明 細 書
ァクロレインの製造方法、およびグリセリン含有組成物
技術分野
[0001] 本発明は、生産性に優れ、かつ、固体酸触媒を用いるグリセリンの気相反応により ァクロレインを製造する方法、およびこの方法においても好適に使用できるグリセリン 含有組成物に関するものである。
背景技術
[0002] 植物油から製造されるバイオディーゼルは、化石燃料の代替燃料としてだけではな ぐ二酸化炭素の排出量が少ない点でも注目され、需要の増大が見込まれている。こ のバイオディーゼルを製造するとグリセリンが副生するため、その有効利用を図る必 要がある。グリセリンの利用の一態様としては、グリセリンをァクロレインの原料に使用 すること力 S挙げられる。
[0003] ァクロレインは、 1,3—プロパンジオール、 1,2—プロパンジオール、メチォニン、ァ クリル酸、 3—メチルプロピオンアルデヒド、吸水性樹脂等のァクロレイン誘導体の原 料として使用される有用な化合物である。特開平 06— 192147号公報には、グリセリ ンの脱水反応により得られたァクロレインを使用し、 1,3—プロパンジオールおよび 1, 2—プロパンジオールを製造することが開示されている。また、特開 2005— 213225 号公報には、グリセリンの気相脱水反応生成物を気相酸化することにより、アクリル酸 を製造することが開示されている。また、 WO2006/092272には、グリセリンからァ クロレインを得、このァクロレインを公知の気相酸化反応によりアクリル酸とし、さらに 公知の方法によりアクリル酸から吸水性樹脂を製造することが開示されている。
[0004] グリセリンの脱水反応によりァクロレインを製造することができ、この製造において固 体酸触媒を用いることは古くから知られている。
[0005] 特開平 06— 211724号公報には、酸強度関数 Hが + 2以下の固体酸触媒 (例え
0
ば、燐酸を酸化アルミニウム担体に担持させたもの)とグリセリンを 10〜40質量%含 有するグリセリン/水混合物とを 250°C〜340°Cの条件で接触させて、気相中のダリ セリンを脱水してァクロレインを製造することが開示されている。この公報の実施例に
おける触媒 1時間当りのグリセリン供給量は、 80〜; 160g/hrと算出される。
[0006] また、 WO2006/087083には、酸強度関数 H が— 9 18の固体強酸性触媒
0
を使用するグリセリンの気相脱水反応によりァクロレインを製造する方法が開示され、 10 50質量%のグリセリン/水混合物と前記固体強酸性触媒とを使用する接触気 相脱水反応においては、反応温度が 250°C 350°Cであると好ましいと記載されて いる。この公報における触媒 1Lあたりのグリセリン供給量は、 230g/hrと算出される
[0007] その他、グリセリンではなくプロピレンを原料とするァクロレインの製造方法ではある
1S 特表第 2006— 521317号公報には、プロピレンの接触部分気相酸化によりァク ロレインを製造する方法が開示されている。この方法におけるプロピレンの触媒 1Lあ たりの供給量は 90〜; 160NLであり、この供給量を触媒 1Lあたりのグリセリン供給量 に換算すると 360 658g/hrである。
[0008] 上記各公報は、希薄なグリセリン水溶液を用いた気相反応を開示し、低濃度のダリ セリンと高濃度の水蒸気からなる原料ガスを用いることを示唆している力 グリセリン の供給量を一定にした場合に原料ガスのグリセリンガスの分圧が触媒の寿命に影響 することは記載されて!/、なレ、。
[0009] 固体触媒を用いた接触気相反応においてグリセリンの分圧を下げる場合、(a)ダリ セリンの分圧に応じてグリセリンの供給量を下げることで、触媒負荷を下げる方法と、 (b)グリセリンの供給量を変えること無く希釈ガス量を増やすことで、触媒負荷を一定 にしたまま全原料ガスの空間速度を高める方法とがある。前者の方法では、生成物 の選択性や触媒寿命が改善されることが推測されるが、後者の方法では、生成物の 選択性が改善されても、触媒負荷が一定なので触媒寿命改善への影響は少なぐむ しろグリセリンの転化率は低下する場合があると推測される。
[0010] ァクロレインの工業的生産を想定した場合、上記各文献で開示されているような希 薄なグリセリン水溶液を原料とする気相反応では、多量の水を蒸発させるのに大量の エネルギーを消費する。そして、 目的生成物であるァクロレインは水よりも低沸点(52 °C)であるために、原料を蒸発させた水蒸気と脱水反応により生成した水蒸気とを全 て凝縮させるためのエネルギーを更に消費する。その上、その凝縮で得られたァクロ
レイン水溶液からァクロレインを取り出した後に、大量の排水処理が必要になる。従つ て、たとえ地球環境に優しいといわれる植物由来のグリセリンを原料として有用な化 合物であるァクロレインゃァクロレイン誘導体を製造したとしても、エネルギーの大量 消費と廃棄物の大量発生を伴うァクロレインの製造方法には、地球環境に配慮して V、るとは!/、レ、難!/、問題点がある。
[0011] また、ァクロレインの工業的生産を想定した場合、上記各公報に開示されているダリ セリンの供給量は少ないため、ァクロレインの生産性が悪い。従って、ァクロレイン製 造用装置が大きくなる課題があり、その生産性を高くすることが望まれる。
[0012] WO2006/087084には、常圧、気相、かつグリセリン濃度 50質量0 /0以下(反応 器入口の原料ガス中のグリセリン濃度 16モル%以下)の条件でァクロレインを製造す る方法が開示されている。この方法は、グリセリン水溶液を原料に使用し、グリセリンよ りも多量の水を反応器に供給するものである。
[0013] 特開 2005— 213225号公報には、グリセリンの気相脱水反応によりァクロレインを 製造し、ァクロレインの酸化反応によりアクリル酸を製造する方法が開示されている。 その気相脱水反応において、常圧'気相条件でグリセリンに添加される水の量は、 5 0質量%以下である。そして、反応器に供給される原料ガスには窒素などの不活性ガ スが加えられ、反応器入口における原料ガス中の不活性ガス濃度は 50モル%以上 、同原料ガス中のダリセリン濃度は 10〜; 14モル%である。
[0014] 「Le H.Dao, Reaction or Model Compounds of Biomass-Pyrolysis Oils uver ZSM-5 Zeolite Catalysts, American Chemical Society,1988,376,p.328- 341」には、グリセリン およびヘリウムガスを使用し、水を使用しないァクロレインの製造方法が開示されて いる。当該文献には、ァクロレインの収率についての明確な記載は無いが、ァクロレ インの収量は不十分である。
[0015] 一般的に、グリセリン濃度を高めればァクロレインの生産性の向上、およびァクロレ イン製造用反応器のサイズを小さくすることが可能である。これにより、固定費と、原 料の蒸発、原料の加熱、ァクロレインの分離精製などに要する変動費とを削減するこ とが見込まれ、グリセリン濃度を高めることにはグリセリン濃度を低くする場合に比べ て多くの利点があると予想される。
[0016] WO2006/087084,特開 2005— 213225号公報、 American Chemical Society に開示されてレ、る低濃度のグリセリンガスを使用する場合には、ァクロレインの低生 産性、反応器サイズが大きくなることによる設備費の増加などが懸念される。更に、 W 02006/087084および特開 2005— 213225号公幸 に示された低濃度のグリセ!; ン水溶液を使用する場合、多量の水を蒸発させるために多くのエネルギーが必要と なる上、得られたガス状生成物からのァクロレインの凝縮捕集に伴う多量の水蒸気凝 縮エネルギーが必要になってしまうことが問題となる。また、 American Chemical Socie tyに示されたヘリウムガス等の非凝縮ガスを使用した場合、ガス状生成物からァクロ レインを凝縮捕集する際にァクロレインが飛散し、ァクロレインを損失することも懸念さ れる。それらに加えてァクロレイン収率、触媒寿命の改善が望まれている。
[0017] なお、 WO2006/087084,特開 2005— 213225号公報、 American Chemical S ocietyには、減圧条件でグリセリンの気相脱水反応を行ったときの効果は記載されて いない。また、これらの文献には、ァクロレインの高収率化、ァクロレインの捕集効率 の向上、およびグリセリン濃度を高めても反応収率が低下することがない気相脱水反 応条件の記述および示唆がな!/、。
[0018] 上述の通り、ァクロレインの製造方法においてはエネルギー消費量の改善等が望 まれる。ァクロレインの製造において他の改善されるべき事項としては、活性が低下し た触媒の再生がある。 WO2006/087083には、触媒上に炭素上物質が蓄積する ことや触媒の経時的活性低下が開示されて!/、るが、活性が低下した触媒の再生条件 についは開示されておらず、グリセリンの気相脱水反応温度と触媒再生温度との関 係についての言及もない。
[0019] WO2006/087083には、(1)反応温度を下げるとグリセリンの転化率が低下する 力 Sァクロレインの選択性が向上すること、 (2)グリセリンと触媒との接触時間を長くする とグリセリンの転化率は向上するが、逐次反応および副生成物の生成を避けるため にはその接触時間の延長に限界があること、(3)接触時間の延長は、反応温度が低 い場合のグリセリンの転化率低下を補うための手段として有効であること、が記載され ているが、接触時間とァクロレインの収率の関係についての具体的開示はない。さら に、グリセリン供給量と反応条件との関係については何ら開示されておらず、実施例
において示されている供給量と反応条件でァクロレインを製造するとしても、この条件 で製造されるァクロレインの生産効率は工業的に不十分であるため、その条件を採 用する場合には大量の触媒と大型の反応装置が必要なる。つまり、経済的な観点か ら反応条件の改善が望まれる。
発明の開示
[0020] 本発明は、エネルギー消費量が少ない上に効率に優れ、かつ、地球環境を配慮し たァクロレインの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、ァクロレイン の収率に優れ、触媒寿命が長いグリセリンの気相脱水反応によりァクロレインを製造 する方法を提供することも目的とする。
[0021] 本発明者らはグリセリンからのァクロレインの製造方法について鋭意検討した結果、 グリセリンの気相脱水反応において、原料ガス中のグリセリンガスの分圧を低くするこ とにより目的生成物であるァクロレインの収率が向上し、かつ触媒に接触させるグリセ リン量が同じであってもその触媒上に蓄積する炭素質物質の量がグリセリンガスの分 圧に比例し、その結果、特に触媒寿命に影響していることを見出した。つまり、触媒 負荷が同じグリセリンの気相脱水反応においては、グリセリンガスの分圧を下げれば 、ァクロレインの選択率が改善されるだけではなぐ触媒寿命が大幅に改善されること を見出した。この知見により本発明を完成させるに至った。
