JP2000215533A - 光磁気記録媒体とこれを用いた光磁気記録再生方法、及び光磁気記録再生装置 - Google Patents

光磁気記録媒体とこれを用いた光磁気記録再生方法、及び光磁気記録再生装置

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JP2000215533A
JP2000215533A JP11018207A JP1820799A JP2000215533A JP 2000215533 A JP2000215533 A JP 2000215533A JP 11018207 A JP11018207 A JP 11018207A JP 1820799 A JP1820799 A JP 1820799A JP 2000215533 A JP2000215533 A JP 2000215533A
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Katsutaro Ichihara
勝太郎 市原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度化、高速化した光磁気記録媒体、光磁
気記録再生方法、光磁気記録再生装置を提供する。 【解決手段】 記録層、光導電層、磁石層を積層した媒
体記録部に光照射して光導電膜中に生成した伝導電子を
介して記録層と磁石層を交換結合状態にして記録層の磁
化を磁石層の磁化に揃えて記録を行い、記録層の磁化を
再生層に転写・拡大して再生する。記録にフォトンモー
ドプロセスを用いているので記録転送速度が速く、記録
マークサイズを小さく出来かつ高分解能に再生出来るの
で、高密度化が実現出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ビームを照射して
情報の記録再生を行う光磁気記録再生技術に関する。
【0002】
【従来の技術】膜面に対して垂直な方向に磁化容易軸を
有する磁性膜に光ビームを照射して加熱し、加熱部の保
磁力を低下して、保磁力が低下した部分に磁界を印加
し、磁化の向きを印加磁界の向きに揃えて、情報の記録
・消去を行い、磁化の向きに応じたカー回転を利用して
情報の再生を行う光磁気記録再生方法は、音楽用ミニデ
ィスク、パソコン用バックアップファイル等に実用化さ
れており、今後も情報量の増大に伴い大容量化、高転送
速度化が期待されている。光磁気記録の記憶容量即ち記
録密度は、光源の波長、焦点レンズのNAで主に規定さ
れ、記録マークのサイズ(最短ビット長相当のマーク長
もしくはトラックピッチに相当するマーク幅)は、焦点
位置におけるレーザスポットの全半値幅(FWHM)程
度の大きさになる。基本的にはこのFWHMが最短マー
ク長、最短スペース(マーク間)長、トラックピッチを
規定するので、波長とNAが決まれば記録密度はほぼ決
定される。この波長限界を打破する技術として、磁界変
調記録によるFWHMよりも短いマークとスペースの記
録、磁気的超解像再生(MSR)による狭ピッチマーク
列の低符号間干渉再生、磁区拡大再生(MAMMOS)
による微細マークの高C/N再生が提案されている。磁
界変調記録は外部磁界を情報変調し記録ビームはDC的
もしくは単一周波数でパルス的に照射する。記録光スポ
ットが記録トラック上のある位置に居る時に例えば下向
きに記録飽和磁界以上の大きさの磁界が印加されている
と、その瞬間にスポットのFWHM相当の範囲の記録層
の磁化は下向きに磁化する。スポットが媒体に対して例
えばFWHMの半分移動した時に、上向きに記録飽和磁
界以上の大きさの磁界が印加されていると、その瞬間に
スポットのFWHM相当の範囲の記録層の磁化は上向き
に磁化する事になるので、前に下向きに磁化したFWH
M相当の磁化の半分は上向きに磁化され、結果的にFW
HMよりも短いマーク、スペースの記録が可能となるの
が磁界変調記録の利点である。磁界変調記録によりFW
HM相当の長さよりも狭ピッチでマークを記録する事は
出来るが、これを単にe−2径がFWHMの倍程度の領
域に跨るガウス形のスポット(通常記録と同一のスポッ
トが用いられる)で再生すると符号間干渉が大きく実用
的なC/Nが得られにくい。そこで例えばJoint−
MORIS/ISOM97テクニカルダイジェストの
p.70,p.78,p.80,p.174,p.25
4等に開示されているMSR再生、もしくは例えばJo
int−MORIS/ISOM97テクニカルダイジェ
ストのp.36,p.42,p.262又はH10電気
学会全国大会予稿S.10−6に開示されているMAM
MOS再生技術が提案されている。MSR,MAMMO
Sとも細かく分類すると各種の方法に分類されるが、基
本的にはMSRは、複数の磁性層間(最も簡単には記録
層と再生層間)の交換相互作用もしくは静磁的相互作用
を利用して、記録層の磁化の一部のみを再生層に転写、
転写部以外の領域はマスクをかけて再生分解能を上げる
技術であり、MAMMOSはやはり複数の磁性層間(最
も簡単には記録層と再生層間)の交換相互作用もしくは
静磁的相互作用を利用して、記録層の磁化の一部のみを
再生層に転写、転写した磁区を磁壁移動力、もしくは核
生成力を利用して拡大し再生C/Nを向上する技術であ
る。
【0003】上記した従来技術によればマークピッチを
スポットのFWHM長よりも短く出来るので、波長限界
以上の高密度記録再生が可能であるが、磁界変調記録は
高速データ転送の要求を満たす上では、外部磁界を記録
膜から数ミクロン程度の近接した位置に設けなければな
らないので、基本的には貼り合せディスクが使用出来ず
ディスクとしての容量はそれほど向上しない。又、磁界
源の消費電力、ディスクチルト時の磁界源とディスクと
の接触などの課題も有している。又、マーク長、スペー
ス長を短く出来るが、マーク幅はFWHM相当なのでト
ラックピッチを詰める効果は無い。
【0004】又、MSR,MAMMOSは最も簡単な構
成においても、記録磁性層以外に再生磁性層を必要とす
るので、記録磁性層が一層で構わない磁界変調記録で
