JP2000257687A - 無段変速機用転動体およびその製造方法 - Google Patents
無段変速機用転動体およびその製造方法Info
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- JP2000257687A JP2000257687A JP11064419A JP6441999A JP2000257687A JP 2000257687 A JP2000257687 A JP 2000257687A JP 11064419 A JP11064419 A JP 11064419A JP 6441999 A JP6441999 A JP 6441999A JP 2000257687 A JP2000257687 A JP 2000257687A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 内部起点の剥離を防止することが可能である
と共に異物の噛み込みによる表面破損を防止することが
可能である耐久性に優れた無段変速機用転動体を提供す
る。 【解決手段】 転動面をそなえた無段変速機用転動体
(入出力ディスク5,9)において、表面に窒化処理層
5n,9nが形成されていると共に、転動面には窒化処
理層5n,9nとともに金属炭化物溶射層5m,9mが
形成されているものとした。
と共に異物の噛み込みによる表面破損を防止することが
可能である耐久性に優れた無段変速機用転動体を提供す
る。 【解決手段】 転動面をそなえた無段変速機用転動体
(入出力ディスク5,9)において、表面に窒化処理層
5n,9nが形成されていると共に、転動面には窒化処
理層5n,9nとともに金属炭化物溶射層5m,9mが
形成されているものとした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車な
どの車両やその他の回転動力源等において、トロイダル
式(転がり式)やベルト式(溝幅可変プーリー式)など
の無段変速機として使用可能な無段変速機に適し、その
うち、トロイダル式無段変速機やベルト式無段変速機を
構成する転動体に使用することが可能である無段変速機
用転動体およびその製造方法に関するものである。
どの車両やその他の回転動力源等において、トロイダル
式(転がり式)やベルト式(溝幅可変プーリー式)など
の無段変速機として使用可能な無段変速機に適し、その
うち、トロイダル式無段変速機やベルト式無段変速機を
構成する転動体に使用することが可能である無段変速機
用転動体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無段変速機は大きく分けて、ベルトと溝
幅可変プーリーとを組み合わせたベルトドライブ方式の
ものと、転動体を用いたトラクションドライブ方式のも
のとがあり、このうち、前者は、伝達動力の小さい場合
について既に用いられている。
幅可変プーリーとを組み合わせたベルトドライブ方式の
ものと、転動体を用いたトラクションドライブ方式のも
のとがあり、このうち、前者は、伝達動力の小さい場合
について既に用いられている。
【0003】他方、トロイダル式(転がり式)は後者の
一つであり、高馬力に対応できる機構を有し、例えば、
図4に示すように、潤滑油を介して接触する金属製転動
体を用いた構造を有するものであって、このトロイダル
式無段変速機1は、入力軸2に接続したローディングカ
ム3および連結軸4を介して一体で回転する入力ディス
ク5,5を備えていると共に、歯車6,7を介して出力
軸8を回転させる出力ディスク9,9をそなえ、入力デ
ィスク5,5と出力ディスク9,9との間にパワーロー
ラー10,10,10,10を設け、各パワーローラー
10はボールベアリング11を介して各々支持体12に
より支持された構造を有するものである。
一つであり、高馬力に対応できる機構を有し、例えば、
図4に示すように、潤滑油を介して接触する金属製転動
体を用いた構造を有するものであって、このトロイダル
式無段変速機1は、入力軸2に接続したローディングカ
ム3および連結軸4を介して一体で回転する入力ディス
ク5,5を備えていると共に、歯車6,7を介して出力
軸8を回転させる出力ディスク9,9をそなえ、入力デ
ィスク5,5と出力ディスク9,9との間にパワーロー
ラー10,10,10,10を設け、各パワーローラー
10はボールベアリング11を介して各々支持体12に
より支持された構造を有するものである。
【0004】そして、このトロイダル式無段変速機1で
は、入力ディスク5と出力ディスク9との間で挟まれた
パワーローラー10の傾きを変化させ、入出力ディスク
5,9の相対回転速度を変えて変速しつつ、入力軸2か
ら出力軸8へと動力を伝達する仕組みになっている(特
開平1−229158号公報など)。
は、入力ディスク5と出力ディスク9との間で挟まれた
パワーローラー10の傾きを変化させ、入出力ディスク
5,9の相対回転速度を変えて変速しつつ、入力軸2か
ら出力軸8へと動力を伝達する仕組みになっている(特
開平1−229158号公報など)。
【0005】このような無段変速機においては、大きな
動力を伝達するため、トロイダル式無段変速機1の転動
体(入出力ディスク5,9,パワーローラー10)は、
高面圧下(例えば、3.0GPa程度)での転動疲労寿
命に優れる高い表面硬度と深い硬化層深さ(例えば、E
CD=2〜3mm程度)を得ることができるような材料
と製造方法が要求される。
動力を伝達するため、トロイダル式無段変速機1の転動
体(入出力ディスク5,9,パワーローラー10)は、
高面圧下(例えば、3.0GPa程度)での転動疲労寿
命に優れる高い表面硬度と深い硬化層深さ(例えば、E
CD=2〜3mm程度)を得ることができるような材料
と製造方法が要求される。
【0006】また、図5はベルト(ドライブ)式無段変
速機の一例を示すものであって、このベルト式無段変速
機21は、原動側の溝幅可変プーリー22と従動側の溝
幅可変プーリー23との間にベルト24をかけわたした
構造を有するものであって、図5(A)に示すロー状態
では原動側の溝幅可変プーリー22が大きい溝幅WLに
なっていると共に従動側の溝幅可変プーリー23が小さ
い溝幅WSになっているものとなり、図5(B)に示す
オーバードライブ状態では原動側の溝幅可変プーリー2
2が小さい溝幅WSになっていると共に従動側の溝幅可
変プーリー23が大きい溝幅WLになっていて、これら
の間で変速比を無段で変えることができる仕組みになっ
ており、この場合の転動体(溝幅可変プーリー22,2
3)においても転動疲労寿命に優れているものであるこ
とが要求される。
速機の一例を示すものであって、このベルト式無段変速
機21は、原動側の溝幅可変プーリー22と従動側の溝
幅可変プーリー23との間にベルト24をかけわたした
構造を有するものであって、図5(A)に示すロー状態
では原動側の溝幅可変プーリー22が大きい溝幅WLに
なっていると共に従動側の溝幅可変プーリー23が小さ
