JP2000260314A - 含浸型陰極の製造方法 - Google Patents

含浸型陰極の製造方法

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JP2000260314A
JP2000260314A JP11059814A JP5981499A JP2000260314A JP 2000260314 A JP2000260314 A JP 2000260314A JP 11059814 A JP11059814 A JP 11059814A JP 5981499 A JP5981499 A JP 5981499A JP 2000260314 A JP2000260314 A JP 2000260314A
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porous body
impregnated
electron
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impregnated cathode
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JP11059814A
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Nobuyuki Yoshino
吉野  信幸
Atsushi Sato
佐藤  惇司
Seiichi Hiroe
誠一 廣江
Naoki Fujii
直樹 藤井
Yoshiro Hirai
芳郎 平居
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Citizen Watch Co Ltd
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Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不要な電子や過剰な電子放射物質から生ずる
粒子等の放出を抑制し、安定した電子放出特性を得るこ
とができると共に長寿命化を図ることが可能な、生産性
に優れた含浸型陰極の製造方法を提供する。 【解決手段】 タングステン粉末よりなると共に、おも
て面に電子放出領域11aを含む一体構造の多孔質体1
1を作製した後、多孔質体11の裏面と研磨治具13と
の間に弾性部材12を介在させ、砥粒を散布した研磨定
盤に多孔質体11のおもて面を当て、表面の周辺領域に
相当する部分を研磨する。これにより、多孔質体の孔が
潰れ、多孔質体11表面に非多孔質面11bが形成され
る。更に、多孔質体11中に電子放射物質1aを含浸さ
せて含浸型陰極1が完成する。この含浸型陰極1では、
陰極動作時における不要な電子の放出、および電子放射
物質1aの余剰粒子の蒸発が抑制され、安定した電子放
出特性を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高融点金属などに
より形成された多孔質体に炭酸バリウム(BaCO3
などの電子放射物質(エミッタ)を含浸させてなる含浸
型陰極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】受像管、ディスプレイ管などの陰極線管
や、撮像管、高周波発振管などの電子管の電子銃には含
浸型陰極が用いられ、この含浸型陰極から電子(熱電
子)が放出されるようになっている。
【0003】この含浸型陰極の性能の良否を決定する要
因としては、例えばカソードカットオフ電圧特性および
電子放出(グリッドエミッション)特性が挙げられる。
カソードカットオフ電圧については、その変動を抑制す
ることが重要である。このカソードカットオフ電圧は、
陰極と第1グリッドとの距離、第1グリッドと第2グリ
ッドとの距離、第1グリッドおよび第2グリッドの厚
さ、第1グリッドおよび第2グリッドの孔径などに依存
するものである。グリッドエミッションは、グリッド
(G1,G2等)に付着した余剰バリウム等から意図し
ない電子放出(エミッション)がなされる症状であり、
これを抑制することが重要である。このようなカソード
カットオフ電圧特性を劣化させることなく、かつ電子の
不要な放出を抑制するためには、含浸型陰極を構成する
多孔質焼結体のうち電子放出領域に相当する部分では空
孔率を大きく、その他の領域に相当する部分では空孔率
を小さくするか、空孔を無くして、含浸された電子放射
物質が電子放出領域以外から余分に蒸発することを制御
する必要がある。
【0004】ところで、従来の含浸型陰極は、タングス
