JP2000265526A - 陶磁器製品の防汚処理方法 - Google Patents

陶磁器製品の防汚処理方法

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JP2000265526A JP11074421A JP7442199A JP2000265526A JP 2000265526 A JP2000265526 A JP 2000265526A JP 11074421 A JP11074421 A JP 11074421A JP 7442199 A JP7442199 A JP 7442199A JP 2000265526 A JP2000265526 A JP 2000265526A
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祥幸 束田
Yasumasa Masu
泰将 桝
Shozo Yamamoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】既に使用した後の便器であってもその表面に汚
れ防止のための防汚剤の膜を良好且つ強固に形成できる
ようにする。 【解決手段】既に使用されて表面に尿垢汚れP及び水道
水中の微量成分に由来する珪酸スケール汚れQの固着し
た状態の陶磁器製の便器を防汚処理するに際し、尿垢汚
れP及び珪酸スケール汚れQを除去する前洗浄処理を行
って便器表面に活性な新生面を露出せしめ、しかる後に
便器表面の水酸基と反応して化学結合する撥水剤40を
塗布処理して便器表面の水酸基をシールドするとともに
便器表面に撥水剤40の膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は陶磁器製品の防汚
処理方法に関し、詳しくは既に使用された後の表面の汚
れた陶磁器製品の防汚処理方法に関する。
【0002】
【発明の背景】衛生器としての便器はこれを常に清浄に
保つことが望ましく、そこで近年においては工場生産し
た便器表面を新品の状態で防汚処理し出荷するといった
ことが行われている。この防汚処理の方法として陶磁器
製便器表面の水酸基を利用し、その水酸基と反応して化
学結合する防汚剤を用いて、かかる防汚剤の膜を便器表
面に形成するといったことが考えられている。
【0003】このようにすれば、便器表面の水酸基をシ
ールドし、その水酸基が水道水中の微量成分と反応して
所謂珪酸スケール汚れを生成固着せしめるのを有効に防
止できるとともに、防汚剤の膜が便器表面に強固に固着
されて剥離せず、耐久寿命が長いといった利点が得られ
る。
【0004】ところで家庭などに既に設置された便器、
即ち既に使用された後の便器の場合、表面に尿垢汚れや
上記水中微量成分に由来する珪酸スケール汚れが固着し
ており、従ってこの状態のまま防汚処理しても防汚剤の
膜はすぐに剥れてしまう恐れがある。
【0005】既に使用された後の便器の場合、例えば図
8に示しているように鉢底部の溜水部の溜水面200の
周縁に沿って鉢内表面202に顕著な環状の汚れ204
が発生固着している。この汚れの発生固着のメカニズム
は以下のようなものと考えられている。
【0006】鉢内表面202の溜水面200の位置する
部分は、溜水面200の上下変動によって水濡れと乾燥
とを繰り返す。この水の中には珪素,カルシウム,鉄等
の成分が微量に含まれており、上記のように鉢内表面2
02が水濡れと乾燥とを繰り返すとその微量成分が鉢内
表面202に付着し、更に乾湿を繰り返す過程で鉢内表
面202の水酸基と化学反応を起こして次第に鉢内表面
202に析出堆積し、所謂珪酸スケールと称される汚れ
を生成させる。
【0007】この珪酸スケール汚れは鉢内表面202に
化学反応により不可逆的に固着し、通常の清掃作業では
洗い落とすことのできない頑固な汚れである。この珪酸
スケールの中には鉄分が取り込まれる場合があり、その
