JP2000230993A - 燃料被覆管及びその製造方法 - Google Patents

燃料被覆管及びその製造方法

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JP2000230993A
JP2000230993A JP11030795A JP3079599A JP2000230993A JP 2000230993 A JP2000230993 A JP 2000230993A JP 11030795 A JP11030795 A JP 11030795A JP 3079599 A JP3079599 A JP 3079599A JP 2000230993 A JP2000230993 A JP 2000230993A
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zirconium
tube
ppm
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Masafumi Nakatsuka
雅文 中司
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Nippon Nuclear Fuel Development Co Ltd
Hitachi Ltd
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Toshiba Corp
Nippon Nuclear Fuel Development Co Ltd
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐応力腐食割れ性、信頼性及び安定性等に優
れ、総合的にバランスのとれた燃料被覆管及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】ジルコニウム合金製被覆管基材と、この被
覆管基材の内側に前記ジルコニウム合金と冶金的に結合
したジルコニウム製ライナ層とからなるライナ型核燃料
被覆管において、前記ライナ層は高純度ジルコニウム中
に、鉄,クロムの単独または組み合わせた合計で400 重
量ppm から1000重量ppm までの範囲内にある添加元素
と、酸素を400 重量ppm 以下と、その他不可避不純物の
合計が1000重量ppm 以下を含み、かつ前記ライナ層の平
均結晶粒径が10μmから13μmまでであり、かつ前記ラ
イナ層の内面の少なくとも一部に酸化膜が形成されてな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽水冷却型原子炉の
核燃料要素に使用する燃料被覆管及びその製造方法に係
り、特にジルコニウムライナ型燃料被覆管及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】核燃料要素、つまり核燃料棒は、燃料被
覆管(以下、被覆管と記す)内に複数個の核燃料ペレッ
ト(以下、ペレットと記す)を積層装填し、上端部にガ
ス溜用プレナム部とペレットを安定に支持するためのプ
レナムスプリングを有し、被覆管の両端開口部を上部及
び下部端栓で密封溶接した構造となっている。ペレット
は酸化物系核燃料を圧粉成形して焼結したものである。
【0003】被覆管はいくつかの目的で使用され、その
主要目的のうちの第一は、核燃料と冷却材の接触及び接
触による核燃料の化学反応を防止することにある。第二
の目的は、一部がガス状である放射性核分裂生成物が冷
却材中に放出されることを防止することにある。
【0004】現在までの運転経験によれば、核燃料の燃
焼度が高くなった段階で出力が急激に上昇すると、被覆
管と腐食性核分裂生成物との化学反応が起こり、またペ
レットが熱膨張することによって被覆管に熱応力が加わ
り、上記両者の重畳作用により、過酷な使用条件下では
被覆管は応力腐食割れ(以下SCCと呼ぶことがある)
