JP2000266609A - 温度センサ - Google Patents

温度センサ

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JP2000266609A
JP2000266609A JP11074985A JP7498599A JP2000266609A JP 2000266609 A JP2000266609 A JP 2000266609A JP 11074985 A JP11074985 A JP 11074985A JP 7498599 A JP7498599 A JP 7498599A JP 2000266609 A JP2000266609 A JP 2000266609A
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雅樹 岩谷
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賢 早川
Naoki Yamada
直樹 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中温域での絶縁抵抗の低下による検出精度の
低下を抑えること。 【解決手段】 温度センサ1を構成する金属チューブ3
の先端部には、サーミスタ素子2が収容される。サーミ
スタ素子2から延びるシース芯線7はシース8により内
包される。サーミスタ素子2の周囲にはセメント11が
充填される。シース芯線7の周囲には、シース充填材1
5が充填される。セメント11は、アルミナ(Al
23)粉末を主成分とする骨材と、Si及びNaを含む
ガラス成分とを備え、ガラス成分に含まれるNa成分の
Na2O換算量が、セメント11の全体重量に対して、
0.17重量%に設定されたものである。シース充填材
15は、SiO2粉末より構成されるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、サーミスタ素子
を備える温度センサであって、特に、200℃前後の中
温域から1000℃前後の高温域までの広範囲にわたっ
て温度を検出するのに使用される温度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、温度センサとして、サーミスタ素
子がステンレス合金製のチューブ又はキャップに収容さ
れ、そのサーミスタ素子から延びるシース芯線が前記チ
ューブ又はステンレス合金製のシースに包まれたものが
ある。この温度センサは、例えば、自動車の排気温度等
を検出するために200〜1000℃前後の広い範囲に
わたって温度を検出するのに使用される。
【0003】この種の温度センサとして、例えば、特開
平5−264368号公報には、サーミスタ素子を内包
するチューブ又はキャップの中、即ちサーミスタ素子の
周囲に、MgOやAl23等を含むセメントを充填した
ものが開示されている。或いは、MgOやAl23を骨
材とし、それらにSiO2、Na2O、K2O等のアルカ
リ金属よりなるガラス成分を硬化材として添加したセメ
ントを充填したものもある。この種のセメントは、主に
サーミスタ素子を振動から保護するために充填される。
【0004】同じくこの種の温度センサとして、例え
ば、特開平3−42801号公報及び特開平5−275
206号公報には、シース芯線を内包するチューブ又は
シースの中に、MgO粉末等を充填材として設けたもの
が開示されている。この種の充填材は、主にシース芯線
の絶縁を確保するために設けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記前者の
温度センサでは、サーミスタ素子の周囲に充填されるセ
メントがMgOやAl23等より構成され、或いは、そ
れらにアルカリ金属よりなるガラス成分が硬化材として
添加されており、吸湿性を有するものとなっていた。一
方、上記後者の温度センサでは、チューブ又はシースの
充填材として用いられるMgO粉末にも吸湿性がある。
このため、温度センサの製造過程や完成後の放置期間中
にセメントやシース充填材が吸湿することにより、それ
らの絶縁抵抗が低下し、温度センサの検出特性が悪化す
るおそれがあった。
【0006】ここで、自動車の排気温度を検出するのに
用いられる温度センサが、例えば、触媒温度の警報用に
