JP2000200412A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2000200412A
JP2000200412A JP11310795A JP31079599A JP2000200412A JP 2000200412 A JP2000200412 A JP 2000200412A JP 11310795 A JP11310795 A JP 11310795A JP 31079599 A JP31079599 A JP 31079599A JP 2000200412 A JP2000200412 A JP 2000200412A
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Kazuhiko Nakiri
和彦 菜切
Kenji Tanaka
憲司 田中
Teruhisa Miyata
照久 宮田
Yoshiyuki Makita
義幸 蒔田
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サ―ボ信号が設けられる、高トラツク密度、
高線記録密度の高密度磁気記録媒体において、電磁変換
特性にすぐれて、高出力、高分解能および高S/N比を
有し、かつすぐれた走行耐久性を有するものを提供す
る。 【解決手段】 サ―ボ信号が設けられる磁気記録媒体に
おいて、非磁性支持体上に少なくとも1層の下塗り層と
磁性層とがこの順に形成されてなり、上記磁性層の厚さ
が0.20μm以下、磁性層に含まれる磁性粉がCoお
よび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉からなり、
その平均長軸長Lが0.15μm以下で、平均長軸長L
と最短記録波長λとがL/λ≦1/3の関係にあり、磁
性層中に磁性層の厚さよりも大きな粒径のカ―ボンブラ
ツクを含有することを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サ―ボ信号が設け
られる高密度磁気記録媒体に関し、とくに電磁変換特性
および走行耐久性にすぐれる上記媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、オ―デイオテ―プ、ビ
デオテ―プ、コンピユ―タ―テ―プ、デイスクなど種々
の用途があるが、とくにデジタル方式に代表される磁気
記録媒体では年々高密度化され、たとえば磁気デイスク
においては、従来の酸化物磁性粉を用いた1MBの容量
から、大幅に容量をアツプした100MB以上の容量を
もつ磁気デイスクが提案されている。
【0003】このような高密度磁気デイスクが用いられ
るドライブは、大容量のデ―タを短時間で記録再生する
ため、デイスク回転速度を従来の300min-1から7
20min-1の倍速にしたり、さらに3,000min
-1以上の高速回転を行う必要があり、今後はさらなる高
密度、大容量化のため、回転速度の高速化の方向で開発
が進められている。また、高速回転時に安定した記録再
生特性および信頼性の確保を行うため、ヘツドの媒体へ
の最適な接触機構の開発が進められている。
【0004】このような高密度化に対応する磁気記録媒
体としては、強磁性粉の磁気特性の改善や、強磁性粉の
分散性の向上などの手段、さらに媒体−ヘツド間のスペ
―シングロスを小さくする手段などが必要となつてきて
いる。
【0005】強磁性粉の磁気特性の改善としては、磁気
記録媒体に残留する磁化の度合いが大きい方が、高出力
化に望ましいため、磁性粉としては従来の酸化物磁性粉
や、コバルト含有酸化鉄磁性粉に代わり、強磁性鉄系合
金粉が主流になりつつあり、保磁力119.4kA/m
以上の強磁性鉄系合金粉が提案されている。たとえば、
特開平5−234064号公報、特開平6−25702
号公報、特開平6−139553号公報などに開示され
ている。
【0006】また、強磁性粉の分散性を上げるための手
段としては、スルホン酸基、リン酸基またはこれらのア
ルカリ金属塩などの極性官能基を有する結合剤を用いた
り、結合剤とともに低分子量の分散剤を併用したり、ま
た磁性塗料の混練分散工程を連続的に行つたり、分散後
に潤滑剤を後添加するなどの手段が提案されている。た
とえば、特開平62−23226号公報、特開平2−1
01624号公報、特開平3−216812号公報、特
開平3−17827号公報、特開平4−47586号公
報、特開平8−235566号公報などに開示されてい
る。
【0007】さらに、媒体−ヘツド間のスペ―シングロ
スを小さくする手段としては、上記の磁性粉の分散性を
上げる手段のほか、カレンダ―工程において高温、高圧
条件で磁性層の平滑化処理を行つたり、磁性層の下に非
磁性の下塗り層を設けて、非磁性支持体の表面性による
磁性層表面への影響を抑制するなどの手段が提案されて
いる。たとえば、特公昭64−1297号公報、特公平
7−60504号公報、特開平4−19815号公報な
どに開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の手段に
より作製された従来の磁気記録媒体は、100MB以上
の容量に対応したシステムでは電磁変換特性および走行
耐久性を満足させることができなかつた。高密度磁気デ
イスクでは、トラツク密度と線記録密度の両方を高める
ため、従来の磁性粉の飽和磁化や保磁力程度では出力が
数分の1程度しか得られず、また極めて短い記録波長を
使用するため、従来それほど問題とならなかつた記録再
生時の自己減磁損失や磁性層の厚さに起因する厚み損失
の影響が大きくなり、十分な分解能が得られない。
【0009】これに対して、たとえば、特開平5−10
9061号公報などでは、磁性粉として保磁力79.6
kA/m以上の強磁性鉄系合金粉を使用するとともに、
表面性に起因するスペ―ス損失や厚み損失を低減するた
めに、非磁性支持体と磁性層との間に非磁性層を設け、
磁性層の厚さを0.5μm以下にすることが提案されて
いる。しかし、トラツク幅が10μm以下、最短記録波
長が1.0μm以下にもなる高密度磁気デイスクでは、
磁性粉の飽和磁化および保磁力をより高めたり、上記の
スペ―ス損失や厚み損失をさらに低減する必要がある。
【0010】しかも、このような高密度デイスクでは、
トラツク密度の向上に伴い、トラツク幅が狭くなるた
め、磁気ヘツドのオフトラツクによるS/N比の低下に
起因するデ―タエラ―を生じやすいことから、デ―タト
ラツクとは別にデ―タトラツク位置検出のためのサ―ボ
信号を有するサ―ボトラツクを磁性層上に設ける必要が
ある。したがつて、トラツク密度向上のためには、サ―
ボ信号によるオフトラツクの抑制が不可欠となつてきつ
つある。しかしながら、このようなサ―ボ信号が設けら
れる媒体であつても、上記のようにデ―タトラツク幅が
10μm以下と極めて狭くなつた場合、デ―タエラ―が
増幅するという問題が明らかとなつた。すなわち、磁気
ヘツドのオフトラツクによるデ―タトラツクからのずれ
量の絶対値が同一であつても、デ―タトラツク幅が狭く
なるため、デ―タトラツク幅に対する最小オントラツク
幅の比が減少し、その結果、オフトラツクによるS/N
比の低下率が大きく、デ―タエラ―を誘発する問題を有
している。
【0011】このようなオフトラツクによるデ―タエラ
―を装置側でエラ―訂正を行うことも可能であり、実際
そのような訂正回路も使用されている。しかし、媒体側
としても、S/N比を向上することによつて、オフトラ
ツクマ―ジンを向上し、要求される最低S/N比を維持
する必要がある。これは、テ―プ状媒体でも同様であ
り、最近のヘリカルスキヤン方式のデジタル用磁気テ―
プでは、デ―タトラツクとサ―ボトラツクがテ―プ走行
方向に対して斜めに同一幅で縦列して設けられ、これら
トラツクを同一の磁気ヘツドで読み取つているため、テ
―プ振動によつてエラ―が生じやすい。とくに、記録密
度向上のためにデ―タトラツク幅を小さくするととも
に、テ―プ−磁気ヘツドの相対速度も増大する傾向にあ
ることから、媒体側の負担もますます大きくなつてい
る。
【0012】一方、走行耐久性においても、高密度磁気
デイスクでは、従来の低速回転では問題とならなかつた
走行耐久性が、高速回転になると極端に耐久性が劣ると
いう問題がある。最近ではとくに、磁気デイスクの信頼
性を向上するため、磁気ヘツドを接触させたまま数トラ
ツク間を移動させるシ―ク耐久性を満足する必要がある
が、高飽和磁化の強磁性鉄系合金粉を用いた磁性層は、
酸化物磁性粉を用いた磁性層と比較して、高速回転時に
摺動傷が入りやすく、これが出力低下やドロツプアウト
などの要因となり、デイスクの信頼性を低下させる。
【0013】とくに、サ―ボ信号を設ける場合、磁気ヘ
ツドがサ―ボトラツクの位置を検出しながら、サ―ボ信
号からの情報によつてデ―タトラツクに追従する。その
際、熱や湿度に起因する媒体の変化、摩擦やモ―タに起
因する走行系のぶれにより、サ―ボトラツクの位置が変
動するため、磁気ヘツドは、この変動に追従する必要か
ら、常に振動状態で磁性層に摺接することになる。しか
も、この振動は磁気ヘツドの進行方向に対してほぼ直角
に近い角度であるため、進行方向以外に横方向の応力も
磁性層に加えられることから、摺動傷が生じやすい。
【0014】さらに、パソコンの普及に伴い、ドライブ
がパソコンに内蔵されることも多くなつてきており、そ
れに伴つて様々な環境で媒体が使用されるため、低温低
湿から高温高湿までのサイクル環境下での耐久性および
信頼性試験においても、出力の劣化やドロツプアウトの
発生がないことが必要とされ、このような過酷な条件下
でのより一層の走行耐久性、信頼性が望まれている。
【0015】本発明は、上記の事情に照らし、サ―ボ信
号が設けられる高密度磁気記録媒体、とくに高トラツク