テン(W)などの高融点金属により構成される多孔質焼
結体のみからなる一体構造のものと、電子放出領域に相
当する部分を多孔質焼結体により構成し、その他の周辺
領域に相当する部分を多孔質ではない耐熱性に優れた金
属により構成し、これらを溶接等により固着させた2体
構造のもの(例えば特開昭60−62034号公報参
照)とに大別される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の含浸型陰極では、それぞれ以下の問題があっ
た。すなわち、多孔質焼結体のみからなる一体構造のも
のは、意図して局所的に空孔率を変化させることが困難
であり、電子放射物質の含浸量が任意に制御された含浸
型陰極を得ることが極めて困難であった。また、安定し
た電子放出特性を得るために充分な量の電子放射物質を
含浸させた場合には、陰極動作時において、電子放射物
質であるバリウム(Ba)あるいは酸化バリウム(Ba
O)が蒸発して、第1グリッドや第2グリッドに付着す
ることがある。そのため、グリッドエミッションが発生
する。また、含浸型陰極と第1グリッドとの距離および
第1グリッドと第2グリッドとの距離に変化が生じてカ
ソードカットオフ電圧が変動(ドリフト)してしまうと
いう問題があった。
【0006】一方、多孔質焼結体と多孔質ではない耐熱
性に優れた金属とからなる2体構造のものは、耐熱性に
優れた金属内には電子放射物質を含浸させることができ
ないために、この部分では電子放出物質の貯蔵庫として
の役割を果たすことができなかった。従って、陰極内に
安定した電子放出特性を得るために充分な量の電子放射
物質を確保することができず、電子放出特性が低下し、
陰極の寿命が短かくなるという問題があった。また、作
製工程が複雑であり、コストが高くなるという問題もあ
った。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、不要な電子や過剰な電子放射物質か
ら生ずる粒子等の放出を抑制し、安定した電子放出特性
を得ることができると共に長寿命化を図ることができる
含浸型陰極の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の含浸型陰極の製造方法は、下記記載の構成
を採用する。すなわち、本発明の含浸型陰極の製造方法
は、おもて面に電子放出領域およびその他の周辺領域を
有する導電性の多孔質体に電子放射物質が含浸されてな
る含浸型陰極の製造方法であって、おもて面に電子放出
領域に相当する部分およびその他の周辺領域に相当する
部分を有した多孔質体を作製後、多孔質体の裏面と研磨
治具との間に弾性部材を介在させ、砥粒を散布した研磨
定盤に多孔質体のおもて面を当て、おもて面の周辺領域
に相当する部分を研磨することによって、多孔質体の周
辺領域の表面を非多孔質の面とする工程を含むものであ
る。
【0009】本発明による含浸型陰極の製造方法では、
研磨することにより多孔質体の周辺領域表面が塑性変形
を生じて封孔され、電子放射物質等の放出を抑制するた
めの非多孔質の面となる。
【0010】また、請求項2記載の含浸型陰極の製造方
法では、請求項1記載の構成に加えて、多孔質体はおも
て面の電子放出領域に相当する部分が底面となるような
段差部を有することを特徴とする。
【0011】また、請求項3記載の含浸型陰極の製造方
法では、請求項1または請求項2記載の構成に加えて、
多孔質体のおもて面の電子放出領域とその他の周辺領域
との間の段差が10μm以下であることを特徴とする。
【0012】また、請求項4記載の含浸型陰極の製造方
法では、請求項1、請求項2または請求項3記載の構成
に加えて、弾性部材が少なくとも片面に粘着性を有する
有機ポリマーからなるシートであることを特徴とする。
【0013】また、請求項5記載の含浸型陰極の製造方
法では、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4
記載の構成に加えて、研磨治具が平行平面の金属あるい
はセラミックスからなるプレートであることを特徴とす
る。
【0014】また、請求項6記載の含浸型陰極の製造方
法では、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4また
は請求項5記載の構成に加えて、研磨定盤が平行平面の
金属あるいはセラミックスからなるプレートであること
を特徴とする。
【0015】また、請求項7記載の含浸型陰極の製造方
法では、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請
