明 細 書
サーメット製インサート及び切削工具
技術分野
[0001] 本発明は、サーメット製のインサート及び切削工具に関する。詳細には、炭窒化チ タン基サーメット(以下、 TiCN基サーメットで示す)の結合相が優れた高温硬さを有し 、その結果、高熱発生を伴なう高速切削加工で優れた耐摩耗性ゃ耐欠損性を発揮 する TiCN基サーメット製インサートと、このサーメット製インサートを備えた切削工具 に関する。
本願は、 2005年 6月 14日に出願された日本国特許出願第 2005— 173463号、 2 005年 9月 7曰に出願された曰本国特許出願第 2005— 259169号、 2005年 9月 7 日に出願された日本国特許出願第 2005 - 259170号、 2005年 9月 7日に出願され た日本国特許出願第 2005— 259171号、 2005年 10月 18日に出願された日本国 特許出願第 2005— 303095号、および 2005年 10月 18日に出願された日本国特 許出願第 2005— 303096号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。 背景技術
[0002] 従来、例えば旋削加工に用いられる切削加工の 1種として TiCN基サーメットで構 成されたインサート(以下、単に切削インサートと 、う)が知られて 、る。
上記切削インサートとして、以下の組成、組織を有するものが知られている。
(a)質量%で (以下、%は質量%を示す)、
炭化タングステン(以下、 WCで示す): 20〜30%、
炭化タンタル (以下、 TaCで示す)および炭化ニオブ (以下、 NbCで示す)のうちの 1種または 2種(以下、 TaCZNbCで示す): 5〜10%、
Co : 5〜10%、
Ni: 5〜10%、および
炭窒化チタン (以下、 TiCNで示す): 50〜60%を含む配合組成を有する圧粉体の 焼結体である TiCN基サーメットで構成される。
[0003] (b)上記 TiCN基サーメットは、
硬質相: 75〜90面積%、および
結合相:残部力 なる組織を有する。ここで、面積比は走査型電子顕微鏡による組 織観察で測定された値である。
上記硬質相は、走査型電子顕微鏡による組織観察結果 (倍率: 1万倍)を図 2に模 写図で示した通り、以下の(1)〜(3)を含む。
(1)芯部が TiCN相、周辺部が Tiおよび Wと、 Taおよび Nbのうちのいずれ力、また は両方の複合炭窒化物 [以下、(Ti, W, TaZNb) CNで示す]相からなる有芯構造 の第 1硬質相、
(2)芯部および周辺部の両方が (Ti, W, TaZNb) CN相からなる有芯構造の第 2硬 質相、
(3) TiCN相からなる単相構造の第 3硬質相。
上記結合相は、結合相に占める割合で、かつ質量%で、
W: l〜10%、
Ni: 35〜60%、
Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種(以下、 TaZNbで示す)を含有し、その 合計量: 5%以下、および
残部が Coからなる組成を有する Co— Ni系合金力もなる。
また、炭化ジルコニウム(以下、 ZrCで示す)、炭化バナジウム(以下、 VCで示す)、 および炭化モリブデン(以下、 Mo Cで示す)のうちの 1種または 2種以上(以下、 ZrC
2
/VC/Mo Cで示す)を含む切削インサートとして、以下のものが知られている。
2
(a)質量%で (以下、%は質量%を示す)、
WC : 20〜30%、
TaC/NbC : 5〜10%、
ZrC/ VC/Mo C : l〜5%、
2
Co : 5〜10%、
Ni: 5〜10%、および
TiCN: 50〜60%を含む配合組成を有する圧粉体の焼結体である TiCN基サーメ ットで構成される。
[0005] (b)上記 TiCN基サーメットは、
硬質相: 75〜93面積%、
結合相:残部力 なる組織を有する。ここで、面積比は走査型電子顕微鏡による組 織観察で測定された値である。
上記硬質相は、走査型電子顕微鏡による組織観察結果 (倍率: 1万倍)を図 3に模 写図で示した通り、以下の(1)〜(3)を含む。
(1)芯部が TiCN相、周辺部が Tiと、 Wと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種と、 Zr 、 V、および Moのうちの 1種または 2種以上の複合炭窒化物(以下、(Ti, W, Ta/N b, ZrZvZMo) CNで示す)相力 なる有芯構造の第 1硬質相、
(2)芯部および周辺部の両方が(Ti, W, Ta/Nb, ZrZvZMo) CN相からなる有 芯構造の第 2硬質相、
(3) TiCN相からなる単相構造の第 3硬質相。
上記結合相は、結合相に占める割合で、かつ質量%で、
W: l〜10%、
Ni: 35〜60%、
Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種(以下、 TaZNbで示す)と、 Zr、 V、およ び Moのうちの 1種または 2種以上(以下、 ZrZvZMoで示す)を含み、その合計量: 5%以下、および
残部が Coからなる組成を有する Co— Ni系合金力もなる。
[0006] さらに、上述した切削インサートが、上記配合糸且成の圧粉体を、以下の焼結条件 (i) 〜 (iii)の工程力 なる条件で焼結することにより製造され、各種の鋼ゃ铸鉄などの連 続切削加工や断続切削加工に用いられることも良く知られるところである。
(i)室温から 1400〜1450°Cまでを lOPa以下の真空雰囲気中、 l〜3°CZmin.の 速度で昇温する。
(ii) 1400〜1450°Cから焼結温度である 1480〜1560°Cまでを l〜3°CZmin.の 速度で昇温し、次いで前記焼結温度に 0. 5〜2時間保持する。この昇温と温度保持 を 50〜4000kPaの窒素雰囲気で行う。
(iii)上記焼結温度力もの炉冷を lOPa以下の真空雰囲気中で行う。
[0007] 近年の切削装置の高性能化はめざましぐ一方で切削加工に対する省力化および 省エネ化、さらに低コストィ匕の要求が強い。これに伴い、切削加工は高速ィ匕の傾向に ある。しかしながら、上記の従来切削インサートを用いて、切削速度が 300mZmin. 以上の高速で、鋼ゃ铸鉄などの切削加工を行った場合、切削加工時に発生する高 熱によって、特にこの切削インサートを構成する TiCN基サーメットの Co— Ni系合金 力 なる結合相の摩耗進行が著しく促進する。そして、これが原因で比較的短時間 で使用寿命に至るのが現状である。
[0008] また、鋼などの切削のために、硬質相(硬質粒子)と硬質相間に存在する結合相と 力 なる組織を有するサーメット製インサートが用いられており、このサーメット製イン サートの性能を向上するために、各種の技術が提案されている。
[0009] 例えば特許文献 2には、通常の有芯構造からなり、具体的には、芯部が Ti等の 4a 族元素に富み、周辺部が W, Ta等の 5a族元素, 6a族元素に富む相(黒色相)と、芯 部が W, Ta等の 5a族, 6a族元素に富む相(白色相)との複数の相からなり、その黒 色相と白色相とを最適比率で分散させることにより、合金強度を向上させた TiCN系 サーメットが提案されている。
し力しながら、前記特許文献 2の技術では、上述した黒色相 Z白色相の構成により 、合金強度をある程度は改善できるものの、耐摩耗性及び耐欠損性についての検討 が必ずしも十分ではな 、と 、う問題があった。
特許文献 1:特開平 10— 110234号公報
