明細書 トァクチビン Aのリ フォールディ ング方法 技術分野
本発明は、 変性ヒ トァクチビン Aを生物活性を有する天然型ヒ トァク チビン Aにリフォールデイ ングする方法に関するものである。 天然型ヒ トァクチビン Aは、 医薬品等への用途が期待できる有用蛋白質である。 背蚤技術
ヒ 卜ァクチビン Aはヒ ト白血病細胞株 THP-1 (IF0 50147)の培養上清よ リ単離精製された、 アミノ酸 1 1 6個のポリべプチ ド鎖 2本からなるホ モダイマー蛋白質である。 分子量は、 約 25, 000タ'ルトンであり、 ポリぺプ チ ド鎖毎に 9個の Cysが存在 (タ'イマ-で合計 18個)、 合計 9個の分子内、 分 子間ジスルフィ ド結合を形成している。 (Biochemical and Biophysical Research Communications, 142, 1095-1103, 1987)
ヒ トァクチビン Aは、 ヒ 卜骨髄性白血病細胞 THP-1 (IFO 50147) を木ル ホ" -ル Iステルを用いて刺激後に得た培養上清 (細胞工学、 別冊 4、 P48〜58、 1988年) や、 ヒ トァクチビン Aの c-DNAを有する発現ベクターを導入し て得たヒ トァクチビン A高生産組み換え C H O細胞由来培養上清
(Biochemical and Biophysical Research Communications, 151, 230-235, 1988) を原料にして、 多段階のク tlマトク'ラフィ-ゃ沈殿、 漉縮操作を 繰り返すことによ り精製、 製造される。 しかし、 これらの動物細胞由来 培養上清を精製原料と して精製する製造法を工業的製造法と して用いる には問題点が多い。
すなわち、 (1)生産宿主である動物細胞が分泌したり、 培地成分と し
て予め添加された牛胎児血清等に由来する不純物を高度に除去する必要 があるため、 ヒ トァクチビン Aの精製回収率は極めて低値に留まる。
(2 )組み換え微生物を生産宿主 とする場合に比較して、 生産性は極めて 低く 、 精製原料を十分に供給するためには極めて高い生産能力を有する 動物細胞または培養装置が必要となる。 (3 )生産 宿主を培養するために は培地に高濃度の牛胎児血清を添加したり、 成長因子等を含有する無血 清培地を用いる必要がある。 しかし、 これらは極めて高価であり、 製造 に欠かせない一定品質の安定入手にも問題がある。 以上に記したように ヒ トァクチビン Aを動物細胞を用いて生産する場合には、 低生産性等の 問題点があり、 工業的製造法を確立する際にはこれらを解決する必要が fc 。
これらの問題点を解決するために、 従来より種々の検討がなされてい る。 組み換え大腸菌等の微生物を生産宿主に用いると、 その蛋白莨生産 性は一般に動物細胞のそれの 1 00倍以上向上するため、 生産宿主の微生 物への変更は生産性を向上 するために有効な方法といえる。 しかし、 大腸菌によるヒ トァクチビン Aの生産では、 得られるヒ トァクチビン A が天然型とは異なる分子内及び/又は分子間のジスルフィ ド結合をもつ 変性ヒ トァクチビン Aとなって しまうことが多い。 (欧州特許出願公開 (EP0222491 )、 日本特許出願公開(特開昭 63- 1 1 9679 ) )
ここでいう変性ヒ トァクチビン Aとは、 ヒ 卜ァクチビン Aのポリぺプ チ ト' 鎖は有するが、 分子内及び Z又は分子間ジスルフイ ド結合が解裂 して高次構造を失ったモノマー構造のもの、 あるいはジスルフィ ド結合 が転移して天然型とは異なる構造となったもの、 あるいは新たな分子間 ジスルフィ ド結合により多量体化した分子等、 高次構造と共に生物活性 を失ったものを意味する。
このような変性ヒ トァクチビン Aは生物活性を持たないため、 生物活