求項5または請求項6記載の構成に加えて、砥粒の材質
が金属酸化物、炭化物、窒化物、ダイヤモンドのいずれ
かであり、その粒径が0.1μm以上であることを特徴
とする。
【0016】また、請求項8記載の含浸型陰極の製造方
法では、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請
求項5、請求項6または請求項7記載の構成に加えて、
導電性の多孔質体がタングステンあるいはモリブデンの
金属粉末のうち少なくとも一方を含んだ一体構造の焼結
体であることを特徴とする。
【0017】〔作用〕本発明の含浸型陰極の製造方法で
は、おもて面の電子放出領域の周辺領域に相当する領域
が周辺領域より内部の電子放出領域に相当する部分より
も高い段差を有するような多孔質体を作製し、おもて面
の周辺領域に相当する部分を研磨し、非多孔質の面にす
る。この際、電子放出領域とその周辺領域との段差は1
0μm以下、好ましくは5μm以下になるようにしなけ
ればならない。これは、段差が10μmを越えると、電
子放出特性が不安定になったり、含浸型陰極と第1グリ
ッドとの距離を正確に照合することが困難になるからで
ある。
【0018】多孔質体は通常、顆粒をプレス成形後、焼
結によって、電子放出領域に相当する部分を底面とする
表面が凹型形状の段差部を有する円柱形状として作製さ
れる。この時、多孔質体の電子放出領域に相当する部分
とその周辺領域に相当する部分との段差は、例えば段差
が0.05mmとなるような金型を用いて成形、焼結を
行った場合、そのばらつきは±0.002mm程度と僅
少である。一方、円柱形状の多孔質体全体の厚みは段差
の寸法に比較して、格段に大きいために成形時のプレス
圧力の変動や焼結による収縮率の変動が原因となり、厚
みは大きなばらつきを生ずる。例えば厚みが0.65m
mになるように設定した場合、そのばらつきは±0.0
3mm程度となる。従って、多数個の多孔質体を同時に
研磨すると研磨量の調整が困難となり、多孔質体表面の
段差部の高さにばらつきが生ずる問題が発生する。すな
わち、多数個の多孔質体を平板からなる同一の研磨治具
に設置し、多孔質体のおもて面を同時に砥粒を分散させ
た研磨定盤に当てると個々の多孔質体の厚みが異なるた
め、同時に多数個の多孔質体おもて面を定盤に当てるこ
とができない。この状態で研磨すると、研磨後の電子放
出領域とその周辺領域との段差にばらつきを生じ、研磨
量が不十分で、段差が10μmを越える含浸型陰極や、
研磨量が過剰で電子放出部までが非多孔質の面となっ
て、電子放出が起こらない含浸型陰極が同時に作製され
てしまう。
【0019】本発明の含浸型陰極の製造方法では、多孔
質体の厚みがばらついていても多孔質体の裏面と研磨治
具との間に弾性部材を介在させることにより、この弾性
部材が変形し、多孔質体の厚みばらつきを吸収して、多
数個の多孔質体のおもて面を研磨定盤に同時に均一に密
接させることが可能である。従って、多孔質体のおもて
面を基準に均一な研磨量を得ることができる多数個同時
の研磨加工が可能となり、生産効率は著しく向上する。
【0020】また、本発明の含浸型陰極の製造方法で
は、一体構造の多孔質焼結体から作製するために陰極内
に安定した電子放出特性を得るために充分な量の電子放
射物質を確保することが可能であり、その結果、陰極の
長寿命化を図ることができる。さらに本発明の含浸型陰
極の製造方法では、作製工程が簡略であるために製造コ
ストの低減化も可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0022】まず、本実施の形態に係わる含浸型陰極の
製造方法により製造される含浸型陰極を含む電子銃につ
いて説明する。
【0023】図2は、上述した電子銃の概略構成を表す
ものである。この電子銃は、陰極線や電子管に適用され
るもので、陰極構体100と、第1グリッド5および第
2グリッド6を含むグリッド群200とを備えた構成を
有している。陰極構体100は、詳細は後述する含浸型
陰極1、例えばモリブデン(Mo)またはタンタル(T
a)などの高融点金属よりなるキャップ2、例えばタン
タルよりなる厚さ20μmのスリーブ3および例えば純
タングステン(W)線またはタングステンに2〜3%の
レニウム(Re)を添加したタングステン合金線などの
電熱線で構成される加熱ヒーター4とを有している。含
浸型陰極1Aはキャップ2に装着されており、このキャ
ップ2を介してスリーブ3に固定されている。スリーブ
3内には加熱ヒーター4が配設されており、加熱ヒータ
ー4によって例えば1000℃に加熱されることにより
