ポンプ 技術分野
[0001] 本発明は、超臨界 c〇流体或いは液体 c〇を搬送するポンプに関するものである
2 2 背景技術
[0002] 超臨界流体は、温度,圧力を操作することで体積 (密度)を連続的に変えられるた 明
めに、溶解特性等の諸物性値をコントロールし易ぐ冷媒として活用できる。更に、粘 田
性が低く拡散性が高いので、洗浄分野での使用や、或いは、熱伝導度が大きいので 、冷媒としての活用が期待される。
[0003] 超臨界流体としては、入手しやすぐまた爆発,可燃性が無いこと等による取扱性 の良さ等から、「水」, 「CO」等が一般的に利用される。特に COは、臨界温度 31°C
2 2
,臨界圧力 7. 38MPaであり、他の物質に比べると温度,圧力共に低くて取扱性が 良ぐ大気圧,常温では気体状態である等の特徴があり、熱に弱い物質 (食品,香料 等)の抽出溶媒や、乾燥性,浸透性を利用した洗浄剤等に広く利用される。また、超 臨界 COを用いた抽出装置又は洗浄装置では、通常 7 20MPa程度に加圧して使
2
用される。
[0004] このような装置における CO搬送用のポンプは、高圧下で用いられるため、いわゆ
2
るシールレス.キャンドモータ形式のポンプが採用される。軸受としては玉軸受が用い られる場合があり、溶液 (超臨界 c〇)の中で使用されるが、食品或いは半導体分野
2
に用いられる場合は、ポンプ内部での異物(パーティクル)の発生を防止するため、 軸受の摩耗は許容できなレ、。
[0005] ちなみに、ポンプの一例としてターボ分子ポンプが特許文献 1に開示されている。
また、キャンドモータ形式のポンプが特許文献 2に開示されている。その他、半導体 製造用純水製造システムによって製造される超純水の重金属汚染を防ぐようにした、 半導体製造方法および半導体製造装置が特許文献 3に開示されている。
特許文献 1:特開平 10 - 274188号公報
特許文献 2:特開 2000 - 9077号公報
特許文献 3 :特開 2003— 124177号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] し力しながら、玉軸受は粘性の低い超臨界 CO (或いは液体 CO
2 2 )内で使用される ので、揚液による潤滑は期待できず、軸受の摩耗に対しては厳しい環境条件である 。さらには、洗浄を行う装置等では、その洗浄能力を更に高めるために、 COの中に
2 洗浄薬液を混入して使用する場合もあり、薬液による玉軸受の腐食等も懸念される。
[0007] ロータに作用するラジアル荷重,及びスラスト荷重はこの玉軸受にて受ける。更に、 後述する羽根車側とは反対側の軸端側軸受に設置した軸受与圧パネにて与圧荷重 を与えて、軸受のいわゆる公転滑り(横滑り)防止を図る構造としている。ところが、上 述の構造のポンプにおいては、揚液中(レヽわゆるどぶづけ状態)で使用されるので、 玉及び保持器の回転抵抗 (攪拌損失)が大きぐ軸受の公転滑りが発生しやすいの で、これを防止するために大きな与圧荷重をかけることが必要となる場合がある。
[0008] 一方、軸受の寿命を確保するためには、与圧荷重も含めた軸受荷重はできるだけ 小さくする方が望ましいが、揚液中で使用するため公転滑り防止との兼ね合いを考 慮して、ポンプの設計をしなくてはならない。
[0009] 本発明は、以上のような問題点に鑑み、超臨界 CO流体或いは液体 COを搬送す
2 2 るポンプであって、軸受部を最適化することにより信頼性を確保した超臨界 CO流体
2 或いは液体 CO用ポンプを提供することを目的とする。
2
課題を解決するための手段
[0010] 上記目的を達成するために、本発明では、超臨界 c〇流体或いは液体 c〇を搬