い溝幅WSになっているものとなり、図5(B)に示す
オーバードライブ状態では原動側の溝幅可変プーリー2
2が小さい溝幅WSになっていると共に従動側の溝幅可
変プーリー23が大きい溝幅WLになっていて、これら
の間で変速比を無段で変えることができる仕組みになっ
ており、この場合の転動体(溝幅可変プーリー22,2
3)においても転動疲労寿命に優れているものであるこ
とが要求される。
【0007】このうち、トロイダル式無段変速機用の転
動体(ディスク5,9,パーワーローラー10)を製造
するに際しては、例えば、ディスク(5,9)の製造工
程を示す図6の(A)およびパーワーローラー(10)
を製造工程を示す図6の(B)より明らかであるよう
に、まず、購入したバー材を所定の寸法に切断すること
により鍛造素材5a,9a,10aとなし、次いで、予
め準備した金型を用いて型鍛造品5b,9b,10bの
形状に熱間鍛造で成形して徐冷した後、焼きならし処理
を施したものを鍛造後粗材とし、この鍛造後粗材を機械
加工で所定の図面寸法を有するディスク素材5c,9c
およびパーワーローラー素材10cに仕上げ、一般的に
は浸炭または浸炭窒化処理を施して製造されている。
動体(ディスク5,9,パーワーローラー10)を製造
するに際しては、例えば、ディスク(5,9)の製造工
程を示す図6の(A)およびパーワーローラー(10)
を製造工程を示す図6の(B)より明らかであるよう
に、まず、購入したバー材を所定の寸法に切断すること
により鍛造素材5a,9a,10aとなし、次いで、予
め準備した金型を用いて型鍛造品5b,9b,10bの
形状に熱間鍛造で成形して徐冷した後、焼きならし処理
を施したものを鍛造後粗材とし、この鍛造後粗材を機械
加工で所定の図面寸法を有するディスク素材5c,9c
およびパーワーローラー素材10cに仕上げ、一般的に
は浸炭または浸炭窒化処理を施して製造されている。
【0008】また、ベルト式無段変速機用転動体(プー
リー22,23)もほぼ同様の工程で図7に示すような
プーリー素材22c,23cに成形したのち浸炭または
浸炭窒化処理を施して製造されている。
リー22,23)もほぼ同様の工程で図7に示すような
プーリー素材22c,23cに成形したのち浸炭または
浸炭窒化処理を施して製造されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の転動体にあっては、転動体素材に対し浸炭ま
たは浸炭窒化処理を施してマトリックスをマルテンサイ
ト組織のまま、あるいは、マルテンサイト組織の中に微
細な(粒径0.2〜0.3μmほどの)炭化物や炭窒化
物を面積率で2〜10%程度析出させたものとしていた
ため、面圧3.5GPa程度までは実用に耐える得るも
のであったが、ユニットの小型,軽量化が燃費向上の見
地から重要視されていることから、ユニットの小型,軽
量化を実現するためには面圧を5GPa程度にする必要
がある。
うな従来の転動体にあっては、転動体素材に対し浸炭ま
たは浸炭窒化処理を施してマトリックスをマルテンサイ
ト組織のまま、あるいは、マルテンサイト組織の中に微
細な(粒径0.2〜0.3μmほどの)炭化物や炭窒化
物を面積率で2〜10%程度析出させたものとしていた
ため、面圧3.5GPa程度までは実用に耐える得るも
のであったが、ユニットの小型,軽量化が燃費向上の見
地から重要視されていることから、ユニットの小型,軽
量化を実現するためには面圧を5GPa程度にする必要
がある。
【0010】ところが、面圧が大きくなると最大剪断応
力発生位置も深さ約0.9mmと深くなり、発熱量も多
くなるため、最大剪断応力発生位置で組織変化が早期に
発生する可能性があり、組織変化が発生するとこの組織
変化部を起点として面疲労破損することもありうるとい
う問題点や、使用途中で発生する摩耗粉などを転動面に
噛み込むことによる表面起点の剥離が発生することもあ
りうるという問題点や、高面圧化による曲げ疲労強度の
不足も起こりうるという問題点があった。
力発生位置も深さ約0.9mmと深くなり、発熱量も多
くなるため、最大剪断応力発生位置で組織変化が早期に
発生する可能性があり、組織変化が発生するとこの組織
変化部を起点として面疲労破損することもありうるとい
う問題点や、使用途中で発生する摩耗粉などを転動面に
噛み込むことによる表面起点の剥離が発生することもあ
りうるという問題点や、高面圧化による曲げ疲労強度の
不足も起こりうるという問題点があった。
【0011】
【発明の目的】本発明は、このような従来の問題点に着
目してなされたものであって、表面から深さ約0.9m
mの最大剪断応力発生位置を超え応力影響深さ以上の2
〜3mmまでを組織変化および分解しない鉄化合物であ
る金属炭化物溶射層とすることで内部起点の剥離を防止
し、このような金属炭化物溶射層の硬度はHv1300
〜3200であるので摩耗粉等の異物噛み込みによる表
面破損も防止可能となり、更に、金属炭化物溶射層以外
のマルテンサイト部の疲労強度および耐摩耗性向上を図
るために母材の焼もどし2次硬化温度で白層と称する化
合物層の出ない窒化処理を施し、さらに金属炭化物溶射
層以外の表面をショットピーニング処理することで窒化
部に対し窒化で発生する圧縮残留応力よりも強い圧縮残
留応力を付加することにより、上記問題点を解決するこ
とを目的としている。
目してなされたものであって、表面から深さ約0.9m
mの最大剪断応力発生位置を超え応力影響深さ以上の2
〜3mmまでを組織変化および分解しない鉄化合物であ
る金属炭化物溶射層とすることで内部起点の剥離を防止
し、このような金属炭化物溶射層の硬度はHv1300
〜3200であるので摩耗粉等の異物噛み込みによる表
面破損も防止可能となり、更に、金属炭化物溶射層以外
のマルテンサイト部の疲労強度および耐摩耗性向上を図
るために母材の焼もどし2次硬化温度で白層と称する化
合物層の出ない窒化処理を施し、さらに金属炭化物溶射
層以外の表面をショットピーニング処理することで窒化
部に対し窒化で発生する圧縮残留応力よりも強い圧縮残
留応力を付加することにより、上記問題点を解決するこ
とを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる無段変速
機用転動体は、請求項1に記載しているように、転動面
をそなえた無段変速機用転動体において、表面に窒化処
理層が形成されていると共に、転動面には窒化処理層に
加えて金属炭化物溶射層が形成されているものとしたこ
とを特徴としている。
機用転動体は、請求項1に記載しているように、転動面
をそなえた無段変速機用転動体において、表面に窒化処
理層が形成されていると共に、転動面には窒化処理層に
加えて金属炭化物溶射層が形成されているものとしたこ
とを特徴としている。
【0013】そして、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項2に記載しているよう
に、窒化処理層は白層化合物層を含有していないもので
あるようになすことができる。