1000℃前後の高温のみを検出するために用いられる
ことがある。この場合、セメントやシース充填材に吸収
される水分は殆ど蒸発することになり、絶縁抵抗の低下
もなく、温度センサの検出特性に悪影響はない。又、セ
メントやシース充填材に水分が残留することにより絶縁
抵抗が低下したとしても、サーミスタ素子の出力抵抗、
つまりは温度センサの出力抵抗値が絶縁抵抗値に比べて
小さければ、温度センサの検出特性に悪影響はないと考
えられる。
【0007】しかしながら、温度センサが、200〜1
000℃前後の広範囲にわたって温度を検出するのに用
いられた場合、温度センサの検出精度を確保するため
に、温度に対する温度センサの出力抵抗の傾きを大きく
する必要がある。この場合、200℃前後の中温域にお
ける温度センサの出力抵抗を100〜200kΩ程度の
比較的高い値に設定せざるを得ない。このような出力抵
抗値に対して、セメントやシース充填材が常温では問題
とならない程度に吸湿していた場合でも、中温域で吸収
された水分の蒸発が起こり、セメントやシース充填材の
絶縁抵抗を一時的に低下させるおそれがある。このよう
な絶縁抵抗は、サーミスタ素子の抵抗に対して並列に働
くことから、温度センサ本来の検出特性に影響を及ぼす
おそれがあった。
【0008】この発明は上記事情に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、中温域での絶縁抵抗の低下によ
る検出精度の低下を抑えることを可能にした温度センサ
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、サーミスタ素子及びその
サーミスタ素子から延びる芯線を金属製の包囲部材で包
囲し、サーミスタ素子の周囲の少なくとも一部にセメン
トを充填した温度センサにおいて、セメントは、Al2
3又はSiO2を主成分とする骨材とガラス成分とを備
え、ガラス成分に含まれるNa成分のNa2O換算量
が、セメント全体重量に対して、0.05〜0.3重量
%であることを趣旨とする。
【0010】上記発明の構成において、セメントを構成
するために骨材に添加されるガラス成分にはアルカリ金
属元素であるNaが含まれる。このNaは、セメントの
硬化に不可欠な成分ではあるが、吸湿性を有することか
らセメントの絶縁性を低下させる性質がある。しかし、
上記発明の構成によれば、ガラス成分に含まれるNa成
分のNa2O換算量が、セメント全体重量に対して0.
05〜0.3重量%と比較的微量であることから、Na
によるセメントの硬化を損なうことなくセメントの吸湿
性が抑えられる。
【0011】上記目的を達成するために、請求項2に記
載の発明は、サーミスタ素子及びそのサーミスタ素子か
ら延びる芯線を金属製の包囲部材で包囲し、芯線の周囲
の少なくとも一部に充填材を充填した温度センサにおい
て、充填材は、SiO2を主成分とすることを趣旨とす
る。
【0012】上記発明の構成によれば、充填材がSiO
2を主成分とすることから、例えば、MgOを主成分と
する場合よりも、充填材の吸湿性が相対的に低下する。
【0013】上記目的を達成するために、請求項3に記
載の発明は、サーミスタ素子及びそのサーミスタ素子か
ら延びる芯線を金属製の包囲部材で包囲し、サーミスタ
素子の周囲の少なくとも一部にセメントを充填すると共
に前記芯線の周囲の少なくとも一部に充填材を充填した
温度センサにおいて、セメントは、Al23又はSiO
2を主成分とする骨材とガラス成分とを備え、ガラス成
分に含まれるNa成分のNa2O換算量が、セメント全
体重量に対して、0.05〜0.3重量%であり、充填
材は、SiO2を主成分とすることを趣旨とする。
【0014】上記発明の構成によれば、セメントを構成
するために骨材に添加されるガラス成分に含まれるNa
成分のNa2O換算量が、セメント全体重量に対して、
0.05〜0.3重量%と比較的微量であることから、
アルカリ金属元素であるNaによるセメントの硬化を損
なうことなくセメントの吸湿性が抑えられる。加えて、
充填材がSiO2を主成分とすることから、例えば、M
gOを主成分とする場合よりも、充填材の吸湿性が相対
的に低下する。
【0015】上記目的を達成するために、請求項4に記
載の発明は、請求項1乃至請求項3の一つの発明におい
て、芯線の端子と包囲部材との間でセメント及び充填材