2 2 送するポンプにおいて、前記ポンプを駆動するモータの主軸を軸支する軸受は、そ の内輪及び外輪及び玉 (転動体)が各々セラミック材より成る。
[0011] また、前記玉を保持する保持器は、外輪の内周面で案内される外輪案内、或いは 内輪の外周面で案内される内輪案内とし、また、外輪或いは内輪との案内面を軸方 向の両側面或いは片側面とする。
[0012] また、前記軸受の内輪の溝半径率は 52%以上である。そして、前記主軸は中空軸
である。
[0013] 公知の内輪軌道溝の曲率半径は、例えば JIS規格で規定されているように、 52% 程度とされている。超臨界 CO流体雰囲気中で使用される転がり軸受では、特に高
2
速回転領域において、摩耗が発生しやすぐこの摩耗にはスピンすべりの寄与が大 きいと考えられる。斜接(アンギユラ)玉軸受の玉は、普通は内輪か外輪のどちらかの 軌道面では殆どすべりなしで転がり、他方の軌道面でスピンが発生する。
[0014] また、斜接玉軸受では、内輪の軌道溝の曲率半径の方が外輪のそれよりも小さぐ また、荷重が加わったときの接触楕円の長径が長レ、。そのため、内輪では玉のスピン 運動は妨げられ(内輪案内)、外輪軌道で完全なスピン運動が出現する。しかしなが ら、高速回転(且つ荷重が小)になると、遠心力の効果が大きくなり、外輪案内となり やすい。
[0015] 本発明では、摩耗への寄与が大きいスピンすべりと内輪の軌道溝の曲率半径に着目 して、スピンすべりによる PV値 (軸受面圧 Pとすべり速度 Vの積)を小さくすることによ り、摩耗の低減を可能とするもので、より具体的には、内輪の軌道溝の曲率半径を標 準値より大きくして、玉と軌道溝との接触領域を小さくすることにより、 PV値を小さくす るものである。
[0016] 本発明における超臨界 COポンプ用転がり軸受によると、玉、内輪及び外輪がセラ
2
ミックスで形成されているので、耐摩耗性が向上し、しかも、内輪軌道溝の曲率半径 が玉径の 52%以上、更には特に 54%より大きくされているので、内輪側の接触領域 力 S小さくなり、この結果、 PV値も小さくなり、より一層の摩耗の低減が可能となる。従つ て、転がり軸受の耐久性の低下が防止され、この転がり軸受を使用する超臨界 CO
2 ポンプは、振動が大きくなつて継続使用ができないという問題を生じない。
[0017] なお、内輪軌道溝の曲率半径の上限は、特に限定されるものではないが、他の性能 を考慮して玉径の 60。/o程度とされる。また、外輪の軌道溝の曲率半径についても、 特に限定されるものではなぐ通常、玉径の 50. 5。/。以上で且つ 60。/。以下程度とさ れる。
[0018] また、前記玉を保持する保持器は、回転輪案内とされている。或いは、前記玉を保 持する保持器は、固定輪案内とされ、案内面が玉の中心より軸方向片側のみに形成
されている。
[0019] 固定輪の案内面が軸方向片側にのみ形成されているようにするには、固定輪案内 の場合
には、外輪の軸方向片側の内径を大きくして、外輪の大径部の内周面と保持器の外 周面とが接触しないようにしても良ぐまた、保持器の軸方向片側の外径を小さくして 、保持器の小径部の外周面と外輪の内周面とが接触しないようにしても良い。また、 回転輪案内の場合には、内輪の軸方向片側の外径を小さくして、内輪の小径部の外 周面と保持器の内周面とが接触しないようにしても良ぐまた、保持器の軸方向片側 の内径を大きくして、保持器の大径部の内周面と内輪の外周面とが接触しないように しても良い。
