JP2000278086A - 弾性表面波デバイス - Google Patents

弾性表面波デバイス

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝搬速度を遅くすることにより小型化に有利
で、かつ高いK2特性および低い温度特性を有するSA
Wデバイスを提供する。 【解決手段】 SAWデバイス5は、ガラス基板1と、
LiNbO3(LN)基板2と、電極3とを有してい
る。電極3のピッチをλ、LN基板2の厚みをH、Kを
2π/λとしたとき、KとHとの積が0.5以上1.0
以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波(Surf
ace Acoustic Wave:SAW)デバイスに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】SAWデバイスには、SAW共振器、ト
ランスバーサル型SAWフィルタおよび共振器型SAW
フィルタなどがあり、それぞれ用途に応じて使い分けら
れている。以下、SAWデバイスの1つとしてたとえば
SAWフィルタについて説明する。
【0003】図11は、SAWフィルタの構成を概略的
に示す斜視図である。図11を参照して、SAWフィル
タ15の基本構造は、圧電基板12と、その圧電基板1
2の表面上に形成された表面波の励振用および受信用の
1対の櫛型電極13とを有する4端子構造からなってい
る。また、このような電極13を交差指形電極(interd
igital electrode)といい、この種の変換素子をIDT
(interdigital transducer)という。
【0004】一般に、励振用の櫛型電極13にインパル
ス電圧を印加すると、図12に示すように圧電効果によ
り隣り合う電極13間に互いに逆位相の歪みが生じSA
Wが励起される。このSAWが圧電基板12の表面を伝
搬し、この表面波による歪みで圧電基板12上に表面電
荷が生じ、受信用の櫛型電極13により電気信号として
取出される。
【0005】従来、このようなSAWフィルタ15など
のSAWデバイスは、図13に示すように圧電基板12
の表面にそれぞれのデバイスに応じた電極13を配置し
た構造となっている。SAWデバイス15の特性は圧電
基板12の特性に大きく依存し、圧電基板12もまた用
途に応じて使い分けられている。表1に代表的な圧電基
板12の材質と圧電基板12上を伝搬するSAWの特性
とを示す。
【0006】
【表1】
【0007】表1より、水晶基板では温度特性が小さく
良好であるが、電気−機械結合係数(K2)が小さい。
またLiNbO3(LN)基板ではK2は大きいが、遅延
時間温度係数(Temperature Coefficient of Delaytim
e:TCD)などの温度特性が悪い。
【0008】このように各基板はそれぞれ長所と短所と
を持っており、デバイスの用途に応じて使い分けられて
いる。近年、TVなどの映像機器および携帯電話などの
通信機器の発達に伴い、それらに用いられるSAWデバ
イスにもまた、これまで以上に優れた特性が要求されて
いる。
【0009】なお、表1におけるオイラー角について以
下に図14を用いて説明する。図14を参照して、まず
Z軸を回転軸としてX軸をY軸方向にφだけ回転させた
軸を第1軸とする。次に第1軸を回転軸としてZ軸を反
時計回りにθだけ回転させた軸を第2軸とする。この第
2軸を法線として第1軸を含む面方位でカットし、基板
とする。上記面方位にカットした基板において、第2軸
を回転軸として第1軸を反時計回りにψだけ回転させた
軸を第3軸とし、この第3軸をSAW伝搬方向とする。
面上の第3軸と直交する軸を第4軸とする。このように
オイラー角(φ,θ,ψ)が規定される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】SAWデバイスの中心
周波数f0は、 f0=V/λ (V:SAWの伝搬速度、λ:IDTの電極ピッチ(図
11))で決定される。このため、同じ中心周波数f0
を持つデバイスを作製する場合、水晶基板などに比べ速
い伝搬速度Vを持つLN基板を用いると、IDTの電極
ピッチλが大きくなり、SAWデバイス自身も大きくな
ってしまう。
【0011】また一般的に圧電基板のK2が大きいほど
帯域幅の広いデバイスが設計しやすいとされている。し
かし、大きなK2を有するLN基板は、TCDが大きい
ため、低い温度特性が要求されるデバイスには不向きで
ある。
【0012】それゆえ本発明の目的は、伝搬速度を遅く
できることで小型化を図ることができ、かつ高いK2特
