明 細 書 発明の名称
フ ェライ トおよび電源用フヱライ ト コァ 技術分野
本発明は、 特に 1 0〜 5 0 0 kHz 程度の高周波にて動作す る電源 ト ラ ンス用等の電源用 コ ア用のマ ンガン一亜鉛系フ エ ライ ト と、 このフェライ トから構成される電源用コアとに関す る。 背景技術
マンガン -亜鉛系フ ライ ト は、 各種通信機器、 民生用機器 などのコイルや ト ラ ンスに用いるコアの材料と して多用されて いるが、 最近、 周波数の高い電源が使用される傾向があり 、 そ の目的にあう コア材料と しての性能が要求されるよ うになって きている。 特にスイ ッ チング電源においては、 1 0〜 5 0 0 kHz の高周波域にて数 1 0 W の電力で使用する ト ラ ンスが必要 であり 、 この他、 モーター ドライブ用、 信号増幅用、 発振用等 の各種 ト ラ ンス用コアも必要と されている。 ト ランス用コアに は、 これまでマンガン一亜鉛系の低損失フヱライ トが用いられ てきたが、 1 0〜 5 0 0 kHz 程度の高周波領域ではコアロスと
称される電力損失が大き く 、 コアロスの面での改善が要求され ており 、 このための提案が種々なされている。
このよ う な提案と しては、 S i や C aの酸化物を添加し、 さ らに S n、 T i 、 Z r等の 4価の金属酸化物や、 V、 N b、 T a等の 5価の金属酸化物を添加するものがある。 4価ないし 5価の金属酸化物の単独添加ないし複合添加例と しては、 特開 昭 4 6 - 2 8 8 0号公報、 同 4 8— 7 2 6 9 6号公報、 同 6 0 一 2 6 2 4 0 4号公報、 同 6 1 - 1 0 8 1 0 9号公報、 同 6 1 一 2 5 2 6 0 9号公報、 同 6 1 — 2 5 2 6 1 1号公報、 同 6 3 一 2 2 2 0 1 8号公報、 特開平 1 一 1 2 9 4 0 3号公報、 同 2 一 5 4 9 0 2号公報、 同 3 - 1 4 1 6 1 1号公報、 同 3 - 1 6 3 8 0 4号公報、 同 3 — 2 2 3 1 1 9号公報、 同 3— 2 4 84 0 3号公報、 同 3 - 2 4 8 4 0 4号公報、 同 3 - 2 4 84 0 5 号公報、 同 3 - 2 5 4 1 0 3号公報、 同 4一 5 5 3 6 2号公 報、 同 4一 1 5 0 0 0 7号公報、 同 5 - 1 9 84 1 6号公報、 同 5 — 2 6 7 0 4 0号公報等がある。
しかし、 これらは、 高周波、 例えば 1 0 0 kHz 、 1 0 0 °Cに おいて、 最大磁束密度 B mと残留磁束密度 B r との差 Δ Β = B m - B rを大き く し、 かつ、 高周波での電力損失を小さ く し、 かつ、 a— B特性における実効透磁率 ( // a ) を高く す るこ とはできない。 このため、 これら従来のフヱライ トを用い た場合には、 ト ラ ンスと した場合の小型化が困難であった。
発明の開示
本発明の目的は、 電力損失が小さ く 、 しかも、 高周波での A B = B m— B rが大きく 、 μ &— B特性の良好なフヱライ ト と、 このフェライ トを用いた電源用コアとを提供するこ とであ る。
このよ うな目的は、 下記 ( 1 ) 〜 ( 11) の本発明によって達 成される。
( 1 ) 主成分と して、 酸化マンガン と、 酸化亜鉛と、 酸化鉄 とを含み、
副成分と して、 酸化ケィ素と、 酸化カルシウムと、 酸化スズ および Zまたは酸化チタ ンと、 酸化ニオブと、 酸化ジルコユウ ムとを含み、
主成分中における酸化マンガンの含有率が M n 0換算で 3 0 〜 4 1 モル%、 酸化亜鉛の含有率が Z n O換算で 6〜 1 6モル %であり 、
主成分に対する副成分の重量比率が、
酸化ケィ素が S i 02 換算で 5 0〜 2 5 0 ppm であり 、 酸化カルシウムが C a 0換算で 2 0 0〜 1 5 0 0 ppm であ り 、
酸化スズが S n 02 換算で 4 0 0 0 ppm 以下、 かつ酸化チタ ンが T i 0 2 換算で 3 0 0 0 ppm 以下であって、 酸化スズと酸