体の実施態様においては、請求項2に記載しているよう
に、窒化処理層は白層化合物層を含有していないもので
あるようになすことができる。
【0014】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項3に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層はCr,Mo,W,V,Nb,T
a,Ti,Zr,Hfのうちから選ばれる元素の金属炭
化物からなるものとすることができる。
体の実施態様においては、請求項3に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層はCr,Mo,W,V,Nb,T
a,Ti,Zr,Hfのうちから選ばれる元素の金属炭
化物からなるものとすることができる。
【0015】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項4に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層は2.0〜3.0mmの厚さを有
するものとすることができる。
体の実施態様においては、請求項4に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層は2.0〜3.0mmの厚さを有
するものとすることができる。
【0016】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項5に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層以外の表面にショットピーニング
が施されているものとすることができる。
体の実施態様においては、請求項5に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層以外の表面にショットピーニング
が施されているものとすることができる。
【0017】本発明に係わる無段変速機用転動体の製造
方法は、請求項6に記載しているように、転動面をそな
えた無段変速機用転動体を製造するに際し、転動体形状
をなす鋼素材の転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化
物溶射層を形成したのち、転動面を含む表面に窒化処理
を施して窒化処理層を形成するようにしたことを特徴と
している。
方法は、請求項6に記載しているように、転動面をそな
えた無段変速機用転動体を製造するに際し、転動体形状
をなす鋼素材の転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化
物溶射層を形成したのち、転動面を含む表面に窒化処理
を施して窒化処理層を形成するようにしたことを特徴と
している。
【0018】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法は、請求項7に記載しているように、転動
面をそなえた無段変速機用転動体を製造するに際し、転
動体形状をなす鋼素材の表面に窒化処理を施して窒化処
理層を形成したのち、転動面に金属炭化物を溶射して金
属炭化物溶射層を形成するようにしたことを特徴として
いる。
体の製造方法は、請求項7に記載しているように、転動
面をそなえた無段変速機用転動体を製造するに際し、転
動体形状をなす鋼素材の表面に窒化処理を施して窒化処
理層を形成したのち、転動面に金属炭化物を溶射して金
属炭化物溶射層を形成するようにしたことを特徴として
いる。
【0019】そして、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法の実施態様においては、請求項8に記載し
ているように、鋼素材は焼入れ後450〜600℃で焼
もどしを行った際の母材硬度がHRC35〜64ないし
は45〜64となる合金鋼であるものとすることができ
る。
体の製造方法の実施態様においては、請求項8に記載し
ているように、鋼素材は焼入れ後450〜600℃で焼
もどしを行った際の母材硬度がHRC35〜64ないし
は45〜64となる合金鋼であるものとすることができ
る。
【0020】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法の実施態様においては、請求項9に記載し
ているように、窒化処理は、焼入れ後の焼もどしを兼用
するものであり、白層化合物を含有しない窒化処理層を
形成するものであるようになすことができる。
体の製造方法の実施態様においては、請求項9に記載し
ているように、窒化処理は、焼入れ後の焼もどしを兼用
するものであり、白層化合物を含有しない窒化処理層を
形成するものであるようになすことができる。
【0021】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法の実施態様においては、請求項10に記載
しているように、窒化処理は、焼入れ焼もどしをしたの
ち施すものであり、白層化合物層を含有しない窒化処理
層を形成するものであるようになすことができる。
体の製造方法の実施態様においては、請求項10に記載
しているように、窒化処理は、焼入れ焼もどしをしたの
ち施すものであり、白層化合物層を含有しない窒化処理
層を形成するものであるようになすことができる。
【0022】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法の実施態様においては、請求項11に記載
しているように、金属炭化物溶射層以外の表面をショッ
トピーニング処理するようになすことができる。
体の製造方法の実施態様においては、請求項11に記載
しているように、金属炭化物溶射層以外の表面をショッ
トピーニング処理するようになすことができる。
【0023】
【発明の作用】この種の無段変速機用転動体(図4に示
したトロイダル式無段変速機1の入力ディスク5,出力
ディスク9,パーワーローラー10、図5に示したベル
ト式無段変速機21の溝幅可変プーリー22,23)の
素材としては、軸受用鋼として開発された清浄鋼(低酸
素・低硫黄鋼)が用いられることが多い。
したトロイダル式無段変速機1の入力ディスク5,出力
ディスク9,パーワーローラー10、図5に示したベル
ト式無段変速機21の溝幅可変プーリー22,23)の
素材としては、軸受用鋼として開発された清浄鋼(低酸
素・低硫黄鋼)が用いられることが多い。
【0024】これは、この種の転動体が転がり軸受とほ
ぼ同じ作動状況にさらされるものとなることによる。
ぼ同じ作動状況にさらされるものとなることによる。
【0025】そして、この種の転動体は、すべりのほと
んどない転がり接触するものとなり、ヘルツの接触応力
で3.0〜3.5GPaの面圧で作動しているものとな
る。
んどない転がり接触するものとなり、ヘルツの接触応力
で3.0〜3.5GPaの面圧で作動しているものとな
る。
【0026】この転動体の破損モードは面疲労による剥