性を有する天然型の蛋白質と同じ高次構造へ再構成 (リ フォールディ ン グ) する必要がある。 しかしながら、 一般的に、 蛋白質によっては、 容 易にリ フォールデイ ングできないもの、 も しく はまったく リ フォール デイ ングできないものもあり、 リ フォールデイ ング条件を決定すること は、 非常に困難である。 特に、 多量体蛋白質やジスルフィ ド結合を多く 有する蛋白質については、 検討しても適正なリ フォールデイ ング条件を 設定できるとは限らず、 リフォールデイ ング条件の決定は容易ではない, 天然型ヒ トァクチビン Aは、 合計 9個の分子間、 分子内ジスルフィ ド 結合を有するため、 変性ヒ トァクチビン Aをリ フォールデイ ングするた めの条件設定は極めて困難であり、 ヒ トァクチビン Aのリフォールディ ング法に関する従来技術はない。 一方、 に J . Ma sonらは動物細胞を用 いたァクチビン Aの分泌発現効率と発現ベクターの構造との関係を検討 することによ り、 ァクチビン Aのリフォールデイ ングと分泌にはァクチ ビ ン Aのアミノ酸列に加えてプロ配列領域が必須であり、 ヒ トァクチ ビン Aのァミノ酸配列だけではリ フォールディ ングも分泌もされないこ とを示した (Sc i ence , 247 , 1 328- 1 330 , 1 990 ) 。 この報告は微生物を 生産宿主と して発現された変性ヒ トァクチビン Aのリフォールデイ ング が極めて困難であることを示唆している。
本発明の課題はヒ トァクチビン Aの工業的製造を構築するために、 微 生物により生産された変性ヒ トァクチビン Aを生物活性を有する天然型 ヒ トァクチビン Aにリフォールデイ ングする方法を提供することにある, 発明の開示
本発明者は、 上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、 下記 工程 ( a ) 、 ( b ) を含む変性ヒ トァクチビン Aから生物活性を有する 天然型ヒ トァクチビン Aへのリ フォールデイ ング方法を開発した。
( a ) チオール基がすべてフリーである、 可溶化された変性ヒ 卜ァクチ ビン Aのチオール基をグルタチオン及び 又は亜硫酸ナ トリウムを用い て保護する工程。
( b ) 保護された変性ヒ トァクチビン A含有液をリフォールデイ ング バッファーで置換後、 チオール化合物を添加することにより、 ジスル フィ ド結合交換反応を行う工程。
または、
( a ) チオール基がすべてフリーである、 可溶化された変性ヒ 卜ァクチ ビン Aのチオール基をグルタチオン及び 又は亜硫酸ナ ト リ ウムを用い て保護する工程。
( b ) 保護された変性ヒ トァクチビン A含有液をチオール化合物を含有 する リフォールデイ ングバッファ一で置換することによ り、 ジスルフィ ド結合交換反応を行う工程。
詳しくは、 本発明は、
(1)チオール基がすべてフリーである変性ヒ トァクチビン A中の Cys残基 のチオール基を亜硫酸ナ ト リ ウムも しく はグルタチオンを用いて保護し.
(2)天然型ヒ トァクチビン Aを還元変性したとき、 T r i sバッファー (尿素 ; 1 . 5 M、 T r i s / H C I : 2 0 mM、 p H 8. 5 ) に比べ て、 その構造を 2 0 %以上安定に維持することができるリ フォールディ ングバッファーで置換し、
(3)チオール化合物を添加して分子内及び 又は分子間結合ジスルフィ ドを形成せしめ、 天然型ヒ トァクチビン Aを得る方法、
および、
(1)チオール基がすべてフリーである変性ヒ トァクチビン A中の Cys残基 のチオール基を亜硫酸ナ ト リ ウムも しく はグルタチオンを用いて保護し.