ィ匕チタ ンとの合計が 3 0 0 ppm 以上であり 、
酸化ニオブが N b 2 0 5 換算で 5 0 0 ppm 以下 ( 0 を含ま ず) であり 、
酸化ジルコニウムが Z r 02 換算で 4 0 0 ppm 以下 ( 0を含 まず) であるこ とを特徴とするフヱライ ト。
( 2 ) 主成分に対する酸化ニオブの含有率が N b 2 05 換算 で 5 0 ppm 以上であり 、 主成分に対する酸化ジルコニウムの含 有率が Z r 0 2 換算で 5 0 ppm 以上である上記 ( 1 ) のフェラ ィ 卜。
( 3 ) 主成分に対する酸化ニオブの含有率が N b 2 0 B 換算 で 1 0 0〜 4 0 0 ppm である上記 ( 1 ) または ( 2 ) のフェラ ィ 卜。
( 4 ) 主成分に対する Pの重量比が 0 ~ 3 0 ppm である上記 ( 1 ) 〜 ( 3 ) のいずれかのフヱライ ト。
( 5 ) 主成分に対する Bの重量比が 0〜 5 0 ppm である上記 ( 1 ) 〜 ( 4 ) のいずれかのフヱライ ト。
( 6 ) 1 0 0 kHz 、 2 0 0 mTの交流磁界を印加した と き、 温度 1 0 0 'Cにおける電力損失が 3 0 0 kW/m3 以下である上記 ( 1 ) 〜 ( 5 ) のいずれかのフヱライ ト。
( 7 ) 1 0 0 kHz 、 2 0 0 mTの交流磁界を印加したとき、 温 度 1 0 0 'Cにおける渦電流損失が 2 0 0 kW/m3 以下である上記 ( 6 ) のフェライ ト。
( 8 ) 1 0 0 kHz の交流磁界を印加したときの温度 1 0 0 *C における ヒステリ シスカーブにおいて、 Δ B = B m— B r (た だし、 B mおよび B rは、 それぞれ最大磁束密度および残留磁 束密度) が 2 2 0 mT以上である上記 ( 1 ) 〜 ( 7 ) のいずれか のフェライ ト。
( 9 ) 1 0 0 kHz の交流磁界を印加したときの温度 1 0 0 eC における ヒステリ シスカーブにおいて、 磁化 B == 2 0 0 mTでの 実効透磁率 aが 5 0 0 0以上、 磁化 B = 3 0 O mTでの実効透 磁率 μ &が 4 5 0 0以上である上記 ( 1 ) 〜 ( 8 ) のいずれか のフェライ ト。
(10) 温度 2 5 において直流磁界下で測定された残留磁束 密度 B rが 1 4 0 mT以下であるか、 Δ B = B m— B r (ただ し、 B mおよび B rは、 それぞれ温度 2 5 において直流磁界 下で測定された最大磁束密度および残留磁束密度) が 3 8 O mT 以上である上記 ( 1 ) 〜 ( 9 ) のいずれかのフヱライ ト。
(11) 上記 ( 1 ) 〜 (10) のいずれかのフェライ 卜から構成 されているこ とを特徴とする電源用フヱライ ト コア。 発明の作用および効果
本発明のマンガン—亜鉛系フヱライ トは、 酸化ケィ素と、 酸 化カルシウムと、 酸化スズおよびノまたは酸化チタンと、 酸化 ニオブと、 酸化ジルコニウムとを、 それぞれ所定量含有するこ
とによ り 、 比較的高周波領域 (例えば 1 0〜 5 0 0 kHz ) にお いて、 電力損失が極めて小さ く 、 Δ Βが大き く なる。 このた め、 O A機器用等の数 W 〜数 1 0 W の出力の 卜ラ ンスのコア等 と して有用である。 また、 良好な a — B特性を示し、 高い i^ aを示すので電源用 ト ラ ンスを小型化できる。 そして、 この よ う な特徴は広い温度範囲において実現し、 実際の使用温度 8 0〜 1 1 0 eC程度で十分低い電力損失である。
上記した各公報には、 本発明で用いる副成分化合物が開示さ れているものもあるが、 本発明範囲内の具体的組み合わせを試 みている例はない。
