JP2000224723A - ガス絶縁機器の部分放電診断装置および診断方法 - Google Patents

ガス絶縁機器の部分放電診断装置および診断方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】部分放電信号を検出し該信号を多段階に条件分
岐して診断することにより精度の高い診断をおこなう。 【解決手段】 ガス絶縁器が発生する部分放電信号を検
出する部分放電信号検出器4a,4b,4cと、該部分
放電信号検出器の検出信号を受信して部分放電信号を信
号解析する信号解析装置7と、前記解析装置の解析結果
を受信して前記部分放電の発生原因を診断する診断装置
8と、該診断結果を表示する表示装置9からなるガス絶
縁機器の部分放電診断装置において、前記診断装置は多
段階に条件分岐する診断手段を備え、第1の診断手段の
診断結果にしたがって複数の第2の診断手段のうちの1
の診断手段に条件分岐し、該第2の診断手段の診断結果
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス絶縁機器の部
分放電診断装置および診断方法に係り、特に部分放電信
号を検出し、該信号を多段階に条件分岐して診断するガ
ス絶縁機器の部分放電診断装置および診断方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】変電所に設置するガス絶縁開閉装置など
のガス絶縁機器は、機器内部に絶縁異常が発生したとき
部分放電を発生する。そして、部分放電に伴って電磁波
が発生する。ガス絶縁機器の絶縁破壊事故を未然に防止
するには、絶縁破壊事故の前駆現象ともいえる前記部分
放電を的確に検出し、絶縁異常が存在するか否かを診断
することが必要である。
【0003】前記絶縁異常の原因には、金属異物の混
入、スペーサ内のボイドあるいはスペーサに発生したク
ラックなどの絶縁物の欠陥、シールド部材等の導電物の
接触不良などが挙げられる。
【0004】これらの異常原因に基づく前記部分放電が
進行すると、絶縁物の劣化が進行し雷などの過電圧が侵
入したとき絶縁破壊に至る可能性がある。したがって前
記部分放電の発生部位および発生レベルを正確に把握
し、発生部位および発生レベルによっては早急に部分放
電の発生部位を点検し補修する必要がある。
【0005】前記部分放電の検出は、部分放電に伴って
発生する電磁波、高周波電流、振動、音あるいは発生ガ
ス成分を検出して行うことができる。
【0006】前記ガス絶縁機器内のSF6ガス中で発生
する部分放電はパルス幅が数nsないし数十nsという
非常に急峻なパルス放電であり、該部分放電に伴って発
生する電磁波は数GHzまでの広い周波数帯域を有す
る。
【0007】前記ガス絶縁機器は金属容器で密閉した構
造であり、構造的には導波管と同様に電磁波を効率よく
伝播する。さらにガス絶縁機器の内部は金属容器で覆わ
れているため外部からの電磁波ノイズは比較的侵入し難
い。したがって、前記金属容器内にアンテナを設置する
ことにより、前記部分放電に伴って発生する電磁波を感
度よく検出することができる。このため内部アンテナを
用いて数MHzないし数GHzの広い周波数帯域の電磁
波を受信し、スペクトルアナライザなどにより周波数解
析して、部分放電の発生部位を特定する方法が提案され
ている。
【0008】一方、前記広い周波数帯域の電磁波を全て
受信するのではなく、外部ノイズの影響を受けない特定
の周波数あるいは狭い周波数範囲の電磁波を受信して絶
縁診断を行う方法も提案されている。
【0009】さらに、特公平7−50147号公報に示
されるように、検出した電磁波を周波数解析し、各周波
数に対するレベルに応じて異常を判定する方法、あるい
は波形のパターン形状から算出した特徴量に応じて異常
を判定する方法が提案されている。また、判定手段をニ
ューラルネットワークあるいはファジーシステムを用い
たパターン認識により構成した例も知られている。
【0010】図14は、従来の部分放電診断装置に用い
るニューラルネットワークを示す図である。
【0011】図において、41はニューラルネットワー
クの入力層、42はニューラルネットワークの中間層、
43はニューラルネットワークの出力層である。前記入
力層41には入力データx1〜xmを入力する。入力デー
タx1〜xmには、例えば周波数データの特徴量を入力す
る。診断結果は出力層43から得ることができ、出力層
43での出力y1〜ynにより診断することができる。
【0012】図15は図14に示すニューラルネットワ
ーク構造を使用した場合の診断フローを示す図である。
図に示すようにこのニューラルネットワーク構造は前記
データx1〜xmを入力すると診断1により4つの診断結
果(接触不良、内部放電、ノイズ、正常)を一度に得る
ことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の部分放電に