鉄分によって黄ばんだ環状の顕著な汚れ204が鉢内表
面202の溜水面200が位置する部分に発生するので
ある。
【0008】図9はこの汚れの発生固着のメカニズムを
模式的に表したもので、(A)(I)は汚れのもととなる水
の中の微量成分が陶磁器表面に付着した状態を、(A)(I
I)は付着した微量成分が陶磁器表面の水酸基と化学反応
を起こして析出固着した状態を、また(B)はその微量
成分によって鉢内表面202の、溜水面200が位置す
る部分に環状の汚れ204が生成した状態をそれぞれ表
している。尚図9(B)中200は溜水面であり、20
2は鉢内表面を、また206は陶磁器製の鉢を表してい
る。
【0009】以上鉢内表面202の溜水面200が位置
する部分の環状の汚れ204について説明したが、この
部分よりも上側の鉢内表面202もまた水濡れと乾燥と
が繰り返される。同内表面は使用者が便器を使用する度
に洗浄水が流されて水濡れする部分であり、従ってこの
部分の内表面もまた水濡れと乾燥とを繰り返すことで、
上記と同様のメカニズムで同種の汚れが発生固着する。
また便器においてはその他の部分においても水の付着・
乾燥によって大なり小なり珪酸スケール汚れ(水垢)が
付着生成する。
【0010】既に使用された後の便器の場合、上記珪酸
スケール汚れの他にも尿垢汚れが固着する場合があり、
この尿垢汚れもまた比較的頑固な汚れであって通常の清
掃作業では容易には除去できない汚れである。
【0011】而してこのような汚れが付着した便器の場
合、その汚れによって便器表面は不活性な状態となって
おり、従ってこの状態で上記防汚処理を施しても防汚剤
は便器表面と有効に化学結合せず、防汚剤の膜を便器表
面に良好に形成することができない。以上便器を例とし
て説明したが、便器周りのタイルや或いは洗面器等の陶
磁器製品においても同様の問題が生じ得る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決するためになされたものである。而して請求
項1の陶磁器製便器の防汚処理方法は、既に使用されて
表面に水道水中の微量成分に由来する珪酸スケール汚れ
の固着した陶磁器製品の防汚処理方法であって、前記珪
酸スケール汚れを除去する前洗浄処理を行って前記陶磁
器製品表面に活性な新生面を露出せしめ、しかる後に陶
磁器製品表面の水酸基と反応して化学結合する防汚剤を
塗布処理して該陶磁器製品表面の水酸基をシールドする
とともに、該陶磁器製品表面に防汚剤の膜を形成するこ
とを特徴とする。
【0013】請求項2の防汚処理方法は、請求項1に記
載の防汚処理方法において、前記前洗浄処理が前記陶磁
器製品表面を研磨材で擦るか、酸性弗化アンモニウム又
は弗化水素酸を塗布後洗浄して該陶磁器製品表面に固着
した前記珪酸スケール汚れを除去する工程を含んでいる
ことを特徴とする。
【0014】請求項3の防汚処理方法は、請求項2に記
載の防汚処理方法において、前記前洗浄処理が、前記珪
酸スケール汚れの除去工程に先立って、前記陶磁器製品
表面に固着している尿垢汚れを酸性液にて除去する工程
を含んでいることを特徴とする。
【0015】請求項4の防汚処理方法は、請求項1〜3
の何れかに記載の防汚処理方法において、前記防汚剤が
前記水酸基と反応して化学結合し膜形成する撥水剤であ
ることを特徴とする。
【0016】
【作用及び発明の効果】上記のように本発明は、既に使
用された後の便器等陶磁器製品に対し珪酸スケール汚れ
を除去する前洗浄処理を行って陶磁器製品表面に活性な
新生面を露出させた上で防汚剤を塗布処理し、これを陶
磁器製品表面の活性な新生面の水酸基と反応させて陶磁
器製品表面の水酸基をシールドするとともに、陶磁器製
品表面に防汚剤の膜を形成するもので、本発明によれば
既に使用された後の、表面が汚れた状態の陶磁器製品に
対しても防汚剤の膜を珪酸スケール汚れによって阻害さ
れることなく目的とする陶磁器製品表面の処理面全面に
亘って良好に形成することができる。
