JP2000220035A - 熱接着繊維およびクッション材 - Google Patents

熱接着繊維およびクッション材

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JP2000220035A JP11021609A JP2160999A JP2000220035A JP 2000220035 A JP2000220035 A JP 2000220035A JP 11021609 A JP11021609 A JP 11021609A JP 2160999 A JP2160999 A JP 2160999A JP 2000220035 A JP2000220035 A JP 2000220035A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両用などの高温度下に晒される機会の多い用
途に対し、高熱耐へたり性と快適性を有するクッション
材に用いられる熱接着繊維およびその熱接着繊維を用い
たクッション材を提供する。 【解決手段】融点130℃以上200℃以下の脂肪族ポ
リエステルが少なくとも繊維表面の一部に露出してなる
ことを特徴とする熱接着繊維であり、この熱接着繊維を
少なくとも一部に用いて70℃耐へたり性が70%以上
であるクッション材とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱接着繊維および
これを用いたクッション材に関し、詳しくは、本発明
は、特定融点範囲を有する脂肪族ポリエステルが少なく
とも繊維表面の一部に露出してなる熱接着繊維、および
その熱接着繊維を少なくとも一部に用いたクッション材
に関する。特に、本発明は、車両用などの高温度下に晒
される機会の多い用途に対し、高熱耐へたり性と快適性
を有するクッション材に好適に用いられる熱接着繊維お
よびその熱接着繊維を少なくとも一部に用いたクッショ
ン材に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでクッション材には主としてポリ
ウレタンフォームが使用されてきたが、リサイクルでき
ない点や通気性が悪く快適性の面でも問題があり、近年
ポリエステル繊維を主体とした繊維クッション材が提案
されている。
【0003】従来、繊維クッション材として、特開昭5
7−101018号公報、特開昭58−31150号公
報および特開平3−220354号公報等で、ポリエス
テル系の繊維を溶融接着させたクッション材が提案され
ているが、これらのクッション材は、非晶性の低融点接
着成分を接着剤に使うものであるために接着部分が脆
く、40℃以上の雰囲気での塑性変形が激しい。このた
め、例えば70℃条件下等での高熱耐へたり性が著しく
劣り、また残留歪みが低く、一般に車両用では使用不可
能なものであった。
【0004】また、車両用クッション材の高熱耐へたり
性を向上させることを目的として、例えば、特開平5−
247724号公報および特開平5−247819号公
報等で、芯鞘構造からなり熱接着成分の鞘部にポリエス
テルエラストマーを用いた熱接着繊維と、その熱接着繊
維を用いたクッション材が提案されているが、鞘部に用
いられるポリエステルエラストマーの耐熱性が考慮され
ていないため、比較的高い温度雰囲気下に長時間晒され
ると接着部が劣化して耐久性が劣る欠点がある。
【0005】更に、特開平6−165884号公報と特
開平7−54253号公報には、ガラス転移温度が80
℃以上、融点が150℃以上のポリエステル繊維を母材
繊維として用い、融点が80℃以上の共重合ポリエステ
ル系熱接着繊維で接合したポリエステル固綿が開示され
ているが、熱接着繊維については融点の記載のみであ
る。クッション材の70℃耐へたり性を向上させるため
には、クッション材を構成する母材繊維のガラス移転温
度と融点も影響するが、耐へたり性を支配するのは、本
発明者らの各種検討によれば、熱接着繊維が非晶性ポリ
マーの場合は、ガラス転移温度と融点の関係が重要であ
り、結晶性ポリマーの場合は、融点範囲が重要なもので
ある。
【0006】すなわち、一般的な非晶性ポリマーの場合
は、結晶融点を有さず、融点よりかなり低温のガラス転
移温度以上で軟化・融解が始まる。そのため、ガラス転
移温度と融点の関係をより特定化した非晶性ポリマーで
あって初めて70℃耐へたり性を向上させ得ることが可
能となる。
【0007】一方、上記のような非晶性ポリマーの欠点
を改良するため、結晶性を有するポリマーや共重合ポリ
エステルを用いた検討もなされてきたが、耐熱性や溶融
紡糸時の糸切れの面で未だ十分な性能を満足するものが
得られていなかった。
【0008】従って、従来技術では、通常の雰囲気下で
用いられる熱接着繊維およびクッション材は得られたと
しても、特に高温に晒される車両用クッション材等の分
野において高熱耐へたり性が満足したクッション材を提
供することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術では達成できなかった、高熱耐へたり性と快適
性を有するクッション材に好適に用いられる熱接着繊維
およびその熱接着繊維を少なくとも一部に用いたクッシ