(2)チオール化合物を含有し、 天然型ヒ トァクチビン Aを還元変性した
とき、 T r i sバッファー (尿素 ; 1 . 5 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 ) に比べて、 その構造を 2 0 %以上安定に維持するこ とができるリ フォールディ ングバッファーで置換し、 天然型ヒ トァク チビン Aを得る方法、
に関するものであり、 本発明によ り、 効率的に変性ヒ トァクチビン Aの 生物活性を回復できる。 発明を実施するための最良の形態
本発明を以下に詳細に説明する。
本発明で用いる原料は、 ヒ トァクチビン A遗伝子を組み込んだ微生物、 例えば組み換え大腸菌を培養して得られる変性ヒ トァクチビン A培養物 である。 大腸菌を生産宿主と して用いた場合、 ヒ トァクチビン Aの殆ど は菌体中に不溶性顆粒と して蓄積されるので、 この顆粒を原料と しても よい。
常法に従って回収されたヒ トァクチビン Aの不溶性顆粒を低漉度 ( 1 ~ 1 0 mM) ( EDTA (Ethy I ened i ami netetraacet i c ac i d)水溶液に懸濁後、 蛋白質変性剤である塩酸グァニジン及び Z又は尿素を用いて可溶化する 塩酸グァニジン漉度と尿素濃度は、 一般に蛋白質を変性するに必要なそ れぞれ 4〜 7M、 6 ~ 1 0M程度でよい。 ヒ トァクチビン の¾度には特 に制限がないが、 出来るだけ高溏度にするのが以降の操作上好ましい。 また、 不必要な結合を形成しないために、 p Hは 6以下に保つことが好 ましい。 可溶化操作は、 室温で 2~4時間攪拌することで完了する。
次に、 ヒ トァクチビン Aの可溶化液に還元剤を 1 〜 1 0 0 mM、 好ま し く は 5〜 4 OmMになるよう添加し、 2 0 mMTr i s/HC Iで p H 8〜 9に調整 したのち、 2 0〜 5 0 °Cで 1 5〜 3 6 0分間の還元反応に供し、 Cys残 基であるチオール基をフ リーとする。 還元剤と しては、 還元型グルタチ
オン、 D T T (Dithiothreitol) 2—メルカプ トエタ ノール等の化合物 が使用可能であるが、 D T T力 特に好ましい。 D T Tの添加量は、 5 ~ 4 0mMが好ま しい。 尚、 微生物によって生産される変性ヒ トァクチビ ン Aのチオール基が全てフリーである場合は、 この還元反応は必要ない。 チオール基が全てフリーであるヒ トァクチビン Aの可溶化液に酸化型 グルタチオンを 0.05 0.3M好ま しく は 0.08 0.16Mになるよう添加し、 0 5 0 °Cで 2 2 4時間以上静 Sし、 チオール基を保護する。 酸化型 グルタチオンの替わりに亜硫酸ナ トリウムを用いてスルホ二ル化を行い、 チオール基を保護することもできる。 この場合は、 チオール基が全てフ リーであるヒ トァクチビン Aに亜硫酸ナ ト リウムを fi終的に 0.05 0.5M 好ま しく は 0.08 0.16Mになるよう添加し、 同時に亍 トラチオン酸ナ ト リウムを 5 20mM、 好ましく は 8~16mMになるよう添加し、 0 5 0°Cで 2 ~ 2 4時間以上静置する。 また、 酸化型グルタチオンと亜硫酸ナ ト リ ゥムを混合して用いることも可能である。
チオール基の保護状態はブチル基を化学結合したシリカゲルカラム、 例えば Vydac214TP54 (4.60 x250 Separations group) を用しゝる逆相 HPLCで確認すること力《できる (Biochemical and Biophysical Research Communicatons, 142, 1095-1103, 1987) 。 以上の操作で用いる試薬は 予め十分に脱気した溶媒に溶解して用い、 反応溶液の気相には窒素やへ リ ウム等の不活性を充填して酸素による空気酸化を抑制しておく事が望 ま しい。 また、 次の工程を効率的に行うために、 得られたチオール基が 保護されたヒ トァクチビン A溶液から、 未反応のチオール基の保護剤を 透析等によって除去しておく ことが好ましい。
上記の方法で得られたチオール基が保護されたヒ トァクチビン A溶液 を p H 7. 5 1 0. 5のリ フォールデイ ングバッファーに 換する。 本発明に使用される リ フォールデイ ングバッファ一は、 天然型ヒ トァク