【0017】而して防汚剤の膜形成後においてはその防
汚剤の作用で陶磁器製品表面への珪酸スケール汚れの付
着を有効に防止できる。或いはまたそれら汚れが付着し
た場合でも簡単にこれを清掃除去することが可能とな
る。これにより陶磁器製品表面を常に清浄に保つことが
できるようになる。
【0018】尚ここで防汚剤とは陶磁器製品表面の水酸
基と反応して化学結合し膜形成するものを意味し、水酸
基との反応性を有しないような抗菌剤等は含まない概念
である。
【0019】本発明においては、この防汚剤として水酸
基と反応して化学結合し膜形成する撥水剤を用いること
ができる(請求項4)。防汚剤としてこのような撥水剤
を用いれば、その撥水剤の撥水効果により陶磁器製品表
面への水膜の付着形成を効果的に防止することができ、
撥水剤自身による陶磁器製品表面の水酸基のシールド効
果と相俟って水膜の形成,乾燥に起因する水中微量成分
の析出による汚れを効果的に防止することができる。
【0020】またこのような撥水剤の膜を形成すること
によって、尿垢汚れその他の汚れが付着した場合にも容
易にこれを清掃除去することができる。加えてその撥水
剤の膜は化学結合により陶磁器製品表面に強固に固着さ
れているため、撥水剤の膜が陶磁器製品表面から長期に
亘って剥れない利点が得られる。
【0021】本発明においては上記前洗浄処理として、
陶磁器製品表面を研磨材で擦るか、酸性弗化アンモニウ
ム(一水素二弗化アンモニウム)又は弗化水素酸を塗布
後洗浄して珪酸スケール汚れを除去する工程を含むこと
ができる(請求項2)。前述したように珪酸スケール汚
れは頑固な汚れであり、簡単には陶磁器製品表面から除
去することができない。本発明者は様々な方法でこの珪
酸汚れを除去することを試みたが、最終的にこの珪酸汚
れは研磨材又は酸性弗化アンモニウム,弗化水素酸の塗
布により初めて良好に陶磁器製品表面から除去でき、尚
且つこのとき同時に陶磁器製品表面に活性な表面を露出
させ得る知見を得た。請求項2の処理方法はこのような
知見に基づくものである。
【0022】本発明ではまた、陶磁器製品表面に尿垢汚
れが固着している場合において、上記研磨材等による除
去工程に先立って酸性液による尿垢の除去工程を含むこ
とができる(請求項3)。この酸性液による処理によっ
て陶磁器製品表面に固着している尿垢汚れを溶かして容
易にこれを除去することができ、従ってこのような酸性
液による尿垢汚れの除去処理を行った上で研磨材等によ
る珪酸スケール汚れの除去処理を行うようにすると、全
体として効率的に陶磁器製品表面の尿垢汚れ及び珪酸ス
ケール汚れを除去し得て陶磁器製品表面に新生な活性面
を露出させることができる。尚、本発明は洋風大便器は
もとより和風大便器,小便器等各種の便器や洗面器,タ
イル等の陶磁器製品に対しても適用可能なものである。
【0023】
【実施例】次に本発明を陶磁器製の洋風大便器に適用し
た場合の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。図1
において10は陶磁器製の洋風大便器で、12はその本
体部となる鉢である。鉢12の上側、つまり便器10上
端部にはリム14が環状に形成されている。
【0024】リム14は、内部に洗浄水を通すための通
水路16を有しており、更にその下面34に沿って所定
間隔で多数の射水孔18を有しており、通水路16に導
かれた洗浄水がそれら多数の射水孔18から鉢12の内
表面32に向けて勢い良く噴射され、以って内表面32
が洗浄されるようになっている。
【0025】20は鉢12の下部の溜水部で、この溜水
部20に続いて、排水経路の一部をなすとともに封水を
保持して臭気の逆流を阻止する排水トラップ22が形成
されている。この排水トラップ22は、流出脚24の上
部にウェア部(溢れ部)26を有している。溜水部20
の底部25からこのウェア部26までの高さhが封水深