性および低温度特性を有するSAWデバイスを提供する
ことである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記目
的に基づいて鋭意検討した結果、LNを含む圧電基板と
ガラス基板とを組合せることにより、SAWデバイス自
身の小型化を図ることができ、かつ電極のピッチλと圧
電基板の厚みHとを所定範囲に設定することで、高いK
2および低い温度特性が得られることを見出した。
【0014】それゆえ、本発明のSAWデバイスは、ガ
ラス基板と、ガラス基板上に形成されたLNを含む圧電
基板と、圧電基板上に形成された電極とを備え、電極の
ピッチをλ、圧電基板の厚みをH、Kを2π/λとした
とき、KとHとの積(KH)が0.5以上1.0以下で
ある。
【0015】ガラス基板は、LNを含む圧電基板に比べ
て音速(伝搬速度)の遅い材料である。このため、ガラ
ス基板とこの圧電基板とを組合せることにより、圧電基
板はガラス基板の影響を受けるため、SAWの音速を遅
くすることができる。たとえば、圧電基板の厚みが薄い
ほどガラス基板の影響が強くなり、SAWの音速が遅く
なる。また圧電基板の厚みを厚くしていくと、SAWの
音速は圧電基板の音速に収束していく。
【0016】このようにガラス基板と圧電基板とを接合
することにより、それらの各厚みを調整することでSA
Wの音速を低速化するよう調整することができる。これ
により、IDTの電極ピッチλを小さくできるため、S
AWデバイス自身の小型化を図ることができる。
【0017】また圧電基板の厚みHおよび電極ピッチλ
によって電界分布が異なる。ここで、ガラス基板と圧電
基板とを組合せるとともに、KHを0.5以上1.0以
下とすることにより、電界分布を圧電基板に集中するよ
うに調整できる。このため、SAWを効率的に励振でき
るようになり、それによりK2が改善される。
【0018】なお、KHを0.5以上1.0以下とした
のは、0.5未満および1.0を超えた場合のいずれに
も、SAWの音速が大きくなり、SAWデバイス自身の
小型化が困難となるからである。
【0019】またガラス基板のTCDおよび音速の温度
係数(TCV)は、LNを含む圧電基板のTCDおよび
TCVと異符号の特性を持つ。たとえばTCVの場合、
LNを含む圧電基板は+の係数を持つが、ガラス基板は
−の係数を持つ。このため、これらの基板を接合するこ
とにより、互いのTCD、TCVを各々キャンセルする
ことができ、それにより温度特性を改善することができ
る。
【0020】また本願発明者らは、鋭意検討した結果、
オイラー角を所定範囲に設定すれば、高いK2および低
い温度特性が得られることを見出した。
【0021】それゆえ、上記のSAWデバイスにおいて
好ましくは、LNがオイラー角表示で(30°,80°
〜100°,130°〜145°)である。
【0022】これにより、従来例である128°Y−X
LN基板と同程度の高いK2を有し、さらに128°
Y−X LN基板よりも低い温度特性を有し、かつ遅い
伝搬速度を持つSAWデバイス基板が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図に基づいて説明する。
【0024】図1は、本発明の一実施の形態におけるS
AWデバイスの構成を示す概略断面図である。図1を参
照して、SAWデバイス5は、ガラス基板1と、圧電基
板2と、電極3とを有している。圧電基板2は、ガラス
基板1上に形成され、かつLNよりなっている。また圧
電基板2上にはデバイスに応じた配置を有する電極3が
形成されている。
【0025】このようなSAWデバイス5は、ガラス基
板1の表面にLN基板2を接合、あるいはガラス基板1
の表面にLN薄膜2を形成した後に、LN基板(薄膜)
2上に電極3を成膜・パターニングすることにより得ら
れる。
【0026】ガラス基板1の材質としては、たとえば石
英ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、
ソーダ石灰ガラス、鉛ケイ酸ガラスなどが用いられ得
る。
【0027】またLN基板2と組合せる基板は、ガラス
基板に限定されず、LNよりも音速の遅い材料でかつL
NのTCDおよびTCVと異符号の特性を持つ材料であ
ればよい。
【0028】また、圧電基板2の材質は、LNのみから
なっていてもよく、また一部にLNを含んでいてもよ
い。また電極3の材質としては、たとえばアルミニウム
などが用いられ得るが、これに限定されるものではな
い。
【0029】また圧電基板2の厚みをHとし、電極3の
ピッチをλとし、Kを2π/λとしたとき、KHが0.