のような化学的な割れを生じるおそれが考えられる。
【0005】また、冷却材中に混入した異物による被覆
管の外表面の摩耗によって被覆管に漏洩が生じる可能性
が考えられる。これらの漏洩によって被覆管の機密性が
喪失し、核燃料と冷却材との化学反応が生じ、ペレット
が酸化することに伴い、水素ガスが放出される。
【0006】さらに、被覆管内表面の酸化により、厚い
酸化膜の形成とともに水素ガスが放出される。また、こ
れらの水素ガスは被覆管の内表面から被覆管材料内に吸
収され、被覆管を脆化させ、水素脆化と称呼されている
割れ現象によって、亀裂開口部が拡大する懸念がある。
【0007】このように被覆管の亀裂開口面積が拡大す
ると、核燃料の核分裂で生じた核分裂生成物が冷却材中
に漏出し冷却材中の放射線量が増加し、原子炉の炉水清
浄化システムを稼働させる必要が生じる。放射性核分裂
生成物が漏出する速度は、被覆管の亀裂の開口面積に依
存して増加し、漏出放射線量が多い場合には、原子炉の
運転を妨げることもあり、このようなことは原子炉の管
理面及び経済性からも好ましくない。
【0008】以上の構成において、被覆管には、以下
(1) 〜(3) の機能を同時にかつバランス良く併せ持つこ
とが要求されている。 (1) 高出力のような過酷な使用条件下でも被覆管に応力
腐食割れのような腐食による化学的な割れが生じないこ
と。
【0009】(2) 万一、割れが生じ機密性が失われた後
でも、被覆管内表面が冷却材で酸化されにくいこと。 (3) 割れを生じた後に被覆管内に蓄積した水素ガスが、
管内表面から吸収されにくいこと。
【0010】しかしながら、下記に種々述べる従来の技
術は上記(1) 〜(3) の何れかの要件に対処する機能を備
えるものの、3つの機能を同時に均衡を保って具備する
例は見当たらないのが現状である。
【0011】すなわち、上記(1) の化学的な割れを防止
することを目的とした公知例として、1964年2月付の文
章GEAP-4555 にはアルミニウム合金に冶金結合した内面
ライニングを有するジルコニウム合金の複合被覆管が記
載されている。この被覆管はステンレス鋼の中性子吸収
が、同じ厚さのジルコニウムの10〜15倍である欠点を有
する。
【0012】特公昭55−33037 号公報には、ジルコニウ
ム合金管及びその内表面に冶金的に結合されかつ不純物
含有量が1000重量ppm 未満(好ましくは500 重量ppm 未
満)で、酸素濃度200 重量ppm 未満のジルコニウム層か
らなる複合被覆管が公知にされている。特開昭54−5960
0 号公報にはジルコニウム中の不純物が1000重量ppm以
上5000重量ppm 以下、酸素が200 重量ppm 以上1200重量
ppm 以下の障壁からなる例が報告されている。
【0013】特開昭55−164396号公報には、ジルコニウ
ム以外の成分を5000重量ppm 以上含有するジルコニウム
合金管及びその内表面に冶金的に結合されかつ不純物含
有量が500 重量ppm 未満のジルコニウム層からなる複合
被覆管の内表面に、ショットピーニング法等で、圧縮変
形を加え、細粒化することによって、内表面の応力腐食
割れに対する抵抗性を増加させる方法が記載されてい
る。ジルコニウム層の酸素は可能な限り低減させるべき
であって、200 重量ppm 以下が好ましいとしている。
【0014】特開平4−315093号公報には、ジルコニウ
ムライナ中の析出物を粗大化して耐応力腐食割れ性能を
向上する方法としてライナの製造工程で再結晶温度以上
に加熱して除冷処理を施すことを特徴とする方法が公開
されている。
【0015】特開昭57−44886 号公報には、0.1 〜3重
量%のモリブデン及び/又は0.03〜1重量%の炭素及び
/又は0.03〜1重量%のリン及び/又は0.03〜1重量%
のケイ素を含有しており、ジルコニウムライナ層に含ま
れる他の物質が0.5 重量%より少なくして結晶粒成長を
抑制し、耐SCC性を向上させた例がある。
【0016】また、特許第2522627 号には、鉄濃度が60
