JP2000273547A - 表面性状に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
表面性状に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法Info
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Abstract
板の製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、Cr:10 〜23% 以下を含有し、
下記式1で定義されるApが25〜50となるように化学成分
が調整され、残部がFe及び不可避的不純物よりなるフェ
ライト系ステンレス鋼スラブを、下記式2で示すTHL ℃
以上かつ下記式3で示すTHH ℃以下に加熱した後に、10
50℃以上1100℃以下の温度域で1パス当たりの圧下量が
35% 以上となる粗熱延を少なくとも1パス以上実施する
ことにより、フェライト相中にオーステナイト相を分散
させた金属組織とした後に、仕上げ熱延を行うことを特
徴とする表面性状に優れたフェライト系ステンレス鋼板
の製造方法。Ap=420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+9(%Cu)+7(%M
n)-11.5(%Cr)-11.5(%Si)-12(%Mo)-(%V)-47(%Nb)-49(%T
i)-52(%Al)+189(式1);THL=1110+2×Ap(式2);THH=1160+2
×Ap(式3)。
Description
代表とするフェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関
するものである。SUS430鋼をはじめとするフェラ
イト系ステンレス鋼板は、冷延時に鋼板表面に微細な凹
凸が発生し、表面の平滑性を損なうことが認められてい
る。さらに、製品板をプレス加工あるいは引張加工した
際に、圧延方向に平行な凹凸状の皺が発生、加工品表面
の美観を損なうことが認められている。これらの凹凸は
一般にローピングやリジング、リビング(以降では冷間
圧延時に発生する凹凸をローピング、製品を加工する際
に発生する凹凸をリジングと称する)とよばれており、
SUS304鋼等のオーステナイト系ステンレス鋼板に
はないフェライト系ステンレス鋼板の重大な表面欠陥と
なっている。本発明は、このようなリジング・ローピン
グを加工性を損なわずに向上させるフェライト系ステン
レス鋼板の製造方法に関するものである。
色調と冷延により高い平滑性を得やすいことから、厨房
機器をはじめとする家庭用品や建材、家電、自動車の部
品等に広く使用されている。しかし、フェライト系ステ
ンレス薄鋼板は冷間圧延を行うと表面に1μm(二乗平
均粗さ)以下の凹凸が生じ、平滑性を損ねることが認め
られていた。また、プレス成形や引張加工を加えると圧
延方向に平行な凹凸状の皺が発生する場合がある。これ
らは、色調や平滑性を損ね、それを回復させるための研
磨処理を困難にするだけでなく、部品によっては密着性
を低下させるなど機能上でも支障をきたすことがあっ
た。
確ではないが、いずれも鋼板内部の金属組織ならびにそ
の結晶方位分布に起因し、概ね以下のように考えられて
いる。すなわち、鋳造時に形成された粗大な結晶粒は、
熱延工程時あるいはその後の焼鈍工程にて再結晶し、あ
る程度は微細化する。しかし、一部圧延方向に展伸した
粗大粒が残留したり、あるいは再結晶により微細化した
結晶粒についても大半が元の粗大粒と類似した結晶方位
を有しており、熱延板組織は展伸した粗大粒および類似
した結晶方位の集まった擬似的粗大粒が混合した組織と
なる。この組織を有する熱延板を冷間圧延すると、隣接
した粗大粒あるいは擬似的粗大粒の間で結晶方位が異な
るために変形挙動の差が生じ、凹凸となって冷延板表面
に現れる(ローピング)と考えられる。冷延後の焼鈍で
さらに再結晶されるため、製品板での金属組織では粗大
な展伸粒は認められず、微細な等軸状の結晶粒となる
が、結晶方位分布では元の粗大粒の影響が残存してい
る。すなわち、元の粗大粒の結晶方位に影響され、類似
方位を有する結晶粒の集団が形成されており、圧延方向
に伸びた形状を有する集団(以降、コロニーと記載す
る)を構成する。このコロニーが擬似的粗大粒の役割を
果たし、製品板にプレス成形や引張加工を加えたときに
ローピングと同様の凹凸となって製品表面に現れる(リ
ジング)と考えられる。
は、概ね下記の3種類の考え方に従って具体策が実行さ
れてきた。多くの場合はそれぞれ単独の実施ではなく、