伴って発生する電磁波を検出して前記ガス絶縁機器の絶
縁異常を診断する診断方法では、前記部分放電の発生の
有無や発生の原因を正確に把握することは困難であっ
た。
【0014】すなわち、従来の部分放電放電信号の検出
方法では、判断基準として測定している周波数帯域内に
一定レベル以上の信号が発生した場合に部分放電が発生
したと判断する方法がとられている。この場合には部分
放電信号と外部ノイズ信号とを明確に識別することが困
難である。外部ノイズ信号が放送波などで定常的に発生
している場合には、事前に外部ノイズを測定しておき、
ノイズのある周波数帯域を避けて測定する方法、あるい
はノイズを信号処理で取り除く等の方法を採用すること
ができる。しかし、外部ノイズ信号が携帯電話の通信信
号、機器ノイズあるいは気中コロナノイズ等の非定常的
なノイズである場合には、内部の部分放電に伴って発生
した部分放電信号と外部ノイズとを識別することは困難
である。
【0015】さらに、前記部分放電信号をガス絶縁機器
内に配置したアンテナで検出すると、アンテナで検出し
た信号の周波数特性はアンテナを含むセンサの周波数特
性並びにガス絶縁機器を構成するタンク形状および構造
等により決定される電磁波伝播路の周波数特性の影響を
受ける。このため、アンテナで検出した信号が内部の部
分放電に伴って発生した部分放電信号であるか、外部ノ
イズであるかを精度よく診断をすることは困難であり、
専門家による診断を必要としていた。
【0016】一方、前記診断法としてニューラルネット
ワークあるいはファジィーシステムを用い、診断アルゴ
リズムとして一般的なパターン認識法を用いる場合に
は、前記前記検出信号から得られるデータ量が膨大とな
り、学習時間が長くなりすぎたり、収束しないなど問題
が発生する。また、前記学習が収束したとしても前記部
分放電にはばらつきが存在するので、部分放電の発生原
因、発生部位の詳細まで診断することは困難であった。
【0017】また、前記従来のバックプロパゲーション
法のニューラルネットワーク構造によると、解析データ
を入力すると一気に診断して診断結果を出力する。しか
し、入力層41や出力層43のノード数が多くなり内部
構造も複雑になるため、既知データの学習時に収束し難
くなる、ローカルミニマムに陥りやすい、学習時間が膨
大となる等の問題が生じる。また実用可能な診断精度を
得ることも困難であった。
【0018】本発明は前記問題点に鑑みて成されたもの
で、ガス絶縁機器の絶縁破壊事故の前駆現象である部分
放電信号を検出し、該信号を多段階に条件分岐して診断
することにより高精度の診断を行うことのできる部分放
電診断装置および診断方法を提供する。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために次のような手段を採用した。
【0020】ガス絶縁器が発生する部分放電信号を検出
する部分放電信号検出器と、該部分放電信号検出器の検
出信号を受信して部分放電信号を解析する信号解析装置
と、前記解析装置の解析結果を受信して前記部分放電の
発生原因を診断する診断装置と、該診断結果を表示する
表示装置からなるガス絶縁機器の部分放電診断装置にお
いて、前記診断装置は多段階に条件分岐する診断手段を
備え、第1の診断手段の診断結果にしたがって複数の第
2の診断手段のうちの1の診断手段に条件分岐し、該第
2の診断手段の診断結果を得ることを特徴とする。
【0021】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記診断装置は、前記部分放電信号の周波
数スペクトラムを診断する診断手段を備えることを特徴
とする。
【0022】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記周波数スペクトラムは所定周波数幅毎
に分割した離散値であることを特徴とする。
【0023】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記診断装置は、前記部分放電信号の周波
数スペクトラムの特徴量を診断する診断手段を備えるこ
とを特徴とする。
【0024】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記診断装置は、系統周波数の位相に同期
した周期成分信号を診断する診断手段を備えることを特
徴とする。
【0025】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記系統周波数の位相に同期した周期成分
信号は、系統周波数の1周期を所定角度毎に分割した離
散値であることを特徴とする。
【0026】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記診断装置は、系統周波数の位相に同期
した周期成分信号の特徴量を診断する診断手段を備える
ことを特徴とする。