0 重量ppm 以上のジルコニウムライナ層中の結晶の集中
度を表すfr値が0.65以上であることを特徴とする燃料
被覆管が開示されている。
【0017】上記(2) の冷却材によるライナ層の酸化を
低減,防止した従来技術として、Zr基合金製の被覆管
と前記被覆管内に装填されたペレットとを有する原子炉
用燃料体であって、前記被覆管はその内面が0.1 〜1.0
重量%のスズを含有するジルコニウムの層で内張りされ
ており、前記層中のジルコニウム内に存在する他の物質
の合計が0.5 重量%以下であることを特徴とする原子炉
用燃料棒が特開平3−71078 号公報に公開されている。
【0018】また、特開平3−73832 号公報では、被覆
管内表面のライナ層がZry(Zr−Sn合金)であ
り、同ライナ中の酸素を500 重量ppm 以下に抑え、耐応
力腐食割れと破損時の内表面酸化防止機能を具備した技
術が公開されている。
【0019】特開平4−54491 号公報には、燃料被覆管
が厚さ5〜10μmの耐水腐食性に優れたジルコニウム合
金からなる内表面、純ジルコニウム層からなる中間層及
び耐水腐食性に優れたジルコニウム合金からなる外表面
層で構成された三層構造からなる被覆管が公開されてい
る。
【0020】特開昭58−195185号公報には、ジルコニウ
ム合金ライナが0.1 〜0.5 重量%のニオブ及び残部のジ
ルコニウムからなる例が報告されている。特開平1−26
7493号公報には、ジルコニウムライナ層内表面の1μm
以下を合金化する技術が提示されている。
【0021】特開平6−18686 号公報には、ジルコニウ
ムライナの内表面にジルコニウム・スズ合金,ジルコニ
ウム・バナジウム合金,ジルコニウム・スズ・バナジウ
ム合金の群から選択された拡散層を設け、これにより耐
腐食性を向上させる技術が開示されている。
【0022】特開平7−77590 号公報には、ジルコニウ
ム製内張り層が高純度ジルコニウム中にスズ,鉄,クロ
ム,ニッケル,ニオブ,バナジウム,モリブデンのうち
の何れか1つ以上の微量添加物(合計で0.2 −1%)と
酸素を1200重量ppm 以下、とその他の不可避不純物の合
計を2000重量ppm 以下含み、前記微量添加物が0.07〜0.
3 μm以下の平均粒径の金属間化合物として析出されて
なることを特徴とした技術が開示されている。
【0023】上記(3) の燃料被覆管内表面からの水素吸
収を防止することを目的とした技術として、1969年の研
究報告書EUR4098eにはジルコニウム合金に応用した各種
の水素障壁案とその効率が記載されており、Al−Si
コーティングが水素拡散に対して有望な障壁とされてい
る。
【0024】さらに、燃料被覆管の応力腐食割れ及び水
素脆化等の燃料被覆管の性能を劣化させる諸現象の対策
案として、当該被覆管の最内表面のライナ層に酸化被膜
を形成した技術が、実公昭53−25693 号及び特公昭63−
179286号公報として公開されている。特公昭63−179286
号公報には、1200重量ppm 以下の酸素を含むジルコニウ
ムからなる内側管状部材の内表面の0.2 μm以上の酸化
膜を形成したことを特徴とする核燃料用被覆管の製造技
術が公開されている。
【0025】特開平4−190191号公報には、ジルカロイ
合金管の内側に純ジルコニウムを内張りしたジルコニウ
ムライナ被覆管において、Fe,Cr,Niを含む電解
液中に前記被覆管を浸漬し、交番電流で前記被覆管の内
表面に1〜5μmの酸化膜を形成させたことを特徴とす
る核燃料被覆管製造法が公知になっている。さらに、特
開平7−248391号公報には、ジルコニウムライナ内表面
に酸化膜を設ける方法において水蒸気発生装置と水蒸気
撹拌装置とを備えた大気圧の容器内で酸化処理する技術
が公開されている。
【0026】また、特開平10-239473 号公報ではジルコ
ニウム合金製原子炉用燃料被覆管基材に冶金的に結合し
たジルコニウム製内張り層に0.05重量%以上1重量%以