例えば、 特開平 5 - 1 9 8 4 1 6号公報には、 F e 2 03 、 M n O、 Z n Oからなる基本成分中に、 副成分と して、 S i C および C a 0に加えて、 酸化ニオブ、 酸化チタ ン、 酸化アンチ モン、 酸化タ ンタル、 酸化バナジウム、 酸化ジルコニウム、 酸 化スズ、 酸化アルミニウム、 酸化コバル ト 、 酸化銅、 酸化ハフ 二ゥム、 酸化シ リ コ ンのう ちの 1 種以上と を含有する M n — Z n系フ ユライ トが開示されている。 しかし、 同公報には、 酸 化ケィ素と、 酸化カルシウムと、 酸化スズおよびノまたは酸化 チタ ンと、 酸化ニオブと、 酸化ジルコニウムとの添加が必須で ある旨の記載はなく 、 同公報の実施例でも、 これらを複合添加 した例はない。 同公報の実施例では副成分添加によ り損失の低 減はみられるが、 高周波および直流における B m、 B r、 Δ Β
は記載されておらず、 実効透磁率 ( a ) も記載されていな い o
特開平 5 - 2 6 7 0 4 0号公報には、 F e 2 03 、 M n O、 Z n Oからなる基本成分中に、 副成分と して、 S i 3 N 4 およ び C a O と、 さ らに、 酸化ニオブ、 酸化チタン、 酸化アンチモ ン、 酸化タ ンタル、 酸化ジルコニウム、 酸化スズ、 酸化コバル ト 、 酸化シ リ コ ンの う ちの 1 種以上と を含有する M n— Z n フ ェライ トが開示されている。 しかし、 同公報には、 酸化ケィ 素と、 酸化カルシウムと、 酸化スズおよびノまたは酸化チタ ン と、 酸化ニオブと、 酸化ジルコニウムとの添加が必須である旨 の記載はなく 、 同公報の実施例でも、 これらを複合添加した例 はない。 同公報の実施例では副成分添加によ り損失の低減はみ られるが、 高周波および直流における B m、 B r、 Δ Bは記載 されておらず、 実効透磁率 ( t a ) も記載されていない。 図面の簡単な説明
第 1 図は、 結晶構造を示す図面代用写真であって、 フェライ ト コア断面の光学顕微鏡写真であり 、 第 2図は、 結晶構造を示 す図面代用写真であって、 フユライ ト コア断面の光学顕微鏡写 真である。
具体的構成
以下、 本発明の具体的構成について詳細に説明する。 本発明 のマンガン一亜鉛系フ ヱライ トは、 主成分と して、 酸化マンガ ン、 酸化亜鉛および酸化鉄を含み、 副成分と して、 酸化ケィ素 と 、 酸化カルシウム と 、 酸化スズおよび または酸化チタ ン と、 酸化ニオブと、 酸化ジルコニウムとを含む。
主成分中における各酸化物の含有率は、 酸化マンガンが M n 0換算で 3 0〜4 1 モル%、 好ま し く は 3 3〜4 1 モル%、 酸 化亜鉛の含有率が Z n O換算で 6〜 1 6モル%、 好ま し く は 6 〜 1 2モル%であり 、 残部が酸化鉄である。 この範囲外では、 電力損失が増大し、 その極小温度が 6 0 以下となると と もに キュ リー点が 2 0 0で以下となったり 、 あるいは高周波領域で の B mや初透磁率 ( At i ) が低下したり 、 B rが増大したりす る。
主成分に対する副成分の重量比率は、 以下の と お り と す る。
酸化ケィ素は、 S i 02 換算で 5 0〜 2 5 0 ppm 、 好ま し く は 7 0〜 2 0 0 ppm と し、 酸化カ ルシウ ムは、 C a 0換算で 2 0 0〜 1 5 0 0 ppm 、 好ま し く は 3 0 0〜 1 0 0 0 ppm とす る。 酸化ケィ素および酸化カルシウムをこのような範 Hで添加 するこ とによ り 、 B rが減少し、 Δ Β ( = B m— B r ) が増大 し、 電力損失が減少し、 また Q値が向上し、 μ a— B特性が向
上する。
酸化スズは、 S n 02 換算で 4 0 0 0 ppm 以下と し、 酸化チ タ ンは、 T i 02 換算で 3 0 0 0 ppm 以下とする。 そして、 酸 化スズと酸化チタ ンとの合計は、 3 0 0 ppm 以上、 好ま し く は 5 0 0 ppm 以上とする。 5 0 0〜 4 0 0 0 ppm の酸化スズを含 有し、 酸化スズ単独であるか、 あるいは酸化スズの 9 0重量% 以下を酸化チタ ンで置換したものが好ま しい。 酸化スズおよび 酸化チタ ンの 1種以上をこのよ うな範囲で添加するこ と よ り、 B rが減少し、 Δ Bが増大し、 電力損失が減少し、 さらに a 一 B特性が向上し、 コアの小型化が可能となる。
