは空焼きによつてクロメ
ート被膜が不溶化し難いことを示す。 本発明のTFSの製造に際しては、薄鋼板を通
常の方法で電解脱脂、水洗後硫酸酸洗し、
CrO3100〜200g/、H2SO4 0.5〜1g/、
Na2SiF6 5〜8g/の組成からなるクロムめ
つき浴中で陰極処理し、これにひきつづいて該液
中で鋼板を陽極として0.3〜9クーロン/dm2の
電気量で逆電解処理を行い、水洗後無水クロム酸
30〜90g/、硫酸0.05〜0.9g/を添加して
調製した電解クロム酸浴中で鋼板を陰極として処
理した。 得られたTFSの表面に形成された水和酸化ク
ロム膜の量は、熱アルカリ水溶液(7.5N
NaOH)での溶解作業前後の表面クロム量を螢光
X線分析によつて検出し、溶解量を水和酸化クロ
ム量とした。 用いた試料はクロムめつきおよび電解クロム酸
処理時の電気量を調整して金属クロム量100〜120
mg/m2、水和酸化クロム量10〜20mg/m2の範囲に
保たれていた。 第3図にテストしたTFSの耐レトルト処理性
を、水和酸化クロム膜のS/0値およびアルカリ
可溶分の関係で示す。S/0値が0.18以上、アル
カリ可溶分が30%以上の範囲にあるような表面被
膜を有するTFSでは、耐レトルト処理性が極め
てすぐれていることがわかる。 以上の結果から、クロムめつき後鋼板を陽極と
して逆電解処理を施した後、電解クロム酸処理を
行う方法で製造されるTFSにおいては、クロム
水和酸化物膜中のS/0値が0.18以上、アルカリ
可溶分が30%以上であれば塗料の密着性を極めて
良好なレベルに保つことができることが判明し
た。 従来発表された多くの研究結果によれば、水和
酸化クロムに共析した硫酸根は概してレトルト処
理性を損うものとされ、また空焼処理時の水和酸
化クロム膜の不溶化しやすさの指標となるアルカ
リ可溶分も高い値はレトルト処理性を損うものと
するのが通説であつた。本発明は、クロムめつき
工程と電解クロム酸処理工程との間に鋼板を陽極
として処理する逆電解工程を採用したTFSにお
いては、一定量以上の共析硫酸根の存在がかえつ
て耐レトルト処理性を向上させ、またレトルト処
理後の高温耐久性についても従来にない良好な特
性を有する製品を生み出すことを見出してなされ
た。その特性改善機構の詳細については定かでな
いが、クロムめつき後の逆電解処理によつて鋼板
表面の薄い水和酸化クロム膜が変質し、その後の
電解クロム酸処理工程で硫酸を添加した処理浴中
で生成する、共析硫酸根の多い、空焼処理時にア
ルカリ不溶化し難い膜の性質に影響を与え、得ら
れたTFSの接着性を大幅に改善したものと考え
られる。 以下本発明を実施例および比較例を挙げて具体
的に説明する。 板厚0.22mmの冷延鋼板(T4CA)をホメザリン
溶液で80℃、15A/dm2の電流密度で10秒間の電
解脱脂を行い、水洗後10%H2SO4中に5秒間浸漬
して水洗した後、下記の条件で本処理を行つた。
本処理は、(1)クロムめつき工程→(2)逆電解処理工
程→(3)電解クロム酸処理工程の順に行い、(1)と(2)
とは同一の電解液中で連続して実施し、(2)と(3)の
間および(3)終了後には水洗を行つた。 (1) クロムめつき めつき液組成 CrO3 150g/ H2SO4 0.3〜1.0g/ Na2SiF6 7g/ めつき条件 液温50℃、電流密度50A/dm2で
陰極処理 (2) 逆電解処理 鋼板を陽極として0.5〜3クーロン/dm2の逆
電解処理を行つた。比較のため逆電解を行わない
例も表1に示した。 (3) 電解クロム酸処理 組 成 CrO3 60g/ H2SO4 0.05〜0.6g/ 液 温 40〜45℃ 硫酸度の異なるクロム酸浴中で陰極処理を行つ
た。試料調整にあたつては、クロムめつきおよび
電解クロム酸処理時の電気量を調整して、金属ク
ロム量100〜200mg/m2、水和酸化クロム量10〜20
mg/m2となるように処理した。得られた試料につ
いて測定した耐レトルト処理性、水和酸化クロム
膜のアルカリ可溶分、S/0値を表1に示す。 表1の結果から、(1)クロムめつき→(2)逆電解→
(3)硫酸を助剤とする電解クロム酸処理の工程で製
造したTFSにおいては、表面の水和酸化クロム
膜がAESのピーク強度比でS/0≧0.18のSを含
み、アルカリ可溶分30%以上であれば、耐レトル
ト処理性が極めて良好なことがわかる。逆電解処
理を行う同様な工程だ処理されたTFSであつて
も、S/0値、アルカリ可溶分が上記の領域を満
足しない場合には不十分な特性となつている。ま
た、逆電解処理を行わない場合には、得られた
TFSの水和酸化クロム膜がS/0値、アルカリ
可溶分に関して上記の領域を満足しても、著しく
劣つた塗料密着性しか示さない。 【表】
第1図はTFSの塗料密着力の耐レトルト処理
性試験方法の概要図、第2図はAES測定チヤー
ト図、第3図はTFSの耐レトルト処理性と水和
酸化クロム膜のS/0値およびアルカリ可溶分と
の関係を示すグラフである。
性試験方法の概要図、第2図はAES測定チヤー
ト図、第3図はTFSの耐レトルト処理性と水和
酸化クロム膜のS/0値およびアルカリ可溶分と
の関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 1 薄鋼板上に、電気めつき後逆電解処理を施さ
れたクロムめつき層と、その上に硫酸を助剤とす
る電解クロム酸処理による水和酸化クロム膜とを
形成してなるテインフリースチールにおいて、表
面の水和酸化クロム膜が、AESのピーク強度比
でS/O≧0.18のSを含み、210℃で12分間空焼
した後の7.5Nの熱アルカリ溶液に30wt%以上溶
解することを特徴とする接着性のすぐれたテイン
フリースチール。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21141583A JPS60103200A (ja) | 1983-11-10 | 1983-11-10 | 接着性のすぐれたテインフリ−スチ−ル |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21141583A JPS60103200A (ja) | 1983-11-10 | 1983-11-10 | 接着性のすぐれたテインフリ−スチ−ル |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60103200A JPS60103200A (ja) | 1985-06-07 |
| JPS6234838B2 true JPS6234838B2 (ja) | 1987-07-29 |
Family
ID=16605573
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21141583A Granted JPS60103200A (ja) | 1983-11-10 | 1983-11-10 | 接着性のすぐれたテインフリ−スチ−ル |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS60103200A (ja) |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6040519B2 (ja) * | 1981-04-25 | 1985-09-11 | 川崎製鉄株式会社 | テインフリ−鋼板の製造方法 |
| JPS58177489A (ja) * | 1982-04-13 | 1983-10-18 | Kawasaki Steel Corp | テインフリ−鋼板の製造方法 |
| JPS58177491A (ja) * | 1982-04-13 | 1983-10-18 | Kawasaki Steel Corp | テインフリ−鋼板の製造方法 |
| JPS58177490A (ja) * | 1982-04-13 | 1983-10-18 | Kawasaki Steel Corp | テインフリ−鋼板の製造方法 |
-
1983
- 1983-11-10 JP JP21141583A patent/JPS60103200A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS60103200A (ja) | 1985-06-07 |
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|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |