明細書
データ変換方法およびデータ変換装置およびプログラム記憶媒体 1 . 技術分野
こ の発明は、 解析などのために得られた時系列信号よ り特徴的な部分を抽出す るためのデータ変換方法およびデータ変換装置およびプログラム記憶媒体に関す るものである。
2. 背景技術
振動や音またはプロセスデータなどの時系列信号に対して、 例えば、 複素数形 ウエーブレ ツ ト関数を用いてウェーブレ ツ 卜変換を行う と、 時間—周波数領域の 情報が得られる。 こ の時間一周波数領域の情報に対し、 強度 (絶対値) を演算す る と、 時系列信号に含まれる様々な周波数的特徴の時間的な変化を解析できる。 こ の よ う に、 ゥヱ一ブレツ ト変換結果である時間一周波数情報をスケール毎に 微分処理し、 特徴量と して極値を抽出して解析や診断に用いる技術がある (文献 1 : 特開平 7 — 2 7 1 7 6 3号公報) 。
また、 対象となる信号のウエーブレツ ト変換結果である時間一周波数情報から スケール毎に信号の周期性を表す特徴量を抽出し、 解析や診断に用いる技術があ る (文献 2 : 特開平 8 — 8 3 2 6 5号公報) 。
また、 対象となる信号のウェーブレツ ト変換結果から、 ス ケール毎に平均およ ぴ分散等の統計量を演算し、 これらを特徴と して抽出して診断に用いる技術があ る (文献 3 : 特開平 8 — 2 1 9 9 5 5号公報) 。
また、 対象となる信号のウェーブレツ ト変換結果とある設定したしきい値とを スケール毎に比較し、 しきい値を超える値を特徴と して抽出 して診断に用いる技 術もある (文献 4 : 特開平 8 — 1 7 7 5 3 0号公報) 。
また、 対象となる信号のウェーブレ ッ ト変換結果において、 スケール毎に分散 を演算し、 得られた分散分布のピークを特徴と して抽出して解析に用いる技術が ある (文献 5 : 特開平 8 — 3 2 9 0 4 6号公報) 。
3. 発明の開示
[発明が解決しよ う とする課題]
と ころで、 従来のウエーブレ ツ ト変換結果に表れる時系列信号の特徴量を抽出 する方法と しては、 人が目で見て判断したり 、 しきい値 (文献 4 ) によ り検出し ていた。 しかし、 これらの方法では、 不要な特徴量との判別が困難であり 、 望み の特徴量を うま く抽出できない場合がある。
一方、 ゥヱ一ブレッ ト変換結果において、 スケール毎の極値を特徴量と した場 合 (文献 1 ) 、 望みの特徴を抽出できない場合がある。
また、 ウェーブレッ ト変換結果よ り得られる特徴を周期性に限定する (文献 2 ) と、 他の有用な特徴を抽出できない。
また、 統計量を特徴と した場合 (文献 3 、 文献 5 ) 、 時間的な広がり を持つあ る領域全体を 1 つの特徴量で表すこ とになり 、 時間毎の詳細な特徴を抽出できな レヽ
例えば、 図 1 0に示す時系列信号よ り 、 振動成分を抽出したい場合、 その時系 列信号を、 複素数形ウエーブレ ツ ト関数を用いてウエーブレ ツ ト変換してその強 度を演算する と、 図 1 1 に示す強度信号が得られる。 図 1 1 は、 強度の強い部分 ほど明るく 、 逆に強度の弱い部分ほど暗く なる という よ う に、 信号成分の強度を 輝度によ り表したゥヱ一ブレツ ト強度信号を示している。 この図 1 1 に示すよ う なウェーブレ ッ ト強度信号によ り 、 周波数軸 (縦) と時間軸 (横) の両軸でステ ップ状の波形と振動波形について解析するこ とが可能となる。
しかしながら、 このよ う に信号 (データ) を変換しても、 元の信号に比べ情報 量が多く なるこ とや、 分解能の制約などから定量的な判別は必ずしも容易でない c ここで、 文献 4の技術によれば、 図 1 1 のゥヱ一ブレッ ト強度信号よ り 、 所定 の しきい値を超える値を特徴と して抽出する と、 図 1 2に示す抽出結果が得られ る。 しかしこれでは、 振動成分の抽出は困難である。