は、二層磁性層の比較的簡単な構成で実施出来るが、記
録磁性層の多層化が必要な(オーバライト可能な)光変
調記録に適用しようとする場合、Joint−MORI
S/ISOM97テクニカルダイジェストのp.174
に開示されている様に、磁性層数だけで六層、干渉層、
反射層を合わせると十層もの複雑な媒体構成を必要とし
て、実用的では無い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は掲記した従来
技術の課題を解決する為のもので、磁界変調記録とMS
R,MAMMOS再生の組合せと同等の簡単な層構成
で、磁界変調記録同様にマークピッチを詰める事が可能
な上にトラックピッチをも詰める事が可能な、光変調記
録と高分解能再生を両立する光磁気記録媒体、それを用
いた記録再生方法及び記録再生装置を提供する事をその
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
実現する手段として、光ビーム入射側から、再生磁性
層、記録磁性層、光導電層、磁石層の順に積層してなる
事を特徴とする光磁気記録媒体、前記した記録磁性層と
光導電層の間、光導電層と磁石層の間から選ばれた少な
くも一つの界面に導電層が設けられている事を特徴とす
る前記の光磁気記録媒体、磁石層はメモリ保持温度にお
いて、膜面に対して垂直な方向に一様に同じ向きに磁化
されている事を特徴とする前記の光磁気記録媒体、再生
磁性層はメモリ保持温度において、面内に磁化されてい
る事を特徴とする前記の光磁気記録媒体、及び上記した
媒体に記録パワーレベルの光ビームを照射して、照射部
の光導電層を導電性にスイッチングし、伝導電子を介し
記録磁性層と磁石層を交換結合状態にして、磁石層の磁
化の向きに記録磁性層の磁化の向きを揃えて記録を行
い、再生パワーレベルの光ビームを照射して、照射部の
記録磁性層の磁化を再生磁性層に転写して再生を行う事
を特徴とする光磁気記録再生方法、再生磁性層に転写さ
れた磁区を拡大して再生する事を特徴とする前記の光磁
気記録再生方法、消去パワーレベルの光ビームを照射し
て、記録磁性層に対し、記録時に印加される交換磁界の
向きとは逆向きの磁界を印加して、消去動作を行う事を
特徴とする前記の光磁気記録再生方法、及び前記の光磁
気記録媒体に記録パワーレベルの光ビームを照射して、
照射部の光導電層を導電性にスイッチングし、伝導電子
を介し記録磁性層と磁石層を交換結合状態にして、磁石
層の磁化の向きに記録磁性層の磁化の向きを揃えて記録
を行い、再生パワーレベルの光ビームを照射して、照射
部の記録磁性層の磁化を再生磁性層に転写して再生を行
う事を特徴とする光磁気記録再生装置を提供するもので
ある。
【0007】本発明の光磁気記録媒体の記録原理は従来
技術とは本質的に異なり、従来が、記録光照射による記
録磁性層の加熱→記録層の保磁力の低下→保磁力低下部
の記録層の磁化の向きを印加磁界の向きに揃える、とい
う一連のヒートモードプロセスに従っていたものを、本
発明は、記録光照射→スポット中央部の光導電膜の光励
起による導電化→伝導電子を介した記録磁性層と磁石層
の交換結合→記録層の磁化の向きが磁石層のそれに揃
う、という一連のフォトンモードプロセスに従う記録原
理を用いる。記録光照射部の記録層の保磁力の低下はヒ
ートモードで齎されるという部分はヒートモードなの
で、正確にはフオトンモード・ヒートモードのハイブリ
ッドプロセスという事が出来る。
【0008】磁石層自体は記録過程で磁化反転せず、記
録層に交換磁界を供給するだけである。記録するマーク
の位置が決まっている例えばマークポジション記録方式
を採用する場合には、磁石層の磁化の向きはマークを記
録すべき位置のみで、記録層の初期磁化(初期を消去向
きに設定する場合)とは逆向きに設定されていれば良い
が、より記録密度が高いマークエッジ記録を行う場合に
は、記録マーク位置は特定出来ないので、磁石層はメモ
リ保持温度(一般的には室温付近)で膜面に垂直に一様
に同向きの磁化を有しているのが好ましい。
【0009】初期状態としては例えば記録磁性層の磁化
の向きと磁石層のそれを逆向きにする。この様な初期状
態は記録層と磁石層の室温保磁力を異ならせておけば、
例えば室温で保磁力の大きい方の層の保磁力以上の磁界
を印加して、両層の磁化の向きを同一に揃えた後に、保
磁力の大きい方の層の保磁力未満で保磁力の小さい方の
層の保磁力以上の磁界を最初とは逆向きに印加すれば良
い。両層の室温での保磁力が緊切している場合は記録パ
ワーレベルの光ビームをDC的に照射して、外部から記
録層と磁石層の交換力以上の磁界を交換磁界とは逆向き
に印加すれか、後述する磁石層から記録層に印加する漏
洩磁界を用いれば良い。
【0010】記録プロセスではスポット中央部の光導電
膜中に伝導電子が十分に生成される程度のパワーレベル
の光を照射する。伝導電子が十分に生成され交換力が記
録層の保磁力を上回った部分の記録層の磁化が磁石層の
それに揃う。交換力の大きさは、光導電膜の光導電特性
の他に、両磁性層の選び方で制御可能な界面磁壁エネル
ギー、記録層の磁化・膜厚に依存し、記録部の保磁力の
大きさはき録層の熱磁気特性に依存するので、記録パワ
ーレベルの選び方も含めて適正な設定を行うと、スポッ
トのFWHMよりも微細なマークを記録する事が出来
る。しかもマークサイズは原理的にスポット中央部の光
導電膜中に十分な数の伝導電子が生成された箇所に相当
するので、従来の磁界変調記録とは異なり、マーク長・
スペース長が狭く出来るに止まらず、マーク幅も狭く出
来るのでトラックピッチを詰める事が可能である。
【0011】微細マークの再生はMSRもしくはMAM
MOS技術によって再生する事が可能である。MSR再
生方式としては、再生スポットの一部に磁気的な光学開
口を有するもので有れば何でも良く、RAD(Rear
−Aperture−Detection),FAD
(Front−Aperture−Detectio
n),CAD(Central−Aperture−D
etection)のいづれも適用可能であり、又、記