特許文献 2 :特開昭 62— 170452号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、第 1に、上述の特許文献 1にかか る観点から、高速切削加工にて優れた耐摩耗性を有する炭窒化チタン基サーメット 製インサートの提供を目的とする。
また、上述した特許文献 2にかかる課題を解決するために、高い耐摩耗性を維持で きるとともに、高い耐欠損性を実現できるサーメット製インサート及び切削工具を提供 することを第 2の目的とする。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者等は、第 1に、上述の特許文献 1にかかる観点から、上記の特許文献 1に 記載の従来切削インサートの高速切削加工での耐摩耗性向上を図るベぐ特にこれ を構成する TiCN基サーメットの Co— Ni系合金カゝらなる結合相に着目し、研究を行 つた。その結果、以下の (A)〜(C)に示される研究結果を得た。
[0012] (A)焼結時に結合相形成である Co— M系合金中に固溶した W成分は、硬質相の 周辺部に析出固溶し、さらに一部は芯部に固溶する。しかし、上記の焼結条件で製 造された従来切削インサートにお 、ては、結合相中に含有する w成分の硬質相周辺 部への析出固溶割合が相対的にきわめて高い。したがって、前記結合相中に残留 含有する W成分の割合は低ぐ結合相に占める割合で 1〜10%である。
[0013] (B)上記の従来焼結条件の上記 (i)の 1400〜1450°Cへの真空雰囲気での昇温途 中において、 1200〜1350°Cの温度に昇温した時点で、短時間 Ar雰囲気保持と短 時間真空雰囲気保持を交互に繰り返し行う雰囲気交互変化処理を施すと、焼結時 における W成分の結合相から硬質相周辺部への析出固溶が著しく抑制されるように なる。この結果、結合相には W成分が結合相に占める割合で 40〜60%のきわめて 高 ヽ割合で含有するようになる。
雰囲気交互変化処理としては、望ましくは 10〜60kPaの Ar雰囲気に 1〜5分間保 持の短時間 Ar雰囲気保持と、 lOPa以下の真空雰囲気に 5〜20分間保持の短時間 真空雰囲気保持とをそれぞれ 2回以上、望ましくはそれぞれ 3〜5回を交互に繰り返 し施す。
[0014] (C)W成分力 結合相中に、結合相に占める割合で 40〜60%のきわめて高い割合 で含有すると、結合相は高温硬さが一段と向上する。したがって、 TiCN基サーメット の結合相が Wを前記の高い割合で含有する切削インサートは、高熱発生を伴なう高 速切削加工で優れた耐摩耗性を発揮するようになる。
[0015] 本発明の炭窒化チタン基サーメット製インサートは、上記の研究結果に基づいてな されたものである。
本発明の炭窒化チタン基サーメット製インサートの第 1の態様は、
硬質相: 75〜90面積%および
残部が結合相力もなる組織を有する炭窒化チタン基サーメットを有する。
上記硬質相は、以下の第 1〜第 3硬質相を有する。
(1)芯部が炭窒化チタン相力 なり、周辺部が Tiと、 Wと、 Taおよび Nbのうちの 1種 または 2種とを有する複合炭窒化物(以下、(Ti, W, TaZNb) CNと示す)相からな る有芯構造の第 1硬質相。
(2)芯部および周辺部の両方が (Ti, W, TaZNb) CN相からなる有芯構造の第 2硬 質相。
(3)炭窒化チタン相力 なる単相構造の第 3硬質相。
上記結合相は、結合相に占める割合で、かつ質量%で、少なくとも
Co : 18〜33%、
Ni: 20〜35%、
Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種を含有し、その合計量: 5%以下、および
W:40〜60%を含む組成を有する W— Co— Ni系合金を有する。本発明の炭窒化 チタン基サーメット製インサートの第 1の態様は、高熱発生を伴なう高速切削加工で 優れた耐摩耗性を発揮する。
[0016] 本発明の炭窒化チタン基サーメット製インサートの第 1の態様では、前記炭窒化チ タン基サーメットは、
質量%で、少なくとも
炭化タングステン: 20〜30%、
炭化タンタルおよび炭化ニオブのうちの 1種または 2種: 5〜10%、
Co : 5〜10%、
Ni: 5〜10%、および
炭窒化チタン: 50〜60%を含む配合組成を有する圧粉体の焼結体であってもよ 、
[0017] 本発明の炭窒化チタン基サーメット製インサートの第 2の態様は、
硬質相: 75〜93面積%および
残部が結合相力もなる組織を有する炭窒化チタン基サーメットを有する。 上記硬質相は、以下の第 1〜第 3硬質相を有する。
(1)芯部が炭窒化チタン相力 なり、周辺部が Tiと、 Wと、 Taおよび Nbのうちの 1種 または 2種と、 Zr、 V、および Moのうちの 1種または 2種以上とを有する複合炭窒化物 [以下、(Ti, W, Ta/Nb, ZrZvZMo) CNで示す]相からなる有芯構造の第 1硬 質相。
(2)芯部および周辺部の両方が(Ti, W, Ta/Nb, ZrZvZMo) CN相からなる有 芯構造の第 2硬質相。
(3)炭窒化チタン相力 なる単相構造の第 3硬質相。
上記結合相は、結合相に占める割合で、かつ質量%で、少なくとも
Co : 18〜33%、
Ni: 20〜35%、
Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種と、 Zr、 V、および Moのうちの 1種または 2種以上を含有し、その合計量: 5%以下、および
W:40〜60%を含む組成を有する W— Co— Ni系合金を有する。本発明の炭窒化 チタン基サーメット製インサートの第 2の態様は、高熱発生を伴なう高速切削加工で 優れた耐摩耗性を発揮する。
[0018] 本発明の炭窒化チタン基サーメット製インサートの第 2の態様では、前記炭窒化チ タン基サーメットは、
質量%で、少なくとも
炭化タングステン: 20〜30%、
炭化タンタルおよび炭化ニオブのうちの 1種または 2種: 5〜10%、
炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、および炭化モリブデンのうちの 1種または 2種: 1〜5%、
Co : 5〜10%、
Ni: 5〜10%、および
炭窒化チタン: 50〜60%を含む配合組成を有する圧粉体の焼結体であってもよ 、
[0019] 本発明のサーメット製インサートの第 3の態様は、 Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種ま たは 2種と、 Wとを含有する焼結体力もなる炭窒化チタン系サーメットを有する。
前記 Tiを炭窒化物換算した値と、前記 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種を炭化 物換算した値と、前記 Wを炭化物換算した値との合計は、前記焼結体を構成する組 織全体に対する割合で、 70〜95質量%であり、前記 Wを炭化物換算した値は、前 記組織全体に対する割合で、 20〜35質量%であり、 Co及び Niは、前記組織全体 に対する割合で、 5〜30質量%である。
Tiと、 Wと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種とを有する複合炭窒化物(以下、(T i, W, TaZNb) CNと示す)を少なくとも有する硬質相と、 Wと、 Coおよび Niのうちの 1種または 2種とを主成分とする結合相とからなる組織を有する。
前記組織全体に含まれる Wのうち、 40〜65質量%が前記硬質相に含まれるととも に、残部が前記結合相に含まれる。
[0020] 本発明のサーメット製インサートの第 3の態様では、前記硬質相は、さらに炭窒化チ タンを含有してもよい。