すなわち、 文献 4 に示された、 しきい値を設定する方法では、 望みとする特徴 のみが必ずしきい値を超えるこ とが予め判明している場合には有効である。 しか し、 そのよ う な場合はむしろ少なく 、 さまざまな要因によ り 、 望みの特徴がしき い値を超えなかった り 、 他の特徴がしきい値を超えるよ うな場合には判別は困難 となる。 また、 しきい値の設定自体にも難しさがある。 上述したよ う に、 図 1 2 に示すしきい値によ り抽出した結果では、 元の時系列信号のステップ部分と振動
成分を うま く判別できない。
また、 文献 2 の技術によれば、 ウエーブレツ ト変換結果において、 スケール毎 の時間的な変化のピーク (極大値) を検出し、 ピークが周期的に現れれば、 ピ一 ク間の距離を元信号の周期性と して抽出している。 この文献 2の技術によれば、 図 1 1 のゥヱ一ブレッ ト強度信号よ り 、 図 1 3 に示す抽出結果が得られる。
しかし、 この図 1 3の抽出結果では、 振動成分が全く抽出されていない。 すな わち、 この文献 2の技術では、 振動成分の抽出ができない。
また、 文献 1 の技術によれば、 対象となる信号のウエーブレッ ト変換結果を、 スケール毎に微分処理し、 特徴量と してスケール毎の時間的な変化の極値を抽出 するよ うにしている。 極値には極大値と極小値が含まれるため、 この文献 1 の技 術によれば、 図 1 1 のゥヱ一ブレッ ト強度信号によ り 、 スケール毎の極大値を抽 出した図 1 3に加え、 スケール毎の極小値も抽出されるこ とになる。
しかしながら、 図 1 1 のゥヱ一ブレッ ト強度信号におけるスケール毎の極小値 は、 図 1 1 の暗部、 すなわち強度の弱い部分に存在するため、 特徴と しては意味 のないものまで抽出するこ とになる。 したがって、 振動成分の抽出が困難となる, 他方、 文献 3や文献 5 に示されているよ う に、 統計量を特徵とする場合は、 あ る時間的な広が り を持つ領域の特徴を統計量という代表値で表すこ とになり 、 そ の領域での時間的な特徴が失われてしま う。 例えば、 文献 5の技術によれば、 ゥ ェ一ブレッ ト変換結果において、 スケール毎の分散値を特徴量と している。 この 文献 5 の技術によれば、 図 1 1 のウエーブレッ ト強度信号よ り 、 図 1 4 に示す結 果が得られる。 この図 1 4に示す結果では、 振動成分のスケール、 すなわち周波 数を特定するこ とは可能であるが、 時間的な情報が失われてしま うため、 振動成 分がいつ発生してどのく らい継続したかなどの情報が得られない。
以上に示したよ う に、 従来技術では、 ステップ成分と振動成分を判別できなか つたり 、 振動成分の特徴量を部分的にしか抽出できず、 振動成分が存在するこ と は判明するが、 特に時間的な情報が欠落してしま うため、 特徴を定量的に把握で きない。
この発明は、 以上のよ うな問題点を解消するためになされたものであり 、 時系 列信号をウエーブレツ ト変換して得られた、 その時系列信号に含まれる様々な周
波数的特徴の時間的な変化を、 よ り精度良く 定量的に把握できるよ うにするこ と を目的とする。
[課題を解決するための手段]
本発明は、 このよ うな課題を解決するために行ったもので、 第 1 の方法の発明 では、 まず、 時系列信号をウエーブレッ ト関数に基づいてウエーブレッ ト変換し て時間と周波数との関係を示す第 1 の分布に変換し、 次に、 その第 1 の分布よ り 時間と周波数とその強度との関係を示す第 2 の分布に変換し、 そして、 その第 2 の分布において時刻毎の周波数強度分布のピーク を検出するよ う にした。
以上示したよ う に、 第 2の分布において時刻毎の周波数強度分布のピーク を検 出しているので、 第 2の分布において強度の高い特徴的な周波数成分が、 時間的 推移と と もに抽出される。
また、 第 1 の装置の発明では、 時系列信号を入力する入力手段と、 その入力手 段が入力した時系列信号を設定されているウエーブレッ ト関数に基づいてゥェ一 ブレツ ト変換して時間と周波数との関係を示す第 1 の分布に変換するウェーブレ ッ ト変換部と、 第 1 の分布よ り 、 その時間と周波数とその強度との関係を示す第 2の分布に変換する強度演算部と、 第 2の分布において時刻毎の周波数強度分布 のピークを検出するピーク検出部とを備えるよ う にした。