チビン Aを還元変性したとき、 その構造を 2 0 %以上安定に維持するこ とができるバッファーであれば、 使用可能である。 その詳細については, 後述する。 保護されたヒ トァクチビン Aをリフォールディングバッ ファーに置換する方法と しては、 十分に脱気されたリフォールデイ ング バッファーで平衡化されたゲル濂過カラム、 例えば、 セフアデックス G-25 (フアルマシアバイオテク製) にチオール基を保護したヒ トァクチ ビン Aを供し、 蛋白質画分を回収する方法が挙げられる。 また、 チ才ー ル基を保獲したヒ トァクチビン Aを透析膜、 例えば Spectra/Por membrane, No.1 (Spectrum Medical Industries, Inc.製) に注入し、 十分に脱気されたリフォールディ ンゲバッファー、 5 0 0倍量以上に対 して 0〜 2 0 °Cで 3〜 2 4時間以上透析する方法も適用可能である。 続いて、 チオール基が保護されたヒ トァクチビン Aのジスルフィ ド結 合の形成をチオール化合物の添加により行う。 上述した方法でリ フォー ルディ ングバッファーに置換したヒ トァクチビン A含有液にチオール化 合物を 1 〜 1 0 mM、 好ましく は 2 ~ 5 mMを添加し、 0 ~ 5 0 °Cで 0. 5〜 1 4 日間静置する。 リフォールデイ ングの完了と生物活性の回復は, 前述の逆相 H P L Cと生物活性測定 (例えばフレント'白血病細胞の分化誘 導活 1ϊ測定、 Biochemical and Biophysical Research Commun i catons, 142, 1095-1103, 1987) によ り確認することができる。 チオール化合物 と しては、 システィン、 還元型グルタチオン、 D T T、 2—メルカプ ト エタノール等のチオール化合物が使用可能であるが、 システィンまたは 還元型グルタチオンが特に好ましい。 システィ ンまたは還元型グルタチ オンは、 2〜 5mMの濃度になるような添加量が好ましい。
なお、 リ フォールディ ングバッファーに置換すると同時にジスルフィ ド結合の形成を開始することもできる。 チオール基が保護されたヒ トァ クチビン Aに塩酸を添加して p Hを 2〜 4まで低下させて、 ジスルフィ
ド結合の交換反応を停止する。 これを変性剤、 例えば尿素または塩酸グ ァニジンを含む 1 〜 1 O O mMの塩酸、 5 00倍量以上に対して 0〜 2 0°Cで 3〜 2 4時間透析することによ り、 未反応のチオール基の保護剤 を除去する。 これを後述する条件を満足するリフォールディ ングバッ ファーを用いて希釈し、 0〜 50でで 0. 5〜 1 4日間静置する。 リ フォールデイ ングバッファ一には予めジスルフイ ド結合の形成を促進す るよう、 前述したチオール化合物を上記と同様の ¾度加えておく。
リ フォールデイ ングバッファ一条件は以下に示す方法で決定された。 ヒ トァクチビン Aのリフォールデイ ングを効率的に実施するにはリ フォールデイ ングに都合の良い変異体をつく るのではなく、 ヒ トァクチ ビン Aの高次構造を安定化する溶媒環境を確保すれば良いと考えられる < 高次構造の安定性は、 それと相関すると考えられる化学的安定性を測定 することにより、 推定可能である。 ここでいう ヒ トァクチビン Aの化学 的安定性とは、 本来は分子内に形成されているジスルフィ ド結合の転移 による分子間会合、 および凝集沈澱を代表とする変化が起きていないこ とを意味する。
先ず、 I mMH C I に溶解した天然型ヒ トァクチビン Aを変性剤、 界面 活性剤、 塩、 有機酸、 アミノ酸、 糖、 有機溶媒等の組み合わせからなる p H 7. 5〜 1 0. 5のバッファーに希釈する。 天然型ヒ トァクチビン Aの漉度は約 0. I m g Zm l に調整する。 ここへ天然型ヒ トァクチビ Aに対して約 5 0等量の速元剤 (例えば D T T、 2—メルカプトエタ ノールまたは逮元型グルタチオン) を添加し、 室温で約 1 2時間放置し 逆相 H P L Cで天然型ヒ トァクチビン Aの残存量を測定する。 コン ト ロールと して、 T r i sノくッファー (尿素 ; 1 . 5 M、 T r i s Z H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 ) を用いて上記の同様の反応を行い、 残存量 を比較する。 T r i sバッファー (尿素 ; 1 . 5 M、 T r i s / H C
