明細書
PEG結合PTH又はPEG結合PTH誘導体 技術分野
本発明は、 ポリエチレングリコール (PEG) を結合させた PEG結合副甲状 腺ホルモン (PTH) 又は PEG結合 PTH誘導体、 これらを含有する PEG結 合 PTH組成物、 これらを有効成分として含有する PTH製剤、 及びこれらの製 造方法に関するものである。 背景技術
副甲状腺ホルモン (PTH) は、 主に副甲状腺から分泌され、 血中カルシゥ ム濃度を制御するホルモン ( Kronenberg, H.M. et al., Handbook of Experimental Pharmacology, Springer- Verlag, Heidelberg, Germany, ppl85- 201, 1993) であり、 骨代謝における重要なホルモンの一つとして知られてい る。 血中カルシウム濃度が低下すると副甲状腺より PTHが分泌される。 PT Hは腎臓でカルシウムの再吸収を促進し、 25ビタミン D— 1ひ水酸化酵素を誘 導してビタミン Dを活性型に変換する。 また、 PTHはこの活性化型ビタミン D を介して腸管からのカルシウム吸収を促進する。 骨では骨芽細胞に作用して骨吸 収を促進する。
副甲状腺ホルモン関連タンパク質 (PTHr P) は、 141個のアミノ酸で構 成されており、 腫瘍随伴性液性高カルシウム血症 (Humoral hypercalcemia maliganncy: HHM) の主な原因物質として発見された (Suva, L.J. et al., Science, 21: 893-896, 1987) 。
PTH及び PTH r Pは PTH 1受容体に作用することが知られている (Juppner, H. et al, Science 254: 1024-1026, 1991) 。 PTH 1受容体は PT H及び PTH r Pと同程度の結合性で結合し、 細胞内に PKAのシグナルを上昇 させるとともに、 細胞内カルシウム濃度を上昇させて PLCのシグナルを活性化 する (Abou-Samra, A. B, et al., Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 2732-2736, 1992; Bringhurst, F. R. et al, Endocrinology 132: 2090-2098, 1993) 。
PTHが骨のリモデリングにおける必須の全身性因子の一つであることは 周知である。 in vivo における PTHの間歇的注射は卵巣摘出 (OVX) ラ ット (Hock等、 1988; Liu 等、 1991; Ibbotson、 1992) 又は健常ラット (Hock及び Gera、 1992; Dobing, 1995) における骨質量の増大をもたら す。 したがって、 骨形成刺激は ώ Όにおける PTHの拍動性分泌の生理 学的役割の一つと見なされている。 実際、 臨床においては、 Ρ ΤΗ ( 1 — 8 4) と ΡΤΗ ( 1 - 34) は共に他の薬剤に比較して強力な骨形成促進作用を示 すことが報告されており、 ΡΤΗ (1 - 34) の皮下投与は、 腰椎と大腿骨類部 の骨折率を大幅に抑制した (Rittmaster, R. S. et al., J Clin Endocrinol Metab, 85: 2129-2134, 2000; Neer, R. M. et al" New Engl J Med 19: 1434-1441, 2001) 。 、
これとは反対に、 PTHの持続的注入を受けた副甲状腺摘出 (PTX) ラ ット (Kitazawa等、 1991) 又は健常犬 (Malluche 等、 1982) の骨形態計 測は、 骨形成と骨吸収の同時的増大を示したが、 骨質量の正味の増大を示さ なかった。 これらのことから、 PTHの持続投与は骨粗鬆症の治療には適し ておらず、 PTHを間歇投与して速やかに血中から消失することこそ重要で あると考えられてきた。
PTHの副作用としては、 血中カルシウム濃度上昇作用がある。 正常ラットで は P T H皮下間歇投与で血中力ルシゥム濃度の上昇をほとんど認めないが (Fox, J. et al., Bone, 21: 163-169, 1997) , P THをヒョコに投与すると低用量でカル シゥム濃度上昇作用が認められる (Parson, J. A. et al., Endocrinology, 92: 454- 462, 1973) 。 また、 甲状腺、 副甲状腺摘出 (TPTX) ラット及び PTXラッ 卜に投与してもカルシウム濃度上昇作用が認められる (Horiuchi, N. et al., Am J Physiol, 244: E589-595, 1983; Ibrahim, M. M. et al" Cacif Tissue Int 34: 553-557, 1982) 。 臨床では、 20〜40 ^ 8の11?丁11 (1— 34) を単回皮 下投与すると投与後 4〜 6時間に一過性の血中カルシウム濃度上昇が認められる (Lindsay, R. et al" J Clin Endocrinol Metab, 77: 1535-1539, 1993, Neer, R. M. et al., New Engl J Med 19: 1434-1441, 2001) 。 以上のことから、 正常のげつ 歯類では PTHによる血中カルシウム濃度上昇作用は弱いが、 臨床応用において
は PTHによる血中カルシウム濃度上昇作用は強いことが予想される。
PTHのもう一つの副作用は血圧低下作用であり、 PTH (1— 34) はラッ ト及びィヌで血圧低下作用を引き起こすことが報告されている (Pang, P. K. et al., Proc Natl Acad Sci, 77: 675-678, 1980) 。 ラットにおいては、 PTHアナ口 グの血圧低下作用も調べられており、 PTH (1 -34) は皮下投与で強い血圧 低下作用を示す (Whitfield, J. F. et al, Calcif Tissue Int, 60: 302-308, 1997) 。 臨床応用においても P TH (1 -34) の静脈内投与では血圧低下作用が認めら れることが報告されており、 また、 PTH投与後に一過性の頭痛が報告されてい る (Igarashi, T. et al., Pharmatherapeutica, 3: 79-85, 1982) 。 PTH l 34) の臨床試験では、 40 gの用量で投与した場合、 副作用として嘔気ゃ頭 痛が統計上有意に出現しており、 20 gの用量ではプラセボ群と同程度の出現 頻度であったことから、 20 gの用量が臨床上使用可能な用量であると判断さ れている (Neer, R. M. et al, New Engl J Med 19: 1434-1441, 2001) 。 抗がん 剤の場合は副作用上容認できない用量の 1段下の用量を臨床投与量とすることは ガイドラインでも容認されている。 しかしながら、 一般に、 慢性疾患においては 長期に渡って安全に治療を継続できることが重要であることから、 副作用上容認 できない用量と臨床投与量とは十分に余裕をもって乖離していることが望まれて いる。 従って、 PTH投与に関しては、 今だ十分に臨床上の要請に対応できてい るとはいえず、 更なる改善が求められている。
一般に、 薬剤を皮下投与した場合は、 静脈内投与した場合に比べてバイオアベ イラピリティ (BA) が低い。 さらに、 PTHは皮下に投与すると速やかに吸収 され代謝されるという性質を有する (Fox, J. et al., Bone, 21: 163-169, 1997) 。
PTH (1-34) とプロテアーゼ阻害剤を混ぜてヒョコに皮下投与すると血中 カルシウム濃度上昇作用が増加することから、 PTHは皮下でプロテアーゼによ る分解を受けることが示唆されている (Parson, J. A. et al., Br J Pharmac, 66: 25-32, 1979) 。 また、 PTH (1— 34) の代謝部位は主に肝臓と腎臓である ことも報告されている (Martin, K. et al., J Clin Invest, 58: 781-788, 1976; Martin K. J. et al" J Clin Invest, 60: 808-814, 1977) 。