ピーク検出部で、 第 2の分布において時刻毎の周波数強度分布のビークを検出 しているので、 第 2の分布において強度の高い特徴的な周波数成分が、 時間的推 移と と もに抽出できる。
また、 第 1 のプログラム記憶媒体の発明では、 時系列信号をウエーブレッ ト関 数に基づいてウエーブレツ ト変換して時間と周波数との関係を示す第 1 の分布に 変換する第 1 のステップと、 第 1 の分布よ り 、 時間と周波数とその強度との関係 を示す第 2の分布に変換する第 2のステップと、 第 2の分布において時刻毎の周 波数強度分布のピークを検出する第 3のステップとから構成されたプログラムを 記憶するよ う にした。
第 3のステップで、 第 2の分布において時刻毎の周波数強度分布のピークを検 出しているので、 第 2の分布において強度の高い特徴的な周波数成分が、 時間的 推移と と もに抽出される。
[効果]
本発明においては、 請求の範囲に記載したよ うに したので、 次のよ う な効果が 得られる。
( 1 ) 第 2 の分布において時刻毎の周波数強度分布のピークを検出しているので 第 2の分布において強度の高い特徴的な周波数成分が、 時間的推移と と もに抽出 される。 この結果、 時系列信号をウエーブレッ ト変換して得られた、 その時系列 信号に含まれる様々な周波数的特徴の時間的な変化を、 よ り精度良く 定量的に把 握でき る とレ、う効果を有する。
4 . 図面の簡単な説明
図 1 は、 この発明の第 1 の実施例におけるデータ変換装置の構成を示す構成図 である。
図 2 は、 図 1 のピーク検出部 1 2 1 の動作を示すフ ローチャー トである。
図 3 は、 ウェーブレツ ト強度信号や周波数分布ピーク信号の出力結果を示す分 布図である。
図 4は、 この発明の第 2の実施例におけるデータ変換装置の構成を示す構成図 である。
図 5は、 温調している部屋の温度検出結果 ( a ) と、 それをウエーブレッ ト変 換してえられたウエーブレッ ト強度信号分布 ( b ) と、 そのウエーブレッ ト変換 結果よ り特徴量抽出部 1 2 0が抽出した結果 ( c ) とを示す分布図である。
図 6は、 この発明の第 3の実施例におけるデータ変換装置の構成を示す構成図 である。
図 7 は、 回転機器が正常な時の回転体の振動波形 ( a ) と、 それをウエーブレ ッ ト変換してえられたウエーブレッ ト強度信号分布 ( b ) と、 そのウエーブレツ ト変換結果よ り特徴量抽出部 1 2 0が抽出した結果 ( c ) とを示す分布図である。 図 8は、 回転機器が異常な時の回転体の振動波形 ( a ) と、 それをウエーブレ ッ ト変換してえられたウエーブレッ ト強度信号分布 ( b ) と、 そのウエーブレツ ト変換結果よ り特徴量抽出部 1 2 0が抽出した結果 ( c ) とを示す分布図である。 図 9 は、 この発明の他の例におけるデータ変換装置の構成を示す構成図である c 図 1 0は、 時系列信号を示す波形図である。
図 1 1 は、 図 1 0 の時系列信号をウェーブレッ ト変換した結果得られたゥヱー ブレツ ト強度信号を示す分布図である。
図 1 2は、 図 1 1 のウエーブレッ ト強度信号に所定の処理を施した結果得られ た分布図である。
図 1 3は、 図 1 1 のウエーブレッ ト強度信号に所定の処理を施した結果得られ た分布図である。
図 1 4は、 図 1 1 のゥ: —ブレツ ト強度信号に所定の処理を施した結果得られ た分布図である。
5 . 発明を実施するための最良の形態
以下この発明の実施例を図を参照して説明する。
[第 1 実施例]
まず、 この発明の第 1 の実施例について説明する。 図 1 は、 この実施例 1 にお けるデータ変換装置の構成を示す構成図である。
図 1 に示すよ う に、 このデータ変換装置は、 信号変換部 1 1 0 と、 その信号変 換部 1 1 0 よ り 出力された信号よ り特徴を抽出する特徴量抽出部 1 2 0 と、 信号 変換部 1 1 0に対してパラメ一タを設定したり 、 特徴量抽出部 1 2 0に対してし きい値を設定するなどを行うユーザーイ ンタ一フェース部 1 3 0 とから構成され ている。