I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 ) を用いる場合の天然型ヒ トァクチビン Aの 残存量に対して残存量が増加した分の割合を残存量の向上率と して表す , このとき、 天然型ヒ トァクチビン Aの残存量の向上率が大きいほど、 化 学的な安定性が高く、 つまリ ヒ トァクチビン Aの高次構造を安定化し、 リ フォールデイ ングを促進するバッファー条件と して好ましい。 種々の 化合物を組み合わせてバッファーを作成し、 実験的にスク リーニングし た結果、 天然型ヒ 卜ァクチビン Aを還元変性したとき、 上記の T r i s バッファー (尿素 ; 1 . 5 M、 T r i s Z H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 ) に比べて、 その構造を 2 0 o/o以上安定に維持することができるバッ ファーであれば、 リ フォールデイングバッファ一と して適切であること が判明した。 すなわち、 この条件を満たす (天然型ヒ トァクチビン Aを 還元変性したとき、 T r i sバッファー (尿素 ; 1 . 5 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 ) に比べて、 その構造を 2 0 %以上安定 に維持することができる) バッファ一であれば、 本発明で使用する リ フォールデイ ングバッファ一と して使用可能である。 具体的には、 この 条件を満たすリ フォールデイ ングバッファーと して、 下記のものを挙げ ることができる。
( I ) p H 7. 5 〜 1 0. 5で緩衝作用を有するバッファーに
( a ) 表 1 に記載した分類 Aおよび Zまたは分類 Bの試薬 ; 表の溏度の 0 . 5 〜 2倍の濃度
( b ) 尿素 ; 0. 1 〜 3 M好ましく は 0. 5〜 1 M
を添加し、 p Hを 7 . 5〜 1 0. 5好ましく は 8. 5 〜 9. 5に調整し たもの、
( I ) P H 7 . 5 - 1 0. 5で緩衝作用を有するバッファーに
( a ) 表 1 に記載した分類 Aおよび Zまたは分類 Bの試薬 ; 表 1 の溏度 の 0 . 5 〜 2倍の¾度
( b ) 尿素 ; 0. 1 〜 3 M好ましく は 0. 5〜 1 M
( c ) 表 3に記載した分類 A、 分類 Bおよび Zまたは分類 Cの試薬 ; 表 3の瀛度の 0. 5 ~ 2倍の漉度
を添加し、 p Hを 7. 5〜 1 0. 5好ましく は 8. 5〜 9. 5 に翻整し たものを挙げることができる。 p H 7. 5 - 1 0. 5で緩衝作用を有す る/くッファーと しては、 Tr isバッファー、 トリメチレンジァミンノくッ ファー、 エタノールァミンバッファ一等を挙げることができる。 また、 上記の尿素の替わりに塩酸グァニジン ; 0. 0 5〜 2 M好ま しくは 0. 1 〜 1 Mを用いることができる。 実施例
以下、 本発明を実施例にて具体的に説明する。 実施例 1
組み換え C H O細胞由来培養上清よリクロマ 卜グラフィーを繰り返し て得た天然型ヒ トァクチビン A (Biochemical and Biophysical
Research Commun i catons, 151 , 230-235, 1988) を " 1 mM HC Iを用しゝて 2 mg/ml (二調製し、 尿素漉度 Π . 5M、 および 3. 0M) 、 NaCI漉度 ( 1 . 0M、 および 0M) 、 CHAPS¾度 ( 2 %、 0. 5 %、 および 0M) を組み合 わせた 1 2種の 2 OmMTris/HGIバッファー ( p H 8. 5 ) を用いて最終 的に 0. 1 mg/mlになるよう希釈した。 ここへ DTTを最終的に 0. 2mMに なるよう添加し、 室温で 1 2時間静置して還元反応を進行し、 逆相 H P L C (Vydac214TP54、 4.60x250關、 Separations group製) を用いて残 存するヒ 卜ァクチビン A量を調べた。
このうち最も高い残存量を示したバッファ一は、 (尿素 : 1 . 5 M、 CHAPS ; 2 %. Tr is/HCI ; 2 OmM, p H 8. 5 ) からなるバッファーで
あった。 実施例 2
実施例 1 で選択されたスク リーニングされたリ フォールディ ングバッ ファーを用いてヒ トァクチビン Aのリフォールデイ ングを実施した。
ヒ トァクチビン Aをコー ドする D N Aを導入した大腸菌を合成埼地で 培養 (1ぃ し、 ト リブトファンプロモーターを酸で誘導することにより , ヒ トァクチビン Aを不溶性顆粒と して菌体内に蓄積させた (欧州特許出 願公開(ΕΡ022249Ό、 日本特許出願公開(特開昭 63-119679) )。 この顆粒 を常法に従い顆粒懸濁液( 1 mM EDTA、 p H 6以下) に調製、 尿素を最終 的に 8Mになるように添加、 室温で 3時間攪拌し、 変性可溶化 ( 2 0 ml) した。 これを 2 OmMTris/HCIで p H 8. 5に調整後、 D T Tを最終 的に 2 0 mMになるよう添加し、 更に 3 7 °Cで 3 0分間加熱した。