下のFe,Ni,Co,Rh,Pdのいずれか一つ以上
の添加物を含み、かつ内張り材の内表面に酸化膜層を形
成させた技術が報告されている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】ジルコニウムライナ型
被覆管の優れた耐腐食割れ性能を保持したまま、何らか
の原因で被覆管に漏洩を生じた場合も、内表面からの水
素吸収による被覆管の脆化が抑制された高い安定性も同
時に具備した被覆管が、原子炉の経済的な運転面で必要
とされる工業上の背景があった。
【0028】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、耐応力腐食割れ性に優れるとともに、信頼性
と安定性に優れ、かつ経済性のあるジルコニウムライナ
型核燃料被覆管及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0029】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、内部
に核燃料を収納するジルコニウム合金製原子炉用被覆管
基材と、前記被覆管基材の内側に前記ジルコニウム合金
と冶金的に結合したジルコニウム製のライナ層とからな
るライナ型被覆管において、前記ライナ層は高純度ジル
コニウム中に鉄,クロムの単独もしくは組み合わせた合
計で400 重量ppm 以上1000重量ppm 以下の範囲内にある
添加元素と、酸素を400 重量ppm 以下とその他不可避不
純物の合計が1000重量ppm 以下を含み、かつ前記ジルコ
ニウムライナ層の平均結晶粒径が10μm以上13μm以下
であり、かつ該ライナ層の内表面の少なくとも一部に酸
化膜を形成されてなることを特徴とする。
【0030】請求項2の発明は、請求項1に記載の被覆
管において、ジルコニウム合金からなる燃料被覆管基材
管及びこの基材管内に一体的に挿入されるジルコニウム
製挿入管を個別に成形する管個別成形工程と、前記基材
管内にジルコニウム製挿入管を挿入し、冶金的に結合し
た二重管を成形する工程と、この二重管を冷間加工及び
その後に続く焼鈍を繰り返す焼鈍工程を備えた燃料被覆
管の製造方法において、前記焼鈍工程を前記被覆管の焼
鈍と酸化処理とを兼ねて行う最終焼鈍工程からなること
を特徴とする。
【0031】請求項3の発明では、請求項2に記載の燃
料被覆管の製造方法において、前記最終焼鈍工程は、大
気圧近傍の高温水蒸気雰囲気中で被覆管の焼鈍と管内表
面酸化膜生成とを兼ねて処理する工程を特徴とする。
【0032】本発明によれば、ライナ層への添加元素を
最適化することにより、被覆管の通常使用時の健全性を
保持するとともに漏洩が生じた場合にも、侵入した冷却
材による被覆管内面酸化を低減し、かつライナ内表面上
の酸化膜及び大粒径ライナ層によって、水素ガスの吸収
を抑制することによって、通常使用時の燃料被覆管の優
れた性能と漏洩時の高い安定性を両立させ得たものであ
る。
【0033】すなわち、本発明に係る被覆管では、(1)
ライナ層が、高純度ジルコニウム中に、鉄,クロムの単
独もしくは組み合わせた合計で400 重量ppm 以上1000重
量ppm 以下の範囲内にある添加元素と、酸素を400 重量
ppm 以下とその他不可避不純物の合計が1000重量ppm 以
下を含んでいる。
【0034】ライナ層の本来の機能は、高出力のような
過酷な使用条件下でも被覆管に応力腐食割れのような腐
食による化学的な割れが生じないことである。応力腐食
割れ現象について研究が行われた結果、割れ易さ(すな
わち割れ感受性)を低減させるには、ライナ材料自体の
硬さが低いこと、及び材料内での応力集中の起点になる
析出物の数が少ないことの2つの因子が重要であること
が明らかになった。
【0035】本発明では、ライナの材料自身を硬化させ
る元素のうち、特に影響が大きい酸素濃度を工業的に可
能な限り低く制限している。また、鉄やクロムのような
ジルコニウムに溶け込み難い元素を1000重量ppm 以下に