離であり、その起点はヘルツの接触応力で発生する最大
剪断応力の発生している材料内部であって、接触応力
3.0〜3.5GPaでは表面下0.5〜0.6mmの
位置である。
離であり、その起点はヘルツの接触応力で発生する最大
剪断応力の発生している材料内部であって、接触応力
3.0〜3.5GPaでは表面下0.5〜0.6mmの
位置である。
【0027】この種の転動体に清浄鋼を用いる理由は、
非金属介在物、とくに酸化物系介在物の少ない鋼でない
と、最大剪断応力発生位置に酸化物系介在物が存在した
場合にこれを起点として早期に剥離を生ずるおそれがあ
るからである。
非金属介在物、とくに酸化物系介在物の少ない鋼でない
と、最大剪断応力発生位置に酸化物系介在物が存在した
場合にこれを起点として早期に剥離を生ずるおそれがあ
るからである。
【0028】しかしながら、このような清浄鋼を用いた
ときでも、例えば、2×107回程度の寿命で剥離が発
生することもある。そして、この剥離の原因は、最大剪
断応力発生深さ付近での発熱による組織変化であること
が判明した。
ときでも、例えば、2×107回程度の寿命で剥離が発
生することもある。そして、この剥離の原因は、最大剪
断応力発生深さ付近での発熱による組織変化であること
が判明した。
【0029】トロイダル式無段変速機の場合、転動体で
あるディスクとパーワーローラーは、トラクション油を
介して接触しており、直接接触することなくトルクを伝
達する機構になっているが、面圧の上昇とともに発熱量
も多くなり、接触応力3.0〜3.5GPaレベルのも
のでは特に問題なく実用化できるが、それ以上の面圧で
は組織変化が早期に発生し、大容量のトロイダル式無段
変速機用転動体としては実用化が困難であることが判明
した。
あるディスクとパーワーローラーは、トラクション油を
介して接触しており、直接接触することなくトルクを伝
達する機構になっているが、面圧の上昇とともに発熱量
も多くなり、接触応力3.0〜3.5GPaレベルのも
のでは特に問題なく実用化できるが、それ以上の面圧で
は組織変化が早期に発生し、大容量のトロイダル式無段
変速機用転動体としては実用化が困難であることが判明
した。
【0030】そして、接触圧力(面圧)が3.5GPa
で使用される転動体部分の温度は約180℃であるが、
5.0GPaになると約250℃と高くなるため、この
温度で組織変化も分解もしない組織として金属炭化物が
適していることになる。
で使用される転動体部分の温度は約180℃であるが、
5.0GPaになると約250℃と高くなるため、この
温度で組織変化も分解もしない組織として金属炭化物が
適していることになる。
【0031】因みに、この種の転動体として具備しなけ
ればならない特性として、曲げ疲労強度と衝撃強度があ
り、それぞれの設計値として、小野式回転曲げ疲労限で
約1000MPa,シャルピー吸収エネルギーで約10
〜20Jがある。
ればならない特性として、曲げ疲労強度と衝撃強度があ
り、それぞれの設計値として、小野式回転曲げ疲労限で
約1000MPa,シャルピー吸収エネルギーで約10
〜20Jがある。
【0032】このような表面および芯部の特性を具備し
た転動体とするため、鋼素材として、焼入れ後窒化処理
温度に加熱したとき、焼もどし硬度がHRC35〜64
(ないしはHRC45〜64)を保持することができる
合金鋼を用い、焼入れ焼もどし後、あるいは焼もどしと
兼ねて窒化処理を施したのち、転動面にのみ高硬度でか
つ組織変化の発生しない金属炭化物層を溶射肉盛りによ
って最大剪断応力発生深さよりも厚めに形成するように
し、あるいは前記窒化処理の前に前記転動面のみでの金
属炭化物の溶射肉盛りを行うようになすことで、組織変
化による軟化部を起点とする破損を防止することが可能
となるばかりでなく、異物の噛み込みによる転動面の表
面起点の破損も防止できるようになることがわかった。
た転動体とするため、鋼素材として、焼入れ後窒化処理
温度に加熱したとき、焼もどし硬度がHRC35〜64
(ないしはHRC45〜64)を保持することができる
合金鋼を用い、焼入れ焼もどし後、あるいは焼もどしと
兼ねて窒化処理を施したのち、転動面にのみ高硬度でか
つ組織変化の発生しない金属炭化物層を溶射肉盛りによ
って最大剪断応力発生深さよりも厚めに形成するように
し、あるいは前記窒化処理の前に前記転動面のみでの金
属炭化物の溶射肉盛りを行うようになすことで、組織変
化による軟化部を起点とする破損を防止することが可能
となるばかりでなく、異物の噛み込みによる転動面の表
面起点の破損も防止できるようになることがわかった。
【0033】そしてさららに、金属炭化物溶射層以外の
部分にショットピーニングを施すことで残留応力を付与
することによって、窒化処理による疲労強度の向上に加
えてショットピーニングによる疲労強度のより一層の向
上を図ることが可能となる。
部分にショットピーニングを施すことで残留応力を付与
することによって、窒化処理による疲労強度の向上に加
えてショットピーニングによる疲労強度のより一層の向
上を図ることが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明は、転動面をそなえた無段
変速機用転動体において、表面に窒化処理層が形成され
ていると共に、転動面は窒化処理層とともに金属炭化物
溶射層が形成されているものとしたことを特徴としてお
り、このような転動面をそなえた無段変速機用転動体を
製造するに際しては、転動体形状をなす鋼素材の転動面
に金属炭化物を溶射して金属炭化物溶射層を形成したの
ち、転動面を含む表面に窒化処理を施して窒化処理層を
形成するようにし、あるいはまた、転動体形状をなす鋼
素材の表面に窒化処理を施して窒化処理層を形成したの
ち、転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化物溶射層を
形成するようにしている。
変速機用転動体において、表面に窒化処理層が形成され
ていると共に、転動面は窒化処理層とともに金属炭化物
溶射層が形成されているものとしたことを特徴としてお
り、このような転動面をそなえた無段変速機用転動体を
製造するに際しては、転動体形状をなす鋼素材の転動面
に金属炭化物を溶射して金属炭化物溶射層を形成したの
ち、転動面を含む表面に窒化処理を施して窒化処理層を
形成するようにし、あるいはまた、転動体形状をなす鋼
素材の表面に窒化処理を施して窒化処理層を形成したの
ち、転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化物溶射層を
形成するようにしている。
【0035】そして、このような無段変速機用転動体の
鋼素材としては、焼入れ後450〜600℃で焼もどし
を行った際の母材硬度がHRC35〜64ないしは45
〜64となる合金鋼であるものとすることができ、より
具体的には、JIS G 4404で制定する合金工具
鋼(SKS,SKD,SKT,SKH)や、JISG
4805で制定する軸受鋼(SUJ)等が使用され、必