まず、 信号変換部 1 1 0についてよ り詳細に説明する。 この信号変換部 1 1 0 は、 ウエーブレツ ト関数生成部 1 1 1 と、 ウエーブレツ ト変換部 1 1 2 と、 強度 演算部 1 1 3 とから構成されている。
ウエーブレッ ト関数生成部 1 1 1 では、 ウェーブレッ ト変換の基底関数となる 複素数形ウェーブレツ ト関数を生成する。 複素数形ウェーブレツ ト関数の代表的 なものと して、 ガボール (G a b o r ) ウェーブレッ ト関数などがあるが、 ここ では、 ゥヱ一ブレッ ト関数 Ψ ( t ) と して、 以下の数式 ( 1 ) で定義されるガボ ールウエーブレツ ト関数を使用した。
Ω2
i Ω t
Ψ(ί) = e 2 (e 一 e2 ) , Ω= 2 π
また、 ゥヱ一ブ レ ッ ト変換部 1 1 2では、 ゥヱーブ レ ッ ト関数生成部 1 1 1 で 生成された複素数形ゥェ.一ブレ ツ ト関数を用い、 図示していない入力手段等によ り入力された時系列信号をウエーブレ ツ ト変換する。
すなわち、 ゥ: π—ブレッ ト変換部 1 1 2 では、 入力された時系列信号に対し、 ュ—ザ—イ ンタ —フヱ—ス部 i 3 0によ り設定された周波数に対応したス ケール パラメータを基に、 ゥヱーブ レ ッ ト関数生成部 1 1 1 で生成された複素数形ゥヱ —ブレ ツ ト関数を用いてウェーブレ ツ ト変換を行う。 こ こ では非直交ウエーブレ ッ ト変換を行う。
そして、 ウエーブレ ッ ト変換の結果と して、 複素数で表される時間一周波数領 域に展開されたウェーブレッ ト変換信号 W ( a , b ) を得る。
その際、 ウエーブレッ ト変換の定義式とその条件は、 次の数式 ( 2 ) で表され る。 t一 b
W (a, b) = I f (ί)Ψ* d t
Vial ∞ a
J: Ψ ( t ) d t = 0 (2) 本実施例では、 ゥヱーブレッ ト変換信号 W ( a , b ) を、 M : スケールパラメ ータ a の個数、 N : シフ トパラ メータ b の個数 (時系列信号点数に等しい) とお いて、 以下に示すよ うに、 大き さ M X Nの 2次元配列 W と して演算する。 W i j = W ( a i , b j) i = 1 , 2 , , M、 j = 1 , 2 , , N そして、 強度演算部 1 1 3では、 そのウエーブレッ ト変換結果であるウエーブ レ ッ ト変換信号から、 その強度を演算する。 すなわち、 ゥヱ一ブレッ ト変換の結 果であるウエーブレ ッ ト変換信号 から、 A i i = I W i i Iによ り ウェーブレ ツ ト強度信号 A を演算する。 ここでは、 ゥヱ一ブレッ ト強度信号と して、 ゥェ一 ブレ ツ ト変換信号の絶対値を用いた。
次に、 特徴量抽出部 1 2 0について、 よ り詳細に説明する。 こ の特徴量抽出部
1 2 0は、 ピーク検出部 1 2 1 と、 特徴量算出部 1 2 2 とから構成されている。 そのピーク検出部 1 2 1 では、 強度演算部 1 1 3から出力されたウェーブレツ ト強度信号よ り 、 単位時間毎に周波数分布の極大値 (ピーク) を検出する。
すなわち、 信号変換部 1 1 0の変換結果であるウエーブレツ ト強度信号の所定 間隔の各時刻における周波数分布に着目 し、 単位時間毎 (所定の間隔の時刻毎) にその時刻における周波数の強度分布のピーク (極大値) を検出する。
このピーク検出では、 図 2のフ ローチャー トに示すよ うに、 まず、 ステップ S 1 で、 i の最大値 Mにスケールパラメータ a の個数を設定する。 すなわち、 ゥェ 一ブレッ ト変換して得られた時間一周波数情報における周波数軸 (スケール) の 分割数を設定する。 同様に、 j の最大値 Nにシフ トパラメータ b の個数を設定す る。 すなわち、 ゥヱ一ブレッ ト変換して得られた時間一周波数情報における、 時 間軸 (シフ ト) の分割数を設定する。 そして、 T h にしきい値を設定する。 この しきい値は、 演算誤差などによ り生じる無視しう る微少なピーク を検出しないた めのものであり 、 ユーザーイ ンタ一フェース部 1 3 0で設定している。
次いで、 ステップ S 2で、 j を 1 と し、 ステップ S 3で i を 1 とする。