により構成される絶縁抵抗値を、当該温度センサにより
検出される最低温度におけるサーミスタ素子の出力抵抗
値の2倍以上の値に設定したことを趣旨とする。
【0016】上記発明の構成において、温度センサによ
り検出される最低温度において、芯線と包囲部材との間
でセメント及び充填材により構成される絶縁抵抗はサー
ミスタ素子の出力抵抗に対して並列に働き、その絶縁抵
抗値が低下することにより、サーミスタ素子の出力抵抗
値が小さくなるという悪影響が出る。そして、この悪影
響は、セメント及び充填材により構成される絶縁抵抗値
がサーミスタ素子の出力抵抗値の2倍より小さくなるこ
とにより出ることが分かった。従って、上記発明の構成
によれば、前記絶縁抵抗値が、当該温度センサにより検
出される最低温度におけるサーミスタ素子の出力抵抗値
の2倍以上の値に設定されるので、サーミスタ素子の出
力抵抗値が実質的に低下することはない。このことは、
例えば、請求項1乃至請求項3の一つの発明のようにセ
メント及び充填材の少なくとも一方の組成を特定してセ
メント又は充填材の吸湿性を低下させることにより達成
される。
【0017】上記目的を達成するために、請求項5に記
載の発明は、サーミスタ素子及びそのサーミスタ素子か
ら延びる芯線を金属製の包囲部材で包囲し、サーミスタ
素子の周囲の少なくとも一部にセメントを充填すると共
に芯線の周囲の少なくとも一部に充填材を設け、200
℃以上の温度を検出するために使用される温度センサに
おいて、芯線の端子と包囲部材との間でセメント及び充
填材により構成される絶縁抵抗値を、当該温度センサに
より検出される最低温度におけるサーミスタ素子の出力
抵抗値の2倍以上の値に設定したことを趣旨とする。
【0018】上記発明の構成において、200℃以上の
温度を検出するのに使用される温度センサにより検出さ
れる最低温度において、芯線と包囲部材との間でセメン
ト及び充填材により構成される絶縁抵抗はサーミスタ素
子の出力抵抗に対して並列に働き、その絶縁抵抗値が低
下することにより、サーミスタ素子の出力抵抗値が小さ
くなるという悪影響が出る。そして、この悪影響は、セ
メント及び充填材により構成される絶縁抵抗値がサーミ
スタ素子の出力抵抗値の2倍より小さくなることにより
出ることが分かった。従って、上記発明の構成によれ
ば、前記絶縁抵抗値が、当該温度センサにより検出され
る最低温度におけるサーミスタ素子の出力抵抗値の2倍
以上の値に設定されるので、サーミスタ素子の出力抵抗
値が実質的に低下することはない。このことは、例え
ば、セメント及び充填材の少なくとも一方を吸湿性の少
ない組成に特定したり、包囲部材の材質、厚み、形状等
を特定することにより達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】[第1の実施の形態]以下、この
発明の温度センサを具体化した第1の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。
【0020】図1に温度センサ1の部分破断側面図を示
す。図2に図1の一部を拡大して示す。この温度センサ
1は、自動車の排気通路に設けられて、200℃前後の
中温域から1000℃前後の高温域までの広範囲にわた
って排気温度を検出するのに使用される。温度センサ1
は、サーミスタ素子2を金属チューブ3の中に収容した
ものである。金属チューブ3は、その先端側3aが閉塞
し、基端側3bが開放される。金属チューブ3の基端側
3bには、フランジ4がアルゴン溶接される。フランジ
4上には、六角ナット部5a及びネジ部5bを有するナ
ット5が回動自在に挿通される。フランジ4の基端側4
aには、継手6がアルゴン溶接される。
【0021】金属チューブ3、フランジ4及び継手6の
内部には、一対のシース芯線7を内包するシース8が配
置される。金属チューブ3の内部においてシース8の先
端側8aへ突出するシース芯線7には、サーミスタ素子
2がPt/Rh合金線9を介して接続される。この合金
線9は、サーミスタ素子2と同時に焼成されるものであ
る。合金線9及びシース芯線7は互いに抵抗溶接され
る。金属チューブ3及びシース8等は、本発明の金属製
の包囲部材を構成する。
【0022】金属チューブ3、シース芯線7及びシース
8は、SUS310Sを材質とする。フランジ4は、S
US309Sを材質とする。継手6は、SUS304を