[0021] 前記 Tiを炭窒化物換算した値は、前記組織全体に対する割合で、 45〜60質量% であり、かつ前記 Taおよび前記 Nbのうちの 1種または 2種を炭化物換算した値は、 前記組織全体に対する割合で、 5〜 10質量%であってもよ 、。
これら数値範囲は、 Ti、 Ta及び Z又は Nbの好ましい含有量を例示しており、 Tiが この範囲であれば耐摩耗性がより高くなり、 Nb及び Z又は Taがこの範囲であれば、 耐熱衝撃性がより高くなる。
[0022] 前記硬質相は、
(1)芯部が炭窒化チタン相からなり、周辺部が (Ti, W, TaZNb) CN相からなる有 芯構造の第 1硬質相および、
(2)芯部および周辺部の両方が (Ti, W, TaZNb) CN相からなる有芯構造の第 2 硬質相のうちの 1種または 2種を有してもよい。
前記硬質相は、さらに
(3)炭窒化チタン相からなる単相構造の第 3硬質相を有してもょ 、。
本発明では、図 4A,図 4Bに例示するように、前記硬質相として、上述した 3種の硬 質相から選ばれる構成とすることにより、インサートの硬さを高め、耐摩耗性を向上さ せることができる。
[0023] 更に、前記硬質相および前記結合相のうちの一方又は双方に、 Moが含まれてもよ い。
Moを含有させることにより、硬質相や結合相の濡れ性が良くなるため、焼結性を改 善できる。この Moは、第 1硬質相の周辺部、第 2硬質相、結合相に含まれる。なお、 Moは、インサート全体に対して、炭化物(Mo C)換算で、例えば 1
2 〜5質量%含有さ れることが好ましい。
[0024] 前記結合相は、結合相に占める割合で、 Wを 40〜60質量%含んでもよい。
結合相に Wを 40〜60質量%含んでいる場合、結合相の高温硬さが向上する。こ れにより、例えば、高温発生を伴う高速切削加工において、優れた耐摩耗性を発揮 できる。
[0025] 本発明の切削工具は、ホルダと、前記ホルダに保持、固定された前記本発明のサ 一メット製インサートとを備える。
本発明の切削工具は、上述したサーメット製インサートをホルダに備えているため、 優れた耐摩耗性及び耐欠損性が実現できる。
発明の効果
[0026] この発明の炭窒化チタン基サーメット製インサート (切削インサート又は切削チップ とも言う)の第 1, 2の態様では、切削インサートを構成する TiCN基サーメットの結合 相が、焼結時の昇温工程における雰囲気交互変化処理によって 40〜60%の W成 分を含有する。この結果、結合相の高温硬さが急激に向上するようになることから、高 熱発生を伴なう高速切削加工で優れた耐摩耗性を発揮する。
本発明のサーメット製インサートの第 3の態様では、 Ti, Ta/Nb, Wの合計量が規 定されたことにより、硬質相と結合相の割合が最適化され、優れた耐磨耗性と耐欠損 性が得られる。さらに Wの 40〜65質量%が硬質相に含まれ、残部が結合相に含ま れたことにより、高い耐摩耗性と耐欠損性とを共に実現できる。
本発明の切削工具は、上述したサーメット製インサートをホルダに備えているため、 優れた耐摩耗性及び耐欠損性が実現できる。
図面の簡単な説明
[0027] [図 1]図 1は、第 1, 2の実施形態に係るサーメット製インサートの一例を示す斜視図で
ある。
[図 2]図 2は、第 1の実施形態に係る切削インサートを構成する TiCN基サーメットの 走査型電子顕微鏡による組織観察結果 (倍率: 1万倍)を示す模写図である。
[図 3]図 3は、第 2の実施形態に係る切削インサートを構成する TiCN基サーメットの 走査型電子顕微鏡による組織観察結果 (倍率: 1万倍)を示す模写図である。
[図 4A]図 4Aは、第 3の実施形態に係るサーメット製インサートの断面を模式的に示 す説明図である。
[図 4B]図 4Bは、硬質相を構成する第 1硬質相,第 2硬質相,第 3硬質相を模式的に 示す説明図である。
[図 5]図 5は、第 3の実施形態に係るサーメット製インサートを示す斜視図である。
[図 6]図 6は、第 3の実施形態に係る切削工具を示す説明図である。
[図 7]図 7は、実施例のサーメット製インサートの製造方法を示す説明図である。 符号の説明
[0028] 1, 11, 21· ··インサート、 3…ホルダ、 5…固定治具、 7…切削工具。
発明を実施するための最良の形態
[0029] 次に、本発明の構成について図面を参照して説明する。
(第 1の実施形態)
本実施形態の炭窒化チタン基サーメット製インサート(以下、切削インサートとも言う )は、炭窒化チタン基サーメットから形成されている。切削インサートとしては、例えば 図 1に示された ISO規格 · CNMG 120412のチップ形状をもったインサート 11が挙 げられる。
この炭窒化チタン基サーメットは、質量%で、少なくとも炭化タングステン: 20〜30 %、炭化タンタルおよび炭化ニオブのうちの 1種または 2種(以下、 TaCZNbCとも言 う): 5〜10%、 Co : 5〜10%、 Ni: 5〜10%、および炭窒化チタン: 50〜60%を含む 配合組成を有する圧粉体の焼結体である。
[0030] 走査型電子顕微鏡による組織観察を行なうと、硬質相: 75〜90面積%、および結 合相:残部からなる組織を有することがわかる。
硬質相は、図 2の模写図で示されたように、以下の(1)〜(3)を含む。
(1)芯部が炭窒化チタン相力 なり、周辺部が Tiと、 Wと、 Taおよび Nbのうちの 1種 または 2種とを有する複合炭窒化物(以下、(Ti, W, TaZNb) CNと示す)相からな る有芯構造の第 1硬質相。
(2)芯部および周辺部の両方が (Ti, W, TaZNb) CN相からなる有芯構造の第 2硬 質相。
(3)炭窒化チタン相力 なる単相構造の第 3硬質相。
[0031] 結合相は、結合相に占める割合で、かつ質量%で、
Co : 18〜33%、
Ni: 20〜35%、
Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種を含みその合計量: 5%以下、および W:40〜60%を少なくとも含む組成を有する W— Co— Ni系合金を有する。
[0032] この切削インサートを構成する TiCN基サーメットの配合組成および結合相の成分 組成を、上記の通りに数値限定した理由を以下に説明する。
(圧粉体の WCおよび結合相の W)
原料粉末である WC粉末は、焼結時に結合相形成成分である Coおよび Ni成分中 に固溶し、前述した雰囲気交互変化処理で結合相中に残留含有され、高 W含有結 合相を形成する。これにより、結合相の高温硬さが向上するため、 Wは、切削インサ ートの高速切削での耐摩耗性向上に寄与する作用がある。 WCの配合割合が 20% 未満では、前記結合相中の W含有割合が、結合相に占める割合で 40%未満となつ てしまう。これにより、高熱発生を伴なう高速切削で所望の耐摩耗性を発揮することが できない。一方、 WCの配合割合が 30%を越えると、結合相中の W成分の含有割合 力 結合相に占める割合で 60%を超えて高くなつてしまう。この結果、結合相自体の 高温強度が急激に低下し、これが原因で切削時にチッビング (微少欠け)が発生し易 くなる。以上の点から、 WCの配合割合を 20〜30%とし、 TiCN基サーメットの結合 相中に前記雰囲気交互変化処理で 40〜60%の W成分が含有するように定められる
[0033] (圧粉体の TaCZNbCおよび結合相の TaZNb)
同じく原料粉末である TaC粉末および NbC粉末も、焼結時に結合相の形成成分で