[0020] 流体雰囲気中で使用される転がり軸受では、主に流体抵抗により、特に高速回転 領域において転動体(玉)の公転 (保持器の回転)に遅れが生じ、転がり接触をすベ き軌道輪と転動体との間にすべりが生じる(公転すベり)。公転すべりが生じると、軌 道輪や転動体が短期間で損傷し継続使用が不可能になることがある。本発明では、 この公転すべりに着目して、公転すベりを抑えることにより、転がり軸受の継続使用を 可能とするものである。
[0021] 具体的には、一つには保持器を回転輪案内とすることで、回転輪との接触によるト ラタシヨン力及び案内部にある流体のトラクシヨン力で保持器の公転遅れを減少させ る(保持器を公転方向に駆動する)ことにより、その公転すべりが抑制されている。もう 一つには、保持器を固定輪案内とし、案内面が転動体の中心より軸方向片側のみに 形成されている構成とすることで、回転する保持器が固定輪力 受ける抵抗 (接触に よる摩擦及び流体の粘性抵抗)を減らすことにより、その公転すべりが抑制されてい る。
発明の効果
[0022] 本発明によれば、超臨界 CO流体或いは液体 COを搬送するポンプであって、軸
2 2
受部を最適化することにより信頼性を確保した超臨界 CO流体或いは液体 CO用ポ
2 2 ンプを提供することができる。
[0023] 具体的には、総セラミック軸受を採用することで、洗浄剤に対する耐食性の向上を
図ること力 Sできる。また、高速回転による遠心力の低減、耐摩耗性の向上、及び外部 力 のパーティクルによる損傷の防止も図ることができる。
[0024] また、保持器のドラッグ損失を低減することで、軸受の公転滑りによる損傷の防止を 図ること力 Sできる。また、公転滑り特性向上により、予圧荷重の低減が可能であり、こ れによりスラスト荷重が低下するので、軸受の長寿命化を図ることができる。さらに、ド ラッグ損失低減により、ポンプ効率の向上を図ることができる。
[0025] その他、玉径と軌道溝半径との比率 (溝半径率)を最適化することで、焼き付き性の 改善と長寿命化との両立,最適化を図ることができる。また、保持器の材料を PEEK 材とすることで、保持器の耐食性を向上させるとともに、保持器の強度を向上させるこ とができる。
[0026] また、総セラミック軸受を採用した場合、温度上昇時に発生する主軸と軸受内輪と の熱膨張差により、軸受内輪の焼き嵌め応力過大による損傷の懸念があるが、主軸 を中空軸とすることで、これを回避すること力 Sできる。
[0027] なお、転がり軸受の保持器を回転輪案内とすることで、回転輪及び案内部の流体 力 公転方向に駆動する力を転動体に作用させ、公転すベりを抑えることができる。 従って、転がり軸受の耐久性の低下が防止され、この転がり軸受を使用する超臨界 C Oポンプは、振動が大きくなつて継続使用ができないという問題を生じない。
2
[0028] 或いは、保持器を固定輪案内とし、案内面が転動体の中心より軸方向片側のみに 形成さ
れている構成とすることで、転動体の公転方向への移動を妨げる力を低減させ、公 転すベりを抑えることができる。従って、転がり軸受の耐久性の低下が防止され、この 転がり軸受を使用する超臨界 C〇ポンプは、振動が大きくなつて継続使用ができな
2
レ、という問題を生じない。
図面の簡単な説明
[0029] [図 1]本発明の一実施形態に係る COポンプの構成を示す断面図である。
2
[図 2]本実施形態に係る軸受を模式的に示す主要部断面図である。
[図 3]本実施形態に係る転がり軸受を示す縦断面図である。
[図 4]本実施形態に係る転がり軸受を示す縦断面図である。
[図 5]本実施形態に係る転がり軸受の評価装置を示す縦断面図である。
[図 6]転がり軸受の評価結果を示すグラフである。
[図 7]転がり軸受の評価結果を示すグラフである。
[図 8]主軸を中空軸とした様子を模式的に示す断面図である。
符号の説明
[0030] 1 循環ポンプ
2 吐出'吸込側ケーシング