材質とする。
【0023】金属チューブ3の先端側3aの内部には、
酸化ニッケル製のペレット10が配置される。このペレ
ット10は、万一、金属チューブ3の内部の酸素濃度が
低下したときに、そのペレット10から酸素を放出させ
て酸素濃度の低下を抑えるためのものである。金属チュ
ーブ3の先端側3aの内部であってサーミスタ素子2の
周囲にはセメント11が充填される。このセメント11
は、サーミスタ素子2を振動から保護すると共に、サー
ミスタ素子2に熱を早く伝えて温度センサ1としての応
答性を上げるためのものである。
【0024】継手6の内部においてシース8の基端側8
bへ突出するシース芯線7には、端子12を介して一対
のリード線13が接続される。これらリード線13は、
耐熱ゴム製の補助リング14に内包される。シース芯線
7及びリード線13は互いにかしめ端子12により接続
される。補助リング14が継手6の上から丸かしめ又は
六角かしめされることにより、両者14,6が気密性を
保ちながら互いに接合される。これにより、金属チュー
ブ3、フランジ4及び継手6の内部が密閉空間となる。
即ち、サーミスタ素子2が、金属チューブ3、フランジ
4及び継手6を金属包囲部材として形成される密閉空間
に収容されることになる。
【0025】シース8の内部であってシース芯線7の周
囲には、シース充填材15が充填される。このシース充
填材15は、温度センサ1のシース芯線7の絶縁を確保
するためのものである。
【0026】この温度センサ1で特徴的なことは、サー
ミスタ素子2の周囲に充填されるセメント11の構成
と、シース芯線7の周囲に充填されるシース充填材15
の構成とにある。この実施の形態で充填されるセメント
11は、アルミナ(Al23)粉末を主成分とする骨材
と、Si及びNaを含むガラス成分とを備え、ガラス成
分に含まれるNa成分のNa2O換算量が、セメント1
1の全体重量に対して、0.17重量%に設定されたも
のである。又、この実施の形態で充填されるシース充填
材15は、SiO2粉末より構成されるものである。
【0027】次の表1に、本実施の形態で使用されるセ
メント11を構成するために使用される材料の組成を従
来のセメントのそれと比較して示す。
【0028】
【表1】
【0029】従来の未硬化状態のセメントは、骨材とし
てのアルミナ(Al23)粉末()に対し、ガラス成
分の一つでもある硬化剤としての水ガラス()と、コ
ロイダルシリカ(珪酸塩水溶液)()を所定量添加
し、希釈剤としての水で所定の粘度に調整したものであ
る。ここで、上記水ガラスは、33重量%のSiO
2と、16重量%のNa2Oを含む。コロイダルシリカ
は、20重量%のSiO2と、3重量%以下の有機分を
含む。本実施の形態における未硬化状態のセメント11
は、従来のセメントのようにNa含有量の多い水ガラス
の使用は避け、ガラス成分(硬化剤)としてコロイダル
シリカ()のみが使用される。しかしながら、従来の
セメントで使用されるコロイダルシリカはセメントとし
ての硬化に不可欠なアルカリ金属元素を含まないので、
その硬化に不可欠なアルカリ金属元素として、本実施の
形態では、Naを微量含有するガラス成分(硬化剤)が
使用される。このコロイダルシリカは、Si成分及びN
a成分として40.5重量%のSiO2と、0.5重量
%のNa2Oとを含む。
【0030】表2に、本実施の形態で使用されるセメン
ト11の各成分の調合割合(重量比)を従来のセメント
のそれと比較して示す。この表の中で、Na2Oの含有
量は、水及び有機分の蒸発分を除いた固形分中の含有量
の計算値を示す。
【0031】
【表2】
【0032】本実施の形態の温度センサ1を製造するに
は、予め形成された金属チューブ3、シース8及びフラ
ンジ4と、その他の部品2,5〜7,10〜14とを互
いに組み付ける。各部品の組み付けに際し、シース8の
中には予めシース芯線7の周囲に上記組成よりなるシー
ス充填材15の粉末材料を充填しておく。そして、サー
ミスタ素子2をシース芯線7に抵抗溶接する。更に、フ
ランジ4がアルゴン溶接された金属チューブ3の先端部
分の中に上記組成よりなるセメント11のペースト状の
材料を注入して、上述のシース芯線7に抵抗溶接された
サーミスタ素子2を挿入する。その後、組み付けられた
温度センサ1を800℃で加熱焼成することにより、水