【0027】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記第1の診断手段および第2の診断手段
が解析する信号は異なる種類の解析信号であることを特
徴とする。
【0028】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記診断装置が診断する前記信号はその最
大値で規格化したことを特徴とする。
【0029】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記診断装置は、ニューラルネットワーク
を用いたことを特徴とする。
【0030】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記ニューラルネットワークは該ニューラ
ルネットワークの1の判定出力が0.5以上でない場
合、再度信号を取り込み再診断することを特徴とする。
【0031】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断装
置において、前記診断装置は、ファジィーシステムを用
いたことを特徴とする。
【0032】また、ガス絶縁器が発生する分放電信号を
検出する部分放電信号検出器と、該部分放電信号検出器
の検出信号を受信して部分放電信号を信号解析する信号
解析装置と、前記信号解析の結果を受信して前記部分放
電の発生原因を診断する診断装置と、該診断結果を表示
する表示装置からなり、前記診断装置は多段階に条件分
岐する診断手段を備え、第1の診断手段の診断結果にし
たがって複数の第2の診断手段のうちの1の診断手段に
条件分岐し、該第2の診断手段の診断結果を順次得るよ
うにしたガス絶縁機器の部分放電診断方法において、前
記診断手段は、最初に前記検出信号を前記ガス絶縁器が
発生する部分放電信号と外部ノイズ信号に分岐する診断
を行うことを特徴とする。
【0033】また、前記ガス絶縁機器の部分放電診断方
法において、前記診断手段は、前記検出信号を前記ガス
絶縁器が発生する部分放電信号と診断した後の診断にお
いてガス絶縁機器のガス中で発生する部分放電信号とガ
ス絶縁機器中の絶縁物中で発生する部分放電信号に分岐
する診断を行うことを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図1お
よび図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係るガ
ス絶縁機器の部分放電診断装置を示す図、図2は図1に
示す部分放電診断装置の条件分岐による診断フローを示
す図である。
【0035】図1において、1はガス絶縁機器の接地金
属容器、2は高圧導体、3は高圧導体2を保持する絶縁
スペーサ、4a,4b,4cは部分放電に伴う電磁波等
を検出する部分放電信号検出器であり、検出用アンテナ
あるいはガス絶縁機器内の内部電極を検出アンテナとし
て利用することができる。5は部分放電信号検出器4
a,4b,4cのいずれかを選択する広帯域切換スイッ
チ、6は増幅器、7はスペクトルアナライザ等による周
波数解析装置、あるいはデジタルストレージスコープに
より得た信号を解析するFFT(高速フーリエ変換)解
析装置等の信号解析装置、8はパーソナルコンピュータ
等で構成した診断装置であり、診断装置8は部分放電の
発生原因の診断およびノイズの種別診断を行う。9は診
断結果を表示する表示装置である。
【0036】部分放電信号検出器で検出した検出信号
は、広帯域切換スイッチ5および増幅器6を通して信号
解析装置7に入力し、信号解析装置7により周波数解析
等の信号解析がおこなわれる。診断装置8は前記信号解
析されたデータを入力し、部分放電の発生原因の診断お
よびノイズの種別診断を行い、診断結果を表示装置9に
より表示する。
【0037】このような構成を採用することにより診断
時間の大幅な短縮を図ることができるとともに自動監視
によるガス絶縁機器の異常診断が可能になる。
【0038】次に、前記診断装置8による診断を診断フ
ローを示す図2を参照して説明する。
【0039】ガス絶縁機器内の部分放電検出器4から取
り込んだ信号は、スペクトルアナライザ等の解析装置に
より信号解析し、解析した部分放電信号を診断1ないし
3により条件分岐して診断する。
【0040】まず、診断1では、部分放電信号が発生し
ていない状態で発生しているバックグランドノイズ(B
GN)の解析データを事前に用意しておき、このBGN
の解析データと前記部分放電信号の解析データを比較
し、部分放電が発生しているか否かを診断する。例えば
部分放電の解析データがBGNの解析データを越えてい
る場合には部分放電が発生していると診断することがで
きる。診断1により部分放電が発生していると判断した
場合は診断2に進む。部分放電が発生していなく正常で
あると診断した場合には正常である旨の表示をおこな
う。
【0041】診断2では、部分放電信号がガス絶縁機器