密度および高線記録密度の上記媒体において、電磁変換
特性にすぐれて、高出力、高分解能および高S/N比を
有するとともに、すぐれた走行耐久性を有するものを提
供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に対して、鋭意検討した結果、サ―ボ信号が設けられ
る高密度磁気記録媒体において、非磁性支持体と磁性層
との間に少なくとも1層の下塗り層を設け、かつ磁性層
に含まれる磁性粉として特定の元素組成および平均長軸
長の強磁性鉄系合金粉を使用するとともに、磁性層の厚
さと磁性層に含まれるカ―ボンブラツクの粒径を特定し
たときに、電磁変換特性にすぐれて、高出力、高分解能
および高S/N比を有し、しかもすぐれた走行耐久性を
有する上記媒体が得られることを見い出し、本発明を完
成した。
【0017】すなわち、本発明は、サ―ボ信号が設けら
れる磁気記録媒体において、非磁性支持体上に少なくと
も1層の下塗り層と磁性層とがこの順に形成され、磁性
層の厚さが0.20μm以下、磁性層に含まれる磁性粉
がCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉か
らなり、その平均長軸長Lが0.15μm以下で、平均
長軸長Lと最短記録波長λとがL/λ≦1/3の関係に
あり、磁性層中に磁性層の厚さよりも大きな粒径のカ―
ボンブラツクを含有することを特徴とする磁気デイス
ク、磁気テ―プなどの磁気記録媒体に係るものである。
【0018】なお、本発明において、サ―ボ信号が設け
られる磁気記録媒体とは、サ―ボ信号がデ―タ信号を記
録する前に設けられる磁気記録媒体と、デ―タ信号を記
録すると同時に設けられる磁気記録媒体との両方を含む
ものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明においては、サ―ボ信号が
設けられる高密度磁気記録媒体、とくに、高トラツク密
度および高線記録密度の上記媒体として、電磁変換特性
および耐久性を改善するために、磁性層中に含ませる磁
性粉として、強磁性鉄系合金粉の中でも、とくに、Co
および希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉であつ
て、かつその平均長軸長Lが0.15μm以下で、平均
長軸長Lと最短記録波長λとがL/λ≦1/3の関係に
あるものが用いられる。
【0020】本発明は、高い分解能を得るため、磁性層
の厚さを0.20μm以下とするが、この場合、従来の
粒子径の大きな磁性粉では、磁性層中の充填量が減少し
て磁気特性が劣化し、高い出力が得られない。そこで、
平均長軸長Lが0.15μm以下、好ましくは0.10
μm以下(通常0.01μmまで)の超微粒子の強磁性
鉄系合金粉を用いると、磁性層中の磁性粉の充填性が向
上して、高い残留磁化が得られ、またこの磁性粉中にC
oを含有させると、磁性粉自体の飽和磁化量、保磁力な
どの磁気特性が向上し、磁性層の厚さが0.20μm以
下で最短記録波長が1.0μm以下の高密度記録でも、
高い出力を達成できる。
【0021】なお、上記の平均長軸長Lは、走査型電子
顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測
し、100個の平均値により求められるものである。ま
た、上記と同様の理由から、本発明に用いる強磁性鉄系
合金粉としては、BET比表面積が35m2 /g以上で
あるのが好ましく、40m2 /g以上であるのがより好
ましく、50m2 /g以上であるのが最も好ましい。
【0022】一方、サ―ボ信号が設けられる磁気記録媒
体では、オントラツク時には所定のS/N比が得られて
も、オフトラツクによるデ―タエラ―を防止するため、
媒体のS/N比を向上させる必要がある。したがつて、
前記のような磁性粉を用い、磁性層の磁気特性を単に向
上して出力を高めた媒体としても、ノイズも同時に高い
場合、相対的なS/N比が減少し、オフトラツク時に十
分なS/N比が得られない。そこで、本発明者らは、ノ
イズの低下について検討した結果、平均長軸長Lが0.
15μm以下の強磁性鉄系合金粉であつて、平均長軸長
Lと最短記録波長λとがL/λ≦1/3の関係にあり、
かつ希土類元素を含有する磁性粉を用いることにより、
上記問題を解決できることを見い出した。
【0023】媒体から発生するノイズは、磁性粉に起因
する粒子性ノイズがひとつの要因である。粒子性ノイズ
は粒子の大きさ、粒度の不均一さに起因すると考えられ
る。したがつて、まず、粒子の大きさを低減することが
必要であるが、本発明者らの検討によれば、磁性粉の平
均長軸長Lと最短記録波長λとがL/λ≦1/3の関係
にあるとき、ヘツド出力に寄与する一定面積中の磁性粒
子数を増加でき、デ―タ記録箇所の相違による一定面積
中の磁化量のバラツキを防止でき、粒子の大きさに起因
したノイズを低減できることを見い出した。
【0024】また、このような微粒子の磁性粉による
と、粒子サイズの大きさに起因するノイズは低減できる
が、粒度の不均一さに起因する粒子性ノイズは低減でき
ない。言い換えれば、磁性粉の大きさにバラツキがある
と、デ―タが未記録状態でも、へツド出力に寄与する一
定面積中に存在する磁性粒子から発生する磁束にバラツ
キが生じて、ヘツド出力が0、つまり上記磁束の合計が
0になりにくい。その結果、デ―タ記録箇所の相違によ
る出力差が生じ、ノイズが増加する原因となる。これ
は、信号が記録された状態では出力変動に基づくノイズ
も重畳されるため、さらにノイズが増加し、相対的なS
/N比を低減させる。
【0025】本発明者らは、上記粒度の不均一さに起因
する粒子性ノイズについて検討した結果、最短記録波長
に対して1/3以下の微粒子の強磁性鉄系合金粉におい
て、Coとともに、希土類元素を含ませるようにしたと
き、上記磁性粉の粒度分布が均一となり、粒度の不均一
さに起因した粒子性ノイズを低減でき、S/N比が大き
く向上することを見い出した。また、このような希土類
元素を含ませると、磁性粉の耐摩耗性の向上にも好結果
が得られることがわかつた。
【0026】本発明において、強磁性鉄系合金粉中に、
Coを含有させるには、ゲ―サイト粉末を焼成してマ
グネタイト粉末とし、これをコバルトイオン含有水溶液
中で2価の鉄イオンとコバルトイオンをイオン交換し、
加熱還元する方法、鉄塩とコバルト塩のアルカリの水
系懸濁液から得られるコバルト含有針状ゲ―サイト粉末
を加熱還元する方法、蓚酸水溶液中に添加した鉄塩と
コバルト塩から得た共沈物を還元する方法、表面にコ
バルトを被着させた酸化鉄粉末を加熱還元する方法、
鉄塩とコバルト塩を含む溶液に還元剤を添加する方法、
不活性ガス中で金属を蒸発させ、ガス分子と衝突させ
て合金磁性粉を得る方法、水素と窒素やアルゴンとの
混合ガス中で鉄やコバルトの塩化物の蒸気を流しなが
ら、金属に還元する方法などがある。中でも、高いコバ
ルト量の固溶が可能で、耐腐食性能にもすぐれる,
の方法を併用するのが好ましい。
【0027】また、強磁性鉄系合金粉中に、Coととも
に、希土類元素を含有させるには、上記の各Co含有方
法において、Coと同時に希土類元素を含有させるか、
Coを含有させたのちに希土類元素を含有させればよ
い。中でも、ゲ―サイト製造時にコバルトと同時に希土
類元素を共沈する方法、Coを含有する原料酸化鉄粉を
加熱還元する前に希土類化合物水溶液中へ懸濁する方法
などが好ましい。希土類元素には、Nd、Y、La、C
e、Pr、Sm、Gd、Yb、Tbなどがあり、これら
の中でも、とくにY、La、Ceが好ましい。
【0028】Coおよびおよび希土類元素を含有する強
磁性鉄系合金粉において、コバルトの量は、多いほど高
飽和磁化および高保磁力を達成できるが、あまりに多す
ぎると磁性鉄金属との合金化ができず、余剰分が酸化物
となるため、上記特性を達成できない。したがつて、コ
バルトの量は、Co/Feの重量比が0.2〜0.5の
範囲が好ましく、0.2〜0.4の範囲がより好まし
い。
【0029】また、希土類元素の量は、多いほど磁性粉
の粒度分布を均一にし、粒子ノイズを低減し、高いS/
N比を達成でき、また磁性粉とバインダとの密着力の増
大に寄与して、塗料混練分散工程での磁性粉の損傷を防
御できるので、強固な塗膜構造となり、高速摺動時の磁
性粉の脱落を防止することができるが、あまりに多すぎ
るとCo含有量が低下し、磁性粉の飽和磁化量を低下さ
せる。したがつて、希土類元素の量は、希土類元素/F
eの重量比が0.01〜0.1の範囲が好ましく、0.
02〜0.07の範囲がより好ましい。
【0030】このようなCoおよび希土類元素を含有す
る強磁性鉄系合金粉には、他の元素として、たとえば、
Zn、Sn、Ni、Mn、Ti、Cr、Cuなどの遷移
金属などを添加することもできる。しかしながら、アル
カリ金属、とくにCaが強磁性鉄系合金粉中に存在する
と、これが磁性層中の脂肪酸と反応して磁性層表面に脂
肪酸塩を生成するため、磁性粉の製造時に洗浄により上
記アルカリ金属の混入を避けるようにするのが好まし
い。
【0031】また、Coおよび希土類元素を含有する強
磁性鉄系合金粉は、加熱還元時の焼結防止、磁性塗料中
での分散性改善の目的で、粒子表面を無機酸化物で被覆
するのが望ましい。無機酸化物には、アルミニウム酸化
物やケイ素酸化物などがあるが、アルミニウム酸化物が
硬さにおいてすぐれており、強磁性鉄系合金粉の耐摩耗
性も向上できるのでとくに好ましい。
【0032】上記被覆を行うには、原料酸化鉄粉に対し
あらかじめアルミニウム、ケイ素などのアルコ―ル溶液
に水を作用させて加水分解によりこれらの化合物を粒子
表面に被着生成させる方法が用いられる。被覆量は、焼
結防止や分散性改善のため、Feに対する重量比で0.