制限することによって、ライナの耐応力腐食割れ性能が
損なわれないことが分かった。
【0036】(2) また、本発明に係る被覆管では、ライ
ナ層には、高純度ジルコニウム中に、鉄,クロムの単独
もしくは組み合わせた合計で400 重量ppm 以上1000重量
ppm以下の範囲内にある元素が添加されているので、燃
料被覆管が何らかの原因で漏洩した場合に冷却材による
被覆管内表面の酸化が生じ難い。このデータを図2に示
す。図2は漏洩を生じた燃料棒内表面での温度より厳し
い条件(400 ℃,72気圧,94時間)で得られた結果であ
り、添加物の合計が400 重量ppm を超えると腐食量が抑
制できることを示している。図2中、上段はジルコニウ
ム中の鉄とクロムの濃度を示し、下段はジルコニウム中
の鉄の濃度を示している。
【0037】(3) さらに、発明者は漏洩を生じた被覆管
ライナ層内表面環境での被覆管の水素ガス吸収挙動につ
いて調べた結果、ライナ層が高純度ジルコニウム中に、
鉄,クロムの単独もしくは組み合わせた合計で400 重量
ppm 以上1000重量ppm 以下の範囲内にある添加元素、か
つ前記ジルコニウムライナ層の平均結晶粒径が10μm以
上13μm以下であり、かつ該ライナ層の内表面に酸化膜
を形成された場合に水素ガスを最も吸収し難くなること
を見出した。同現象は、添加元素の存在で高純度ジルコ
ニウムの場合より水素ガス透過性の低い緻密な酸化膜が
形成されることと、ライナの結晶粒が大きいために水素
ガスに接触する結晶粒界の面積が狭いことに起因すると
推察された。
【0038】従来、既存技術の改良として、ライナ材料
中の酸素濃度を制限し添加元素を加えたり、またはライ
ナの結晶粒径を所定の範囲に調整したり、あるいはライ
ナに酸化膜を形成することは、単独ではそれぞれ公開さ
れているか、既存の知見から容易に類推可能であった。
【0039】しかしながら、本願発明者は上述の(1) か
ら(3) に示したように、各因子の適切な組み合わせによ
って、はじめて因子間に相乗効果が生じ、従来技術には
見られない優れた効果を発揮することを新規に見出した
ものである。
【0040】
【発明の実施の形態】図1により本発明に係る被覆管及
びその製造方法の実施の形態を説明する。まず、図1に
示すようにASTM B−353 を満足する標準的なジル
カロイ−2のインゴットを約1000〜1100℃で30分間加熱
後に水焼き入れする。その後、機械加工によって中空に
して被覆管基材1を製作する。
【0041】製品段階でライナ層を形成することになる
ジルコニウム製挿入管2として、酸素濃度が200 〜450
重量ppm の高純度ジルコニウムを選択し、鉄を200 〜80
0 重量ppm ,クロムを50〜400 重量ppm 添加した各種の
ジルコニウムのインゴットを溶解によって製造した。な
お、同インゴット中に不可避的に存在するその他の不純
物濃度は1000重量ppm 以下であった。
【0042】ジルコニウムインゴットから、鉄,クロ
ム,酸素濃度の組み合わせが表1に示す試作番号1〜6
のインゴット計6本をジルコニウムライナ管試作用に選
定した。なお、試作番号6では、添加元素以外の不可避
的な不純物の合計が500 重量ppm 以下であるような特に
高純度ジルコニウムを用いた。各ジルコニウムインゴッ
トを約800 ℃の熱間で鍛造した後、炉冷し、機械加工に
より中心穴を穿ち、ジルカロイ−2からなる被覆管基材
1内に挿入可能な外径寸法に仕上げた。
【0043】ジルコニウム製挿入管2をジルカロイ−2
からなる被覆管基材1内に組み合わせ(符号3)嵌め込
み、約650 ℃の熱間で、外径約63mmの管を熱間押し出し
(4)、二重管を構成する。つぎに、この二重管を約65
0 ℃,2時間で一次焼鈍5した後、一次冷間加工6と二
次焼鈍7によって、管外径と肉厚とを減少させ、外径約
12.3mm,肉厚約0.9mm まで細径加工した。最終の二次冷
間加工8の後に、約580 ℃の酸化処理容器内で、水蒸気
に約2時間、水蒸気中焼鈍9し、内外表面に黒色の酸化