となる。従って通常は溜水面27の位置は、この底部2
5から高さhの位置に位置している。
【0026】尚、28は便器10の後部上面に載置され
て内部に洗浄水を貯える洗浄タンクであり、この洗浄タ
ンク28に貯えられた洗浄水がリム14内部の通水路1
6へと排出され、続いて多数の射水孔18から鉢12の
内表面32に向けて射水される。
【0027】本例においては、鉢12の底部25近傍に
ジェット孔29が設けられている。このジェット孔29
は、洗浄水を排水トラップ22に向けて勢い良く噴射す
る。
【0028】本例においては実質的に便器10の全表
面、詳しくは内表面全体及び洗浄タンク28の載置部を
除いた便器10の上面38,更に便器10の外側表面
(外周表面)42全体に釉薬30の膜が素地31上に形
成されている。この釉薬30の膜内部には抗菌剤が分散
状に含有されている。即ち釉薬30の膜形成箇所におい
て便器10の表面に抗菌処理が施されている。
【0029】ここで抗菌剤としては銀又は銀化合物,亜
鉛,銅又はそれらの化合物或いはそれらを所定の担体に
担持させて成るものその他を用いることができる。これ
ら抗菌剤を釉薬30中に含有させておき、その抗菌剤含
有の釉薬30を素地31の表面に塗布し焼成すること
で、抗菌剤含有の釉薬30の膜を素地31の表面に形成
することができる。
【0030】本例においては、鉢12の内表面32、詳
しくは鉢12の上端から溜水面27にかけての鉢12の
内表面32全面に防汚剤としての撥水剤40の膜が形成
されている。更にこの撥水剤40の膜は、続いて鉢12
上側のリム14、即ち便器10上端部のリム14の下面
34及び側面36,更には便器10の上面38にも連続
して形成されている。但し洗浄タンク18の載置部分に
は撥水剤40の膜は形成されていない。但しその部分に
も撥水剤40の膜を形成しておくことが可能である。
【0031】鉢12内表面32の撥水剤40の膜は、更
に溜水部20の一部まで延長形成されている。即ち溜水
面27の下側の距離dまでの部分にかけても撥水剤40
の膜が形成されている。ここで距離dは、本例では3c
mとされている。但しこの数値は変更することができ
る。
【0032】溜水面27の水位は、溜水部20の水の蒸
発によって下がったり上がったりする。但しその上下の
変動幅には限度があり、本例ではその変動の限度に応じ
て距離dが定められている。即ち溜水面27が最も下が
ったときにおいても撥水剤40の膜の下端が、その溜水
面27と同等若しくはその下側に位置するように距離d
が定められている。
【0033】本例において、撥水剤40は末端にフッ化
炭素基(−C−F基)を有し、また反対側の末端に便器
10の陶磁器表面の水酸基(この例では釉薬30の層表
面の水酸基)と化学反応性を有する化学反応基、例えば
−SiOH基,−SiCl基等を有するものが用いられ
ている。
【0034】この撥水剤40は便器10の表面に塗布処
理されることによって表面の水酸基と反応して化学結合
し、その表面に撥水剤40の膜を形成している。そして
この撥水剤の40の膜形成によって、その撥水剤40の
膜形成部分において便器10の表面の水酸基はシールド
された状態となっている。またその化学反応に基づいて
撥水剤40の膜は便器10の表面に強固に固着された状
態となっている。
【0035】このような撥水剤40として、下記(イ)
で示すパーフロロアルキル基含有有機珪素化合物
【化1】 と、下記(ロ)で示す加水分解性基含有メチルポリシロ
キサン化合物
【化2】 とを水と親水性溶媒とともに混合して共加水分解させた
A液と、下記(ハ)で示すオルガノポリシロキサン化合
【化3】 と強酸を混合したB液とを混ぜ合わせて得たものを例示
することができる。
【0036】尚この撥水剤40は特開平8−20911
8に開示された公知のもので、詳細な説明は省略する。
勿論本発明では陶磁器表面の水酸基と化学反応性を有す
る他の撥水剤を用いることもできる。
【0037】尚ここでは外側表面42については撥水剤