の内部に起因する信号か外部に起因する信号かを診断す
る。診断2により内部に起因する信号と判断した場合に
は診断3に進む。外部に起因する信号と判断した場合に
は外部ノイズである旨の表示をおこなう。
【0042】診断3では、検出した部分放電信号がガス
絶縁機器内部の部分放電信号であるか、シールドなどの
接触不良に起因する信号であるかを診断する。診断3に
おいてガス絶縁機器内部の部分放電であると判断した場
合には内部放電である旨の表示を行い、接触不良と判断
した場合には接触不良である旨を表示をおこなう。
【0043】このように、検出した部分放電信号を条件
分岐して多段階に診断することにより精度のよい診断を
おこなうことができる。
【0044】図3は、前記診断装置に用いることのでき
るニューラルネットワークを示す図である。
【0045】図において、11はニューラルネットワー
クの入力層、12はニューラルネットワークの中間層、
13はニューラルネットワークの出力層であり、ニュー
ラルネットワークは3層構造をなしている。
【0046】前記入力層11には入力データx1〜xmを
入力する。入力データx1〜xmは、後述するような、周
波数スペクトラムの各周波数帯域毎の信号強度、あるい
は系統周波数の1周期を所定角度毎に分割した各帯域毎
の信号強度を利用することができる。
【0047】診断結果は出力層13から得ることがで
き、出力層13での出力y1〜y2により診断をおこなう
ことができる。
【0048】図3に示すニューラルネットワークは出力
層13のユニット数を少なくし、診断結果の分岐数を少
なくしして診断を高速に進めていく手法である。すなわ
ち、分岐条件を二分岐程度にすることにより、個々の診
断に用いるニューラルネットワーク構造を簡素化して精
度のよい判定結果を速やかに得ることができる。また、
学習時間が大幅に減少して、学習における収束がしやす
くなる。
【0049】また、出力層のユニット数を減少すること
は、同時に中間層12のユニット数を減少することにな
るため全体のユニット数を少なくしたニューラルネット
ワーク構造を得ることができる。
【0050】図4は図1に示す部分放電診断装置の条件
分岐による診断フローの他の例を示す図である。
【0051】ガス絶縁機器内の部分放電検出器4から取
り込んだ信号は、スペクトルアナライザ等の解析装置に
より信号解析し、部分放電信号を診断1〜14により条
件分岐診断する。
【0052】まず、診断1では、バックグランドノイズ
(BGN)の解析データを事前に用意しておき、このB
GNの解析データと前記部分放電信号の解析データを比
較し、部分放電が発生しているか否かを診断する。例え
ば部分放電の解析データがBGNの解析データを越えて
いる場合には部分放電が発生していると診断することが
できる。診断1により部分放電が発生していると判断し
た場合は診断2に進む。部分放電が発生していなく正常
であると診断した場合、あるいは部分放電ではなくノイ
ズであると判断したときはは正常である旨の表示をおこ
なう。
【0053】診断2では、検出した部分放電信号がガス
絶縁機器内部の部分放電信号であるか、シールドなどの
接触不良に基づくノイズまたはガス絶縁機器タンク外の
気中コロナに起因する信号であるかを診断する。診断2
において気中コロナなどに起因する信号であると判断し
た場合には診断3に進み、ガス絶縁機器内部の部分放電
であると診断した場合には診断4に進む。
【0054】診断3では、検出した部分放電信号がシー
ルドなどの接触不良に基づく信号であるか、またはガス
絶縁機器タンク外の気中コロナに起因する信号であるか
を診断する。
【0055】診断4では、検出した部分放電信号が絶縁
ガス系の異常に起因する信号であるか、絶縁物系の異常
に起因する信号であるかを診断する。絶縁ガス系の異常
と診断した場合には診断9に進む。絶縁物系の異常と診
断した場合には場合には診断5に進む。
【0056】診断5では、検出した部分放電信号がスペ
ーサ異常に起因する信号であるか、内蔵したコンデンサ
異常に起因する信号であるかを診断する。スペーサ異常
と診断した場合には診断6に進む。
【0057】診断6では、検出した部分放電信号がスペ
ーサ沿面異物に起因する信号であるか否かを診断する。
スペーサ沿面異物以外に起因する信号と診断した場合に
は診断7に進む。
【0058】診断7では、検出した部分放電信号が絶縁
物に発生したクラックまたは絶縁物の剥離に起因する信
号であるか、絶縁物に発生したボイドに起因する信号で
あるかを診断する。
【0059】診断8では、検出した部分放電信号が絶縁
物に発生したクラックに起因する信号であるか、絶縁物
の剥離に起因する信号であるかを診断する。
【0060】診断9では、検出した部分放電信号が絶縁
ガス中に存在する固定異物に起因する信号であるか、絶
縁ガス中に浮遊する金属製のフリー異物に起因する信号
であるかを診断する。固定異物に起因する信号と診断し
た場合には診断10に進む。