WO 96/3 5447号は、 持続投与用の注入液をパッチ又はイオン導入
法で経皮的に持続投与することにより活性成分の放出時間を 2〜 6時間にす る P T Hの製剤投与形態について開示している。 しかしながら、 この投与形 態には、 経皮投与であるために以下のような問題があった。 すなわち、 パッ チでは簡便な反面、 経皮吸収のための添加剤や粘着剤へのァレルギ一やかぶ れが起き易いため患者の負担が大きく、 また、 イオン導入法では装置が大が かりである。 一般に、 薬剤を皮下投与すると静脈内投与に比べて B Aが低い。 経皮吸収では、 更に皮膚を通過する必要があるため、 P T Hの体内への吸収 率が極めて低くなることが予測され、 一定の投与量に対して個体差や部位に よる吸収量のばらつきが大きくなり、 薬効と副作用のコントロールが難しく なると考えられる。 その上、 WO 9 6 Z 3 5 4 4 7号には、 高カルシウム血 症や血圧低下については何ら記載されてはおらず、 この投与形態には副作用 の軽減効果はないものと考えられる。
WO 0 1 / 8 1 4 1 5では、 P T HZ P T H r Pの活性調節ドメインに抗 体の F c ドメインを結合させることにより徐放性を付与している。 その際、 骨吸収抑制剤を同時投与することによって高カルシウム血症の発症を抑制し ている。 しかし、 単剤投与では正常マウスにおいてさえも強い血中カルシゥ ム濃度上昇作用が認められていることから、 臨床応用における血中カルシゥ ム濃度上昇作用は非常に強いことが予想され、 臨床上の有用性はないものと 考えられる。
さらに実験動物と異なり、 実際の骨粗鬆症患者においては、 F C ドメイン を結合させた P T Hに対する反応性と骨吸収の程度には個人差が出ることが 容易に考えられる。 骨吸収抑制剤の併用についても、 その反応性に個人差が でる可能性があり、 両薬物を適切な投与量および投与間隔で、 安全に同時投 与することは極めて困難であることは容易に予測できる。 また、 F c ドメイ ンとのキメラタンパク質を用いると、 特に長期間継続的に投与する必要があ る骨粗鬆症患者において、 抗原性によるアナフィラキシー反応や P T Hに対 する中和抗体出現が危惧される。
一方、 特開平 7— 1 9 6 9 2 5号公報は、 タンパク質を水溶性ポリマーで修飾 することにより、 夕ンパク質に望ましい性質を付与する方法及び組成物を開示し
ている。 具体的には、 タンパク質上のアルデヒド基、 ケトン基、 ラクトール、 活 性化されたカルボン酸又は活性化されたカルボン酸誘導体と、 ヒドラゾン結合若 しくはォキシム結合を形成可能な水溶性ポリマ一又はォキシルァミン水溶性ポリ マーの誘導体 (例えば、 PEG) とを共有結合により結合させることにより修飾 されたタンパク質について記載している。 これらの修飾タンパク質には水溶液中 の溶解度の上昇、 貯蔵期間中の安定性の増加、 免疫原性の減少、 酵素的分解に対 する抵钪性の増加、 より広範な種類の薬物投与系との適合性、 及び in vivo 半 減期の増加といった性質が付与される。 この公報によれば、 水溶性高分子、 例え ば PEGは、 タンパク質又は糖タンパク質を構成するアミノ酸又は糖の種々の遊 離基に結合して、 1分子のタンパク質に対して 6〜34個の PEG (分子量 2, 000〜 1 2,000) をカップリングさせており、 これによつて初めて上述の 新たな性質が付与されている。
しかしながら、 このように多数の P E Gを結合させた P E G修飾タンパク質又 は糖タンパク質では PEGの結合位置、 結合個数を制御することが難しく、 均一 な P E G修飾夕ンパク質又は糖夕ンパク質を得ることは困難である。 したがって、 この方法によって得られる PEG修飾タンパク質又は糖タンパク質を医薬品とし て製剤化することには問題があった。
また、 近年 P E G修飾夕ンパク質医薬品として海外で市販されたィンターフェ ロン a 2 b製剤 「PEG I NTRON」 (シユーリングブラウ社) は、 分子量 1 2,000の PEGを結合させたものであるのに対し、 後に市販された 「PEG AS YS」 (ホフマン ·ラ ·ロシュ社) は、 薬効持続性の延長を期待して、 より 長い分子量 40,000の PEGを結合させたインターフェロン α 2 a製剤であ る。 このように PEG修飾タンパク質医薬品の開発においては、 薬効を持続させ るには PEG鎖長は長いほど良いと考えられている。
即ち、 従来の PTH製剤では、 皮下投与や経皮、 経粘膜投与における B A が極めて低いため、 薬効と副作用のコントロールが難しいという問題があり、 P T Hの B A改善および薬効増強と副作用のコントロールができる技術の開 発が望まれていた。
発明の開示
上記のように、 P THに徐放性を付与する試みや免疫原性および安定性を改善 する試みはいくつか報告されている。 しかしながら、 これらには、 煩雑な方法が 必要であったり、 副作用が増強される等の問題があった。
そこで、 本発明者等は、 上記問題を解決するため種々の検討を行った。 その結 果、 驚くべきことに、 PTHにポリエチレングリコール (PEG) を結合させる と、 PEGを結合していない PTHと比較して PTHの血中濃度が持続する一方、 皮下投与で顕著に高い B Aを実現し、 血圧低下を大幅に軽減することを見出した。 更に本発明では、 PTHに結合させる PEG鎖長を、 通常では薬効増強にはむし ろ短かいと判断される範囲で選択することで、 血中カルシウム濃度の急激な上昇 もないことを見出し、 薬効と副作用を制御することが可能であることを示した。 本発明はこれらの知見に基づき完成したものである。
したがって、 本発明は、 皮下投与に際して高い BAが得られ、 副作用の少ない PTHを提供することを目的とする。
すなわち、 本発明は、 P EGを結合させた PEG結合 PTH又は PEG結合 P TH誘導体を提供する。
また、 本発明は、 上記 PEG結合 PTH又は PEG結合 PTH誘導体を含有す る P E G結合 P TH組成物を提供する。
更に、 本発明は、 薬効を保つのに有効な量の上記 PEG結合 PTH又は PEG 結合 P TH誘導体を有効成分として含有する P TH製剤を提供する。
また、 本発明は、 PTH又は PTH誘導体にシスティン残基を導入した [Cy s] — PTH誘導体を提供する。
更に、 本発明は、 PTH又は PTH誘導体中のアミノ基と PEG誘導体とを縮 合させるか、 またはァミノ基に PEG誘導体を付加させることを包含する、 上記 PEG結合 PTH又は PEG結合 PTH誘導体の製造方法を提供する。
また、 本発明は、 PTH又は PTH誘導体に導入した PEG結合部位に、 PE Gを結合させることを包含する、 上記 PEG結合 PTH又は PEG結合 PTH誘 導体の製造方法を提供する。
図面の簡単な説明 図 1中、 (a) は 5k及び 20k PEG-PTHについて PhastGel Homogeneous 20を 用いて SDS— PAGEを行い、 銀染色した電気泳動写真である。 (b) は、 2k
PEG- PTHについて PhastGel High Densityを用いて SD S— PAGEを行い、 銀染色した電気泳動写真である。
図 2は、 5k PEG-PTHについて PhastGel Homogeneous 20を用いて SDS— P
AGEを行い、 銀染色した電気泳動写真である。
図 3は、 静脈内投与による PTH (1-34) 及び PEG-PTH (1-34) の血漿中濃度推 移を示すグラフである。
図 4は、 皮下投与による PTH (1-34) 及び PEG-PTH (1-34) の血漿中濃度推移 を示すグラフである。
図 5は、 正常マウスに hPTH (1-34), 5k及び 2k PEG- PTH (1-34) を投与した 場合の補正血中イオン化カルシウム濃度の経時変化を示すグラフである。
図 6は、 ラットに PTHを投与後 20分までの血圧の経時変化を示すグラフで ある。
図 7は、 PTH投与前の平均血圧値と、 投与後最大血圧低下を示した値との差 を平均値土標準誤差として示したグラフである。