[0022] 本発明は、グリセリンガスを含有する原料ガスを反応器内の固体酸触媒に接触させ るァクロレインの製造方法であって、前記原料ガス中のグリセリンガスの分圧が 0. 01 〜30kPaであるァクロレインの製造方法である。この本発明に係る製法によれば、優 れたァクロレイン収率と触媒寿命を実現することができ、更には、環境負荷を小さくす るために必要なエネルギー消費量と廃水量の低減を実現できる。前記グリセリンガス の空間速度は、 70〜2400hr— 1であると好適である。
[0023] 触媒へのグリセリン負荷条件が実用的で、かつ収率を損なうことなくァクロレインを 製造するには、前記触媒 1Lあたりの前記グリセリンガス供給量が 300〜; 15000g/h r、かつ、ァクロレインを製造するための反応温度が 350〜460°Cであると良い。
[0024] 前記反応器入口における圧力が 90kPaを超える場合、前記触媒体積を 1秒あたり の前記原料ガス流量で除して算出される接触時間が 0. ;!〜 7. 2秒であると良い。こ
の接触時間に設定するときの前記反応器入口における圧力は、 lOOkPa以上が好ま しい。
[0025] 常圧で、グリセリン濃度が高い原料ガスを使用した場合、グリセリン濃度が低い原料 ガスを使用した場合に比べて、ァクロレイン収率が低くなることがある。本発明者らは 、所定の減圧条件が選定されたグリセリンの気相脱水反応によれば、グリセリン濃度 が高い原料ガスを使用しても高収率でァクロレインを製造できると共に、触媒寿命を 改善できることを見出した。つまり、前記反応器の入口における圧力は、 IkPa以上 9 OkPa以下であると好適である。
[0026] 反応器入口における圧力を IkPa以上 90kPa以下にすれば、非凝縮性ガスおよび 凝縮性ガスから選択されたガスを原料ガスの希釈ガスとして使用しなくても、ァクロレ イン収率が低くなることを抑制できる。つまり、水の蒸発および液化のためのエネルギ 一浪費がない経済性と、反応器の小型化による設備費低減とが見込まれる。また、反 応器内における圧力損失の回避と、この圧力損失によるァクロレイン収率への影響 の回避とを期待できる。非凝縮性ガスを希釈ガスとして使用しない場合には、より容 易にァクロレインを凝縮捕集することが可能である。以上のことは、本発明において の希釈ガスの使用を制限する趣旨ではな!/、。非凝縮性ガスを希釈ガスとして使用す る場合には、前記反応器入口における原料ガス中の非凝縮性ガスの濃度が 10モル %以下であると良ぐ凝縮性ガスを希釈ガスとして使用する場合には、前記反応器入 口におけるグリセリンガス以外の凝縮性ガスの濃度が 60モル%以下であると良い。 例えば、水蒸気を希釈ガスとして使用することは、通常のグリセリンの脱水反応では 悪影響が生じる懸念がある力 S、 IkPa以上 90kPa以下の圧力範囲であれば、ァクロレ イン収率や触媒寿命などの面から望ましい。なお、圧力が IkPa以上 90kPa以下の 範囲外となる本発明に係るァクロレインの製造方法にお!/、も、水蒸気を希釈ガスとし て使用する場合もある。
[0027] 本発明においては、グリセリン蒸発器の温度を 285°C以下にして前記グリセリンガス を発生させると良い。グリセリン蒸発器でグリセリンガスを発生させ、ガス流量制御弁 を通じたグリセリンガスと希釈ガスとを混合して原料ガスを得る。その際、ガス流量制 御弁における圧力損失を無視することができないから、グリセリン蒸発器内は加圧さ
れてグリセリンの沸点が上昇するため、実際の蒸発器の温度を 300°C以上にする必 要があると予想される。これに対して、反応器の入口における圧力を IkPa以上 90kP a以下に設定する場合、この圧力(減圧状態)の程度に応じてグリセリン蒸発器の温 度を低下させる事が可能となり、グリセリンを蒸発させる際のグリセリンの分解、重合な どの低減が見込まれる。
[0028] 本発明に係るァクロレインの製造方法においては、前記原料ガスが凝縮性ガスとし て水蒸気を含有し、かつ、該水蒸気の分圧が前記グリセリンガスの分圧の 5倍以下で あると好適である。
[0029] 反応器内への原料ガス供給の開始直後には、ァクロレイン収率が低ぐ安定しない 場合がある(以下、このァクロレイン収率が低ぐ安定しない期間を、「誘導期」と称す ること力 Sある。)。グリセリンから安定した収率でァクロレインが得られないと、ァクロレイ ンの収率が不安定となり好ましくな!/、。ァクロレインを経てァクロレイン誘導体を連続 的に製造する際に、ァクロレインの収率が不安定となることは、誘導体の製造工程へ のァクロレイン供給量が不安定になるため特に好ましくなレ、。ァクロレインを貯蔵する タンクを設ければ、誘導体製造工程へのァクロレイン供給量の変動を抑制できるが、 ァクロレインは非常に不安定な物質なので、その貯蔵時間を極力短くすることが望ま れる。そして、ァクロレインの収率が不安定であると、タンクへのァクロレイン貯蔵量を 多くする必要があるため、安定した収率でァクロレインを製造することが望まれる。
[0030] 本発明者らは、原料ガスに脂肪酸および/または脂肪酸エステルを所定量含ませ れば、上記誘導期を短縮できることを見出した。つまり、前記原料ガスとして、脂肪酸 および/または脂肪酸エステルを含有し、前記脂肪酸および脂肪酸エステルの総質 量が前記グリセリンガスに対して 0. 00;!〜 5質量%であるものを使用すれば、ァクロ レインの収率を安定かつ高くすることができる。
[0031] 前記脂肪酸は、炭素数 4〜22の飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸であると 良い。また、前記脂肪酸エステルは、炭素数 4〜22の飽和脂肪酸および/または不 飽和脂肪酸と炭素数 1〜4のアルコールとのエステルであると良い。
[0032] 前記グリセリンガスに使用されるグリセリンは、油脂の加水分解反応またはエステル 交換反応により生成したものであっても良い。
[0033] より経済性に優れたァクロレインの製造方法は、次の方法である。
[0034] 上記のァクロレインの製造方法によりァクロレインを製造するァクロレイン製造工程( 1)と、当該工程 (1)において活性が低下した前記固体酸触媒に酸化性ガスを含む再 生用ガスを接触させることにより、前記固体酸触媒を再生する再生工程 (2)とを交互に 繰返し、再生工程 (2)における最高温度 Tm(2)を、 300°C≤Tm(2)とする。この温度設 定によれば、固体酸触媒の再生が可能となる。
[0035] 再生工程 (2)では、ァクロレイン製造工程 (1)において固体酸触媒上に蓄積した炭素 質物質が除去される。ァクロレイン製造工程 (1)と再生工程 (2)とを繰り返してァクロレイ ンを製造する際に工程 (1)と (2)の間の温度差が大きいと、各工程 (1)の温度調整のた めの時間やエネルギーの損失が大きくなるために経済的に好ましくない。そこで、ァ クロレイン製造工程 (1)の反応温度を 300°C以上にしたところ、予想外なことに、ァクロ レインの収率が向上することが判明した。つまり、ァクロレイン製造工程 (1)におけるグ リセリンの脱水反応温度を 300°C以上とすることにより、(1)ァクロレイン製造工程 (1) の温度と再生工程 (2)の温度との差が小さくなるので、工程 (1)と工程 (2)との間におけ る時間およびエネルギーの損失が少なくなつてァクロレインを経済的に製造でき、 (2 )グリセリンの脱水反応温度が 300°C以上なので、ァクロレイン収率が良好となる。
[0036] ァクロレイン製造工程 (1)から再生工程 (2)へ切り替える際のァクロレイン製造工程 (1) における終了時点の温度と再生工程 (2)における開始時点の温度との差の絶対値 D T(12)は、 DT(12)≤100°Cであると良い。
[0037] 再生工程 (2)からァクロレイン製造工程 (1)へ切り替える際の再生工程 (2)における終 了時点の温度とァクロレイン製造工程 (1)における開始時点の温度と差の絶対値 DT( 21)は、 DT(21)≤100°Cであると良い。
[0038] 上記ァクロレイン製造工程 (1)と再生工程 (2)とを交互に繰り返すァクロレインの製造 方法において反応器入口における圧力が 90kPaを超える場合には、その工程 (1)の 反応温度が 300°Cを超えかつ 450°C以下、触媒体積を 1秒あたりの原料ガス流量で 除して算出される接触時間が 0. ;!〜 7. 2秒であると好ましい。この短い接触時間で あると、グリセリンの転化率が高い上に、高収率でァクロレインを得ることができる。
[0039] また、上記ァクロレイン製造工程 (1)と再生工程 (2)とを交互に繰り返すァクロレインの
製造方法においては、その工程 (1)での触媒 1Lあたりのグリセリンガス供給量が 300 〜; 15000g/hrであると好ましい。この供給量であっても、良収率でァクロレインを得 ること力 Sでさる。
[0040] 本発明に係るグリセリン含有組成物は、固体触媒を用いた脱水反応によるァクロレ インの製造に原料として用いられる。この組成物は、脂肪酸および/または脂肪酸ェ ステルを含有し、前記脂肪酸および脂肪酸エステルの総質量は、グリセリンに対して 0. 00;!〜 5質量%である。
発明を実施するための最良の形態
[0041] 本実施形態に係るァクロレインの製造方法は、反応器内でグリセリンガスを含んだ 原料ガスと触媒とを接触させる気相脱水反応によりァクロレインを製造するものである 。固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器等から任意に選択した反応器を使 用することができ、簡便にァクロレインを製造できる固定床反応器を使用することが好 ましい。
[0042] 本実施形態のァクロレインの製造における気相脱水反応温度(以下において、「気 相脱水反応温度」を「T1」と称することがある)は、通常、反応器の温度制御のための 熱媒等の設定温度を指す。当該温度は、触媒の活性変化および反応条件の変更に 伴い、適宜変更されても良い。その温度は、 200〜500°Cであると良く、 250〜500 。Cカ好まし <、 300〜450。Cカより好まし <、 330〜440。Cカ更に好まし <、 350-42 0°Cがより更に好ましぐ 350〜400°Cが最も好ましい。反応温度が低いと、グリセリン の転化率が低くなりァクロレインの生産量が実質的に低下すると共に、未転化のダリ セリンを回収するための装置が必要になるため好ましくない。また、反応温度が高す ぎると、ァクロレインの収率が大幅に低下するので好ましくなレ、。
[0043] 原料ガスは、グリセリンガスを含有する。また、グリセリンの濃度を調整するために希 釈ガスを含ませる場合がある。必要に応じて希釈ガスを原料ガスに含ませるので、希 釈ガスを原料ガスに含ませな!/、こともある。
[0044] 反応器入口における原料ガスの圧力は、特に制限されない。原料ガスの圧力の下 限値は、反応装置の耐圧性などの経済的観点と触媒性能とのバランスに基づき、適 宜設定される。この圧力は、通常 0. OlkPa以上であり、 0. lkPa以上が好ましぐ lk