ョン材を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の熱接着繊維は、
融点130℃以上200℃以下の脂肪族ポリエステルが
少なくとも繊維表面の一部に露出してなることを特徴と
する熱接着繊維である。
【0011】また、本発明のクッション材は、母材繊維
が上記熱接着繊維により点接合されており、好適には7
0℃耐へたり性が70%以上のクッション材である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の熱接着繊維は、融点130℃以上
200℃以下の脂肪族ポリエステルが少なくとも繊維表
面の一部に露出してなることを特徴とする熱接着繊維で
ある。
【0014】本発明の熱接着繊維において、少なくとも
繊維表面の一部に露出して用いられる重合体は、融点が
130℃以上200℃以下の脂肪族ポリエステルである
ことが重要である。一般に、脂肪族ポリエステルは融点
が低く、結晶化速度が遅いため、紡糸時の冷却性が劣
り、糸切れや糸条の融着が生じ易く、製糸性が著しく悪
化する傾向にあった。従って、130℃未満の脂肪族ポ
リエステルを用いてクッション材を成形しても、高熱耐
へたり性に劣り使用可能なものは得られなかった。
【0015】一方、その融点範囲が130℃以上200
℃以下であれば、脂肪族ポリエステルの有するシャープ
な融点ゆえにクッション材を容易に成形でき、且つ、7
0℃耐へたり性試験を行っても、接着部分に何ら変化を
生ずることがなく、他の芳香族ポリエステルポリマーや
芳香族ポリエステルポリマーに脂肪族成分を共重合させ
たポリマーなどと比べ、70℃耐へたり性の向上が認め
られるのである。 融点が130℃よりも低い脂肪族ポ
リエステルの場合には、製糸時、特に紡糸時に単糸間の
融着が著しくなり、更に延伸性不良が発生するなど製品
品位が著しく損なわれる。好ましくは融点は150℃以
上である。また、融点が200℃を超えると、クッショ
ン材等の成形体を作成するときの成形温度を高く設定す
る必要が生じ、その結果、クッション材等の母材繊維が
軟化・融解し、高熱耐へたり性が低下してしまうのであ
る。また、クッション材の風合いも硬くなってしまう。
【0016】ここで、融点とはDSC測定によって得ら
れた融解ピークのピーク温度を意味する。
【0017】本発明において、熱接着繊維の乾熱収縮率
は40%以下であることが好ましい。乾熱収縮率が40
%より大きいと、熱成形を行った場合の収縮が大きくな
り、成形体の幅出しが困難となり、風合いも硬化する傾
向がある。上記の点から、乾熱収縮率は15%以下がよ
り好ましい。
【0018】また、熱接着繊維の収縮応力は330mg
/d以下であることが好ましい。繊維の収縮は乾熱収縮
率とともに収縮応力が肝要である。熱接着繊維の収縮応
力が330mg/dを超えると、上記と同様に成形体の
幅出しが困難となり、風合いも硬化する傾向にある。上
記の点から、収縮応力は200mg以下であることがよ
り好ましい。
【0019】本発明の熱接着繊維は、単成分繊維または
複合繊維の形態で好適に用いられる。複合繊維の場合、
断面形状としては、サイドバイサイド型、芯鞘型(同
心、偏芯)等が挙げられる。接着を強固にする面から
は、芯鞘型(同心、偏芯)が好ましい。この芯鞘型(同
心、偏心)の場合、脂肪族ポリエステルが鞘部を構成し
ていることが好ましい。また、サイドバイサイド型の場
合は、少なくとも一方、または両方の成分として、脂肪
族ポリエステルが用いられる。
【0020】本発明の熱接着繊維は、複合繊維等の形で
紡糸後、次いで延伸、捲縮付与して、更に所望の繊維長
に切断し得ることができる。
【0021】本発明で用いられる脂肪族ポリエステル
は、DSC測定で得られる溶融ピークのピーク温度が1
30℃以上200℃以下であれば特段の制約はなく、ポ
リ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−
3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチ
レートバリレート、およびこれらのブレンド物、変性物
等を用いることができる。本発明ではこのような脂肪族
ポリエステルを用いることによって、芳香族ポリエステ
ル繊維とは異なり、良好なソフト感を呈する。この良好
なソフト感は、脂肪族ポリエステル繊維のヤング率が芳
香族ポリエステル繊維のヤング率に比べ明確に低いこと
に起因している。また、これら脂肪族ポリエステル類は
生物分解性或いは加水分解性が高いため、自然環境中で
容易に分解されるという利点をも有している。
【0022】融点、ガラス転移温度の観点から最も望ま
しいポリマーとしては、L−乳酸を主成分とするポリエ
ステルであるポリ乳酸、およびグリコール酸を主成分と
するポリエステルであるポリグリコール酸を挙げること
ができる。L−乳酸を主成分とするとは、構成成分の6
0重量%以上がL−乳酸よりなっていることを意味して
おり、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有する
ポリエステルであってもよい。
【0023】ポリ乳酸の製造方法には、乳酸を原料とし