次に、 ステップ S 4で、 i 力; 1 よ り大きレ、かつ i が Mよ り小さいかどうかを判 断する。 ウエーブレッ ト変換の結果得られた時間—周波数情報においては、 スケ ール (周波数) の最小値と最大値に強度のピークはないとみなして、 この判断で それを除外している。
この判断によ り 、 i 力 1 も しく は Mのときは、 ステップ S 5 に移行し、 P ( i , j ) = 0 とする。 すなわち、 ピークではないとする。 一方、 i が 1 かつ Mでない ときは、 ステップ S 6に移行する。
次に、 ステップ S 6で、 係る時刻の係る周波数における強度 A ( i, j ) が、 まず、 設定されている しきい値 T h よ り大きいかどうか判断する。 加えて、 その 強度 A ( i, j ) が強度 A ( i - 1 , j ) よ り大きいかどうか判断する。 さ らに. その強度 A ( i, j ) が強度 A ( i + 1 , j ) よ り大きいかどうか判断する。 以上の判断で、 A ( i , j ) > T hかつ A ( i , j ) > A ( i 一 1 , j ) かつ A ( i, j ) > A ( i + 1 , j ) ならば、 その周波数 ( i ) の強度 Aはこの時刻 ( j ) においてピークを示しているものと判断する。 そして、 ステップ S 7に移
行して、 P ( i , j ) = 1 とする。
以上のこ とに対して、 A ( i , j ) > T hかつ A ( i , j ) > A ( i 一 1 , j ) かつ A ( i , j ) > A ( i + 1 , j ) でないならば、 その周波数 ( i ) の強 度 Aはこの時刻 ( j ) においてピークを示していないものと判断する。 そして、 ステップ S 5に移行して、 P ( i , j ) = 0 とする。
次いで、 ステップ S 8で i に 1 を加え、 ステップ S 9でその i が Mよ り大きい かどうか判断する。 ステップ S 9 の判断で i が Mよ り 大き く ない場合、 ステップ S 4〜 8 を繰り返す。 一方、 ステ ップ S 9 の判断で、 i が Mよ り大きい場合、 ス テツプ S 1 0に移行して j に 1 を加え、 ステップ S I 1 でその j が Nよ り大きい かどう か判断する。 このステップ S 1 1 の判断で、 j が Nよ り大き く ない場合、 ステップ S 3 〜ステ ップ S 1 0 を繰り返す。 そ して、 ステ ップ S 1 1 の判断で、 j が Nよ り大きい場合、 処理を終了する。
以上に示したこ とによ り 、 ウ ェーブ レ ツ ト強度信号 の単位時間毎の周波数 分布の全点において、 ピークであれば 1 、 そ うでなければ 0 の 2値と してピーク を検出し、 周波数分布ピーク信号 を得るよ う にしている。
そ して、 その検出した単位時間毎の周波数分布ピーク信号から、 特徴量算出部 1 2 2 において、 周波数, 発生時刻, 継続時間などの特徴量を演算する。
なお、 ュ一ザ一イ ンタ一フヱ一ス部 1 3 0は、 パラメータ設定部 1 3 1 と しき い値設定部 1 3 2 と表示部 1 3 3 とから構成されている。 その中で、 パラメ一タ 設定部 1 3 1 は、 前述したよ う に、 ウエーブレツ ト変換部 1 1 2 に対して、 周波 数に対応したスケールパラメータを設定する。 また、 しきい値設定部 1 3 2は、 ピーク検出部 1 2 1 において用いる、 演算誤差などによ り生じる無視しう る微少 なピークを検出しないためのしきい値を設定する。
そして、 表示部 1 3 3は、 信号変換部 1 1 0が出力するウェーブレッ ト強度信 号の表示、 特徴量抽出部 1 2 0によ り得られた周波数分布ピーク信号などの表示 を行う。
図 3は、 その表示部 1 3 3 に表示されたウエーブレッ ト強度信号や周波数分布 ピーク信号の出力結果を示す分布図である。 図 3 ( a ) は、 ウエーブレッ ト変換 の結果得られたウエーブレッ ト強度信号を示し、 図 3 ( b ) は、 周波数分布ピ一
ク信号を示す。 また、 これら分布図において、 横軸は時間を示し、 縦軸 (スケ一 ル) は周波数を示している。