分を蒸発させて固めてセメント11を得る。このように
して、温度センサ1の製造を完了する。
【0033】表3に、実施例1、実施例2及び実施例3
の温度センサのそれぞれにつき、セメント及びシース充
填材の加熱絶縁への試験結果を、従来の温度センサのセ
メント(表1,2に示す。)及びシース充填材(MgO
粉末よりなる。)のそれと比較して示す。ここで、実施
例3のセメント及びシース充填材は、本実施の形態の温
度センサ1のセメント11及びシース充填材15と同じ
ものである。この試験は、温度センサにより検出される
最低温度を300℃とし、その300℃において金属チ
ューブとシース芯線端子との間でセメントとシース充填
材により構成される絶縁抵抗値、即ち「300℃加熱絶
縁抵抗値」を測定することにより行った。抵抗値の測定
は、金属チューブとシース芯線端子との間に5Vの電圧
を1〜2秒間かけることにより行った。
【0034】
【表3】
【0035】表3から明らかなように、MgO粉末より
なるシース充填材と、全体重量に対して0.49重量%
のNa2O換算量のNa成分を含むセメントとを組み合
わせて構成した従来例の温度センサの加熱絶縁抵抗値が
最も小さくなることが分かる。この従来例の構成のうち
シース充填材のみをSiO2粉末に替えた実施例1で
は、加熱絶縁抵抗値が約2〜3.5倍に増大したことが
分かる。一方、従来例の構成のうちセメントのみを全体
重量に対して0.17重量%のNa2O換算量のNa成
分を含むものに替えた実施例2では、加熱絶縁抵抗値が
約2.5〜3.5倍に増大したことが分かる。更に、S
iO2粉末よりなるシース充填材と、全体重量に対して
0.17重量%のNa2O換算量のNa成分を含むセメ
ントとを組み合わせて構成した実施例3(本実施の形
態)の温度センサの加熱絶縁抵抗値は、従来例のそれの
最小値と比べて桁違い(約8〜17倍)に増大した。
【0036】図3のグラフは、300℃加熱絶縁抵抗値
と、300℃におけるサーミスタ素子2の出力抵抗値、
即ち温度センサ1の出力抵抗値との相関を示す。300
℃加熱絶縁抵抗値が大小(10kΩ〜10000kΩ
(10MΩ))となる複数の温度センサを作成し、それ
ら各温度センサにつき300℃における出力抵抗値との
相関を試験した。これら加熱絶縁抵抗値の大小は、セメ
ントの組成、シース充填材の組成、又はそれらの吸湿程
度を変えることにより設定される。このグラフから明ら
かなように、300℃加熱絶縁抵抗値の低い場合、即ち
セメント及びシース充填材が吸湿により絶縁劣化を起こ
した場合、それらの絶縁抵抗が出力抵抗に対して並列に
働くことから、出力抵抗値が低下することが分かる。3
00℃の出力抵抗値は、300℃の加熱絶縁抵抗値が約
300kΩ以上になることにより一定となり、加熱絶縁
抵抗値の変化による影響を受けることが無くなることが
分かる。
【0037】ところで、この実施の形態では、表3及び
図3に示すように、セメント11に含まれるNa成分の
Na2O換算量を0.17重量%に設定することによ
り、300kΩ以上の絶縁抵抗値を得ている。ここで、
セメント11に含まれるNa成分のNa2O換算量の許
容量を以下のように設定することができる。即ち、上記
のように300℃の加熱絶縁抵抗値が約300kΩ以上
になったとき、300℃のサーミスタ素子2の出力抵抗
値が一定値を示す。このことから、シース充填材を従来
例のMgO粉末を使用したもののままとしたときに、セ
メントの絶縁抵抗値が約300kΩ以上になる程度のア
ルカリ含有量を目安にしようとすると、表3のデータか
らNa2O換算量を概算することができる。この場合、
Na2O換算量が0.49重量%のときには、絶縁抵抗
値の三つのサンプルが170kΩ、210kΩ及び24
0kΩを示し、Na2O換算量が0.17重量%のとき
には、絶縁抵抗値の三つのサンプルが600kΩ、60
0kΩ及び600kΩを示す。そこで、Na2O換算量
が0.49重量%のときの上記三つの絶縁抵抗値の平均
値と、Na2O換算量が0.17重量%のときの上記三
つの絶縁抵抗値の平均値とから、絶縁抵抗値が約300
kΩになるNa2O換算量を案分すると、0.3重量%
の値を目安とすることができる。従って、セメント11
に含まれるNa成分のNa2O換算量は、0.3重量%
を最大許容量として設定することができる。一方、セメ
ント11に含まれるNa成分のNa2O換算量は、0.