録磁性層と再生磁性層間は交換結合されていても、そう
で無く静磁的に結合されているだけでも良い。MAMM
OS再生もH10電気学会全国大会予稿S.10−6中
に開示されている種々の方式が適用可能である。本発明
の実施に最低限必要な磁性層の数は三層であり、例えば
従来の光変調オーバライト可能なMSR媒体に比較する
と格段に簡単な構成である。
【0012】本発明に用いる事の出来る記録磁性層材料
は、従来の光磁気記録に用いられている希土類(RE:
Gd,Tb,Dy,Nd等)−遷移金属(TM:Fe,
Co等)合金系薄膜、Co/Pt,Co/Pd等の多層
人工格子系薄膜、PtMnSbに代表されるホイッスラ
ー合金系薄膜、Baフェライトに代表さつれる酸化物磁
性体等の中から自由に選択する事が出来、代表的にはT
bFeCo薄膜等が選択される。光導電層としては、動
作レーザエネルギーよりも光学ギャップが狭い材料で有
れば何でも良く、Si,Ge,InGaP,CdSe,
ZnTe,GaN,GaAs,ZnSe,ZnO,Al
As,AlSb,Si−C等から自由に選択出来る。
又、光学ギャップ中の不純物準位への励起、もしくは不
純物準位を介したマルチフォトン励起により伝導電子を
生成する場合は光学ギャップが動作レーザエネルギーよ
りも高くても構わない。代表的には非晶質Si等が選択
される。磁石層としては、記録層よりもキューリー点が
高い磁性層ならば何でも良く、後述の光変調オーバライ
ト記録において記録層へ大きな漏洩磁界を供給する上で
は、磁化の温度変化が大きい膜材料が良い。具体的には
記録層よりもキューリー点の高いRE−TM薄膜、多層
人工格子、ホイッスラー合金、Co−Pt合金膜の他
に、磁気記録に使用されているCo−Cr系薄膜等を用
いる事が出来る。再生磁性層はMSR効果もしくはMA
MMOS効果を有するもので有れば何でも良いが、垂直
磁気異方性が記録磁性層よりも小さいRE−TM膜、例
えばGd−FeCo膜が好適である。後述する光変調オ
ーバライト動作を平易にする為には、室温で面内磁化、
再生温度で垂直磁化、記録温度付近でも垂直磁化の膜を
用いて、再生層と記録層の間に比較的キューリー点に低
いゲート層を配するのが好ましい。
【0013】前記した記録磁性層と光導電層、もしくは
光導電層と磁石層は直接積層されていても構わないが、
一般的に半導体膜特にSi,Ge系と磁性体膜とは反応
してシリサイド等の界面層を形成して、記録層と磁石層
の伝導電子を介する交換結合を損ねる場合が有るので、
好ましくは記録層と光導電層の界面と光導電層と磁石層
の界面には導電性のバリア層を設けるのが良い。バリア
層材料は、磁性体とも半導体とも反応し難い導電性材料
であれば何でも良いが、TiN,ITO等の化合物系導
電膜を用いるのが好ましい。導電性バリア層は、磁性層
として酸化物磁性体を用いる場合、もしくは光導電層と
して酸化物を用いる場合には特に設ける必要は無い。
【0014】以上に概説した光磁気記録媒体を使用して
本発明の光磁気記録再生方法は、基本的には、記録パワ
ーレベルの光ビームを照射して、照射部の光導電層を導
電性にスイッチングし、伝導電子を介し記録磁性層と磁
石層を交換結合状態にして、磁石層の磁化の向きに記録
磁性層の磁化の向きを揃えて記録を行い、再生パワーレ
ベルの光ビームを照射して、照射部の記録磁性層の磁化
を再生磁性層に転写してMSRもしくはMAMMOS再
生を行うが、再生磁性層に転写された磁区を拡大して再
生するMAMMOS再生がより微細なマークでも高いC
/Nを得る上では好ましく、さらに好ましくは、消去パ
ワーレベルの光ビームを照射して、記録磁性層に対し、
記録時に印加される交換磁界の向きとは逆向きの磁界を
印加して消去動作を行う、光変調オーバライト動作を行
うのが良い。消去パワーレベルの光を照射して記録層に
記録時の交換磁界の向きとは逆向きの磁界を印加する方
法には幾つかが挙げられる。最も簡単にはDC外部磁界
の印加であり、パワーレベルが異なると交換磁界の大き
さが異なる事を利用する。即ち消去パワーレベルとして
記録パワーレベル照射時よりも交換磁界が小さいパワー
を選び、外部磁界として交換磁界とは向きが逆で、記録
時の交換磁界よりも小さく消去時の交換磁界よりも大き
な磁界を用いれば良い。
【0015】外部磁界以外に媒体を構成する各磁性層か
らの漏洩磁界を利用すると光変調オーバライトがしやす
くなる。磁石層の熱磁気特性の選び方にも依存するが、
磁石層の磁化の大きさが室温から高温側に向けて低下す
る様に選べば、磁石層から記録層に印加する漏洩磁界は
磁石層の磁化の向きとは逆向き即ち消去向きになるので
オーバライトしやすくなる。磁石層としてRE−TM膜
を選べば、REとTMの副格子磁化の向きはそのままで
ネットの磁化の向きを補償点以上で逆転出来るので、よ
り大きな漏洩磁界を発生する事が出来る。漏洩磁界の大
きさは磁石層の膜厚でも調整可能である。
【0016】磁石層の漏洩磁界以外に、前記した様に、
再生磁性層から発生する漏洩磁界の利用も可能である。
例えば再生層に室温で面内磁化、加熱で垂直磁化になる
膜を選び、再生層と記録層の間に比較的キューリー点の
低いゲート層を挿入し、層間を交換結合させておく。再
生時はゲート層はキューリー点未満とすると、記録層の
磁化の向きに先ずゲート層の磁化が揃い、これが再生層
に転写されて、MSR再生もしくはMAMMOS再生を
実現する。消去時は再生よりも高いパワーレベルを選び
ゲート層をキューリー点以上に加熱する。ゲート層がキ
ューリー点以上に加熱されている部分では再生層と記録
層の間には交換力作用しない。外部から補助的に比較的
小さな外部磁界を消去向きに印加しておくと、再生層の
磁化の向きは消去時にはき録層の磁化の向きの如何に関
わらず消去向きを向く。この磁化の空間分布に起因して
記録層に消去向きの漏洩磁界を印加して光変調オーバラ
イト記録を実現しやすくする。記録パワーレベルとして
消去パワーレベルよりも高いパワーを選べば記録時には
再生層もキューリー点以上に加熱する事が出来るので、
消去時には消去向きの漏洩磁界を発生するが、記録時に