ヒ トァクチビン Aの分子内および分子間ジスルフィ ド結合が完全に還 元されたことを逆相 H P L Cで確認後、 酸化型グルタチオン最終的に 0. 1 Mになるよう添加し、 5 °Cで 1 5時間静 した。 ヒ トァクチビン Aと グルタチオンとの混合結合が形成されたことを逆相 H P L Cで確認後、 希釈バッファー ( 8M尿素、 2 OmMTris/HCI、 p H 8. 5 ) を用いてヒ トァクチビン A濃度を 0. 1 mg/mlに調整した。 これを透析膜
(Spectra/Por membrane, No.1 ; Spectrum Medical Industries,
In 製) に注入し、 5 0 0倍量の実施例 1 で選ばれたリ フォールディ ン グバッファー (尿素 ; 1 . 5M、 Tris/HGに 2 0mM、 CHAPS ; 2%、 p H 8. 5 ) に対して 5 °Cで 1 5時間透析した。
透析内液にシスティンを最終的に 3mMになるよう添加し、 5 °Cで 3 日 間静 Sした。 ヒ トァクチビン Aの高次構造が再構成されたことは生物活 性 (フレン ド白血病細胞の分化誘導活性) 測定で確認された。 その結果,
投入した変性ヒ トァクチビン A莨量の 2 4 %にあたる生物活性 (フレン ド白血病細胞の分化誘導活性) を確認できた。
これを 10%TFA ( トリ フル才ロ齚酸) を用いて P H 3に調整後、 逆相 H P L C (Vydac214TP54、 4.6 </> x250mm. Separations group ; ァセトニトリル港度 勾配溶出法) で電気泳動的に単一な成分まで精製した。 実施例 3
表 1 に示した試薬を Tris/HGIバッファー (尿素 ; 1 . 5M、
Tris/HCI ; 2 OmM. p H 8. 5 ) にそれぞれの濃度添加し、 これらを実 施例 1 の Tris/HCIバッファーの替わりに用いて室温で 1 2時間の還元反 応を行い、 逆相 H P L Cを用いて天然型ヒ トァクチビン Aの残存量を調 ベた。 その結果を同じ表 1 に示した。 残存量の向上率は、 何も添加しな し、 Tris/HCIバッファー (尿素 ; 1 . 51 Tris/HCI ; 2 OmM、 p H 8. 5 ) を用いて還元反応を行った時の残存量に対して増加した分の割合で 示した。 その結果、 用いた試薬の種類によって残存率の変化に大きな違 いのあることがわかった。 分類 Aまたは Bの試薬を添加するとき、 天然 型ヒ トァクチビン Aの残存率は向上し、 特に 0. 5 3 %の TDCA/Na塩を 添加するとその残存率は極めて向上することがわかった。
表 1 . 天然型ヒ トァクチビン Aの還元反応における残存率向上
略筋
CA/Na Cholic Acid Sodium Salt
CHAPS 3 - [ (3-Cholamidopropyl) dimethy 1 ammoni o] - 1 -propanesu 1 f onat e
CHAPSO 3 - [ ( 3-Cho lamidopr opy 1 ) dimethylananonio] -2-hydroxy-l-propanesulfona
CTAC Cethyltrimethylammonium chloride (Hexadecyltrimethylammonium chlo
DCA/Na Deoxycholic acid sodium Salt
NG n-Nonyl- β -D-glucopyranoside
OG n-Octhyl- β -D-glucopyranoside
SB-12 N-Dodecyl-N, N-dimethyl-3-ammonio-l-propanesulufonate
SDS Sodium dodecyl sulfate (Sodium lauryl sulfate)
Span80 Sorbitan monooleate
TCA Na raurocholic acid sodium salt
TDCA/Na raur odeoxychol ic acid sodium salt
Triton X-KWolyetylene Glycol Mono-p-isooctylphenyl Ether
Tween20 Pol yoxy ethyl ene sorbitan monolaurate
Tween80 Polyoxyethylene sorbitan monooleate
サル; 3シル N-Lauroylsarcosine sodium salt (Sarcosyl)