05重量%以上でないとセメント11が固化しないこと
から、0.05重量%をNa2O換算量の下限値として
設定することができる。
【0038】以上説明したように本実施の形態の温度セ
ンサ1において、セメント11を構成するためにその骨
材に添加されるガラス成分には、セメント11の硬化に
不可欠な成分ではあるが、吸湿性によりセメント11の
絶縁性を低下させるNa成分が含まれる。しかし、この
実施の形態では、そのガラス成分に含まれるNa成分の
Na2O換算量が、セメント11の全体重量に対して、
0.17重量%と比較的微量に設定されることから、N
a成分によるセメント11の硬化が損なわれることなく
セメント11の吸湿性が抑えられる。このため、温度セ
ンサ1が300℃前後の中温域で使用されるときに、セ
メント11の吸湿による絶縁抵抗値の低下を抑えること
ができ、その結果としてサーミスタ素子2の出力抵抗値
の変化を抑えて温度センサ1の検出精度の低下を抑える
ことができるようになる。
【0039】加えて、この温度センサ1によれば、シー
ス充填材15がSiO2粉末より構成されることから、
従来例のMgO粉末より構成される場合に比べて、シー
ス充填材15の吸湿性が相対的に低下することになる。
このため、上記のセメント11の構成による効果に加
え、温度センサ1が300℃前後の中温域で使用される
ときに、シース充填材15の吸湿による絶縁抵抗値の低
下も抑えることができ、その結果としてサーミスタ素子
2の出力抵抗値の変化を抑えて温度センサ1の検出精度
の低下を更に抑えることができるようになる。つまり、
セメント11とシース充填材15との相乗効果により、
中温域での吸湿による絶縁抵抗の低下を更に抑えること
ができ、温度センサ1としての検出精度の低下を更に抑
えることができて、より安定した動作特性を示す温度セ
ンサ1を得ることができるようになる。
【0040】この実施の形態の温度センサ1の構成にお
いて、温度センサ1により検出される最低温度、例えば
300℃において、シース芯線7と金属チューブ3との
間でセメント11及びシース充填材15により構成され
る絶縁抵抗は、サーミスタ素子2の出力抵抗に対して並
列に働き、その絶縁抵抗値が低下することにより、サー
ミスタ素子2の出力抵抗値が小さくなるという悪影響が
出ることがある。そして、この悪影響は、図3に示すよ
うに、セメント11及びシース充填材15により構成さ
れる絶縁抵抗値がサーミスタ素子2の出力抵抗値(約1
50kΩ)の約2倍(約300kΩ)より小さくなるこ
とにより出ることが分かる。従って、この温度センサ1
の構成によれば、絶縁抵抗値を、同センサ1により検出
される最低温度(本実施の形態では、300℃)におけ
るサーミスタ素子2の出力抵抗値の2倍以上の値に設定
しているので、図3に示すように、300℃におけるサ
ーミスタ素子2の出力抵抗値が実質的に低下することが
ない。このことは、本実施の形態では、セメント11及
びシース充填材15の少なくとも一方の組成を、上記の
ように特定してセメント11又はシース充填材15の吸
湿性を低下させることにより達成されるものである。つ
まり、この実施の形態の温度センサ1によれば、セメン
ト11及びシース充填材15の組成を上記のように設定
したことにより、それらによる絶縁抵抗値の低下を抑え
ることができるようになり、結果として、サーミスタ素
子2の出力抵抗値の変化を抑えて温度センサ1の検出精
度の低下を抑えることができるのである。
【0041】[第2の実施の形態]次に、本発明の温度
センサを具体化した第2の実施の形態を図面に従って説
明する。尚、本実施の形態を含む以下の各実施の形態に
おいて、前記第1の実施の形態の温度センサ1と同一構
成については同一符号を付して説明を省略し、異なった
点を中心に説明する。
【0042】図4に本実施の形態の温度センサ21の断
面図を示す。図5に図4の一部を拡大して示す。この温
度センサ21では、前述した金属チューブ3そのものが
省略され、シース8とキャップ22とにより金属チュー
ブが代用される点で前記温度センサ1と構成が異なる。
シース8とキャップ22はシース先端部8aにおいてカ