【0061】診断10では、検出した部分放電信号が絶
縁ガス中に存在する突起に起因する信号であるか、金属
物から浮いているフロート異物に起因する信号であるか
を診断する。突起に起因する信号と診断した場合には診
断11に進む。
【0062】診断11では、検出した部分放電信号が導
体上異物に起因する信号であるか、導体上異物に起因す
る信号であるかを診断する。
【0063】診断12では、検出した部分放電信号が外
部ノイズに起因する信号であるか、否かを診断する。外
部ノイズに起因する信号であると診断した場合には診断
13に進む。
【0064】診断13では、検出した部分放電信号が放
送波であるか、非定常ノイズであるかを診断する。非定
常ノイズと診断した場合には診断14に進む。
【0065】診断14では、検出した部分放電信号が携
帯電話の信号であるか、その他のノイズであるかを診断
する。
【0066】本実施形態では、診断1〜14による条件
分岐により異常原因の診断をおこなっている。さらに各
診断の分岐数は2分岐であるので個々の診断を簡素化す
ることができ、精度のよい診断をおこなうことができ
る。
【0067】また、前記条件分岐は特徴的なパターンが
現れる場合をできるだけ早い段階で分岐することにより
診断精度を向上している。すなわち、部分放電信号と大
きく異なっているノイズ信号を診断1で診断し、また、
部分放電に起因する信号であるか、接触不良や気中コロ
ナに起因する信号であるかの診断を診断2で診断し、ス
ペーサ異常に起因する信号であるか、内蔵したコンデン
サ異常に起因する信号であるかの診断を診断5で診断し
ている。このように診断の初期段階で大きな分岐をおこ
なうことにより、最終的な部分放電原因の診断精度が向
上する。
【0068】次に、再診断によりニューラルネットワー
クの診断精度を向上する方法について説明する図5は再
診断をおこなうニューラルネットワークの診断フローを
示す図である。
【0069】なお、図において診断1ないし診断3によ
る診断形態および診断結果による2分岐は図2に示すフ
ローチャートと同一であるので説明を省略する。
【0070】図において、診断1では、バックグランド
ノイズ(BGN)を部分放電信号として事前に用意して
おき、このBGN信号と実際に受診した部分放電信号を
比較し、部分放電が発生しているか否かを診断する。例
えば部分放電信号がBGN信号を越えている場合には部
分放電が発生していると診断することができる。
【0071】ニューラルネットワークがおこなう前記診
断1において、ニューラルネットワークはその出力ユニ
ットの1つがある値以上の出力を発生した場合のみに、
その出力が真であると判断する必要がある。すなわち診
断1の出力ユニットの示す出力値ynが、yn>0.5で
あるものが真であると判断する。図5の診断1ではy1
>0.5のとき正常と判断し、y2>0.5のときは部
分放電信号検出と診断して、診断2に進む。y1<0.
5であり、かつy2<0.5である場合には確定する診
断ができないものと判断して、再度信号を取り込んで再
診断する。
【0072】以下同様に診断2ないし診断3においても
y1<0.5であり、かつy2<0.5である場合には確
定できる診断ができないものと判断して、再度信号を取
り込んで再診断する。
【0073】従来のように、出力ユニットの示す出力値
のうち最大値をとるものが真であるという判断基準のみ
で判断すると出力ユニットの出力値が零に近い場合、す
なわち学習したデータと入力データが大きく乖離した場
合でも何らかの判断をしてしまう。しかし、前述のよう
にy1<0.5であり、かつy2<0.5である場合には
確定できる診断ができないと判断して、再度信号を取り
込んで再度診断することにより、誤った判断を防止する
ことができる。
【0074】次に前記診断に用いる解析データについて
説明する。診断に用いる解析データは前記信号解析装置
7より得ることができる。
【0075】図6は、ガス絶縁機器内で発生した部分放
電信号をスペクトルアナライザで測定して得た周波数ス
ペクトラムである。横軸の周波数のデータは数百ポイン
トあり、膨大な量であるため、これらのデータをそのま
まニューラルネットワークに入力して診断をおこなうと
学習に長時間を要し、また収束しない場合も発生する。
【0076】図7は、図6の周波数スペクトラムの周波
数帯域0〜1500MHzを75MHz毎に20の領域
に分割し、分割した各領域中にそれぞれの最大値および
平均値の棒グラフに重ねて表示した図である。このよう
に領域を分割し、分割した各領域毎にその最大値および
平均値を得て、このデータを解析データとすることによ
り、周波数スペクトラムのパターンを変えることなく解
析データ量を削減することができる。また、前記データ
量を削減することにより部分放電現象のばらつきによる
信号の相違を少なくし精度の高い診断をおこなうことが
できる。
【0077】図8は、系統周波数の位相に同期した周期
成分の信号強度のパターンを示す図である。ガス絶縁機