酸化ニオブは、 N b 2 05 換算で 5 0 0 ppm 以下 ( 0を含ま ず) 、 好ま し く は 4 0 0 ppm 以下であ り 、 また、 好ま し く は 5 0 ppm 以上、 よ り好ま し く は 1 0 0 ppm 以上である。 酸化ジ ルコニゥムは、 Z r 02 換算で 4 0 0 ppm 以下 ( 0を含まず) であり 、 好ま し く は 5 0 ppm 以上である。 酸化ニオブと酸化ジ ルコニゥムとをこのよ うな範囲で添加するこ とによ り 、 電力損 失が臨界的に減少し、 また、 B rが減少し、 Δ Bが増大し、 a— B特性が向上する。
本発明のフ ニライ トには、 これら副成分の他に、 微量添加元 素や、 原料中の不純物元素が含まれ得る。 このよ うな元素と し ては、 P、 B、 A l 、 C o、 C u、 L i 、 N a、 K、 I n、 B i等が挙げられる。 電力損失や磁気特性への影響を抑えるた
めには、 これら各元素の主成分に対する重量比率が 2 0 O ppm 以下 ( 0〜 2 0 0 ppm ) であるこ とが好ま しいが、 特に Pおよ び Bは電力損失や磁気特性への影響が大きいため、 主成分に対 する Pの重量比率は、 好ま し く は 0〜 3 0 ppm 、 よ り好ま し く は 0〜 2 0 ppm 、 さらに好ま し く は 0〜 : I 0 ppm と し、 また、 主成分に対する Bの重量比率は、 好ま し く は 0〜 5 O ppm 、 よ り好ま し く は 0 ~ 3 0 ppm とする。 これによ り、 B r、 Δ Β、 μ &や損失を良好なものとするこ とができる。
本発明のフ ユ ライ 卜の平均結晶粒径は、 好ま し く は 1 0〜 3 0 μ m , よ り好ま し く は 1 0〜 2 0 μ πι である。 平均結晶粒 径が小さすぎる と ヒステリ シス損失が大き く なり 、 平均結晶粒 径が大きすぎる と渦電流損失が大き く なる。
本発明のフェライ トでは、 1 0 0 kHz の正弦波交流磁界 (最 大値 2 0 0 mT) を印加したと き、 1 0 0 'Cにおける電力損失を 3 0 0 kW/m3 以下にするこ とができ、 2 6 0 kW/m3 以下にする こ と もできる。 そして、 電力損失のうち、 渦電流損失は 2 0 0 k /m3 以下にするこ とができ、 1 7 0 kW/m3 以下にするこ と も できる。 ヒステ リ シス損失は周波数に比例し、 渦電流損失は周 波数の 2乗に比例するが、 本発明のフ ヱ ライ ト では、 1 0 0 kHz における渦電流損失が比較的小さいので、 1 0 0 kHz を超 える高周波領域においても電力損失が著増するこ とはない。
また、 本発明のフヱライ トでは、 1 0 0 kHz の正弦波交流磁
界を印加した と きの温度 1 0 0 ecにおける ヒステ リ シスカー ブにおいて、 B m と して 3 5 0 mT以上が得られ、 B r と して 1 7 0 mT以下、 特に 1 5 0 mT以下が得られ、 Δ Β = Β πι— B r と して、 通常、 2 2 O mT以上が得られ、 2 5 O mT以上、 さらに は 2 8 0 mT以上を得る こ と もでき る。 また、 保磁力 H e と し て、 通常 2 0 A/m 以下が得られ、 1 4 A/m 以下、 さらには 1 3 A/m 以下を得るこ と もできる。
また、 本発明のフェライ トでは、 2 5 eCにおいて直流磁界下 で測定した場合には、 B r と して 1 4 0 mT以下が得られるか、 あるいは Δ Β と して 3 8 0 mT以上が得られ、 また、 B mと して 5 2 0 mT以上が得られ、 H c と して 1 2 . 5 A/m 以下、 特に 1 2 . 0 A/m 以下が得られる。
B rが小さいか、 Δ Bが大きければ、 不飽和領域が広く なる ので、 大電力での使用が可能とな り 、 また、 コアと して実装し たと きのマイナーループ駆動においても有利である。