重畳することで効果の増大を図ってきた。 擬似的粗大粒のもととなる凝固結晶粒の微細化 再結晶を利用した結晶粒微細化と集合組織的なラン
ダム化 第2相を利用した結晶方位のランダム化促進
じるもので、例えば特開昭50−123294号に開示
されているように、柱状晶の等軸晶化を狙った電磁攪
拌、凝固結晶粒の微細化を狙った凝固核の導入あるいは
鋳造温度の低下などが具体的な方策として実施されてき
た。の考え方では、製造工程中での再結晶の促進を狙
った熱間圧延あるいは熱延板焼鈍条件の適正化、冷延時
の中間焼鈍工程の追加等が提案されている。の考え方
では、熱延域で析出するγ相を利用して熱延時あるいは
冷間圧延時の結晶方位のランダム化を促進するものであ
る。
ング抑制に効果はあるものの、弊害となる要因も現れて
くるために工業的には十分なレベルには至っていない。
すなわちに関する方法では鋳造時だけでの対応である
ために次工程以降への影響が少ないという利点がある一
方、鋳造温度を低下させすぎるとノズル詰まりやブレー
クアウト等の鋳造障害を引き起こす。に関する方法で
は、圧延工程以降で実施可能であるが、装置上等の理由
から製造条件を大きく変更することは難しく、工程数の
増加はコスト上昇も招くため、本法のみで解決すること
は難しい。の方法では、SUS430鋼等で熱延時に
適量γ相を析出させることにより、熱延時に導入される
せん断歪をγ相周囲に集中させ、再結晶による方位ラン
ダム化を促進させる方法は、特開平7−118754に
て開示されている。さらに熱延後直ちに冷却、低温で捲
取ることにより、高温で析出したγ相をマルテンサイト
相に変態させ、冷間圧延時に導入されるせん断歪もマル
テンサイト相周囲に集中させ、リジング発生を抑制する
方法も特開平8−49017にて開示されている。これ
らのリジング発生抑制方法は析出するγ相が多いほど効
果的であるが、製品の硬質化、加工性低下を招くために
γ相の量を十分増加することができない。
0鋼のような高温で部分的にγ相が析出するフェライト
系ステンレス鋼において、熱延時に析出するγ相を有効
に利用しローピング発生を抑制するとともに、γ相によ
る弊害をなくした表面性状とリジング性の優れたフェラ
イト系ステンレス鋼板の製造方法を提供するものであ
る。
にて一部のγ相を消失させるとともに、一部γ相を残留
させフェライト粒の粗大化を抑制し、消失させたγ相を
粗熱延時の後段側で再析出させることにより、γ相の効
果を最大限活用できることを見出した。かかる知見に基
づき、熱延板のγ相の析出形態を制御し、結晶方位のラ
ンダム化効果を最大限発揮させる表面性状に優れたフェ
ライト系ステンレス鋼板の製造方法を完成させた。すな
わち、本発明の要旨とするところは、
るように化学成分が調整され、残部がFe及び不可避的
不純物よりなるフェライト系ステンレス鋼スラブを、下
記式2で示すTHL℃以上かつ下記式3で示すTHH℃
以下に加熱した後に、1050℃以上1100℃以下の
温度域で1パス当たりの圧下量が35%以上となる粗熱
延を少なくとも1パス以上実施することにより、フェラ
イト相中にオーステナイト相を分散させた金属組織とし
た後に、仕上げ熱延を行うことを特徴とする表面性状に
優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 Ap=420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+9(%Cu) +7(%Mn)−11.5(%Cr)−11.5(%Si) −12(%Mo)−(%V)−47(%Nb)−49(%Ti) −52(%Al)+189 ・・・・・ 式1 THL=1110+2×Ap ・・・・・・ 式2 THH=1160+2×Ap ・・・・・・ 式3 (2) フェライト系ステンレス鋼スラブが、さらに重
量%で、 Al:0.05〜0.2% を含有し、900℃以上で仕上げ熱延を終了し、直ちに
10℃/sec以上の速度で冷却して600℃以下の温
度で捲取り、熱延後の焼鈍を施すことなく冷間圧延を行
うことすることを特徴とする前記(1)記載の表面性状
に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 (3) フェライト系ステンレス鋼スラブが、さらに重
量%で、 B :0.0005〜0.01% を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)記載
の表面性状に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造
方法。
する。前述のようにリジング・ローピングを抑制させる
ためには、熱延時に変形能の異なるγ相を析出させるこ
とが有効であるが、γ相は鋳造後の冷却時に析出するた