3 パージ側ケーシング
4 外筒
5 マ二ホーノレド
6 キャンドモータ
7 主軸
8, 9 アンギユラ玉軸受
10 羽根車
11 予圧バネ
発明を実施するための最良の形態
[0031] 以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図 1は、本発明の一実施形 態に係る COポンプの構成を示す断面図である。ポンプ 1は、吐出'吸込側ケーシン
2
グ 2とパージ側ケーシング 3、及びこれらに挟持された外筒 4を有している。また、吸込 •吐出側ケーシング 2の外側には、揚液の吸込及び吐出を行うマ二ホールド 5が設け られている。
[0032] 外筒 4内にはポンプ 1を駆動するキャンドモータ 6が配置されており、これは外側の 固定子 6aと、この固定子 6a内に収容されている回転子 6bとを備えている。回転子 6b は、主軸 7に取り付けられており、主軸 7は、吐出'吸込側ケーシング 2に設けられた アンギユラ玉軸受 8、及びパージ側ケーシング 3に設けられたアンギユラ玉軸受 9によ り、両端で回転可能に支持即ち軸支されている。
[0033] 吐出'吸込側ケーシング 2とマ二ホールド 5との間には、羽根車 10が配置されており 、これは主軸 7の一端に取り付けられ、主軸 7と連動して回転可能となっている。マ二
ホーノレド 5には、主軸 7の一端よりの延長軸線上に、揚液の吸込口 5aが開けられてお り、また、羽根車 10の周囲にはスパイラルケ一シング 5bが設けられている。さらに、経 路 5bの周縁部一箇所より吐出口 5cが半径方向にマ二ホールド 5の外周面に開口し ている。
[0034] 一方、パージ側ケーシング 3には、主軸 7の他端よりの延長軸線上に、吸い込んだ 揚液の一部を吐出するパージ口 3aが開けられている。その他、パージ側ケーシング 3とアンギユラ玉軸受 9との間には、予圧バネ 11が挟持されている。これは、主軸 7の 他端周辺に位置するリング状の波板パネであり、定圧パネ方式としてアンギユラ玉軸 受 9に軸方向
の予圧を付加するものである。なお、アンギユラ玉軸受 8を羽根車側軸受と呼び、アン ギユラ玉軸受 9を軸端側軸受と呼ぶ。
[0035] 以上説明したポンプ 1において、キャンドモータ 6の回転子 6b及び主軸 7が回転し、 これに連動して羽根車 10が回転すると、矢印 Aで示すように吸込口 5aより揚液が吸 い込まれ、羽根車 10の遠心力により経路 5bへ導かれて、最後に矢印 Bで示すように 吐出口 5cより吐出される。また、吸込口 5aより吸い込まれた揚液の一部は、アンギュ ラ玉軸受 8, 9及びキャンドモータ 6内を通過して、これらを冷却しつつ、矢印 Cで示 すようにパージ流れとしてパージ口 3aより吐出される。
[0036] さて、本発明では、耐摩耗性,耐食性の向上、及び高速回転時の遠心荷重を低減 する目的で、アンギユラ玉軸受の内外輪、及び玉にセラミック材料 (例えば窒化珪素
Si N ,アルミナ Al O ,炭化珪素 Si〇等)を採用している。このように、軸受材料を
3 4 2 3 2
総セラミックとすることで、外部から持ち込まれるパーティクルに対する耐摩耗性も向 上し、更には金属のパーティクル (摩耗粉)が許容されない用途では金属汚染の防 止の効果が得られる。
[0037] また、ドラッグ損失(回転抵抗)が小さくなるように保持器の設計を行っている。これ により、公転滑り防止、及び与圧荷重 (スラスト軸受荷重)の低減が可能であり、軸受 の長寿命化を図ることができる。保持器の材料としては、洗浄剤に対する耐食性、耐 摩耗性、及び高速回転に対する強度確保の観点より、 PEEK材 (ポリエーテル 'エー テル 'ケトン)を使用している。これについては、例えば 30%ガラス繊維入り PEEK材