Pa以上が更に好ましい。原料ガスの圧力の上限は、反応器入口における原料ガスが 気体となっている限り制限されないが、通常 lMPa、好ましくは 500kPa、より好ましく (ま 300kPa、更 ίこ好ましく (ま 200kPaである。
[0045] グリセリンの濃度が高い原料ガスを使用する場合、原料ガスの圧力は、 lkPa以上 9 OkPa以下、好ましくは 3kPa以上 80kPa以下、より好ましくは 5kPa以上 70kPa以下 である。この範囲以下の圧力では、気密性の高い反応器などの設備費や製造装置 の運転費用に見合うだけの効果が得られない。また、ァクロレインの捕集が困難にな る場合があるので、ァクロレインの収率低下が懸念される。
[0046] グリセリンと希釈ガス全量を含めた原料ガスの反応器入口における空間速度(以下 において、「空間速度」と「GHSV」と称することがある)は、通常、 10〜30000hr— 1で あり、好ましくは 30〜20000hr— 1であり、より好ましくは 50〜; 12000hr— 1であり、更に 好ましくは 70〜; !OOOOhr— 1であり、更により好ましくは 100〜5000hr— 1であり、最適 には 125〜3000hr— 1である。
[0047] 本明細書における「接触時間」とは、触媒体積を 1秒あたりの原料ガス流量で除した 値である。つまり、当該接触時間は、反応器内に充填されている触媒の体積を、反応 器入口における原料ガスの総流量で除して算出される。また、接触時間は、 3600を GHSVで除しても算出できる。反応器入口における原料ガス圧力が 90kPaを超える 場合の接触時間は、 0. ;!〜 7. 2秒が好ましぐより好ましくは、 0. 2〜7. 0秒、更に 好ましくは 0. 3〜6. 0秒である。
[0048] グリセリンガス源は、グリセリンの精製品、グリセリンの粗製品、およびグリセリン水溶 液の何れであっても良い。また、エチレン、プロピレン等から化学合成したグリセリン、 油脂の加水分解反応またはエステル交換により得られた天然資源由来のグリセリン のいずれであっても良い。
[0049] グリセリンガスの分圧は、 30kPa以下であると良ぐ好ましくは 25kPa以下、より好ま しくは 20kPa以下、更に好ましくは 15kPa以下である。この分圧は低いほうが好まし いが、分圧を低くし且つ一定のァクロレインの生産性を確保するためには、(A)反応 におけるガスの全圧を下げる、(B)グリセリン以外の希釈ガスを大量に同伴させる、等 の方法が必要となる。工業的観点から鑑みると、前記 (A)の方法においては、気密
性が高ぐかつ、減圧に耐えうる反応装置や大型の減圧装置が必要となり、前記 (B) の方法においては、生成したァクロレインの捕集コストの増カロ、希釈ガスの大量使用 のためのコスト増加、および圧力損失の増大に伴う動力費の増加が問題となる。よつ て、グリセリンガスの分圧は、工業的観点から、 0. OlkPa以上が好ましぐ 1. OkPa 以上がより好ましぐ 2. OkPa以上が更に好ましい。
[0050] 上記の「グリセリンガスの分圧」とは、反応器の入口における原料ガス中のグリセリン ガスの分圧である。例えば、原料ガス中のグリセリンガスのモル濃度が 100%であれ ば、グリセリンガスの分圧は反応器入口における原料ガスの圧力である。また、グリセ リン以外の成分が原料ガスに含まれている場合には、反応器入口における原料ガス 中のグリセリンガスのモル濃度(モル%)に、反応器入口における原料ガスの全圧力 を掛けることにより算出される値である。
[0051] 原料ガス中におけるグリセリンガスの濃度は、グリセリンガスの分圧が上記範囲内で あれば特に限定されない。グリセリンガスの濃度は、 0. ;!〜 100モル%であると良ぐ 特に触媒 1Lあたりのグリセリン供給量(単位: g/hr)が多!/、条件では希釈ガス使用 量の削減や反応系の圧力損失の低減、生成したァクロレインの捕集効率などの経済 的観点から、 1モル%以上であるとより好まし!/、。
[0052] グリセリンガスの分圧が上記範囲内であることを条件に原料ガスの圧力を lkPa以 上 90kPa以下に設定する場合、グリセリンガスの濃度は、 20モル%以上が好ましぐ 40モル%以上がより好ましぐ 90モル%以上が更に好ましい。グリセリン濃度をこの 範囲内にすれば、ァクロレインの生産性を向上させることができ、ァクロレイン製造に 必要なエネルギーを削減できる。
[0053] 本実施形態における「グリセリンガスの GHSV」とは、単位時間と単位触媒体積を基 準にしたグリセリンガスの体積である。この体積は、反応器に供給するグリセリンガス の標準状態における体積であり、反応器入口における原料ガスの総量を基準にした 体積ではない。例えば、グリセリン含有量が 90質量%の原料ガスを 1000g/hrの流 量で、触媒 1Lを備える反応器内に供給した場合、グリセリンガスの GHSVは、 1000 g/hr X 90質量
0 /
0 ÷ 92. 06g/mol X 22. 4L/mol÷ lL 219hr—
1である。前記 の 92. 06は、グリセリンの分子量を表し、 1Lは、触媒の体積を表している。
[0054] 分圧が同一で GHSVが異なる二種のグリセリンガスを比較した場合、 GHSVが低 いグリセリンガスを使用する方が固体酸触媒の寿命が長くなるが、触媒量および時間 を一定としたときにおけるァクロレインの生産性が低くなる。従って、触媒寿命と反応 器の大きさ等を勘案して好適な GHSVを設定すればよ!/、が、工業的観点から鑑みれ ば、
10 Ohr—
1以上が更に好ましぐ
一方で、グリセリンガスの上限 は、 3650hr—
1であると良い。但し、グリセリンガスの GHSVが高い場合には、反応器 を小型化できる反面、固体酸触媒の活性低下が早くなるために触媒再生を頻繁に実 施する必要が生じる。そのため、反応器の小型化および固体酸触媒の活性のバラン スと、経済性とを考慮したグリセリンガスの GHSVは、 2400hr—
1以下が通常であり、 1 SOOhr—
1以下が好ましぐ 600hr—
1以下がより好ましい。
[0055] ァクロレイン製造における気相脱水反応温度が 350〜460°Cである場合、グリセリ ンガスの供給量は、触媒 1Lあたり 300〜; 15000g/hrであると良く、 400〜; 12000g /hrカ好ましく、 500〜; 10000g/hrカより好まし!/ヽ。
[0056] 反応器入口における原料ガス圧力力 0kPaを超える場合において、上記の気相 脱水反応温度と、前記触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量と、上記接触時間とに は相関関係がある。性能面から好ましいのは、例えば、反応温度 350°C以上 380°C 未満の場合、触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量が 300〜3000g/hr、かつ、 接触時間が 0. ;!〜 7. 2秒;反応温度が 380°C以上 410°C未満の場合、触媒 1Lあた りのグリセリンガスの供給!:力 300〜7000g/hr、力、つ、接角虫日寺 r ^力 0. 1— 7. 2禾少; 反応温度が 410°C以上 440°C未満の場合、触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量 力 S700〜; 10000g/hr、かつ、接触時間が 0. ;!〜 3. 5秒;反応温度が 440°C以上 4 60°C未満の場合、触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量が 2000〜15000g/hr、 かつ、接触時間が 0. ;!〜 2. 0秒;である。より好ましくは、反応温度 350°C以上 380 °C未満の場合、触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量が 300〜2000g/hr、かつ 、接触時間が 0. 3〜7. 2秒;反応温度が 380°C以上 410°C未満の場合、触媒 1Lあ たりのグリセリンガスの供給!:力 600〜4000g/hr、力、つ、接角虫日寺 r ^力 0. 3—6. 0 秒;反応温度が 410°C以上 440°C未満の場合、触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供
給量力 Sl000〜7500g/hr、かつ、接触時間が 0.;!〜 2. 5秒;反応温度が 440°C以 上 460°C未満の場合、触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量が 2500〜10000g/ hr、かつ、接触時間が 0.;!〜 1. 0秒;である。
[0057] 油脂の加水分解反応またはエステル交換により得られたグリセリンをグリセリンガス 源として使用する場合、グリセリンの精製条件を適度に調整すれば、一種または二種 以上の脂肪酸および/または脂肪酸エステル (以下、脂肪酸類と称することがある) の含量が好適なグリセリン含有組成物を得ることができる。また、グリセリンの製造方 法の態様に関わらず、適量の脂肪酸類を添加したグリセリン含有組成物をグリセリン 源として使用しても良い。なお、脂肪酸類を脱水反応に供給する方法は、(1)グリセリ ンと脂肪酸類とを混合して予めグリセリン含有組成物を調製し、脱水反応に供給する 方法、(2)グリセリンと脂肪酸類とを別々に脱水反応へ供給する方法がある。
[0058] 前記脂肪酸は、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の何れの脂肪酸であっても良い。
また、脂肪酸は、特に限定されないが、天然の植物性油脂または天然の動物性油脂 の加水分解反応およびエステル交換反応で生成する炭素数 4〜22の飽和脂肪酸ま たは不飽和脂肪酸が好ましい。前記植物性油脂としては、例えば、パーム油、パーム 核油、ヤシ油、大豆油、ナタネ油、ォリーブ油、ごま油が挙げられ、動物性油脂として は、例えば、魚油、牛脂、豚脂、鯨油が挙げられる。
[0059] 前記脂肪酸エステルは、特に限定されないが、前記脂肪酸と炭素数 1〜4の低級ァ ルコールまたはグリセリンとのエステルであると良い。特に、メチルエステルおよびェ チルエステル、またはグリセリンと脂肪酸とのエステルであるモノグリセリドが好ましい
〇
[0060] 本明細書における脂肪酸類の含有量は、グリセリンの質量を基準とした脂肪酸類の 質量%で示される値である。この脂肪酸類の含有量は、 0. 00;!〜 5質量%が良ぐ 0 . 0;!〜 4質量%が好ましぐ 0. 05〜2質量%がより好ましい。この含有量が少ないと 、固体酸触媒とグリセリンとを接触させた直後の誘導期を短縮することが不十分であり 、含有量が多すぎると、固体酸触媒の活性低下が早まることがある。
[0061] グリセリンを気化させるために必要なグリセリン蒸発器の温度は、蒸発器部分でのグ リセリンの分解などによるグリセリンのロスを低減するために、下げるほうが好ましい。