は消去向きの磁界を発生させずに記録も同時に行いやす
くするといった工夫も出来る。
【0017】本発明の光磁気記録媒体は、上記した光変
調オーバライト動作を適用するのが好ましいが、磁界変
調オーバライト動作を適用する事も可能である。通常の
磁界変調記録では外部磁界は零レベルを中心にプラスマ
イナス対象に振るが、本発明に磁界変調記録を適用する
際には、記録向き磁界はあくまでも記録層と磁石層間の
交換磁界とするので、記録向きには外部磁界は印加する
必要が無い(補助的に印加しても良いが記録向き磁界の
主成分は交換磁界とする)。消去向き磁界を交換磁界と
逆向きで交換磁界よりも大きく設定するやり方を採用す
るのが良い。
【0018】本発明の光磁気記録再生装置は、前記した
本発明の光磁気記録媒体を搭載して、上記した光磁気記
記録再生方法を実現する装置である。光変調記録装置で
有る事が好ましく、少なくもオーバライト記録で無い場
合(記録時と消去時で外部磁界が異なる場合)には、消
去時の外部磁石は記録層と磁石層の間の交換磁界の向き
とは逆向きに印加される。オーバライト記録装置として
少なくも記録、消去、再生の三つの異なるパワーレベル
を具備している場合が装置として好ましいが、この場合
には媒体内部の漏洩磁界の大きさと向きに応じて外部磁
界の向きと大きさが決定される。外部磁界は無くても良
いが、有る場合でも媒体との間の距離は数mm程度離し
て配置され、貼り合せディスクの使用を可能とする。記
録パワーレベルと消去パワーレベルの大小関係は、記録
層と磁石層の間に作用する交換磁界の大きさと、各層の
漏洩磁界の温度特性で決定される。本発明は記録原理的
に高速のフォトンモードプロセスを主とし、再生も高速
の磁気転写、もしくは磁気的拡大を用いるので、ディス
ク回転速度は速い方が良い。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を実施例を用いて説明する。 [実施例1]図1は本発明の光磁気記録媒体の一実施例
の断面構成図であり基本構成に対応する。図1におい
て、11は再生磁性層、12は記録磁性層、13は光導
電層、14は磁石層、15は基板、16は第一干渉層、
17は中間層、18は保護層である。再生層、記録層、
光導電層、磁石層に使用可能な材料は前記した通りであ
るが、この実施例1では、再生層として膜厚30nmの
GdFe膜、記録層として膜厚60nmのTbFeCo
膜、光導電層として膜厚100nmのCuO膜(光学ギ
ャップ:2eV)、磁石層として膜厚50nmのGdT
bFeCo膜を各々用いた。基板としては光ディスクと
して一般的に用いられるグルーブ(トラッキングガイド
用の溝)の設けられたポリカーボネイト基板を用いた。
クロストーク、クロスイレーズ等の特性を調べる目的で
トラックピッチは0.2μmから0.5μmの間で変え
た。この他、熱磁気特性、光導電性等を測定する為の石
英基板を適宜用いた。干渉層、中間層、保護層は本発明
自体の実施には必ずしも設ける必要は無いが、干渉層は
再生信号エンハンスメントの為、中間層は層間の磁気的
相互作用の制御と、再生層、記録層間の温度差制御の
為、保護層はその名の通りに媒体の酸化防止の為の機能
を有する。本実施例1では、干渉層として膜厚100n
mのSiN膜、中間層として膜厚15nmのSiN膜、
保護層としては膜厚100nmのSiN膜を各々使用し
た。図1の媒体の作成は例えば以下の手順で実施する事
が出来る。
【0020】基板は通常のマスタリングプロセスにより
原盤を作成した後、Ni電鋳プロセスでスタンパーを形
成、射出成形プロセスでポリカーボネイト基板を得る事
が出来る。トラックピッチの調整はマスタリングプロセ
スにおけるレーザパワー調整と波長調整で行った。基板
は多室スパッタリング装置のホルダーにセットし真空排
気後、各層の形成を順次実施した。各磁性層は磁性合金
ターゲットをArガス中でDCマグネトロンスパッタし
て得る事が出来、光導電層は本実施例ではCuOターゲ
ットをAr−O2混合ガス中でRFマグネトロンスパッ
タして得た。SiN膜はBドープSiターゲットをAr
−N2ガス中でDC反応性スパッタして得る事が出来
る。成膜後、保護膜上にUV硬化樹脂を接着層として塗
布しチルトを防止する為の対向基板(本発明の実施例で
は膜の付いていないダミー基板を用いた)を貼り合せ
た。その後、電磁石を用いて初期磁化方向の設定を行っ
た。各層の保磁力は元素及び組成の選び方で制御可能で
あり、後記する様に、本実施例では室温付近で再生層は
面内磁化、記録層は保磁力8kOeの垂直磁化、磁石層
は保磁力4kOeの垂直磁化に設定したので、初期化は
先ず膜面に垂直に図1で下向きに12kOeの磁界を印
加して記録層、磁石層共に磁化を下向きに向けた後、膜
面に垂直に上向きに6kOeの磁界を印加して、磁石層
の磁化の向きだけを上向きに揃えた。再生層は室温付近
では面内に磁化されているので、電磁石から取出した後
の磁化の向きは面内でランダムである。各磁性層の初期
磁化の向きは概略図1に示した。
【0021】上記に従って作成した本発明の図1の光磁
気記録媒体を以下の手順で評価した。先ず、図1を形成
したのと同一の条件で予め作成した石英基盤上のCuO
光導電膜を電極状にパターニングして波長488nm
(2.54eV)のArイオンレーザを照射して光導電
特性を調べた。CuO電極パターンに電圧を印加して光
の照射パワー(フォトン数:Np)を変えながら光電流
を調べ、光導電率(σ)を導出した。又、別途形成した
記録層、光導電層、磁石層を積層した試料に波長488
nm(2.54eV)のArイオンレーザを照射しなが
ら加熱し、VSMを用いて磁化曲線を調べ、記録層と磁
石層の間の交換磁界(Hexg)と記録層の保磁力を調
べた。照射パワーと媒体膜温度の関係はArイオンレー
ザを後述のディスク動作と同程度に集光照射した条件で
熱解析して換算した。これらの結果を図3に纏めて示
す。光導電率σはフォトン数Npの増加と共に増加し、
熱解析からは記録層のキューリー点(Tcw)付近では
高い一定値を示した。この様なσ−T(解析上の膜温