5以上1.0以下となる。
【0030】また圧電基板2のLNが、オイラー角表示
で(30°,80°〜100°,130°〜145°)
となることが好ましい。
【0031】本実施の形態では、ガラス基板1とLN基
板2とを組合せたことにより、SAWデバイス自身を小
型化することができる。つまり、ガラス基板1は、LN
基板2よりも音速の遅い材料である。このため、ガラス
基板1をLN基板2と組合せることによりLN基板2が
ガラス基板1の影響を受けるため、SAWの音速を遅く
することができる。よって、電極ピッチλを小さくで
き、SAWデバイス自身を小型化することができる。
【0032】またLN基板2の厚みHおよび電極ピッチ
λによって電界分布が異なる。このため、ガラス基板1
とLN基板2とを組合せるとともにKHを0.5以上
1.0以下とすることにより、電界分布をLN基板2に
集中するように調整することができる。よって、SAW
を効果的に励振できるようになり、K2が改善される。
【0033】なお、KHを0.5以上1.0以下とした
のは、0.5未満および1.0を超える場合のいずれに
も、SAWの音速が速くなるため、SAWデバイス自身
を小型化することが困難となるからである。
【0034】またガラス基板1とLN基板2とを組合せ
たことにより、TCD、TCVを改善することができ
る。つまり、ガラス基板1のTCD、TCVがLN基板
2のTCD、TCVと異符号の特性を持つため(たとえ
ばTCVの場合、LN基板2は+の係数を持つが、ガラ
ス基板1は−の係数を持つ)、これらの基板1、2を接
合することにより、互いのTCD、TCVをキャンセル
することができる。これにより、低い温度特性を得るこ
とができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0036】図1においてオイラー角が(0°,0°,
0°)のLN/ガラス構造基板において、LNのKHパ
ラメータと伝搬速度との関係を計算した。その結果を図
2に示す。計算したKHの範囲は、0≦KH≦4.0と
した。
【0037】図2より、KHの値が0.7のとき伝搬速
度が最も遅くなり、かつ0.5以上1.0以下のときほ
ぼ2800m/s程度の伝搬速度の得られることが判明
した。また、すべての方位について同様の結果が得られ
た。
【0038】この結果より、LNのKHパラメータの値
を0.7とすることによって伝搬速度を最も遅くできる
とともに、0.5以上1.0以下とすることにより伝搬
速度を十分に低くできることが判明した。
【0039】次に、LNのKHパラメータの値を0.7
としたときの伝搬速度とオイラー角との関係を計算し
た。その結果を図3〜図6に示す。またK2とオイラー
角との関係についても計算した。その結果については図
7〜図10に示す。
【0040】なお、上記の計算は、LN結晶性の対称性
から、0°≦φ≦30°、0°≦θ≦180°、0°≦
ψ≦180°の範囲のみ行なった。
【0041】図3〜図10の結果より、伝搬速度が28
20m/sより遅く、かつK2が1.4%より大きな角
度は(30°,90°,140°)であることが判明し
た。また(30°,90°,140°)LN(KH=
0.7)/ガラス構造基板のTCDを計算した結果は、
15.56ppm/℃であった。また角度が(30°,
80°〜100°,130°〜145°)の範囲であれ
ば、図6と図10とから十分に遅い伝搬速度と1.4以
上のK2とが得られるとともに、上記と同等のTCDの
得られることが判明した。
【0042】なお、計算に用いたガラスの定数は、一般
的に電子材料用として用いられているガラスの定数とし
た。その計算に用いたガラスの材料定数を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】本発明範囲の(30°,90°,140)
LN/ガラス基板を用いた場合について、表1に記載し
た(0°,38°,0°)LN基板を用いた場合と比較
すると、本発明範囲ではK2は小さくなるものの、伝搬
速度は3割近く遅くなり、TCDに関してはおよそ8割
減と大幅に改善されていることが分かる。
【0045】また本発明範囲の(30°,90°,14
0)LN/ガラス基板を用いた場合について、表1に記
載した(90°,90°,112°)LT基板を用いた