ある Coおよび Ni成分中に固溶し、冷却時に析出して硬質相を形成する。 Ta, Nbは 、前記硬質相の周辺部および一部の芯部に固溶含有され、前記硬質相の高温強度 を向上させる作用を有する。しかし、 TaC粉末および NbC粉末のうちの 1種または 2 種の配合割合が 5%未満では、前記作用に所望の向上効果が得られない。一方、そ の配合割合が 10%を越えると、硬質相中の含有割合が高くなり過ぎる。これが硬質 相の硬さ低下の原因となるば力りでなぐ結合相中の含有割合も Tiとの合計量が結 合相に占める割合で 5%を越えて高くなつてしまう。この結果、高温硬さが急激に低 下するようになる。以上の点から、 TaCおよび NbCのうちの 1種または 2種の配合割 合を 5〜10%とし、結合相中の Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種との合計量 力 結合相に占める割合で 5%以下となるように定められる。
[0034] (圧粉体の Coおよび結合相の Co)
Coには、焼結性を向上させ、結合相を形成して、切削インサートの強度を向上させ る作用がある。しかし、その配合割合が 5%未満では、所望の焼結性を確保すること ができないばかりでなぐ結合相中の Co含有割合 (結合相に占める割合)も 18%未 満となってしまい、前記切削インサートに所望の強度向上効果を確保することができ ない。一方、その配合割合が 10%を越えると、焼結後の結合相中の Co含有割合が 3 3%を越えて高くなつてしまう。この結果、結合相の高温硬さが低下し、摩耗が急激に 進行するようなる。以上の点から、 Coの配合割合を 5〜10%とし、結合相中の Co含 有割合が 18〜33%となるように定められる。
[0035] (圧粉体の Niおよび結合相の Ni)
Niには、焼結時に Coと共に結合相を形成して、結合相の耐熱性を向上させ、もつ て切削インサートの耐摩耗性向上に寄与する作用がある。し力しその配合割合が 5 %未満では、焼結後の結合相における Ni成分の含有割合 (結合相に占める割合)が 20%未満となってしまい、所望の耐熱性向上効果が得られない。一方、その配合割 合が 10%を越えると、焼結後の結合相中の Ni含有割合が 35%を越えて高くなる。こ の結果、結合相の高温強度が低下し、切刃部にチッビングが発生し易くなる。以上の 点から、 Niの配合割合を 5〜10%とし、結合相中の Ni含有割合が 20〜35%となる ように定められる。
[0036] (圧粉体の TiCNおよび硬質相)
原料粉末である TiCN粉末には、焼結時に上述した第 1硬質相〜第 3硬質相を有 する硬質相を形成して、切削インサートの硬さを向上させ、もって耐摩耗性向上に寄 与する作用がある。
しかし、 TiCNの配合割合が 50%未満では、切削インサートにおける硬質相の割合 が 75面積%未満となってしまい、所望の硬さを確保することができない。一方、 TiC Nの配合割合が 60%を越えると、硬質相の割合が 90面積%を越えて高くなる。この 結果、切削インサートの強度が急激に低下し、切削時にチッビングが発生し易くなる 。さらに、結合相における Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種との合計量力 結 合相に占める割合で 5%を越えて高くなつてしまう。この結果、結合相の高温硬さが 低下し、これが高速切削での摩耗促進の原因となる。以上の点から、 TiCNの配合割 合を 50〜60%とし、結合相中の Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種との合計 量力 結合相に占める割合で 5以下%となるように定められる。
[0037] (第 2の実施形態)
本実施形態の炭窒化チタン基サーメット製インサート(以下、切削インサートとも言う )は、質量%で、少なくとも炭化タングステン: 20〜30%、炭化タンタルおよび炭化- ォブのうちの 1種または 2種(以下、 TaCZNbCとも言う): 5〜10%、炭化ジルコ-ゥ ム、炭化バナジウム、および炭化モリブデンのうちの 1種または 2種(以下、 ZrCZVC /Mo Cとも言う): 1〜5%、 Co : 5〜10%、 Ni: 5〜10%、および炭窒化チタン: 50
2
〜60%を含む配合組成を有する圧粉体の焼結体である。例えば、図 1に示された IS O規格 ' CNMG120412のチップ形状をもった切削インサート 21などが挙げられる。
[0038] 走査型電子顕微鏡による組織観察を行なうと、硬質相: 75〜93面積%、および結 合相:残部からなる組織を有することがわかる。
硬質相は、図 3の模写図で示されたように、以下の(1)〜(3)を含む。
(1)芯部が炭窒化チタン相力 なり、周辺部が Tiと、 Wと、 Taおよび Nbのうちの 1種 または 2種と、 Zr、 V、および Moのうちの 1種または 2種以上とを有する複合炭窒化物 [以下、(Ti, W, Ta/Nb, ZrZvZMo) CNで示す]相からなる有芯構造の第 1硬 質相。
(2)芯部および周辺部の両方が(Ti, W, Ta/Nb, ZrZvZMo) CN相からなる有 芯構造の第 2硬質相。
(3)炭窒化チタン相力 なる単相構造の第 3硬質相。
[0039] 結合相は、結合相に占める割合で、かつ質量%で、
Co : 18〜33%、
Ni: 20〜35%、
Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種と、 Zr、 V、および Moのうちの 1種または 2種以上を含みその合計量: 5%以下、および
W:40〜60%を少なくとも含む組成を有する W— Co— Ni系合金を有する。
[0040] この切削インサートを構成する TiCN基サーメットの圧粉体の配合組成および結合 相の成分組成を、上記の通りに数値限定した理由を以下に説明する。
(圧粉体の WCおよび結合相の W)
原料粉末である WC粉末には、焼結時に結合相形成成分である Coおよび Ni成分 中に固溶し、前述した雰囲気交互変化処理で前記結合相中に残留含有され、高 W 含有結合相を形成する。これにより、結合相の高温硬さが向上するため、 Wは、切削 インサートの高速切削での耐摩耗性向上に寄与する作用がある。 WCの配合割合が 20%未満では、前記結合相中の W含有割合が、結合相に占める割合で 40%未満と なってしまう。これにより、高熱発生を伴なう高速切削で所望の耐摩耗性を発揮する ことができない。一方、 WCの配合割合が 30%を越えると、結合相中の W成分の含 有割合が、結合相に占める割合で 60%を超えて高くなつてしまう。この結果、結合相 自体の高温強度が急激に低下し、これが原因で切削時にチッビング (微少欠け)が 発生し易くなる。以上の点から、 WCの配合割合を 20〜30%とし、 TiCN基サーメット の結合相中に前記雰囲気交互変化処理で 40〜60%の W成分が含有するように定 められる。
[0041] (圧粉体の TaCZNbCおよび ZrCZVCZMo C、並びに結合相の TaZNbおよび
2
Zr/V/Mo)
同じく原料粉末である TaCZNbC粉末 (以下、前者という)、および ZrCZVCZM o C粉末 (以下、後者という)のいずれも、同じく焼結時に結合相形成成分である Co
および Ni成分中に固溶し、冷却時に析出して硬質相を形成する。前記硬質相の周 辺部および一部の芯部に固溶含有され、前者は硬質相の高温強度を向上させる作 用を有し、後者は結合相との濡れ性を向上させる作用を有する。このため、双方共に サーメット自体の強度を向上させる効果を有する。し力 前者の配合割合が 5%未満 の場合、又は後者の配合割合が 1%未満の場合、前記作用に所望の向上効果が得 られない。一方、前者の配合割合が 10%を越える場合、又は後者の配合割合が 5% を越える場合、硬質相中の含有割合が高くなり過ぎる。これが硬質相の硬さ低下の 原因となるば力りでなぐ結合相中の Tiと、 TaZNbと、 ZrZvZMoとの合計量が結 合相に占める割合で 5%を越えて高くなつてしまう。この結果、高温硬さが急激に低 下するようになる。以上の点から、その配合割合を前者では 5〜10%、後者では 1〜 5%とし、結合相中の Tiと、 TaZNbと、 ZrZvZMoとの合計量が、結合相に占める 割合で 5%以下となるように定めた。