図 8は、 卵巣摘出ラッ卜における、 hPTH (1-34)、 [Cys35]-hPTH (1-35)及び 2k PEG-[Cys35]-PTH (1-35)投与による腰椎骨密度増加作用 (a) 及び大腿骨骨 密度増加作用 (b) を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、 PEGを結合させた PEG結合副甲状腺ホルモン (PTH) 又は P
E G結合 P TH誘導体に関するものである。
本発明における PTHは、 天然型の PTH、 遺伝子工学的手法で製造され た組換え PTH、 化学的に合成された PTHを包含し、 例として、 84アミ ノ酸残基よりなるヒト PTH (ヒト PTH ( 1 - 84) ) 、 特に遺伝子工学 的手法で製造された組換えヒト PTH ( 1 - 84) が挙げられる。 また PT
H誘導体とは、 前記の PTHの部分ペプチドや、 PTHそのものあるいはそ の部分ペプチドの構成アミノ酸を一部他のアミノ酸に置換したもの、 PTH そのものあるいはその部分ペプチドの構成アミノ酸の一部を欠失したもの、 および PTHそのものあるいはその部分ペプチドに 1種以上のアミノ酸を付 加したペプチドなどで、 天然由来の PTHと同様の生物学的活性を有するもの を意味する。 アミノ酸の一部を置換、 欠失及びノ又は付加したものとは、 部位 特異的突然変異誘発法等の周知の方法により置換、 欠失及び Z又は付加できる程 度の数のアミノ酸が置換、 欠失及び 又は付加されたものを意味する。 PTH の部分ペプチドとしては、 例えばヒト PTH (1 - 9) 、 ヒト PTH ( 1 - 1 1) 、 ヒト PTH ( 1 - 14) 、 ヒト PTH ( 1— 20) 、 ヒト PTH (1 -28) 、 ヒト PTH (1 - 34) 、 ヒト PTH (1— 35) 、 ヒト P TH (1 - 37) 、 ヒト PTH (1 - 38) 、 ヒト PTH (1— 64) 、 ヒ ト PTH (35 - 84) 、 ゥシ PTH (1 - 34) などが挙げられる。 PT H (1 - 34) とは PTHの N末端から 34番目のアミノ酸までの 34個の アミノ酸からなる PTHの部分ペプチドあるいはそのカルポキシ末端をアミ ノ化したもの (即ち、 ヒト PTH (1 - 34) -NH2) を示す。 また、 ァ ミノ酸置換の例としては、 8位の構成アミノ酸のロイシンやノルロイシンへ の置換、 18位の構成アミノ酸のロイシンやノルロイシンへの置換、 34位 の構成アミノ酸のチロシンへの置換などが挙げられる。
また、 WO 2001Z23521号、 W〇 2001 23427号、 W
〇 2000 31266号、 WO 2000 39278号、 W〇 01/8
141 5号、 Naoto Shimizu, J. Biol. Chem., Vol. 276, Issue 52, 49003-
49012, 2001に記載されている誘導体も用いることができる。
また、 PTH又は PTH誘導体として、 システィン残基を導入したもの、 す なわち PTH又は PTH誘導体の 1 又は複数のアミノ酸残基をシスティン残基 に置換した、 および または PTH又は PTH誘導体に 1 又は複数のシスティ ン残基を付加又は挿入した、 [Cy s] —PTH誘導体を用いることもできる。 システィン残基を導入する部位は特に限定されないが、 例えば、 システィン残基
は、 N末端以外の部位に導入されており、 例えば、 9位〜 C末端、 11位〜( 末 端、 14位〜〇末端、 20位〜( 末端、 あるいは 28位〜 C末端に導入されてお り、 特に C末端に導入されている。 例えば、 PTH (1-34) の C末端にシス ティン残基を付加した [Cy s 35] —PTH (1 -35) を用いることができ る。 ここで例えば、 9位〜 C末端へのシスティン残基の導入とは、 9位〜 C末端 のいずれかのアミノ酸残基のシスティン残基への置換、 9位と 10位との間〜 C 末端から 2番目のァミノ酸残基と C末端ァミノ酸残基との間のいずれかへのへの システィン残基の挿入、 および C末端アミノ酸残基へのシスティン残基の付加を 意味する。
本発明に用いる PTH又は PTH誘導体の純度は必ずしも 100%である必 要はなく、 これらの PTH又は PTH誘導体は実質的に純粋であればよい。 本発 明において 「実質的に純粋」 とは、 少なくとも HP LCにて単一ピークを示すよ うに精製されたものであり、 特に SDS— PAGE、 キヤピラリー電気泳動等の 手法を組み合わせて単一であることが確認されたものを意味する。 かかる P T H 類は特開平 6— 87897号公報 (米国特許第 5,208,041号に対応) に記 載された方法を用いて、 あるいは、 特表平 4一 505259号公報 (WO90Z
144 1 5号に対応) および J. Biol. Chem. , 265, 15854, 1990 に記載された 方法又はそれらの改良法を用いても製造、 確認することができる。
本発明において、 活性エステルを片末端に有する P E G誘導体を Ρ ΤΗ又は Ρ ΤΗ誘導体に反応させることにより、 PEGを結合させることができる。 本発明 において使用される PEG誘導体としては、 片末端をメトキシ化したものが挙げ られる。 また、 PTH又は PTH誘導体と結合させるために、 メトキシ化されて いない片末端に、 アミノ基若しくはチオール基と縮合するかまたはこれらに付加 可能な官能基を導入した P E G誘導体、 例えばサクシンィミジル低級脂肪酸エス テル化した PEG、 アルデヒド化した PEG、 ベンゾトリアゾールカーボネート 化した PEG、 グリシジルエーテル化した PEG、 ォキシカルボ二ルイミダゾ一 ル化した PEG、 ニトロフエニルカーボネート化した PEG、 イソシァネート化 した PEG、 例えばメトキシ PEG—サクシンィミジル低級脂肪酸エステル、 特
にサクシンィミジル ·プロピオン酸エステル化したメトキシ P EG (mP EG— S PA) 又はサクシンィミジル '酪酸エステル化したメトキシ P EG (mPEG 一 S BA) を使用することができる。 これら P EG誘導体をタンパク質中のアミ ノ基に結合させる方法としては、 米国特許第 5, 6 7 2,6 6 2号、 W09 6/1 1 9 5 3号、 WO 94/1 3 2 2 2号、 Cristina, M. et al., Bioconjugate Chem, 6: 62-69, 1995、 Charles, O. Beuchamp, et al., Anal Biochem, 131: 25-33, 1983、 Steven, M. Chamow et al., Bioconjugate Chem, 5: 133-140, 1994に記載の方法などを用いること ができる。
また、 マレイミド化、 ビニルスルホン化、 オルソピリジルジスルフイ ド化、 あ るいはョードアセトアミド化などした P EG誘導体を使用することもできる。 こ れらは、 PTHの末端あるいはァミノ酸配列中にシスティン残基を付加するか又 はシスティン残基で置換した PTH誘導体に、 PEGを結合させるために用い、 P E G結合部位を特定することができる。 特定の位置にシスティン残基を付加す るか又はシスティン残基で置換したタンパク質に P E Gを結合させる方法として は、 特表平 4 _ 5 048 0 1号公報 (W〇9 0/1 2 8 74号に対応) 、 W〇 9 9Z0 3 8 8 7号、 WO 0 0Z42 1 7 5号公報に記載の方法を用いることがで きる。 これらの方法によって得られる本発明の P EG結合 PTH又は P EG結合 PTH誘導体は、 例えば PTH又は PTH誘導体 1分子当たり 1〜4分子の P E Gが結合している。 モノ—メトキシ P EG— PTH (mono-mPEG-PTH) は、 PTH又は PTH誘導体 1分子当たり、 1分子の P EGが結合している。