脱水反応を減圧条件で行う場合には、減圧の程度によりグリセリン蒸発器の温度を 低減する事ができるので、グリセリン蒸発器の温度は、 120°C〜285°Cであると良ぐ 160。C〜270。C力 ましく、 190。C〜260。C力 り好ましい。
[0062] 本発明におけるグリセリンガスの分圧は 30kPa以下であるので、原料ガスの圧力が 30kPa以上であれば、グリセリン以外の希釈ガスが必ず原料ガス中に含まれることに なる。また、反応器入口の原料ガスの圧力が 30kPa以下であっても、希釈ガスが含ま れていても構わない。
[0063] 原料ガスに希釈ガスを含ませる場合、グリセリンからァクロレインを生成させる脱水 反応に悪影響を与えなければ、凝縮性ガスおよび非凝縮性ガスから選択された一種 または二種以上のガスを任意に使用できる。ァクロレインをより容易に凝縮捕集でき る凝縮性ガスを希釈ガスにすることが望ましレ、。希釈ガスとして使用できる凝縮性ガス は、ァクロレインより高い沸点を有し、常圧条件で 200°C以下の沸点を有する化合物 のガスであり、例えば、水蒸気;へキサン、ヘプタン、オクタン、シクロへキサンなどの アルカン化合物のガス;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ェチルベンゼンな どの芳香族化合物のガス;が挙げられる。一方の非凝縮性ガスは、常圧条件で 0°C 以下の沸点を有する化合物や単体のガスであり、例えば、窒素ガス、二酸化炭素ガ ス、空気などの酸素含有ガス、ヘリウムなどの希ガスが挙げられる。
[0064] グリセリンの気相脱水反応により得られたァクロレイン組成物から、溶剤等の吸収、 凝縮によりァクロレインを回収した後の希釈ガス成分の一部または全量を、希釈ガス としてリサイクルすることもできる。更に、ァクロレインを用いてアクリル酸等のァクロレ イン誘導体を合成し、得られたァクロレイン誘導体を吸収または凝縮により取り出した 後の希釈ガス成分の一部または全量を、希釈ガスとしてリサイクルしても構わなレ、。
[0065] 脱水反応を減圧条件で行う場合での原料ガス中における希釈ガスの濃度は、後述 の希釈ガスの種類による個別の濃度範囲内となっている限り、次の通りである。非凝 縮性ガスは、 10モル%以下が良ぐ 8モル%以下が好ましぐ 5モル%以下がより好ま しい。また、凝縮性ガスは、 80モル0 /0以下が良ぐ 80モル0 /0以下が好ましぐ 40モノレ %以下がより好ましぐ 10モル%以下がさらに好ましい。非凝縮性ガス濃度をこの範 囲にすれば、ガスを昇温あるいは冷却させる際のエネルギーを削減でき、ァクロレイ
ンを捕集する際の飛散ロスを低減できるので好ましい。また、凝縮性ガスをこの範囲 にすれば非凝縮性ガスの場合と同様にエネルギーを削減できるば力、りでなぐ希釈 ガスの分離費用を削減できるので好ましレ、。
[0066] 水蒸気は、固体酸触媒の寿命とァクロレインの収率とに対して有利な効果があるの で、希釈ガスとして好適である。この場合の水蒸気の濃度は、特に規定されないが、 水を気化させるための熱、脱水反応生成物中の水蒸気を凝縮させるための熱、およ び廃水処理等の点から、原料ガス中のグリセリンガス濃度(モル%)の 5倍以下が好ま しぐ 4倍以下がより好ましい。グリセリン水溶液の気化、またはグリセリンガスと水蒸気 の混合により、原料ガスに水蒸気を含ませることができる。
[0067] 窒素などの非凝縮性で非酸化性ガスを希釈ガスとして使用する場合、グリセリンガ スの分圧が 0. 0;!〜 30kPaの範囲内になるのであれば、その分圧は特に問わない。 前記非凝縮性で非酸化性ガスの分圧は、通常はグリセリンガスの分圧の 100倍以下 、好ましくは 50倍以下、より好ましくは 20倍以下、更に好ましくは 10倍以下、より更に 好ましくは 5倍以下である。
[0068] ァクロレインを含有する脱水反応生成ガスを、必要に応じてァクロレインよりも高沸 点の成分である水等を一部または全て除去した後に、引き続きアクリル酸等のァクロ レイン誘導体の製造に用いる場合や、脱水反応にて生成したァクロレインの捕集を 行う場合等、該ァクロレイン捕集工程における捕集効率や、希釈ガス成分の種類、量 、これらの組み合わせをァクロレイン誘導体の製造条件に合わせて適宜調整すれば よい。
[0069] 酸素などの酸化性ガスが希釈ガスとして含まれる場合、固体酸触媒上への炭素質 物質の蓄積が軽減される。また、固体酸触媒の活性低下を抑制する効果が得られる 事がある。但し、酸化性ガスの量が多すぎると、燃焼反応によりァクロレインの収率低 下が見られるため、好ましくない。酸化性ガスとして酸素を用いた場合、酸素量は、反 応器入口における原料ガス中において 20モル%以下はり好ましくは 15モル%以下 )、およびグリセリンガスの分圧の 3. 5倍以下のいずれか低い値以下であると好まし い。
[0070] 固体酸触媒としては、(a)結晶性メタ口シリケート、(b)金属酸化物、(c)粘土鉱物、
(d)鉱酸を無機担体に担持させたもの、(e)リン酸や硫酸の金属塩およびそれらを α —アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機担体に担持させたものが 挙げられる。上記(a)の結晶性メタロシリケートとしては、 Al、 B、 Fe、 Ga等から選ば れる 1種または 2種以上の元素を T原子とし、かつ、 LTA、 CHA、 FER、 MFI、 MO R、 BEA、 MTW等の結晶構造を有するものがある。上記 (b)の金属酸化物としては 、 Al O、 TiO、 ZrO、 SnO、 V Oなどの単独金属酸化物; SiO -A1 O、 SiO— TiO、 TiO -WO、 WO ZrO等の複合酸化物;がある。上記(c)の粘土鉱物とし
2 2 3 3 2
ては、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト等がある。上記(d)の鉱酸を無機担体 に担持させたものとしては、リン酸、硫酸等の鉱酸を、 α アルミナ、シリカ、酸化ジ ルコユウム、酸化チタン等の無機担体に担持させたものがある。上記(e)のリン酸や 硫酸の金属塩としては、 MgSO、 Al (SO )、 K SO、 A1PO、 Zr (PO )等がある。
4 2 4 3 2 4 4 3 4 4
[0071] また、他の固体酸触媒としては、 WO2006/087083および WO2006/087084 に開示されている触媒 (リン酸、硫酸または酸化タングステンを担持している酸化ジル コニゥム)等がある。
[0072] グリセリンの脱水反応や固体酸触媒の再生処理においては、固体酸触媒が高温の 酸化雰囲気または高温の還元雰囲気に曝される。そのため、上記例を挙げた中でも 安定性が良い固体酸触媒を選択することが好適である。安定性の良い好適な固体 酸触媒としては、結晶性メタ口シリケート、金属酸化物および粘土鉱物が好適である。
[0073] 結晶性メタ口シリケートを固体酸触媒として使用する場合、 T原子が A 、つ MFI構 造の HZSM5は、特に好適な触媒である。 HZSM5は、ハメットの酸強度関数 H に
0 おいて 9および 16付近にピークを示す強酸性のメタロシリケートである(「橋本健 治他,触媒(1987), Vol.29, No.6, p.406_409」参照)。
[0074] 金属酸化物を固体触媒として使用する場合、リン酸アルミニウムは、特に好適な触 媒である。リン酸アルミニウムは、これを得るための調製方法やこの結晶系により異な るが、ハメットの酸強度関数 Hが + 1 · 5〜 + 4· 8であって弱い酸性を示す(「坂本清
0
子他,日本化学会誌(1995), 9, ρ.681-688」参照)。トリジマイト型、クリストバライト型 、クォーツ型等の結晶構造を有するリン酸アルミニウムを選択することが好ましい。トリ ジマイト型またはクリストバライト型の結晶構造を有するリン酸アルミニウムを固体酸触
媒として選択した場合には、ァクロレイン収率の経時低下とこの触媒上への炭素状物 質の付着とが抑えられる。一方で、クォーツ型の結晶構造を有するリン酸アルミユウ ムを固体酸触媒として選択した場合には、この触媒に付着する炭素状物質の量が少 ない。
[0075] なお、結晶性リン酸アルミニウムは、ォノレトリン酸と水酸化アルミニウム力もメタパリス カイト (A1PO - 2H O)を調製し、得られたメタバリスカイトにリン酸水溶液を添加した
4 2
後に乾燥し、該乾燥物を溶媒で処理する事により得られる。この時使用する溶媒を適 宜選択すれば、トリジマイト型、クリストバライト型、クォーツ型を作り分けることが知ら れている。また、オルトリン酸と硝酸アルミニウムとを溶解させた水溶液にアンモニア 水を加えて得られた沈殿物を 1000°C以上で焼成すれば、トリジマイト型結晶を調製 すること力 Sでさる。
[0076] 触媒の活性が低下した場合、この触媒と再生用ガスとを高温で接触させれば、触媒 を再生すること力 Sできる。ここで、「再生用ガス」とは、酸素などの酸化性ガスを含むガ スである。触媒と酸化性ガスを含む再生用ガスとを接触させる方法は、再生用ガスと 反応器から取り出した触媒とを接触させる方法;グリセリンの脱水反応が行われる反 応器と同じ反応器内に再生用ガスを流通させる方法;等、特に限定されない。後者の 反応器内に再生用ガスを流通させる方法は、固定床反応器を使用してァクロレイン を製造する場合に、反応器からの触媒の取り出し、および反応器への触媒の再充填 などの手間がかからないので、推奨される。
[0077] 触媒の再生において酸素を酸化性ガスとして使用する場合、空気中の酸素を用い るのが安価である。また、窒素、二酸化炭素、水蒸気等の不活性ガスを酸素と同伴さ せても良い。特に、空気と触媒との接触により急激な発熱が懸念される場合には、酸 素濃度を調整するために不活性ガスを用いる事が推奨される。触媒再生処理の前後 において、再生処理系内に残存する余分な有機物、および触媒充填時に混入した 酸素などを除去する目的で、窒素等の不活性ガスでパージしても良い。
[0078] 触媒の再生を行う場合、以下の再生工程 (2)に従!/、触媒を再生することが好まし!/、 。なお、再生工程 (2)についての以下の説明においては、「グリセリンの気相脱水反応 によるァクロレインを製造する工程」を「ァクロレイン製造工程 (1)」と称することがある。
[0079] 再生工程 (2)は、グリセリンの接触気相脱水反応により活性の低下した触媒と再生用 ガスとを高温で接触させる事により行われる。ァクロレイン製造工程 (1)がグリセリンガ スを固定床反応器内に原料ガスを流通させたものである場合には、その反応器内を 流通させるガスを再生用ガスに切換えることで行われる。以下、特に断りのない場合 には、固定床反応器内での触媒再生につ!、て説明する。
[0080] 再生工程 (2)における最高温度 Tmとは、ァクロレイン製造工程 (1)において炭素質 物質の蓄積により活性低下した触媒から、再生用ガスを用いてその蓄積物を除去す るときの最高温度である。 Tmは、通常、触媒の再生が行われる反応器の温度制御の ための熱媒の設定最高温度を指す。例えば、触媒再生中の温度を一定に制御した 場合には、その制御温度を Tmとし、再生工程 (2)中の炭素質物質除去に伴う触媒層 の発熱制御などのために再生工程 (2)における制御温度を昇降温させた場合には、 再生工程 (2)中の最も高!/ヽ設定温度を Tmとする。