001以上とするのが好ましく、またあまりに多すぎる
と、磁性粉の飽和磁化量が低下するため、0.07以下
が好ましい。つまり、粒子表面をアルミニウム酸化物で
被覆する場合、このアルミニウム酸化物をAl/Feの
重量比が0.001〜0.07となる割合で含有するの
がよい。
【0033】さらに、このようなCoおよび希土類元素
を含有する強磁性鉄系合金粉は、高い飽和磁化のため磁
気凝集を起こしやすく、粒子表面が非常に活性となるた
め、磁性塗料中に含まれる溶剤の変成や、結合剤として
使用される架橋剤中のイソシアネ―ト成分の変成などを
引き起こす触媒として作用する。このため、上記の強磁
性鉄系合金粉は、pHが10未満、とくに8未満である
のが好ましい。pHを10未満とすると、磁性塗料中の
上記のような変成物の生成を抑制でき、磁性層形成時に
高速回転時の摺動に耐えうる塗膜とすることができる。
【0034】このようなCoおよび希土類元素を含有す
る強磁性鉄系合金粉の保磁力は、高線記録密度における
短波長記録で、高出力で高分解能を得るため、135.
3〜278.5kA/m、とくに159.2〜222.
8kA/mであるのが好ましい。飽和磁化量は、高トラ
ツク密度において良好な再生出力を得るため、また磁性
粉の耐食性を維持するため、15.1〜25.1μWb
/g、とくに16.3〜20.1μWb/gであるのが
好ましい。角形比としては、σr/σsが0.46以
上、とくに0.48以上、さらには0.49以上である
のが望ましい。
【0035】本発明において、上記のCoおよび希土類
元素を含有する強磁性鉄系合金粉を用いた磁性層の磁気
特性としては、保磁力が135.3〜278.5kA/
m、とくに159.2〜222.8kA/mであるのが
望ましい。また、磁性層中の強磁性鉄系合金粉の充填性
を極めて高くし、高出力の磁気記録媒体とするため、磁
性層の残留磁化が2.513nWb以上、とくに3.1
42nWb以上、7.540nWb以下とするのが好ま
しい。このような高残留磁化の磁性層は、上記のCoお
よび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉を用いると
ともに、磁性粉の充填性を高める後述の手段により達成
することができる。
【0036】なお、磁性層の磁気特性とCoおよび希土
類元素を含有する強磁性鉄系合金粉の磁気特性とは、い
ずれも試料振動形磁束計で室温中、外部磁場795.8
kA/mでの測定値をいい、磁性層の保磁力および残留
磁化は、直径8mmで磁性層面20面を有する試料を貼り
合わせたものを測定したときの更正後の値である。
【0037】本発明では、上記のCoおよび希土類元素
を含有する強磁性鉄系合金粉を使用することにより、磁
性層の磁気特性が向上し、最短記録波長1.0μm以下
でも高い出力を得ることができるともに、磁性粉自体か
ら生ずるノイズが低減され、高いS/N比を得ることが
できる。一方、最短記録波長1.0μm以下の高線記録
密度において磁性層の厚さが厚い場合には、長波長出力
は厚さに応じて大きくなるものの、短波長出力は厚み損
失の影響によりあまり変化しない。このため、長波長出
力に比べて短波長出力が相対的に低くなつて分解能が低
下し、高保磁力化による自己減磁損失の低減効果による
改善だけでは不十分になる。
【0038】このような分解能の問題を解決するため、
検討した結果、最短記録波長1.0μm以下の高線記録
密度においては、磁性層の厚さを従来の磁気デイスクの
5分の1以下である0.20μm以下にしたときに、高
分解能の磁気デイスクが得られることを見い出した。す
なわち、本発明では、上記のCoおよび希土類元素を含
有する強磁性鉄系合金粉を用いるとともに、磁性層の厚
さを0.20μm以下とすることにより、磁性層の高残
留磁束密度化、高保磁力化を達成でき、高トラツク密度
における自己減磁損失を低減することができ、かつ最短
記録波長1.0μm以下の高線記録密度においても厚み
損失を低減でき、これにより良好な電磁変換特性を達成
できるものである。
【0039】本発明における磁性層の厚さは、上記の観
点から、0.20μm以下とすることが必要であるが、
あまりに薄くなりすぎると、磁性層の形成時に塗膜厚さ
の均一性を維持することが困難になり、また磁性層中に
充填しうる磁性粉が減少し、磁性層の磁気特性が低下す
る。このため、磁性層の厚さは、0.03μm以上、と
くに0.05〜0.20μmであるのが望ましい。
【0040】一方、高密度磁気デイスクは、大容量のデ
―タを短時間で記録再生するため、高速デ―タ転送を行
う必要があり、従来の磁気デイスクで使用されている3
00min-1の2倍以上である720min-1あるいは
3,000min-1以上の、ヘツドコンタクト型やニア
コンタクト型の高速回転のドライブが利用される。しか
し、上記のCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系
合金粉を用いた磁気デイスクでは、従来の強磁性粉を用
いた磁気デイスクに比べて、常温常湿環境下での走行時
の磁性粉の脱落に基づくテンポラリ―エラ―には改善が
みられるが、低温低湿から高温高湿までのサイクル環境
下での走行時に磁性層が傷つきやすく、ドロツプアウト
や出力変動が発生しやすく、十分な走行耐久性が得られ
ない。
【0041】この問題を解決するため、本発明者らは、
当初、従来から磁気ヘツドなどとの摺接による耐久性を
改善するために使用されている高硬度のアルミナなどの
研磨剤やカ―ボンブラツクの添加量を増やして、磁性層
の研磨能を高めることを試みたが、期待したほどの効果
は得られないうえに、出力、分解能、S/N比がいずれ
も低下することが判明した。この場合、走行初期におい
て磁気ヘツドにカ―ボンブラツクの脱落物とみられるも
のが付着していることが観察された。これは、上記のカ
―ボンブラツクとして、上記効果や導電性などを期待し
て、小粒径のものを使用すると、これが磁性層表面に存
在したときに、磁性層中に埋没する体積が小さいため、
磁気ヘツドなどとの摺接で容易に掘り起こされて脱落し
やすく、つまり小粒径のカ―ボンブラツクが磁性層中に
埋没した状態はセメント中に小さな砂利が存在している
状態と同じで、上からの衝撃により容易に脱落しやす
く、とくに0.20μm以下の薄層化された磁性層では
表面にカ―ボンブラツクが浮き出しやすく、上記現象が
起こりやすくなるためと思われる。
【0042】しかも、本発明では、磁性粉としてCoお
よび希土類を含有する活性な微粒子状の強磁性鉄系合金
粉を用いているため、塗料分散時に上記活性な磁性粉に
バインダを多く吸着させる必要があり、そのために、カ
―ボンブラツクを分散させるためのバインダ量が不足す
ることも考えられ、結局、磁性層中でのカ―ボンブラツ
クの固定化が弱まつて、磁性層からの脱落がより容易と
なるものと思われる。また、本発明のようなサ―ボ信号
が設けられる媒体では、磁気ヘツドが振動しながら磁性
層に摺接するため、磁気ヘツドの進行方向だけでなく、
横方向からの応力もかかるため、上記脱落がさらに一段
と容易になるものと思われる。
【0043】本発明者らは、これらの知見を踏まえて、
さらに検討を続けた結果、非磁性支持体と磁性層との間
に少なくとも1層の下塗り層を設けるとともに、磁性層
に含ませるカ―ボンブラツクとして磁性層の厚さを超え
る大粒径のものを用いることにより、サ―ボ信号が設け
られる高密度磁気デイスクなどの高密度磁気記録媒体で
あつて、かつ磁性層の厚さを0.20μm以下と薄くす
る構成としたときでも、高速回転における走行耐久性を
大きく改善できることを見い出した。
【0044】すなわち、本発明の磁気記録媒体は高速回
転するドライブで使用されるため、磁性層の下側に下塗
り層を設けることで、摺動時における磁気ヘツドからの
荷重を分散でき、また磁性層の厚さが薄層化されたこと
による潤滑剤の減少を補うことができる。さらに、下塗
り層を設けることで、カレンダ時の磁性層の表面性も向
上でき、出力向上に寄与させることができる。このよう
な効果を発揮させる下塗り層の厚さは、0.5〜5μ
m、とくに1〜3μmであるのが好ましい。
【0045】なお、下塗り層の厚さと、磁性層の厚さと
は、いずれも、塗膜の断面を透過型電子顕微鏡(5万
倍)で観察した断面写真を1cm間隔で10点測定したと
きの5箇所の断面の平均値から求められるものである。
【0046】また、上記大粒径のカ―ボンブラツクを使
用することにより、磁性層中のカ―ボンブラツク粒子の
埋没量を多くでき、少量のバインダでも強固に固定され
た状態で磁性層表面に存在し、摺接時の脱落を防止でき
るとともに、磁性層表面から適度に突出することによ
り、粘着性の磁性粉と磁気ヘツドとの摺接を抑制でき、
高速回転時でも磁気ヘツドとの摺接時の摩擦を低減し、
安定した走行耐久性を得ることができる。さらに、この
ような大粒径のカ―ボンブラツクが磁性層表面上に存在
することによつて、磁気ヘツド接触時のヘツド支持体と
しての機能も十分に発揮させることができるので、起動
時および走行時の負荷を大幅に低減でき、また小粒径の
カ―ボンブラツクと併用した場合でも、大粒径のカ―ボ
ンブラツクが小粒径のカ―ボンブラツクと磁気ヘツドな
どとの摺接の障壁となり、走行耐久性の格段の向上が可
能となるものと思われる。
【0047】しかも、このような大粒径のカ―ボンブラ
ツクを含有させると、従来の技術点観点からすると、上
記カ―ボンブラツクが磁気ヘツドと磁性層との間に存在
して大きなスペ―シングとなり、出力を低下させること
が懸念されるが、意外にも、出力は若干の低下に抑えら
れるものであることが、本発明ではじめて見い出され
た。この理由は必ずしも明らかではないが、磁性層から
突出したカ―ボンブラツクが磁気ヘツドと摺接する際、
カ―ボンブラツクがヘツド圧によつて変形し、それによ
りスペ―シング量を低下できるためではないかと考えら
れる。
【0048】本発明に用いられる上記大粒径のカ―ボン
ブラツクは、粒子径があまりに大きすぎると、塗膜の表
面平滑性が損なわれ、出力やS/N比が低下するため、
磁性層の厚さよりも大きく、かつ磁性層の厚さの3.0
倍以下であるのが好ましく、とくに1.1〜2.0倍で
