JP2000212832A - 回収ポリエステルフィラメントおよびそれを用いた繊維製品 - Google Patents

回収ポリエステルフィラメントおよびそれを用いた繊維製品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回収されたポリエステル成型品を原料とし
て、ポリエステル高配向未延伸を紡糸し、引き続き低倍
率延伸を行うことにより衣料用ポリエステル繊維製品を
得ることを目的とする。 【解決手段】 主として回収されたポリエステルを出発
原料に用いて紡糸延伸したポリエステルフィラメントで
あり、多くとも5重量%の有機および/または無機不純
物を含有しており、且つ、繊維の破断伸度、数平均分子
量の最大値と最小値の差を、10%伸長時の応力並びに
その標準偏差等を特定したポリエステルフィラメント。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回収されたポリエ
ステルを原料として紡糸して得られた高配向糸を低倍率
で延伸することにより得られたポリエステルマルチフィ
ラメントおよびそれを用いた繊維製品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートを主成分と
するポリエステルは、力学的特性、耐熱性、成形性等に
優れており、繊維、フィルム、成型品等の分野において
極めて広い用途を有している。しかしながら、一方でこ
れらポリエステル製品は、使用後廃棄、回収され処分さ
れるが、その際、燃焼しようとすると高熱を発し、通常
の仕様の焼却炉では焼却炉が損傷し易いなどの問題が生
じ、そのため高温耐久性の良い焼却炉が必要になるなど
の課題がある。また、燃焼されずに廃棄された場合に
は、金属の様に腐食しないために永久的に屑として残存
するために、それを野生動物が誤飲して死亡するなどの
問題が生じており、環境保護の観点からも大きな社会問
題となっている。
【0003】さらに、最近ではポリ塩化ビニルのように
組成中に塩素原子を含有する高分子は言うまでもなく、
塩素原子を組成中に含有しない高分子でも燃焼時の温度
条件によっては空気中のごく微量の塩素と反応して内分
泌撹乱化学物質(所謂、環境ホルモン)の1種である猛
毒のダイオキシンを発生するとの報告もあり、人体に影
響を与えるこのような物質の発生を抑制すべく早急な対
策が望まれている。そこで、資源の再利用、環境保護の
観点から、廃棄されたポリマー製品を回収し、再利用す
ることが必要であり、その中でも特に使用量が多く、今
後も使用量の増大が見込まれるポリエチレンテレフタレ
ートを使用した食用液体用ボトルは回収再利用する価値
のある製品であり、実際に再利用され再製品化する試み
が始まっている。(特開平5−279921号公報)
【0004】これら回収されたポリエステルを粉砕後、
製糸して繊維化する際、該ポリエステル中に含有される
添加物、異物等の不純物、さらには回収時に分別されず
に混入する金属等により、紡糸時においてノズルの背圧
が上昇し長期の操業が困難である。そこで、その対策と
してフィルターの孔サイズを大きくすると、紡糸或いは
延伸工程において糸切れが多発し操業性が著しく低下す
るといった問題が発生し、回収されたポリエステルから
汎用性のある衣料用マルチフィラメントを製糸すること
は困難であった。
【0005】さらに、回収されたポリエステルはさまざ
まな種類の製品が混在しているために固有粘度が一定で
はなく、製糸時においても粘度斑が大きく、単糸間ある
いは単糸内で物性差が生じてしまい、布帛として染色す
ると染め斑が発生し芯地などの特殊用途以外では使用出
来なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
克服し、ポリエステル成型品を回収、再溶融してチップ
化する際に、異物含有量を低減するとともに分子量のバ
ラツキを特定の範囲に留めることにより、天然繊維に似
た自然なムラ感を呈する衣料用ポリエステル繊維製品を
安価に提供する得ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、すなわち本発明は、主として回収されたポリエ
ステルを出発原料に用いて紡糸延伸したポリエステルフ
ィラメントであり、多くとも5重量%の有機および/ま
たは無機不純物を含有しており、且つ、下記の特性値を
満足することを特徴とする回収ポリエステルフィラメン
ト。 10≦DE(%) ≦60 4000≦ΔMn≦13000 3.0≦ST10(g/d )≦3.9 0.05≦σST10(g/d )≦0.35 (ここで、DEは破断伸度を、ΔMnは数平均分子量の
最大値と最小値の差を、ST10は10%伸長時の応力
を、σST10はST10の標準偏差をそれぞれ表す。) その第2は、回収ポリエステルの含有量が30重量%以
上である請求項1記載の回収ポリエステルフィラメント
であり、その第3は、請求項1または本発明者は上記目