度)の元で、VSMの熱磁気特性から導出した交換磁界
Hexgと記録層の保磁力Hcwは膜温度に対して図3
の挙動を示す事が判った。煩雑を避ける為に図には示し
ていないが、光照射の無い場合にはHexgは全温度領
域に亘り零で有った。これは光導電膜がオフで伝導電子
が無い場合には、光導電膜は単純に非磁性中間層として
作用する為に、記録層と磁石層間には交換相互作用が働
かない為である。σを調べた場合と同等のパワーの光を
照射した場合には図3のHexgが得られた。σが小さ
い場合(熱解析上の換算温度が低い場合に相当)は、H
exgが作用しないが、σの増加に伴ってHexgは増
加し、Tcw付近でHexgがHcwを上回り、Tcw
ではHexg,Hcw共零になる。ここでHexgは交
換エネルギー(光導電膜が存在せずに記録層と磁石層が
直接積層されている場合には界面磁壁エネルギーに相
当)をEw、記録層の磁化をMsw、記録層の膜厚をd
wとすると、Hexg=Ew/(Msw×dw)で与え
られる。参考の為、光導電膜が無い記録層と磁石層を直
接積層した比較用試料のVSM温度測定から得られたH
exgを図3に併記した。σが大きな一定値に至った以
上のパワー領域でのHexgの振舞いはHexgに類似
し、σが小さい値を示す領域ではHexgはHexgよ
りも小さい値を示す事が判る。図3の特性から本発明の
記録原理が基本的に成立する事が証明された。
【0022】図4は図1の媒体に使用した再生層、記録
層、磁石層の熱磁気特性を示す図であり、図4[a]は
磁化(Ms)の温度特性、図4[b]は保磁力(Hc)
の温度特性である。磁化は垂直方向の磁化を意味し面内
磁化は零として示してある。図4において、Rが再生
層、Wが記録層、Pが磁石層を各々示し、Tcompは
補償点、Tcはキューリー点、各々の末尾の符号は再生
層、記録層、磁石層に対応している。本実施例で選択し
た磁性層は全てRE−TM膜であるが、RE−TM膜は
REの副格子磁化とTMの副格子磁化が逆向きを向くフ
ェリ磁性膜である。低温ではREの副格子磁化が優勢で
ネットの磁化(Ms)はRE磁化と同じ向きに揃い大き
さはRE磁化からTM磁化を差引いた大きさとなる。補
償点でRE磁化とTM磁化の大きさが一致して見掛け上
Msは零を示す。補償点よりも高い温度ではTM磁化が
優勢となり、MsはTM磁化と同じ向きに揃い大きさは
TM磁化からRE磁化を差引いたものとなる。キューリ
ー点ではRE磁化、TM磁化共消失する。補償点、キュ
ーリー点はRE元素とTM元素の選び方で制御可能であ
り、RE組成比が高い程補償点は高くなり、RE組成比
が非常に高いとRE優勢のまま補償点を示さずにキュー
リー点に至る組成範囲も存在する。キューリー点はRE
中ではGd>Tb>Dyの関係で、TM中ではCo>F
eの関係にある。HcはRE中でTb>Dy>Gdの関
係にある。Gdが多いと垂直磁気異方性が小さく(その
為Hcが小さい)、補償点付近のMsが小さくなる温度
範囲以外は反磁界の影響で膜は面内に磁化する。図3で
再生層の特性が補償点付近でしか書いていないのはその
為である(面内磁化から垂直磁化への遷移領域を細かい
破線で示した)。
【0023】図3,4を参照しながら本発明の記録再生
方法を説明する。記録過程は前述した様にフォトンモー
ド主体である。即ち記録光照射時にスポット中央部付近
のフォトン数の多い部分の光導電膜中に多量の伝導電子
が生成し、その部分の交換磁界Hexgが図3に示され
る様に記録層の保磁力Hcwを上回り、Hexgの他に
他の層から記録層に印加する漏洩磁界、必要に応じて印
加される外部磁界が有るが、Hexgがドミナントで磁
界のベクトル和(実効磁界)が図1の上向きで大きさが
Hcw以上である場合に記録層の磁化は上向きに揃う。
記録マークサイズは原理的に記録時に光導電膜のσが大
きくなる部分で決まるので、σに起因するHexg特性
とHcw特性で決定され、レーザスポットのFWHMよ
りも小さいサイズのマークが形成可能であり、結果とし
て高密度記録を実現する。
【0024】消去過程は記録時と消去時の外部磁界を変
える非オーバライトの実施態様では簡単で、単に消去時
は記録時よりも下向きに大きな外部磁界を印加して、記
録層がキューリー点付近に加熱されている領域に印加す
る実効磁界を下向きにしたやれば良い。非オーバライト
タイプでは、再生層、記録層、磁石層共にそれらの熱磁
気特性には自由度が高い。記録時も消去時も同一の外部
磁界を用いる光変調オーバライトの実施では、実効磁界
をパワーで制御する必要がある。この場合は特に記録層
に他の層から印加する漏洩磁界を利用する事になるの
で、記録層の特性に合わせて他の磁性層の熱磁気特性を
設計する必要がある。図4の特性では主に磁石層から発
生する漏洩磁界を利用する事が出来る。磁石層の磁化の
向きは室温では一様に同向きで膜の外部に漏洩磁界を供
給しないが、加熱によって磁化の空間分布を形成すると
膜外部に漏洩磁界を発生する。図1の様に上向きに磁化
されている磁石層をレーザ光で局所的に加熱すると、図
4の特性から加熱部の磁化Mspが周囲よりも低下し
て、Tcompp以上で見掛け上反転する。ここで注意
を要するのはMspの向きが見掛け上反転しただけでR
E,TM各々の磁化の向きは変っていないので、交換磁
界の向きは補償点前後で上向きのままである。このMs
pの空間分布に従って磁石層からは下向きに漏洩磁界が
発生して記録層に印加する。消去パワーレベルの設定に
は色々なバリエーションが挙げられるが、例えば実効磁
界のパワー変調を各層の温度差の利用で行う場合には、
消去パワーを記録パワーよりも高く設定する実施態様が
挙げられる。記録層は磁石層よりも光ビーム入射側に近
く、記録層と磁石層の間にある光導電層は熱的には温度
差形成層として作用するので、光照射による昇温過程と
最高温度到達時には、記録層温度を磁石層温度よりも高
く設定し、冷却過程では層間の熱拡散により記録層と磁
石層の温度をほぼ同一に出来る。そこで記録パワーを消
去パワーよりらも低く設定すると、記録時には、記録層
がTcw付近にいる時、磁石層はTcwよりも低く漏洩