[0081] ァクロレイン製造工程 (1)で触媒に蓄積した炭素質物質を完全に除去するためには 、 Tmを 300°C以上に設定する必要がある。 Tmは、 330°C以上が好ましぐ 350°C以 上がより好ましい。 Tmが 300°C以下であると、炭素質物質除去が不十分になるため 、触媒活性の回復不十分、触媒活性の早期低下等の問題が生じる場合がある。触 媒の熱的劣化が生じない温度であれば Tmを高く設定しても良いが、ァクロレイン製 造工程 (1)と再生工程 (2)の度に反応器の温度を変更するのは、昇温のためのエネノレ ギー損失が発生するば力、りでなぐ昇温および降温するための時間が必要になるた め、経済的に好ましくない。従って、再生工程 (2)の温度は、触媒の再生が可能であり 、かつグリセリンの脱水反応温度と出来るだけ近い温度が好ましい。
[0082] 酸素を再生用ガスの酸化性ガスとして用いる場合には、空気を用いるのが安価で ある。この再生用ガスは、窒素、二酸化炭素、水蒸気等の不活性ガスで希釈されたも のであっても良い。特に、触媒に空気を接触させると急激な発熱が懸念される場合に は、不活性ガスで再生用ガス中の酸素濃度を調整することが推奨される。なお、反応 器内に再生用ガスを流通させる前に、窒素、水蒸気等の非酸化性ガスを反応器内に 流通させ、反応器内に残存する有機物を追い出す等の処理を行っても良レ、。
[0083] 再生工程 (2)にお!/、て、発熱による触媒の熱劣化と急激な局部的発熱による反応器
の毀損等を防止しながら触媒から炭素質物質を燃焼除去するためには、この発熱量 を抑制するために再生工程 (2)における温度を制御する必要がある。従って、炭素質 物質の量が多レ、ほど、触媒再生の処理に長時間を要する事になる。
[0084] 上記の発熱量を抑制するには、再生工程 (2)で用いる再生用ガスに含まれる酸素濃 度、 SV、処理温度を調整する等の方法が挙げられる。酸素濃度 0. 0;!〜 21モル%、 SV100〜; !OOOOOhr— 処理温度 200〜550°Cの範囲から、酸素濃度等を適宜設 定すると良い。予想外の急激な発熱による触媒の不可逆な熱劣化や反応器の破損 などの事故を防ぐために、触媒層の温度を確認しながら徐々に処理温度を上げてい く方法、同じく触媒層の温度を確認しながら酸素濃度を上げていく方法等が推奨され
[0085] 「ァクロレイン製造工程 (1)における開始時点の温度」とは、再生工程 (2)からァクロレ イン製造工程 (1)に切り替える際の温度 T1である。つまり、この開始時点の温度は、ァ クロレイン製造工程 (1)において触媒に対してグリセリンガスの供給を開始した時の T1 である。「ァクロレイン製造工程 (1)における終了時点の温度」とは、ァクロレイン製造 工程 (1)から再生工程 (2)に切り替える際の温度 T1である。つまり、この終了時点の温 度は、ァクロレイン製造工程 (1)にお!/、て触媒に対してグリセリンガスの供給を止めた 時点の T1である。また、「再生工程 (2)における開始時点の温度」とは、ァクロレイン製 造工程 (1)から再生工程 (2)に切り替える際の温度である。つまり、この開始温度は、触 媒と再生用ガスとの接触を開始した時点の温度である。「再生工程 (2)における終了 時点の温度」とは、通常、触媒と再生用ガスとの接触を止めた時点の温度である。
[0086] なお、ァクロレイン製造工程 (1)で酸化性ガスを共存させてァクロレインを製造する 場合には、再生工程 (2)において用いられる酸化性ガス(例えば酸素)を引き続いて ァクロレイン製造工程 (1)で使用しても良い。この場合の再生工程 (2)における終了時 点の温度とは、触媒に対してグリセリンの供給を開始した時点の温度を言う。つまり、 再生工程 (2)における終了時点の温度とァクロレイン製造工程 (1)における開始時点 の温度は同じである。
[0087] 「ァクロレイン製造工程 (1)から再生工程 (2)に切り替える際」とは、触媒の性能などに 基づいて予定された再生工程 (2)への切り替えだけではなぐ停電などの障害を理由
として予定外にァクロレイン製造工程 (1)における触媒とグリセリンとの接触を止めて、 その障害から回復した後に再生工程 (2)を実施した場合も含まれる。
[0088] 「DT(12)」とは、ァクロレイン製造工程 (1)における終了時点の温度と、その後に実施 され再生工程 (2)における開始時点の温度との温度差の絶対値である。「DT(21)」と は、再生工程 (2)における終了時点の温度と、その後に実施されるァクロレイン製造ェ 程 (1)における開始時点の温度との温度差の絶対値である。例えば、ァクロレイン製 造工程 (1)を 330°Cで開始して 350°Cで終了した後、再生工程 (2)を 300°Cで開始し て 360°Cで終了し、再びァクロレイン製造工程 (1)を繰り返した場合、 DT(12)= I 35 0°C - 300°C I = 50。C、 DT(21)= | 360。C— 330。C | = 30。Cとなる。つまり、各ェ 程の途中の温度は DT(12)および DT(21)に関係なぐ前工程の終了時点の温度から 後工程の開始時点の温度差の絶対値力 ΦΤ(12)および DT(21)の指標となる。 DT(12 )および DT(21)は、小さいほど工程間の温度差が小さいことを示し、この差が小さけ れば、工程の切り替えに伴うエネルギー損失や待機時間が短くなるので、ァクロレイ ンを経済的に製造できることになる。 DT(12)および DT(21)は、 100°C以下が好ましく 、 80°C以下がよりに好ましぐ 60°C以下が更に好ましぐ 50°C以下が最も好ましい。 実験例
[0089] 以下に実験例を示す。
[0090] 実験例におけるグリセリンの転化率、ァクロレインの収率、および炭素質物質の蓄 積量の算出方法を以下に示す。
[0091] グリセリンの転化率、ァクロレイン収率:
ガスクロマトグラフィ(GC)により、後記反応器からの流出物の定性および定量分析 を行った。定量分析結果と下記式(1)または(2)から、転化率およびァクロレイン収 率を算出した。
[0092] [数 1] 式ひ):転化率 - 流^^巾のク セリンのモル数
30分間に反応器に流入させたク "リセ!!ンのモル数 j 0 0
[0093] [数 2]
式 (2):ァクロレインの収率: ァクロレインのモル数 x l 0 0
、ノ 30分間に反応器に流入させたタ' セリンのモル数
[0094] 炭素質物質の蓄積量:
熱重量 示差熱分析 (TG— DTA)により、ァクロレイン製造後の触媒に付着した 炭素質物質量を測定した。この TG— DTAでは、空気流通下に触媒を置き、室温か ら 600°Cまで速度 10°C/minで昇温させ、 600°Cの温度を 20分間保持した。そして 、炭素質物質の蓄積量を次式 (3)に基づいて算出した。
[0095] 園 式 (3):炭素励質の難 丄 0 0
[0096] 次の触媒調製例 Aまたは触媒調製例 Bに従って、触媒 Aおよび触媒 Bを調製した。
この触媒 Aまたは触媒 Bを使用し、下記実験例 1〜31に従ってァクロレインを製造し た。
[0097] 触媒調製例 A:
石肖酸 ノレミニクム 9水禾ロ物 160gとイオン交換水 800gとの溶 ί夜に、 85質量0 /0才ノレト リン酸 49gを混合した。この混合溶液に、約 50分間かけて、 28質量%アンモニア水 9 6. 7gを滴下した後(当該滴下当初から、白色の沈殿物が生じた)、混合液を 1時間 撹拌した。次に、吸引濾過により混合液力も分離した固形物(沈殿物)を洗浄した。洗 浄は、固形物とイオン交換水 800gとを混合した後、これを 1時間撹拌し、次に 1時間 静置した後、吸引濾過により固形分を分離した。前記洗浄操作を 3回繰り返した固形 物を、 120°C、空気雰囲気の条件でー晚乾燥した後、 1200°C、 3時間、空気雰囲気 の条件で焼成した。得られた固形物を破砕して、 0. 7〜; 1. 4mmに分級することによ り、触媒 Aを得た。
[0098] 触媒調製例 B :
0. 58gの NaOHを蒸留水 15. 00gに溶角早し、続けて 1. 95gの NaAlO (浅田ィ匕学
2 工業株式会社製、純度 86. 8質量%)を蒸留水に溶解し、更に、 10. 15gの 40質量 %水酸化テトラ— n プロピルアンモユウム水溶液を蒸留水に添加した。そして、この
溶液に蒸留水を加えて、全量が 30mlの含浸液を調製した。次に、シリカ成形体とし てシリカビーズ(富士シリシァ化学社製「キャリアタト Q— 50」、 10〜20メッシュ、平均 細孔径 50nm)を使用し、 120°Cで 1日間乾燥した 30gのシリカビーズを含浸液に 1時 間含浸させた。その後、このシリカビーズを 100°Cの湯浴上に設置した蒸発皿上で乾 燥させた後、更に 80°C、窒素気流下で 5時間乾燥することにより、結晶化に必要な N a、 A1結晶化剤をシリカビーズに担持させ、結晶性メタノシリケート前駆体を得た。得 られた前駆体を容積 100mlのテトラフルォロエチレン製のジャケット付坩堝の中空部 に配置させ、坩堝の底部には 1. 00gの蒸留水を入れた。この坩堝を 180°Cの電気 炉に 8時間静置し、前駆体を結晶化させた。結晶化により得られた固形物を、 60°Cの lmol/L硝酸アンモニゥム水溶液 300gに浸潰して 1時間撹拌した後、上澄み液を 廃棄した。この操作を複数回繰り返した。その後、固形物を水洗した。この固形物を、 空気気流中において 540°Cで 3. 5時間焼成した。この焼成により、 HZSM5である 触媒 Bを得た。
[0099] 実験例 1〜31におけるァクロレインの製造方法:
触媒 15mlを充填したステンレス製反応管(内径 10mm、長さ 500mm)を固定床反 応器として準備した。この反応器を 360°Cの塩浴に浸漬し、その後、グリセリンが所定 濃度の原料ガスを流通させた。反応器内に原料ガスを所定時間流通後から 30分間 に反応器から流出したガスを冷却液化捕集した(以下、「捕集した流出ガスの冷却液 化物」を「流出物」と称する)。 GCによる定性分析の結果、グリセリン、ァクロレイン、お よび 1ーヒドロキシアセトンが検出された。
[0100] 実験例 1 :
触媒 A、グリセリン:水:窒素 =4モル%: 20モル%: 80モル%の原料ガス、原料ガ スの GHSV4220hr— 1の条件で、ァクロレインを製造した。反応器入口における原料 ガスの圧力は、 106. 8kPaであった。結果を後記表 1に示す。
[0101] 実験例 2〜; 18 :
後記表 1に示す通り実験例 1における条件を変更した以外は、実験例 1と同様にし てァクロレインを製造した。実験例 2〜; 18のァクロレイン製造条件および結果を後記 表 1および 2に示す。
[0102] 実験例 19 :
触媒 B、グリセリンガスの分圧 33. OkPa、水蒸気の分圧 42. 3kPa、 Nの分圧 27.