あるのが好ましい。市販品としては、コロンビアン・カ
―ボン社製の「SEVACARB・MTCI」、カンカ
―ブ社製の「TermaxPowder・N−991」
などを挙げることができる。使用量は、Coおよび希土
類元素を含有する強磁性鉄系合金粉100重量部に対し
て、通常0.5〜5重量部、とくに1〜3重量部とする
のが好ましい。
【0049】本発明では、導電性の付与のため、嵩比重
の大きな粒径0.01〜0.03μmの小粒径のカ―ボ
ンブラツクを併用できる。市販品としては、Cabot
社製の「BLACK PEARLS 800」、「Mo
gul−L」、「VULCAN XC−72」、「Re
gal 660R」、コロンビアン・カ―ボン社製の
「Raven 1255」、「Conductex S
C」などがある。使用量は、大粒径カ―ボンブラツク/
小粒径カ―ボンブラツクの重量比が10/90〜80/
20、とくに20/80〜50/50となる割合とする
のがよい。これにより磁性層中の空孔をある程度残すこ
とができ、磁性層表面への潤滑剤の補給がスム―ズに行
われ、対磁気ヘツドとの摩擦や、不織布などのデイスク
ジヤケツト構成部材との摩擦を低下でき、走行耐久性を
さらに向上できる。
【0050】本発明において、磁性層と下塗り層とから
n−ヘキサンにより抽出される成分中に、脂肪酸および
脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の潤滑剤が
含有され、この潤滑剤の抽出量が10〜250kg/m3
であるとき、走行耐久性のより一層の改善がはかられ
る。すなわち、上記の抽出量が10kg/m3 以上である
と、磁性層および下塗り層中に上記十分な潤滑剤が存在
して、磁性層表面の潤滑剤不足を助け、大粒径のカ―ボ
ンブラツクの存在と相まつて、走行耐久性の原因となる
磁性層表面の摩擦を低下させ、さらにクツシヨン効果を
もたらすことができ、また磁性層表面の平滑化や磁性粉
の高充填化のためにカレンダ処理を行つて磁性層中の空
孔が減少した場合でも、潤滑剤の磁性層表面への浸出が
容易になり、良好な耐久性が得られる。また、上記抽出
量が250kg/m3 以下であると、磁性粉の充填性が悪
くなつて電磁変換特性の低下を招いたり、磁性層の塗膜
の脆弱化を招くなどのおそれを回避できる。
【0051】上記n−ヘキサンにより抽出される潤滑剤
は、脂肪酸と脂肪酸エステルとの混合系であるのが好ま
しく、とくに、後述のように、炭素数10以上の脂肪酸
と融点35℃以下の脂肪酸エステルとの混合系であつ
て、かつ両成分の抽出重量比、つまり炭素数10以上の
脂肪酸/融点35℃以下の脂肪酸エステルの比が0.3
/99.7〜10/90、とくに0.5/99.5〜6
/94であるのが好ましい。このような潤滑剤組成を有
していることにより、磁性層表面の油膜強度を維持しつ
つ、摩擦係数を低減し、走行耐久性を向上することがで
きる。
【0052】なお、上記したn−ヘキサンにより抽出さ
れる潤滑剤の抽出量とは、磁気記録媒体600cm2 を切
り出し、これをn−ヘキサン1リツトルに10分間浸漬
する作業を2回繰り返し、60℃で5分間乾燥した抽出
後の試料の重量を30秒以内に測定し、その浸漬前後の
重量差から求めた値を磁性層と下塗り層の総体積で除し
た値をいう。また、抽出される潤滑剤の組成比は、ガス
クロマトグラフイにより、温度150℃から200℃ま
で、昇温速度10℃/minで測定したものを検量線法
により求めた値をいう。
【0053】また、本発明においては、磁性層の厚さを
0.20μm以下とする場合に、高速回転時の走行耐久
性の改善のための自己研磨能を向上するため、磁性層の
鋼球摩耗体積を0.5×10-4〜5.0×10-4mm3
とくに1.0×10-4〜3.0×10-4mm3 の範囲に設
定するのが好ましい。このような範囲に設定することに
より、長時間走行時の出力やS/N比の劣化を抑制する
ことができ、磁気ヘツドの磨耗とヘツド目詰まりを低減
することができる。
【0054】上記の鋼球摩耗体積とは、摺動面の位置を
移動させながら、回転摺動試験により測定されるもので
あつて、従来の同一部分を往復摺動させて測定されるも
のとは異なり、高速時に磁気ヘツドと摺接する磁性層表
面の性状を反映したものである。つまり、従来の往復摺
動試験では、同一箇所を短い距離で摺動するにすぎない
ため、磁性層表面に存在する耐久性に寄与しない内部の
研磨成分まで考慮してしまうこととなるが、高速摺動時
における実際の耐久性は、上記のような研磨成分全体で
なく、磁性層表面近傍のみの塗膜の凝集力、研磨剤、摩
擦低下成分などの要素が影響するものと考えられる。こ
の観点から、本発明の鋼球摩耗体積は、磁性層面が高速
で磁気ヘツドと摺接する場合の磁性層の表面性状を耐久
性との関係において精密に反映できることを見い出した
ものである。
【0055】すなわち、本発明の鋼球摩耗体積の測定に
おいては、図1に示すように、ドライブ1の上キヤリツ
ジを取り外し、上ヘツドに代えて先端に鋼球3〔高炭素
クロム軸受鋼製、直径6.35mm(JISB−150
1)〕を固定した天秤4を取り付け、下キヤリツジ2の
ヘツド表面に厚さ0.2mm程度のSUS製の金属板5を
貼り付けて鋼球の受け面とし、20℃,50%RHの環
境下で、カ―トリツジに組み込んだ試料デイスクをセツ
トし、鋼球に10gの荷重をかかるように天秤に分銅を
のせ、この状態で半径30mmの位置で、10秒間、デイ
スクを720min-1で回転させる。
【0056】つぎに、荷重をかけたまま鋼球を1mm外周
部まで移動して10秒間回転させ、さらに1mm外周部に
鋼球を移動して10秒間回転させるという、移動・回転
の動作を順次繰り返し、合計で60秒間回転させて、デ
イスクを止める。この後、鋼球を取り外して、光学顕微
鏡(100倍)で観察し、摺動によつて生じた円形の摩
耗面の半径(r)と鋼球の半径(R)とから、下記の式
にしたがい、磁性層の鋼球摩耗体積(V)を算出する。
図1中、6はドライブ基板、7はドライブコントロ―
ラ、8はスピンドル、9はステ―タである。 V=(π/3)×{2R3 −√(R2 −r2 )×〔2R
2 +r2 〕}
【0057】本発明の磁気記録媒体の構成について、以
下、磁性層、下塗り層および非磁性支持体の順に説明す
る。まず、磁性層の構成成分には、Coおよび希土類元
素を含有する強磁性鉄系合金粉とカ―ボンブラツクのほ
かに、この合金粉の結合剤、潤滑剤、研磨剤などがあ
り、その他、上記合金粉の分散性を高めるために、アル
コ―ル、脂肪酸、脂肪族アミン、界面活性剤などの分散
剤が用いられる。
【0058】磁性層に使用する結合剤には、塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル
−ビニルアルコ―ル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−無水マレイン酸共重合樹脂、ニトロセルロ―スなど
の中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂と
の組み合わせがある。中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコ―ル共重合樹脂とポリウレタン樹脂を併
用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエス
テルポリウレタン、ポリエ―テルポリウレタン、ポリエ
―テルポリエステルポリウレタン、ポリカ―ボネ―トポ
リウレタン、ポリエステルポリカ―ボネ―トポリウレタ
ンなどがある。
【0059】これらの結合剤としては、Coおよび希土
類元素を含有する強磁性鉄系合金粉の分散性を向上し、
充填性を上げるために、官能基を有するものが好まし
い。官能基としては、−COOM、−SO3 M、−OS
3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2
(いずれも、Mは水素原子またはアルカリ金属塩基)、
−OH、−NR2 、−N+ 3 (いずれも、Rは炭化水
素基)、エポキシ基などが挙げられる。2種以上の樹脂
を併用する場合には、官能基を一致させるのが好まし
く、中でも、−SO3 M基が好ましい。
【0060】これらの結合剤は、Coおよび希土類元素
を含有する強磁性鉄系合金粉100重量部に対して、5
〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用
いられる。とくに、結合剤として塩化ビニル系樹脂を用
いる場合は5〜30重量部、ポリウレタン樹脂を用いる
場合は2〜20重量部の範囲とし、これらの両樹脂を上
記の使用割合で組み合わせて用いるのが最も好ましい。
【0061】これらの結合剤とともに、結合剤中に含ま
れる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤
を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレ
ンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―
ト、メチレンジイソシアネ―トなどや、これらのイソシ
アネ―ト類とトリメチロ―ルプロパンなどの水酸基を複
数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネ―ト類
の縮合生成物などの各種のポリイソシアネ―トが好まし
い。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、
通常15〜70重量部の割合で用いられる。
【0062】磁性層に使用する潤滑剤には、従来公知の
脂肪酸、脂肪酸エステル、炭化水素などが単独でまたは
2種以上混合して用いられる。中でも、炭素数10以
上、好ましくは12〜30の脂肪酸と、融点35℃以
下、好ましくは10℃以下の脂肪酸エステルとを併用す
るのが好ましい。これらの潤滑剤は、一部が強磁性鉄系
合金粉に吸着して磁性粉の分散性を助け、また初期摩耗
において媒体−ヘツド間の接触をやわらげ、摩耗係数を
低下させてヘツド汚れの低減に寄与する。