これらの結果は、 図 1 0の時系列信号よ り 、 上述したこの発明の実施例 1 のデ —タ変換装置によ り得られたものである。 図 3 ( b ) から明らかなよ う に、 図 1 0の時系列信号よ り 、 特徴的な振動成分のみが抽出されているこ とがわかる。
[第 2実施例]
以下、 この発明の第 2の実施例について説明する。 この実施例 2 においては、 図 4に示すよ う に、 上述したデータ変換装置を空調機の異常制御検出に適用した 場合について説明する。
図 4に示すよ う に、 この実施例 2 においては、 新に、 ハンチング判定部 4 0 1 と制御パラメータ設定部 4 0 2 を設けるよ う にしている。
すなわち、 この実施例 2 におけるデータ変換装置は、 信号変換部 1 1 0 と、 そ の信号変換部 1 1 0 よ り 出力された信号よ り特徴を抽出する特徴量抽出部 1 2 0 と、 信号変換部 1 1 0に対するパラメータの設定や、 特徴量抽出部 1 2 0に対す る しきい値の設定を行うユーザ一イ ンタ一フェー ス部 1 3 0 と、 これらに加え、 ハンチング判定部 4 0 1 と制御パラメータ設定部 4 0 2 とから構成されている。 また、 信号変換部 1 1 0は、 ウェーブレツ ト関数生成部 1 1 1 と、 ゥヱ一ブレ ッ ト変換部 1 1 2 と、 強度演算部 1 1 3 とから構成されている。 また、 特徴量抽 出部 1 2 0は、 ピーク検出部 1 2 1 と、 特徴量算出部 1 2 2 とから構成されてい る。 そして、 ユーザ一イ ンタ一フェース部 1 3 0は、 パラメ一タ設定部 1 3 1 と しきい値設定部 1 3 2 と表示部 1 3 3 とから構成されている。
と ころで、 ビルなどに設置されている空調機では、 設置時に設定した制御パラ メータが空調機能力の経時変化などによ り不適当な値となるこ とがある。 その結 果、 その空調機の制御が不安定となり 、 温調している部屋の温度が短い時間で変 動するハンチング等の不具合が発生する。
この、 ハンチングは、 空調機の稼働状態を反映したものであり 、 これが発生す ると、 空調に必要なエネルギーに無駄が発生した り 、 利用者に不快感を与えるこ とにな り問題となる。
そして、 このハンチングは比較的短い間隔の振動成分と して現れるため、 従来
のよ う に空調状態を人が監視する方法では、 見逃してしま う場合がある。 また、 機器が複数ある場合には、 すべてを監視するこ とは不可能であった。
図 5は、 温調している部屋の温度検出結果 ( a ) と、 それをゥヱ一ブレッ ト変 換して得たゥヱ一ブレッ ト強度分布 ( b ) と、 そのウエーブレ ッ ト変換結果よ り 特徴量抽出部 1 2 0が抽出した結果 ( c ) とを示している。 なお、 図 5 ( b ) , ( c ) では、 横軸は時間を示し、 縦軸 (スケール) は周波数を示している。 図 5 ( a ) に示すよ う に、 ある時間帯において、 上述したハンチングが発生し ている。 これは、 温度検出結果の中で、 振動成分と してみられる。 これよ り 、 前 述の実施例 1 に示したこ と と同様にするこ とで、 図 5 ( c ) に示すよ うに、 その 振動成分のみを抽出できる。
そ して、 この実施例 2 におけるデータ変換装置の動作を説明する と、 その抽出 した特徴量よ り 、 ハンチング判定部 4 0 1 において、 その周波数, 発生時刻, 継 続時間, 振幅などから、 その特徴量が示すハンチングの状態を判定する。 また、 制御パラメータ設定部 4 0 2では、 その判定結果によ り 、 空調設備におけるそれ ぞれの機器や、 空調対象の環境に適合した最適化空調機器制御値を算出し、 それ を空調機に設定する。
以上示したよ うに、 この実施例 2では、 空調データハンチングと して現れる振 動成分のみを自動的に検出できる。 したがって、 この状態を見逃すこ と もなく 、 機器が複数ある場合でもすべてに対してハンチング検出が可能となり 、 空調にお けるハンチング発生の問題を解決できる。
[第 3実施例]
以下、 この発明の第 3 の実施例について説明する。 この実施例 3 においては、 図 6に示すよ う に、 前述したデータ変換装置を回転機器の異常診断に適用 した場 合について説明する。