磁界が小さい温度に有って、漏洩磁界よりも交換磁界が
ドミナントで記録層は上向きに磁化され、消去時には、
記録層がTcw付近にいる時(より高い温度から冷却し
てきた時)、磁石層はTcw付近の記録時よりも漏洩磁
界の大きな温度に有って、交換磁界よりも漏洩磁界ドミ
ナントで記録層は下向きに磁化される、事が可能とな
る。温度差の利用の他に記録層の磁化反転には有限な時
間を有する事を利用して、記録時と消去時で記録層がキ
ューリー点付近の磁化反転温度帯を通過する時間に差を
設けても光変調オーバライトが成立し得る。
【0025】次に図1と図4を参照しながら本発明の再
生過程を説明する。再生層は本実施例の様な室温付近で
面内磁化の膜を用いてもそうで無くても構わないが、こ
こでは面名磁化の場合を例示する。再生層はその補償点
TcompR付近のMsRが小さい温度帯で垂直に磁化
して、記録層の磁化に揃う。記録層と再生層が直接積層
されている場合には、キロ区層と再生層間には交換力が
作用するので、再生層が垂直磁化になる温度帯では再生
層の磁化は記録層からの交換磁界で記録層の磁化の向き
に揃い、図1に示した様に再生層と記録層間に非磁性層
が介在する場合には、記録層の磁化の分布に対応する漏
洩磁界が再生層に作用して再生層の磁化は漏洩磁界によ
ってやはり記録層の磁化に揃う。いづれの場合でも光を
照射していない部分は面内磁化でカー効果を原理とする
光磁気再生には寄与しないので、再生光照射部のみに記
録層の磁化が転写される。転写領域の大きさは再生層の
熱磁気特性と、記録層からの交換磁界あるいは漏洩磁界
に依存するが、転写領域をレーザスポットサイズよりも
小さく出来るので、本発明で記録した微小な記録マーク
を高分解能で再生出来る(MSR再生)。又、再生層と
して磁壁エネルギーが反磁界エネルギーよりも小さく、
又、磁壁移動速度の速い膜材料を用いると、記録層から
再生層に転写した微小なマークは再生層で拡大して高C
/N再生を実現する。
【0026】上記した記録再生プロセスをディスク動作
で検証し、本発明の効果を明確にする目的で実施例1の
ディスクを試作した実験用ドライブに設置して記録再生
動作を行った。実験用ドライブは光源としてArイオン
レーザを有するAOMモジュレータを使用する光変調記
録用の実験機であり、媒体面上でのスポットサイズは、
記録に関連するFWHMが0.38μm、再生に関連す
るe−2径が0.68μmである。
【0027】このスポットサイズを有する記録装置で
は、磁性層としてRE−TM記録層のみを有する通常の
光磁気記録媒体では、再生C/Nとして45dB以上の
値が得られる記録マーク長は0.35μm以上、トラッ
クピッチは0.46μm以上で、これよりも小さいマー
クの記録はパワーマージンが無く不安定であり、又、安
定したマークサイズが得られる記録パワーでマークピッ
チを上記した値よりも詰めると符号間干渉とクロストー
クの影響が大きくC/Nは著しく劣化した。又、当然の
事ながら従来の光磁気記録媒体を使用した際には光変調
オーバライトは出来ず、消去時は記録時とは逆向きに外
部磁界を印加して一括消去する必要が有った。さらに記
録データ転送速度は媒体の熱応答で制限される為、線速
を15m/s程度以上に高速化すると記録感度の低下と
熱干渉の影響によるC/Nの劣化を呈した。
【0028】一方で本発明の光磁気記録媒体では、再生
層として実施例1のGdFe−MSR膜を採用した場合
においても、再生C/Nとして45dBの値が得られる
記録マーク長は0.25μm、トラックピッチも0.2
5μmに短縮する事が出来た。再生層の組成比を調整し
て転写後に拡大再生(MAMMOS)が可能な様にする
と、C/N:45dBを示すマーク長とトラックピッチ
は共に0.2μmまで、さらに短縮する事が可能であ
る。これらの数値は線速:15m/s、光変調オーバラ
イトで得られた値である。さらに本発明の記録原理は高
速のフォトンモードプロセスがドミナントである事に起
因して、線速を30m/sまで増加させても良好な記録
感度と高いC/Nを得た。ここで、記録/消去/再生パ
ワーはC/N、消去率等を基準に最適化し、線速が15
m/sでは各々12/6/2mWであった。DC外部磁
界も最適化を行った結果、十分な消去比を得る上では図
1の下向き即ち消去向きに200Oe程度の磁界を印加
する必要が有った。 [実施例2]前記実施例では、比較的短波長で光導電性
を示すCuOを光導電膜に選び、波長488nmのAr
イオンレーザを用いた実験機で本発明の効果を検証した
例を述べたが、本実施例では波長650nmの赤色LD
での実用的な動作を試みた。図2に本実施例2に使用し
た光磁気記録媒体の構成を示す。図2において、21は
再生層、22は記録層、23は光導電層、24は磁石
層、25は基板、26は干渉層、27はゲート層、28
保護層、29は下部バリア層、210は上部バリア層で
ある。実施例1との構造上の差異は、非磁性中間層17
の代りに面内磁化のゲート層27を用いゲート層を介し
て記録層と再生層を交換結合させた点、光導電層と記録
層、及び磁石層との二つの界面にバリア層を使用した点
である。この実施例2では、再生層として膜厚25nm
のGdDyFeCo膜、記録層として膜厚60nmのT
bFeCo膜、光導電層として膜厚100nmの非晶質
Si膜(光学ギャップ:1.2eV)、磁石層として膜
厚50nmのGdTbFeCo膜、ゲート層として膜厚
10nmのGdDyFe膜、上部、下部バリア層として
各々膜厚10nmのTiN膜を用いた。
【0029】本実施例では光導電膜として長波長感応性
の非晶質Siを用いたので、バリア層が存在しない場合
は、Siと磁性層の界面にFeシリサイド層を形成し、
記録層と磁石層間に作用する交換磁界を低下させた(記
録層と磁石層が直接積層されている試料比)。バリア層
を設けた場合には特には交換磁界の低下は見られなかっ
た。バリア層としては導電性材料ならば何でも良いが、
半導体、磁性体に反応性の少ないものが好ましく、本実
施例で用いたTiNの他ITOが好適である。ITOを
用いた場合、ITOは光を通すので、下部バリア層を厚