例えば、 [C y s 35] - PTH ( 1 - 3 5) の C末端に P E Gを結合させる と、 ァミノ基に P EGをランダムに結合させる場合に比べて、 活性 (例えば ώ vitro c AMP産生能) がより高く、 品質 (例えば品質規格) も均一性が高く、 有用性が高い。 PEGの結合位置をコントロールしない場合、 ?£0が1^末端、 又は 1 3位、 2 6位若しくは 2 7位の L y sに結合するものが多い。 このように 結合位置をコントロールしないで作製した P EG結合 PTHなどでは、 C末端に 結合したものに比べて、 in vivo 及び in vitro ( P TH受容体を高発現して いない細胞) の試験において活性がやや低下する傾向がある (データは示してい ない) 。
修飾に使用される P E Gの分子量は、 得られる P E G結合 P THなどに要求さ れる薬効持続効果の程度と副作用の程度、 及び PTH活性の低下の程度等により 適宜変更することができるが、 PEG 1分子の分子量は、 l kDa以上 20 kD a未満、 好ましくは 1 kDa以上 5 kDa以下、 さらに好ましくは 2 k D a以上 5 kD a以下、 特に 2 kDaである。 P E Gは直鎖型だけでなく分枝型あるいは 星型等でも使用可能である。
本発明において、 PEGは、 PTH又は PTH誘導体中の 1又は複数箇所に結 合しており、 好ましくは 1〜4箇所に結合している。 結合部位は特に限定されな いが、 例えば、 PEGは、 N末端以外の部位に結合しており、 例えば、 9位〜 C 末端、 11位〜 C末端、 14位〜。末端、 20位〜〇末端、 あるいは 28位〜 C 末端に結合しており、 特に C末端に結合している。 これまで、 PTH (1 -9) 、 PTH (1- 11) 、 PTH (1- 14) 、 PTH (1-20) にも PTH活性 が確認されている (Luck, MD. et al" Mol. Endocrinol. 1999, 13, 670-680; Shimizu, M. et al" J. bio. Chem.2000, 275, 21836-21843; Shimizu, M. et al" Biochemistry 2002, 41, 13224-13233) 。 また、 PTH (1— 27) は PTH (1 - 28) に比較し、 活性が弱いことが知られている (Takasu, H. et al., Biochemistry, 38, 13453-13460, 1999) 。 したがって、 28位〜 C末端に PEG が結合した P T Hが好ましい。
P TH又は P TH誘導体に P E G結合部位を導入し、 この P E G結合部位を介 して PTHを結合させてもよい。 PEG結合部位にはシスティン残基が含まれる。
PEG結合PTHなどの精製には、 PEG デキストラン 2相分配、 ゲル濾過 クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、 疎水性クロマトグラフィ 一、 逆相クロマトグラフィー、 ァフィ二ティ一クロマトグラフィーなどを用いる ことができる。
実施例 1において、 分子量が 2 k、 5 k及び 20 kD aの PEGを結合させた P TH、 即ち 2k PEG-PTH, 5k PEG-PTH及び 20k PEG-PTHの調製例を示す。 実施例 2においては、 これらの PEG結合 PTHが、 PTH活性の 1つである c AMP産生能を保持することを明らかにする。 実施例 3においては、 これらの P EG結合 PTHが PEGの分子量に応じた血中濃度推移を示すのみならず、 BA
が P E Gを結合していない P THに比べて著しく改善したことを明らかにする。 また、 実施例 4で詳述するように、 副作用として問題になる血中カルシウム濃度 上昇作用は、 2k及び 5k PEG-PTHでは PEGを結合しない PTHと大きく変 わることがないが、 20k PEG-PTHでは血中カルシウム濃度上昇作用が強く、 更に上昇した血中カルシウム濃度が長時間持続する傾向があり、 5 kDa以下の P EGを結合させた PEG結合 PTHは、 WO 01/81415号の F cドメ インを結合させた PTHに比べてより安全であることを明らかにする。 また、 5k PEG-PTHでは、 通常の骨量増加作用を有する PTHと若干異なる挙動を示 すことも明らかにする。 更に、 実施例 5で詳述するように、 PTHの副作用の 1 つである血圧低下作用について、 5k PEG-PTH を用いて調べ、 PEGを結合し ない P THに比べて血圧低下が非常に低いことを明らかにする。 実施例 6では、 PEGの結合位置をコントロールして 2 kD aの PEGを結合させた PTHが、 骨密度増加作用を示すことを明らかにする。
さらに、 本発明は、 上記 PEG結合 PTH又は PEG結合 PTH誘導体を含有 する PEG結合 PTH組成物、 及び薬効を保つのに有効な量の上記 PEG結合 P TH又は P E G結合 P TH誘導体を有効成分として含有する P TH製剤に関する ものである。
本発明の PEG結合 PTH又は PEG結合 PTH誘導体、 例えばモノーメトキ シ PEG— PTHを用いることにより、 高い B Aによって薬効と副作用のコント ロールが容易になり、 かつ、 PTH投与による血圧低下に起因する副作用が抑え られ、 また血中カルシウム濃度の過度の上昇もない、 安全かつ効果的な骨粗鬆症 治療が可能になる。 したがって、 PTHの長期投与が必要な患者が被る嘔気 '頭 痛等の副作用による肉体的及び精神的苦痛を軽減または解消し、 患者の生活の質
(QOL) の向上が可能になる。 さらに苦痛が少なく効果的な治療法を提供する ことで患者の治療に対するコンプライアンスが向上し、 骨粗鬆症に起因する骨折 患者が減少して、 老人医療のコスト抑制を可能にする。
?£0結合?丁11又は?£0結合?丁?1誘導体は、 例えば皮下注射では 1日 1 回、 あるいは週 1〜2回の投与が可能であり、 例えば皮下注射では 1日 1回の投 与量は、 例えば成人の場合、 1人当り l〜200 g、 好ましくは 5〜 100M
g、 さらに好ましくは 5〜 50 gとなることが予測される。
本発明による PEG結合 PTH又は PEG結合 PTH誘導体は、 皮下注射、 静 脈内注射、 経粘膜投与 (例えば経肺、 経鼻など) 、 経皮投与などの投与経路によ り患者へ投与することができる。
採用する投与方法にあわせて、 溶液製剤、 凍結乾燥製剤、 プレフィルドシリン ジ、 無痛針あるいは無針型皮下投与製剤、 イオントフォレシスあるいは皮内埋め 込み型の徐放製剤 (例えばマイクロカプセル、 高分子ミセル、 高分子を含むゲル 化製剤、 リボソームなど) などに製剤化することが可能である。 本発明の PTH 製剤は、 従来の PTH又は PTH誘導体よりも安定な製剤を提供することができ ることから、 従来のものよりも更に有用である。
実施例
以下の実験例により本発明をさらに詳細に説明するが、 本発明はこれらにより 何ら限定されるものではない。 実施例 1
(1) PEG-PTH の調製 (in vitro活性試験および B A試験用試料)
20 mM 酢酸バッファー (pH 5.0) に溶解させた 1 mg/mL hPTH (1-34) 溶液 2.16 mL、 1.35 mL 及び 1.08 mL に、 それぞれ mPEG 2k - SPA 21.1 mg、 mPEG 5k- SPA 37.0 mg及び mPEG 20k-SPA 106.1 m をそれぞれ溶解し、 室温下に 2時間穏 やかに振とうした。 得られた溶液に、 20 mM酢酸バッファー (ρΗ 4·0) をそれぞ れ 1.84 mL、 0.7 mL及び 3 mL加え、 陽イオン交換クロマトグラフィーに供した。 mPEG 5k-SPA と P THを反応させた混合液は、 陽イオン交換クロマトグラフィー に供する前に、 20 mM 酢酸バッファー (pH 4.0) で平衡化した PD— 1 0に通し て溶媒置換を行った。 陽イオン交換クロマトグラフィーの条件を以下に示す。
カラム: Resource S、 1 mL (Amersham Pharmacia Biotech)
移動相 A: 20 mM酢酸バッファ一 (pH 4.0)
移動相 B : 20 mM酢酸バッファー (pH 4.0) /\ M NaCl
溶出プログラム: 0〜1 0分 (100%移動相 A)
2 5分 (90%移動相 B)
2 5. 5分 (100%移動相 B)
溶出速度: 2 mL/min.