を用いることにより、更に強度の高いものとなる。カロえて、高速,高荷重条件下での耐 摩耗性、耐剥離性能を向上させる目的で、玉径と内外輪の軌道溝の半径との比率の 最適化を図っている。また、 PTFE,カーボン等の固体潤滑材を含浸させることで、潤 滑性の劣る超臨界 CO流体或いは液体 CO中での玉軸受の耐摩耗性を向上させる
2 2
[0038] 図 2は、本実施形態に係る軸受を模式的に示す主要部断面図である。なお、同図 はアンギユラ玉軸受 8の場合を示しているが、アンギユラ玉軸受 9は同図を左右反転 させたような形となるのみであり、基本的な構造は同じである。同図に示すように、本 実施形態におけるアンギユラ玉軸受 8は、内輪 8a,外輪 8b、及びこれらに挟持された 玉 8c、並びに玉 8cを保持する保持器 8dより成る。
[0039] 外輪 8bの内周は、玉 8cが転がる軌道溝 8baと、その軸方向両側の内周面 8bbとよ り構成されている。また、内輪 8aの外周は、玉 8cが転がる軌道溝 8aaと、その軸方向 片側の最外周面 8ab、及び他の片側で軌道溝 8aaから連続している外周面 8acとより 構成されている。また、保持器 8dは内輪 8aと外輪 8bとの間に配置されたリング状の 部材であり、その全周に渡る所定の箇所に、玉 8cが填り込むポケット 8daが軸心から 見て等角度ピッチで開けられている。なお、図中の αは接触角である。
[0040] 従来の COポンプにおける玉軸受は、全てステンレス鋼か、或いは玉のみセラミツ
2
クで内外輪はステンレス鋼であった力 本実施形態では、上述したように、玉及び内 外輪共セラミックとした総セラミック軸受としている。また、従来の軸受の保持器は、外 輪の軸方向両側の内周面で案内される外輪両側案内であつたが、本実施形態では 内輪案内としており、更に詳しくは、内輪の軸方向片側の外周面で案内される内輪 片側案内としている。
[0041] 具体的には、同図において、内輪 8aの最外周面 8abにより、これに対向する保持 器 8dの内周面 8dbが案内される構成となっている。これにより、内輪 8aの回転と共に 保持器 8dも回転しやすくなるので、保持器 8dの回転抵抗 (ドラッグ損失)を減らすこと ができ、軸受の公転滑りの防止を図ることが可能となる。その他、保持器を無くした総 玉軸受を採用することで、ドラッグ損失を減らす手段も考えられる。
[0042] また、玉軸受の焼き付き性と長寿命化とは相反する関係にあり、本実施形態では、
玉径と内外輪の軌道溝の半径との比率 (溝半径率)を調整することで、その両立を図 つた設計を実施している。溝半径率の範囲は、溝半径/玉径 X 100 = 52%以上を 対象としている。さらには 52— 56%の範囲内であること、或いは特に 54%より大きい ことが望ましい。
[0043] 本実施形態に係る軸受を改めて詳細に説明する。本実施形態の軸受は、図 3に示 すように、斜接(アンギユラ)玉軸受であり、外輪 112、内輪 113、これらの間に配置さ れた複数の転動体としての玉 114、及び玉 114を保持する保持器 115を有してレ、る 。外輪 112、内輪 113及び玉 114は、すべて窒化ケィ素製とされており、保持器 115 は、スーパーエンジニアリングプラスチックの PEEK (polyether
ether keton)製とされている。
[0044] 保持器 115は、固定輪である外輪 112に案内されて円滑に回転するように、その外 径が外輪 112の内径より若干小さく形成(0. 15mm程度)されている。そして、外輪 1 12は、保持器 115の外径より若干大きい(0. 15mm程度)内径を有する左半部の小 径部 112aと、保持器 115の外径よりも十分に大きい内径を有する右半部の大径部 1 12bと力 構成され、外輪 112の軌道溝は、小径部 112a及び大径部 112bの両方に 渡って形成されている。