くしても光導電膜の光導電特性を損なう事はない。
【0030】基板としては実施例1と同じグルーブ(ト
ラッキングガイド用の溝)の設けられたポリカーボネイ
ト基板を用いた。干渉層、保護層は実施例1と同一と
し、ディスク試料の形成も実施例1と同様にマグネトロ
ンスパッタリング法を採用した。波長650nmの光ビ
ームを照射して調べた光導電特性と、光導電時の記録層
と磁石層間に作用する交換磁界、記録層の保磁力の関係
は、図3に示されるのと同等の挙動を示した。
【0031】図5に再生層とゲート層の熱磁気特性を示
す。記録層と磁石層は実施例1と同様の特性を示した。
図5[a]が垂直方向の磁化Msの温度特性、図5
[b]が保磁力Hcの温度特性である。本実施例に使用
した再生層、ゲート層は共に室温Ta付近では面内に磁
化しており、加熱に伴って磁化が低下し垂直磁気異方性
が発現されて垂直磁化状態に移行する。実施例1に用い
た再生層は補償点付近でのみ垂直磁化だったが、本実施
例2に用いた再生層とゲート層は補償点からキューリー
点の間で垂直磁化を保持した。これらの特性の違いは再
生層に関しては実施例1の材料に実施例2ではDy,G
dを添加した事に起因して得られたものである。再生層
のキューリー点TcRは記録層のそれTcwに近い値に
設定し、ゲート層のキューリー点はTcwよりも低い値
に設定した。
【0032】記録再生プロセスの詳細は実施例1で述べ
たので、ここでは実施例1と異なる部分についてのみ記
述する。実施例1では消去動作において記録層に消去向
きの漏洩磁界を印加する膜は磁石層だけで有り、その為
十分な消去比を得る為には消去側に200Oeの外部磁
界を印加する必要が有った。この消去向きのが外部磁界
は光変調オーバライト動作においては記録時も印加され
続ける事になるので、実効的な記録磁界を低下させる作
用を持っていた。本実施例2では消去向きの漏洩磁界を
記録層に印加する膜は磁石層の他に再生層がある。基本
的には、再生層は再生パワーレベルではその補償点前後
の比較的Hcの低い温度に加熱され、ゲート層を介して
加熱部が記録層と交換結合して記録層中の微小記録磁区
を転写し拡大再生する作用を有する。再生層の付加的効
果は前記した記録層への漏洩磁界の生成である。消去パ
ワーレベルの光照射時に記録層がそのキューリー点付近
の磁化反転可能な温度帯にある時、再生層はやはりキュ
リー点付近で加熱領域の大半の部分は垂直磁化配向を為
す。一方ゲート層の加熱部はキューリー点以上に加熱さ
れているので記録層と再生層の間には交換磁界は作用し
ない。従って、再生層の加熱部の磁化は磁石層からの漏
洩磁界もしくは必要に応じて印加される比較的小さな下
向きの外部磁界の向きに揃う。再生層の磁化の空間分布
は冷却部は面内、加熱部は下向きとなるので、記録層に
対して下向き即ち消去向きの漏洩磁界を印加して消去プ
ロセスをアシストする。記録プロセスは消去プロセスと
はパワーが異なるので、各層間の温度差の昇温過程と冷
却過程での違い、記録層が磁化反転可能な温度帯を通過
する時間の違いなどを利用する事により、記録プロセス
では再生層から記録層に印加する消去向き磁界は消去プ
ロセスよりも小さく設定である。同様の事が磁石層から
の漏洩磁界にも言える事は実施例1中にも記述した。
【0033】上記した記録再生プロセスをディスク動作
で検証し、本発明の効果を明確にする目的で実施例2の
ディスクを光変調オーバライトモードの実験用光磁気ド
ライブに設置して記録再生動作を行った。光源は波長6
50nmのLDで、媒体面上でのスポットサイズは、記
録に関連するFWHMが0.5μm、再生に関連するe
−2径が0.9μmである。
【0034】このスポットサイズを有する記録装置で
は、磁性層としてRE−TM記録層のみを有する通常の
光磁気記録媒体では、再生C/Nとして45dB以上の
値が得られる記録マーク長は0.42μm以上、トラッ
クピッチは0.6μm以上で、これよりも小さいマーク
の記録はパワーマージンが無く不安定であり、又、安定
したマークサイズが得られる記録パワーでマークピッチ
を上記した値よりも詰めると符号間干渉とクロストーク
の影響が大きくC/Nは著しく劣化した。又、当然の事
ながら従来の光磁気記録媒体を使用した際には光変調オ
ーバライトは出来ず、消去時は記録時とは逆向きに外部
磁界を印加して一括消去する必要が有った。さらに記録
データ転送速度は媒体の熱応答で制限される為、線速を
15m/s程度以上に高速化すると記録感度の低下と熱
干渉の影響によるC/Nの劣化を呈した。
【0035】一方で本発明の光磁気記録媒体では、再生
C/Nとして45dBの値が得られる記録マーク長は
0.27μm、トラックピッチも0.27μmに短縮す
る事が出来た。これは実施例1で用いた波長488nm
に換算すると各々0.2μmとなり、実質的に本実施例
2の媒体は前記した実施例1の媒体よりも高密度記録が
可能であると言える。上記した数値は線速:15m/
s、光変調オーバライトで得られた値である。さらに本
発明の記録原理は高速のフォトンモードプロセスがドミ
ナントである事に起因して、線速を30m/sまで増加
させても良好な記録感度と高いC/Nを得た。ここで、
記録/消去/再生パワーはC/N、消去率等を基準に最
適化し、線速が15m/sでは各々12/6/2mWで
あった。DC外部磁界も最適化を行った結果、十分な消
去比を得る上では図1の下向き即ち消去向きに50−1
00Oe程度の磁界を印加するだけで十分であり、実施
例2では消去プロセスにおいて再生層から記録層へ消去
向きの漏洩磁界が印加されている事が立証された。
【0036】上記した実施例1,2では再生層として室
温で面内磁化の膜を用いた例を述べたが、再生層は室温
で垂直磁化でも構わず、又、再生層自身が実施例2に示
した様に磁性多層膜構造を為していても良い。磁性膜材
料、光導電膜材料、バリア膜材料、干渉膜材料、保護膜
材料も本発明の主旨を逸脱しない範囲で幅広く選択出来
る。本発明は基本的に、記録光照射によって光導電層中
に生成した伝導電子により、光導電膜の上下の少なくも
二つの磁性膜が交換相互作用を及ぼし合ってスポットサ