また、 本発明のフヱライ トでは、 1 0 0 kHz の正弦波交流磁 界を印加した と きの温度 1 0 0 eCにおける ヒステ リ シスカー ブにおいて、 磁化 B = 2 0 0 mTでの実効透磁率 μ a と して、 5 0 0 0以上、 特に 5 2 0 0以上、 一般に 7 0 0 0程度以下が 得られ、 また、 磁化 B = 3 0 0 mTでの μ & と して、 4 5 0 0以 上、 特に 4 8 0 0以上、 特に 5 5 0 0以上、 一般に 7 0 0 0程 度以下が得られ、 従来と比較して格段と小型化したコアを得る
こ とができる。
このようなフ ヱライ トから構成される電源トランス用のコア は、 1 0〜 5 0 0 kHz の周波数で、 8 0〜 1 1 0 eC程度の温度 にて動作するものであって、 その電力は、 通常、 1〜 1 0 0 W 程度と される。
本発明のフヱライ トおよび電源用フヱライ ト コアは、 通常、 以下に示す方法で製造する。
主成分の原料と しては、 酸化物または加熱によ り酸化物とな る化合物の粉末を用いる。 具体的には、 酸化鉄粉末、 酸化マン ガン粉末、 炭酸マンガン粉末、 酸化亜鉛粉末等を用いるこ とが でき る。 これらを混合して仮焼し、 仮焼物を平均粒径 1 〜 3 μ m 程度ま で粉砕する。 仮焼は、 空気中において 8 0 0〜 1 0 0 0 °Cの範囲内の所定の温度で行なえばよい。
副成分の原料と しては、 通常、 酸化物または加熱によ り酸化 物となる化合物の粉末を用いるが、 場合によっては副成分の構 成元素である金属単体の粉末を用いるこ と もできる。
主成分と副成分との混合比率は、 最終組成に対応したものと する。 主成分の原料と副成分の原料との混合は、 上記した仮焼 の前に行なってもよ く 、 仮焼後に行なってもよい。
上述した主成分原料に限らず、 2種以上の金属を含む複合酸 化物の粉末を主成分原料に用いてもよい。 このよ うな複合酸化 物の粉末は、 通常、 塩化物を酸化焙焼するこ と によ り製造す
る。 例えば、 塩化鉄、 塩化マンガン、 塩化亜鉛を含有する水溶 液を酸化焙焼するこ とによ り 、 F e、 M nおよび Z nを含む複 合酸化物の粉末が得られる。 通常、 この複合酸化物はスピネル 相を含む。 ただし、 塩化亜鉛は蒸気圧が高く 、 組成ずれが生じ やすい。 そこで、 塩化鉄および塩化マンガンを含む水溶液を用 いて F eおよび M nを含む複合酸化物の粉末を製造し、 この粉 末と酸化亜鉛粉末または亜鉛フユライ ト粉末とを混合して、 主 成分原料と してもよい。 酸化焙焼法で製造された複合酸化物粉 末を主成分原料と して用いる場合には、 上述した仮焼を行なう 必要はない。
次に、 主成分原料と副成分原料との混合物に適当なバイ ン ダ、 例えばポ リ ビュルアルコールを少量加えて、 これをスプ レー ドライ ヤー等にて 8 0〜 2 0 0 μ m 程度の径の顆粒とす る。 そして、 成形し、 次いで、 この成形品を通常、 酸素濃度を 制御した雰囲気下において、 1 2 5 0〜 1 4 0 0 eCの範囲内の 所定温度で焼成し、 フ ライ ト とする。 実施例
以下、 本発明の具体的実施例を示し、 本発明をさ らに詳細に 説明する。
表 1 に示す組成を有するフ ヱ ライ 卜 コ アサ ンプルを作製し た。 まず、 主成分の原料の仮焼物と副成分の原料とを混合し
た。 主成分の原料には、 F e 2 03 、 M n 3 04 および Z n O を用い、 これらを混合した後に 9 0 0 eCで 3時間仮焼した。 副成分の原料には、 S i 02 、 C a C 03 、 S n 02 、 T i 02 、 Ν b 2 06 および Z r 02 を用いた。 主成分の原料の仮 焼物に副成分の原料を添加して、 粉碎しながら混合した。 粉砕 は、 仮焼物の平均粒径が約 2 m となるまで行なった。 得られ た混合物にバイ ンダを加え、 スプレー ドライヤーにて平均粒径
1 5 0 u rn に顆粒化した後、 成形し、 酸素分圧を制御した雰囲 気中で 1 3 0 0 eCにて 5時間焼結して、 外径 3 1 mm、 内径 1 9 mm、 高さ 8 mmの ト ロイダル状のサンプルを得た。 サンプル中の 成分元素の比率を蛍光 X線分析によ り測定し、 原料組成と比較 したと ころ、 成分元素の比率は同等であった。 なお、 表 1 に示 す Pの含有率は、 吸光光度法によ り測定した。 また、 I C Pに よ りサンプル中の Bの含有率を測定したと ころ、 すべてのサン ブルで Bの含有率は 3 0 ppm 以下であった。 なお、 Pおよび B は、 酸化鉄等の原料酸化物に由来する と考えられる。