【0063】炭素数10以上の脂肪酸としては、直鎖、
分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよい
が、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。このような
脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン
酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン
酸、リノ―ル酸などが挙げられる。これらの中でも、ミ
リスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好まし
い。
【0064】融点35℃以下の脂肪酸エステルには、オ
レイン酸n−ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸
n−オクチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイ
ン酸オレイル、ラウリン酸n−ブチル、ラウリン酸ヘプ
チル、ミリスチン酸n−ブチル、オレイン酸n−ブトキ
シエチル、トリメチロ―ルプロパントリオレ―ト、ステ
アリン酸n−ブチル、ステアリン酸s−ブチル、ステア
リン酸イソアミル、ステアリン酸ブチルセロソルブなど
がある。これらの脂肪酸エステルは、分子量や構造の違
い、融点の違いにより、油膜強度や抽出量を制御できる
ので、組み合わせによる最適化を行つてもよい。上記融
点を有することにより、低温低湿下にさらされても、磁
性層と磁気ヘツドとの高速摺接時に磁性層表面に容易に
滲出移行し、そのすぐれた潤滑作用を効果的に発揮させ
ることができる。
【0065】これらの潤滑剤を磁性層中に含ませるに
は、磁性粉と結合剤を混合する際に、上記両成分と一緒
に添加するか、上記混合の前または後に添加するか、あ
るいはあらかじめ形成された磁性層の表面に潤滑剤溶液
などを塗布または噴霧すればよい。その際、潤滑剤の使
用量は、Coおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合
金粉100重量部に対して、1〜15重量部、好ましく
は2〜12重量部、さらに好ましくは4〜10重量部と
するのがよい。炭素数10以上の脂肪酸と、融点35℃
以下の脂肪酸エステルを併用する場合、両者の添加比率
は、重量比で10/90〜80/20、好ましくは20
/80〜60/40とするのがよい。
【0066】磁性層に使用する研磨剤は、磁性層の鋼球
摩耗体積を調整するために、好ましく用いられる。研磨
剤には、粒状、角状、針状のα化率90%以上のα−ア
ルミナ(Al2 3 )、β−アルミナ、γ−アルミナ、
クロム、α−酸化鉄、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化セ
リウム、二酸化ケイ素、ダイヤモンドなどがある。中で
も、硬度が高く、磁性層の表面に存在して摩耗係数低減
の効果が大きいα−アルミナがとくに好ましい。研磨剤
の粒子径は、媒体−ヘツド間のスペ―シングを小さく
し、鋼球摩耗体積を本発明の範囲内とするためにも、粒
径が0.3μm以下、とくに0.2μm以下であるのが
好ましい。しかし、あまりに小さいと、磁気ヘツドとの
摩耗係数が増大し、走行耐久性が低下するため、粒径が
0.02μm以上、とくに0.1μm以上であるのが好
ましい。
【0067】研磨剤を磁性層中に含ませるには、磁性粉
と結合剤をニ―ダなどで混練する工程または予備撹拌工
程で添加するか、あるいはあらかじめ研磨剤分散液をつ
くつておき、これを磁性塗料中に添加すればよい。生産
性の点からいえば、別工程を設ける必要のない前者の方
が、より好ましい。研磨剤の添加量としては、電磁変換
特性およびヘツド汚れの観点から、Coおよび希土類元
素を含有する強磁性鉄系合金粉100重量部に対して、
5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部とするの
がよい。
【0068】磁性層の形成にあたり、磁性塗料や潤滑剤
溶液などの調製に用いる溶剤としては、従来から使用さ
れている溶剤をいずれも使用できる。たとえば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、アセト
ン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケト
ン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶
剤、エタノ―ル、イソプロパノ―ルなどのアルコ―ル系
溶剤のほか、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチル
ホルムアミドなどが挙げられる。
【0069】つぎに、下塗り層の構成成分には、無機粉
末、結合剤、潤滑剤、カ―ボンブラツクなどがある。無
機粉末には、非磁性粉、磁性粉のいずれも使用できる。
非磁性粉としては、α−化率90%以上のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、TiO
2 (ルチル、アナタ―ゼ)、TiOX 、酸化セリウム、
酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2 、Si
2 、Cr2 3 、ゲ―タイト、コランダム、窒化珪
素、チタンカ―バイト、酸化マグネシウム、窒化硼素、
二硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3 、CaCO3
BaCO3 、SrCO3 、BaSO4 、炭化珪素、炭化
チタンなどが単独でまたは組み合わせて使用される。磁
性粉としては、γ−Fe2 3 、Co−γ−Fe
2 3 、Baフエライトなどの保磁力23.9kA/m
以下の低保磁力の磁性粉が用いられる。
【0070】これらの無機粉末は、球状、針状、板状の
いずれの形状であつてもよい。針状の無機粉末は、下塗
り層の表面性を向上してそれによつて上層磁性層の表面
性に好結果を与え、また粒状の無機粉末は、下塗り層で
磁気ヘツドからの応力を分散させる上で有効に作用す
る。このため、針状の無機粉末と粒状の無機粉末を併用
するのが好ましい。無機粉末の粒径(針状の場合は長軸
径、粒状の場合は最大直径、板状の場合は板径)は、こ
れがあまりに大きすぎると、下塗り層の表面性が低下
し、磁性層表面に影響を与えるため、0.5μm以下で
あるのが好ましい。また、無機粉末の上記粒径があまり
に小さすぎると、下塗り層の無機粉末の充填性が上が
り、潤滑剤を保持できる空孔が減少するとともに、クツ
シヨン効果も低下するため、上記粒径は0.05μm以
上であるのが好ましい。無機粉末の使用量は、上記粒径
と同様の理由から、下塗り層全体の60〜90重量%、
とくに、70〜80重量%であるのが好ましい。
【0071】下塗り層に使用する結合剤には、磁性層を
構成する前記の結合剤と同様の樹脂が用いられ、好まし
くは磁性層の結合剤と同種の樹脂を用いるのがよい。と
くに塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂との併用系で
一致させると、下塗り層と磁性層との弾性が近くなり、
磁気ヘツドからの荷重を良好に分散させることができ
る。また、下塗り層の結合剤は、磁性層の結合剤と同種
の官能基を有しているのが望ましい。とくに塩化ビニル
系樹脂とポリウレタン樹脂との併用系において、下塗り
層と磁性層で官能基を一致させると、両層の接着性が向
上するとともに、下塗り層から磁性層への潤滑剤の浸出
が円滑となるため、好ましい。
【0072】下塗り層の結合剤の使用量は、無機粉末1
00重量部に対して、20〜45重量部、とくに25〜
40重量部であるのが好ましい。なお、下塗り層の強度
を上げるために、磁性層の場合と同様に、上記の結合剤
とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて
架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのも望ましい。架
橋剤の使用量としては、上記の結合剤100重量部に対
して、15〜70重量部とするのが好ましい。
【0073】下塗り層に使用する潤滑剤としては、磁性
層と同様の潤滑剤を使用できるが、脂肪酸は脂肪酸エス
テルよりも上層への浸出性に劣るため、脂肪酸エステル
を単独でまたは脂肪酸エステルの添加比率を大きくして
使用するのが望ましい。下塗り層の潤滑剤の添加量は、
無機粉末100重量部に対し、通常4〜18重量部、好
ましくは5〜16重量部、より好ましくは6〜14重量
部とするのがよい。下塗り層への脂肪酸と脂肪酸エステ
ルの添加比率は、重量比で0/100〜40/60、と
くに0/100〜30/70であるのが好ましい。潤滑
剤を下塗り層に含ませるには、下塗り層用塗料のニ―ダ
などによる混合の際に一緒に添加するか、上記混合の前
または後に添加するか、あるいはあらかじめ形成された
下塗り層の表面に潤滑剤溶液などを塗布または噴霧すれ
ばよい。
【0074】下塗り層に使用するカ―ボンブラツクとし
ては、粒径が0.01〜0.03μmのカ―ボンブラツ
クと、粒径が0.05〜0.3μmのカ―ボンブラツク
とを併用するのが好ましい。前者のカ―ボンブラツク
は、磁性層の場合と同様に、潤滑剤を保持する空孔を確
保するためのものであり、また後者のカ―ボンブラツク
は、下塗り層の塗膜強度の向上とクツシヨン効果の両立
をはかるためのものである。下塗り層へのカ―ボンブラ
ツクの添加量としては、両者のカ―ボンブラツクを併せ
て、無機粉末100重量部に対して、5〜70重量部、
とくに15〜40重量部とするのが好ましい。
【0075】本発明において、下塗り層中のカ―ボンブ
ラツクの粒径は、前記した磁性層中に含有させた磁性層
の厚さよりも大きな粒径のカ―ボンブラツクの粒径の
0.01〜0.5倍、とくに0.05〜0.25倍であ
るのが好ましい。下塗り層中のカ―ボンブラツクの粒径