器内で発生する部分放電現象は交流印加電圧の振幅に依
存する。このため、種々の部分放電はその発生原因毎に
固有の位相特性を有する。したがって、系統周波数の位
相に同期した周期成分の信号強度を各位相毎に解析する
ことにより部分放電信号とノイズ信号を分離することが
可能であり、さらに部分放電信号の発生原因を診断する
ことができる。
【0078】図9は、図8の系統周波数の位相に同期し
た周期成分の信号強度を示す図において、交流印加電圧
の1周期(0〜360度)を18度毎に20の領域に分
割し、分割した各領域中にそれぞれの最大値および平均
値の棒グラフに重ねて表示した図である。このように領
域を分割し、分割した各領域毎にその最大値および平均
値を得て、このデータを解析データとすることにより、
系統周波数の位相に同期した周期成分の信号強度をのパ
ターンを変えることなく解析データ量を削減することが
できる。また、前記データ量を削減することにより部分
放電現象のばらつきによる信号の相違を少なくし精度の
高い診断をおこなうことができる。
【0079】図10は、前記系統周波数の位相に同期し
た周期成分の信号強度のパターンをその最大値で規格化
したパターンを示す図である。なお、前記規格化は周期
成分の信号強度のパターンのほか、前記周波数パター
ン、後述する特徴量のパターン等の任意のパターンに適
用することができる。
【0080】前記部分放電信号は部分放電の大きさ、あ
るいは部分放電の発生箇所と測定地点との距離の相違等
により、同じ発生原因の部分放電であっても異なった信
号と診断する可能性がある。
【0081】しかし、図10に示すように、信号強度の
パターンをその最大値で規格化することにより、減衰等
による信号の相違をなくしている。したがって、同じ発
生原因の信号強度パターンを他の発生原因パターンと誤
認することない。
【0082】図11は、部分放電信号をスペクトルアナ
ライザで測定して得た周波数スペクトラムから抽出した
特徴量を示す図である。図において、Ymaxは信号強度
の最大値、Yaveは信号強度の平均値、fmaxは信号強度
の最大値が得られる周波数、fsおよびfeは高域側に発
生するスペクトラムの低域側周波数および高域側周波数
であり、これらの特徴量を前記解析装置の解析データと
して使用することができる。
【0083】図12は、系統周波数の位相に同期した周
期成分の信号強度のパターンから抽出した特徴量を示す
図である。図において、Umax+は正の半波期間中におけ
る信号強度の最大値、Umax-は負の半波期間中における
信号強度の最大値、Uave+は正の半波期間中における信
号強度の平均値、Uave-は負の半波期間中における信号
強度の平均値、θs+およびθs-は正の半波信号波形およ
び負の半波信号の立ち上がり部分の位相角、θe+および
θe-は正の半波信号波形および負の半波信号の立ち下が
り部分の位相角、θmax+およびθmax-は正の半波信号波
形および負の半波信号の信号強度の最大値が得られる位
相角であり、これらの特徴量を前記解析装置の解析デー
タとして使用することができる。
【0084】なお、図11および図12は、ガス絶縁機
器の高圧導体上に突起等の固定異物が存在する場合に発
生する部分放電の0〜1500MHzにおける信号強度
のパターンの概略をそれぞれ示した図である。特に図1
2において、部分放電に伴う信号は正の半波と負の半波
のピーク付近に信号が集中して発生しており、ガス系の
異常に起因して発生する部分放電信号の典型的な特徴を
呈している。
【0085】このように、図11および図12に示す特
徴量は、ガス絶縁機器の高圧導体上にある突起等の固定
異物の検出に関しては、前記周波数スペクトラムあるい
は系統周波数の位相に同期した周期成分の信号強度のパ
ターンを使用するよりも顕著であり、この特徴量を利用
することにより診断精度が向上する。
【0086】以上の説明では、前記特徴量は放電検出信
号の大きさと、その信号が発生している周波数および位
相などを示すパラメータから抽出したが、信号強度のパ
ターンの歪みや先鋭度などのパターン形状を表す特徴量
あるいは正および負の半波間における相関係数などの他
の特徴量を解析データとして用いることができる。
【0087】また、このような部分放電信号の特徴量
は、部分放電の発生原因別に特有な特徴量と、印加電
圧、ガス圧力などの周囲状況などの測定条件によって変
化する特徴量がある。例えば前記高電圧導体上の突起に
基づく放電現象は印加電圧の上昇に伴い放電の発生数、
大きさおよび開始位相はそれぞれ変化する。一方、放電
の最大値を与える電圧位相および放電が発生している平
均位相は印加電圧の大きさが変化してもほとんど変化し
ない。したがって、測定条件が変化しても変化しない特
徴量を解析データとして用いて診断することにより診断
精度を向上することができる。
【0088】そして、このようにして抽出した特徴量は
ファジィーシステムの入力、あるいはニューラルネット