被膜を形成して燃料被覆管(以下、被覆管と記す)10を
構成した。この被覆管10の内外表面での酸化膜厚さはそ
れぞれ1〜2μmであった。
【0044】被覆管のライナ層部の耐応力腐食割れ(耐
SCC)性能を350 ℃のヨウ素ガス中での管円周方向引
張試験での破断歪によって、被覆管10が何らかの原因で
漏洩が生じた場合の冷却水によるライナ内表面の耐腐食
性を、被覆管10を350 ℃の高温水蒸気中に5日曝した後
の被覆管10の内表面の酸化量によって評価した。
【0045】さらに漏洩が生じた後の被覆管10の内表面
からの水素ガスの吸収抵抗性能を評価するために、被覆
管10の内面に350 ℃に加熱した乾燥した3%水素アルゴ
ン混合ガスを5日間に亘って毎分100 ミリリットル流
し、試験後に被覆管に吸収された水素量を測定した。
【0046】上記のようにして構成した試作番号1〜6
の被覆管の評価を、特性毎の平均値に対する相対値とし
て表1にまとめた。試作番号1では、鉄とクロムの合計
が1100重量ppm で、ジルコニウムライナ部の平均結晶粒
径は8μmであり、水蒸気雰囲気での耐食性は相対的に
最も優れていたが、耐SCC性能は劣り、水素ガス吸収
量は相対的に多く、耐水素吸収性はやや劣った。
【0047】本願発明者のこれまでの知見から、耐SC
C性能が劣ったのは鉄及びクロムからなる析出物数が多
く、応力集中の起点になり、応力腐食割れ感受性を上昇
させたことが分かる。したがって、鉄,クロム濃度がさ
らに増加すると、SCC感受性もさらに上昇するので、
両添加元素の和は1100重量ppm 以下(好ましくは1000重
量ppm 以下)が良いことが分かった。
【0048】試作番号2のように、鉄とクロムの濃度を
1000重量ppm 以下に抑えた場合でも、酸素濃度が450 重
量ppm では耐SCC性能が平均レベルに達せず、また耐
水素ガス吸収性がやや劣った。これはジルコニウムの結
晶粒径が9μmと他のレベルより細粒径であるために、
粒界を通して水素が吸収されたと解釈された。
【0049】なお、酸素はジルコニウム中に固溶して、
ジルコニウム自身を硬化させるので耐SCC性能が低下
したと考察され、この点から酸素は450 重量ppm 未満
(好ましくは400 重量ppm 以下)であることが、耐SC
C性能を向上させるために必要であることが分かる。
【0050】試作番号3に示すように、鉄とクロム濃度
を合計で300 重量ppm まで低く抑えて、ライナ部の平均
結晶粒径を12μmまで増加させると耐水素ガス吸収性は
平均的なレベルに届いたが、逆に水蒸気中の耐腐食性能
が劣った。これは鉄,クロム不足のために最終工程での
酸化処理中に、緻密な酸化膜が形成されなかったことに
起因することが分かった。
【0051】そこで、試作番号4では、鉄とクロムを試
作番号3より増加させ、合計で400重量ppm にした。こ
の場合には、耐SCC性能、耐食性及び耐水素ガス吸収
性も平均的であり、性能として均衡がとれていることが
分かる。このことから、鉄とクロムは合計(または単
独)で400 重量ppm 以上含まれることが必要である。
【0052】また、試作番号5では試作番号4と同一組
成ではあるが、酸化膜のみない管であるが、水素吸収量
が多く、表面の酸化膜が水素吸収の障壁として作用して
いることが分かる。ただし、公知技術のように単に酸化
膜を形成させるのではなく、試作番号1〜4のデータか
ら自明なように、本実施の形態の新規性は、適切な添加
元素濃度及びライナ粒径との組み合わせの基で、はじめ
て総合的に性能がバランスした新たな硬化を有する被覆
管を提供できる点を見出したことである。
【0053】なお、試作番号2と3を比べると、ライナ
の結晶粒径が増大すると耐水素ガス吸収性能は向上する
ものの、試作番号6に例示したようにライナ粒径を粗大
化すると、ジルコニウムのへき開面(通常はα−ジルコ
ニウムの底面であるが)が大きくなり、粒内割れを生じ
易くなり、このことからジルコニウムの平均結晶粒径は