を、磁性層中に含有させた磁性層の厚さよりも大きな粒
径のカ―ボンブラツクの粒径の0.5倍以下とすること
により、下塗り層から突出するカ―ボンブラツクと上層
磁性層中の上記大粒径のカ―ボンブラツクとの界面での
重なり合いが抑制され、磁性層表面をより平滑にするこ
とができ、一方、0.01倍以上とすることにより、上
層磁性層中に含有する上記大粒径のカ―ボンブラツクが
磁気ヘツドからの荷重を受けた場合に、この荷重を下塗
り層でさらに均一に分散させることができる。
【0076】粒径が0.01〜0.03μmのカ―ボン
ブラツクには、Cabot社製の「BLACK PEA
RLS 800」、「Mogul−L」、「VULCA
NXC−72」、「Regal 660R」、コロンビ
アン・カ―ボン社製の「Raven 1255」、「C
onductex SC」などがある。粒径が0.05
〜0.3μmのカ―ボンブラツクには、Cabot社製
の「BLACK PEARLS 130」、「Mona
rch 120」、コロンビアン・カ―ボン社製の「R
aven 450」、「Raven 410」、カンカ
―ブ社製の「TermaxPowder・N−991」
などがある。
【0077】下塗り層の形成にあたり、下塗り層用塗料
や潤滑剤溶液の調製用溶剤として、磁性層の場合と同様
の芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アル
コ―ル系溶剤や、ヘキサン、テトラヒドロフランなどの
溶剤が用いられる。
【0078】本発明において、上記の下塗り層は、1層
だけに限定されず、必要に応じて、2層以上とすること
もできる。たとえば、無機粉末や結合剤などの種類、量
が異なる2層ないしそれ以上の多層構成として、上層磁
性層を含む全体として、3層以上の積層構成とすること
もできる。
【0079】つぎに、非磁性支持体としては、従来から
使用されている磁気記録媒体用の非磁性支持体をいずれ
も使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレ―
ト、ポリエチレンナフタレ―トなどのポリエステル類、
ポリオレフイン類、セルロ―ストリアセテ―ト、ポリカ
―ボネ―ト、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなど
からなる、厚さが通常3〜100μmのフイルムが用い
られる。
【0080】高密度磁気デイスクで高トラツク密度を達
成するために使われるトラツキングサ―ボ機構は、使用
環境とくに高温環境下の試験において発生する非磁性支
持体の収縮の異方性が大きいと追従性が低下し、トラツ
キングエラ―が生じやすい。このため、非磁性支持体と
しては、105℃、30分の熱収縮率、つまり105℃
で30分間熱処理し放冷したのちの熱収縮が、縦方向で
1.5%以下、横方向で1.0%以下であるのが好まし
い。上記の熱収縮率は、非磁性支持体の幅10mm、長さ
300mmの試験片6本をMD/TDより各々採取し、1
05℃の熱風中で30分間熱処理し冷却したのちの長さ
を測定し、〔(元の長さ−収縮後の長さ)/元の長さ〕
×100(%)の平均値として、求められる。
【0081】本発明の磁気記録媒体の製造において、磁
性層と下塗り層の形成に際しては、従来から公知の塗料
製造工程を使用でき、とくにニ―ダなどによる混練工程
や一次分散工程を併用するのが好ましい。一次分散工程
では、サンドミルを使用することにより、磁性粉の分散
性の改善とともに、塗膜強度を調整でき、それにより磁
性層の鋼球摩耗体積を設定できるので、好ましい。
【0082】上記の一次分散工程では、分散媒体として
高硬度のジルコニアビ―ズを用いるのが好ましい。この
ジルコニアビ―ズは、常温等方圧成形(CIP法)、高
温等方圧成形(HIP法)により得られるものが好まし
い。その中でも、理論密度に近く、サンドミルなどで強
分散を行つてもビ―ズが割れにくく、摩耗が均一に起こ
るHIP法によるジルコニアビ―ズが最も好ましい。こ
のようなジルコニアビ―ズの具体例としては、東レ社製
の「トレセラム」、日本化学陶業社製の「ジルコニアボ
―ル」を挙げることができる。また、分散時間として
は、塗料の滞留時間で30〜100分の範囲で適宜調整
するのが好ましい。
【0083】塗布工程では、グラビア塗布、ロ―ル塗
布、ブレ―ド塗布、エクストル―ジヨン塗布などの従来
から公知の塗布方法を使用できる。その際、下塗り層お
よび磁性層の塗布方法は、非磁性支持体上に下塗り層を
塗布乾燥したのちに磁性層を塗布する、逐次重層塗布方
法か、下塗り層と磁性層とを同時に塗布する、同時重層
塗布方法のいずれの方法を採用してもよい。
【0084】本発明の磁気記録媒体の製造においては、
塗布乾燥後、プラスチツクロ―ルや金属ロ―ルを用いた
カレンダによる表面処理を行うのが望ましい。カレンダ
処理を行うことにより、磁性層の表面を平滑化できると
ともに、強磁性鉄系合金粉の充填度を向上でき、残留磁
束密度を向上させることができる。このようなカレンダ
処理の温度としては、60〜150℃が好ましく、70
〜120℃がより好ましい。また、カレンダ処理の線圧
は、98〜294kN/mが好ましく、118〜196
kN/mがより好ましい。
【0085】本発明の磁気記録媒体において、磁性層の
鋼球摩耗体積は、磁性層の表面粗度によつても変化する
ため、一次分散工程での磁性塗料の分散性とカレンダ処
理、塗膜表面研磨処理で適宜調整できる。磁性層の表面
粗度は、光干渉計三次元表面粗さにおける平均表面粗さ
(Ra)が1〜8.5nm、好ましくは3〜7nmとな
るように、カレンダ工程でロ―ルの圧力や温度を調節し
て鏡面加工処理、最終的な塗膜表面研磨処理を行うのが
よい。
【0086】なお、塗膜表面の研磨処理は、平均表面粗
さが0.4μm以下のアルミナ、酸化クロムなどの研磨
ホイ―ルや研磨テ―プにより研磨するのが好ましい。ま
た、研磨処理条件は、エア―圧が0.01〜1.0MP
a、研磨時間が0.5〜5秒、デイスク回転数が500
〜5,000min-1の範囲で適宜調整するのが好まし
い。上記Raが1nm未満では、磁性層が平滑化しす
ぎ、磨耗係数が高くなるとともに、磁気ヘツドとの貼り
付きが生じ、また磁気ヘツドとの真実接触面積の増大か
ら温度サイクル耐久性の低下が顕著となる。Raが8.
5nmより大きくなると、磁性層表面の凹凸が顕著とな
るため、同様に磁性層の削れによる粉落ちが発生し、シ
―ク耐久性が劣化しやすくなるとともに、S/N比も劣
化する。
【0087】また、本発明の磁気記録媒体は、その形状
がデイスク状である場合、このデイスクを取り付けるハ
ブとして、金属またはプラスチツク製のものが用いられ
る。その際、面振れ幅が80μm以下のハブを用いるの
が好ましい。高密度磁気デイスクでは、高いデイスク回
転数で利用されるため、ドライブに挿入されたデイスク
をスピンドルに固定し回転させるデイスククランプ機構
では、ハブの面振れ幅がデイスクの面振れ幅に直接影響
しやすく、出力変動をもたらすとともに、回転時にデイ
スクに局部的な荷重が加わりやすく、これによりシ―ク
耐久性が低下しやすくなる。このため、面振れ幅が80
μm以下、好ましくは60μm以下のハブを用いること
により、さらに、高出力でシ―ク耐久性を改善できる。
【0088】本発明にいう上記の面振れ幅は、ハブ単体
を後述の電磁変換特性評価装置にて1,000min-1
で回転させた際の回転軸方向の動的変動幅をフオトニツ
クセンサ(スポツト径0.5μm)で検知し、その最大
値を示したものである。
【0089】本発明の磁気記録媒体においては、その一
定領域にサ―ボ信号を設けるが、このサ―ボ信号は、既
述のとおり、デ―タ信号を記録する前に設けても、デ―
タ信号を記録すると同時に設けてもよい。サ―ボ信号に
は、従来から用いられている磁気サ―ボ信号、光サ―ボ
信号がある。サ―ボ信号の占める面積は、媒体の磁性層
全面積に対し、デイスク状媒体では7%以下、テ―プ状
媒体では10%以下であるのが望ましい。この範囲外で
はトラツキング精度は向上するが、有効記録面に占める
デ―タ領域の割合が少なくなり、記録容量の確保が困難
となる。
【0090】磁気サ―ボ信号で一般的なセクタ―サ―ボ
信号の設け方としては、たとえば、磁気ヘツドを高精度
でトラツク送りできるよう改造したサ―ボライト専用の
ドライブを用いて、各セクタ―の先頭に半トラツク分だ
け位置をずらしてサ―ボ信号Aを、さらにサ―ボ信号A
に続けて逆方向に半トラツク分だけ位置をずらしてサ―
ボ信号Bを記録する。サ―ボ信号Aとサ―ボ信号Bと
は、サ―ボ信号処理回路で識別が容易となるように、異
なる周波数を用いる。各サ―ボ信号のビツト数は、記録
面に占めるサ―ボ信号領域の割合、ヘツドと媒体の相対
速度、サ―ボ回路の構成などに応じて、決められる。ま
た、複数トラツクに及ぶオフトラツクが想定されるシス
テムでは、たとえば、互いに異なる周波数のサ―ボ信号
A、サ―ボ信号B、サ―ボ信号C、サ―ボ信号Dの4つ
のサ―ボ信号を用いることにより、正しいトラツク位置
を検出しやすくする手法がとられる。
【0091】光サ―ボ信号の設け方としては、たとえ
ば、トラツク間にデユ―テイ―比50:50の破線状の
溝を形成し、光学センサでこの溝の位置を検出してヘツ
ドの位置決めをする方法がとられる。このときの溝の幅
は、記録面に占めるサ―ボ信号領域の割合、要求される
サ―ボ信号のS/N比などに応じて、適宜決められる。
上記溝の形成方法には、スタンプ方式で刻印する方法、
レ―ザ―光線で磁性層表面の一部を焼き切る方法などが
ある。デイスク状媒体では形成される溝の真円度が高い
後者の方法がより高いトラツキング精度が得られる。な
お、テ―プ状媒体では、磁気記録に関与しないバツクコ
―ト面に補助的なサ―ボ信号を設ける場合もある。この
ようなサ―ボ信号は、たとえば、印刷により光サ―ボ信
号を設ける方法などがとられるが、磁気デ―タトラツク
との相互位置精度を確保するのが難しく、記録面に設け
られるサ―ボ信号と併用する必要がある。
【0092】なお、本発明において、前記したデイスク
状の磁気記録媒体を高速回転のドライブで使用する場合
には、不織布の摩耗により、エラ―上昇の原因となるた