40を非塗布としており、釉薬30の膜に含有させた抗
菌剤をそのまま外部に露出させた状態としている。
【0038】この撥水剤40の膜を形成した本例の洋風
大便器10の場合、その膜の作用で珪酸スケール汚れを
有効に防止することができる。撥水剤40の膜が便器1
0の表面の水酸基と反応してその表面に固着されている
とともに、その撥水剤40の膜が便器10の表面の水酸
基をシールドしているため、その水酸基と水道水中の微
量成分との反応が阻止され、珪酸スケール汚れを発生さ
せないのである。
【0039】因みに図2はこれを模式的に表したもので
ある。同図に示しているように便器表面(この例では釉
薬30表面)に防汚剤としての撥水剤40の膜が形成さ
れることによって、水中の微量成分46がその撥水剤4
0の膜によって便器表面の水酸基と反応するのが阻止さ
れ、従ってそれら微量成分46の析出堆積に起因する珪
酸スケール汚れが便器表面に固着するのが良好に防止さ
れるのである。
【0040】次に、既に使用されて表面に尿垢汚れ,珪
酸スケール汚れの付着した洋風大便器10に対し、それ
ら汚れを取り除いて新生面を露出させた上、撥水剤40
を塗布処理する本例の処理方法の手順について図3〜図
5に基づき以下に具体的に説明する。
【0041】先ず便座を取り外すなど事前準備を行い
(工程K10)、これに続いて塗布処理面に染色剤を噴
霧して珪酸スケール汚れ(水垢汚れ)を確認する(工程
K12)。その後に塗布処理面に酸性液例えば塩酸水溶
液を噴霧し、所定時間例えば5〜10分程度放置する
(工程K14,K16)。
【0042】この処理工程で便器表面即ち塗布処理表面
に固着していたカルシウム系汚れである尿垢汚れP(図
5(I)参照)が塩酸水溶液中に溶解し、便器表面から離
脱する。その後において濡れ雑巾等で尿垢等の拭取りを
行うか、又は研磨剤混入ナイロン(商品名 タイネック
ス デュポン社製)で作成されたブラシを使用して便器
を磨く(工程K18)ことで、便器表面から尿垢を取り
除くことができる。
【0043】以上の処理を終えたら、次に便器表面に固
着している珪酸スケール汚れ(水垢汚れ)Q(図5(I),
(II)参照)の除去のための処理を行う。この珪酸スケー
ル汚れQは、図5に示しているように便器表面の水酸基
と反応して化学結合により便器表面に強固に固着されて
おり、通常の清掃作業ではこれを取り除くことができな
い。
【0044】そこで本例の方法では研磨材で便器表面、
詳しくは撥水剤40を塗布処理すべき部分の表面を擦っ
てその珪酸スケール汚れQを取り除く。このとき先ず研
磨粉にて塗布処理面を擦り、続いて耐水ペーパー#10
00を用いて同じく塗布処理面を磨くと、より効果的に
珪酸スケール汚れQを除去することができる(工程K2
0,K22)。
【0045】この処理によって図5(III)に示している
ように塗布処理面(便器表面)に固着していた珪酸スケ
ール汚れQが取り除かれ、便器表面に活性な新生面が現
れる。即ち今まで珪酸スケール汚れQや尿垢汚れP等に
よってシールドされていた陶磁器表面の水酸基が反応活
性を有する水酸基として復活する。
【0046】但しこの状態は直接肉眼で目視,確認する
ことは難しい。そこで本例では溜水部20のブラシ磨き
(このとき上記研磨剤混入ナイロンで作成したブラシを
使用することができる)に続いて再び水垢染色剤を用い
て汚れが除去されたかどうかを確認し、続いてその水垢
染色剤を洗い流した後に更に洗浄水を用いて洗浄操作
し、続いて塗布処理面を濡れ雑巾等で拭き取った後に、
更に乾いた雑巾等で拭取りを行う(工程K24,K2
6,K28,K30,K32)。
【0047】その後に続いて溜水部20の封水の抜取り
を行った後、塗布処理面をドライヤー等で乾燥させ、そ
の後有機溶剤例えばエタノールで塗布処理面を拭き取っ
て有機汚れを除去し、更に続いてドライヤー等で乾燥さ
せてその有機溶剤を飛ばす(工程K34,K36,K3