ワークの入力として用いて、診断装置を構成することが
できる。
【0089】図13は前記診断装置による別の診断フロ
ーを示す図である。
【0090】まず、診断1では、周波数スペクトラム
(周波数パターン)を解析して得た周波数解析データを
利用して診断をおこなう。すなわち、バックグランドノ
イズ(BGN)の解析データを事前に用意しておき、こ
のBGNの解析データと前記部分放電信号の解析データ
を比較し、部分放電が発生しているか否かを診断する。
例えば部分放電の解析データがBGNの解析データを越
えている場合には部分放電が発生していると診断するこ
とができる。診断1により部分放電が発生していると判
断した場合は診断2に進む。部分放電が発生していなく
正常であると診断した場合には正常である旨の表示をお
こなう。
【0091】診断2では、系統周波数の位相に同期した
周期成分の信号強度のパターン(位相パターン)を解析
して得た解析データを利用して診断をおこなう。すなわ
ち、部分放電信号がガス絶縁機器の内部に起因する信号
か外部に起因する信号かを診断する。診断2により内部
に起因する信号と判断した場合には診断3に進む。外部
に起因する信号と判断した場合には外部ノイズである旨
の表示をおこなう。なお、位相パターンの解析に当たっ
ては300MHz以下の周波数は気中コロナおよび放送
波の影響を受けやすいため300MHz以上において最
大の出力が得られる周波数を選択するのがよい。また、
ただ1つの周波数の位相パターンだけでなく、第2およ
び第3のピークが得られる複数の周波数の位相パターン
を用いると診断の精度を向上することができる。
【0092】診断3では、前記周波数パターンまたは位
相パターンいずれか1以上のパターンから抽出した特徴
量を利用して診断をおこなう。すなわち、検出した部分
放電信号がガス絶縁機器内部の部分放電信号であるか、
シールドなどの接触不良に起因する信号であるかを診断
する。診断3においてガス絶縁機器内部の部分放電であ
ると判断した場合には内部放電である旨の表示を行い、
接触不良と判断した場合には接触不良である旨を表示を
おこなう。
【0093】以上は診断1〜3にニューラルネットワー
クを用いることを前提に説明したが、各診断において最
も精度の高い診断方法を利用するとよい。例えば診断1
および診断2はニューラルネットワークを用い、診断3
はファジィーシステムを用いることができる。診断毎に
アルゴリズムが変わるので診断装置の構成は複雑になる
が、個々の診断に精度の高い診断方法を利用できるので
高精度の診断をおこなうことができる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
部分放電信号を検出し、該信号を多段階に条件分岐して
診断するので、精度の高い診断をおこなうことができ
る。
【0095】さらに、部分放電信号を解析し種々のパタ
ーンとして診断するので簡易で高精度の診断装置を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るガス絶縁機器の部分放
電診断装置を示す図であある。
【図2】部分放電診断装置の条件分岐による診断フロー
を示す図である。
【図3】診断装置に用いることのできるニューラルネッ
トワークを示す図である。
【図4】診断フローの他の例を示す図である。
【図5】再診断をおこなうニューラルネットワークの診
断フローを示す図である。
【図6】部分放電信号の周波数スペクトルを示す図であ
る。
【図7】図6に示す周波数スペクトラムを分割し、分割
した各領域に最大値および平均値を表示した棒グラフを
重ねて表示した図である。
【図8】位相に同期した周期成分の信号強度のパターン
を示す図である。
【図9】図8に示す信号強度のパターンを分割し、分割
した各領域に最大値および平均値を表示した棒グラフを
重ねて表示した図である。
【図10】位相に同期した周期成分の信号強度のパター
ンをその最大値で規格化したパターンを示す図である。
【図11】周波数スペクトラムから抽出した特徴量を示
す図である。
【図12】位相に同期した周期成分の信号強度パターン
から抽出した特徴量を示す図である。
【図13】診断フローのさらに他の例を示す図である。
【図14】従来のニューラルネットワークを示す図であ
る。
【図15】従来のニューラルネットワークの診断フロー
を示す図である。
【符号の説明】
1 ガス絶縁機器の接地金属容器 2 高圧導体 3 絶縁スペーサ 4a,4b,4c 部分放電信号検出器 5 広帯域切換スイッチ 6 増幅器 7 信号解析装置 8 診断装置 9 表示装置

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス絶縁機器が発生する部分放電信号を
    検出する部分放電信号検出器と、 該部分放電信号検出器の検出信号を受信して部分放電信
    号を解析する信号解析装置と、 前記解析装置の解析結果を受信して前記部分放電の発生