め、リフタ―のないジヤケツトを用いるのが好ましい。
【0093】
【実施例】以下、実施例を記載して、本発明をさらに具
体的に説明する。各例において、部とあるのは重量部を
意味するものとする。
【0094】 実施例1 <下塗り層用塗料成分> α−酸化鉄(平均長軸長:0.14μm、平均針状比:7) 65部 粒状α−アルミナ(粒径:0.4μm) 10部 カ―ボンブラツク(粒径:0.024μm) 18部 カ―ボンブラツク(粒径:0.075μm) 7部 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ―ル共重合樹脂 16部 (含有−SO3 Na基:0.07mmol/g) ポリウレタン樹脂(含有−SO3 Na基:0.1mmol/g) 7部 オレイン酸オレイル(融点:0℃以下) 6部 ステアリン酸n−ブチル(融点:28℃) 2部 シクロヘキサノン 200部 メチルエチルケトン 200部
【0095】 <磁性塗料成分> CoおよびYを含有する強磁性鉄系合金粉 100部 (Co/Fe:0.2、Y/Fe:0.03、Al/Fe :0.02、pH:7、平均長軸長:0.12μm、 Hc:159.2kA/m、BET比表面積:50m2 /g、 σs:17.6μWb/g) カ―ボンブラツク(粒径:0.02μm) 1部 カ―ボンブラツク(粒径:0.35μm) 2.5部 粒状α−アルミナ(粒径:0.3μm) 15部 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ―ル共重合樹脂 13部 (含有−SO3 Na基:0.07mmol/g) ポリウレタン樹脂(含有−SO3 Na基:0.1mmol/g) 4部 ミリスチン酸(炭素数:15) 1部 オレイン酸オレイル(融点:0℃以下) 5部 シクロヘキサノン 250部 メチルエチルケトン 250部
【0096】上記の下塗り層用塗料成分をニ―ダで混練
したのち、サンドミルにより滞留時間60分で分散さ
せ、これにポリイソシアネ―ト6部を加えて、下塗り層
用塗料を調製した。これとは別に、上記の磁性塗料成分
をニ―ダで混練したのち、サンドミルにより滞留時間6
0分で分散させ、これにポリイソシアネ―ト7部を加え
て、磁性塗料を調製した。上記の下塗り層用塗料を、ポ
リエチレンテレフタレ―トフイルムからなる支持体(1
05℃,30分の熱収縮率が縦方向で0.8%、横方向
で0.6%)に、乾燥後の厚さが片面で1μmとなるよ
うに、両面に塗布し、乾燥した。
【0097】このようにして支持体の両面に下塗り層を
形成したのち、この下塗り層上に、さらに上記の磁性塗
料をカレンダ―処理後の磁性層の厚さが片面で0.18
μmとなるように、両面に塗布し、乾燥した。なお、下
塗り層中のカ―ボンブラツクの粒径は、上層磁性層中の
大粒径のカ―ボンブラツクの粒径の0.07〜0.21
倍であつた。ついで、この磁気シ―トを5段カレンダ
(温度80℃、線圧147kN/m)で鏡面化処理し、
60℃で24時間エ―ジングしたのち、3.5型サイズ
に打ち抜いた。その後、アルミナ研磨テ―プ(WA−6
000:アルミナ粒径2μm、表面粗さ0.4μm)に
よる表面研磨処理(エア―圧0.25MPa、研磨時間
1秒、デイスク回転数2,000min-1)を施し、さ
らに70℃で24時間エ―ジング処理して、磁気デイス
クを作製した。
【0098】この磁気デイスクを、面振れ幅60μmの
3.5型フロツピ―用ハブに取り付けたのち、デイスク
の裏面にレ―ザ―カツト方式によりグル―ブ幅2.2μ
m、1周あたりのグル―ブ数1,500、デユ―テイ―
比50:50、サ―ボトラツクピツチ20.4μmで、
トラツク半径23mmから39.5mmの範囲に磁性層面積
に対して5.4%の面積割合で光サ―ボ用グル―ブを設
け、さらにリフタ―のない不織布付きの3.5型フロツ
ピ―用カ―トリツジに格納して、最終的な磁気デイスク
とした。
【0099】実施例2 磁性塗料成分中、磁性粉を、CoおよびYを含有する強
磁性鉄系合金粉(Co/Fe:0.2、Y/Fe:0.
03、Al/Fe:0.03、pH:7、平均長軸長:
0.07μm、Hc:159.2kA/m、BET比表
面積:50m2/g、σs:17.0μWb/g)10
0部に変更するとともに、粒径0.3μmの粒状α−ア
ルミナ15部に代えて粒径0.15μmの粒状α−アル
ミナ15部を使用し、また粒径0.35μmのカ―ボン
ブラツク2.5部に代えて粒径0.27μmのカ―ボン
ブラツク2.5部を使用し(下塗り層中のカ―ボンブラ
ツクの粒径は、上層磁性層中の大粒径のカ―ボンブラツ
クの粒径の0.12〜0.38倍である)、かつカレン
ダ処理後の磁性層の厚さを片面で0.10μmに変更
し、さらに表面研磨処理をアルミナ研磨テ―プ(WA−
6000)に代えてアルミナ研磨テ―プ(WA−800
0:アルミナ粒径1.2μm、表面粗さ0.07μm)
で行うようにした以外は、実施例1と同様にして、光サ
―ボ用グル―ブを有する磁気デイスクを作製した。
【0100】実施例3 磁性塗料成分中、粒径0.35μmのカ―ボンブラツク
2.5部に代えて、粒径0.27μmのカ―ボンブラツ
ク2.5部を使用し(下塗り層中のカ―ボンブラツクの
粒径は、上層磁性層中の大粒径のカ―ボンブラツクの粒
径の0.09〜0.28倍である)、かつカレンダ処理
後の磁性層の厚さを片面で0.16μmに変更し、ま
た、下塗り層用塗料成分中、オレイン酸オレイルの添加
量を6部から13部に変更し、かつ下塗り層用塗料成分
のサンドミルによる分散条件を滞留時間60分から50
分に変更した以外は、実施例1と同様にして、光サ―ボ
用グル―ブを有する磁気デイスクを作製した。
【0101】実施例4 磁性塗料成分中、磁性粉を、CoおよびCeを含有する
強磁性鉄系合金粉(Co/Fe:0.2、Ce/Fe:
0.04、Al/Fe:0.05、pH:7、平均長軸
長:0.14μm、Hc:159.2kA/m、BET
比表面積:50m2 /g、σs:16.3μWb/g)
100部に変更し、かつカレンダ処理後の磁性層の厚さ
を片面で0.20μmに変更するとともに、下塗り層用
塗料成分および磁性塗料成分のサンドミルによる分散条
件を、それぞれ滞留時間60分から90分に変更し、さ
らに5段カレンダによる鏡面化処理を温度70℃、線圧
118kN/mで行うようにした以外は、実施例1と同
様にして、光サ―ボ用グル―ブを有する磁気デイスクを
作製した。
【0102】実施例5 磁性塗料成分中、磁性粉を、CoおよびLaを含有する
強磁性鉄系合金粉(Co/Fe:0.3、La/Fe:
0.03、Al/Fe:0.02、pH:9、平均長軸
長:0.12μm、Hc:151.2kA/m、BET
比表面積:55m2 /g、σs:18.8μWb/g)
100部に変更し、かつ、下塗り層用塗料成分および磁
性塗料成分のサンドミルによる分散条件を、それぞれ滞
留時間60分から90分に変更するとともに、5段カレ
ンダによる鏡面化処理を温度90℃、線圧245kN/
mで行うようにした以外は、実施例1と同様にして、光
サ―ボ用グル―ブを有する磁気デイスクを作製した。
【0103】実施例6 磁性塗料成分中、磁性粉を、CoおよびNdを含有する
強磁性鉄系合金粉(Co/Fe:0.4、Nd/Fe:
0.03、Al/Fe:0.05、pH:7、平均長軸
長:0.10μm、Hc:175.1kA/m、BET
比表面積:55m2 /g、σs:18.2μWb/g)
100部に変更するとともに、ミリスチン酸1部をステ
アリン酸(炭素数:18)1部に、オレイン酸オレイル
5部をオレイン酸2−エチルヘキシル(融点:0℃以
下)8部に、それぞれ変更し、かつ、下塗り層用塗料成
分中、オレイン酸オレイルの添加量を6部から3部に変
更するようにした以外は、実施例1と同様にして、光サ
―ボ用グル―ブを有する磁気デイスクを作製した。
【0104】実施例7 磁性塗料成分中、磁性粉を、CoおよびTbを含有する
強磁性鉄系合金粉(Co/Fe:0.3、Tb/Fe:
0.05、Al/Fe:0.03、pH:7、平均長軸
長:0.10μm、Hc:167.1kA/m、BET
比表面積:55m2 /g、σs:18.8μWb/g)
100部に変更し、かつカレンダ処理後の磁性層の厚さ
を片面で0.17μmに変更するとともに、下塗り層用
塗料成分中、α−酸化鉄65部に代えて、γ−Fe2
3 磁性粉(粒径0.12μm、Hc:23.9kA/
m、σs:9.4μWb/g、BET比表面積25m2
/g)65部を使用し、さらに、非磁性支持体として1
05℃,30分の熱収縮率が縦方向で0.3%、横方向
で0.1%であるポリエチレンテレフタレ―トフイルム
を使用し、また、面振れ幅が70μmであるハブを使用
した以外は、実施例1と同様にして、光サ―ボ用グル―
ブを有する磁気デイスクを作製した。
【0105】比較例1 磁性塗料成分中、磁性粉を、Coおよび希土類元素を含
有しないFe−Ni−Zn系強磁性鉄系合金粉(Al/
Fe:0.03、pH:11、平均長軸長:0.35μ
m、Hc:131.3kA/m、BET比表面積:45
2 /g、σs:15.1μWb/g)100部に変更
するとともに、磁性層の厚さを片面で0.20μmに変
更し、かつ下塗り層を設けなかつた以外は、実施例1と
同様にして、光サ―ボ用グル―ブを有する磁気デイスク
を作製した。
【0106】比較例2 磁性塗料成分中、粒径0.35μmのカ―ボンブラツク
2.5部に代えて、粒径0.27μmのカ―ボンブラツ
ク2.5部を使用するとともに(下塗り層中のカ―ボン
ブラツクの粒径は、上層磁性層中の大粒径のカ―ボンブ
ラツクの粒径の0.09〜0.28倍である)、粒状α
−アルミナ(粒径:0.3μm)の使用量を15部から
30部に変更し、かつ磁性層の厚さを0.30μmに変
更し、さらに、非磁性支持体として、105℃,30分
の熱収縮率が縦方向で2.0%、横方向で1.2%のポ
リエチレンテレフタレ―トフイルムを使用し、また、面
振れ幅が100μmであるハブを使用した以外は、実施
例1と同様にして、光サ―ボ用グル―ブを有する磁気デ
イスクを作製した。
【0107】比較例3 磁性塗料成分中、磁性粉を、CoおよびYを含有する強
磁性鉄系合金粉(Co/Fe:0.2、Y/Fe:0.