[0045] これにより、保持器 115を案内する案内面が外輪 112の軸方向片側(玉の中心より 左側)にのみ形成されている。なお、上記の「十分に大きい内径」とは、外輪 112と保 持器 115の相対回転時に、左半部における両者の対向面間に殆どトラクシヨンが作 用しない程にその対向面間距離が大きいことを言う。
[0046] 図 4に示す転がり軸受 111は、図 3のものと比較して保持器だけが異なっており、この 保持器 116は、回転輪である内輪 113に案内されて円滑に回転するように、その内 径が内輪 113の外径より若干大きくなされている。
[0047] 図 5は、上記転がり軸受 111の評価装置を示している。この評価装置 121は、転が り軸受 111の公転すベりを評価するもので、円筒状のハウジング 122と、これに相対 回転可能に収容される回転軸 123とを備え、ハウジング 122と回転軸 123との間の軸 方向に離れた 2力所に、回転軸 123を回転支持する左側及び右側の転がり軸受 111 , 111を配置することができる。
[0048] 回転軸 123は、その左端部において、エアータービンの駆動部(図示略)に接続さ れる。 2つの転がり軸受 111間の外輪側には、これらにアキシャル荷重を負荷する円 筒状コイルばね 124が介在されており、同内輪側には、円筒状スぺーサ 125が介在 されている。そして、右側の転がり軸受 111の右端面を臨むように、非接触変位計 12 6が配置されている。
[0049] 右側の転がり軸受 111の保持器 115の右面の周方向の所定箇所には、アルミユウ ムのコーティングが施され、これにより、変位計 126は、保持器 115のアルミニウムコ 一ティング部の通過周波数を検知し、この周波数から保持器 115の回転数従って玉 114の公転回転数を求めることができる。
[0050] 上記評価装置 121を用いて、転がり軸受 111の玉 114の公転回転数 nを実測し、
C
これと理論的に求められる玉の公転回転数 nとから公転すベり率 /^ニ 一 n
T T
) /n X 100を求めることにより、異なる仕様の転がり軸受について、その公転すベ
C T
りを評価することができる。なお、 nは、 α:接触角として、
Τ
η =内輪の回転数 X (1-玉径 X cos α /玉のピッチ径) /2で求められる。こうして
Τ
得られた公転すベり率を図 6及び図 7に示す。
[0051] 図 6のグラフにおいて、白い三角印(及び折線 a)は、アキシャル荷重が 6. 5kgf時 の外輪片側案内の転がり軸受 1 11 (図 3のもの)で、白い四角印(及び折線 b)は、同 じ軸受 111でアキシャル荷重を 23kgfとしたものであり、黒レ、三角印(及び折線 c)は 、アキシャル荷重が 6. 5kgf時の外輪両側案内の転がり軸受(比較例)で、黒い四角 印(及び折線 d)は、同じ軸受でアキシャル荷重が 23kgfとしたものの公転すベり率を それぞれ示している。このグラフから分かるように、図 3に示した転がり軸受 111は、案 内面が軸方向両側に形成されている転がり軸受に比べて、公転すベり率が小さくな つており、転がり軸受 111の摩耗性を悪化させる公転すべりが改善されている。