電子放射物質1aが活性化して電子を電子放出孔(ビー
ム孔)5a、6aへ放出する。また、図示していない
が、スリーブ3は種々の支持方法によって陰極線管に組
み込まれている。
【0024】この電子銃では、陰極構体100の温度は
加熱ヒータ4により約1000℃にまで達し、電子放射
物質1aから電子(熱電子)が放出される。放出された
電子のうち、第1グリッド5の電子放出孔5aおよび第
2グリッド6の電子放出孔6aを通るものは有効な電子
であり、この有効な電子が電子ビームとして出力され、
図示しない蛍光面に照射される。
【0025】次に図1を参照して本発明の含浸型陰極の
具体的な製造方法について順を追って説明する。
【0026】本実施の形態では、まず、例えば導電性物
質である粒径3μmのタングステン粉末と、有機バイン
ダーと水を撹拌機を用いて混合し、スラリーを作製す
る。次いで、このスラリーを用いて、例えばスプレード
ライヤー法によって約50μmの顆粒を作製する。続い
て、この顆粒を金型に充填し、例えば圧力5トン/cm
2 でプレス加工を施し、例えば水素還元雰囲気中におい
て加熱して有機バインダーを除去し、さらに真空中また
は水素雰囲気、もしくは不活性ガス雰囲気において例え
ば1800℃で3時間加熱することにより、顆粒を焼結
させる。このようにして、図1(A)に示したように、
空孔率が多孔質体11中において例えば25%で一定で
あると共に、おもて面20に電子放出領域11aに相当
する部分を底面とする凹型形状の段差部21を有する円
柱形状の多孔質体11を作製する。ここで多孔質体11
において、電子放出領域11aがある面をおもて面20
とし、その裏側の面を裏面30とする。この多孔質体1
1の厚さは例えば0.65mmであり、直径は例えば
1.5mm、電子放出領域に相当する部分の直径は例え
ば0.9mm、その周辺領域に相当する部分との段差、
すなわち段差部21の大きさは例えば0.05mmであ
る。
【0027】ここで、多孔質体11の空孔率はプレス加
工時の圧力や焼結時の雰囲気、加熱温度、加熱時間によ
り制御される。空孔率は、16〜32%の範囲であるこ
とが好ましい。32%よりも空孔率が大き過ぎると、多
孔質体11中に含浸された電子放射物質1aが過剰に蒸
発して早く無くなるため、陰極としての寿命が短くな
り、逆に空孔率が16%未満になると、電子放射物質を
外部から多孔質体11内に含浸させることができなくな
り、かつ動作中の陰極表面への電子放射物質の供給を妨
げるため電子放出特性が悪化するのでともに好ましくな
い。
【0028】焼結体とした多孔質体11を作製した後、
図1(B)に示すように多孔質体11の裏面30と研磨
治具13との間に弾性部材12を介在させ、砥粒15を
散布した研磨定盤14の表面に焼結体とした多孔質体1
1のおもて面20を当て、電子放出領域11aの周辺領
域に相当する部分を研磨する。これにより電子放出領域
11aの周辺領域では、焼結体の孔が潰れ、多孔質体1
1のおもて面に非多孔質面11bが形成される。この
時、試料を固定するために、弾性部材12が片面のみに
接着面を有する場合はこの接着面に多孔質体11の裏面
30を接着させるようにする。弾性部材12が両面に接
着面を有する場合はどちらの面に接着させても良い。
【0029】この研磨は、例えば、両面に粘着性を有す
る有機ポリマーからなる厚さ1mmのシート状の弾性部
材の片面を例えばステンレス鋼からなる平板の研磨治具
に接着する。次いで、多孔質体11の裏面30を弾性部
材に接着する。その後、例えば鋳鉄製の研磨定盤14に
例えば粒径3μmのダイヤモンド油性スラリーを滴下
し、研磨定盤14に多孔質焼結体11のおもて面20を
例えば15kg/mm2の圧力で当接させ、毎分10回
転の速度で研磨定盤を回転させながら研磨を行う。
【0030】この時使用する両面に粘着性を有する有機
ポリマーからなるシート状の弾性部材はシリコーン樹脂
やフッ素樹脂が適しているが、これに限るものではな
い。また、多数個の多孔質体の厚みのばらつきを吸収し
て多孔質体おもて面を研磨定盤に同時に且つ均一に密接
させるには弾性部材の厚さは多孔質体の厚さよりも厚い
ことが好ましい。弾性部材の厚さが極端に薄いと多孔質
体の厚みばらつきを吸収して変形することが困難とな
り、多孔質体おもて面を研磨定盤に同時に且つ均一に密
接させることできなくなるためである。
【0031】また、研磨治具および研磨定盤もステンレ
ス鋼製および鋳鉄製に限るものではなく、他の平行平面
の金属あるいはセラミックスからなるプレートでも良
い。砥粒の材質はダイヤモンド以外の例えば、金属酸化
物、炭化物、窒化物でも良い。また、砥粒の粒径は0.