2
8kPa、グリセリンガスの GHSV337. δΙ Γ—1の条件でァクロレインを製造した。結果を 後記表 1に示す。
[0103] 実験例 20〜28:
触媒 Βを使用し、ァクロレインを製造した。実験例 20〜28のァクロレイン製造条件 および結果を後記表 3に示す。
[0104] 実施例 29 :
次の事項以外は、実験例 1と同様にしてァクロレインを製造した。反応器出口に真 空ポンプと減圧一定装置を取り付け、反応器入口の原料ガス圧力を調整できる反応 装置を用いた。反応器入口圧力を 106. 5kPaから 63. lkPaに、反応器入口のダリ セリンガス圧を 4. 3kPa力、ら 27. 7kPaに、反応器入口の水蒸気圧を 21. 4kPa力、ら 3 5. 4kPaに、 GHSVを 4220hr— 1力、ら 403hr— 1に、それぞれ変更した。水蒸気/グリセ リンガスの分圧比は 1. 28、グリセリンガスの GHSVは 177hr— 1である。原料ガスの流 通開始から 0. 5〜; 1. 0時間および 5. 5〜6. 0時間における結果を後記表 4に示す。
[0105] 実験例 30〜31:
実験例 29において、触媒 Aを触媒 Bに変更し、後記表 4に記載の条件でァクロレイ ンを製造した。この条件以外は、実験例 1と同様とした。実験例 30〜31のァクロレイ ンの製造条件および結果を後記表 4に示す。
[0106] [表 1]
[0107] [表 2]
GLY:グリセリン ACR:ァクロレイン
ACR:ァクロレイン
表 4]
GLY :グリセリン
ACR:ァクロレイン
表 1の実験例;!〜 3、 4〜6、または 7〜9を比較すると、同伴される水蒸気の分圧に 関係な 特にグリセリンガスの分圧が 4〜9kPaのときにァクロレインの収率が高かつ
たこと力 S判る。また、炭素質物質の蓄積量も、水蒸気の分圧に関係なぐグリセリンガ スの分圧が低くした方が少なかったことが表 1に示されている。さらに、実験例 8およ び 9と、実験例 10および 11とを比較すると、グリセリンガスの GHSVが 2倍になってい るにも関わらず、ァクロレインの収率には大きな差は見られない。一方、グリセリンガス 分圧が 30kPaを超えて 33kPaである実験例 19は、ァクロレイン製造の初期において はァクロレインの収率が 70mol%と高いが、経時的な収率低下が著しぐ触媒上に蓄 積した炭素質物質の量も 23質量%と多くなつていた事がわかる。
[0111] 表 2の実験例 13〜; 18と表 1の水蒸気を同伴させた結果を比較すると、実験例 13〜
18は、反応器入口の水蒸気の分圧が OkPaであるが、比較対象である前記表 1の結 果と同等以上である。つまり、炭素質物質の蓄積量もグリセリンガスの分圧と相関して おり、グリセリンの分圧がァクロレインの収率や炭素質物質の蓄積の主要因であること が表 1および 2に示されている。
[0112] 触媒 Bを使用した表 3の実験例 20〜28においても、触媒 Aの結果である表 1と同様 に、グリセリンガスの分圧を低くした方がァクロレインの収率が優れ、炭素質物質の蓄 積量が低かったことが判る。例えば実験例 22と実験例 24を比較すると、グリセリンガ スの分圧が低い方が良かったことがわかる。グリセリンガスの GHSVが 338hr— 1である 力 S、グリセリンガスの分圧が 33kPaと高い比較例 1は、グリセリン転化率の変化はなか つたが、ァクロレインの収率が急激に低下していたので、触媒寿命が短かったことが ゎカゝる。
[0113] さらに、グリセリンガスの分圧はほぼ同じであるが、原料ガス中のグリセリン濃度が実 験例 12:実験例 29 = 27mol %: 44mol %とおおきく異なって!/、る実験例 12と実験例 29を比較すると、両実験例のァクロレイン収率に大きな差は見られない。実験例 27と 実験例 31との結果比較でも同様である。これらの結果から、原料ガスの全圧力ゃガ ス濃度ではなぐグリセリンガスの分圧が重要であることがわかる。
[0114] また、弱酸性であるリン酸アルミニウムからなる触媒 Aおよび強酸性である HZSM5 力もなる触媒 Bとも、上述の通りグリセリンガスの分圧による同様の効果を確認できる こと力、ら、固体酸触媒をその酸強度に関係なく使用できる。
[0115] 従って、原料ガス中のグリセリンガスの分圧を 30kPa以下とし、固体酸触媒を使用
すれば、先行技術文献において開示されているように水蒸気を過剰に用いなくても、 ァクロレインの収率が優れ、かつ触媒寿命が長くなることがわかる。つまり、水蒸気を 発生させるためのエネルギーや廃水発生量を少なくし、環境負荷の少な!/、条件でァ クロレインを製造できる。
[0116] 次の触媒調製例 C、 D、または Eに従って、触媒 C〜Eを調製した。この触媒 C、 D、 または Eを使用し、下記実験例 32〜44に従ってァクロレインを製造した。
[0117] 触媒調製例 C :
触媒調製例 Bと同様の方法により、 H型 MFIである触媒 Cを得た。
[0118] 触媒調製例 D :
市販の顆粒状活性アルミナ(メルク社製「ALUMIMUMOXIDE90 Active acidic, 0.0 63-0.200mm, Activity STAGE 、製造番号 101078)を、内径 3cm、高さ 5mmの塩 化ビュル製の筒に充填して加圧成形し、得られた成型体を破砕、次いで分級し、 0. 7〜; 1 · 4mmの触媒 Dを得た。
[0119] 触媒調製例 E :
イオン交換水 350gと SiO粉末 40gを混合 ·撹拌して混合液を調製し、混合液を 80 °Cまで加熱した。次に少量のイオン交換水で溶解した 7. 1573gの ZrO(NO ) · 2Η Οと 85質量%オルトリン酸水溶液 6. 1507gを、混合液に添加した。
この混合液をペースト状になるまで 80°Cで加熱 '撹拌した。得られたペースト状物を 、 100°Cで乾燥後、 600°C、 5時間、空気雰囲気下で焼成して固形物を得た。この固 形物を破砕、次いで分級し、 0. 7~1. 4mmの触媒 Eを得た。
[0120] 実験例 32 :
触媒 C 15mlを充填したステンレス製反応管(内径 10mm、長さ 500mm)を固定床 反応器として準備した。この反応器を 360°Cの塩浴に浸漬し、その後、原料ガス(原 料ガス組成:グリセリン 27mol%、水 34mol%、窒素 39mol%)を 632hr— 1の流量で 流通させた。この条件での触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量は 701g/hr、接 触時間は 5. 7秒である。 GCにより、反応器内に原料ガスを流通させてから 30〜60 分および 150〜; 180分における流出物の分析を行った結果、グリセリン、ァクロレイン 、および 1ーヒドロキシアセトンが検出された。実験例 32の結果を後記表 5に示す。
[0121] 実験例 33 :
触媒量 15mlを 7. 5mlに変えた以外は、実験例 32と同様にしてァクロレインを製造 した。触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量は 1400g/hr、接触時間は 2. 8秒で あった。結果を後記表 5に示す。
[0122] 実験例 34 :
塩浴温度 360°Cを 390°Cに変えた以外は、実験例 32と同様にしてァクロレインを製 造した。結果を後記表 5に示す。
[0123] 実験例 35 :
塩浴温度 360°Cを 390°Cに変え、触媒量 15mlを 4mlに変えた以外は、実験例 32 と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量は 262 5g/hr、接触時間は 1. 5秒であった。結果を後記表 5に示す。
[0124] 実験例 36 :
塩浴温度 360°Cを 420°Cに変え、触媒量 15mlを 4mlに変えた以外は、実験例 32 と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量は 262 5g/hr、接触時間は 1. 5秒であった。結果を後記表 5に示す。
[0125] 実験例 37 :
塩浴温度 360°Cを 420°Cに変え、触媒量 15mlを 2mlに変えた以外は、実験例 32 と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量は 525 Og/hr、接触時間は 0. 76秒であった。結果を後記表 5に示す。
[0126] 実験例 38 :
塩浴温度 360°Cを 450°Cに変え、触媒量 15mlを 2mlに変えた以外は、実験例 32 と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量は 525 Og/hr、接触時間は 0. 76秒であった。結果を後記表 5に示す。
[0127] 実験例 39 :
塩浴温度 360°Cを 450°Cに変え、触媒量 15mlを lmlに変えた以外は、実験例 32 と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量は 105 00g/hr、接触時間は 0. 38秒であった。結果を後記表 5に示す。
[0128] 実験例 40 :
触媒 Cを触媒 Dに変えた以外は、実験例 32と同様にしてァクロレインを製造した。 結果を後記表 5に示す。
[0129] 実験例 41 :
触媒 Cを触媒 Eに変えた以外は、実験例 32と同様にしてァクロレインを製造した。 結果を後記表 5に示す。
[0130] 実験例 42 :