場合と比較すると、本発明範囲ではK2、伝搬速度およ
びTCDのいずれにおいても優れている、つまり大きな
K2、遅い伝搬速度、および小さなTCD特性を有する
ことが分かる。
【0046】次に、上記で優れた特性の得られた本発明
のLN/ガラス基板を用いてSAWフィルタを製造する
方法について説明する。
【0047】図1を参照して、表2に示した材料定数を
持つガラス基板1と(30°,80°〜100°,13
0°〜145°)LN基板2とを直接接合技術を用いて
積層し、LN基板2の表面に電極3を形成した。ここ
で、直接接合とは、接着層を介さず基板同士を直接接合
する技術である。具体的には、研磨、洗浄したガラス基
板1とLN基板2とをアンモニア系水溶液により親水化
処理し、その後、基板1、2同士を重ね合わせ水素結合
によって接合した。
【0048】本実施例では、接合強度を得るために接合
後、熱処理を行なった。このLN/ガラス構造の基板上
にスパッタによってアルミニウム膜を1000Å成膜
し、フォトリソグラフィによって電極3のパターニング
を行なった。
【0049】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明のSAWデバ
イス基板では、ガラス基板と圧電基板とを接合すること
により、それらの各膜厚を調整することでSAWの音速
を低速化するよう調整することができる。これにより、
IDTの電極ピッチλを小さくできるため、SAWデバ
イス自身の小型化を図ることができる。
【0051】また、ガラス基板と圧電基板とを組合せる
とともに、KHを0.5以上1.0以下としたため、電
界分布を圧電基板に集中するように調整できる。これに
よってSAWを効率的に励振できるようになり、それに
よりK2が改善される。
【0052】また、ガラス基板と圧電基板とを接合する
ことにより、互いのTCD、TCVを各々キャンセルす
ることができ、それにより温度特性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるSAWデバイス
の構成を示す概略断面図である。
【図2】(0°,0°,0°)LN/ガラス構造基板の
伝搬速度のKH依存性を示す図である。
【図3】(0°,θ,ψ)LN(KH=0.7)/ガラ
ス構造基板の伝搬速度を示す図である。
【図4】(10゜,θ,ψ)LN(KH=0.7)/ガ
ラス構造基板の伝搬速度を示す図である。
【図5】(20゜,θ,ψ)LN(KH=0.7)/ガ
ラス構造基板の伝搬速度を示す図である。
【図6】(30゜,θ,ψ)LN(KH=0.7)/ガ
ラス構造基板の伝搬速度を示す図である。
【図7】(0゜,θ,ψ)LN(KH=0.7)/ガラ
ス構造基板のK2を示す図である。
【図8】(10゜,θ,ψ)LN(KH=0.7)/ガ
ラス構造基板のK2を示す図である。
【図9】(20゜,θ,ψ)LN(KH=0.7)/ガ
ラス構造基板のK2を示す図である。
【図10】(30゜,θ,ψ)LN(KH=0.7)/
ガラス構造基板のK2を示す図である。
【図11】一般的なSAWフィルタの構成を示す斜視図
である。
【図12】図11に示すSAWフィルタの動作を説明す
るための図である。
【図13】従来のSAWデバイスの構成を概略的に示す
断面図である。
【図14】オイラー角を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 圧電基板(LiNbO3) 3 電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板と、前記ガラス基板上に形成
    されたLiNbO3を含む圧電基板と、前記圧電基板上
    に形成された電極とを備え、 前記電極のピッチをλとし、前記圧電基板の厚みをHと
    し、Kを2π/λとしたとき、KとHとの積が0.5以
    上1.0以下であることを特徴とする、弾性表面波デバ
    イス。
  2. 【請求項2】 前記LiNbO3がオイラー角表示で
    (30°,80°〜100°,130°〜145°)で
    あることを特徴とする、請求項1に記載の弾性表面波デ
    バイス。
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