1μm以上であることが好ましい。
【0032】電子放出領域11aとその周辺領域との段
差部21の大きさは10μm以下、好ましくは5μm以
下になるように研磨する。これは、既に述べたように段
差が10μmを越えると、電子放出特性が不安定になっ
たり、電子銃を組み立てる際に含浸型陰極1と第1グリ
ッド5との距離を正確に照合することが困難になるから
である。
【0033】多数個の多孔質体おもて面の周辺領域に相
当する部分を同時に研磨し、段差が例えば5μm以下に
なるようにするには、あらかじめ目標とする研磨量(厚
み)に相当する段差を有する、おもて面が凹部あるいは
凸部形状を有する多孔質体(ダミー試料)を用意してお
き、このダミー試料の凹部あるいは凸部が消失する時点
まで研磨する。すなわち、研磨前の多孔質体の段差部2
1の大きさが50μm、そのばらつきが±2μmとする
と、段差部21の大きさを5μm以下にするには、研磨
する量は47μmが適当である。従って、あらかじめ4
7μmの段差を有するおもて面が凹型あるいは凸型の多
孔質体(ダミー試料)を用意し、本来加工すべき多孔質
体と同時に研磨すると、ダミー試料の凹部あるいは凸部
が消失した時点が研磨加工の終了時点となる。この方法
によっては、研磨加工途中に測定作業を行わずともダミ
ー試料の凹部あるいは凸部の消失に注目していれば、容
易に研磨加工終了時点を判断することができ、生産効率
の向上が可能となる。
【0034】次に、図1(C)に示したように、例えば
炭酸バリウム(BaCO3 )と炭酸カルシウム(CaC
3 )と酸化アルミニウム(Al2 3 )とがモル比で
4:1:1の割合で混合された混合物からなる電子放射
物質1aを、加熱溶融、含浸し、電子放射物質1aを、
真空中あるいは水素雰囲気中において、例えば約170
0℃の高温で加熱することにより例えば約3分間含浸さ
せて含浸型陰極1が完成する。
【0035】作製された含浸型陰極1では、非多孔質面
11bは焼結体の空孔が潰されており、非多孔質面11
bには電子放射物質1aが含浸されていない。また、非
多孔質面11bからの不要な電子の放出が抑制される。
よって、電子放出領域11aからの有効な電子の放出が
安定かつ良好に行われると共に、電子放射物質1aの第
1グリッド5および第2グリッド6への付着が抑制され
る。更に、一体構造の焼結体である多孔質11の全体に
電子放射物質1aが含浸されているので、陰極内に安定
した電子放出特性を得るために充分な量の電子放射物質
1aを確保することができる。その結果、陰極の長寿命
化を図ることができる。
【0036】このように本実施の形態によれば、多孔質
体11の電子放出領域11aとなる領域以外のおもて面
を研磨し、非多孔質面11bを形成するようにしたの
で、陰極動作時における非多孔質面11bからの不要な
電子の放出が抑制されると共に、電子放射物質1aの余
剰粒子の蒸発が妨げられ、電子放射物質1aの第1グリ
ッド5および第2グリッド6への付着を抑制することが
できる。従って、安定した電子放出特性を得ることがで
きる。
【0037】また、多孔質体11は一体構造であるの
で、製造工程が簡単であり、製造コストの低減化を図る
ことができる。
【0038】
【実施例】更に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0039】本実施例では、まず、撹拌機を用いて粒径
3μmのタングステン粉末と有機バインダーと水とを撹
拌機を用いて混合し、スラリーを作製した。その後、こ
のスラリーを用いてスプレードライヤー法によって50
μm程度の顆粒を作製した。次いで、この顆粒を金型に
充填し、圧力5トン/cm2 でプレス加工を行い、その
後、水素還元雰囲気中で加熱して有機バインダーを除去
した。更に真空中において1800℃で3時間加熱して
厚さが0.65mm、直径が1.5mm、電子放出領域
に相当する部分の直径が0.9mm、その周辺領域に相
当する部分との段差、すなわち段差部21の大きさは
0.05mmである、電子放出領域に相当する部分を底
面とする凹型形状の段差部を有する円柱形状の多孔質体
11を作製した。なお、この多孔質体11について空孔
率を測定したところ、25%であった。
【0040】続いて、多孔質体11の裏面30をステン
レス鋼製の平板である研磨治具13に接着した厚さ1m
mのシリコーンゴムシート上12に接着した。そして粒