1分子の PEGが結合した mono- 2k PEG_PTH、 mono- 5k PEG- PTH及び mono- 20k PEG-PTH画分をそれぞれ分取し、 セントリコン— 3、 1 0及び 30で濃縮して、 それぞれ 445 g、 456 及び 239 (hPTH (1-34) 相当量) 得た。 得られた試 料のうち、 5k PEG-PTH及び 20k PEG- PTHについては PhastGel Homogeneous 20
(図 1 a) を、 2k PEG-PTHについては PhastGel High Density (図 1 b) を用い て SDS— PAGEを行い、 銀染色した。 図中、 レーン Mは分子量マーカー (2512, 6214, 8159, 10700, 14404, 16949 Da) を、 レーン Pは未反応 P THを、 レーン 1は mono-20k PEG- PTHを、 レーン 2は陽イオン交換クロマトグラフィー に供する前の 20k PEG-PTH反応混合液を、 レーン 3は mono-5k PEG-PTHを、 レ一 ン 4は陽イオン交換ク口マトグラフィ一に供する前の 5k PEG-PTH反応混合液を、 レーン 5は陽イオン交換クロマトグラフィーに供する前の 2k PEG- PTH反応混合 液を、 レーン 6は mono- 2k PEG- PTHを、 レーン 7は mono-及び di- 2k PEG-PTH混 合画分を、 レーン 8は di-2k PEG- PTHを表す。
(2) PEG-PTH の調製 (血圧低下抑制試験用試料)
20 mM 酢酸バッファー (pH 5.0) に溶解させた 1 mg/mL hPTH (1-34) 溶液 0.54 mLに、 9.63 mgの mPEG 5k-SPAを溶解し、 室温下に 2時間穏やかに振とう した。 得られた溶液に、 20 mM酢酸バッファ一 (pH 4.0) を 3.5 mL 加え、 陽ィ オン交換クロマトグラフィーに供した。 陽イオン交換クロマトグラフィーの条件 は上記 (1) の場合と同様である。 1分子の PEGを結合させた mono- 5k PEG- PTH画分を分取し、 セントリコン— 1 0で濃縮して 194 (hPTH (1-34) 相当 量) を得た。 得られた試料について PhastGel Homogeneous 20を用いて SDS— PAGEを行い、 銀染色した。 結果を図 2に示す。 図中、 レーン Mは分子量マー カーを、 レーン Pは未反応 PTHを、 レーン 1は陽イオン交換クロマトグラフィ 一に供する前の 5k PEG-PTH反応混合液を、 レーン 2は mono-5k PEG-PTHを、 レ ーン 3は di-5k PEG-PTHを、 レーン 4は tri_5k PEG- PTHを表す。
( 3 ) mPEG 2k-[Cys35]-PTH (1-35) の調製
70.5 mgの [Cys35]-PTH (1-35) を、 33.488 mLの 100 mMクェン酸ナトリゥ ム ZlO mM EDTA (pH 4.0) 溶液に溶解した。 この溶液に 1.763 mLの 20 mM トリス (2—カルポキシェチルホスフィン) 塩酸塩溶液を加えた。 さらに、 1.102 gの mPEG 2k-MAL (2 kDa PEG—マレイミド) を加えて溶解し、 室 温下に 4時間静置した。 3.525 mLの 220 mMジチオスレィトールを加えて反応 を停止させた後、 PD— 1 0カラムを用いて溶媒を 20 mM酢酸ナトリウム (pH 4.0) に置換した。 得られた溶液を 8回に分けてイオン交換クロマトダラ フィー (条件は以下に示す。 ) に供し、 それぞれ mPEG 2k-[Cys35]-PTH (1-35) 溶出画分を分取した。
刀フム: Resource S、 6
溶出液: 20 mM酢酸ナトリウム
濃度勾配: 0~1 M NaCL 1 0分
検出器: UV、 吸光度 280 nm
分取した画分を濃縮し、 280 nmにおける吸光度から [Cys35]-PTH (1-35)換算 濃度を算出した。 得られた mPEG 2k-[Cys35]-PTH (1-35) は、 [Cys35]-PTH (1- 35)換算で 48.5 mg (収率 68.8%) であった。 実施例 2
PEG-PTH分子の in vitro における c AMP産生能の測定
各 PEG-PTH について、 PTHの骨増加作用の指標となる c AMP産生能を以 下の方法で測定した。 ブ夕腎臓由来の細胞である L LC-PK 1細胞にヒト P T H 1受容体を遺伝子的に過剰発現させた細胞である HKRK—B 7細胞及び H K RK-B 64細胞 (1細胞あたりヒト PTH 1受容体をそれぞれ約 1 X 1 06個 及び 9 X 1 04個発現) 、 並びに EW2 9 (1細胞あたりラット PTH 1受容体 を約 1 . 9 X 1 0 5個発現) (高須ら、 J. Bone. Miner. Res. 14: 11-20, 1999) を、 10%FBS、 1%ペニシリン及び 1%ストレプトマイシン含有 DMEMで 培養した。 これらの細胞を 96穴プレートに 1ゥエルあたり 1 X 1 05細胞蒔き
こみ、 一晩放置した。 次の日に、 200 μΐ の結合バッファー (50 mM Tris-HCl/ 100 mM NaCl/5 mM KC1/2 mM CaCl2Z5%非動化ゥマ血清 Z0.5%非動化ゥシ血 清、 pH 7.7) で細胞を一度洗浄し、 氷上にて 100 μΐ の c AMPアツセィバッフ ァ一 (DMEMZ2 mM 3 Γノブチル _ 1ーメチルキサンチン Zl mg/mL ゥシ 血清アルブミン/ ^35 mM HEPES- NaOH、 pH 7.4) を加えた。 次に結合バッファーで 各濃度に調整した hPTH (1-34)及び実施例 1で調製した PEG- PTH をそれぞれ 50 μΐ 加え、 細胞を 3 7 :の水浴に載せて 20分間放置した。 反応液を除去し、 パ ウダ一状にしたドライアイス上にプレートを載せて細胞を凍結させた後、 プレー トをドライアイス上からはずし、 50 μΐの 50 mM HC1 を加えて細胞を融解させ、 再度ドライアイス上に載せて細胞を凍結させた。 細胞中の c AMP量は、 市販の E I Aキット (Biotrak cAMP EIA system, アマシャム社製) を用いて測定した。 hPTH (1-34) 及び各 PEG-PTH (1-34) 分子の、 HKRK_ B 7細胞内における c AMP産生能を表 1に示す。 hPTH (1-34) の EC5 ()値は 1.5 nMであったのに 対して、 2k PEG-hPTH (1-34) 及び 5k PEG-hPTH (1-34) の EC 5。値はそれぞれ 0.7 nM及び 1.6 nMであった。 このことから、 5 k D a以下の P E Gを P THに 結合させても c AMP産生能にはほとんど影響がないことが示された。 一方、 20k PEG-hPTH (1-34) の EC 5。値は 11 nMであり、 c AMP産生能の低下が認 められたが、 活性を保持していることが示された。
PEG-hPTH (1-34) の c AMP産生能
EC AM P応答 ペプチド 50 最大 C
(nM) (pmol/wel 1) hPTH (1-34) 1.5 121.3
2k PEG-hPTH (1-34) 0.7 141.2
5k PEG-hPTH (1-34) I.6 136.0
20k PEG-hPTH (1-34) II.0 122.3
次に、 [Cys35]-hPTH (l-35)及び各 PEG-[Cys35]-PTH (1-35) 分子の細胞内 c AMP産生能を表 2に示す。 ヒト PTH 1受容体を高発現している HKRK— B 7細胞においては (1) 、 hPTH (1-34)の EC5。値は 0.4 nMであったのに対し て、 2k及び 5k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) の EC5。値はそれぞれ 0.5 nM及び 0.9 nMであり、 c AMP産生能はほとんど低下しなかった。 一方、 20k PEG- [Cys35]- PTH (1-35)の EC5。値は 2.7 nMであり、 c AM P産生能の低下が認め られた。