各サンプルについて、 1 0 0 kHz 、 2 0 0 mT (最大値) の 正弦波交流磁界を印加し、 それぞれ 1 0 0 eCにおける ヒステ リ シス損失 ( P h v ) 、 渦電流損失 ( P e v ) 、 コ ア損失
( P c V ) を測定した。 結果を表 2に示す。 と ころで、 残留損 失を P r v とする と、 一般に
式 I P c v = P h v + P e v + P r v
であり 、 駆動周波数を f とする と、
P h V = a X f
P e v = /3 x f 2
P r v = r
( a、 3、 丫は定数である)
である。 したがって、
式 II P c v = a X f + 3 X " +丫
となり 、 この式の両辺を : f で除する と、
式 III P c vZ f = 3 x f + a + TZ f
となる。 こ こで、 丫が十分に小さければ、 式 III は の一次式 に近似でき る。 各サ ンプルに用いたフ ェ ラ イ ト は、 2 5〜 5 0 0 kHz の周波数帯域において丫が十分に小さいため、 表 2 では P c v = P h v + P e vと した。
各サンプルについて、 1 0 0 kHz の正弦波交流磁界を印加し たと きの温度 1 0 0 *Cでのヒステ リ シスカーブにおける B r、 H c、 Δ Β = Β πι— B rを求めた。 また、 この ヒステ リ シス カーブにおける磁化 B = 2 0 0 mTでの μ aお よ び磁化 B = 3 0 0 mTでの μ aを求めた。 また、 直流磁界を印加して、 それ ぞれ 2 5。Cにおける B r、 H c、 Δ Β = Β ιη— B rを求めた。 これらの結果を表 2に示す。
サンプル 分 P No. Fe20s nO ZnO Si02 CaO Sn02 Ti02 b30E Zr02 (ppm)
1 (膽 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0**
2 (膽 53.5 36.5 10.0 4 U 2000 300
3隱) - 53.5 36.5 10.0 ion 2000 600**
7(比較) 53.5 36.5 10.0 130 450 2000
7 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 150
8 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 300一
9 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 20* 5
10 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 70 5 11 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 150 5 12 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 300 5 13 53.5 36.5 10.0 丄 2000 0 450* 5
14 (腸 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 一一 0 600** 5
15 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 "l50 5 1- 22221 22211
o o o o o o o o o一 5- oo o ooooooo o o o 一 #♦ #
23 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 一一 0 300 _ 350一一 5 _
24纖) _ 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 ζϋθ** 5
25_(]±½) 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 一一 0 100 _ 500** 5