[0042] (圧粉体の Coおよび結合相の Co)
原料粉末である Co粉末には、焼結性を向上させ、結合相を形成して、切削インサ ートの強度を向上させる作用がある。しかし、その配合割合が 5%未満では、所望の 焼結性を確保することができな ヽばかりでなく、結合相中の Co含有割合 (結合相に 占める割合)も 18%未満となってしまい、前記切削インサートに所望の強度を確保す ることができない。一方、その配合割合が 10%を越えると、焼結後の結合相中の Co 含有割合が 33%を越えて高くなつてしまう。この結果、結合相の高温硬さが低下し、 摩耗が急激に進行するようなる。以上の点から、 Coの配合割合を 5〜10%とし、結合 相中の Co含有割合が 18〜33%となるように定められる。
[0043] (圧粉体の Niおよび結合相の Ni)
原料粉末である Niには、焼結時に Coと共に結合相を形成して、結合相の耐熱性を 向上させ、もって切削インサートの耐摩耗性向上に寄与する作用がある。しかし、そ の配合割合が 5%未満では、焼結後の結合相における Ni成分の含有割合 (結合相 に占める割合)が 20%未満となってしまい、所望の耐熱性向上効果が得られない。 一方、その配合割合が 10%を越えると、焼結後の結合相中の Ni含有割合が 35%を 越えて高くなる。この結果、結合相の高温強度が低下し、切刃部にチッビングが発生
し易くなる。以上の点から、 Niの配合割合を 5〜10%とし、結合相中の Ni含有割合 力 S20〜35%となるように定められる。
[0044] (圧粉体の TiCNおよび硬質相)
原料粉末である TiCN粉末には、焼結時に上記した第 1硬質相〜第 3硬質相を有 する硬質相を形成して、切削インサートの硬さを向上させ、もって耐摩耗性向上に寄 与する作用がある。
しかし、 TiCNの配合割合が 50%未満では、切削インサートにおける硬質相の割合 が 75面積%未満となってしまい、所望の硬さを確保することができない。一方、 TiC Nの配合割合が 60%を越えると、硬質相の割合が 93面積%を越えて高くなる。この 結果、切削インサートの強度が急激に低下し、切削時にチッビングが発生し易くなる 。さらに、結合相における Tiと、 TaZNbと、 ZrZvZMoとの合計量が、結合相に占 める割合で 5%を越えて高くなつてしまう。この結果、結合相の高温硬さが低下し、こ れが高速切削での摩耗促進の原因となる。以上の点から、 TiCNの配合割合を 50〜 60%とし、結合相中の Tiと、 TaZNbと、 ZrZvZMoとの合計量が、結合相に占め る割合で 5以下%となるように定められる。
[0045] (第 3の実施形態)
本実施形態のサーメット製インサート 1は、図 5に示されたように、 ISO規格: SNGN 120408の形状の焼結体力もなる切削インサートである。
このインサート 1は、 Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種(以下、 TaZNbとも 言う)と、 Wとを含有する焼結体力 なる炭窒化チタン系サーメットから形成されている
[0046] インサート 1の焼結体組成を以下に示す。
Tiを炭窒化物換算した値と、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種を炭化物換算した 値と、 Wを炭化物換算した値との合計が、焼結体を構成する組織全体に対する割合 で、 70〜95質量%である。
また、 Wを炭化物換算した値は、組織全体に対する割合で、 20〜35質量%であり 、 Co及び Niは、組織全体に対する割合で、 5〜30質量%である。
Tiは、組織全体に対して、炭窒化物換算した値で 45〜60質量%含まれるとともに
、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種は、炭化物換算した値で 5〜 10質量%含まれ ている。
[0047] このインサート 1は、図 4Aに示すように、硬質相(硬質粒子)と、その周囲を覆うよう に存在する結合相とからなる組織 (不可避不純物を含む)により構成されて ヽる。 硬質相は、 Tiと、 Wと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種とを有する複合炭窒化 物(以下、(Ti, W, TaZNb) CNと示す)と炭窒化チタンとからなる。結合相は、 Wと 、 Coおよび Niのうちの 1種または 2種(以下、 CoZNiとも言う)とを主成分とする。 なお、「Wと、 Coおよび Niのうちの 1種または 2種とを主成分とする」とは、その合計 量が他成分の合計量より多い状態を示し、例えばその合計量は 98質量%程度に達 する。
組織全体に含まれる Wのうち、 40〜65質量%力 硬質相に含まれるとともに、残部 力 結合相に含まれている。
[0048] 硬質相として、例えば図 4Bに示された下記(1)〜(3)の全ての硬質相を備えてい る。
(1)芯部が炭窒化チタン相、周辺部が (Ti, W, TaZNb) CN相からなる有芯構造 の第 1硬質相、
(2)芯部および周辺部の両方が (Ti, W, TaZNb) CN相からなる有芯構造の第 2 硬質相、
(3)炭窒化チタン相からなる単相構造の第 3硬質相。
[0049] このサーメット製インサートを構成する炭窒化チタン系サーメットの組成、および硬 質相と結合相の成分組成を、上記の通りに数値限定した理由を以下に説明する。な お、 Tiの含有量は TiCNとして換算した値であり、 Nb及び Z又は Taの含有量は(Nb /Ta) Cとして換算した値であり、 Wの含有量は WCとして換算した値である。
硬質相 (硬質粒子)を形成する複合炭窒化物及び炭窒化チタンなどの炭窒化物は 、サーメットの硬さを向上させ、耐摩耗性を向上させる作用がある。しかし、硬質相の 割合がサーメット全体の 95質量%を超えると、相対的に結合相の割合が 5質量%未 満になり、靱性が低下し、耐欠損性が低下する。一方、硬質相の割合が 70質量%未 満では、相対的に結合相の割合が 30質量%を超えてしまい、サーメットの耐摩耗性
が低下する。以上の点から、 Tiを炭窒化物換算した値と、 Taおよび Nbのうちの 1種ま たは 2種を炭化物換算した値と、 Wを炭化物換算した値との合計が、焼結体を構成 する組織全体に対する割合で、 70〜95質量%となるように定められる。
[0050] また、 Wを、組織全体に対して (WC換算で) 20〜35質量0 /0含むことにより、インサ 一トの耐摩耗性を向上することができる。
更に、 Coは、焼結性を向上させ、結合相を形成して、インサートの強度を向上させ る効果を有する。 Niは、焼結時に結合相を形成して、結合相の耐熱性を向上させ、 もって、インサートの耐摩耗性を高める効果を有する。 Co及び Niを、合計量で 5〜3 0質量%含有することにより、前記特性を発揮できる。 Co、 Niの含有量は、それぞれ 5質量%以上が好ましい。