ヒト PTH 1受容体の発現量が少ない HKRK— B 64細胞においては (2) 、 hPTH (1-34) の EC5。値は 0.3 nM であったのに対して、 2k及び 5k PEG- [Cys35]-hPTH (1-35)の EC5。値はそれぞれ 0.6 nM及び 1.0 nMであり、 c AM P産生能はあまり低下しなかった。 一方、 20k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) の EC5。値は 8.0 nMであり、 C AM P産生能の低下が認められた。
ラット PTH1受容体を発現している EW29細胞においても同様の傾向が認 められた (3) 。 hPTH (1-34)の EC50値は 0.2 nMであったのに対して、 2k及 び 5k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35)の EC5()値はそれぞれ 2.2 nM及び 3.5 nMであ り、 c AMP産生能の低下は 10〜 20分の 1程度であった。 一方、 20k PEG- [Cys35]- PTH (1-35)の EC50値は 9.1 nMであり、 c AM P産生能の大幅な低下 が認められた。
このことから、 5 kD a以下の PEGを PTHに結合させる場合は、 cAMP 産生能はある程度保持されるが、 それ以上の分子量の PEGを結合させると c A M P産生能が顕著に低下することが認められた。
表 2 PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) の c AM P産生能 ( 1 ) HK R K—B 7細胞
EC 50 最大 cAMP応答 ペプチド
n (nM) (pmol/well) hPTH - 34) 3 0.4 + 0.1 128.2 ± 14.3
[Cys35]-hPTH (1-35) 3 0.7 + 0.3 130.7 ± 15.2
2k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 3 0.5 + 0.1 109.3 ± 10.1
5k PEG-[Cys35]-hFTH (1-35) 3 0.9 + 0.4 122.7 ± 11.5
20k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 2 2.7 + 0.7 131.1 ± 7.5
( 2 ) HK R K - B 6 4細胞
EC50 最大 cAMP応答 ペプチド
n (nM) (,pmol/ eli hPTH Π-34) 3 0.3 0.03 72.2 + 18.8
[Cys35]-hPTH (1-35) 3 0.3 0.04 70.6 + 19.5
2k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 3 0.6 0.4 65.4 + 19.4
5k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 3 1.0 + 0.6 66.6 + 17.4
20k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 2 8.0 + 7.4 79.6 + 14.6
( 3 ) EW 2 9細胞
EC50 最大 CAMP応答 ペプチド n (nM) (pmol/well) hPTH (1-34) 3 0.2 + 0.01 57.0 + 4.2
[Cys35]-hPTH (1-35) 3 0.3 + 0.06 50.4 + 9.7
2k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 3 2.2 + 1.6 52.2 + 12.3
5k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 3 3.5 1.2 52.5 + 14.1
20k PEG-[Cys35]-hPTH (1-35) 2 9.1 0.9 59.4 + 12.9
実施例 3
PEG-PTH (1-34) のラットにおけるバイオアベイラビリティ
実施例 1で作製したモノ PEG-PTH (1-34) を用いて、 ラットにおけるバイオ アベイラビリティを測定した。
各サンプルは、 100 mmol/L NaCl及び 0.05 vol% Tween 20を含有する 25 mmol/L クェン酸—リン酸緩衝液 (pH 5.0) を用いて 80 g/mLとなるように希 釈し、 投与溶液とした。 6週齢の雄性 S D系ラット (日本クレア社製) を実験に 供した。 静脈内投与は、 大腿動脈、 大腿静脈にポリエチレンチューブ (S P— 3 1、 夏目製作所製) を挿入したラットを用いて行った。 投与溶液を 1 mL/kg の 投与用量で大腿静脈に挿入したポリエチレンチューブを介して投与し、 投与前、 並びに投与後 5、 1 5、 3 0、 4 5分、 及び 1、 2、 4、 6、 8、 2 4時間に大 腿動脈に挿入したポリエチレンチューブより血液を採取した。 皮下投与は、 大腿 動脈にポリエチレンチューブを挿入したラットを用いて行った。 投与溶液を 1 mL/kgの投与用量でラッ卜の類背部皮下に投与し、 静脈内投与の場合と同様に 血液を採取した。 血液を遠心分離して得られた血漿は、 PTH (1-34) または PEG-PTH (1-34) の濃度を測定するまで— 4 0 °Cで保管した。
PTH (1-34) または PEG-PTH (1-34) の濃度測定は、 Rat PTH IRMA Ki t (I誦 utopics 社製) を用いて R I A法により行った。 放射活性は、 コブラ クヮ ンタム 5 0 0 5型ガンマ一カウンタ一 (パッカード社製) を用いて測定した。 血 漿中の PTH (1-34) または PEG-PTH (1-34) の濃度は、 PTH (1-34) または PEG-PTH (1-34) を用いて作成した検量線を用いて算出した。 得られた血漿中 の PTH (1-34) または PEG-PTH (1-34) の濃度の時間推移を Winnonl in (Ver. 2. K Sc ient i f i c Consul t ing Inc. ) を用いて解析し (図 3 :静脈内投与、 及び図 4 :皮下投与) 、 薬物速度論的パラメータとして最高血漿中濃度への到達 時間 (Tmax) 、 最高血漿中濃度 (Cmax) 、 血漿中濃度曲線下面積 (AUC) 、 血漿中半減期 (tl/2) 、 全身クリアランス (Cltotal) 、 平均体内滞留時間 (MRT) 、 バイオアベイラビリティ (BA) を算出した。 結果を表 3 (静脈内投 与) 及び表 4 (皮下投与) に示す。
皮下投与時の BAは、 PTH (1-34)で約 13.6%であったのに対し、 2 k D a、
または 5 k D aの P E Gを結合させることにより、 それぞれ約 56.1%、 71.0% に上昇し、 P E Gを結合させることによって、 10数%であった P THの BAが 50%を超えることが可能になつた。
このことから、 結合させる P E Gの分子量を変えることにより、 血中への吸収 時間、 血中滞留性、 およびバイオアベイラビリティを制御することが可能である と考えられた。 表 3 PTH (1-34) 及び PEG-PTH (l-34) の薬物速度論的パラメ一夕
(静脈内投与)
AUC tl/2 MRT Cltotal
(pg ' h/mL) (h) ( ) (mL/h/kg)
PTH (1-34) 21659 0.231 0.211 3700.3