2 誦 · 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 一 0 200 _ 500** 5
27賺) 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 300 一 500** 5
28 53.5 36.5 10.0 130 450 0 1700 "300 200 5
29 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 "300 一 200 15
30 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 300 200 25
31 53.5 36.5 10.0 130 450 2000 0 _ 300 _ 200― 35*_
32 (比較) 53.5 35.0 11.5 130 450 0** 0** 300 200 5
**)本発明範囲をはずれる値 *)好ましい範囲をはずれる値
表 2
100kHz. 100°C β a サンブル 電力損失 ( 3) Br ΔΒ He Br △B 100kHz, 100°C
No. Pcv Phv Pev (mT) (mT) (Vm) (mT) (mT) 200mT 300mT
1隱) 332** 121 211** 182** 222* 14.6* 161** 366** 12.9** 6250 5670
2 (誦 278* 108 170 165* 248* 13.8 145** 395 12. 2* 5330 4940
3 (麵 _ 326** 133 194* 171** 246* 15.3* 128 417― 12. 1* 5120* 4760* 4 270* _103 167 160* 243* 13. 6 140 390一 _ 12.0 _ 5340一 4990
5 ― 245_ 87 158 " 120 307 _ 12.9 125 421一 11.8 _ 5340 5050 一「(腿) 320** 116 204»"« 159* 257 14. 5* 158** 372** 12.4* 6250 5810 7 259 98 161 121 302 12.9 151** 390 12.3* 5800 5540
8 240 ― 84 156_ 111_J16」2. 7 120」26 11. 7 _ 5350一 5100
9 309** 109 200* 147 268 14.3* 149** 380 12.2* 6100 5650
10 273* 94 179* 130 285 13.3 147** 386 12. 3* 5900 5550 11 249 87 162 115 305 12.8 134 404 12. 5* 5700 5430 12 230 73 157 100 324 12. 1 123 419 12. 0 5210 4960 13 256 76 180* 103 325 12.9 120 424 11.9 4950** 4660*
1 比較) 360** 170 190* 110 310 15. 0* 110 430― 12. 0一 4800** 4500*
15 258 85 174* 123 296 12.8 134 400 11.8 5780 5390
16 234 69 165 112 311 12.2 117 422 11. 5 5280 4980
17 263* _ 88 175* 108 319 _ 13.4 113 _431 _ 11. 5一 4940** 4630*
327** 115 211** 155* 258 15. 1* 141** 386 11.9 6150 5650
19 242 77 165 122 298 13.4 130 406 11. 7 5680 5360 20 230 72 158 100 309 12. 7 103 431 10. 5 5060* 4810
21 281* _105 176* 103 321一 13.9 114 429 _ 12. 3* _ 4750** 4470**
22 237 77 160 112 309 12.7 129 407 12.0 5560 5270