図 6に示すよ うに、 この実施例 3 においては、 新に、 正常信号保持部 6 0 1 , 異常判定部 6 0 2, および, 警報出力部 6 0 3 を設けるよ うにしている。
すなわち、 この実施例 3 におけるデータ変換装置は、 信号変換部 1 1 0 と、 そ の信号変換部 1 1 0 よ り 出力された信号よ り特徴を抽出する特徴量抽出部 1 2 0 と、 信号変換部 1 1 0に対するパラ メ ータの設定や、 特徴量抽出部 1 2 0に対す
る しきい値の設定を行うュ一ザ一イ ンタ一フェース部 1 3 0 と、 これらに加え、 正常信号保持部 6 0 1 , 異常判定部 6 0 2, および, 警報出力部 6 0 3 とから構 成されている。
また、 信号変換部 1 1 0は、 ウエーブレ ツ ト関数生成部 1 1 1 と、 ゥヱ一ブ レ ッ ト変換部 1 1 2 と、 強度演算部 1 1 3 とから構成されている。 また、 特徴量抽 出部 1 2 0は、 ピーク検出部 1 2 1 と、 特徴量算出部 1 2 2 とから構成されてい る。 そ して、 ユーザ一イ ンタ一フヱ一ス部 1 3 0は、 ノ ラメータ設定部 1 3 1 と しきい値設定部 1 3 2 と表示部 1 3 3 とから構成されている。
と ころで、 回転機器を構成するベア リ ングなどの回転体において、 異物の混入 や劣化などによ り傷が生じる。 そして、 これを放っておく と運転中に故障が発生 し、 重大な損害が生じる。 したがって、 これを早期に発見し、 補修するこ とが必 要である。
まず、 図 7 に、 回転機器が正常な時の回転体の振動波形 ( a ) と ウエーブレ ツ ト強度信号 ( b ) 、 およびそのウェーブレ ッ ト変換結果よ り特徴量抽出部 1 2 0 が抽出した結果 ( c ) を示す。 これは、 例えば、 ベア リ ング部よ り発生している 音を検出したものである。 また、 図 8 に、 回転機器が異常なときの回転体の振動 波形 ( a ) と ウエーブレ ッ ト強度信号 ( b ) 、 およびそのウエーブレ ツ ト変換結 果よ り特徴量抽出部 1 2 0が抽出した結果 ( c ) を示す。
例えば、 回転機器のベア リ ングに異物が混入したこ とによる傷などによ り異常 振動が発生する と、 高周波成分が断続的に現れる。 これは、 図 7 ( a ) と図 8 ( a ) とを目視で比較すれば、 おおよそ判別がつく。
しかしながら、 この断続的な高周波成分と して現れるその傷が小さいときなど は、 回転機器の完全な故障停止には至らない。 そして、 故障に至らない状況では. その断続的な高周波成分は非常に小さ く 、 これを自動的に検出するために、 単純 にゥヱ一ブレ ツ ト強度信号からこれを判別するこ とは、 ノイズ等の影響によ り ほ ぼ不可能である。 図 7 ( b ) と図 8 ( b ) とを比較しても、 自動的に断続的な高 周波成分を取り 出すことはできない。
こ こ で、 前述したよ う に、 図 7 ( c ) およぴ図 8 ( c ) に示すよ うに、 周波数 分布ピーク信号を抽出すると、 異常時の高周波成分とその発生間隔を明確に検出
できる。 すなわち、 図 8 ( c ) には、 高周波成分が断続的に現れており 、 特徴量 を抽出したこ とになる。
そこで、 まず、 このよ う にして特徴量抽出部 1 2 0から得られた正常時の特徴 量を、 予め正常信号保持部 6 0 1 に記憶させておく。 そ して、 異常判定部 6 0 2 において、 異常発生時に得られた特徴量と、 その正常時の特徴量と比較すれば、 異常を判定するこ とができる。
加えて、 この異常判定の結果、 異常と判定された場合に、 警報出力部 6 0 3 に おいて警報を出力するこ とで、 故障前に補修が可能となる。 すなわち、 上述した よ うに、 例えばべァ リ ングに発生した傷などによる異常が小さなものであっても . それを、 異常が大き く なり故障停止となる前に確実に検出できる。
と ころで、 上述では、 信号変換部 1 1 0 と特徴量抽出部 1 2 0 とを備えるよ う にしたが、 これらの動作を C P Uで行う よ う にしても良い。