シメにより仮固定され、円周溶接される。キャップ22
の内部には、酸化ニッケルからなるペレット10が埋設
されると共にサーミスタ素子2に接するセメント11が
充填され、先端が盛り材23により封止される。シース
8の内部には、シース芯線7の周囲にシース充填材15
が充填される。シース8、キャップ22及び盛り材23
はそれぞれSUS310Sを材質とする。セメント11
及びシース充填材15に使用される材料の組成は、前記
第1の実施の形態のそれと同じである。
【0043】従って、本実施の形態の温度センサ21で
も、セメント11を硬化させる機能を確保しながらセメ
ント11の吸湿性が抑えられ、シース充填材15の吸湿
性が相対的に低下することから、第1の実施の形態と同
様の効果を得ることができる。
【0044】[第3の実施の形態]次に、本発明の温度
センサを具体化した第3の実施の形態を図面に従って説
明する。
【0045】図6に本実施の形態の温度センサ31の断
面図を示す。図7に図6の一部を拡大して示す。この温
度センサ31でも、前述した金属チューブそのものが省
略され、シース8とキャップ22とにより金属チューブ
が代用される点で前記温度センサ1と構成が異なる。シ
ース8とキャップ22とは外形が等しく形成され、シー
ス先端部8aとキャップ基端部22aの端面が突き合わ
せ溶接される。キャップ22の内部には、酸化ニッケル
からなるペレット10が埋設されると共にサーミスタ素
子2に接するセメント11が充填され、先端が盛り材2
3により封止される。キャップ22の一部及びシース8
の内部には、シース芯線7の周囲にシース充填材15が
充填される。シース8、キャップ22及び盛り材23は
それぞれSUS310Sを材質とする。セメント11及
びシース充填材15に使用される材料の組成は、前記第
1の実施の形態のそれと同じである。
【0046】従って、本実施の形態の温度センサ31に
よれば、セメント11を硬化させる機能を確保しながら
セメント11の吸湿性が抑えられ、シース充填材15の
吸湿性が相対的に低下することから、第1の実施の形態
と同様の効果を得ることができる。
【0047】尚、この発明は前記各実施の形態に限定さ
れるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範
囲で適宜に変更して実施することもできる。
【0048】(1)前記各実施の形態では、サーミスタ
素子2の周囲に充填されるセメント11を、Al23
主成分とする骨材とガラス成分とを備え、ガラス成分に
含まれるNa成分のNa2O換算量がセメント11の全
体重量に対して0.17重量%とし、併せて、シース芯
線7の周囲に充填されるシース充填材15を、SiO2
粉末により構成した。これに対し、セメント11を第1
の実施の形態と同様に構成し、シース充填材15を従来
例のMgO粉末により構成してもよい。或いは、セメン
ト11を従来例と同様に構成し、シース充填材15をS
iO2粉末より構成してもよい。これによっても、前記
第1の実施の形態と同等の作用及び効果を得ることがで
きる。
【0049】(2)前記各実施の形態では、セメント1
1のガラス成分に含まれるNa成分のNa2O換算量を
セメント11の全体重量に対して0.17重量%とした
が、このNa2Oの換算量は、0.05〜0.3重量%
の値であれば0.17重量%以外の値であってもよい。
この場合でも、前記第1の実施の形態と同等の作用及び
効果を得ることができる。
【0050】(3)前記各実施の形態では、300℃を
中温域として温度センサにより検出される最低温度とし
て説明したが、200℃前後の温度を中温域として温度
センサにより検出される最低温度とすることもできる。
【0051】(4)前記各実施の形態では、セメント1
1の骨材をAl23を主成分として構成したが、その骨
材をSiO2を主成分として構成してもよい。
【0052】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の構成によれば、
セメントの骨材に添加されるガラス成分に含まれるNa
成分のNa2O換算量がセメント全体重量に対して0.