23 240一一 76 163 102 32 12.8 114 J26 _ 11.6一 5050* 4770*
24 (翻 416** 164 252** 169* 240* 16.9* 125 398 _ 12.3* _ 5960一 5220
25 (比較): 405** 170 235** 108 306 _ 13. 7 115 409 _ 12.6** 5110* 4910
26 (tm 435** 195 240** 114 303 _ 14. 7* 110 419一一 13. 0** 4520** 4350**
27 (腿) _ 425** 225 200* " 157* 272一一 19.2* 125 419 _ 13. 7** 4180** 4020**
28 241一一 76 164 110 309 _ 12.9 109 427一 _ 11. 1 ― 5160* 4820
29 266* 112 154 110 313 13. 6 135 408 13. 5** 4990** 4770*
30 281* 120 161 111 310 14. 0 140 408 14. 2** 4960** 4730*
31 295* 131 164一 116一 303」4. 3* 141** 399 _ 14. 3** 4940** 4710*
32賺) 288* 103 185* 180** 205** 13. 3 160 356·»* 13. 2** 5730 5460
**)好ましい範囲をはずれる値 *)より好ましい範囲をはずれる値
Pcv:コ7¾^ (100kHz.200mT. 100 °C)
Phv:ヒ シ对 (100kHz, 200mT. 100 °C)
Pev:渦 ¾δ ^鉄 (100kHz, 200mT. 100 °C)
AB=Bm-Br
上記各サ ンプルの平均結晶粒径は、 1 0〜 1 5 μ m であつ た。 第 1 図にサンプル No . 1 断面の光学顕微鏡写真を、 第 2図 にサンプル No . 1 2断面の光学顕微鏡写真を示す。 第 1 図と第 2図とでは、 結晶粒形状がほぼ等し く 、 平均結晶粒径もほぼ等 しい。
表 2 に示されるよ うに、 本発明サンプルはヒステリ シス損失 および渦電流損失が共に小さ く 、 このためコア損失が小さい。 ヒステ リ シス損失は一般に結晶粒径が大き く なる と小さ く な り 、 渦電流損失は結晶粒径が小さ く なる と小さ く なるが、 第 1 図 と第 2 図との比較から、 本発明サンプルにおける損失低減 は、 結晶粒径に依存したものではないこ とがわかる。
ま た、 本発明サ ンプルは、 H cが小さ く 、 Δ Bが大きいの で、 大電力での使用が可能となると と もに、 良好な / a — B特 性を示し、 この結果、 電源用 ト ラ ンスの小型化と、 これを用い た電源の効率化とが達成でき る こ とがわかる。 よ り具体的に は、 コアサイズをきわめて小さ く できる。 また効率が向上する 結果、 小さな入力パワーですみ、 卷線数を減少させるこ とがで き る。 ま た、 入力パワーやコ ア形状に依存して発熱量が変化 し、 その発熱量に応じて使用パワーの限界が生じるが、 本発明 のコアは電力損失が小さいので、 入力パワーをよ り一層大き く するこ とができる。
なお、 上記サンプル No . 1 2 において、 主成分に対する酸化
ケィ素の重量比率を 5 0 ppm 未満と したと きにはコア損失 (特 に渦電流損失) が増大し、 2 5 0 ppm 超と したと きにもコア損 失が増大した。 また、 主成分に対する酸化カルシウムの重量比 率を 2 0 0 ppm 未満と した と き には コ ア損失 (特に渦電流損 失) が増大し、 また、 B rが増大して Δ Βが減少し、 1 5 0 0 ppm 超と したと きにも コア損失が増大した。 また、 主成分に対 する酸化スズの重量比率を 4 0 0 0 ppm 超と したと き、 およ び、 酸化スズを添加せずに 3 0 0 0 ppm 超の酸化チタ ンを添加 したと きには、 コア損失が極小となる温度が 6 0 以下となつ てしま った。
また、 サンプル No. 1 2 において、 酸化スズ単独に替えて酸 化スズと酸化チタ ンとを併用した場合でも、 サンプル No. 1 2 と同等の特性を得るこ とが可能であった。