イズよりも小さな記録マークの形成が行われ、この小さ
な記録マークを記録層から再生層への磁化転写、もしく
は磁化転写と磁区拡大によって高分解能かつ高C/Nで
再生する光磁気記録媒体、光磁気記録再生方法、光磁気
記録再生装置を提供するものであり、実施例以外にも数
多くの変形例を挙げる事も可能である。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、光スポットサイズより
も小さな記録マーク列を高速に記録する事が出来、又、
微細記録マーク列を高分解能、高C/Nで再生出来るの
で、光磁気記録システムの記録面密度・記憶容量の格段
な向上とデータ転送速度の高速化が実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体の第一の実施例の断面
構成図。
【図2】本発明の光磁気記録媒体の第二の実施例の断面
構成図。
【図3】本発明の記録過程を説明する図。
【図4】本発明の光磁気記録媒体の第一の実施例に使用
される各層の熱磁気特性の一例。
【図5】本発明の光磁気記録媒体の第二の実施例に使用
される各層の熱磁気特性の一例。
【符号の説明】
11:再生層、 12:記録層、 13:光導電層、 14:磁石層、 15:基板、 16:干渉層、 17:非磁性中間層、 18:保護層、 21:再生層、 22:記録層、 23:光導電層、 24:磁石層、 25:基板、 26:干渉層、 27:ゲート層、 28:保護層、 29:下部バリア層、 210:上部バリア層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビーム入射側から、再生磁性層、記録
    磁性層、光導電層、磁石層の順に積層してなる事を特徴
    とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録磁性層と光導電層の間、光導電層と
    磁石層の間から選ばれた少なくも一つの界面に導電層が
    設けられている事を特徴とする請求項[1]に記載の光
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁石層はメモリ保持温度において、膜面
    に対して垂直な方向に一様に同じ向きに磁化されている
    事を特徴とする請求項[1],[2]に記載の光磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 再生磁性層はメモリ保持温度において、
    面内に磁化されている事を特徴とする請求項[1]、
    [2]、[3]のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項[1]、[2]、[3]、[4]
    のいずれかに記載された光磁気記録媒体に記録パワーレ
    ベルの光ビームを照射して、照射部の光導電層を導電性
    にスイッチングし、伝導電子を介し記録磁性層と磁石層
    を交換結合状態にして、磁石層の磁化の向きに記録磁性
    層の磁化の向きを揃えて記録を行い、前記光磁気記録媒
    体に再生パワーレベルの光ビームを照射して、照射部の
    記録磁性層の磁化を再生磁性層に転写して再生を行う事
    を特徴とする光磁気記録再生方法。
  6. 【請求項6】 再生磁性層に転写された磁区を拡大して
    再生する事を特徴とする請求項[5]に記載の光磁気記
    録再生方法。
  7. 【請求項7】 消去パワーレベルの光ビームを照射し
    て、記録磁性層に対し、記録時に印加される交換磁界の
    向きとは逆向きの磁界を印加して、消去動作を行う事を
    特徴とする請求項[5]、[6]のいずれかに記載の光
    磁気記録再生方法。
  8. 【請求項8】 請求項[1]、[2]、[3]、[4]
    のいずれかに記載された光磁気記録媒体に記録パワーレ
    ベルの光ビームを照射して、照射部の光導電層を導電性
    にスイッチングし、伝導電子を介し記録磁性層と磁石層
    を交換結合状態にして、磁石層の磁化の向きに記録磁性
    層の磁化の向きを揃えて記録を行い、前記光磁気記録媒
    体に再生パワーレベルの光ビームを照射して、照射部の
    記録磁性層の磁化を再生磁性層に転写して再生を行う事
    を特徴とする光磁気記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016181340A1 (en) * 2015-05-12 2016-11-17 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Magnetic-photoconductive material, magneto-optical data storage device, magneto-optical data storage system, and light-tunable microwave components comprising a photoconductive-ferromagnetic device

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016181340A1 (en) * 2015-05-12 2016-11-17 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Magnetic-photoconductive material, magneto-optical data storage device, magneto-optical data storage system, and light-tunable microwave components comprising a photoconductive-ferromagnetic device

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