て一旦環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後
開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料とし
て溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知
られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの
製法によって得られた物であってもよい。ラクチド法に
よって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有
される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因と
なるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有され
る環状2量体の含有量を0.1wt%以下とすることが望ま
しい。直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問
題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適で
あるといえる。
【0024】ポリ乳酸の平均分子量は高いほど好まし
く、通常少なくとも5万、好ましくは少なくとも10万、
より好ましくは10〜30万である。平均分子量が5万より
も低い場合には、繊維の強度物性が低下するため好まし
くない。
【0025】また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳
酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の
成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重
合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ
酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6
−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類
の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレン
グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分
子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの
誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブ
チルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカル
ボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙
げられる。
【0026】また、溶融粘度を低減させるため、ポリカ
プロラクトン、ポリブチレンサクシネートおよびポリエ
チレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマ
ーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用い
ることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃
剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微
粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができ
る。
【0027】本発明の熱接着繊維の横断面の形状は、円
形であっても異形であっても良いが3葉以上の異形断面
繊維であることが好ましい。3葉以上の異形断面繊維と
することで繊維の表面積が増えるため、成形体作製時の
熱成形が容易に行える他、接着面積の増大により接着が
より強固に行えるようになる。
【0028】本発明で用いられる異形断面繊維は、公知
の溶融紡糸装置にて口金孔をそれぞれ対応する異形断面
用とすることにより製造することができる。例えば、3
葉断面繊維を得る場合には、最終吐出孔を公知のT字型
或いはY字型口金孔を有する口金を用いればよい。ま
た、異形度をより大きくするためには口金面深度を小さ
くする方法、或いは冷却を強化する方法などを用いるこ
とができる。
【0029】上述の本発明の熱接着繊維は、繊維クッシ
ョン材を構成する繊維として好適に使用することができ
る。繊維クッション材は通常、母材繊維と熱接着繊維で
構成される。
【0030】熱接着繊維の繊維長は、通常のステープル
長である30〜100mmであればよく、更にその単繊
維繊度は通常1〜20デニールであればよい。また、熱
接着繊維が芯鞘型等の複合繊維の場合には、例えば、芯
部にポリエチレンテレフタレートを用い、鞘部に脂肪族
ポリエステルを用いることができる。熱接着繊維の複合
比率は10/90〜90/10が好ましく、更に好まし