2k PEG-PTH (1-34) 95781 1.128 0.465 841.7
5k PEG-PTH (1-34) 178547 5.706 2.578 449.4
表 4 PTH (1-34) 及び PEG-PTH (1-34) の薬物速度論的パラメ一夕
(皮下投与)
Tmax Cm ax AUC t 1/2 MRT BA
(h) (h) (pg-h/mL) (h) (h) (%)
PTH (1-34) 0.194 5551 2944 0.349 0.546 13.6
2k PEG-PTH (1-34) 0.300 35419 53780 1.231 1.684 56.1
5k PEG-PTH (1-34) 0.813 36305 126793 6.758 5.706 71.0
20k PEG-PTH (1-34) 7.000 127263 2693945 11.346 18.93
実施例 4
PEG-PTH の正常マウスにおける血中カルシウム濃度上昇作用
( 1 ) PEG-PTH (1-34)
正常マウスにおける PEG-PTH (1-34) の血中カルシウム濃度上昇作用の有無 について、 以下の方法で検討した。 hPTH (1-34) を、 25 mmol/L リン酸ークェ ン酸緩衝液/ 00 mmol/L NaCl/0.05% Tween 80溶液 (pH 5.0) を用いて希 釈し、 100、 30、 10 nmol/mLに調製した。 2k及び 5k PEG-PTH (1-34) も同様 に 30 nmol/mL ( P TH相当量) に調製し、 投与直前まで氷冷放置した。
5週齢の雄 B D F 1マウス (日本チヤ一ルス · リバ一株式会社) の体重を測定 した。 薬剤投与直前に眼窩よりへパリンコートしたキヤビラリに血液を採取し、 薬剤投与前の血中イオン化カルシウム濃度及び P Hを、 C a 2 +Z p H測定機 ( 3 4 8型ノバイエルメディカル) にて測定し、 p H 7 . 4の時の補正イオン化 カルシウム濃度を得た。 緩衝液、 並びに 500、 150及び 50 nmol/kgの hPTH (1- 34) は一群 6匹ずつ、 150 nmol/kgの 5k PEG-PTH (1-34) は 3匹、 150 nmo/kg の 2k PEG-PTH (1-34) は 1匹に、 各薬剤 5 mL/kgの用量にて皮下投与した。 投与後 1、 3、 6時間に眼窩採血を行って補正血中イオン化カルシウム濃度を経 時的に測定した。 投与前及び投与後の補正イオン化カルシウム濃度の経時変化を 平均値土標準誤差で図 5 ( a ) に示す。
その結果、 イオン化カルシウム濃度の最大値はどれも同程度であり、 hPTH (1-34) と PEG-PTHの血中濃度推移 (図 4 ) および AUC (表 4 ) の違いに比べ て大きな違いがなく、 従って、 P E Gを結合させることによって血中カルシウム 濃度が急激に上昇することはないと考えられた。
詳細にイオン化カルシウム濃度の推移をみると、 緩衝液投与群のイオン化カル シゥム濃度は徐々に低下したが、 hPTH (1-34) は全ての用量で投与後 1時間に 最大の血中イオン化カルシウム濃度上昇を示し、 その後低下した。 2k PEG- PTH (1-34) も投与後 1時間で最大の血中イオン化カルシウム濃度上昇を示し、 3時間まで持続してその後低下した。 2k PEG-PTH (1-34) と hPTH (1-34) を比 較した場合、 150 nmol/kgの 2k PEG-PTH (1-34) は、 500 nmol/kgの hPTH - 34) とほぼ同程度のイオン化カルシウム濃度上昇を示した。 一方、 150
nmol/kg の 5k PEG-PTH (1-34) の血中イオン化カルシウム濃度の変化は、 hPTH (1-34)や 2k PEG-PTH (1-34) と異なり、 投与後徐々に上昇して 3時間で hPTH (1-34) と同程度の最大値を示し、 その後持続する傾向が認められた。
5週齢の雌 D D Yマウス (日本チヤ一ルス 'リバ一株式会社) についても同様 の実験を行った。 緩衝液、 並びに 500、 150及び 50 nmol/kgの hPTH (1-34) は 一群 6匹ずつ、 150 nmol/kgの 5k PEG-PTH (1-34)は 3匹に、 各薬剤 5 mL/kg の用量にて皮下投与した。 投与後 1、 3、 6時間に眼窩採血を行って補正血中ィ オン化カルシウム濃度を経時的に測定した。 投与前及び投与後の補正イオン化力 ルシゥム濃度の経時変化を平均値土標準誤差で図 5 ( b ) に示す。
緩衝液投与群のイオン化カルシウム濃度は徐々に低下したが、 hPTH (1-34) は全ての用量で投与後 3時間に最大の血中イオン化カルシウム上昇を示し、 その 後低下した。 一方、 150 nmol/kgの 5k PEG-PTH (1-34)の血中イオン化カルシ ゥム濃度の変化は、 投与後徐々に上昇して 3時間で 500 nmol/kgの hPTH (1-
34) と同程度の最大値を示し、 その後持続する傾向が認められた。
( 2 ) PEG-[Cys35]-PTH (1-35)
正常マウスにおける PEG-PTH (1-35)の血中カルシウム濃度上昇作用の有無 について、 以下の方法で検討した。 hPTH (1-34) を、 25 mmol/L リン酸—クェ ン酸緩衝液 100 mmol/L NaCl/0.05% Tween 80溶液 (pH 5.0) を用いて希 釈し、 100、 30、 10 nmol/mLに調製した。 2k、 5k及び 20k PEG-[Cys35]-PTH (1-35) も同様に 30、 10、 2 nmol/mL ( P TH相当量) に調製し、 投与直前まで 氷冷放置した。
6週齢の雌 D D Yマウス (日本 S L C株式会社) を用いて上記 (1 ) と同様に して p H 7 . 4の時の補正イオン化カルシウム濃度を得た。 緩衝液は一群 5匹、 500 nmol/kgの hPTH (1-34)は一群 4匹、 150及び 50 nmol/kgの hPTH (1-34) は一群 5匹ずつ、 並びに 150 nmol/k の 2k、 5k及び 20k PEG-[Cys35]-PTH (1-
35) は一群 4匹ずつ、 50及び 10nmol/kgは一群 5匹ずつに、 各薬剤 5 mL/kgの 用量にて皮下投与した。 投与後 1、 3、 6、 9、 2 4時間に眼窩採血を行って補 正血中イオン化カルシウム濃度を経時的に測定した。 投与前及び投与後 2 4時間
までの補正血中ィオン化カルシウム濃度を表 5に示す。
緩衝液投与群のイオン化カルシウム濃度は経時的に若干の変動は認められたが、 大きな変化は認められなかった。 それに対し、 hPTH (1-34) は投与後 1時間で 上昇し、 投与後 3時間で最大値を示し、 その後低下した。 2k及び 5k PEG- [Cys35]-PTH (1-35) は、 投与後 3時間で最大の血中イオン化カルシウム濃度上昇 を示し、 6時間まで持続してその後低下した。 20k PEG-[Cys35]-PTH (1-35) は 投与後 3時間で高い値を示し、 投与後 9時間でも緩衝液投与群よりも明らかに高 い値を示した。
また、 投与から 2 4時間後の血中イオン化カルシウム濃度を見ると、 20k PEG-[Cys35]-PTH (1-35)投与群では、 全ての用量で非常に高い血中イオン化力 ルシゥム濃度を示しており、 高カルシウム血症を呈していることが明らかとなつ た。
このように、 5 k D a以下の P E Gを P T Hに結合させた場合、 血中イオン化 カルシウム濃度上昇作用は、 hPTH (1-34) と比較して若干持続する傾向は認め られるが、 最大値はそれほど変わらないのに対して、 2 0 k D aの P E Gを結合 させると、 高カルシウム血症を呈することが明らかとなった。
表 5 正常マウスにおける、 hPTH (l-34)、 並びに 2k、 5k及び 20k PEG-[Cys35]-PTH (1-35)投与による 血中イオン化カルシウム濃度の経時変化