[0051] 特に、本実施形態では、組織全体に含まれる Wは、 Wを炭化物換算した値で、 40 〜65質量%が硬質相中に配分されるとともに、残部が結合相に配分されて 、る。 つまり、本実施形態では、全組織に含まれる Wのうち、 40〜65質量%を硬質相中 に固溶して含むことにより、硬質相が強化されるので、耐欠損性 (特に耐熱衝撃性能 )が向上する。し力も、結合相に Wの残部を固溶して含むことにより、結合相の硬度が 高くなるので、耐摩耗性が向上する。これにより、高い耐摩耗性と耐欠損性とを共に 実現できるという顕著な効果を奏する。
[0052] 上述したインサート 1は、図 6に例示するように、例えば鋼製の柱状のホルダ 3の先 端に、固定治具 5によって固定される。そして、このホルダ 3にインサート 1が固定され た切削工具 7を用いて、鋼等の切削が行われる。
[0053] なお、本実施形態では、例えば第 1の実施形態に記載の下記の構成をさらに採用 することちでさる。
例えば、インサートとして、「少なくとも炭化タングステン: 20〜30質量0 /0、炭化タン タルおよび炭化ニオブのうちの 1種または 2種: 5〜10質量%、じ0 : 5〜10質量%、 N i: 5〜: L0質量%、および炭窒化チタン: 50〜60質量%を含む配合組成を有する圧 粉体の焼結体」を採用できる。
[0054] 更に、例えば、前記焼結体として、「走査型電子顕微鏡による組織観察で、硬質相 : 75〜90面積%、結合相:残部からなる組織を有する構成」を採用できる。
その上、前記結合相として、「結合相に占める割合で、少なくとも Co : 18〜33質量 %、?^: 20〜35質量%、 Tiと、 Taおよび Nbのうちの 1種または 2種を含みその合計 量: 5質量%以下、および W:40〜60質量%を含む組成を有する W—Co—Ni系合 金」を採用できる。
[0055] なお、組成の残部等には、通常、不可避不純物が含まれる。また、本明細書中「A 及び Z又は B」とは、 A及び Bの少なくとも一方の意味である。
実施例
[0056] (実施例 1)
第 1の実施形態の切削インサートを実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、 V、ずれも 0. 5〜2 μ mの平均粒径を有する、 TiC N 粉末、 Ti
0. 5 0. 5
C N 粉末、 TiC N 粉末(以上 CZNは原子比を示す)、 NbC粉末、 TaC
0. 3 0. 7 0. 15 0. 85
粉末、 WC粉末、 Co粉末、および Ni粉末を用意した。これら原料粉末を、表 1に示さ れる配合組成に配合し、ボールミルで 24時間湿式混合し、乾燥した。その後、 98M Paの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を、以下の焼結条件 (a)〜(e)で焼 糸 ptし/こ。
[0057] (a)室温から 1280°Cまでを lOPa以下の真空雰囲気中、 2°CZmin.の速度で昇温 した。
(b) 1280°Cの温度に昇温した時点で、 35kPaの Ar雰囲気に 2分間保持の短時間 A r雰囲気保持と、 lOPa以下の真空雰囲気に 10分間保持の短時間真空雰囲気保持 とを、それぞれ表 1に示される回数で交互に繰り返し施す雰囲気交互変化処理を施 した。
(c)上記雰囲気交互変化処理後、 1420°Cまでの昇温を lOPa以下の真空雰囲気中 、 2°C/min.の速度で昇温した。
(d) 1420°Cから 1480〜1560°Cの範囲内の所定の焼結温度まで 2°CZmin.の速 度で昇温し、ついで前記焼結温度に 1. 5時間保持した。この焼結温度までの昇温と 焼結温度での保持を 1300Paの窒素雰囲気で行った。
(e)上記焼結温度からの炉冷を lOPa以下の真空雰囲気中で行った。
[0058] 焼結後、切刃部分に R: 0. 07mmのホー-ングカ卩ェを施すことにより図 1に示され
た ISO規格 · CNMG 120412のチップ形状をもった本発明の第 1の実施形態に係る 切削インサート 1— 1〜1— 10をそれぞれ製造した。
[0059] また、比較の目的で、表 2に示される通り、焼結温度への昇温過程における上記の 雰囲気交互変化処理を行わない以外は、実質的に同一の条件で従来切削インサー ト 1— 1〜1— 10をそれぞれ製造した。
[0060] この結果得られた本発明切削インサート 1—1〜1— 10および従来切削インサート 1
1〜1 10につ 、て、これを構成する TiCN基サーメットの走査型電子顕微鏡によ る組織観察結果および結合相の分析結果をそれぞれ表 3, 4に示した。
[0061] つぎに、上記の本発明切削インサート 1—1〜1— 10および従来切削インサート 1
— 1〜: L— 10につ 、て、 V、ずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止め した状態で、以下の切削条件 1 A〜l Cでの合金鋼の高速切削試験を行った。 そして、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表
5に示した。
[0062] 切削条件 1 A (合金鋼の乾式断続高速切削試験)
被削材: JIS · SCM440の長さ方向等間隔 4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 300mZmin、
切り込み: 1. 5mm、
送り: 0. 2mmZrev、
切削時間: 10分 (通常の切削速度は 200mZmin)
[0063] 切削条件 1 B (炭素鋼の乾式連続高速切削試験)
被削材: JIS ' S20Cの丸棒、
切削速度: 350mZmin、
切り込み: 1. Omm、
送り: 0. 2mmZrev、
切削時間: 20分 (通常の切削速度は 250mZmin)。
[0064] 切削条件 1 C (铸鉄の乾式連続高速切削試験)
被削材: JIS · FC300の丸棒、
切削速度: 400mZminゝ
切り込み: 2. 5mm,
送り: 0. 3mmZrev、
切削時間: 20分 (通常の切削速度は 280mZmin)。
[表 1]
¾006
¾006
逃げ面磨耗幅 (mm) 逃げ面磨耗幅 (mm)
切削 切削 切削 切削 棚 切削
種別 条件 条件 条件 種別 条件 条件 条件
1一 1 - 1一 1一 1― 1 -
A B C A B C
1 -1 0.1 1 0.16 0.25 1 -1 0.38 0.37 047
本 1 -2 0.15 0.18 0.20 従 1 -2 0.37 0.36 0.47 発 1 -3 0.13 0.17 0.25 来 1 -3 0.38 0.39 0.49 明
切 1 -4 0.15 0.15 0.24 切 1 -4 0.36 0.38 ひ 48
削
削 1 -5 0.13 0.19 0.21 1 -5 0.37 0.38 0.46
ィ
ィ 1 -6 0.12 0.17 0.21 、ノ 1 -6 0.40 0.37 0.45
ン 1 -7 0.12 016 0.20 サ 1 -了 0.36 0.42 0.49
サ
1 -8 0.10 0.19 0.21 一 1 -8 0.37 0.39 0.51 卜 1 -9 0.14 0.16 0.22 卜 1 -9 0.39 0.41 0.45
1 -10 0.13 0.17 0.24 1 - 10 0.34 0.41 0.49
[0070] 表 1〜5に示される結果から、本発明切削インサート 1— 1〜1— 10は、いずれもこ れを構成する TiCN基サーメットの結合相力 Wを結合相に占める割合で 40〜60% の高含有率で含有することによって、優れた高温硬さを具備し、これにより、高熱発 生を伴なう高速切削加工でも優れた耐摩耗性を発揮することがゎカゝつた。これに対し て、従来切削インサート 1— 1〜1— 10においては、いずれも結合相における Wの含 有割合が結合相に占める割合で 1〜10%と低い。この結果、結合相に優れた高温 硬さを期待することができない。このため、特に高速切削加工での前記結合相の摩 耗進行が促進するようになり、これが原因で比較的短時間で使用寿命に至ることが 明らかである。