的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、有機および
/または無機不純物の含有量を一定の量以下に抑制する
すること、さらには使用する回収ポリエステルの固有粘
度のバラツキをある一定範囲内に収めたポリエステルを
紡糸、延伸することにより本発明を完成するに至った。
その第1は、主成分である回収ポリエステルを含有する
ポリエステル原料に対し、多くとも5重量%の有機およ
び/または無機不純物を含有し、かつ該ポリエステルを
紡糸、延伸して得られたポリエステルフィラメントが下
記条件を満足することを特徴とするポリエステル繊維。 10≦DE(%) ≦60 4000≦ΔMn≦13000 3.0≦ST10(g/d )≦3.9 1.05≦σST10(g/d )≦0.35 (ここで、DEは破断伸度を、ΔMnは数平均分子量の
最大値と最小値の差をST10は10%伸長時の応力をσ
ST10はST10の標準偏差をそれぞれ表す。)
【0008】その第2は回収ポリエステルの含有量が3
0重量%以上であることを特徴とする請求項1記載のリ
サイクルポリエステル繊維。
【0009】その第3は上記1および2記載のリサイク
ルポリエステル繊維を用いてなるリサイクルポリエステ
ル繊維製品。
【0010】以下本発明について詳細に説明する。本発
明における回収ポリエステルとは、主に食用液体用のボ
トルを原料とする回収ポリエステルを対象としている。
一般のボトル用ポリエステルは耐久強度の要求から、一
般衣料繊維用樹脂に比べ、重合度が高く繊維に再生する
ときに加熱溶融しても衣料用繊維として要求される重合
度を十分維持できることからボトル用ポリエステルを用
いることが有利である。
【0011】繊維性能を維持し、工業的生産を可能にす
るためには、ポリエステル以外の不純物を多くとも5重
量%含有してなることが必須であり(理想的には0重量
%にすることが最も望ましく)、分別して回収されたポ
リエステルボトルを原料とする必要がある。しかしなが
ら、食用液体用のボトルは加熱滅菌された液体を封入す
るため、ボトル口栓部分にはある程度の耐熱性が要求さ
れる。このため、ポリエステルボトルの口栓部分は異素
材を用いることが多く、ポリエステルボトルを原料とす
る以上、これらの異素材を除去することは困難である。
さらに、ボトルには金属性のキャップが使用されている
ものもあり、分別されずに回収された場合に、フレーク
中に混入することもある。しかしながら、回収ポリエス
テルをチップ化する際にフィルターを通すことでこれら
の異素材の量は5重量%以下することが可能であり、さ
らにその製糸方法を工夫すれば衣料用繊維としては十分
に要求性能は満足される。
【0012】
【発明の実施形態】本発明の回収ポリエステルとしては
有機および/または無機不純物を多くとも5重量%含有
する食用液体用ポリエステルボトルの回収品を原料とし
て用いている。
【0013】ここで言う有機不純物とは、ポリアミド、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポ
リ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、スチレンブタジエンゴ
ム、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンおよびこれ
らの熱分解物さらには副生成物であり、無機不純物とは
Si、Ca、Na、Fe、Al、Sb、Co、K、C
r、Ti等の元素を含む無機物である。
【0014】本発明においては、該有機および/または
無機不純物が主成分であるポリエステルに対して5重量
%を超えたものは紡糸時のノズ背圧上昇が著しく、さら
に紡糸フィルターの孔サイズを大きくして背圧上昇を抑
制すると紡糸や延伸工程での糸切れが多発し、衣料用繊
維として製糸困難であり、本発明に使用することができ
ない。
【0015】さらに、製品中のポリエステルフィラメン
トは破断伸度が10〜60%であることが必要であり、
10%未満では製編織工程で糸切れが生じ易く好ましく
ない。逆に60%を超えるものであると、後工程通過時
の張力により容易に糸が伸びてしまい、実用性に欠け
る。より好ましくは20〜50%である。
【0016】本発明における回収ポリエステルを含有す
るポリエステルフィラメントの数平均分子量の最大値と
最小値の差が4000〜13000であることが好まし
く、この範囲に制御することにより製造工程上問題とな
らない範囲でフィラメント間およびフィラメント内に分
子配向分布が生じる。
【0017】該範囲は本来、製品の染め斑発生につなが
る可能性のある領域であるが、低コストで地球環境に優
しい回収PET繊維製品を提供するという目的をアピー
ルすれば、消費者に十分受け入れられる程度の斑であ
り、製品によっては天然繊維調の自然な斑感と判断する
こともできる。したがって、4000未満では糸の物性
が均一なものとなり、できた製品も従来のものと何ら変