実施例 5
PEG-PTH (1-34) の麻酔下ラッ卜における血圧低下作用
PEG-PTH (1-34) の副作用の有無を調べるため、 麻酔下ラッ卜における血圧 低下作用を以下の方法で測定した。 hPTH (1-34) (株式会社ペプチド研) は 25 mM リン酸ークェン酸緩衝液で 2.5 mg/mLに調製し、 使用するまで— 2 0 °C以 下にて冷凍保存した。 試験当日に、 2.5 mg/mL hPTH (1-34) を 25 mM リン酸 —クェン酸緩衝液/ ^OO mM NaClZO.05% Tween 80溶液 (pH 5.0) にて希釈 し、 50、 25及び 12.5 g/mL に調製した。 実施例 1 ( 2 ) で調製したモノ—メ トキシ 5k PEG-PTH (1-34) も同様に 36.5、 18.3及び 9.1 g/mL (PTH (1-34) 相当量) に調製した。 調製後は氷冷にて保存し、 投与約 3 0分前に室温に戻した。
1 0週齢の雌 S Dラット (日本チヤ一ルス · リバ一株式会社) をペントバルビ タール ナトリウム (アボットラボラトリーズ) の腹腔内投与 (50 mg/kg) によ り麻酔し、 大腿動脈に血圧測定用カテーテルを、 大腿静脈に維持麻酔用力テ一テ ルを挿入した。 維持麻酔はシリンジポンプ (テルモ株式会社) を使用し、 生理食 塩液 (大塚製薬株式会社) で溶解した粉末状のペントバルビタール ナトリウム
(東京化成工業株式会社) を 22. 5 mg/kg/hourの速度で持続投与することにより 行った。 なお、 血圧測定用カテーテルには、 生理食塩液にて 1 00 U/mL に希釈し たへパリンナトリウム (ノポ · ノルディスク A/ S ) を充填した。 全身血圧は、 血圧測定用カテーテルに装着した圧力トランスデューサー (日本光電工業株式会 社) の信号を血圧用アンプ (日本光電工業株式会社) に入力して測定し、 平均血 圧を指標とした。 心拍数は、 全身血圧の出力を瞬時心拍計ユニット (日本光電工 業株式会社) に入力して測定した。 以上のパラメ一タは、 熱ペン式レコーダ一
(グラフテック株式会社) 上に 5 mm/mi n の速度で連続的に記録した。 手術終了 後、 試験物質投与用注射針を背部皮下に挿入し、 各パラメータが安定した後、 薬 剤の投与を行った。 各群 4匹ずつのラットを使用し、 hPTH (1 -34) を 50、 25 及 び 12. 5 g/kg、 5k PEG-PTH (1 -34) を 36. 5、 18. 3及び 9. 1 g/kgの投与量で 1 mL/kg の用量にて皮下投与し、 投与後 9 0分まで血圧をモニターした。 投与後 2 0分までの血圧の経時変化の代表例を図 6に示す。 上から陰性対照物質 (緩衝 液) 、 50 g/kgの hPTH (1 -34) , 36. 5 g/kgの 5k PEG-PTH (1 -34) をそれぞれ
投与した場合の血圧変化を示す。 また、 P T H投与前の平均血圧値と投与後最大 血圧低下を示した値を計測し、 平均血圧値と最大血圧低下値との差を求めた。 結 果を平均値土標準誤差として図 7に示す。 縦軸は最大血圧低下 (讓 Hg) 、 横軸 は P THの投与量であり、 固は緩衝液、 譬は hPTH (卜 34)、 ▲は 5k PEG-PTH (卜 34)を示す。
hPTH - 34)は投与直後に強い血圧低下作用を示すのに対し、 5k PEG-PTH (1-
34) は投与後の血圧低下作用が緩やかであった (図 7 ) 。 また、 hPTH (1-34) は 12. 5 g/kgから 50 μg/ g まで用量依存的に血圧低下作用を示すのに対し、 5k PEG-PTH (1-34) の血圧低下作用は弱く、 特に高投与量の塲合、 hPTH (1-34) と 比較して非常に弱いことが示された (図 7 ) 。 実施例 6
O V Xラットにおける 2k PEG-[Cys35]-PTH (l-35)の骨量増加作用
O V Xラッ卜における 2k PEG-[Cys35]-PTH (1-35) の骨量増加作用を以下の 方法で検討した。 hPTH (l-34)、 [Cys35]-hPTH (1-35)、 2k PEG-[Cys35]-PTH (1-
35) を 25 mmol/L リン酸—クェン酸緩衝液 100 mmol/L NaCl/0.05 % Tween80溶液 (pH 5.0) を用いて希釈し、 hPTH (1-34)、 [Cys35]-hPTH (1-35) は 10 nmol/mLに、 2k PEG-[Cys35]-PTH (1-35) は 120 nmol/mlに調製分注し、 使用時まで— 8 0 に保存した。
7週齢のメス S D _ I G Sラット (日本チヤ一ルス · リバ一株式会社) を用い、 6 0匹のラットには両側卵巣摘出術 (〇V X) を、 7匹のラットには偽手術を施 した。 2週間後に卵巣摘出群の体重を測定し、 1群 6匹で各群の個体の平均体重 が均等になるようにラットを振り分けた。
hPTH (1-34)、 [Cys35]-hPTH (1-35)、 2k PEG-[Cys35]-PTH (1-35) を緩衝液で 希釈し、 hPTH (1-34)、 [Cys35]-hPTH (1-35) はそれぞれ 10、 2.5及び 0.625 nmol/mLに、 2k PEG-[Cys35]-PTH (1-35) は 120、 30及び 7.5 nmol/mLになる ように調製した。
次に、 偽手術群 7匹には緩衝液を投与し、 卵巣摘出群については各群 6匹に、 緩衝液、 hPTH (l-34)、 [Cys35]-hPTH (1-35) (10、 2.5及び 0.625 nmol/kg) 、
2k PEG-[Cys35]-PTH (1-35) (120、 30及び 7.5 nmol/kg) をそれぞれ投与した。 投与用量は 1 ml/kgとし、 週 5回 4週間、 皮下投与を行った。 投与最終日にラッ トを代謝ケージに収容し、 24時間蓄尿を採取するとともに、 投与最終日翌日、 麻酔下放血によりラットを安楽死させた後、 剖検を行い、 血液、 腰椎および大腿 骨を採取した。 尿および血液はチューブにとり、 遠心分離により上清を採取し、 パラメ一夕一測定まで一 20 に保存した。 腰椎および右大腿骨は 70%ェタノ ール中に保存した。 腰椎 (第二から第五腰椎) の平均骨密度及び右大腿骨の骨密 度を二重 X線骨塩量測定装置 (DCS— 600 EX、 ァロカ) を用いて測定した。 hPTH (1-34), [Cys35]-hPTH (1-35)及び2 k PEG-[Cys35]-PTH (1-35)の、 腰 椎の平均骨密度増加作用を図 8 (a) に、 右大腿骨骨密度増加作用を図 8 (b) に示す。
卵巣摘出群は、 腰椎及び大腿骨において偽手術群に対して有意な骨密度減少を 示した。 しかしながら、 hPTH (1-34)及び [Cys35]-hPTH (1-35)投与により、 腰 椎及び大腿骨において用量依存的に骨密度が増加し、 腰椎では 2.5 nmol/kg及び 10 nmol/kgで有意な骨量増加作用を示した。
一方、 2k PEG-[Cys35]-PTH (1-35)投与でも、 腰椎及び大腿骨において用量依 存的な骨密度増加を示し、 fl要椎及び大腿骨共に 7.5 nmol/kg, 30 nmol/kg及び 120 n oVgの全ての用量で有意な骨密度増加となった。 このように、 2k PEG- [Cys35]-PTH (1-35) は ώ vivoでも骨量増加作用を保持していることが示された。 産業上の利用の可能性
P TH又は P TH誘導体に P E Gを結合させることにより、 バイオアべィラビ リティを高めるだけでなく、 副作用も顕著に軽減させる P E G結合 P TH又は P EG結合 PTH誘導体を容易に得ることができる。 したがって、 本発明の PEG 結合 PTH又は PEG結合 PTH誘導体は、 患者の負担を軽減させる PTH製剤 として有用である。