塩浴温度を 300°Cにした以外は、実験例 32と同様にしてァクロレインを製造した。 結果を後記表 5に示す。
[0131] 実験例 43 :
塩浴温度を 480°Cにした以外は、実験例 39と同様にしてァクロレインを製造した。 結果を後記表 5に示す。
[0132] 実験例 44 :
塩浴温度を 390°Cとし、組成がグリセリン 6. 2mol%、水 7· 9mol%、窒素 85· 9m ol%である原料ガスを使用した以外は、実験例 32と同様にしてァクロレインを製造し た。結果を後記表 5に示す。
[0133] [表 5]
GLY供 量: 媒 1 Lあたりのグリセリンガスの供給量
GLY :グリセリン
ACR :ァクロレイン 表 5を確認すると次の通りである。反応温度を 300°Cとした実験例 42では、触媒の 急激な活性低下があった。反応温度を 480°Cとした実験例 43では、ァクロレインを十 分に得ることができな力つた。また、反応温度が高められている実験例 44では、触媒
1Lあたりのグリセリンガスの供給量が少ないためにァクロレインの収率が低くなつてい た。一方、触媒 1Lあたりのグリセリンガスの供給量を 300〜15000g/hr、かつ、反 応温度を 350〜460°Cとした場合には、ァクロレインの収率が良好であった。
[0135] 次の触媒調製例 Fに従って、 T原子が A1である H型 MFI成形体を触媒 Fとして調製 した。この触媒 Fを使用し、下記実験例 45〜47に従ってァクロレインを製造した。
[0136] 触媒調製例 F :
1. 40gの NaOHを蒸留水 15. 00gに溶角早し、続けて 0. 47gの NaAlO (浅田ィ匕学
2 工業株式会社製、純度 86. 8質量%)を蒸留水に溶解し、更に、 10. 15gの 40質量 %水酸化テトラ— n—プロピルアンモユウム水溶液を蒸留水に添加した。そして、この 溶液に蒸留水を加えて、全量が 30mlの含浸液を調製した。次に、シリカ成形体とし てシリカビーズ(富士シリシァ化学社製「キャリアタト Q— 50」、 10〜20メッシュ、平均 細孔径 50nm)を使用し、 120°Cで 1日間乾燥した 30gのシリカビーズを含浸液に 1時 間含浸させた。その後、このシリカビーズを 100°Cの湯浴上に設置した蒸発皿上で乾 燥させた後、更に 80°C、窒素気流下で 7時間乾燥することにより、結晶化に必要な N a、 A1結晶化剤をシリカビーズに担持させ、結晶性メタノシリケート前駆体を得た。得 られた前駆体を容積 100mlのテトラフルォロエチレン製のジャケット付坩堝の中空部 に配置させ、坩堝の底部には 1. 00gの蒸留水を入れた。この坩堝を 180°Cの電気 炉に 8時間静置し、前駆体を結晶化させた。結晶化により得られた固形物を、 60°Cの lmol/L硝酸アンモニゥム水溶液 300gに浸潰して 1時間撹拌した後、上澄み液を 廃棄した。この操作を複数回繰り返した。その後、固形物を水洗した。この固形物を、 空気気流中において 540°Cで 3. 5時間焼成した。この焼成により、 H型 MFIである 触媒 Fを得た。
[0137] 実験例 45 :
触媒 F15mlをステンレス製反応管(内径 10mm、長さ 500mm)に充填し、固定床 反応器を準備した。反応器の入口側には、外径 3mmのガラス玉を充填した蒸発器を 設け、蒸発器の温度制御は、蒸発器内に挿入した熱電対で温度をモニターしながら 行った。反応圧の制御は、真空ポンプと減圧一定装置を使用し、反応器入口に設け た圧力計でモニターしながら行った。また、反応器の出口には冷却器を設けた。
[0138] 反応器を 360°Cの溶融塩浴に浸漬した。蒸発器の温度を 200°Cに設定し、反応器 内圧力を 62kPaにして 30分間放置した後、送液ポンプにより 80質量%グリセリン水 溶液を蒸発器に供給した。なお、 80質量%グリセリン水溶液を蒸発させる際の蒸発 器の温度は 192°Cと推定される。
[0139] 上記蒸発器で発生させた原料ガス(原料ガス組成:グリセリン 44モル%、水 56モル %)を、 SV値 ΑΘΟΙΙΓ 1の流量で反応器内に流通させた。この流通開始後の 0. 5〜1 時間、 2· 5〜3時間における流出ガスの全量を、ドライアイス メタノールで冷却した 受器内に捕集した。捕集した流出物を GCで分析した結果、グリセリン、ァクロレイン、 および 1ーヒドロキシアセトンが検出された。結果を後記表 6に示す。
[0140] 実験例 46 :
蒸発器の温度を 250°C、反応器内圧力を 27kPa、原料ガス濃度をグリセリン 100モ ル%、 SV値を ISOhr—1とした以外は、実験例 45と同様にしてァクロレインを製造した 。この製造においてグリセリン液を蒸発させる際の蒸発器の温度は、 244°Cと推定さ れる。結果を後記表 6に示す。
[0141] 実験例 47 :
実験例 45および 46と比較できる製造条件でァクロレインを製造した。実験例 47で は、希釈ガスとして非凝縮性ガスを使用し、常圧条件で、次の通りァクロレインを製造 した。
[0142] 触媒 F15mlをステンレス製反応管(内径 10mm、長さ 500mm)に充填し、固定床 反応器を準備した。この反応器を 360°Cの溶融塩浴に浸漬した。蒸発器の温度を 31 0°Cに設定し、反応器内に窒素を流量 62ml/minで 30分間流通させた後、グリセリ ンを送液ポンプで蒸発器に供給した。この製造においてグリセリン液を蒸発させる際 の蒸発器の温度は、 290°C以上と推定される。
[0143] 上記蒸発器で発生させたグリセリンガスと窒素からなる原料ガス(原料ガス組成:グ リセリン 27モル0 /0、窒素 73モル0 /0)を、 δδΟΙ Γ—1の流量で反応器内に流通させた。こ の製造条件にぉレ、て原料ガスの全圧から窒素の分圧を減じれば、実験例 46の原料 ガス圧力となる。原料ガスの流通開始後 0. 5〜1時間、 2. 5〜3時間における流出ガ スを水に吸収させた。この水の一部を試料として、 GCによる分析を行った。結果を後
記表 6に示す。
[0144] [表 6]
GLY: リセリン 、 ACR:ァクロレイン
[0145] 表 6に示す通り、気相反応において反応系の全圧が異なっていても原料の分圧が 一定であれば、収率が通常ほぼ同じになることが知られている力 減圧条件で実施さ れた実験例 45および 46においては収率に優れる。
[0146] 表 6に示す通り、グリセリンの気相脱水反応において、この反応系の圧力を減圧に すれば、グリセリンガスの濃度が高く且つ水が共存しなくても、ァクロレインの収率を 高くできること力 S分力、る。つまり、反応器の入口における圧力が lkPa以上 90kPa以 下であれば、原料ガスに水が含まれていなくても、ァクロレインを高収率かつ経済的 に製造できるのである。
[0147] 次の触媒調製例 Gまたは触媒調製例 Hに従って、触媒 Gおよび触媒 Hを調製した 。この触媒 Gまたは触媒 Hを使用し、下記実験例 48〜53に従ってァクロレインを製造 した。
[0148] 触媒調製例 G :
触媒調製例 Bと同様にして、 H型 MFIである触媒 Gを得た。
[0149] 触媒調製例 H :
市販の顆粒状活性アルミナ(メルク社製「ALUMIMUMOXIDE90 ACTIVE ACIDIC, 0.0063-0.200mm」、製造番号 101078)を、空気雰囲気下、 500°Cで 2時間焼成した。 得られた焼成物を、内径 3cm、高さ 5mmの塩化ビュル製の筒に充填して加圧成形 し、得られた成型体を破砕、次いで分級し、 0. 7〜; 1. 4mmの触媒 Hを得た。
[0150] 実験例 48 :
触媒 G 15mlを充填したステンレス製反応管(内径 10mm、長さ 500mm)を固定床 反応器として準備した。この反応器を 360°Cの塩浴に浸漬し、その後、原料ガスを流
通させた。原料ガスには、流量 61. 5ml/minの窒素と流量 13. 15g/hrのグリセリ ン組成物との混合物を使用し、グリセリン含有組成物には、グリセリン:パルミチン酸: 水 = 80質量%: 0. 1質量%: 19. 9質量%の組成のものを使用した。反応器内に原 料ガスを流通させて力、ら。〜 30分、 30〜60分、および 150〜 80分における流出物 の分析を行った結果、グリセリン、ァクロレイン、および 1ーヒドロキシアセトンが検出さ れた。結果を後記表 7に示す。
[0151] 実験例 49 :
触媒 Gを触媒 Hに変更した以外は、実験例 48と同様にしてァクロレインを製造した 。結果を後記表 7に示す。
[0152] 実験例 50 :
グリセリン:パルミチン酸:水 = 80質量%: 0. 1質量%: 19. 9質量%であるグリセリ ン含有組成物を、グリセリン:パルミチン酸:水 = 80質量%: 1. 0質量%: 19. 0質量
%に変えた以外は、実験例 48と同様にしてァクロレインを製造した。結果を後記表 7 に示す。
[0153] 実験例 51 :
ノルミチン酸をパルミチン酸メチルに変えた以外は、実験例 48と同様にしてァクロ レインを製造した。結果を後記表 7に示す。
[0154] 実験例 52 :
グリセリン含有組成物として、グリセリン:水 = 80質量%: 20質量%の組成のものを 使用した以外は、実験例 48と同様にしてァクロレインを製造した。結果を後記表 7に 示す。
[0155] 実験例 53 :
グリセリン含有組成物として、グリセリン:水 = 80質量%: 20質量%の組成のものを 使用した以外は、実験例 49と同様にしてァクロレインを製造した。結果を後記表 7に 示す。
[0156] [表 7]
脂肪酸類 ァクロレインの収率 4)
触媒 ゲリセリン基準含有量
種類 0-30min. 30-60min. 150- 180m in.