次に、 表 1 に示した各試薬を Tr is/HCIバッファー (尿素 ; 1 . 5M、 Tr is/HCI ; 2 OmM、 p H 8. 5 ) に添加したものをリ フォ一ルディ ング バッファ一と して、 大腸菌で生産した変性ヒ トァクチビン Aのリ フォー ルディ ングを実施例 2に従って実施した。 その結果、 表 1 の天然型ヒ ト ァクチビン Aの残存率が変化しなかった又は低下した試薬を用いた場合
( D、 E ) は、 生物活性 (フレン ド白血病の文化誘導活性) の回復が全 く認められず、 逆に残存率が高まった試薬を用いた場合 ( A、 B、 C ) は、 残存率の向上に相関した生物活性の回復、 つまリ リフォールディ ン グが進行したことが認められた (表 2 ) 。 特に、 2 0 %以上の残存量の 向上が認められた分類 A、 Bの試薬を添加したバッファ一は、 リ フォー ルディ ンゲバッファ一と して有効であった。 すなわち、 天然型ヒ トァク チビン Aを邇元変性したとき、 その構造を 2 0 %以上安定に維持できる ノくッファーをリ フォールディ ングバッファーと して用いれば、 効果的に リフォ一ルディ ングできることがわかった。
これらの結果は通元変性反応における残存率を検討することによ リ リ フォールディ ングに適するバッファーをスク リーニングできることを示 した。 表 2. リフォールデイング後の生物活性
実施例 4
表 3に示した試薬を、 実施例 3で有効性の確認された 0. 13%TDCA/Naを 含む Tris/HCIバッファー (尿素 ; 1 . 5 M、 TDCA/Na ; 0. 1 3 ¾、
Tr is/HCI ; 2 0 ml p H 8. 5 ) にそれぞれ添加し、 これらを実施例 3 の Tr isバッファーの替わりに用いて室温で 12時間の還元反応を行い、 逆 相 H P L Cを用いて天然型ヒ 卜ァクチビン Aの残存 Sを調べた。 その結 果を同じ表 3に示した。 残存量の向上率は、 Tris/HCIバッファー (尿 素 ; 1.51 TDCA/Na; 0.13%, Tris/HCし 20mM; pH、 8.5) を用いて還元 反応を行った時の残存量に対して増加した分の残存量の割合で示した。 用いた試薬の種類によって残存率の変化に大きな違いのあることがわ かった。 分類 A、 Bまたは Cの試薬を添加すると、 TDGA/Naを単独で添 加したときに比べ、 天然型ヒ トァクチビン Aの残存率は向上し、 特に 1 Mのアルギニン塩酸塩を添加するとその残存率は極めてよく 向上するこ とがわかった。
従って、 表 1 の分類 Aまたは Bの試薬を添加し、 さらに表 3の分類 A Bまたは Cの試薬を添加したバッファーは、 リフォールディ ングバッ ファーと してよ り効果的であると考えられる。
表 3. 天然型ヒ卜ァクチビン Aの逮元反応における残存率向上
略語
PEG : Polyethylene glyco
TFE : Tr i f I uoroethano I
実施例 5
実施例 2 と同様に調製された還元済みヒ トァクチビン Aに亜硫酸ナ ト リウムを最終的に 0. 1 Mになるよう、 および亍 トラチオン酸ナ ト リウ ムを最終的に 0. 0 1 Mになるよう添加し、 5 °Cで 1 5時間静置した。 ヒ トァクチビン Aと亜硫酸イオンとの混合ジスルフィ ド結合が形成され たことを逆相 H P L Cで確認後、 希釈バッファー ( 8M尿素、 2 0 mMTris/HCk p H 8. 5 ) を用いてヒ トァクチビン A濃度を 0. 1 mg/mlに調整した。 これを透析膜 (Spectra/Por membrane, No.1 ; Spectrum Medical Industries, Inc.製) に注入し、 500 倍量のリ フォールデイ ングバッファ一 (尿素 ; 1 M、 T D C A / N a ; 0. 5
3 %、 アルギニン塩酸塩 ; 1 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 ) に対して 5 °Cで 1 5時間透析した。 透析内液に Cysを最終的に 3 mMになるよう添加し、 5 °Cで 3 日間静置した。 ヒ トァクチビン Aの高次 構造が再構成されたことは生物活性 (フ レン ド白血病細胞の分化誘導活 性) 測定で確認された。 これを 1 0 %TFAを用いて p H 3に調整後、 逆 相 H P L C (Vydac214TP54. 22 x250mm. Separations group製 ; ァセトニト リル溏度勾配溶出法) で電気泳動的に単一な成分まで精製した。 実施例 6