8,K40)。
【0048】以上で撥水剤40を塗布するための準備が
完了し、そこで続いて撥水剤40の塗布処理を実行す
る。具体的には、先ず撥水剤40の液を混合調整し(工
程K42)、そしてこれを不織布等に染み込ませて便器
表面、即ち塗布処理面に塗り付ける(工程K44)。そ
の後に所定時間例えば10〜15分程度放置して、塗布
処理面に塗り付けた撥水剤40を硬化反応させる(工程
K46)。
【0049】ここにおいて図5(IV)に示しているよう
に撥水剤40が陶磁器表面(塗布処理面)の水酸基と反
応して化学結合し、撥水剤40の膜を塗布処理面全面に
亘って形成する。その後に表面に残った撥水剤40をテ
ィッシュペーパー等で拭き取り、ここにおいて撥水剤4
0の塗布処理が完了する(工程K48)。
【0050】以上のようにして行った撥水剤40の塗布
処理の効果を確認するための試験を以下のようにして行
った(図6参照)。即ち、先ず新品状態の洋風大便器1
0に対して人工的に水垢(珪酸スケール汚れ)付着処理
を行い、その後に研磨材による研磨処理、即ち研磨粉と
耐水ペーパーによる塗布処理面の擦り処理を行い、その
後に上記手順に従って撥水剤40の塗布処理を行った
(試験No.1)。
【0051】また比較のために上記のような研磨材によ
る研磨処理を行わないものについても撥水剤40の塗布
処理を行った(試験No.2)。そしてそれら研磨材による
研磨処理を行ったものと、研磨材による研磨処理を行わ
ずに直接撥水剤40の塗布処理をしたものについて再び
人工水垢付着処理を行った。尚このとき併せて比較のた
めに撥水剤40の塗布処理を行わなかったものについて
も同様にして人工水垢付着処理を行った(試験No.3)。
【0052】この結果、研磨材による研磨処理を行った
後に撥水剤40の塗布処理を行ったものについては、そ
の後に人工水垢付着処理を行っても水垢は再付着しなか
ったが、研磨材による研磨処理を行わないで直接撥水剤
40の塗布処理を行ったもの及び研磨材による研磨処理
及び撥水剤40の塗布処理の何れをも行わなかったもの
については水垢が再付着した。
【0053】尚、人工水垢付着処理は70℃に保った2
00ppm珪酸ナトリウム溶液に塗布処理部分を3時間
浸漬することにより行った。また研磨紛はアルミナ研磨
材を主成分とするものを用い、耐水ペーパーは#100
0を使用した。
【0054】次に上記のようにして形成した撥水剤40
の膜がどの程度耐久性を有するものであるかの確認試験
を行った。図7はその結果を表している。但しこの確認
試験は以下のようにして行った。即ち、便器表面の全く
同じ箇所をブラシで擦り、これに伴って撥水剤40の塗
布処理を行った便器表面の撥水性(接触角)の変化の程
度を調べた。
【0055】例えば1回の掃除毎に便器表面を10回擦
ると仮定し、また掃除を1週間に4回行うと仮定する。
この場合約1年50週で便器表面の同一箇所をブラシで
2000回擦ることになる。従ってブラシの擦り回数5
000回は2年半に相当し、また10000回は5年に
相当すると見積ることができる。
【0056】その間便器表面の撥水性がどのように変化
するかを見ると、上記手順に従って撥水剤40の塗布処
理を行った本発明例の場合には撥水性が殆ど低下せず、
撥水剤40の膜が高耐久性を有しているのに対し、尿垢
汚れ及び珪酸スケール汚れを除去するための前洗浄処理
を行わないで直接撥水剤40の塗布処理を行った比較例
の場合、短い期間で撥水性が大幅に低下してしまうこと
が分る。
【0057】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示である。例えば上記実施例では珪酸スケー
ル汚れを除去するために研磨材を用いているが、酸性弗
化アンモニウム又は弗化水素酸を便器表面等の陶磁器製
品表面に塗布した後洗浄して珪酸スケール汚れを除去す
ることも可能である。また上記洋風大便器10はあくま
で本発明の一例であって、本発明はその他の形態の洋風