くは40/60〜60/40である。
【0031】本発明のクッション材中における熱接着繊
維の好ましい含有量は、5重量%以上40%重量以下、
より好ましくは10重量%以上30重量%以下である。
5重量%より少ないときには、クッション材中に熱接着
点として形成される3次元網目構造が少なく、歪が加わ
ったときに物理的変形が生じ、耐ヘタリ性、耐久性、ク
ッション性が著しく低下してしまうので好ましくない。
また、40重量%を超えると、熱接着点が増える点は好
ましい。しかしながら、歪が加わったときの変形に対し
て、耐へたり性と耐久性を受け持つ母材繊維が60%未
満となるので、歪が加わったときの変形に対して、耐ヘ
タリ性、および耐久性が著しく低下してしまう傾向があ
る。
【0032】また、従来の熱接着繊維では、延伸後、ク
リンパーにてスチーム処理しながら機械捲縮を付与する
際に膠着するため、捲縮付与を室温で行うことを余儀な
くされ、捲縮も十分に付与できなかった。これに対し、
本発明で用いられる好ましい熱接着繊維は、従来のもの
と異なり、高くてシャープな融点範囲を有しているた
め、上記の方法で十分な熱によりセットされた機械捲縮
を付与することができる。
【0033】すなわち、従来の非晶性の熱接着繊維で
は、軟化・融解範囲が低いため、捲縮を十分に付与する
ことが困難であったため、捲縮率も低く、且つ、ウエブ
の作製時にも捲縮形態が変形し易い欠点があった。従っ
て、母材繊維と熱接着繊維同士が絡み合うことにより形
成される接着点を増やすことに限界があったのである。
【0034】本発明においては、強固な捲縮が十分付与
された熱接着繊維を用いることにより、母材繊維と熱接
着繊維の熱接着点が増加し、接合点を一層強固ならしめ
ることができる。また、下記するように繊維長を短くし
た際にも、抜け落ちることが少ない。
【0035】このように本発明の熱接着繊維を使用すれ
ば、クッション材全体が3次元コイルスプリング状網目
構造となるので、どのような方向に大変形を与えられて
も個々の繊維のコイルが少しずつ変形して力や歪を吸収
でき、高熱耐へたり性が維持できるのである。
【0036】また、熱接着繊維にガラス転移温度が75
℃以上の重合体を用いるのと同様に、母材繊維にもガラ
ス転移温度が75℃以上の繊維を用いることが好まし
い。更に、高い耐熱耐へたり性を得るためには、ガラス
転移温度は80℃以上が好ましく、更に好ましくは10
0℃以上である。
【0037】本発明でいう母材繊維を構成する重合体と
しては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ま
しいが、PET以外に、ポリエチレンナフタレート(P
EN)、およびその共重合体などの高いガラス転移温度
を持つポリエステルが好適に用いられる。
【0038】また、本発明のクッション材は、70℃耐
へたり性が70%以上の好ましい特性を有する。70%
未満であれば、夏場など高温雰囲気下で荷重を受けたと
き、クッション材がへたり易く歪回復しないため、本発
明の所期の効果を十分に得ることができないことがあ
る。
【0039】本発明者らの知見によれば、本発明に係る
熱接着繊維を少なくとも5%以上使用したクッション材
は、70℃耐ヘタリ性は70%以上であり、好ましくは
85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
【0040】クッション材の密度は、特に限定されない
が、0.02〜0.06(g/cc)の範囲内とするこ
とが好ましい。
【0041】本発明のクッション材は、母材繊維と熱接
着繊維で構成され、これらを一定の混綿率で混ぜてカー
ド機で一度開繊した後、ウエブを積層して一定の密度と
なるように圧縮し、熱処理機内200℃の熱風で30分
間熱成形後、冷却することによって得ることができる。
【0042】本発明のクッション材は、特に高温下に晒
される車両用途等に好適である。車両用途としては、主
に電車、自動車などのシート用クッション材が挙げられ
るが、他の用途としては、自動車の天井材、ダッシュイ
ンシュレーター、およびフロアインシュレーターなどに
も好適に用いることができる。
【0043】
【実施例】本発明で定義する各特性値は以下の方法で求
めた。
【0044】(1)ガラス転移温度(Tg) パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−
7)を用いて、窒素気流下15℃/分の昇温温度で測定
し、ガラス転移温度(Tg)を求めた。
【0045】(2)融点(Tm) パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−
7)を用いて、窒素気流下15℃/分の昇温温度で測定
し、得られた溶融ピークのピーク温度を融点とした。
【0046】(3)乾熱収縮率(%) 母材繊維試料の両端をクリップでつかみ、合計が300
mg/dとなる初荷重を掛け、原長L1(cm)を求め
る。クリップ間を十分ゆるめ、無荷重状態で180℃の
オーブン中で15分間処理し、処理後の試料に合計が3
00mg/dとなる初荷重を掛け、処理後の長さL2
(cm)を測定する。乾熱収縮率は次式によって求め
る。試験回数は15回とし、その平均値で求める。