要に応じて非金属介在物を低減した清浄鋼が用いられ
る。
鋼素材としては、焼入れ後450〜600℃で焼もどし
を行った際の母材硬度がHRC35〜64ないしは45
〜64となる合金鋼であるものとすることができ、より
具体的には、JIS G 4404で制定する合金工具
鋼(SKS,SKD,SKT,SKH)や、JISG
4805で制定する軸受鋼(SUJ)等が使用され、必
要に応じて非金属介在物を低減した清浄鋼が用いられ
る。
【0036】次いで、このような素材を用いて成形した
転動体粗成形体に対しては、焼入れを行ったのち例えば
450〜600℃の温度での焼もどしを兼用する窒化処
理を施し、白層と称される化合物を含有しない窒化処理
層を形成する。
転動体粗成形体に対しては、焼入れを行ったのち例えば
450〜600℃の温度での焼もどしを兼用する窒化処
理を施し、白層と称される化合物を含有しない窒化処理
層を形成する。
【0037】あるいはまた、上記した転動体粗成形体に
対し、焼入れおよび焼もどしを施したのち例えば450
〜600℃の温度で窒化処理を施し、白層と称される化
合物層を含有しない窒化処理層を形成する。
対し、焼入れおよび焼もどしを施したのち例えば450
〜600℃の温度で窒化処理を施し、白層と称される化
合物層を含有しない窒化処理層を形成する。
【0038】そして、この場合の窒化処理に際しては、
NH3ガス,ガス軟窒化,イオン窒化など、公知の窒化
処理を採用することが可能である。
NH3ガス,ガス軟窒化,イオン窒化など、公知の窒化
処理を採用することが可能である。
【0039】このような窒化処理後には、転動面におけ
る窒化処理層上に金属炭化物を溶射することによって金
属炭化物溶射層を形成し、あるいはまた、このような窒
化処理の前に転動面にのみ金属炭化物溶射層を形成す
る。
る窒化処理層上に金属炭化物を溶射することによって金
属炭化物溶射層を形成し、あるいはまた、このような窒
化処理の前に転動面にのみ金属炭化物溶射層を形成す
る。
【0040】この場合、金属炭化物溶射層はCr,M
o,W,V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfのうちから
選ばれる元素の金属炭化物からなるものとすることがで
きる。
o,W,V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfのうちから
選ばれる元素の金属炭化物からなるものとすることがで
きる。
【0041】また、金属炭化物溶射層の厚さはディスク
5,9およびパワーローラ10の場合、2.0mm以上
とするのがより望ましく、面圧5GPaでの最大剪断応
力発生深さは0.9〜1.2mmで、応力の影響深さは
約1.8mmほどであるので、これ以上の深さとなるよ
うにすることがより望ましい。一方、金属炭化物溶射層
の厚さが大きすぎると衝撃強度が低下することとなり、
硬化層(金属炭化物層)と母材との比が0.3を超える
と衝撃強度がかなり低下することとなるので、例えば、
転動体の肉厚が10mmであるときには3.0mm以下
の層厚さとすることが場合によっては望ましい。
5,9およびパワーローラ10の場合、2.0mm以上
とするのがより望ましく、面圧5GPaでの最大剪断応
力発生深さは0.9〜1.2mmで、応力の影響深さは
約1.8mmほどであるので、これ以上の深さとなるよ
うにすることがより望ましい。一方、金属炭化物溶射層
の厚さが大きすぎると衝撃強度が低下することとなり、
硬化層(金属炭化物層)と母材との比が0.3を超える
と衝撃強度がかなり低下することとなるので、例えば、
転動体の肉厚が10mmであるときには3.0mm以下
の層厚さとすることが場合によっては望ましい。
【0042】また、プーリー22,23の場合、1.5
mm以上とするのがより望ましく、面圧2〜3GPaで
の最大剪断応力発生深さは0.3〜0.6mmで、応力
の影響深さは約1.3mmほどであるので、これ以上の
深さとなるようにすることが望ましい。一方、金属炭化
物溶射層の厚さが大きすぎると衝撃強度が低下すること
となり、硬化層(金属炭化物層)と母材との比が大きく
なると衝撃強度が低下することとなるので2.0mm以
下の層厚さとすることが場合によっては望ましい。
mm以上とするのがより望ましく、面圧2〜3GPaで
の最大剪断応力発生深さは0.3〜0.6mmで、応力
の影響深さは約1.3mmほどであるので、これ以上の
深さとなるようにすることが望ましい。一方、金属炭化
物溶射層の厚さが大きすぎると衝撃強度が低下すること
となり、硬化層(金属炭化物層)と母材との比が大きく
なると衝撃強度が低下することとなるので2.0mm以
下の層厚さとすることが場合によっては望ましい。
【0043】また、上記のように、窒化処理の後に金属
炭化物の溶射処理を行うようにするほか、金属炭化物の
溶射処理の後に窒化処理を行うようになすこともでき
る。
炭化物の溶射処理を行うようにするほか、金属炭化物の
溶射処理の後に窒化処理を行うようになすこともでき
る。
【0044】そしてさらに、金属炭化物溶射層以外の表
面にショットピーニング処理することによって、圧縮残
留応力を800MPaレベルとし窒化処理による疲労強
度の向上に加えてショットピーニングによる疲労強度の
より一層の向上をはかるようにする。
面にショットピーニング処理することによって、圧縮残
留応力を800MPaレベルとし窒化処理による疲労強
度の向上に加えてショットピーニングによる疲労強度の
より一層の向上をはかるようにする。
【0045】
【発明の効果】本発明による無段変速機用転動体では、
請求項1に記載しているように、転動面をそなえた無段
変速機用転動体において、表面に窒化処理層が形成され
ていると共に、転動面には窒化処理層とともに金属炭化
物溶射層が形成されているものとしたから、内部起点の
剥離が防止され、摩耗粉等の異物の噛み込みによる表面
破損の防止も可能となり、疲労強度および耐摩耗性の良
好な耐久性能に優れた無段変速機用転動体を提供するこ
とが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
請求項1に記載しているように、転動面をそなえた無段
変速機用転動体において、表面に窒化処理層が形成され
ていると共に、転動面には窒化処理層とともに金属炭化
物溶射層が形成されているものとしたから、内部起点の
剥離が防止され、摩耗粉等の異物の噛み込みによる表面
破損の防止も可能となり、疲労強度および耐摩耗性の良
好な耐久性能に優れた無段変速機用転動体を提供するこ
とが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0046】そして、請求項2に記載しているように、
窒化処理層は白層化合物層を含有していないものである
ようになすことによって、窒化処理による疲労強度向上
の作用を十分に活かした無段変速機用転動体とすること
が可能であるという著大なる効果がもたらされる。