わりなく、回収ポリエステル繊維特有の自然なムラ感が
出ないだけでなく、原料である回収PET製品を再チッ
プ化する再にメッシュの細かいフィルターによる濾過工
程が必要となり、コストアップとなるばかりか、生産性
も低下してしまう。一方、13000を超えると糸物性
のバラツキが大きくなり、製品としたときに染斑が大き
くなり問題となる。さらに好ましくは5000〜260
00である。
【0018】本発明における回収ポリエステルを含有す
るポリエステルフィラメントのST10は3.0〜4.0
g/d であることが好ましく、3.0g/d 未満であると、
配向が不十分であるため製編織時に機械的に引き伸ばさ
れ易く、その部分だけが淡染化し製品として問題となっ
てしまう。逆に、4.0g/d を超えると配向度が高く染
色性が低下してしまう。より好ましくは3.1〜3.8
g/d である。
【0019】また、該回収ポリエステルを含有するポリ
エステルフィラメントのST10のバラツキ度合いを示す
σst10が0.05〜0.35g/d であることが必要であ
り、前述のΔMnと同じくこの範囲に制御することによ
りフィラメント間およびフィラメント内に適度な分子配
向分布が生じ、製品として問題とならない程度の自然な
ムラ感を呈するものとなる。したがって、0.05g/d
未満であると分子配向分布が少なく、製品とした時に自
然なムラ感を呈しない。逆に0.35g/d を超えると分
子配向分布が大きくなりすぎ、ムラが強く出てしまい製
品として問題となる。より好ましくは0.06〜0.3
0g/d である。
【0020】また、原料となるポリエステルの30重量
%以上は回収されたポリエステルであることが必要であ
り、30重量%未満であると再利用の効率が低下し、本
発明の目的を達し得ない。
【0021】本発明によると、回収ポリエステルを積極
的に利用することにより、地球環境に配慮すると共に、
従来なら製品欠点の原因となる広い分子量分布を逆に利
用することにより自然なムラ感を呈するポリエステル繊
維製品を経済的かつ効率的に得ることができる。
【0022】また、回収ポリエステルを用いて紡糸、延
伸された糸の断面形状は丸断面だけでなく三角断面、中
空断面あるいはその他の異形断面としても構わない。さ
らには、使用するポリマー中には抗菌性、難燃性、吸湿
性、吸水性等の機能性を有する種々の機能剤および共重
合物さらには艶消し剤や顔料等が複数含有されていても
構わない。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。な
お、本発明の評価における測定値は以下の方法で測定し
た。
【0024】(有機不純物含有量) 赤外吸収スペクト
ル法により成分分析を行い有機不純物を同定すると共に
核磁気共鳴法(1 H−NMR)により含有量を測定し
た。
【0025】(無機不純物含有量)X線マイクロアナラ
イザー(堀場製EMAX−2770)を用いて無機元素
分析を行った。
【0026】(製糸操業性)製糸操業性の評価は操業が
困難なものを×、操業可能だが糸切れが多いものを△、
操業に問題ないものを○として判定した。
【0027】(数平均分子量;Mn)製品中の30ヶ所
から糸を取り出し、m−クレゾール/クロロベンゼン=
50/50の溶媒に安定剤として安息香酸を0.25重
量%加えて混合したものをキャリア−とし、取り出した
試料をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に
それぞれ溶解した後、該キャリアーを加え、GPC(W
ARTERS Model 150C)を使用してポリ
スチレン換算でMnを測定した。得られたMnの最大値
と最小値の差をΔMnと定義した。
【0028】(破断伸度;DE、10%伸長時応力;S
T10)製品中の30ヶ所から糸を取り出し、小型テン
シロンを用いて破断伸度(DE)および10%伸長時の
応力(ST10)を測定した。なお、ST10のバラツ
キは得られた30ヶ所のデータを母集団の標本とみなし
て次式より計算した。 √nΣST102 − (ΣST10)2 / √n(n-1)
【0029】(繊維内染斑判定;DYU)筒編地を作製
し、分散染料(blue)で染色した後、グレースケール基
準にて染斑の最も少ないものを1級、最も多いものを4
級として4段階で判定した。
【0030】(布帛の表面感)布帛の表面感は、後加工
の経験の長い3名の技術者により天然繊維に近い自然表
面感のものから順に○、△、×の判定を行った。
【0031】(実施例1)回収されたポリエチレンテレ
フタレート製食用液体用ボトルをフレーク状に粉砕し、
溶融した後、フィルターを通過させチップ化したポリマ
ーを衣料用ポリエチレンテレフタレートに対して50重
量%混合したものを乾燥後、溶融押出紡糸機を使用し
て、0.4mmの孔径を有する吐出孔を持つ紡糸口金か
ら紡糸温度280℃、引取り速度3000m/分で溶融紡
糸し、引き続き80℃に加熱されたホットローラーおよ
び120℃に加熱されたホットプレートを通過させ1.