【0047】 乾熱収縮率={(L1−L2)/L1}×100(%) (4)収縮応力(mg/d) カネボウエンジニアリング社製熱応力測定器で、昇温速
度150℃/分の条件で測定した。サンプルは10cm×2のル
ープとし、初期張力は繊度(デニール)×(1/30)
gfとした。
【0048】(5)溶融粘度 東洋製機(株)社製キャピログラフを用いて260℃に
おける専断速度と溶融粘度との関係を測定した。測定に
はL/D=10/1(mm)のダイを使用し、専断速度
1000sec-1のときの粘度をもって、その試料の溶融
粘度とした。
【0049】(6)70℃耐へたり性 クッション材を測定サンプルとして立方体(10×10
×10cm)に切り出し、平行平面板(タテ×ヨコ=1
5×15cm)を用いて測定した。
【0050】クッション材からの切り出し法は、クッシ
ョン材内部の繊維配列からみて、クッション成形時に繊
維が圧縮されてなる方向を判断し、その圧縮された方向
と立方体の1面が実質的に平行となるように切り出す。
但し、厚さ等が10cmに満たないもののときには、複
数枚のものを重ねることなどにより、10cmになるよ
うにして上記立方体を作製する。
【0051】へたり試験での圧縮は、成型体を作製する
際にウエブを圧縮した方向と同じ方向を有する面方向下
において、厚さ50%になるまで圧縮し(側面は、フリ
ー状態)、その状態で70℃乾熱中に22時間保持後、
平行平面板よりはずして歪を開放し圧縮作用を止め、さ
らに、そのまま常温中(約30℃)に移し、そのままの
状態で1日(24時間)放置(静置)した後の厚みli
(cm)と処理前の元の厚みl0(cm)から、{(l
i/l0)×100)}(%)で求めた。
【0052】厚みは、0.1cm単位で測定し、n数は
5とした。
【0053】(7)クッション性(ソフト性、弾力性) 10人のパネラーが手で押したときの風合い(ソフト
性、弾力性)をランクづけで、非常に良好(10点)、
良好(8点)、普通(5点)、不良(0点)として評価
し、その平均点が8点を越える場合をクッション材の風
合いとして非常に良好◎とし、7点以上8点以下を良好
○、4点以上〜7点未満を普通△、4点未満を不良×と
して評価した。
【0054】実施例1〜7および比較例1 複合繊維の1成分(鞘成分)として260℃、1000
sec-1における溶融粘度が1200poiseであり、融点が
168℃である表1、2に示した組成のポリ乳酸のチッ
プを、60℃にて48時間真空乾燥したチップをブレッ
シャーメルター型紡糸機にて、メルター温度250℃に
て溶融し、他成分(芯成分)として用いる重合体(ポリ
エチレンテレフタレート;PET)を290℃で溶融
し、複合比率=50/50の重量比率で通常の紡糸機よ
り紡糸温度292℃で紡糸口金より吐出し、1350m
/minの速度で巻取った。続いて、得られた未延伸糸
を合糸して80℃温浴中で延伸倍率3.0倍で延伸後、
引き続き仕上油剤を付与後、機械捲縮を付与した後、5
1mmに切断した。なお、L−乳酸/D−乳酸の共重合
率、融点、乾熱収縮率、収縮応力、および断面形状など
を表1、2のように変えて熱接着繊維を得た。
【0055】次に、母材繊維として6デニール、繊維長
64mmの中空断面立体捲縮を有するポリエチレンテレ
フタレート(PET)を用い、上記で得られた熱接着繊
維の混綿率30%で混綿し、カードで開繊後、ウエブを
積層して目付4000g/m 2となし、厚み10cmま
で圧縮して200℃の熱風で30分間熱成形後、冷却し
てクッション材を得た。クッション材の評価結果も表
1、2に併せて示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】 実施例1〜3は融点が本発明でいう130℃以上の熱接
着繊維を用い、クッション材を作製したものである。こ
れらのクッション材は、クッション性および70℃耐へ
たり性が共に良好であった。特に融点150℃を以上の
水準(実施例1,2)で70℃耐へたり性が良好になる
傾向を示した。
【0058】一方、比較例1の融点110℃の熱接着繊
維を用いたクッション材は、クッション性は良好なもの
の70℃耐へたり性が低く歪回復性に劣るものであっ
た。また、製糸時に糸切れや糸条の融着が生じ製糸性が
著しく悪化する傾向にあった。
【0059】実施例4、5の熱接着繊維は乾熱収縮率、
収縮応力が高く、成形後のクッション材のサイズが収縮
してしまい幅出しが困難で、その上クッション風合いも
硬化する傾向にあった。70℃耐へたり性は共に良好で
あったが、乾熱収縮率、収縮応力が高い水準(実施例
5)は70℃耐へたり性の値が低くなる傾向にあった。
【0060】実施例6,7は、断面形状を三葉と五葉と
した水準であり、クッション性も良好な上、70℃耐へ
たり性の値にも向上が見られた。
【0061】以上の結果から明らかなように、本発明で
規定する熱特性を有する脂肪族ポリエステルを用いた熱
接着繊維を使用したクッション材は、クッション性、及
び70℃における耐ヘタリ性が共に良好であるが、本発
明以外の熱接着繊維を用いたクッション材はクッション
性、70℃耐ヘタリ性の双方を満足できないことが明ら
かである。
【0062】比較例2〜5 複合繊維の1成分(鞘成分)として表3に示すPHT