窒化処理層は白層化合物層を含有していないものである
ようになすことによって、窒化処理による疲労強度向上
の作用を十分に活かした無段変速機用転動体とすること
が可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0047】また、請求項3に記載しているように、金
属炭化物溶射層はCr,Mo,W,V,Nb,Ta,T
i,Zr,Hfのうちから選ばれる元素の金属炭化物か
らなるものとすることによって、表面の硬度が著しく大
であるため発熱量が多いときでも組織変化および分解を
生じないものとすることができ、内部起点の剥離を防止
することが可能であると共に、摩耗粉等の異物噛み込み
による表面破損を防止することが可能である無段変速機
用転動体を提供することが可能であるという著大なる効
果がもたらされる。
属炭化物溶射層はCr,Mo,W,V,Nb,Ta,T
i,Zr,Hfのうちから選ばれる元素の金属炭化物か
らなるものとすることによって、表面の硬度が著しく大
であるため発熱量が多いときでも組織変化および分解を
生じないものとすることができ、内部起点の剥離を防止
することが可能であると共に、摩耗粉等の異物噛み込み
による表面破損を防止することが可能である無段変速機
用転動体を提供することが可能であるという著大なる効
果がもたらされる。
【0048】さらにまた、請求項4に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層は2.0〜3.0mmの厚さを有
するものとなすことによって、最大剪断応力発生深さよ
りも厚めに形成することにより組織変化による軟化部を
起点とする破損を防止することが可能であると共に異物
噛み込みによる転動面の表面起点の破損をも防止するこ
とができる無段変速機用転動体を提供することが可能で
あるという著大なる効果がもたらされる。
に、金属炭化物溶射層は2.0〜3.0mmの厚さを有
するものとなすことによって、最大剪断応力発生深さよ
りも厚めに形成することにより組織変化による軟化部を
起点とする破損を防止することが可能であると共に異物
噛み込みによる転動面の表面起点の破損をも防止するこ
とができる無段変速機用転動体を提供することが可能で
あるという著大なる効果がもたらされる。
【0049】さらにまた、請求項5に記載しているよう
に、金属炭化物溶射層以外の表面にショットピーニング
が施されているものとすることによって、窒化処理によ
る疲労強度の向上に加えてショットピーニングによる疲
労強度の向上をも付加した疲労特性に優れた無段変速機
用転動体を提供することが可能であるという著大なる効
果がもたらされる。
に、金属炭化物溶射層以外の表面にショットピーニング
が施されているものとすることによって、窒化処理によ
る疲労強度の向上に加えてショットピーニングによる疲
労強度の向上をも付加した疲労特性に優れた無段変速機
用転動体を提供することが可能であるという著大なる効
果がもたらされる。
【0050】本発明による無段変速機用転動体の製造方
法では、請求項6に記載しているように、転動面をそな
えた無段変速機用転動体を製造するに際し、転動体形状
をなす鋼素材の転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化
物溶射層を形成したのち、転動面を含む表面に窒化処理
を施して窒化処理層を形成するようにし、あるいはま
た、請求項7に記載しているように、転動面をそなえた
無段変速機用転動体を製造するに際し、転動体形状をな
す鋼素材の表面に窒化処理を施して窒化処理層を形成し
たのち、転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化物溶射
層を形成するようにしたから、内部起点の剥離が防止さ
れ、摩耗粉等の異物の噛み込みによる表面破損の防止も
可能となり、疲労強度および耐摩耗性の良好な耐久性能
に優れた無段変速機用転動体を製造することが可能であ
るという著大なる効果がもたらされる。
法では、請求項6に記載しているように、転動面をそな
えた無段変速機用転動体を製造するに際し、転動体形状
をなす鋼素材の転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化
物溶射層を形成したのち、転動面を含む表面に窒化処理
を施して窒化処理層を形成するようにし、あるいはま
た、請求項7に記載しているように、転動面をそなえた
無段変速機用転動体を製造するに際し、転動体形状をな
す鋼素材の表面に窒化処理を施して窒化処理層を形成し
たのち、転動面に金属炭化物を溶射して金属炭化物溶射
層を形成するようにしたから、内部起点の剥離が防止さ
れ、摩耗粉等の異物の噛み込みによる表面破損の防止も
可能となり、疲労強度および耐摩耗性の良好な耐久性能
に優れた無段変速機用転動体を製造することが可能であ
るという著大なる効果がもたらされる。
【0051】そして、請求項8に記載しているように、
鋼素材は焼入れ後450〜600℃で焼もどしを行った
際の母材硬度がHRC35〜64となる合金鋼であるも
のとすることによって、母材の焼もどし2次硬化によっ
て疲労強度および耐摩耗性に優れた無段変速機用転動体
を製造することが可能であるという著大なる効果がもた
らされる。
鋼素材は焼入れ後450〜600℃で焼もどしを行った
際の母材硬度がHRC35〜64となる合金鋼であるも
のとすることによって、母材の焼もどし2次硬化によっ
て疲労強度および耐摩耗性に優れた無段変速機用転動体
を製造することが可能であるという著大なる効果がもた
らされる。
【0052】さらに、請求項9に記載しているように、
窒化処理は、焼入れ後の焼もどしを兼用するものであ
り、白層化合物を含有しない窒化処理層を形成するよう
になすことによって、窒化処理による疲労強度向上作用
を十分に活かした無段変速機用転動体を製造することが
可能であるという著大なる効果がもたらされる。
窒化処理は、焼入れ後の焼もどしを兼用するものであ
り、白層化合物を含有しない窒化処理層を形成するよう
になすことによって、窒化処理による疲労強度向上作用
を十分に活かした無段変速機用転動体を製造することが
可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0053】さらにまた、請求項10に記載しているよ
うに、窒化処理は、焼入れ焼もどしをしたのち施すもの
であり、白層化合物層を含有しない窒化処理層を形成す
るようになすことによっても、窒化処理による疲労強度
向上作用を十分に活かした無段変速機用転動体を製造す
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
うに、窒化処理は、焼入れ焼もどしをしたのち施すもの
であり、白層化合物層を含有しない窒化処理層を形成す
るようになすことによっても、窒化処理による疲労強度
向上作用を十分に活かした無段変速機用転動体を製造す
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