01、Al/Fe:0.02、pH:7、平均長軸長:
0.12μm、Hc:159.2kA/m、BET比表
面積:50m2/g、σs:17.0μWb/g)10
0部に変更するとともに、粒径0.35μmのカ―ボン
ブラツク2.5部および粒径0.02μmのカ―ボンブ
ラツク1部に代えて、粒径0.075μmのカ―ボンブ
ラツク3.0部を使用し(下塗り層中のカ―ボンブラツ
クの粒径は、上層磁性層中の大粒径のカ―ボンブラツク
の粒径の0.32〜1.00倍である)、磁性層の厚さ
を片面で0.20μmに変更し、また、下塗り層用塗料
成分中、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ―ル共
重合樹脂およびポリウレタン樹脂をそれぞれ官能基とし
て−SO3 Na基を有するものから−OH基のみを有す
るものに変更するとともに、オレイン酸オレイル6部を
ステアリン酸セチル(融点40℃)18部に変更し、さ
らに下塗り層用塗料成分および磁性塗料成分のサンドミ
ルによる分散条件をそれぞれ滞留時間60分から90分
に変更した以外は、実施例1と同様にして、光サ―ボ用
グル―ブを有する磁気デイスクを作製した。
【0108】比較例4 磁性塗料成分中、磁性粉を、Coおよび希土類元素を含
有しない強磁性Fe−Ni合金粉(pH:11、平均長
軸長:0.25μm、Hc:123.3kA/m、BE
T比表面積:55m2 /g、σs:15.1μWb/
g)100部に変更し、さらに粒径0.35μmのカ―
ボンブラツク2.5部に代えて、粒径0.075μmの
カ―ボンブラツク5部を使用し(下塗り層中のカ―ボン
ブラツクの粒径は、上層磁性層中の大粒径のカ―ボンブ
ラツクの粒径の0.32〜1.00倍である)、またオ
レイン酸オレイルの添加量を5部から0.5部に変更
し、かつミリスチン酸の添加を省き、また、下塗り層用
塗料成分中、オレイン酸オレイルの添加量を6部から
0.5部に、ステアリン酸n−ブチルの添加量を2部か
ら1部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様に
して、光サ―ボ用グル―ブを有する磁気デイスクを作製
した。
【0109】以上の実施例1〜7および比較例1〜4の
各磁気デイスクについて、磁性粉の平均長軸長、n−ヘ
キサンにより抽出される潤滑剤の抽出量、脂肪酸と脂肪
酸エステルとの抽出重量比、磁性層の鋼球摩耗体積、残
留磁化を、本文記載の方法で測定した。これらの結果
は、表1に示されるとおりであつた。
【0110】なお、磁性粉の平均長軸長は、後述する再
生出力の測定に使用した最短記録波長(1μm)との関
係で示した。また、n−ヘキサンによる潤滑剤の抽出に
あたり、磁気デイスクの切り出しは両面で600cm2
した。さらに、鋼球摩耗体積の測定にあたり、ドライブ
として、松下寿電子工業(株)製ドライブ(LKM−F
434−1)(カ―トリツジは3.5インチカ―トリツ
ジ)を使用した。
【0111】
【0112】つぎに、上記の実施例1〜7および比較例
1〜4の各磁気デイスクについて、再生出力、分解能、
S/N比、温度サイクル耐久性およびシ―ク耐久性を、
下記の方法により測定した。これらの結果は、表2に示
されるとおりであつた。
【0113】<再生出力>デイスク回転用NTN社製ス
ピンドルモ―タSPU−MUX158GV3とヘツド位
置調整用中央精機製精密ステ―ジMM−40X・Y、M
M−40Z、MM−40GUおよびMM−40GLより
なる電磁変換特性評価装置に、トラツク幅8μm、ギヤ
ツプ長0.3μmのMIGタイプヘツドを取り付け、回
転数1,000min-1、記録周波数7,215kHz
で半径35mmの位置において記録したのち(記録波長1
μm)、再生アンプ出力のpeak to peak値
をヒユ―レツトパツカ―ド社製オシロスコ―プ5450
4Aで測定した。測定値は、比較例2の磁気デイスクを
100%として、相対値で示した。
【0114】<分解能>上記再生出力の測定絶対値をH
F出力とし、記録周波数を1,804kHzにしたとき
の測定絶対値をLF出力とする。上記のHF出力とLF
出力の比(HF出力/LF出力)を分解能とした。測定
値は、比較例2の磁気デイスクを100%として、相対
値で示した。
【0115】<S/N比>上記HF出力信号をヒユ―レ
ツトパツカ―ド社製スペクトラムアナライザ―3588
Aに入力し、周波数スパン0〜7MHz、RBW4.6
kHz、アベレ―ジリング回数64回でスペクトラム表
示した。このときの3,608kHzのピ―クレベル値
(dBm)を信号レベルSとし、2.5MHz付近のノ
イズフロアレベルと4.5MHz付近のノイズフロアレ
ペルの平均値(dBm)をノイズレベルNとして測定
し、S/N比(dB)=S(dBm)−N(dBm)で
計算した。測定値は、比較例2の磁気デイスクを0dB
として、相対値で示した。
【0116】<温度サイクル耐久性>上記の再生出力測
定用の装置を用い、5℃,20%RHと50℃,80%
RHの温度サイクル環境下で、半径35mmの位置におい
て連続走行させ、出力電圧が初期値の85%に低下する
までの累計走行時間を調べた。
【0117】<シ―ク耐久性>上記の再生出力測定用の
装置を用い、20℃,65%の環境下で、r=30〜4
0mmの範囲を速度10往復/分でシ―ク動作させ、r=
35mmの位置の出力電圧が初期の85%に低下するまで
の累計走行時間を調べた。
【0118】
【0119】上記の表2から明らかなように、本発明の
実施例1〜7の各磁気デイスクは、再生出力、分解能お
よびS/N比が高く、かつ温度サイクル耐久性とシ―ク
耐久性も満足するものであり、電磁変換特性および走行
耐久性にともにすぐれていることがわかる。これに対
し、比較例1〜4の各磁気デイスクでは、電磁変換特性
か走行耐久性かのいずれかの特性に明らかに劣つてい
る。
【0120】
【発明の効果】以上のように、本発明は、サ―ボ信号が
設けられる磁気記録媒体において、非磁性支持体と磁性
層との間に下塗り層を設け、かつ磁性層に含ませる磁性
粉として特定の元素組成および平均長軸長の強磁性鉄系
合金粉を使用するとともに、磁性層の厚さと磁性層に含
ませるカ―ボンブラツクの粒径を特定したことにより、
電磁変換特性にすぐれて、高出力、高分解能および高S
/N比を有し、そのうえすぐれた走行耐久性を有する、
とくに満足できるシ―ク耐久性および温度サイクル耐久
性を有する高密度磁気記録媒体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁性層の鋼球摩耗体積を測定する装置を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 ドライブ 2 下キヤリツジ 3 鋼球 4 天秤 5 金属板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/706 G11B 5/706 5/708 5/708 23/00 601 23/00 601C H01F 1/047 H01F 1/06 J (72)発明者 宮田 照久 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 蒔田 義幸 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サ―ボ信号が設けられる磁気記録媒体に
    おいて、非磁性支持体上に少なくとも1層の下塗り層と
    磁性層とがこの順に形成され、磁性層の厚さが0.20
    μm以下、磁性層に含まれる磁性粉がCoおよび希土類
    元素を含有する強磁性鉄系合金粉からなり、その平均長
    軸長Lが0.15μm以下で、平均長軸長Lと最短記録
    波長λとがL/λ≦1/3の関係にあり、磁性層中に磁
    性層の厚さよりも大きな粒径のカ―ボンブラツクを含有
    することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体は、105℃で30分間熱
    処理し放冷したのちの熱収縮率が、縦方向で1.5%以
    下、横方向で1.0%以下である請求項1に記載の磁気
    記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁性層と下塗り層とからn−ヘキサンに
    より抽出される成分中に、脂肪酸および脂肪酸エステル
    から選ばれる少なくとも1種の潤滑剤を含有し、この潤
    滑剤の抽出量が10〜250kg/m3 である請求項1ま
    たは2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層と下塗り層とからn−ヘキサンに
    より抽出される成分中に、炭素数10以上の脂肪酸と融
    点35℃以下の脂肪酸エステルとからなる潤滑剤を含有
    し、この潤滑剤の上記両成分の抽出重量比が0.3/9
    9.7〜10/90である請求項3に記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 下塗り層中にカ―ボンブラツクを含有
    し、このカ―ボンブラツクの粒径が、磁性層に含有され
    る磁性層の厚さよりも大きな粒径のカ―ボンブラツクの
    粒径の0.01〜0.5倍である請求項1〜4のいずれ
    かに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 磁性層の鋼球摩耗体積が、0.5×10
    -4〜5.0×10-4mm3 である請求項1〜5のいずれか
    に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 形状がデイスク状であり、面振れ幅が8
    0μm以下のハブに取り付けてなる請求項1〜6のいず
    れかに記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003346320A (ja) * 2002-05-24 2003-12-05 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体

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