[0052] 図 7のグラフにおいて、白い三角印(及び折線 a)は、アキシャル荷重が 6. 5kgf時 の内輪片側案内の転がり軸受 1 11 (図 4のもの)で、白い四角印(及び折線 b)は、同 じ軸受 111でアキシャル荷重を 23kgfとしたものであり、黒レ、三角印(及び折線 c)は 、アキシャル荷重が 6. 5kgf時の外輪両側案内の転がり軸受(比較例)で、黒い四角 印(及び折線 d)は、同じ軸受でアキシャル荷重が 23kgfとしたものの公転すベり率を
それぞれ示している。このグラフから分かるように、図 4に示した転がり軸受 111は、外 輪案内で且つ案内面が軸方向両側に形成されている転がり軸受に比べて、公転す ベり率が大幅に小さくなつており、転がり軸受 111の摩耗性を悪化させる公転すベり が顕著に改善されている。
[0053] 図 6,図 7は水を用いた試験結果ではある力 S、超臨界 C〇雰囲気中では、水に比べ
2
比重,粘度が小さくなり、確実にその効果が期待される。従って、上記図 3及び図 4に 示した転がり軸受 111によると、超臨界 C〇雰囲気中という軸受にとつて厳しい条件
2
下であっても、その耐久性の低下が防止され、この転がり軸受を使用する超臨界 CO ポンプの長期間の連続使用を可能にする。
2
[0054] 以下に、本実施形態で使用される玉軸受の特性を解析した結果を示す。ここでは 内輪 113の軌道溝の曲率半径を玉径の 54%より大きくしたことによる効果について、 具体例として、内径が φ 10の斜接玉軸受で計算した結果を以下に示す。
[0055] 即ち、内輪軌道溝の曲率半径を玉径の 52%から 56%にすると、アキシャル荷重が 50Nの場合には、 PV値が 747 (MPa'm/s)力 553 (MPa'm/s)まで減少し、ァ キシャル荷重が 100Nの場合には、 PV値が 935 (MPa'm/s)力ら 708 (MPa 'm/ s)まで減少し、平均では約 3/4に減少する。こうして、 PV値を小さくすることができ、 これにより、摩耗を低減できることが分かる。
[0056] 上記効果は、内輪 113側での接触面積を小さくし、内輪 113側ですべりが生じた場 合でも、その PV値が小さくなるようにすることにより得られるもので、この観点からのよ り詳しい解析によると、 PV値を効果的に小さくするには、内輪軌道溝の曲率半径を 玉径の 54%より大きくすることが好ましいことが分かる。内輪軌道溝の曲率半径の上 限は、他性能との関係から玉径の 60%程度とされる。外輪軌道溝の曲率半径は、特 に限定されず、玉径の 50. 5。/。以上で且つ 60%以下であれば良い。
[0057] ところで、超臨界 C〇は、通常、 35— 100°Cの範囲で使用される。一方、モータの
2
主軸材とそれを支持する軸受内輪とでは、線膨張係数に差がある。つまり、主軸材は 通常、耐食性を考慮してオーステナイト系ステンレス鋼が採用されるので、線膨張係 数が大
きぐ軸受内輪は上述したようにセラミック製であるので、線膨張係数が小さい。
[0058] そのため、温度上昇時に主軸が膨張して軸受内輪が破損することが懸念される。そ こで、図 8に示すように、主軸 7の軸心に羽根車取付けボルト用とを兼用したくり抜き 穴 7aを設けて中空軸とすることにより、主軸 7の膨張を内側に逃がすようにして、アン ギユラ玉軸受 8の内輪 8aにおいて発生する応力の緩和を図っている。なお、同図で は羽根車側の構成を示しており、軸端側はボルトは無レ、が、同様である。
[0059] また、本発明で使用される軸受の転動体としては玉を採用し、玉軸受としているが、 これに限定されるものではなぐ円柱状や円錐台状のころを採用したころ軸受としても 良い。
[0060] 上記の説明により、本発明については様々な修飾や変形をすることが可能であるこ とは明らかである。よって、本発明は、具体的な記述にとらわれることなぐ付記した請 求の範囲内で実施されるものと解されたい。