径3μmのダイヤモンド油性スラリーを滴下し、散布し
た鋳鉄製の研磨定盤14に多孔質体11のおもて面を1
5kg/mm2 の圧力で当接させ、毎分10回転の速度
で研磨定盤を回転させながら電子放出領域11aの周辺
領域に相当する部分を研磨した。これにより電子放出領
域11aの周辺領域では、焼結体の孔が潰れ、多孔質体
11の表面に非多孔質面11bが形成される。この多孔
質体11の表面および断面を走査型電子顕微鏡(SE
M;Scanninng Electron Microscopy) で観察したとこ
ろ、非多孔質面11bでは、空孔が潰れて消失している
ことが確認された。
【0041】次いで、真空中で例えば炭酸バリウム(B
aCO3 )と炭酸カルシウム(CaCO3 )と酸化アル
ミニウム(Al2 3 )との混合物で、それらのモル比
が4:1:1である電子放射物質1aを加熱溶融し、多
孔質体11中に含浸させて、含浸型陰極1を得た。その
のち、含浸型陰極1を用いて電子銃を組み立てて陰極線
管に実装した。
【0042】なお、本実施例に対する比較例として、お
もて面の周辺領域に相当する部分の研磨を行わないこと
以外は本発明の実施例と同一の条件で含浸型陰極を作製
し、この含浸型陰極を用いて電子銃を組み立てて陰極線
管に実装した。
【0043】このようにして得られた実施例および比較
例の陰極線管を用いて、5000時間の信頼性試験を行
った。その結果、本実施例による製造方法で作製した含
浸型陰極1を実装した陰極線管では、カットオフ電圧の
変動(ドリフト量)は比較例のそれの20%以下であっ
た。また、本実施例の陰極線管では、グリッドエミッシ
ョンの発生も防止することができた。更に、試験後に、
実施例および比較例の陰極線管を解体し、第1グリッド
および第2グリッドの表面へのバリウム等の付着量を確
認したところ、本実施例の陰極線管における付着量は、
比較例のそれの20%以下であった。以上の結果から本
実施例において得られた陰極線管(電子銃)は、カソー
ドカットオフ電圧特性およびグリッドエミッションなど
に於いて抑制の信頼性が高く、かつ電子放出特性に優れ
ていることが分かった。
【0044】以上、実施の形態および実施例を挙げて本
発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施
例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例
えば、上記実施の形態および実施例では、多孔質体を高
融点金属のタングステン粉末により形成する例について
説明したが、その他の材質であっても、モリブデン(M
o)粉末などのように、導電性を有すること、酸化バリ
ウム等の電子放射物質を還元でき、適当な仕事関数を持
つこと、陰極動作温度(含浸型は約1000℃)やブラ
ウン管等の作製プロセスでの一時的な高いエージング温
度(約1200〜1300℃)に真空中で耐える融点を
持つこと、多孔質焼結が可能なこと、の要件を満たすも
のであればよい。
【0045】また、上記実施の形態および実施例におい
ては、一体構造の多孔質体11よりなる含浸型陰極1の
製造方法について説明したが、本発明は2つ以上の多孔
質体により構成される含浸型陰極を製造する場合にも適
用することができる。
【0046】更に、上記実施の形態および実施例では、
本発明により製造された含浸型陰極1を陰極線管に適用
した例について説明したが、更にマイクロ波管などを含
む電子管一般にも広く適用できるものである。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による含浸
型陰極の製造方法では、多孔質体の電子放出領域の周辺
領域に相当する部分を研磨することによって非多孔質の
面を形成するようにしたので、周辺領域からの不要な電
子等の放出を抑制できると共に、過剰な電子放射物質に
より生ずる物質のグリッドへの付着を抑制することがで
きる。よって、電子放出領域から電子が安定に放出され
るという効果を奏する。
【0048】また、電子放出領域および周辺領域が多孔
質体により構成されているので、陰極全体にわたって、
安定した電子放出特性を得るため充分な量の電子放射物
質を貯蔵できる。よって、陰極の長寿命化を図ることが
できる。
【0049】特に請求項8記載の含浸型陰極の製造方法
によれば、一体構造の焼結体よりなる多孔質体を用いる
ようにしたので、製造工程が簡単であり、製造コストの