(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、PBT(ポリ
ブチレンテレフタレート)、PBS(ポリブチレンサク
シネート)、PCL(ポリカプロラクトン)を用い、ブ
レッシャーメルター型紡糸機にて、他成分(芯成分)と
して用いる重合体(ポリエチレンテレフタレート;PE
T)とともに溶融し、複合比率=50/50の重量比率
で通常の紡糸機より紡糸温度292℃で紡糸口金より吐
出し、1350m/minの速度で巻取った。続いて、
得られた未延伸糸を合糸して80℃温浴中で延伸倍率
3.0倍で延伸後、引き続き仕上油剤を付与後、機械捲
縮を付与した後、51mmに切断した。なお、融点、乾
熱収縮率、収縮応力、断面形状などを表3に示した。
【0063】次に、母材繊維として、6デニール、繊維
長64mmの中空断面立体捲縮を有するポリエチレンテ
レフタレート(PET)を用い、得られた熱接着繊維の
混綿率30%で混綿し、カードで開繊後、ウエブを積層
して目付4000g/m2 となし、厚み10cmまで圧
縮して200℃の熱風で30分間熱成形後、冷却してク
ッション材を得た。クッション材の評価結果も表3に併
せて示した。
【0064】
【表3】 比較例2は融点が146℃の芳香族ポリエステルである
PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)を鞘成分
とした熱接着繊維である。成形したクッション材のクッ
ション性は良好であったが、70℃耐ヘタリ性の値は低
く性能を満足するクッション材は得られなかった。比較
例3は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)を鞘成
分とした熱接着繊維である。成形したクッション材は柔
らかすぎて、いわゆる接着力不足の状態であった。比較
例4は、PBS(ポリブチレンサクシネート)を鞘成分
とした熱接着繊維である。成形したクッション材のクッ
ション性は良好であったが、比較例2と同様に70℃耐
ヘタリ性の値は低く性能を満足するクッション材は得ら
れなかった。比較例5では、PCL(ポリカプロラクト
ン)を鞘成分として紡糸を行ったが、融着による糸切れ
が頻発し、紡糸ができなかった。
【0065】以上の結果から明らかなように、本発明で
規定する融点範囲を有する脂肪族ポリエステルを用いた
熱接着繊維繊維を使用したクッション材は、クッション
性、及び70℃における耐ヘタリ性が共に良好である
が、本発明で規定した以外の熱接着繊維を用いたクッシ
ョン材はクッション性、70℃耐ヘタリ性の双方を満足
できないことが明らかである。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、特に車両用などの高温
度下に晒される機会の多い用途に対し、高熱耐へたり性
と快適性を有するクッション材に好適に用いられる熱接
着繊維およびその熱接着繊維を少なくとも一部に用いた
クッション材が得られる。特に、本発明の熱接着繊維を
好適な母材繊維と併用することによって、70℃耐へた
り性が70%以上であるクッション材が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA07 AA20 BA02 BA05 BA21 BA38 BC04 BC05 BD04 BD10 BD11 CA05 CA06 DD01 DD05 DD14 4L045 AA05 BA03 BA15 BA49 BA51 BA60 CA25 DA42 DC02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点130℃以上200℃以下の脂肪族
    ポリエステルが少なくとも繊維表面の一部に露出してな
    ることを特徴とする熱接着繊維。
  2. 【請求項2】 乾熱収縮率が40%以下で、収縮応力が
    330mg/d以下である請求項1記載の熱接着繊維。
  3. 【請求項3】 鞘成分に脂肪族ポリエステルを用いた芯
    鞘型複合繊維である請求項1または2記載の熱接着繊
    維。
  4. 【請求項4】 脂肪族ポリエステルがL−乳酸を主成分
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱接着繊
    維。
  5. 【請求項5】 断面形状が3葉以上の多葉断面形状であ
    る請求項1〜4のいずれか1項記載の熱接着繊維。
  6. 【請求項6】 母材繊維が請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の熱接着繊維により点接合されているクッション
    材。
  7. 【請求項7】 母材繊維のガラス転移温度が75℃以上
    である請求項6記載のクッション材。
  8. 【請求項8】 熱成形により一体構造化されたクッショ
    ン材であって、70℃における耐へたり性が70%以上
    である請求項6または7記載のクッション材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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