め、粗大な結晶粒の粒界に優先的に析出し、粗大でまば
らに分散する。熱延前の加熱時において残留した粗大γ
相が粗熱延時、圧延方向に伸ばされ、フェライト相とγ
相の層状組織となる。層状のγ層では方位ランダム化効
果が減ずる。一方、熱延前加熱温度を上げ、γ相を加熱
中に一旦消失させ、粗圧延途中で再析出させれば、圧延
により導入された歪の効果により微細で密な析出形態と
なり、γ相による方位ランダム化効果が増加する。しか
し、γ相が消失する温度まで熱延前加熱温度を上げると
フェライト結晶粒が粗大に成長し、熱延後のフェライト
相が粗大な展伸粒となり、分散したγ相によるランダム
化効果はあるものの、リジング・ローピング性はむしろ
劣化する。
消失させるとともに、一部γ相を残留させフェライト粒
の粗大化を抑制し、消失させたγ相を粗熱延時の後段側
で再析出させることにより、γ相の効果を最大限活用す
る製造方法を見出した。熱延前での加熱時のγ相の量お
よびγ相が消失温度は鋼成分に依存し、その鋼成分から
計算されるAp値を基に加熱温度を制御することによ
り、熱延時に再析出するγ相の量を調整でき、さらに粗
圧延温度および圧下量を適正化することにより分散した
析出形態にすることができる。これらの条件を満足する
ことにより、熱延前が残存していたγ相がフェライト粒
の粗大化を抑制しつつ、粗圧延後段あるいは粗圧延後に
析出した分散したγ相が周囲の方位をランダム化を促進
し、リジング・ローピング性に優れたフェライト系ステ
ンレス鋼を製造することができる。
は、10%未満ではステンレス鋼板としての基本的な耐
食性が低下するために下限とした。また23%を超える
リジング抑制に有効なγ相を析出させるための成分調整
ができなくなるために上限とした。
は有効なγ相の量を熱延時に確保するためには、上記の
成分から下記式1に従って計算されるAp値を25以上
としなければならない。しかし、50を超えると製品板
が著しく硬化し、加工性が劣化することから上限を50
とした。 Ap=420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+9(%Cu) +7(%Mn)−11.5(%Cr)−11.5(%Si) −12(%Mo)−(%V)−47(%Nb)−49(%Ti) −52(%Al)+189 ・・・・・ 式1
前加熱温度域でフェライト粒の粗大化を抑制させるため
に必要な量のγ相を残留させ、粗熱延時に析出させるた
めに一部のγ相は加熱温度域では消失させなければなら
ない。その温度域は鋼材の化学成分から計算される以下
のAp値に依存し、Ap値から加熱下限温度:THL℃
および加熱上限温度:THH℃が決まる。そのTHLお
よびTHHとApの関係は下記式2及び式3に示すとお
りで、このTHLより低い加熱温度では大部分のγ相が
残留し、粗圧延時に析出するγ相が十分でなく、圧延方
向に伸ばされたγ相とフェライト相の層状組織となり、
γ相による方位ランダム化効果が低下する。一方、TH
Hより高い加熱温度ではγ相の大部分が消失し、加熱時
にフェライト相が粗大に成長し、リジング・ローピング
性が逆に低下するとともに、熱延時の表面および端部疵
が生じやすくなる。 THL=1110+2×Ap ・・・・・・ 式2 THH=1160+2×Ap ・・・・・・ 式3
1100℃以下の温度域で1パス当たりの圧下量が35
%以上となる粗圧延を実施することにより、加熱時に消
失したγ相を微細に分散した形態で再析出させ、リジン
グ・ローピング性に優れた金属組織を形成させる。10
50℃未満あるいは1100℃超では十分に再析出せ
ず、1パス当たりの圧下量が35%未満では、歪量が不
十分なために再析出したγ相が微細に分散した形態とな
らない。本条件によって粗圧延した直後の金属組織の一
例を図1の(a)に示す。図中黒色の部分が熱延時にγ
相であった部分である。比較条件で圧延した図1(b)
に示す組織に比べ、層状のγ相の一部が塊状に分散して
析出している。以上のことから、本発明条件を満足する
ことにより、仕上げ圧延前にフェライト相中に適量のγ
相が分散した金属組織となり、リジング・ローピング性
に優れた熱延板を製造することができる。
ることにより、上記熱延板を熱延板焼鈍省略あるいは短
時間の熱延板焼鈍が可能となり、その場合も上記製造方
法によりリジング・ローピングを改善することができ
る。Alは、粗熱延域でのγ量を確保しながらγ相が析
出する温度を高くすることができ、熱延板焼鈍の高温短
時間化、あるいは熱延板焼鈍を省略しても低降伏点、降
伏点伸びの小さい冷延鋼板を製造することができる。ま
た、r値を高め、加工性を改善する効果を有する。これ
らの効果を発現させるためには、0.05%以上の添加