【0054】さらにまた、請求項11に記載しているよ
うに、金属炭化物溶射層以外の表面をショットピーニン
グ処理するようになすことによって、窒化処理による疲
労強度の向上に加えショットピーニングによる疲労強度
の向上を付加した疲労特性に優れた無段変速機用転動体
を製造することが可能であるという著大なる効果がもた
らされる。
うに、金属炭化物溶射層以外の表面をショットピーニン
グ処理するようになすことによって、窒化処理による疲
労強度の向上に加えショットピーニングによる疲労強度
の向上を付加した疲労特性に優れた無段変速機用転動体
を製造することが可能であるという著大なる効果がもた
らされる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこのような実施例のみに限定されないことはい
うまでもない。
本発明はこのような実施例のみに限定されないことはい
うまでもない。
【0056】転動体素材として、JIS G 4404
で制定するSKD11(C:1.51%、Si:0.2
1%、Mn:0.45%、Cr:12.18%、Mo:
0.95%、V:0.39%、残部Feおよび不可避的
不純物)を用い、図6(A),(B)に示したと同様
に、購入したバー材を所定の寸法に切断することにより
鍛造素材5a,9a,10aとなし、次いであらかじめ
準備した金型を用いて型鍛造品5b,9b,10bの形
状に熱間鍛造で成形して徐冷した後、焼ならし処理した
ものを鍛造後粗材とし、この鍛造後粗材を機械加工で所
定の図面寸法を有するディスク素材5c,9cおよびパ
ワーローラー素材10cに仕上げた。
で制定するSKD11(C:1.51%、Si:0.2
1%、Mn:0.45%、Cr:12.18%、Mo:
0.95%、V:0.39%、残部Feおよび不可避的
不純物)を用い、図6(A),(B)に示したと同様
に、購入したバー材を所定の寸法に切断することにより
鍛造素材5a,9a,10aとなし、次いであらかじめ
準備した金型を用いて型鍛造品5b,9b,10bの形
状に熱間鍛造で成形して徐冷した後、焼ならし処理した
ものを鍛造後粗材とし、この鍛造後粗材を機械加工で所
定の図面寸法を有するディスク素材5c,9cおよびパ
ワーローラー素材10cに仕上げた。
【0057】次いで、1020±20℃に加熱保持した
あと空冷で焼入れし、その途中200℃で1時間保持す
る制御冷却を行うことによって焼き割れ防止対策をし
た。
あと空冷で焼入れし、その途中200℃で1時間保持す
る制御冷却を行うことによって焼き割れ防止対策をし
た。
【0058】そして、常温まで冷却したのち、全面をサ
ンドブラスト処理することにより表面に付着した酸化ス
ケールを除去すると共に、転動面のみについてその後の
溶射皮膜の密着強度を向上させるため表面粗さをRa=
0.3〜0.5に調整した。
ンドブラスト処理することにより表面に付着した酸化ス
ケールを除去すると共に、転動面のみについてその後の
溶射皮膜の密着強度を向上させるため表面粗さをRa=
0.3〜0.5に調整した。
【0059】次に、転動面のみに溶射を行うに際して、
減圧プラズマ溶射装置を用い、溶射粉末として粒径が2
0〜75μmの炭化タングステン(WC)を用いた。
減圧プラズマ溶射装置を用い、溶射粉末として粒径が2
0〜75μmの炭化タングステン(WC)を用いた。
【0060】そして、ディスク素材5c,9cおよびパ
ワーローラー素材10cを減圧プラズマ溶射装置の中に
入れ、排気ポンプにより100mbrに減圧した状態と
して500℃に予熱し、プラズマ溶射することによって
図1および図2に示すような厚さ約3.0mmの金属炭
化物溶射層5m,9m,10mを転動面にのみ形成させ
た。
ワーローラー素材10cを減圧プラズマ溶射装置の中に
入れ、排気ポンプにより100mbrに減圧した状態と
して500℃に予熱し、プラズマ溶射することによって
図1および図2に示すような厚さ約3.0mmの金属炭
化物溶射層5m,9m,10mを転動面にのみ形成させ
た。
【0061】その後、母材の硬度をHRC56〜57に
調整するため、焼もどしを兼ねて550℃×4hrの窒
化処理を施すことによって、図1および図2に示すよに
窒化処理層5n,9n,10nを形成した。このとき、
窒化処理に際してはNH3+5vol%空気雰囲気中と
する酸窒化処理を行った。
調整するため、焼もどしを兼ねて550℃×4hrの窒
化処理を施すことによって、図1および図2に示すよに
窒化処理層5n,9n,10nを形成した。このとき、
窒化処理に際してはNH3+5vol%空気雰囲気中と
する酸窒化処理を行った。
【0062】次いで、金属炭化物溶射層5m,9m,1
0mにマスキングを施してショット粒が当たらないよう
にし、ノズル式ショットピーニング装置を用いて、ショ
ット粒径:0.6mm、アークハイト(アルメンゲー
ジ):0.8mm、カバレージ:300%のハードショ
ットピーニングを施した。
0mにマスキングを施してショット粒が当たらないよう
にし、ノズル式ショットピーニング装置を用いて、ショ
ット粒径:0.6mm、アークハイト(アルメンゲー
ジ):0.8mm、カバレージ:300%のハードショ
ットピーニングを施した。
【0063】このようにして得た転動体のうちディスク
5,9の特性は表1に示したとおりであり、パワーロー
ラー10およびプーリー22,23についてもほぼ同様
の特性を有していた。
5,9の特性は表1に示したとおりであり、パワーロー
ラー10およびプーリー22,23についてもほぼ同様
の特性を有していた。
【0064】
【表1】
【0064】このようにして得られた転動体では、転動
時の発熱による組織変化を防止することが可能であると
共に、機械的強度も設計値を十分満足するものとするこ
とが可能であり、転動面を金属炭化物溶射層(硬度HV
1100〜3200)とすることで異物の噛み込みによ
る表面損傷もなくなり表面起点の剥離を防止することが
可能であって、接触圧力5.0GPaの高面圧下であっ
ても破損を生じない耐久性に優れた転動体とすることが
可能であった。
時の発熱による組織変化を防止することが可能であると
共に、機械的強度も設計値を十分満足するものとするこ
とが可能であり、転動面を金属炭化物溶射層(硬度HV
1100〜3200)とすることで異物の噛み込みによ
る表面損傷もなくなり表面起点の剥離を防止することが
可能であって、接触圧力5.0GPaの高面圧下であっ
ても破損を生じない耐久性に優れた転動体とすることが
可能であった。
【0065】次に、上記した実施例における炭化タング
ステン(WC)に代えて、他の金属炭化物を用いて実施
したところ、表2に示す結果であり、良好な特性を示す
転動体が得られることが確かめられた。
ステン(WC)に代えて、他の金属炭化物を用いて実施
したところ、表2に示す結果であり、良好な特性を示す
転動体が得られることが確かめられた。
【0066】
【表2】
【0066】なお、上記した実施例では、金属炭化物の