    原因を診断する診断装置と、 該診断結果を表示する表示装置からなるガス絶縁機器の
    部分放電診断装置において、 前記診断装置は多段階に条件分岐する診断手段を備え、
    第1の診断手段の診断結果にしたがって複数の第2の診
    断手段のうちの1の診断手段に条件分岐し、該第2の診
    断手段の診断結果を得ることを特徴とするガス絶縁機器
    の部分放電診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、 前記診断装置は、前記部分放電信号の周波数スペクトラ
    ムを診断する診断手段を備えることを特徴とするガス絶
    縁機器の部分放電診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項2の記載において、 前記周波数スペクトラムは所定周波数幅毎に分割した離
    散値であることを特徴とするガス絶縁機器の部分放電診
    断装置。
  4. 【請求項4】 請求項2ないし請求項3の何れか1の記
    載において、 前記診断装置は、前記部分放電信号の周波数スペクトラ
    ムの特徴量を診断する診断手段を備えることを特徴とす
    るガス絶縁機器の部分放電診断装置。
  5. 【請求項5】 請求項1の記載において、 前記診断装置は、系統周波数の位相に同期した周期成分
    信号を診断する診断手段を備えることを特徴とするガス
    絶縁機器の部分放電診断装置。
  6. 【請求項6】 請求項5の記載において、 前記系統周波数の位相に同期した周期成分信号は、系統
    周波数の1周期を所定角度毎に分割した離散値であるこ
    とを特徴とするガス絶縁機器の部分放電診断装置。
  7. 【請求項7】 請求項5ないし請求項6の何れか1の記
    載において、 前記診断装置は、系統周波数の位相に同期した周期成分
    信号の特徴量を診断する診断手段を備えることを特徴と
    するガス絶縁機器の部分放電診断装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7の何れか1の記
    載において、 前記第1の診断手段および第2の診断手段が解析する信
    号は異なる種類の解析信号であることを特徴とするガス
    絶縁機器の部分放電診断装置。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8の何れか1の記
    載において、 前記診断装置が診断する前記信号はその最大値で規格化
    したことを特徴とするガス絶縁機器の部分放電診断装
    置。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9の何れか1の
    記載において、 前記診断装置は、ニューラルネットワークを用いたこと
    を特徴とするガス絶縁機器の部分放電診断装置。
  11. 【請求項11】 請求項10の記載において、 前記ニューラルネットワークは該ニューラルネットワー
    クの1の判定出力が0.5以上でない場合、再度信号を
    取り込み再診断することを特徴とするガス絶縁機器の部
    分放電診断装置。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし請求項11の何れか1
    の記載において、 前記診断装置は、ファジィーシステムを用いたことを特
    徴とするガス絶縁機器の部分放電診断装置。
  13. 【請求項13】 ガス絶縁器が発生する分放電信号を検
    出する部分放電信号検出器と、 該部分放電信号検出器の検出信号を受信して部分放電信
    号を信号解析する信号解析装置と、 前記信号解析の結果を受信して前記部分放電の発生原因
    を診断する診断装置と、 該診断結果を表示する表示装置からなり、 前記診断装置は多段階に条件分岐する診断手段を備え、
    第1の診断手段の診断結果にしたがって複数の第2の診
    断手段のうちの1の診断手段に条件分岐し、該第2の診
    断手段の診断結果を順次得るようにしたガス絶縁機器の
    部分放電診断方法において、前記診断手段は、最初に前
    記検出信号を前記ガス絶縁器が発生する部分放電信号と
    外部ノイズ信号に分岐する診断を行うことを特徴とする
    ガス絶縁機器の部分放電診断方法。
  14. 【請求項14】 請求項12の記載において、 前記診断手段は、前記検出信号を前記ガス絶縁器が発生
    する部分放電信号と診断した後の診断においてガス絶縁
    機器のガス中で発生する部分放電信号とガス絶縁機器中
    の絶縁物中で発生する部分放電信号に分岐する診断を行
    うことを特徴とするガス絶縁機器の部分放電診断方法。
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