実施例 2 と同様にしてヒ トァクチビン Aとグルタチオンとの混合 結合が形成されたことを逆相 HPLCで確認後、 塩酸を添加して pHを 3.0ま で低下した。 これを透析膜 ( Spectra/Por membrane, Nol ; Spectrum Medical Industries, Inc.製) に注入し、 500倍量の 40mM塩酸を含む
8M尿素に対して 5°Cで 15時間透析した。 透析内液を最終的にリ フォール ディ ングバッファー組成 (尿素 ; 1.51 TDCA/Na ; 0.13%、 アルキ':ン塩酸 塩 ; 0.1M、 Tr is/HCI ; 20mM、 pH8.5) に一致し、 かつヒ トァクチビン A
の漉度が 0.1mg/mlになるように計算されたバッファーで希釈し、 5 °Cで 3 日間静置した。 ヒ トァクチビン Aの高次構造が再構成されたことは生 物活性で (フ レン ド白血病細胞の分化誘導活性) で確認した。 これを 10%TFAを用いて pH3に翊整後、 逆相 HPLC (Vydac21 TP54, 4.6Φ x 250mm 、 Separations group製 ; ァセト;:トリル漉度勾配溶出法) で電気泳動的に単一 な成分まで精製した。 実施例 7
実施例 6で用いたリフォールデイ ングバッファーの替わりに、 以下に 示すリ フォールデイ ングバッファーをそれぞれ用いて同様の操作を実施 することによ り、 ヒ トァクチビン Aの高次構造を再構成し、 電気泳動的 に単一な成分まで精製した。 バッファー 1 : 尿素 ; 1 M、 T D C A/ N a ; 0. 5 3 %、 アルギニン 塩酸塩 0. 5 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 バッファ一 2 : 尿素 ; 1 M、 T D C AZN a ; 0. 5 3 %、 塩化ナ ト リ ゥム ; 1 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 ノくッファー 3 : 尿素 ; 1 M、 T D C AZ N a ; 0. 1 3 %、 アルギニン 塩酸塩 ; 1 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 バッファ一 4 : 尿素 ; 1 M、 T D C A / N a ; 0. 1 3 %、 アルギニン 塩酸塩 ; 0. 5 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 バッファー 5 : 尿素 ; 1 M、 T D C A/ N a ; 0. 1 3 %、 酢酸カルシ
ゥム ; 0. 5 M、 T s / H C 20 mM、 p H 8. 5 ) 実施例 8
実施例 6で用いたリフォールデイ ングバッファーの替わりに、 以下に 示すリ フォールディ ングバッファーをそれぞれ用いて同様の操作を実施 することによ り、 ヒ トァクチビン Aの高次構造を再構成し、 電気泳動的 に単一な成分まで精製した。 バッファー 6 : 塩酸グァニジン ; 0. 5 M、 T D C AZN a ; 0. 5 3 %、 アルギニン塩酸塩 0. 5 M、 T r i s ZH C I ; 20 mM、 p H 8. 5
バッファー 7 : 塩酸グァニジン ; 0. 5 M、 T D C A/N a ; 0. 5
3 %、 塩化ナ ト リ ウム ; 1 M、 T r i s / H C I ; 20 mM、
p H 8. 5 バッファー 8 : 塩酸グァニジン ; 0. 5 M、 T D C A/ N a ; 0. 1
3 %、 アルギニン塩酸塩 ; 1 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、
p H 8. 5 バッファー 9 : 塩酸グァニジン ; 0. 5 M、 T D C A/N a ; 0. 1 3 %、 アルギニン塩酸塩 ; 0. 5 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5 バッファー 1 0 : 塩酸グァニジン ; 0. 5 M、 T D C AZ N a ; 0. 1 3 %、 齚酸カルシウム ; 0. 5 M、 T r i s / H C I ; 2 0 mM、 p H 8. 5
産業上の利用可能性
以上に示したように、 本発明の方法によ り、 初めて変性ヒ トァクチビ ン Aを天然型ヒ トァクチビン Aにリフォールデイ ングすることができる ようになり、 簡便な方法で変性ヒ トァクチビン Aの生物活性を回復でき るようになった。 すなわち、 従来は真核細胞を生産宿手と して生産せざ るを得なかった天然型ヒ トァクチビン Aを組換え微生物を生産宿手と し て簡便かつ安価に生産することが可能となった。