69倍の延伸倍率で延伸して75デニール24フィラメ
ント延伸糸を得た。得られた延伸糸を筒編地にして15
0℃、3分の乾熱リラックスを行い、精練、染色の後フ
ァイナルセットして仕上げ布を得た。天然繊維製品に似
た自然な表面感を有する布帛であった。
【0032】(実施例2)回収されたポリエチレンテレ
フタレート製食用液体用ボトルをフレーク状に粉砕し、
溶融した後、フィルターを通過させチップ化したポリマ
ーを衣料用ポリエチレンテレフタレートに対して70重
量%混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして
仕上げ布を得た。天然繊維製品に似た自然な表面感を有
する布帛であった。
【0033】(実施例3)回収されたポリエチレンテレ
フタレート製食用液体用ボトルをフレーク状に粉砕し、
溶融した後、フィルターを通過させチップ化したポリマ
ーのみを用いた以外は実施例1と同様にして仕上げ布を
得た。天然繊維製品に似た自然な表面感を有する布帛で
あった。
【0034】(実施例4)回収されたポリエチレンテレ
フタレート製食用液体用ボトルをフレーク状に粉砕し、
溶融した後、フィルターを通過させチップ化したポリマ
ーを衣料用ポリエチレンテレフタレートに対して30重
量%混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして
仕上げ布を得た。
【0035】(比較例1)延伸倍率を2.15とした以
外は実施例2と全く同法にて布帛を得た。延伸工程およ
び製織時における糸切れが多く、操業性に劣るものであ
った。
【0036】(比較例2)延伸倍率を1.25とした以
外は実施例2と全く同法にて布帛を得た。得られた布帛
は染め斑が多く、スナッグも多く発生した。
【0037】(比較例3)紡糸時の引き取り速度を15
00m/分とし、延伸倍率を2.89とした以外は実施
例2と全く同法にて布帛を得た。延伸工程での糸切れが
多発し操業困難であった。
【0038】(比較例4)回収されたポリエチレンテレ
フタレート製食用液体用ボトルをフレーク状に粉砕し、
溶融した後、フィルターを通過させずにチップ化したポ
リマーのみを用いた以外は実施例3と同様にして仕上げ
布を得た。紡糸時のノズル背圧上昇が大きく、糸切れも
多発した。さらに延伸工程、製織工程でも糸切れが多く
操業困難であった。
【0039】(比較例5)回収されたポリエチレンテレ
フタレート製食用液体用ボトルをフレーク状に粉砕し、
溶融した後、フィルターを通過させチップ化したポリマ
ーを衣料用ポリエチレンテレフタレートに対して30重
量%混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして
仕上げ布を得た。
【0040】(比較例6)衣料用ポリエチレンテレフタ
レートもにを原料として使用した以外は実施例1と全く
同様にして仕上げ布を得た。既存のポリエステル製品と
何ら変わらない布帛であった。
【0041】尚、実施例、比較例における実験条件並び
に評価の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として回収されたポリエステルを出発
    原料に用いて紡糸延伸したポリエステルフィラメントで
    あり、多くとも5重量%の有機および/または無機不純
    物を含有しており、且つ、下記の特性値を満足すること
    を特徴とする回収ポリエステルフィラメント。 10≦DE(%) ≦60 4000≦ΔMn≦13000 3.0≦ST10(g/d )≦3.9 0.05≦σST10(g/d )≦0.35 (ここで、DEは破断伸度を、ΔMnは数平均分子量の
    最大値と最小値の差を、ST10は10%伸長時の応力
    を、σST10はST10の標準偏差をそれぞれ表す。)
  2. 【請求項2】 回収ポリエステルの含有量が30重量%
    以上である請求項1記載の回収ポリエステルフィラメン
    ト。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の回収ポリエステ
    ルフィラメントを用いてなるポリエステル繊維製品。
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