(質量%)
実験例 48 H型 MFI / ルミチン酸 0.125 24.6 64.1 66.7 実験例 49 活性アルミナ Λルミチン酸 0.125 17.2 40.1 42.2 実験例 50 H型 MFI ルミチン酸 1.25 25.7 66 66.3 実験例 51 H型 ΜΠ Λ。ルミチン酸メチル 0.125 23.9 64.8 66.4 実験例 52 H型 ΜΠ 一 0 22.5 62.3 66.5 実験例 53 活性アルミナ 一 0 13.5 39.4 42.1 謹
[0157] 実験例 52および 53では、脱水反応初期である 0— 30min.におけるァクロレインの 収率が極めて低ぐ誘導期がある事がわかる。一方、パルミチン酸を含むグリセリン含 有組成物を用いた実験例 48〜50と、ノ^レミチン酸メチルを含むグリセリン含有組成 物を用いた実験例 51は、 0— 30min.および 30— 60min.のァクロレインの収率が向 上し、誘導期が短縮されていたことが分かる。従って、脂肪酸類を成分の一種として いるグリセリン含有組成物を使用してァクロレインを製造すれば、原料ガスを反応器 に開始した直後からァクロレインの収率が安定し、ァクロレインを高収率で製造できる こと力 sゎカゝる。
[0158] 次の触媒調製例ほたは触媒調製例 Jに従って、触媒 Iおよび触 ¾Jを調製した。この 触媒ほたは触嫩を使用し、下記実験例 54〜51に従ってァクロレインを製造した。
[0159] 触媒調製例 I:
触媒調製例 Bと同様にして、 H型 MFIである触媒 Iを得た。
[0160] 触媒調製例 J:
市販の顆粒状活性アルミナ(メルク社製「ALUMIMUMOXIDE90 Active acidic, 0.0 63-0.200mm, Activity STAGE 、製造番号 101078)を、空気雰囲気下、 500°Cで 2 時間焼成した後、内径 3cm、高さ 5mmの塩化ビュル製の筒に充填して加圧成形し、 得られた成型体を破砕、次いで分級し、 0. 7〜; 1. 4mmの触^!を得た。
[0161] 実験例 54 :
ァクロレイン製造工程 (1)—1
15mlの触媒 Iを充填したステンレス製反応管(内径 10mm、長さ 500mm)を固定 床反応器として準備した。この反応器を 360°Cの塩浴に浸漬し、窒素を 62Nml/mi
nの流量で 30分間流通させてから、原料ガス(原料ガス組成:グリセリン 27mol%、水 34mol%、窒素 39mol%) )を 632hr— 1の流量で流通させた。塩浴温度を 360°Cに 保ったまま、原料ガスを 12時間流通させた後、グリセリンと水の流通のみを停止し、 窒素ガスを 30分間流通させることにより反応器内の残存する有機ガスを排出させた。 反応器内に原料ガスを流通させてから 0. 5〜1時間、および 11. 5-12. 0時間にお ける流出物の分析を行った結果、グリセリン、ァクロレイン、および 1ーヒドロキシァセト ンが検出された。なお、 1Lの触媒 Iあたりの上記グリセリンの供給量は、 701g/hr、 接触時間は 5. 7秒である。
[0162] 再生工程 (2)
ァクロレイン製造工程 (1)後、触媒 Iが充填された反応器を塩浴に浸漬した状態とし た。塩浴温度を 450°Cに変更し、この温度を維持した状態で、空気を 62Nml/min の流量で反応器内に流通させた。以上により触媒の再生処理を行った。
[0163] ァクロレイン製造工程 (1)— 2
再生工程 (2)後の反応器を使用し、ァクロレイン製造工程 (1) 1と同様にしてァクロ レインを製造した。
[0164] 実験例 54において、ァクロレイン製造工程 (1)—1工程における終了時点の温度は
360°C、再生工程 (2)における開始時点の温度は 450°Cであった。 Tm(2)は 450°C、 再生工程 (2)における終了時点の温度は 450°C、ァクロレイン製造工程 (1)— 2におけ る開始時点の温度は 360°Cであった。結果を後記表 8に示す。
[0165] 実験例 55 :
再生工程 (2)の塩浴温度を 360°Cに変更した以外は、実験例 54と同様にしてァクロ レインを製造した。工程(1) 1における終了時点の温度は 360°C、工程 (2)における 開始の温度は 360°C、 Tm(2)は 360°C、工程 (2)における終了時点の温度は 360°C、 工程 (1)— 2における開始時点の温度は 360°Cであった。結果を後記表 8に示す。
[0166] 実験例 56 :
触媒 Iを触謝に変え、再生工程 (2)の塩浴温度を 360°Cに変えた以外は、実験例 5 4と同様にしてァクロレインを製造した。工程(1) 1における終了時点の温度は 360 °C、工程 (2)における開始の温度は 360°C、 Tm(2)は 360°C、工程 (2)における終了時
点の温度は 360°C、工程 (1)— 2における開始時点の温度は 360°Cであった。結果を 後記表 8に示す。
[0167] 実験例 57 :
再生工程 (2)における開始時点の温度を 280°Cとし、 + 10°C/hrの昇温速度で 36 0°Cまで昇温した以外は、実験例 54と同様にしてァクロレインを製造した。工程(1)— 1における終了時点の温度は 360°C、工程 (2)における開始の温度は 280°C、Tm(2) は 360°C、工程 (2)における終了時点の温度は 360°C、工程 (1)— 2における開始時 点の温度は 360°Cであった。結果を後記表 8に示す。
[0168] 実験例 58 :
再生工程 (2)の温度を 250°Cとした以外は、実験例 54と同様にしてァクロレインを製 造した。工程(1) 1における終了時点の温度は 360°C、工程 (2)における開始の温 度は 250°C、Tm(2)は 250°C、工程 (2)における終了時点の温度は 250°C、工程 (1) —2における開始時点の温度は 360°Cであった。結果を後記表 8に示す。
[0169] 実験例 59 :
触媒 Iを触謝に変え、再生工程 (2)の温度を 250°Cとした以外は、実験例 54と同様 にしてァクロレインを製造した。工程(1)ー1における終了時点の温度は 360°C、工程 (2)における開始の温度は 250°C、Tm(2)は 250°C、工程 (2)における終了時点の温 度は 250°C、工程 (1)— 2における開始時点の温度は 360°Cであった。結果を後記表 8に示す。
[0170] [表 8]
[0171] 実験例 54〜56と実験例 58〜59とを比較すると、再生温度が 300°C以下では触媒 の再生できていな力つたことが分かる。また、実験例 57の結果から、再生開始温度が 300°C以下であっても、 Tm(2)が 300°C以上であれば、触媒を再生できたことがわか る。また、 DT(12)または DT(21)が小さければ、ァクロレイン製造工程 (1)と再生工程 (2) の切り替えを短時間でできたことがわかる。
[0172] 実験例 60 :
ァクロレイン製造工程 (1)—1
15mlの触媒 Iを充填したステンレス製反応管(内径 10mm、長さ 500mm)を固定 床反応器として準備した。この反応器を 330°Cの塩浴に浸漬し、窒素を 62Nml/mi nの流量で 30分間流通させてから、原料ガス(原料ガス組成:グリセリン 27mol%、水 34mol%、窒素 39mol%) )を 6321 1の流量で流通させた。塩浴温度を 330°Cに 保ったまま、原料ガスを 12時間流通させた後、グリセリンと水の流通のみを停止し、 窒素ガスを 30分間流通させることにより反応器内の残存する有機ガスを排出させた。 反応器内に原料ガスを流通させてから 0. 5〜1時間、および 2. 5〜3. 0時間におけ る流出物の分析を行った結果、グリセリン、ァクロレイン、および 1ーヒドロキシアセトン が検出された。なお、 1Lの触媒 Iあたりの上記グリセリンの供給量は、 701g/hr、接 触時間は 5. 7秒である。
[0173] 実験例 61 :
塩浴の温度を 300°Cに変更した以外は、実験例 60と同様とした。結果を後記表 9 に示す。
[0174] 実験例 62 :
塩浴の温度を 360°Cに変更した以外は、実験例 60と同様とした。結果を後記表 9 に示す。
[0175] [表 9]
GLY : 1 L りの リセリン スの
GLY:グリセリン
ACR :ァクロレイン
[0176] 表 9の実験例 61と実験例 60および 62との比較において、反応温度 (塩浴温度)が
300°Cを超えれば、ァクロレイン収率が良好であったことがわ力、る。
[0177] 実験例 63 :
触媒量を 15π から 7. 5mlに変えた以外は、実験例 62と同様にしてァクロレインを 製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンの供給量は 1400g/hr、接触時間は 2. 8秒で あった。結果を後記表 10に示す。
[0178] 実験例 64 :
塩浴温度を 360°Cから 390°Cに変えた以外は実験例 62と同様にしてァクロレイン を製造した。結果を後記表 10に示す。
[0179] 実験例 65 :
塩浴温度を 360°Cから 390°Cに変え、触媒量を 15πύから 4mlに変えた以外は、実 験例 62と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンの供給量は 2 625g/hr、接触時間は 1. 5秒であった。結果を後記表 10に示す。
[0180] 実験例 66 :
塩浴温度を 360°Cから 420°Cに変え、触媒量を 15πύから 4mlに変えた以外は、実 験例 62と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンの供給量は 2 625g/hr、接触時間は 1. 5秒であった。結果を後記表 10に示す。
[0181] 実験例 67 :
塩浴温度を 360°Cから 420°Cに変え、触媒量を 15πύから 2mlに変えた以外は、実 験例 62と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンの供給量は 5 250g/hr、接触時間は 0. 76秒であった。結果を後記表 10に示す。
[0182] 実験例 68 :
塩浴温度を 360°Cから 450°Cに変え、触媒量を 15πύから 2mlに変えた以外は、実 験例 62と同様にしてァクロレインを製造した。触媒 1Lあたりのグリセリンの供給量は 5 250g/hr、接触時間は 0. 76秒であった。結果を表 10に示す。
[0183] 実験例 69 :
塩浴温度を 360°Cから 450°Cに変え、触媒量を 15πύから lmlに変えた以外は、実 験例 62と同様にしてァクロレインを製造した。この時のグリセリン単位供給量は 1050 Og/hr、接触時間は 0. 38秒であった。結果を表 10に示す。
[0184] 実験例 70 :
塩浴温度を 480°Cにした以外は、実験例 69と同様にしてァクロレインを製造した。 結果を表 10に示す。
[0185] 実験例 71 :
塩浴温度を 390°Cとし、原料ガスとしてグリセリン 6. 2mol%、水 7. 9mol%、窒素 8 5. 9mol%の組成のものを使用した以外は、実験例 62と同様にしてァクロレインを製 造した。結果を表 10に示す。
[0186] [表 10]
GLY : 1 L たりの リセリン スの 量
GLY:グリセリン
ACR :ァクロレイン
[0187] 表 10から、 300°Cを超え、 450°C以下の反応温度範囲であれば、グリセリンの供給 量を多くしても、ァクロレインを収率良く製造できたことが分かる。
産業上の利用可能性
[0188] 本発明によれば、グリセリンからのァクロレインの製造におけるエネルギー消費量と 廃水量を少なくすることが可能であり、環境負荷を小さくすることができる。本発明に よれば、優れたァクロレイン収率および触媒寿命をも実現することができる。
[0189] 触媒 1Lあたりの前記グリセリンガスの供給量が 300〜15000g/hr、かつ、ァクロレ インを製造するための反応温度が 350〜460°Cである本発明によれば、反応装置を コンパクト化することが可能であると共に、生産性の良いァクロレインの製造方法を提 供すること力 Sでさる。
[0190] 反応器の入口における圧力が lkPa以上 90kPa以下である本発明によれば、原料 ガスに水を含ませなくても、高収率かつ経済的にァクロレインを製造できる。
[0191] 原料ガスが脂肪酸および/または脂肪酸エステルを含有し、前記脂肪酸および脂 肪酸エステルの総質量が前記グリセリンガスに対して 0. 00;!〜 5質量%である本発 明によれば、効率的にァクロレインを製造することができる。