14μm未満(好ましくは13μm以下)に調整すべきであ
ることが分かる。
【0054】なお、実施の形態では580 ℃,2時間での
酸化と焼鈍とを兼ねた最終処理の例を示したが、焼鈍条
件は実施の形態に限定される必要はなく、また従来技術
のように焼鈍の酸化処理工程を分けても、本実施の形態
に含まれ、同一の効果が得られるのは明らかである。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、被覆管が健全に利用さ
れているときの優れた耐応力腐食割れ性能を備えるとと
もに、万一何らかの原因で被覆管に漏洩を生じた場合に
でも、被覆管内表面が急激に酸化されることがない。ま
た、被覆管内表面に蓄積した水素ガスを急激に吸収して
水素脆化することはない。このように耐応力腐食割れ
性、信頼性及び安定性等に優れ、総合的にバランスのと
れた被覆管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料被覆管の製造方法の一実施の
形態を示す工程図。
【図2】本発明に係る燃料被覆管の作用を説明するため
のジルコニウム中の鉄及びクロム濃度と高温水蒸気によ
る酸化試験後の酸化重量増加との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1…被覆管基材、2…ジルコニウム製挿入管、3…組み
合わせ、4…熱間押し出し、5…一次焼鈍、6…一次冷
間加工、7…二次焼鈍、8…二次冷間加工、9…水蒸気
中焼鈍、10…燃料被覆管。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に核燃料を収納するジルコニウム合
    金製被覆管基材と、この被覆管基材の内側に前記ジルコ
    ニウム合金と冶金的に結合したジルコニウム製ライナ層
    とからなるライナ型核燃料被覆管において、前記ライナ
    層は高純度ジルコニウム中に、鉄,クロムの単独または
    組み合わせた合計で400 重量ppm 以上1000重量ppm 以下
    の範囲内にある添加元素と、酸素を400 重量ppm 以下
    と、その他不可避不純物の合計が1000重量ppm 以下を含
    み、かつ前記ライナ層の平均結晶粒径が10μm以上13μ
    m以下であり、かつ前記ライナ層の内面の少なくとも一
    部に酸化膜が形成されてなることを特徴とする燃料被覆
    管。
  2. 【請求項2】 ジルコニウム合金からなる燃料被覆管の
    基材管及びこの基材管内に一体的に挿入されるジルコニ
    ウム製挿入管を個別に成形する管個別成形工程と、前記
    基材管内にジルコニウム製挿入管を挿入し、冶金的に結
    合した二重管を成形する二重管成形工程と、前記二重管
    を冷間加工する冷間加工工程及びその後に続く焼鈍を繰
    り返す焼鈍工程を備えた燃料被覆管の製造方法におい
    て、前記焼鈍工程を前記被覆管の焼鈍と酸化処理とを兼
    ねた最終焼鈍工程により行うことを特徴とする燃料被覆
    管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記最終焼鈍工程は、大気圧近傍の高温
    水蒸気雰囲気中で前記被覆管の焼鈍と前記被覆管内面へ
    の酸化膜生成とを兼ねて処理することを特徴とする請求
    項2記載の燃料被覆管の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008170300A (ja) * 2007-01-12 2008-07-24 Toshiba Corp 燃料被覆管およびその製造方法並びに燃料棒
CN111270179A (zh) * 2020-02-12 2020-06-12 北京金轮坤天特种机械有限公司 一种耐磨耐蚀锆合金球/球缺体及其制备方法和应用

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