すなわち、 図 9 に示すよ う に、 まず、 検出部 9 0 1 よ り得られた時系列信号を A Z D変換部 9 0 2 によ りデジタル信号に変換する。 そして、 この変換した信号 を、 C P U 9 0 3 によ り ゥヱーブレツ ト変換して時間一周波数領域に展開された ゥヱ一ブレッ ト変換信号と し、 その強度を演算し、 出力されたゥヱ 一ブレッ ト強 度信号よ り単位時間毎に周波数分布の極大値 (ピーク) を検出する。
そして、 この C P U 9 0 3は、 ノ ス 9 0 3 a に接続された主メモ リ 9 0 4 に展 開されたプログラムによ り 、 上述した一連の動作を行う。 また、 主メ モ リ 9 0 4 に展開されるプログラムは、 外部記憶装置 9 0 5 に格納されているものである。 また、 ウエーブレ ッ ト変換に用いるウェーブレ ッ ト関数も 、 例えば、 予め外部記 憶装置 9 0 5 に格納しておけばよい。 また、 パラメータの設定やしきい値の設定 は、 キーボー ド 9 0 6 よ り入力すればよい。 そして、 得られた周波数分布ピーク 信号などが、 モニタ 9 0 7 に表示される。
ところで、 上述した実施例においては、 数式 ( 2 ) に示す複素数形ゥュ一ブレ ッ ト関数 (ガボールゥヱ一ブレッ ト関数) を用いてゥヱ一ブレッ ト変換を行う よ う にしたが、 これに限るものではない。
一般に、 ウエーブレ ッ ト変換は、 大き く分けて直交ウエーブレ ッ ト変換と非直 交ウェーブレ ツ ト変換に分類でき る。 上述した実施例で用いたウエーブレ ツ ト変
換は、 非直交であり 、 さ らに、 複素数形ウエーブレ ッ ト関数を用いている。 非直交ウエーブレ ツ 卜変換においては、 前述したよ う に複素数形ウエーブレ ツ ト関数を用いるものと、 後述する実数形ウエーブレ ツ ト関数を用いるものとがあ る。
非直交ウエーブレ ツ ト変換において、 前述したよ う にガボール関数などの複素 数形ウエーブレ ツ ト関数を用いる と、 ウェーブレ ツ ト変換結果に対して絶対値を 演算するこ とによ り強度が得られるので、 強度から直接的にピーク検出が可能で ある。
また、 非直交ウエーブレッ ト変換において、 メ キシカンハッ ト関数, フレンチ ハッ ト関数, も しく は, シャ ノ ン ( S h a n n o n ) 関数などの実数形ウェーブ レ ツ ト関数を用いると、 ウエーブレ ツ ト変換結果に対して絶対値を演算しても、 強度は得られない。 しかしながら、 演算した絶対値に、 ロ ーパスフィルタなどに よ り包絡線 (エ ンベロープ) 処理を施せば、 強度に相当する情報が得られ、 ピー ク検出が可能となる。
一方、 直交ゥヱ一ブレッ ト変換では、 実数形ゥヱ一ブレッ ト関数のみが用いら れる。 このウエーブレ ッ ト関数と しては、 ダウべシィ ズ (D a u b e c i e s ) 関数, ハール (H a r r ) 関数, メイヤー (M e y e r ) 関数, シム レ ッ ト ( S y m 1 e t ) 関数, スプラ イ ン関数, または、 コ ィ フ レ ッ ト ( C o i f 1 e t ) 関数などがある。
こ の直交ウエーブレ ツ ト変換においては、 実数形ウエーブレ ツ ト変換を用いた 非直交ゥヱ一ブレ ツ 卜変換と同様に、 演算した絶対値に、 ロ ーパス フ ィ ルタなど によ り包絡線 (エンベロープ) 処理を施せば、 強度に相当する情報が得られ、 ピ ーク検出が可能となる。
但し、 直交ウエーブレ ッ ト変換では、 周波数が低く なる と、 変換したデータ数 が減少したり 、 時刻が各周波数 (スケール) で一致しなく なる。 このため、 デ一 タの補間や時刻合わせが必要な場合もある。 しかし、 直交ウエーブレッ ト変換に おいても、 データ数を減少させない演算の方法もあり 、 実数形ゥヱ一ブ レ ッ ト関 数を用いた非直交ウエーブレッ ト変換と同様の結果を得るこ と もできる。
なお、 上述では、 特徴的な高周波成分を抽出するよ う にしたが、 これに限るも
のではない。 この発明によ り 、 高い周波数のノイ ズに隠れている特徴的な低周波 成分を抽出する こ と もでき る。