量が必要であるが、0.2%を超えて添加すると熱延温
度域でのγ相の分解が促進され、γ相による結晶方位ラ
ンダム化の効果が減少するために上限とした。
900℃以上で仕上げ熱延を終了し、直ちに10℃/s
ec以上の速度で冷却し、600℃以下の温度で捲取る
ことにより熱延域で析出したγ相をマルテンサイト相に
変態させることが、リジング・ローピング抑制に有効で
ある。仕上げ温度が900℃未満、冷却速度が10℃/
sec未満あるいは捲取温度が600℃を超えるとγ相
がマルテンサイト相に変態する前にフェライト相に変態
するため、リジング・ローピング特性が悪化する。
し、粒内に析出させるため、熱延時に析出するγ相をさ
らに分散させる効果を有する。B含有量が0.001%
未満ではその効果が不十分であり、0.01%を超えて
添加すると耐食性、溶接性が劣化するため、添加量を
0.001%以上0.01%未満とした。
テンレス鋼スラブを3.8mm厚さまで熱間圧延した。な
お、表2に示す各種熱延条件でNo.1〜6およびN
o.16〜18の熱延については、900℃以上で仕上
げ熱延を終了し、直ちに10℃/sec以上の速度で冷
却し、600℃以下の温度で捲取りを行った。熱延後焼
鈍(一部鋼板については省略)後に表面を酸洗し、板厚
1.0mmまで冷間圧延した。この冷延板を880℃で1
分保持する焼鈍を施し、表面性状および引張試験後のリ
ジング測定を行った。
JIS5号引張試験片の圧延方向と平行に切り出し、評
点間距離が15%伸びるまで引張り、圧延方向と直角方
向に触針式の表面粗さ計で凹凸を測定し、最大凹凸高さ
(リジング高さと呼ぶ)で評価した。
と直角方向に触針式の表面粗さ計で測定し、0.5mm〜
2mmピッチの最大凹凸高さ(ローピング高さと呼ぶ)か
ら評価した。
果を製造条件と併せて表2に示す。本願発明で規定した
成分範囲および熱延条件を満足した鋼はいずれもローピ
ング高さが0.15μm以下、リジング高さが10μm
以下であり、表面性状に優れていることがわかる。
ステンレス鋼の表面性状およびリジング性を改善するこ
とが可能となった。本発明により、特別な製造設備を付
加することなく、フェライト系ステンレス鋼の有する材
質を劣化させずに表面性状、リジング性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼を安価に供給でき、製造者のみなら
ず本鋼を利用する者にとっても多大な利益を得ることが
でき、工業的価値は極めて高い。
後の光学顕微鏡組織写真。 (b)比較条件で圧延したものの光学顕微鏡組織写真。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 Cr:10〜23%以下 を含有し、下記式1で定義されるApが25〜50とな
るように化学成分が調整され、残部がFe及び不可避的
不純物よりなるフェライト系ステンレス鋼スラブを、下
記式2で示すTHL℃以上かつ下記式3で示すTHH℃
以下に加熱した後に、1050℃以上1100℃以下の
温度域で1パス当たりの圧下量が35%以上となる粗熱
延を少なくとも1パス以上実施することにより、フェラ
イト相中にオーステナイト相を分散させた金属組織とし
た後に、仕上げ熱延を行うことを特徴とする表面性状に
優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 Ap=420(%C)+470(%N)+23(%Ni)+9(%Cu) +7(%Mn)−11.5(%Cr)−11.5(%Si) −12(%Mo)−(%V)−47(%Nb)−49(%Ti) −52(%Al)+189 ・・・・・ 式1 THL=1110+2×Ap ・・・・・・ 式2 THH=1160+2×Ap ・・・・・・ 式3 - 【請求項2】 フェライト系ステンレス鋼スラブが、さ
らに重量%で、 Al:0.05〜0.2% を含有し、900℃以上で仕上げ熱延を終了し、直ちに
10℃/sec以上の速度で冷却して600℃以下の温
度で捲取り、熱延後の焼鈍を施すことなく冷間圧延を行
うことすることを特徴とする請求項1記載の表面性状に
優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 フェライト系ステンレス鋼スラブが、さ
らに重量%で、 B :0.0005〜0.01% を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の表面
性状に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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