05〜0.3重量%と比較的微量であることから、Na
によるセメントの硬化が損なわれることなくセメントの
吸湿性が抑えられる。このため、中温域で吸湿による絶
縁抵抗の低下を抑えることができ、温度センサとしての
検出精度の低下を抑えることができる。
【0053】請求項2に記載の発明の構成によれば、例
えば、MgOを主成分とする場合よりも、充填材の吸湿
性が相対的に低下する。このため、中温域で吸湿による
絶縁抵抗の低下を抑えることができ、温度センサとして
の検出精度の低下を抑えることができる。
【0054】請求項3に記載の発明の構成によれば、セ
メントの硬化が損なわれることなくセメントの吸湿性が
抑えられ、加えて、充填材の吸湿性が相対的に低下す
る。このため、セメントと充填材との相乗効果により、
中温域で吸湿による絶縁抵抗の低下を更に抑えることが
でき、温度センサとしての検出精度の低下を更に抑える
ことができる。
【0055】請求項4に記載の発明の構成によれば、例
えば、セメント及び充填材の少なくとも一方の組成を特
定してセメント又は充填材の吸湿性による絶縁抵抗の低
下を抑えることにより、サーミスタ素子の出力抵抗値の
実質的な低下が抑えられる。この結果、中温域での絶縁
抵抗の低下による温度センサとしての検出精度の低下を
防止することができる。
【0056】請求項5に記載の発明の構成によれば、例
えば、セメント及び充填材の少なくとも一方の組成を特
定したり、包囲部材の材質、厚み、形状等を特定したり
してセメント又は充填材の吸湿性による絶縁抵抗の低下
を抑えることにより、サーミスタ素子の出力抵抗値の実
質的な低下が抑えられる。この結果、中温域での絶縁抵
抗の低下による温度センサとしての検出精度の低下を防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係り、温度センサを示す部
分破断側面図である。
【図2】同じく、図1の一部を拡大して示す断面図であ
る。
【図3】同じく、300℃における加熱絶縁抵抗値と出
力抵抗値との相関を示すグラフである。
【図4】第2の実施の形態に係り、温度センサを示す側
断面図である。
【図5】同じく、図4の一部を拡大して示す断面図であ
る。
【図6】第3の実施の形態に係り、温度センサを示す側
断面図である。
【図7】同じく、図6の一部を拡大して示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 温度センサ 2 サーミスタ素子 3 金属チューブ(包囲部材) 8 シース(包囲部材) 11 セメント 15 シース充填材 21 温度センサ 22 キャップ(包囲部材) 31 温度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 直樹 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 2F056 QC01 QC06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーミスタ素子及びそのサーミスタ素子
    から延びる芯線を金属製の包囲部材で包囲し、前記サー
    ミスタ素子の周囲の少なくとも一部にセメントを充填し
    た温度センサにおいて、 前記セメントは、Al23又はSiO2を主成分とする
    骨材とガラス成分とを備え、前記ガラス成分に含まれる
    Na成分のNa2O換算量が、セメント全体重量に対し
    て、0.05〜0.3重量%であることを特徴とする温
    度センサ。
  2. 【請求項2】 サーミスタ素子及びそのサーミスタ素子
    から延びる芯線を金属製の包囲部材で包囲し、前記芯線
    の周囲の少なくとも一部に充填材を充填した温度センサ
    において、 前記充填材は、SiO2を主成分とすることを特徴とす
    る温度センサ。
  3. 【請求項3】 サーミスタ素子及びそのサーミスタ素子
    から延びる芯線を金属製の包囲部材で包囲し、前記サー
    ミスタ素子の周囲の少なくとも一部にセメントを充填す
    ると共に前記芯線の周囲の少なくとも一部に充填材を充
    填した温度センサにおいて、 前記セメントは、Al23又はSiO2を主成分とする
    骨材とガラス成分とを備え、前記ガラス成分に含まれる
    Na成分のNa2O換算量が、セメント全体重量に対し
    て、0.05〜0.3重量%であり、 前記充填材は、SiO2を主成分とすることを特徴とす
    る温度センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の一つに記載の温
    度センサにおいて、 前記芯線の端子と前記包囲部材との間で前記セメント及
    び前記充填材により構成される絶縁抵抗値を、当該温度
    センサにより検出される最低温度における前記サーミス
    タ素子の出力抵抗値の2倍以上の値に設定したことを特
    徴とする温度センサ。
  5. 【請求項5】 サーミスタ素子及びそのサーミスタ素子
    から延びる芯線を金属製の包囲部材で包囲し、前記サー
    ミスタ素子の周囲の少なくとも一部にセメントを充填す
    ると共に前記芯線の周囲の少なくとも一部に充填材を設
    け、200℃以上の温度を検出するために使用される温
    度センサにおいて、 前記芯線の端子と前記包囲部材との間で前記セメント及
    び前記充填材により構成される絶縁抵抗値を、当該温度
    センサにより検出される最低温度における前記サーミス
    タ素子の出力抵抗値の2倍以上の値に設定したことを特
    徴とする温度センサ。
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