大便器或いは小便器や和風大便器にも適用可能である
し、また抗菌処理を施していない通常便器への適用も可
能である。また上記例示した塗布パターンはあくまで一
例を示したに過ぎないものであって、他の各種パターン
で撥水剤の塗布処理及びそのための前洗浄処理を行うこ
とも可能であるし、撥水剤等の防汚剤の膜を便器の底ま
で形成することも勿論可能であるなど、本発明はその主
旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実
施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例方法に従って便器表面に撥水
剤の塗布処理を行った状態を示す図である。
【図2】図1の撥水剤の膜とその周辺の状態を模式的に
拡大して示した図である。
【図3】本発明の一実施例方法の手順の説明図である。
【図4】図3に続く手順の説明図である。
【図5】同実施例方法の作用説明図である。
【図6】同実施例方法の効果を確認するために行った試
験とその結果を表す図である。
【図7】図6とは別の確認試験の結果を表す図である。
【図8】既に使用した後の便器表面に付着している汚れ
を表した図である。
【図9】図8の汚れの発生メカニズムを模式的に表した
図である。
【符号の説明】
10 便器 40 撥水剤 46 微量成分 P 尿垢汚れ Q 珪酸スケール汚れ(水垢汚れ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 束田 祥幸 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 桝 泰将 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 山本 章造 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 Fターム(参考) 2D039 AA01 DB04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既に使用されて表面に水道水中の微量成
    分に由来する珪酸スケール汚れの固着した陶磁器製品の
    防汚処理方法であって、 前記珪酸スケール汚れを除去する前洗浄処理を行って前
    記陶磁器製品表面に活性な新生面を露出せしめ、しかる
    後に陶磁器製品表面の水酸基と反応して化学結合する防
    汚剤を塗布処理して該陶磁器製品表面の水酸基をシール
    ドするとともに、該陶磁器製品表面に防汚剤の膜を形成
    することを特徴とする陶磁器製品の防汚処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の防汚処理方法におい
    て、前記前洗浄処理が前記陶磁器製品表面を研磨材で擦
    るか、酸性弗化アンモニウム又は弗化水素酸を塗布後洗
    浄して該陶磁器製品表面に固着した前記珪酸スケール汚
    れを除去する工程を含んでいることを特徴とする陶磁器
    製品の防汚処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の防汚処理方法におい
    て、前記前洗浄処理が、前記珪酸スケール汚れの除去工
    程に先立って、前記陶磁器製品表面に固着している尿垢
    汚れを酸性液にて除去する工程を含んでいることを特徴
    とする陶磁器製品の防汚処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の防汚処理
    方法において、前記防汚剤が前記水酸基と反応して化学
    結合し膜形成する撥水剤であることを特徴とする陶磁器
    製品の防汚処理方法。
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