[0071] 上述のように、この発明の切削インサートは、各種の鋼ゃ铸鉄などの通常の条件で の切削加工は勿論のこと、高熱発生を伴なう高速切削加工でも優れた耐摩耗性を発 揮する。このため、切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足 に対応できる。
[0072] (実施例 2)
第 2の実施形態の切削インサートを実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、 V、ずれも 0. 5〜2 μ mの平均粒径を有する、 TiC N 粉末、 Ti
0. 5 0. 5
C N 粉末、 TiC N 粉末 (以上 CZNは原子比を示す)、 WC粉末、 TaC粉
0. 3 0. 7 0. 15 0. 85
末、 NbC粉末、 ZrC粉末、 VC粉末、 Mo C粉末、 Co粉末、および Ni粉末を用意し
た。これら原料粉末を、表 6に示される配合組成に配合し、ボールミルで 24時間湿式 混合し、乾燥した。その後、 98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を、 以下の焼結条件 (a)〜 (e)で焼結した。
[0073] (a)室温から 1280°Cまでを lOPa以下の真空雰囲気中、 2°CZmin.の速度で昇温 した。
(b) 1280°Cの温度に昇温した時点で、 35kPaの Ar雰囲気に 2分間保持の短時間 A r雰囲気保持と、 lOPa以下の真空雰囲気に 10分間保持の短時間真空雰囲気保持 とを、それぞれ表 6に示される回数を交互に繰り返し施す雰囲気交互変化処理を施 した。
(c)上記雰囲気交互変化処理後、 1420°Cまでの昇温を lOPa以下の真空雰囲気中 、 2°C/min.の速度で昇温した。
(d) 1420°Cから 1480〜1560°Cの範囲内の所定の焼結温度まで 2°CZmin.の速 度で昇温し、ついで前記焼結温度に 1. 5時間保持した。この焼結温度までの昇温と 焼結温度での保持を 1300Paの窒素雰囲気で行った。
(e)上記焼結温度からの炉冷を lOPa以下の真空雰囲気中で行った。
[0074] 焼結後、切刃部分に R: 0. 07mmのホー-ングカ卩ェを施すことにより図 1に示され た ISO規格 'CNMG120412のチップ形状をもった本発明の第 2の実施形態に係る 切削インサート 2— 1〜2— 15をそれぞれ製造した。
[0075] また、比較の目的で、表 7に示される通り、原料粉末である TiCN粉末に関し、上記 の TiC N 粉末だけを用い、かつ焼結温度への昇温過程における上記の雰囲気
0. 5 0. 5
交互変化処理を行わない以外は実質的に同一の条件で従来切削インサート 2— 1〜 2 15をそれぞれ製造した。
[0076] この結果得られた本発明切削インサート 2— 1〜2— 15および従来切削インサート 2
- 1〜2— 15について、これを構成する TiCN基サーメットの走査型電子顕微鏡によ る組織観察結果および結合相の分析結果をそれぞれ表 8, 9に示した。
[0077] つぎに、上記の本発明切削インサート 2— 1〜2— 15および従来切削インサート 2 — 1〜2— 15につ 、て、これを 、ずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネ ジ止めした状態で、以下の切削条件 2— A〜2— Cでの合金鋼の高速切削試験を行
つた。そして、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結 果を表 10に示した。
[0078] 切削条件 2— A (炭素鋼の乾式断続高速切削試験)
被削材: JIS · S20Cの長さ方向等間隔 4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 380mZmin、
切り込み: 1. 5mm、
送り: 0. 2mmZrev、
切削時間: 10分 (通常の切削速度は 250mZmin)。
[0079] 切削条件 2— B (合金鋼の乾式連続高速切削試験)
被削材: JIS · SCM440の丸棒、
切削速度: 300mZmin、
切り込み: lmm、
送り: 0. 2mmZrev、
切削時間: 20分 (通常の切削速度は 200mZmin)。
[0080] 切削条件 2— C (铸鉄の乾式連続高速切削試験)
被削材: JIS · FC300の丸棒、
切削速度: 380mZmin、
切り込み: 2. 5mm,
り: 0. dmmZrev、
切削時間: 20分 (通常の切削速度は 280m/min)。
[0081] [表 6]
§s
¾008
逃げ面磨耗幅 (mm) 逃げ面磨耗幅 (mm)
切削 切削 切削 切削 切削 切削 種別 条件 条件 条件 種別 条件 条件 条件
2- 2— 2- 2 - 2- 2-
A B C A B C
2-1 0.09 0.20 0.20 2-1 0.34 0.40 0.49
2-2 0.10 0.17 0.21 2-2 0.34 0.36 0.45
2-3 0.1 1 0.16 0.21 2-3 0.36 0.41 0.49 本 2-4 0.1 1 0.16 0.21 2-4 0.35 0.37 0.47
従
発 2-5 0.10 0.17 0.19 2-5 0.35 0.40 0.46
来
明 2-6 0.09 0. 6 0.21 切 2-6 0.37 0.42 0.49 切 2-7 0.09 0.18 0.22 削 2-7 0.34 0.39 0.44 削
2-8 0.1 1 0.20 0.19 ィ 2-8 0.36 0.38 0.46 ィ
ン 2-9 0.13 0.16 0.20 ン 2-9 0.34 0.43 0.49 サ 2-10 0.1 1 0.19 0.20 サ 2-10 0.33 0.36 0.44
2-1 1 0.10 0.18 0.22 2-1 1 0.34 0.43 0.47
卜
卜 2-12 0.1 1 0.17 0.21 2-12 0.34 0.40 0.46
2-13 0.09 0.18 0.20 2-13 0.38 0.41 0.48
2-14 0.09 0.19 0.22 2-14 0.34 0.38 0.49
2-15 0.12 0.17 0.18 2-15 0.33 0.37 0.44
[0086] 表 6〜10に示される結果から、本発明切削インサート 2— 1〜2— 15は、いずれもこ れを構成する TiCN基サーメットの結合相力 Wを結合相に占める割合で 40〜60% の高い割合で含有することによって、優れた高温硬さを具備し、これにより、高熱発生 を伴なう高速切削加工でも優れた耐摩耗性を発揮することがゎカゝつた。これに対して 、従来切削インサート 2— 1〜2— 15においては、いずれも結合相における Wの含有 割合が結合相に占める割合で 1〜10%と低い。この結果、結合相に優れた高温硬さ を期待することができない。このため、特に高速切削加工での前記結合相の摩耗進 行が促進するようになり、これが原因で比較的短時間で使用寿命に至ることが明らか である。
[0087] 上述のように、この発明の切削インサートは、各種の鋼ゃ铸鉄などの通常の条件で の切削加工は勿論のこと、高熱発生を伴なう高速切削加工でも優れた耐摩耗性を発 揮する。このため、切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足 に対応できる。