低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる含浸型陰極の製
造方法を工程毎に構成を表す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係わる含浸型陰極の製
造方法により製造された含浸型陰極を用いた電子銃の構
成を表す断面図である。
【符号の説明】
1 含浸型陰極 1a 電子放射物質 2 キャップ 3 スリーブ 4 加熱ヒータ 5 第1グリッド 5a 第1グリッドの電子放出孔 6 第2グリッド 6a 第2グリッドの電子放出孔 11 多孔質体 11a 電子放出領域 11b 非多孔質面 12 弾性部材 13 研磨治具 14 研磨定盤 15 砥粒 20 おもて面 30 裏面 100 陰極構体 200 グリッド群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 直樹 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社技術研究所内 (72)発明者 平居 芳郎 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社田無製造所内 Fターム(参考) 5C027 CC14 DD15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 おもて面に電子放出領域およびその他の
    周辺領域を有する導電性の多孔質体に電子放射物質が含
    浸されてなる含浸型陰極の製造方法であって、おもて面
    に電子放出領域に相当する部分およびその他の周辺領域
    に相当する部分を有した多孔質体を作製後、多孔質体の
    裏面と研磨治具との間に弾性部材を介在させ、砥粒を散
    布した研磨定盤に多孔質体のおもて面を当接させ、おも
    て面の周辺領域に相当する部分を研磨することにより、
    多孔質体の周辺領域の表面を非多孔質の面とする工程を
    有することを特徴とする含浸型陰極の製造方法。
  2. 【請求項2】 多孔質体はおもて面の電子放出領域に相
    当する部分が底面となるような段差部を有することを特
    徴とする請求項1に記載の含浸型陰極の製造方法。
  3. 【請求項3】 多孔質体のおもて面の電子放出領域とそ
    の他の周辺領域との間の段差が10μm以下であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の含浸型陰
    極の製造方法。
  4. 【請求項4】 弾性部材が少なくとも片面に粘着性を有
    する有機ポリマーからなるシートであることを特徴とす
    る請求項1、請求項2または請求項3に記載の含浸型陰
    極の製造方法。
  5. 【請求項5】 研磨治具が平行平面の金属あるいはセラ
    ミックスからなるプレートであることを特徴とする請求
    項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の含
    浸型陰極の製造方法。
  6. 【請求項6】 研磨定盤が平行平面の金属あるいはセラ
    ミックスからなるプレートであることを特徴とする請求
    項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に
    記載の含浸型陰極の製造方法。
  7. 【請求項7】 砥粒の材質が金属酸化物、炭化物、窒化
    物、ダイヤモンドのいずれかであり、その粒径が0.1
    μm以上であることを特徴とする請求項1、請求項2、
    請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の
    含浸型陰極の製造方法。
  8. 【請求項8】 導電性の多孔質体がタングステンあるい
    はモリブデンの金属粉末のうち少なくとも一方を含んだ
    一体構造の焼結体であることを特徴とする請求項1、請
    求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6また
    は請求項7に記載の含浸型陰極の製造方法。
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