溶射処理を行ったあとに窒化処理を施した例を示した
が、窒化処理のあとに金属炭化物の溶射処理を行うよう
にしたときでも、転動疲労特性および耐異物噛み込み性
に優れた無段変速機用転動体とすることが可能である。
溶射処理を行ったあとに窒化処理を施した例を示した
が、窒化処理のあとに金属炭化物の溶射処理を行うよう
にしたときでも、転動疲労特性および耐異物噛み込み性
に優れた無段変速機用転動体とすることが可能である。
【0067】
【図1】本発明の実施例によるトロイダル式無段変速機
用転動体(ディスク)の断面説明図である。
用転動体(ディスク)の断面説明図である。
【図2】本発明の実施例によるトロイダル式無段変速機
用転動体(パワーローラー)の断面説明図である。
用転動体(パワーローラー)の断面説明図である。
【図3】本発明の実施例によるベルト式無段変速機用転
動体(プーリー)の断面説明図である。
動体(プーリー)の断面説明図である。
【図4】トロイダル式無段変速機の構造例を示す断面説
明図である。
明図である。
【図5】ベルト式無段変速機の構造例を示す斜面説明図
である。
である。
【図6】トロイダル式無段変速機の転動体(ディスクお
よびパワーローラー)の製造工程を例示する断面説明図
である。
よびパワーローラー)の製造工程を例示する断面説明図
である。
【図7】ベルト式無段変速機の転動体(プーリー)の断
面説明図である。
面説明図である。
5,9 ディスク(トロイダル式無段変速機の転動体) 5m,9m ディスク表面の金属炭化物溶射層 5n,9n ディスク表面の窒化処理層 10 パワーローラー(トロイダル式無段変速機の転動
体) 10m パワーローラー表面の金属炭化物溶射層 10n パワーローラー表面の窒化処理層 22,23 プーリー(ベルト式無段変速機の転動体) 22m,23m プリー表面の金属炭化物溶射層 22n,23n プリー表面の窒化処理層
体) 10m パワーローラー表面の金属炭化物溶射層 10n パワーローラー表面の窒化処理層 22,23 プーリー(ベルト式無段変速機の転動体) 22m,23m プリー表面の金属炭化物溶射層 22n,23n プリー表面の窒化処理層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾 谷 敬 造 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J051 AA03 BA03 BB02 BD02 BE09 CA05 CB07 EC03 EC06 FA02
Claims (11)
- 【請求項1】 転動面をそなえた無段変速機用転動体に
おいて、表面に窒化処理層が形成されていると共に、転
動面には窒化処理層とともに金属炭化物溶射層が形成さ
れていることを特徴とする無段変速機用転動体。 - 【請求項2】 窒化処理層は白層化合物層を含有してい
ないものである請求項1に記載の無段変速機用転動体。 - 【請求項3】 金属炭化物溶射層はCr,Mo,W,
V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfのうちから選ばれる
元素の金属炭化物からなる請求項1または2に記載の無
段変速機用転動体。 - 【請求項4】 金属炭化物溶射層は2.0〜3.0mm
の厚さを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の無
段変速機用転動体。 - 【請求項5】 金属炭化物溶射層以外の表面にショット
ピーニングが施されている請求項1ないし4のいずれか
に記載の無段変速機用転動体。 - 【請求項6】 転動面をそなえた無段変速機用転動体を
製造するに際し、転動体形状をなす鋼素材の転動面に金
属炭化物を溶射して金属炭化物溶射層を形成したのち、
転動面を含む表面に窒化処理を施して窒化処理層を形成
することを特徴とする無段変速機用転動体の製造方法。 - 【請求項7】 転動面をそなえた無段変速機用転動体を
製造するに際し、転動体形状をなす鋼素材の表面に窒化
処理を施して窒化処理層を形成したのち、転動面に金属
炭化物を溶射して金属炭化物溶射層を形成することを特
徴とする無段変速機用転動体の製造方法。 - 【請求項8】 鋼素材は焼入れ後450〜600℃で焼
もどしを行った際の母材硬度がHRC35〜64となる
合金鋼である請求項6または7に記載の無段変速機用転
動体の製造方法。 - 【請求項9】 窒化処理は、焼入れ後の焼もどしを兼用
するものであり、白層化合物を含有しない窒化処理層を
形成するものである請求項6ないし8のいずれかに記載
の無段変速機用転動体の製造方法。 - 【請求項10】 窒化処理は、焼入れ焼もどしをしたの
ち施すものであり、白層化合物層を含有しない窒化処理
層を形成するものである請求項6ないし8のいずれかに
記載の無段変速機用転動体の製造方法。 - 【請求項11】 金属炭化物溶射層以外の表面をショッ
トピーニング処理する請求項1ないし10のいずれかに
記載の無段変速機用転動体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11064419A JP2000257687A (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 無段変速機用転動体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11064419A JP2000257687A (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 無段変速機用転動体およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000257687A true JP2000257687A (ja) | 2000-09-19 |
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ID=13257751
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11064419A Pending JP2000257687A (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 無段変速機用転動体およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000257687A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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-
1999
- 1999-03-11 JP JP11064419A patent/JP2000257687A/ja active Pending
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