[0088] (実施例 3)
第 3の実施形態のサーメット製インサート (以下単にインサートと記す)及び切削ェ 具を実施例により具体的に説明する。
まず、平均粒径 0. 5〜2 μ mの TiC N 粉末、平均粒径 0. 5〜2 μ mの TiC N
0.5 0.5 0.3 0.7 粉末、平均粒径 1〜2 μ mの WC粉末、平均粒径 1〜2 μ mの Ta粉末、平均粒径 1〜 2 μ mの NbC粉末、平均粒径 2〜3 μ mの Co粉末、平均粒径 2〜3 μ mの Ni粉末を 用意した。これらの原料粉末を、表 11に示される配合組成に配合し、 3— A〜3— D の 4種類の混合粉末を調整した。
[0089] [表 11]
[0090] 前記 3— A〜3— Dの各混合粉末を、それぞれボールミルにて、アルコール中で、 2 4時間湿式混合し、その後乾燥した。
この乾燥した粉末を、 98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形した。
[0091] 次に、この圧粉体を、図 7に示す様に、以下の焼成条件 (a)〜( で焼成した。
(a)室温から 1200°Cまでを、 lOPa以下の真空雰囲気 (V)中にて、 10°CZ分の速度 で昇温した。
(b) 1200°Cの温度(中間温度:なお、中間温度としては 1200〜1250°Cを採用でき る)に昇温した後、 35kPaの Ar雰囲気に 2分間保持の短時間 Ar雰囲気保持と、 10P a以下の真空雰囲気に 15分間保持の短時間真空雰囲気保持とを、交互に繰り返し 施す雰囲気交互変化処理を施した。
(c)上記雰囲気交互変化処理後、 1350°Cまでの昇温を lOPa以下の真空雰囲気中 にて、 2°CZ分の速度で昇温した。
(d) 1350°Cから所定の焼結温度(1500°C)まで 2°CZ分の速度で昇温し、ついで前 記焼結温度に 60分間保持した。この焼結温度までの昇温と焼結温度での保持を 1. 3kPaの窒素雰囲気で行った。
(e)上記焼結温度力もの炉冷を 90kPa以下の Ar雰囲気中で行った。
[0092] 以上 (a)〜(e)の工程力もなる条件で焼結し、焼結後、研磨加工を施すことにより、 I
SO規格: SNGN120408のチップ形状を有するインサート 1を製造した。
すなわち、下記表 12に示す様に、前記 4種の混合粉末に対応した試料 No.3— 1〜
3— 4のインサートを、それぞれ製造した。
[0093] また、比較の目的で、下記表 12に示される通り、中間温度の違い以外は実質的に 同一の条件で、それぞれ比較例のインサート (試料 No.3— 5〜3— 7)を製造した。
[0094] [表 12]
[0095] 次に、上述した製造方法によって製造した本発明例の試料 No.3— 1〜3—4のイン サートと比較例の試料 No.3— 5〜3— 7のインサートの組成分析や切削評価につ!ヽ て説明する。
(1)組成分析
EDS (エネルギー分散法)によって、本発明の各試料 No.3— 1〜3— 4及び比較例 の試料 No.3— 5〜3— 7のインサート (焼結体)に含まれて 、る成分 (元素)の定量を 行った。そして、その成分の化合物換算を行った。その結果を、下記表 13及び表 14 に示す。
[0096] [表 13]
試料 インサート (焼結体元素 i¾i 3成 (質量%)
配合
No. Ti W Ta Nb Co Ni
3-1 3-A 44 35 ― 5 8 8 本
発 3-2 3-B 47 32 9 ― 6 6 明 3-3 3-C 53 28 ― 6 6 7 例
3-4 3-D 48 32 ― 6 了 7 比 3-5 3-B 47 30 1 1 ― 6 6
3-6 3-C 56 26 ― 5 6 7 例 3-7 3-D 52 30 ― 5 6 7
[0097] [表 14] 試料 インサート焼結体)元素換算値 (質量%)
配合
No. TiCN WC TaC NbC Co Ni
3-1 3-A 49 32 5 7 7 本
発 3-2 3-B 52 30 8 ― 5 5 明 3-3 3-C 58 25 一 6 5 6 例
3-4 3-D 53 29 6 6 6
3-5 3-B 50 30 10 5
比 5 較 3-6 3 - C 60 24 ― 5 5 6 例 3-7 3-D 54 30 ― 5 5 6
[0098] また、 STEM (走査透過電子顕微鏡)を用いた分析と EDSにより、インサートの結 合相の組成を分析した。その結果を、下記表 15に示す。
[0099] [表 15]
[0100] 更に、 Wの含有量を求めた。その結果を、下記表 16に記す。
ここで、インサート全体 (焼結体全体)に対する結合相中の W量、インサート全体に
対する硬質相中の w量、全 W量に対する結合相中の W量は、ぞれぞれ、下記式(1) 〜式(3)により求めることができる。なお、 W量等の算出には、換算値ではなく元素の 量 (質量%)を用いた。
[0101] 結合相中の W量 (質量%)
= (結合相組成中 W) X (焼結体組成中 Co + Ni)Z (結合相組成中 Co + Ni)
•••(1)
硬質相中の W量 (質量%)
= (焼結体中 W量) (結合相中 W量) · · ·(2)
全 W量に対する結合相中の W量 (質量%)
= (結合相中の W量) / (全 W量) · · ·(3)
[0102] [表 16]
[0103] (2)耐欠損試験
各試料のインサートを、工具鋼製バイト (ホルダ)の先端部に、固定治具にてネジ止 めして、切削工具とした。
そして、この切削工具を用いて、下記表 17の切削条件にて、合金鋼の乾式断続高 速切削試験を行った。なお、耐欠損試験は、同種の 20個のインサートを用いて行つ た。
衝撃回数 700回での累積欠損率(700回で欠損が発生するインサートの個数の割 合)を調べた。その結果を下記表 18に記す。
[0104] (3)耐摩耗試験
各試料のインサートを、工具鋼製バイト (ホルダ)の先端部に、固定治具にてネジ止 めして、切削工具とした。
そして、この切削工具を用いて、下記表 17の切削条件にて、合金鋼の乾式断続高 速切削試験を行った。
4min加工後の逃げ面摩耗量 (V摩耗量)を測定した。その結果を下記表 18に記
B
す。
[0105] [表 17]
[0106] [表 18] 切削評価
試料 中間温度
組成
No. (°C) 累積欠損 VB摩耗量
率 (%) nm)
3-1 3-A 1200 25 0.1 1 本
発 3-2 3-B 1200 15 0.09 明 3-3 3-C 1250 20 0.10 例
3-4 3-D 1250 15 0.10 比 3-5 3-B 1300 35 0.09 車父 3-6 3-C 1350 40 0.10 例 3-7 3-D 1350 35 0.1 1
[0107] 前記表 11〜18から明らかなように、本発明例のインサートは、特にインサートに含 まれる Wのうち、 40〜65質量%を硬質相中に含むとともに、残部を結合相に含んで V、るので、高 、耐摩耗性及び耐欠損性を共に実現できると!、う顕著な効果を有する ことが分力ゝる。
[0108] なお、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなぐ本発明を逸脱しない 範囲にお 、て種々の態様で実施しうることは 、うまでもな 、。
産業上の利用可能性
[0109] 本発明の炭窒化チタン基サーメット製インサートは、高熱発生を伴なう高速切削加 ェで優れた耐摩耗性を発揮するため、各種の旋削加工に用いられる。また、本発明 のサーメット製インサート及び切削工具も、高い耐摩耗性を維持できるとともに、高い 耐欠損性を実現できるため、各種の旋削加工に用いられる。